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Patent Searching and Data


Title:
HALF-METALLIC ANTIFERROMAGNETIC MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116555
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a chemically stable half-metallic antiferromagnetic material having a stable magnetic structure. The half-metallic antiferromagnetic material is a compound having a crystalline structure of nickel arsenide, zincblende, wurtzite, chalcopyrite, or halite, and is comprised of two or more types of metallic elements and chalcogens or pnictogens. The aforementioned two or more types of metallic elements include magnetic elements with an effective d electron count of fewer than 5 and magnetic elements with an effective d electron count of more than 5, and the total effective d electron count of the aforementioned two or more types of metallic elements is 10 or close to 10.

Inventors:
AKAI HISAZUMI (JP)
OGURA MASAKO (JP)
NGUYEN LONG HOANG (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055242
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV OSAKA (JP)
AKAI HISAZUMI (JP)
OGURA MASAKO (JP)
NGUYEN LONG HOANG (JP)
International Classes:
H01F1/40; H01L29/82
Domestic Patent References:
WO2006098432A12006-09-21
Other References:
See also references of EP 2267734A4
Attorney, Agent or Firm:
NISHIOKA, Nobuyasu et al. (JP)
Nobuyasu Nishioka (JP)
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Claims:
 2種類以上の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから構成されているハーフメタリック反強磁性体。
 前記カルコゲンは、S、Se、Te又はPoの何れかの元素である請求項1に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記プニクトゲンは、N、As、Sb又はBiの何れかの元素である請求項1に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記2種類以上の磁性元素には、有効d電子数が5より少ない磁性元素と有効d電子数が5より多い磁性元素とが含まれている請求項1乃至請求項3の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記2種類以上の磁性元素の有効d電子数の総和は10或いは10に近い値である請求項1乃至請求項4の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ鉱型、カルコパイライト型或いは岩塩型の結晶構造を有する化合物である請求項1乃至請求項5の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 2種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されている請求項1乃至請求項6の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記2種類の磁性元素は、CrとFe、VとCo、TiとNi、CrとMn、CrとNi、TiとCo、CrとCo、VとFe及びVとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである請求項7に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 2種類の磁性元素とプニクトゲンとから構成されている請求項1乃至請求項6の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記2種類の磁性元素は、MnとCo、CrとNi、VとMn及びFeとNiの群より選ばれた何れか1つの組合せである請求項9に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 3種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されている請求項1乃至請求項6の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記3種類の磁性元素は、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、CrとMnとCo及びMnとVとCoの群より選ばれた何れか1つの組合せである請求項11に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 3種類の磁性元素とプニクトゲンとから構成されている請求項1乃至請求項6の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記3種類の磁性元素はCoとFeとCrである請求項13に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 4種類の磁性元素とカルコゲンとから構成されている請求項1乃至請求項6の何れかに記載のハーフメタリック反強磁性体。
 前記4種類の磁性元素はTiとCrとFeとNiである請求項15に記載のハーフメタリック反強磁性体。
 
Description:
ハーフメタリック反強磁性体

 本発明は、反強磁性を有し、且つ上向き 子スピン状態及び下向き電子スピン状態の 、一方の電子スピン状態で金属としての性 を示すのに対して他方の電子スピン状態で 縁体或いは半導体としての性質を示すハー メタリック反強磁性体に関するものである

 ハーフメタリック反強磁性は、ファン・ロ ケンとド・グルートによって最初に提案さ た概念であり(非特許文献1参照)、ハーフメ リック反強磁性体は、上向き電子スピン状 及び下向き電子スピン状態の内、一方の電 スピン状態で金属としての性質を示すのに して、他方の電子スピン状態で絶縁体或い 半導体としての性質を示す物質である。
 この様なハーフメタリック反強磁性体とし 、従来、種々の物質が提案されている。例 ば、ピケットは、2重ペロフスカイト構造を 有するSr 2 VCuO 6 、La 2 MnVO 6 、La 2 MnCoO 6 について電子状態計算を行ない、これらの金 属間化合物の内、La 2 MnVO 6 がハーフメタリック反強磁性を示す可能性が あることを予言した(非特許文献2参照)。
 又、本発明者らは、半導体を母体とした種 の反強磁性ハーフメタリック半導体を提案 (非特許文献3乃至7参照)、特許出願中である (特許文献1及び2参照)。本発明者らが提案し いる反強磁性ハーフメタリック半導体は、 えばII-VI族化合物半導体やIII-V族化合物半導 のII族原子やIII族原子を2種類以上の磁性イ ンで置換したものである。具体的には、(ZnC rFe)S、(ZnVCo)S、(ZnCrFe)Se、(ZnVCo)Se、(GaCrNi)N、(GaM nCo)N等を提案している。
van Leuken and de Groot, Phys. Rev. Lett. 74,1 171(1995) W.E.Pickett, Phys. Rev. B57, 10613(1998) H.Akai and M.Ogura, Phys. Rev. Lett. 97, 06401( 2006) M.Ogura, Y.Hashimoto and H.Akai, Physica Status  Solidi C 3,4160(2006) M.Ogura, C.Takahashi and H.Akai, Journal of Phys ics: Condens. Matter 19, 365226(2007) H.Akai and M.Ogura, Journal of Physics D:Applied  Physics 40, 1238(2007) H.Akai and M.Ogura, HyperfineInteractions (2008)  in press

WO2006/028299号公報

特願2006-219951の明細書

 しかしながら、本発明者らの研究の結果、 ケットがハーフメタリック反強磁性を示す 能性を予言した金属間化合物La 2 MnVO 6 は、ハーフメタリック反強磁性が発現する可 能性は低く、ハーフメタリック反強磁性が発 現したとしても安定な磁気構造である可能性 は低いことが判明した。又、半導体を母体と した反強磁性ハーフメタリック半導体におい ては、磁性イオン間に強い引力的相互作用が あるため、母体中で磁性イオンがクラスター 化して、或いは平衡状態では二相分離を起こ して、母体中に磁性イオンが析出した状態と なる。従って、結晶状態を組み難く、化学的 に不安定である問題がある。又、化学結合が 弱いため、磁気的結合も弱く、磁気構造が不 安定である問題がある。
 そこで、本発明の目的は、化学的に安定で 然も安定な磁気構造を有するハーフメタリ ク反強磁性体を提供することである。

