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Patent Searching and Data


Title:
FLAVOR-IMPARTING AGENT FOR FOODS AND DRINKS, METHOD OF PRODUCING THE SAME AND FOOD OR DRINK CONTAINING THE FLAVOR-IMPARTING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129918
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a flavor-imparting agent having a raw milk feeling, which is the flavor of fresh milk, and the richness, natural feeling and favorable properties of raw milk in a well balanced manner. A flavor-imparting agent comprising a product, which is obtained by subjecting total milk protein to lactic acid fermentation and then treating with a protease, as the active ingredient.

Inventors:
WASHIZU YUKIO
EMOTO EIJI
KONO MASAHARU
Application Number:
PCT/JP2008/055315
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
March 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TAKASAGO PERFUMERY CO LTD (JP)
WASHIZU YUKIO
EMOTO EIJI
KONO MASAHARU
International Classes:
A23L27/00; A23L27/20; A23L27/21; A23L27/24
Foreign References:
JPS61152235A1986-07-10
JPH1169942A1999-03-16
JPH0937735A1997-02-10
JPS61242542A1986-10-28
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 トータルミルクプロテインを乳酸発酵処理およびプロテアーゼ処理して得られる処理物を有効成分として含有する飲食品の香味付与物。
 さらに乳脂のリパーゼ処理物を有効成分として含有する請求項1に記載の香味付与物。
 トータルミルクプロテインおよび乳脂の混合物を、乳酸発酵処理、プロテアーゼ処理、およびリパーゼ処理して得られる処理物を有効成分として含有する飲食品の香味付与物。
 請求項1~3のいずれか1項に記載の香味付与物を含有する飲食品。
 以下の工程を含む飲食品の香味付与物の製造方法。
(1)トータルミルクプロテインを乳酸発酵処理およびプロテアーゼ処理する工程
 さらに以下の工程を含む、請求項5に記載の方法。
(2)工程(1)で得られた処理物に、乳脂のリパーゼ処理物を添加する工程
 以下の工程を含む飲食品の香味付与物の製造方法。
(1)トータルミルクプロテインと乳脂とを含む混合溶液を調製する工程
(2)工程(1)で調製した混合溶液を乳酸発酵処理、プロテアーゼ処理、およびリパーゼ処理する工程
 請求項5~7のいずれか1項に記載の方法により得られる飲食品の香味付与物。
Description:
飲食品の香味付与物、その製造 および香味付与物含有飲食品

 本発明は、乳製品の香味を有する香味付 物に関する。詳しくは、本発明は、フレッ ュな乳の香味である生乳感、生乳の濃厚感( コク味、ボリューム感とも言う。)を飲食品 付与または増強する香味付与物に関する。

 従来より、乳および乳製品をプロテアー 処理することにより得られるフレーバーま は風味改良剤などが提案されている。これ でに、ホエイのプロテアーゼ処理物を吸着 と接触させた後、エチルアルコール溶液で 出して得られる酵素処理物からなる乳製品 天然系テイストフレーバーの製造法が報告 れている(特許文献1)。しかし、特許文献1に 記載の方法では、吸着剤による吸着や溶出の ための大掛かりな装置が必要であり、操作が 煩雑であった。また、吸着剤によって、生乳 感およびボリューム感を損失してしまうとい う問題点があった。

 乳および乳製品をプロテアーゼ処理およ 乳酸発酵することによって得られるフレー ーまたは風味改良剤も提案されている。例 ば、炭水化物を含有する乳製品を、酵素的 ンパク質加水分解および(又は)乳酸発酵し 得られる液体生成物を加熱してなる芳香物 が報告されている(特許文献2)。また、チー ホエーに乳酸菌を接種し、加熱又は非加熱 遠心分離してタンパク質を主成分とする沈 部と上澄部に分け、沈澱部をプロテアーゼ より処理し、上澄部と混合した調味料が報 されている(特許文献3)。しかし、特許文献2 よび3に記載の方法で得られる香味付与物は 、基質となる乳製品に大量の糖が含まれてお り、プロテアーゼ処理後に加熱することによ って、アミノ酸と還元糖の反応であるメイラ ード反応が生じ、焦げ臭、カラメル臭、ナッ ツ様の臭気が生じたり、ベーキングした食品 の風味を有する濃厚な香味付与物であり、フ レッシュな生乳の香味を有するものではなか った。

