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Title:
GAS ADSORBING MATERIAL AND METHOD OF PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069561
Kind Code:
A1
Abstract:
It is disclosed that a metal complex, which has a structure wherein monomolecular monomers comprising a cluster moiety M4O consisting of four metal ions (M) and oxygen atoms (O) connecting these metal ions to form a tetrahedron and six monocarboxylic acid molecules surrounding the same are integrated together via a non-binding interaction, undergoes phase transition for a gas species of a definite type and thus adsorbs/desorbs the gas species.

Inventors:
FURUKAWA MASAHIRO
GOTO MASASHI
ARAKI KIYOSHI
OGAWA NAOYUKI
Application Number:
PCT/JP2008/071263
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NGK INSULATORS LTD (JP)
FURUKAWA MASAHIRO
GOTO MASASHI
ARAKI KIYOSHI
OGAWA NAOYUKI
International Classes:
B01J20/22; B01D53/02
Foreign References:
JP2008030029A2008-02-14
JP2007167813A2007-07-05
JP2006328051A2006-12-07
JP2000309592A2000-11-07
Other References:
"Angewandte Chemie", vol. 46, September 2007, INTERNATIONAL EDITION, article HAN S.H.: "Improved Designs of Metal-Organic Frameworks for Hydrogen Storage", pages: 6289 - 92
TAFIPOLSKY M.: "Ab Initio Parametrized MM3 Fprce Field for the Metal-Organic Framework MOF-5", JOURNAL OF COMPUTATIONAL CHEMISTRY, vol. 28, no. 7, May 2007 (2007-05-01), pages 1169 - 1176
YIN M.C.: "Synthesis and Luminescent Property of Tetranuclear Zinc Benzoate", CHINESE JOURNAL OF LUMINESCENCE, vol. 24, no. 5, 2003, pages 485 - 488
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 4つの金属イオン(M)と当該金属イオンを四面体状に連結する酸素(O)からなるM 4 Oを6つのモノカルボン酸が取り囲んだクラスター部を含む単分子のモノマーが非結合性相互作用によって集積化した構造を有することを特徴とするガス吸着材料。
 請求項1に記載のガス吸着材料において、所定のガス種に対し構造相転移することにより当該所定のガス種を吸脱着することを特徴とするガス吸着材料。
 請求項2に記載のガス吸着材料において、前記所定のガス種が水素、メタン、アセチレン、二酸化炭素、及びネオンであることを特徴とするガス吸着材料。
 請求項1に記載のガス吸着材料において、前記モノカルボン酸は、当該モノカルボン酸が有するカルボキシル基と前記金属イオンとによる配位結合を介して結合されていることを特徴とするガス吸着材料。
 請求項1に記載のガス吸着材料において、前記金属イオンが、Mgイオン、Alイオン、Mnイオン、Feイオン、Coイオン、Niイオン、Cuイオン、Znイオンのいずれかであることを特徴とするガス吸着材料。
 請求項1に記載のガス吸着材料において、前記モノカルボン酸が、非結合性相互作用を起こす官能基を有することを特徴とするガス吸着材料。
 請求項6に記載のガス吸着材料において、前記官能基が芳香環、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基であることを特徴とするガス吸着材料。
 請求項1に記載のガス吸着材料において、前記集積化した構造に気孔が含まれることを特徴とするガス吸着材料。
 請求項8に記載のガス吸着材料において、前記気孔が閉気孔、又は入口径が吸着するガス分子よりも小さい気孔であることを特徴とするガス吸着材料。
 4つの金属イオン(M)と当該金属イオンを四面体状に連結する酸素(O)からなるM 4 Oを6つのモノカルボン酸が取り囲んだクラスター部を含む単分子のモノマーを反応溶液中に生成する工程と、
 前記モノマーを揮発性の有機分子を取り込んだ状態で集積化させる工程と、
 前記集積化したモノマーから有機分子のみを脱着させる工程と
 を有することを特徴とするガス吸着材料の製造方法。
 請求項10に記載のガス吸着材料の製造方法であって、前記有機分子が、アセトニトリル、アセトン、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドであることを特徴とするガス吸着材料の製造方法。
 請求項10に記載のガス吸着材料の製造方法であって、前記有機分子のみを脱着させる工程が、加熱処理であることを特徴とするガス吸着材料の製造方法。
 請求項10に記載のガス吸着材料の製造方法であって、前記有機分子のみを脱着させる工程が、真空条件下で行われることを特徴とするガス吸着材料の製造方法。
Description:
ガス吸着材料及びその製造方法

