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Patent Searching and Data


Title:
FLUID MACHINE UTILIZING UNSTEADY FLOW, WIND TURBINE, AND METHOD FOR INCREASING VELOCITY OF INTERNAL FLOW OF FLUID MACHINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063599
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a wind turbine, a wind turbine generator, a hydraulic machine, and a fluid machine utilizing unsteady flow in which a flow utilizing a vortex line can be rendered to a stabilized flow, the velocity of wind to flow in can be increased, upsizing is possible and power can be generated with high output, and to provide a method for increasing the velocity of an internal flow. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A wind turbine generator (1) and a method for increasing the velocity of an internal flow of a fluid machine comprises a non-streamline wind tunnel body (2) which can form a stabilized vortex line on the tail flow side by internal and external flows, and an impeller (3) provided in the wind tunnel body (2). The wind tunnel body (2) has a vortex generator (2c) for forming a vortex line on the tail flow side, the vortex generator (2c) is provided with a phase controller (4) for arranging the phase of fluctuating vortex formation in the circumferential direction on the rear end face of the wind tunnel body (2), clarifying the cell structure formed in the circumferential direction of the wind tunnel body and fixing the position of each cell in each of a plurality of divided regions arranged in the circumferential direction on the surface of the wind tunnel body (2), and the velocity of the internal flow is increased by the phase controller.

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Inventors:
OHYA YUJI (JP)
KARASUDANI TAKASHI (JP)
WATANABE KIMIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003187
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KYUSHU NAT UNIV CORP (JP)
OHYA YUJI (JP)
KARASUDANI TAKASHI (JP)
WATANABE KIMIHIKO (JP)
International Classes:
F03D1/04; F03D1/06
Foreign References:
JP2003328922A2003-11-19
JP2007046574A2007-02-22
JP2002213343A2002-07-31
JP3621975B22005-02-23
JP3621975B22005-02-23
Other References:
See also references of EP 2213872A4
Attorney, Agent or Firm:
HAYASHI, Yasushi (Chisan Bldg. Tenjin5-25-15, Watanabedori, Chuo-k, Fukuoka-shi Fukuoka 04, JP)
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Claims:
 内外の流れによって安定した渦列を後流側に形成することができる非流線形をなすケーシングと、前記ケーシング内に設けられた羽根車とを備えた非定常流れを利用した流体機械であって、
 前記ケーシングは後流側に前記渦列を形成するための渦生成体を備え、かつ該渦生成体には前記ケーシング後端面において渦形成がこの後端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、前記ケーシングの周方向に形成されるセル構造を明確化して各セルの位置を前記ケーシングの表面で前記後端面内に複数配置された区画領域にそれぞれ固定化する位相制御体が設けられ、前記位相制御体によって内部流れを増速することを特徴とする非定常流れを利用した流体機械。
 前記位相制御体が、前記ケーシング後端面において渦形成がこの後端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、前記ケーシングの周方向に形成されるセル構造を明確化して各セルの位置を前記ケーシングの表面で前記後端面内に複数配置された区画領域にそれぞれ固定化すると共に、セルが固定化された区画領域間での渦形成優越区画領域の移動を区画領域単位で行い、内部流れを増速することを特徴とする請求項1記載の非定常流れを利用した流体機械。
 前記位相制御体が、流れに任せて前記ケーシングに自然に形成されるセル構造のセル数と同一数又は該同一数の(1/整数)倍となる枚数だけ配設された位相制御板であることを特徴とする請求項1又は2記載の非定常流れを利用した流体機械。
 前記区画領域が、流れに任せて前記ケーシングに自然に形成されるセル構造のセル数と同一個数又は該同一個数の(1/整数)倍となる個数だけ前記位相制御体によって形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の非定常流れを利用した流体機械。
 前記羽根車には、該羽根車の回転力を電気力に変換する発電装置が連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の非定常流れを利用した流体機械。
 内外の大気の流れによって安定した渦列を後流側に形成することができる非流線形をなす風胴体と、前記風胴体内に設けられた羽根車とを備えた風車であって、
 前記風胴体は後流側に前記渦列を形成するための渦生成体を備え、かつ該渦生成体には前記風胴体後端面において渦形成がこの後端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、前記風胴体の周方向に形成されるセル構造を明確化して各セルの位置を前記風胴体の表面で周方向に複数配置された区画領域にそれぞれ固定化する位相制御体が設けられ、前記位相制御体によって内部流れを増速することを特徴とする風車。
 前記位相制御体が、前記風胴体後端面において渦形成がこの後端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、前記風胴体の周方向に形成されるセル構造を明確化して各セルの位置を前記風胴体の表面で周方向に複数配置された区画領域にそれぞれ固定化すると共に、セルが固定化された区画領域間での渦形成優越区画領域の移動を区画領域単位で行い、内部流れを増速することを特徴とする請求項6記載の風車。
 前記位相制御体が、流れに任せて前記風胴体に自然に形成されるセル構造のセル数と同一数又は同一数の(1/整数)倍の枚数だけ配設された位相制御板であることを特徴とする請求項6又は7記載の風車。
 前記渦列を形成するための渦生成体が前記風胴体の後流側端部に設けられたリング状の鍔であることを特徴とする請求項6又は7記載の風車。
 前記羽根車には、該羽根車の回転力を電気力に変換する発電装置が連結されていることを特徴とする請求項6又は7記載の風車。
 非流線形をしたケーシングの内外に流体を流したとき、該内外の流れによって安定した渦列を後流側に形成し、前記渦列の形成による後流側の低圧化で前記ケーシングを通過する内部流れを増速させる流体機械の内部流れ増速方法であって、前記非流線形をしたケーシング後端面において渦形成がこの後端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、前記ケーシングの周方向に形成されるセル構造を明確化して各セルの位置を前記ケーシングの表面で前記後端面内に複数配置された区画領域にそれぞれ固定化し、流れを安定化して、この安定化で前記内部流れを増速することを特徴とする流体機械の内部流れ増速方法。
 渦形成するセルに対応した渦形成優越区画領域の移動を前記区画領域単位で行って安定化し、この安定化で前記内部流れを増速することを特徴とする請求項11記載の流体機械の内部流れ増速方法。
 すべての区画領域を渦形成優越区画領域にするための均等な区画領域にすることを特徴とする請求項11又は12記載の流体機械の内部流れ増速方法。
Description:
非定常流れを利用した流体機械 風車、及び流体機械の内部流れ増速方法

 本発明は、内外部流れの中で運転する非 常流れを利用した流体機械と、大気中の風 よる内部流れを増速して高出力の発電を行 風車、及び流体機械の内部流れ増速方法に する。

 近年、地球温暖化を始めとする地球規模 環境問題、あるいは無尽蔵と錯覚されてき 石油等のエネルギー資源が枯渇し始めた、 いうエネルギー問題が、世界の共通の認識 なりつつある。

 このような状況下、CO 2 を排出しない風力発電が環境問題、エネルギ ー問題の双方を解決するエネルギー生産手段 として脚光を浴びている。しかし、風力発電 装置は大型風車で高効率と言われるものでも 、風車の内部を流れる風の運動エネルギーの 40%程度を電力に変換できるだけである。この 変換量が向上すれば風力発電は更に環境問題 、エネルギー問題において重要な位置を占め ることになる。

 ところで、風力発電の出力は風速の3乗に 比例する。このため、風車が設置されるとき は、風の強い地域が立地点として選ばれ、で きるだけ風を集めて増速させ、発電量を増大 させることに腐心されてきた。従って、風力 発電装置の入口側の集風体、羽根車、さらに はディフューザなどの改良に目が向けられ、 できるだけエネルギー変換効率を向上させる ために対策が講じられてきた。何れも従来の ターボ機械の延長線上で考えられ、対策され たものである。当然に限界があった。

 そこで、本発明者と他の研究者は、こう た風力発電装置に対する常識に挑戦した(特 許文献1参照)。すなわち、高出力発電と言う 的を達成できるなら、従来のように流線形 状、定常流的発想にとらわれる必要はない と言う観点に到達したのである。従来の流 機械は解析容易な流線形の形状、定常流を ースにしており、非流線形形状(ブラフボデ ィ(Bluff-body))、非定常流を使ったターボ機械 存在しないと言っても過言ではない。しか 、非流線形形状、非定常流とはいっても、 定した流れを実現でき、内部流れの流速を 来の流れよりも増加し、流れの改善が図れ のであれば、本来の目的に適う。なお、こ で流線形形状、非流線形形状を定義してお 。流線形形状は流体機械で使用される範囲 レイノルズ数Reで物体表面から流れがほぼ剥 離しないで流れる形状であり、非流線形形状 はこうした形状以外の形状の剥離が発生する 形状のことである。

