Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FLUID CATALYTIC CRACKING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026635
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is catalytic cracking by using a fluid catalytic cracking apparatus having a reaction zone, a separation zone, a stripping zone and a reproduction zone. In the reaction zone, a feed oil comprising a hydrocarbon separated from a synthetic product produced by a Fischer-Tropsch synthesis method is treated by using a catalyst containing 10 to 50 mass% of ultra-stable Y-zeolite under conditions of an outlet temperature in the reaction zone of 550 to 650˚C, a catalyst/oil ratio of 10 to 40 wt/wt, a reaction pressure of 1 to 3 kg/cm2G, and a time of contact between the feed oil and the catalyst of 0.1 to 1.0 second. In the reproduction zone, the catalyst used is treated under conditions of a temperature of a catalyst-rich phase in the reproduction zone of 620 to 740˚C, a pressure in the reproduction zone of 1 to 3 kg/cm2G, and an oxygen concentration in an exhaust gas at the outlet of the reproduction zone of 0 to 3 mol%.

Inventors:
FUJIYAMA YUICHIRO (JP)
OKUHARA TOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066757
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 29, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
FUJIYAMA YUICHIRO (JP)
OKUHARA TOSHIAKI (JP)
International Classes:
C10G11/18; B01J29/08; B01J29/90; B01J35/10; B01J38/02; B01J38/12; C08F10/06; C10G2/00; C10G11/05; C10L1/06; C10L1/08; C10L1/185; C10L3/00
Foreign References:
JPH1060453A1998-03-03
JP2002505944A2002-02-26
JP2004507608A2004-03-11
JP2005154516A2005-06-16
JP2003534444A2003-11-18
JPH0971788A1997-03-18
JP2006182981A2006-07-13
JP2006169433A2006-06-29
JP2004507576A2004-03-11
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6, Ginza 1-chom, Chuo-ku Tokyo 61, JP)
Download PDF:
Claims:
 反応帯域、分離帯域、ストリッピング帯域及び再生帯域を有する流動接触分解装置を用いた接触分解方法であって、
 前記反応帯域において、フィッシャー・トロプシュ合成法により得られる合成生成物から分離された炭化水素類を含有する原料油を、超安定Y型ゼオライトを10~50質量%含有する触媒を用いて、前記反応帯域の出口温度550~650℃、触媒/油比10~40wt/wt、反応圧力1~3kg/cm 2 G、前記原料油と前記触媒との接触時間0.1~1.0秒の条件下で処理する第1工程と、
 前記再生帯域において、前記第1工程で使用された前記触媒を、再生帯域の触媒濃厚相の温度620~740℃、再生帯域圧力1~3kg/cm 2 G、再生帯域出口における排ガス中の酸素濃度0~3mol%の条件下で処理する第2工程と
を含むことを特徴とする流動接触分解方法。
 前記反応帯域が下向流型反応器であることを特徴とする請求項1に記載の流動接触分解方法。
 前記下向流型反応器のガス線速度が4~30m/sであることを特徴とする請求項2に記載の流動接触分解方法。
 前記原料油を、原料油の2~6質量%にあたるスチームを用いて、前記反応帯域内に噴霧することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 前記再生帯域の触媒濃厚相の温度と前記反応帯域の出口温度との差が150℃以内であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 前記再生帯域に、生成物を蒸留して得られる軽油または重油留分あるいは原油を常圧蒸留装置で処理して得られる常圧残油を、前記反応帯域に供給される前記原料油の重量の1~10質量%供給することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 前記触媒上のデルタコークが0.2~1.0質量%であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の接触分解方法。
 前記触媒の超安定Y型ゼオライトのSi/Al比が原子比で3~20であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 前記触媒の超安定Y型ゼオライトの結晶格子定数が24.35Å以下であり、結晶化度が90%以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 前記触媒の超安定Y型ゼオライトのイオン交換サイトにアルカリ希土類金属が導入されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 前記触媒の活性マトリックスがシリカアルミナを更に含有することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の流動接触分解方法。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られる水素を含有することを特徴とする燃料電池用燃料。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られる沸点25~220℃の留分の一部若しくは全部又はその水素化物を含有することを特徴とするガソリン。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られる沸点170~370℃の留分の一部又は全部を含有することを特徴とするディーゼル燃料。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られる炭素数3又は4の炭化水素を含有することを特徴とする液化石油ガス。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られるプロピレンを構成モノマーとして含有することを特徴とする合成樹脂。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られるイソブチレンと、メタノール又はエタノールとを反応させて得られるエーテルを含有することを特徴とするガソリン。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られるブチレンと、イソブタンとをアルキレーション装置を用いて反応させた反応物を含有することを特徴とするガソリン。
 請求項1~11のうちいずれか1項に記載の流動接触分解方法により得られるブチレンの二量化物を含有することを特徴とするガソリン。
Description:
流動接触分解方法

