Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GLASS COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004710
Kind Code:
A1
Abstract:
A glass composition that belonging to a glass series with none of lead component simultaneously containing a rare earth oxide and fluorine, has a shielding capacity comparable to lead glass, being high in surface hardness and extremely high in transparency within visible region. The glass composition is one containing, by mass% on oxide basis, 1 to 85% Ln2O3 (Ln is at least one member selected from the group consisting of La, Y, Gd, Tb, Dy, Yb and Lu) and 0.1 to 20% fluorine and exhibiting a lead equivalent of 0.03 mmPb/mm or higher to 150 kV X-rays. Further, by incorporating SiO2 and/or B2O3 and/or GeO2 and/or P2O5 in a total amount of 10 to 70%, there can be obtained a glass composition that is stable with respect to devitrification, having high surface hardness, and that excels in transparency and radiation ray shielding capacity.

Inventors:
FU JIE (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/063256
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
July 02, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
OHARA KK (JP)
FU JIE (JP)
International Classes:
C03C4/08; C03C3/112; C03C3/115; C03C3/23; C03C3/247; C03C3/253
Foreign References:
JP2007063064A2007-03-15
JP2000143430A2000-05-23
JPS61215234A1986-09-25
JPS56169150A1981-12-25
JPS5734044A1982-02-24
JPH10226533A1998-08-25
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki (25-8 Higashi-ikebukuro 1-chom, Toshima-ku Tokyo 13, JP)
Download PDF:
Claims:
 Ln 2 O 3 (LnはY、La、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より選択される1種以上を示す。)を酸化物基準の質量%で1~85%、酸化物基準で表わされた成分の合計に対してフッ素を質量%で0.1~20%含有し、150kVのX線に対する鉛当量が0.03mmPb/mm以上であるガラス組成物。
 酸化物基準の質量%で、SiO 2 及び/又はB 2 O 3 及び/又はGeO 2 及び/又はP 2 O 5 の合計量を10~70%、M 2 O 3 (MはAl、Ga、Inからなる群より選択される1種以上を示す。)を0~35%、BaOを0~10%、RO(RはZn、Sr、Ca、Mgからなる群より選択される1種以上を示す。)を0~30%、Rn 2 O(RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上を示す。)を0~15%、TiO 2 を0~15%、Sb 2 O 3 及びAs 2 O 3 の合計量を0~5%の範囲で各成分を含有する請求項1に記載のガラス組成物。
 酸化物基準の質量%で、ZrO 2 、SnO 2 、Nb 2 O 5 、Ta 2 O 5 、WO 3 の1種又は2種以上を合計量で0~40%含有する請求項1又は2に記載のガラス組成物。
 酸化物基準の質量%で、Ce 2 O 3 を0~5%含有する請求項1から3いずれかに記載のガラス組成物。
 前記フッ素は、AlF 3 及び/又はLnF 3 (LnはLa、Y、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より選択される1種以上を示す。)により含有される請求項1から4いずれかに記載のガラス組成物。
 密度が3.2g/cm 3 以上である請求項1から5いずれかに記載のガラス組成物。
 厚みが10mmの前記ガラス組成物において、400nmの波長における透過率が40%以上、550nmの波長における透過率が80%以上である請求項1から6いずれかに記載のガラス組成物。
 ガラスのヌープ硬さが420N/mm 2 以上である請求項1から7いずれかに記載のガラス組成物。
 請求項1から8いずれかに記載のガラス組成物である放射線遮蔽用ガラス。
Description:
ガラス組成物

 本発明は、ガラス組成物に関し、更に詳 くは、多量な希土類酸化物とフッ素を含有 るガラス組成物に関する。

 X線、γ線等の放射線を取り扱う施設にお て、仕事をし易くするため、及び業務に携 る人々を放射線から守るために、放射線遮 性を有するガラス組成物が使用されている このようなガラスとしては、可視域での高 透明性と、放射線に対して優れた遮蔽能力( 吸収能力)が要求される。遮蔽能力はガラス 質量吸収係数と密度に比例するので、昔か 密度の大きい鉛ガラスが使われている。