 本発明に係るハーフメタリック反強磁性 は、ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ 型、カルコパイライト型或いは岩塩型の結 構造を有する化合物であって、2種類以上の 磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲンと から構成されており、前記2種類以上の磁性 素には、有効d電子数が5より少ない磁性元素 と有効d電子数が5より多い磁性元素とが含ま 、前記2種類以上の磁性元素の有効d電子数 総和は10或いは10に近い値である。

 磁性元素の有効d電子数は、磁性元素の全 価電子数から、カルコゲン或いはプニクトゲ ンが共有結合或いはイオン結合のために失う 電子数、即ちイオン価数を減算した数である 。ここで、磁性元素の全価電子数は、原子中 の電子の数(原子番号)からコア電子の数(3d遷 金属元素にあっては18)を減算した値である 例えば、カルコゲンは2価であるので、Cr(原 子番号24)とFe(原子番号26)の有効d電子数はそ ぞれ、4個(=24-18-2)と6個(=26-18-2)となる。又、 ニクトゲンは3価であるので、Mn(原子番号25) とCo(原子番号27)の有効d電子数はそれぞれ、4 (=25-18-3)と6個(=27-18-3)となる。

 又、2種類以上の磁性元素の有効d電子数の 和は、次のようにして求めることも出来る 例えば組成式ABX 2 (A及びBは磁性元素、Xはカルコゲン)で表わさ るハーフメタリック反強磁性体においては カルコゲンXがsp電子による結合状態に供給 る価電子数は12個(=6×2)であり、sp電子によ 結合状態には化学式量当たり16個(=8×2)の価 子が収容される。従って、磁性元素A及びBか らは4個(=16-12)の電子が該結合状態に供給され ることになり、磁性元素Aの全価電子数と磁 元素Bの全価電子数の総数から該電子の数で る4を減算して得られる値が有効d電子数の 和となる。磁性元素AがCr(原子番号24)、磁性 素BがFe(原子番号26)である場合には、磁性元 素Aの全価電子数は6個(=24-18)、磁性元素Bの全 電子数は8個(=26-18)であるので、全価電子数 総数は14個となり、磁性元素A及びBの有効d 子数の総和は10(=14-4)となる。一方、上記組 式ABX 2 においてXがプニクトゲンであるハーフメタ ック反強磁性体においては、プニクトゲンX sp電子による結合状態に供給する価電子数 10個(=5×2)であるので、磁性元素Aの全価電子 と磁性元素Bの全価電子数の総数から該電子 の数である6を減算して得られる値が有効d電 数の総和となる。
 又、3種類以上の磁性元素とカルコゲン或い はプニクトゲンとから構成されているハーフ メタリック反強磁性体、例えば組成式(ABC)X 2 (A、B及びCは磁性元素)で表わされるハーフメ リック反強磁性体においても、2種類の磁性 元素とカルコゲン或いはプニクトゲンとから 構成されているハーフメタリック反強磁性体 と同様にして、有効d電子数の総和を求める とが出来る。尚、(A 0.5 B 0.5 C)X 2 の如く(AC)X 2 と(BC)X 2 とがそれぞれ固溶体を形成しているハーフメ タリック反強磁性体においても、同様にして 有効d電子数の総和を求めることが出来、例 ば磁性元素AがV、磁性元素BがMn、磁性元素C Fe、Xがカルコゲンである場合には、磁性元 A、B及びCの全価電子数の総数は14個(=5×0.5+7× 0.5+8)となり、磁性元素A、B及びCの有効d電子 の総和は10となる。

 上記本発明に係る化合物がハーフメタリッ 反強磁性を発現する理由は次のように考え れる。以下の説明では、磁性元素が2種類で ある場合について説明する。
 組成式ABX 2 (A及びBは磁性元素、Xはカルコゲン或いはプ クトゲン)で表わされる化合物は非磁性状態 は、図38に示す如く磁性元素A及び磁性元素B のs状態及びp状態が元素Xのs状態及びp状態と る結合sp状態及び反結合sp状態がそれぞれバ ンドを形成しており、その間に磁性元素Aのd 態及び磁性元素Bのd状態からなるバンドが 成されている。
 磁性元素Aのd軌道及び磁性元素Bのd軌道は、 電子間相互作用によりスピン分裂する。この とき、磁気的状態としては、磁性元素Aの局 磁気モーメントと磁性元素Bの局所磁気モー ントとが互いに平行に向いている状態と反 行に向いている状態とが考えられる。尚、 所磁気モーメントがばらばらな方向を向い いる常磁性状態や、その他の複雑な状態も えられるが、局所磁気モーメントが平行に いている状態と反平行に向いている状態の2 つの状態について検討すれば十分である。

 磁性元素Aの局所磁気モーメントと磁性元素 Bの局所磁気モーメントとが互いに平行に向 ている状態では、図39に示す如く、d状態か 作られるバンド(dバンド)は交換分裂して典 的な強磁性体のバンド構造を示すことにな 。ここで、局所磁気モーメントを互いに平 に揃えることによるエネルギー利得は、バ ドが少し広がることによって生じ、このバ ドの広がりは、エネルギーの異なる磁性元 Aのd状態と磁性元素Bのd状態とが混成するこ によって生じる。この様に、異なるエネル ー状態間の混成によってバンドエネルギー 得が生じることを超交換相互作用という。 性元素Aと磁性元素Bの間のd状態の混成の強 を表わす飛び移り積分をtとすると、局所磁 気モーメントを互いに平行に揃えることによ るエネルギー利得E1は、下記数式1で表わされ る。
(数1)
   E1=-|t| 2 /D
 ここで、Dは磁性元素Aと磁性元素Bのd軌道の エネルギー差であり、磁性元素Aと磁性元素B 有効d電子数の差が大きい程大きな値をとる 。

