HASHIMOTO JUNICHI (JP)
JP2006261592A | 2006-09-28 | |||
JP2007005555A | 2007-01-11 |
MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果膜の上に第一のキャップ層を成膜する工程と、 前記第一のキャップ層の上に第二のキャップ層を成膜する工程と、 その後、ピンアニール処理を行う工程と、 前記ピンアニール処理を行った後に、前記第二のキャップ層を除去する工程とを備えること を特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。 |
前記第一のキャップ層は、Ruを用いて構成されると共に、 前記第二のキャップ層は、導電性を有する、金属材料もしくは金属化合物材料を用いて構成されること を特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。 |
前記第二のキャップ層は、Ta、Ti、Cr、Cu、Al、Mg、CoFe合金、FeNi合金のいずれか一つを用いて構成されること を特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。 |
MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果膜の上に第一のキャップ層を成膜する工程と、 前記第一のキャップ層の上に第二のキャップ層を成膜する工程と、 その後、ピンアニール処理を行う工程と、 前記ピンアニール処理を行った後に、前記第二のキャップ層を除去する工程と、 その後、前記第一のキャップ層の上にレジスト材からなるレジスト層を成膜する工程とを備えること を特徴とする磁気ヘッドの製造方法。 |
前記第一のキャップ層は、Ruを用いて構成されると共に、 前記第二のキャップ層は、導電性を有する、金属材料もしくは金属化合物材料を用いて構成されること を特徴とする請求項4記載の磁気ヘッドの製造方法。 |
前記第二のキャップ層は、Ta、Ti、Cr、Cu、Al、Mg、CoFe合金、FeNi合金のいずれか一つを用いて構成されること を特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの製造方法。 |
本発明は磁気抵抗効果素子および磁気ヘ ドの製造方法に関し、より詳細にはMgOから る絶縁層を含む磁気抵抗効果素子および該 子を備える磁気ヘッドの製造方法に関する
MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果素子
一例として、TMR素子が挙げられる。
TMR(Tunneling Magneto Resistance:トンネル磁気抵
効果)については、1975年の最初の報告がなさ
れ、その後、1995年に中間絶縁層に酸化アル
ニウム(AlO)を用いた接合膜が室温において10%
以上の非常に大きなMR比が得られることが報
されて以来、ハードディスクドライブ用次
代磁気ヘッドおよびMRAM(Magneto resistive Random
Access Memory)等への応用に向けた研究開発が
速した。
ここで、中間絶縁層にAlOを用いる従来のTMR
子の製造方法として、特許文献1に記載の方
法が提案されている。
さらに、2004年に酸化マグネシウム(MgO)を中
絶縁層に用いたトンネル磁気抵抗効果(TMR)
において100~200%の非常に高い磁気抵抗効果が
得られることが示されて以来、将来的にハー
ドディスクドライブ用磁気ヘッドの再生出力
を高めていく上での最も有望な技術であると
期待され、MRAMへの応用と共に、その研究開
が行われている。
例えば、TMR素子を備える磁気ヘッドにおい
は、上下シールド層が電極となるため、TMR
子とシールド層との界面は、絶縁されない
うにする必要がある。そのため、AlOを中間
縁層に用いる従来のTMR素子において、TMR素
のキャップ層には、酸化しても導電性を確
することができるRuが使用されていた。
ここで、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗
果素子の場合、Ruをキャップ層として用い
と(図2A参照)、ピンアニール工程(成膜後、固
定磁性層を固定化する磁場中熱処理工程)に
いて、MgO膜の界面から膜が剥離するという