 本発明は、ガス貯蔵材料やガス分離材料 して利用して好適なガス吸着材料及びその 造方法に関する。

 炭素系材料や多孔性金属錯体材料等の高比 面積材料は、加熱,冷却等の大きなエネルギ ーを要するプロセスを必要とせず、大きなエ ネルギーを必要としない加圧,減圧といった ロセスのみでガスの吸脱着が可能であるこ から、ガス吸着材料としての利用が期待さ ている(非特許文献1~4参照)。

特開2006-218349号公報

特開2006-220168号公報 ペトロテック第29巻第4号 第29~第33頁(2006 ) J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 3494-3495 J. Mater. Chem., 2006, 16, 626-636 Phys. Rev. Lett., 95, 215504(2005)

 しかしながら、非特許文献1~4記載の材料 、細孔サイズ以下のガスであれば基本的に のようなガスでも吸着するために、吸着す ガス種を選択(分離)することができない。 た非特許文献1~4記載の材料は、目的とする スを吸着させる際に他のガス(不純物)まで吸 着してしまうために、ガス貯蔵材料として利 用することが難しい。

 さらには、高い比表面積を有する多孔性 属錯体は、三次元的に堅固な結合(共有結合 )で連結されているため、細孔内に活性化処 を施す場合、または真空状態にした場合、 振動や吸脱着により、構造に生じる歪みを 和することが難しい。

 従って、従来の高比表面積材料は、熱振 や吸脱着によってエネルギー的に不安定な 格となるために、水等の不純物によって、 格構造が崩壊し、ガス貯蔵能が消失してし うことがある。この問題を改善するために 上記特許文献1,2に開示されているように、 ス貯蔵材料を不純物に触れさせない方法が 案されている。

 しかしながら、ガス貯蔵材料を不純物に れさせない方法を用いたとしても、ガス貯 材料は、繰り返し使用されることにより、 ス貯蔵材料には不純物が徐々に吸着される め、やがてガス貯蔵材料の骨格構造が崩壊 る。また、構造の崩壊が起こらない場合で っても、不純物を脱着させるために加熱や 圧等の再生処理(脱ガス処理)が必要となる

 本発明は、上述の課題を解決するために されたものであり、その目的は、活性化処 を施してもガス吸着材料の構造が崩壊する とのないガス吸着材料及びその製造方法を 供することにある。また、特定のガスのみ 選択的に吸着するガス吸着材料及びその製 方法を提供することにある。

 本願発明の発明者らは、精力的な研究を重 てきた結果、4つの金属イオン(M)と金属イオ ンを四面体状に連結する酸素(O)からなるM 4 Oを6つのモノカルボン酸が取り囲んだクラス ー部を含む単分子のモノマーが非結合性相 作用によって集積化した構造を有する金属 体が、所定のガス種に対して構造相転移す ことにより、所定のガス種を吸脱着するこ を見出した。なお本明細書中において非結 性相互作用とは、π-πスタッキング、CH-π相 互作用や水素結合等の、個々の結合エネルギ ーが10[kcal/mol]以下の弱い結合又は分子間相互 作用を意味する。

 上記モノカルボン酸は、モノカルボン酸 有するカルボキシル基(-COO)と金属イオンと よる配位結合により結合され、図1に示すよ うな単分子のモノマーを形成する。また本発 明のガス吸着材料において金属イオン(M)は、 Mgイオン、Alイオン、Mnイオン、Feイオン、Co オン、Niイオン、Cuイオン、Znイオンである とが好ましい。特に所望のモノマーを形成 やすいこと、及び入手,取り扱いが容易なこ から、Znイオンを選択することが好ましい