 本発明は、流動接触分解方法に関し、詳 くは、フィッシャー・トロプシュ合成によ 得られる、炭化水素類を主成分とする液状 成物を流動接触分解する方法に関する。

 従来、環境負荷低減の観点から、硫黄分 び芳香族炭化水素の含有量が低く、環境に さしいクリーンな液体燃料や石油化学原料 求められている。そこで石油業界において 、クリーンな液体燃料や石油化学原料の製 方法として、一酸化炭素と水素を原料とし フィッシャー・トロプシュ合成法(以下、「 FT合成法」と略す。)が検討されている。FT合 法によれば、パラフィン含有量に富み、か 硫黄分を含まない液体燃料基材や石油化学 料を製造することができるため、その期待 非常に大きい。

 しかし、FT合成法により得られる合成油( 下、場合により「FT合成油」という。)はノ マルパラフィン含有量が高く、アルコール どの含酸素化合物を含んでいるため、当該 成油をそのまま燃料原料や石油化学原料と て使用することは困難である。より具体的 は、当該合成油は、自動車用ガソリンとし 用いるためにはオクタン価が不十分であり また、ディーゼル燃料として用いるために 低温流動性が不十分である。また、アルコ ルなどの含酸素化合物は燃料の酸化安定性 悪影響を及ぼす。そのため、FT合成油は、 成油中のノルマルパラフィンをイソパラフ ンへ変換したり、含酸素化合物を他の物質 変換したりするための水素化処理が施され 後、燃料原料や石油化学原料として使用さ ているのが一般的である。

 具体的には、例えば、ディーゼル燃料基材 灯油基材、航空燃料基材などを製造する場 、FT合成油の重質なワックス分を水素化分 して得られるイソパラフィンに富む中間留 や、FT合成油の中間留分を水素化異性化して 得られるパラフィン異性化度が高められた中 間留分などを適宜混合することにより燃料基 材の低温流動性を向上させることが行われて いる(特許文献1及び2参照)。またFT合成油から ガスオイルと重質留分を分離し、該重質留分 を大細孔ゼオライト触媒を用いて上昇反応器 で接触分解し、分解生成物からガスオイル留 分を回収し、前記のガスオイルと合一する方 法が開示されている(特許文献3参照)。

国際特許公開第00/020535号パンフレット

フランス国特許公開第2826971号明細書

国際特許公開第05/118747号パンフレット

 しかし、従来の方法によるFT合成油の流 接触分解処理は、処理の不安定化、得られ 分解生成物の収率や実用性状などの点で改 の余地がある。

 より具体的には、例えば、熱バランスを るためには一般的に5~7%のコーク収率が必要 とされるが、従来の方法ではコーク収率が著 しく低くなり、外部から不足分の熱量を補わ ない限り分解反応を継続することができなく なる。


 本発明は、このような事情に鑑みてなされ ものであり、フィッシャー・トロプシュ合 法により得られる合成油を処理する場合で っても、長期にわたって安定的に処理する とが可能な流動接触分解方法を提供するこ を目的とする。

 上記課題を解決するために、本発明は、反 帯域、分離帯域、ストリッピング帯域及び 生帯域を有する流動接触分解装置を用いた 触分解方法であって、流動接触分解装置の 応帯域において、フィッシャー・トロプシ 合成法により得られる合成生成物から分離 れた炭化水素類を含有する原料油を、超安 Y型ゼオライトを10~50質量%含有する触媒を用 いて、反応帯域の出口温度550~650℃、触媒/油 10~40wt/wt、反応圧力1~3kg/cm 2 G、原料油と触媒との接触時間0.1~1.0秒の条件 で処理する第1工程と、流動接触分解装置の 再生帯域において、上記第1工程で使用され 触媒を、再生帯域の触媒濃厚相の温度620~740 、再生帯域圧力1~3kg/cm 2 G、再生帯域出口における排ガス中の酸素濃 0~3mol%の条件下で処理する第2工程とを含むこ とを特徴とする流動接触分解方法を提供する 。

