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Title:
RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069562
Kind Code:
A1
Abstract:
A resin composition active to an energy ray which comprises: (1) a compound having two or more epoxy groups in its molecule; (2) a compound having two or more thiol groups in its molecule; (3) a compound capable of generating an amidine or a guanidine when irradiated with an active energy ray; and (4) a radical generator of the active energy ray-cleavage type. Owing to the above-described constitution, this resin composition easily cures when irradiated with an energy ray such as light. By using the component (4) that is a radical generator of the active energy ray-cleavage type, in particular, the resin composition becomes more active than one using a radical generator of the hydrogen-drawing type and, therefore, quick curing (i.e., curing having completed immediately after the irradiation) can be achieved in practice even at a low irradiation dose of the energy ray.

Inventors:
KIRINO MANABU
KISHI KATSUHIKO
Application Number:
PCT/JP2008/071264
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
THREE BOND CO LTD (JP)
KIRINO MANABU
KISHI KATSUHIKO
International Classes:
C08G59/56; C08G59/66
Domestic Patent References:
WO2006008251A22006-01-26
WO2005052021A12005-06-09
WO2008001637A12008-01-03
Foreign References:
JP2006070151A2006-03-16
JP2006070152A2006-03-16
JP2006225490A2006-08-31
JP2005511536A2005-04-28
JP2008001867A2008-01-10
JP2007321120A2007-12-13
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 (1)分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物、
 (2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化合物、
 (3)活性エネルギー線照射によりアミジン類またはグアニジン類を発生させうる化合物、および
 (4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
を含むエネルギー線活性型樹脂組成物。
 (2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化合物の配合割合が、組成物中のエポキシ化合物のエポキシ当量に対し、チオール当量比で0.5~2.0の範囲内である請求項1に記載の樹脂組成物。
 成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し、成分(3)を0.02~20重量部、および成分(4)を0.05~20重量部含む請求項1または2に記載の樹脂組成物。
 さらに、(5)酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エステルおよび亜リン酸エステルから選択される少なくとも一種の化合物を含む請求項1記載の樹脂組成物。
 成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し、成分(5)を0.01~20重量部含む請求項4記載の樹脂組成物。
 請求項1に記載のエネルギー線活性型樹脂組成物に、エネルギー線照射行うことよって硬化物を得ることを含む、樹脂組成物の硬化方法。
 さらに、エネルギー線活性型樹脂組成物を加熱することを含む、請求項6に記載の樹脂組成物の硬化方法。
 エネルギー線照射と加熱を同時に行う、請求項7に記載の樹脂組成物の硬化方法。
 エネルギー線照射を行った後に加熱を行う、請求項7に記載の樹脂組成物の硬化方法。
 (1)分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物と(2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化合物の配合割合が、成分(1)のエポキシ当量に対し、成分(2)をチオール当量比で0.5~2.0の範囲内である請求項6に記載の樹脂組成物の硬化方法。
 前記樹脂組成物が、成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し、成分(3)を0.02~20重量部、および成分(4)を0.05~20重量部含む請求項6記載の樹脂組成物の硬化方法。
 (5)酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エステルおよび亜リン酸エステルから選択される少なくとも一種の化合物を、さらに添加することを含む請求項6記載の樹脂組成物の硬化方法。
 前記請求項6の硬化方法により得られる硬化物。
Description:
樹脂組成物

 本発明は光、電子線等の活性エネルギー の照射により低い温度で速やかに硬化可能 新規な樹脂組成物、およびその硬化方法と 化物に関するものである。

 液状樹脂などの光硬化技術(紫外線などの 活性エネルギー線の照射による重合、硬化技 術)は、従来の熱硬化技術と比較して低温硬 、プロセスの短縮化、短時間硬化、微細加 性に優れる等の特徴を活かし、接着剤、シ ル剤、コーティング剤、レジスト剤等に広 用いられている。光硬化で主に用いられて る硬化システムとしては、ラジカル硬化系 カチオン硬化系に大別される。ラジカル硬 系の場合、光ラジカル発生剤と(メタ)アクリ レート樹脂が主成分であり、光照射後直ちに 硬化することが特徴であるが、一般に接着力 が低い、硬化収縮が大きい、耐熱性が悪い等 の問題がある。一方、カチオン硬化系はジア リールヨードニウム塩やトリアリールスルホ ニウム塩等の光酸発生剤とカチオン重合性を 有するエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニ ルエーテル樹脂等からなり、光照射の際に光 酸発生剤が酸を発生してカチオン重合性樹脂 を硬化させる。カチオン硬化の場合、速硬化 性、高い接着力、低い硬化収縮等の特徴を有 するが、被着体表面の湿気や僅かな塩基性汚 れによる硬化不良の発生や、強酸が系内に残 存するため金属や無機材質の被着体を使用す ると腐食を引き起こすという問題がある。