 図1に示すR 1 は、モノカルボン酸の置換基であり、非結合 性相互作用を形成する官能基を含むことが好 ましい。さらにモノマーは、隣接するモノマ ーの置換基R 1 間に生じる非結合性相互作用によって集積化 されることにより、本発明のガス吸着材料を 構成する。

 このように構成された本発明のガス吸着 料は、所定のガス種に対し構造相転移する とにより、所定のガス種を吸脱着する。こ 構造相転移は、モノマー間の非結合性相互 用の柔軟性に起因して起こる。また、構造 転移は、所定のガス種が本発明のガス吸着 料に接近することにより、より安定なガス を取り込んだ構造へ変化する場合に起こる

 換言すれば、本発明のガス吸着材料と安 な取り込み構造を形成できないガス種は、 ス吸着材料に吸脱着されない。なお、一般 に従来の炭素系材料や多孔性金属錯体材料 の高比表面積材料は、共有結合等の強い結 で形成された三次元構造体であるため、上 のような構造相転移は起こらない。また、 来の高比表面積材料は、基本的には細孔サ ズ以下のガスであれば、どのようなガスで 吸着するために、吸着するガス種を選択(分 離)することができない。

 構造相転移が起こりやすいという観点か 、非結合性相互作用は、π-πスタッキング CH-π相互作用及び/又は水素結合であること 好ましい。またπ-πスタッキング、CH-π相互 用、水素結合が形成されやすいという観点 ら、官能基は、芳香環、水酸基、アミノ基 ニトリル基、ハロゲン基等であることがさ に好ましい。

 また、置換基の構造は、官能基1つのみが 含まれていてもよく、同一又は異種の官能基 が複数含まれていてもよい。また、芳香環に 関しては、単環であってもよく、多環であっ てもよく、それぞれが複素環であってもよい 。さらに、オルト位、メタ位、パラ位等の置 換位置が上述したような置換基によって置換 されていてもよい。置換位置は、1箇所であ ても複数個所であってもよい。

 所定のガス種がガス吸着材料に接近した に構造相転移が起こりやすいという観点か 、本発明のガス吸着材料は、モノマーと有 分子とからなる集積体を加熱処理して有機 子を除去することにより得られたガス吸着 料であることが好ましい。

 この理由は、ガス吸着材料が有機分子を 度取り込んだ後、除去すると、ガス吸着材 の結晶内に多数の気孔及び/又は亀裂が形成 されるためである。気孔及び/又は亀裂が形 されると所定のガス種が取り込まれやすく るためであると推察される。また、所定の ス種以外のガスが吸着されないためには、 成される気孔は、閉気孔であることが好ま い。又は、形成される気孔は、開気孔であ ても、その入口径は吸着させられるガス分 よりも小さいことが好ましい。

 所望のガス吸着材料を形成するという観 からは、有機分子がアセトニトリル、アセ ン、メタノール、ジメチルホルムアミド、 エチルホルムアミドであることが好ましい また、揮発性が高く除去しやすいこと、及 入手,取り扱いが容易なことから、アセトン を選択することが特に好ましい。また、有機 分子を除去しやすいと言った観点からは、加 熱処理が真空条件下によって行われることが 好ましい。

 本発明のガス吸着材料に有機分子を除去 る処理(活性化処理)が施された場合、ガス 着材料は、安定構造に相転移するため、目 以外のガス種が吸着されない。すなわち、 性化処理をしても比表面積は低い。

 一方、特定のガス種がガス吸着材料に接 した場合、ガス吸着材料の構造が変化させ れる(構造相転移が起きる)。これにより、 ス吸着材料は、特定のガス種をガス吸着材 の構造内に取り込む。

 換言すれば、ガス吸着材料は、特定のガ 種に対しては所定の比表面積を持つ。よっ 、本発明のガス吸着材料は、活性化処理を っても目的以外のガスを吸着することが無 。また、本発明のガス吸着材料は、構造相 移によって構造の歪みが緩和され、安定化 ている。そのため、構造が崩壊することが い。