 一方、磁性元素Aの局所磁気モーメントと 磁性元素Bの局所磁気モーメントとが互いに 平行に向いている状態では、図40に示す如く 、d状態から作られるバンドはスピン分裂し 、平行に向いている状態とは異なるバンド 造を示すことになる。局所磁気モーメント 互いに反平行に揃えることによるエネルギ 利得は、上向きスピンバンドにおいてエネ ギー的に縮退した磁性元素Aと磁性元素Bのd 態が強く混成して結合d状態と反結合d状態を 作り、結合d状態を主として電子が占めるこ によって生じる。この様に、エネルギー的 縮退した状態間の混成によってバンドエネ ギー利得が生じることを二重交換相互作用 いう。二重交換相互作用によるエネルギー 得E2は、飛び移り積分をtとすると、-tに比例 する。又、下向きスピンバンドにおいては、 強磁性の場合と同様に、超交換相互作用によ るエネルギー利得が生じる。

 超交換相互作用によるエネルギー利得が び移り積分tの2次に比例(二次摂動)するのに 対して、二重交換相互作用によるエネルギー 利得は飛び移り積分tの1次に比例(縮退が起こ る場合の一次摂動)する。従って、一般に、 交換相互作用よりも二重交換相互作用の方 大きなエネルギー利得を生じる。二重交換 互作用が生じるためには、d状態に縮退が起 らなければならず、局所磁気モーメントが いに反平行に向いている状態では、磁性元 Aの有効d電子数と磁性元素Bの有効d電子数の 和が3d電子軌道の最大収容電子数である10或 は10に近い値であるときに、この様な縮退が 起こる。

 上述の如く、有効d電子数の和が10或いは1 0に近い値であるときには、AとBの局所磁気モ ーメントは互いに反平行に向いた方がエネル ギー的に有利である。又、強磁性交換分裂の 2倍に相当する大きな交換分裂の効果を受け 下向きスピンバンドにおいては、図40に示す 如く、大きなギャップが形成され、フェルミ エネルギーがギャップの中央付近に位置する ことになる。

 又、共有性の強い閃亜鉛鉱型結晶構造、ウ ツ鉱型結晶構造及びカルコパイライト型結 構造は4配位、イオン性を有するニッケルヒ 素型結晶構造及び岩塩型結晶構造は6配位で り、何れの結晶構造も強い化学結合を作る 、s状態やp状態に関しては、4配位の結晶構 を有する物質の方が結合・反結合分裂が小 く半導体的な性質を有し、6配位の結晶構造 有する物質の方が絶縁体的な性質を有して る。本来はバンドギャップが存在した領域 磁性元素のd状態からなるバンドが割り込ん でくるのであるが、上向きスピンバンド及び 下向きスピンバンドの内、一方のスピンバン ドでは、本来のバンドギャップが残ってハー フメタリックが発現することになる。又、磁 性元素のd状態は周りの陰イオンと混成する であるが、原子軌道としてのd状態の性質を っており、大きな磁気分裂と局所磁気モー ントを残して安定な反強磁性を発現するこ になる。
 以上のことから、上記本発明に係る化合物 、ハーフメタリック反強磁性が基底状態で 現する可能性が高いと言える。本発明に係 化合物においてハーフメタリック反強磁性 発現することは、後述の如く第1原理電子状 態計算により確認されている。
 尚、2種類の磁性元素の有効d電子数の和が10 に近い値である場合には、両磁性元素の磁気 モーメントの大きさが僅かに異なるため、全 体として僅かに磁性を有するフェリ磁性が発 現することになると考えられるが、本願請求 の範囲及び明細書においては、「反強磁性体 」に「フェリ磁性体」が含まれるものとする 。

 上記本発明に係るハーフメタリック反強磁 体は、半導体を母体としたハーフメタリッ 反強磁性半導体の様に磁性イオンが母体中 析出した状態ではなく、カルコゲン或いは ニクトゲンが磁性元素と互いに化学結合し なる化合物であって、その結合は十分に強 、生成エネルギーの計算からも安定な化合 であると言える。尚、類似する多くの化合 (例えば、ニッケルヒ素型等の種々の結晶構 造を有する遷移金属カルコゲナイド)が安定 存在することも知られている。
 又、磁性イオンとカルコゲン或いはプニク ゲンとの化学結合が強いため、カルコゲン いはプニクトゲンを介した磁性イオン間の 学結合も強い。ここで、磁気的結合は化学 合の内、磁気モーメントによるものであり 化学結合が強ければ磁気的結合も強いと言 る。従って、本発明に係るハーフメタリッ 反強磁性体は、磁気的結合が強く、磁気的 造は安定であると言える。

 第1の具体的構成を有するハーフメタリッ ク反強磁性体は、2種類の磁性元素とカルコ ンとから構成されており、該2種類の磁性元 は、CrとFe、VとCo、TiとNi、CrとMn、CrとNi、Ti Co、CrとCo、VとFe及びVとNiの群より選ばれた れか1つの組合せである。カルコゲンは2価 あるので、これらの組合せによれば、有効d 子数の総和は9~12の値をとることになる。

 第2の具体的構成を有するハーフメタリッ ク反強磁性体は、2種類の磁性元素とプニク ゲンとから構成されており、該2種類の磁性 素は、MnとCo、CrとNi、VとMn及びFeとNiの群よ 選ばれた何れか1つの組合せである。プニク トゲンは3価であるので、これらの組合せに れば、有効d電子数の総和は6~12の値をとるこ とになる。

 第3の具体的構成を有するハーフメタリッ ク反強磁性体は、3種類の磁性元素とカルコ ンとから構成されており、該3種類の磁性元 は、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、CrとMn Co及びMnとVとCoの群より選ばれた何れか1つの 組合せである。

 3種類の磁性元素が、CoとTiとCr、VとFeとNi、F eとMnとV、及びCrとMnとCoの何れかの組合せで るハーフメタリック反強磁性体は、例えば 成式(AB 0.5 C 0.5 )X 2 (A、B及びCは磁性元素、Xはカルコゲン)で表わ される。組成式(CoTi 0.5 Cr 0.5 )X 2 で表わされるハーフメタリック反強磁性体に おいては、Ti及びCrの有効d電子数はそれぞれ2 個及び4個であるので、Ti 0.5 Cr 0.5 の有効d電子数は3個となり、Coの有効d電子数 7個であるので、CoとTiとCrの有効d電子数の 和は10となる。同様に、VとFeとNi、FeとMnとV びCrとMnとCoの何れの組合せによっても、有 d電子数の総和は10となる。
 又、3種類の磁性元素の組合せがMnとVとCoで るハーフメタリック反強磁性体は、例えば 成式(Mn 0.5 V 0.5 )(Co 0.5 Mn 0.5 )X 2 (Xはカルコゲン)で表わされ、Mn、V及びCoの有 d電子数はそれぞれ5個、3個及び7個であるの で、Mn 0.5 V 0.5 の有効d電子数は4個、Co 0.5 とMn 0.5 の有効d電子数は6個となり、有効d電子数の総 和は10となる。

