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Title:
FLEXIBLE TIN-PLATED STEEL SHEET AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133175
Kind Code:
A1
Abstract:
A slab having a steel composition which contains up to 0.0020 mass% carbon and further contains boron and nitrogen so as to satisfy at least either of a boron/nitrogen mass ratio of 1.5 or higher and a content of boron in solution of 5 ppm or higher, with the remainder being iron and incidental impurities, is subjected to hot rolling, cold rolling, and annealing. Thereafter, the resultant sheet is subjected to secondary cold rolling at a draft of 1.3-3.5%. Thus, a flexible tin-plated steel sheet is obtained which has a hardness of 52-60 in terms of HR30T.

Inventors:
TORISU KEIICHIRO (JP)
MURAKAMI HIDEKUNI (JP)
TANAKA SEIICHI (JP)
JINNO AKIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057501
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CORP (JP)
TORISU KEIICHIRO (JP)
MURAKAMI HIDEKUNI (JP)
TANAKA SEIICHI (JP)
JINNO AKIHIRO (JP)
International Classes:
C22C38/06; C21D9/46
Foreign References:
JP2001247917A2001-09-14
JPH05295427A1993-11-09
JPH10251799A1998-09-22
JP2000054070A2000-02-22
JPH1046243A1998-02-17
JPH05263143A1993-10-12
JPH06306535A1994-11-01
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 Cを0.0020質量%以下、
 さらに、B及びNを質量比でB/N≧1.5、固溶Bが5ppm以上の少なくとも一方を満足するように含み、
 残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有し;
 硬度がHR30Tで52~60である;
ことを特徴とする軟質ブリキ鋼板。
 Cを0.0020質量%以下、
 さらに、B及びNを質量比でB/N≧1.5、固溶Bが5ppm以上の少なくとも一方を満足するように含み、
 残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有するスラブに、
 熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施した後、圧下率1.3%以上かつ3.5%以下で二次冷間圧延することにより得られる
ことを特徴とする軟質ブリキ鋼板。
 硬度がHR30Tで52~60であることを特徴とする請求項2に記載の軟質ブリキ鋼板。
 Bの添加量が0.020質量%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の軟質ブリキ鋼板。
 鋼組成として、Si:0.05質量%以下、Mn:0.20質量%~0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.020質量%以下、Al:0.010質量%~0.10質量%、Cr:0.10質量%以下、Ti:0.01質量%以下、Nb:0.01質量%以下からなる群から選択された1種又は2種以上の元素をさらに含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の軟質ブリキ鋼板。
 Cを0.0020質量%以下、
 さらに、B及びNを質量比でB/N≧1.5、固溶Bが5ppm以上の少なくとも一方を満足するように含み、
 残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有するスラブに、
 熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施した後、
 圧下率1.3%以上かつ3.5%以下で二次冷間圧延する
ことを特徴とする軟質ブリキ鋼板の製造方法。
 鋼組成として、Si:0.05質量%以下、Mn:0.20質量%~0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.020質量%以下、Al:0.010質量%~0.10質量%、Cr:0.10質量%以下、Ti:0.01質量%以下、Nb:0.01質量%以下からなる群から選択された1種又は2種以上の元素をさらに含む
ことを特徴とする請求項6に記載の軟質ブリキ鋼板の製造方法。
 前記焼鈍を、昇温速度300℃/秒未満の連続焼鈍設備を用いて650℃~700℃の温度で行う
ことを特徴とする請求項6または7に記載の軟質ブリキ鋼板の製造方法。
Description:
軟質ブリキ鋼板及びその製造方

 本発明は、連続焼鈍法を用いて製造される 質ブリキ鋼板及びその製造方法に関する。
 本出願は、特願2007-109332号を基礎出願とし その内容を取り込むものとする。