図1は、4つの金属イオン(M)と金属イオンを四 体状に連結する酸素(O)からなるM 4 Oを6つのモノカルボン酸が取り囲んだクラス ー部を含む単分子のモノマーを示す図であ 。 図2は、実施例1の白色粉末材料とアセトン含 物Zbz・C 3 H 6 OのX線回折図形を示す。 図3は、Zbzの単結晶X線構造解析により られた非対称単位を示す図である。 図4は、実施例1の白色粉末材料を構成する[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ]モノマーを示す模式図である。 図5は、Zbzの単結晶X線構造解析により得られ [Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ]モノマーが集積化したZbzの全体構造を示す である。 図6は、Zbzの単結晶X線構造解析により られた各原子をそのファンデルワールス半 を加味して描画することで実質的な空間を す(Space-filling)図である。 図7は、実施例1の白色粉末材料の窒素 着特性を示す図である。 図8は、実施例1の白色粉末材料の酸素 着特性を示す図である。 図9は、実施例1の白色粉末材料の水素 着特性を示す図である。 図10は、水素の吸着に伴い実施例1の白 色粉末材料の構造が変化する様子を説明する ための概念図である。 図11は、水素を取り込む前と取り込み 出した後の実施例1の白色粉末材料のX線回 図形を示す図である。

[実施例1]
 始めに、市販の安息香酸亜鉛Zn(C 6 H 5 COO) 2 (関東化学製)1.0[g]を無水硫酸マグネシウムMgSO 4 で乾燥させたアセトン70[ml]に溶解させた後、 溶液を50[℃]にて30分加熱攪拌した所、白色の 析出物が発生し、白色の析出物が沈殿した。 発生した白色の析出物を吸引濾過により回収 した。回収された析出物を常温にて真空乾燥 させた。析出物の収量は、0.71[g]であった。

 得られた析出物を化学分析、赤外吸収スペ トル測定、及びX線回折データにより解析し た所、文献(Inorg.Chim.Acta, 186(1991)51-60)に記載 れたアセトン含有物[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ・C 3 H 6 O] n (以下Zbz・C 3 H 6 Oと表記)であることが確認された。

 次に、得られたアセトン含有物Zbz・C 3 H 6 Oの粉末0.71[g]を150[℃]にて4時間真空下で加熱 理することによりアセトンを乾燥・除去し 実施例1の白色粉末材料を得た。なお、真空 下での加熱処理の前後で5.6[wt%]の重量減少が り、実施例の白色粉末材料の収量は0.67[g]で あった。この重量減少は、以下の表1に示す り、モノマー[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ]あたり1分子のアセトン(C 3 H 6 O)が失われた値(5.5[wt%])とほぼ一致した。

[白色粉末材料の評価]
[化学分析結果]
 実施例1の白色粉末材料の元素分析を行った 結果を以下の表2に示す。実施例1の白色粉末 料の測定値は、アセトン含有物Zbz・C 3 H 6 OがアセトンC 3 H 6 Oを失った[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ] n (以下Zbzと表記)の計算値とよい一致を示した

[X線回折図形の評価]
 実施例1の白色粉末材料とアセトン含有物Zbz ・C 3 H 6 OのX線回折図形を測定した所、図2に示すよう に、実施例1の白色粉末材料から得られたX線 折図形はアセトン含有物Zbz・C 3 H 6 Oから得られたX線回折図形とは異なっていた このことから、アセトンが失われることに って実施例1の白色粉末材料におけるモノマ ーの集積構造がアセトン含有物Zbz・C 3 H 6 Oにおけるモノマーの集積構造から変化(構造 転移)したことがわかった。以上のことから 、実施例1の材料は活性化処理による構造の みを構造相転移によって緩和していると推 される。

