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Title:
PROCESS FOR PRODUCING CYCLIC PHENOL SULFIDES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026636
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a process in which a mixture of cyclic phenol sulfides is produced from inexpensive raw materials through one step without lowering the yield of a cyclic tetramer and a single ingredient can be easily separated from the mixture and purified to thereby produce a larger cyclic reaction product in a large amount. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The process for cyclic phenol sulfide production comprises reacting, in one step, a phenol compound as a raw material with 1.7-2.5 mol of elemental sulfur and 0.25-0.75 mol of an alkali metal reagent per mol of the phenol compound to obtain a mixture comprising a cyclic phenol sulfide in which m is 4 and at least one cyclic phenol sulfide in which m is 5-9 or to obtain the individual cyclic phenol sulfides constituting the mixture.

Inventors:
YASUMURA MASATERU (JP)
AOKI YOSHIKAZU (JP)
ITO MASAMI (JP)
UMEKAWA MASAFUMI (JP)
TARUMOTO NAOHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066758
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 29, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HODOGAYA CHEMICAL CO LTD (JP)
YASUMURA MASATERU (JP)
AOKI YOSHIKAZU (JP)
ITO MASAMI (JP)
UMEKAWA MASAFUMI (JP)
TARUMOTO NAOHIRO (JP)
International Classes:
C07D341/00; C09K3/00
Foreign References:
JP2002193963A2002-07-10
EP0731102A11996-09-11
JPH1149770A1999-02-23
Other References:
H.KUMAGAI ET AL., TETRAHEDRON LETT., vol. 38, 1997, pages 3971 - 3972
Attorney, Agent or Firm:
KUMAKURA, Yoshio et al. (Shin-Tokyo Bldg. 3-1, Marunouchi 3-chome, Chiyoda-k, Tokyo 55, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)
        (1)
(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。)で表されるフェノール化合物を原料として、1工程の反応で、該フェノール化合物1モルに対し、1.7~2.5モル当量の単体硫黄及び0.25~0.75モル当量のアルカリ金属試薬を反応させて、下記一般式(2)
             (2)
(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、mは4ないし9の整数である。)で表されるm=4の環状フェノール硫化物とm=5~9の少なくとも1種類の環状フェノール硫化物との混合物又は該混合物を構成する個々の環状フェノール硫化物を得ることを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法。
 120~140℃の反応温度まで昇温し、この反応温度で0.5時間以上保持し、続いて160~180℃の反応温度まで昇温し、この反応温度で0.5時間以上保持し、その後、210℃以上の反応温度まで昇温する温度条件下で反応を行う請求項1記載の方法。
 前記したアルカリ金属試薬が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
 前記一般式(1)で表されるフェノール化合物と単体硫黄およびアルカリ金属試薬を反応させて得られる混合物から、低級アルコールを晶析溶媒として用いて環状4量体[前記一般式(2)においてm=4]を分離した後、有機溶媒を晶析溶媒として用いて、より大環状の環状フェノール硫化物[前記一般式(2)においてm=5~9]を個々に分離する工程を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
 反応混合物100重量部当り低級アルコールを100~300重量部用いる請求項4記載の方法。
 前記した低級アルコールがメタノールであることを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
 晶析を20~80℃で行なう請求項4~6のいずれか1項記載の方法。
Description:
環状フェノール硫化物の製造方

 本発明は、金属イオンの補足能を利用し 金属補足剤や固定化剤、イオンや分子の認 能を利用した光センサー、イオンセンサー 基質特異性センサー、分離膜材料およびそ らの中間体、電荷制御剤、触媒などとして 用な環状フェノール硫化物の製造方法に関 る。

 環状フェノール硫化物の製造方法にはフ ノール化合物と単体硫黄およびアルカリ金 試薬を原料に用い加熱反応によって合成す 方法(例えば、特許文献1~2および非特許文献 1参照)がある。これらの方法は一つの反応操 で目的物が得られる簡便かつ安価な原料を いる実用的な製造方法であるが、生成物の 布が環状4量体[一般式(2)においてm=4]に偏る 向がある。しかも、より大環状の生成物[一 般式(2)においてm=5~9]を得る場合は、環状4量 の回収は度外視されており、全体的な収率 で考慮されていない。精製においてもカラ クロマトグラフを必須としている。また、 状のフェノール硫化物と単体硫黄およびア カリ金属試薬を原料に用い加熱反応により 成する方法(例えば、特許文献3~6参照)がある 。これらの方法は、より大環状の生成物[一 式(2)においてm=5~9]を多く製造することはで るが、環状4量体の収量が少なくなる。また フェノール化合物から鎖状のフェノール硫 物を製造する工程と、鎖状のフェノール硫 物を環化させて環状フェノール硫化物を製 する工程の2工程に分かれており工業的には 不向きである。