 このようなカチオン硬化系の問題を解決す 一つの手段として、光照射によって塩基性 合物を発生する光塩基発生剤によるアニオ 硬化の研究が近年行われている。このよう 光塩基発生剤としては、例えば、カルバメ ト誘導体やオキシムエステル誘導体が一般 に知られており、これらの化合物は光照射 よって1級または2級アミン類を発生し、エ キシ樹脂の硬化に利用されている(非特許文 1)。光により塩基触媒を発生させる技術は ォトレジスト技術に多く利用されており、 に技術的によく知られており、狭線幅レジ トにおいては現像されたエッジの寸法安定 を求めるために、停止反応が少ないアニオ 重合型の硬化形態が多く利用される(非特許 献2、特許文献1、2、3)。光発生された塩基 物質によりエポキシ樹脂を硬化させる手法 おいて、その代表的な塩基性化合物にアミ 類が挙げられ、アミン類は現在まで最も有 な光発生される塩基である。例えば、置換 れたベンジルカルバメート誘導体は光照射 より1級および2級アミン類を発生させ、エポ キシ化合物の硬化反応を可能にする(非特許 献3、4、5)。一方で、3級アミン類を光化学的 に発生させるための試みについても検討がな されている。テトラアルキルアンモニウム塩 の光分解は光化学的に3級アミンを発生させ 方法として提案されている(非特許文献6)。

欧州公開特許第599571号公報

欧州公開特許第555749号公報

特開平4―330444号公報 Chemistry&TechnologyofUV&EBFormulationforCoati ngs,Inks&Paints,Ed.byG.Bradley,JohnWileyandSonsLtd.(1998 、p479~p545) PureandAppl.Chem.,64,1239(1992) J.Org.Chem.,55,5919(1990) Polym.Mat.Sci.Eng.,64,55(1991) Macromol.,28,365(1995) Polym.Mat.Sci.Eng,.72,201(1995)

 また特定α-アミノケトン化合物とラジカル の光分解開裂および該ケトン化合物を使用 るオレフィン性不飽和モノマーおよびオリ マーの光重合法は公知であり、特にラジカ およびカチオン重合性成分を含むハイブリ ド硬化系における光潜在性塩基の使用を開 している(特許文献4、5、6)。特許文献7には 一般的なエポキシ樹脂の硬化剤と光ラジカ 重合開始剤からなるハイブリッド系につい も開示されている。さらには特許文献8には カルボン酸アンモニウム塩が、特許文献9に α-アミノアセトフェノン誘導体が、特許文 10には芳香族系アミンイミド化合物が、特許 文献11にはアミンイミド化合物と一重項・三 項増感剤、すなわち水素引き抜き型ラジカ 発生剤との組み合わせがそれぞれ開示され いる。また、特許文献12には、効率よく3級 ミンを発生させる化合物としてα-アミノア トフェノン類があること、および当該化合 と水素引き抜き型ラジカル発生剤を組み合 せたエポキシ樹脂と多価チオール化合物類 の付加硬化反応において光照射後により効 よく3級アミンが発生し、樹脂が硬化する系 が報告されている。さらには特許文献13や非 許文献7には、光によりアミジン類を発生す る化合物によるエポキシ樹脂の硬化、および エポキシ樹脂とチオール化合物による組成物 について報告されている。

米国特許第4582864号公報

米国特許第4992547号公報

米国特許第5077402号公報

米国特許第4943516号公報

特開昭55-22669号公報

特開平11-71450号公報

国際公開特許WO2002/051905号公報

特開2003-26772号公報

特許第3250072号公報

特表2005-511536号公報 第13回フュージョンUV技術セミナー講演 旨集p.41(2006)

 このように光により塩基性化合物を発生さ る技術は多くの報告例があり、特にエポキ 樹脂の硬化における重合(硬化)開始系とし の有用度は非常に高い。しかしこれまで報 されている光塩基発生系、特に3級アミンを 生させる系において、その発生効率はあま 高くなく、十分にアミン類を発生させるた には長時間の光照射が必要であるという欠 がある。そのために幾つかの手法が施され おり、上述の特許文献8や9に記載されてい 発明では、発生させる3級アミンの発生効率 高いものの発生された3級アミンの触媒活性 能力が低く、エポキシ樹脂を硬化させるもの ではない。
 一方で特許文献10、特許文献11に記載されて いる系は、3級アミンを発生させる点で有用 あると考えられるが、実際には完全硬化に るまでの時間は非常に長く、エポキシ樹脂 十分な光硬化性を付与するには至っていな 。特許文献12はエポキシ樹脂とチオール化合 物と光アニオン開始剤により硬化させる組成 物が開示されているが、これらも光照射終了 後直ちにエポキシ樹脂を硬化させ得る能力を 有しない。
 特許文献13には、光アニオン開始剤として により塩基性の大きいアミジン類を発生す 化合物によるエポキシ樹脂の硬化、および ポキシ樹脂とチオール化合物による組成物 ついて開示されているが、具体的な組成お びどのような硬化速度を示すかには触れら ていない。非特許文献7には、エポキシ樹脂 ポリチオールと特許文献13で示された光ア オン開始剤による組成物がエネルギー線照 後2.5時間で硬化する技術およびその組成物 光活性がチオキサントンやベンゾフェノン より向上されることが開示されているが、 れも光照射終了後直ちにエポキシ樹脂を硬 させ得る程の硬化速度を有するものではな 。

 本発明の目的は、上述の問題点を解決す こと、即ち接着、封止、注型、成型、塗装 コーティング等様々な用途に使用が可能で り、光などの活性エネルギー線の照射によ 低い温度で速やかに硬化可能な新規樹脂組 物、およびその硬化方法と硬化物を提供す ことにある。