[構造解析結果]
 実施例1の白色粉末材料の結晶構造を以下の 方法により同定した。始めに、Zbz・C 3 H 6 O単結晶を作製し、単結晶状態を維持したま 熱処理(90℃の窒素ガス吹き付け)によってZbz C 3 H 6 O単結晶からアセトンを除去してZbz単結晶を た。得られたZbz単結晶の構造を単結晶X線構 解析により解析した。

 その結果、単位格子では、図3に示すような 非対称単位の構造が得られた。これを鏡映対 称操作することで[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ]モノマーが確認された。当該モノマーは、 4に示すように4つの亜鉛(Zn)イオンとこれら 四面体状に連結する酸素(O)からなるZn 4 Oに6つの安息香酸イオンが八面体の頂点に結 された化合物である。

 また[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ]モノマー内の結合は、全て共有結合や配位 合等の堅固な結合で形成されている。なお 全体構造は、図5に示すようにモノマーが複 のπ-πスタッキング、CH-π相互作用及び/又 水素結合等の非結合性相互作用によって集 化した骨格であることが確認された。なお 図3中のCは炭素原子、Hは水素原子、Oは酸素 子、Znは亜鉛原子を示す。また図3中の数字 、解析に用いた各原子の識別番号を示す。

 Zbz単結晶と前駆体であるZbz・C 3 H 6 O単結晶を比較した結果を表3に示す。Zbz単結 と前駆体であるZbz・C 3 H 6 O単結晶の結晶学的パラメータはほぼ同じで ったが、Zbz単結晶の体積V(Å 3 )が若干(2.6%)減少していた。従って、単位格 が縮められる構造相転移が起こることによ て、活性化処理によって生じた集積構造の みが緩和されていると推察される。

 前記モノマーの集積構造を図5、図6に示 。図5、図6は共に結晶内の同視野を示すが、 図5では、内部の気孔が見えやすいように、 原子間の結合が棒で示されている。原子は 棒の屈折点に配置されている(Wireframe図)。

 図6では、実際に空いている空間が見えや すいようにファンデルワールス半径を加味し て描画されている(Space-filling図)。なお、図5, 6中の淡灰色部は炭素原子、黒色部は酸素原 子、濃灰色部は亜鉛原子を示す。また水素原 子の図示は省略した。

 この集積構造では、アセトン(C 3 H 6 O)が除去された空間(気孔)Aの入口Bは、1Å以 の閉気孔に近い状態であった。アセトン(C 3 H 6 O)の分子サイズ(4.7Å)を考慮すると、熱によ てアセトン(C 3 H 6 O)が外に放出される際に、入口Bが大きく開い た後、元の構造へ戻ることが考えられる。

 すなわち、本発明のガス吸着材料は、安定 取り込み構造を有するゲスト分子(有機分子 や特定のガス種)が接近した場合、閉気孔Aの 口Bが開口してゲスト分子を取り込む。一方 、安定な取り込み構造を有さないその他のゲ スト分子が接近した場合、閉気孔Aの入口Bは 開口せず、ゲスト分子は取り込まれないこ が考えられる。

[窒素吸着特性,酸素吸着特性,及び比表面積]
 比表面積/細孔分布測定装置ASAP2020(マイクロ メリティクス製)を利用して77[K]における実施 例1の白色粉末材料の窒素吸着特性を測定し 。測定結果を図7に示す。図7に示す通り、実 施例1の白色粉末材料には窒素がほとんど吸 しないことが明らかになった。

 また、同様に77[K]における実施例1の白色粉 材料の酸素吸着特性を測定した。測定結果 図8に示す。図8に示す通り、実施例1の白色 末材料には酸素がほとんど吸着しないこと 明らかになった。またBET(Brunauer,Emmett,Teller) を利用して窒素吸着特性から白色粉末材料 比表面積を算出した結果、比表面積は1[m 2 /g]と小さな値を示した。すなわち、本発明の ガス吸着材料(Zbz)は、窒素及び/又は酸素に対 して安定な取り込み構造を形成できないため に、窒素及び/又は酸素を吸着しないことが えられる。

