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Title:
GAS INSULATION SWITCH
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/144907
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a gas insulation switch constituted such that electrical contacts are placed inside a hermetic vessel (1) filled with an arc extinguishing gas, and when electrical current passes, the electrical contacts are held in contact and pass electricity, and when the current is interrupted, the electrical contacts are separated and an arc discharge is produced in the arc extinguishing gas, and the current is interrupted by extinguishing this arc (8). The arc extinguishing gas is a mixed gas, the main constituents of which are N2 gas and CH4 gas, and the CH4 content is at least 30%. Alternatively, the arc extinguishing gas is a mixed gas, the main constituents of which are CO2 gas and CH4 gas, and the CH4 content is at least 5%.

Inventors:
UCHII TOSHIYUKI (JP)
HIRANO YOSHIHIKO (JP)
HOSHINA YOSHIKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002280
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
UCHII TOSHIYUKI (JP)
HIRANO YOSHIHIKO (JP)
HOSHINA YOSHIKAZU (JP)
International Classes:
H01H33/22; H01H33/56; H01H33/57; H01H33/915; H02B13/02; H02B13/055
Foreign References:
JP2008084768A2008-04-10
JPS58158802A1983-09-21
JP2005328600A2005-11-24
JPH07109744A1995-04-25
JPH0797466A1995-04-11
JP2000164040A2000-06-16
JP2007258137A2007-10-04
JP2001189118A2001-07-10
JP2003348721A2003-12-05
Other References:
See also references of EP 2284854A4
UCHII; KAWANO; NAKAMOTO; MIZOGUCHI: "Fundamental Properties of C02 Gas as an Arc Extinguishing Medium and Thermal Interruption Performance of Full-Scale Circuit Breaker Model", TRANSACTIONS B OF THE INSTITUTE OF ELECTRICAL ENGINEERS OF JAPAN, vol. 124, no. 3, 2004, pages 469 - 475
"Global Environmental Load of SF6 and Insulation of SF6 Mixture or Substitute Gas", TECHNICAL REPORT OF THE INSTITUTE OF ELECTRICAL ENGINEERS OF JAPAN, no. 841, 2001
Attorney, Agent or Firm:
KIKUCHI, Osamu et al. (JP)
Osamu Kikuchi (JP)
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Claims:
 消弧性ガスで充たされた密閉容器内に少なくとも1対の電気接点を配置し、通電時には前記電気接点を接触状態に保つことで通電を行ない、電流遮断時には前記電気接点を解離させて前記消弧性ガス中にアーク放電を発生させ、そのアークを消弧することで電流を遮断せしめるよう構成されたガス絶縁開閉器において、
 前記消弧性ガスが、CO 2 ガスとCH 4 ガスを主成分とする混合ガスであって、CH 4 ガスを5%以上含むことを特徴とするガス絶縁開閉器。
 消弧性ガスで充たされた密閉容器内に少なくとも1対の電気接点を配置し、通電時には前記電気接点を接触状態に保つことで通電を行ない、電流遮断時には前記電気接点を解離させて前記消弧性ガス中にアーク放電を発生させ、そのアークを消弧することで電流を遮断せしめるよう構成されたガス絶縁開閉器において、
 前記消弧性ガスが、N 2 ガスとCH 4 ガスを主成分とする混合ガスであって、CH 4 ガスを30%以上含むことを特徴とするガス絶縁開閉器。
 前記密閉容器内に形成されて前記消弧性ガスを蓄積し、前記アークの熱エネルギーにより内部空間内の前記消弧性ガスの圧力が上昇するように構成された蓄圧空間と、
 前記蓄圧空間と前記アークとを結ぶガス流路と、
 を有し、
 前記蓄圧空間に蓄積されて前記アークの熱エネルギーによって昇圧された前記消弧性ガスが前記ガス流路を通って前記アークに吹き付けられるように構成されていること、を特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記密閉容器内に、水分を優先的に吸収可能な吸着剤が設置されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記密閉容器内において電圧が印加される部分を電気的に絶縁し、かつ機械的に支持するための固体絶縁支持物が、シリカを配合したエポキシ系材料で製作されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記密閉容器は、前記消弧性ガスを密封するためのパッキンとして、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、ハイパロン、EVA樹脂のいずれか少なくとも一種を用いていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記電気接点を解離動作する際の摺動面に潤滑性のシリコーングリスが塗布されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 接触通電を行なわない金属表面の少なくとも一部に、燐酸処理皮膜、アルミナ皮膜、フッ素系コーティング、塗装のいずれかの表面処理が施されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記密閉容器内のCOガスもしくはO 3 ガスを検出する検出手段を有することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記消弧性ガスが、O 2 もしくはH 2 ガスが2%以下の範囲で添加された混合ガスであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記アーク、もしくは前記アークにより熱せられた消弧性ガス流に曝される位置に、O元素もしくはH元素を含む固体材料が配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
 前記密閉容器内に充填するCH 4 ガスまたはCO 2 ガスは、大気中より回収したもの、もしくは成り行きでは大気放出されるものを回収、精製して利用するものであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のガス絶縁開閉器。
Description:
ガス絶縁開閉器