 上記本発明の流動接触分解方法によれば フィッシャー・トロプシュ合成法により得 れる合成生成物から分離された炭化水素類 含有する原料油を流動接触分解に供する。 して、上記第1工程における流動接触分解処 理及び上記第2工程における触媒の再生処理 行うことで、従来の方法でFT合成油の流動接 触分解処理を行う場合に問題であった、コー ク不足に起因する処理の不安定化を十分に抑 制することができ、また、触媒活性を長期に わたって高水準に維持することができる。し たがって、FT合成法により得られた炭化水素 状生成物を流動接触分解するにあたり、熱 ランスを維持しつつ、長期にわたって安定 に処理することが可能となる。

 本発明の流動接触分解方法においては、 応帯域が下向流型反応器であることが好ま い。

 また、下向流型反応器のガス線速度は4~30 m/秒であることが好ましい。

 また、本発明の流動接触分解方法におい は、原料油を、原料油の2~6質量%にあたるス チームを用いて、反応帯域内に噴霧すること が好ましい。

 また、本発明の流動接触分解方法におい は、再生帯域の触媒濃厚相の温度と反応帯 の出口温度との差は150℃以内であることが ましい。

 また、本発明の流動接触分解方法におい は、再生帯域に、生成物を蒸留して得られ 軽油または重油留分あるいは原油を常圧蒸 装置で処理して得られる常圧残油を、反応 域に供給される原料油の重量の1~10質量%供 することが好ましい。

 また、本発明の流動接触分解方法におい は、触媒上のデルタコークが0.2~1.0質量%で ることが好ましい。

 また、本発明の流動接触分解方法におい は、触媒の超安定Y型ゼオライトのSi/Al比が 子比で3~20であることが好ましい。

 また、触媒の超安定Y型ゼオライトの結晶 格子定数は24.35Å以下であることが好ましく 超安定Y型ゼオライトの結晶化度は90%以上で あることが好ましい。

 また、触媒の超安定Y型ゼオライトのイオ ン交換サイトにアルカリ希土類金属が導入さ れていることが好ましい。

 また、触媒の活性マトリックスはシリカ ルミナを更に含有することが好ましい。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られる水素を含有すること 特徴とする燃料電池用燃料を提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られる沸点25~220℃の留分の 部若しくは全部又はその水素化物を含有す ことを特徴とするガソリンを提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られる沸点170~370℃の留分の 一部又は全部を含有することを特徴とするデ ィーゼル燃料を提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られる炭素数3又は4の炭化 素を含有することを特徴とする液化石油ガ を提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られるプロピレンを構成モ マーとして含有することを特徴とする合成 脂を提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られるイソブチレンと、メ ノール又はエタノールとを反応させて得ら るエーテルを含有することを特徴とするガ リンを提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られるブチレンと、イソブ ンとをアルキレーション装置を用いて反応 せた反応物を含有することを特徴とするガ リンを提供する。

 また、本発明は、上記本発明の流動接触 解方法により得られるブチレンの二量化物 含有することを特徴とするガソリンを提供 る。

 本発明によれば、FT合成法により得られ 合成油を処理する場合であっても、長期に たって安定的に処理することが可能な流動 触分解方法が提供される。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

 本発明の流動接触分解方法では、フィッ ャー・トロプシュ合成法により得られる合 生成物から分離された炭化水素類を含有す 原料油が用いられる。かかる原料油は、水 と一酸化炭素を主成分とする合成ガスを原 としたフィッシャー・トロプシュ合成法に り得られる合成生成物を、炭化水素類を主 分とする液状生成物と、未反応の水素及び 酸化炭素並びにガス状生成物の混合物とに 離することによって得ることができる。な 、本発明において、「ガス状生成物」とは 素数2以下の炭化水素及び水素に相当するも のをいい、また、「液状生成物」とは上記ガ ス状生成物以外の生成物をいう。液状生成物 とガス状生成物との分離は、工業的には蒸留 によることが一般的であるため、液状生成物 又はガス状生成物の一方に他方が混入するな ど両者を完全に分離することは困難であるが 、本発明においてはこのようにして分離され た液状生成物を問題なく使用することができ る。