 飲料用または食品用の缶などに用いられ 、JIS G 3303に規定されたT-1からT-3までの軟 ブリキ鋼板は、従来、バッチ焼鈍(BAF)を用 た長時間焼鈍により製造されてきた。これ 、結晶粒を大きく成長させ、素材を軟化さ るとともに、鋼中に固溶したCやNを十分に析 出させて時効による硬化やストレッチャース トレインを防止した、いわゆる非時効材を得 る必要性があったためである。一方、コスト ダウン要求の激化に伴い、工程数が多くて工 期の長いBAFによる製法は徐々に敬遠され、短 時間で均一な材質の鋼を大量に得ることがで きる連続焼鈍法が用いられるようになってき た。連続焼鈍法は、コイルをほどいた鋼帯を 炉内に連続的に通過させて加熱する方法であ るが、焼鈍時間が短く非時効材を得にくい。 そのため、従来では、連続焼鈍法はT-4以上の 硬質ブリキ用の鋼板に適用されることがほと んどであった。しかし、近年、鋼の予備処理 技術が進歩し、鋼中のCやNの含有量を予め低 させた極低炭素鋼(Interstitial atom Free鋼、以 下IF鋼と略記)が容易に製造できるようになっ てきたことから、T-1からT-3のような軟質ブリ キ用の鋼板にも連続焼鈍法が用いられるよう になった。

 ただし、IF鋼は、固溶元素が少ないため 素材が非常に軟質であり、T-2の軟質ブリキ 板までは比較的容易に製造できるものの、T- 3程度の若干硬質の材質のブリキ鋼板を得る めには、Mn、P、Siなどの硬化作用のある元素 (硬化元素)を多量に添加するか、または二次 延率(調質圧延率)を上げて加工硬化させる 要があった。

 このようなIF鋼の問題点を解決する手段の ち、硬化元素を添加する方法としては、例 ば、特許文献1に、極低炭素鋼にBを添加し、 硬化元素であるMnの添加量で硬度を調整する 術が開示されている。また、加工硬化させ 方法としては、例えば、特許文献2に、Bを 加した極低炭素鋼を4.0%超かつ6.0%以下の調質 圧延率で加工硬化させる技術が開示されてい る。

特開平9-227947号公報

特開2001-247917号公報

 しかしながら、特許文献1に記載されてい る技術においては、Mnの添加量で硬度の調整 行なっているが、一般的な缶用鋼板の規格 あるASTM規格では、耐食性の観点からMnの添 量に0.6%の上限制約がある。よって、仮に0.6 %のMnを添加したとしても、T-3程度の若干硬質 (硬度がHR30Tで52~60)の材質のブリキ鋼板を得る ことができないという問題があった。なお、 HR30Tとは、ブリキ鋼板において一般的に用い れるロックウェル硬度の定義であり、測定 法は、JIS Z 2245に規定の通りである。

 また、特許文献2に記載されている技術( 工硬化方法)においては、調質圧延率を4.0%超 かつ6.0%以下としているが、これを実現する は、調質圧延工程を複数回繰り返すか、ま は圧延液を用いて強圧下する製法(「DCR(Double  Cold Rolling)」または「HRT(Heavy Redution Temper) と呼ばれる製法)を用いる以外に現実的な方 法はない。調質圧延を複数回繰り返す方法は 、当然のことながらコスト上好ましくない。 また、圧延液を用いて強圧下する方法におい ては、IF鋼の素材が軟質であることから延び ぎが発生したり、圧延条件を制御すること 困難であったりするために、安定した圧下 の確保や形状の作りこみができないという 題があった。

 なお、本明細書においては、「圧延液」 いう用語は、牛脂ベースのエマルション(例 えば、日本クエーカーケミカル社製の「クエ ークロール」)、または合成エステルベース 水溶液(例えば、日本クエーカーケミカル社 の「チノール」)など、一般的にブリキ鋼板 の調質圧延で広く用いられている潤滑剤全般 を指す語句として用いる。

 また、軟質ブリキ鋼板の母材として使用 れるIF鋼は、鋼中に固溶しているC及びNを析 出させるためにTiやNbを添加することが一般 である。このTiやNbの微細析出により鋼の再 晶温度が上昇するため、700℃以上の高温の 鈍温度が必要となる。このため、板厚の薄 ブリキ鋼板では、しばしば連続焼鈍の炉内 板中にヒートバックルと呼ばれる板のしわ 発生し、製品歩留を低下させることが多か た。