 この発明はガス絶縁開閉器に関し、特に 温室効果ガスの使用を抑制したガス絶縁開 器に関する。

 電流遮断機能を有する開閉器には、その 用目的、必要とされる機能に応じて、負荷 閉器、断路器、遮断器など様々なものが存 する。その多くはガス中に機械的に開閉可 な電気接点を配置し、通電時には両者を接 状態に保つことで通電を行ない、電流遮断 には電気接点を解離させて前記ガス中にア ク放電を発生させ、そのアークを消弧する とで電流を遮断する方式のものである。

 近年、より高い電流遮断性能を得るため 、ピストンによる機械的な圧縮だけでなく アークの熱エネルギーをパッファ室内に積 的にとりこむことで、より高い吹付け圧力 得る方式が提案されている。たとえば、遮 動作の初期に、可動側熱ガス流を中空ロッ に設けた穴を通じてパッファ室内へ取り込 方式が提案されている(特許文献1参照)。

 あるいは、パッファ室を軸方向に2分割し 、アークに近い方のパッファ室の容積を限定 することで、特に大電流遮断時にアークへの 高い吹付け圧力を獲得し、なおかつパッファ 室の分割部に逆止弁を設けることでピストン に直接高い圧力が作用するのを避け、可動接 触部を駆動する力を低減する方式などが提案 されている(特許文献2参照)。

 近年普及している開閉器においては、前記 弧性ガスとして、SF 6 ガス、あるいは空気が使用されることが多い 。SF 6 ガスは、アークを消滅させる性能(消弧性能) および電気絶縁性能に優れており、特に高 圧用の開閉器においては広く使用されてい 。また、空気はコストが安いこと、安全で 境にも優しいことから、特に小形の開閉器 おいて使用されることが多い。

 ところで、SF 6 ガスは特に高電圧用の開閉器において非常に 適したガスといえるが、高い地球温暖化作用 を有することが知られており、近年その使用 量の削減が望まれている。地球温暖化作用の 大きさは一般に地球温暖化係数、すなわちCO 2 ガスを1とした場合の相対値により表わされ SF 6 ガスの地球温暖化係数は23,900に及ぶことが知 られている。また、空気は安全性や環境保全 の面では優れているが、その消弧性能および 電気絶縁性能はSF 6 ガスよりも大幅に劣るため、高電圧用の開閉 器に広く適用するのは困難であり、低から中 電圧への適用に限られると考えられている。

 上記の背景で、開閉器における消弧性ガス してCO 2 ガスを適用することが提案されている(非特 文献1参照)。CO 2 ガスは地球温暖化作用がSF 6 ガスに比べて非常に小さいため、CO 2 ガスをSF 6 ガスの代わりに開閉器に適用することで、地 球温暖化への影響を大幅に抑制することが可 能である。また、CO 2 ガスの消弧性能および電気絶縁性能はSF 6 ガスに比べると劣るものの、空気に比べると 消弧性能ははるかに優れ、また絶縁性能も同 等かそれ以上であることが知られている。し たがって、CO 2 ガスをSF 6 ガスあるいは空気の代わりに適用することで 、概ね良好な性能を有し、かつ地球温暖化へ の影響を抑制した環境に優しい開閉器を提供 することが可能である。

 また、CO 2 ガス以外にも、上記と同じ理由により、開閉 器の消弧性ガスとしてCF 4 ガスなどのパーフルオロカーボン、CH 2 F 2 ガスなどのハイドロフルオロカーボンを適用 すること(非特許文献2)、CF 3 Iガスを適用すること(特許文献3)が提案され いる。これらのガスもSF 6 ガスに比べると地球温暖化への影響が小さく 、比較的高い消弧性能、および絶縁性能を有 するため、開閉器の環境負荷低減に有効であ るとされている。

 さらに、上記のようなC元素を含むガスを開 閉器に適用する場合、O 2 ガス、H 2 ガスを適量混合させることにより、電流遮断 時に発生する遊離カーボンの生成量を抑制し 、遊離カーボン生成による電気的な品質低下 を防止する方策が提案されている(特許文献4) 。

 なお、2対の接離可能な電極を備えてそのう ちの一対が真空遮断器であるハイブリッド遮 断器において、一つの消弧室に絶縁ガスとし てCH 4 を含む混合ガスを用いるものが提案されてい る(特許文献5)。

 さらに、2対の接離可能な電極をそれぞれ別 個の消弧室に収容した遮断器において、絶縁 ガスとしてCH 4 やN 2 を含む混合ガスを用いるものが提案されてい る(特許文献6)。

特公平7-109744号公報

特公平7-97466号公報

特開2000-164040号公報

特開2007-258137号公報

特開2001-189118号公報

特開2003-348721号公報

内井、河野、中本、溝口、「消弧媒体と してのCO2ガスの基礎特性と実規模モデル遮断 器による熱的遮断性能の検証」、電気学会論 文B、124巻、3号、pp.469~475、2004年 「SF6の地球環境負荷とSF6混合・代替ガス 絶縁」、電気学会技術報告841号、2001年

 以上のように、CO 2 ガス、パーフルオロカーボン、ハイドロフル オロカーボン、CF 3 Iガスを開閉器の電気絶縁媒体、消弧媒体と て適用し、従来のSF 6 ガスを利用した開閉器に比べて地球温暖化へ の影響を低減し、なおかつ、概ね良好な性能 を有する開閉器を提供することが提案されて いる。