 第4の具体的構成を有するハーフメタリッ ク反強磁性体は、3種類の磁性元素とプニク ゲンとから構成されており、該3種類の磁性 素はCoとFeとCrである。

 上記具体的構成を有するハーフメタリック 強磁性体は、例えば組成式Co(Fe 0.5 Cr 0.5 )X 2 (Xはプニクトゲン)で表わされ、FeとCrの有効d 子数はそれぞれ5個と3個であるので、Fe 0.5 Cr 0.5 の有効d電子数は4個となり、Coの有効d電子数 6個であるので、有効d電子数の総和は10とな る。

 第5の具体的構成を有するハーフメタリッ ク反強磁性体は、4種類の磁性元素とカルコ ンとから構成されており、該4種類の磁性元 はTiとCrとFeとNiである。

 上記具体的構成を有するハーフメタリック 強磁性体は、例えば組成式(Ti 0.5 Cr 0.5 Fe 0.5 Ni 0.5 )X 2 (Xはカルコゲン)で表わされ、TiとCrの有効d電 数はそれぞれ2個と4個であるので、Ti 0.5 Cr 0.5 の有効d電子数は3個となる。一方、FeとNiの有 効d電子数はそれぞれ6個と8個であるので、Fe 0.5 Ni 0.5 の有効d電子数は7個となる。従って、TiとCrと NiとFeの有効d電子数の総和は10となる。

 本発明によれば、化学的に安定に存在し 然も安定な磁気構造を有するハーフメタリ ク反強磁性体を実現することが出来る。

図1はカルコパイライト型(CrFe)Po 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図2はカルコパイライト型(CrFe)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図3はカルコパイライト型(CrFe)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図4はカルコパイライト型(CrFe)Te 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図5はカルコパイライト型(VCo)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図6はカルコパイライト型(VCo)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図7は岩塩型(CrFe)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図8は岩塩型(VCo)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図9はニッケルヒ素型(CrFe)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図10はウルツ鉱型(CrFe)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図11はウルツ鉱型(CrFe)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図12は閃亜鉛鉱型(FeCr)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図13は閃亜鉛鉱型(CrFe)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図14は閃亜鉛鉱型(CrFe)Te 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図15は閃亜鉛鉱型(MnCr)Te 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図16は閃亜鉛鉱型(TiCo)Te 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図17は閃亜鉛鉱型(TiNi)Po 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図18は格子定数を11.03に設定したときの閃亜 鉱型(TiNi)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図19は格子定数を10.90に設定したときの閃亜 鉱型(TiNi)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図20は閃亜鉛鉱型(VCo)Po 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図21は閃亜鉛鉱型(VCo)S 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図22は閃亜鉛鉱型(VCo)Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図23は閃亜鉛鉱型(VCo)Te 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図24はニッケルヒ素型(MnCo)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図25は閃亜鉛鉱型(MnCo)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図26は閃亜鉛鉱型(CrNi)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図27は閃亜鉛鉱型(FeNi)As 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図28はウルツ鉱型(MnCo)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図29は岩塩型(MnCo)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図30はカルコパイライト型(MnCo)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図31はカルコパイライト型(CrNi)N 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図32は閃亜鉛鉱型(CrMn 0.5 Co 0.5 )Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図33は閃亜鉛鉱型(Ti 0.5 Cr 0.5 Fe 0.5 Ni 0.5 )Se 2 の反強磁性状態での電子状態密度を表わすグ ラフである。 図34は種々の金属間化合物についての 1原理電子状態計算の結果を表わす第1の表 ある。 図35は上記結果を表わす第2の表である 。 図36は上記結果を表わす第3の表である 。 図37は反強磁性ドメイン境界を表わす である。 図38は組成式ABX 2 で表わされる化合物の非磁性状態での状態密 度曲線の概念図である。 図39は上記化合物の強磁性状態での状 密度曲線の概念図である。 図40は上記化合物の反強磁性状態での 態密度曲線の概念図である。

 以下、本発明の実施の形態につき、図面に って具体的に説明する。
 本発明に係るハーフメタリック反強磁性体 、ニッケルヒ素型、閃亜鉛鉱型、ウルツ鉱 、カルコパイライト型或いは岩塩型の結晶 造を有する金属間化合物であって、2種類以 上の磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲ ンとから構成されている。前記2種類以上の 性元素には、有効d電子数が5より少ない磁性 元素と有効d電子数が5より多い磁性元素とが まれ、前記2種類以上の磁性元素の有効d電 数の総和は10或いは10に近い値である。ここ 、カルコゲンは、S、Se、Te及びPoの何れかの 元素である。一方、プニクトゲンは、N、As、 Sb及びBiの何れかの元素である。

 具体的には、2種類の遷移金属元素とカルコ ゲンとから構成され、組成式ABX 2 (A及びBは遷移金属元素、Xはカルコゲン)で表 される。ここで、2種類の遷移金属元素は、 CrとFe、VとCo、TiとNi、CrとMn、CrとNi、TiとCo、C rとCo、VとFe及びVとNiの群より選ばれた何れか 1つの組合せである。又、2種類の遷移金属元 とプニクトゲンとから構成することも可能 あって、組成式ABX 2 (A及びBは遷移金属元素、Xはプニクトゲン)で わされる。ここで、2種類の遷移金属元素は 、MnとCo、CrとNi、VとMn及びFeとNiの群より選ば れた何れか1つの組合せである。
 3種類の遷移金属元素とカルコゲンとから構 成することも可能であって、3種類の磁性元 は、CoとTiとCr、VとFeとNi、FeとMnとV、CrとMnと Co及びMnとVとCoの群より選ばれた何れか1つの 合せである。又、3種類の遷移金属元素Co、F e、Crとプニクトゲンとから構成することも可 能である。更に、4種類の遷移金属元素TiとCr NiとFeとカルコゲンとから構成することも可 能である。