 その他、生クリーム(クリーム)又はバタ といった乳脂肪と、乳タンパク質である脱 粉乳とを含有する基質に、リパーゼ、プロ アーゼおよび乳酸菌を作用させることが提 されている(特許文献4および5)。しかし、特 文献4に記載のものは、ミルキー風味をもつ 発酵乳フレーバーであり、フレッシュな生乳 の香味を有する風味改良剤ではなかった。ま た、特許文献4および5に記載の方法では、乳 ンパク質として脱脂粉乳を用いている。脱 粉乳には約50質量%以上もの乳糖が含まれて り、プロテアーゼ処理後に、酵素失活・殺 等で加熱することにより、還元糖とアミノ の反応であるメイラード反応が生じ、焦げ 、カラメル臭、ナッツ様の臭気などの様々 香気を生じるという問題点がある。さらに 特許文献5に記載の風味改善剤は、パン製造 時に添加することにより、粉臭を解消するこ とを目的としており、フレッシュな生乳の香 味を有する風味改良剤ではない。

 低抗原性で風味および吸収性が改善され カゼインの加水分解物が報告されている(特 許文献6)。また、乳清タンパク質のプロテア ゼ処理物に乳脂のリパーゼ処理物を併用し 飲食品の風味改良剤も報告されている(特許 文献7)。しかし、特許文献6および7に記載の のは、飲食品の異味・異臭をマスキングす 風味改良剤などである。そのため、これら フレッシュな生乳の香味(特に、生乳感)、生 乳のコク味・ボリューム感をトータルにバラ ンスよく増強または付与する香味付与物では なかった。

特開2004-267126号公報

特開昭49-94875号公報

特開昭62-151155号公報

特許第2875825号公報

特開平5-49385号公報

特許第3383461号公報

特許第3274792号公報

 本発明は、フレッシュな乳の香味である 乳感、生乳の濃厚感(コク味、ボリューム感 とも言う。)をバランスよく有する香味付与 を提供することを目的とする。また、本発 は、該香味付与物を製造する方法、および 香味付与物を配合することにより、フレッ ュな乳の香味である生乳感、生乳の濃厚感 バランスよく付与または増強された、嗜好 に富む飲食品を提供することを目的とする

 本発明者らは、上記課題を解決するため 、鋭意研究を重ねた結果、トータルミルク ロテインを乳酸発酵処理およびプロテアー 処理することにより、フレッシュな乳の香 である生乳感、生乳の濃厚感を飲食品にバ ンスよく付与または増強する香味付与物が られることを見出した。

 また、トータルミルクプロテインを乳酸 酵処理およびプロテアーゼ処理して得られ 処理物と乳脂のリパーゼ処理物とを併用す ことにより相乗効果が得られ、香りと味の ランスが取れたナチュラル感に富む香味付 物が得られることを見出した。

 さらに、トータルミルクプロテインと乳 との混合物を、乳酸発酵処理、プロテアー 処理、およびリパーゼ処理することで、香 と味のバランスがとれたナチュラル感に富 だ香味付与物が得られることを見出した。

 すなわち、本発明は以下よりなる。
1.トータルミルクプロテインを乳酸発酵処理 よびプロテアーゼ処理して得られる処理物 有効成分として含有する飲食品の香味付与 。
2.さらに乳脂のリパーゼ処理物を有効成分と て含有する前項1に記載の香味付与物。
3.トータルミルクプロテインおよび乳脂の混 物を、乳酸発酵処理、プロテアーゼ処理、 よびリパーゼ処理して得られる処理物を有 成分として含有する飲食品の香味付与物。
4.前項1~3のいずれか1項に記載の香味付与物を 含有する飲食品。
5.以下の工程を含む飲食品の香味付与物の製 方法。
(1)トータルミルクプロテインを乳酸発酵処理 およびプロテアーゼ処理する工程
6.さらに以下の工程を含む、前項5に記載の方 法。
(2)工程(1)で得られた処理物に、乳脂のリパー ゼ処理物を添加する工程
7.以下の工程を含む飲食品の香味付与物の製 方法。
(1)トータルミルクプロテインと乳脂とを含む 混合溶液を調製する工程
(2)工程(1)で調製した混合溶液を乳酸発酵処理 、プロテアーゼ処理、およびリパーゼ処理す る工程
8.前項5~7のいずれか1項に記載の方法により得 られる飲食品の香味付与物。

 本発明により、フレッシュな乳の香味で る生乳感、生乳の濃厚感をバランスよく向 させる香味付与物を得ることが出来る。ま 、本発明の香味付与物を飲食品に配合する とにより、飲食品に生乳感、生乳の濃厚感 バランスよく付与または増強することがで 、嗜好性に優れた飲食品を提供することが 来る。

