Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GAS-BARRIER CONTAINER FOR MEDICAL USE HAVING EXCELLENT HEAT RESISTANCE AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051155
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a container for medical use, which is composed of a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C). This container for medical use is characterized in that the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) is obtained by modifying an unmodified ethylene-vinyl alcohol copolymer (A) with an epoxy compound (B) having a double bond; the amount modified by the epoxy compound (B) is 0.1-10% by mole relative to the monomer units of the ethylene-vinyl alcohol copolymer (A); and at least a part of the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) is crosslinked. The container for medical use is also characterized by having a gel fraction of not less than 3% by mass. Since the container for medical use contains almost no harmful crosslinking agent, a crosslinking agent is hardly dissolved into the content of the container and thus the container has excellent safety. In addition, the container for medical use has gas barrier properties sufficient for use in the medical field, while having heat resistance and hot water resistance that can survive heat sterilization. Deterioration of gas barrier properties after heat sterilization is extremely low in this container for medical use.

Inventors:
YATAGAI EMI (JP)
KUROSAKI KAZUHIRO (JP)
IKEDA KAORU (JP)
WATANABE TOMOYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068703
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 16, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KURARAY CO (JP)
YATAGAI EMI (JP)
KUROSAKI KAZUHIRO (JP)
IKEDA KAORU (JP)
WATANABE TOMOYUKI (JP)
International Classes:
B65D65/02; A61J1/10; C08F8/00; C08J3/24; C08L29/04
Domestic Patent References:
WO2002092643A12002-11-21
WO2003072653A12003-09-04
Foreign References:
JPS638448A1988-01-14
Attorney, Agent or Firm:
NAKATSUKASA, Shigeki et al. (4-9-1 Ima,Okayama-sh, Okayama 75, JP)
Download PDF:
Claims:
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)からなる医療用容器であって、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)は、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、二重結合を有するエポキシ化合物(B)による変性量がエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)のモノマー単位に対して0.1~10モル%であり、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質量%以上であることを特徴とする医療用容器。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる医療用容器であって、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)は、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、二重結合を有するエポキシ化合物(B)による変性量がエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)のモノマー単位に対して0.1~10モル%であり、該樹脂組成物の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質量%以上であることを特徴とする医療用容器。
 未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)のエチレン含有量が5~55モル%であり、かつ、ケン化度が90モル%以上である請求項1又は2記載の医療用容器。
 二重結合を有するエポキシ化合物(B)が分子量500以下の一価エポキシ化合物である請求項1~3のいずれか記載の医療用容器。
 二重結合を有するエポキシ化合物(B)がアリルグリシジルエーテルである請求項4記載の医療用容器。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)からなる層と変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)以外の樹脂(F)からなる層とを有する多層構造体からなる請求項1記載の医療用容器。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる層と変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)以外の樹脂(F)からなる層とを有する多層構造体からなる請求項2記載の医療用容器。
 請求項1~7のいずれか記載の医療用容器に変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)からなるチューブが接合されてなるチューブ付き医療用容器であって、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)は、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、二重結合を有するエポキシ化合物(B)による変性量がエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)のモノマー単位に対して0.1~10モル%であり、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質量%以上であることを特徴とするチューブ付き医療用容器。
 請求項1~7のいずれか記載の医療用容器に変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなるチューブが接合されてなるチューブ付き医療用容器であって、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)は、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、二重結合を有するエポキシ化合物(B)による変性量がエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)のモノマー単位に対して0.1~10モル%であり、該樹脂組成物の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質量%以上であることを特徴とするチューブ付き医療用容器。
 請求項1~9のいずれか記載の医療用容器に内容物が充填されてなる包装体であって、該内容物が充填される前あるいは後に加熱滅菌処理されてなることを特徴とする医療用包装体。
 加熱滅菌処理がレトルト滅菌処理又はオートクレーブ滅菌処理である請求項10記載の医療用包装体。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)からなる医療用容器の製造方法であって、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)を製造し、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)を成形し、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分率を3質量%以上にすることを特徴とする医療用容器の製造方法。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)からなる医療用容器に変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)からなるチューブが接合されてなるチューブ付き医療用容器の製造方法であって、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)を製造し、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)を成形し、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部を架橋させて、そのゲル分率を3質量%以上にし、かつ、容器とチューブとを接合することを特徴とするチューブ付き医療用容器の製造方法。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる医療用容器の製造方法であって、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)を製造し、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)と未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)とを混合して樹脂組成物を製造し、該樹脂組成物を成形し、該樹脂組成物の少なくとも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分率を3質量%以上にすることを特徴とする医療用容器の製造方法。
 変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる医療用容器に変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなるチューブが接合されてなるチューブ付き医療用容器の製造方法であって、未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)を製造し、変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)と未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)とを混合して樹脂組成物を製造し、該樹脂組成物を成形し、該樹脂組成物の少なくとも一部を架橋させて、そのゲル分率を3質量%以上にし、かつ、容器とチューブとを接合することを特徴とするチューブ付き医療用容器の製造方法。
 架橋前の変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)から溶出されるエポキシ化合物(B)の溶出量が0.50μg/g以下である請求項12~15のいずれか記載の医療用容器の製造方法。
 電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線からなる群から選択される少なくとも1種を照射するか、加熱することにより変性エチレン-ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部を架橋させる請求項12~16のいずれか記載の医療用容器の製造方法。
 
Description:
耐熱性に優れたガスバリア性医 用容器及びその製造方法

 本発明は、有害な架橋剤をほとんど含有 ないために架橋剤の内容物への溶出が抑制 れて安全性に優れ、医療分野において使用 るのに適したガスバリア性を有し、レトル 滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理などの 熱滅菌処理に耐え得る耐熱性を有し、さら 加熱滅菌処理後もガスバリア性の低下が極 て少ない医療用容器に関する。

 本発明の医療用容器とは、高圧蒸気滅菌 耐えることができ、かつ、酸素バリア性が 要な、点滴用輸液バッグ、輸血バッグ、薬 バッグ、薬液ボトル、アンプル管など医療 容器全般である。本発明の医療用容器には ダブルバッグやキットバッグなど外気を介 ずに、2種類以上の薬液を混合できる医療用 容器も含まれる。好適には、加熱滅菌処理が 施される医療用容器である。本発明の医療用 容器には、例えば血液回路、血液バッグ、薬 液バッグ、輸血・輸液セット、カテーテル等 の医療用具の構成部材として好適に使用され 、輸液バッグや血液バッグ等に入った液状物 を患者に点滴するときに容器と患者との間を つなぐチューブと医療用容器とが一体化して なる医療用容器も含まれる。好適には、加熱 滅菌処理が施される医療用容器である。

 近年、輸液バッグなどの医療用容器はガ ス製のボトルではなく樹脂製の容器が汎用 れている。かかる樹脂製の容器は、通気針 不要な点、焼却廃棄が容易な点、軽量で破 のおそれがない点、取り扱い易い点でガラ 製の容器より優れている。しかし、輸液バ ク等は薬液に糖類、アミノ酸、ビタミン類 頻用されており、変質や変色を起こし易く 高度なガスバリア性が要求される。さらに 内容物の変質、腐敗の原因となる微生物を 全に死滅させ、除去するために、従来から トルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理 どの高圧蒸気を用いた滅菌処理が行われて る。この用途に使用される包装材料は、ガ スまたはアルミ箔を含む多層フィルムであ 。しかしながらアルミ箔を使用した容器は 透明であり、加熱滅菌処理後の内容物の変 を検査することができなかった。

 従来から、柔軟性があり、ガスバリア性 び透明性に優れた材料として軟質ポリ塩化 ニルがあるが、加熱滅菌処理を施した場合 可塑剤やその他の添加物が溶出するおそれ あり、常温で使用する必要があった。さら 、塩素等が発生するおそれもあり、加熱滅 処理が施される医療用容器としては好まし なかった。

 エチレン-ビニルアルコール系共重合体( 下EVOHと略記することがある)は酸素透過量が 他のプラスチックに比べ極めて小さく、各種 ガス・薬品の透過量も小さい。このようにバ リア性に優れるうえに、耐油性・耐薬品性に 優れるので、EVOHは、農薬・医薬品の容器、 品包装材など様々な用途に使用されている しかしながら、EVOHは、レトルト滅菌処理や ートクレーブ滅菌処理などの高温高湿条件 では、白化や変形が生じたり、バリア性が 下したりするといった問題を有しており、 熱性・耐熱水性に問題を有していた。

 高度なガスバリア性を維持し、耐熱性・ 熱水性を改善するためにEVOHに架橋を施すと いう技術は従来から種々検討されている。例 えば、特許文献1にはエポキシ基及びアリル を有する化合物をEVOHに配合後、光あるいは により架橋するとの記載があるが、特許文 1の実施例の熱水溶断温度を見るとその効果 は小さく、ほとんど架橋できていない。これ はエポキシ基がほとんどEVOHと反応してない とが原因と考えられる。また、当該化合物 製造する際には、エポキシ基及びアリル基 有する化合物を多量に配合する必要がある め、これが残存し、特に医療用容器、医薬 包装用途に使用する場合、衛生上問題とな ことが懸念される。