 しかしながら、その場合に以下の4点の重 大な課題があった。

 まず、一つ目の課題として、上記のガス いずれもC元素を含むため、これらのガスを 開閉器に適用した場合、電流遮断時に発生す る高温のアークによりガスが解離、再結合す る過程において、遊離したカーボンが発生す る課題があった。

 電流遮断にともなって発生したカーボン 、たとえば絶縁スペーサなどの固体絶縁物 表面に付着した場合、同部の電気絶縁性を しく劣化させる恐れがあり、開閉器の品質 損なわれる懸念があった。

 さらに、上記のガスをパッファ形ガス遮 器に適用し、かつ、遮断性能を向上させる めに、パッファ室の圧力上昇手段としてア クの熱エネルギーを積極的に利用するよう 成した場合、従来のピストンによる機械的 縮を主体としたガス遮断器に比べ、ガスの 度は必然的に高くなる。ガスの温度が高く ると、具体的には約3000K以上にまでガスの 度が高くなると、ガス分子の解離が顕著に 行し、カーボンが生成されやすくなる。し がって、当該ガスをパッファ形ガス遮断器 適用し、なおかつアークの熱エネルギーを 極的に利用して高いパッファ室圧力を得よ とすると、それだけカーボンが生成されや くなり、品質が損なわれる懸念があった。

 これを回避するためには、カーボンが発 しないようにアークの熱エネルギーの利用 制限する必要があるため、結果的に小さい 断電流の適用に限るか、もしくは大電流遮 に必要な吹付け圧力上昇を機械的な圧縮主 で行なうこととなり、大形で高コストな開 器となる傾向にあった。

 二つ目の課題として、上記に挙げたガスの ちパーフルオロカーボン、ハイドロフルオ カーボン、CF 3 Iガスは、地球温暖化係数はSF 6 よりは低いものの、SF 6 ガス同様に天然には存在しない人工ガスであ るため、これらが開閉器に適用され大量に生 産されるようになると、それだけ地球上に新 たに温暖化ガスを生み出すこととなり、必ず しも環境に優しいとはいえなかった。

 三つ目の課題として、CF 3 Iガス、およびパーフルオロカーボン、ハイ ロフルオロカーボンに属する大部分のガス 、分子構造が複雑であるため、一旦アーク 分子が解離されると、再結合過程において の分子になる可能性が高かった。遮断する 流値やガスの条件にもよるが、たとえば、CF 3 Iガスは一旦アークで解離されると、I 2 とC 2 F 6 等に再結合されたり、C 2 F 6 ガスは同様にさらに分子構造が簡単なCF 4 などに変化してゆく可能性があった。このた め、これらのガスを開閉器に適用した場合、 電流を遮断するたびにガスの組成が変化して ゆき、当初期待していた性能が徐々に得られ なくなる可能性があった。

 四つ目の課題は、CO 2 とO 2 、もしくはCO 2 とH 2 の混合ガスに係わるものである。これらのガ スについては、全て自然由来のガスであり、 真に環境に優しいといえる。また、既に特許 文献4にて提案されているように、O 2 およびH 2 を適量混合させることにより、CO 2 を使用しながらも一つ目の課題として挙げた 電流遮断後の遊離カーボンの生成をある程度 抑制することができる。

 しかしながら、O 2 ガスは有機材料や金属の劣化を促進する代表 的な物質であるため、特に通電により高温環 境に曝されている金属導体部分や、ゴムパッ キン、絶縁物、潤滑グリスなどの有機物の劣 化を著しく促進させ、結果として機器寿命が 短縮されたり、機器の保守点検回数が増える などの課題があった。特に絶縁ノズルは、数 万度にも達するアークに曝されるため、支燃 性を有するO 2 ガスの濃度が高くなるにつれて損傷が激しく なり、電流値やガス圧力などが高い場合には 燃焼してしまう可能性もあった。

 また、CO 2 とH 2 の混合ガスは、安全性、電気絶縁性、気密性 の点で課題があった。H 2 ガスは可燃性ガスの中でも燃焼速度が極めて 速いガスであり、空気中での爆発範囲は4~75% 極めて広く、万が一にでも機器運用時やガ ハンドリング時に漏洩した場合、爆発を引 起こす危険性が高かった。また、H 2 ガスは電流遮断性能には優れるものの、絶縁 性能はきわめて低く、CO 2 ガスの1割程度以下の性能である。このため H 2 を混合させると絶縁性能を十分に確保させる ために絶縁ギャップ長を増やす必要があり、 このため機器の大形化を招いていた。またH 2 ガスは分子が小さいため、気密性を確保する ことが難しく、機密性を確保させるためにガ スパッキンを2重化するなどの工夫が必要で った。

 また、特許文献5および特許文献6では、二 の消弧室のうちの一方に、絶縁ガスとしてCH 4 やN 2 を含む混合ガスを用いるものが提案されてい るが、最適の混合ガス組成が示されていると はいえない。

 本発明は、上記の課題を全て解消し、地 温暖化への影響が小さく、かつ優れた性能 品質を有し、かつ安全性の高いガス絶縁開 器を提供することを目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明の係る ス絶縁開閉器の一つの態様は、消弧性ガス 充たされた密閉容器内に少なくとも1対の電 気接点を配置し、通電時には前記電気接点を 接触状態に保つことで通電を行ない、電流遮 断時には前記電気接点を解離させて前記消弧 性ガス中にアーク放電を発生させ、そのアー クを消弧することで電流を遮断せしめるよう 構成されたガス絶縁開閉器において、前記消 弧性ガスが、CO 2 ガスとCH 4 ガスを主成分とする混合ガスであって、CH 4 ガスを5%以上含むことを特徴とする。

