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Title:
FUEL CONTROL SYSTEM FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136357
Kind Code:
A1
Abstract:
Intended is to smoothen the dispersion of combustions between a plurality of cylinders satisfactorily. In an internal combustion engine having a plurality of cylinders, a fuel control system for smoothing the dispersion of the combustions between the cylinders detects an output signal (dωact) indicating the running states of the internal combustion engine, sets a reference signal (Fcr#i) for each of the cylinders, takes a correlation between an output signal and the corresponding reference signal for each of the cylinders, and calculates the value of a correlation function (Cr#i). The fuel control system calculates a target value (Cr_trg) for the cylinders, and calculates a correction value (Kcom#i) for correcting a fuel injection rate (Kin#i) to the cylinders so that the value of the correlation function may converge to the target value for each cylinder. Here, one of the cylinders is set as a reference cylinder, and the reference signals set for the individual cylinders are generated on the basis of the signals obtained by extracting the portion corresponding to the reference cylinder, from the output signals.

Inventors:
KODOU SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057945
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
KODOU SATOSHI (JP)
International Classes:
F02D41/40; F02D45/00
Domestic Patent References:
WO2006059789A12006-06-08
Foreign References:
JP2006161577A2006-06-22
JP2000054889A2000-02-22
JPH03210042A1991-09-13
JP2006161577A2006-06-22
Other References:
See also references of EP 2143921A4
Attorney, Agent or Firm:
OKADA, FUSHIMI AND HIRANO, PC (2-7Kudan-minami 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 74, JP)
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Claims:
 複数の気筒を備える内燃機関において、各気筒の燃焼を平滑化するための燃料制御装置であって、
 前記内燃機関の運転状態を表す出力信号を検出する検出手段と、
 前記複数の気筒のそれぞれについて、基準信号を設定する基準信号設定手段と、
 前記複数の気筒のそれぞれについて、前記出力信号と、対応する前記基準信号との相関を取り、相関関数の値を算出する相関関数値算出手段と、
 前記複数の気筒についての目標値を算出する手段と、
 前記複数の気筒のそれぞれについて、前記相関関数の値を前記目標値に収束させるよう、該気筒への燃料噴射量を補正するための補正値を算出する補正値算出手段と、を備え、
 前記基準信号設定手段は、前記複数の気筒のうちの1つの気筒を基準気筒とし、該複数の気筒のそれぞれについて設定される前記基準信号を、該基準気筒に該当する部分を前記出力信号から抽出することにより得た信号に基づいて生成する、
 内燃機関の燃料制御装置。
 前記基準信号設定手段は、前記基準信号を、燃焼サイクルごとに生成する、
 請求項1に記載の燃料制御装置。
 前記出力信号は、前記内燃機関の出力の変動成分のみを表す信号である、
 請求項1または2に記載の燃料制御装置。
 前記目標値は、前記基準気筒について算出された前記相関関数の値である、
 請求項1から3のいずれかに記載の燃料制御装置。
 前記相関関数値算出手段は、さらに、前記基準信号の標準偏差の2乗により前記相関関数を正規化して、正規化済み相関関数を算出し、
 前記補正値算出手段は、前記複数の気筒のそれぞれについて、前記正規化済み相関関数の値を前記目標値に収束させるよう、該気筒への燃料噴射量を補正するための補正値を算出する、
 請求項1から4のいずれかに記載の燃料制御装置。
 所定の条件を満たしたとき、前記相関関数値の算出および前記補正値の算出を所定期間停止する、
 請求項1から5のいずれかに記載の燃料制御装置。
 前記所定の条件は、前記内燃機関の回転数が所定値以上となった時、を含み、
 前記出力信号は、該内燃機関の回転の角速度を示す信号である、
 請求項6に記載の燃料制御装置。
 前記所定の条件は、前記燃料噴射量が所定値以下となった時、を含む、
 請求項6または7に記載の燃料制御装置。
 前記所定期間は、前記基準信号が算出される周期に基づいて設定される、
 請求項6から8のいずれかに記載の燃料制御装置。
 前記複数の気筒のそれぞれについて、前記基準信号の標準偏差および前記出力信号の標準偏差で前記相関関数を正規化することにより算出される第2の相関関数が所定値以下の時、前記補正値算出手段による補正値の算出を停止する、
 請求項1から9のいずれかに記載の燃料制御装置。
 前記複数の気筒のそれぞれについて、前記出力信号から、該気筒に対応するクランク角領域における値を切り出すと共に、他の気筒に対応するクランク角領域における値をゼロに設定した信号を、気筒毎出力信号として生成する手段を備え、
 前記複数の気筒のそれぞれについて前記第2の相関関数を算出するのに用いられる前記出力信号の標準偏差は、該気筒毎出力信号の標準偏差である、
 請求項10に記載の燃料制御装置。
 前記内燃機関はディーゼルエンジンであり、前記出力信号は、該エンジンのクランク軸に取り付けられたセンサの出力に基づく信号である、
 請求項1から11のいずれかに記載の燃料制御装置。
Description:
内燃機関の燃料制御装置

 本発明は、内燃機関の複数の気筒間の燃 のばらつきを平滑化するための制御装置に する。

 複数の気筒を備える内燃機関において、 筒間に燃焼のばらつきが生じると、トルク みでなく排出ガス成分についても気筒間に らつきが生じ、ドライバビリティ低下を生 させるだけでなく、エミッションが悪化す おそれがある。したがって、このような気 間のばらつきを補償する手法が提案されて る。

 下記の特許文献1の手法によると、気筒間の 空燃比のばらつきを抑制するために、各気筒 について、空燃比を表すセンサ検出値と、所 定の基準信号との間の相関を表す相関関数の 値を演算する。目標値として、全気筒につい て該相関関数の値を平滑した値を用いる。各 気筒について、該気筒の相関関数の値が目標 値に収束するように、該気筒への制御入力を 算出する。