 そこで、これを実現するため、本発明者 は特許文献1の風力発電装置を提案した。こ の風力発電装置は、筒状の風胴体と、風胴体 の風の流入口近傍に配置した発電用風車とを 設けたもので、風胴体の流出口の口縁の外側 に、風胴体の外側を流れる風が衝突して背後 で強い渦を形成させる風の流れ方向に対して 垂直な平板状の鍔状片を配置し、風胴体の軸 に対する側胴部の傾斜角を5~25°の範囲とする という構成を採用した。鍔状片は風胴体の最 小内径の10~100%幅を有するものである。

 このような鍔状片(いわばリング)を設け 流れに逆らって渦を形成させるなど、従来 流体機械の常識にはないものである。そし 、この鍔状片の背後に形成される渦という は、同心円のリング後流側において内外周 交互に発生する、いわゆるカルマン渦とも うべき渦形成であって、所定のタイミング 交互に(非定常的に)生成され、この渦が風胴 体の流出口付近を低圧化し、圧力差で内部流 れの流速を向上させる。

 この風力発電装置の構成は、風力発電装 あるいは流体機械に新たなジャンル(非流線 形形状を備えた流体機械と言う類型)を創造 たとも言えるべきもので、流出側で生成さ る渦により流体機械近くの流れ全体を制御 て、装置内部へより強い風を引き込み、流 を内壁面から剥離させることなく、この内 面に沿って流出口まで滑らかに流して効率 く加速させるものである。そして、この増 された流れで従来よりも高出力の発電を行 ことができる。

特許第3621975号公報

 しかし、特許文献1の風力発電装置は、風 胴体の流出口の外側に、風胴体の外側を流れ る風が衝突して背後で強い渦を形成させる垂 直な平板状の鍔状片を設けるという萌芽的な 着想を提案したものである。非流線形形状を 備えた流体機械、すなわち非流線形形状の流 体機械、流れのコントロールと言う観点から は、この技術はまだ原石の状態であると言え る。いわば特許文献1の技術は自然の流れに せたところがある。

 今後将来性のある流体機械として更に進 させていくには、もっと非流線形形状周り 流れの性質を追求し、流れの特性を解明し 用性を向上させていく必要がある。このた の第一歩として、非流線形形状周りの渦列 れ(非定常流れ)を十分安定化することが必 である。そして、この技術を開発するのが 難なことは、渦が流体力学において非線形 が最も顕著に現れる現象(予測が難しい)であ ることからも容易に伺える。

 従って、一見、特許文献1の風力発電装置 が従来のターボ機械と似た外観を有していて も、これら従来のターボ機械と本質的に一線 を画するものである。そして、この新たな非 流線形形状をもつ風力発電装置、言い換えれ ば風車、さらに流体機械を今後活かしていく ためには、この流れ、渦の安定化制御技術が 欠かせない。

 しかし、この技術は従来から知られてい 境界層制御技術や整流板とは似て非なるも である。境界層技術や整流板は境界層が物 表面から剥離するのを未然に防ぐためのも であるが、この風力発電装置、風車、さら 流体機械で行う必要があるのは、剥離を防 するのではなく、流れは十分剥離させ、渦 成に伴う流れ全体を秩序化し、安定化する 御である。渦を防止するのではなく、逆に 生させて発生後の流れをコントロールする 術である。

 従って、この技術は従来のような流線形 風胴体(物体)ではなく、非線形形状の物体 しくは渦形成体と組み合わせたときに機能 る技術である。確かに全体が受ける流体抵 は非線形形状の物体の方が大きく、通常は のデメリットが大きいが、他に利用する出 を増加するような別の目的、例えば風力発 装置のように風力エネルギーを電力に変換 るような別の目的がある場合には、その本 の目的を達するために流体機械は目的に応 て使い分けられるべきである。

 さて、非流線形物体の表面流れはレイノ ズ数Reが高くなれば、通常、後流側で剥離 る。しかし、この剥離は流れと直交する周 向の一線で揃って綺麗に起こることはなく 渦形成のスケールで強弱のゆらぎをもち、 のゆらぎ位置の剥離によって強い渦を生成 る。このような渦を伴う流れ全体を安定化 なければ非流線形物体周りの流れは利用で ない。このためゆらぎを制御し、渦列の流 を安定化させる技術が必要とされている。

 また、現在、風力発電装置は大型化を迫 れている。特許文献1の風力発電装置は大型 化するとき風胴体(ディフューザ)が長くなり( 傾斜角が5~25°)、重量が増す。羽根車径が数m 下のマイクロ風車、ミニ風車の場合にはこ でも許容可能な重量であるが、今後開発が 定される発電能力がMW級の大型風力発電装 においては、10m~数十mの羽根車径が予定され 、先に提案したディフューザでは許容できな い重量となる。MW級の大型化に際しては風胴 をコンパクトにすることが避けられない。

 そこで、本発明は、渦列を利用した流れ 安定した流れにすることができ、流入する 体の流速を増し、流路長さが短く、エネル ー変換率が高い非定常流れを利用した流体 械を提供することを目的とする。

 また、本発明は、渦列を利用した流れを 定した流れにすることができ、流入する風 風速を増し、流路長さが短く、大型化が可 で、高出力の発電を行うことが可能な風車 提供することを目的とする。

 さらに、本発明は、渦列を利用した流れ 安定した流れにすることができ、流体機械 外部流れで内部流れの流速を増加させる流 機械の内部流れ増速方法を提供することを 的とする。

 本発明の非定常流れを利用した流体機械 、内外の流れによって安定した渦列を後流 に形成することができる非流線形をなすケ シングと、ケーシング内に設けられた羽根 とを備えた非定常流れを利用した流体機械 あって、ケーシングは後流側に渦列を形成 るための渦生成体を備え、かつ該渦生成体 はケーシング後端面において渦形成がこの 端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、ケー ングの周方向に形成されるセル構造を明確 して各セルの位置をケーシングの表面で後 面内に複数配置された区画領域にそれぞれ 定化する位相制御体が設けられ、位相制御 によって内部流れを増速することを特徴と る。

 本発明の風車は、内外の大気の流れによっ 安定した渦列を後流側に形成することがで る非流線形をなす風胴体と、風胴体内に設 られた羽根車とを備えた風車であって、
 風胴体は後流側に渦列を形成するための渦 成体を備え、かつ該渦生成体には風胴体後 面において渦形成がこの後端面内で周方向 ゆらぐ位相を揃え、風胴体の周方向に形成 れるセル構造を明確化して各セルの位置を 胴体の表面で周方向に複数配置された区画 域にそれぞれ固定化する位相制御体が設け れ、位相制御体によって内部流れを増速す ことを特徴とする。

 本発明の流体機械の内部流れ増速方法は 非流線形をしたケーシングの内外に流体を したとき、該内外の流れによって安定した 列を後流側に形成し、渦列の形成による後 側の低圧化でケーシングを通過する内部流 を増速させる流体機械の内部流れ増速方法 あって、非流線形をしたケーシング後端面 おいて渦形成がこの後端面内で周方向にゆ ぐ位相を揃え、ケーシングの周方向に形成 れるセル構造を明確化して各セルの位置を ーシングの表面で後端面内に複数配置され 区画領域にそれぞれ固定化し、流れを安定 して、この安定化で内部流れを増速するこ を特徴とする。

 本発明の非定常流れを利用した流体機械 よれば、渦列を利用した流れを安定した流 にすることができ、流入する流体の流速を し、ディフューザの長さが短く、大型化が 能になり、エネルギー変換率を高くするこ ができる。

 また、本発明の風力発電装置によれば、 列を利用した流れを安定した流れにするこ ができ、流入する風の風速を増し、流路長 が短く、大型化が可能で、高出力の発電を うことが可能になる。

 そして、本発明の流体機械の内部流れ増 方法によれば、渦列を利用した流れを安定 た流れにすることができ、流体機械の外部 れで内部流れの流速を増加させることがで る。

