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Patent Searching and Data


Title:
FUEL CELL SYSTEM AND METHOD FOR STARTING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072416
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for starting a fuel cell system which can surely prevent oxidization/degradation of an anode by performing reformation from an early stage. The method is used for starting a fuel cell system having a reformer for reforming a carbon hydride-based fuel and a high-temperature type fuel cell. [A] M flow rates Fj are preset as a fuel flow rate, wherein M is an integer not smaller than 2 and 0 < F1, Fj < Fj+1 (wherein j is an integer not smaller than 1 and not greater than M-1), and FM is a fuel flow rate upon start completion. [B] The temperature of a reforming catalyst layer is increased while measuring the temperature of the reforming catalysis layer. [C] A fuel flow rate FR capable of reformation is calculated according to the measured temperature. [D] F = 0 if FR < F1 and F = Fj if Fj ≤ FR < Fj+1 (wherein j is an integer not smaller than 1 and not greater than M-1), and F = FM if FM ≤ FR. [E] If F exceeds the current value of the fuel flow rate, the fuel of the flow rate F is supplied to the catalyst layer and the reformed gas obtained by reformation is supplied to a fuel cell anode. The steps [C] to [E] are repeated until the fuel supply amount to the catalyst layer reaches FM. The fuel cell system may be appropriately applied to the method.

Inventors:
HATADA SUSUMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071327
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
November 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
HATADA SUSUMU (JP)
International Classes:
H01M8/04; C01B3/38; H01M8/06; H01M8/12
Domestic Patent References:
WO2006090685A12006-08-31
Foreign References:
JP2002201002A2002-07-16
JP2006190605A2006-07-20
JP2005203165A2005-07-28
JP2002298889A2002-10-11
JP2005158466A2005-06-16
JP2006190605A2006-07-20
JP2004319420A2004-11-11
Other References:
See also references of EP 2233431A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Teruo et al. (16th Kowa Bldg.9-20, Akasaka 1-chome,Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 炭化水素系燃料を改質して水素含有ガスを製造する、改質触媒層を有する改質器と、該水素含有ガスを用いて発電を行う高温型燃料電池とを有する燃料電池システムの起動方法であって、
 a)炭化水素系燃料の流量としてM個の流量F j を予め設定する工程、
ただし、
Mは2以上の整数であり、
0<F 1 であり、
F j <F j+1 (ここでjは1以上M-1以下の整数)であり、
jがMの場合のF j であるF M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量であり、
 b)改質触媒層の温度を測定しつつ、改質触媒層を昇温する工程、
 c)測定された改質触媒層の温度に基づいて、改質触媒層において改質可能な炭化水素系燃料の流量F R を算出する工程、
 d)F R <F 1 であればF=0、
   F j ≦F R <F j+1 であればF=F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)、
   F M ≦F R であればF=F M
とする工程、および、
 e)該Fが、炭化水素系燃料流量の現在値を超えた場合に、流量Fの炭化水素系燃料を改質触媒層に供給して改質し、得られた改質ガスを高温型燃料電池のアノードに供給する工程
 を有し、
 炭化水素系燃料の改質触媒層への供給量がF M になるまで、前記工程c~eを繰り返すことを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
 f)工程eで行う改質に必要な流量の、スチームおよび/または酸素含有ガスを、工程eに先だって改質触媒層に供給する工程
をさらに有する請求項1記載の方法。
 前記改質触媒層として、水蒸気改質反応を促進可能な改質触媒層を用い、
流量F M の炭化水素系燃料を改質する際に、水蒸気改質を行う請求項1または2記載の方法。
 前記改質触媒層として、水蒸気改質反応および部分酸化改質反応を促進可能な改質触媒層を用い、
 M-1個の流量F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)のうちの少なくとも一つの流量の炭化水素系燃料を改質する際に、部分酸化改質または自己熱改質を行う請求項3記載の方法。
 前記改質触媒層として、燃焼を促進可能な改質触媒層を用い、
 工程bにおいて、
 g)炭化水素系燃料を改質触媒層に供給して燃焼させる工程
を行う請求項1から4の何れか一項記載の方法。
 h)工程gに先だって、測定された改質触媒層の温度に基づいて、改質触媒層において燃焼可能な炭化水素系燃料の流量を算出する工程
をさらに有する請求項5記載の方法。
 i)工程gに先だって、工程gで行う燃焼に必要な流量の、酸素含有ガスを改質触媒層に供給する工程
をさらに有する請求項6記載の方法。
 改質触媒層をガス流通方向に沿って分割した複数個の分割領域を考え、
 工程bにおいて、改質触媒層の、ガス流通方向に相異なる位置にある複数点の温度を測定し、
 工程cにおいて、該複数点の温度に基づいて、該複数個の分割領域のうちの少なくとも一部において改質可能な炭化水素系燃料の流量を算出し、該算出した流量の合計値をF R とする
請求項1から7の何れか一項記載の方法。
 炭化水素系燃料を改質して水素含有ガスを製造する、改質触媒層を有する改質器と、該水素含有ガスを用いて発電を行う高温型燃料電池とを有する燃料電池システムであって、
 I)炭化水素系燃料の流量としてM個の流量F j を予め設定する工程aを行なうための手段、
ただし、
Mは2以上の整数であり、
0<F 1 であり、
F j <F j+1 (ここでjは1以上M-1以下の整数)であり、
jがMの場合のF j であるF M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量であり、
 II)改質触媒層の温度を測定しつつ、改質触媒層を昇温する工程bを行なうための手段、
 III)測定された改質触媒層の温度に基づいて、改質触媒層において改質可能な炭化水素系燃料の流量F R を算出する工程cを行なうための手段、
 IV)F R <F 1 であればF=0、
   F j ≦F R <F j+1 であればF=F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)、
   F M ≦F R であればF=F M
とする工程dを行なうための手段、
 V)該Fが、炭化水素系燃料流量の現在値を超えた場合に、流量Fの炭化水素系燃料を改質触媒層に供給して改質し、得られた改質ガスを高温型燃料電池のアノードに供給する工程eを行なうための手段、および
 VI)炭化水素系燃料の改質触媒層への供給量がF M になるまで、前記工程c~eを繰り返すための手段
をさらに有することを特徴とする燃料電池システム。
Description:
燃料電池システムとその起動方

 本発明は、灯油等の炭化水素系燃料を改 して得た改質ガスを用いて発電を行う燃料 池システムに関する。

 固体酸化物電解質形燃料電池(Solid Oxide F uel Cell。以下場合によりSOFCという。)システ には、通常、灯油や都市ガスなどの炭化水 系燃料を改質して水素含有ガス(改質ガス) 発生させるための改質器と、改質ガスと空 を電気化学的に発電反応させるためのSOFCが まれる。

 SOFCは通常、550~1000℃の高温で作動させる

 改質には水蒸気改質(SR)、部分酸化改質(PO X)、自己熱改質(ATR)など種々の反応が利用さ るが、改質触媒を用いるためには、触媒活 が発現する温度に加熱する必要がある。

 このように、改質器もSOFCも起動時に昇温 する必要がある。特許文献1には水蒸気改質 行うSOFCシステムを効率的かつ短時間で行う とのできるSOFCシステムの起動方法が記載さ れる。

 なお、水蒸気改質は非常に大きな吸熱反応 あり、また、反応温度が550~750℃と比較的高 く、高温の熱源を必要とする。そのため、SOF Cの近傍に改質器(内部改質器)を設置し、主に SOFCからの輻射熱を熱源として改質器を加熱 る内部改質型SOFCが知られている(特許文献2)

特開2006-190605号公報

特開2004-319420号公報

 一般に、SOFCシステム起動時にSOFCを作動 度まで昇温する際、セル燃料極の酸化劣化 防止するため、予め水素などの還元性ガス アノードに流通させることが行われている

 昇温時の水素供給源としては、水素ガス ンベ、水素吸蔵・吸着・発生材、電解水素 ど種々のものが考えられるが、民生用にシ テムを普及させることを考えると、燃料改 ガスを供給源とするのが望ましい。