 FT合成法としては、水素と一酸化炭素を主 分とする合成ガスをFT合成の反応プロセスと して知られているプロセス、即ち固定床、超 臨界固定床、スラリー床、流動床等のプロセ スを用いることができる。反応条件は常法に 従って選定することができ、例えば、水素/ 酸化炭素のモル比が1.5~2.5、反応温度は200~280 ℃、ガス空間速度は1000~3000h -1 である。触媒としては公知の触媒を用いるこ とができる。例えばシリカ・アルミナに鉄、 コバルト等の活性金属を担持した触媒が挙げ られる。

 また、FT合成法により得られる合成生成 を、炭化水素類を主成分とする液状生成物 、未反応の水素及び一酸化炭素並びにガス 成物の混合物に分離する方法としては、一 的に石油精製で用いられている蒸留装置が 用できる。液状生成物の沸点範囲は、好ま くは-50℃以上、より好ましくは30℃以上であ る。

 合成生成物から分離された炭化水素類を 成分とする液状生成物は単独で流動接触分 の原料油として用いてもよい。また、流動 触分解の原料油は、該液状生成物に加えて 原油を蒸留して得られる重質油を更に含有 てもよい。かかる重質油としては、例えば 常圧残油、常圧残油を更に減圧蒸留して得 れる減圧軽油、減圧残油、これらの水素化 理油、または熱分解油、およびこれらの混 油等が挙げられる。重質油の混合割合は任 であるが、原料油全量を基準として、好ま くは10~70質量%、より好ましくは30~50質量%で る。

 次に、炭化水素類を主成分とする液状生成 を含有する原料油について、流動接触分解 置の反応帯域において、超安定Y型ゼオライ トを10~50質量%含有する触媒の存在下、反応帯 域の出口温度550~650℃、触媒/油比10~40wt/wt、反 応圧力1~3kg/cm 2 G、原料油と触媒の接触時間0.1~1.0秒の条件下 流動接触分解を行う。

 本発明でいう「流動接触分解」とは、重 な原料油と流動状態に保持されている触媒 を接触させ、ガソリンや軽質オレフィンを 体とした軽質な炭化水素に分解することを 味する。

 また、本発明で用いられる流動接触分解 置(以下、FCC装置という)は反応帯域、分離 域、ストリッピング帯域及び再生帯域を有 る装置であれば特に制限はない。

 反応帯域としては、触媒粒子と原料油が に管内を下向に流れる下向流型反応器、又 触媒粒子と原料油が共に管内を上向に流れ 上向流型反応器を用いることができるが、 発明では下向流型反応器が好ましく用いら る。反応器のガス線速度は好ましくは4~30m/ 、より好ましくは8~20m/秒である。

 本発明で用いられる接触分解触媒は、超 定Y型ゼオライトを10~50質量%、好ましくは15~ 40質量%含有する。該超安定Y型ゼオライトと ては、Si/Alの原子比が3~20であるものが好ま く用いられる。Si/Alの原子比は、より好まし くは5~20であり、さらに好ましくは7~15である Si/Alの原子比が3未満であると触媒活性が過 に大きくなり、ガスやLPGの発生量が増大し しまう。またSi/Alの原子比が20を超えるとゼ オライトのコストが増大し、経済性の点で好 ましくない。

 また、超安定Y型ゼオライトは、結晶格子 定数が24.35Å以下であり、結晶化度が90%以上 あるものが好ましく用いられる。また、超 定Y型ゼオライトはイオン交換サイトにアル カリ希土類金属を導入したものが好ましく用 いられる。

 本発明で用いられる触媒の好ましい態様 しては、超安定Y型ゼオライトを、副活性成 分であり重質油の大きな分子を分解すること のできるマトリックス、カオリンなどの増量 剤と共にバインダーで粒子状に成型したもの が挙げられる。本発明の触媒に用いられるマ トリックス成分としてはシリカアルミナが好 ましく用いられる。