 このように、急速に進みつつあるブリキ IF鋼適用による連続焼鈍化に対し、簡便か 工業的に実現可能な範囲で、硬度がHR30Tで52~ 60のブリキ鋼板を安定的に供給できる製造条 はこれまでに提案されていない。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも で、その目的は、IF鋼を用いた連続焼鈍法 利用して、硬度がHR30Tで52~60といった比較的 質の軟質ブリキ鋼板を提供することと、こ 軟質ブリキ鋼板を容易に得るための製造方 を提供することとにある。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、軟質ブリキ鋼板中 元素の組成比を調整することにより、母材 あるIF鋼の強度を向上させることができ、 続焼鈍法を利用した硬度がHR30Tで52~60の軟質 リキ鋼板の製造が実現できることを見出し この知見に基づいて本発明を完成するに至 た。

 すなわち、本発明がその要旨とするところ 、以下の通りである。
(1) Cを0.0020質量%以下、さらに、B及びNを質量 比でB/N≧1.5、固溶Bが5ppm以上の少なくとも一 を満足するように含み、残部がFe及び不可 的不純物からなる鋼組成を有し;硬度がHR30T 52~60である、軟質ブリキ鋼板。
(2) Cを0.0020質量%以下、さらに、B及びNを質量 比でB/N≧1.5、固溶Bが5ppm以上の少なくとも一 を満足するように含み、残部がFe及び不可 的不純物からなる鋼組成を有するスラブに 熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施した後、圧 率1.3%以上かつ3.5%以下で二次冷間圧延するこ とにより得られる、軟質ブリキ鋼板。
(3) 硬度がHR30Tで52~60である上記(2)に記載の軟 質ブリキ鋼板。
(4) Bの添加量が0.020質量%以下である上記(1)~(3 )のいずれか1項に記載の軟質ブリキ鋼板。
(5) 鋼組成として、Si:0.05質量%以下、Mn:0.20質 %~0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.020質量%以 、Al:0.010質量%~0.10質量%、Cr:0.10質量%以下、Ti: 0.01質量%以下、Nb:0.01質量%以下からなる群か 選択された1種又は2種以上の元素をさらに含 む上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の軟質ブリ 鋼板。

(6) Cを0.0020質量%以下、さらに、B及びNを質量 比でB/N≧1.5、固溶Bが5ppm以上の少なくとも一 を満足するように含み、残部がFe及び不可 的不純物からなる鋼組成を有するスラブに 熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施した後、圧 率1.3%以上かつ3.5%以下で二次冷間圧延する軟 質ブリキ鋼板の製造方法。
(7) 鋼組成として、Si:0.05質量%以下、Mn:0.20質 %~0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.020質量%以 、Al:0.010質量%~0.10質量%、Cr:0.10質量%以下、Ti: 0.01質量%以下、Nb:0.01質量%以下からなる群か 選択された1種又は2種以上の元素をさらに含 む上記(6)に記載の軟質ブリキ鋼板の製造方法 。
(8) 前記焼鈍を、昇温速度300℃/秒未満の連続 焼鈍設備を用いて650℃~700℃の温度で行う上 (6)または(7)に記載の軟質ブリキ鋼板の製造 法。

 本発明に係る軟質ブリキ鋼板及びその製 方法によれば、従来のIF鋼を用いた連続焼 法では得ることができなかった、非時効か 硬度がHR30Tで52~60といった比較的硬質の軟質 リキ鋼板を容易に得ることができる。した って、本発明によれば、連続焼鈍法を利用 てT-3程度の軟質ブリキ鋼板を製造できるの 、比較的硬質のブリキ鋼板を得る場合にも 留が向上し、コストダウンを達成すること できる。

 以下に、本発明の好適な実施の形態につ て詳細に説明する。

<本発明に係る軟質ブリキ鋼板の構成>
 本発明の軟質ブリキ鋼板は、所定の鋼組成 有するスラブを用いて、これに熱間圧延、 間圧延、焼鈍を施した後に、所定の圧下率 二次冷間圧延(調質圧延)することにより得 れる、硬度がHR30Tで52~60にある(すなわち、T-3 程度の)ブリキ鋼板である。

(鋼組成について)
 以下、本発明の軟質ブリキ鋼板の母材とし 使用されるスラブの鋼組成について説明す 。上記スラブは、鋼中の成分として、主に 炭素(C)、ホウ素(B)、窒素(N)、ケイ素(Si)、マ ンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)、アルミニウム(A l)等を含むことができ、残部がFe及び不可避 不純物からなるものであり、なおかつ、こ ら成分のうち、C、B、Nの3つの元素を必須成 としている。これら成分のスラブ中におけ 含有量については、以下の通りである。

