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Patent Searching and Data


Title:
HEAT CONDUCTIVE RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136508
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a heat conductive resin composition comprising (a) a matrix component, (b) a large particle-diameter heat conductive inorganic powder, (c) a small particle-diameter heat conductive inorganic powder, and (d) a vulcanizing agent and/or a curing agent. The small particle-diameter heat conductive inorganic powder is selectively surface treated with a silane compound represented by R(CH3)aSi(OR')3-a, wherein R represents an unsubstituted or substituted organic group having 6 to 20 carbon atoms, R' represents an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, and a is 0 or 1, or a partial hydrolyzate thereof in a smaller amount than an amount necessary for covering the whole surface area of the small particle-diameter heat conductive inorganic powder. According to the above constitution, the heat conductive resin composition is advantageous in that, even when a large amount of the heat conductive inorganic powder is filled into the resin component, the heat conductive resin composition can realize low hardness, high thermal conductivity, no significant evolution of outgas derived from the surface treating agent, and good storage stability.

Inventors:
FUNAHASHI HAJIME
Application Number:
PCT/JP2009/050376
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
January 14, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FUJI POLYMER IND (JP)
FUNAHASHI HAJIME
International Classes:
C08L101/00; C08K3/22; C08K9/06; C08L83/05; C08L83/07
Domestic Patent References:
WO2002092693A12002-11-21
Foreign References:
JP2006274154A2006-10-12
JP2006036915A2006-02-09
JPH11209618A1999-08-03
Attorney, Agent or Firm:
IKEUCHI SATO & PARTNER PATENT ATTORNEYS (JP)
Patent business corporation Ikeuchi and Sato and partners (JP)
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Claims:
(a)マトリックス成分と、
(b)比表面積が0.06m 2 /g以上1.0m 2 /g以下の大粒径熱伝導性無機粉体と、
(c)処理前の比表面積が1.0m 2 /gを越え20m 2 /g以下の小粒径熱伝導性無機粉体を含み、
 前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体は、R(CH 3 ) a Si(OR’) 3-a (Rは炭素数6~20の非置換または置換有機基、R’は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるシラン化合物、もしくはその部分加水分解物で処理され、その量が小粒径熱伝導性無機粉体の全表面積を覆うのに必要な量よりも少ない量で表面処理されており、
 前記(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体の表面積の割合は、前記(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体と前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体の合計表面積の10%以下であり、
 熱伝導率が0.8W/m・K以上であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
 前記(a)成分が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びゴムから選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記(a)成分がシリコーンゴムである請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記(b)成分及び前記(c)成分の熱伝導性無機粉体が、アルミナ,酸化亜鉛,酸化マグネシウム及びシリカから選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記(c)成分由来の揮発ガス量が5μg/cm 2 以下である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記(a)成分は熱硬化性樹脂であり、硬化剤を含む請求項2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記(a)成分のシリコーンゴムは、白金触媒により硬化されている請求項3に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記(b)成分及び前記(c)成分の比表面積はBET比表面積であり、測定方法はJIS R1626に従う請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記シラン化合物の量は、下記計算式で計算されるシラン化合物量の0.5倍以上1.0倍未満である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。

シラン化合物量(g)=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉体の比表面積(m 2 /g)/シランの最小被覆面積(m 2 /g)
 前記シランの最小被覆面積(m 2 /g)は[(6.02×10 23 )×(13×10 -20 )/シランの分子量]によって求める請求項9に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記シラン化合物もしくはその部分加水分解物で被覆処理された前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体は、前記(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体とともに(a)マトリックス成分に混合されている請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記シラン化合物もしくはその部分加水分解物は、乾式法又は湿式法により前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体に被覆されている請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記乾式法又は湿式法により前記シラン化合物もしくはその部分加水分解物を前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体に被覆した後、未反応物は除去されている請求項12に記載の熱伝導性樹脂組成物。
 前記アルミナは、純度99.5質量%以上のα-アルミナである請求項4に記載の熱伝導性樹脂組成物。
Description:
熱伝導性樹脂組成物

 本発明は、電子部品等の熱伝導部品等に 用される熱伝導性樹脂組成物に関するもの ある。詳しくは、高い熱伝導性を有するポ マーベースのゴム,ゲル,パテ等の放熱材料 成物を提供し、またそれら放熱材料の製造 有用な組成物に関する。