 以下、本発明の実施形態について説明する
 本発明の香味付与物は、トータルミルクプ テインを乳酸発酵処理およびプロテアーゼ 理して得られる処理物を有効成分として含 する。ここで、プロテアーゼ処理と乳酸発 処理の順序は、どちらが先でもよく、乳酸 およびプロテアーゼの種類により適宜調整 ることができる。また、プロテアーゼ処理 乳酸発酵処理を同時に行うこともできる。

(トータルミルクプロテイン)
 本明細書において、「トータルミルクプロ イン」(ミルクプロテインコンセントレート 、総合乳タンパク質とも言う。)とは、牛乳 のカゼインタンパク質およびホエイタンパ 質(乳清タンパク質とも言う。)の両方を牛乳 と同じ比率で含有した濃縮物を噴霧乾燥した ものであり、乳清タンパク質、カゼインタン パク質、脱脂粉乳とは区別される。

 トータルミルクプロテインの組成は、約8 0~90%のタンパク質、並びに、数%以下の灰分、 乳糖、水分および脂質からなる。トータルミ ルクプロテインはその製造過程で乳糖を除去 しているため乳糖の含有率は数%程度であり 風味付与物などの原材料として用いられて る脱脂粉乳等と比較して非常に低い。その め、加熱処理工程においてプロテアーゼ処 により生じるアミノ酸と還元糖の反応であ メイラード反応が生じにくく、フレッシュ 乳の香味である生乳感、生乳の濃厚感をバ ンスよく向上させる香味付与物を得ること 出来る。

 また、本発明の香味付与物は、カゼイン ンパク質およびホエイタンパク質の両方を 乳に近い比率で含有するトータルミルクプ テインを原材料とすることにより、フレッ ュな乳の香味である生乳感、生乳の濃厚感 バランスよく付与または増強することがで る。

 トータルミルクプロテインは広く市販さ ており、例えば、濃縮乳タンパクMPC80(DMV in ternational社製)、トータルミルクプロテイン( 永乳業社製)、ミルカ(日本新薬社製)、REFIT(R)  Natural(DMV International社製)等が挙げられる。

 トータルミルクプロテインを乳酸発酵処 およびプロテアーゼ処理するに際し、トー ルミルクプロテインをあらかじめ水または 湯に溶解または分散する。該溶解液の濃度 特に限定されないが、通常、5~40質量%、好 しくは5~30質量%のタンパク質濃度で懸濁させ て処理することが好ましい。

(乳酸発酵処理)
 乳酸発酵処理に使用する乳酸菌は、特に限 されず、例えば、ラクトバチルス(Lacto bacil lus)属細菌、ストレプトコッカス(Streptococcus) 細菌、ラクトコッカス(Lactococcus)属細菌、ロ コノストック(Leuconostoc)属細菌、エンテロコ ッカス(Enterococcus)属細菌などが挙げられる。

 ラクトバチルス属細菌として、例えば、L actobacillus casei、Lactobacillus acidophilus、Lactobaci llus helveticusが挙げられる。ストレプトコッ ス属細菌として、例えば、Streptococcus diacetil actis、Streptococcus thermophilusが挙げられる。ラ トコッカス属細菌として、例えば、Lactococcu s lactis subsp.lactis、Lactococcus lactis subsp.cremori sが挙げられる。ロイコノストック属細菌と て、例えば、Leuconostoc mesenteroides subsp.cremori s、Leuconostoc lactisが挙げられる。エンテロコ カス属細菌として、例えばEnterococcus malodora tusが挙げられる。これらの乳酸菌は1種を単 で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用 てもよい。

 乳酸発酵は、乳酸発酵処理に供する反応溶 (培地)の全質量に対して、濃縮または前培 した乳酸菌シードを、特に限定されないが 例えば10 5 cfu/ml以上接種して行うことが好ましい。また 、必要に応じて、糖源として資化できる量お よび種類の糖源を反応溶液に加えて乳酸発酵 することができる。前工程までの反応溶液( 地)に添加する糖源の量は、反応溶液の全質 に対して約1~5質量%の範囲内とすることが好 ましい。糖源の量を5質量%以上とすると、プ テアーゼ処理後の加熱処理によりメイラー 反応が生じ、香気に悪影響を与える可能性 あるからである。

