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Patent Searching and Data


Title:
GRAFTING ROD-SHAPED MEMBER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/014164
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a grafting rod-shaped member, which is used for grafting a scion into a rootstock and can suppress the turning motion of the scion. A grafting rod-shaped member (101) used for grafting a scion into a rootstock is characterized in that it has a bulge (101b) partially in its transverse section, and in that the bulge (101b) extends from one to the other end of the grafting rod-shaped member (101).

Inventors:
IMANAKA YUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063246
Publication Date:
January 29, 2009
Filing Date:
July 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
IMANAKA YUJI (JP)
International Classes:
A01G1/06
Foreign References:
JPH06197632A1994-07-19
JPH09107795A1997-04-28
JPH08214691A1996-08-27
JPH0856483A1996-03-05
JP2001128549A2001-05-15
JP2001211745A2001-08-07
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7,Shiromi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 01, JP)
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Claims:
 台木に穂木を接ぎ木する際に用いられる接ぎ木用棒状部材であって、
 前記接ぎ木用棒状部材の横断面形状において、一部に突出部を有しており、
 前記突出部が前記接ぎ木用棒状部材の一端から他端まで伸びていることを特徴とする接ぎ木用棒状部材。
 前記接ぎ木用棒状部材の前記横断面形状は、正多角形の一部に前記突出部が形成された形状であることを特徴とする請求項1に記載の接ぎ木用棒状部材。
前記接ぎ木用棒状部材の前記横断面形状は、正多角形の辺に前記突出部が形成された形状であることを特徴とする請求項2に記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記接ぎ木用棒状部材の前記横断面形状は、正多角形の角に前記突出部が形成された形状であることを特徴とする請求項2に記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記接ぎ木用棒状部材の前記横断面形状において、前記正多角形の角が面取りされていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記接ぎ木用棒状部材の前記横断面形状は、円形の一部に前記突出部が形成された形状であることを特徴とする請求項1に記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記接ぎ木用棒状部材の前記横断面形状において、前記突出部が、弓状、三角形および矩形のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記接ぎ木用棒状部材の側面に、ヘアライン状の小凹部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記小凹部が、前記接ぎ木用棒状部材の一端から他端まで延伸していることを特徴とする請求項8に記載の接ぎ木用棒状部材。
 前記小凹部が、前記接ぎ木用棒状部材の軸方向の中央付近に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の接ぎ木用棒状部材。
前記接ぎ木用棒状部材がセラミックスからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の接ぎ木用棒状部材。
Description:
接ぎ木用棒状部材

 本発明は、果菜類などの台木に穂木を付 合わせた状態で支持して固定するための接 木用棒状部材に関するものである。

 従来から、キュウリ、スイカ、トマトな の果菜類では、耐病害性や耐虫害性を高め ために、苗木の接ぎ木が行なわれている。 なわち、病害や虫害に強い苗木を台木とし 所望の果菜類の苗木を穂木として用いる。 れにより、病害や虫害による被害を低減で 、果菜類の収穫量を増大させることができ 。また、耐病害性や耐虫害性は低いが品質 高い果菜類の栽培が容易になるので、果菜 の品質向上に有効である。茎径の細い苗木 接ぎ木する方法として、接ぎ木用棒状部材 用いる接ぎ木法が広く採用されている。

 図30は、接ぎ木用棒状部材521を用いて、 木530に穂木531を接ぎ木した苗木の概略図で る。接ぎ木用棒状部材521の一端が台木530の の中に挿入され、他端が穂木531の茎の中に 入されている。接ぎ木用棒状部材521を用い ことにより、台木530の切断面532aと穂木531の 断面532bが接触した状態で、穂木531が台木530 に固定される。この接ぎ木法は、接ぎ木した 部分の茎の外周をテープやクリップなどで固 定する必要がないので、接ぎ木の作業が簡便 ある。よって、大量の苗木を接ぎ木するのに 適している。

 果菜類では、接ぎ木する苗木の茎径が、 常は2~7mmであるので、接ぎ木用棒状部材521 外径は、一般的に0.7mm以下である。このよう な接ぎ木用棒状部材521は、極めて細いので、 接ぎ木用棒状部材521を取り扱いやすくするた めに、専用の接ぎ木用ホルダーを使用するこ とがある。接ぎ木用ホルダーは、プロペリン グペンシルと同様の構造を有しており、接ぎ 木用棒状部材521を機械的に繰り出すことがで きる。接ぎ木用ホルダーは、その内部に、接 ぎ木用棒状部材521を保持するための円筒状の チューブを有している。通常、接ぎ木用ホル ダーの内部には、多数の接ぎ木用棒状部材521 を収納することができるようになっている。

 具体的には以下の手順で接ぎ木は行なわれ 。
 工程1)接ぎ木用棒状部材521を、その全長の 半分が接ぎ木用ホルダーから突出するよう 、接ぎ木用ホルダーで保持する。
 工程2)台木530の茎と、穂木531との茎をカッ する。
 工程3)接ぎ木用棒状部材521のうち、接ぎ木 ホルダーから突出した部分(接ぎ木用棒状部 521の第1の部分)を、台木530の切断面532aから の中に挿し込む。
 工程4)接ぎ木用棒状部材521を接ぎ木用ホル ーから開放して、接ぎ木用ホルダーを取り す。このとき、接ぎ木用棒状部材521の残り 部分(接ぎ木用棒状部材521の第2の部分)は、 木530の切断面532aから突出している。
 工程5)接ぎ木用棒状部材521の第2の部分を、 木531の切断面532bから茎の中に挿し込む。そ して、台木530の切断面532aと穂木531の切断面53 2bとを接触させる。
 工程1)~5)により、台木530と穂木531とが接ぎ される。

 特許文献1には、多孔性の植物硬質繊維材 、多孔性のプラスチック材、多孔性の金属材 、多孔性のカーボン材、多孔性のセラミック ス材、多孔性のガラス材、およびそれらの複 合材からなる群から選択された少なくとも1 で構成された接ぎ木用棒状部材が開示され いる。接ぎ木用棒状部材を多孔性の材料か 形成することにより、接ぎ木用棒状部材に 剤を含有させることができ、また、接ぎ木 棒状部材と、台木や穂木の茎中植物組織と 密着性を高めることもできる。さらに、こ 接ぎ木用棒状部材を介して台木と穂木との で樹液の流れをより活発にすることができ 。

 特許文献1に開示された接ぎ木用棒状部材 は、図31(a)~図31(e)に示すような横断面を有す 円柱、四角柱、三角柱、六角柱、および平 体である。この接ぎ木用棒状部材は、構造 極めて簡単なので、大量生産に適合し、経 的にきわめて有利である。また、この接ぎ 用棒状部材を用いれば、接ぎ木のための特 な技術を要しないので、誰でもが簡単に接 木処理を行なうことができ、さらに作業能 を向上させることもできる。

 特許文献2には、パイプ材から成る接ぎ木用 支持具が開示されている。この接ぎ木用支持 具で接ぎ木すると、パイプ材の貫通孔内に台 木や穂木の茎中植物組織が充填されるため、 接ぎ木用支持具が台木や穂木にしっかり固定 される。つまり、接ぎ木用支持具を介して、 台木に穂木が確実に固定される。その結果、 台木と穂木との活着率が向上する。さらに、 接ぎ木用支持具が茎中で回動しにくいので、 接ぎ木の作業がしやすい。よって、作業能率 が向上する。
 また、パイプ材から成る接ぎ木用支持具の 積は、同じ外径を有する棒状接ぎ木用支持 の容積よりも少ない。よって、接ぎ木の際 苗木を傷めにくい。また、接ぎ木用支持具 入による茎の膨張が抑えられるので、台木 切断面と穂木の切断面とをぴったりと接合 きる。

特開平6-197632号公報

特開平9-107795号公報

 しかしながら、特許文献1に記載された接 ぎ木用棒状部材のうち、円柱、四角柱、六角 柱のものは、台木に対して穂木が回動するの を抑制できない。よって、接ぎ木処理後に、 例えば、作業者の服と穂木との接触、隣接す る苗同士の接触、風の影響等により、台木に 対して穂木が容易に回動する。その結果、台 木と穂木との活着率が低くなってしまう。

 また、三角柱、平板体の接ぎ木用棒状部 は、台木に対して穂木が回動するのを抑制 る効果は高い。しかしながら、接ぎ木用ホ ダー内での摺動性が悪いため、接ぎ木用棒 部材を接ぎ木用ホルダーからスムーズに繰 出しにくい。よって、三角柱、平板体の接 木用棒状部材は、接ぎ木用ホルダーを用い 接ぎ木作業に適していない。

 さらに、平板体の接ぎ木用棒状部材は、 さの薄い形状なので、強度が低くなりやす 。特に、苗木に使用するための接ぎ木用棒 部材では、厚さがが極めて薄い。そのため 接ぎ木の作業中に接ぎ木用棒状部材が破損 やすい。

 またさらに、特許文献2に開示された接ぎ 木用支持具を、茎径の細い苗木に使用する場 合には、台木に対する穂木の回動を抑制する 効果は期待できない。苗木に使用する接ぎ木 用支持具は、極めて細いパイプ材から形成さ れる。そのため、パイプ材の貫通孔の内径も 、その中に充填される植物組織の直径も極め て細い。接ぎ木した後に穂木に回動方向の応 力がかかれば、充填された植物組織は容易に 切断されて、台木に対して穂木は回動するだ ろう。また、充填された植物組織が切断され なかったとしても、重度に損傷するだろう。

 そこで、本発明は、茎径の細い苗木の接 木に適しており、台木に対する穂木の回動 抑制できる接ぎ木用棒状部材を提供するこ を目的とするものである。

 本発明は、台木に穂木を接ぎ木する際に いられる接ぎ木用棒状部材であって、前記 ぎ木用棒状部材の横断面形状において、一 に突出部を有しており、前記突出部が前記 ぎ木用棒状部材の一端から他端まで伸びて ることを特徴とする接ぎ木用棒状部材であ 。

 本発明の接ぎ木用棒状部材は、その横断面 状において、一部に突出部を有しているの 、これを用いて接ぎ木したときに、突出部 外辺との間の凹部に、台木又は穂木の植物 織が充填される。凹部と植物組織とがアン ー効果を生じることにより、接ぎ木用棒状 材と台木又は穂木とが回動しにくくなる。
 そして、突出部が接ぎ木用棒状部材の一端 ら他端まで伸びているので、接ぎ木用棒状 材の一端(接ぎ木用棒状部材の第1の部分)は 台木に対して回動するのを抑制され、接ぎ 用棒状部材の他端(接ぎ木用棒状部材の第2 部分)は、穂木に対して回動するのを抑制さ る。よって、接ぎ木用棒状部材を介して台 に接続された穂木が、台木に対して回動す ことも抑制される。

図1(a)は、実施の形態1に係る接ぎ木用 状部材の概略斜視図であり、図1(b)は図1(a)の 横断面である。 図2は、実施の形態1~3に係る接ぎ木用棒 状部材を用いて、台木に穂木を接ぎ木した苗 木の概念図である。 図3(a)~図3(d)は、実施の形態1に係る接ぎ 木用棒状部材の横断面を示す。 図4(a)~図4(d)は、実施の形態1に係る接ぎ 木用棒状部材の横断面を示す。 図5(a)~図5(c)は、実施の形態1に係る接ぎ 木用棒状部材の横断面を示す。 図6(a)~図6(c)は、実施の形態1に係る接ぎ 木用棒状部材の横断面を示す。 図7は、実施の形態1に係る接ぎ木用棒 部材の部分拡大図である。 図8(a)は、実施の形態1に係る接ぎ木用 状部材の概略斜視図、図8(b)は、図8(a)の横断 面、図8(c)は、図8(b)のA部の拡大図である。 図9(a)~図9(c)は、実施の形態1に係る接ぎ 木用棒状部材の斜視図を示す。 図10(a)~図10(c)は、実施の形態1に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図11(a)は、実施の形態2に係る接ぎ木用 棒状部材の概略斜視図であり、図11(b)は図11(a )の横断面図である。 図12(a)~図12(d)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図13(a)~図13(d)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図14(a)~図14(c)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図15(a)~図15(c)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図16(a)~図16(b)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の部分拡大図である。 図17(a)は、実施の形態2に係る接ぎ木用 棒状部材の概略斜視図、図17(b)は、図17(a)の 断面、図17(c)は、図17(b)のB部の拡大図である 。 図18(a)~図18(c)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の斜視図を示す。 図19(a)~図19(c)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図20(a)~図20(b)は、実施の形態2に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図21(a)は、実施の形態3に係る接ぎ木用 棒状部材の概略斜視図であり、図21(b)は図21(a )の横断面図である。 図22(a)~図22(d)は、実施の形態3に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図23(a)~図23(d)は、実施の形態3に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図24(a)~図24(d)は、実施の形態3に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図25は、実施の形態3に係る接ぎ木用棒 状部材の部分拡大図である。 図26(a)は、実施の形態3に係る接ぎ木用 棒状部材の概略斜視図、図26(b)は、図26(a)の 断面、図26(c)は、図26(b)のC部の拡大図である 。 図27(a)~図27(c)は、実施の形態3に係る接 ぎ木用棒状部材の斜視図を示す。 図28(a)~図28(b)は、実施の形態3に係る接 ぎ木用棒状部材の横断面を示す。 図29(a)~図29(c)は、従来の接ぎ木用棒状 材の横断面である。 図30は、従来の接ぎ木用棒状部材を用 て、台木に穂木を接ぎ木した苗木の概念図 ある。 図31(a)~図31(e)は、従来の接ぎ木用棒状 材の例を示す横断面図である。