 しかし、鉛成分は有害物質であるため、 成分を多量に含むガラス組成物は、その製 、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の 置を講ずる必要があるため、コストが高く るという問題を有していた。また、鉛成分 多量に含むガラス組成物は、ガラス表面の れを落とすための表面クリーニング後、ガ ス表面に「ヤケ」が発生し、この「ヤケ」 より、ガラスの透明性が著しく低下するこ も問題となっていた。

 また、表面硬度が低いため、研磨や切断 の加工工程において、表面にキズがつき易 、そのキズが原因となってガラスが割れる とがあった。

 従って、鉛成分を含まないガラス組成物が 発されており、特許文献1には、本質的に鉛 成分を含有せず、SiO 2 -BaO系のガラスであって、密度が3.01g/cm 3 以上である放射線遮蔽ガラスが開示されてい る。また、特許文献2には、本質的には、鉛 分を含有せず、SiO 2 とAl 2 O 3 を含有し、100kVのX線に対する鉛当量が、0.03mm Pb/mm以上である放射線遮蔽ガラスが開示され いる。

特開平6-127973号公報

特開2003-315489号公報

 しかしながら、特許文献1、2の放射線遮 ガラスは、遮蔽能力が鉛ガラスに比べてか り低いため、主にエネルギーの低い放射線 取り扱う場所に使用が限定されていた。

 本発明は以上のような課題に鑑みてなさ たものであり、鉛成分を含有せず希土類酸 物とフッ素を含むガラス系において、高い 射線遮蔽性能力を有するガラス組成物を提 することを目的とする。

 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意 究を重ねた結果、酸化物ガラスにフッ素を 入することにより希土類酸化物を多く含有 るガラスを作製でき、そのガラスは優れた 射線遮蔽能力を有すると共に高い透明性と 面硬度を有することを見出し、本発明を完 するに至った。

 より具体的には、本発明は以下のような のを提供する。

 (1) Ln 2 O 3 (LnはY、La、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より 択される1種以上を示す。)を酸化物基準の質 量%で1~85%、酸化物基準で表わされた成分の合 計に対してフッ素を質量%で0.1~20%含有し、150k VのX線に対する鉛当量が0.03mmPb/mm以上である ラス組成物。

 X線等のような高エネルギーの放射線に対す る遮蔽能力は、密度に比例することが知られ ている。この態様によれば、Ln 2 O 3 (LnはY、La、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より 択される1種以上を示す。)とフッ素を同時に 含有させることにより、Ln 2 O 3 成分を多くガラスに含有させることが可能と なり、ガラスの密度を大きくすることができ るため、高い放射線遮蔽能力を容易に得るこ とが容易となる。また、150kVのX線に対する鉛 当量が0.03mmPb/mm以上であるため、高エネルギ の放射線を取り扱う場合においても、好適 用いることができる。

 (2) 酸化物基準の質量%で、SiO 2 及び/又はB 2 O 3 及び/又はGeO 2 及び/又はP 2 O 5 の合計量を10~70%、M 2 O 3 (MはAl、Ga、Inからなる群より選択される1種以 上を示す。)を0~35%、BaOを0~10%、RO(RはZn、Sr、Ca 、Mgからなる群より選択される1種以上を示す 。)を0~30%、Rn 2 O(RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1 種以上を示す。)を0~15%、TiO 2 を0~15%、Sb 2 O 3 及びAs 2 O 3 の合計量を0~5%の範囲で各成分を含有する(1) 記載のガラス組成物。

 この態様によれば、SiO 2 、GeO 2 、B 2 O 3 、P 2 O 5 、M 2 O 3 、RO、Rn 2 O、TiO 2 等の成分の中から選ばれる少なくとも一種以 上を含有しているので、失透がなく、表面硬 度が高く透明性の高い安定なガラスを容易に 作ることができる。