 糖源としては、例えば、乳糖、乳糖以外 糖、乳糖またはそれ以外の糖を含む乳およ 乳製品などが挙げられる。これらの糖源は1 種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組 合わせて用いてもよい。

 発酵の温度は特に限定されるものではな 、乳酸菌の種類等により適宜調整できるが 約25~45℃で発酵するのが好ましい。発酵時 についても特に限定されるものではなく、 えば4~75時間が好ましい。また、発酵方法は 静置発酵、撹拌発酵、通気発酵等から用い 乳酸菌の発酵に適した方法を適宜選択する とができる。 

(プロテアーゼ処理)
 プロテアーゼ処理に使用するプロテアーゼ 、ペプチド結合の加水分解反応を触媒する 素であり、微生物起源、植物起源、および 物の臓器起源のプロテアーゼを使用するこ ができる。このようなプロテアーゼとして 例えば、セリンプロテアーゼ、シスチンプ テアーゼ、アスパルティックプロテアーゼ 金属プロテアーゼなどのエンドペプチダー およびアミノペプチダーゼ、ジペプチダー 、ジペプチジルアミノペプチダーゼ、ジペ チジルカルボキシペプチダーゼ、セリンカ ボキシペプチダーゼ、金属カルボキシペプ ダーゼなどのエキソプチダーゼが挙げられ 。これらの酵素は大部分が市販されており 容易に入手が可能である。例えば、プロテ ーゼN「アマノ」G(天野エンザイム社製)、フ レーバーザイム1000L(ノボザイムズ社製)、デ プシン2P(ナガセケムテックス社製)、コクラ ゼP(三共社製)、食品用精製パパイン(ナガセ ケムテックス社製)デビトラーゼ(萬邦通商社 )、プロテアーゼA「アマノ」G(天野エンザイ ム社製)、プロテアーゼYP-SS(ヤクルト薬品工 社製)などが挙げられる。これらのプロテア ゼは1種を単独で用いてもよく、2種類以上 組み合わせて用いてもよい。また、酸性プ テアーゼ、中性プロテアーゼおよび塩基性 ロテアーゼのいずれのプロテアーゼも使用 きる。

 プロテアーゼ処理の際に使用するプロテ ーゼの使用量は、乳タンパク質1g当たり10~30 00unitの範囲内とすることが好ましい。また、 プロテアーゼ処理の反応温度は特に制限は無 く、酵素作用の発現する最適温度を含む範囲 内とする。通常は30℃~70℃の範囲内とするこ が好ましいが、生乳のフレッシュ感を損な ことの無いように高温よりも低い温度とす ことが好ましい。

 プロテアーゼ処理時のpHについては、特 限定されないが、一般的には、使用するプ テアーゼの至適pHとすることが好ましい。ま た、特にpHを調整しなくてもプロテアーゼ処 を行うことができる。プロテアーゼの反応 間は目的に応じて適宜調整することができ が、通常は1~96時間の範囲内とすることが好 ましい。

 プロテアーゼ反応は、使用するプロテア ゼの失活条件に見合った温度・時間で加熱 、プロテアーゼを失活させることにより停 させる。生乳のフレッシュ感を損なうこと 無いように必要以上に加熱しないことが好 しい。例えば、70~90℃で10~30分、もしくは120 ℃以上の高温で数秒の加熱で失活させること ができる。

(乳脂のリパーゼ処理物)
 本発明の香味付与物は、トータルミルクプ テインを乳酸発酵処理およびプロテアーゼ 理して得られる処理物に、ミルク系天然香 素材である乳脂のリパーゼ処理物を有効成 として含有することが好ましい。乳脂のリ ーゼ処理物を配合することにより、香味付 物のコク味、生乳感、嗜好性、ナチュラル が顕著に向上する。

 トータルミルクプロテインを乳酸発酵処 およびプロテアーゼ処理して得られる処理 と乳脂のリパーゼ処理物との配合割合は、 に限定されず目的に応じて適宜調整できる 、1:99~99:1(質量比)の範囲内とすることが好 しく、10:90~90:10(質量比)の範囲内とすること より好ましい。

 また、本発明の香味付与物は、トータル ルクプロテインと乳脂の混合物を、乳酸発 処理、プロテアーゼ処理、およびリパーゼ 理して得られる処理物を有効成分として含 してもよい。当該混合物を乳酸発酵処理、 ロテアーゼ処理、およびリパーゼ処理して られる処理物によってもコク味、生乳感、 好性、およびナチュラル感を付与または増 することができるからである。ここで、プ テアーゼ処理および乳酸発酵処理は上述し 処理と同様に行う。また、プロテアーゼ処 、乳酸発酵処理およびリパーゼ処理の順序 特に制限はなく、いずれの処理から行って よい。また、プロテアーゼ処理、乳酸発酵 理およびリパーゼ処理を同時に行うことも きる。