 上記本発明に係るハーフメタリック反強磁 体は、固相反応法により調製することが可 であって、調整工程においては、粉末化し 磁性元素とカルコゲン或いはプニクトゲン を十分に混合した後、クオーツガラス管に 入して1000℃以上に加熱した後、アニール処 理を行なう。又、非平衡結晶構造を有するハ ーフメタリック反強磁性体、例えば閃亜鉛鉱 型(CrFe)S 2 は、分子線エピタキシー法によって基板上に 結晶成長させる。

 上記本発明に係るハーフメタリック反強磁 体は、半導体を母体としたハーフメタリッ 反強磁性半導体の様に磁性イオンが母体中 析出した状態ではなく、カルコゲン或いは ニクトゲンが磁性元素と互いに化学結合し なる化合物であって、その結合は十分に強 、生成エネルギーの計算からも安定な化合 であると言える。尚、類似する多くの化合 (例えば、ニッケルヒ素型等の種々の結晶構 造を有する遷移金属カルコゲナイド)が安定 存在することも知られている。
 又、磁性イオンとカルコゲン或いはプニク ゲンとの化学結合が強いため、カルコゲン いはプニクトゲンを介した磁性イオン間の 学結合も強い。ここで、磁気的結合は化学 合の内、磁気モーメントによるものであり 化学結合が強ければ、磁気的結合も強いと える。従って、本発明に係るハーフメタリ ク反強磁性体は、磁気的結合が強く、磁気 構造は安定であると言える。
 更に、本発明に係るハーフメタリック反強 性体は、上述の如く容易に調整することが 来る。

 ハーフメタリック反強磁性体は、フェル 面が100%スピン分極した物質であるので、ス ピントロニクス材料として有用である。又、 ハーフメタリック反強磁性体は、磁性を有し ないため外部の摂動に対して安定であると共 に、形状磁気異方性を生じないため電流やス ピン注入によるスピン反転が容易に実現でき る可能性が高く、高性能磁気メモリや磁気ヘ ッド材料等のより広い分野への応用が期待さ れる。

 例えば、MRAM(Magnetic Random Access Memory)への 用が考えられる。
 反強磁性体においては、磁壁に相当する概 は反強磁性ドメイン境界(ドメインバウンダ リ)と称される。図37に示す如き磁気構造を有 する反強磁性体においては、上向きスピン及 び下向きスピンの順番が入れ替わる位置が反 強磁性ドメイン境界である。図中の左側から 電流を流すとドメインバウンダリで電子散乱 が起こるため、電気抵抗が大きくなる。特に ハーフメタリック反強磁性体においては、ハ ーフメタルであるという性質によってバウン ダリの左側と右側で金属的である電子スピン の向きが変わるので、原理的にはバウンダリ が存在すれば電流は流れなくなる。一方、バ ウンダリで電子散乱が起こるため、電子系に 運動量変化が生じるが、この運動量変化によ る力積はバウンダリ自体が電流から受ける力 となるため、バウンダリの移動が起こる。こ のバウンダリ移動現象を用いてMRAMを作製す ことが出来る。

第1実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(CrFe)Po 2 で表わされる金属間化合物である。
 本発明者らは、本実施例の金属間化合物が ーフメタリック反強磁性を有することを確 すべく第1原理電子状態計算を行なった。こ こで、第1原理電子状態計算の方法としては KKR(Korringa-kohn-Rostoker)法(グリーン関数法とも ばれる)とCPA(Coherent-Potential Approximation:コヒ レント・ポテンシャル近似)法とLDA(Local-Densi ty Approximation:局所密度近似)法とを組み合わ た公知のKKR-CPA-LDA法を採用した(月刊「化学 業 Vol.53, No.4(2002)」pp.20-24、「システム/制 /情報 Vol.48, No.7」pp.256-260)。

 図1は、カルコパイライト型(CrFe)Po 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。

 図中に実線で示す如く、下向きスピン電子 状態密度がゼロとなってバンドギャップGp 形成され、該バンドギャップ中にフェルミ ネルギーが存在している。一方、上向きス ン電子の状態密度はフェルミエネルギー付 でゼロよりも大きくなっている。この様に 下向きスピン電子の状態は半導体としての 質を示す一方、上向きスピン電子の状態は 属としての性質を示しており、ハーフメタ ックが発現していると言える。
 又、カルコゲンであるPoは2価であるので、C r及びFeの有効d電子数はそれぞれ4個及び6個と なり、有効d電子数の総和は10となる。上向き スピン全電子状態密度及び下向きスピン全電 子状態密度をそれぞれフェルミエネルギーま で積分した結果、両積分値が等しかったこと から、FeとCrが互いの磁気モーメントを打ち し合って全体として磁化が0になっていると える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

第2実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(CrFe)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図2は、カルコパイライト型(CrFe)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第3実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(CrFe)Se 2 で表わされる金属間化合物である。
 図3は、カルコパイライト型(CrFe)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第4実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(CrFe)Te 2 で表わされる金属間化合物である。
 図4は、カルコパイライト型(CrFe)Te 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第5実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(VCo)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図5は、カルコパイライト型(VCo)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、カ コゲンであるSは2価であるので、V及びCoの 効d電子数はそれぞれ3個及び7個となり、有 d電子数の総和は10となる。上向きスピン全 子状態密度及び下向きスピン全電子状態密 をそれぞれフェルミエネルギーまで積分し 結果、両積分値が等しかったことから、Coと Vが互いの磁気モーメントを打ち消し合って 体として磁化が0になっていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

第6実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(VCo)Se 2 で表わされる金属間化合物である。
 図6は、カルコパイライト型(VCo)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。図中に実線で示す状態密度曲線から ーフメタリックが発現していると言える。 、上向きスピン全電子状態密度及び下向き ピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ルギーまで積分した結果、両積分値が等し ったことから、全体として磁化が0になって いると言える。従って、本実施例の金属間化 合物はハーフメタリック反強磁性を有すると 言える。