 コンピュータ(CPU)、トランジスタ、発光 イオード(LED)等の半導体は使用中に発熱し、 その熱のため電子部品の性能が低下すること がある。そのため発熱するような電子部品に は放熱体が取り付けられる。しかし、放熱体 は金属であることが多いため電子部品と放熱 部との密着がよくない。そのためシート状に した熱伝導性組成物を挿入して密着度を高め る方法がとられている。しかしながら近年の 電子部品の性能向上はめざましくそれに伴い 発熱量も膨大である。そのため熱伝導性ポリ マー組成物の高熱伝導率化の研究が盛んであ る。このような熱伝導性ポリマー組成物は、 最終目的である放熱材料の熱伝導率を向上さ せるためには熱伝導性無機粉体を大量に含有 させなければならない。しかし、熱伝導性無 機粉体の配合を単純に増加すると、さまざま な問題が生じることが知られていた。例えば 、エラストマー状の放熱材の場合には硬度が 高くなり過ぎて、電子部品と放熱器の間隔を 規定の薄さにセットできない、更に、電子部 品と放熱器の間隙を期待どおりに埋めること ができない等の問題があった。また、エラス トマーやゲル状放熱材の場合には、圧縮永久 歪みが大きくなって長期信頼性も低下する傾 向があった。さらに硬化前の組成物が高粘度 になり作業性が大きく低下したり、硬化特性 の経時変化が大きくなったり等の問題があっ た。

 これらの問題を解決するために、従来か さまざまな手法が提案されてきた。特定の 度分布や形状をもった熱伝導性無機粉体を 用する方法や、数種類の熱伝導性無機粉体 組み合わせる提案がなされてきた。従来、 伝導無機粉体の粒度分布が広い粉体を使う 案(特許文献1)、10~50μmの球状アルミナと、10 μm未満の非球状アルミナを使用する放熱材料 の提案(特許文献2)、0.1~5μmの無定型アルミナ 5~50μmの球状アルミナを使用する提案(特許 献3)、平均粒径2~10μm、吸油量15ml/g以上のア ミナを使う提案(特許文献4)等がある。さら 、熱伝導性無機粉体の表面処理をおこなう 法も提案され、酸化亜鉛と酸化マグネシウ の組み合わせに表面処理剤をする放熱材料 提案(特許文献5)、炭素数6以上の長鎖脂肪族 ルキルアルコキシシランで処理する提案(特 許文献6)、片末端アルコキシシリル官能性シ キサンで処理する提案(特許文献7)等がある さらに、熱伝導性無機粉体をシランカップ ング剤処理する提案もある(特許文献8)。

 しかし、これらの従来法では、熱伝導性が く放熱性に優れるが、表面処理剤由来のア トガスが多く発生し、ゴム硬度が高く、原 の保存安定性に大きな問題があった。

特開平2-97599号公報

特開昭62-251466号公報

特開平2-41362号公報

特開昭58-219259号公報

特開昭62-184058号公報

特開平11-209618号公報

再表2002-92693号公報

特開2008-106231号公報

 本発明は、樹脂に対して熱伝導性無機粉 を大量に充填しても、従来の前記、熱伝導 樹脂組成物に比べて、表面処理剤由来のア トガスの発生が少なく、硬度が低く、熱伝 率が高く、保存安定性があり、製造コスト 安い熱伝導性樹脂組成物を提供する。

 本発明の熱伝導性樹脂組成物は、
(a)マトリックス成分と、
(b)比表面積が0.06m 2 /g以上1.0m 2 /g以下の大粒径熱伝導性無機粉体と、
(c)処理前の比表面積が1.0m 2 /gを越え20m 2 /g以下の小粒径熱伝導性無機粉体と、
(d)加硫剤及び/又は硬化剤とを含む熱伝導性 脂組成物であって、
 前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体は、R (CH 3 ) a Si(OR’) 3-a (Rは炭素数6~20の非置換または置換有機基、R は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)で されるシラン化合物、もしくはその部分加 分解物で処理され、その量が小粒径熱伝導 無機粉体の全表面積を覆うのに必要な量よ も少ない量で表面処理されており、
 前記(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体の表 積の割合は、前記(b)成分の大粒径熱伝導性 機粉体と前記(c)成分の小粒径熱伝導性無機 体の合計表面積の10%以下であり、
 熱伝導率が0.8W/m・K以上であることを特徴と する。

 本発明は、熱伝導性無機粉体が樹脂に大 に充填されているにもかかわらず、表面処 剤由来のアウトガスが少なく、硬度が低く 熱伝導率が高い熱伝導性樹脂組成物を提供 きる。さらには、原料段階における混合物 保存安定性があり、製造コストも安い熱伝 性樹脂組成物を提供できる。