 乳脂としては、例えば、牛乳、バター、 クリームおよびバターオイルなどの乳脂、 びに乳脂含有製品を挙げることができる。 脂を処理するリパーゼの種類は特に制限さ るものではない。例えば、アスペルギルス( Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属およびリゾー ス属(Rhizopus)等の微生物由来のリパーゼ、豚 膵臓由来のリパーゼ、並びに子ヤギ、子ひ じおよび子牛等の喉頭分泌腺由来のオーラ リパーゼなどを適宜利用できる。これらの パーゼは1種を単独で用いてもよく、2種以 を組合わせて用いてもよい。

 リパーゼの使用量は、乳脂1gに対し1~200Uni tの範囲内とすることが好ましい。リパーゼ 理の反応温度は特に制限は無く、酵素作用 発現する最適温度の含む範囲から選ばれる 通常は約20~約70℃の範囲内とすることが好ま しい。リパーゼ反応時のpHについては、特に 定されないが、一般的には、使用するリパ ゼの至適pHで反応させることが好ましい。 た、特にpHを調整しなくてもリパーゼ処理す ることができる。リパーゼの反応時間は、3~7 5時間の範囲内とすることが好ましい。

 リパーゼ反応の停止は、使用するリパー の失活条件に見合った温度で加熱し、リパ ゼを失活させる。乳脂のリパーゼ処理物は のままトータルミルクプロテインを乳酸発 処理およびプロテアーゼ処理して得られる 理物に添加してもよいし、該リパーゼ処理 を濃縮した濃縮物を添加してもよい。

 トータルミルクプロテインを乳酸発酵処 およびプロテアーゼ処理して得られる処理 は、そのまま香味付与物として用いること できる。また、該処理物に乳脂のリパーゼ 理物を配合したもの、並びにトータルミル プロテインおよび乳脂の混合物を乳酸発酵 理、プロテアーゼ処理、およびリパーゼ処 して得られた処理物も同様にそのまま香味 与物として用いることができる。

 本発明の香味付与物は、トータルミルク ロテインを乳酸発酵処理およびプロテアー 処理して得られる処理物、該処理物に乳脂 リパーゼ処理物を配合したもの、並びにト タルミルクプロテインおよび乳脂の混合物 乳酸発酵処理、プロテアーゼ処理、および パーゼ処理して得られた処理物に任意の他 成分を配合してもよい。任意の他の成分し は、例えば、アミノ酸等の調味料、天然精 、エッセンスなどの香料および香料組成物 どが挙げられる。このような香料および香 組成物としては、例えば、ミルク系天然香 素材や合成香料素材および両者を配合した ルクフレーバーなどが挙げられる。

 本発明の香味付与物の利用形態は特に制 されるものではなく、トータルミルクプロ インを乳酸発酵処理およびプロテアーゼ処 して得られる処理物、該処理物に乳脂のリ ーゼ処理物を配合したもの、並びにトータ ミルクプロテインおよび乳脂の混合物を乳 発酵処理、プロテアーゼ処理、およびリパ ゼ処理して得られた処理物は、適当な希釈 または担体との混合物の形態であってもよ 。そのような希釈剤または担体として、例 ば、デキストリン、トータルミルクプロテ ン、アラビアガム、およびシュークロース の固体希釈剤または担体、並びに水、エタ ール、プロピレングリコール、グリセリン および界面活性剤などの液体希釈剤または 体などが挙げられる。

 本発明の香味付与物は、粉末状、顆粒状 液状、乳液状、ペースト状、およびその他 剤形に適宜調製して香味付与物とすること できる。例えば、アラビアガムおよびデキ トリンなどの賦形剤を添加して粉末状、顆 状としたり、エタノール、プロピレングリ ールおよびグリセリンなどの溶剤に溶解し 液状としたり、砂糖などの糖またはパーム などの油脂を添加してペースト状としたり 並びに乳化剤を添加して乳化したりするこ ができる。