特開2006-161577号公報

 上記の手法によると、基準信号は、予め められた信号であり、通常の運転状態にお てセンサ検出値が該基準信号に対して高い 似度を持つ前提で設定されている。このよ な基準信号との相関をとることにより、セ サ検出値を基準信号に近づけるよう制御す ことができる。

 しかしながら、内燃機関によっては、ま センサが検出する運転状態パラメータの種 によっては、上記前提が満たされない場合 ある。たとえば、センサ検出値と基準信号 波形の大きさ(後述するように、波形の大き さの類似度は、振幅方向の類似度を示し、波 形の面積がどの程度近いかを示す)は同様で るにもかかわらず、センサ検出値と基準信 の波形形状(後述するように、波形形状の類 度は、時間方向の類似度を示し、波形の時 ステップ毎の値の大きさの関係が時間的に の程度近いかを示す)が異なると、相関関数 の値が低くなり、よって、気筒間ばらつきを 補償するための制御入力の算出精度が低くな るおそれがある。

 多様な燃焼形態を持たない内燃機関や、 燃比(LAF)センサのように燃焼形態やクラン 軸に加わる外力の影響を受けにくい運転状 パラメータのセンサ検出値に基づく場合に 、センサ検出値の波形形状のずれも小さく よって基準信号を固定してもよい。しかし がら、ディーゼルエンジンや燃料の多段噴 を行うような多様な燃焼形態を実現する内 機関や、クランク角センサのように、燃焼 態やクランク軸に加わる外力の影響を受け すいセンサの検出値を用いる場合には、セ サ検出値の波形形状が運転状態によって大 く変化するため、上記のような問題が生じ る。このような問題を回避するためには、 焼形態ごとに基準信号を設定したり、用い センサの種類ごとに基準信号を設定する必 があるが、これは困難であり、また、演算 複雑にする。

 したがって、多様な燃焼状態や運転状態 実現する内燃機関においても複数の気筒間 燃焼のばらつきを平滑化することができる 燃機関の制御装置が望まれている。また、 ンサにより検出する運転状態パラメータの 類に依存することなく、複数の気筒間の燃 のばらつきを平滑化することができる内燃 関の制御装置が望まれている。

 本願発明の一つの側面によると、複数の 筒を備える内燃機関において、各気筒の燃 のばらつきを平滑化するための燃料制御装 は、内燃機関の運転状態を表す出力信号(dω act)を検出する検出手段と、複数の気筒のそ ぞれについて、基準信号(Fcr#i)を設定する手 と、複数の気筒のそれぞれについて、出力 号と、対応する基準信号との相関を取り、 関関数(Cr#i)の値を算出する手段と、複数の 筒についての目標値(Cr_trg)を算出する手段 、複数の気筒のそれぞれについて、相関関 の値を目標値に収束させるよう、該気筒へ 燃料噴射量(Kin#i)を補正するための補正値(Kco m#i)を算出する手段と、を備える。ここで、 数の気筒のうちの1つの気筒を基準気筒とし 複数の気筒のそれぞれについて設定される 準信号を、該基準気筒に該当する部分を出 信号から抽出することにより得た信号に基 いて生成する。

 この発明によれば、基準気筒に該当する 分を出力信号から抽出することにより得た 号に基づいて各気筒の基準信号を生成し、 基準信号を、各気筒の相関関数値の算出に いる。したがって、内燃機関の燃焼状態や 力信号として検出される運転状態パラメー の種類が変化した場合でも、相関関数値か 、出力信号の基準信号に対する波形形状の いに起因する不一致成分を除去することが きる。結果として、相関関数値は、出力信 と基準信号との間の波形の大きさに関する 似度を表すものとなる。波形の大きさに関 る類似度は、気筒間の燃焼のばらつきを表 ており、よって、相関関数値に基づいて燃 噴射量を補正することにより、良好な精度 気筒間の燃焼のばらつきを平滑化すること できる。このような燃焼ばらつきの平滑化 より、出力トルクおよび排出ガス成分等の うな出力特性についての気筒間バラツキを 滑化することができる。また、このような 準信号の設定により、燃焼状態ごとに基準 号を設定したり、検出する運転状態パラメ タの種類ごとに基準信号を設定する必要が くなる。

 本願発明の一実施形態によると、基準信 は、燃焼サイクルごとに算出される。こう て、各燃焼サイクルにおいて、燃焼状態お び運転状態の変化に速やかに対応するよう 準信号を更新することができる。

 本願発明の一実施形態によると、出力信 は、内燃機関の出力(dωraw)の変動成分のみ 表す信号である。気筒間ばらつきは、内燃 関の出力の変動成分によってもたらされる で、変動成分のみを表した信号を用いるこ により、相関関数値の演算負荷を低減する とができると共に、補正値の算出精度を向 させることができる。

 本願発明の一実施形態によると、目標値( Cr_trg)は、基準気筒について算出された相関 数の値である。これにより、各気筒の出力 ルクおよび排出ガス成分等のような出力特 を、基準気筒の出力特性に収束させること できる。

 本願発明の一実施形態によると、基準信号( Fcr#i)の標準偏差(S FCR #i)の2乗により相関関数(Cr#i)を正規化するこ により、正規化済み相関関数(CrH#i)を算出す 。このような正規化により、算出される相 関数値が定量的に得られるので、気筒間ば つきを定量的に取り扱うことができる。ま 、基準信号の標準偏差で正規化することに り、基準気筒の相関関数値に対する他の気 の相関関数値の大きさの差を良好な精度で 出することができる。