 本発明の(a)成分は、熱硬化性樹脂、熱可 性樹脂及びゴムから選ばれる少なくとも一 である。熱硬化性樹脂にはエポキシ樹脂,フ ェノール樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,メラ ン樹脂等があるがここに挙げた限りではな 。熱可塑性樹脂にはポリエチレン,ポリプロ ピレン等のポリオレフィン,ポリエステル,ナ ロン,ABS樹脂,メタクリル樹脂,ポリフェニレ スルフィド,弗素樹脂,ポリスルホン,ポリエ テルイミド,ポリエーテルスルホン,ポリエ テルケトン,液晶ポリエステル,ポリイミド等 があるがここに挙げた限りではない。また二 種以上の熱可塑性樹脂の混合物を用いること も可能である。ゴムには、天然ゴム(ASTM略語N R)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR) 1,2-ポリブタジエン(1,2-BR)、スチレンーブタ エン(SBR)、クロロプレンゴム(CR),二トリルゴ (NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンープロピレ ンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化プリエチ レン(CSM)アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロル ドリンゴム(CO,ECO)多硫化ゴム(T)、シリコーン ゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)等 あるがここに挙げた限りではない。

 本発明の(b)成分は、比表面積が0.06m 2 /g以上1.0m 2 /g以下の大粒径熱伝導性無機粉体である。大 径熱伝導性無機粉体はアルミナ,酸化亜鉛, 化マグネシウム及びシリカから選ばれる少 くとも一つであることが好ましい。大粒径 伝導性無機粉体の形状は球状,鱗片状,多面体 状等があるが比表面積は0.06~1.0m 2 /gの範囲であればどのような形状のものでも 用できる。前記比表面積はBET比表面積であ 、測定はJIS R1626にしたがう。

 本発明の(c)成分は比表面積が1m 2 /gを超え20m 2 /g以下の小粒径熱伝導性無機粉体である。小 径熱伝導性無機粉体はアルミナ,酸化亜鉛, 化マグネシウム,及びシリカから選ばれる少 くとも一つであることが好ましい。小粒径 伝導性無機粉体の形状は球状,鱗片状,多面 状等があるが、比表面積は1~20m 2 /gの範囲であればどのような形状のものでも 用できる。前記比表面積はBET比表面積であ 、測定方法はJIS R1626にしたがう。

 小粒径熱伝導性無機粉体はR(CH 3 ) a Si(OR’) 3-a (Rは炭素数6~20の非置換または置換有機基、R は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)の ラン、もしくはその部分加水分解物で表面 理される。R(CH 3 ) a Si(OR’) 3-a (Rは炭素数6~20の非置換または置換有機基、R は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)で されるシラン化合物(以下単に「シラン」と いう。)は、一例としてヘキシルトリメトキ ラン,ヘキシルトリエトキシシラン,オクチル トリメトキシシラン,オクチルトリエトキシ ン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエ トキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン, デシルトリエトキシシラン,ヘキサドデシル トリメトキシシラン,ヘキサドデシルトリエ キシシシラン,オクタデシルトリメトキシシ ン,オクタデシルトリエトキシシシラン等が ある。前記シラン化合物は、一種又は二種以 上混合して使用することができる。

 前記成分の小粒径熱伝導性無機粉体は、R(CH 3 ) a Si(OR’) 3-a (Rは炭素数6~20の非置換または置換有機基、R は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)の ランは一種又は二種以上の混合物で表面処 する。ここでいう表面処理とは共有結合の か吸着なども含む。

 処理方法としては、(1)乾式法、(2)湿式法 (3)インテグラルブレンド法等があるが、イ テグラルブレンド法は揮発成分が多くなる とから好ましくない。

 (1)乾式法
 乾式法は、ヘンシェルミキサー、ナウター キサー、振動ミルのような機械的な撹拌に り熱伝導性無機粉体を撹拌しながら、これ 薬剤を滴下して表面処理をおこなう方法で る。薬剤にはシランをアルコール溶剤で希 した溶液や、シランをアルコール溶剤で希 し、さらに水を添加した溶液や、シランを ルコール溶剤で希釈しさらに水、酸を添加 た溶液等がある。薬剤の調整方法はシラン プリング剤製造会社のカタログ等に記載さ ているが、どの方法を選択するかはシラン 加水分解速度や熱伝導性無機粉体の種類に ってどのような方法で処理するかを決める