 また、特許文献2及び特許文献3にはEVOHは 官能アリル系化合物、多官能(メタ)アクリ 系及び多価アルコール及び金属酸化物から ばれる少なくとも一種の架橋剤及び架橋助 を添加し、電子線を照射し、架橋するとい 記載があるが、これも添加剤が残存するこ による衛生上の問題が懸念される。また、 橋剤が溶融混練の段階でEVOHと反応すること よりゲル化し、長期運転には問題があった

 また、特許文献4にはEVOHにアリルエーテ 基が2つ以上有する化合物を添加し、電子線 照射し、架橋するという記載があるが、こ も添加剤が残存することにより、衛生上問 であると考えられる。

 また、特許文献5には架橋剤としてトリア リルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌ レートを使用し、これらをEVOHと溶融混練し 後に電子線照射しEVOHを架橋する方法が記載 れているが、トリアリルシアヌレート及び リアリルイソシアヌレートが残存し、特に 品包装容器に使用する場合、衛生上の問題 懸念される。また。トリアリルシアヌレー 及びトリアリルイソシアヌレートが溶融混 の段階でEVOHと反応することによりゲル化し 長期運転には問題があった。

 特許文献6には、EVOHフィルムを水と接触 せて含水状態にして電子線を照射すること より架橋する方法が記載されている。しか 、この方法の場合、フィルムを長時間水中 浸漬させる必要があり、高速生産が困難で るという問題があった。

 特許文献7には、EVOHに特定のエポキシ化 物を反応させて変性することにより、ガス リア性をなるべく保ちながら柔軟性を改善 ることが記載されている。しかし、変性に り融点が大きく低下するという欠点があり このままでは耐熱性が要求される用途に使 することが困難であった。また、特許文献8 は、特許文献7に記載された変性EVOHと未変 のEVOHとからなる樹脂組成物が記載されてい 。

特開昭63-8448号公報

特開平5-271498号公報

特開平9-157421号公報

特開平9-234833号公報

特開昭62-252409号公報

特開昭56-49734号公報

WO02/092643号

WO03/072653号

 本発明は、上記課題を解決するためにな れたものであり、有害な架橋剤をほとんど 有しないために架橋剤の内容物への溶出が 制されて安全性に優れ、医療分野において 用するのに適したガスバリア性を有し、レ ルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理な の加熱滅菌処理に耐え得る耐熱性、耐熱水 を有し、さらに加熱滅菌処理後もガスバリ 性の低下が極めて少ない医療用容器を提供 ることを目的とするものである。また、そ ような容器を製造するための好適な製造方 を提供することを目的とするものである。

 上記課題は、変性エチレン-ビニルアルコ ール系共重合体(C)(以下、変性EVOH(C)と称する) からなる医療用容器であって、変性EVOH(C)は 未変性のエチレン-ビニルアルコール系共重 体(A)(以下、未変性のEVOH(A)と称する)を、二 結合を有するエポキシ化合物(B)(以下、エポ キシ化合物(B)と称する)で変性して得られた のであり、エポキシ化合物(B)による変性量 未変性のEVOH(A)のモノマー単位に対して0.1~10 ル%であり、変性EVOH(C)の少なくとも一部が 橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質量% 以上であることを特徴とする医療用容器を提 供することによって解決される。

 また、上記課題は、変性EVOH(C)及び未変性 のエチレン-ビニルアルコール系共重合体(D)( 下、未変性のEVOH(D)と称する)を含有する樹 組成物からなる医療用容器であって、変性EV OH(C)は、未変性のEVOH(A)を、エポキシ化合物(B) で変性して得られたものであり、エポキシ化 合物(B)による変性量が未変性のEVOH(A)のモノ ー単位に対して0.1~10モル%であり、該樹脂組 物の少なくとも一部が架橋されていて、か 、そのゲル分率が3質量%以上であることを 徴とする医療用容器を提供することによっ も解決される。

 上記医療用容器において、未変性のEVOH(A) のエチレン含有量が5~55モル%であり、かつケ 化度が90モル%以上であることが好ましい。 ポキシ化合物(B)が分子量500以下の一価エポ シ化合物、特に、アリルグリシジルエーテ であることも好ましい。

 本発明の医療用容器の好適な実施態様は 押出成形品、フィルム又はシート(特に延伸 フィルム又は熱収縮フィルム)、熱成形品、 レキシブル包装材、レトルト包装材、オー クレーブ加熱滅菌容器である。

 本発明の医療用容器は、好適には、変性E VOH(C)からなる層と変性エチレン-ビニルアル ール系共重合体(C)以外の樹脂(F)(以下、単に 脂(F)と称する)からなる層とを有する多層構 造体からなる。また、好適には、変性EVOH(C) び未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物から る層と樹脂(F)からなる層とを有する多層構 体からなる。これらの多層構造体において 樹脂(F)がポリオレフィン、ポリアミド、ポ エステル、ポリスチレン、ポリウレタン、 リ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ クリロニトリル、ポリカーボネート、アク ル樹脂及びポリビニルエステルからなる群 ら選択された少なくとも1種であることが好 ましい。また、樹脂(F)がエラストマーである ことも好ましい。上記多層構造体からなる医 療用容器の好適な実施態様は、共押出フィル ム又は共押出シート、熱収縮フィルム、多層 容器(特に共押出ブロー成形容器、共射出成 容器、レトルト包装容器、オートクレーブ 熱滅菌容器)である。

 また、上記医療用容器に変性EVOH(C)からな るチューブが接合されてなるチューブ付き医 療用容器であって、変性EVOH(C)は、未変性のEV OH(A)を、エポキシ化合物(B)で変性して得られ ものであり、エポキシ化合物(B)による変性 が未変性のEVOH(A)のモノマー単位に対して0.1 ~10モル%であり、変性EVOH(C)の少なくとも一部 架橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質 量%以上であることを特徴とするチューブ付 医療用容器が本発明の好適な実施態様であ 。

 また、上記医療用容器に変性EVOH(C)及び未 変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる ューブが接合されてなるチューブ付き医療 容器であって、変性EVOH(C)は、未変性のEVOH(A) を、エポキシ化合物(B)で変性して得られたも のであり、エポキシ化合物(B)による変性量が 未変性のEVOH(A)のモノマー単位に対して0.1~10 ル%であり、該樹脂組成物の少なくとも一部 架橋されていて、かつ、そのゲル分率が3質 量%以上であることを特徴とするチューブ付 医療用容器も本発明の好適な実施態様であ 。

 また、上記医療用容器に内容物が充填さ てなる包装体であって、該内容物が充填さ る前あるいは後に加熱滅菌処理されてなる 療用包装体も好適な実施態様である。該医 用包装体において、加熱滅菌処理がレトル 滅菌処理又はオートクレーブ滅菌処理であ ことが好ましい。

 上記課題は、変性EVOH(C)からなる医療用容 器の製造方法であって、未変性のEVOH(A)を、 ポキシ化合物(B)で変性して、変性EVOH(C)を製 し、変性EVOH(C)を成形し、変性EVOH(C)の少な とも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分 を3質量%以上にすることを特徴とする医療用 容器の製造方法を提供することによっても解 決される。

 また、上記課題は、変性EVOH(C)からなる医 療用容器に変性EVOH(C)からなるチューブが接 されてなるチューブ付き医療用容器の製造 法であって、未変性のEVOH(A)を、エポキシ化 物(B)で変性して、変性EVOH(C)を製造し、変性 EVOH(C)を成形し、変性EVOH(C)の少なくとも一部 架橋させて、そのゲル分率を3質量%以上に 、かつ、容器とチューブとを接合すること 特徴とするチューブ付き医療用容器の製造 法を提供することによっても解決される。

 また、上記課題は、変性EVOH(C)及び未変性 のEVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる医療 容器の製造方法であって、未変性のEVOH(A)を エポキシ化合物(B)で変性して変性EVOH(C)を製 造し、変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)とを混合し 樹脂組成物を製造し、該樹脂組成物を成形 、該樹脂組成物の少なくとも一部を架橋さ て、かつ、そのゲル分率を3質量%以上にす ことを特徴とする医療用容器の製造方法を 供することによっても解決される。

 また、上記課題は、変性EVOH(C)及び未変性 のEVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる医療 容器に変性EVOH(C)及び未変性のEVOH(D)を含有す る樹脂組成物からなるチューブが接合されて なるチューブ付き医療用容器の製造方法であ って、未変性のEVOH(A)を、エポキシ化合物(B) 変性して変性EVOH(C)を製造し、変性EVOH(C)と未 変性のEVOH(D)を混合して樹脂組成物を製造し 該樹脂組成物を成形し、該樹脂組成物の少 くとも一部を架橋させて、そのゲル分率を3 量%以上にし、かつ、容器とチューブとを接 合することを特徴とするチューブ付き医療用 容器の製造方法を提供することによっても解 決される。