 また、本発明の係るガス絶縁開閉器の他の つの態様は、消弧性ガスで充たされた密閉 器内に少なくとも1対の電気接点を配置し、 通電時には前記電気接点を接触状態に保つこ とで通電を行ない、電流遮断時には前記電気 接点を解離させて前記消弧性ガス中にアーク 放電を発生させ、そのアークを消弧すること で電流を遮断せしめるよう構成されたガス絶 縁開閉器において、前記消弧性ガスが、N 2 ガスとCH 4 ガスを主成分とする混合ガスであって、CH 4 ガスを30%以上含むことを特徴とする。

 本発明によれば、地球温暖化への影響が さく、かつ優れた性能と品質を有し、かつ 全性の高いガス絶縁開閉器を提供すること できる。

本発明に係るガス絶縁開閉器の第1の実 施形態の要部縦断面図。 CH 4 ガス、CO 2 ガス、CO 2 +CH 4 混合ガス、CO 2 +O 2 混合ガス中でアークを発生した場合における 遊離カーボンの生成量解析値を示すグラフ。 CH 4 ガス、CO 2 ガス、N 2 ガス、CO 2 +CH 4 混合ガス、N 2 +CH 4 混合ガスのアーク消弧性能を示すグラフ。 CH 4 ガス、CO 2 ガス、N 2 ガス、CO 2 +CH 4 混合ガス、N 2 +CH 4 混合ガスの絶縁耐力を示すグラフ。 本発明に係るガス絶縁開閉器の第2の実 施形態の要部縦断面図。 H 2 ガス、CH 4 ガスの空気中での爆発範囲を示すグラフ。 CO 2 ガス、O 2 ガス、CH 4 ガス、H 2 ガスの耐電圧性能の相対比較を示す表。 本発明に係るガス絶縁開閉器の第4の実 施形態の密閉容器内の要部を示す部分縦断面 図。 CH 4 +H 2 混合ガス中にて大電流を多数回遮断後のCH 4 、H 2 、HF、O 3 ガス以外の分解ガス生成量を示すグラフ。 CH 4 +CO 2 +H 2 混合ガス、CH 4 +CO 2 +O 2 混合ガス中にて大電流を多数回遮断後のCH 4 、CO 2 、H 2 、O 2 、HF、O 3 ガス以外の分解ガス生成量を示すグラフ。

 次に、図面を参照しながら本発明に係る ス絶縁開閉器の実施形態を説明する。ここ 、互いに同一または類似の部分には共通の 号を付して、重複説明は省略する。

  [第1の実施形態]
 図1は、本発明に係るガス絶縁開閉器の第1 実施形態の要部縦断面図であって、遮断動 途中の状態を示している。このガス絶縁開 器は、たとえば72kV以上の高電圧送電系統の 護用開閉器であって、パッファ形ガス遮断 である。図1に示す各部品は基本的に、図1 左右方向に延びる中心軸(図示せず)の周りに 軸対称な同軸円筒形状である。

 図1に示すように、接地された金属あるいは 碍子等からなる密閉容器1内には、消弧性ガ 31aとしてCO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスであってCH 4 ガスを5%以上含むものを採用する。ここでは 体的にCO 2 (70%)+CH 4 (30%)の混合ガスを例にとって説明する。

 ここで使用されるCO 2 ガスとCH 4 ガスは、好ましくは、大気中より回収したも の、もしくは有機性廃棄物処理過程などで発 生し成り行きでは大気放出されるものを回収 、精製したものを利用する。

 密閉容器1内には固定接触部21および可動 触部22が対向して配置されており、固定接 部21および可動接触部22にはそれぞれ固定ア ク接触子7aおよび可動アーク接触子7bが設け られている。これら固定アーク接触子7aおよ 可動アーク接触子7bは通常運転時では接触 通状態にあり、遮断動作時は軸方向相対移 により開離すると共に固定アーク接触子7aと 可動アーク接触子7bの間の空間にアーク8を発 生させるようになっている。固定アーク接触 子7aおよび可動アーク接触子7bは、アークに する溶損が少なく、かつ機械的強度も高い 料、たとえば銅タングステン合金を用いる が好ましい。

 可動接触部22側にはアーク8に対し消弧性 ス31aをガス流にして吹き付けるガス流発生 段が設置されている。ガス流発生手段とし は、ここではピストン3、シリンダ4、パッ ァ室5、絶縁ノズル6が設けられている。また 、固定接触部21側には固定側熱ガス流11aが通 可能な金属製の排気筒9が取付けられている 。可動接触部22側には可動側熱ガス流11bが通 可能な中空ロッド12が可動アーク接触子7bに 連なって設けられている。

 接触子部など運転時に高電圧が印加される 分は、固体絶縁物23により絶縁性を確保し つ機械的に支持される。固体絶縁物23は、た とえばシリカなどの充填物を配合したエポキ シ系材料が使用される。なお、消弧性ガスと してSF 6 ガスを使用する従来の技術では、アーク遮断 過程によりHFなどの分解ガスが発生し、シリ がHFガスに侵されて特性が劣化する恐れが るため、通常アルミナ充填材料を使用する とが多い。これに対して本実施形態では、 リカなどの充填物を配合したエポキシ系材 を用いることができる。