第7実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 岩塩型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図7は、岩塩型(CrFe)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第8実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 岩塩型の結晶構造を有し、組成式(VCo)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図8は、岩塩型(VCo)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。図中に実線で示す状態密度曲線から ーフメタリックが発現していると言える。 、上向きスピン全電子状態密度及び下向き ピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ルギーまで積分した結果、両積分値が等し ったことから、全体として磁化が0になって いると言える。従って、本実施例の金属間化 合物はハーフメタリック反強磁性を有すると 言える。

第9実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は ニッケルヒ素型の結晶構造を有し、組成式( CrFe)Se 2 で表わされる金属間化合物である。
 図9は、ニッケルヒ素型(CrFe)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。
 又、反強磁性状態から常磁性状態に移行す 磁性転移温度(ネール温度)を計算すると、10 94Kであった。ここで、ネール温度は、クラス ター(Cluster)近似を用いた公知の方法によって 算出した(J.Phys.:Condens. Matter 19(2007)365233)。

第10実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は ウルツ鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図10は、ウルツ鉱型(CrFe)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第11実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は ウルツ鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)S e 2 で表わされる金属間化合物である。
 図11は、ウルツ鉱型(CrFe)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第12実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(FeCr)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図12は、閃亜鉛鉱型(FeCr)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はFeの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCrの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。又、ネール温度を計算すると、1016K であった。

第13実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)S e 2 で表わされる金属間化合物である。
 図13は、閃亜鉛鉱型(CrFe)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。又、ネール温度を計算すると、926K あった。

第14実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrFe)T e 2 で表わされる金属間化合物である。
 図14は、閃亜鉛鉱型(CrFe)Te 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はFeの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。又、ネール温度を計算すると、640K あった。

第15実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(MnCr)T e 2 で表わされる金属間化合物である。
 図15は、閃亜鉛鉱型(MnCr)Te 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCrの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、カ コゲンであるTeは2価であるので、Mn及びCrの 有効d電子数はそれぞれ5個及び4個となり、有 効d電子数の総和は9となる。上向きスピン全 子状態密度及び下向きスピン全電子状態密 をそれぞれフェルミエネルギーまで積分し 結果、両積分値が僅かに異なっていたこと ら、磁化が僅かに残っていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 、ハーフメタリックフェリ磁性を有すると える。尚、Mn及びCrの濃度を調整すれば反強 磁性を有するものを得ることが出来る。

第16実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(TiCo)T e 2 で表わされる金属間化合物である。
 図16は、閃亜鉛鉱型(TiCo)Te 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はTiの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、カ コゲンであるTeは2価であるので、Ti及びCoの 有効d電子数はそれぞれ2個及び7個となり、有 効d電子数の総和は9となる。上向きスピン全 子状態密度及び下向きスピン全電子状態密 をそれぞれフェルミエネルギーまで積分し 結果、両積分値が僅かに異なっていたこと ら、磁化が僅かに残っていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 、ハーフメタリックフェリ磁性を有すると える。尚、Ti及びCoの濃度を調整すれば反強 磁性を有するものを得ることが出来る。

第17実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(TiNi)P o 2 で表わされる金属間化合物である。
 図17は、閃亜鉛鉱型(TiNi)Po 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はTiの3d軌道位置での局所状態密度、破 はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。尚、第1原理電子状態計算の方法と ては、KKR-CPA-LDA法に代えて、電子間相互作用 に対して補正が施されたLDA+U法と称される公 の方法を採用した。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、カ コゲンであるPoは2価であるので、Ti及びNiの 有効d電子数はそれぞれ2個及び8個となり、有 効d電子数の総和は10となる。上向きスピン全 電子状態密度及び下向きスピン全電子状態密 度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分し た結果、両積分値が等しかったことから、Ni Tiが互いの磁気モーメントを打ち消し合っ 全体として磁化が0となっていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

第18実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(TiNi)S e 2 で表わされる金属間化合物である。
 図18及び図19は、閃亜鉛鉱型(TiNi)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしており、図18は格子定数aを11.03、図 19は10.90に設定したときのものである。図中 実線は全状態密度、点線はTiの3d軌道位置で 局所状態密度、破線はNiの3d軌道位置での局 所状態密度を表わしている。格子定数aを何 の値に設定した場合においても、図中に実 で示す状態密度曲線からハーフメタリック 発現していると言える。又、上向きスピン 電子状態密度及び下向きスピン全電子状態 度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分 た結果、両積分値が等しかったことから、 体として磁化が0になっていると言える。従 て、本実施例の金属間化合物はハーフメタ ック反強磁性を有すると言える。

第19実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Po 2 で表わされる金属間化合物である。
 図20は、閃亜鉛鉱型(VCo)Po 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。尚、第1原理電子状態計算の方法とし ては、KKR-CPA-LDA法に代えてLDA+U法を採用した 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、上 きスピン全電子状態密度及び下向きスピン 電子状態密度をそれぞれフェルミエネルギ まで積分した結果、両積分値が等しかった とから、全体として磁化が0になっていると える。従って、本実施例の金属間化合物は ーフメタリック反強磁性を有すると言える

第20実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)S 2 で表わされる金属間化合物である。
 図21は、閃亜鉛鉱型(VCo)S 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。図中に実線で示す状態密度曲線から ーフメタリックが発現していると言える。 、上向きスピン全電子状態密度及び下向き ピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ルギーまで積分した結果、両積分値が等し ったことから、全体として磁化が0になって いると言える。従って、本実施例の金属間化 合物はハーフメタリック反強磁性を有すると 言える。又、ネール温度を計算すると、1025K あった。

第21実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Se 2 で表わされる金属間化合物である。
 図22は、閃亜鉛鉱型(VCo)Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。図中に実線で示す状態密度曲線から ーフメタリックが発現していると言える。 、上向きスピン全電子状態密度及び下向き ピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ルギーまで積分した結果、両積分値が等し ったことから、全体として磁化が0になって いると言える。従って、本実施例の金属間化 合物はハーフメタリック反強磁性を有すると 言える。又、ネール温度を計算すると、880K あった。