符号の説明

 10、530:台木
 11、531:穂木
 101、201、301、521:接ぎ木用棒状部材
 101a、201a:外辺
 101b、201b、301b:凸部
 101c、201c:角部
 101d、201d:境界線
 101e、201e、301e:凹部
 101f、201f、301f:外接円
 101g、201g、301g:小凹部
 101r、201r:稜線
 101s、201s、301s:側面
 101u、201u、301u:本体部 
 301a:曲線

 本発明に係る接ぎ木用棒状部材の例を、 下の実施の形態1~3において説明する。なお 同じ符号は同一の部材を表している。

<実施の形態1>
 図1は、本実施の形態に係る接ぎ木用棒状部 材101を示している。図1(a)は、接ぎ木用棒状 材101の概略斜視図、図1(b)は、図1(a)の概略横 断面図である。
 また、図2は、本発明の接ぎ木用棒状部材を 用いて、台木10に穂木11を接ぎ木した苗木の 念図である。

 図1に示す接ぎ木用棒状部材101は、正多角柱 (図1は正六角柱)の本体部101uと、本体部101uの 面101sの少なくとも1つに設けられた凸部101b 、を有している。凸部101bは、本体部101uの と平行に伸びている。
 図1(b)に示すように、接ぎ木用棒状部材101は 、その横断面形状において、正多角形の辺101 aに突出部(凸部101bに相当)を有している。

 図2に示すように、本実施形態の接ぎ木用 棒状部材101は、その一端が台木10の茎の中に 入され、他端が穂木11の茎の中に挿入され いる。接ぎ木用棒状部材101により、台木10の 切断面2aと穂木11の切断面2bが接触した状態で 、穂木11が台木10に固定される。

 接ぎ木用棒状部材101は、側面101sに凸部101 bを有するので、凸部101bと側面101sとの間に凹 部101eが形成される。接ぎ木用棒状部材101を 木10に挿入すると、この凹部101eに台木10の植 物組織が充填される。同様に、接ぎ木用棒状 部材101を穂木11に挿入すると、この凹部101eに 穂木11の植物組織が充填される。凹部101eに充 填されたそれらの植物組織によって、接ぎ木 用棒状部材101は、台木10および穂木11に対し 回動するのを抑制される(接ぎ木用棒状部材1 01のアンカー効果)。その結果、接ぎ木用棒状 部材101を介して台木10に接続された穂木11が 台木10に対して回動することも抑制される。 つまり、接ぎ木処理後に、例えば、作業者の 服と穂木11との接触、隣接する苗同士の接触 風の影響等を受けても、台木10に対して穂 11が回動しにくい。よって、接ぎ木用棒状部 材101を用いて接ぎ木すれば、台木10と穂木11 の活着率を向上できる。

 特に、接ぎ木用棒状部材101の本体部101uが、 正n角柱(4≦n≦8)(正四角柱、正五角柱、正六 柱、正七角柱、又は正八角柱)であるのが好 しい。
 本体部101uの横断面(本体部101uの軸と垂直な 面)で比較したとき、外接円の直径(図31(a)~ 31(e)の符号X 5 )が一定の場合、nが4以上の正n角形は、比較 断面積が広い。すなわち、接ぎ木用棒状部 101の本体部101uが、nが4以上の正n角柱である 、比較的強度の高い接ぎ木用棒状部材101が られる。よって、苗木に使用するための極 て細い接ぎ木用棒状部材101のときには、本 部101uは、nが4以上の正n角柱であるのが望ま しい。
 また、接ぎ木用棒状部材101の本体部101uは、 nが8以下の正n角柱であると、台木10および穂 11の植物組織に稜線101rが引っかかりやすく 接ぎ木用棒状部材101のアンカー効果がさら 向上するので好ましい。

 以下に、接ぎ木用棒状部材101を用いた接ぎ 法を詳述する。
 工程1)接ぎ木用棒状部材101を、その全長の 半分が接ぎ木用ホルダーから突出するよう 、接ぎ木用ホルダーで保持する。
 工程2)台木10の茎と穂木11の茎とをカットす 。
 工程3)接ぎ木用棒状部材101のうち、接ぎ木 ホルダーから突出した部分(接ぎ木用棒状部 101の第1の部分)を、台木10の切断面2aから茎 中に挿し込む。
 工程4)接ぎ木用棒状部材101を接ぎ木用ホル ーから開放して、接ぎ木用ホルダーを取り す。このとき、接ぎ木用棒状部材101の残り 部分(接ぎ木用棒状部材101の第2の部分)は、 木10の切断面2aから突出する。
 工程5)接ぎ木用棒状部材101の第2の部分を、 木11の切断面2bから茎の中に挿し込む。そし て、台木10の切断面2aと穂木11の切断面2bとを 触させる。
 工程1)~5)により、台木10と穂木11は接ぎ木さ る。尚、上記工程では、接ぎ木用棒状部材1 01を接ぎ木用ホルダーで保持して使用すると ているが、必ずしもこれに限定されるもの はなく手で直接保持しても構わない。

 図3は、接ぎ木用棒状部材101の横断面である 。
 図3(a)は、正四角柱の本体部101uを有する接 木用棒状部材101の横断面である。
 図3(b)は、正五角柱の本体部101uを有する接 木用棒状部材101の横断面である。
 図3(c)は、正六角柱の本体部101uを有する接 木用棒状部材101の横断面である。
 図3(d)は、正八角柱の本体部101uを有する接 木用棒状部材101の横断面である。
 図3(a)~図3(d)に示す接ぎ木用棒状部材101は、 体部101uが有する複数の側面101sのうちの1つ 、凸部101bを有している。

 図3(a)~図3(d)に示す接ぎ木用棒状部材101は、 面101s(横断面では、外辺101aに相当)に横断面 形状が弓状の凸部101bを設けてある。ここで 弓状」とは、横断面において、凸部101bの外 が弓のような曲線であることを意味する。 お、本明細書において、「弓状」には、円 状の曲線、半円状の曲線も含んでいる。
 また、凸部101bとしては、その横断面が、弓 状(図3及び図4参照)、三角形(図5参照)および/ は矩形(図6参照)のものが好適である。

 凸部101bの横断面が弓状、三角形および/ は矩形であると、以下の理由により、接ぎ 用棒状部材101のアンカー効果が発揮されや い。

 接ぎ木用棒状部材101を用いて接ぎ木した きに、凸部101bの表面と側面101s(外辺101a)と 間の凹部101eに植物組織が充填される。凸部1 01bの表面と、それに連続する側面101sとによ て規定されるほぼ三角柱状の空間(これを「 部101eの体積」と称する)が大きいほど、凹 101eに充填される植物組織が多くなるので、 ぎ木用棒状部材101のアンカー効果は高まる

 凸部101bの横断面が弓状、三角形および/ は矩形であると、凸部101bの表面と隣接する 面101sとのなす角度(これを「凹部の角度」 称する)が、直角又は鈍角になる。凸部101bの 高さが同じで、隣接する側面101sの面積が同 場合、凹部の角度が鋭角の場合よりも、直 又は鈍角の場合のほうが、凹部101eの体積が きくなる。すなわち、弓状、三角形および/ 又は矩形の横断面の凸部101bを有する接ぎ木 棒状部材101は、アンカー効果が高い。よっ 、そのような接ぎ木用棒状部材101は、台木10 に対する穂木11の回動を効率よく抑えること できる。

 好ましい接ぎ木用棒状部材101の凸部101bの 形態を、図4~図6に例示する。

 図4は、正八角柱の本体部101uに、横断面形 が弓状の凸部101bを設けた接ぎ木用棒状部材1 01の横断面である。
 図4(a)は、1つの側面101s(外辺101a)に凸部101bを 有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図である 。
 図4(b)は、全ての側面101s(外辺101a)に凸部101b 有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図であ 。
 図4(c)は、1つおきの側面101s(外辺101a)に凸部1 01bを有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図で ある。
 図4(d)は、半円状の凸部101bを1つの側面101s( 辺101a)に有する接ぎ木用棒状部材101の横断面 図である。

 図5(a)~図5(c)は、図4(a)~図4(c)の横断面形状 弓状の凸部101bを、横断面形状が三角形の凸 部101bに変更した接ぎ木用棒状部材101を例示 ている。

 すなわち、図5は、正八角柱の本体部101uに 横断面形状が三角形の凸部101bを設けた接ぎ 用棒状部材101の横断面である。
 図5(a)は、1つの側面101s(外辺101a)に凸部101bを 有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図である 。
 図5(b)は、全ての側面101s(外辺101a)に凸部101b 有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図であ 。
 図5(c)は、1つおきの側面101s(外辺101a)に凸部1 01bを有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図で ある。

 図6(a)~図6(c)は、図4(a)~図4(c)の横断面形状 弓状の凸部101bを、横断面形状が矩形の凸部 101bに変更した接ぎ木用棒状部材101を例示し いる。

 すなわち、図6は、正八角柱の本体部101uに 横断面形状が矩形の凸部101bを設けた接ぎ木 棒状部材101の横断面である。
 図6(a)は、1つの側面101s(外辺101a)に凸部101bを 有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図である 。
 図6(b)は、全ての側面101s(外辺101a)に凸部101b 有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図であ 。
 図6(c)は、1つおきの側面101s(外辺101a)に凸部1 01bを有する接ぎ木用棒状部材101の横断面図で ある。

 図4~図6には、1つの側面101s(外辺101a)に、1 の凸部101bを設けた接ぎ木用棒状部材101を例 示した。しかしながら、1つの側面101sに2つ以 上の凸部101bを設けた接ぎ木用棒状部材101を 成することもできる。そのような接ぎ木用 状部材101は、凹部101eの数が多くなるので、 ぎ木用棒状部材101のアンカー効果が高まる ただし、1つの側面に形成する凸部101bの数 多くなって凹部101eの体積が極端に減少する 、逆にアンカー効果を低下させる可能性が る。

 なお、図4~図6に例示した接ぎ木用棒状部 101のうち、複数の凸部101bを有するものは、 凸部101bの横断面が全て同じ形状である。し しながら、1つの接ぎ木用棒状部材101に、異 る横断面の凸部101bが混在しても構わない。

 図7は、横断面形状が弓状の凸部101bを詳細 説明するための、接ぎ木用棒状部材101の部 拡大図である。
 図7に示す接ぎ木用棒状部材101の本体部101u 、横断面が正八角形であり、側面101s(外辺101 a)に凸部101bを有している。図7の横断面には 本体部101uに外接する外接円101f、および凸部 101bと本体部101uとの境界線101dを図示している 。
 本実施の形態では、境界線101dから凸部101b 頂点までの高さを「凸部101bの高さh 1 」と定義する。凸部101bが形成された側面101s( 外辺101a)の境界線101dと、その側面101s(外辺101a )に隣接する外接円101fの円弧との間の最大距 を、距離k 1 とする。

 凸部101bの高さh 1 は、距離k 1 の約50%~約100%であることが望ましい。凸部101b の高さh 1 が上記の範囲内にあると、十分なアンカー効 果を有する接ぎ木用棒状部材101が得られる。 また、凸部101bの高さh 1 が上記の範囲内にあると、凸部101bが接ぎ木 ホルダー内の円筒状のチューブに凸部101bに っかからないので、接ぎ木用ホルダーから ぎ木用棒状部材101をスムーズに繰り出すこ ができる。

 凸部101bの高さh 1 が距離k 1 の約50%未満だと、接ぎ木用棒状部材101のアン カー効果が低くなる。また、この凸部101bの さh 1 が距離k 1 の約100%を超えると、凸部101bが外接円101fより も外側に突出することから、接ぎ木用ホルダ ーからの繰り出しがスムーズにできなくなる おそれがある。

 また、接ぎ木用棒状部材101の凸部101bの幅D 1 は、外辺101aの長さY 1 の1/2以下(ただし、0を含まず)であると、凹部 101eの体積を確保する上で好ましい。特に、 D 1 は、外辺101aの長さY 1 の1/2~1/5の範囲の長さであることが好ましい

 詳しく述べると、凸部101と稜線101r(図1(b)の 断面では、角部101cに相当)との間に側面101s 一部が位置している。この側面101sの一部の 面積が狭くなると、凹部101eの体積が減少す (アンカー効果が低下する)。凸部101bの幅D 1 が、外辺101aの長さY 1 の1/2より大きいと、側面101sの一部の面積は 凸部101bがないときの側面101sの面積の1/2未満 になる。その結果、凹部101eの体積も減少し 接ぎ木用棒状部材101のアンカー効果も低下 る。よって、凸部101bの幅D 1 は、外辺101aの長さY 1 の1/2以下であるのが好ましい。
 また、側面101sの面積が広くなるように、凸 部101bを稜線101r(角部101c)から離して形成する 、凹部101eの体積が増加して、アンカー効果 が向上すると期待される。