 起動時に改質器で燃料を改質し、得られ 改質ガスをアノード劣化防止のためにSOFCへ 供給する場合、例えば間接内部改質型SOFCの 合は、内部改質器からの伝熱によってSOFCも 時に加熱され、その結果アノードが酸化劣 点以上に上昇し、アノードが例えば空気や 蒸気などの酸化性ガス雰囲気下にあった場 には、アノードが酸化劣化する場合がある よって極力早期から改質ガスを製造するこ が望まれる。

 また一方で、炭化水素系燃料が所定の組 まで改質されず、未改質分がSOFCに供給され てしまうと、特に炭化水素系燃料として灯油 などの高次炭化水素を用いた場合には、炭素 析出による流路閉塞やアノード劣化を引き起 こすこともある。このため、起動時において も確実に改質する方法が必要となる。

 このように、起動時において極力早期か 改質ガスを製造することが望まれる一方、 実に改質を行うことが望まれる。これはSOFC に限らず溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)等の高温 型燃料電池を有する燃料電池システムについ ても言えることである。

 本発明の目的は、改質触媒層を有する改 器と高温型燃料電池とを有する燃料電池シ テムを起動する方法において、早期から確 に改質を行い、アノードの酸化劣化をより 実に防止することのできる方法を提供する とである。

 本発明の別の目的は、このような起動方 を実施するために好適な燃料電池システム 提供することである。

 本発明により、
 炭化水素系燃料を改質して水素含有ガスを 造する、改質触媒層を有する改質器と、該 素含有ガスを用いて発電を行う高温型燃料 池とを有する燃料電池システムの起動方法 あって、
 a)炭化水素系燃料の流量としてM個の流量F j を予め設定する工程、
ただし、
Mは2以上の整数であり、
0<F 1 であり、
F j <F j+1 (ここでjは1以上M-1以下の整数)であり、
jがMの場合のF j であるF M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量であり 、
 b)改質触媒層の温度を測定しつつ、改質触 層を昇温する工程、
 c)測定された改質触媒層の温度に基づいて 改質触媒層において改質可能な炭化水素系 料の流量F R を算出する工程、
 d)F R <F 1 であればF=0、
   F j ≦F R <F j+1 であればF=F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)、
   F M ≦F R であればF=F M
とする工程、および、
 e)該Fが、炭化水素系燃料流量の現在値を超 た場合に、流量Fの炭化水素系燃料を改質触 媒層に供給して改質し、得られた改質ガスを 高温型燃料電池のアノードに供給する工程
 を有し、
 炭化水素系燃料の改質触媒層への供給量がF M になるまで、前記工程c~eを繰り返すことを特 徴とする燃料電池システムの起動方法が提供 される。

 上記方法が、
 f)工程eで行う改質に必要な流量の、スチー および/または酸素含有ガスを、工程eに先 って改質触媒層に供給する工程
をさらに有することができる。

 上記方法において、
 前記改質触媒層として、水蒸気改質反応を 進可能な改質触媒層を用い、
流量F M の炭化水素系燃料を改質する際に、水蒸気改 質を行うことが好ましい。

 この方法において、
 前記改質触媒層として、水蒸気改質反応お び部分酸化改質反応を促進可能な改質触媒 を用い、
 M-1個の流量F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)のうちの少な とも一つの流量の炭化水素系燃料を改質す 際に、部分酸化改質または自己熱改質を行 ことが好ましい。

 上記方法において、
 前記改質触媒層として、燃焼を促進可能な 質触媒層を用い、
 工程bにおいて、
 g)炭化水素系燃料を改質触媒層に供給して 焼させる工程
を行うことができる。

 この方法において、
 h)工程gに先だって、測定された改質触媒層 温度に基づいて、改質触媒層において燃焼 能な炭化水素系燃料の流量を算出する工程
をさらに有することが好ましい。

 この方法において、
 i)工程gに先だって、工程gで行う燃焼に必要 な流量の、酸素含有ガスを改質触媒層に供給 する工程
をさらに有することが好ましい。

 上記方法において、
 改質触媒層をガス流通方向に沿って分割し 複数個の分割領域を考え、
 工程bにおいて、改質触媒層の、ガス流通方 向に相異なる位置にある複数点の温度を測定 し、
 工程cにおいて、該複数点の温度に基づいて 、該複数個の分割領域のうちの少なくとも一 部において改質可能な炭化水素系燃料の流量 を算出し、該算出した流量の合計値をF R とする
ことが好ましい。

 また、本発明により、
 炭化水素系燃料を改質して水素含有ガスを 造する、改質触媒層を有する改質器と、該 素含有ガスを用いて発電を行う高温型燃料 池とを有する燃料電池システムであって、
 I)炭化水素系燃料の流量としてM個の流量F j を予め設定する工程aを行なうための手段、
ただし、
Mは2以上の整数であり、
0<F 1 であり、
F j <F j+1 (ここでjは1以上M-1以下の整数)であり、
jがMの場合のF j であるF M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量であり 、
 II)改質触媒層の温度を測定しつつ、改質触 層を昇温する工程bを行なうための手段、
 III)測定された改質触媒層の温度に基づいて 、改質触媒層において改質可能な炭化水素系 燃料の流量F R を算出する工程cを行なうための手段、
 IV)F R <F 1 であればF=0、
   F j ≦F R <F j+1 であればF=F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)、
   F M ≦F R であればF=F M
とする工程dを行なうための手段、
 V)該Fが、炭化水素系燃料流量の現在値を超 た場合に、流量Fの炭化水素系燃料を改質触 媒層に供給して改質し、得られた改質ガスを 高温型燃料電池のアノードに供給する工程e 行なうための手段、および
 VI)炭化水素系燃料の改質触媒層への供給量 F M になるまで、前記工程c~eを繰り返すための手 段
をさらに有することを特徴とする燃料電池シ ステムが提供される。

 本発明により、改質触媒層を有する改質 と高温型燃料電池とを有する燃料電池シス ムを起動する方法において、早期から確実 改質を行い、アノードの酸化劣化をより確 に防止することのできる方法が提供される

 また本発明により、このような起動方法 実施するために好適な燃料電池システムが 供される。

間接内部改質型SOFCシステムの一形態に ついて概要を示す模式図である。 間接内部改質型SOFCシステムの別の形態 について概要を示す模式図である。 改質触媒層の温度と、改質可能流量お び燃焼可能流量との相関を概念的に示すグ フである。 間接内部改質型SOFCシステムのさらに別 の形態について概要を示す模式図である。

符号の説明

  1 水気化器
  2 水気化器に付設された電気ヒータ
  3 改質器
  4 改質触媒層
  5 熱電対
  6 SOFC
  7 イグナイター
  8 モジュール容器
  9 改質器に付設された電気ヒータ
 10 コンピュータ
 11 流量調節バルブ
 12 流量計

 本発明において用いる燃料電池システム 、炭化水素系燃料を改質して水素含有ガス 製造する改質器と、高温型燃料電池とを有 る。改質器は、改質触媒層を有する。高温 燃料電池は、改質器から得られる水素含有 スを用いて発電を行う。改質触媒層は改質 応を促進可能な改質触媒によって構成され 。改質器から得られる水素含有ガスは改質 スと呼ばれる。

 〔工程a〕
 燃料電池システムを起動するにあたり、予 、炭化水素系燃料の流量としてM個の流量F j を予め設定する。ただし、Mは2以上の整数で る。また、0<F 1 であり、F j <F j+1 であり(ここでjは1以上M-1以下の整数)、jがMの 場合のF j であるF M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量である 。

 すなわち、0<F 1 <F 2 <・・・<F M-1 <F M のM個の流量を設定する。

 F M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量である が、SOFCが発電可能な温度を維持できる流量 することができ、予備実験やシミュレーシ ンにより知ることができる。

 F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)の値は、上記 件を満たす限り任意である。

 例えば、F M をMで等分割した流量をF j とすることができるが、極力早期に改質ガス を製造するため、F 1 は極力小さい方が好ましく、例えば昇圧手段 により安定に供給できる流量の最低値とする のが好ましい。また、昇温時間短縮のため、 例えば、流量制御手段のメモリ消費の許容範 囲内、かつ、昇圧手段および流量制御・計測 手段の精度を超える間隔となる範囲で、でき るだけMを大きくし、F j の間隔を小さくするのが好ましい。

