USAMI TAKASHI (JP)
WATANABE MIKI (JP)
MIYASHITA TAKAYUKI (JP)
USAMI TAKASHI (JP)
WATANABE MIKI (JP)
JP2005343983A | 2005-12-15 | |||
JP2001139733A | 2001-05-22 | |||
JP2008133382A | 2008-06-12 | |||
JP2007182990A | 2007-07-19 | |||
JP2006276477A | 2006-10-12 | |||
JP2005146124A | 2005-06-09 |
(A)液晶性ポリマー100重量部に対し、 (B)熱伝導率が3W/m・K以上、平均粒径が1~300μmの板状フィラー10~300重量部、 (C)熱伝導率が3W/m・K以上で、平均粒径が(B)板状フィラーの1/10~1/200である粉粒状フィラー10~300重量部を添加してなり、 (B)、(C)成分の総添加量が(A)液晶性ポリマー100重量部に対し20~500重量部であり、(B)成分と(C)成分の添加比率が3:1~1:3であることを特徴とする絶縁性の熱伝導性樹脂組成物。 |
(B)板状フィラーが窒化ホウ素及びタルクより選ばれる1種以上であり、(C)粉粒状フィラーが酸化チタン及びアルミナより選ばれる1種以上である請求項1記載の絶縁性の熱伝導性樹脂組成物。 |
本発明は、成形性に優れた絶縁性の熱伝導
樹脂組成物に関するものであり、更に詳し
は、放熱性を要求される各種自動車部品・
機電子部品等に用いられる熱伝導性に優れ
液晶性ポリマー組成物に関する。
背景技術
異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリマ は、熱可塑性樹脂の中でも寸法精度、制振 に優れ、成形時のバリ発生が極めて少ない 料として知られている。従来、このような 徴を活かし、ガラス繊維強化による液晶性 リマー組成物が各種電機電子部品の材料と て多く採用されてきた。しかし、近年、こ らの部品が軽薄短小化され、部品等の内部 放熱が問題となってきており、放熱性を付 した材料の要求がでてきている。
このような理由から、熱可塑性樹脂に特 粒径のアルミナを添加し、成形性と熱伝導 を向上させる方法が提案されているが(特開 2002-146187号公報)、この方法では成形性は向上 するものの、熱伝導性フィラーとしてアルミ ナのみを添加しているため、添加量に対する 熱伝導率の向上が低く、添加量を増やす必要 があることから、樹脂との混練時や成形時に 押出機、成形機のスクリュー、シリンダーや 成形金型が激しく摩耗し、金属が混入する問 題があった。
一方、液晶性ポリマーに黒鉛を配合し、 伝導性を付与する方法が提案されているが( 特開2006-257174号公報)、この方法ではフィラー によるスクリュー等の摩耗は起きないものの 、熱伝導性と同時に電気伝導性が付与される ため、電気絶縁性が要求されるような分野で は使用できないという問題があった。
その他、熱可塑性樹脂に不定形の酸化チタ
を添加し、光反射性、遮光性の向上や、光
媒として用いることが提案されているが(特
開2004-75770号公報及び特開2003-253130号公報)、
れらには熱伝導性向上についての検討は行
れていない。
発明の開示
本発明は、かかる従来技術の欠点を解決 、絶縁性があり、成形性に優れた熱伝導性 高い材料を提供することを目的とする。
本発明者等は上記問題点に鑑み、成形性 優れた熱伝導性の高い液晶性ポリマー組成 について鋭意探索、検討を行ったところ、 晶性ポリマーに対し、特定の熱伝導性板状 ィラーと特定の熱伝導性粉粒状フィラーを 用配合することが極めて有効であることを 出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(A)液晶性ポリマー100重量部に対し、
(B)熱伝導率が3W/m・K以上、平均粒径が1~300μm
板状フィラー10~300重量部、
(C)熱伝導率が3W/m・K以上で、平均粒径が(B)板
フィラーの1/10~1/200である粉粒状フィラー10~
300重量部を添加してなり、
(B)、(C)成分の総添加量が(A)液晶性ポリマー1
00重量部に対し20~500重量部であり、(B)成分と(
C)成分の添加比率が3:1~1:3であることを特徴と
する絶縁性の熱伝導性樹脂組成物である。
発明の詳細な説明
以下、本発明を詳細に説明する。本発明 使用する液晶性ポリマー(A) とは、光学異 性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加 性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は 直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法に り確認することが出来る。より具体的には 異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使 用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料 窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察すること より実施できる。本発明に適用できる液晶 ポリマーは直交偏光子の間で検査したとき 、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通 透過し、光学的に異方性を示す。