 また、該触媒は、超安定Y型ゼオライトの 他に、Y型ゼオライトよりも細孔径の小さい 晶アルミノシリケイトゼオライト、シリコ ルミノフォスフェート(SAPO)などを更に含有 ても良い。そのようなゼオライトとしてはZS M-5、そしてSAPOとしてはSAPO-5、SAPO-11、SAPO-34が 挙げられる。これらのゼオライト又はSAPOは 超安定Y型ゼオライトを含む触媒粒子と同一 触媒粒子中に含まれても良く、あるいは別 触媒粒子として含まれても良い。

 本発明における反応帯域の出口温度は、 述の通り550~650℃であり、好ましくは560~640 であり、より好ましくは590~630℃である。反 帯域の出口温度が550℃未満であると目的生 物であるガソリンや軽質オレフィンを高い 率で得ることができず、また十分なコーク 率が得られない。650℃を超えると熱分解が 著になりドライガス発生量が増大してしま 。なお、本発明でいう「反応帯域の出口温 」とは反応器の出口温度のことであり、分 生成物が急冷あるいは触媒と分離される前 温度である。

 また、本発明における触媒/油比は、上述 の通り10~40wt/wtであり、好ましくは15~35wt/wtで り、より好ましくは20~30wt/wtである。触媒/ 比を10~40wt/wtとすることにより、合成油処理 のコーク不足に対応できる。なお、触媒/油 比が10wt/wt未満であると十分な分解率とコー 収率を得ることができず、触媒/油比が40wt/wt を超えると触媒循環量が大きくなり、再生帯 域において触媒再生に必要な触媒滞留時間を 確保できず、触媒の再生が不十分となる。本 発明でいう「触媒/油比」は触媒循環量(ton/h) 原料油供給速度(ton/h)との比を意味する。

 また、本発明における反応圧力は、上述の り1~3kg/cm 2 Gであり、好ましくは1.2~2kg/cm 2 Gである。反応圧力が1kg/cm 2 G未満であると大気圧との差が過剰に小さく り、コントロールバルブによる圧力の調整 困難となる。また、反応圧力が1kg/cm 2 G未満の場合、それに伴って再生帯域の圧力 小さくなり、再生に必要なガスの滞留時間 確保するために容器を大きくしなければな ず、経済的に好ましくない。一方、反応圧 が3kg/cm 2 Gを超えると、単分子反応である分解反応に する水素移行反応などの二分子反応の割合 増加してしまう。なお、本発明でいう「反 圧力」とは流動床型反応器の全圧を意味す 。また、「水素移行反応」とは、ナフテン からオレフィンが水素を受け取ってパラフ ンに変換される反応であり、目的物である 質オレフィンの減少、ガソリンのオクタン の低下などの原因となる反応である。

 また、本発明における原料油と触媒の接 時間は、上述の通り0.1~1.0秒であり、好まし くは0.3~0.9秒である。接触時間が0.1秒未満で ると十分な分解が行われず、一方、1.0秒を えると過分解や水素移行反応により、プロ レン、ガソリン等の目的生成物が減少する なお、本発明でいう「原料油と触媒の接触 間」とは、流動床型反応器の入口で原料油 触媒とが接触してから反応器出口で反応生 物と触媒が分離されるまでの時間を意味す 。

 また、本発明において、原料油を反応帯 に導入するときに、スチームを用いて噴霧 ることが好ましい。このときのスチーム量 原料油に対して2~8質量%であることが好まし い。スチーム量が原料油に対して2質量%未満 あると噴霧時の液滴の粒径が十分に小さく らないので、液滴と触媒の接触が十分に行 れず、反応効率が低下する傾向にある。一 、8質量%を超えると、後述する生成物回収 域における水の回収量が大きくなり、経済 に好ましくない。

 反応帯域で接触分解処理が施された分解 成物と未反応物と触媒との混合物は分離帯 に送られ、当該分離帯域において混合物か の触媒の分離が行われる。分離帯域として 、サイクロン等の遠心力を利用した気固分 装置が好ましく用いられる。分離帯域で分 された触媒はストリッピング帯域に送られ 当該ストリッピング帯域において触媒粒子 ら生成物、未反応物等の炭化水素類の大部 が除去される。一方、反応中に原料の一部 より重質な炭素質(コーク)となり触媒上に 着するが、コークあるいは更に重質の炭化 素類が付着した触媒は、当該ストリッピン 帯域から再生帯域(再生塔)に送られる。