 〔工程b〕
 実際に燃料電池システムを起動する際には 工程bを行う。すなわち改質触媒層の温度を 測定しつつ改質触媒層を昇温する。工程bに る温度測定および昇温は起動完了時まで継 される。

 この昇温の熱源としては、例えば、改質 に設けた電気ヒータを用いることができる

 また、改質触媒層に高温流体を流すこと よって、改質触媒層を昇温することもでき 。例えば、改質に必要な水蒸気および/また は空気を、必要に応じて予熱して供給するこ とができる。この予熱の熱源としては、電気 ヒータやバーナ等の燃焼器を用いることがで きる。あるいは、燃料電池システムの外部か ら、高温流体が供給される場合は、その流体 を上記予熱の熱源とすることもできる。

 あるいは、改質触媒層が燃焼を促進可能 あれば、炭化水素系燃料を改質触媒層で燃 させることによって改質触媒層を昇温する ともできる。燃焼ガスは酸化性ガスである よって、燃焼ガスが燃料電池に流れること よって燃料電池が劣化することを防止する 点から、改質触媒層において燃焼を行うの 、燃焼ガスが燃料電池に流れても燃料電池 劣化しない温度に燃料電池がある場合とす 。このために、燃料電池の温度、特には、 ノード電極の温度を監視しておき、その温 が劣化のおそれのある温度になった場合に 、上記燃焼を停止することができる。

 さらに、改質ガスが製造された後は、改 ガスを燃焼させた燃焼熱を用いて改質触媒 を昇温することもできる。

 また改質を開始した後、改質によって発 する場合には、その発熱によって改質触媒 を昇温することもできる。部分酸化改質を う場合、また、自己熱改質すなわちオート ーマルリフォーミングにおいて水蒸気改質 応による吸熱よりも部分酸化改質反応によ 発熱が大きい場合、改質によって発熱する

 上記昇温手法を、適宜併用したり、状況 応じて使い分けたりすることもできる。

 〔工程c、d、e〕
 改質触媒層の昇温を開始した後もしくは開 した時点から、工程c、dおよびeを繰り返し 行う。炭化水素系燃料の改質触媒層への供 量が起動完了時の流量F M になるまで、工程c~eを繰り返しながら、炭化 水素系燃料の改質触媒層への供給量を増加さ せる。

 工程cにおいては、測定された改質触媒層の 温度に基づいて、改質触媒層において改質可 能な炭化水素系燃料の流量F R を算出する。

 工程dにおいて、F j (jは1以上M以下の整数)のうちの少なくとも一 とF R とを比較し、次のようにして流量Fを決める
F R <F 1 であればF=0とし、
F j ≦F R <F j+1 であればF=F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)とし、
F M ≦F R であればF=F M とする。

 工程eにおいて、上記のようにして求めた Fが、炭化水素系燃料流量の現在値(その時点 改質触媒層に供給されている炭化水素系燃 の流量)を超えた場合に、流量Fの炭化水素 燃料を改質触媒層に供給して改質し、得ら た改質ガスを高温型燃料電池のアノードに 給する。

 低温のうちは、算出した流量F R がゼロである場合もあり、このときFはゼロ なる。また、F R がゼロでなくても、F R がF 1 より小さければ、Fはゼロとなる。このとき 炭化水素系燃料の改質触媒層への供給流量 ゼロであり、改質ガスの流量もゼロである つまり工程eにおける改質触媒層への炭化水 系燃料の供給は行わず、従って、高温型燃 電池のアノードへの改質ガス供給も行わな 。

 温度が上昇してくると、触媒の改質活性が 現し始め、比較的少流量の炭化水素系燃料 あれば、改質可能となる。F R が初めてF 1 以上(ここでF R はF 2 未満とする)となった時点(このとき炭化水素 燃料流量の現在値はゼロである)で、F=F 1 の流量の炭化水素系燃料を改質触媒層に供給 して改質を行い、得られた改質ガスを燃料電 池のアノードに供給する。

 さらに改質触媒層の温度が上昇し、F R が初めてF 2 以上(ただしF 3 未満とする)となった時点(このときの炭化水 系燃料の現在値はF 1 である)で、F=F 2 の流量の炭化水素系燃料を改質触媒層に供給 する。

 このようにして、改質触媒層に供給する炭 水素系燃料の流量を段階的(少なくとも二段 階)に増加させながら燃料電池システムを起 し、最終的に炭化水素系燃料の流量をF M とする。

 このように、本発明では、まず比較的少 量の炭化水素系燃料を改質し、改質ガスを 生させる。つまり起動時に改質量を増加さ てゆく。より少ない流量の炭化水素系燃料 改質するには、より低い温度で足りる。よ て、昇温のあまり進んでいない時点から、 なわち起動の比較的早期から、還元ガス(改 質ガス)を製造することができる。そして、 の還元ガスを燃料電池のアノードに供給す ことにより、早期からアノード劣化を防止 ることが可能となる。

 工程eに先だって、工程fを行うことができ 。つまり、工程eで流す炭化水素系燃料F j (ここでjは1以上M以下の整数)を改質するため 必要な流量の、スチームおよび/または酸素 含有ガスを、工程eに先だって改質触媒層に 給することができる。工程c~eを繰り返すに たり、工程dで炭化水素系燃料の改質触媒層 の供給量を決定したら、工程fを行って、次 の工程eで供給する流量の炭化水素系燃料を 質するに必要な流量のスチームおよび/また 酸素含有ガスを、予め改質触媒層に供給し おくことができる。工程fによって、工程e 供給する炭化水素系燃料を、より確実に改 することが可能である。ただし、この限り はなく、工程eと同時に、工程eにおいて必要 な流量のスチームおよび/または酸素含有ガ を供給することもできる。

 なお、水蒸気改質反応を行う場合、つま 水蒸気改質もしくはオートサーマルリフォ ミングを行う場合には、改質触媒層にスチ ムを供給する。部分酸化改質反応を行う場 、つまり部分酸化改質もしくはオートサー ルリフォーミングを行う場合には、改質触 層に酸素含有ガスを供給する。酸素含有ガ としては、酸素を含有するガスを適宜用い ことができるが、入手容易性から空気が好 しい。

 本発明においては、改質を徐々に行うが 必ずしも同じ種類の改質を継続して行う必 はない。例えば、初期にはオートサーマル フォーミングを行い、途中から水蒸気改質 行うことができる。また、初期には部分酸 改質を行い、途中でオートサーマルリフォ ミングに切り替え、さらに水蒸気改質に切 替えることもできる。あるいは、水蒸気改 のみを継続して行うこともできるし、オー サーマルリフォーミングのみを継続して行 こともできるし、部分酸化改質のみを継続 て行うこともできる。

 起動完了時の流量F M の炭化水素系燃料を改質する際、すなわち燃 料電池システムの起動に際して最終的に行う 改質において、さらに言い換えれば最後に行 う工程eにおいては、水蒸気改質を行うこと 好ましい。すなわち、水蒸気改質反応のみ 行させ、部分酸化改質反応は進行させない とが好ましい。起動完了後の通常運転に先 って、改質ガス中の水素濃度を比較的高く ることができるからである。この場合、水 気改質反応を促進可能な改質触媒層を用い 。

 小流量(起動完了時の流量より少ない流量) 炭化水素を改質する際、すなわちM-1個の流 F j (ここでjは1以上M-1の整数)のうちの少なくと 一つの流量の炭化水素系燃料を改質する際 は、部分酸化改質またはオートサーマルリ ォーミングを行うことが好ましい。特に、 期、すなわち流量F 1 の炭化水素系燃料を改質触媒層に供給する時 点およびこの時点から引き続くある期間には 、部分酸化改質またはオートサーマルリフォ ーミングを行うことが好ましい。部分酸化改 質反応を伴う改質を行うことによって、昇温 を早めることができるからである。この場合 、水蒸気改質反応および部分酸化改質反応を 促進可能な改質触媒層を用いることが好まし い。改質の最終段階において水蒸気改質反応 を行うことができ、水素濃度を比較的高くす ることができるからである。