 以上の構成を有するガス遮断器の遮断過 において、可動接触部22が図の左方向に動 すると、固定されているピストン3がシリン 4の内部空間であるパッファ室5を圧縮して ッファ室5内の圧力を上昇させる。そして、 ッファ室5内に存在する消弧性ガス31aが高圧 力のガス流となってノズル6に導かれ、固定 ーク接触子7aと可動アーク接触子7bの間に発 したアーク8に対して強力に吹き付けられる 。これにより、固定アーク接触子7aと可動ア ク接触子7bの間に発生した導電性のアーク8 消滅し電流は遮断される。一般的に、パッ ァ室5内の圧力が高いほど、消弧性ガス31aが 強力にアーク8へと吹き付けられるため、よ 高い電流遮断性能が得られることが知られ いる。

 なお、高温のアーク8に吹き付けられた消 弧性ガス31aは高温状態となり、固定側熱ガス 流11aおよび可動側熱ガス流11bとして両アーク 接触子間の空間より遠ざかるように流れ、最 終的には密閉容器1内へ放散される。また、 リンダ4とピストン3の隙間などの摺動部分に は、摩擦を低減するために図示しないグリス が塗布されることが多い。

 パッファ室5の圧力上昇は、ピストン3に る機械的圧縮だけでなく、アーク8からの熱 ネルギーを積極的にパッファ室5内に取り込 むことによりもたらされるように構成する。 この実施形態では、図1に示すように、ガイ 32により、中空ロッド12を流れる可動側熱ガ 流11bが連通穴33を通ってパッファ室5内に取 込まれ、同部の圧力上昇に寄与するよう構 されている。

 ここで、消弧性ガス31bとして、CO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスであってCH 4 ガスを5%以上含むものを用いることの利点に いて説明する。

 CO 2 ガス、CH 4 ガスの地球温暖化係数はそれぞれ1および21と いわれており、従来開閉器の絶縁・消弧媒体 として広く使用されているSF 6 ガスが23,900であることに比べると、地球環境 に及ぼす影響は極めて小さい。また、SF 6 ガスや、その代替媒体として提案されている パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカ ーボン、CF 3 Iガスなどとは異なり、天然に存在する自然 来のガスなので、人工的な環境被害を生み す可能性はほとんどない。さらに、ここで 用するCO 2 ガス、CH 4 ガスは、そもそも大気中より回収、もしくは 本来は大気中に放出されていたものを回収し て使用したものなので、本目的としてCO 2 ガス、CH 4 ガスを使用しても、地球上に新たにこれらの ガスを生み出していることにはならない。し たがって、開閉器の絶縁・消弧媒体としてCO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスを使用することで、環境にお よぼす影響を極めて小さくすることができる 。

 CO 2 ガスにCH 4 ガスを混合させることで、カーボン生成の発 生量を大幅に抑制することができる。

 図2は、CH 4 ガス、CO 2 ガス、CO 2 +CH 4 混合ガス、CO 2 +O 2 混合ガス中でアークを発生した場合における 遊離カーボンの生成量解析値を示すグラフで ある。図2に示すように、CH 4 を5%混入することで、純粋CO 2 ガスを適用した場合に比べカーボンの生成量 は略半分にまで減少し、十分実効的な効果が 得られる。本実施形態の例のように、CH 4 を30%まで混合させれば、カーボン発生量を1 程度まで抑制させることができ、カーボン 成に伴う品質低下を防止することができる

 また、これにより、カーボンが発生しな ようにパッファ室圧力上昇に対するアーク の利用度を制限する必要が無くなる、もし は緩和されるため、小形でかつ大電流が遮 可能な開閉器を提供することができる。

 ガス自身の性能もCH 4 ガスを混合することでCO 2 単体よりも向上する。

 図3は、CH 4 ガス、CO 2 ガス、N 2 ガス、CO 2 +CH 4 混合ガス、N 2 +CH 4 混合ガスのアーク消弧性能を示すグラフであ る。また、図4は、CH 4 ガス、CO 2 ガス、N 2 ガス、CO 2 +CH 4 混合ガス、N 2 +CH 4 混合ガスの絶縁耐力を示すグラフである。図 3および図4に示すとおり、たとえばCH 4 を30%混ぜることで、CO 2 単体の時と比べて遮断性能、絶縁性能ともに それぞれ約1.7倍、1.1倍にまで性能を上げるこ とができる。このため、1遮断点のみでも高 遮断性能が得られるため、多遮断点構成と る必要がなく、小形かつ低コストの開閉器 提供することが可能となる。

 CO 2 およびCH 4 はC、O、H元素から構成される分子の中で最も 低位な、すなわち簡単な分子構造であるため 、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロ カーボンに属するガス、CF 3 Iガスのような複雑な分子構造のガスとは異 り、一旦アークで分子が解離されても再結 する過程においても別の分子構造に変化す 可能性はほとんど無く、基本的にほぼ完全 もとの混合比のままCO 2 とCH 4 に戻る。そのため、たとえ多数回電流を遮断 しても、機器特性が変化するような事態は起 こらず、安定した品質を長期にわたり維持す ることができる。