 ストリッピング帯域から再生帯域に送られ 使用後の触媒は、再生帯域の触媒濃厚相の 度620~740℃、再生帯域圧力1~3kg/cm 2 G、再生帯域出口における排ガス中の酸素濃 0~3mol%の条件下で処理される。

 このとき、再生帯域に、生成物を蒸留し 得られる軽油または重油留分あるいは原油 常圧蒸留装置で処理して得られる常圧残油 供給することが好ましく、該常圧残油の供 量は反応帯域に投入される原料油の重量の1 ~10質量%であることが好ましい。このように 所定量の常圧残油を再生帯域に供給するこ によって、再生帯域の必要な熱量の一部又 全部を供給することができる。

 また、本発明における再生帯域の触媒濃 相の温度は、上述の通り620~740℃であり、好 ましくは650~720℃、より好ましくは660~710℃で る。再生帯域液温度が620℃未満であるとコ クの燃焼が不十分となる。740℃を超えると 媒の劣化が促進され、また、再生帯域の材 として再生帯域温度に耐えるためのより高 な部材を使う必要があり、経済的に好まし ない。

 また、本発明においては、再生帯域の触 濃厚相の温度と反応帯域出口温度との差が1 50℃以内であることが好ましく、100℃以内で ることがより好ましい。この温度差が150℃ 超えると熱バランスがとれない。なお、本 明でいう「再生帯域の触媒濃厚相の温度」 は、再生帯域において濃厚状態で流動して る触媒粒子が再生帯域を出る直前の部分の 度を指す。

 また、本発明における再生帯域圧力は、上 の通り1~3kg/cm 2 Gである。再生帯域圧力が1kg/cm 2 G未満であると、再生に必要なガスの滞留時 を確保するため、再生帯域の容器が大きく り経済的に好ましくない。また、再生帯域 力が3kg/cm 2 Gを超えると、それに伴い反応帯域の圧力が きくなり、反応帯域において水素移行反応 ような経済に好ましくない。

 また、本発明における再生帯域出口の排 ス中の酸素濃度は、0~3mol%である。酸素濃度 が3mol%を超えると、余分な空気を余分な動力 用いて再生帯域に送り込んでいることにな 経済的に好ましくない。

 上記の酸化処理を受けた触媒が再生触媒 あり、再生触媒においては、触媒上に沈着 たコーク及び重質炭化水素類が燃焼により 少されている。この再生触媒は、上記の反 帯域に連続的に循環される。場合によって 不必要な熱分解あるいは過分解を抑制する め、分解生成物は分離帯域の直前又は直後 急冷される。再生帯域における炭素質の燃 に伴い発生する熱量により触媒の加熱が行 れ、その熱は触媒と共に反応帯域に持ち込 れる。この熱量によって原料油の加熱、気 が行われる。また分解反応は吸熱反応であ ことから、分解反応熱としてもこの熱量が 用される。このように再生帯域における発 と反応帯域における吸熱とをバランスさせ ことがFCC運転の必須条件となっている。

 熱が余剰となったときの対策としては、 媒を冷却する方法がある。この方法は、再 帯域の触媒の一部を抜き出し、熱をスチー 発生等に用いることにより触媒の熱を奪う 法である。熱余剰時の対策としては、再生 域を2段にし、1段目の再生帯域を酸素不足 囲気下で運転する方法がある。

 接触分解に伴い生じるコーク量の上限値 、通常FCCごとにほぼ決まっている。例えば 前述した熱余剰時の対策により系外に排出 きる熱量の大きさによって、コーク量の許 値が決まる。またFCCの立地によって発生す 二酸化炭素量の上限値が決められている場 があり、その数値によってコーク量の許容 が制限される。通常、FCCはできるだけ大き 通油量、できるだけ高い分解率で運転され 結果的にコーク量の上限値での運転を行う とになる。

 本発明では、原料油当たりのコークの生 量(質量%)を「コーク収率」と称する。本発 におけるコーク収率は、好ましくは2~10質量 %、より好ましくは5~9質量%、更に好ましくは6 ~8質量%である。コーク収率が上記下限値未満 であると反応に必要な熱が不足する傾向にあ る。また、コーク収率が上記上限値を超える と、再生帯域で発生する熱量が過剰に大きく なり、分解率の低下、通油量の低下などの運 転の制約を受けるため、好ましくない。