〔Cについて〕
 本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材となる ラブ中のCの含有量は、0.0020質量%以下であ 必要がある。

 その理由は、一般に、鋼中に固溶してい Cの量が多いほど降伏伸び(YP-EL)が高くなり 時効硬化や加工時のストレッチャーストレ ンの原因となりやすいため、連続焼鈍法を 用して軟質ブリキ鋼板を得る本発明におい は、製鋼段階において、Cの含有量を極力低 抑えるように制御することが必要だからで る。具体的には、Cの含有量を0.0020質量%以 としたのは、以下の理由による。すなわち 例えば、一般的な製缶加工ではYP-ELが2%以下 あればストレッチャーストレインが発現し いものの、缶の天地板(蓋)用途に使用する 合には、YP-ELが1.4%以下でないと時効による 度変化によってプレス後の鋼板に反りが生 る場合があるが、他方、鋼中に固溶してい Cの量が0.0020質量%を超えるとYP-ELが1.4%以上と なる確率が非常に高くなるためである。また 、鋳造時の耐火物などからのCの混入を考慮 ると、製鋼段階における鋼中の固溶C量は、0 .0010質量%以下とすることが好ましい。

〔B、Nについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中におけるB及びNは、質量比でB/ Nが1.5以上となるように含有されている必要 ある。

 B、Nは、本発明において最も重要な役割 有する元素である。Bは、鋼中に固溶したNと 結合してBNとして析出することにより、時効 化を防止するだけでなく、本発明者らの研 によれば、BNが析出するために必要な量以 に過剰に添加されたBが、母材であるスラブ の結晶粒を微細にする効果を有することが められている。これは、過剰に添加されたB が結晶粒界に固溶Bとして存在し、結晶粒の 長を抑制するためであると考えられる。そ 結果、母材の硬度が上昇し、T-3程度(HR30Tで52 ~60)の硬度を有する軟質ブリキ鋼板を得るこ が可能となる。ここで、固溶Bとは、他元素 の化合物として析出せずに鋼中に固溶状態 存在するBのことであり、その量は、添加さ れたBの合計量からBNとして析出したB量を差 引くことによって求められる(固溶B=BTotal-BasB N)。Bの合計量、およびBNの量は、一般的な化 溶解法などにより測定することができる。 た、簡易的には、固溶B(質量%)=B(含有量、質 量%)-10.8/14.0×N(含有量、質量%)の数式で求める ことができる。

 このような結晶粒の微細化による母材の 度上昇効果を発揮させるためには、BNを析 させた上でさらに固溶Bとして大量にBが存在 することが必要であり、本発明者らが行った 種々の試験の結果から、質量比でB/N≧1.5かつ /または固溶Bとして少なくとも5ppm以上のBが 在する必要があるとの知見を得た。なお、 述した特許文献1には、母材の硬度を上昇さ るために、Bを24ppm(B/N<0.8)まで添加する方 が提案されている。しかしながら、このB量 ではNをBNとして固定することはできても、固 溶Bが存在しないため、結晶粒の微細化によ 母材の硬度上昇の効果を得ることができな 。このように、結晶粒の微細化に有効な固 Bの量は、好ましくは40ppm以上、次に好まし は50ppm以上、より好ましくは60ppm以上、さら 好ましくは70ppm以上、最も好ましくは80ppm以 上、存在することが必要である。

 また、BによるNの固定の結果、析出するBN により粒界が脆化するため、スラブ鋳造時の 割れによる冶金疵の懸念、または鋳造機内の 鋳片断裂により鋳造自体が不能となる懸念が あるため、Bの添加量は、100ppm(0.010質量%)以下 とすることが好ましい。この結果、B/Nの下限 は、好ましくは1.5以上、次に好ましくは1.6以 上、さらに好ましくは1.7以上、最も好ましく は1.8以上であり、一方上限は、好ましくは4.0 以下、より好ましくは3.0以下、最も好ましく は2.0以下である。B/Nが1.5未満では、結晶粒界 に固溶Bが有効量存在せず、微細化の効果が られない。またB/Nが4.0を超えると、前述の 造不能や硬質になりすぎるなどの不具合が じる。