本発明の実施の形態1における位相制御 板と鍔付きの風胴体を備えた風力発電装置の 斜視図 本発明の実施の形態1における鍔付きの 風胴体を備えた非定常流れを利用した流体機 械の内外部流れ説明図 図1の風力発電装置の縦断面図 様々な形状の風胴体の断面形状を示し 説明図 羽根車のみの場合及びこの羽根車を図4 の(b)-(e)の風胴体に配設した場合の各形状毎 出力係数Cwと周速比λの関係を示す出力性能 線の説明図 本発明の実施の形態1における風力発電 装置の後流側で風速の速度ベクトルの3成分(U ,v,w)から風の主流速度成分Uを差し引いて描か れる流れ場のセル形成(循環)の様子を示した 明図 位相制御板の枚数と最大出力係数Cw max の関係を示す説明図 位相制御板を装着した場合に、装着し い場合と比較して、風胴体の内壁近傍で風 が増加する現象を定量的に示したグラフ 位相制御板を5%高さの鍔の渦生成体に 着したものとしなかったものの出力性能を 較した説明図 本発明の実施の形態1における位相制 板のサイズの影響を示す説明図 (a)本発明の実施の形態1における位相 御板が設けられていない場合の渦生成体の 流側を撮影した流脈線の状態を示す写真、(b )本発明の実施の形態1における位相制御板を けた場合の渦生成体の後流側を撮影した流 線の状態を示す写真 (a)本発明の実施の形態1における位相 御板が設けられていない場合の渦生成体の 面から撮影した流脈線の状態を示す写真、(b )本発明の実施の形態1における位相制御板を けた場合の渦生成体の側面から撮影した流 線の状態を示す写真 (a)数値計算によるある瞬間の鍔高さ5% 渦生成体の流入側の壁面における静圧分布 (b)数値計算による同じ瞬間のこの渦生成体 後流側の壁面の静圧分布 本発明の実施の形態1における風車が 電を行う風力発電装置の内部ブロック構成 構成図 本発明の実施の形態2における回転面 鍔から構成された鍔付きケーシングを備え 潮流発電装置の外観図

符号の説明

 1  風力発電装置
 2  風胴体
 2a  スロート部
 2b  流入口
 2c  渦生成体
 3  羽根車
 4  位相制御板
 10  発電装置
 11  発電機
 12  AC/DCコンバータ
 13  充電装置
 14  バッテリ
 15  DC/AC変換器
 16  電力系統
 17  制御装置
 18  アクチュエータ
 18a  係止部
 19  伝達機構
 20  ギャップ検知器
 22  支持台
 23  ケーシング
 31  潮流発電装置
 h  渦生成体の径方向の高さ
 d  スロート部の直径
 d c  円柱直径
 D  投影幅
 S,S’  セル
 P n   渦形成優越ゾーン

 本発明の第1の形態は、内外の流れによって 安定した渦列を後流側に形成することができ る非流線形をなすケーシングと、ケーシング 内に設けられた羽根車とを備えた非定常流れ を利用した流体機械であって、
 ケーシングは後流側に渦列を形成するため 渦生成体を備え、かつ該渦生成体にはケー ング後端面において渦形成がこの後端面内 周方向にゆらぐ位相を揃え、ケーシングの 方向に形成されるセル構造を明確化して各 ルの位置をケーシングの表面で後端面内に 数配置された区画領域にそれぞれ固定化す 位相制御体が設けられ、位相制御体によっ 内部流れを増速することを特徴とする非定 流れを利用した流体機械である。この構成 よって、渦列を利用した流れを安定した流 にすることができ、流入する流体の流速を し、ディフューザの長さが短く、大型化が 能になり、エネルギー変換率を高くするこ ができる。

 本発明の第2の形態は、第1の形態に従属 る形態であって、位相制御体が、ケーシン 後端面において渦形成がこの後端面内で周 向にゆらぐ位相を揃え、ケーシングの周方 に形成されるセル構造を明確化して各セル 位置をケーシングの表面で後端面内に複数 置された区画領域にそれぞれ固定化すると に、セルが固定化された区画領域間での渦 成優越区画領域の移動を区画領域単位で行 、内部流れを増速することを特徴とする非 常流れを利用した流体機械である。この構 によって、渦列を利用した流れを安定した れにすることができ、流入する流体の流速 増し、ディフューザの長さが短く、大型化 可能になり、エネルギー変換率を高くする とができる。

 本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態 従属する形態であって、位相制御体が、流 に任せてケーシングに自然に形成されるセ 構造のセル数と同一数又は該同一数の(1/整 )倍となる枚数だけ配設された位相制御板で あることを特徴とする非定常流れを利用した 流体機械である。この構成によって、渦列を 利用した流れを最も安定した流れ、若しくは これに準じた流れにすることができ、流入す る流体の流速を増し、ディフューザの長さが 短く、大型化が可能になり、エネルギー変換 率を高くすることができる。なお、言うまで もなく、同一数の(1/整数)倍となる枚数は離 した整数の枚数である。

 本発明の第4の形態は、第1又は第2の形態 従属する形態であって、 区画領域が、流 に任せてケーシングに自然に形成されるセ 構造のセル数と同一個数又は該同一個数の(1 /整数)倍となる個数だけ位相制御体によって 成されることを特徴とする非定常流れを利 した流体機械である。この構成によって、 列を利用した流れを最も安定した流れ、若 くはこれに準じた流れにすることができ、 入する流体の流速を増し、ディフューザの さが短く、大型化が可能になり、エネルギ 変換率を高くすることができる。なお、言 までもなく、同一個数の(1/整数)倍となる個 数は離散した整数の個数である。

 本発明の第5の形態は、第1又は第2の形態 従属する形態であって、羽根車には、該羽 車の回転力を電気力に変換する発電装置が 結されていることを特徴とする非定常流れ 利用した流体機械である。この構成によっ 、流入する流体の流速を増し、出力を電気 ネルギーに変換することができ、電気エネ ギー変換率を高くすることができる。

 本発明の第6の形態は、内外の大気の流れ によって安定した渦列を後流側に形成するこ とができる非流線形をなす風胴体と、風胴体 内に設けられた羽根車とを備えた風車であっ て、風胴体は後流側に渦列を形成するための 渦生成体を備え、かつ該渦生成体には風胴体 後端面において渦形成がこの後端面内で周方 向にゆらぐ位相を揃え、風胴体の周方向に形 成されるセル構造を明確化して各セルの位置 を風胴体の表面で周方向に複数配置された区 画領域にそれぞれ固定化する位相制御体が設 けられ、位相制御体によって内部流れを増速 することを特徴とする風車である。この構成 によって、渦列を利用した流れを安定した流 れにすることができ、流入する風の風速を増 し、大型化が可能で、高出力の発電を行うこ とが可能になる。

 本発明の第7の形態は、第6の形態に従属 る形態であって、位相制御体が、風胴体後 面において渦形成がこの後端面内で周方向 ゆらぐ位相を揃え、風胴体の周方向に形成 れるセル構造を明確化して各セルの位置を 胴体の表面で周方向に複数配置された区画 域にそれぞれ固定化すると共に、セルが固 化された区画領域間での渦形成優越区画領 の移動を区画領域単位で行い、内部流れを 速することを特徴とする風車である。この 成によって、渦列を利用した流れを安定し 流れにすることができ、流入する風の風速 増し、流路長さが短く、大型化が可能で、 出力の発電を行うことが可能になる。

 本発明の第8の形態は、第6又は第7の形態 従属する形態であって、位相制御体が、流 に任せて風胴体に自然に形成されるセル構 のセル数と同一数又は該同一数の(1/整数)倍 となる枚数だけ配設された位相制御板である ことを特徴とする風車である。この構成によ って、渦列を利用した流れを最も安定した流 れ、若しくはこれに準じた流れにすることが でき、流入する流体の流速を増し、大型化が 可能で、高出力の発電を行うことが可能にな る。なお、言うまでもなく、同一数の(1/整数 )倍となる枚数は離散した整数の枚数である

 本発明の第9の形態は、第6又は第7形態に 属する形態であって、渦列を形成するため 渦生成体が風胴体の後流側端部に設けられ リング状の鍔であることを特徴とする風車 ある。この構成によって、リング状の鍔を けるだけで渦列を利用した流れを安定した れにすることができる。