 〔工程g、hおよびi〕
 さらに、改質反応に加えて燃焼も促進可能 改質触媒層を用い、工程bにおいて、炭化水 素系燃料を改質触媒層に供給して燃焼させる 工程gを行うこともできる。つまり改質触媒 における燃焼によって改質触媒層を昇温す ことができる。この場合、工程gに先だって 改質触媒層の温度を測定し、その測定温度 基づいて、改質触媒層において燃焼可能な 化水素系燃料の流量を算出する工程hを行う ことが好ましく、算出された流量の炭化水素 系燃料を改質触媒層に供給して燃焼を行うこ とが好ましい。より確実に燃焼を行うことが できるからである。このときの改質触媒層へ の炭化水素系燃料流量は、起動完了時の炭化 水素系燃料の流量より少なくてよい。

 また、工程gに先だって、工程gで行う燃 に必要な流量の、酸素含有ガスを改質触媒 に供給する工程iを行うことが好ましい。こ によって工程gにおける燃焼をより確実に行 うことができる。

 〔改質可能な炭化水素系燃料の流量F R の算出〕
 以下、工程cにおいて、測定された改質触媒 層の温度に基づいて、改質触媒層において改 質可能な炭化水素系燃料の流量F R を算出する方法に関して説明する。

 改質触媒層において改質可能な炭化水素 燃料の流量は、その流量の炭化水素系燃料 改質触媒層に供給した場合に、改質触媒層 ら排出されるガスの組成が、高温型燃料電 に供給するに適した組成になる流量をいう 以下場合により、「改質可能な炭化水素系 料の流量」を、「改質可能流量」と呼ぶ。

 例えば、改質触媒層における改質可能流量 、供給した炭化水素系燃料がC1化合物(炭素 1の化合物)まで分解されうる流量の最大値 下の任意の流量とすることができる。すな ち、改質触媒層出口ガスにおけるC2+成分(炭 数が2以上の成分)の濃度が0(ゼロ)ドライモ %である組成になるまで改質触媒層において 質が進みうる場合の、改質触媒層への炭化 素系燃料の供給流量の最大値以下の任意の 量とすることができる。そしてこのとき、 質触媒層出口ガスが還元性になっていれば い。この場合は、炭化水素系燃料がC1成分 で改質され、改質触媒層出口ガスがC2+成分 含まないので、炭素析出による流路閉塞や ノード劣化を防止する観点から好ましい。 質触媒層出口ガス中に、メタンが含まれる とは許容される。炭化水素系燃料の改質に いては、通常、平衡論上メタンが残留する 改質触媒層出口ガス中に、メタン、COあるい はCO 2 の形で炭素が含まれていても、必要に応じて スチームを添加することで炭素析出を防止す ることができる。炭化水素系燃料としてメタ ンを用いる場合は、改質触媒層出口ガスが還 元性になるように、改質が進めばよい。なお 、ドライモル%は、水(水蒸気)を除外して計算 したモル%を意味する。

 改質触媒層出口ガスの還元性については このガスがアノードに供給されても、アノ ドの酸化劣化を抑えられる程度であればよ 。このために、例えば、改質触媒層出口ガ 中の水素濃度を5ドライモル%程度とするこ ができる。

 改質可能流量F R は、改質触媒層の温度に依存する。そのため 、改質触媒層における改質可能流量の算出は 、測定された改質触媒層の温度に基づいて行 う。

 改質触媒層における改質可能流量F R は、改質触媒層の温度Tの関数(温度の関数で ることを明示する場合にはF R (T)と表す)として、予め実験により求めるこ ができる。また、実験により求めた関数に 全率を乗じたり、安全側に温度を補正した したうえで、改質可能流量とすることもで る。なお、F R (T)の単位は例えばmol/sである。

 <温度測定点が1点である場合>
 ・温度測定個所
 改質触媒層の温度測定点が一点である場合 改質可能流量の算出に用いる温度の測定個 としては、安全側制御の観点から、好まし は改質触媒層の中で相対的に温度が低くな 箇所、より好ましくは改質触媒層の中で最 温度が低くなる個所を採用することが好ま い。改質触媒層における反応熱が吸熱であ 場合、温度測定個所として、触媒層中心付 を選ぶことができる。改質触媒層における 応熱が発熱であり、放熱によって中心部よ 端部の方が低温になる場合、温度測定個所 して、触媒層端部を選ぶことができる。温 が低くなる位置は、予備実験やシミュレー ョンにより知ることができる。

 改質可能流量F R (T)は、温度Tのみの関数とすることができる しかしその限りではなく、改質可能流量F R は、温度Tに加えて、触媒層体積やガス成分 濃度などのT以外に変数を持つ関数であって よい。その場合、改質可能流量F R を計算する際には、T以外の変数を適宜求め T以外の変数と、測定されたTとから改質可能 流量F R を計算することができる。

 <温度測定点が複数点である場合>
 改質可能流量F R の算出に用いる温度の測定点は一点である必 要はない。より正確に改質触媒層における改 質可能流量を算出するためには、温度測定点 が2点以上であることが好ましい。例えば、 質触媒層の入口温度と出口温度を測定し、 れらを平均した温度を前述の改質触媒層温 Tとすることができる。

 あるいは例えば、改質触媒層をN分割した領 域Z i (Nは2以上の整数、iは1以上N以下の整数)を考 、各分割領域Z i の温度T i を知り、各温度T i から各分割領域における改質可能流量F R i (T i )を計算し、それらを積算した値を改質触媒 における改質可能流量F R として計算することができる。

 N個の分割領域Z i を考える場合、全ての分割領域の改質可能流 量を積算してもよく、あるいはN個の分割領 のうちの一部の分割領域のみ積算した値を 質触媒層における改質可能流量F R として採用してもよい。炭化水素系燃料供給 量に応じて、積算対象とする触媒層領域を適 宜変えることもできる。例えば、触媒層が上 流から加熱されることが予め分かっている場 合には、流量が増加するごとに、積算対象と する触媒層領域を上流から増加させることが できる。

 分割領域Z i の温度としては、実際に測定した温度をその まま用いることもできるが、分割領域の入口 温度と出口温度との平均値など、適宜計算し た値を代表値として用いることもできる。

 また、全ての分割領域Z i について、温度を測定する必要はない。また 触媒層分割数Nと温度測定点数は無関係に設 することができる。

 N個の分割領域のうちの一部について温度 を測定し、残りの分割領域については、測定 した温度から適宜補完することによって温度 を知ることもできる。

 例えば、温度センサーを設置していない 割領域の温度として、その分割領域に最も い分割領域の温度を用いることができる。 も近い分割領域が二つある場合には、二つ うちのいずれかの分割領域の温度を用いる ともできるし、二つの分割領域の温度の平 値を用いることもできる。

 分割領域とは無関係に改質触媒層の複数 (ガス流通方向に相異なる位置にある)の温 を測定し、測定した複数点の温度から、各 割領域の温度を知ることもできる。例えば 改質触媒層の入口および出口の温度を測定 (さらに中間部の任意の個所の温度を測定し もよい)、これら測定温度から最小二乗法等 の近似法によって改質触媒層の温度を補間し 、その補間曲線から分割領域の温度を知るこ とができる。

 (改質可能流量算出に用いる温度の測定個所 の例)
 全ての分割領域の温度を知るために、次の うな個所の温度を計測することができる。
・各分割領域の入口および出口。
・各分割領域内部(入口および出口より内側)( 1点もしくは複数点)。
・各分割領域の入口、出口および内部(一つ 分割領域について1点もしくは複数点)。

 一部の分割領域の温度を知るために、次の うな個所の温度を計測することができる。
・一部の分割領域の入口および出口。
・一部の分割領域内部(入口および出口より 側)(1点もしくは複数点)。
・一部の分割領域の入口、出口および内部( つの分割領域について1点もしくは複数点)。

 〔燃焼可能な炭化水素系燃料の流量F C の算出〕
 以下、工程hにおいて、測定された改質触媒 層の温度に基づいて、改質触媒層において燃 焼可能な炭化水素系燃料の流量F C を算出する方法を説明する。