 前記課題を達成するため鋭意検討した結果 本願発明者等は、
(1)分子内に2つ以上のエポキシ基を含む化合 、
(2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化 物、
(3)活性エネルギー線照射によりアミジン類ま たはグアニジン類を発生させうる化合物、お よび
(4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
を含むエネルギー線活性型樹脂組成物により 前記課題を解決した。
 また、本発明の樹脂組成物に、さらに(5)酸 基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エ テル、および亜リン酸エステルから選択さ る少なくとも一種の化合物を添加すること 、樹脂組成物としての貯蔵安定性を向上さ ることを見出した。
 さらに、本発明の樹脂組成物は光などの活 エネルギー線を照射することで系内に発生 たアニオン種により重合硬化するが、その にエネルギー線の照射と加熱を同時に、ま はエネルギー線の照射後に加熱を行うこと って速やかな重合硬化が可能となり、その 化物は例えば光学部品として提供される。
 すなわち、本発明は、以下の1.~13.に関する
1.(1)分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化 合物、
 (2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化 合物、
 (3)活性エネルギー線照射によりアミジン類 たはグアニジン類を発生させうる化合物、 よび
 (4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
を含むエネルギー線活性型樹脂組成物。
2.(2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化 合物の配合割合が、組成物中のエポキシ化合 物のエポキシ当量に対し、チオール当量比で 0.5~2.0の範囲内である1.に記載の樹脂組成物。
3.成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し 成分(3)を0.02~20重量部、および成分(4)を0.05~2 0重量部含む1.または2.に記載の樹脂組成物。
4.さらに、(5)酸性基含有化合物、ホウ酸エス ル、リン酸エステルおよび亜リン酸エステ から選択される少なくとも一種の化合物を む1.~3.のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し 成分(5)を0.01~20重量部含む4.に記載の樹脂組 物。
6.1.に記載のエネルギー線活性型樹脂組成物 、エネルギー線照射行うことよって硬化物 得ることを含む、樹脂組成物の硬化方法。
7.さらに、エネルギー線活性型樹脂組成物を 熱することを含む、6.に記載の樹脂組成物 硬化方法。
8.エネルギー線照射と加熱を同時に行う、7. 記載の樹脂組成物の硬化方法。
9.エネルギー線照射を行った後に加熱を行う 7.に記載の樹脂組成物の硬化方法。
10.(1)分子内に2つ以上のエポキシ基を有する 合物と(2)分子内に2つ以上のチオール基を有 る化合物の配合割合が、成分(1)のエポキシ 量に対し、成分(2)をチオール当量比で0.5~2.0 の範囲内である6.~9.のいずれかに記載の樹脂 成物の硬化方法。
11.前記樹脂組成物が、成分(1)および成分(2)の 合計100重量部に対し、成分(3)を0.02~20重量部 および成分(4)を0.05~20重量部含む6.~10.のいず かに記載の樹脂組成物の硬化方法。
12.(5)酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リ ン酸エステルおよび亜リン酸エステルから選 択される少なくとも一種の化合物を、さらに 添加することを含む6.~11.のいずれかに記載の 樹脂組成物の硬化方法。
13.前記6.~12.のいずれかに記載の硬化方法によ り得られる硬化物。

実施例20~23、比較例8~10のDSCチャートを したものである。

 以下、本発明について詳細に説明する。
(1)分子内に2つ以上のエポキシ基を含む化合
 本発明に使用される分子内に2つ以上のエポ キシ基を含む化合物(成分(1))は、一般にエポ シ樹脂と呼ばれるものの他、分子内に2つ以 上のエポキシ基を含む化合物であれば良い。 またエポキシ基以外の官能基を有していても 良い。その官能基の具体例としては例えばヒ ドロキシル基、アクリル基、メタアクリル基 、ビニル基、アセタール基、エステル基、カ ルボニル基、アミド基、アルコキシシリル基 等である。これらのエポキシ基含有化合物は それぞれ単独、あるいは2種以上を混合して 用することができる。
 具体例としてはビスフェノールAとエピクロ ルヒドリンから誘導されるジグリシジルエー テル、及びその誘導体、ビスフェノールFと ピクロルヒドリンから誘導されるジグリシ ルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ- ス型液状エポキシ樹脂、脂肪族あるいは芳 族アルコールとエピクロルヒドリンから誘 されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエ クロルヒドリンから誘導されるグリシジル ステル、及びその誘導体、水添ビスフェノ ルAとエピクロルヒドリンから誘導されるグ リシジルエーテル、3,4-エポキシ-6-メチルシ ロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシク ロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポ シ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペー ト等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体 、5,5’-ジメチルヒダントイン型エポキシ樹 、トリグリシジルイソシアネート、イソブ レンから誘導される置換型エポキシ等が挙 られるがこれらに限定されるものではない

 市販されているエポキシ樹脂製品として 、例えばジャパンエポキシレジン株式会社 のエピコート828、1001、801、806、807、152、604 、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、大日本インキ 工業株式会社製のエピクロン830、835LV、HP4032D 、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製 EP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR402 3、EPR1309、EP49-20、ナガセケムテックス株式会 社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252 等が挙げられるがこれらに限定されるもの はない。これらは、それぞれ単独で用いる とも、また二種以上を混合して用いても良 。これらのうち、エピ-ビス型エポキシ樹脂 用いると価格および硬化性、硬化物の接着 、物理強度にバランスの良い組成物が得ら る。また脂肪族、環状脂肪族エポキシ化合 を用いると硬化物の透明性、耐候性、柔軟 に優れた組成物が得られる。