 一般的に良く知られているように、CH 4 ガス1モルはO 2 ガス2モルと化合して、すなわち燃焼して熱 を発生させる。CO 2 ガスとCH 4 ガスとの混合ガス中で加熱してもCO 2 ガス2モルが解離するために必要な熱量と解 して発生した2モルのO 2 と1モルのCH 4 とが化合して発生する熱量には大きな差がな いため、燃焼、爆発などの危険は生じない。 ただし、当該混合ガスが密閉容器から大気中 に漏洩した場合は火災などを引き起こす危険 性がある。本実施形態においては、第1の実 形態と異なり可燃性のCH 4 ガスの濃度はCO 2 ガスにより希釈されているので、万が一大気 中に封入ガスが漏洩した際の安全性が高い。

 従来、1対の電気接点、すなわち1遮断点の で十分な遮断性能が出せない場合は、電気 点を2対直列に接続して性能を確保すること あるが、本実施形態によれば、CO 2 ガスとCH 4 ガスとの混合ガスの優れた特性により、1遮 点のみでも高い遮断性能が得られるため、 形かつ低コストの開閉器を提供することが きる。

 以上説明したように、本実施形態によれ 、地球温暖化への影響が小さく、かつ優れ 性能と品質を有し、小形、低コスト、かつ 全性の高いガス絶縁開閉器を提供すること 可能となる。

  [第2の実施形態]
 図5は、本発明に係るガス絶縁開閉器の第2 実施形態の要部縦断面図であって、遮断動 途中の状態を示している。基本的な構成は 1に示した第1の実施形態と同じであるが、下 記の点に相違がある。

 第2の実施形態では、密閉容器1内に封入す 消弧性ガス31bとして、第1の実施形態の消弧 ガス31aと同様に、CO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスであってCH 4 ガスを5%以上含むものを採用する。

 密閉容器1には内部点検用の蓋36が設けら ており、締付ボルト37で密封されている。 36の接合部にはパッキン38を設け、内部に充 された消弧性ガス31bの気密性を保持する。 ッキン38には、たとえば、ニトリルゴム、 ッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピ ンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム ハイパロン、EVA樹脂のいずれかを使用する

 前記固定アーク接触子7aおよび可動アー 接触子7bを解離動作する際に摺動する面、具 体的にはたとえばシリンダ4の外周面には、 擦を低減するために潤滑性のグリス39を塗布 する。このグリスにはシリコーングリスを用 いる。

 接触通電を行なわない金属表面の少なく も一部、具体的にはたとえば固定接触部21 可動接触部22の外周面、および排気筒9の内 には、燐酸処理皮膜、アルミナ皮膜、フッ 系コーティング、塗装などの表面処理皮膜40 を施す。

 密閉容器1内には、水分を優先的に吸収可 能な吸着剤34を配置する。吸着剤34はケース35 により密閉容器1内に保持される。

 密閉容器1内にCOガスもしくはO 3 ガスの検出手段を設ける。具体的には、密閉 容器1内にCOガスもしくはO 3 ガスを検出可能なセンサ51を設置し、その情 を分析装置52において読み取るよう構成す 。あるいは、密閉容器1内のガスを少量だけ ンプリング容器53に採取可能なように構成 、その採取ガスにおけるCOガスおよびガスの 含有量を別途分析装置により分析することで も良い。

 密閉容器1の外部、特にパッキン38により密 している部分の周辺に、CH 4 ガスを検知し、検知した場合は何らかの手段 でその情報を知らせる警報装置41を配置する

 この第2の実施形態によれば、第1の実施 態と同様に、優れた遮断性能および絶縁性 が得られる。

 さらに、条件によってはごくわずかな水分H 2 Oが生成される可能性も否定できないが、こ 第2の実施形態では、水分が吸着剤34により 択的に吸着除去されるため、これより絶縁 が劣化したり、腐食が発生するなどの不具 は生じない。

 さらにこの実施形態では警報装置41が配 されているため、漏洩の発生を常に監視す ことができる。

 なお、前述の通り、電流遮断に伴うカーボ 生成を抑制するためにCO 2 ガスにO 2 、H 2 を混ぜることが提案されている。しかしなが ら、O 2 ガスは有機材料や金属の劣化を促進する代表 的な物質であるため、特に通電により高温環 境に曝されている金属導体部分や、ゴムパッ キン、絶縁物、潤滑グリスなどの有機物の劣 化を著しく促進させ、結果として機器寿命が 短縮されたり、機器の保守点検回数が増える などの課題があった。絶縁ノズル6は、数万 にも達するアーク8に曝されるため、支燃性 有するO 2 ガスの濃度が高くなるにつれて損傷が激しく なり、電流値やガス圧力などが高い場合には 燃焼してしまう可能性もあった。また、H 2 ガスは、安全性、電気絶縁性、気密性の点で 課題があった。

 図6はH 2 ガス、CH 4 ガスの空気中での爆発範囲を示すグラフであ る。H 2 ガスは可燃性ガスの中でも燃焼速度が極めて 速いガスであり、図6に示すように、空気中 の爆発範囲は4~75%と極めて広く、万が一運用 時やガスハンドリング時に漏洩した場合、爆 発の危険性があった。なお、CH 4 の空気中での爆発範囲は5~14%である。