 改質触媒層において燃焼可能な炭化水素系 料の流量F C は、その流量の炭化水素系燃料を改質触媒層 に供給した場合に、その炭化水素系燃料が改 質触媒層において完全燃焼し得る流量の最大 値以下の任意の流量である。以下場合により 、「燃焼可能な炭化水素系燃料の流量」を、 「燃焼可能流量」と呼ぶ。

 <温度測定点が1点である場合>
 燃焼可能流量F C は、改質触媒層の温度に依存する。そのため 、改質触媒層における燃焼可能流量の算出は 、測定された改質触媒層の温度に基づいて行 う。

 改質触媒層における燃焼可能流量F C は、改質触媒層の温度Tの関数(温度の関数で ることを明示する場合にはF C (T)と表す)として、予め実験により求めるこ ができる。また、実験により求めた関数に 全率を乗じたり、安全側に温度を補正した したうえで、燃焼可能流量F C (T)とすることもできる。なお、F C (T)の単位は例えばmol/sである。

 ・温度測定個所
 改質触媒層の温度測定点が一点である場合 燃焼可能流量の算出に用いる温度の測定個 としては、安全側制御の観点から、好まし は改質触媒層の中で相対的に温度が低くな 箇所、より好ましくは改質触媒層の中で最 温度が低くなる個所を採用することが好ま い。例えば、放熱によって中心部より端部 方が低温になる場合、温度測定個所として 触媒層端部を選ぶことができる。温度が低 なる位置は、予備実験やシミュレーション より知ることができる。

 燃焼可能流量F C (T)は、温度Tのみの関数とすることができる しかしその限りではなく、燃焼可能流量F C は、温度Tに加えて、触媒層体積やガス成分 濃度などのT以外に変数を持つ関数であって よい。その場合、燃焼可能流量F C を計算する際には、T以外の変数を適宜求め T以外の変数と、測定されたTとから燃焼可能 流量F C を計算することができる。

 <温度測定点が複数点である場合>
 燃焼可能流量算出に用いる温度の測定点は 点である必要はない。より正確に燃焼可能 炭化水素系燃料の流量を算出するためには 温度測定点が2点以上であることが好ましい 。例えば、改質触媒層の入口温度と出口温度 を測定し、これらを平均した温度を前述の改 質触媒層温度Tとすることができる。

 あるいは例えば、改質触媒層をN分割した領 域Z i (Nは2以上の整数、iは1以上N以下の整数)を考 、各分割領域Z i の温度T i を知り、各温度T i から各分割領域における燃焼可能流量F C i (T i )を計算し、それらを積算した値を改質触媒 における燃焼可能流量F C として計算することができる。

 なお、ここで考える分割数N、領域Z i 、温度T i は、改質可能流量算出の際に用いる分割数、 領域、温度とそれぞれ同じであってもよいし 、異なっていてもよい。

 N個の分割領域Z i を考える場合、全ての分割領域の燃焼可能流 量を積算してもよく、あるいはN個の分割領 のうちの一部の分割領域のみ積算した値を 質触媒層における燃焼可能流量F C として採用してもよい。炭化水素系燃料供給 量に応じて、積算対象とする触媒層領域を適 宜変えることもできる。例えば、触媒層が上 流から加熱されることが予め分かっている場 合には、流量が増加するごとに、積算対象と する触媒層領域を上流から増加させることが できる。

 分割領域Z i の温度としては、実際に測定した温度をその まま用いることもできるが、分割領域の入口 温度と出口温度との平均値など、適宜計算し た値を代表値として用いることもできる。

 また、全ての分割領域Z i について、温度を測定する必要はない。また 触媒層分割数Nと温度測定点数は無関係に設 することができる。

 改質可能流量に関する場合と同様、N個の 分割領域のうちの一部について温度を測定し 、残りの分割領域については、測定した温度 から適宜補完することによって温度を知るこ ともできる。

 改質可能流量に関する場合と同様、分割 域とは無関係に改質触媒層の複数点(ガス流 通方向に相異なる位置にある)の温度を測定 、測定した複数点の温度から、各分割領域 温度を知ることもできる。

 ・燃焼可能流量算出に用いる温度の測定個 の例
 全ての分割領域の温度を知るための温度測 個所の例、一部の分割領域の温度を知るた の温度測定個所の例ともに、改質可能流量 出に用いる温度の測定個所の例と同様の個 を挙げることができる。

 以下図面を用いて本発明のより具体的な 態について説明するが、本発明はこれによ て限定されるものではない。

 〔形態1-1〕
 ここでは、起動における改質の全ての段階 おいてオートサーマルリフォーミングを行 。このとき改質反応はオーバーオールで発 反応とする(部分酸化改質反応による発熱が 、水蒸気改質反応による吸熱を上回るように する)。改質反応熱を利用して改質触媒層、 らにはSOFCの昇温を加速するためである。

 部分酸化改質反応と水蒸気改質反応とを 進可能な改質触媒層を用いる。

 図1に示すSOFCシステムは、改質器3およびS OFC6が筐体(モジュール容器)8に収容された間 内部改質型SOFCを有する。改質器3は改質触媒 層4を備え、また電気ヒータ9を備える。

 またこのSOFCシステムは、電気ヒータ2を える水気化器1を有する。水気化器1は電気ヒ ータ2による加熱によって水蒸気を発生する 水蒸気は水気化器においてもしくはその下 において適宜スーパーヒートしたうえで改 触媒層に供給することができる。

 また空気も改質触媒層に供給されるが、 こでは、空気を水気化器で予熱したうえで 質触媒層に供給できるようになっている。 気化器からは、水蒸気を得ることができ、 た空気と水蒸気との混合ガスを得ることが きる。

 水蒸気または空気と水蒸気との混合ガス 、炭化水素系燃料と混合されて改質器3、特 にはその改質触媒層4に供給される。炭化水 系燃料として灯油等の液体燃料を用いる場 は、炭化水素系燃料を適宜気化したうえで 質触媒層に供給することができる。

 改質器から得られる改質ガスがSOFC6、特 はそのアノードに供給される。図示しない 、空気が適宜予熱されてSOFCのカソードに供 される。

 アノードオフガス(アノードから排出され るガス)中の可燃分がSOFC出口において、カソ ドオフガス(カソードから排出されるガス) の酸素によって燃焼される。このために、 グナイター7を用いて着火することができる アノード、カソードともその出口がモジュ ル容器内に開口している。

 ここでは、温度センサーとして熱電対を用 る。触媒層4の入口に熱電対S in が配され、触媒層出口に熱電対S out が配される。

 水流量については、炭素析出抑制のため S/C(改質触媒層に供給されるガス中の炭素原 子モル数に対する水分子モル数の比)が所定 値を維持するよう、燃料流量の増加に伴い 流量を増加させるのが好ましい。空気流量 ついては、改質反応がオーバーオールで発 反応となるよう、燃料流量の増加に伴い空 流量を増加させるのが望ましい。

 ここではM=2として二段階で起動を行い、F 2 を起動完了時の炭化水素系燃料の流量に、F 1 をF 2 の半分に設定する(F 1 =F 2 /2)。

 次に示す手順によって、このシステムを 際に起動することができる。

 1.水気化器に備わる電気ヒータ2により、 気化器1を水が気化可能な温度に昇温する。 このとき改質触媒層4には何も供給しない。

 2.電気ヒータ9により、改質触媒層を昇温す 。熱電対S in およびS out による温度監視も開始する。

 3.熱電対S in およびS out でそれぞれ測定される温度t in およびt out を平均し、改質触媒層の温度Tを求める(T=(t in +t out )/2)。そして、このTを用いて改質可能流量F R (T)を算出する(工程c)。

 そして、算出したF R と、F 1 およびF 2 のうちの少なくとも一つと比較し、
F R <F 1 であればF=0、
F 1 ≦F R <F 2 であればF=F 1
F 2 ≦F R であればF=F 2
とする(工程D)。