 (3) 酸化物基準の質量%で、ZrO 2 、SnO 2 、Nb 2 O 5 、Ta 2 O 5 、WO 3 の1種又は2種以上を合計量で0~40%含有する(1) は(2)に記載のガラス組成物。

 この態様によれば、上記成分は放射線遮 能力、及びガラスの表面硬さの向上に効果 あるため、上記成分を含有したガラスは、 ラス組成物として好適に用いられる。

 (4) 酸化物基準の質量%で、Ce 2 O 3 を0~5%含有する(1)から(3)いずれかに記載のガ ス組成物。

 この態様によれば、Ce 2 O 3 は、放射線遮蔽能力の向上に寄与する成分で あり、特に、放射線の照射による着色を防ぐ 効果を有する成分である。従って、長期間の 使用においても、ガラスに透明性を有するガ ラス組成物を提供することができる。

 (5) 前記フッ素は、AlF 3 及び/又はLnF 3 (LnはLa、Y、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より 択される1種以上を示す。)により含有される (1)から(4)いずれかに記載のガラス組成物。

 この態様によれば、AlF 3 及び/又はLnF 3 (LnはLa、Y、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より 択される1種以上を示す。)によりフッ素を含 有させると、ガラスが失透せず、より多量の 希土類酸化物を含有させることが可能となり 易いので、より高い放射線遮蔽能力と透明性 のガラスを容易に得ることができる。

 (6) 密度が3.2g/cm 3 以上である(1)から(5)いずれかに記載のガラス 組成物。

 この態様によれば、密度が3.2g/cm 3 以上であるため、高い遮蔽能力を有する。

 (7) 厚みが10mmの前記ガラス組成物におい 、400nmの波長における透過率が40%以上、550nm の波長における透過率が80%以上である(1)から (6)いずれかに記載のガラス組成物。

 この態様によれば、400nmの波長における 過率が40%以上、550nmの波長における透過率が 80%以上であるため、可視域での透明性が高い ガラス組成物を提供することが容易となる。

 (8) ガラスのヌープ硬さが420N/mm 2 以上である(1)から(7)いずれかに記載のガラス 組成物。

 この様態によれば、ヌープ硬さ(HK)が420N/mm 2 以上であるため、ガラスの表面硬度が高くな り、表面に傷がつき難く機械的強度の高いガ ラス組成物を容易に提供することができる。

 (9) (1)から(8)いずれかに記載のガラス組 物である放射線遮蔽用ガラス。

 (1)~(8)に記載のガラス組成物は、放射線を 遮蔽する能力に優れるので、放射線遮蔽用ガ ラスとして有用である。

 本発明のガラス組成物は、ガラス成分とし Ln 2 O 3 とフッ素を同時に含有することにより、多く のLn 2 O 3 成分をガラスに含有させることが可能となる ので、ガラスの密度が大きくなり、鉛当量を 大きくすることができる。また、鉛成分を含 有しなくても、鉛成分を含有するガラスに匹 敵する放射線遮蔽能力を有するガラス組成物 を容易に提供することができる。

実施例1のガラスにおける分光透過率曲 線を示す図である。

発明を実施するための形態

 以下、本発明のガラス組成物において、 体的な実施態様について説明する。

[ガラス成分]
 本発明のガラス組成物を構成する各成分の 成範囲を以下に述べる。本発明において、 成分の含有率は特に断りがない場合は全て 量%で記載されるものとする。尚、本発明に おいて、質量%で表されるガラス組成は全て 化物基準の質量%で表されたものである。こ で、「酸化物基準」とは、本発明のガラス 成成分の原料として使用される酸化物、硝 塩等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化 ると仮定した場合に、当該生成酸化物の質 の総和を100質量%として、ガラス中に含有さ れる各成分を表記した組成である。