前記のような液晶性ポリマー(A)としては に限定されないが、芳香族ポリエステル又 芳香族ポリエステルアミドであることが好 しく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリ ステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含 ポリエステルもその範囲にある。これらは6 0℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1重 %で溶解したときに、好ましくは少なくとも 2.0dl/g、さらに好ましくは2.0~10.0dl/gの対数粘 度(I.V.)を有するものが使用される。
本発明に適用できる液晶性ポリマー(A)と ての芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエ テルアミドとして特に好ましくは、芳香族 ドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシア ン、芳香族ジアミンの群から選ばれた少な とも1種以上の化合物を構成成分として有す る芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステル アミドである。
より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸およ
びその誘導体の1種又は2種以上からなるポリ
ステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸お
よびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香
ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸および
の誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジ
ール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールお
びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、
とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸お
よびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香
ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよび
の誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジ
ルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその
導体の1種又は2種以上、とからなるポリエス
テルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸お
よびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香
ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよび
の誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジ
ルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその
導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール
、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびそ
の誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とか
なるポリエステルアミドなどが挙げられる
さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量
整剤を併用してもよい。
本発明に適用できる前記液晶性ポリマー( A)を構成する具体的化合物の好ましい例とし は、p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸 、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロ シナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニ ル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般 式(I)および下記一般式(II)で表される化合物 の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタ 酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナ タレンジカルボン酸および下記一般式(III)で 表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p-ア ミノフェノール、p-フェニレンジアミン等の 香族アミン類が挙げられる。
(但し、X :アルキレン(C1~C4)、アルキリデン、
-O- 、-SO-、-SO 2
- 、-S-、-CO-より選ばれる基、Y :-(CH 2
) n
-(n=1~4)、-O(CH 2
) n
O-(n =1~4)より選ばれる基)
本発明が適用される特に好ましい液晶性ポ
マー(A) としては、p-ヒドロキシ安息香酸、
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキ
シビフェニル、テレフタル酸を主構成単位成
分とする芳香族ポリエステルである。
次に、本発明で用いる(B)板状フィラーで るが、その熱伝導率は重要である。熱伝導 が低いとフィラーを添加した樹脂組成物と ての熱伝導率の向上がほとんど望めないた 、(B)板状フィラーの熱伝導率としては3W/m・ K以上であり、好ましくは10W/m・K以上である また、その平均粒径も重要であり、小さす ると樹脂が増粘し、著しく流動性が低下す という問題が発生し、逆に大きすぎると流 性は向上するものの、薄肉流動性が低下す という問題が発生する。
そのため、平均粒径は1~300μmであること 必要であり、好ましくは2~100μm、特に好まし くは5~20μmである。
このような条件を満たし、且つ液晶性ポ マーに対し分解等の悪影響を与えず、また 電性を持たないものであれば、如何なる物 も(B)成分の板状フィラーとして使用できる 、窒化ホウ素、タルクの1種以上が好ましく 、より好ましくはタルクである。
また、(B)板状フィラーの添加量であるが 添加量が少なすぎると樹脂組成物内の熱伝 経路が発達しないため、充分な熱伝導率が 揮されず、逆に多すぎるとフィラー同士の み合いが激しくなり、熱伝導率は高くなる のの、成形流動性が著しく低下する問題、 練時に押出機内圧力が上昇し混練性が極め 悪化する問題等が発生する。そのため、(B) 状フィラーの添加量は、(A)液晶性ポリマー1 00重量部に対し10~300重量部であり、好ましく 50~200重量部、更に好ましくは30~150重量部で る。
次に本発明で用いる(C)粉粒状フィラーで るが、粉粒状フィラーとは板状ではない、 状・不定形のフィラーである。(C)粉粒状フ ラーを添加する理由は、(B)板状フィラーだ では二次元平行方向の熱伝導は高くなるも の、直角方向の熱伝導率の向上が少なくな こと、板状フィラーだけではフィラー同士 接触箇所が少なくなることから、板状フィ ーと板状フィラーの間に入りフィラー同士 接触箇所を増やし、且つ板状フィラーと板 フィラーの接触を阻害しない大きさの方向 を持たないフィラーを添加することにより 樹脂組成物として均一な熱伝導性を与える とを可能とするためである。
以上の理由から、(C)粉粒状フィラーの熱 導率も(B)板状フィラー同様重要である。熱 導率が低いと(B)板状フィラーで伝えた熱を えづらくなり、その部分での熱伝達が律速 なってしまう。そのため、(C)粉粒状フィラ の熱伝導率としては3W/m・K以上であり、好 しくは10W/m・K以上である。
また、(C)粉粒状フィラーの粒径は重要で り、大きすぎると(B)板状フィラー同士の接 を阻害してしまい熱伝導率の低下が起きて まう。逆に小さすぎると(B)板状フィラー間 入りやすくなるものの接触しづらくなり、 た、樹脂組成物としての粘度も増大し、成 性を著しく悪化させてしまう。添加量が多 場合は、その傾向が特に顕著である。その め、(C)粉粒状フィラーの平均粒径は(B)板状 ィラーの平均粒径に対し1/10~1/200、好ましく は1/20~1/100であることが必要である。
また、(C)粉粒状フィラーの添加量、(B)、( C)成分の総添加量及び(B)成分と(C)成分の添加 率は重要であり、(B)板状フィラーと同様に (C)粉粒状フィラーの添加量が少なすぎると 脂組成物内の熱伝達経路が発達しないため 充分な熱伝導率が発揮されず、逆に多すぎ とフィラー同士の絡み合いが激しくなり、 形流動性が著しく低下する問題、混練時に 出機内圧力が上昇し混練性が極めて悪化す 問題等が発生する。そのため、(C)粉粒状フ ラーの添加量は(A)液晶性ポリマー100重量部 対し10~300重量部であり、好ましくは20~200重 部、更に好ましくは30~150重量部である。ま 、(B)、(C)成分の総添加量は(A)液晶性ポリマ 100重量部に対し20~500重量部であり、好まし は100~300重量部、更に好ましくは150~250重量 である。