 4.水気化器1に水を供給し、水を気化し、 られた水蒸気を改質触媒層4に供給する。こ こで供給する水の流量は、工程3で決めたFと め定めたS/Cから算出する値とする。最初の 程3で決めたFが0の場合は、水気化器への水 流量を0とすることができる。すなわち水蒸 気を改質触媒層に供給しないでよい。あるい は、最初の工程3で算出されたFが0であっても 、例えば水蒸気の顕熱により改質触媒層を加 熱するために、水気化器に任意の流量の水を 供給することもできる。この場合、例えば、 水気化器に供給する水の流量を、水を供給す るための昇圧手段により安定に供給できる流 量の最低値としてもよい。

 5.改質触媒層4に空気を供給する。ここで供 する空気の流量は、工程3で決めたFと予め めたO 2 /Cから算出する値とする。最初の工程3で決め たFが0の場合は、空気の流量を0とすることが できる。すなわち空気を改質触媒層に供給し ないでよい。あるいは、最初の工程3で決め Fが0であっても、例えば空気(予熱された空 )の顕熱により改質触媒層を加熱するために 改質触媒層に任意の流量の空気を供給する ともできる。この場合、例えば、改質触媒 に供給する空気の流量を、空気を供給する めの昇圧手段により安定に供給できる流量 最低値としてもよい。

 なお、改質触媒層は、水蒸気および空気 顕熱によっても加熱される。

 6(工程e).改質触媒層に流量Fの炭化水素系 料を供給して改質し、得られた改質ガスをS OFCアノードに供給する。

 改質ガスをSOFCアノードに供給すれば、ア ノードからアノードオフガス(ここでは改質 スがそのまま)排出される。アノードオフガ は可燃性であるので、イグナイター7を用い てアノードオフガスに着火し、燃焼させるこ とができる。この燃焼熱によっても改質触媒 層が加熱される。これは昇温加速のために好 ましい。

 なお、改質触媒層でオートサーマルリフ ーミングを開始した後は、電気ヒータ9の発 熱ならびに水蒸気および予熱空気の顕熱に加 えて、改質反応による発熱によっても改質触 媒層が加熱される。間接内部改質型SOFCシス ムの場合、アノードオフガスが燃焼してい ば、その燃焼熱を利用して改質触媒層を加 することもできる。間接内部改質型SOFCシス ム以外の場合、例えばアノードオフガスを 宜の燃焼手段で燃焼させた燃焼ガスを改質 周辺へ供給し、改質触媒層を加熱すること できる。これらは昇温加速のために好まし 。

 工程3~6を繰り返しながら、起動完了時の炭 水素系燃料の流量F M (ここではF 2 )まで、改質触媒層に供給する炭化水素系燃 の流量を増加させることができる。ただし 工程3で決定されるFがF 1 以上となるまでの間は、工程eにおける改質 媒層への炭化水素系燃料供給は行わない。

 改質器およびSOFCが所定の温度まで昇温さ れたら、SOFCシステムの起動を完了すること できる。

 SOFCは、改質器から得られる改質ガスの顕 熱によって、またアノードオフガスの燃焼熱 によって加熱することができる。燃料電池が 発電を開始していれば、電池反応による発熱 によってもSOFCが加熱される。

 最後の工程e終了時点で、定格時の空気流量 より多い空気を改質触媒層に供給している場 合には、最後の工程eで供給している流量F M (ここではF 2 )の炭化水素系燃料が改質可能な温度に改質 媒層を保持しながら、空気流量を定格流量 で減少させることができる。例えば、最後 工程eにおいては改質反応をオーバーオール 発熱反応にするために定格時の空気流量よ 多い空気をしておき、定格時には、水蒸気 質反応を主として用いて水素濃度がより高 改質ガスを得るために空気流量を減らす(ゼ ロにすることも含む)ことができる。定格時 は改質反応はオーバーオールで吸熱となる 、アノードオフガスの燃焼熱(発電時にはこ に加えてSOFCからの輻射熱も)によって改質 を加熱することができる。ここで、最後の 程eで供給している流量の炭化水素系燃料が 質可能な温度に改質触媒層を保持するため は、カソードに供給される空気流量、水流 、およびSOFCに電流を流している場合には電 流値を増減すればよい。

 以上説明したようにしてSOFCシステムを起 動することにより、まず、比較的小流量の改 質原料を投入し、還元性の改質ガスをSOFCに 給することができる。このため、触媒層の 熱に必要な熱量を低減することが容易で、 質ガス発生までの時間を短縮することが容 である。早期に還元性のガスが利用可能と ることは、アノードの酸化劣化を防止する めにも有効である。

 上で説明した例においては、オートサー ルリフォーミングを行い、改質触媒層を加 する熱として部分酸化改質反応熱を利用し いる。このため、電気ヒータの発熱のみで 質触媒層を加熱し、水蒸気改質反応を行う 合と比較して電気ヒータのサイズ、電源容 を小さくでき、間接内部改質型SOFCモジュー ルのサイズをコンパクトに、また構造を簡素 にすることができる。

 なお、SOFCモジュールは少なくともSOFCを 体(モジュール容器)に収納したものであり、 筐体内には必要な配管を収納することができ る。間接内部改質型SOFCモジュールでは、筐 内に改質器も収納することができる。

 また、本形態では、改質触媒層を昇温す ために電気ヒータ9を用いているが、水蒸気 や空気の顕熱で触媒層が十分に加熱される場 合には、電気ヒータ9を用いなくてもよい。

 電気ヒータ9による改質触媒層の加熱開始 は、昇温時間短縮のため、極力早い時点から 行うことが好ましい。電気ヒータ2によって 気化器を水が気化可能な温度に昇温する工 (工程1)の完了を待たずに、電気ヒータ9によ 改質触媒層を昇温することができる。水気 器加熱用電気ヒータ2と改質触媒層加熱用電 気ヒータ9とを同時に作動させてもよい。

 本形態では、水気化のために電気ヒータ2 の発熱を用いているが、その限りではない。 モジュール外部から高温の水蒸気を供給する 場合、あるいはモジュール外部から高温の空 気を供給し、その顕熱により水気化器が十分 加熱される場合などには、電気ヒータ2を用 なくても良い。

 〔形態1-2〕
 本形態では、ゼロでない流量の炭化水素系 料を初めて改質触媒層に供給した時点から 起動運転の途中の或る時点(炭化水素系燃料 が起動完了時の流量より少ない或る流量に増 加する時点)まで、工程eで部分酸化改質を行 。ここでいう或る時点としては、例えば、 質ガス中に含まれる水分がモジュール内で 縮しない温度に改質ガス流路およびその燃 ガス流路が昇温される時点を採用すること できる。それ以降は、工程eでオートサーマ ル改質を行う。水を改質原料としない部分酸 化改質を初期に行うことにより、改質ガス中 に含まれる水分がモジュール内で凝縮するこ とを抑制することができる。この場合、形態 1-1と異なり、初期(部分酸化改質を行う間)に 、水気化器1に水を供給する工程4を行わな 。また、初期(部分酸化改質を行う間)には水 気化器1を電気ヒータ2により昇温する工程1を 行わず、オートサーマル改質を行うにあたっ て、水気化器1を電気ヒータ2により昇温する 程1を行っても良い。

 〔形態1-3〕
 本形態では、工程bにおいて、改質触媒層に おいて燃焼を行う。触媒燃焼熱を利用して、 改質触媒層の昇温を加速するためである。図 3は改質触媒層の温度と、改質可能流量F R および燃焼可能流量F C との相関を概念的に示すグラフである。通常 、燃焼可能流量F C (T)の方が、改質可能流量F R より大きく、低い温度で値が0を超える。従 て、低い温度で燃焼を開始し、Fが0を超えた 後に(このときF R が0を超えている)、燃焼を終了して改質を開 することができる。