[水素吸着特性]
 比表面積/細孔分布測定装置ASAP2020(マイクロ メリティクス製)を利用して77[K]における実施 例1の白色粉末材料の水素吸着特性を測定し 。測定結果を図9に示す。図9に示す通り、水 素が取り込まれた。また、77[K],0.1[MPa]時の水 吸着量は0.25[wt%]であった。

 すなわち、本発明のガス吸着材料(Zbz)は 水素と安定な取り込み構造を形成できるた に、水素を選択的に吸着することが考えら る。なお、水素の分子サイズが2.9[Å]である ことを考慮すると、1[Å]以下の入口を開口さ せて水素を取り込んだ構造へ相転移すると考 えられる。また取り込み構造の詳細は分から ないが、図10(a)~(d)に示すように構造を変化さ せながら吸着すると考えられる。

 さらに図9において脱着側でヒステリシス が見られる。これは、水素の取り込み構造が 安定なために、吸着した圧力よりも低くなら ないと水素が脱着されないためであると推察 される。

 一方で、本発明に係るガス吸着材料におい 、モノマーは、4つの亜鉛(Zn)イオンと、こ らを四面体状に連結する酸素(O)からなるZn 4 Oと、Zn 4 Oを取り囲む6つのモノカルボン酸由来の12個 酸素(O)とから成るクラスター部分を有する このクラスター部分は、水素分子と強い相 作用を起こすことが知られている(Phys.Rev.Lett e., 95, 215504(2005))。

 即ち、上述したように水素が吸着されや い、及び/又は脱着されにくい理由は、本発 明に係るガス吸着材料において、前記クラス ター部分と水素分子とが強い相互作用を起こ すためと考えられる。

[水素吸着前後のX線回折図形の評価]
 実施例1の白色粉末材料について水素を取り 込む前と、水素を取り込み放出した後の室温 X線回折図形を測定した。測定結果を図11に示 す。図11に示すように、水素を取り込む前と 取り込み放出した後とでX線回折図形に大き な変化は見られなかった。また、水素を取り 込み放出した後の白色粉末材料の窒素吸着特 性を測定した所、白色粉末材料は窒素を吸着 しなかった。

 以上のことから、白色粉末材料は、水素 取り込む前と取り込み放出した後とで構造 変化しないと考えられる。すなわち、水素 取り込み、放出が可逆的に起こることが示 れた。

 なお、本発明に係るガス吸着材料は、上 した製造及び各種同定,評価の操作工程にお いて大気中に暴露しても吸湿することはなく 、また特に構造が崩壊する(粉末XRDパターン 変化する)こともなかった。すなわち、本発 のガス吸着材料は、水と安定な取り込み構 を形成できないために、水を吸着すること ない。また、本発明のガス吸着材料に対し 有機分子を除去する処理(活性化処理)を行 ても、構造が変化させられて安定構造(Zbz)に 相転移し、熱振動や吸脱着による構造の歪み が緩和させられるため、水を吸着しても構造 が崩壊することがないと考えられる。

 以上の評価結果から、実施例1の白色粉末材 料は、図5に示すように、複数の[Zn 4 O(C 6 H 5 COO) 6 ]モノマーが非結合性相互作用によって集積 した骨格を有する。また、実施例1の白色粉 材料の構造は、特定のガス種に対し相転移 るため、特定のガス種が吸脱着させられる とが判った。

 以上、本発明者らによってなされた発明 適用した実施の形態について説明したが、 の実施の形態による本発明の開示の一部を す記述及び図面により本発明は限定される とはない。すなわち、上記実施の形態に基 いて当業者等によりなされる他の実施の形 、実施例及び運用技術等は全て本発明の範 に含まれることは勿論である。

 なお、日本国特許出願第2007-304500号(2007年 11月26日出願)の全内容が、参照により、本願 細書に組み込まれている。

 以上のように、本発明に係るガス吸着材 及びその製造方法は、活性化処理を施して ガス吸着材料の構造が崩壊することがない また、特定のガスのみを選択的に吸着する とができる。そのため、ガス貯蔵材料やガ 分離材料として利用可能である。