特開平9-227553号公報

特開2002-193963号公報

特開平10-081680号公報

特開平11-049770号公報

特開2000-273096号公報

特開2002-255961号公報 H.Kumagai et al.,Tetrahedron Lett.(1997)、38、397 1-3972

 本発明の目的は、環状フェノール硫化物 製造方法において、安価な原材料から1工程 で、環状4量体の収量低下を起こすことなく 生成する環状フェノール硫化物の混合物か 単一成分を簡便に分離・精製し、より大環 の生成物を多く製造する方法を提供するこ である。

 本発明者らはこれらの課題を解決すべく 意検討を行った結果、一般式(1)で表される ェノール化合物を原料として、1工程の反応 で、一般式(2)で表される環状フェノール硫化 物を高収率かつ簡便に製造する方法を見出し た。さらに、反応で得られた一般式(2)で表さ れる環状フェノール硫化物の混合物から複雑 な精製を行うことなく、単一成分を分離・精 製する方法を見出し、本発明を完成させた。

      (1)

(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状も くは分岐状のアルキル基を表す。)

            (2)

(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状も くは分岐状のアルキル基を表し、mは4ない 9の整数である。)

 すなわち、本発明は一般式(1)で表される ェノール化合物と所定量の単体硫黄および 定量のアルカリ金属試薬を原料として溶媒 で加熱し、反応することを特徴とする一般 (2)で表される環状フェノール硫化物の製造 法である。

 また、前記製造方法で得られた環状フェ ール硫化物の混合物から、低級アルコール 晶析溶媒として用いて環状4量体を分離した 後、種々の有機溶媒を晶析溶媒として用いて 、より大環状の環状フェノール硫化物[一般 (2)においてm=5~9]を個々に分離・精製する環 フェノール硫化物の製造方法である。

 本発明の環状フェノール硫化物の製造方 によれば、より大環状の環状フェノール硫 物[一般式(2)においてm=5~9]の収量を多く製造 するために、環状4量体の収量を低下させる となく、かつ1工程で2種以上の生成物を製造 するという簡便さを維持しながら、一般式(2) で表される環状フェノール硫化物を高収率か つ簡便に製造することができる。

 また、本発明の環状フェノール硫化物の 造方法は、一般式(2)で表される環状フェノ ル硫化物から、複数の溶媒を組み合わせて う複雑な再結晶や多量の溶媒を使用するな の製造コストが増加するカラムクロマトグ フを用いることなく、種々の有機溶媒を晶 溶媒として用いることによる簡便な晶析操 によって、一般式(2)においてmが4~9の単一成 分を個々に分離・精製することができる。

 本発明の原料である一般式(1)で表される ェノール化合物における炭素原子数1ないし 6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(R1)と ては、具体的に次のような基をあげること できる。メチル基、エチル基、n-プロピル 、2-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、 2-メチルプロピル基、tert-ブチル基、n-ペンチ ル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル 、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロ ピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基 2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4 -メチルペンチル基、1-エチルブチル基、2-エ ルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジ チルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、1,4-ジ メチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3- メチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1- チル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチル ロピル基。

 次に、本発明の環状フェノール硫化物の 造方法について説明する。本発明の環状フ ノール硫化物の製造方法において、環化反 は溶媒の存在下実施することが好ましく、 媒の好適な使用量は、原料である一般式(1) 表されるフェノール化合物1モル当たり0.1~1L 、より好ましくは0.3~0.6Lである。溶媒の種類 は、飽和脂肪族エーテル、芳香族エーテル 飽和脂肪族チオエーテル、芳香族チオエー ル、飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素 挙げられ、芳香族エーテル、芳香族チオエ テルおよび芳香族炭化水素が好ましく、特 ジフェニルエーテルが好ましい。

 本発明において、一般式(1)で表されるフ ノール化合物と単体硫黄の仕込みモル比は フェノール化合物1モルに対し、単体硫黄が 1.7~2.5モル当量が好ましく、特に1.9~2.1モル当 が好ましい。