 上記製造方法において、未変性のEVOH(A)の エチレン含有量が5~55モル%であり、かつケン 度が90モル%以上であることが好ましい。エ キシ化合物(B)が分子500以下の一価のエポキ 化合物、特にアリルグリシジルエーテルで ることも好ましい。

 上記製造方法において、架橋前の変性EVOH (C)から溶出されるエポキシ化合物(B)の溶出量 が0.50μg/g以下であることが好ましい。また、 電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線から なる群から選択される少なくとも1種を照射 るか、加熱することにより変性EVOH(C)の少な とも一部を架橋させることも好ましい。

 すなわち、本発明の目的は、好適には以 のような方法によって達成される。まず、 変性のEVOH(A)に、エポキシ化合物(B)を反応さ せる。このとき、触媒存在下で加熱して反応 させた後、触媒を添加剤により失活させ、過 剰のエポキシ化合物(B)を除去することが好ま しい。こうして二重結合を有する変性EVOH(C) 製造される。好ましくはこれを溶融成形あ いは溶液コーティングした後、電子線、X線 γ線、紫外線照射及び可視光線からなる群 り選ばれる少なくとも1種を照射するか、加 を行うことにより変性EVOH(C)を架橋させる。 または、これを溶融成形あるいは溶液コーテ ィングした成形品に内容物を充填後、電子線 、X線、γ線、紫外線照射及び可視光線からな る群より選ばれる少なくとも1種を照射する とにより変性EVOH(C)を架橋させる。以上のよ にして、ガスバリア性を保ち、耐熱性に優 た変性EVOH(C)からなる医療用容器が提供され る。また、二重結合を有する変性EVOH(C)に対 て、未変性のEVOH(D)を配合した樹脂組成物を 同様に成形、架橋することによってもガス リア性を保ち、耐熱性に優れた医療用容器 提供される。

 本発明の医療用容器は、有害な架橋剤を とんど含有しないために架橋剤の内容物へ 溶出が抑制されて安全性に優れ、医療分野 おいて使用するのに適したガスバリア性を し、レトルト滅菌処理やオートクレーブ滅 処理などの加熱滅菌処理に耐え得る耐熱性 耐熱水性を有し、さらに加熱滅菌処理後も スバリア性の低下が極めて少ない高ガスバ ア性医療用容器である。また本発明の製造 法は、そのような医療用容器を製造するた の好適な製造方法である。

 本発明に用いられる変性EVOH(C)は、未変性 のEVOH(A)の水酸基に、エポキシ化合物(B)を反 させたものである。

 本発明に用いられる未変性のEVOH(A)のエチ レン含有量は5~55モル%であることが好ましく より好適には20~55モル%、更に好適には25~50 ル%である。エチレン含有量が5モル%より小 い場合は耐水性に劣り、60モル%より大きい 合はガスバリア性に劣る。得られる変性EVOH( C)のエチレン含有量は、原料である未変性のE VOH(A)のエチレン含有量と同じである。

 未変性のEVOH(A)のケン化度は90モル%以上が 好ましく、好適には98モル%以上、更に好適に は99モル%以上である。ケン化度が90モル%より 小さい場合はガスバリア性及び熱安定性に劣 る。

 また、後述する通り、本発明に用いられ 変性EVOH(C)は、好適には未変性のEVOH(A)とエ キシ化合物(B)との反応を、押出機内で行わ ることによって得られるが、その際に、未 性のEVOH(A)は加熱条件下に晒される。この時 、未変性のEVOH(A)が過剰にアルカリ金属塩及 び/又はアルカリ土類金属塩を含有している 、得られる変性EVOH(C)に着色が生じるおそれ ある。また、変性EVOH(C)の粘度低下等の問題 が生じ、成形性が低下するおそれがある。ま た、後述のように触媒を使用する場合には、 触媒を失活させるため、それらの添加量はで きるだけ少ないことが好ましい。

 上記の問題を回避するためには、未変性 EVOH(A)が含有するアルカリ金属塩が金属元素 換算値で50ppm以下であることが好ましい。よ 好ましい実施態様では、未変性のEVOH(A)が含 有するアルカリ金属塩が金属元素換算値で30p pm以下であり、更に好ましくは20ppm以下であ 。また、同様な観点から、未変性のEVOH(A)が 有するアルカリ土類金属塩が金属元素換算 で20ppm以下であることが好ましく、10ppm以下 であることがより好ましく、5ppm以下である とが更に好ましく、未変性のEVOH(A)にアルカ 土類金属塩が実質的に含まれていないこと 最も好ましい。

 本発明に用いられる未変性のEVOH(A)の好適 なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下) は0.1~100g/10分であり、好適には0.3~30g/10分、更 に好適には0.5~20g/10分である。但し、融点が19 0℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重 下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数 グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を 縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で示す 。MFRの異なる2種以上の未変性のEVOH(A)を混合 て用いることもできる。

 本発明に用いられるエポキシ化合物(B)は 子中にエポキシ基を1個及び二重結合1個又 複数個存在するものが好ましい。すなわち 一価エポキシ化合物であることが好ましい また、分子量は500以下であることが好まし 。エポキシ基を複数個有するものは変性の に架橋する問題がある。また、上記二重結 の種類としては特に好適には1置換オレフィ であるビニル基であり、次に好適には2置換 オレフィンであるビニレン基あるいはビニリ デン基である。次に好適には3置換オレフィ である。4置換オレフィンは反応性に乏しい め、本発明の目的には適していない。

 また、エポキシ化合物(B)として、過剰に 加したものを容易に変性EVOH(C)から除去でき るものが好ましい。その除去方法としては、 押出機のベントから揮発させて除去すること が現実的である。したがって、沸点が250℃以 下であることが好適であり、200℃以下である ことがより好適である。また、エポキシ化合 物(B)の炭素数が4~10であることが好ましい。 のような二重結合を有するエポキシ化合物 具体例としては、1,2-エポキシ-3-ブテン、1,2- エポキシ-4-ペンテン、1,2-エポキシ-5-ヘキセ 、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、ア ルグリシジルエーテル、メタアリルグリシ ルエーテル、エチレングリコールアリルグ シジルエーテル等が挙げられ、特に好まし はアリルグリシジルエーテルが挙げられる また、押出機のベントから水洗除去するこ も可能であり、この場合、エポキシ化合物( B)が水に可溶であることも好ましい。

 エポキシ化合物(B)と未変性のEVOH(A)の反応 の条件は特に制限されないが、WO02/092643号(特 許文献7)に記載の方法と同様に、押出機中で 変性のEVOH(A)にエポキシ化合物(B)を反応させ ることが好ましい。このとき、触媒を添加す ることが好ましく、その場合、反応後に失活 剤としてカルボン酸塩を添加することが好ま しい。押出機内で溶融状態の未変性のEVOH(A) 対して、エポキシ化合物(B)を添加すること 、エポキシ化合物(B)の揮散を防止できると もに、反応量を制御しやすく、好ましい。 剰に添加したエポキシ化合物(B)は押出機の ントから除去可能である。更に、得られた レットを温水で洗浄することにより、残存 るエポキシ化合物(B)の除去が可能であると 時に、残存触媒も除去可能である。

 本発明で使用される触媒は、周期律表第3 ~12族に属する金属のイオンを含むものである ことが好ましい。触媒に使用される金属イオ ンとして最も重要なことは適度のルイス酸性 を有することであり、この点から周期律表第 3~12族に属する金属のイオンが使用される。 れらの中でも、周期律表第3族又は第12族に する金属のイオンが適度なルイス酸性を有 ていて好適であり、亜鉛、イットリウム及 ガドリニウムのイオンがより好適なものと て挙げられる。中でも、亜鉛のイオンを含 触媒が、触媒活性が極めて高く、かつ得ら る変性EVOH(C)の熱安定性が優れていて、最適 ある。

 周期律表第3~12族に属する金属のイオンの 添加量は未変性のEVOH(A)の重量に対する金属 オンのモル数で0.1~20μmol/gであることが好適 ある。多すぎる場合には、溶融混練中にEVOH がゲル化するおそれがあり、より好適には10 mol/g以下である。一方、少なすぎる場合には 、触媒の添加効果が十分に奏されないおそれ があり、より好適には0.5μmol/g以上である。 お、周期律表第3~12族に属する金属のイオン 好適な添加量は、使用する金属の種類や後 のアニオンの種類によっても変動するので それらの点も考慮した上で、適宜調整され べきものである。

 周期律表第3~12族に属する金属のイオンを 含む触媒のアニオン種は特に限定されるもの ではないが、その共役酸が硫酸と同等以上の 強酸である1価のアニオンを含むことが好ま い。共役酸が強酸であるアニオンは、通常 核性が低いのでエポキシ化合物と反応しに く、求核反応によってアニオン種が消費さ て、触媒活性が失われることを防止できる らである。また、そのようなアニオンを対 オンに有することで、触媒のルイス酸性が 上して触媒活性が向上するからである。