〔Siについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のSiの含有量は、0.05質量%以下 であることが好ましい。これは、一般に、Si 多量に含有すると母材の耐食性が低下する めであり、本発明では、母材に含まれるSi 含有量の上限を0.05質量%にすることが好まし い。また、特に耐食性が必要とされる内容物 を充填する缶等に用いられる場合には、Siの 有量を0.03質量%以下にすることがより好ま い。

〔Mnについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のMnの含有量は、0.20質量%以上 かつ0.60質量%以下であることが好ましい。Mn 、添加される鋼の硬質化を促進するため、 なくとも0.20質量%以上の添加が必要であり、 0.40質量%以上添加することがより好ましい。 方、Mnを多量に添加すると、母材の耐食性 低下するため、ASTMでも定められているよう 、Mnの含有量の上限を0.6質量%にすることが ましい。

〔Pについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のPの含有量は、0.020質量%以下 であることが好ましい。Pは、添加される鋼 顕著に硬質化させる一方で、耐食性を低下 せてしまうため、本発明では、ブリキ鋼板 一般的な製法における場合と同様に、Pの含 量を0.020質量%以下にすることが好ましい。 た、特に耐食性が要求される用途に使用さ る場合には、Pの含有量を0.015質量%以下にす ることがより好ましい。

〔Sについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のSの含有量は、0.020質量%以下 であることが好ましい。これは、Sは介在物 して鋼を脆化させ、耐食性を低下させるた であり、本発明では、ブリキ鋼板の一般的 製法における場合と同様に、Sの含有量を0.02 0質量%以下にすることが好ましい。

〔Alについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のAlの含有量は、0.010質量%以 かつ0.10質量%以下であることが好ましい。Al 、製鋼段階における脱酸材として添加され ものであり、脱酸硬化を得るためにはAlの 有量を0.010質量%以上にすることが好ましい 一方、Alは、固溶Cと同様に、時効硬化の原 となる固溶Nを析出させる硬化があるが、大 に添加するとアルミナ系の冶金疵が発生す 懸念があるため、Alの含有量を0.10質量%以下 にすることが好ましい。

〔Crについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のCrの含有量は、0.10質量%以下 であることが好ましい。Crは、素材の機械的 性に大きな影響を与えるものではないが、 リキ鋼板の表面処理としてCrを用いる場合 鋼中Crが多いとオンラインでのCr付着量計の 乱因子となり、厳格な管理を要する表面処 の品質を低下させてしまうこと、およびASTM 規格でCrの上限が0.10質量%に規定されている とから、Crの含有量は0.10質量%以下とするこ が好ましい。

〔Ti、Nbについて〕
 また、本発明に係る軟質ブリキ鋼板の母材 なるスラブ中のTi、Nbの含有量は、それぞれ 0.01質量%以下であることが好ましい。前述の うに、軟質ブリキ鋼板の母材として使用さ るIF鋼は、鋼中に固溶しているC及びNを析出 させるために添加されたTiやNbの微細析出に り、鋼の再結晶温度が700℃以上に上昇する 本発明では、固溶Cについては真空脱ガス法 どにより溶鋼段階で0.0020質量%以下とし、固 溶NについてはBの添加によりBNとして析出さ て無害化するため、TiやNbの積極添加は不要 ある。従って、焼鈍温度を低く抑え、工業 産性を向上させるために、Ti、Nbの含有量を それぞれ0.01質量%以下にすることが好ましい

〔その他の化学成分〕
 本発明の軟質ブリキ鋼板の成分としては、 記成分以外に、Cu:0.1%以下、好ましくは0.01% 下、Ni:0.1%以下、好ましくは0.01%以下、Mo:0.05 %以下、好ましくは0.005%以下、Zr:0.05%以下、好 ましくは0.005%以下、V:0.1%以下、好ましくは0.0 1%以下、CaまたはMgを0.003%以下、好ましくは0.0 005%以下の各成分元素のうち、1種または2種以 上を含有してもよい。

<本発明に係る軟質ブリキ鋼板の製造方法&g t;
 以上、本発明の軟質ブリキ鋼板の構成につ て説明したが、次に、このような構成を有 る本発明の軟質ブリキ鋼板の製造方法につ て詳細に説明する。

 本発明の軟質ブリキ鋼板の製造方法では 上述したような鋼組成を有するスラブに、 間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍を順次施し 後、圧下率1.3%以上かつ3.5%以下で二次冷間 延(調質圧延)することにより、比較的硬質の 軟質ブリキ鋼板を製造する。