 本願発明の一実施形態によると、所定の 件を満たしたとき、相関関数値の算出およ 補正値の算出を所定期間停止する。所定の 件は、一実施形態では、エンジン回転数が 定値以上となった時、を含む。出力信号は エンジン回転の角速度を示す信号である。 ンジン回転数が高いときには角速度の変動 が小さくなり、よって出力信号の精度が低 するおそれがあるからである。他の実施形 では、所定の条件は、燃料噴射量が所定値 下となった時である。燃料噴射量が小さい きには、内燃機関の出力に与える影響も小 くなり、よって気筒間ばらつきの検出精度 低下するおそれがあるからである。また、 記停止の所定期間は、基準信号が算出され 周期に基づいて設定されることができる。 うして、適切な相関関数値を算出すること できない期間については、相関関数値およ 補正値の算出を停止することができる。

 本願発明の一実施形態によると、基準信号( Fcr#i)の標準偏差(S Fcr #i)および出力信号の標準偏差(S dωdiv #i)で相関関数(Cr#i)を正規化することにより算 出される第2の相関関数(CrS#i)が所定値以下の には、補正値の算出を停止する。基準信号 出力信号の波形形状が一致しないとき、相 関数値にその影響が含まれ、よって補正値 算出精度が低下するおそれがある。したが て、このような場合には、補正値の算出を 止する。

 本願発明の一実施形態によると、複数の 筒のそれぞれについて、出力信号(dωact)か 、該気筒に対応するクランク角領域におけ 値を切り出すと共に、他の気筒に対応する ランク角領域における値をゼロに設定した 号が、気筒毎出力信号(dωdiv#i)として生成さ る。上記第2の相関関数を算出するのに用い られる出力信号の標準偏差は、該気筒毎出力 信号の標準偏差である。こうして、他の気筒 の影響を除去することにより、第2の相関関 の算出精度が向上する。

 本願発明の一実施形態によると、内燃機 はディーゼルエンジンであり、出力信号は エンジン回転の角速度を表す。こうして、 様な燃焼形態を持つディーゼルエンジンに いても、相関関数値を随時適切に算出する とができ、よって気筒間ばらつきを良好な 度で平滑化することができる。

本発明の一実施形態に従う、内燃機関 制御装置の概略的な構成図である。 従来の相関関数の算出についての課題 説明するための図。 本発明の一実施形態に従う、相関関数 算出手法を説明するための図。 本発明の一実施形態に従う、相関関数 算出手法を説明するための図。 本発明の一実施形態に従う、相関関数 算出手法を説明するための図。 本発明の一実施形態に従う、制御装置 ブロック図。 本発明の一実施形態に従う、角速度信 を抽出する手法を説明するための図。 本発明の一実施形態に従う、気筒別に 速度信号を切り分ける手法を説明するため 図。 本発明の一実施形態に従う、基準信号 生成する手法を説明するための図。 本発明の一実施形態に従う、制御プロ セスを示すフローチャート。

 次に図面を参照してこの発明の実施の形 を説明する。図1は、この発明の一実施形態 に従う、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)お びその制御装置の全体的な構成図である。

 電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)1 は、中央演算処理装置(CPU)およびメモリを備 るコンピュータである。メモリには、車両 様々な制御を実現するためのコンピュータ プログラムおよび該プログラムの実施に必 なデータを格納することができる。ECU1は、 車両の各部から送られてくるデータを受け取 って演算を行い、車両の各部を制御するため の制御信号を生成する。

 エンジン2は、この実施例ではディーゼル エンジンであり、4つの気筒3a~3dを備えている 。これらの気筒には、それぞれ、第1~第4(#1~#4 )の識別番号が割り振られている。図では、 れらの気筒が直列に配列されているが、こ ような配列に本願発明は限定されない。

 エンジン2の各気筒3a~3dには、吸気通路4か ら分岐した吸気管4a~4dがそれぞれ連結される 共に、排気管5a~5dがそれぞれ連結され、該 気管5aから5dは、集合部において排気通路5に 接続されている。それぞれの気筒3a~3dには、 料噴射弁7a~7dが、該気筒の燃焼室に臨むよ に取り付けられている。

 燃料噴射弁7a~7dは、コモンレール(図示せ )を介して、高圧ポンプおよび燃料タンク( 示せず)に接続されている。高圧ポンプは、 料タンク内の燃料を昇圧した後、コモンレ ルを介して燃料噴射弁7a~7dに送り、燃料噴 弁7a~7dは、受取った燃料を対応する燃焼室内 に噴射する。燃料噴射弁7a~7dにより噴射され 燃料の量は、ECU1からの制御信号に従って制 御される。この実施例では、4つの気筒3a~3dに ついて、#1→#3→#4→#2の順で燃料噴射が実行 れる。

 エンジン2のクランク軸(図示せず)には、 ランク角センサ9が取り付けられている。ク ランク角センサ9は、クランク軸の回転に従 、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTD C信号をECU2に出力する。CRK(クランク)信号は 所定のクランク角(例えば30度)ごとに1パルス が出力される信号である。ECU1は、このクラ クパルス信号に応じ、エンジン2の回転数NE 算出する。TDC信号は、各気筒のピストン(図 せず)の上死点(TDC)位置に関連したクランク 度で出力される。4気筒タイプの本例では、 クランク角180度ごとに1パルスが出力される

 この実施例においては、ECU1は、クランク 角センサ9からの信号に応じて、メモリに記 されたプログラムおよびデータ(マップを含 )を用い、各気筒への燃料噴射量を算出する 。算出された燃料噴射量に従う制御信号が各 気筒の燃料噴射弁7a~7dに送られ、該燃料噴射 7a~7dを駆動する。これにより、気筒間にお て、燃焼の平滑化が図られ、よって出力ト クおよび排出ガス成分等の出力特性を平滑 することができる。