 共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価の アニオンとしては、メタンスルホン酸イオン 、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメ タンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸 イオン、トルエンスルホン酸イオン等のスル ホン酸イオン;塩素イオン、臭素イオン、ヨ 素イオン等のハロゲンイオン;過塩素酸イオ ;テトラフルオロボレートイオン(BF 4 - )、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF 6 - )、ヘキサフルオロアルシネートイオン(AsF 6 - )、ヘキサフルオロアンチモネートイオン等 4個以上のフッ素原子を持つアニオン;テトラ キス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオ 等のテトラフェニルボレート誘導体イオン; テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フ ニル)ボレート、ビス(ウンデカハイドライド -7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト(III) オン、ビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカ バウンデカボレート)鉄(III)イオン等のカル ラン誘導体イオンなどが例示される。

 上述のように、本発明で使用される触媒 その共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1 価のアニオンを含むものであることが好適で あるが、触媒中の全てのアニオン種が同一の アニオン種である必要はない。むしろ、その 共役酸が弱酸であるアニオンを同時に含有す るものであることが好ましい。

 共役酸が弱酸であるアニオンの例として 、アルキルアニオン、アリールアニオン、 ルコキシド、アリールオキシアニオン、カ ボキシレート並びにアセチルアセトナート びその誘導体が例示される。中でもアルコ シド、カルボキシレート並びにアセチルア トナート及びその誘導体が好適に使用され 。

 触媒中の金属イオンのモル数に対する、 役酸が硫酸と同等以上の強酸であるアニオ のモル数は、0.2~1.5倍であることが好ましい 。上記モル比が0.2倍未満である場合には触媒 活性が不十分となるおそれがあり、より好適 には0.3倍以上であり、更に好適には0.4倍以上 である。一方、上記モル比が1.5倍を超えると 変性EVOH(C)がゲル化するおそれがあり、より 適には1.2倍以下である。前記モル比は最適 は1倍である。なお、原料の未変性のEVOH(A)が 酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩を含む 場合には、それと中和されて消費される分だ け、共役酸が硫酸と同等以上の強酸であるア ニオンのモル数を増やしておくことができる 。

 触媒の調製方法は特に限定されるもので ないが、好適な方法として、周期律表第3~12 族に属する金属の化合物を溶媒に溶解又は分 散させ、得られた溶液又は懸濁液に、共役酸 が硫酸と同等以上のスルホン酸等の強酸を添 加する方法が挙げられる。原料として用いる 周期律表第3~12族に属する金属の化合物とし は、アルキル金属、アリール金属、金属ア コキシド、金属アリールオキシド、金属カ ボキシレート、金属アセチルアセトナート が挙げられる。ここで、周期律表第3~12族に する金属の化合物の溶液又は懸濁液に、強 を加える際には、少量ずつ添加することが ましい。こうして得られた触媒を含有する 液は押出機に直接導入することができる。

 周期律表第3~12族に属する金属の化合物を 溶解又は分散させる溶媒としては有機溶媒、 特にエーテル系溶媒が好ましい。押出機内の 温度でも反応しにくく、金属化合物の溶解性 も良好だからである。エーテル系溶媒の例と しては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2- メトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエ レングリコールジメチルエーテル、トリエ レングリコールジメチルエーテル等が例示 れる。使用される溶媒としては、金属化合 の溶解性に優れ、沸点が比較的低くて押出 のベントでほぼ完全に除去可能なものが好 しい。その点においてジエチレングリコー ジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン及 テトラヒドロフランが特に好ましい。

 また、上述の触媒の調整方法において、 加する強酸の代わりに強酸のエステル、例 ばスルホン酸エステル等を用いても良い。 酸のエステルは、通常強酸そのものより反 性が低いために、常温では金属化合物と反 しないことがあるが、200℃前後に保った高 の押出機内に投入することにより、押出機 において活性を有する触媒を生成すること できる。

 触媒の調製方法としては、以下に説明す 別法も採用可能である。まず、水溶性の周 律表第3~12族に属する金属の化合物と、共役 酸が硫酸と同等以上のスルホン酸等の強酸と を、水溶液中で混合して触媒水溶液を調製す る。なおこのとき、当該水溶液が適量のアル コールを含んでいても構わない。得られた触 媒水溶液を未変性のEVOH(A)と接触させた後、 燥することによって触媒が配合された未変 のEVOH(A)を得ることができる。具体的には、 変性のEVOH(A)のペレット、特に多孔質の含水 ペレットを前記触媒水溶液に浸漬する方法が 好適なものとして挙げられる。この場合には 、このようにして得られた乾燥ペレットを押 出機に導入することができる。

 使用される触媒失活剤は、触媒のルイス としての働きを低下させるものであればよ 、その種類は特に限定されない。好適には ルカリ金属塩が使用される。その共役酸が 酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを 含む触媒を失活させるには、当該アニオンの 共役酸よりも弱い酸のアニオンのアルカリ金 属塩を使用することが必要である。こうする ことによって、触媒を構成する周期律表第3~1 2族に属する金属のイオンの対イオンが弱い のアニオンに交換され、結果として触媒の イス酸性が低下するからである。触媒失活 に使用されるアルカリ金属塩のカチオン種 特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム 及びリチウム塩が好適なものとして例示さ る。またアニオン種も特に限定されず、カ ボン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩が好 なものとして例示される。

 触媒失活剤として、例えば酢酸ナトリウ やリン酸一水素二カリウムのような塩を使 しても熱安定性はかなり改善されるが、用 によっては未だ不十分である場合がある。 の原因は、周期律表第3~12族に属する金属の イオンにルイス酸としての働きがある程度残 存しているため、変性EVOH(C)の分解及びゲル に対して触媒として働くためであると考え れる。この点を更に改善する方法として、 期律表第3~12族に属する金属のイオンに強く 位するキレート化剤を添加することが好ま い。このようなキレート化剤は当該金属の オンに強く配位できる結果、そのルイス酸 をほぼ完全に失わせることができ、熱安定 に優れた変性EVOH(C)を与えることができる。 また、当該キレート化剤がアルカリ金属塩で あることによって、前述のように触媒に含ま れるアニオンの共役酸である強酸を中和する こともできる。

 触媒失活剤として使用されるキレート化 として、好適なものとしては、オキシカル ン酸塩、アミノカルボン酸塩、アミノホス ン酸塩などが挙げられる。具体的には、オ シカルボン酸塩としては、クエン酸二ナト ウム、酒石酸二ナトリウム、リンゴ酸二ナ リウム等が例示される。アミノカルボン酸 としては、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、 チレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチ ンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレン アミン四酢酸三カリウム、ジエチレントリ ミン五酢酸三ナトリウム、1,2-シクロヘキサ ンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジ アミン二酢酸一ナトリウム、N-(ヒドロキシエ チル)イミノ二酢酸一ナトリウム等が例示さ る。アミノホスホン酸塩としては、ニトリ トリスメチレンホスホン酸六ナトリウム、 チレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸) 八ナトリウム等が例示される。中でもポリア ミノポリカルボン酸が好適であり、性能やコ ストの面からエチレンジアミン四酢酸のアル カリ金属塩が最適である。

 触媒失活剤の添加量は特に限定されず、 媒に含まれる金属イオンの種類や、キレー 剤の配位座の数等により適宜調整されるが 触媒に含まれる金属イオンのモル数に対す 触媒失活剤のモル数の比が0.2~10となるよう することが好適である。比が0.2未満の場合 は、触媒が十分に失活されないおそれがあ 、より好適には0.5以上、更に好適には1以上 である。一方、比が10を超える場合には、得 れる変性EVOH(C)が着色するおそれがあるとと もに、製造コストが上昇するおそれがあり、 より好適には5以下であり、更に好適には3以 である。

 触媒失活剤を押出機へ導入する方法は特 限定されないが、均一に分散させるために 、溶融状態の変性EVOH(C)に対して、触媒失活 剤の溶液として導入することが好ましい。触 媒失活剤の溶解性や、周辺環境への影響など を考慮すれば、水溶液として添加することが 好ましい。

 触媒失活剤の押出機への添加位置は、未 性のEVOH(A)とエポキシ化合物(B)とを、触媒の 存在下に溶融混練した後であればよい。しか しながら、未変性のEVOH(A)とエポキシ化合物(B )とを、触媒の存在下に溶融混練し、未反応 エポキシ化合物(B)を除去した後に触媒失活 を添加することが好ましい。前述のように 触媒失活剤を水溶液として添加する場合に 、未反応のエポキシ化合物(B)を除去する前 触媒失活剤を添加したのでは、ベント等で 去して回収使用するエポキシ化合物(B)の中 水が混入することになり、分離操作に手間 かかるからである。なお、触媒失活剤の水 液を添加した後で、ベント等によって水分 除去することも好ましい。