 なお、1つの側面101sに複数の凸部101bを有す ときには、各凸部101bの幅D 1 の合計が、外辺101aの長さY 1 の1/2以下であるのが好ましい。

 接ぎ木用棒状部材101は、側面101sおよび凸 部101bの表面に複数のヘアライン状の小凹部 有することが好ましい。

 図8は、ヘアライン状の小凹部101gを有する ぎ木用棒状部材101を示している。
 図8(a)は、横断面形状が弓状の凸部101bと、 体部101uの側面101sおよび凸部101bの表面にヘ ライン状の小凹部101gと、を有する接ぎ木用 状部材101の斜視図である。
 図8(b)は、図8(a)に示した接ぎ木用棒状部材10 1の横断面である。
 図8(c)は、図8(b)のA部の拡大図である。

 接ぎ木用棒状部材101に形成したヘアライ 状の小凹部101gは、樹液の流路として機能し て、台木10と穂木11との間での樹液の流れを 発にする。一般的に、接ぎ木した直後の穂 11は、一旦は緩慢に成長する。これは接ぎ木 直後には、台木10と穂木11との間に樹液の流 がなく、台木10から穂木11に樹液が流動しな ためであると考えられる。そして台木10と 木11との間に樹液の流路が再生されると、穂 木11は通常の速度で成長するようになる。し しながら、図8に図示した接ぎ木用棒状部材 101を使用して接ぎ木すると、ヘアライン状の 小凹部101gが樹液の流路として機能して、台 10と穂木11との間で流動させる。よって、接 木直後であっても穂木11の成長が緩慢にな ない。その結果、接ぎ木した穂木11の生育率 が向上する。

 本明細書において、「ヘアライン状の小 部101g」とは、金属へのヘアライン加工によ る加工痕(髪の毛状の加工痕、あるいはハケ 掃いたような加工痕)に似た細かい筋状の凹 を指す。

 ヘアライン状の小凹部101gに沿って、台木10 ら穂木11に樹液をより効率よく流動させる は、複数の小凹部101gを密集して形成するの 好ましい。
 また、樹液の流路としての機能と、接ぎ木 棒状部材101の強度低下を抑えることを考慮 ると、小凹部101gの深さd 1 は0.001~0.005mm、幅p 1 は0.003~0.030mmの範囲にあることが好ましい。

 図9は、ヘアライン状の小凹部101gを設けた ぎ木用棒状部材101のいくつかの例を示して る。図9では、小凹部101gは、接ぎ木用棒状部 材101の軸方向における中央付近の、接ぎ木用 棒状部材101の周囲に形成されている。
 図9(a)は、接ぎ木用棒状部材101の軸に沿って 伸びた小凹部101gを示している。
 図9(b)は、ローレット状の小凹部101gを示し いる。
 図9(c)は、円周方向に連続する波状の小凹部 101gを示している。
 図9(a)~図9(c)の小凹部101gは、台木10と穂木11 の間での樹液の流路として機能する。また 台木10に接ぎ木用棒状部材101を挿入するとき に、挿入深さの目安にすることもできる。し たがって、接ぎ木用ホルダーを使用せずに、 接ぎ木用棒状部材101を手で直接把持して接ぎ 木処理を行なうときにも有用である。

 なお、図9(a)のように、小凹部101gを接ぎ 用棒状部材101の軸に沿って延伸すると、台 10と穂木11との間で樹液の流動がより促進さ る。図9(a)の接ぎ木用棒状部材101を使用して 接ぎ木すれば、台木10と穂木11とを接ぎ木し 直後の穂木11の成長が良好になり、接ぎ木し た穂木11の生育率がさらに向上する。

 台木10と穂木11との間の樹液の流路として機 能するために、小凹部101gの接ぎ木用棒状部 101の軸方向における長さL 1 は、約1mm以上であることが好ましい。
 特に、長さL 1 が、接ぎ木用棒状部材101の軸方向の長さと一 致する(すなわち、小凹部101gが、接ぎ木用棒 部材101の一端から他端まで形成されている) のが最も好ましい。樹液が、接ぎ木用棒状部 材101の一端から他端まで効率良く流動するよ うになり、接ぎ木直後の穂木11の成長がさら 向上する。

 接ぎ木用棒状部材101は、正多角柱の本体 101uの陵線101rを面取りするのが好ましい。 取りとしては、C面取り(平面による面取り) 、R面取り(曲面による面取り)が適している 面取りすることにより、本体部101uの陵線101r が、接ぎ木用ホルダー内の円筒状のチューブ に引っかかりにくくなる。よって、接ぎ木用 棒状部材101を接ぎ木用ホルダーからスムーズ に繰り出すことができる。

 さらに、凸部101bが稜線101rを有する場合( えば、横断面が三角形や矩形の凸部101b)に 、それらの稜線101rも面取りするとより好ま い。特に、凸部101bの稜線101rが、本体部101u 外接円101f(図7参照)に近接している場合、そ の稜線101rは接ぎ木用ホルダー内の円筒状の ューブに引っかかりやすいので、その稜線10 1rを面取りするのが望ましい。

 図10は、稜線101r(角部101c)をR面取りした接ぎ 木用棒状部材101の例を示している。この接ぎ 木用棒状部材101では、正六角柱の本体部101u 1つの側面101s(外辺101a)に、1つの凸部101bを設 ている。
 図10(a)は、横断面形状が弓状の凸部101bを有 る接ぎ木用棒状部材101の横断面である。図1 0(a)からわかるように、本体部101uの陵線101r( 部101c)はR面取りされている。
 図10(b)は、横断面形状が三角形の凸部101bを する接ぎ木用棒状部材101の横断面である。
 図10(c)は、横断面形状が矩形状の凸部101bを する接ぎ木用棒状部材101の横断面である。
 図10(b)および図10(c)に図示された接ぎ木用棒 状部材101は、本体部101uの稜線101r(角部101c)だ でなく、凸部101bの稜線101rもR面取りされて る。

 また、接ぎ木用棒状部材101はセラミック からなることが好ましい。セラミックスは 度が高いので、細い接ぎ木用棒状部材101で っても折損しにくくなる。また、接ぎ木作 中に力が入りすぎた場合でも接ぎ木用棒状 材101の折損を抑えることができる。セラミ クスとしては、強度やコストの点から、ア ミナ、ジルコニア、ステアタイトおよびフ ルステライト等が好ましい。

 セラミックスからなる接ぎ木用棒状部材1 01の製造方法を具体的に説明する。

(原料の調製)
 セラミック原料(例えばアルミナ、ジルコニ ア、ステアタイトおよびフォルステライト等 )に、焼結助剤、バインダ、溶媒等を加える 一般的なセラミックス原料と同様の手段に り、それらの材料を混合・攪拌する。

(成形体の作製)
 既知のセラミックスの成形方法(例えば、粉 末プレス成形法、射出成形法、押出成形法な ど)を用いて、接ぎ木用棒状部材101の成形体 作製する。

(成形体の焼結)
 得られた成形体を、連続トンネル炉やバッ 炉を用いて焼成する。

(バリの除去、稜線101rの加工)
 接ぎ木用棒状部材101に生じたバリを除去す 。また、図10に図示した接ぎ木用棒状部材10 1のように本体部101uの稜線101r(角部101c)をR面 り加工する。バリの除去および稜線101r(角部 101c)の加工は、バレル処理により行なうこと できる。バレル処理には、ポット式回転バ ル処理機、振動バレル処理機、流動バレル 理機など公知のバレル処理機を利用できる 特に、接ぎ木用棒状部材101の折損を抑制す には、ポット式回転バレル処理機が適して る。ポット式回転バレル処理機のポット内 、接ぎ木用棒状部材101と、水と、必要によ メディアとを投入してバレル処理を行なう バレル処理後の接ぎ木用棒状部材101は、バ が除去され、本体部101uおよび凸部101bの陵 がR面になっている。

 また、ヘアライン状の小凹部101gは、成形体 の作製の際に、又は作製後に形成することが できる。
 成形体の作製時に小凹部101gを形成する場合 には、例えば、小凹部101gに相当する小凸部 備えた金型を用いて成形体を作製すること できる。
 成形体の作製後に小凹部101gを形成する場合 には、成形体を作製した後に、ヘアライン状 の小凹部101gに対応する小凸部を設けた金型 成型体を狭持して加圧することによって形 する方法や、ワイヤブラシあるいはヘラの うなものを用いて成形体にヘアライン状の 凹部101gを形成する方法などによって作製す ことができる。

 また、図1、図8および図9に示す接ぎ木用 状部材101の端面は平面である。しかしなが 、端面を外側に向けて突出させて、接ぎ木 棒状部材101の端部を台木10や穂木11に挿し込 みやすくするのが好ましい。

<実施の形態2>
 図11は、本実施の形態に係る接ぎ木用棒状 材201を示している。図11(a)は、接ぎ木用棒状 部材201の概略斜視図、図11(b)は、図11(a)の概 横断面図である。

 図11に示す接ぎ木用棒状部材201は、正多角 (図11は正六角柱)の本体部201uと、本体部201u 2つの側面201sが交わる稜線201r(図11(b)の横断 では、角部201cに相当)の少なくとも1つに設 られた凸部201bと、を有している。凸部201bは 、本体部201uの軸と平行に伸びている。
 図11(b)に示すように、接ぎ木用棒状部材201 、その横断面形状において、正多角形の角20 1cに突出部(凸部201bに相当)を有している。

 接ぎ木用棒状部材201は、稜線201r(角部201c) に凸部201bを有し、凸部201bと側面201sとの間に 凹部201eが形成される。図2に示すように、接 木用棒状部材201を台木10に挿入すると、こ 凹部201eに台木10の植物組織が充填される。 様に、接ぎ木用棒状部材201を穂木11に挿入す ると、この凹部201eに穂木11の植物組織が充填 される。凹部201eに充填されたそれらの植物 織によって、接ぎ木用棒状部材201は、台木10 および穂木11に対して回動するのを抑制され (接ぎ木用棒状部材201のアンカー効果)。そ 結果、接ぎ木用棒状部材201を介して台木10に 接続された穂木11が、台木10に対して回動す ことも抑制される。つまり、接ぎ木処理後 、例えば、作業者の服と穂木11との接触、隣 接する苗同士の接触、風の影響等を受けても 、台木10に対して穂木11が回動しにくい。よ て、接ぎ木用棒状部材201を用いて接ぎ木を れば、台木10と穂木11との活着率を向上でき 。

 特に、接ぎ木用棒状部材201の本体部201uが、 正n角柱(4≦n≦8)(正四角柱、正五角柱、正六 柱、正七角柱、又は正八角柱)であるのが好 しい。
 本体部201uの横断面(本体部201uの軸と垂直な 面)で比較したとき、外接円の直径(図31(a)~ 31(e)の符号X 5 )が一定の場合、nが4以上の正n角形は、比較 断面積が広い。すなわち、接ぎ木用棒状部 201の本体部201uが、nが4以上の正n角柱である 、比較的強度の高い接ぎ木用棒状部材201が られる。よって、苗木に使用するための極 て細い接ぎ木用棒状部材201のときには、本 部201uは、nが4以上の正n角柱であるのが望ま しい。
 また、接ぎ木用棒状部材201の本体部201uは、 nが8以下の正n角柱であると、台木10および穂 11の植物組織に稜線201r(角部201c)が引っかか やすく、接ぎ木用棒状部材201のアンカー効 がさらに向上するので好ましい。

 図12は、接ぎ木用棒状部材201の横断面であ 。
 図12(a)は、正四角柱の本体部201uを有する接 木用棒状部材201の横断面である。
 図12(b)は、正五角柱の本体部201uを有する接 木用棒状部材201の横断面である。
 図12(c)は、正六角柱の本体部201uを有する接 木用棒状部材201の横断面である。
 図12(d)は、正八角柱の本体部201uを有する接 木用棒状部材201の横断面である。
 図12(a)~図12(d)に示す接ぎ木用棒状部材201は 本体部201uが有する複数の稜線201r(角部201c)の うちの1つに、凸部201bを有している。

 図12(a)~図12(d)に示す接ぎ木用棒状部材201で 、稜線201r(角部201c)に横断面形状が弓状の凸 201bを設けてある。
 また、凸部201bとしては、その横断面が、弓 状(図12および図13参照)、三角形(図14参照)お び/又は矩形(図15参照)のものが好適である。

 凸部201bの横断面が弓状、三角形および/ は矩形であると、以下の理由により、接ぎ 用棒状部材201のアンカー効果が発揮されや い。

 接ぎ木用棒状部材201を用いて接ぎ木した きに、凸部201bの表面と、側面201s(横断面で 、外辺201aに相当)との間の凹部201eに植物組 が充填される。凸部201bの表面と、それに連 続する側面201sとによって規定されるほぼ三 柱状の空間(これを「凹部201eの体積」と称す る)が大きいほど、そこに充填される植物組 が多くなるので、接ぎ木用棒状部材201のア カー効果は高まる。

 凸部201bの横断面が弓状、三角形および/ は矩形であると、凸部201bの表面と隣接する 面201sとのなす角度(これを「凹部の角度」 称する)が、鈍角になる。凸部201bの高さが同 じで、隣接する側面201sの面積が同じ場合、 部の角度が鋭角の場合よりも、鈍角の場合 ほうが、凹部201eの体積が大きくなる。すな ち、横断面形状が弓状、三角形および/又は 矩形の横断面の凸部201bを有する接ぎ木用棒 部材201は、アンカー効果が高い。よって、 のような接ぎ木用棒状部材201は、台木10に対 する穂木11の回動を効率よく抑えることがで る。