 本発明における触媒上のデルタコークは、 ましくは0.2~1.5質量%、より好ましくは0.3~1.0 量%である。デルタコークが0.2質量%未満で ると反応に必要な熱が不足する傾向にある 一方、デルタコークが1.5質量%を超えると再 帯域で発生する熱量が過剰になり、分解率 低下、通油量の低下などの運転の制約を受 るため、好ましくない。なお、本発明でい 触媒上の「デルタコーク」とは下式で表さ る値を意味する。
(デルタコーク)=(再生前触媒へのコーク付着 (質量%))-(再生触媒上のコーク残存量(質量%))

 また、本発明におけるFCCは、分解生成物 収帯域を更に備えることが好ましい。かか 生成物回収帯域としては、分解生成物を沸 などにより分離して回収する分解生成物回 設備が挙げられる。該分解生成物回収設備 複数の蒸留塔、吸収塔、コンプレッサー、 トリッパー、熱交換器等を含んで構成され 。該分解生成物回収設備により、後述する うに、各種の燃料基材及び石油化学原料の れぞれをより確実に回収することができる

 以上の通り、本発明の流動接触分解方法 よれば、FT合成法により得られる合成油(炭 水素類を主成分とする液状生成物)を処理す る場合であっても、長期にわたって安定的に 処理することが可能となる。

 また、本発明の流動接触分解方法は、FT 成により得られる炭化水素液状生成物を原 としていることから、エネルギーセキュリ ィーの観点並びに二酸化炭素の削減の観点 優れているため、各種燃料の基材や石油化 製品の原料を製造する際に非常に有用であ 。

 例えば、上記本発明の流動接触分解方法 より得られる水素は燃料電池用燃料基材と て用いることができる。

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られる沸点25~220℃の留分はガソリン基 として用いることができる。ここで、沸点2 5~220℃の留分は、その一部をガソリン基材と て用いることができる。あるいは全部をガ リン基材として用いることができる。また 沸点25~220℃の留分を水素化処理し、その水 化物をガソリン基材として用いることがで る。

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られる沸点170~370℃の留分はディーゼル 燃料基材として用いることができる。ここで 沸点170~370℃の留分の一部をディーゼル燃料 材として用いてもよく、あるいは沸点170~370 の留分の全部をディーゼル燃料基材として いることができる。

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られる炭素数3又は4の炭化水素は液化 油ガス基材として用いることができる。

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られるプロピレンは合成樹脂の構成モ マーとして用いることができる。

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られるイソブチレンと、メタノール又 エタノールとを反応させて得られるエーテ はガソリン基材として用いることができる

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られるブチレンと、イソブタンとをア キレーション装置を用いて反応させた反応 はガソリン基材として用いることができる

 また、上記本発明の流動接触分解方法に り得られるブチレンの二量化物はガソリン 材として用いることができる。

 以下、実施例及び比較例に基づき本発明 更に具体的に説明するが、本発明は以下の 施例に何ら限定されるものではない。

[実施例1]
 シリカ・アルミナに鉄、コバルト等の活性 属を担持した触媒を用い、水素/一酸化炭素 のモル比2:1、反応温度200℃、ガス空間速度200 0h -1 の条件でフィッシャー・トロプシュ合成を行 った。得られた合成生成物を、蒸留装置を用 いて、炭化水素液状生成物と未反応の水素、 一酸化炭素及びガス状生成物の混合物とに分 離した。

 次に、分離された炭化水素液状生成物を 料油として、流動接触分解を行った。流動 触分解反応装置としては、反応帯域(断熱型 の下向流型反応器)、分離帯域、ストリッピ グ帯域及び再生帯域を有するFCCパイロット 置(Xytel社製)を用いた。また、接触分解触媒 して、以下のようにして調製した触媒を用 た。