 本発明の第10の形態は、第6又は第7の形態 に従属する形態であって、羽根車には、該羽 根車の回転力を電気力に変換する発電装置が 連結されていることを特徴とする風車である 。この構成によって、実験等をすることなく 簡単に渦列を利用した流れを最も安定した流 れにすることができ、流入する流体の流速を 増し、大型化が可能で、高出力の発電を行う ことが可能になる。

 本発明の第11の形態は、非流線形をした ーシングの内外に流体を流したとき、該内 の流れによって安定した渦列を後流側に形 し、渦列の形成による後流側の低圧化でケ シングを通過する内部流れを増速させる流 機械の内部流れ増速方法であって、非流線 をしたケーシング後端面において渦形成が の後端面内で周方向にゆらぐ位相を揃え、 ーシングの周方向に形成されるセル構造を 確化して各セルの位置をケーシングの表面 後端面内に複数配置された区画領域にそれ れ固定化し、流れを安定化して、この安定 で内部流れを増速することを特徴とする流 機械の内部流れ増速方法である。この構成 よって、渦列を利用した流れを安定した流 にすることができ、流体機械の外部流れで 部流れの流速を増加させることができる。

 本発明の第12の形態は、第11の形態に従属 する形態であって、渦形成するセルに対応し た渦形成優越区画領域の移動を区画領域単位 で行って安定化し、この安定化で内部流れを 増速することを特徴とする流体機械の内部流 れ増速方法である。この構成によって、渦列 を利用した流れを安定した流れにすることが でき、流体機械の外部流れで内部流れの流速 を増加させることができる。

 本発明の第13の形態は、第11又は第12の形態 従属する形態であって、すべての区画領域 渦形成優越区画領域にするための均等な区 領域にすることを特徴とする流体機械の内 流れ増速方法である。この構成によって、 列を利用した流れを最も安定した流れにす ことができ、流体機械の外部流れで内部流 の流速を増加させることができる。
ルギー変換率を高くすることができる。

 (実施の形態1)
 以下、本発明の実施の形態1における非定常 流れを利用した流体機械、とくに風車、中で も発電することのできる風力発電装置につい て、また流体機械の内部流れ増速方法につい て説明をする。説明するのは羽根車の周囲を 覆うケーシングに渦生成体を設けた流体機械 、大気中の流れにおいては風胴体にリング状 の鍔の渦生成体を設けた風車、中でもその一 例である風力発電装置である。

 図1は本発明の実施の形態1における位相 御板と鍔付きの風胴体を備えた風力発電装 の斜視図である。図2は鍔付きの風胴体を備 た非定常流れを利用した流体機械の内外部 れを示し、図3は図1の風力発電装置の縦断 図である。図4は様々な形状の風胴体の断面 状を示すもので、図5は羽根車のみの場合及 びこの羽根車を図4の(b)-(e)の風胴体に配設し 場合の各形状毎の出力係数Cwと周速比λの関 係を示す出力性能曲線を示すものである。(a )に示す*印の性能曲線は羽根車のみの場合 出力性能曲線である。なお、出力係数Cwと周 速比λについては後述する。図6は本発明の実 施の形態1における風力発電装置の後流側で 速の速度ベクトルの3成分(U,v,w)から風の主流 速度成分Uを差し引いて描かれる流れ場のセ 形成(循環)の様子を示した説明図である。

 図7は位相制御板の枚数と最大出力係数Cw max の関係を示す説明図であり、下方の(a)(b)(c)(d) の図は位相制御板とセルの状態を模式的に示 すものである。図8は位相制御板を装着した 合に、装着しない場合と比較して、風胴体 内壁近傍で風速が増加する現象を定量的に したグラフである。図9は位相制御板を5%高 の鍔の渦生成体に装着したものとしなかっ ものの出力性能を比較した説明図、図10は本 発明の実施の形態1における位相制御板のサ ズの影響を示す説明図、図11(a)は本発明の実 施の形態1における位相制御板が設けられて ない場合の渦生成体の後流側を撮影した流 線の状態を示す写真、図11(b)は本発明の実施 の形態1における位相制御板を設けた場合の 生成体の後流側を撮影した流脈線の状態を す写真である。

 さらに、図12(a)は本発明の実施の形態1に ける位相制御板が設けられていない場合の 生成体の側面から撮影した流脈線の状態を す写真、図12(b)は本発明の実施の形態1にお る位相制御板を設けた場合の渦生成体の側 から撮影した流脈線の状態を示す写真であ 。そして、図13(a)は数値計算によるある瞬 の鍔高さ5%の渦生成体2cの流入側(前面)の壁 における静圧分布であり、図13(b)は同じ瞬間 のこの渦生成体2cの後流側(背面)の壁面の静 分布である。さらに、図14は風車が発電を行 う風力発電装置の内部ブロック構成の構成図 である。

 図1、図2、図14に示すように、本発明の実 施の形態1における風車は風力発電装置1であ て、発電機11(図14参照)が連結されている。 車の羽根車3が回転することにより発電機11 駆動して運動エネルギーを電気エネルギー 変換する。風力発電装置1は、風によって回 転される羽根車3と、筒状で全体として非流 形の形状を有するディフューザタイプの風 体2、言い換えれば羽根車3の周囲を囲って内 外流を分離するケーシングとを備えている。 流れの主流と直交する断面内では羽根車2の 端の回転面と風胴体2は間隙を挟んで配置さ 、長手方向に伸びる筒状の形状となる。こ 風胴体2がディフューザタイプにされた理由 は羽根車3先端部分の流速がスロート部2a(最 断面積の部分)で最大となり(図8の挿入図参 )、ノズルタイプよりコンパクトな構成にな からである。スロート部2aより流入側には 風体となる流入口2bが設けられ、流入端(縁) らスロート部2aにかけて流路断面が絞られ 加速される。

 従来の風力発電装置1においては、図4の(a )にみられるように、このスロート部2aが相対 的に流入端(縁)にかなり近寄った間隙で配置 れ、ここに羽根車3が置かれ、後流側のディ フューザ部分が強調された形状をしていた。 ディフューザは長手方向にかなり長い形状と なる。これは例えば図4の各種の風胴体2のタ プのうち図4(a)が示すものである。

 この実施の形態1においてもスロート部2a 後流側は流路断面が拡大され、その端部周 にリング状の渦生成体2cが設けられている この渦生成体2cは風胴体2にその一部として まれる。各種の風胴体2のタイプを図4の(a)~(e )に示す。風胴体2を特定するパラメータは図8 の挿入図に示したようなものになる。風胴体 2の長さLt、スロート部2aから後端面までのデ フューザ部分の長さL、スロート部2aの内径d 、渦生成体2cの高さhであり、風力発電装置1 りの風速Uである。

 風胴体2の後端部分として、この鍔(ここ はリング形状の板)の渦生成体2cを取り付け ことが、風胴体2を全体として非流線形形状 する。すなわち、これによって風力発電装 1をブラフボディ化する。この渦生成体2cは 来のターボ機械にない概念である。そして このようなブラフボディは個体ごとに異な た個々の形状を有し様々な流れを形成する この流れを本発明は渦生成体2cという部材 共通して扱えるように試みるものである。 なわち、渦生成体2cを設けることによって従 来のように流体機械周りの流れを円滑に流し て線形性を保つと言うのではなく、後流側に 、いわゆるカルマン渦とも言うべき強い渦を 形成し、この渦形成を伴う流れの安定化を図 り、この安定性の保持を一般化しようとする 試みである。