 好ましい接ぎ木用棒状部材201の凸部201bの 形態を、図13~図15に例示する。

 図13は、正八角柱の本体部201uに、横断面形 が弓状の凸部201bを設けた接ぎ木用棒状部材 201の横断面である。
 図13(a)は、1つの稜線201r(角部201c)に凸部201b 有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図であ 。
 図13(b)は、全ての稜線201r(角部201c)に凸部201b を有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図であ る。
 図13(c)は、1つおきの稜線201r(角部201c)に凸部 201bを有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図 ある。
 図13(d)は、半円状の凸部201bを1つの稜線201r( 部201c)に有する接ぎ木用棒状部材201の横断 図である。

 図14(a)~図14(c)は、図13(a)~図13(c)の横断面形 状が弓状の凸部201bを、横断面形状が三角形 凸部201bに変更した接ぎ木用棒状部材201を例 している。

 すなわち、図14は、正八角柱の本体部201uに 横断面形状が三角形の凸部201bを設けた接ぎ 木用棒状部材201の横断面である。
 図14(a)は、1つの稜線201r(角部201c)に凸部201b 有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図であ 。
 図14(b)は、全ての稜線201r(角部201c)に凸部201b を有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図であ る。
 図14(c)は、1つおきの稜線201r(角部201c)に凸部 201bを有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図 ある。

 図15(a)~図15(c)は、図13(a)~図13(c)の横断面形 状が弓状の凸部201bを、横断面形状が矩形の 部201bに変更した接ぎ木用棒状部材201を例示 ている。

 すなわち、図15は、正八角柱の本体部201uに 横断面形状が矩形の凸部201bを設けた接ぎ木 用棒状部材201の横断面である。
 図15(a)は、1つの稜線201r(角部201c)に凸部201b 有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図であ 。
 図15(b)は、全ての稜線201r(角部201c)に凸部201b を有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図であ る。
 図15(c)は、1つおきの稜線201r(角部201c)に凸部 201bを有する接ぎ木用棒状部材201の横断面図 ある。

 なお、図13~図15に例示した接ぎ木用棒状 材201のうち、複数の凸部201bを有するものは 凸部201bの横断面が全て同じ形状である。し かしながら、1つの接ぎ木用棒状部材201に、 なる横断面の凸部201bが混在しても構わない

 図16(a)は、横断面形状が弓状の凸部201bを詳 に説明するための、接ぎ木用棒状部材201の 分拡大図である。
 図16(a)に示す接ぎ木用棒状部材201の本体部20 1uは、横断面が正八角形であり、稜線201r(角 201c)に凸部201bを有している。図16(a)の横断面 には、本体部201uに外接する外接円201f、およ 凸部201bと本体部201uとの境界線201dを図示し いる。
 本実施の形態では、凸部201bが形成された稜 線201r(角部201c)と外接円201fとの接点において 接円201fの接線を引き、この接線から凸部201 bまでの高さを「凸部201bの高さh 2 」と定義する。

 凸部201bの高さh 2 は、外接円201fの直径X 2 の約2%~約5%であることが望ましい。凸部201bの 高さh 2 が上記の範囲内にあると、十分なアンカー効 果を有する接ぎ木用棒状部材201が得られる。 また、凸部201bの高さh 2 が上記の範囲内にあると、凸部201bが接ぎ木 ホルダー内の円筒状のチューブに凸部201bに っかからないので、接ぎ木用ホルダーから ぎ木用棒状部材201をスムーズに繰り出すこ ができる。

 凸部201bの高さh 2 が外接円201fの直径X 2 の約2%未満だと、接ぎ木用棒状部材201のアン ー効果が低くなる。また、この凸部201bの高 さh 2 が外接円201fの直径X 2 の約5%を超えると、凸部201bが外接円201fの外 に大きく突出することから、接ぎ木用ホル ーからの繰り出しがスムーズにできなくな おそれがある。

 図16(a)では、本体部201uの横断面(正八角形) 角部201cが外接円201fに接し、凸部201bは外接 201fの外側に突出している。しかしながら、 ぎ木用棒状部材201を接ぎ木用ホルダーから ムーズに繰り出すには、凸部201bは外接円201 f内に位置するのが好ましい。そこで、図16(b) に示すように、凸部201bが形成されている稜 201r(境界線201d)が外接円201fより内側に位置し 、そして凸部201bが外接円201fに接するように 接ぎ木用棒状部材201の形状を変更すること できる。なお、このときに、本体部201uは、 正八角柱から僅かに変形するが、その変形量 は凸部201bの高さh 2 程度と極めて小さい。よって、本明細書にお いては、図16(b)のような本体部201uも、正八角 柱と見なすものとする。

 なお、図16(b)の本体部201uでは、正多角柱か の変形量は、凸部201bの高さh 2 に依存する。凸部201bの高さh 2 が外接円201fの直径X 2 の約5%を超えると、本体部201uの変形量(本体 201uの体積減少量に比例)が、本体部201uの強 に影響を及ぼす程度に大きくなると考えら る。すなわち、凸部201bの高さh 2 が外接円201fの直径X 2 の約5%を超えると、接ぎ木用棒状部材201の強 が低下するおそれがある。よって、図16(b) ような接ぎ木用棒状部材201の場合も、凸部20 1bの高さh 2 が外接円201fの直径X 2 の約5%以下であるのが好ましい。

 また、接ぎ木用棒状部材201の凸部201bの幅D 2 は、外辺201aの長さY 2 (図16(a))の1/2以下(ただし、0を含まず)である 、凹部201eの体積を確保する上で好ましい。 に、幅D 2 は、外辺201aの長さY 2 の1/2~1/5の範囲の長さであることが好ましい

 なお、本実施の形態の接ぎ木用棒状部材201 は、さらに、側面201sに凸部201bを設けるこ もできる(実施の形態1、図7参照)。その場合 は、凸部101b、201bの幅D 1 、D 2 の合計が、外辺201aの長さY 2 の1/2以下であるのが好ましい。

 接ぎ木用棒状部材201は、側面201sおよび凸 部201bの表面に複数のヘアライン状の小凹部 有することが好ましい。

 図17は、ヘアライン状の小凹部201gを有する ぎ木用棒状部材201を示している。
 図17(a)は、横断面形状が弓状の凸部201bと、 体部201uの側面201sおよび凸部201bの表面にヘ ライン状の小凹部201gと、を有する接ぎ木用 棒状部材201の斜視図である。
 図17(b)は、図17(a)に示した接ぎ木用棒状部材 201の横断面である。
 図17(c)は、図17(b)のB部の拡大図である。

 接ぎ木用棒状部材201に形成したヘアライ 状の小凹部201gは、樹液の流路として機能し て、台木10と穂木11との間での樹液の流れを 発にする。一般的に、接ぎ木した直後の穂 11は、一旦は緩慢に成長する。これは接ぎ木 直後には、台木10と穂木11との間に樹液の流 がなく、台木10と穂木11との間で樹液が流動 ないためであると考えられる。そして台木1 0と穂木11との間に樹液の流路が再生されると 、穂木11は通常の速度で成長するようになる しかしながら、図17に図示した接ぎ木用棒 部材201を使用して接ぎ木すると、ヘアライ 状の小凹部201gが樹液の流路として機能して 台木10と穂木11との間で樹液を流動させる。 よって、接ぎ木直後であっても穂木11の成長 緩慢にならない。その結果、接ぎ木した穂 11の生育率が向上する。

 ヘアライン状の小凹部201gに沿って、台木10 ら穂木11に樹液をより効率よく流動させる は、複数の小凹部201gを密集して形成するの 好ましい。
 また、樹液の流路としての機能と、接ぎ木 棒状部材201の強度低下を抑えることを考慮 ると、小凹部201gの深さd 2 は0.001~0.005mm、幅p 2 は0.003~0.030mmの範囲にあることが好ましい。

 図18は、ヘアライン状の小凹部201gを設けた ぎ木用棒状部材201のいくつかの例を示して る。図18では、小凹部201gは、接ぎ木用棒状 材201の軸方向における中央付近の、接ぎ木 棒状部材201の周囲に形成されている。
 図18(a)は、接ぎ木用棒状部材201の軸に沿っ 伸びた小凹部201gを示している。
 図18(b)は、ローレット状の小凹部201gを示し いる。
 図18(c)は、円周方向に連続する波状の小凹 201gを示している。
 図18(a)~図18(c)の小凹部201gは、台木10と穂木11 との間での樹液の流路として機能する。また 、台木10に接ぎ木用棒状部材201を挿入すると に、挿入深さの目安にすることもできる。

 なお、図18(a)のように、小凹部201gを接ぎ 用棒状部材201の軸に沿って延伸すると、台 10と穂木11との間で樹液の流動がより促進さ れる。図18(a)の接ぎ木用棒状部材201を使用し 接ぎ木すれば、台木10と穂木11とを接ぎ木し た直後の穂木11の成長が良好になり、接ぎ木 た穂木11の生育率がさらに向上する。

 台木10から穂木11への樹液の流路として機能 するために、小凹部201gの接ぎ木用棒状部材20 1の軸方向における長さL 2 は、約1mm以上であることが好ましい。
 特に、長さL 2 が、接ぎ木用棒状部材201の軸方向の長さと一 致する(すなわち、小凹部201gが、接ぎ木用棒 部材201の一端から他端まで形成されている) のが最も好ましい。樹液が、接ぎ木用棒状部 材201の一端から他端まで効率良く流動するよ うになり、接ぎ木直後の穂木11の成長がさら 向上する。

 接ぎ木用棒状部材201は、正多角柱の本体 201uの陵線201r(角部201c)を面取りするのが好 しい。面取りとしては、C面取り(平面による 面取り)や、R面取り(曲面による面取り)が適 ている。面取りすることにより、本体部201u 陵線201r(角部201c)が、接ぎ木用ホルダー内の 円筒状のチューブに引っかかりにくくなる。 よって、接ぎ木用棒状部材201を接ぎ木用ホル ダーからスムーズに繰り出すことができる。

 さらに、凸部201bが稜線201rを有する場合( えば、横断面が三角形や矩形の凸部201b)に 、それらの稜線201rも面取りするとより好ま い。特に、凸部201bが、本体部201uの外接円20 1fの外側に突出している場合(図16(a)参照)、そ の稜線201rは接ぎ木用ホルダー内の円筒状の ューブに引っかかりやすいので、その稜線20 1rを面取りするのが望ましい。

 図19は、陵線201r(角部201c)を曲線にした接ぎ 用棒状部材201の例を示している。この接ぎ 用棒状部材201では、正六角柱の本体部201uの 1つの稜線201r(角部201c)に、1つの凸部201bを設 ている。
 図19(a)は、横断面形状が弓状の凸部201bを有 る接ぎ木用棒状部材201の横断面である。図1 9(a)からわかるように、本体部201uの陵線201r( 部201c)はR面取りされている。
 図19(b)は、横断面形状が三角形の凸部201bを する接ぎ木用棒状部材201の横断面である。
 図19(c)は、横断面形状が矩形状の凸部201bを する接ぎ木用棒状部材201の横断面である。
 図19(b)および図19(c)に図示された接ぎ木用棒 状部材201は、本体部201uの稜線201r(角部201c)だ でなく、凸部201bの稜線201rもR面取りされて る。

 また、接ぎ木用棒状部材201はセラミック からなることが好ましい。セラミックスは 度が高いので、細い接ぎ木用棒状部材201で っても折損しにくくなる。また、接ぎ木作 中に力が入りすぎた場合でも接ぎ木用棒状 材201の折損を抑えることができる。セラミ クスとしては、強度やコストの点から、ア ミナ、ジルコニア、ステアタイトおよびフ ルステライト等が好ましい。

 セラミックスからなる接ぎ木用棒状部材2 01の製造方法は、実施の形態1と同様である。

 また、図11、図17および図18に示す接ぎ木 棒状部材201の端面は平面である。しかしな ら、端面を外側に向けて突出させて、接ぎ 用棒状部材201の端部を台木10や穂木11に挿し 込みやすくするのが好ましい。

<実施の形態3>
 図21は、本実施の形態に係る接ぎ木用棒状 材301を示している。
 図21(a)は、接ぎ木用棒状部材301の概略斜視 、図21(b)は、図21(a)の概略横断面図である。

 図21に示す接ぎ木用棒状部材301は、円柱の 体部301uと、本体部301uの側面301sに設けられ 凸部301bと、を有している。凸部301bは、本体 部301uの軸と平行に伸びている。
 図21(b)に示すように、接ぎ木用棒状部材301 、その横断面形状において、円形(曲線301a) 一部に突出部(凸部301bに相当)を有している

 接ぎ木用棒状部材301は、側面301sに凸部301 bを有し、凸部301bと側面301sとの間に凹部301e 形成される。図2に示すように、接ぎ木用棒 部材301を台木10に挿入すると、この凹部301e 台木10の植物組織が充填される。同様に、 ぎ木用棒状部材301を穂木11に挿入すると、こ の凹部301eに穂木11の植物組織が充填される。 凹部301eに充填されたそれらの植物組織によ て、接ぎ木用棒状部材301は、台木10および穂 木11に対して回動するのを抑制される(接ぎ木 用棒状部材301のアンカー効果)。その結果、 ぎ木用棒状部材301を介して台木10に接続され た穂木11が、台木10に対して回動することも 制される。つまり、接ぎ木処理後に、例え 、作業者の服と穂木11との接触、隣接する苗 同士の接触、風の影響等を受けても、台木10 対して穂木11が回動しにくい。よって、接 木用棒状部材301を用いて接ぎ木すれば、台 10と穂木11との活着率を向上できる。