 図7は、CO 2 ガス、O 2 ガス、CH 4 ガス、H 2 ガスの耐電圧性能の相対比較を示す表である 。H 2 ガスは電流遮断性能には優れるものの、絶縁 性能はきわめて低く、図7に示すようにCO 2 ガスの1割以下の性能である。このため、H 2 を混合させると絶縁性能を十分に確保させる ために絶縁ギャップ長を増やす必要があり、 このため機器の大形化を招いていた。またH 2 ガスは分子が小さいため、気密性を確保する ことが難しく、機密性を確保させるためにガ スパッキンを2重化するなどの工夫が必要で った。CO 2 に混合するガスをCH 4 とすることで、これらの課題も全て同時に解 決できる。すなわち、O 2 ガスのような劣化・損傷の懸念は無くなり、 またH 2 ガスのような安全性、大形化、気密性等の懸 念も解消される。

 ところで、密閉容器1内で何らかの絶縁不良 があり、部分放電が持続的に発生していると 、その放電により継続的にCOガス、あるいはO 3 ガスが生成される。したがって、これらのガ スの有無、あるいは濃度を前記センサ51、あ いはサンプリング容器53を用いることで分 、監視することで、絶縁破壊の前駆現象で る部分放電が発生していることを知ること できる。これにより完全な絶縁破壊が生じ 前にその異常を早期発見し、適切な処置を ることで機器故障の被害を最小限にとどめ ことができる。

 O 3 ガスはパッキン38に使われるゴム類を変質劣 させる作用が強く、ガス漏洩など開閉器の 質や安全性の低下につながる懸念がある。 ッキンに、たとえばニトリルゴム、フッ素 ム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチ ンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジ ンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、ハイ ロン、EVA樹脂などのO 3 に対して耐性の強い材料を使用することで、 パッキン38の劣化を防ぐことができる。

 また、O 3 ガスの発生は、摺動面に使用される潤滑グリ ス39の酸化劣化を促進させる可能性がある。 れらに対する耐性が強いシリコーングリス 用いることで、潤滑性を維持することがで る。

 また、接触通電を行なわない金属表面に燐 処理皮膜、アルミナ皮膜、フッ素系コーテ ング、塗装などの表面処理を施すことによ 、水分やO 3 発生による同部の酸化腐食、変質などをより 確実に防止することができる。

 以上説明した第2の実施形態によれば、地 球温暖化への影響が小さく、かつ優れた性能 と品質を有し、小形、低コスト、かつ安全性 の高いガス絶縁開閉器を提供することが可能 となる。さらに、機器の状態を把握すること ができ、適正な点検および更新の時期の判断 を行なうことができる。

  [第3の実施形態]
 つぎに本発明に係るガス絶縁開閉器の第3の 実施形態について説明する。この第3の実施 態の基本的な構成は、第1または第2の実施形 態と同様であるので図示は省略する。

 第3の実施形態では、消弧性ガスとして、N 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスであってCH 4 ガスを30%以上含むものを用いる。ここでは具 体的にN 2 (70%)+CH 4 (30%)の混合ガスを例とする。

 ここで使用されるCH 4 ガスは、大気中より回収したもの、もしくは 有機性廃棄物処理過程などで発生し成り行き では大気放出されるものを回収、精製したも のを利用するのが好ましい。

 本実施形態における作用は第2の実施形態、 すなわちCO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスの場合と同様であるが、N 2 は地球温暖化係数が0で、かつ大気の主成分 ため、CO 2 の代わりにN 2 ガスを用いることで、さらに環境への影響を 小さくすることができる。また、工業的にも 多量に流通しており、安価である。

 また、N 2 はC元素を含まないため、それ自体としてカ ボン生成に全く寄与しない。

 ただし、N 2 ガスはCO 2 ガスに比べて消弧性能、絶縁性能ともに劣る ため、機器の大形化、性能低下を招く恐れが ある。ただし、図3および図4に示す通り、N 2 ガスにCH 4 を30%以上混ぜることで、略CO 2 ガス単体と同程度の遮断性能、絶縁性能を得 ることができる。

 第3の実施形態によれば、地球温暖化への 影響が小さく、かつ優れた性能と品質を有し 、小形、低コスト、かつ安全性の高いガス絶 縁開閉器を提供することが可能となる。

  [第4の実施形態]
 図8は、本発明に係るガス絶縁開閉器の第4 実施形態の密閉容器内の要部を示す部分縦 面図であって、遮断動作途中の状態を示し いる。第4の実施形態の基本的な構成は、第1 、第2、および第3の実施形態と概ね同じであ が、下記の2点に相違がある。

 第4の実施形態では、消弧性ガス31cとして、 CH 4 ガス、もしくはCO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスとし、さらにこれらのガスに 対しO 2 もしくはH 2 ガスをさらにその2%以下の範囲で添加したガ を採用する。ここでは、たとえば消弧性ガ をしてCO 2 ガスとCH 4 ガスの混合ガスであって、それに対しさらに 全体の2%に相当するO 2 ガスを混ぜたものとする。

 また、アーク8、もしくはアーク8により せられたガス流に曝される位置に、O元素も くはH元素を含む固体素子61を配置する。具 的な配置場所としては、たとえばガイド32 表面付近、およびシリンダ4の内部などであ 。固体素子61の材料は、たとえばポリエチ ン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル ポリアセタールなどを用いる。

 なお、消弧性ガス31cにO 2 もしくはH 2 ガスを添加することと、O元素もしくはH元素 含む固体素子61を配置することは同じ作用 得るためのものであり、両方同時に適用し くても、どちらか一つのみでも十分実効的 効果を得ることができる。ここでは、両者 含めた実施形態として説明する。