 ここで、図2~図5を参照して、本願発明の 解を深めるため、本願発明の目的および原 を説明する。図2は、前述した従来の手法に 従い、4つの気筒#1~#4について、(a)内燃機関の 運転状態を各気筒について検出する所定のセ ンサ(たとえば、クランク角センサ)の出力に づく信号(出力信号)Sと、(b)所定の基準信号F と、(c)両者の相関関数Cの挙動の一例を示す

 この実施例では、1燃焼サイクルT1(クラン ク角度720度)の間に、#1、#3、#4および#2の順番 で燃焼が実施されるので、出力信号Sの波形 、#1、#3、#4および#2の順番にピークが生成さ れるような形状をしている。各気筒の燃焼に 割り当てられる周期T2は、この実施例では気 が4つであるので、クランク角度180度である 。たとえば、クランク角センサの出力からエ ンジン回転の角速度を算出すると、各気筒の 燃焼に応じて、一旦上昇した後に下降するよ うな挙動を呈し、(a)のような波形が得られる 。

 (b)に示す基準信号Fは、予め決められた信号 であり、上記センサから得られる出力信号S 特徴を表すよう予め生成される。(c)には、 力信号Sと基準信号Fとが重ねて表示されてお り、さらに、両者の相関関数Cの値が示され いる。ここで、相関関数Cは、以下の式(1)で 出されることができ、各気筒#i(i=1~4)につい 、基準信号Fと出力信号Sの積を、1燃焼サイ ルに相当する期間にわたって積分した値を 滑化することにより算出される。Nは、1燃 サイクルあたりのクランクパルス数を示し この例では24である。kは、時間ステップを し、相関関数Cの値は逐次的に算出される。 では、4つの気筒の相関関数Cの値が重ねて 示されている。

 時間t0~t1の第1の燃焼サイクルにおいて、 力信号Sと基準信号Fは一致しており、波形 大きさおよび波形形状の類似度は高い。こ で、波形の大きさの類似度は、両者の波形 振幅方向にどの程度類似しているかを示し 波形形状の類似度は、波形が時間方向にど 程度類似しているかを示す。より具体的に 、前者は、両者の波形の面積がどの程度近 かを示しており、後者は、両者の波形の時 ステップ毎の値の大きさの関係が時間的に の程度近いかを示している。相関関数Cの値 、波形の大きさの類似度だけでなく、波形 状の類似度をも反映している。したがって 第1の燃焼サイクルにおける相関関数Cの値 、比較的高い値c1を保持している。

 時間t1~t2の第2の燃焼サイクルでは、第1の 燃焼サイクルと比較して、出力信号Sが、た えば燃焼形態の変化等に起因して変化して る。出力信号Sの波形の面積は、基準信号Fの 波形の面積とほぼ同じであり、よって、波形 の大きさの類似度は高い。しかしながら、符 号11に示すように、出力信号Sの立ち上がりに 時間的遅延が生じており、結果として、出力 信号Sのピークは、基準信号Fのピークに対し 時間的にずれている。両者の波形形状の類 度が低下するので、(c)に示すように、第2の 燃焼サイクルにおける相関関数Cの値c2は、第 1の燃焼サイクルにおける相関関数Cの値c1に べて低下する。

 時間t2~t3の第3の燃焼サイクルでは、出力 号Sがさらに変化する。出力信号Sの波形の 積は、基準信号Fの波形の面積とほぼ同じで るが、符号12に示すように、出力信号Sの立 上がりにさらなる時間的遅延が生じており 結果として、出力信号Sのピークは、基準信 号Fのピークに対し、時間的にずれている。(c )に示すように、両者の波形形状の類似度が らに低下するので、第3の燃焼サイクルにお る相関関数Cの値c3は、第2の燃焼サイクルに おける相関関数Cの値c2に比べてさらに低下す る。

 このように、出力信号Sと基準信号Fの波 の大きさの類似度が高くても、波形形状の 似度が低下するにつれ、相関関数Cの値は低 なる。しかしながら、気筒間のばらつきは 主に、波形の大きさの類似度に基づいて判 すべきである。波形の面積が、その気筒の 力の大きさを表しているからである。符号1 1および12のような時間的遅延が波形に生じた としても、各気筒の出力信号Sの面積は気筒 で同じであり、よって気筒間の燃焼は平滑 れているといえる。したがって、波形形状 不一致に主に起因して低い値となった相関 数Cに基づいて気筒間のバラツキを算出する 、該算出精度が低下するおそれがある。相 関数Cの値は、波形形状の類似度ではなく、 波形の大きさの類似度を主に反映した値とな るよう算出するのが好ましい。

 前述したように、多様な燃焼形態を持た い内燃機関や、LAFセンサの出力のように、 焼形態やクランク軸に加わる外力の影響を けにくいセンサの出力を用いる場合には、 力信号Sの波形形状がほぼ一定となり、基準 信号を固定してもよい。しかしながら、ディ ーゼルエンジンや燃料の多段噴射を行うよう な多様な燃焼形態を実現する内燃機関や、ク ランク角センサのように、燃焼形態やクラン ク軸に加わる外力の影響を受けやすいセンサ を用いる場合には、波形形状が運転状態によ って大きく変化するため、上記のような問題 が生じうる。

 したがって、本願発明では、基準信号を 予め決められた信号として生成するのでは く、センサの出力(すなわち、実値)から生 する。図3の例を参照すると、気筒#1を基準 筒とし、各燃焼サイクルにおける気筒#1の出 力信号Sの波形を、すべての気筒の基準信号 用いる。より具体的には、各燃焼サイクル おいて、符号13に示される気筒#1の波形を時 方向にシフトすることにより、#3、#4および #2の気筒の基準信号Fを生成する。