第22実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(VCo)Te 2 で表わされる金属間化合物である。
 図23は、閃亜鉛鉱型(VCo)Te 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はVの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし いる。図中に実線で示す状態密度曲線から ーフメタリックが発現していると言える。 、上向きスピン全電子状態密度及び下向き ピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ルギーまで積分した結果、両積分値が等し ったことから、全体として磁化が0になって いると言える。従って、本実施例の金属間化 合物はハーフメタリック反強磁性を有すると 言える。又、ネール温度を計算すると、759K あった。

第23実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は ニッケルヒ素型の結晶構造を有し、組成式( MnCo)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図24は、ニッケルヒ素型(MnCo)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、プ クトゲンであるNは3価であるので、Mn及びCo 有効d電子数はそれぞれ4個及び6個となり、 効d電子数の総和は10となる。上向きスピン 電子状態密度及び下向きスピン全電子状態 度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分 た結果、両積分値が等しかったことから、C oとMnが互いの磁気モーメントを打ち消し合っ て全体として磁化が0になっていると言える
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

第24実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図25は、閃亜鉛鉱型(MnCo)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第25実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrNi)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図26は、閃亜鉛鉱型(CrNi)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、Nは 3価であるので、Cr及びNiの有効d電子数はそれ ぞれ3個及び7個となり、有効d電子数の総和は 10となる。上向きスピン全電子状態密度及び 向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェ ミエネルギーまで積分した結果、両積分値 等しかったことから、NiとCrが互いの磁気モ ーメントを打ち消し合って全体として磁化が 0になっていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

第26実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(FeNi)A s 2 で表わされる金属間化合物である。
 図27は、閃亜鉛鉱型(FeNi)As 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はFeの3d軌道位置での局所状態密度、破 はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。尚、第1原理電子状態計算の方法と ては、KKR-CPA-LDA法に代えてLDA+U法を採用した
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、プ クトゲンであるAsは3価であるので、Fe及びNi の有効d電子数はそれぞれ5個及び7個となり、 有効d電子数の総和は12となる。上向きスピン 全電子状態密度及び下向きスピン全電子状態 密度をそれぞれフェルミエネルギーまで積分 した結果、両積分値が僅かに異なっていたこ とから、磁化が僅かに残っていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリックフェリ磁性を有すると言 る。

第27実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は ウルツ鉱型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図28は、ウルツ鉱型(MnCo)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第28実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 岩塩型の結晶構造を有し、組成式(MnCo)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図29は、岩塩型(MnCo)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第29実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(MnCo)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図30は、カルコパイライト型(MnCo)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はMnの3d軌道位置での局所状態密度、破 はCoの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第30実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は カルコパイライト型の結晶構造を有し、組 式(CrNi)N 2 で表わされる金属間化合物である。
 図31は、カルコパイライト型(CrNi)N 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線はCrの3d軌道位置での局所状態密度、破 はNiの3d軌道位置での局所状態密度を表わし ている。図中に実線で示す状態密度曲線から ハーフメタリックが発現していると言える。 又、上向きスピン全電子状態密度及び下向き スピン全電子状態密度をそれぞれフェルミエ ネルギーまで積分した結果、両積分値が等し かったことから、全体として磁化が0になっ いると言える。従って、本実施例の金属間 合物はハーフメタリック反強磁性を有する 言える。

第31実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(CrMn 0.5 Co 0.5 )Se 2 で表わされる金属間化合物である。
 図32は、閃亜鉛鉱型(CrMn 0.5 Co 0.5 )Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線及び2種類の破線はそれぞれCr、Mn及びCo 3d軌道位置での局所状態密度を表わしてい 。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、カ コゲンであるSeは2価であるので、Mn及びCoの 有効d電子数はそれぞれ5個及び7個となり、Mn 0.5 Co 0.5 の有効d電子数は6個となる。又、Crの有効d電 数は4個であるので、有効d電子数の総和は10 となる。上向きスピン全電子状態密度及び下 向きスピン全電子状態密度をそれぞれフェル ミエネルギーまで積分した結果、両積分値が 等しかったことから、CrとMn及びCoとが互いの 磁気モーメントを打ち消し合って全体として 磁化が0となっていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

第32実施例
 本実施例のハーフメタリック反強磁性体は 閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、組成式(Ti 0.5 Cr 0.5 Fe 0.5 Ni 0.5 )Se 2 で表わされる金属間化合物である。
 図33は、閃亜鉛鉱型(Ti 0.5 Cr 0.5 Fe 0.5 Ni 0.5 )Se 2 について第1原理電子状態計算を行なうこと より得られた反強磁性状態での状態密度曲 を表わしている。図中の実線は全状態密度 点線、2種類の破線及び一点鎖線はそれぞれF e、Ni、Ti及びCrの3d軌道位置での局所状態密度 を表わしている。
 図中に実線で示す状態密度曲線からハーフ タリックが発現していると言える。又、カ コゲンであるSeは2価であるので、TiとCrの有 効d電子数はそれぞれ2個と4個となり、Ti 0.5 Cr 0.5 の有効d電子数は3個となる。一方、FeとNiの有 効d電子数はそれぞれ6個と8個となり、Fe 0.5 Ni 0.5 の有効d電子数は7個となる。従って、TiとCrと NiとFeの有効d電子数の総和は10となる。上向 スピン全電子状態密度及び下向きスピン全 子状態密度をそれぞれフェルミエネルギー で積分した結果、両積分値が等しかったこ から、Ni及びFeとTi及びCrとが互いの磁気モー メントを打ち消し合って全体として磁化が0 なっていると言える。
 以上の結果から、本実施例の金属間化合物 ハーフメタリック反強磁性を有すると言え 。