 (2)湿式法
 湿式法は、熱伝導性無機粉体を薬剤に直接 漬しておこなう方法である。薬剤はシラン アルコール溶剤で希釈した溶液や、シラン アルコール溶剤で希釈しさらに水を添加し 溶液や、シランをアルコール溶剤で希釈し らに水、酸を添加した溶液等があり、薬剤 調整方法は、どのような方法を選択するか シランの加水分解速度や熱伝導性無機粉体 種類によってどのような方法で処理するか 決める。

 (3)インテグラルブレンド法
 インテグラルブレンド法は、樹脂と熱伝導 無機粉体を混合するときにシランを原液ま はアルコール等で希釈したものを混合機の に直接添加し、撹拌する方法である。薬剤 調整方法は乾式法及び湿式法と同様である 、インテグラルブレンド法でおこなう場合 シラン量は前記、乾式法、湿式法に比べて くすることが一般的である。

 乾式法及び湿式法においては、薬剤の乾 を必要に応じて適宜おこなう。アルコール を使用した薬剤を添加した場合は、アルコ ルを揮発させる必要がある。アルコールが 終的に配合物に残るとポリマー分に悪影響 及ぼし、製品からガスとなって発生するこ になる。乾燥温度は使用した溶剤の沸点以 にすることが好ましい。さらには熱伝導性 機粉体と反応しなかったシランを迅速に除 するために装置を用い、高い温度に加熱す ことが好ましいが、シランの耐熱性も考慮 シランの分解点未満の温度に保つのが好ま い。処理温度は約80~150℃、処理時間は0.5~4 間が好ましい。乾燥温度と時間は処理量に り適宜選択することによって溶剤や未反応 ランも除去することが可能になる。

 熱伝導性無機粉体の表面を処理するのに必 なシラン量は次式で計算することができる

シラン量(g)=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導 性無機粉体の比表面積(m 2 /g)/シランの最小被覆面積(m 2 /g)
「シランの最小被覆面積」は次の計算式で求 める。
シランの最小被覆面積(m 2 /g)=(6.02×10 23 )×(13×10 -20 )/シランの分子量
前記式中、6.02×10 23 :アボガドロ定数
13×10 -20 :1分子のシランが覆う面積(0.13nm 2 )

 必要なシラン量はこの計算式で計算され シラン量の0.5倍以上1.0倍未満であることが ましい。上限が1.0倍未満であるのは未反応 を考慮して実際に熱伝導性無機粉体表面に 在するシラン量を1.0より小さくするためで る。下限値を上記計算式で計算される量と たのは0.5倍量でもゴムへの熱伝導性無機粉 充填性の向上には充分効果のある量である めである。

 同じように大粒径熱伝導性無機粉体も処 することは可能である。しかし、もともと 粒径熱伝導性無機粉体は比表面積が小さい めシランで表面処理しても樹脂に対する充 性が格段によくなるわけでなく、処理費用 コストが高くなることから、処理は不要で る。しかし、コストアップを考慮しても処 が必要ならば大粒径熱伝導性無機粉体も処 したものを使用してもよい。大粒径熱伝導 無機粉体を乾式法で処理するのは、単にシ ンの費用だけではなく、処理コストが高く るという問題がある。モース硬度でいうと ルミナはダイヤモンドに次いで硬い。よっ 装置中で撹拌することでステンレス釜及び 拌羽根が著しく磨耗する。撹拌速度が大き と余計である。そのため処理後の大粒径熱 導性無機粉体は研磨された装置の金属が混 し、黒ずむことが多い。それらの問題と樹 に対する充填性を考えた場合、大粒径熱伝 性無機粉体は処理をしないのが好ましい。 上から本発明は、(c)成分の小粒径熱伝導性 機粉体を選択的にシラン処理するのが好ま い。

 樹脂に添加する熱伝導性無機粉体量は、(b) 分の大粒径熱伝導性無機粉体の表面積の割 が(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体と(c)成 の小粒径熱伝導性無機粉体の合計表面積の1 0%以下である。さらに詳しく述べると以下に る。
(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体の表面積(m 2 )=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉 の比表面積(m 2 /g)・・・I
(c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体の表面積(m 2 )=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉 の比表面積(m 2 /g)・・・II
[I/(I+II)]×100≦10である。