(2)分子内に2つ以上のチオール基を有する化 物
 本発明に使用されるチオール化合物(成分(2) )は、分子内にチオール基を2つ以上有するチ ール化合物であれば良い。具体的に例示す と、トリメチロールプロパントリスチオプ ピオネート、ペンタエリストールテトラキ チオプロピオネート、エチレングリコール スチオグリコレート、1,4-ブタンジオールビ スチオグリコレート、トリメチロールプロパ ントリスチオグリコレート、ペンタエリスト ールテトラキスチオグリコレート、ジ(2-メル カプトエチル)エーテル、1,4-ブタンジチオー 、1,5-ジメルカプト-3-トアペンタン、1,8-ジ ルカプト-3,6-ジオキサオクタン、1,3,5-トリメ ルカプトメチルベンゼン、4,4’-チオジベン ンチオール、1,3,5-トリメルカプトメチル-2,4, 6-トリメチルベンゼン、2,4,6-トリメルカプト- s-トリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカ プト-s-トリアジン、末端チオール基含有ポリ エーテル、末端チオール基含有ポリチオエー テル、エポキシ化合物と硫化水素との反応に よって得られるチオール化合物、ポリチオー ル化合物とエポキシ化合物との反応によって 得られる末端チオール基を有するチオール化 合物等が挙げられるがこれらに限定されるも のではない。市販されているチオール化合物 の製品としては、例えばジャパンエポキシレ ジン株式会社製のJERメートQX11、QX12、JERキュ QX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3-800、淀 学株式会社製のOTG、EGTG、TMTG、PETG、3-MPA、TM TP、PETP、堺化学工業株式会社製のTEMP、PEMP、T EMPIC、DPMP、住友精化株式会社製MPS、東レファ インケミカル株式会社製チオコールLP-2、LP-3 ポリチオールQE-340M等が挙げられるがこれら に限定されるものではない。これらの化合物 は、それぞれ単独で用いることも、また二種 以上を混合して用いても良い。より好ましい チオール化合物は、貯蔵安定性の面からは塩 基性不純物の極力少ないものである。また硬 化物の耐熱性の面からは分子内に芳香環を含 むチオール化合物がより好ましい。本発明の 組成物におけるチオール化合物の配合量につ いては、特に範囲を限定するものではないが 、好ましくは組成物中のエポキシ化合物のエ ポキシ当量に対し、チオール当量比で0.5~2.0 範囲内、より好ましくは0.8~1.3の範囲内で加 ることができる。上記の範囲内でチオール 合物を加えると、より硬化速度および硬化 の強度や耐熱性のバランスに優れた組成物 得ることができる。

(3)活性エネルギー線の照射によりアミジン類 またはグアジニン類を発生させうる化合物
 本発明に使用される活性エネルギー線の照 によりアミジン類またはグアジニン類を発 させうる化合物(成分(3))は、紫外線等の活 エネルギー線の照射により塩基性物質を発 させる化合物(光塩基化合物)の一種で、その 具体例としては、国際公開公報第97/31033号に 示されるN-ベンジルオキシカルボニルテト メチルグアニジン、国際公開公報第98/38195号 および国際公開公報第00/10964号に記載される ネルギー線の照射を受けると対応する3級ア ミン塩基を遊離するα-アンモニウム、α-イミ ニウムもしくはα-アミジニウムケトンまたは アルケンのイオン性塩、特表2005-511536に開示 れるエネルギー線の照射によりアミジン誘 体に転換できるベンジル型置換を持つアミ 、およびそれらを含む混合物等が挙げられ が、これらに限定されるものではない。こ らの化合物は、それぞれ単独で用いること 、また二種以上を混合して用いても良い。 れらの化合物のうちより好ましいものは、 分(3)として、活性エネルギー線の照射によ 、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ-7-エ (DBU)や、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノン-5- ン(DBN)のようなアミジン類およびそれらの誘 導体、およびテトラメチルグアニジン(TMG)の うなグアジニン類およびその誘導体を発生 せうる化合物を少なくとも含む態様であり これらの化合物はより塩基性の大きい塩基 発生させるため、これらを用いるとより硬 速度に優れる組成物が得られる。硬化速度 面からはDBN誘導体を発生させうる化合物を む態様が特に優れている。
 本発明の組成物における成分(3)の配合量に いては、特に範囲を限定するものではない 、好ましくは前記した成分(1)と成分(2)の合 100重量部に対し0.02~20重量部の範囲内、より 好ましくは0.1~10重量部の範囲内で加えること ができる。上記の範囲内で成分(3)の化合物を 加えると、より硬化前の可使時間と硬化速度 、および硬化物の強度のバランスに優れた組 成物を得ることができる。

(4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
 活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤(成 分(4))は、光などのエネルギー線を照射する とにより当該化合物が開裂してラジカルを 生するタイプの光ラジカル発生剤である。 の具体例として、ベンゾインエーテル誘導 、アセトフェノン誘導体等のアリールアル ルケトン類、オキシムケトン類、アシルホ フィンオキシド類、チオ安息香酸S-フェニル 類、チタノセン類、およびそれらを高分子量 化した誘導体が挙げられるがこれに限定され るものではない。市販されている開裂型ラジ カル発生剤としては、1-(4-ドデシルベンゾイ )-1-ヒドロキシ-1-メチルエタン、1-(4-イソプ ピルベンゾイル)-1-ヒドロキシ-1-メチルエタ ン、1-ベンゾイル-1-ヒドロキシ-1-メチルエタ 、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-ベンゾイル]-1 -ヒドロキシ-1-メチルエタン、1-[4-(アクリロ ルオキシエトキシ)-ベンゾイル]-1-ヒドロキ -1-メチルエタン、ジフェニルケトン、フェ ル-1-ヒドロキシ-シクロヘキシルケトン、ベ ジルジメチルケタール、ビス(シクロペンタ ジエニル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-ピリル-フェ ル)チタン、(η6-イソプロピルベンゼン)-(η5- シクロペンタジエニル)-鉄(II)ヘキサフルオロ ホスフェート、トリメチルベンゾイルジフェ ニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキ -ベンゾイル)-(2,4,4-トリメチル-ペンチル)-ホ スフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベ ゾイル)-2,4-ジペントキシフェニルホスフィ オキシドまたはビス(2,4,6-トリメチルベンゾ ル)フェニル-ホスフィンオキシド、(4-モル リノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミ プロパン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチ ル-1-モルホリノエタン等が挙げられるがこれ に限定されるものではない。