(熱間圧延・酸洗・冷間圧延)
 上記製造工程のうち、熱間圧延、酸洗、冷 圧延については、一般的な鉄鋼製造条件で い。例えば、スラブを1000℃~1300℃まで加熱 た後、ホットストリップミル等の熱延設備 用い、仕上温度を800℃~1000℃として1.8mm~4.0mm の厚さまで圧延、巻取温度を400℃~800℃とし 熱延鋼板を製造する。しかる後、塩酸等を いて酸洗し、コールドストリップミル等の 延設備を用いて常温で0.1mm~0.6mmの厚さまで圧 延する工程を行う。

(焼鈍)
 焼鈍は、冷間圧延で加工硬化した鋼の組織 再結晶により軟化させ、製缶などの加工が きるように材質を調整する目的で行われる 本発明の軟質ブリキ鋼板の母材として使用 れるIF鋼は、前述のように、鋼中に固溶し いるC及びNを析出させるために添加されたTi Nbの微細析出により、鋼の再結晶温度が上 し、700℃以上の焼鈍温度が必要となること 多い。しかし、本発明の軟質ブリキ鋼板の 分としてTiやNbが含まれておらず、再結晶温 が上昇することもないため、焼鈍温度は650~ 700℃であれば十分である。一方、焼鈍温度が 650℃未満の場合には、鋼が再結晶しないため 好ましくなく、焼鈍温度が700℃を超える場合 はヒートバックルが発生しやすくなる問題が あるため好ましくない。また、このように熱 量の供給が比較的少なくて済むため、副次的 効果として熱源対策にも効果がある。なお、 本発明のIF鋼の焼鈍における昇温速度は、通 の工業生産に用いられる一般的なプロセス 同等でよく、その値は、好ましくは300℃/秒 未満、より好ましくは200℃/秒未満、最も好 しくは100℃/秒未満である。均熱時間も同様 、20秒~100秒程度の通常の焼鈍条件でよい。

(二次冷間圧延)
 本発明における二次冷間圧延(調質圧延)工 では、圧延液を用いる(「DCR」や「HRT」と呼 れる、いわゆるWET調圧)と、上述したように 安定した鋼板の生産ができない。そのため、 本発明では、圧延液を用いない、いわゆるDRY 調圧を施す。なお、本発明者らは、連続焼鈍 後のIF鋼に対して圧延液を用いた二次冷間圧 を行った場合の技術的検討を行い、実機検 に及んだが、上述したような鋼板の延び過 が発生し、板厚制御や鋼板形状の不良が発 したのみならず、自動制御の圧延荷重が極 に低下して圧延不能になるなどの危険性が り、工業的な適用は困難であることが認め れた。

 本発明における二次冷間圧延は、1.3%以上 かつ3.5%以下の圧下率(調質圧延率)で行う必要 がある。1.3%以上の圧下率を必要とした理由 、二次冷間圧延の本来の目的であるYP-ELの低 減、形状矯正、及び圧延ロールの表面粗度の 転写を行うために必要であることや、これ以 下の圧下率ではHR30Tで52以上の硬度が得られ いためである。さらに、十分な硬度の確保 ためには、極力高い圧下率で加工硬化させ ことが好ましい。ただし、ブリキ用の調圧 延機として一般的に使用されている2スタン 圧延機でDRY調圧を行う場合、ミル剛性と圧 荷重との関係より、設備能力的に3.5%程度が 圧延率の限界となることから、本発明におい て二次冷間圧延を行う際の圧下率を、1.3%以 かつ3.5%以下とした。

 以上説明したような鋼組成を有するスラ に、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍を順 施した後、以上説明したような条件で二次 間圧延(調質圧延)することにより、従来のIF 鋼を用いた連続焼鈍法では得ることができな かった、非時効、かつ、硬度がHR30Tで52~60に る(すなわち、T-3程度の)比較的硬質の軟質ブ リキ鋼板を製造することができる。