 また、ここでは、絶縁ノズル6として、ポ リテトラフルオロエチレンを使用したとする 。

 非常に高温なアーク8近傍では、CO 2 、CH 4 などのガス分子は解離しており、様々なイオ ン粒子および電子に分離された状態となって いる。電流遮断過程でアークの温度は低下し 、各粒子は再び結合しガス分子へと戻る。こ の際、固定アーク接触子7aおよび可動アーク 触子7bなどの金属の酸化にOイオンが消費さ 、CO 2 ガスに復元するために必要なOが一部不足し 状態となるため、COガスが生成される。また 、同様にCH 4 ガスに復元するために必要なHが、絶縁ノズ 6が蒸発して混入したFイオンと結合してHFガ となることに消費され一部不足した状態と るため、結果としてたとえばC 2 H 4 などのCH 4 以外の炭化水素系のガスが生成される。この ため、電流遮断を繰り返すと徐々に密閉容器 内のガスの組成が変化してゆき、結果として 開閉器の性能が変化してしまう。また、COガ は毒性のガスであるため、その生成は極力 制するのが好ましい。

 ここでO 2 ガスもしくはH 2 ガスをあらかじめ適量混合させておくことで 、たとえアーク接触子などの酸化によりOが 費されても、またHF生成のためにHが消費さ ても、元のCO 2 、CH 4 に戻るためのO、Hイオンが不足する事態には らず、電流遮断後もCO 2 、CH 4 のガス量は維持される。これにより、安定し た開閉器の性能を維持することができる。ま た、有毒なCOガスも発生しない。

 図9は、CH 4 +H 2 混合ガス中にて大電流を多数回遮断後のCH 4 、H 2 、HF、O 3 ガス以外の分解ガス生成量を示すグラフであ る。また、図10は、CH 4 +CO 2 +H 2 混合ガス、CH 4 +CO 2 +O 2 混合ガス中にて大電流を多数回遮断後のCH 4 、CO 2 、H 2 、O 2 、HF、O 3 ガス以外の分解ガス生成量を示すグラフであ る。これらの図は、いずれも遮断電流は28.4kA を20回遮断した後の値を示している。このよ に、H 2 ガスもしくはO 2 ガスを2%程度付加的に混合させることで、上 の分解ガスの生成量が著しく低下すること 分かる。ここで、もともと充填されているC H 4 、CO 2 、H 2 、O 2 以外にもHF、O 3 を除外しているのは、これら二つのガスは反 応性が高く、たとえ生成されてもある程度の 時間が経てば二次的な反応もしくは密閉容器 内の金属表面等に吸着されて概ね消滅してし まうからである。

 付加的に混合させるH 2 ガスもしくはO 2 ガスは全体の2%以下に限定しているので、こ らの付加ガスの混合により開閉器の性能が きく変わることはない。

 このように、H 2 ガスもしくはO 2 ガスを付加的に2%を超えない範囲で混合させ ことで、開閉器の特性をほとんど変化させ に、COなどの本来存在しなかったガスの生 を顕著に抑制することができる。

 また、あらかじめO 2 、H 2 ガスを混ぜておく以外にも、図8に示すよう 、アーク8もしくはアーク8により熱せられた ガス流に曝される位置に、O元素もしくはH元 を含む固体素子61を配置することでも同様 作用が得られる。これは、電流遮断時にお て固体素子61が高温のアークあるいは高温の ガス流に曝されることにより溶融、気化され 、これにより電流遮断時にアーク近傍にOあ いはHが局所的に供給されるためである。

 開閉器に混合ガスを適用する場合には、当 設計値どおりの性能が常に得られるように 運用時にはその混合比を監視する必要があ 。したがって、混合するガスの種類は極力 ない方が機器運用時の管理面で好ましい。 体素子61の溶融、気化現象を利用すること 、O 2 やH 2 ガスをあらかじめ混合しなくてすむようにな るため、機器管理面の手間が省ける。

 以上の構成により、地球温暖化への影響 小さく、かつ優れた性能と品質を有し、小 、低コスト、かつ安全性の高いガス絶縁開 器を提供することが可能となる。特に本実 形態によれば、有毒なCOガスなど本来存在 なかったガスが生成される可能性を著しく 減することができる。

  [他の実施形態]
 以上説明した各実施形態は単なる例示であ て、本発明はこれらに限定されるものでは い。たとえば、各実施形態で例示した消弧 ガスの成分は主たる成分を示したものであ て、他の不純物ガスが含まれていてもよい また、各実施形態の特徴を種々に組み合わ てもよい。また、上記実施形態ではパッフ 形ガス遮断器の例を示したが、本発明は他 ガス絶縁開閉器にも適用できる。

1…密閉容器
3…ピストン
4…シリンダ
5…パッファ室
6…絶縁ノズル
7a…固定アーク接触子
7b…可動アーク接触子
8…アーク
9…排気筒
11a…固定側熱ガス流
11b…可動側熱ガス流
12…中空ロッド
21…固定接触部
22…可動接触部
23…固体絶縁物
31a、31b、31c…消弧性ガス
32…ガイド
33…連通穴
34…吸着剤
35…ケース
36…蓋
37…締付ボルト
38…パッキン
39…グリス
40…表面処理皮膜
41…警報装置
51…センサ
52…分析装置
53…サンプリング容器
61…固体素子