 本発明の組成においてこれら開裂型ラジカ 発生剤を使用すると、従来より光塩基開始 の増感剤として知られていたベンゾフェノ 類やチオキサントン類等の所謂水素引き抜 型の光ラジカル発生剤を使用した場合と比 して、格段に速い硬化速度を示し、エネル ー線照射後直ちに本発明の樹脂組成物を硬 することが可能となる。この硬化促進機構 明らかではないが、上記のような利点が得 れる原因としては、活性エネルギー線照射 より、水素引き抜き型ラジカル発生剤と比 して開裂型ラジカル発生剤は寿命の長いラ カルが大量に発生することが考えられる。
 なお、上記硬化速度の向上は、組み合わせ 成分(3)の光塩基化合物の種類にも影響され ため、所望の性能を発現させるために成分( 3)および成分(4)を任意に選択して使用するこ も可能である。また、これら成分(4)の開裂 ラジカル発生剤は単独でも2種類以上を混合 して用いても良い。これら成分(4)の配合量に ついては特に範囲を限定するものではないが 、好ましくは前記成分(1)と成分(2)の合計100重 量部に対し0.05~20重量部の範囲内、より好ま くは0.1~10重量部の範囲内で加えることがで る。上記の範囲内で開裂型ラジカル発生剤 加えると、より硬化前の可使時間と硬化速 、および硬化物の強度のバランスに優れた 成物を得ることができる。
 上述の開裂型ラジカル発生剤の中でも、高 子オリゴマー/ポリマー中に開裂型ラジカル 発生剤の構造を導入した高分子量タイプのも のは、硬化時及び硬化後のアウトガスが少な いため好ましい。

 本発明では、前記(1)~(4)を含む樹脂組成物に 、さらに酸性基含有化合物、ホウ酸エステル 、リン酸エステルから選択される少なくとも 一種の化合物(成分(5))を添加することが可能 ある。
 本発明で用いられる酸性基含有化合物は、 温で液状または固体の有機酸、無機酸、お び分子中に酸性基を含むオリゴマー、ポリ ーであり、また酸性基以外の官能基を持っ いても良い。例えば、硫酸、酢酸、アジピ 酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、 ウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カ ボン酸無水物等が挙げられるがこれらに限 されない。
 本発明で用いられるホウ酸エステル類は、 温で液状または固体のホウ酸エステルであ 。例えばトリメチルボレート、トリエチル レート、トリ-n-プロピルボレート、トリイ プロピルボレート、トリ-n-ブチルボレート トリペンチルボレート、トリアリルボレー 、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキ ルボレート、トリオクチルボレート、トリ ニルボレート、トリデシルボレート、トリ デシルボレート、トリヘキサデシルボレー 、トリオクタデシルボレート、トリス(2-エ ルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10-テト オキサウンデシル)(1,4,7,10,13-ペンタオキサテ トラデシル)(1,4,7-トリオキサウンデシル)ボラ ン、トリベンジルボレート、トリフェニルボ レート、トリ-o-トリルボレート、トリ-m-トリ ルボレート、トリエタノールアミンボレート 等が挙げられるがこれに限定されるものでは ない。
 また本発明で用いられるリン酸エステル類 してはリン酸エチル、リン酸ブチル、リン プロピル、リン酸-2-エチルヘキシル、リン ジブチル、リン酸-ジ(2-エチルヘキシル)、 ン酸オレイル、リン酸エチルジエチル等が げられる。
 これら酸性物質(酸性基含有化合物、ホウ酸 エステル、リン酸エステル、および亜リン酸 エステル)は、本発明の樹脂組成物のエネル ー線照射前の可使時間および貯蔵安定性を 上させる効果がある。これらの酸性基含有 合物、ホウ酸エステル類およびリン酸エス ル類は、それぞれ単独でも、2種以上を混合 て使用しても良い。またこれらの酸性物質 エポキシ樹脂等を混合しマスターバッチ化 たものを添加しても良い。このような保存 定性向上剤として市販されている製品とし は例えば四国化成工業株式会社製キュアダ トL-07N等が挙げられるがこれに限定される のではない。これら酸性基含有物質、ホウ エステル類およびリン酸エステルの配合量 ついては特に範囲を限定するものではない 、好ましくは前記成分(1)記載のエポキシ化 物と成分(2)記載のチオール化合物の合計100 量部に対し0.01~20重量部の範囲内、より好ま くは0.05~10重量部の範囲内で添加される。添 加により貯蔵安定性がさらに向上するが、添 加量が多すぎると硬化性が低下する。