 前述の工程2まで行った後、熱電対S in およびS out でそれぞれ測定される温度t in およびt out を平均し、改質触媒層の温度Tを求める(T=(t in +t out )/2)(工程2-1)。そして、このTを用いて触媒燃 による燃焼可能流量F C を算出する(工程2-2)。算出したF C と予め定めたO 2 /Cより空気流量を算出し、その流量の空気を 質触媒層に供給する(工程2-3)。流量F C の炭化水素系燃料を触媒層に供給し(工程2-4) 触媒燃焼を開始する。その後、前述の工程3 を行う。工程2-1~2-4および工程3を繰り返して 媒燃焼させる炭化水素系燃料を増加させ、 程3において決定されるFがゼロを超えたら 炭化水素系燃料の供給を停止し(工程2-5)、空 気の供給を停止し(工程2-6)、触媒燃焼を終了 る。その後、工程4以降を行い、最初の工程 6で改質を開始する。

 予め最初の工程6で供給する炭化水素系燃料 流量F 1 を決めておき、工程2-1~2-4を繰り返して触媒 焼させる炭化水素系燃料をF 1 まで増加させて保持した後、工程3を行い、 定されるFがF 1 以上になったら、工程4以降を行っても良い この場合、最初の工程5で改質触媒層に供給 る空気流量を触媒燃焼に必要な流量からオ トサーマル改質に必要な流量まで減少させ 触媒燃焼を終了すると同時に、改質を開始 る。

 上記F 1 としては、起動完了時の炭化水素系燃料流量 より少ない或る流量とすることができる。例 えば、この流量を、燃焼ガスが燃料電池に流 れて燃料電池が劣化する温度になる炭化水素 系燃料流量以下の流量とすることができる。

 あるいは、工程2-1~2-2を繰り返し、計算され るF C がF 1 を超えたら、工程2-3、2-4を行い、触媒燃焼を 開始し、工程3を繰り返して行い、工程3にお て決定されるFがF 1 以上になったら、工程4以降を行っても良い この場合も、最初の工程5で改質触媒層に供 する空気流量を触媒燃焼に必要な流量から ートサーマル改質に必要な流量まで減少さ 、触媒燃焼を終了すると同時に、改質を開 する。

 〔形態2-1〕
 本形態では、改質触媒層をガス流通方向に って分割した複数個の分割領域を考える。 程bにおいては、改質触媒層の、ガス流通方 向に相異なる位置にある複数点の温度を測定 する。工程cにおいては、この複数点の温度 基づいて、上記複数個の分割領域のうちの なくとも一部において改質可能な炭化水素 燃料の流量を算出する。そして、算出した 量の合計値を前記改質触媒層において改質 能な炭化水素系燃料の流量F R とする。もちろん、一つだけの分割領域にお いて改質可能な炭化水素系燃料の流量を算出 する場合には、この流量が上記合計値となる 。

 例えば、図2に示すように、改質触媒層を4 割した分割領域Z 1 ~Z 4 を考える。各分割領域の触媒層高は互いに等 しい。改質触媒層の入口および出口、ならび に分割領域同士の境界に熱電対をそれぞれ設 ける(S 1 ~S 5 )。熱電対S 1 ~S 5 で測定される温度をそれぞれt 1 ~t 5 とする。

 各分割領域Z i の温度T i は、T i =(t i +t i+1 )/2から求める(i=1、2、3、4)。

 このT i から、各分割領域Z i における改質可能流量F R i (T i )を計算し、それらを積算した値を改質触媒 における改質可能流量F R とする。関数F R i (T i )は予め実験により求めることができる。

 上記以外は、形態1-1と同様にして、燃料 池システムを起動することができる。

 〔燃料電池システム〕
 上記方法を行うために好適に用いることの きる燃料電池システムの一形態について、 4を用いて説明する。

 この燃料電池システムは、炭化水素系燃 を改質して水素含有ガスを製造する、改質 媒層4を有する改質器3を有する。またこの 料電池システムは、その水素含有ガスを用 て発電を行う高温型燃料電池6を有する。

 この燃料電池システムは、次の手段I~VIを さらに有する。

 I)炭化水素系燃料の流量としてM個の流量F j を予め設定する工程aを行なうための手段。
ただし、
Mは2以上の整数であり、
0<F 1 であり、
F j <F j+1 (ここでjは1以上M-1以下の整数)であり、
jがMの場合のF j であるF M は起動完了時の炭化水素系燃料の流量である 。

 II)改質触媒層の温度を測定しつつ、改質 媒層を昇温する工程bを行なうための手段。

 III)測定された改質触媒層の温度に基づいて 、改質触媒層において改質可能な炭化水素系 燃料の流量F R を算出する工程cを行なうための手段。

 IV)F R <F 1 であればF=0、
   F j ≦F R <F j+1 であればF=F j (ここでjは1以上M-1以下の整数)、
   F M ≦F R であればF=F M
とする工程dを行なうための手段。

 V)該Fが、炭化水素系燃料流量の現在値を えた場合に、流量Fの炭化水素系燃料を改質 触媒層に供給して改質し、得られた改質ガス を高温型燃料電池のアノードに供給する工程 eを行なうための手段。

 VI)炭化水素系燃料の改質触媒層への供給量 F M になるまで、前記工程c~eを繰り返すための手 段。

 手段Iとしては、流量F j を入力し記憶させることのできる制御手段を 用いることができる。制御手段としては、コ ンピュータ10等の、プロセス制御もしくは燃 電池システム制御の分野で公知の制御手段 用いることができる。

 手段IIとしては、上記制御手段を、熱電 5等の温度センサーと、電気ヒータ9等の加熱 手段と組合せて用いることができる。加熱手 段としては、高温流体もしくは燃焼ガスを用 いて改質触媒層を加熱する熱交換構造を利用 することもできる。また、加熱手段に、酸化 (燃焼、部分酸化改質または自己熱改質)を促 可能な改質触媒層と、炭化水素系燃料を改 触媒層に供給する手段、および空気等の酸 含有ガスを改質触媒層に供給する手段を利 することもできる。このために、例えば炭 水素系燃料用の流量計12aおよび流量調節バ ブ11aや、空気用の流量計12cおよび流量調節 ルブ11cを用いることができる。この場合、 質触媒層おいて炭化水素系燃料を酸化させ その反応熱によって改質触媒層を昇温する とができる。

 手段III、IVおよびVIとしては、コンピュー タ10等の、プロセス制御もしくは燃料電池シ テム制御の分野で公知の制御手段を用いる とができる。

 手段Vとしては、コンピュータ10等の制御 段を、炭化水素系燃料を改質触媒層に供給 るための手段と組合せて用いることができ 。改質ガスは、改質器出口とアノードを接 するラインを通って、改質器からアノード 流れる。

 コンピュータ10等の制御手段は、必要に じて、スチームを改質触媒層に供給する手 と組合せて用いることもできる。このため 、水用の流量計12bおよび流量調節バルブ11b 用いることができる。

 なお、炭化水素系燃料、スチームおよび 素含有ガスの流量制御については、これら ガスである状態で流量制御してもよいし、 合によっては、これらが気化する前の液体 ある状態で流量制御することもできる。

 〔炭化水素系燃料〕
 炭化水素系燃料としては、改質ガスの原料 してSOFCの分野で公知の、分子中に炭素と水 素を含む(酸素など他の元素を含んでもよい) 合物もしくはその混合物から適宜選んで用 ることができ、炭化水素類、アルコール類 ど分子中に炭素と水素を有する化合物を用 ることができる。例えばメタン、エタン、 ロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガ ス)、都市ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、 油等の炭化水素燃料、また、メタノール、 タノール等のアルコール、ジメチルエーテ 等のエーテル等である。

 なかでも灯油やLPGは、入手容易であり好 しい。また独立して貯蔵可能であるため、 市ガスのラインが普及していない地域にお て有用である。さらに、灯油やLPGを利用し SOFC発電装置は、非常用電源として有用であ る。特には、取り扱いも容易である点で、灯 油が好ましい。

 〔高温型燃料電池〕
 本発明は、アノードの酸化劣化防止が必要 高温型燃料電池を備えるシステムに好適に 用することができる。アノードに金属電極 用いられる場合、例えば400℃程度でアノー の酸化劣化が起きることがある。このよう 燃料電池としては、SOFCやMCFCがある。