 本発明の製造方法において、触媒失活剤 使用する場合の好適な製造プロセスとして 、(1)未変性のEVOH(A)の溶融工程;(2)エポキシ 合物(B)と触媒の混合物の添加工程;(3)未反応 エポキシ化合物(B)の除去工程;(4)触媒失活剤 水溶液の添加工程;(5)水分の減圧除去工程;の 工程からなるものが例示される。

 反応を円滑に行う観点からは、系内から 分及び酸素を除去することが好適である。 のため、押出機内へエポキシ化合物(B)を添 するより前に、ベント等を用いて水分及び 素を除去しても良い。

 エポキシ化合物(B)による変性EVOH(C)の変性 量としては、未変性のEVOH(A)のモノマー単位 対して0.1~10モル%の範囲であり、より好適に 0.3~5モル%の範囲であり、更に好適には0.5~3 ル%の範囲である。変性量が0.1モル%以下の場 合、変性の効果が小さく、また、10モル%を超 える場合、ガスバリア性及び熱安定性が低下 するという欠点がある。

 変性EVOH(C)の好適なメルトフローレート(MF R)(190℃、2160g荷重下)は0.1~100g/10分であり、好 には0.3~30g/10分、更に好適には0.5~20g/10分で る。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温 度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数 を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃ に外挿した値で示す。

 こうして得られた変性EVOH(C)を成形して本 発明の医療用容器が製造される。このとき、 変性EVOH(C)以外の樹脂や各種添加物を配合し も構わない。なかでも、変性EVOH(C)に未変性 EVOH(D)を配合した樹脂組成物を成形すること が、特に好適な実施態様である。一般に変性 EVOH(C)の製造コストは、未変性のEVOH(D)よりも いので、二重結合濃度の高い変性EVOH(C)と未 変性のEVOH(D)とを混合して所望の二重結合濃 を有する樹脂組成物を製造することが経済 である。前述のような方法によって押出機 で反応させることによって、変性量の大き 変性EVOH(C)を容易に製造できるから、このよ な樹脂組成物が容易に得られる。また、樹 組成物の二重結合濃度を、用途に応じて調 することも容易である。未変性のEVOH(D)とし ては、既に説明した未変性のEVOH(A)と同様の のを使用することができる。

 変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹 組成物における配合質量比(C/D)は特に限定さ れない。樹脂組成物の二重結合濃度を所望の 範囲にして耐熱水性に優れた成形品を得るた めには、比(C/D)の下限値は2/98であることが好 ましく、5/95であることがより好ましく、15/85 以上であることが更に好ましく、20/80以上で ることが特に好ましい。一方、製造コスト びバリア性の面からは、比(C/D)の上限値は60 /40であることが好ましく、40/60であることが り好ましい。

 変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を配合する方 は特に限定されない。溶融混練して配合し も構わないし、溶液中で配合しても構わな 。生産性の観点からは溶融混練することが ましく、例えば変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)の ペレットを用いて溶融混練することが好適な 態様である。

 変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹 組成物における、エポキシ化合物(B)による 性量は、未変性のEVOH(A)のモノマー単位と未 性のEVOH(D)のモノマー単位の合計量に対して 、好適には0.1~10モル%の範囲であり、より好 には0.3~5モル%の範囲であり、更に好適には0. 5~3モル%の範囲である。

 変性EVOH(C)、あるいは変性EVOH(C)と未変性 EVOH(D)を含有する樹脂組成物には必要に応じ 各種添加剤を配合することもできる。この うな添加剤の例としては、増感剤、硬化剤 硬化促進剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線 収剤、帯電防止剤、着色剤、充填材、ある は他の高分子化合物を挙げることができ、 れらを本発明の作用効果が阻害されない範 で配合することができる。添加剤の具体例 しては次のようなものが挙げられる。

 増感剤:ベンゾイン、ベンゾインメチルエ ーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ インプロピルエーテル、ベンジルジフェニル ジスルフィド、テトラメチルチウラムモノサ ルファイド、アゾビスブチロニトリル、ジベ ンジル、ジアセチル、アセトフェノン、2,2- エトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン 2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサ トン等。

 硬化剤:メチルエチルケトンパーオキサイ ド、シクロヘキサンパーオキサイド、クメン パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド 、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーベ ゾエート等。

 硬化促進剤:2-エチルヘキサン酸コバルト ナフテン酸コバルト、2-エチルヘキサン酸 ンガン、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸 、メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジ チルアニリン、メチル-p-トルイジン、ジメ ル-p-トルイジン、メチル-2-ヒドロキシエチ アニリン、ジ-2-ヒドロキシエチル-p-トルイ ンなどのアミン又はその塩酸、酢酸、硫酸 リン酸などの塩。

 酸化防止剤:2,5-ジブチル-t-ブチルハイド キノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4’- チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチ ン-ビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、オ タデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロ シフェニル)プロピロネート、4,4’-チオビス -(6-t-ブチルフェノール)等。

 可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエ チル、フタル酸ジブチル、ワックス、流動パ ラフィン、リン酸エステル等。

 紫外線吸収剤:エチレン-2-シアノ-3,3’-ジ ェニルアクリレート、2-(2’-ヒドロキシ-5’ -メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’ -ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル )5-クロロトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-メト シベンゾフェノン、(2,2’-ジヒドロキシ-4- トキシベンゾフェノン等。

 帯電防止剤:ペンタエリスリトールモノス テアレート、ソルビタンモノパルミテート、 硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシド、 カーボワックス等。

 着色剤:カーボンブラック、フタロシアニ ン、キナクリドン、アゾ系顔料、酸化チタン 、ベンガラ等。

 充填剤:グラスファイバー、マイカ、セラ イト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ ム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、モンモリ ロナイト等。

 他の高分子化合物:エチレン-ブテン共重 体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリ レフィン;カルボキシル基などの官能基で変 性された変性ポリオレフィン;ポリアミド、 リエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ デン、ポリ塩化ビニル等。

 上記の目的に応じて、必要により添加剤 配合した変性EVOH(C)の樹脂組成物を熱溶融成 形によりフィルム、シート、成型品とする場 合と、他のプラスチック又は金属などを基材 とするフィルム、シート、成型品の表面に溶 液コーティングして被覆剤として使用する方 法がある。このような場合の条件について次 に述べる。

 変性EVOH(C)、あるいは変性EVOH(C)と未変性 EVOH(D)を含有する樹脂組成物を成形すること 、本発明の医療用容器が得られる。成形方 は特に限定されず、溶融成形することもで るし、溶液を乾燥させることによって成形 を得ても良い。溶融成形する場合、変性EVOH (C)に添加剤を添加せずそのまま使用してもよ いし、変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)や各種添加 とを押出機に供給して、溶融混練してその ま成形してもよい。また溶融混練して一旦 レット化してから、成形してもよく、適宜 適な手段が採用される。

 溶融成形における成形温度は、変性EVOH(C) の融点等により異なるが、溶融樹脂温度を約 120℃~250℃とすることが望ましい。

 溶融成形法としては射出成形法、圧縮成 法、押出成形法など任意の成形法が採用で る。このうち押出成形法としてはT-ダイ法 中空成形法、パイプ押出法、線状押出法、 型ダイ成形法、インフレーション法などが げられる。成形物の形状は任意であり、フ ルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、 型断面押出物などが例示される。また、上 押出成形方法により得られた押出成形品を 一軸又は二軸延伸、若しくは熱成形などの 次加工に供することも可能である。

 本発明の好適な実施態様は、多層構造体 らなる医療用容器である。具体的には、変 EVOH(C)からなる層と樹脂(F)からなる層とを有 する多層構造体からなる医療用容器である。 また、変性EVOH(C)及び未変性のEVOH(D)を含有す 樹脂組成物からなる層と樹脂(F)からなる層 を有する多層構造体からなる医療用容器で る。

 このような多層構造体からなる医療用容 の製造方法は特に限定されず、溶融成形し もよいし、接着剤などを用いてラミネート てもよいし、溶液をコーティングしてもよ 。溶融成形する場合には、共押出成形、共 出成形、押出コーティングなどが採用され 。

 樹脂(F)としては、特に限定されないが、 可塑性樹脂であることが好適である。樹脂( F)は、特に限定されないが、ポリオレフィン ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ 化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリカ ボネート、アクリル樹脂及びポリビニルエ テルからなる群から選択される少なくとも1 種が例示される。ポリオレフィンとしては、 低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、 高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル 重合体、エチレン-α-オレフィン(炭素数3~20 α-オレフィン)共重合体、アイオノマー、ポ プロピレン、プロピレン(炭素数4~20のα-オ フィン)共重合体、ポリブテン、ポリメチル ンテンなどのオレフィンの単独もしくは共 合体、又はこれらオレフィンの単独又は共 合体を不飽和カルボン酸又はその無水物あ いはエステルでグラフト変性したものなど 例示される。樹脂(F)がエラストマーである とも好ましい。