<必須成分、任意成分について>
 Ln 2 O 3 成分(LnはY、La、Gd、Dy、Tb、Yb、Luからなる群 り選択される1種以上を示す。)は、ガラスの 密度を大きくし、ガラスに高い放射線遮蔽能 力を付与するため、本発明の目的を達成する のに欠かせない成分である。しかし、Ln 2 O 3 を過剰に含有するとガラスの安定性が損なわ れ易く、少なすぎると本発明の目的を満たす ことが困難となる。よって、Ln 2 O 3 量は1%以上、より好ましくは5%以上、最も好 しくは10%以上を下限とし、上限としては好 しくは85%以下、より好ましくは80%以下、最 好ましくは75%以下である。Ln 2 O 3 の内、特にGd 2 O 3 がより効果的であるので、含有させるのが好 ましい。

 フッ素成分は、ガラスの溶解温度を下げ、 ラスの透明性を向上させる効果がある。更 、フッ素成分を含有することにより、より くの希土類酸化物を含有させることが可能 なり、その結果、ガラスの密度が向上し、 射線遮蔽能力が高くなる。しかしながらフ 素の過剰量はガラスの安定性が低下するの 、良好な効果を得るには、フッ素成分の含 量の上限を20%以下、より好ましくは15%以下 最も好ましくは10%以下、下限を0.1%以上、よ り好ましくは0.5%以上、最も好ましくは1%以上 とするのが好ましい。尚、フッ素成分は、AlF 3 及び/又はLnF 3 (LnはY、La、Gd、Tb、Dy、Yb、Luからなる群より 択される1種以上を示す。)として含有するの が好ましい。

 SiO 2 及び/又はB 2 O 3 及び/又はGeO 2 及び/又はP 2 O 5 の成分はガラス形成酸化物で、安定したガラ スを得るのに少なくともいずれか1種以上を むのが好ましい。安定したガラスを得るた には、これら成分含量の合計量の下限値は ましくは10%以上、より好ましくは12%以上、 も好ましくは15%以上とする。また、これら 成分の含有量が多すぎると、放射線遮蔽能 が減少するので、高い放射線遮蔽能力を得 ためには、含有量の上限を70%以下とするこ が好ましく、60%以下とすることがより好ま く、50%以下とすることが最も好ましい。

 SiO 2 及びB 2 O 3 成分は、単独でガラス中に導入しても本発明 の目的を達成することができるが、同時に使 用することにより、ガラスの溶融性、安定性 及び化学的耐久性が向上するので、同時に使 用することが好ましい。

 GeO 2 成分は、SiO 2 成分と同様な働きをするので、SiO 2 成分の一部又は全部を置換することが可能で あるが、高価であるため、上限値を20%以下と することが好ましく、15%以下とすることがよ り好ましく、10%以下とすることが最も好まし い。

 P 2 O 5 成分は、SiO 2 又はB 2 O 3 成分と同様な働きをするので、SiO 2 又はB 2 O 3 成分の一部又は全部を置換することが可能で ある。しかしその量が多すぎるとガラスの分 相傾向が強くなり易い。従って、上限値を20% 以下とすることが好ましく、10%以下とするこ とがより好ましく、5%以下とすることが最も ましい。

 M 2 O 3 成分(MはAl、Ga、Inからなる群より選択される1 種以上を示す。)は必須ではないが、ガラス 溶融性と安定性を改善するために添加でき 。しかし、その量が多すぎると、ガラスの 融性と安定性がかえって低下し易くなる。 って、合計量で上限値として35%以下とする とが好ましく、25%以下とすることがより好 しく、20%以下とすることが最も好ましい。

 Al 2 O 3 成分は必須ではないが、ガラスの溶融性と安 定性の改善、更に表面硬度の向上に効果があ るので、添加できる成分である。しかし、そ の量が30%を超えると、溶解温度が上昇し、ガ ラスの安定性も低下し易い。好ましい添加量 は25%以下、特に好ましい添加量は20%以下であ る。

 Ga 2 O 3 成分は必須ではないが、ガラスの溶融性と安 定性の改善、更に密度の向上に効果があるの で、添加できる成分である。しかし、その量 が20%を超えると、溶解温度が上昇し、ガラス の安定性も低下し易い。好ましい添加量は15% 以下である。