 図21に示す接ぎ木用棒状部材301では、側面30 1s(図21(b)の横断面では、曲線301aに相当)に、 断面形状が弓状の凸部301bを設けてある。
 また、凸部301bとしては、その横断面が、弓 状(図22参照)、三角形(図23参照)および/又は矩 形(図24参照)のものが好適である。

 凸部301bの横断面が弓状、三角形および/ は矩形であると、以下の理由により、接ぎ 用棒状部材301のアンカー効果が発揮されや い。

 接ぎ木用棒状部材301を用いて接ぎ木した きに、凸部301bの表面と、側面301s(曲線301a) の間の凹部301eに植物組織が充填される。凸 301bの表面と、それに連続する側面301sと、 部301bおよび側面301sに接する外接円301fと、 よって規定される空間(これを「凹部301eの体 積」と称する)が大きいほど、そこに充填さ る植物組織が多くなるので、接ぎ木用棒状 材301のアンカー効果は高まる。

 凸部301bの横断面が弓状、三角形および/ は矩形であると、凸部301bの表面と隣接する 面301sとのなす角度(これを「凹部の角度」 称する)が、直角又は鈍角になる。凸部301bの 高さが同じで、隣接する側面301sの面積が同 場合、凹部の角度が鋭角の場合よりも、直 又は鈍角の場合のほうが、凹部301eの体積が きくなる。すなわち、弓状、三角形および/ 又は矩形の横断面の凸部301bを有する接ぎ木 棒状部材301は、アンカー効果が高い。よっ 、そのような接ぎ木用棒状部材301は、台木10 に対する穂木11の回動を効率よく抑えること できる。

 好ましい接ぎ木用棒状部材301の凸部301bの 形態を、図22~図24に例示する。

 図22は、円柱の本体部301uに、横断面形状が 状の凸部301bを設けた接ぎ木用棒状部材301の 横断面である。
 図22(a)は、側面301s(曲線301a)に、1つの凸部301 bを有する接ぎ木用棒状部材301の横断面図で る。
 図22(b)は、側面301s(曲線301a)に、3つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 3分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。
 図22(c)は、側面301s(曲線301a)に、5つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 5分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。
 図22(d)は、側面301s(曲線301a)に、7つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 7分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。

 なお、図22(a)において、α-α線より下側では 、本体部301uの側面301s(曲線301a)は、外接円301f と完全に一致している。しかしながら、α-α より上側では、本体部301uの側面301s(曲線301a )は、外接円301fよりも内側にある。これは、 -α線より上側部分おいて側面301s(曲線301a)を かに変形して、側面301s(曲線301a)と外接円301 fとの間に、凸部301bを配置する隙間を設ける とを目的としている。真円からの側面301s( 線301a)の変形量は、その変形量は凸部301bの さh 3 (図25)程度である。後述するように、高さh 3 は極めて小さい。よって、本明細書において は、図22(a)のような本体部301uの横断面も、円 形と見なすものとする。
 また、図22(a)のように1つの凸部301bを有する 接ぎ木用棒状部材301において、本体部301uの 断面を真円にすることもできる。

 図23(a)~図23(d)は、図22(a)~図22(d)の横断面形 状が弓状の凸部301bを、横断面形状が三角形 凸部301bに変更した接ぎ木用棒状部材301を例 している。

 すなわち、図23は、円柱の本体部301uに、横 面形状が三角形の凸部301bを設けた接ぎ木用 棒状部材301の横断面である。図23は、円柱の 体部301uに、横断面形状が三角形の凸部301b 設けた接ぎ木用棒状部材301の横断面である
 図23(a)は、側面301s(曲線301a)に、1つの凸部301 bを有する接ぎ木用棒状部材301の横断面図で る。
 図23(b)は、側面301s(曲線301a)に、3つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 3分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。
 図23(c)は、側面301s(曲線301a)に、5つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 5分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。
 図23(d)は、側面301s(曲線301a)に、7つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 7分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。

 図24(a)~図24(d)は、図22(a)~図22(d)の横断面形 状が弓状の凸部301bを、横断面形状が矩形の 部301bに変更した接ぎ木用棒状部材301を例示 ている。

 すなわち、図24は、円柱の本体部301uに、横 面形状が矩形の凸部301bを設けた接ぎ木用棒 状部材301の横断面である。図24は、円柱の本 部301uに、横断面形状が矩形の凸部301bを設 た接ぎ木用棒状部材301の横断面である。
 図24(a)は、側面301s(曲線301a)に、1つの凸部301 bを有する接ぎ木用棒状部材301の横断面図で る。
 図24(b)は、側面301s(曲線301a)に、3つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 3分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。
 図24(c)は、側面301s(曲線301a)に、5つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 5分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。
 図24(d)は、側面301s(曲線301a)に、7つの凸部301 bを等間隔に(すなわち、側面301s(曲線301a)を略 7分割した位置に)配置した接ぎ木用棒状部材3 01の横断面図である。

 なお、図22~図24には、側面301s(曲線301a)に 1つ~7つの凸部301bを設けた接ぎ木用棒状部材 301を例示した。凸部301bが多くなるほど、凹 301eの数が多くなるので、接ぎ木用棒状部材3 01のアンカー効果が高まる。ただし、凸部301b の数が多くなって凹部301eの体積(凸部301bの表 面と、側面301sと、外接円301fとで囲まれた空 )が極端に減少すると、逆にアンカー効果を 低下させる可能性がある。

 なお、図22~図24に例示した接ぎ木用棒状 材301のうち、複数の凸部301bを有するものは 凸部301bの横断面が全て同じ形状である。し かしながら、1つの接ぎ木用棒状部材301に、 なる横断面の凸部301bが混在しても構わない

 図25は、横断面形状が弓状の凸部301bを詳細 説明するための、接ぎ木用棒状部材301の部 拡大図である。
 図25に示す接ぎ木用棒状部材301の本体部301u 、横断面が円形であり、側面301s(曲線301a)に 凸部301bを有している。図25の横断面には、本 体部301uに外接する外接円301fを図示している
 凸部301bの両側に位置する2つの凹部301eを結 だ線から、凸部301bの頂点までの高さを「凸 部301bの高さh 3 」と定義する。

 凸部301bの高さh 3 は、外接円301fの直径X 3 の約2%~約10%であることが望ましい。凸部301b 高さh 3 が上記の範囲内にあると、十分なアンカー効 果を有する接ぎ木用棒状部材301が得られる。 また、凸部301bの高さh 3 が上記の範囲内にあると、凸部301bが接ぎ木 ホルダー内の円筒状のチューブに凸部301bに っかからないので、接ぎ木用ホルダーから ぎ木用棒状部材301をスムーズに繰り出すこ ができる。

 凸部301bの高さh 3 が外接円301fの直径X 3 の約2%未満だと、接ぎ木用棒状部材301のアン ー効果が低くなる。
 また、外接円の直径X 3 を一定としたときに、本体部301uの横断面の 面積は、凸部301bの高さh 3 の増加に伴って減少する。この凸部301bの高 h 3 が外接円301fの直径X 3 の約10%を超えると、本体部301uの横断面の断 積の減少が顕著になり、接ぎ木用棒状部材30 1の強度が低下するおそれがある。

 また、本体部301uに凸部301bを配置する位置 、配置する数によって凸部301bの幅D 3 は適宜決めることができる。通常は、接ぎ木 用棒状部材301の凸部301bの幅D 3 は、円形状の横断面形状の直径に対して1/4以 下(但し0は含まず)であるのが好ましい。

 接ぎ木用棒状部材301は、側面301sおよび凸 部301bの表面に複数のヘアライン状の小凹部 有することが好ましい。

 図26は、ヘアライン状の小凹部301gを有する ぎ木用棒状部材301を示している。
 図26(a)は、横断面形状が弓状の凸部301bと、 体部301uの側面301sおよび凸部301bの表面にヘ ライン状の小凹部301gと、を有する接ぎ木用 棒状部材301の斜視図である。
 図26(b)は、図26(a)に示した接ぎ木用棒状部材 301の横断面である。
 図26(c)は、図26(b)のC部の拡大図である。

 接ぎ木用棒状部材301に形成したヘアライ 状の小凹部301gは、樹液の流路として機能し て、台木10と穂木11との間での樹液の流れを 発にする。一般的に、接ぎ木した直後の穂 11は、一旦は緩慢に成長する。これは接ぎ木 直後には、台木10と穂木11との間に樹液の流 がなく、台木10と穂木11との間で樹液が流動 ないためであると考えられる。そして台木1 0と穂木11との間に樹液の流路が再生されると 、穂木11は通常の速度で成長するようになる しかしながら、図26に図示した接ぎ木用棒 部材301を使用して接ぎ木すると、ヘアライ 状の小凹部301gが樹液の流路として機能して 台木10と穂木11との間で樹液を流動させる。 よって、接ぎ木直後であっても穂木11の成長 緩慢にならない。その結果、接ぎ木した穂 11の生育率が向上する。

 ヘアライン状の小凹部301gに沿って、台木10 ら穂木11に樹液をより効率よく流動させる は、複数の小凹部301gを密集して形成するの 好ましい。
 また、樹液の流路としての機能と、接ぎ木 棒状部材301の強度低下を抑えることを考慮 ると、小凹部301gの深さd 3 は0.001~0.005mm、幅p 3 は0.003~0.030mmの範囲にあることが好ましい。

 図27は、ヘアライン状の小凹部301gを設けた ぎ木用棒状部材301のいくつかの例を示して る。図27では、小凹部301gは、接ぎ木用棒状 材301の軸方向における中央付近の、接ぎ木 棒状部材301の周囲に形成されている。
 図27(a)は、接ぎ木用棒状部材301の軸に沿っ 伸びた小凹部301gを示している。
 図27(b)は、ローレット状の小凹部301gを示し いる。
 図27(c)は、円周方向に連続する波状の小凹 301gを示している。
 図27(a)~図27(c)の小凹部301gは、台木10と穂木11 との間での樹液の流路として機能する。また 、台木10に接ぎ木用棒状部材301を挿入すると に、挿入深さの目安にすることもできる。

 なお、図27(a)のように、小凹部301gを接ぎ 用棒状部材301の軸に沿って延伸すると、台 10と穂木11との間で樹液の流動がより促進さ れる。図27(a)の接ぎ木用棒状部材301を使用し 接ぎ木すれば、台木10と穂木11とを接ぎ木し た直後の穂木11の成長が良好になり、接ぎ木 た穂木11の生育率がさらに向上する。

 台木10と穂木11との間で樹液の流路として機 能するために、小凹部301gの接ぎ木用棒状部 301の軸方向における長さL 3 は、約1mm以上であることが好ましい。
 特に、長さL 3 が、接ぎ木用棒状部材301の軸方向の長さと一 致する(すなわち、小凹部301gが、接ぎ木用棒 部材301の一端から他端まで形成されている) のが最も好ましい。樹液が、接ぎ木用棒状部 材301の一端から他端まで効率良く流動するよ うになり、接ぎ木直後の穂木11の成長がさら 向上する。

 接ぎ木用棒状部材301の凸部301bが稜線を有 する場合(例えば、横断面が三角形や矩形状 凸部301b)には、それらの稜線を面取りするの が好ましい。面取りとしては、C面取り(平面 よる面取り)や、R面取り(曲面による面取り) が適している。面取りすることにより、凸部 301bの稜線が、接ぎ木用ホルダー内の円筒状 チューブに引っかかりにくくなる。よって 接ぎ木用棒状部材301を接ぎ木用ホルダーか スムーズに繰り出すことができる。

 図28は、凸部301bの稜線をR面取りした接ぎ木 用棒状部材301の例を示している。
 図28(a)は、横断面形状が三角形の凸部301bを する接ぎ木用棒状部材301の横断面である。
 図28(b)は、横断面形状が矩形状の凸部301bを する接ぎ木用棒状部材301の横断面である。

 また、接ぎ木用棒状部材301はセラミック からなることが好ましい。セラミックスは 度が高いので、細い接ぎ木用棒状部材301で っても折損しにくくなる。また、接ぎ木作 中に力が入りすぎた場合でも接ぎ木用棒状 材301の折損を抑えることができる。セラミ クスとしては、強度やコストの点から、ア ミナ、ジルコニア、ステアタイトおよびフ ルステライト等が好ましい。

 セラミックスからなる接ぎ木用棒状部材3 01の製造方法は、実施の形態1と同様である。

 また、図21、図26および図27に示す接ぎ木 棒状部材301の端面は平面である。しかしな ら、端面を外側に向けて突出させて、接ぎ 用棒状部材301の端部を台木10や穂木11に挿し 込みやすくするのが好ましい。

 以下、本発明の接ぎ木用棒状部材の実施例 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。
 なお、実施例1~5では実施形態1の接ぎ木用棒 状部材101、実施例6~10では実施形態2の接ぎ木 棒状部材201、実施例11~15では実施形態3の接 木用棒状部材301を用いた。

 実施例1では、接ぎ木用ホルダー内での接 ぎ木用棒状部材の引っ掛かり発生率、接ぎ木 作業中の接ぎ木用棒状部材の折損発生率、お よび台木10と穂木11との活着率を調べた。

 実施例1では、図3(a)~図3(d)に図示した本発 明の接ぎ木用棒状部材101と、図29(a)~図29(c)に 示した従来の接ぎ木用棒状部材521を用いた

<評価用試料の作製>
 接ぎ木用棒状部材101、521の原料として、平 粒径が約3μmのアルミナ粉末を用意した。ア ルミナ粉末に、焼結助剤、バインダ、溶媒等 を加えて混練して、押出成形法で成形するの に適したセラミックスの坏土を作製した。