 さて、このカルマン渦は、風胴体2の後流側 に非定常的(交互)に生成される。すなわち、 胴体2のスロート部2aの内径に対して渦生成 2cの径方向の高さが十分小さいときは(h/d≪1 )、あるタイミングで、例えば図6のP 1 ~P 12 で示した12個の渦形成ゆらぎスケールの区画 域(これは風胴体2の表面を占める一定の領 であり、以下ゾーンという)にセルS,S’が形 され、かつこの中で仮にP 1 の位置の渦形成が強まったとすると、P 1 のセルSとセルS’の断面位置に強いカルマン 列が形成される。なお、ゾーンは風胴体2の 表面上の部位を示す構成であるが、セルは流 れの中に形成される流れの構造である。風胴 体2の後端面内で流れは複数個にセクション され、その後流側で渦列形成が行われる。 の渦形成が強となるP n (n=1,2,3・・・,12)のセルS,S’に対応するゾーン が渦形成優越ゾーン(本発明の実施の形態1に ける渦形成優越区画領域、以下渦形成優越 ーンという)である。P n の何れかが独立して強くなったり、弱くなっ たりしている。この渦形成優越ゾーンP n が12個のセルの間で入れ替わり、後流の3次元 的渦列を形成する。この渦列の形成によって 、風胴体2の流出口付近は低圧で安定し、圧 差で内部流れの流速を向上させる。この増 により羽根車3は高速回転し、風車として高 ルクの駆動力を出力することができ、風力 電装置1としては高出力の発電を行うことが できる。通常の風力発電装置1の風車では、 胴体2のスロート部2aの内径に対して渦生成 2cの径方向の高さが十分小さいという条件(h/ d≪1)が満たされることが多く、このような渦 形成が起こる。

 これに対し、風胴体2のスロート部2aの内径 対して渦生成体2cの径方向の高さがオーダ に変わらないときは(hとdが同じオーダのと 、h/d~1)、P n (n=1,2,3・・・,12)の各ゾーンの中で風胴体2と ての一断面を構成するゾーンの関連性が強 り(独立性がなくなり)、対角線上のP n とP n+6 (n=1,2,3・・・,12)でセルが固定された一対のゾ ーンで渦形成が同時に起こるようになる。す なわち、両ゾーンで強い渦形成が起こる。こ の渦列の形成を行った場合も、風胴体2の流 口付近は低圧で安定し、圧力差で内部流れ 流速を向上させることができる。

 このように各ゾーンにおける渦形成には、( 1)各ゾーンの独立性が乏しく(言い換えれば渦 列相互の関連性が強い)きわめて安定性が強 渦形成と、(2)独立性があり(バラバラに渦形 する)弱い安定性を示す2レベルの渦形成が る。そして、少なくとも、この弱い安定性 渦形成の場合の渦形成優越ゾーンP n が、各ゾーン間において明瞭でなくなると、 渦列の作用は低下し安定的な渦列、内部流れ とは言えなくなる。すなわち、渦形成優越ゾ ーンP n の入れ替わりがゾーン単位でスムースにいか なくなる。これをコントロールする方法は後 述する。

 なお、図1、2においては、回転体の曲面 リング形状の鍔が接続された形状、すなわ 回転軸に沿った方向に屈曲した断面形状の 生成体2cを備えた風力発電装置1を示してい が、渦形成体2cはリングの平板に限られない 。渦形成体2cは風胴体2を非線形形状にして後 流端位置で効果的に渦形成させるものであれ ばよく、後述するように鍔の形状は外周が周 方向に四角形、六角形などの規則性、周期性 をもつような形状であってもよい。

 図3は風胴体2の渦生成体2cを含まない部分を 曲率半径が比較的小さい2次曲面の回転体と て構成した風力発電装置1を示している。図4 の(d)で示した断面形状の2次曲面ケーシング ある。図4は様々な形状の風胴体2の断面形状 を示し、図5はその(b)-(e)形状の出力係数Cwと 速比λの関係と、(a’)羽根車のみの場合の出 力係数Cwと周速比λの関係を示す。羽根車3が 気中に露出された場合より図4の(b)-(e)で示 たような2次曲面の風胴体2とした方が効果的 であることが分かる。ここで周速比λは羽根 周速rω(m/s)と風速U(m/s)の比(=rω/U)である。こ こにrは羽車半径、ωは角周波数(1/s)である。 お、出力係数Cwは無次元量で、Cw=W/{(1/2)・π U 3 r 2 }である。ここで、Wは発電出力(W)、ρは空気 度(kg/m 3 )、rは羽根車の半径(m)である。

 さて、図1、3に戻って、実施の形態1にお ては、渦生成体2cの表面には位相制御板4(本 発明の実施の形態1における位相制御体)が設 られている。この位相制御板4は、風胴体2 端面で渦形成により流れが後端面内で周方 にゆらぐ位相を揃えて風胴体2の周りに形成 れるセル構造を明確化して、各セルの位置 風胴体2の表面で周方向に複数配置されたゾ ーンに固定化する。そして、渦形成が強くな ったり、弱くなったりする渦形成ゆらぎスケ ールの範囲(ゾーン)単位で渦形成優越ゾーン 切換を行い、すなわち渦形成優越ゾーンの 換を明確化により位置が固定化されるゾー 単位にして安定化する。この位相制御板4は 上述した(1)(2)の2種類の渦形成についてそれ れの環境、セル構造に基づいて配置され、 セルを明確化し位置を固定化する。

 従って、位相制御板4によりゾーン単位で 安定化するというとき、次の2つの場合が存 するのに注意しなければならない。すなわ 、1つ目はこのゾーンをゾーン単位毎に切り える場合であり、言い換えれば、位相制御 4によって各ゾーンをバラバラに安定化する 場合である。また、2つ目は一対のゾーンで り換えを行う場合であり、位相制御板4によ て一対のゾーン(単位としてのゾーンが2つ) 同時に安定化する場合である。何れの場合 なるかは基本的に風胴体2の形状による。

 この位相制御板4は風胴体2の形状が軸対 の場合、渦生成体2cの周方向に所定ピッチで 配設される。以下、位相制御板4を風胴体2に のように配設するかについて具体的に説明 る。

 風胴体2の内外部流は風胴体2の外周、内周 全周で剥離し、下流の周方向の各断面でカ マン渦を形成する。そして、上述したよう 、その断面、断面での渦形成には円周方向 おいて強い渦形成、弱い渦形成とむら(ゆら )が存在する。この強い渦形成、弱い渦形成 が出現する周方向の範囲は、2次元円柱の軸 向の渦形成ゆらぎスケール(3d c ~4d c 、d c :円柱直径)よりやや小さい規模で、風胴体2の 主流から見たドーナツ状の各断面の投影幅を D(鍔高さhを含む)とすると(図8参照)、その円 方向の渦形成ゆらぎスケールは2D~3Dとなる。 これは2次元円柱が円環状に閉じて3次元形状 なっていることに対応し、定量的にも裏付 られる。これについては後述する。最も有 な位相制御板4の枚数である12枚は(図7参照) 胴体2の各断面投影幅Dに対して円周方向に 2Dの円弧範囲に対応し、これよりやや劣る6 の場合は約4Dの円弧範囲に対応する。

 すなわち、枚数をN、風胴体2の内径をdと ると、2次元の場合のアスペクト比(縦横比) 対応する{π・(d+D)・D/D・N}=π・(d+D)/Nが渦形 ゆらぎスケールである。2D~3DはNが12枚の場合 、これはd/hが大体6~12程度の値に相当する。 って、位相制御板4による渦形成ゆらぎスケ ルは、各ゾーンをバラバラに安定化する場 (h/d≪1)と、一対のゾーンを同時に安定化す 場合(hとdが同じオーダ)、の両方に跨ってい ることが分かる。

 図6は風力発電装置1の後流側で渦生成体2c周 囲の外部流れの様子を示したものである。図 示はしないが、渦生成体2c前面の死水領域に 成される流れ、また、渦生成体2cを含んだ 胴体2の内側を通過した内部流れが剥離する れにも同様の循環するセルが形成される。 お、図6に示すセル構造は、非線形形状物体 の周りの円周方向の流れの循環であり、流れ 場の速度ベクトル3成分(U+u,v,w)から主流速度 分Uを差し引いたときに表現されるセル構造 示す。円周方向の各ゾーンP 1 ~P 12 に形成される循環S,S’がこのセル構造の単位 となるセルとなる。

 図13はこのようなセル形成の様子を数値 算によってシミュレーションしたものであ 。この場合は、複数のゾーンの何れかが独 して強くなったり、弱くなったりする場合 あって、安定性が弱い渦形成の場合に相当 るシミュレーションである。図13(a)はある瞬 間の鍔高さ5%の渦生成体2cの流入側(前面)の壁 面における静圧分布を示し、図13(b)は同じ瞬 のこの渦生成体2cの後流側(背面)の壁面の静 圧分布を示している。図13(a)において最も濃 グレーの色は静圧が低い部分、薄い色は静 が高い部分である。計算結果によれば圧力 高低を示す領域があるタイミングで周方向 ランダムに分布していることがみてとれる この分布状態が次の瞬間にはゆらぎによっ 別の分布状態に変化する。図13(a)(b)によれ 、流入側から後流側の両方に静圧分布で同 ような高低の部分が交互に現れており、等 線が閉じていることから流れにはセル、セ 構造が形成されていることが分かる。後端 の後流側と流入側に形成される前後のセル 造によって主流が風胴体2の周りに曲がって れることができる。この数値計算では位相 御体が設置されていないため、各セルの幅 長短ができている。このように数値計算に るシミュレーションからも、風胴体2の後端 面内で周方向にセル構造が形成されることが 分かる。