 本発明において、環化反応に用いられる ルカリ金属試薬としては、アルカリ金属単 、水素化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属 アルカリ金属アルコキシドなど種々のもの 用いられるが、水酸化アルカリ金属が好ま い。水酸化アルカリ金属の具体例としては 水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸 カリウムなどがあげられる。特に、水酸化 トリウムが好ましい。

 アルカリ金属試薬の使用量は、一般式(1) 表されるフェノール化合物1モルに対し、0.2 5~0.75モル当量が好ましく、特に0.4~0.6モル当 が好ましい。

 本発明において、環化反応は不活性ガス 囲気下、さらには不活性ガスを反応系に通 しながら行うことが好ましい。不活性ガス 例としては窒素、ヘリウム、アルゴンがあ られるが、本発明を実施するにあたり特に 類は限定されない。

 本発明においては、環化反応時に生成す 水および硫化水素を除去しつつ製造を行う 生成する水および硫化水素は、不活性ガス 系内に通気するか、溶媒が沸騰しない範囲 での微減圧吸引で系外へ除去し、水酸化ナ リウム水溶液などのアルカリ性水溶液やエ ノールアミンなどのアミン溶液への吸収、 たは、活性炭、モレキュラーシーブ、酸化 、酸化亜鉛などへの吸着で連続的に捕捉す 。

 本発明において、環化反応は反応温度を3 段階に分けて昇温することが好ましい。1段 で最終的な反応温度まで昇温しても目的物 得ることはできるが、収率の低下を招くの 3段階に分けて昇温することが望ましい。す わち、まず120~140℃の反応温度まで昇温を行 い(1段階目)、この反応温度で0.5時間以上保持 する。ここで反応時間の上限に制限はないが 、製造コストの増大につながるため0.5~8時間 望ましい。続いて160~180℃の反応温度まで昇 温を行い(2段階目)、この反応温度で0.5時間以 上保持する。ここでも反応時間の上限に制限 はないが、製造コストの増大につながるため 0.5~8時間が望ましい。最後に210℃以上の反応 度まで昇温を行う(3段階目)。ここでの反応 度は200℃以上であれば環状4量体は生成する が、より大環状の環状フェノール硫化物[一 式(2)においてm=5~9]の生成量を増やすために 210℃以上の反応温度まで昇温することが望 しい。ここでの反応温度の上限は設定しな が、製造コストの増大につながるため240℃ 下が望ましい。また反応時間は、設定した 応温度と原料であるフェノール化合物の種 によって変化するが、1~30時間に設定するの 望ましい。

 前記環化反応の反応混合物に鉱酸の水溶 を加えて本発明の反応生成物が得られる。 いられる鉱酸には硫酸、塩酸、硝酸、燐酸 硼酸などがあげられるが、本発明を実施す にあたり特に種類は限定しない。鉱酸の量 、一般式(1)で表されるフェノール化合物1モ ルに対し、0.5~3.0モル当量用いるのが好まし 。

 前記反応生成物から通常の分離手段によ て、例えばカラムクロマトグラフ、再結晶 など、またはこれらの組み合わせなどによ て分離・精製できるが、次に示す方法を用 ることで、より効率的、簡便に環状4量体と より大環状の環状フェノール硫化物[一般式(2 )においてm=5~9]とを分離・精製することがで る。

 すなわち、低級アルコールを晶析溶媒と て用いて環状4量体を分離した後、種々の有 機溶媒を晶析溶媒として用いて、より大環状 の環状フェノール硫化物[一般式(2)においてm= 5~9]を個々に分離・精製する方法である。本 明に用いる低級アルコールとは、炭素原子 1~4の直鎖もしくは分岐したアルコールであ 、具体例としては、メタノール、エタノー 、プロパノール、2-プロパノール、ブタノー ルがあげられる。メタノール、エタノール、 2-プロパノールが好ましいが、特にメタノー が好ましい。晶析溶媒として用いられる低 アルコールの仕込み量は、前記反応に使用 た溶媒量の0.2~5倍重量用いるのが好ましく 特に0.5~1.5倍重量用いるのが好ましい。特に 反応混合物100重量部当り低級アルコールを1 00~300重量部用いるのが好ましい。また、晶析 温度は20~80℃が好ましく、特に40~60℃が好ま い。

 本発明において、前記環化反応終了後の 応生成物に鉱酸の水溶液を加えた後に低級 ルコールを添加して環状4量体を晶析させて もよいが、低級アルコールを添加した後に鉱 酸の水溶液を加えて、環状4量体を晶析させ もよい。