 多層構造体の層構成は本発明に用いられ 変性EVOH(C)層、あるいは変性EVOH(C)と未変性 EVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる層をC(C1 ,C2,・・・)、樹脂(F)層をF(F1,F2,・・・)、必要 応じて設けられる接着剤層をAdとする時、 ィルム、シート、ボトル状であればC/Fの2層 造のみならず、C/F/C、F/C/F、F1/F2/C、F/C/F/C/F C2/C1/F/C1/C2、C/Ad/F、C/Ad/F/C、F/Ad/C/Ad/F、F/Ad/C/Ad /C/Ad/Fなど、任意の構成が可能である。また 両樹脂の密着性を向上させる樹脂を配合し りすることもある。

 また、上記押出成形方法により得られた 層構造体が熱収縮フィルムである場合、多 構造体は押出ラミネート法、ドライラミネ ト法、共押出ラミネート法、共押出シート 形法、共押出インフレ成形法、溶液コート などにより積層することにより得る事が出 る。このとき押出成形された積層物は直ち 急冷し実質上可能な限り非晶質にすること 好ましい。次いで、積層体を本発明に用い れる変性EVOH(C)の融点以下の範囲で再加熱し 、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法ある いはインフレ延伸法などにより一軸、あるい は二軸延伸する。

 変性EVOH(C)、あるいは変性EVOH(C)と未変性 EVOH(D)を含有する樹脂組成物を成形品の表面 溶液コーティングする場合、上記の変性EVOH (C)含有樹脂組成物を公知のEVOH用溶媒に溶解 は分散して用いられる。該溶媒としては、 チルアルコール、エチルアルコール、n-プロ ピルアルコール、イソプロピルアルコール、 n-ブチルアルコール、2-ブタノール、2-メチル -2-プロパノール、ベンジルアルコール等の低 級アルコール、及びこれらと水の混合物、ジ メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド 、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリド 等の溶媒が挙げられる。特に、前記の低級 ルコールと水の混合溶媒が好ましい。

 本発明において変性EVOH(C)又はそれを含む 樹脂組成物が塗布される基材としては特に制 限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、 ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の各種プラ スチックのフィルム、シート、中空容器ある いは紙、天然ゴム、合成ゴム、金属等が挙げ られる。

 塗布の方法としてはローラーコーティン 法、スプレーコーティング法、ディップコ ティング法その他任意の公知方法が適用で る。

 また、基材の種類によっては変性EVOH(C)又 はそれを含む樹脂組成物との接着力を向上さ せるため、表面酸化処理、火炎処理、アンカ ーコート処理、プライマー処理等が適宜実施 可能である。アンカー処理剤としては、ポリ ウレタン系化合物やポリエステル・イソシア ネート系化合物が好適に利用され得る。アン カーコート層の膜厚は0.05~3μm程度が実用的で ある。

 変性EVOH(C)又はそれを含む樹脂組成物の溶 液を基材に塗布した後、乾燥が行われる。乾 燥温度は30~150℃好ましくは50~120℃程度の温度 で3秒~5分程度加熱すれば良い。後述の架橋反 応を電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線 からなる群より選ばれる少なくとも1種を照 することによって行う場合、乾燥条件は低 度又は短時間で行うことが望ましい。

 本発明の医療用容器は、変性EVOH(C)の少な くとも一部が架橋されていて、成形品のゲル 分率が3質量%以上となっているものである。 述のようにして得られた成形物中の変性EVOH (C)の少なくとも一部を架橋させることにより 製造することができる。上記した架橋前の成 形物は、空気中長時間放置することにより架 橋させることが可能であるが、通常、電子線 、X線、γ線、紫外線及び可視光線からなる群 より選ばれる少なくとも1種を照射するか、 熱を行うことにより、架橋を行うことが望 しい。また、照射は医療用容器に内容物を 填した後、行うことも可能であり、その際 滅菌処理と成形品の架橋といった2つの処理 同時にできる。

 電子線、X線又はγ線を用いる場合、吸収 量が1kGy以上であることが好ましい。より好 適には1kGy~1MGyであり、更に好適には5kGy~500kGy あり、特に好適には10kGy~200kGyである。吸収 量が1MGyより大きい場合変性EVOH(C)の分解が じることに伴い、フィルム強度の大幅低下 着色等の問題が生じるため好ましくない。 た吸収線量が1kGyより小さい場合ゲル分率が 上せず、耐熱水性等の目的の性能が得られ い。

 また、本発明の多層構造体からなる医療 容器が、内容物を充填後、加熱滅菌処理を うことを特徴とする場合、前述のとおり耐 水性の改善により、白化、変形、バリア性 低下が発生し難くなる。本多層構造体は加 滅菌処理を行う必要がある医療用容器に好 である。

 前記多層構造体に、内容物を充填後、加 滅菌、特にボイル滅菌又はレトルト滅菌す ことにより、保存性の優れた医療用容器を ることができる。ここで、レトルト滅菌処 とは、高圧釜を使用し、密封した対象物を 温加圧下、熱水で滅菌する処理のことをい 。ここで処理条件としては、通常80~145℃、0 .1~0.45MPaで30~90分である。レトルト滅菌処理は 回収式、置換式、蒸気式、シャワー式、スプ レー式など各種の方法が採用される。レトル ト滅菌処理を実施した直後は本発明の医療用 容器でも白色不透明になる場合があるが、包 装材の表面水を除去した後、しばらく放置す ることで透明化する。より確実に透明化、ガ スバリア性の回復を望む場合には、40~150℃、 1~120分間熱風で乾燥することが好適である。 た他の加熱滅菌法としては熱間充填法、オ トクレーブ加熱滅菌処理法などもあげられ 。ここで、熱間充填とは、85℃以上で内容 を充填し滅菌処理することをいい、オート レーブ滅菌処理とは、耐圧装置内部に飽和 蒸気や水素ガスなどの気体を入れ、加圧下 加熱することで微生物を滅菌する処理のこ をいう。

 このようにして得られた成形品の、水-フ ェノール混合溶媒の不溶解率、すなわちゲル 分率が3質量%以上であることが重要である。 の不溶解率が3質量%未満の場合、本発明の 的である耐熱水性及び耐熱性等の効果が小 くなる。不溶解率は、好適には5質量%、更に 好適には10質量%以上であり、特に好適には20 量%以上である。ここで、水-フェノール混 溶媒の不溶解率とは水(15質量%)-フェノール(8 5質量%)の混合溶剤100質量部に成形品を1質量 入れ、60℃、12時間加熱溶解した後、濾過し 濾液を蒸発乾固して算出される。なおここ 濾過は溶解した未架橋の変性EVOH(C)が実質的 に100%透過する濾過器材(濾紙、濾布、メンブ ン)が使用される。なお、本発明に用いられ る変性EVOH(C)を含有する樹脂組成物中にフィ ーが含まれる場合、ゲル分率は上記溶媒の 溶分を500℃、1時間加熱した後に残る残渣の 量を減じて算出する。成形品が多層構造遺 である場合、変性EVOH(C)層、あるいは変性EVO H(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物層 ゲル分率が、上記範囲を満足する。

 本発明で得られる医療用容器は、有害な 橋剤をほとんど含有しないために架橋剤の 容物への溶出が抑制されて安全性に優れ、 療分野において使用するのに適したガスバ ア性を有し、レトルト滅菌処理やオートク ーブ滅菌処理などの加熱滅菌処理に耐え得 耐熱性、耐熱水性を有し、さらに加熱滅菌 理後もガスバリア性の低下が極めて少ない のである。例えば、点滴用輸液バッグ、輸 バッグ、薬液バッグ、薬液ボトル、アンプ 管などの医療用容器や、ダブルバッグやキ トバッグなど外気を介さずに2種類以上の薬 液を混合できる医療用容器として好適に使用 される。また、本発明の医療用容器は、例え ば血液回路、血液バッグ、薬液バッグ、輸血 ・輸液セット、カテーテル等の医療用具の構 成部材としても好適に使用される。また、本 発明の医療用容器には、輸液バッグや血液バ ッグ等に入った液状物を患者に点滴する際に 容器と患者との間につながれたチューブと医 療用容器とが一体化してなる医療用容器も含 まれる。

 以下、実施例にて本発明を更に詳しく説 するが、これらの実施例によって本発明は ら限定されるものではない。なお、評価は 下の方法によって行った。

(1)EVOHのエチレン含有量及び変性EVOHの変性度
 測定に用いる試料を粉砕し、アセトンによ 低分子量成分を抽出した後、120℃、12時間 乾燥させた。この試料をDMSO-d 6 を溶媒として 1 H-NMR測定(日本電子社製「JNM-GX-500型」を使用) 、得られたスペクトルの内、二重結合を有 るエポキシ化合物が反応した変性EVOHの二重 結合のメチン位のピーク(5.9ppm)又は二重結合 メチレン位のピーク(5.2ppm)とEVOHのモノマー 位に相当するエチレン部分のピーク(1.4ppm) の面積比より算出した。