 本発明の硬化組成物には、本発明の特性を なわない範囲において分子内に1つのエポキ シ基を含む化合物、および/または分子内に1 のチオール基を有する化合物を添加しても い。これらの化合物は組成物全体の低粘度 や作業性の向上、反応性の調整等に用いら る。上述のエポキシ化合物やチオール化合 を添加した場合はそれぞれのエポキシ当量 チオール当量を考慮して前記成分(1)のエポ シ化合物と成分(2)のチオール化合物の配合 を調節することが望ましい。
 また本発明の硬化組成物には、本発明の特 を損なわない範囲においてベンゾフェノン チオキサントン等の水素引き抜き型ラジカ 重合開始剤を添加しても良い。

 さらに本発明の硬化組成物には、本発明 特性を損なわない範囲において顔料、染料 どの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シ カ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無 充填剤、銀等の導電性粒子、難燃剤、アク ルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、ポ イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスフェノ ルA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型 ェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェ ールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェ ノキシ樹脂類、ポリメタクリレート樹脂類、 ポリアクリレート樹脂類、ポリイミド樹脂類 、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類 、ポリビニルブチラール樹脂、SBS樹脂及びそ のエポキシ樹脂変性体、SEBS樹脂及びその変 体などのポリマーや熱可塑性エラストマー 可塑剤、有機溶剤、酸化防止剤、消泡剤、 ップリング剤、レベリング剤、レオロジー ントロール剤等の添加剤を適量配合しても い。これらの添加により、より樹脂強度・ 着強さ・難燃性・熱伝導性、作業性等に優 た組成物およびその硬化物が得られる。

 本発明の樹脂組成物の硬化方法として、 ネルギー線照射と加熱を同時に行うことに りさらに少ないエネルギー線照射量、およ 短い時間で硬化物を得ることができる。ま エネルギー線照射後に加熱を行うことよっ も短時間で硬化物を得ることができる。本 明の組成物を硬化処理して得られる樹脂硬 物は強靱かつ透明性があり高い屈折率を持 など優れた特性を有し、光学部品の成形や 着、封止、注型、塗装、コーティング材等 々な用途に使用が可能である。また本組成 は本発明内の組成において、エネルギー線 射後直ちに硬化させることも、エネルギー 照射直後は硬化させず、その後短時間の室 または加熱化での放置により硬化させるこ も可能であり、後者のような性質は、また DVDの接着剤に代表されるように、接着部材 光等のエネルギー線を透過しない場合でも 組成物にエネルギー線を照射した後塗布貼 合わせすることにより接着が可能である。

 本発明の樹脂組成物を一液硬化型組成物 形態として得る場合、上記成分(1)~(4)の各成 分を任意に混合撹拌することで容易に調製す ることができるが、成分(3)の光塩基化合物を 最後に添加することが、保存安定性および硬 化性を損なわない上でより好ましい。また、 本発明の樹脂組成物をA液、B液の二液に分け 形態とし、両者を使用前に混合して使用す 、二液混合硬化型組成物の形態として得る 合、A液に成分(1)のエポキシ化合物と成分(4) のラジカル発生剤の混合物、B液に成分(2)の オール化合物と成分(3)の光塩基化合物の混 物、とすることが組成物の安定性と硬化性 損なわない上で好ましい。

 本発明の樹脂組成物は、上記のような構成 とることで光などのエネルギー線の照射に り容易に硬化する。特に成分(4)のエネルギ 線開裂型ラジカル発生剤を使用することに り、水素引き抜き型ラジカル発生剤以上に 性となるため、少ないエネルギー線照射量 も照射後直ちに硬化終了する程の迅速な硬 が実現できる。本発明の樹脂組成物にさら 酸性基含有化合物、ホウ酸エステル化合物 リン酸エステル化合物を添加すると組成物 可使時間や保存安定性を大きく向上させる とができる。また、成分(3)のエネルギー線 照射により塩基を発生する化合物と成分(4) 開裂型ラジカル発生剤、および成分(5)の酸 物質を適宜選択することにより、光などの ネルギー線の照射による重合硬化速度を制 することができる。この特性により、例え エネルギー線照射直後は硬化させず、その 短時間の室温または加熱化での放置により 化させること(遅延硬化)も可能である。
 本発明の組成物を紫外線等のエネルギー線 射による硬化処理して得られる樹脂硬化物 強靱かつ透明性があり高い屈折率を持つな 優れた特性を有し、光学部品の成形や接着 封止、注型、塗装、コーティング材等様々 用途に使用が可能である。

 以上述べてきた本発明の組成物は活性エ ルギー線により速やかに硬化し、接着、封 、注型、成型、塗装、コーティング等様々 用途に使用が可能である。

 以下に実施例によって本発明について具 的に説明するが、本発明は以下の実施例に り制約されるものではない。また、下記の 中の配合割合は特に断りのない限り重量基 である。