 渦形成の強弱のゆらぎは、風胴体2の円周方 向にセル単位で移動する。軸対称の風胴体2 渦生成体2cの場合、理論的に考えると周方向 に偏りがあるはずがなく、均等な周期で規則 性をもって移動する可能性が高い。しかし、 現実の物体においては、完全に軸対称で理想 の形状に作製することは難しく、加えて現実 の流れは理想的な一様流とは微妙に異なるた め、12個円環状に並んだゾーンP 1 ~P 12 がそれぞれ独立に、あるいはその一対のセル が独立に強くなったり、弱くなったりしてい る。但し、ある時間帯(タイミング)で強くな のは1個のP n あるいは一断面内に存在する一対のP n とP n+6 である。従って、こうした現実の機械である という事情を加味すると、一方向に回転する 可能性もあれば、ランダムに移動する可能性 もある。

 なお、例えば3次元の正方板や矩形板の渦 生成体2cの場合は、正対する二つの辺を1組と して、計2組で構成される、直交する2つの渦 成優越ゾーンでスイッチングするが、実際 実験を行ってみると、そのスイッチングの 期はランダムである。そして、ここでこの うな図6で図示された流れの状態を形成する 条件は、スロート部2aの内径dに対して渦生成 体2cの径方向の高さhがh/d≪1、あるいはhとdが 同じオーダの長さ、という関係を満たすこと である。

 要するに、ある時間帯t 1 に、図6のP 1 ~P 12 で示した位相制御板4で区画された風胴体2の 画領域、すなわちゾーンの上にセル構造が 成され、仮にP 1 の位置の渦形成が強まってP 1 が渦形成優越ゾーンになったとすると、その 時間帯t 1 の間にセルS、S’の断面のゾーンで強いカル ン渦形成が起こる。次のある時間帯t 2 になると別のP n のセルS、S’の断面位置のゾーンにカルマン が強く形成される。このような渦形成優越 ーンが12個のセル構造(ゾーン)の中で、それ ぞれ各P n でバラバラに、あるいはP n とP n+6 の一対が一緒に入れ替わり、後流の3次元的 列を形成する。渦形成優越ゾーンがP 1 ~P 12 の位相制御板4で区画されたゾーンのセル間 切り替わる順序は、バラバラあるいは一対 場合共に、ある方向に移動、回転(n=1,2,3・・ ・,12の順で順序正しく繰り返し)している可 性もあれば、またはランダム(n=i,k,j,・・・) 移動している可能性もある。

 しかし、本実施の形態1においては、位相制 御板4を使って渦生成体2cの周囲を外周、内周 に跨って図6のP 1 ~P 12 の区画領域に分割し、セル構造の各セルをそ れぞれの独立にしている。このため円周方向 に存在する各セルが位相制御板4を越えて変 し、影響を及ぼすことがなく、位置が固定 され、互いの循環(速度ベクトルの3成分(U+u,v ,w)から風の主流速度成分Uを差し引いて描か る流れ場のセル)が明確化し、この明確化さ たセル単位でカルマン渦の形成位置を移動 せることができ、流れ全体を強制的に安定 させる。位相制御板4を設けない場合、セル の位置は変動して大きさも伸縮し、位相制御 板4を設けた場合と比較するとゾーンのスイ チングのタイミングや順序も変わったもの なる。後流に形成されるカルマン渦もセル 変動の影響で安定性に欠けたものとなる。 形成優越ゾーンが明瞭でなくなると、渦列 作用は低下し安定的な渦列、内部流れとは えなくなる。位相制御板4はセルとゾーンを 応付け、セルの位置を安定化、固定化する これが位相制御板4を設けた利点である。な お、従来の整流板はこうしたセル構造やカル マン渦とは関係なく流れを単に整流し円滑に 流れるようにするだけのものである。

 さらに、非線形形状の物体表面の流れに けるゆらぎについて補足すると、強い渦形 、弱い渦形成というゆらぎは2次元円柱でも 発生するが、風胴体2はいわば2次元円柱が円 状に閉じて3次元形状になっているものであ るから、この形状に起因して3次元の流れの では渦形成ゆらぎスケールがやや小規模に る。すなわち、2次元の無限長の物体のゆら と違って3次元の場合遠心力などが影響して 不安定さが増し、渦形成ゆらぎスケールが小 さくなる。従って、ゆらぎスケールに関して はその形状の変化に伴って差があるものの、 非線形形状の物体表面の流れは、主流Uの方 に関して軸対称な物体であっても周方向に 線で揃って同時に剥離することはなく、周 向にセル単位で強弱が生じ、ゆらぐことに る。そして、実施の形態1のようにセルを分 することのない位相制御板4を設けると、各 セルが円周方向に位置が不安定になることが なく、強さも固定化されたものとなり、セル 同士を明確化し、この明確化し安定化された セル単位毎にカルマン渦の形成位置を移動さ せる。これによって流れの場全体が安定化す る。また、全ゾーンを渦形成に関して均等に 形成すると、各ゾーンが同等に渦形成優越ゾ ーンになる機会が高まり、渦列を利用した流 れを安定させることができる。

 ところで、位相制御板4の数、ゾーンの数 を自然の流れに任せて形成されるセルの数よ り多くすると、本来のセルを強制的に無理や り分割することになってしまい、後流側の渦 もそれほど強い渦にはならない。渦形成優越 ゾーンも目立たなくなる。位相制御板4の数 ゾーンの数をこのセルの数より少なくした 合も、1個のゾーンの中に複数個のセルが存 することになり、互いのセルが伸縮、移動 影響し合って安定化の作用を弱め、この場 も同一数の場合よりも強い渦にならない。 7(a)(b)(c)(d)はこの様子を模式的に画いたもの である。従って、非流線形風胴体の形状に従 って自然に形成されるセルに等しい位相制御 板4の数とするのが最も効率的となる。なお 風力発電装置1との関係で言えば、位相制御 4は板である以上材料を選ぶことによって風 力発電装置1の構造面で間接的に強度を増す とができる。位相制御板4を設けることで風 体2の構造が補強されれば、今後期待の大き い大型風車実現の一助となり、実現を促進す ることができる。

 風力発電装置1の周りの流れは基本的に自 然風などの不規則な流れである。位相制御板 4はこの不規則な流れに対して強制的に安定 たセル形成を促す。すなわち、位相制御板4 、もとのブラフボディ状態で潜在的に存在 るセル構造を明確化し、流れを安定化させ 風速を増す。

 ここで実際に風胴体2周りの流れの観察を 行うと、位相制御板4によって仕切られた各 ーンでは2次元物体のように渦形成の位相が っているのが分かる(図11(b)の写真を参照)。 このように位相が揃う結果、風胴体2の背後 はより強い渦形成がなされ(図12(b)で分かる うに背後での巻き込みが強い)、付近の静圧 より低圧化する。つまり、ある時間帯に、 胴体2の円周方向で、強い渦形成をしている ゾーンとか、弱い渦形成をしているゾーンと かの、ばらつき、偏りがなくなり、常時各ゾ ーンで渦形成が安定化することができ、位相 制御板4がない場合と比較し、より強い渦形 がより多くの時間に行われ、風胴体2背後は り低圧化される。この構成によって、渦列 利用した流れを安定した流れにすることが き、流入する流体の流速を増し、ディフュ ザの長さが短く、大型化が可能になり、エ ルギー変換率を高くすることができる。