 所望の接ぎ木用棒状部材101、521の横断面 相当する形状の金型を用いて、押出成形法 より成形体を作製した。

 成形体を、連続トンネル炉を使用して酸 雰囲気中で、最高温度が1600℃で、約2時間 持して焼成を行なった。

 焼成後の接ぎ木用棒状部材を、工具顕微 を使用して倍率100倍で観察した。反りの発 量が0.01mm以内の接ぎ木用棒状部材を選別し 、評価用の試料とした。各評価において、 料を200個ずつ使用した。

 本発明の範囲内にある接ぎ木用棒状部材101 、試料No.1(図3(a))、試料No.2(図3(b))、試料No.3( 図3(c))、試料No.4(図3(d))であった。試料No.1~4の 寸法は、横断面の外接円の直径X 1 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部101b 高さh 1 が0.015mmであった。

 本発明の範囲外にある試料は、試料No.5(図29 (a))、試料No.6(図29(b))、試料No.7(図29(c))であっ 。試料No.5~7の寸法は、横断面の外接円の直 X 5 が0.65mm、全長が15mmであった。また、試料No.6 寸法は、幅W 5 が0.32mm、長さT 5 が0.57mmであった。

<引っ掛かり発生率の評価>
 接ぎ木作業するにあたって作業性に問題が いかの確認をするために、接ぎ木用ホルダ 内での接ぎ木用棒状部材の引っ掛かり発生 を評価した。
 引っ掛かり発生の判定は、接ぎ木作業中に 接ぎ木用棒状部材が接ぎ木用ホルダー内の 筒状のチューブ内に引っ掛かって接ぎ木用 ルダーから出てこなかった場合に、「引っ かりの発生あり」とした。

 試料ごとに、200個に占める引っ掛かり発生 個数の割合(引っ掛かり発生率(%))を算出し 。
 引っ掛かり発生率の判定は、引っ掛かりの 生率が0%の場合は◎(全く問題なし)、引っ掛 かりの発生率が0%を超えて1%以内は○(作業に ど問題なし)、引っ掛かりの発生率が1%を超 て3%未満は△(作業に若干問題あり)、引っ掛 かりの発生率が3%を超えた場合は×(作業に問 あり)とした。

<折損発生率の評価>
 接ぎ木作業するにあたって作業性に問題が いかの確認をするために、接ぎ木作業中に ける接ぎ木用棒状部材の折損発生率を評価 た。

 試料ごとに、200個に占める折損発生の個数 割合(折損発生率(%))を算出した。
 折損発生率の判定は、折損の発生率が0%の 合は◎(全く問題なし)、折損の発生率が0%を えて1%以内は○(作業に殆ど問題なし)、折損 の発生率が1%を超えて3%未満は△(作業に若干 題あり)、折損の発生率が3%を超えた場合は (作業に問題あり)とした。

<活着率の評価>
 引っ掛かり発生率および欠損発生率が、い れも1%以下(◎又は○)の試料について、台木 10と穂木11との活着率を評価した。活着率は 台木10に対する穂木11の回動によって影響を ける。

 活着の評価は、接ぎ木してから7日後の苗木 について行なった。
 活着の判定は、穂木11の状態を元に行なっ 。穂木11が萎れた場合には、台木10の根から 収した水分や養分が、穂木11に送られてい い、すなわち活着していないと判断した。 木11が萎れていない場合には、台木10の根か 吸収した水分や養分が穂木11の方に十分送 れている、すなわち活着したと判断した。

 試料ごとに、200個の苗木に占める活着数の 合(活着率(%))を算出した。
 活着率が100%の場合は◎(問題なし)、活着率 95~100%未満の場合は○(殆ど問題なし)、活着 が90%~95%未満の場合は△(若干問題あり)、活 率が90%未満は×(問題あり)とした。

 引っ掛かり発生率、折損発生率、および 着率の評価の結果を表1に示す。

 引っ掛かり発生率および折損発生率につ ては、本発明の範囲内である試料No.1~4と、 発明の範囲外の試料No.5、7では、良好な結 (◎又は○)が得られた。

 詳細には、引っ掛かり発生率の評価は、試 No.5が◎、試料No.1~4、7が○であった。これ の接ぎ木用棒状部材101、521は、横断面が正 角形又は円形なので、接ぎ木用ホルダー内 安定して保持され、その結果、引っ掛かり くかったと考えられる。
 これに対して、試料No.6の引っ掛かり率の評 価は×であった。この接ぎ木用棒状部材521は 横断面が長方形の平板であり、接ぎ木用ホ ダー内で安定性が悪く、その結果、引っ掛 りやすかったと考えられる。

 また、折損発生率の評価は、試料No.1~3、5、 7が◎、試料No.4が○であった。
 これに対して、試料No.6の折損発生率の評価 は×であった。この接ぎ木用棒状部材521は、 断面の断面積が小さいため、接ぎ木用棒状 材として必要な強度が得られなかったもの 考えられる。

 活着率については、本発明の範囲内であ 試料No.1~4は全て良好(○)だった。しかしな ら、本発明の範囲外である試料No.5、7では、 活着率は悪かった。この結果は、以下の理由 によるものと考えられる。

 試料No.1~4の接ぎ木用棒状部材101は、側面1 01sと、その側面101sに形成された凸部101bとの に凹部101eが形成されている。それらの接ぎ 木用棒状部材101を台木10と苗木11とに挿入す と、凹部101eに植物組織が充填されて、接ぎ 用棒状部材101のアンカー効果が発揮される そのため、台木10に対する穂木11の回動が抑 えられて、活着率が上昇したものと考えられ る。

 これに対して、試料No.5、7は、接ぎ木用 状部材521の横断面形状が円形状と正八角形 であるために、稜線が台木10や穂木11の植物 織に引っかかりにくい。従って、接ぎ木用 状部材521のアンカー効果が低い。つまり、 ぎ木用棒状部材521は、台木10や穂木11に対し て回動しやすい。よって、接ぎ木用棒状部材 521を介して台木10に接続された穂木11は、台 10に対して回動しやすい。そのため、台木10 対する穂木11の活着率は低かったと考えら る。

 以上の結果から、本発明の範囲内にある 料No.1~4は、優れた接ぎ木用棒状部材であり 接ぎ木用ホルダーで取り扱いやすく、接ぎ 中に折損しにくく、そして接ぎ木後の活着 が高いことが分かった。

 実施例2では、接ぎ木用棒状部材の凸部の 形状、および凸部の数と、活着率との関係を 調べた。

 実施例2では、図4~図6に図示した本発明の接 ぎ木用棒状部材101と、図29に図示した従来の ぎ木用棒状部材521を用いた。
 また、評価用試料は、実施例1と同様に作製 した。

 本発明の範囲内にある接ぎ木用棒状部材101 、試料No.8(図4(a))、試料No.9(図5(a))、試料No.10 (図6(a))、試料No.11(図4(b))、試料No.12(図5(b))、 料No.13(図6(b))、試料No.14(図4(b):試料No.11の変 )、試料No.15(図5(b):試料No.12の変形)、試料No.16 (図6(b):試料No.13の変形)であった。
 試料No.8~16の寸法は、横断面の外接円の直径 X 1 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部101b 幅D 1 が0.05mmであった。また、試料No.8~13では、凸 101bの高さh 1 が0.015mmであり、試料No.14~16では、高さh 1 が0.025mmであった。

 本発明の範囲外である試料は、試料No.17(図2 9(a))、試料No.18(図29(c))であった。試料No.17~18 寸法は、横断面の外接円の直径X 5 が0.65mm、全長が15mmであった。

 上記の試料No.8~18を用いて、実施例1と同 評価方法で、台木10と穂木11との活着率を評 した。活着率の評価の結果を表2に示す。

 表2に示す結果から、本発明の範囲内であ る試料No.8~10の活着率は、いずれも良好な結 (○)が得られた。

 本発明の範囲内である試料No.11~13の活着 は、いずれも良好な結果(○)が得られた。な お、試料No.8~10と比較すると、試料No.11~13のほ うが活着率は高い。このことから、接ぎ木用 棒状部材101に設けられた凸部101bの数が多い ど、活着率が向上することも分かった。

 本発明の範囲内である試料No.14~16の活着 は、いずれも良好な結果(◎又は○)が得られ た。なお、試料No.11~12と比較すると、試料No.1 4~16のほうが活着率は高い。このことから、 ぎ木用棒状部材101に設けられた凸部101bの高 が高いほど、活着率が向上することも分か た。

 これに対して、本発明の範囲外の試料No.1 7、18の活着率は、評価が×であった。

 試料No.8~16の接ぎ木用棒状部材101は、側面 101sと、その側面101sに形成された凸部101bとの 間の凹部101eが形成されている。それらの接 木用棒状部材101を台木10と苗木11に挿入する 、凹部101eに植物組織が充填されて、接ぎ木 用棒状部材101のアンカー効果が発揮される。 そのため、台木10に対する穂木11の回動が抑 られて、活着率が上昇したものと考えられ 。

 凸部101bの形状による活着率の変化を知るた めに、凸部101bの高さh 1 および凸部101bの数が同一の試料の組(試料No.8 ~10の組、試料No.11~13の組、又は試料No.14~16の )の中で、活着率を比較した。各組とも、最 活着率が高いのは、横断面形状が三角形の 部101b(試料No.9、12、15)で、次が横断面形状 矩形の凸部101b(試料No.10、13、16)で、最も活 率が低いのは横断面形状が弓状の凸部101b(試 料No.8、11、14)であった。

 実施例3では、ヘアライン状の小凹部101g 生育率との関係を調べた。

 実施例3では、図6(b)に図示した本発明の ぎ木用棒状部材101に、ヘアライン状の小凹 101gを形成した。

 評価用試料は、小凹部101gを形成する以外 は、実施例1と同様に作製した。小凹部101gは 2つの方法で形成した。図8(a)のように湾曲 た小凹部101gは、押出し成形した成形体を、 側にワイヤブラシを備えた治具に通過させ 形成した(試料No.19)。また、接ぎ木用棒状部 材101の軸に沿って延伸した直線状の小凹部101 gは、押出し成形の際に、小凹部101gに対応す 位置に小凸部を設けた金型を使用すること より形成した(試料No.20、21)。

 各試料の条件を以下に説明する。なお、括 内の本数は、1つの側面101s当たりに形成さ た小凹部101gの本数を示している。
 接ぎ木用棒状部材101は、試料No.19(湾曲、5本 )、試料No.20(直線、5本)、試料No.21(直線、1本) 試料No.22(小凹部101gなし)であった。

 試料No.19~22の寸法は、横断面の外接円の直 X 1 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部101b 幅D 1 が0.05mm、凸部101bの高さh 1 が0.025mmであった。
 試料No.19~21の小凹部101gの寸法(図8(c)参照)は 深さd 1 が0.002~0.004mm、幅p 1 が0.005~0.010mmであった。

 生育の評価は、接ぎ木してから7日後の苗木 について行なった。
 試料ごとに、20個の苗木を準備し、接ぎ木 てから3日後と7日後の生育率の平均を求めた 。本明細書において「生育率」とは、接ぎ木 した時点での穂木11の高さ(図2の切断面2bから 先端までの長さ)を100%としたときの、生育後 穂木11の高さの比率(%)を指す。

 生育率の評価の結果を表3に示す。また、 生育率の高い試料から、1~4位の順位を付けた 。なお、試料No.19~22のいずれについても、全 の苗木が活着した(活着率100%)。

 表3に示す結果から、試料No.19、20の生育 は優秀で、次いで試料No.21が良好な生育率で あった。試料No.22の生育率が最も低かった。 の結果から、小凹部101gを設けると生育率が 向上すること、そして小凹部101gの本数が多 ほど生育率がより向上することが分かった

 また、試料No.19と試料No.20とを比較すると 、小凹部101gが直線の接ぎ木用棒状部材101の うが、小凹部101gが曲線のものよりも、僅か 生育率が良いことが分かった。

 実施例4では、本体部101uの稜線101r(角部101 c)をR面取りした接ぎ木用棒状部材101について 、接ぎ木用ホルダー内での接ぎ木用棒状部材 の引っ掛かり発生率を評価した。

 実施例4では、図10(a)~(c)に図示した本発明の 接ぎ木用棒状部材101を用いた。また、評価用 試料は、実施例1と同様に作製した。
 実施例1と同じ評価方法で、引っ掛かり発生 率を評価した。ただし、評価試料の個数は100 0個とした。

 評価の結果、引っ掛かり発生率は0%(◎に 当)であった。このことから、本体部101uの 線101r(角部101c)をR面取りすることにより、接 ぎ木用棒状部材101が接ぎ木用ホルダー内に引 っ掛からなくなることが分かった。

 本体部101uが六角柱以外の多角柱(正四角 、正五角柱、正七角柱および正八角柱)から る接ぎ木用棒状部材101についても、稜線101r (角部101c)をR面取りした試料について、引っ かり発生率の評価を行なった。いずれの接 木用棒状部材101も、引っ掛かり発生率が低 った。