 本発明の実施例および比較例に使用した材 は市販の製品または試薬であり、下記の通 である。
[成分(1)]
・エピクロン835LV:大日本インキ工業株式会社 製 ビスフェノール型エポキシ樹脂
・デナコールEX-911:ナガセケムテックス株式 社製 脂肪族エポキシ樹脂
[成分(2)]
・JERキュアQX30:ジャパンエポキシレジン株式 社製 3官能脂肪族ポリチオール
・JERキュアQX60:ジャパンエポキシレジン株式 社製 6官能脂肪族ポリチオール
[成分(3)]
・光塩基化合物Aは、5-(アントラセン-9-イル チル)-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナンであり 特表2005-511536号公報に示される方法により 成して得たDBN系光塩基化合物である。
[成分(4)]
・イルガキュア651:チバスペシャリティーケ カルズ株式会社製 開裂型光ラジカル発生剤
・イルガキュア184:チバスペシャリティーケ カルズ株式会社製 開裂型光ラジカル発生剤
・ダロキュア1173:チバスペシャリティーケミ ルズ株式会社製 開裂型光ラジカル発生剤
・ルシリンTPO:BASFジャパン株式会社製 開裂 光ラジカル発生剤
・ESACURE KIP150:LAMBERTI CHEMICAL SPECIALTIES社製  分子量タイプ開裂型光ラジカル発生剤
・イルガキュア369:チバスペシャリティーケ カルズ株式会社製 開裂型光ラジカル発生剤
・イルガキュア907:チバスペシャリティーケ カルズ株式会社製 開裂型光ラジカル発生剤
[水素引き抜き型光ラジカル発生剤]
・ベンゾフェノン:東京化成工業株式会社試  水素引き抜き型光ラジカル発生剤
・KAYACURE DETX-S:日本化薬株式会社製 チオキ ントン:水素引き抜き型光ラジカル発生剤
・ベンジル:東京化成工業株式会社試薬 水素 引き抜き型光ラジカル発生剤
・QUANTACURE ITX:東京化成工業株式会社試薬 水 素引き抜き型光ラジカル発生剤
[成分(5)]
・ホウ酸トリエチル:東京化成工業株式会社 薬
[その他]
・光塩基化合物Bは、1,1-ジメチル-1-(2-ヒドロ シ-3-フェノキシプロピル)アミンパラニトロ ベンジイミドであり、国際公開特許WO2002/05190 5に開示された方法に従い得た芳香族系アミ イミド系光塩基化合物である。

[実施例1~18および比較例1~7]
 表1に示す通りの重量比で材料を遮光容器中 室温(25℃)で混合攪拌し、実施例1~18および比 例1~7の組成物を調製した。なお、各材料の 加順序については、各組成物とも光塩基化 物を最後に添加することにより調製した。 られた各組成物を下記項目について評価試 を行いその結果を併せて表1に示した。各評 価試験の方法は以下の通りである。

・硬化までの積算光量、24J/cm 2 照射後25℃×24h硬化性試験
 各組成物0.2gを直径25mmのポリプロピレン製 ャップに滴下し、25℃室中にて浜松ホトニク ス社製スポット紫外線照射装置(365nm照度:100mW /cm 2 )を用いてエネルギー線を連続照射したとき 、樹脂全体が硬化して流動しなくなるまで 時間(秒)と照度から次式により硬化までの積 算光量を求めた。
  積算光量(J/cm 2 ) = 照度(100mW/cm 2 ) × 時間(秒)
 また、240秒(24J/cm 2 )照射しても硬化しなかったものは、その後25 ℃室中に放置し、24時間後に組成物が硬化し いるかを目視で観察した。
・25℃可使時間の測定
 組成物を10mlの遮光瓶に密閉し25℃恒温室の 所に保管し、組成物がゲル化して流動性が くなり使用できなくなるまでの日数を測定 た。

 実施例1~4から、本発明の組成物が、長い可 時間を有し、エネルギー線照射により極め 短時間で硬化し強靱な硬化物を形成するこ がわかる。また、光塩基化合物と開裂型ラ カル発生剤の添加量により可使時間および 化速度を任意に調節できることがわかる。 た実施例5~13からは、実施例1~4以外の開裂型 ラジカル発生剤を使用しても、同様の優れた 硬化性を有することがわかる。実施例14~15か は、ホウ酸エステル化合物を添加すること 、充分な硬化速度を維持しつつ可使時間を 幅に長くすることができ、添加量により可 時間および硬化条件を任意に調節できるこ がわかる。実施例16~17からは本発明の組成 の範囲内に置いてチオール化合物の量を変 しても問題ないことがわかる。実施例18から は、種々のエポキシ化合物およびチオール化 合物を使っても問題ないことがわかり、硬化 物の特性を調節できることがわかる。
 一方比較例1~3からは、成分(4)の開裂型ラジ ル発生剤を含まない場合または成分(3)の塩 を発生する化合物を含まない場合、硬化し いか、あるいは著しく硬化性に劣ることが かる。比較例4~6からは、ラジカル発生剤と て水素引き抜き型ラジカル発生剤を使用し 場合、硬化性に劣ることがわかる。例えば 比較例4と実施例3との比較、比較例5と実施 10との比較、比較例6と実施例11との比較に り、明らかである。比較例7からは、本発明 含まれない塩基を発生する化合物を用いた 合、著しく硬化性に劣ることがわかる。

[実施例19](加熱併用時の硬化性の確認)
さらに、実施例1の組成物について、60℃に設 定したホットプレート上にて、実施例1と同 に硬化までの積算光量を測定したところ、 化に至るまでの積算光量は3.5J/cm 2 であった。このことより、本発明の組成物を 硬化処理する際に、光照射と加熱を同時また は光照射後に加熱を行うことよってより速く 、少ないエネルギー線照射量で硬化物を得る ことができることがわかる。