 本発明の香味付与物は、飲食品の製造工 中に配合することができる。配合できる飲 品としては、各種飲料、冷菓類、焼き菓子 、乳製品、調理食品など広範囲にわたり、 えば、コーヒー、カフェオレ、ミルクティ およびドリンクヨーグルトなどの飲料;アイ スクリーム、アイスミルク、ラクトアイスお よびシャーベットなどの冷菓;チーズ、ヨー ルトおよびマーガリンなどの乳製品;プリン ムースおよびケーキなどのデザート類;クッ キー、スナック、ガムおよびキャンディーな どの製菓;ドレッシングおよびマヨネーズな の調味料類;シチューおよびカレーなどの調 食品;クリーム類などが挙げられる。本発明 の香味付与物を飲食品に配合する際の添加量 は特に限定はなく、飲食品の種類によって適 宜調整することができるが、通常は飲食品の 全質量に対し0.005~1質量%の範囲内とすること 好ましい。

 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体 に説明するが、本発明はこれらの実施例に って何ら限定されるものではない。

1.香味付与物の調製
(実施例1)香味付与物Aの調製
 トータルミルクプロテイン(商品名:ミルカ( 本新薬社製))6.0gと乳糖(DMV社製)1.0gを水 65.0g に溶解して90℃にて10分間殺菌し、35℃まで冷 却した。その後、前培養したLactococcus lactis シード 1質量%(10 6 cfu/ml)を接種し、35℃にて18時間静置培養後、9 0℃にて10分間殺菌し、乳酸発酵の処理物を得 た(乳酸発酵処理)。 
 当該乳酸発酵処理物を50℃まで冷却した後 プロテアーゼ(フレーバーザイム1000L、ノボ イムズ社製) 0.35g(350unit)およびプロテアーゼ (プロテアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム 社製) 0.05g(750unit)を水 4.00gに溶解して添加し 、50℃にて20時間攪拌しながら加水分解した( ロテアーゼ処理)。90℃にて10分間処理し、 ロテアーゼを失活後、当該溶液1重量部に対 て、賦形剤としてトータルミルクプロテイ (日本新薬社製) 0.1重量部を混合して、噴霧 乾燥し香味付与物Aを得た。

(実施例2)香味付与物Bの調製
 トータルミルクプロテイン(商品名:ミルカ( 本新薬社製)) 15g、無塩バター(雪印乳業社 ) 20g(乳脂 16.6g)および乳糖(DMV社製) 2.0gを水  63.0gに溶解して90℃にて10分間殺菌し、35℃ で冷却した。その後、前培養したLactococcus l actisのシード 1質量%(10 6 cfu/ml)を接種し、35℃にて18時間静置培養後、9 0℃にて10分間殺菌し、乳酸発酵処理の処理物 を回収した(乳酸発酵処理)。
 当該乳酸発酵処理物を50℃まで冷却後、プ テアーゼ(フレーバーザイム1000L、ノボザイ ズ社製) 0.35g(350unit)およびプロテアーゼ(プ テアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム社製 ) 0.1g(1500unit)、リパーゼ(リパーゼAY30G、天野 ンザイム社製) 0.05g(1500unit)を水 4.00gに溶解 して当該処理物に添加し、50℃にて20時間攪 しながら加水分解した(プロテアーゼ処理お びリパーゼ処理)。90℃にて10分間処理し、 ロテアーゼとリパーゼを失活させた後、香 付与物Bを得た。

(製造例1)乳脂のリパーゼ処理物Iの調製
 リパーゼ(リパーゼAY30G、天野エンザイム社 ) 0.05g(1500unit)を水0.45gに溶解して無塩バタ (雪印乳業社製) 49.50g(乳脂 41.09g)に添加し、 50℃にて20時間攪拌しながら加水分解した(リ ーゼ処理)。90℃にて10分間処理しリパーゼ 失活させた後にホモジナイザーで乳化し、 脂のリパーゼ処理物Iを得た。

(比較例1)香味付与物aの調製
 ホエイプロテイン(WPC80、Warrnambool Cheese and Butter Factory社製) 6.0gと乳糖(DMV社製) 0.3gを  65.0gに溶解して90℃にて10分間殺菌し、35℃ で冷却した。その後、前培養したLactococcus  lactisのシード 1質量%(10 6 cfu/ml)を接種し、35℃にて18時間静置培養して9 0℃にて10分間殺菌し、乳酸発酵の処理物を得 た(乳酸発酵処理)。
 当該乳酸発酵処理物を50℃まで冷却後、プ テアーゼ(フレーバーザイム1000L、ノボザイ ズ社製) 0.35g(350unit)およびプロテアーゼ(プ テアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム社製 ) 0.10g(1500unit)を水 4.00gに溶解して添加し、50 ℃にて20時間攪拌しながら加水分解した(プロ テアーゼ処理)。90℃にて10分間処理し、プロ アーゼを失活後、当該溶液1重量部に賦形剤 としてトータルミルクプロテイン(日本新薬 製) 0.1重量部を混合して、噴霧乾燥し香味 与物aを得た。