 各気筒について、こうして生成された基 信号Fと出力信号Sとの相関関数Cの値を算出 る。実値を用いて基準信号Fを生成するので 、(c)に示されるように、第1~第3の燃焼サイク ルにわたって出力信号Sの波形形状が変化し 場合でも、相関関数Cの値はc1に維持されて り、相関関数値の低下が防止されている。

 この実施例では、式(1)に示されるように 相関関数Cが、出力信号Sと基準信号Fの積を1 燃焼サイクルに相当する期間にわたって積分 した値に基づくので、符号15に示されるよう 、波形形状が切り替わったタイミング(第1 ら第2の燃焼サイクルに切り替わるタイミン 、および第2から第3の燃焼サイクルに切り わるタイミング)では、相関関数Cの値に一時 的な乱れが生じているが(これは、後述する うに除去可能である)、相関関数Cの値は一定 に維持されている点に注意されたい。たとえ ば、現時点がtx3で示される時点であるとする と、1燃焼サイクル前の時点tx1で演算された 筒#1の相関関数Cの値と、現時点tx3で演算さ た気筒#1の相関関数Cの値とは、第1および第2 の燃焼サイクルの間で波形形状が変化してい るので、異なる値となる。すなわち、tx3で演 算された相関関数Cの値は、tx1で演算された 関関数Cの値より低くなっている。しかしな ら、波形16および波形17の面積が同じである ので、時点tx4で計算された相関関数Cの値c1は 、時点tx2で計算された相関関数Cの値c1と等し くなる。このように、各気筒の周期T2の終わ では、相関関数Cの値が一定値c1に収束して る。

 図4の(a)は、燃焼形態の変化等により、出 力信号Sの波形の大きさが変化する場合を示 。基準信号Fは、図3を参照して説明したよう に、基準気筒#1の出力信号Sに基づいて生成さ れる。出力信号Sと基準信号Fは一致しており 簡略のため、両者は重ねて示されている。

 出力信号Sの面積が増大するにつれ、相関 関数Cの値もc1~c3と増大している。このように 相関関数Cの値が大きくなると、気筒間にバ ツキが無くても、相関関数Cが、第1~第3燃焼 イクルにわたって異なる値となる。これは 気筒間のバラツキの算出精度を低下させる それがある。このような問題は、LAFセンサ のように、出力信号の大きさがほとんど変 しない場合には問題とならないが、クラン 角センサのように、運転状態によって出力 号の大きさが随時変化する場合には問題と りうる。相関関数Cの値は、定量的に得るの が好ましい。

 したがって、より好ましい実施形態では 基準信号Fの標準偏差の2乗により相関関数C 正規化する。相関関数Cは、式(1)に示すよう に、基準信号Fと出力信号Sの共分散と考える とができるので、基準信号Fの標準偏差の2 で正規化することにより、相関関数Cを定量 に算出することができる。図4の(b)は、この ような正規化済み相関関数C’の値を示して り、出力信号Sの大きさが変化しても、正規 済み相関関数C’の値は一定となっている。

 さらに、図5は、出力信号Sの波形の大き および波形形状が同時に変化した場合を示 。(a)は、正規化されていない相関関数Cの値 示し、(b)は、図4を参照して述べたような正 規化済み相関関数C’の値を示す。基準信号F 、図3を参照して説明したように、各燃焼サ イクルにおいて気筒#1の出力信号Sから生成さ れている。また、出力信号Sと基準信号Fは一 しており、簡略のため、両者は重ねて示さ ている。

 (a)に示すように、相関関数を正規化して ない場合には、図3を参照して述べたような 相関関数Cの乱れが、出力信号Sの波形形状が り替わったタイミングで生じている。しか ながら、この乱れは、出力信号Sの基準信号 Fに対する波形形状の不一致に基づくもので なく、出力信号Sと基準信号Fの波形は一致し ている。したがって、このような乱れは、(b) に示すように、相関関数を正規化することに より解消されることができる。

 次に、図3~図5を参照して述べたことを実 するための具体的な実施形態を説明する。 6は、本発明の一実施形態による、燃料制御 装置のブロック図を示す。各機能ブロックは 、ECU1において実現される。

 クランク角センサ9からのクランクパルス は、クランク角度30度ごとに変動量抽出部51 より受け取られる。変動量抽出部51は、受け 取ったクランクパルスに基づいて、エンジン の角速度dωraw(rad/秒)を算出する。クランク角 センサ9のクランクパルスの発生時間間隔か 角速度dωraw(rad/秒)を算出することができる

 ここで、図7の(a)を参照すると、角速度信 号dωrawの一例が示されている。kは、時間ス ップを示し、典型的には、クランク角度で される。この実施形態では、前述したよう 、1燃焼サイクル(クランク角度720度)の間に #1=>#3=>#4=>#2の気筒の順番で燃焼が行わ れる。角速度dωrawは、各気筒において、燃料 と空気の混合気の燃焼により一旦上昇した後 、減少する。

 変動量抽出部51は、図7の(a)のような角速 信号dωrawにおいて、符号61に示すように、 気筒の燃焼の開始点(この例では、各気筒の 料噴射タイミングに着火遅れを考慮したタ ミングに相当する)における角速度をゼロに 設定し、角速度信号dωrawの該ゼロに対する差 分(変動量)を抽出する。すなわち、該ゼロの インで角速度dωrawの変動成分を抽出し、図7 の(b)に示すような角速度信号dωactを得る。

 代替的に、変動量抽出部51は、各燃焼サ クルにおいて、符号62に示すように、角速度 dωrawの全気筒についての平均値を算出し、こ れをゼロに設定してもよい。該ゼロに対する 角速度dωrawの変動成分を抽出すると、図7の(c )のような角速度信号dωactが得られる。