 SOFCとしては、平板型や円筒型などの各種 形状の公知のSOFCから適宜選んで採用できる SOFCでは、一般的に、酸素イオン導電性セラ ックスもしくはプロトンイオン導電性セラ ックスが電解質として利用される。

 MCFCについても、公知のMCFCから適宜選ん 採用できる。

 SOFCやMCFCは単セルであってもよいが、実 上は複数の単セルを配列させたスタック(円 型の場合はバンドルと呼ばれることもある 、本明細書でいうスタックはバンドルも含 )が好ましく用いられる。この場合、スタッ クは1つでも複数でもよい。

 〔改質器〕
 改質器は、炭化水素系燃料から水素を含む 質ガスを製造する。改質器においては、水 気改質、部分酸化改質、および、水蒸気改 反応に部分酸化反応が伴うオートサーマル フォーミングのいずれを行ってもよい。

 改質器は、水蒸気改質能を有する水蒸気 質触媒、部分酸化改質能を有する部分酸化 質触媒、部分酸化改質能と水蒸気改質能と 併せ持つオートサーマル改質触媒を適宜用 ることができる。

 炭化水素系燃料(必要に応じて予め気化さ れる)および水蒸気、さらに必要に応じて空 等の酸素含有ガスをそれぞれ単独で、もし は適宜混合した上で改質器(改質触媒層)に供 給することができる。また、改質ガスは高温 型燃料電池のアノードに供給される。

 高温型燃料電池のなかでも、間接内部改 型SOFCはシステムの熱効率を高めることがで きる点で優れている。間接内部改質型SOFCは 水蒸気改質反応を利用して炭化水素系燃料 ら水素を含む改質ガスを製造する改質器と SOFCとを有する。この改質器では、水蒸気改 反応を行うことができ、また、水蒸気改質 応に部分酸化反応が伴うオートサーマルリ ォーミングを行ってもよい。SOFCの発電効率 の観点からは起動完了後、部分酸化反応は起 きない方が好ましい。オートサーマルリフォ ーミングにおいても、起動完了後は水蒸気改 質が支配的になるようにされ、従って改質反 応はオーバーオールで吸熱になる。そして、 改質反応に必要な熱がSOFCから供給される。 質器とSOFCが一つのモジュール容器に収容さ モジュール化される。改質器はSOFCから熱輻 射を受ける位置に配される。こうすることに よって、発電時にSOFCからの熱輻射によって 質器が加熱される。また、SOFCから排出され アノードオフガスをセル出口で燃焼させる とにより、SOFCを加熱することもできる。

 間接内部改質型SOFCにおいて、改質器は、 SOFCから改質器の外表面へと直接輻射伝熱可 な位置に配することが好ましい。従って改 器とSOFCとの間には実質的に遮蔽物は配置し いこと、つまり改質器とSOFCとの間は空隙に することが好ましい。また、改質器とSOFCと 距離は極力短くすることが好ましい。

 各供給ガスは必要に応じて適宜予熱され うえで改質器もしくはSOFCに供給される。

 モジュール容器としては、SOFCと改質器と を収容可能な適宜の容器を用いることができ る。その材料としては、例えばステンレス鋼 など、使用する環境に耐性を有する適宜の材 料を用いることができる。容器には、ガスの 取り合い等のために、適宜接続口が設けられ る。

 セル出口がモジュール容器内で開口して る場合は特に、モジュール容器の内部と外 (大気)とが連通しないように、モジュール 器が気密性を持つことが好ましい。

 〔改質触媒〕
 改質器で用いる水蒸気改質触媒、部分酸化 質触媒、オートサーマル改質触媒のいずれ 、それぞれ公知の触媒を用いることができ 。部分酸化改質触媒の例としては白金系触 、水蒸気改質触媒の例としてはルテニウム およびニッケル系、オートサーマル改質触 の例としてはロジウム系触媒を挙げること できる。燃焼を促進可能な改質触媒の例と ては白金系およびロジウム系触媒を挙げる とができる。

 部分酸化改質反応が進行可能な温度は例 ば200℃以上、水蒸気改質反応が進行可能な 度は例えば400℃以上である。

 以下、水蒸気改質、オートサーマル改質 部分酸化改質のそれぞれにつき、改質器に ける起動時および定格運転時の条件につい 説明する。

 水蒸気改質では、灯油等の改質原料にスチ ムが添加される。水蒸気改質の反応温度は えば400℃~1000℃、好ましくは500℃~850℃、さ に好ましくは550℃~800℃の範囲で行うことが できる。反応系に導入するスチームの量は、 炭化水素系燃料に含まれる炭素原子モル数に 対する水分子モル数の比(スチーム/カーボン )として定義され、この値は好ましくは1~10 より好ましくは1.5~7、さらに好ましくは2~5と される。炭化水素系燃料が液体の場合、この 時の空間速度(LHSV)は炭化水素系燃料の液体状 態での流速をA(L/h)、触媒層体積をB(L)とした 合A/Bで表すことができ、この値は好ましく 0.05~20h -1 、より好ましくは0.1~10h -1 、さらに好ましくは0.2~5h -1 の範囲で設定される。

 オートサーマル改質ではスチームの他に 素含有ガスが改質原料に添加される。酸素 有ガスとしては純酸素でも良いが入手容易 から空気が好ましい。水蒸気改質反応に伴 吸熱反応をバランスし、かつ、改質触媒層 SOFCの温度を保持もしくはこれらを昇温でき る発熱量が得られるように酸素含有ガスを添 加することができる。酸素含有ガスの添加量 は、炭化水素系燃料に含まれる炭素原子モル 数に対する酸素分子モル数の比(酸素/カーボ 比)として好ましくは0.005~1、より好ましく 0.01~0.75、さらに好ましくは0.02~0.6とされる。 オートサーマル改質反応の反応温度は例えば 400℃~1000℃、好ましくは450℃~850℃、さらに好 ましくは500℃~800℃の範囲で設定される。炭 水素系燃料が液体の場合、この時の空間速 (LHSV)は、好ましくは0.05~20、より好ましくは0 .1~10、さらに好ましくは0.2~5の範囲で選ばれ 。反応系に導入するスチームの量は、スチ ム/カーボン比として好ましくは1~10、より好 ましくは1.5~7、さらに好ましくは2~5とされる

 部分酸化改質では酸素含有ガスが改質原 に添加される。酸素含有ガスとしては純酸 でも良いが入手容易性から空気が好ましい 反応を進めるための温度を確保するため、 のロス等において適宜添加量は決定される その量は、炭化水素系燃料に含まれる炭素 子モル数に対する酸素分子モル数の比(酸素 /カーボン比)として好ましくは0.1~3、より好 しくは0.2~0.7とされる。部分酸化反応の反応 度は、例えば450℃~1000℃、好ましくは500℃~8 50℃、さらに好ましくは550℃~800℃の範囲で設 定することができる。炭化水素系燃料が液体 の場合、この時の空間速度(LHSV)は、好ましく は0.1~30の範囲で選ばれる。反応系においてす すの発生を抑制するためにスチームを導入す ることができ、その量は、スチーム/カーボ 比として好ましくは0.1~5、より好ましくは0.1 ~3、さらに好ましくは1~2とされる。

 〔他の機器〕
 本発明で用いるSOFCシステムにおいて、高温 型燃料電池システムの公知の構成要素は、必 要に応じて適宜設けることができる。具体例 を挙げれば、炭化水素系燃料に含まれる硫黄 分を低減する脱硫器、液体を気化させる気化 器、各種流体を加圧するためのポンプ、圧縮 機、ブロワなどの昇圧手段、流体の流量を調 節するため、あるいは流体の流れを遮断/切 替えるためのバルブ等の流量調節手段や流 遮断/切り替え手段、熱交換・熱回収を行う めの熱交換器、気体を凝縮する凝縮器、ス ームなどで各種機器を外熱する加熱/保温手 段、炭化水素系燃料や可燃物の貯蔵手段、計 装用の空気や電気系統、制御用の信号系統、 制御装置、出力用や動力用の電気系統などで ある。

 本発明は、例えば定置用もしくは移動体 の発電システムに、またコージェネレーシ ンシステムに利用される高温型燃料電池シ テムに適用できる。