また、(B)板状フィラーとの添加比率は、( C)粉粒状フィラーが多すぎると(B)板状フィラ 間に多く入り、(B)板状フィラー同士の接触 阻害し熱伝導性の低下が起こり、逆に少な ぎてもフィラー同士の接触箇所が増やせず 伝導性の低下が起こる。従って、(C)粉粒状 ィラーの添加効果を考慮すると、(B)成分と( C)成分の添加比率は3:1~1:3であることが必要で あり、好ましくは2:1~1:2、更に好ましくは2:1~1 :1である。
本発明で使用することのできる(C)粉粒状 ィラーは、上記の条件を満たす物質であれ 如何なるものでも使用可能である。具体的 物質としては、酸化チタン、アルミナ、無 炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ベ リア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム等が げられるが、これらの中でもフィラーの毒 、経済性の点から酸化チタン、アルミナよ 選ばれる1種以上が好ましい。
尚、本発明で用いる(B)板状フィラーと(C) 粒状フィラーの平均粒径は、レーザー散乱 により測定した値である。
また、本発明の高熱伝導性樹脂組成物は 本発明の目的範囲内で、機械的強度、耐熱 、寸法安定性(耐変形、そり)、電気的性質 の性能の改良のため、(B) 、(C)成分以外の無 機又は有機充填剤を配合したものでもよく、 これには目的に応じて繊維状、粉粒状、板状 の充填剤が用いられる。
また、一般に熱可塑性樹脂に添加される 知の物質、すなわち難燃剤、染料や顔料等 着色剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安 剤、潤滑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等も 求性能に応じ適宜添加したものも本発明の 成物として使用できる。
このようにして得られた本発明の熱伝導 樹脂組成物は、熱伝導率1.4W/m・K以上とする ことが可能である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物を用い、射 成形や押出成形、ブロー成形等で得られた 形品は、高い耐湿熱性、耐化学薬品性、寸 安定性、難燃性、優れた放熱性を示す。こ 利点を活かして熱交換器、放熱板、光ピッ アップ等といった内部で発生した熱を外部 放熱する部品に好適に用いることができる
また、その他の用途として、例えばLED、セ
サー、コネクター、ソケット、端子台、プ
ント基板、ECUケース等の電気・電子部品、
明部品、テレビ部品、炊飯器部品、電子レ
ジ部品、アイロン部品、複写機関連部品、
リンター関連部品、ファクシミリ関連部品
ヒーター、エアコン用部品等の家庭・事務
気製品部品に用いることができる。
実施例
次に実施例、比較例で本発明を具体的に説
するが、本発明はこれらに限定されるもの
はない。尚、実施例中の物性測定の方法は
下の通りである。
(1)熱伝導率
直径30mm、厚さ2mmの円板状成形品を重ねたサ
ンプルを用い、ホットディスク法にて熱伝導
率を測定した。
(2)射出成形性
シリンダー温度370℃、射出速度15m/minの条件
で、幅5mm、厚さ0.3mmで最大流動距離70mmの棒状
成形品を成形し、流動距離を測定し、射出成
形性とした。
実施例1~10、比較例1~8
液晶性ポリマー、板状フィラー及び粉粒状
ィラーを、表1に示す組成にて、二軸押出機
((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いて混練しペ
ットを形成後、射出成形機にて上述の試験
を成形し、各種評価を行った。結果を表1に
示す。
尚、使用した各成分は以下の通りである。
(A)液晶性ポリマー(LCP)
ポリプラスチックス(株)製ベクトラS950、熱
導率0.45W/m・K
(B)板状フィラー
(B-1) タルク;松村産業(株)製クラウンタルク
PP、板状、平均粒径8μm 、熱伝導率3W/m・K
(B-2) タルク;林化成(株)製圧縮微粉タルクUPN
HS-T、板状、平均粒径2.7μm (一次粒子径)、
伝導率3W/m・K
(B-3) 窒化ホウ素;電気化学工業(株)製デンカ
ボロンナイトライドSGP、板状、平均粒径18μm
、熱伝導率60W/m・K
(C) 粉粒状フィラー
(C-1) 酸化チタン;堺化学工業(株)製TITONE SR-1
、不定形、平均粒径0.25μm 、熱伝導率20W/m・K
(C-2) アルミナ;電気化学工業(株)製デンカア
ルミナASFP-20、球状、平均粒径0.2μm 、熱伝導
率27W/m・K
(C-3) アルミナ;電気化学工業(株)製デンカア
ルミナDAW-03、球状、平均粒径3μm 、熱伝導率
27W/m・K
(C-4) アルミナ;電気化学工業(株)製デンカア
ルミナDAW-10、球状、平均粒径10μm 、熱伝導
27W/m・K
(C-5) アルミナ;電気化学工業(株)製デンカア
ルミナDAW-45、球状、平均粒径45μm 、熱伝導
27W/m・K
平均粒径は、レーザー散乱法による測定値
ある。