 変動量抽出部51の目的は、各気筒につい 、エンジンの運転状態、より具体的にはエ ジンの出力(燃料量と相関のある出力を示し 例えば、トルク、空燃比、筒内圧等を含む) を表す信号を得ることである。上記のように 、気筒間のばらつきは、該出力の変動成分に 現れるので、定常成分は不要である。変動成 分のみを抽出することにより、後述する相関 関数の値の絶対値のうち気筒間のばらつき量 が占める割合が大きくなり、演算精度を向上 させることができる。

 図6に戻り、気筒別信号抽出部52は、各燃 サイクルにおいて、角速度信号dωactを気筒 に切り分ける。この実施例では、4つの気筒 を備えるので、クランク角度180度ごとに、#1= >#3=>#4=>#2の気筒の順番で燃焼が行われ 。したがって、角速度信号dωactを180度ごと 切り出せばよい。

 ここで図8を参照すると、角速度信号dωact から、気筒#1の角速度信号dωdiv#1、気筒#3の角 速度信号dωdiv#3、気筒#4の角速度信号dωdiv#4、 気筒#2の角速度信号dωdiv#2が切り出される。 に示されるように、各気筒の角速度信号dωdi v#iは、他の気筒のクランク角度領域において はゼロの値を持つよう生成される。たとえば 、気筒#1の角速度信号dωdiv#1は、クランク角 0~180度の間のみ値を持ち、クランク角度180~72 0度の間ではゼロである。

 図6に戻り、基準信号生成部53は、任意の 筒(この実施例では、気筒#1)を基準気筒とす る。ここで図9を参照すると、各燃焼サイク 中の気筒#1の角速度信号dωdiv#1を、気筒#1に 応する基準信号Fcr#1とする。

 基準信号Fcr#1を、遅延回路53b(図6)によって ランク角度540度遅らせることにより、気筒#2 に対応する基準信号Fcr#2を生成する(遅延回路 53bのZ -18 は、クランクパルスがクランク角度30ごとに られるので、これに同期して18回シフトす ことを示している)。

 また、基準信号Fcr#1を、遅延回路53cによ てクランク角度180度遅らせることにより、 筒#3に対応する基準信号Fcr#3を生成する。ま 、基準信号Fcr#1を、遅延回路53dによってク ンク角360度遅らせることにより、気筒#4に対 応する基準信号Fcr#4を生成する。こうして、 燃焼サイクルにおいて、基準気筒の角速度 号dωdiv#1に基づき、それぞれの気筒の基準 号が生成される。

 Fcr#2~Fcr#4は、他の遅延手法で生成しても い。たとえば、Fcr#2は、Fcr#3を360度遅らせる とにより生成することができる。

 図6に戻り、相関関数算出部54は、式(2)に従 、各気筒について、該気筒について得られ 角速度信号dωdiv#iと、該気筒について生成 れた基準信号Fcr#iとの間の相関を表す相関関 数Cr#iを算出する。ここで、iは気筒番号であ 、この実施例ではi=1~4である。Nは、1燃焼サ イクル(クランク角度720度)あたりのクランク ルスの数であり、この実施例では30度ごと クランクパルスを得るので、N=24である。kは 、前述したように時間ステップを示す。

 このように、各気筒の相関関数Cr#iは、該 気筒について生成された基準信号Fcr#iの値と 該気筒について抽出された角速度信号dωdiv# iの値との積を、1燃焼サイクルの長さに相当 る期間にわたって積分した値を平均したも を表している。基準信号Fcr#iの波形と角速 信号dωdiv#iの波形との間の類似度が高いほど 、相関関数Cr#iは高い値をとる。

 さらに、相関関数算出部54は、各気筒につ て、式(3)に従って基準信号Fcr#iの標準偏差S FCR #iを算出し、式(4)に従って該標準偏差S FCR #iの2乗で相関関数Cr#iを正規化して、正規化 み相関関数CrH#iを算出する。この正規化によ り、図4および図5を参照して説明したように 出力信号(この実施例では、角速度信号dωact )の大きさの変化にかかわらず、相関関数の を定量的に得ることができる。

 制御部55は、式(5)に示すように、基準気筒#1 について正規化された相関関数CrH#1を、目標 Cr_trgに設定する。基準気筒については、角 度信号の波形と基準信号の波形とが一致し いるので、適切な相関関数値が算出される したがって、この相関関数値を目標値とす ことにより、他の気筒について、該他の気 の出力特性が基準気筒の出力特性に収束す よう、燃料噴射量を適切に補正することが きる。

 所定の制御手法を用いて、各気筒について 正規化済み相関関数CrH#iを目標値Cr_trgに収 させるための補正係数Kcom#iを算出する。こ 実施例では、応答指定型制御を用いる。応 指定型制御によれば、収束速度を指定する とができる。より好ましくは、2自由度応答 定型制御を用いる。2自由度応答指定型制御 は、制御量の目標値に対する収束速度と、外 乱が印加された時に生じる偏差の収束速度を 個別に指定可能な制御である。この制御を実 施するため、以下の式に従い、目標値Cr_trgを フィルタリングする。ここで、Rは、上記の 御量の目標値に対する収束速度を表すパラ ータであり、好ましくは-1<R<0を満たす うに設定される。このフィルタリングによ 、目標値の波形が、漸近特性を有する波形 変換され、よって制御量をスムーズに目標 に収束させることができる。

 制御部55は、さらに、各気筒について、式(7 )に示すように切り換え関数σ#iを定義する。 こで、Sは、上記の外乱が印加された時の偏 差の収束速度を表すパラメータであり、好ま しくは-1<S<0を満たすように設定される。 E#iは、式(8)に示すように、正規化済み相関関 数CrH#iとフィルタ済み目標値Cr_trg_fとの偏差 ある。