 実施例5では、接ぎ木用棒状部材101の材料 と折損発生率との関係を調べた。

 実施例5では、図6(a)に図示した本発明の ぎ木用棒状部材101を、様々な材料(セラミッ ス材、植物硬質繊維材、プラスチック材、 ーボン材)で形成した。

 接ぎ木用棒状部材101は、試料No.23(セラミッ ス材)、試料No.24(植物硬質繊維材)、試料No.25 (プラスチック材)、試料No.26(カーボン材)であ った。
 試料No.23(セラミックス材)は、実施例1と同 に作製した。
 試料No.24(植物硬質繊維材)は、竹を切削加工 により作製した。
 試料No.25(プラスチック材)、試料No.26(カーボ ン材)は、公知の材料を使用して、射出成形 より作製した。

 上記の試料No.23~26を用いて、実施例1と同じ 価方法で、折損発生率(%)を評価した。ただ 、評価試料の個数は500個とした。
 折損発生率の評価の結果を表4に示す。また 、折損発生率の低い試料から、1~4位の順位を 付けた。

 表4に示す結果から、接ぎ木用棒状部材101 の折損発生率は、セラミックス材から成る接 ぎ木用棒状部材101(試料No.23)が最も低かった 2番目に低いのが植物硬質繊維材(試料No.24)、 次いでプラスチック材(試料No.25)から成る接 木用棒状部材101であった。なお、プラスチ ク材(試料No.25)から成る接ぎ木用棒状部材101 、接ぎ木用棒状部材101が折損する前に変形 て、接ぎ木用棒状部材101を台木10若しくは 木11に挿入できなかった。最も折損発生率が 高いのが、カーボン材から成る接ぎ木用棒状 部材101(試料No.26)であった。この結果から、 ぎ木用棒状部材101の材料としては、セラミ クス材が最適であることが分かった。

 実施例6では、接ぎ木用ホルダー内での接 ぎ木用棒状部材の引っ掛かり発生率、接ぎ木 作業中の接ぎ木用棒状部材の折損発生率、お よび台木10と穂木11との活着率を調べた。

 実施例6では、図12および図20に図示した本 明の接ぎ木用棒状部材201と、図29に図示した 従来の接ぎ木用棒状部材521を用いた。
 また、評価用試料は、実施例1と同様に作製 した。

 本発明の範囲内にある接ぎ木用棒状部材201 、試料No.27(図12(a))、試料No.28(図12(b))、試料N o.29(図12(c))、試料No.30(図12(d))、試料No.31(図20(b ))であった。
 試料No.27~30の寸法は、横断面の外接円の直 X 2 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部201b 高さh 2 が0.013mmであった。試料No.31の寸法は、幅W 2 が0.52mm、長さT 2 が0.65mm、凸部201bの高さh 2 が0.013mmであった。

 本発明の範囲外である試料は、試料No.32(図2 9(a))、試料No.33(図29(b))、試料No.34(図29(c))であ た。試料No.32~34の寸法は、横断面の外接円 直径X 5 が0.65mm、全長が15mmであった。また、試料No.33 の寸法は、幅W 5 が0.32mm、長さT 5 が0.57mmであった。

 上記の試料No.27~34を用いて、実施例1と同じ 価方法で、接ぎ木用ホルダー内での接ぎ木 棒状部材の引っ掛かり発生率、および接ぎ 作業中の接ぎ木用棒状部材の折損発生率を 価した。
 そして、引っ掛かり発生率および欠損発生 が、いずれも1%未満(◎又は○)の試料につい て、台木10と穂木11との活着率を評価した。
 引っ掛かり発生率、折損発生率、および活 率の評価の結果を表5に示す。

 引っ掛かり発生率および折損発生率につ ては、本発明の範囲内である試料No.27~31と 本発明の範囲外の試料No.32、34では、良好な 果(◎又は○)が得られた。

 詳細には、引っ掛かり発生率の評価は、試 No.32が◎、試料No.27~31、34が○であった。こ らの接ぎ木用棒状部材201、521は、横断面が 多角形又は円形なので、接ぎ木用ホルダー で安定して保持され、その結果、引っ掛か にくかったと考えられる。
 これに対して、試料No.33の引っ掛かり率の 価は×であった。この接ぎ木用棒状部材521は 、横断面が長方形なので、接ぎ木用ホルダー 内で安定性が悪く、その結果、引っ掛かりや すかったと考えられる。

 また、折損発生率の評価は、試料No.27、28、 32、34が◎、試料No.29~31が○であった。
 これに対して、試料No.33の折損発生率の評 は×であった。この接ぎ木用棒状部材521は、 横断面の断面積が小さいため、接ぎ木用棒状 部材として必要な強度が得られなかったもの と考えられる。

 活着率については、本発明の範囲内であ 試料No.27~31は全て良好(○)だった。しかしな がら、本発明の範囲外である試料No.32、34で 、活着率は悪かった。この結果は、以下の 由によるものと考えられる。

 試料No.27~31の接ぎ木用棒状部材201は、側 201sと、その側面201sに形成された凸部201bと 間に凹部201eが形成されている。それらの接 木用棒状部材201を台木10と苗木11に挿入する と、凹部201eに植物組織が充填されて、接ぎ 用棒状部材201のアンカー効果が発揮される そのため、台木10に対する穂木11の回動が抑 られて、活着率が上昇したものと考えられ 。

 これに対して、試料No.32、34は、接ぎ木用 棒状部材521の横断面形状が円形状と正八角形 状であるために、稜線が台木10や穂木11の植 組織に引っかかりにくい。従って、接ぎ木 棒状部材521のアンカー効果が低い。つまり 接ぎ木用棒状部材521は、台木10や穂木11に対 て回動しやすい。よって、接ぎ木用棒状部 521を介して台木10に接続された穂木11は、台 木10に対して回動しやすい。そのため、台木1 0に対する穂木11の活着率は低かったと考えら れる。

 以上の結果から、本発明の範囲内にある 料No.27~31は、優れた接ぎ木用棒状部材であ 、接ぎ木用ホルダーで取り扱いやすく、接 木中に折損しにくく、そして接ぎ木後の活 率が高いことが分かった。

 実施例7では、接ぎ木用棒状部材の凸部の 形状、および凸部の数と、活着率との関係を 調べた。

 実施例7では、図13~図15に図示した本発明の ぎ木用棒状部材201と、図29に図示した従来 接ぎ木用棒状部材521を用いた。
 また、評価用試料は、実施例1と同様に作製 した。

 本発明の範囲内にある接ぎ木用棒状部材201 、試料No.35(図13(a))、試料No.36(図14(a))、試料N o.37(図15(a))、試料No.38(図13(b))、試料No.39(図14(b ))、試料No.40(図15(b))、試料No.41(図13(b):試料No.3 8の変形)、試料No.42(図14(b):試料No.39の変形)、 料No.43(図15(b):試料No.40の変形)であった。
 試料No.35~43の寸法は、横断面の外接円の直 X 2 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部201b 幅D 2 は0.05mmであった。また、試料No.35~40では、凸 201bの高さh 2 が0.013mmであり、試料No.No.41~43では、高さh 2 が0.032mmであった。
した。

 本発明の範囲外である試料は、試料No.44(図2 9(a))、試料No.45(図29(c))であった。試料No.44~45 寸法は、横断面の外接円の直径X 5 が0.65mm、全長が15mmであった。

 上記の試料No.35~45を用いて、実施例1と同 評価方法で、台木10と穂木11との活着率を評 価した。活着率の評価の結果を表6に示す。

 表6に示す結果から、本発明の範囲内であ る試料No.35~37の活着率は、いずれも良好な結 (○)が得られた。

 本発明の範囲内である試料No.38~40の活着 は、いずれも良好な結果(○)が得られた。な お、試料No.35~37と比較すると、試料No.38~40の うが活着率は高い。このことから、接ぎ木 棒状部材201に設けられた凸部201bの数が多い ど、活着率が向上することも分かった。

 本発明の範囲内である試料No.41~43の活着 は、いずれも良好な結果(◎又は○)が得られ た。なお、試料No.38~40と比較すると、試料No.4 1~43のほうが活着率は高い。このことから、 ぎ木用棒状部材201に設けられた凸部201bの高 が高いほど、活着率が向上することも分か た。

 これに対して、本発明の範囲外の試料No.4 4、45の活着率は、評価が×であった。

 試料No.35~43の接ぎ木用棒状部材201は、側 201sと、その側面201sに形成された凸部201bと 間の凹部201eが形成されている。それらの接 木用棒状部材201を台木10と苗木11に挿入する と、凹部201eに植物組織が充填されて、接ぎ 用棒状部材201のアンカー効果が発揮される そのため、台木10に対する穂木11の回動が抑 られて、活着率が上昇したものと考えられ 。

 凸部201bの形状による活着率の変化を知るた めに、凸部201bの高さh 2 および凸部201bの数が同一の試料の組(試料No.3 5~37の組、試料No.38~40の組、又は試料No.41~43の )の中で、活着率を比較した。各組とも、最 も活着率が高いのは、横断面形状が矩形の凸 部201b(試料No.37、40、43)で、次が横断面形状が 三角形の凸部201b(試料No.36、39、42)で、最も活 着率が低いのは横断面形状が弓状の凸部201b( 料No.35、38、41)であった。

 実施例8では、ヘアライン状の小凹部201g 生育率との関係を調べた。

 実施例8では、図15(b)に図示した本発明の ぎ木用棒状部材201に、ヘアライン状の小凹 201gを形成した。

 評価用試料は、小凹部201gを形成する以外 は、実施例1と同様に作製した。小凹部201gは 2つの方法で形成した。図17(a)のように湾曲 た小凹部201gは、押出し成形した成形体を、 内側にワイヤブラシを備えた治具に通過させ て形成した(試料No.46)。また、接ぎ木用棒状 材201の軸に沿って延伸した直線状の小凹部20 1gは、押出し成形の際に、小凹部201gに対応す る位置に小凸部を設けた金型を使用すること により形成した(試料No.47、48)。

 各試料の条件を以下に説明する。なお、括 内の本数は、1つの側面201s当たりに形成さ た小凹部201gの本数を示している。
 接ぎ木用棒状部材201は、試料No.46(湾曲、5本 )、試料No.47(直線、5本)、試料No.48(直線、1本) 試料No.49(小凹部201gなし)であった。

 試料No.46~49の寸法は、横断面の外接円の直 X 2 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部201b 幅D 2 が0.05mm、凸部201bの高さh 2 が0.032mmであった。
 試料No.46~48の小凹部201gの寸法(図17(c)参照)は 、深さd 2 が0.002~0.004mm、幅p 2 が0.005~0.010mmであった。

 生育の評価は、接ぎ木してから7日後の苗木 について行なった。
 試料ごとに、20個の苗木を準備し、接ぎ木 てから3日後と7日後の生育率の平均を求めた 。本明細書において「生育率」とは、接ぎ木 した時点での穂木11の高さ(図2の切断面2bから 先端までの長さ)を100%としたときの、生育後 穂木11の高さの比率(%)を指す。

 生育率の評価の結果を表7に示す。また、生 育率の高い試料から、1~4位の順位を付けた。 なお、試料No.46~49のいずれについても、全て 苗木が活着した(活着率100%)。

 表7に示す結果から、試料No.46、47の生育 は優秀で、次いで試料No.48が良好な生育率で あった。試料No.49の生育率が最も低かった。 の結果から、小凹部201gを設けると生育率が 向上すること、そして小凹部201gの本数が多 ほど生育率がより向上することが分かった

 また、試料No.46と試料No.47とを比較すると 、小凹部201gが直線の接ぎ木用棒状部材201の うが、小凹部201gが曲線のものよりも、僅か 生育率が良いことが分かった。

 実施例9では、本体部201uの稜線201r(角部201 c)をR面取りした接ぎ木用棒状部材201について 、接ぎ木用ホルダー内での接ぎ木用棒状部材 の引っ掛かり発生率を評価した。

 実施例9では、図19(a)~(c)に図示した本発明の 接ぎ木用棒状部材201を用いた。また、評価用 試料は、実施例1と同様に作製した。
 実施例1と同じ評価方法で、引っ掛かり発生 率を評価した。ただし、評価試料の個数は100 0個とした。

 評価の結果、引っ掛かり発生率は0%(◎に 当)であった。このことから、本体部201uの 線201r(角部201c)をR面取りすることにより、接 ぎ木用棒状部材201が接ぎ木用ホルダー内に引 っ掛からなくなることが分かった。

 本体部201uが六角柱以外の多角柱(正四角 、正五角柱、正七角柱および正八角柱)から る接ぎ木用棒状部材201についても、稜線201r (角部201c)をR面取りした試料について、引っ かり発生率の評価を行なった。いずれの接 木用棒状部材201も、引っ掛かり発生率が低 った。

 実施例10では、接ぎ木用棒状部材201の材 と折損発生率との関係を調べた。

 実施例10では、図15(a)に図示した本発明の 接ぎ木用棒状部材201を、様々な材料(セラミ クス材、植物硬質繊維材、プラスチック材 カーボン材)で形成した。

 接ぎ木用棒状部材201は、試料No.50(セラミッ ス材)、試料No.51(植物硬質繊維材)、試料No.52 (プラスチック材)、試料No.53(カーボン材)であ った。
 試料No.50(セラミックス材)は、実施例1と同 に作製した。
 試料No.51(植物硬質繊維材)は、竹を切削加工 により作製した。
 試料No.52(プラスチック材)、試料No.53(カーボ ン材)は、公知の材料を使用して、射出成形 より作製した。