 図34乃至図36は、上述の第1実施例乃至第30実 施例の金属間化合物を含め、種々の金属間化 合物ABX 2 についての第1原理電子状態計算の結果を表 している。図表中の“HM”及び“M”は夫々 ハーフメタリック及び通常金属であること 表わしている。“AF”、“F”、“Ferri”及び “NM”は夫々、反強磁性、強磁性、フェリ磁 及び非磁性であることを表わしている。金 間化合物が反強磁性及び強磁性の何れの磁 構造を有しているかは、第1原理電子状態計 算から得られる強磁性状態及び反強磁性状態 での状態密度曲線から各状態での電子の運動 エネルギーの総和を算出することによって判 別することが出来る。即ち、電子の運動エネ ルギーの総和が最も小さい状態が最も安定な 状態であり、金属間化合物は、最も安定な状 態の磁気構造を有していると言える。又、“ a”は格子定数、“muB”はμ B (ボーア磁子)、“E_form”は化合物の生成エネ ギー、“E_order”は規則化エネルギー、“TN はネール温度、“Cl.App”はネール温度の算 方法としてクラスター(Cluster)近似を用いた 法を採用したことを表わしている。更に、 latt. const. default”は、各イオンのイオン半 径から決まる体積に対応した格子定数を用い たことを表わしている。更に又、例えば“lat t. const. default=10.928a.u.”は格子定数を10.928に 設定したこと、“latt. const. CrTe=7.83a.u.”は CrTeの格子定数を7.83に設定したこと、“latt. const. of CrSe”は、CrSeの格子定数を用いたこ とを表わしている。

 例えばCrFeSe 2 については、上述の如くカルコゲンであるSe 2価であるのでCrとFeの有効d電子数はそれぞ 4個及び6個であり、有効d電子数の和は10と る。CrFeSe 2 は、図表に示す如く、ニッケルヒ素型、閃亜 鉛鉱型、ウルツ鉱型、岩塩型及びカルコパイ ライト型の何れの結晶構造を有する場合であ っても、ハーフメタリック反強磁性を示して いる。
 又、ニッケルヒ素型CrFeSe 2 、閃亜鉛鉱型CrFeTe 2 、閃亜鉛鉱型VCoTe 2 、閃亜鉛鉱型CrFeS 2 、閃亜鉛鉱型VCoS 2 、閃亜鉛鉱型CrFeSe 2 及び閃亜鉛鉱型VCoSe 2 のネール温度は夫々、1094K、640K、759K、1016K、 1025K、926K及び880Kと室温よりも遥かに高い値 なっている。反強磁性ハーフメタリック半 体のネール温度は、高いもので数百K、低い ので数十Kであり、ニッケルヒ素型CrFeSe 2 、閃亜鉛鉱型CrFeS 2 、閃亜鉛鉱型VCoS 2 及び閃亜鉛鉱型CrFeSe 2 によれば、反強磁性ハーフメタリック半導体 を上回るネール温度を得ることが出来る。上 記7つの金属間化合物以外の金属間化合物に いても、室温を超えるネール温度が得られ ものと考えられる。
 図表に示す如く、第1原理電子状態計算を行 なった金属間化合物の中には、フェリ磁性を 示すものが含まれているが、磁性元素の濃度 等の条件を調整することによって反強磁性が 発現する可能性は高いと考えられる。

 尚、図表に示す金属間化合物の内、ニッケ ヒ素型CrFeSe 2 、閃亜鉛鉱型CrFeTe 2 、閃亜鉛鉱型VCoTe 2 、閃亜鉛鉱型CrFeS 2 、閃亜鉛鉱型VCoS 2 、閃亜鉛鉱型CrFeSe 2 、閃亜鉛鉱型VCoSe 2 、ウルツ鉱型CrFeS 2 、ウルツ鉱型CrFeSe 2 、岩塩型CrFeS 2 、カルコパイライト型CrFeTe 2 、カルコパイライト型CrFeS 2 、カルコパイライト型VCoS 2 、カルコパイライト型CrFeSe 2 、カルコパイライト型VCoSe 2 及びカルコパイライト型CrFePo 2 は、エネルギー的に極めて安定に存在すると 共に、十分に高いネール温度が得られ、然も 無害な物質であるので、ハーフメタリック反 強磁性体として有望であると考えられる。

 又、本発明者らは、カルコゲンX(XはSe、Po、 Te或いはS)を含む閃亜鉛鉱型Co(Ti 0.5 Cr 0.5 )X 2 、閃亜鉛鉱型V(Fe 0.5 Ni 0.5 )X 2 、閃亜鉛鉱型(Ti 0.5 Cr 0.5 )(Ni 0.5 Fe 0.5 )X 2 、閃亜鉛鉱型Fe(Mn 0.5 V 0.5 )X 2 、閃亜鉛鉱型Cr(Mn 0.5 Co 0.5 )X 2 、閃亜鉛鉱型(Mn 0.5 V 0.5 )(Co 0.5 Mn 0.5 )X 2 、ニッケルヒ素型Co(Ti 0.5 Cr 0.5 )X 2 、ニッケルヒ素型V(Ni 0.5 Fe 0.5 )X 2 、ニッケルヒ素型(Ti 0.5 Cr 0.5 )(Ni 0.5 Fe 0.5 )X 2 、カルコパイライト型Co(Ti 0.5 Cr 0.5 )X 2 、カルコパイライト型V(Ni 0.5 Fe 0.5 )X 2 、カルコパイライト型(Ti 0.5 Cr 0.5 )(Ni 0.5 Fe 0.5 )X 2 、ウルツ鉱型V(Fe 0.5 Mn 0.5 )X 2 、ウルツ鉱型(V 0.5 Mn 0.5 )(Mn 0.5 Co 0.5 )X 2 、及び岩塩型Co(Ti 0.5 Cr 0.5 )X 2 についても第1原理電子状態計算を行ない、 れの金属間化合物もハーフメタリック反強 性を有することを確認した。更に、プニク ゲンを含む閃亜鉛鉱型Co(Fe 0.5 Cr 0.5 )N 2 についても第1原理電子状態計算を行ない、 ーフメタリック反強磁性を有することを確 した。
 尚、2種類以上の磁性元素とカルコゲン或い はプニクトゲンとの組合せとしては、第1原 電子状態計算を行なった上記組合せ以外で っても、ハーフメタリック反強磁性が発現 る可能性があると考えられる。

 上述の如く、本発明に係るハーフメタリ ク反強磁性体は、化学的に安定で、然もネ ル温度が室温よりも遥かに高く安定な磁気 造を有している。従って、該ハーフメタリ ク反強磁性体を用いたデバイスは、室温で 定した動作を行なうことが出来る。