(2)EVOH及び変性EVOHのメルトフローレート(MFR)
 メルトインデクサL260(テクノ・セブン社製) 用い、荷重2.16kg、温度190℃で樹脂の流出速 (g/10分)を測定した。

(3)レトルト滅菌処理後の外観の評価
 120℃、0.15MPaの熱水下で90分レトルト滅菌処 した後のパウチの外観を次のように評価し 。
A:全体的にフィルムは透明で白化やデラミネ ションが見られなかった。
B:全体的にフィルムは白化し、デラミネーシ ンが発生していた。

(4)臭気評価
 レトルト滅菌処理後、2時間室温で静置し冷 ました後、パウチを開封し、中身の蒸留水を 取り出し、官能試験(5人の総合評価)を行った 。

(5)アリルグリシジルエーテル(二重結合を有 るエポキシ化合物)の溶出量
 アリルグリシジルエーテル:0.02g、溶媒(メタ ノール:クロロホルム=50:50):20mL、100mLの2種の 準液を調製し、下記条件のガスクロマトグ フィー(GC)で検量線を作成した。測定に用い 変性EVOH約0.05gを容量10mlのバイアル瓶に精秤 し、メタノール1mlを加えて80℃に加熱して溶 させた。この溶液を室温に冷却後、クロロ ルム4mlを少しずつ添加し、白色の沈殿を析 させた。遠心分離機で溶液部と沈殿物を分 し、溶液部をGC分析して、先の検量線によ アリルグリシジルエーテルの溶出量を求め 。
GC装置 Agilent Technologies社製6890、カラム:DB-5(J &Wサイエンティフィック社製、キャピラリ ーカラム、長さ30m、φ0.25mm、film sickness 1.0μm )
測定条件 Inj.Temp.150℃、キャリアガス:ヘリウ ム、カラム流速:3.0ml/min、50℃(2分保持)→20℃/ 分で昇温→200℃(0.5分保持)
なお、本測定での検出の限界値は0.20μg/gであ る。

合成例1
 亜鉛アセチルアセトナート一水和物28質量 を1,2-ジメトキシエタン957質量部と混合し、 合液を得た。得られた前記混合液に攪拌し がらトリフルオロメタンスルホン酸15質量 を添加し、触媒溶液を得た。

 東芝機械社製TEM-35BS押出機(37mmφ、L/D=52.5) 使用し、スクリュー、3つのベント及び3つ 圧入口を設置した。樹脂フィード口を水冷 、スクリュー回転部分の温度を200℃に設定 、スクリュー回転数300rpmで運転した。樹脂 ィード口からEVOH(エチレン含有量32モル%、ケ ン化度99モル%以上、MFR6.0g/10分、カリウム含 量8ppm、リン酸根含有量20ppm)を20.0kg/hrで入れ 第1圧入口からアリルグリシジルエーテルを 2.93kg/hr、上記触媒溶液を0.5kg/hrの割合で添加 た。第2圧入口から酢酸ナトリウム0.82%水溶 を0.6kg/hrの割合で添加した。第1ベントから 圧で過剰のアリルグリシジルエーテルを除 し、第3圧入口から水を1kg/hrの割合で添加し 、第2及び第3のベントから減圧で水及びアリ グリシジルエーテルを除去した。これによ アリルグリシジルエーテル変性量1.7モル%、 MFR2.0g/10分、融点166℃の変性EVOH(EVOH-1)を得た 変性EVOH(EVOH-1)のAGE溶出量は0.62μg/gであった

合成例2
 第1圧入口からアリルグリシジルエーテルを 1.76kg/hrに、上記触媒溶液を0.2kg/hrの割合で添 し、第2圧入口から酢酸ナトリウム0.82%水溶 を0.3kg/hrの割合で添加した以外は、合成例1 同様の操作を行うことにより、アリルグリ ジルエーテル変性量1モル%、MFR2.0g/10分の変 EVOH(EVOH-2)を得た。変性EVOH(EVOH-2)のAGE溶出量 0.44μg/gであり、AGE溶出量は0.50μg/g以下であ た。

合成例3
 合成例1で得られた変性EVOH(EVOH-1)と未変性の EVOH(エチレン含有量27モル%、ケン化度99モル% 上、MFR4.0g/10分)を質量比60/40の割合でドライ ブレンドし、25mmφ二軸押出機((株)東洋精機製 LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)を用い、220℃でスク ュー回転数100rpm、押出樹脂量4.5kg/時間の条 で押出してペレット化した。次いで、80℃で 12時間乾燥を行い、変性EVOH(EVOH-3)を得た(ブレ ンド後のアリルグリシジルエーテル変性量は 計算上1.0モル%となり、AGE溶出量は、0.37μg/g なる)。

合成例4
 合成例1で得られた変性EVOH(EVOH-1)と未変性の EVOH(エチレン含有量27モル%、ケン化度99モル% 上、MFR4.0g/10分)を質量比30/70の割合でドライ ブレンドし、25mmφ二軸押出機((株)東洋精機製 LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)を用い、220℃でスク ュー回転数100rpm、押出樹脂量4.5kg/時間の条 で押出してペレット化した。次いで、80℃で 12時間乾燥を行い、変性EVOH(EVOH-4)を得た(ブレ ンド後のアリルグリシジルエーテル変性量は 計算上0.5モル%となり、AGE溶出量は、0.18μg/g なる)。

合成例5
 合成例1で得られた変性EVOH(EVOH-1)と未変性の EVOH(エチレン含有量32モル%、ケン化度99モル% 上、MFR4.0g/10分)を質量比60/40の割合でドライ ブレンドし、25mmφ二軸押出機((株)東洋精機製 LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)を用い、220℃でスク ュー回転数100rpm、押出樹脂量4.5kg/時間の条 で押出してペレット化した。次いで、80℃で 12時間乾燥を行い、変性EVOH(EVOH-5)を得た(ブレ ンド後のアリルグリシジルエーテル変性量は 計算上1.0モル%となり、AGE溶出量は、0.37μg/g なる)。

合成例6
 合成例1で得られた変性EVOH(EVOH-1)と未変性の EVOH(エチレン含有量32モル%、ケン化度99モル% 上、MFR4.0g/10分)を質量比30/70の割合でドライ ブレンドし、25mmφ二軸押出機((株)東洋精機製 LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)を用い、220℃でスク ュー回転数100rpm、押出樹脂量4.5kg/時間の条 で押出してペレット化した。次いで、80℃で 12時間乾燥を行い、変性EVOH(EVOH-6)を得た(ブレ ンド後のアリルグリシジルエーテル変性量は 計算上0.5モル%となり、AGE溶出量は、0.18μg/g なる)。

実施例1
 合成例1で得られた変性EVOH(EVOH-1)およびポリ アミド「1022FD12」(商品名、株式会社宇部興産 製、以下PAと称する)を原料とし、それぞれを 別々の押出機に導入し、下記に示す条件に従 ってPA/EVOH-1/PAの2種3層多層フィルムを共押出 形により製造した。得られた多層フィルム 厚み構成は15/15/15μmであった。

 共押出成形機の構成及び運転条件は下記の おりである。
押出機1[PA]:株式会社プラスチック工学研究所 製単軸押出機「GT-32-A型」、スクリュー径:32mm φ、スクリュー回転数:62rpm、シリンダー設定 度:240℃
押出機2[変性EVOH]:株式会社東洋精機製作所製 軸押出機「ラボME型CO-NXT」、スクリュー径:2 0mmφ、スクリュー回転数:18rpm、シリンダー設 温度:220℃
ダイスサイズ:300mm、フィルム引取り速度:4m/ 、冷却ロール温度:60℃

 得られた多層フィルムをA4サイズ(30×21cm) カットし、その片面に無延伸ポリプロピレ フィルム「RXC-18#60」(商品名、東セロ株式会 社製;以下単にCPPと略称する)をアンカーコー 接着剤(タケラックA385(商品名、株式会社武 薬品工業):タケネートA50(商品名、株式会社 田薬品工業):酢酸エチル=24:4:53(質量比))を介 してラミネートした。得られたCPPでラミネー トした多層フィルムを、CPPをラミネートして いない側から100kGy(加速電圧200kV)の電子線を リアビーム形電子線照射装置(株式会社NHVコ ポレーション製、「EBC-300-60」)により照射 、架橋させた。このとき、水とフェノール 質量比(水/フェノール)が15/85である混合溶媒 を用いて、60℃、12時間加熱溶解試験を行っ 際の変性EVOH層の不溶解分の含量、即ち、ゲ 分率は93.4%であった。

 該CPPでラミネートした多層フィルムを12×12c mの正方形に2枚カットし、両方のフィルムのC PP面を重ねて正方形の4辺の内3辺をヒートシ ラー(フジインパルス社製「FR-450」)を用いて ヒートシールした。これに、内容物として蒸 留水70ccを入れ、最後の1辺を出来るだけ空気 入らないようにヒートシールし、パウチを た。120℃、90分間のレトルト滅菌処理した 果、フィルム形態は良好であった。該レト ト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20℃ 65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0 .70cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