題が生じ得ることが明らかとなった(図2B中
符号X)。
この問題を解決すべく、キャップ層の構成
料をRuに代えて、Taを用いる構成への変更が
試みられた。その結果、上記の膜剥離の問題
は解消するが、別の新たな問題として、リー
ドコア幅形成工程において、レジストパター
ンがリフトオフ処理できなくなるという障害
が生じることが明らかとなった(図3F参照)。
すなわち、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵
効果素子に特有の課題として、絶縁層にAlO
用いていた従来の磁気抵抗効果素子では、
ら問題なく好適に使用することができたRu
よびTaのいずれの材料も、保護層であるキャ
ップ層の形成に用いることができないという
問題が生じていた。
このような背景の下、本願出願人における
究者らは、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵
効果素子において、Ruをキャップ層として
いる構成を採用した場合であっても、さら
第二のキャップ層を一時的に設けることに
って、ピンアニール工程におけるMgO膜の界
からの膜剥離を防止できることを発見した(
本特願2006-150210号)。本発明は、この原理を
用して、Ruをキャップ層(第一のキャップ層)
として用いることによって、Taに代替するこ
によって生じ得る障害の回避を図りながら
膜剥離することなく、MgOからなる絶縁層を
む磁気抵抗効果素子および該素子を備える
気ヘッドを製造する方法を案出したもので
る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
あり、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効
素子に関して、前述の膜剥離や、リードコ
幅形成時のリフトオフ障害のいずれの障害
起こらないキャップ層の構成を提供し、そ
により、歩留まりの発生を防止して高品質
ハードディスクドライブ用磁気ヘッド、MRAM
等の製造が可能となる当該磁気抵抗効果素子
および該素子を備える磁気ヘッドの製造方法
を提供することを目的とする。
本発明は、以下に記載するような解決手段
より、前記課題を解決する。
本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法
、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果膜
上に第一のキャップ層を成膜する工程と、
記第一のキャップ層の上に第二のキャップ
を成膜する工程と、その後、ピンアニール
理を行う工程と、前記ピンアニール処理を
った後に、前記第二のキャップ層を除去す
工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法
、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果膜
上に第一のキャップ層を成膜する工程と、
記第一のキャップ層の上に第二のキャップ
を成膜する工程と、その後、ピンアニール
理を行う工程と、前記ピンアニール処理を
った後に、前記第二のキャップ層を除去す
工程と、その後、前記第一のキャップ層の
にレジスト材からなるレジスト層を成膜す
工程とを備えることを特徴とする。
また、前記第一のキャップ層は、Ruを用い
構成されると共に、前記第二のキャップ層
、導電性を有する、金属材料もしくは金属
合物材料を用いて構成されることを特徴と
る。
例えば、前記第二のキャップ層は、Ta、Ti、
Cr、Cu、Al、Mg、CoFe合金、FeNi合金のいずれか
つを用いて構成される。
発明の効果
本発明によれば、MgOからなる絶縁層を含む
気抵抗効果素子および該素子を備える磁気
ッドについて、Ruを用いてキャップ層(第一
キャップ層)を形成する場合であっても、そ
の後のピンアニール処理を行う工程において
、MgO膜の界面から、膜剥離が生じてしまとい
う問題を解消することが可能となる。併せて
、Ruに代えてTaを用いてキャップ層(第一のキ
ップ層)を形成しようとする場合に生じ得る
、リフトオフ処理工程においてリフトオフす
ることができずにレジストパターンが残って
しまうという問題を回避することが可能とな
る。
その結果、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵
効果素子および該素子を備える磁気ヘッド
製造において、歩留まりの発生を防止して
品質の磁気ヘッドおよびMRAM等の製造が可能
となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形
について詳しく説明する。
図1A~1Fは、本発明の実施の形態に係る磁気
抗効果素子および磁気ヘッドの製造方法を
明するための説明図である。図2A、2Bは、本
明の解決しようとする課題である膜剥離を
明するための概略図である。図3A~3Fは、従
の実施の形態に係る磁気抵抗効果素子およ
磁気ヘッドの製造方法を説明するための説
図である。なお、図3Fは、本発明の解決しよ
うとする課題(レジストパターンの除去障害)
説明するために、本来除去されるべきレジ
トパターンが除去されずに残ってしまった
態を表す記載としている。
以下、TMR素子および該素子を備える磁気ヘ
ドを例に挙げて、製造工程順に製造方法の
施の形態について説明する。
まず、図1Aに示すように、ウエハ基板(不図
)上にNiFe等の磁性層からなる下部シールド
10をめっき法により形成した後、その上に反
強磁性層12、さらにその上に固定磁性層14を
それぞれスパッタリング法により成膜する
一例として、反強磁性層12は、IrMnを用いて
厚7nm程度に形成され、固定磁性層14は、CoFeB
用いて膜厚2nm程度に形成される。なお、本
施例において、以下に述べる各層の成膜方
は、特記しない限り、いずれもスパッタリ
グ法によるものである。ただし、その方法
限定されるものではない。
次いで、固定磁性層14の上に本願の特徴的
成として、TMR素子の中間絶縁層16となるMgO層
を膜厚1nm程度で成膜する(図1A参照)。
さらに、中間絶縁層16の上には、自由磁性
18を成膜する。なお、自由磁性層18は、一例
して、CoFeBを用いて、膜厚4nm程度に形成す
(図1A参照)。
このように、磁気抵抗効果膜であるTMR膜(固
定磁性層14、中間絶縁層16、自由磁性層18)の
間絶縁層16にMgOを用いることによって、非常
に高い磁気抵抗効果が得られるため、磁気ヘ
ッドの再生出力を高めることが可能となる。
また、MRAMへの応用も可能である。
次いで、自由磁性層18の上にキャップ層20を
成膜する(図1A参照)。キャップ層20は、TMR膜の
保護層となるものである。前述のように、電
極となるシールド層とTMR素子との界面を絶縁
しないようにする必要があるため、キャップ
層20の材料として、酸化しても導電性を確保
きるRuが好適である。
ここまでの工程は、図3Aに示す従来の実施
形態に係る磁気抵抗効果素子および磁気ヘ
ドの製造方法と同様である(ただし、図3にお
いてはRuに代えてTaを用いて記載)。
しかし、Ruを用いてキャップ層20を形成した
状態で、従来の製造方法(図3B参照)のように
次の製造工程においてピンアニール処理を
うと前述した膜剥離の問題が生じ得ること
なる。ここで、ピンアニール処理とは、TMR
の成膜後に、固定磁性層14を固定化するため
の磁場中熱処理をいい、一例として、1.5テス
ラ程度の磁場を膜面内に印加して250~300℃の
度で数時間保持することにより行われる。
膜剥離の問題、すなわち、キャップ層20にRu
を用いて、ピンアニール処理を行うと、TMR膜
の界面から、膜剥離が生じてしまという現象
は、特に、パターン段差部、例えば、製造工
程におけるアライメント用マーカ部等におい
て生じ易く、仮に、当該マーカ部で膜剥離が
生じた場合には、マーカ精度の低下を招き、
その後の工程における位置合せが困難となる
ため、その時点で製品化が不可能となり、そ
の製品は廃棄処理せざるを得ないこととなっ
てしまう。
ところが、そのような膜剥離の問題解決に
して、Ruを用いる代わりに、例えば、Taを用
いてキャップ層20’を形成すると、確かに、
ンアニール処理を行う工程での膜剥離は防
することができるものの、新たに、別の問
が生じてしまう。その問題とは、ピンアニ
ル処理の工程に続く後の工程、つまり、レ
スト材のパターニング工程、イオンミリン
処理工程、絶縁層および磁区制御層の成膜
程を経て、レジストパターンのリフトオフ
理工程へと至るところ、リフトオフ処理工
においてレジストパターンのリフトオフが
きずに、本来除去されるべきパターンが除
されないまま残ってしまうという障害であ
(図3F参照)。この障害の原因については、十