 切換関数σ#i(k)=0とした式は等価入力系と呼 れ、制御量(ここでは、偏差E#i)の収束特性 規定する。σ#i(k)=0とすると、式(7)は次のよ に表される。
E#i(k)=-S・E#i(k-1)  (9)

 縦軸がE#i(k)および横軸がE#i(k-1)の位相平 上に、上記式(9)を直線(切り換え線と呼ぶ)で 表すことができる。応答指定型制御は、E#i(k- 1)およびE#i(k)の組合せからなる状態量(E#i(k-1),  E#i(k))を、該切り換え線上に載せるよう動作 する。これにより、該状態量を、外乱等の影 響されることなく、極めて安定的に位相平面 上の原点0に収束させることができる。パラ ータSの絶対値が小さくなるほど、収束速度 速くなる。

 偏差E#iを収束させるための制御入力すなわ 補正係数Kcom#iは、式(10)に従って算出される 。ここで、第1項は、切換関数σの比例項によ り表される到達則入力であり、これは、状態 量を切り換え線上に載せるための入力である 。第2項は、切換関数σの積算項で表される適 応則入力であり、定常偏差を抑制しつつ、状 態量を切換線に載せるための入力である。Krc hおよびKadpは、フィードバックゲインであり それぞれ、シミュレーション等によって予 定められる。到達則入力と適応則入力とを 算することにより、補正係数Kcom#iが算出さ る。なお、図6に示すように、気筒#1につい は偏差Eが生じないので、補正係数Kcomは算 されない。

 補正部56は、各気筒について、算出された 正係数Kcom#iで、燃料噴射量の基準値を補正 る。基準値は、運転状態に従って決められ 値であり、所望のエンジン出力を得るよう 出されている。たとえば、要求トルク(たと ば、アクセルペダルの開度に基づいて求め ことができる)およびエンジン回転数に基づ いて所定のマップ(ECU1のメモリに記憶される とができる)を参照することにより、基準値 を求めることができる。補正部56は、式(11)に 示すように、各気筒について、基準値に、該 気筒について算出された補正係数Kcom#iを乗算 することにより該基準値を補正し、燃料噴射 量Kin#iを算出する。なお、基準気筒#1につい は、補正係数Kcomが算出されていないので、 準値の補正は行われず、該基準値がそのま 用いられる。
Kin#i(k)=基準値(k)×Kcom#i(k)  (11)

 各気筒について、該気筒について算出さ た燃料噴射量Kin#iが燃料噴射弁から噴射さ るように、燃料噴射弁を駆動する制御信号 エンジン2に送出される。こうして、気筒間 燃焼が平滑化されるよう燃料噴射量が制御 れる。

 好ましくは、実行条件判断部57が設けら る。実行条件判断部57は、相関関数算出部54 よる相関関数算出の実行条件と、制御部55 よる補正係数算出の実行条件とを判断する

 実行条件判断部57は、各気筒について相 関数を算出するに先立ち、以下の条件1)~3)の いずれかでも満たされたとき、該気筒につい ての相関関数の算出および補正係数の算出の 両方を所定期間停止する。所定期間は、基準 信号が算出(更新)される周期が好ましく、こ 実施例では1燃焼サイクルに相当する期間( の実施例では、クランク角度720度)である。 止している間、該気筒の補正係数Kcomの値は 保持されたままであり、更新されない。

1)基準気筒の角速度信号が得られていない
2)エンジン回転数NEが所定値より大きいとき
3)燃料噴射量の基準値が所定値より小さいと

 上記1)は、基準気筒の角速度信号が得ら ないと、基準信号を生成することができな ためである。上記2)は、エンジン回転数NEが いときには角速度の変動量の値が小さくな 、よって角速度の変動量の検出精度が低下 るおそれがあるからである。上記3)は、燃 噴射量の基準値が小さいと、燃料噴射量が ンジン回転の変動に与える影響が小さくな 、よって角速度の変動量の検出精度が低下 るおそれがあるからである。

 好ましくは、実行条件判断部57は、さら 、各気筒について補正係数を算出するに先 ち、以下の条件4)および5)のいずれかが満た れたとき、該気筒についての補正係数の算 を、所定期間(たとえば、10秒)停止し、運転 状態が安定するのを待つ。代替的に、所定期 間を、1燃焼サイクルに相当する期間として よい。停止している間、該気筒の補正係数Kc omは保持されたままであり、更新されない。

4)正規化済み相関関数CrH#i(k)の変化量が所定 より大きいとき
5)CrS#i(k)が所定値より小さいとき

 ここで、正規化済み相関関数CrH#i(k)の変 量は、たとえば、各気筒について、正規化 み相関関数の今回値CrH#i(k)と、正規化済み相 関関数の前回値CrH#i(k―1)の差により表される ことができる。

 上記4)は、運転状態または燃焼状態が変 し、基準信号Fcr#iと角速度信号dωdiv#iとの間 波形形状に不一致が生じている可能性が高 ためである。図4を参照して説明したように 、相関関数を正規化することにより、角速度 信号の波形の大きさが変化しても、相関関数 の値を一定にすることができる。しかしなが ら、たとえば運転状態または燃焼状態が、基 準気筒の燃焼と他の気筒の燃焼との間で急変 すると、基準気筒以外の気筒について、角速 度信号の波形形状が基準信号の波形形状に対 して不一致を起こすことがあり、この不一致 が大きいほど、正規化済み相関関数の値が低 下する。このような場合には、図2を参照し 説明したように、気筒間のバラツキを正確 判断できないおそれがあるので、補正係数 更新を行わないのが好ましい。

 上記5)は、基準信号Fcr#iと角速度信号dωdiv#i 波形形状が不一致なことを表しているから ある。ここで、CrSは、式(12)に従って、相関 関数Crを、基準信号Fcrと角速度信号dωdivで正 化した値である(第2の相関関数と呼ぶ)。