 また、図2のような位相制御板4を設けな 位相制御体の場合も考えられる。すなわち 軸対称の非流線形形状の場合、このブラフ ディ固有のh/dを選択するとともに、各ゾー を区画することができる誘因部材、例えば 形成体2cの周方向に規則性、周期性を有する 形状、すなわち周方向に周期的に出っ張り部 分が形成されるような多角形状、あるいは周 方向に三角関数で変化する形状、突起の周期 的な分布などの構成を付与することで、区画 領域が形成され、セルS、S’の位置や大きさ 渦形成優越ゾーンの切り換わりが安定化、 則化し、位相制御板4を設けた場合と同様の 作用効果をもたせることもできる。渦形成体 2cに形成された規則性のある形状が位相制御 を構成し、この誘因部材によって区画され 各領域が渦形成のためのゾーンになり、渦 成優越ゾーンが形成され、位相制御板4と同 様にセル構造を明確化できる。

 以上説明したことは風力発電装置1に限ら ず、内外部を流れる流れの中で運転する渦列 を利用した流体機械でも同様である。最適の セルS、S’の数、最適の位相制御板4の位置を 選択することにより、流れは安定化し、風速 を増し、大型化が可能で、高出力の発電を行 うことが可能になる。

 ところで、図8は風胴体2内の風速分布を 測したもので、スロート部2aの直径dの10%の さhをもつ鍔(渦生成体2c)が図4の(d)で示した 率半径が比較的小さな断面形状をもつ2次曲 の回転体ケーシングの後端に取り付けられ 風胴体2で測定を行ったものである。そして 、この風胴体2に対して外部の流れとして風 Uが4(m/sec)の風と、8(m/sec)の風を送風して風速 分布を計測した。風速分布のZ(mm)は、図8に示 したようにスロート部2aの内周面から軸中心 向かう高さである。

 この図8によれば、外部の流れが4(m/sec)、8 (m/sec)の何れにおいても、位相制御板4を設け 方がスロート部2aにおいて数%増速しており 特に内周面ごく近傍での風速の増加が著し 。これは安定化され、強化された渦による き込みの作用と考えられる。そして、外部 流れの風速Uが大きくなるほど平均流速が増 すと共に、羽根車3の先端付近の流速が中央 り大きくなっているのが分かる。

 次に、位相制御板4の枚数Nが及ぼす影響、 なわち位相制御板4の数Nを増減したとき、平 均流速、羽根車3先端の流速が増減し出力係 Cwが増減するものか否か、について実験結果 を説明する。図7は位相制御板4の枚数Nと最大 出力係数Cw max の関係を示すものである。上述したように出 力係数Cwは無次元量で、Cw=W/{(1/2)・πρU 3 r 2 }である。最大出力係数Cw max はこのCwの最大値である(図5のλ=4付近参照)。 実験は、上記10%の高さhをもつ鍔が図4の(d)で した曲率半径が比較的小さな断面形状の回 面ケーシングに取り付けられた風胴体2で行 い、風速は何れも5(m/sec)で行った。

 この実験結果をみると、位相制御板4の枚数 Nが12枚のとき、最大値Cw max =0.723を示し、N=6枚のときCw max =0.72である。位相制御板4がない場合と、N=24 のときはCw max =0.7であり、N=36枚のときCw max =0.701であった。この結果は、上記h/d=0.17でh/d 1の関係を満たすときのものであるが、自然 な流れでセルが形成される12個に相当する枚 Nを12枚としたとき、最も高効率で高出力と ることを示す。これを模式的に表示したも が図7(c)である。このとき、内部の流れは増 速され、安定した流れとなる。

 枚数Nを6枚(1/2)にした場合は、セルを1個 ゾーンに対して2個ずつ調整することになり 1個のゾーンの中に複数個のセルが存在する ため互いのセルが影響し合ってその分だけ不 安定になり、渦形成優越ゾーンは枚数Nが12枚 の場合と比較すると、少し強弱が明瞭でなく なる。これを模式的に表示したものが図7(b) ある。しかし、位相制御板4を設けない場合 比較するとこの場合も相対的に高出力であ 。そして、1個のゾーンに収容されるセルの 個数が2個より多くなって、1個のゾーンにm個 (m=3,4,・・)が収容されるような場合、すなわ 位相制御板4の枚数が(1/m)倍の枚数(当然に整 数)になるような場合にはさらに出力が低下 る。渦形成優越ゾーンは次第に明瞭でなく る。そして、自然の流れに任せることによ てセルの数mが最大になり、風胴体2全体でゾ ーンが1個になるまで(言い換えれば図7(a)のよ うに位相制御板4を設けない場合になるまで) 力は減少する。

 逆に、枚数Nがセルの数よりも増加すると、 図7(d)の破線で示したように本来自然に形成 れるセルが無理やり複数に分割されること なり、流れは円滑になっても、渦列を制御 るための渦形成優越ゾーンの存在、機能を 没させ、出力は増加しない。これがN=24枚、3 6枚の場合に、N=0枚とほぼ近い最大出力係数Cw max を示した理由である。要するにセルが不自然 にならないようにし、渦形成優越ゾーンが位 相制御板4による規制で安定して切り替わる うにすればよい。位相制御板4を設けること セル構造が明瞭化し、固定化することがで るが、位相制御板4の枚数Nを所定の枚数に ったり、あるいは形状を変えたりすること どで、明瞭化した渦形成優越ゾーンの移動 ゾーン単位で安定して行うことができる。 に言えばブラフボディに対して、渦形成優 ゾーンの移動をゾーン単位で安定して行う うに位相制御板4を設けることが望まれる。

 なお、以上の実験結果はh/d≪1の風胴体2 行ったものであるが、正方形、六角形、八 形等の多角形リングの鍔の場合などでも、 対称であれば基本的に同様である。この場 は位相制御板4を設けない位相制御体となる h/dを選択するとともに、各ゾーンを形成す 渦形成体2cの周方向に規則性、周期性を与 れば、この場合もセルを明確化し、明瞭化 た渦形成優越ゾーンの移動をゾーン単位で 定して行うことができる。

 図9は周速比λと出力係数Cwの関係を位相 御板4の有無で比較したものである。渦生成 2cはスロート部2aの直径の5%の高さをもつ鍔( リング)で、後述する通常サイズの位相制御 4を装着したものと、これを装着しなかった のを比較した。風速は8(m/sec)である。これ よると、位相制御板4無しの場合λ=3.6程度で 力係数Cwが大幅に低下するが、位相制御板4 有りの風力発電装置1はこの位置で若干の低 下は見られるものの全体的に4%程度の出力係 Cwの増加が見られ、λ>4でその効果が顕著 ある。

 続いて、位相制御板4のサイズの影響を調 べた。図10はサイズの異なる2種類の位相制御 板4を5%高さの鍔(リング)に装着したものと、5 %高さの鍔(リング)だけのものを比較したもの である。風速は8(m/sec)である。位相制御板4は 12枚等ピッチで装着した。

 この位相制御板4の一方(以下、通常サイ )は、風胴体2の長さLtの1.46倍長さで、後流側 に0.36倍の長さ分延長された長さをもち、リ グの高さhの2.0倍程度の高さに形成された断 イチジク状の形状を有しており(図1,3参照) 風胴体2の後流側で渦生成体2cへ挿入可能な 込みが設けられている。実験したもう一方 種類は拡大サイズであり、風胴体2の長さLt 1.8倍長さで、後流側に0.55倍長さ分延長され 長さをもち、リングの高さhの3.0倍程度の高 さに形成された断面イチジク状の形状で、同 じく渦生成体2cへ挿入可能な切込みが設けら ている。なお、これらの位相制御板4の概観 形状は図1,3に示すとおりである。

 さて、図10は、スロート部2aの直径dの5%の 高さhをもつ鍔(リング)を備えた風胴体2で、 常サイズの位相制御板4、拡大サイズの位相 御板4をそれぞれ12枚装着した風力発電装置1 と、位相制御板4を装着しなかった風力発電 置1を比較した実験結果である。

 これによると、位相制御板4無しの場合、図 9と同様にλ=3.6程度で出力係数Cwが大幅に低下 するが、通常サイズの位相制御板4を設けた 力発電装置1はこの位置で落ち込みがない。 お、図9で実験した場合と比較してλ>5以 では出力係数Cwにさほど差はみられなかった 。しかし、最大出力係数Cw max をもつλ=4付近で出力係数Cwに0.03に近い差が じている。これは実用上きわめて重要であ 。そして、拡大サイズの位相制御板4を設け 風力発電装置1はこのλ=3.6付近で落ち込みが ないだけでなく、通常サイズの位相制御板4 り出力係数Cwが0.02程度向上し、これは通常 イズより2.2%の出力が向上したことを意味す 。