[実施例20~23および比較例8~10] 
 表2に示す通りの重量比で材料を遮光容器中 室温(25℃)で混合攪拌し、実施例20~23および比 較例8~10の組成物を調製した。なお、ラジカ 発生剤の各重量は、各ラジカル発生剤0.02mol に相当する重量である。得られた各組成物 下記項目について評価試験を行いその結果 併せて表2に示した。またそれぞれのDSCチャ ートを図1に示した。評価試験の方法は以下 通りである。

・PhotoDSCピーク積算光量
 各組成物を示差走査熱量計(DSC)のサンプル 器に5.5mg秤量し、光DSC測定を行った。
 測定にはセイコーインスツルメント社製DSC( DSC110)と紫外線照射ユニット(UV-1)を用い、窒 雰囲気下25℃一定温度にて365nm照度:20mW/cm 2 のエネルギー線を連続照射した。得られたDSC チャートの最大値の時間(秒)と照度から次式 より硬化までの積算光量を求めた。
  積算光量(J/cm 2 ) = 照度(20mW/cm 2 ) × 時間(秒)

 表2(実施例20~23、比較例8~10)から、種々の開 型ラジカル発生剤は、水素引き抜き型ラジ ル発生剤よりも速やかに反応を開始させる とがわかる。
 また、図1はそれぞれのDSCチャートを示した ものであるが、これも、水素引き抜き型ラジ カル発生剤が非常に幅の広いピークを示すの に対し、開裂型ラジカル発生剤を添加した組 成物はいずれもより速やかな発熱ピークを示 しており、本発明の組成物が、従来知られて いる水素引き抜き型ラジカル発生剤を使用し た場合よりも、より高速に反応することがわ かる。

[実施例24]引張せん断接着強さ試験
 実施例1の組成物を、ガラス(寸法:25×50×5mm) よび鉄(SPCC-SD、25×50×1.6mm)試験片の端部(周 部)10mmに薄く塗布し貼り合わせ固定し、ウシ オ電機株式会社製紫外線硬化炉UVL-4001-N(365nm 度:200mW/cm 2 )を用いてエネルギー線6J/cm 2 を照射した。照射終了直後接着面の組成物は 硬化し接着していた。25℃室中で30分放置し 後、万能引張試験器(インストロン)を用いて 引張速度10mm/min.で引張せん断接着強さを測定 した。ガラス/ガラスの引張せん断接着強さ 5.5MPa、ガラス/鉄の引張せん断接着強さは6.1M Paであり、接着面の破壊モードはいずれもガ スの材料破壊であった。これにより、本発 の組成物が紫外線照射のみで速やかに硬化 、強固な接着性を示すことがわかる。

[実施例25]深部硬化性試験
 実施例1の組成物を直径25mmのポリプロピレ 製キャップに2mmの厚みになるように注入し ウシオ電機株式会社製紫外線硬化炉UVL-4001-N( 365nm照度:200mW/cm 2 )を用いてエネルギー線3J/cm 2 を照射した。照射終了後、組成物は全体が硬 化しており、注型硬化物の底部および表面に ベタつきは無かった。これにより、本発明の 組成物は速硬化性かつ充分な深部硬化性を有 し、注型や厚膜コーティング等の用途にも適 していることがわかる。

[実施例26]エネルギー線を透過しない部材の 張せん断接着強さ試験
 実施例22の組成物を、2枚の鉄(SPCC-SD、25×50× 1.6mm)試験片の端部(周縁部)10mmに薄く塗布し、 ウシオ電機株式会社製紫外線硬化炉UVL-4001-N(3 65nm照度:200mW/cm 2 )を用いてエネルギー線0.8J/cm 2 を照射した。照射直後、塗布面の組成物は液 状であった。一方の鉄試験片に、速やかにも う一方の鉄試験片の組成物塗布面を貼り合わ せピンチで固定し、25℃室内に放置した。10 後、接着面の組成物は硬化し接着した。こ ように調整した接着試験片をさらに3時間、 たは48時間25℃室内に放置した後、万能引張 試験器(インストロン)を用いて引張速度10mm/mi n.で引張せん断接着強さを測定した。3時間放 置後の鉄/鉄の引張せん断接着強さは20MPa、48 間放置後の鉄/鉄の引張せん断接着強さは22M Paであった。接着面の破壊モードはいずれも 集破壊であった。これにより、本発明の組 物は接着部材が鉄のように光等のエネルギ 線を透過しない場合でも組成物にエネルギ 線を照射した後、貼り合わせることにより 温でも短時間で強固に接着が可能であるこ がわかる。

 本発明を特定の態様を参照して詳細に説明 たが、本発明の精神と範囲を離れることな 様々な変更および修正が可能であることは 当業者にとって明らかである。
 なお、本出願は、2007年11月26日付けで出願 れた日本特許出願(特願2007-304891)に基づいて り、その全体が引用により援用される。
 また、ここに引用されるすべての参照は全 として取り込まれる。

 以上述べてきた本発明は、活性エネルギ 線照射前は長いポットライフを有し、活性 ネルギー線照射により低い温度で速やかに 化可能であり、接着、封止、注型、成型、 装、コーティング等様々な用途に使用が可 である。また、本組成物は本発明内の組成 おいて、エネルギー線照射後直ちに硬化さ ることも、エネルギー線照射直後は硬化さ ず、その後短時間の室温または加熱化での 置により硬化させることも可能であり、こ 性質を利用することで、エネルギー線の照 できない影部や深部の硬化性にも優れた接 、封止、注型、成型、塗装、コーティング 様々な用途に使用が可能である。