 前述したように、相関関数Crは、基準信 Fcrと角速度信号dωdivの共分散を表している 考えることができるので、第2の相関関数CrS# iの値は、基準信号Fcr#iの大きさおよび角速度 信号dωdiv#iの大きさの両方に影響されない相 関数値である。しかし、基準信号と角速度 号の間に波形形状の不一致が生じると、図2 を参照して説明したように、相関関数CrS#iの は低くなる。したがって、いずれかの気筒 おいて、第2の相関関数CrS#iの値が所定値よ 小さいときには、すべての気筒について補 係数の更新を停止するのが好ましい。

 図10は、本発明の一実施形態に従う、ECU1 CPUにより実行される、燃料制御プロセスを すフローである。より具体的には、該プロ スは、図6に示す制御装置によって実行され る。この実施例では、該プロセスは、所定の クランク角度(たとえば、30度)毎に実施され 。

 ステップS1において、クランク角センサ9 らのクランクパルスを受け取り、エンジン 転の角速度信号dωrawを生成する。さらに、 7の(a)および(b)を参照して説明したように、 各気筒の燃焼の開始時点の角速度信号dωrawの 値をゼロに設定して、該角速度信号dωrawを該 ゼロのラインで切り出す。または、図7の(c) ように、該燃焼サイクル中の角速度dωrawの 均をゼロとしてもよい。こうして、図7の(b) たは(c)に示すような角速度信号dωactを抽出 る。

 ステップS2において、図8を参照して説明 たように、角速度信号dωactから、気筒毎の 速度信号dωdiv#iを切り出す。ステップS3にお いて、気筒毎に、基準信号Fcr#iを生成する。

 ステップS4において、上記1)~3)の実行条件 を満たすかどうかを判断する。条件1)~3)のい れかでも満たさなければ、ステップS5にお て第1フラグをセットする。第1フラグにはカ ウンタ(図示せず)が関連づけられており、第1 フラグがセットされるたびに、該カウンタは 、所定期間(たとえば、クランク角度720度)を ウントし、該所定期間が経過した後、ゼロ リセットされる。

 条件1)~3)のすべてが満たされるならば、 テップS6において、第1フラグがゼロにリセ トされているかどうかを判断する。この判 がNoならば、上記所定期間が経過していない ことを示すので、ステップS13に進む。こうし て、条件1)~3)のいずれかでも満たされなけれ 、相関関数および補正係数の更新は所定期 にわたり停止される。

 ステップS6の判断がYesならば、所定期間 経過したことを示す。ステップS7において、 式(2)に従って、気筒毎に相関関数Cr#iを算出 る。ステップS8において、式(4)に従って、気 筒毎に正規化済み相関関数CrH#iを算出する。

 ステップS9において、上記4)および5)の実 条件を満たすかどうか判断する。条件4)お び5)のいずれかでも満たされなければ、ステ ップS10において第2フラグをセットする。第2 ラグにはカウンタ(図示せず)が関連づけら ており、第2フラグがセットされるたびに、 カウンタは、所定期間(たとえば、10秒)をカ ウントし、該所定期間が経過した後、ゼロに リセットされる。

 条件4)および5)の両方が満たされるならば 、ステップS11において、第2フラグがリセッ されているかどうかを判断する。この判断 Noならば、該所定期間が経過していないこと を示すので、ステップS13に進む。こうして、 条件4)および5)のいずれかでも満たされなけ ば、補正係数の更新は所定期間にわたり停 される。

 ステップS9の判断がYesならば、所定期間 経過したことを示す。ステップS12において 応答指定型制御を実施し、式(10)に従って、 筒毎に燃料補正係数Kcom#iを算出する。

 ステップS13において、算出した燃料補正 数Kcom#iで燃料噴射量基準値を補正し、補正 み燃料噴射量Kin#iを算出する。こうして、 気筒の燃料噴射タイミングが到来したなら 、該補正済み燃料噴射量Kin#iに従って燃料が 噴射されるよう、該気筒の燃料噴射弁が駆動 されることとなる。なお、燃料噴射すべき気 筒が基準気筒ならば、燃料噴射量基準値の燃 料が噴射されるよう、基準気筒の燃料噴射弁 が駆動されることとなる。

 上記実施形態では、相関関数Cr#iを算出す るのに、気筒別角速度信号dωdiv#iを用いた。 筒別角速度信号dωdiv#iを算出することによ 、第2の相関関数の算出精度を向上させるこ ができる。しかしながら、代替的に、相関 数Cr#iを算出するのに、角速度信号dωactを用 い、該角速度信号dωactと基準信号Fcr#iとの相 を取ってもよい。この場合、式(2)中のdωdiv# i(j)はdωact(j)に置き換えられる。この形態に いても、各気筒について、角速度信号dωact 該気筒のクランク角領域における値と、該 筒の基準信号Fcr#iとの類似度が反映されるよ う、相関関数Cr#iの値は算出される。

 上記実施形態では、相関関数の算出に用 るセンサとしてクランク角センサを用いて るが、本願発明は、このセンサに限定され ことなく、内燃機関の運転状態(より具体的 には、前述したように、燃料量と相関のある 出力)を示す様々なセンサ(たとえば、空燃比 ンサ等)に適用可能である。また、上記実施 形態では、ディーゼルエンジンの燃料制御装 置として説明したが、他のエンジン(通常の ソリンエンジン)にも適用可能である。また 上記の実施形態では、4つの気筒を備える内 燃機関を例に説明したが、他の任意の数の気 筒を備える内燃機関に本願発明は適用可能で ある。

 さらに、本願発明は、汎用の(例えば、船 外機等の)内燃機関に適用可能である。