分な解明はなされていないが、原因の一つと
して、レジスト材に含まれるいずれかの成分
がTaの影響を受けることによって、レジスト
の変質を生じさせ、その結果、本来リフト
フ処理において生じるべきはずの反応が生
ていないことが推測されている。
そこで、本発明においては、上記二つの問
を一挙に解決する特徴的な工程として、Ru
用いてキャップ層(第一のキャップ層)20を形
する工程を行った後、さらにその上層に、
二のキャップ層22を成膜し、その後、ピン
ニール処理を行う工程と、ピンアニール処
を行った後に、第二のキャップ層22を除去す
る工程とを備える。また、その後、第一のキ
ャップ層20の上にレジスト材からなるレジス
層24を成膜する工程を備える(図1B参照)。
その結果、中間絶縁層16にMgOを用いたTMR素
および該素子を用いた磁気ヘッドについて
Ruを用いてキャップ層(第一のキャップ層)20
形成する場合であっても、その後のピンア
ール処理を行う工程において、TMR膜の界面
ら、膜剥離が生じてしまという問題を解消
ることが可能となる。併せて、Ruに代えてTa
用いて第一のキャップ層20’を形成しよう
する場合に生じ得る、後工程であるリフト
フ処理工程において、リフトオフすること
できずにレジストパターンが残ってしまう
いう問題を回避することが可能となる。
なお、第二のキャップ層22はピンアニール
理を行った後に除去されるものであるが、
一、除去が不完全であって、その一部が第
のキャップ層20上に残存した場合に、絶縁物
であれば断線を生じさせる恐れが生じ得る。
そこで、第二のキャップ層22には、当該トラ
ルの防止が可能な、導電性金属材料、導電
金属合金材料を用いる構成とする。
ここで、実施化の観点から、当該第二のキ
ップ層22は、Ta、Ti、Cr、Cu、Al、Mg、CoFe合金
FeNi合金のいずれか一つを用いて構成される
ことが好適である。
また、第二のキャップ層22は、実験の結果
膜厚が0.1nmもあれば、十分に前述の作用効果
を生じさせることが可能である。その一方で
、膜厚を過剰に厚くしてしまうことは、除去
工程の非効率化を招くため、実施化の観点か
ら、膜厚を厚くし過ぎないことも考慮すべき
である。
さらに、第一のキャップ層20の上にレジス
層24を成膜する工程の後に続く磁気ヘッドの
製造工程としては、図3C~図3Fに示す従来の製
方法(ただし、図3Fはリフトオフできない障
発生状態として図示した)と同様に、レジス
ト層24に対して露光・現像処理を施すことに
って、レジストパターン30を形成した後、
オンミリング処理を施す工程が行われる(図1
Cおよび図1D参照)。
その後、絶縁層32を成膜し、さらにその上
ら磁区制御層34の成膜を行う(図1E参照)。そ
状態から、図1Fに示すように、レジストパタ
ーン30をリフトオフ処理によって除去する工
が行われる。
なお、これに続き、磁気ヘッドとして製造
行う工程として、図示しないが、上部シー
ド層を被着形成してリード素子を形成した
、上部シールド層の上にライト素子を形成
て、磁気ヘッドとして完成に至る。ここで
ライト素子は、磁気ヨークとして作用する
部磁極および上部磁極と、磁極を励磁する
磁用コイルを備えたものである。一例とし
、これらの各磁極は磁性層をめっき盛り上
によって形成し、コイルを所定のパターン
パターニングして形成する。
以上、説明した通り、本発明に係る磁気抵
効果素子および磁気ヘッドの製造方法によ
ば、MgOからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果
子および該素子を備える磁気ヘッドに関し
、MgO膜の界面からの膜剥離およびリードコ
幅形成時のリフトオフ障害のいずれの問題
生じさせないキャップ層を形成することが
能となる。また、その結果、歩留まりの発
を防止して高品質の磁気ヘッドおよびMRAM等
の製造が可能となる。
なお、本発明に係る磁気抵抗効果素子およ
磁気ヘッドの製造方法は、上記のようにRu
用いてキャップ層を形成する際に生じる課
を例示して説明を行った。しかしながら、Mg
Oからなる絶縁層を含む磁気抵抗効果素子に
して、Ru以外の材料を用いてキャップ層を形
成する場合に、ピンアニール処理を行う工程
において、該素子のMgO膜の界面から膜が剥離
するという問題が生じ得るならば、本発明が
その解決を図るもしくは重要な示唆を与える
ものであることは明白である。