 上記の試料No.50~53を用いて、実施例1と同じ 価方法で、折損発生率(%)を評価した。ただ 、評価試料の個数は500個とした。
 折損発生率の評価の結果を表8に示す。また 、折損発生率の低い試料から、1~4位の順位を 付けた。

 表8に示す結果から、接ぎ木用棒状部材201 の折損発生率は、セラミックス材から成る接 ぎ木用棒状部材201(試料No.50)が最も低かった 2番目に低いのが植物硬質繊維材(試料No.51)、 次いでプラスチック材(試料No.52)から成る接 木用棒状部材201であった。なお、プラスチ ク材(試料No.52)から成る接ぎ木用棒状部材201 、接ぎ木用棒状部材201が折損する前に変形 て、接ぎ木用棒状部材201を台木10若しくは 木11に挿入できなかった。最も折損発生率が 高いのが、カーボン材から成る接ぎ木用棒状 部材201(試料No.53)であった。この結果から、 ぎ木用棒状部材201の材料としては、セラミ クス材が最適であることが分かった。

 実施例11では、接ぎ木用ホルダー内での ぎ木用棒状部材の引っ掛かり発生率、接ぎ 作業中の接ぎ木用棒状部材の折損発生率、 よび台木10と穂木11との活着率を調べた。

 実施例11では、図22に図示した本発明の接ぎ 木用棒状部材301と、図29に図示した従来の接 木用棒状部材521を用いた。
 また、評価用試料は、実施例1と同様に作製 した。

 本発明の範囲内にある接ぎ木用棒状部材301 、試料No.54(図22(a))であった。
 試料No.54の寸法は、横断面の外接円の直径X 3 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部301b 高さh 3 が0.013mm、凸部301bの幅D 3 が0.05mmであった。

 本発明の範囲外である試料は、試料No.55(図2 9(a))、試料No.56(図29(b))、試料No.57(図29(c))であ た。試料No.55~57の寸法は、横断面の外接円 直径X 5 が0.65mm、全長が15mmであった。また、試料No.56 の寸法は、幅W 5 が0.32mm、長さT 5 が0.57mmであった。

 上記の試料No.54~57を用いて、実施例1と同じ 価方法で、接ぎ木用ホルダー内での接ぎ木 棒状部材の引っ掛かり発生率、および接ぎ 作業中の接ぎ木用棒状部材の折損発生率を 価した。
 そして、引っ掛かり発生率および欠損発生 が、いずれも1%未満(◎又は○)の試料につい て、台木10と穂木11との活着率を評価した。
 引っ掛かり発生率、折損発生率、および活 率の評価の結果を表9に示す。

 引っ掛かり発生率および折損発生率につ ては、本発明の範囲内である試料No.No.54と 本発明の範囲外の試料No.55、57では、良好な 果(◎又は○)が得られた。

 詳細には、引っ掛かり発生率の評価は、試 No.54、55が◎、試料No.57が○であった。これ の接ぎ木用棒状部材301、521は、横断面が正 角形又は円形なので、接ぎ木用ホルダー内 安定して保持され、その結果、引っ掛かり くかったと考えられる。
 これに対して、試料No.56の引っ掛かり率の 価は×であった。この接ぎ木用棒状部材521は 、横断面が長方形なので、接ぎ木用ホルダー 内で安定性が悪く、その結果、引っ掛かりや すかったと考えられる。

 また、折損発生率の評価は、試料No.54、55、 57が◎であった。
 これに対して、試料No.56の折損発生率の評 は×であった。この接ぎ木用棒状部材521は、 横断面の断面積が小さいため、接ぎ木用棒状 部材として必要な強度が得られなかったもの と考えられる。

 活着率については、本発明の範囲内であ 試料No.54は良好(○)だった。しかしながら、 本発明の範囲外である試料No.55、57では、活 率は悪かった。この結果は、以下の理由に るものと考えられる。

 試料No.54の接ぎ木用棒状部材301は、側面30 1sと、その側面301sに形成された凸部301bとの に凹部301eが形成されている。それらの接ぎ 用棒状部材301を台木10と苗木11に挿入すると 、凹部301eに植物組織が充填されて、接ぎ木 棒状部材301のアンカー効果が発揮される。 のため、台木10に対する穂木11の回動が抑え れて、活着率が上昇したものと考えられる

 これに対して、試料No.55、57は、接ぎ木用 棒状部材521の横断面形状が円形状と正八角形 状であるために、稜線が台木10や穂木11の植 組織に引っかかりにくい。従って、接ぎ木 棒状部材521のアンカー効果が低い。つまり 接ぎ木用棒状部材521は、台木10や穂木11に対 て回動しやすい。よって、接ぎ木用棒状部 521を介して台木10に接続された穂木11は、台 木10に対して回動しやすい。そのため、台木1 0に対する穂木11の活着率は低かったと考えら れる。

 以上の結果から、本発明の範囲内にある 料No.54は、優れた接ぎ木用棒状部材であり 接ぎ木用ホルダーで取り扱いやすく、接ぎ 中に折損しにくく、そして接ぎ木後の活着 が高いことが分かった。

 実施例12では、接ぎ木用棒状部材の凸部 形状、および凸部の数と、活着率との関係 調べた。

 実施例12では、図22~図24に図示した本発明の 接ぎ木用棒状部材301と、図29に図示した従来 接ぎ木用棒状部材521とを用いた。
 また、評価用試料は、実施例1と同様に作製 した。

 本発明の範囲内にある接ぎ木用棒状部材301 、試料No.58(図22(a))、試料No.59(図23(a))、試料N o.60(図24(a))、試料No.61(図22(d))、試料No.62(図23(d ))、試料No.63(図24(d))、試料No.64(図22(d):試料No.6 1の変形)、試料No.65(図23(d):試料No.62の変形)、 料No.66(図24(d):試料No.63の変形)であった。
 試料No.58~66の寸法は、横断面の外接円の直 X 3 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部301b 幅D 3 が0.05mmであった。また、試料No.58~63では、凸 301bの高さh 3 が0.013mmであり、試料No.No.64~66では、高さh 3 が0.065mmであった。

 本発明の範囲外である試料は、試料No.67(図2 9(a))、試料No.68(図29(c))であった。試料No.67~68 寸法は、横断面の外接円の直径X 5 が0.65mm、全長が15mmであった。

 上記の試料No.58~68を用いて、実施例1と同 評価方法で、台木10と穂木11との活着率を評 価した。活着率の評価の結果を表10に示す。

 表10に示す結果から、本発明の範囲内で る試料No.58~60の活着率は、いずれも良好な結 果(○)が得られた。

 本発明の範囲内である試料No.61~63の活着 は、いずれも良好な結果(○)が得られた。な お、試料No.58~60と比較すると、試料No.61~63の うが活着率は高い。このことから、接ぎ木 棒状部材301に設けられた凸部301bの数が多い ど、活着率が向上することも分かった。

 本発明の範囲内である試料No.64~66の活着 は、いずれも良好な結果(○)が得られた。な お、試料No.61~63と比較すると、試料No.64~66の うが活着率は高い。このことから、接ぎ木 棒状部材301に設けられた凸部301bの高さが高 ほど、活着率が向上することも分かった。

 これに対して、本発明の範囲外の試料No.6 7、68の活着率は、評価が×であった。

 試料No.58~66の接ぎ木用棒状部材301は、側 301sと、その側面301sに形成された凸部301bと 間の凹部301eが形成されている。それらの接 木用棒状部材301を台木10と苗木11に挿入する と、凹部301eに植物組織が充填されて、接ぎ 用棒状部材301のアンカー効果が発揮される そのため、台木10に対する穂木11の回動が抑 られて、活着率が上昇したものと考えられ 。

 凸部301bの形状による活着率の変化を知るた めに、凸部301bの高さh 3 および凸部301bの数が同一の試料の組(試料No.5 8~60の組、試料No.61~63の組、又は試料No.64~66の )の中で、活着率を比較した。各組とも、最 も活着率が高いのは、横断面形状が矩形の凸 部301b(試料No.60、63、66)で、次が横断面形状が 三角形の凸部301b(試料No.59、62、65)で、最も活 着率が低いのは横断面形状が弓状の凸部301b( 料No.58、61、64)であった。

 実施例13では、ヘアライン状の小凹部301g 生育率との関係を調べた。

 実施例13では、図24(d)に図示した本発明の 接ぎ木用棒状部材301に、ヘアライン状の小凹 部301gを形成した。

 評価用の試料は、小凹部301gを形成する以 外は、実施例1と同様に作製した。小凹部301g 、2つの方法で形成した。図26(a)のように湾 した小凹部301gは、押出し成形した成形体を 、内側にワイヤブラシを備えた治具に通過さ せて形成した(試料No.69)。また、接ぎ木用棒 部材301の軸に沿って延伸した直線状の小凹 301gは、押出し成形の際に、小凹部301gに対応 する位置に小凸部を設けた金型を使用するこ とにより形成した(試料No.70、71)。

 各試料の条件を以下に説明する。なお、括 内の本数は、側面301sに形成された小凹部301 gの本数を示している。
 接ぎ木用棒状部材301は、試料No.69(湾曲、40 )、試料No.70(直線、40本)、試料No.71(直線、5本 )、試料No.72(小凹部301gなし)であった。

 試料No.69~72の寸法は、横断面の外接円の直 X 3 が0.65mm、全長(軸方向の長さ)が15mm、凸部301b 幅D 3 が0.05mm、凸部301bの高さh 3 が0.065mmであった。
 試料No.69~71の小凹部301gの寸法(図26(c)参照)は 、深さd 3 が0.002~0.004mm、幅p 3 が0.005~0.010mmであった。

 生育の評価は、接ぎ木してから7日後の苗木 について行なった。
 試料ごとに、20個の苗木を準備し、接ぎ木 てから3日後と7日後との生育率の平均を求め た。本明細書において「生育率」とは、接ぎ 木した時点での穂木11の高さ(図2の切断面2bか ら先端までの長さ)を100%としたときの、生育 の穂木11の高さの比率(%)を指す。

 生育率の評価の結果を表11に示す。また 生育率の高い試料から、1~4位の順位を付け 。なお、試料No.69~72のいずれについても、全 ての苗木が活着した(活着率100%)。

 表11に示す結果から、試料No.69、70の生育 は優秀で、次いで試料No.71が良好な生育率 あった。試料No.72の生育率が最も低かった。 この結果から、小凹部301gを設けると生育率 向上すること、そして小凹部301gの本数が多 ほど生育率がより向上することが分かった

 また、試料No.69と試料No.70とを比較すると 、小凹部301gが直線の接ぎ木用棒状部材301の うが、小凹部301gが曲線のものよりも、僅か 生育率が良いことが分かった。

 実施例14では、凸部301bの稜線をR面取りし た接ぎ木用棒状部材301について、接ぎ木用ホ ルダー内での接ぎ木用棒状部材の引っ掛かり 発生率を評価した。

 実施例14では、図28(a)、(b)に図示した本発明 の接ぎ木用棒状部材301を用いた。また、評価 用試料は、実施例1と同様に作製した。
 実施例1と同じ評価方法で、引っ掛かり発生 率を評価した。ただし、評価試料の個数は100 0個とした。

 評価の結果、引っ掛かり発生率は0%(◎に 当)であった。このことから、凸部301bの角 R面取りすることにより、接ぎ木用棒状部材3 01が接ぎ木用ホルダー内に引っ掛からなくな ことが分かった。

 実施例15では、接ぎ木用棒状部材301の材 と折損発生率との関係を調べた。

 実施例15では、図22(c)に図示した本発明の 接ぎ木用棒状部材301を、様々な材料(セラミ クス材、植物硬質繊維材、プラスチック材 カーボン材)で形成した。

 接ぎ木用棒状部材301は、試料No.73(セラミッ ス材)、試料No.74(植物硬質繊維材)、試料No.75 (プラスチック材)、試料No.76(カーボン材)であ った。
 試料No.73(セラミックス材)は、実施例1と同 に作製した。
 試料No.74(植物硬質繊維材)は、竹を切削加工 により作製した。
 試料No.75(プラスチック材)、試料No.76(カーボ ン材)は、公知の材料を使用して、射出成形 より作製した。

 上記の試料No.73~76を用いて、実施例1と同じ 価方法で、折損発生率(%)を評価した。ただ 、評価試料の個数は500個とした。
 折損発生率の評価の結果を表12に示す。ま 、折損発生率の低い試料から、1~4位の順位 付けた。

 表12に示す結果から、接ぎ木用棒状部材30 1の折損発生率は、セラミックス材から成る ぎ木用棒状部材301(試料No.73)が最も低かった 2番目に低いのが植物硬質繊維材(試料No.74) 次いでプラスチック材(試料No.75)から成る接 木用棒状部材301であった。なお、プラスチ ク材(試料No.75)から成る接ぎ木用棒状部材301 は、接ぎ木用棒状部材301が折損する前に変形 して、接ぎ木用棒状部材301を台木10若しくは 木11に挿入できなかった。最も折損発生率 高いのが、カーボン材から成る接ぎ木用棒 部材301(試料No.76)であった。この結果から、 ぎ木用棒状部材301の材料としては、セラミ クスが最適であることが分かった。

 実施例1~15の結果から、本発明の接ぎ木用 棒状部材を用いると、接ぎ木の活着率が向上 することが分かった。また、本発明の接ぎ木 用棒状部材は、接ぎ木用ホルダー内に引っ掛 かりにくいことが確認できた。