(比較例2)香味付与物bの調製
 脱脂粉乳(雪印乳業社製) 6.0gと乳糖(DMV社製)  0.3gを水 65.0gに溶解して90℃にて10分間殺菌 て、35℃まで冷却した。その後、前培養し Lactococcus lactisのシード1質量%(10 6 cfu/ml)を接種し、35℃にて18時間静置培養後、9 0℃にて10分間殺菌した(乳酸発酵処理)。
 当該乳酸発酵処理物を50℃まで冷却後、プ テアーゼ(フレーバーザイム1000L、ノボザイ ズ社製) 0.35g(350unit)およびプロテアーゼ(プ テアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム社製 ) 0.10g(1500unit)を水 4.00gに溶解して添加し、50 ℃にて20時間攪拌しながら加水分解した(プロ テアーゼ処理)。90℃にて10分間処理し、プロ アーゼを失活後、当該溶液1重量部に対して 、賦形剤としてトータルミルクプロテイン( 本新薬社製) 0.1重量部を混合して、噴霧乾 し香味付与物bを得た。

(比較例3)香味付与物cの調製
 脱脂粉乳(雪印乳業社製) 15g、無塩バター( 印乳業社製) 20g(乳脂 16.6g)および乳糖(DMV社 ) 2.0gを水 63.0gに溶解して90℃にて10分間殺 し、35℃まで冷却した。その後、前培養し Lactococcus lactisのシード 1質量%(10 6 cfu/ml)を接種し、35℃にて18時間静置培養後、9 0℃にて10分間殺菌し、乳酸発酵の処理物を得 た(乳酸発酵処理)。
 当該乳酸発酵処理物を50℃まで冷却後、プ テアーゼ(フレーバーザイム1000L、ノボザイ ズ社製) 0.35g(350unit)およびプロテアーゼ(プ テアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム社製 ) 0.1g(1500unit)、リパーゼ(リパーゼAY30G、天野 ンザイム社製) 0.05g(1500unit)を水 4.00gに溶解 して当該処理物に添加し、50℃にて20時間攪 しながら加水分解した(プロテアーゼ処理お びリパーゼ処理)。90℃にて10分間処理し、 ロテアーゼとリパーゼを失活させた後、噴 乾燥し香味付与物cを得た。

 実施例1、2、製造例1、および比較例1、2 得られた香味付与物の原材料および処理方 を表1に示す。これらの香味付与物を種々の 食品に添加し、試飲または試食を行い、官 評価を実施した。

2.官能評価
 官能評価は、生乳感、ナチュラル感、コク および嗜好性について、表2に示す評価点で 9段階で評価した。専門パネラー3名により試 または試飲をして評価し、評価結果は評価 の平均とした。

3.試験例
(試験例1)
 試験例1では、香味付与物A、a、bを飲食品( クトアイス、クリームシチュー、シフォン ーキ)に添加し、官能評価を実施した。
 市販のラクトアイス、クリームシチュー、 フォンケーキのそれぞれに香味付与物A、a 0.02質量%添加して、常法により各飲食品を調 製した。また、香味付与物bを、市販のラク アイス、クリームシチューに各々0.02質量%添 加して、常法により各飲食品を調製した。香 味付与物を添加した各飲食品および無添加の 飲食品について、試飲または試食を行い、官 能評価を実施した結果を表3に示す。

 表3から分かるように、香味付与物Aを飲 品(ラクトアイス、クリームシチュー、シフ ンケーキ)に添加すると、香味付与物aおよ bを添加した場合に比べ、生乳感、コクが強 なり、ナチュラル感が改善され、嗜好性が 幅に向上した。特に、香味付与物Aは、香味 付与物bと比較すると、優れたナチュラル感 飲食品に付与した。

(試験例2)
 試験例2では、香味付与物Aまたはaと乳脂の パーゼ処理物Iとの混合物を飲食品(スライ チーズ、ヨーグルト、プリン)へ添加し、官 評価を実施した。
 市販のスライスチーズ、ヨーグルト、プリ のそれぞれに、乳脂のリパーゼ処理物Iを0.0 07質量%、香味付与物aを0.02質量%および乳脂の リパーゼ処理物Iを0.007質量%、香味付与物Aを0 .02質量%、香味付与物aを0.02質量%または香味 与物Aを0.02質量%および乳脂のリパーゼ処理 Iを0.007質量%を添加して、常法により各飲食 を調製した。香味付与物を添加した飲食品 よび無添加の飲食品について、官能評価を 施した結果を表4に示す。