 次に、実施例を用いて本発明をさらに具 的に説明するが、本発明は、下記の実施例 みに限定されるものではない。

(軟質ブリキ鋼板の製造)
 まず、本発明の製造方法を利用して製造さ た軟質ブリキ鋼板の製造例について説明す 。
 下記に示す表1および表2に示す組成を有す 鋼A~Dシリーズのスラブを鋳造し、これらス ブを1235℃で加熱した後に、ホットストリッ ミルを用いて、仕上温度900℃かつ巻取温度6 50℃の条件で、圧延後の仕上板厚が3.0mmとな まで熱間圧延を行った。次いで、この熱間 延後の鋼帯を酸洗し、圧延後の仕上板厚が0. 25mmとなるまで冷間圧延した後、連続焼鈍炉 て680℃及び640℃の2種の温度条件で焼鈍を行 た。さらに、焼鈍後の鋼板に対して、調質 延率が3%及び5%の2種の条件で二次冷間圧延 行った。なお、調質圧延率が3%の条件では、 圧延液を使用しないDRY調圧を行い、調質圧延 率が5%の条件では、圧延液を使用したWET調圧 行った。WET調圧の場合の圧延液としては、 本クエーカーケミカル社製のチノールを純 で0.2%に希釈したものを使用した。

 上記二次冷間圧延条件のうち、圧延液を用 て調質圧延率5%で二次冷間圧延を行ったサ プルは、圧延開始直後から圧延制御が不能 なったため、二次冷間圧延を中止した。こ 現象は次のように説明できる。通常の鋼で れば、鋼の硬さとバランスするように圧延 タンドの荷重と張力が自動制御され、設定 れた調質圧延率を安定的に保つことが出来 。しかし、IF鋼は軟質であるが故に、スタン ドの荷重や張力の初期設定を通常より低くし ても、設定された調質圧延率を超えて強く圧 延されてしまう。こうなると、自動制御によ って荷重や張力が連続的に軽減されていくも のの、IF鋼の軟質さが上回っているために、 ランス点を見出せず圧延率は増加しつづけ 最終的には荷重や張力の自動制御範囲を外 て、圧延率、板厚、形状のそれぞれが制御 きない状態となってしまう。本発明者らは 滑条件にも着目し、圧延液として摩擦係数 高い純水のみを用いて上記の調質圧延を実 したが結果は変わらなかった。それ以外の ンプルについては、二次冷間圧延後、1000mg/ m 2 の付着量でスズめっき処理を施した。

 なお、表1および表2に示した鋼組成は、 常行われている分析である固体発光分光分 (QV)法、およびJIS G 1211、1215に規定の赤外線 吸収法、JIS G 1227に規定のメチレンブルー吸 光光度法により測定した。

(硬度と降伏伸びの測定)
 以上のようにして製造されたブリキ鋼板に いて、硬度(HR30T)をJIS Z 2245に規定の方法に より、また降伏伸び(YP-EL)をJIS Z 2241に規定 方法により測定した。なお、硬度と降伏伸 のいずれについても、通常の塗装焼付によ 付与される210℃で30分の熱処理後に測定した 。

 上記のようにして、ブリキ鋼板について 度(HR30T)と降伏伸び(YP-EL)を測定した結果を 1および表2に併せて示す。

 これら表1及び表2から、以下のことがわ る。すなわち、本発明の範囲に属するB及びN を質量比でB/N≧1.5かつ/または固溶Bが5ppm以上 となる鋼に関しては、HR30Tが52~60と十分な硬 を有し、かつ、YP-ELもほとんど0.0であり問題 がなかった。一方、B/Nが1.5未満かつ固溶Bが5p pm未満のNo.B12については、HR30Tが50となってブ リキ鋼板の硬度が不足していた。また、二次 冷間圧延の圧下率が1.3%未満であるNo.B6、B8,B9 ついても、HR30Tが51となってブリキ鋼板の硬 度が不足した。さらにCの含有量が0.0020質量% 超えるB1は、YP-ELが1.8と高く、時効硬化が発 生した。

 以上、本発明の好適な実施形態について 明したが、本発明はかかる例のみに限定さ ないことは言うまでもない。当業者であれ 、特許請求の範囲に記載された範疇内にお て、各種の変更例または修正例に想到し得 ことは明らかであり、それらについても当 に本発明の技術的範囲に属するものと了解 れる。

 本発明によれば、連続焼鈍法を利用してT -3程度の軟質ブリキ鋼板を製造できるので、 較的硬質のブリキ鋼板を得る場合にも歩留 向上し、コストダウンを達成することがで る。