 本発明において、低級アルコールを用い 晶析させた環状4量体を分離するときの温度 は任意の温度でよいが、30℃以上で行うのが ましく、特に40~60℃で行うのが好ましい。 状4量体の分離は、通常の分離手段によって 例えば減圧ろ過、加圧ろ過、遠心分離、フ ルタープレスなどによって行うことができ 。また分離した環状4量体をより高純度にす るため、前記低級アルコールもしくは水を用 いた洗浄操作を行ってもよい。

 本発明において、環状4量体を分離した分 離液を冷却すると有機溶媒層が固化する。冷 却温度は、用いた一般式(1)で表されるフェノ ール化合物または用いた低級アルコールの種 類により異なるが、0~25℃が好ましい。分離 固化後の固化物を分離する温度は、任意に 定した温度で構わないが、本発明の効果を 大に発揮するためには、30℃未満で行うのが 好ましく、-10~20℃で行うのがさらに好ましい 。固化物の分離は、通常の分離手段によって 、例えば減圧ろ過、加圧ろ過、遠心分離、フ ィルタープレスなどによって行うことができ る。

 本発明において、分離した前記固化物に種 の有機溶媒を晶析溶媒として添加して、よ 大環状の環状フェノール硫化物[一般式(2)に おいてm=5~9]を個々に分離・精製することがで きる。用いる晶析溶媒の種類、仕込み量、晶 析温度などは、目的とする環状フェノール硫 化物の種類によって種々選択する。
 また分離した環状フェノール硫化物をより 純度にするため、前記低級アルコールもし は水を用いた洗浄操作を行ってもよい。

 本発明において、分離した前記固化物に 析溶媒として添加する有機溶媒の具体例と ては、メタノール、エタノール、アセトン メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キ レン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチル ーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロ ンチルメチルエーテルなどがあげられるが 目的とする環状フェノール硫化物の溶解度 乏しい溶媒であれば特に限定されない。

 以下、実施例をもって本発明を説明する 、これらは本発明をなんら制限するもので ない。本発明の環状フェノール硫化物の純 、組成比などは高速液体クロマトグラフ(以 後、HPLCと略称する)によって分析を行った。H PLCの測定条件は以下のとおりである。装置: 式会社島津製作所製LC-6A、カラム:野村化学 式会社製Develosil ODS-HG-5(内径4.6、カラム長250 mm)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロ ラン/アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=4 50/400/150/2(v/v/v/v)、流速:1.0ml/分、注入量:1μL、 サンプル濃度:1000ppm

実施例1
 攪拌機、冷却管、温度計およびガス導入管 備えた500mlの4つ口フラスコに、4-tert-ブチル フェノール45.1g、単体硫黄19.2g(対4-tert-ブチル フェノールモル比:2倍モル)および水酸化ナト リウム6.0g(対4-tert-ブチルフェノールモル比:0. 5倍モル)を入れ、ここにジフェニルエーテル1 02gを加えて窒素気流中攪拌しながら、130℃ま で昇温し、130℃で1時間反応させた。さらに17 0℃まで昇温し、170℃で1時間反応させた。最 に230℃まで昇温し、230℃で12時間反応させ 。この間、生成する水および硫化水素を反 器に窒素を通じて系外へ押し出し、水酸化 トリウム水溶液に接触させ吸収させること 除去しながら反応を行った。反応混合物を 温まで冷却し、3モル/Lの硫酸水溶液40mlを加 て中和した後、トルエン25mlおよびn-ヘキサ 70mlを加えて結晶を析出させた。粗晶をろ過 し、アセトン80ml、水80mlで2回、アセトン80ml 洗浄した。得られた粗晶(収量41.9g)をHPLCで分 析した結果、一般式(2)においてR1がtert-ブチ であり、mが4である環状4量体がピーク面積 93.8%、一般式(2)においてR1がtert-ブチルであ 、mが8である環状8量体がピーク面積比5.2%を す混合物であることが分かった。

実施例2
 実施例1の条件で同様に環化反応および硫酸 水溶液による中和を行い、得られた中和後の 反応混合物にメタノール79.1gを添加した後に5 5℃に加温し、1時間撹拌して一般式(2)におい R1がtert-ブチルであり、mが4である環状4量体 の粗晶を晶析させた。粗晶を減圧ろ過して得 られた粗晶をメタノール80gで洗浄し、さらに 水80gで洗浄した。得られた環状4量体は40.2gで あり、4-tert-ブチルフェノール基準の収率は74 .4%と高収率であった。HPLCによる分析の結果 純度はピーク面積比98.2%であった。