実施例2
 合成例2で得られた変性EVOH(EVOH-2)を使用した 以外は実施例1と同様にしてCPPでラミネート た多層フィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を た。このとき、ゲル分率は92.7%であった。該 パウチを120℃で90分間のレトルト滅菌処理し 結果、フィルム形態は良好であった。該レ ルト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20 、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果 、0.57cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

実施例3
 合成例3で得られた変性EVOH(EVOH-3)を使用した 以外は実施例1と同様にしてCPPでラミネート た多層フィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を た。このとき、ゲル分率は90.2%であった。該 パウチを120℃で90分間のレトルト滅菌処理し 結果、フィルム形態は良好であった。該レ ルト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20 、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果 、0.51cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

実施例4
 合成例4で得られた変性EVOH(EVOH-4)を使用した 以外は実施例1と同様にしてCPPでラミネート た多層フィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を た。このとき、ゲル分率は70.8%であった。該 パウチを120℃で90分間のレトルト滅菌処理し 結果、フィルム形態は良好であった。該レ ルト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20 、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果 、0.40cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

実施例5
 合成例5で得られた変性EVOH(EVOH-5)を使用した 以外は実施例1と同様にしてCPPでラミネート た多層フィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を た。このとき、ゲル分率は89.4%であった。該 パウチを120℃で90分間のレトルト滅菌処理し 結果、フィルム形態は良好であった。該レ ルト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20 、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果 、0.64cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

実施例6
 合成例6で得られた変性EVOH(EVOH-6)を使用した 以外は実施例1と同様にしてCPPでラミネート た多層フィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を た。このとき、ゲル分率は68.1%であった。該 パウチを120℃で90分間のレトルト滅菌処理し 結果、フィルム形態は良好であった。該レ ルト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20 、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果 、0.56cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

実施例7
 合成例3で得られた変性EVOH(EVOH-3)を使用し、 電子線照射量を10kGy(加速電圧200kV)とした以外 は実施例1と同様にしてCPPでラミネートした 層フィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を得た このとき、ゲル分率は20.2%であった。該パウ チを120℃で90分間のレトルト滅菌処理した結 、フィルム形態は良好であった。該レトル 滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの20℃、6 5%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0.3 8cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。得 られた結果を表1にまとめて示す。

比較例1
 変性EVOH(EVOH-1)の代わりにエチレン含有量27 ル%、ケン化度99モル%以上、MFR4.0g/10分の「エ バール」L171(商品名、株式会社クラレ製)を使 用し、電子線を照射しなかったこと以外は実 施例1と同様にしてCPPでラミネートした多層 ィルムからパウチ(蒸留水70cc入)を得た。こ とき、ゲル分率は0%であった。該パウチを120 ℃で90分間のレトルト滅菌処理した結果、高 高圧に耐えず、フィルム形態は白化し、デ ミネーションが激しく発生した。該レトル 滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの酸素透 過量(OTR)はフィルムの破壊が激しく測定でき かった。得られた結果を表1にまとめて示す 。

比較例2
 変性EVOH(EVOH-1)の代わりに合成例4で得られた 変性EVOH(EVOH-4)を使用し、電子線を照射しなか ったこと以外は実施例1と同様にしてCPPでラ ネートした多層フィルムからパウチ(蒸留水7 0cc入)を得た。このとき、ゲル分率は1.7%であ た。該パウチを120℃で90分間のレトルト滅 処理した結果、フィルム形態は白化し、デ ミネーションが激しく発生した。該レトル 滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの酸素透 量(OTR)はフィルムの破壊が激しく測定でき かった。得られた結果を表1にまとめて示す

比較例3
 変性EVOH(EVOH-1)の代わりに合成例6で得られた 変性EVOH(EVOH-6)を使用し、電子線を照射しなか ったこと以外は実施例1と同様にしてCPPでラ ネートした多層フィルムからパウチ(蒸留水7 0cc入)を得た。このとき、ゲル分率は1.5%であ た。該パウチを120℃で90分間のレトルト滅 処理した結果、フィルム形態は白化し、デ ミネーションが激しく発生した。該レトル 滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの酸素透 量(OTR)はフィルムの破壊が激しく測定でき かった。得られた結果を表1にまとめて示す

実施例8
 合成例4で得られた変性EVOH(EVOH-4)を使用した 以外は実施例1と同様にして、PA/EVOH-4/PAの2種3 層多層フィルムを共押出成形により製造した 。得られた多層フィルムの厚み構成は15/15/15 mであった。

 得られた多層フィルムをA4サイズ(30×21cm) カットし、実施例1と同様にしてCPPでラミネ ートした後に12×12cmのパウチを作成し、内容 として蒸留水70ccを入れヒートシールした。

 内容物(蒸留水)を入れたパウチを片面ず 両面に100kGy(加速電圧200kV)の電子線を照射し 架橋させた。このとき、ゲル分率は70.8%で った。

 内容物を入れたまま電子線照射滅菌処理後 パウチをさらに120℃で90分間のレトルト滅 処理した結果、パウチ形態は良好であった 該レトルト滅菌処理後(120℃、90分)のパウチ 20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した 果、0.40cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。ま た、官能試験の結果、臭気は感じられず、GC 定の結果も検出限界以下であった。得られ 結果を表2にまとめて示す。

比較例4
 変性EVOH(EVOH-4)の代わりに「エバール」L171( 品名、株式会社クラレ製)を使用したこと以 は実施例8と同様にしてパウチに内容物を入 れ、片面ずつ両面に100kGy(加速電圧200kV)の電 線を照射した。得られたパウチを120℃で90分 間のレトルト滅菌処理した結果、フィルム形 態は白化し、デラミネーションが激しく発生 した。該レトルト滅菌処理後(120℃、90分)の ィルムの酸素透過量(OTR)はフィルムの破壊が 激しく測定できなかった。また、官能試験の 結果、臭気は感じられなかった。得られた結 果を表2にまとめて示す。

比較例5
 変性EVOH(EVOH-4)の代わりに「エバール」L171( 品名、株式会社クラレ製)としたこと以外は 施例8と同様にしてパウチに内容物を入れた 。得られたパウチを120℃で90分間のレトルト 菌処理した結果、フィルム形態は白化し、 ラミネーションが激しく発生した。該レト ト滅菌処理後(120℃、90分)のフィルムの酸素 透過量(OTR)はフィルムの破壊が激しく測定で なかった。また、官能試験の結果、臭気は じられなかった。得られた結果を表2にまと めて示す。

実施例9
 合成例3で得られた変性EVOH(EVOH-3)を使用し、 電子線照射量を10kGy(加速電圧150kV)とした以外 は実施例1と同様にしてCPPでラミネートした 層フィルムを得た。該CPPでラミネートした 層フィルムを12×12cmの正方形に2枚カットし 両方のフィルムのCPP面を重ねて正方形の4辺 内3辺をヒートシーラー(フジインパルス社 「FR-450」)を用いてヒートシールした。

 また、合成例3で得られた変性EVOH(EVOH-3)を 使用した以外は実施例1と同じ原料を用い、 性EVOHとPAとを別々の押出機に導入し、下記 示す条件に従ってPA/EVOH-2/PAの2種3層多層チュ ーブを共押出成形により製造した。得られた 多層チューブの厚み構成は100/20/100μmであっ 。

 多層チューブを製造する際の共押出成形機 構成及び運転条件は下記のとおりである。
押出機1[PA]:株式会社プラスチック工学研究所 製単軸押出機「GT-32-A型」、スクリュー径:32mm φ、スクリュー回転数:62rpm、シリンダー設定 度:240℃
押出機2[変性EVOH]:株式会社東洋精機製作所製 軸押出機「ラボME型CO-NXT」、スクリュー径:2 0mmφ、スクリュー回転数:18rpm、シリンダー設 温度:220℃
ダイス径:10mm、チューブ引取り速度:4m/分、冷 却ロール温度:60℃

 得られた多層チューブに100kGy(加速電圧250 kV)の電子線を照射し、架橋させた。このとき 、水とフェノールの質量比(水/フェノール)が 15/85である混合溶媒を用いて、60℃、12時間加 熱溶解試験を行った際の変性EVOH層の不溶解 の含量、即ち、ゲル分率は90.2%であった。

 該4辺の内3辺をヒートシールした多層フィ ムに内容物として蒸留水70ccを入れ、最後の1 辺に該多層チューブの一端を取り付け、ヒー トシールし、チューブ一体型パウチを得た。 チューブのもう一端はヒートシールで閉じた 。120℃、90分間のレトルト滅菌処理した結果 パウチ部分、チューブ形態はデラミネーシ ン、白化もなく良好であった。該レトルト 菌処理前後(120℃、90分)のチューブ一体型パ ウチの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定 した結果、レトルト前で0.60cc・20μm/m 2 ・day・atm、レトルト後で0.67cc・20μm/m 2 ・day・atmと良好なガスバリア性を示した。