 In 2 O 3 成分は必須ではないが、ガラスの溶融性と安 定性の改善、更に密度の向上に効果があるの で、添加できる成分である。しかし、高価で あるため、10%以下とすることが好ましく、5% 下とすることがより好ましい。

 BaO成分はガラスの溶融性、安定性及び放 線遮蔽能力の向上に効果があるが、その量 多すぎるとガラスの安定性がかえって低く り易い。従って、上限値を10%以下とするこ が好ましく、8%以下とすることがより好ま く、5%以下とすることが最も好ましい。

 RO成分(RはZn、Sr、Ca、Mgからなる群より選 される1種以上を示す。)は、ガラスの溶融 と安定性の向上に効果がある任意成分であ が、その量が多すぎると、ガラスの安定性 低下させ易い。従って、合計量で上限値を30 %以下とすることが好ましく、25%以下とする とがより好ましく、15%以下とすることが最 好ましい。また、RO成分の内、特にSrO、ZnO成 分は上記の効果以外に、本発明の目的である 放射線の遮蔽能力の向上にも効果があるので 、特に重要である。

 ZnO成分は、ガラスの溶融性と安定性及び 射線遮蔽能力の向上には効果的な任意成分 あるが、その量が多すぎると失透が発生し くなる。従って、上限値を30%以下とするこ が好ましく、20%以下とすることがより好ま く、15%以下とすることが最も好ましい。

 SrO成分はガラスの溶融性、安定性及び放 線遮蔽能力の向上に効果がある任意成分で るが、その量が多すぎるとガラスの安定性 かえって低くなり易い。従って、上限値を3 0%以下とすることが好ましく、20%以下とする とがより好ましく、10%以下とすることが最 好ましい。

 CaO成分は、ガラスの溶融性を改善させる には効果的な任意成分であるが、その量が すぎると失透が発生し易くなり、放射線遮 能力も低下し易い。従って、上限値を10%以 とすることが好ましく、5%以下とすること より好ましく、3%以下とすることが最も好ま しい。

 MgO成分は、ガラスの溶融性の改善には効 的な任意成分であるが、その量が多すぎる 失透が発生し易くなり、放射線遮蔽能力も 下し易い。従って、上限値を10%以下とする とが好ましく、5%以下とすることがより好 しく、3%以下とすることが最も好ましい。

 Rn 2 O成分(RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択さ る1種以上を示す。)は、ガラスの溶融性と 定性の向上に効果があると共に、放射線照 による着色の防止にも効果がある任意成分 ある。しかし、その量が多すぎると、ガラ の安定性が悪くなり、放射線遮蔽能力も大 く低下し易い。従って、合計量の上限値を15 %以下とすることが好ましく、10%以下とする とがより好ましく、5%以下とすることが最も 好ましい。また、Rn 2 O成分を2種以上組み合わせると、放射線照射 よる着色の防止により大きな効果が得られ 。

 Li 2 O成分は、ガラスの溶融性を改善する任意成 であるが、その量が多すぎると、失透が発 し易くなり、放射線遮蔽能力も低下し易い 従って、上限値を8%以下とすることが好まし く、5%以下とすることがより好ましく、3%以 とすることが最も好ましい。

 Na 2 O成分は、ガラスの溶融性を改善する任意成 であるが、その量が多すぎると、失透が発 し易くなり、放射線遮蔽能力も低下し易い 従って、上限値を10%以下とすることが好ま く、5%以下とすることがより好ましく、3%以 とすることが最も好ましい。

 K 2 O成分は、ガラスの溶融性を改善する任意成 であるが、その量が多すぎると、失透が発 し易くなり、放射線遮蔽能力も低下し易い 従って、上限値を10%以下とすることが好ま く、5%以下とすることがより好ましく、3%以 とすることが最も好ましい。