 表4から分かるように、乳脂のリパーゼ処 理物Iのみの場合、および香味付与物aと乳脂 リパーゼ処理物Iを併用した場合と比較して 、香味付与物Aと乳脂のリパーゼ処理物Iを飲 品に添加すると、飲食品の生乳感、コクが くなり、ナチュラル感が改善されて香りと のバランスが良くなり、嗜好性が大幅に向 した。

 また、香味付与物Aとともにリパーゼ処理 物Iを飲食品に添加すると、香味付与物Aのみ 場合と比較して、飲食品のコク、生乳感、 チュラル感、および嗜好性が大幅に向上す ことが分かった。一方、香味付与物aととも にリパーゼ処理物Iを飲食品に添加すると、 味付与物aのみの場合と比較して、飲食品の ク、生乳感、ナチュラル感、および嗜好性 変化は小さく、生乳感が減少する場合もあ た。

 すなわち、トータルミルクプロテインを 酸発酵処理およびプロテアーゼ処理して得 れる処理物に、乳脂のリパーゼ処理物を配 することにより、、飲食品(スライスチーズ 、ヨーグルト、プリン)のコク、生乳感、ナ ュラル感、および嗜好性が顕著に向上する とが分かった。

(試験例3)
 試験例3では、トータルミルクプロテインと 乳脂の混合物を乳酸発酵処理、プロテアーゼ 処理、およびリパーゼ処理して得た香味付与 物Bを飲食品(ラクトアイス、クッキー、ドリ クヨーグルト)に添加し、官能評価を実施し た。
 香味付与物Bを市販のラクトアイス、クッキ ー、ドリンクヨーグルトのそれぞれに0.02質 %添加して、常法により各飲食品を調製した 香味付与物を添加した飲食品および無添加 飲食品について、官能評価を実施した結果 表5に示す。

 表5から分かるように、香味付与物Bを飲 品に添加すると、無添加品に比べ生乳感、 クが強くなり、ナチュラル感が改善され香 と味のバランスが良くなり、嗜好性が大幅 向上した。すなわち、トータルミルクプロ インと乳脂の混合物を乳酸発酵処理、プロ アーゼ処理、およびリパーゼ処理して得た 味付与物Bにより、飲食品(ラクトアイス、ク ッキー、ドリンクヨーグルト)のコク、生乳 、ナチュラル感、嗜好性が向上することが かった。

(試験例4)
 試験例4では、トータルミルクプロテインと 乳脂の混合物を乳酸発酵処理、プロテアーゼ 処理、およびリパーゼ処理して得た香味付与 物B、または脱脂粉乳を乳酸発酵処理、プロ アーゼ処理、およびリパーゼ処理して得た 味付与物cを飲食品(シフォンケーキ、イギリ スパン)に添加し、官能評価を実施した。
 香味付与物B、または香味付与物cを市販の フォンケーキ、イギリスパンに0.02質量%添加 して、常法により各飲食品を調製した。香味 付与物を添加した飲食品および無添加の飲食 品について、試飲または試食を行い、官能評 価を実施した結果を表6に示す。

 表6から分かるように、香味付与物Bをシ ォンケーキ、およびパンに添加すると、香 付与物cを添加した場合と比較して、生乳感 コクが強くなり、ナチュラル感が改善され りと味のバランスが良くなり、嗜好性が大 に向上した。

 すなわち、トータルミルクプロテインと 脂の混合物を乳酸発酵処理、プロテアーゼ 理、およびリパーゼ処理して得られる香味 与物は、脱脂粉乳と乳脂の混合物を乳酸発 処理、プロテアーゼ処理、およびリパーゼ 理して得られる香味付与物と比較して、飲 品(シフォンケーキおよびパン)のコク、生 感、ナチュラル感、嗜好性を顕著に向上す ことが分かった。

 本発明を特定の態様を用いて詳細に説明し が、本発明の意図と範囲を離れることなく 々な変更および変形が可能であることは、 業者にとって明らかである。
 なお、本出願は、2007年4月18日付けで出願さ れた日本特許出願(特願2007-109640)に基づいて り、その全体が引用により援用される。