 得られた環状4量体の構造はIR測定によって 定した。IR(ヌジョール)cm -1 :3243、1475、1407、1393、1267、1246、886、823、740
 続いて、前記した環状4量体を減圧ろ過した 後のろ液を撹拌しながら5℃に冷却して固化 せた。固化物を5℃でろ過し、得られた固化 を10℃の冷水100mlを使って2回洗浄した。固 物にn-ヘキサン60g加え、不溶物として残った 一般式(2)においてR1がtert-ブチルであり、mが8 である環状8量体をろ過によって取り出した 得られた環状8量体は1.3gであり、4-tert-ブチ フェノール基準の収率は4.7%と高収率であっ 。HPLCによる分析の結果、純度はピーク面積 比93.9%であった。
 得られた環状8量体の構造はIR測定によって 定した。IR(ヌジョール)cm -1 :3328、1475、1391、1277、1244、887、819、750。

実施例3
 単体硫黄を対4-tert-ブチルフェノールモル比 で2.5倍モル使用した以外は、実施例1と同様 して、環状フェノール硫化物を製造した。 の結果、環状4量体がピーク面積比95.1%、環 8量体がピーク面積比4.1%の混合物が得られた 。
実施例4
 水酸化ナトリウムを対4-tert-ブチルフェノー ルモル比で0.25倍モル使用した以外は、実施 1と同様にして、環状フェノール硫化物を製 した。その結果、環状4量体がピーク面積比 96.1%、環状8量体がピーク面積比3.0%の混合物 得られた。
実施例5
 水酸化ナトリウムを対4-tert-ブチルフェノー ルモル比で0.75倍モル使用した以外は、実施 1と同様にして、環状フェノール硫化物を製 した。その結果、環状4量体がピーク面積比 94.4%、環状8量体がピーク面積比2.7%の混合物 得られた。

比較例1
 水酸化ナトリウムのフェノールに対するモ 比を1.0とした以外は実施例1と同様にして行 った。生成物をHPLCで分析した結果、一般式(2 )においてR1がtert-ブチルであり、mが4である 状4量体は全体のピーク面積に対してピーク 積比93.1%であり、一般式(2)においてR1がtert- チルであり、mが8である環状8量体は痕跡程 であった。

比較例2
 前記環化反応における最終反応温度を200℃ した以外は実施例1と同様にして行った。生 成物をHPLCで分析した結果、一般式(2)におい R1がtert-ブチルであり、mが4である環状4量体 ピーク面積比97.7%であり、一般式(2)におい R1がtert-ブチルであり、mが8である環状8量体 痕跡程度であった。

比較例3
 実施例2のメタノールをn-ヘキサンに変えた 外は実施例2と同様にして行った。前記一般 式(2)においてR1がtert-ブチルであり、mが4であ る環状4量体をろ過したろ液を5℃に冷却して 、固化せず一般式(2)においてR1がtert-ブチル であり、mが8である環状8量体を取り出すこと はできなかった。

比較例4
 実施例1と同様にして環化反応および硫酸水 溶液による中和を行い、得られた中和後の反 応混合物からカラムクロマトグラフ(担体:シ カゲル1.1kg)によって一般式(2)においてR1がte rt-ブチルであり、mが8である環状8量体を取り 出した。得られた環状8量体は0.72gであり、4-t ert-ブチルフェノール基準の収率は2.6%と低収 であった。また、前記カラムクロマトグラ による精製工程には15.5Lと大量の展開溶媒( ルエン/クロロホルム)を必要とした。
比較例5
 単体硫黄を対4-tert-ブチルフェノールモル比 で1.5倍モル使用した以外は、実施例1と同様 して、環状フェノール硫化物を製造した。 の結果、環状4量体がピーク面積比96.9%、環 8量体がピーク面積比1.6%の混合物が得られた 。

 本発明の方法によれば、一般式(1)で表さ るフェノール化合物を原料として、1工程の 反応で、一般式(2)で表される環状フェノール 硫化物を高収率かつ簡便に製造することが可 能になる。さらに、反応で得られた一般式(2) で表される環状フェノール硫化物の混合物か ら複雑な精製を行うことなく、簡便に単一成 分を分離・精製することが可能になる。