 Ce 2 O 3 成分は、放射線の照射による着色を防ぐ効果 がある成分である。任意に添加することがで きる成分であるが、その量が多すぎると、ガ ラスの吸収端が長波長側にシフトし、可視域 での透明性の低下を招くことがある。従って 、上限値を5%以下とすることが好ましく、3% 下とすることがより好ましく、1%以下とする ことが最も好ましい。

 TiO 2 成分は、ガラスの安定性と表面の硬さの向上 に効果がある成分である。任意に添加するこ とができる成分であるが、その量が多すぎる とガラスの安定性が低くなる傾向になり易い 。従って、15%以下とすることが好ましく、10% 以下とすることがより好ましく、5%以下とす ことが最も好ましい。

 ガラスの安定性を低下させないため、ZrO 2 、SnO 2 、Nb 2 O 5 、Ta 2 O 5 、WO 3 の1種又は2種以上の合計量の上限値を40%以下 することが好ましく、10%以下とすることが り好ましく、5%以下とすることが最も好ま い。

  Nb 2 O 5 成分は、ガラスの遮蔽能力の向上に効果があ る成分である。任意に添加することができる 成分であるが、その量が多すぎるとガラスの 安定性が低下し易いので、30%以下とすること が好ましく、15%以下とすることがより好まし く、5%以下とすることが最も好ましい。

 WO 3 成分は、ガラスの遮蔽能力の向上に効果があ る成分である。任意に添加することができる 成分であるが、その量が多すぎるとガラスの 安定性が低下し易いので、30%以下とすること が好ましく、20%以下とすることがより好まし く、15%以下とすることが最も好ましい。

 Ta 2 O 5 成分は、ガラスの遮蔽能力の向上に効果があ る成分である。任意に添加することができる 成分であるが、その量が多すぎるとガラスの 安定性を低下させ易くする。従って、上限値 を30%以下とすることが好ましく、20%以下とす ることがより好ましく、15%以下とすることが 最も好ましい。

 ZrO 2 成分は、ガラスの遮蔽能力とガラスの表面硬 さの向上に効果がある成分である。任意に添 加することができる成分であるが、その量が 多すぎるとガラスの安定性を低下させ易くす る。従って、上限値を20%以下とすることが好 ましく、10%以下とすることがより好ましく、 5%以下とすることが最も好ましい。

 SnO 2 成分は、ガラスの遮蔽能力の向上に効果があ る任意成分であるが、その量が多すぎるとガ ラスの安定性を低下させ易くする。従って、 上限値を10%以下とすることが好ましく、5%以 とすることがより好ましく、3%以下とする とが最も好ましい。

 Sb 2 O 3 、As 2 O 3 成分は、ガラス溶融の脱泡のために任意に添 加することができる成分である。Sb 2 O 3 及びAs 2 O 3 の合計量で、5%以下で十分に効果を有する。 た、As 2 O 3 は、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際 に環境対策上の措置を講ずる必要がある。従 って、Sb 2 O 3 及びAs 2 O 3 の合計量で、上限値を5%以下とすることが好 しく、3%以下とすることがより好ましく、1% 以下とすることが最も好ましい。

<含有させるべきでない成分について>
 他の成分を本発明のガラス組成物の特性を なわない範囲で必要に応じ、添加すること できる。ただし、Tiを除くV、Cr、Mn、Fe、Co Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それ ぞれを単独又は複合して少量含有した場合に おいても、ガラスが着色し、可視域の特定の 波長に吸収を生じさせる。従って、本発明の ガラス組成物においては、実質的に含まない ことが好ましい。

 Pb、Th、Cd、Tl、Osの各成分は、近年有害な 化学物資として使用を控える傾向にあるため 、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、 及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の 措置が必要とされる。従って、環境上の影響 を重視する場合には実質的に含まないことが 好ましい。