 40%の硫酸3370g中へJIS3号水ガラスの希釈溶液( SiO 2 濃度=11.6%)21550gを滴下し、pH3.0のシリカゾルを 得た。このシリカゾル全量注へ超安定Y型ゼ ライト(東ソー(株)製:HSZ-370HUA)3000gとカオリン 4000gを加え混練し、250℃の熱風で噴霧乾燥し 。こうして得られた噴霧乾燥品を50℃、0.2% 酸アンモニウムで洗浄した後、110℃のオー ン中で乾燥し、さらに600℃で焼成して触媒 得た。この触媒中の超安定Y型ゼオライトの 含有量は30%であった。なお、このときの触媒 粒子のかさ密度は0.7g/ml、平均粒径は71μm、表 面積は180m 2 /g、細孔容積は0.12ml/gであった。

 上記のようにして得られた触媒を、上記 置に供給する前に、800℃で6時間、100%スチ ミング処理により擬似平衡化させた。この き装置規模は、インベントリー(触媒の総量) 2kg、フィード量1kg/hであり、流動接触分解の 応条件は、触媒/原料油比20、反応帯域出口 度600℃、接触時間0.5秒、下向流型反応器の ス線速度4m/sとした。また、反応帯域におい ては、原料油の5質量%にあたるスチームを用 て原料油を噴霧することにより、原料油の 応帯域への供給を行った。

 上記の接触分解反応における原料油から 解生成物への転化率、分解生成物の収率、 ルタコーク、並びに得られたガソリンのリ ーチ法オクタン価を表1に示す。なお、表2 、分解生成物の収率は全て原料油に対する 解生成物の質量比を百分率で示したもので り、C1はメタンガス、C2はエタンガスを示す( 以下、同様である。)。

[実施例2]
 実施例1と同様にして触媒を調製し、この触 媒と、市販されているオクタン価向上用添加 剤(GRACE Davison社製:Olefinsmax)をインベントリー (触媒と添加剤の総量)の20%となるよう併用し 用いたこと以外は実施例1と同様にして、接 触分解反応を行った。このときの原料油から 分解生成物への転化率、分解生成物の収率、 デルタコーク、並びに得られたガソリンのリ サーチ法オクタン価を表1に示す。

[比較例1]
 原料油に中東系脱硫VGOを用いた以外は実施 1と同様に接触分解を行った。このときの原 料油から分解生成物への転化率、分解生成物 の収率、デルタコーク、並びに得られたガソ リンのリサーチ法オクタン価を表1に示す。

[比較例2]
 原料油に中東系脱硫VGOを用いた以外は実施 2.と同様に接触分解を行った。このときの 料油から分解生成物への転化率、分解生成 の収率、デルタコーク、並びに得られたガ リンのリサーチ法オクタン価を表1に示す。

[比較例3]
 実施例1と同様の装置規模、触媒、原料油を 用い、運転条件のうち触媒/原料油比を5.5に 反応帯域出口温度を500℃に、接触時間を2秒 それぞれ変更して分解反応を行った。この きの原料油から分解生成物への転化率、分 生成物の収率、デルタコーク、並びに得ら たガソリンのリサーチ法オクタン価を表1に 示す。

 表1に示した結果から、実施例1、2におい は、FT合成油を超安定Y型ゼオライトを含有 る触媒を用いて、上記の反応条件で分解を うことにより、高い収率で分解生成油とラ トオレフィンとが得られることがわかる。 た、実施例2においては、超安定Y型ゼオラ トを含有する触媒と市販のオクタン価向上 添加剤を組み合わせて使用することにより より付加価値の高いライトオレフィンをさ に増産することもできることがわかる。

 また、中東系の脱硫VGOを用いた比較例1、 2と比較すると、実施例1、2においては、分解 率が10%以上高く、副生成物であるドライガス やコーク収率がやや抑制され、また目的性生 物であるライトオレフィンや分解ガソリンの 収率も高い。

 一方、比較例3は、FT合成油を、触媒/原料 油比5.5、反応帯域出口温度500℃、接触時間2 という従来のFCC同様の条件で分解した場合 相当するものである。この場合、デルタコ クは実施例1、2と同程度であったが、コーク 収率が著しく低く、熱バランスをとるために は一般に5~7%程度のコークが必要となること ら、外部から不足分の熱量を補わない限り 本反応条件では分解反応を継続できないと うことがわかる。なお、比較例3では、電気 の外部ヒーターの出力を調整し、不足分の 量を補い運転を継続した。

 また、比較例3と比較すると、実施例1、2 得られた分解ガソリンはオクタン価が高い いう特長があることがわかる。