 以上、位相制御板4の作用について実験結 果などに基づいて説明したが、図11,12は位相 御板4を設けた非流線形をなす風胴体2の流 を実験的に可視化した写真である。図11(a)は 位相制御板4が設けられていない場合の渦生 体2cの後流側から撮影した流脈線(ストリー ライン)の状態を示す。綺麗に流れてきた流 が渦生成体2cの背後に流れ込み、渦を形成 ているのが分かる。しかし、渦の状態は明 とは言えない。これに対して、図11(b)の位相 制御板4を設けた場合の風胴体2は、綺麗に流 線が揃い、上下2枚の透明な位相制御板4の の右端側(後流側)に渦の固まりが形成されて いるのが分かる。なお、中央の棒は支持のた めのもので関係がない。

 図12(a)は位相制御板4が設けられていない 合のリングの渦生成体2cの側面から撮影し 流脈線の状態を示す。位相制御板4の上下で れが剥離し、後流側に渦列を形成している そして、図12(b)は位相制御板4を設けた場合 リングの渦生成体2cの側面から撮影した流 線の状態を示す。図12(b)の方が風胴体2の背 で強い渦の巻き込みを示し、後流側で強く 定した渦列を形成しているのが分かる。

 ところで、以上主として風車、とくに風 発電装置1の流体力学的な側面の構成につい て説明したが、以下発電装置としての側面に ついて説明する。図14に示すように、実施の 態1の風力発電装置1は風車の羽根車3の回転 が発電機11に伝達され、発電機11を駆動して 発電を行い、外部に電気を供給する。なお、 風車は発電装置付きのものに限られない。回 転力は発電機11を介すことなく直接出力され よい。例えば、ここでは図示はしないが、 動機として、回転軸をポンプの駆動軸に連 して揚水に利用したり、ガスを圧縮して畜 して畜圧器内にエネルギーを蓄えたり、攪 機を駆動して温水にして提供したりするこ ができる。これらも風車であり、流体機械 ある。

 さて、風力発電装置1の場合、図14に示す うに羽根車3の回転力は回転軸、伝達機構を 介して発電装置10内の発電機11に伝達され、 電機11で発電される。発電機11には例えば誘 発電機等を用いればよい。発電機11で発電 れた電気は交流であるため、これがAC/DCコン バータ12に供給されて直流電力に変換される 変換された直流電力は充電装置13において ッテリ14に充電される。このバッテリ14は非 用電源として利用できる。また、AC/DCコン ータ12からの直流電力はDC/AC変換器15によっ 再び所定の電力となるように電力調整され 交流電力に変換され、交流電源として電力 統16に送られる。なお、発電装置10の構成は 上説明したものは一例であり、これに限ら るものではない。

 次に、制御装置17の動作について説明す 。発電機ロータの回転数を検出するセンサ 発電機11の回転数を検出するとともに、ギャ ップ検知器20で羽根車3と風胴体2の内周面と 間の間隙を検出する。制御装置17はこの回転 数を基に過回転か否かを判定し、過回転と判 断すると、出力を低下するためアクチュエー タ18を駆動し、間隙を広げる方向へ風胴体2を 動かし、最適位置まで軸方向に移動させる。 これでも過回転の場合は、変速/クラッチ機 を有する伝達機構19で回転数を下げる。逆に 、羽根車3の回転数が小さい場合は、その間 をアクチュエータ18によって最大出力が得ら れる最適な隙間に制御する。この間隙は空気 力学的に発生する騒音にも影響し、チップボ ルテックスを砕き、最大出力が得られるとき には騒音も小さくすることができる。羽根車 3を可変ピッチにして制御装置17で強風時には ピッチを変更することもできる。

なお、アクチュエータ18は必須の部材では い。風胴体2を移動させない場合は制御装置 17による出力の制御に委ねて出力を電気的に 理することもできる。そして風胴体2は支持 台22の支持柱に設けられた係止部18aに、羽根 3の軸方向にスライド可能に支持される。ア クチュエータ18を伸縮することで風胴体2を軸 方向にスライドさせる。風胴体2を移動させ い場合は風胴体2を支持柱に固定すればよい

 AC/DCコンバータ12からDC/AC変換器15に導か る電圧/電流は図示しない電圧/電流センサに よって電圧/電流が検出され、この信号が制 装置17に入力される。制御装置17はこの検出 号を基にDC/AC変換器15を制御し、電圧を一定 にして変動しないように制御する。この調整 後の電力は電力系統16に供給される。

 ところで、実施の形態1の風力発電装置1 、支持台22を地面に対して回動自在にして設 置している。この理由は、風車は流れの作用 でできるだけ抵抗を減らす方向へ流体力が作 用し、常に風上を向くように回転する。この ため、実施の形態1の風車においては、この うな単純な構成ながら、その向きを最大出 が得られる方向へ自動的に調整することが きる。なお、微小な流れの変動もあるので これに対して過度に追従しないように、変 による回転の機械的抑制機構を設けたり、 御装置17によって過度な追従を抑制する抑制 機能を実行させたりするのもよい。

 このように本発明の実施の形態1における 風車は風力発電装置1であるため、羽根車3の 転力が発電機11に伝達され、発電機11を駆動 して発電し、外部に電気を供給する。風胴体 2の内外を流れる流れを使って渦列を形成す 流れを形成し、この流れを安定したものに ントロールし、内部流れの風速を増し、高 力の発電を行うことができる。また、ディ ューザの長さを短くでき、これにより数m以 のマイクロ風車、ミニ風車だけでなく、発 能力がMW級の大型風力発電装置用の風車に で大型化が可能になり、高エネルギー変換 を得ることができる。構造上も補強になる そして、実施の形態1における流体機械の内 流れ増速方法によれば、渦列を形成する流 を安定したものにすることができ、流体機 の外部流れで内部流れの風速を増加させる とができる。

 (実施の形態2)
 以下、本発明の実施の形態2における非定常 流れを利用した流体機械、とくに水車等の水 力機械、中でも潮流で発電することのできる 潮流発電装置について説明をする。図15は本 明の実施の形態2における回転面と鍔から構 成された鍔付きケーシングを備えた潮流発電 装置の外観を示す。

 図15に示すように、潮流発電装置31は海流 の流れの激しい場所に支持台22が回動自在に 底に設置される。複数台を主流に対して直 方向に横一列に並べて設置する。羽根車の さは海面の影響をあまり受けない高さに設 するのがよい。満潮時と干潮時とで海流の きが変わる場合、潮流発電装置31は回転に り流れの作用で流れの方向へ向くことがで る。小刻みな回転を防ぐため制御装置17で回 転にロックをかけるのもよい。この潮流発電 装置31の構成は図14の風力発電装置1の構成と 本的に変わりがないので、その構成は図14 参照することとし、説明の詳細は図13の説明 に譲る。ただ、実施の形態1の風胴体2の説明 ケーシング23の説明に対応する。

 また、潮流発電装置31は海底に設置する でなく、海面上で支持台22を吊下げる方式も 可能である。潮流発電装置31においてもアク ュエータ18を設けてもよいし、ケーシング23 を発電機11まわりなどに支持するのでもよい さらに、発電装置10の要部やアクチュエー 18などをすべて海面上に設置することもでき る。

 このように本発明の実施の形態2における 流体機械は潮流発電装置31であるため、潮流 よる羽根車3の回転力が発電装置10を駆動し 発電し、外部に電気を供給できる。実施の 態2における流体機械も、ケーシング31の内 を流れる流れを使って2次元的あるいは3次 的に渦列を形成し、この流れを安定した流 にコントロールし、内部流れを増速し、高 力の発電を行うことができる。しかも、ケ シング31は構造上の補強にもなるものである 。

 なお、以上説明した風車、水力機械など 流体機械のほかにも、本発明の非定常流れ 利用した流体機械の内部流れ増速方法は利 することができる。例えば、大気中でジェ トエンジンの性能を試験する性能試験装置 おいて、ナセルの周囲にケーシングを設け 内部のロータを回転させ、ジェットエンジ の吸気口に吸い込まれる風量を増加させる とができる。このような場合も、これによ て高性能試験装置が得られる。

 本発明は、風力発電装置や潮流発電装置 どのケーシングの内外を流れる流れの中で 転する流体機械に適用できる。