 本発明のガラス組成物は、可視域での透 性が高く、厚み10mmのガラスにおいて400nmに ける透過率が40%以上で、550nmにおける透過 が80%以上である。

 また、本発明のガラス組成物は、密度が3.2g /cm 3 以上のものを容易に得ることができる。更に 好ましい密度の範囲は3.8g/cm 3 以上である。

 本発明のガラス組成物のヌープ硬さ(HK)は420 N/mm 2 以上とすることが好ましく、550N/mm 2 以上とすることがより好ましく、600N/mm 2 以上とすることが最も好ましい。

 本発明において、放射線遮蔽能力は鉛当 で表される。鉛当量とはX線の遮蔽能力が等 しい鉛板の厚みで表され、この値が大きいほ ど放射線遮蔽能力が優れることを意味する。 本発明のガラスについて150kVのX線に対する鉛 当量は、JIS4501に準じた方法で測定した鉛当 を厚み1mmに換算して求めた。本発明のガラ 組成物の鉛当量は0.03mmPb/mm以上とすることが 好ましく、0.10mmPb/mm以上とすることがより好 しい。

 以上に述べた通り、本発明のガラス組成 は放射線遮蔽能力に優れ、可視域での透明 が高く、透過性にも優れ、更には、表面硬 にも優れるので、放射線を遮蔽する放射線 蔽ガラスとして有用に適用することができ 。

[製造方法]
 本発明のガラス組成物は、通常のガラスを 造する方法であれば、特に限定されないが 例えば、以下の方法により製造することが きる。

 各出発原料(酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リ ン酸塩、硫酸塩、フッ化物塩等)を所定量秤 し、均一に混合する。混合した原料を石英 堝、アルミナ坩堝、白金坩堝、白金合金坩 又はイリジウム坩堝に投入し、溶解炉で1100~ 1500℃で1~10時間熔解する。その後、攪拌、均 化した後、適当な温度に下げて金型等に鋳 み、ガラスを製造する。

 以下、実施例及び比較例を用いて本発明 更に詳細に説明するが、本発明は以下の実 例に限定されるものではない。

[実施例1~14]
 表1、2に示す実施例1~14の組成(単位は質量%) 出発原料を秤量し、均一に混合した後、白 坩堝に入れて1250~1450℃で2~4時間熔解する。 の後、金型に鋳込み、ガラスを作製した。

[比較例1]
 比較例1として放射線遮蔽用ガラスとして使 われている鉛含有ガラスを以下のようにして 作製した。

 表2に示した比較例1の組成になるように 発原料を秤量し、均一に混合した後、先ず 英坩堝を使って1300℃で1時間20分間溶解し、 レットを作製した。その後、カレットを白 坩堝に入れて1320℃で2時間30分間溶解してか ら、金型に鋳込み、ガラスを作製した。

 表1、2に実施例1~14と比較例1の密度、ヌー プ硬さ(HK)、透明性、鉛当量を示した。密度 、アルキメデス法により測定を行った。透 率測定については、日本光学硝子工業会規 JOGIS02に準じて行った。尚、本発明において 、着色度ではなく透過率を示した。具体的 は、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722 準じ、200~800nmの分光透過率を測定した。波 400nmと550nmにおける透過率を求めて本発明の 明性を表す指標とした。ヌープ硬さ(HK)の測 定は日本光学硝子工業会規格JOGIS09に準じて った。鉛当量は、JIS4501に準じて、管電圧150k Vで測定した。

 また、図1に実施例1のガラスにおける分 透過率曲線を示す。横軸に波長(nm)、縦軸に 光透過率(%)を示す。尚、これらの透過率に 反射損失が含まれている。

 図1に示すように、本発明のガラスは全可 視域にわたって極めて高い透明性を有するこ とがわかる。また、表1に見られるように本 明のガラスは既存の鉛ガラスを遥かに上回 透明性を有することがわかる。

 表1、2によると、本発明のガラスのヌー 硬さ(HK)は鉛ガラスより1.5倍以上高いことが かる。

 また、表1、2によると、本発明のガラス 鉛当量が高く、鉛ガラスと同等又はそれ以 の放射線遮蔽能力を実現することが可能で る。