 なお(b)成分の大粒径熱伝導性無機粉体は1種 類のみでなく比表面積が0.06~1.0m 2 /gの範囲にある別の大熱伝導性無機粉体を多 組み合わせてもよい。

 (c)成分の小粒径熱伝導性無機粉体も同様に1 種類のみでなく比表面積が1~20m 2 /gの範囲にある別の小粒径熱伝導性無機粉体 多数組み合わせてもよい。さらに組み合わ る小粒径熱伝導性無機粉体の表面処理はシ ンの種類、処理方法は違っていてよい。

 アルミナにはさまざまな種類がある。結 系でわけるとα、γ、θ-アルミナ等があるが 熱伝導性が高いことからα-アルミナを使うの がとくに好ましい。純度は99.5質量%以上が好 しく、ソーダ分は少ないほうがよい。形状 さまざまであり鱗片状、球状、多面体等が る。市販されているもの一種類又は二種類 上の混合物が好適に用いられる。同じ平均 径で比較すると比表面積は球状品が小さく る。粒度分布がブロードのものであると、 表面積は大きくなる傾向にある。

 酸化亜鉛,酸化マグネシウム,シリカにも形 もさまざまであり無定型,球状等があり市販 れているもの一種類又は二種類以上の混合 が好適に用いられる。酸化亜鉛,酸化マグネ シウム,シリカの純度は高いのが望ましい。

 白金触媒には、塩化白金酸,白金-アルコ ル変性錯体,白金カルボニルビニルメチル錯 ,白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン 体,白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体 等がありここに挙げた限りではない。一種類 又は二種類以上の混合物が好適に用いられる 。添加量は白金原子に換算して1~100ppmの範囲 あることが好ましい。

 白金触媒による硬化する熱伝導性ポリマ 組成物は、硬化前の保存性に優れている必 がある。製造工程上ポリマー成分に熱伝導 無機粉体を配合後、すぐに硬化成形又は加 成形の工程に移るとは限らない。休日にな 場合等がある。その様な場合、ポリマー成 に熱伝導性無機粉体を混練りしすぐ硬化成 又は加硫成形した場合とポリマー成分に熱 導性無機粉体を混練り後、しばらく保管し 硬化成形又は加硫成形した場合とで同じ特 である必要がある。熱伝導性はポリマー成 に対する熱伝導性無機粉体の充填量に依存 るが、硬度,引っ張り強さ,伸び,引き裂き強 ,モジュラスに代表されるゴム物性は硬化, 硫が充分におこなわれないとゴム物性がか りばらつく。それを防ぐには保存中に白金 媒,ポリマー成分の一種である架橋剤が失活 ないようにする必要がある。ポリマー成分 無処理の熱伝導性無機粉体を添加し一定時 放置した後に、硬化させようとしても硬化 なくなる事が多い。原因は熱伝導性無機粉 が白金触媒,ポリマー成分の一種である架橋 剤を吸着していることにある。熱伝導性無機 粉体をミクロ的にみれば熱伝導性無機粉体表 面はかなり凸凹している。そこに白金触媒, リマー成分の一種である架橋剤が吸着され 。そうなるとポリマー成分系内から白金触 ,ポリマー成分の一種である架橋剤濃度が低 するため硬化させようとしても硬化しなく ると考えられる。吸着は熱伝導性無機粉体 比表面積が大きいほど顕著である。よって 粒径熱伝導性無機粉体のみを選択して表面 理することは保存性の観点から効果的であ 。

 同様に大粒径熱伝導性無機粉体も表面処 することによって同じ効果は得られる。大 径熱伝導性無機粉体はもともと比表面積が さいので白金触媒、及び架橋剤を吸着が少 い。とはいえ選択する大粒径熱伝導性無機 体の種類によっては保存中に白金触媒、及 架橋剤が失活する場合もある。これは大粒 熱伝導性無機粉体自体の性質によるところ 大きく、且つ、白金触媒の失活が主原因で る。又、ナトリウム分等が多い場合このよ な傾向になる場合が多い。

 白金触媒により硬化する熱伝導性ポリマ 組成物にポリマー成分の一種である架橋剤 添加する。ポリマー成分に分散可能で架橋 として作用すればどれを用いてもよいが、 チルハイドロジェンシロキサンージメチル ロキサン共重合体又はメチルハイドロジェ シロキサンージメチルシロキサン共重合体 ポリマー成分に相溶しやすいように変性し ものを使用してもよい。

 ポリマー成分で構成された軟化剤はポリ ー成分とする。ナフテン系、パラフィン系 があり、選択するポリマー成分により適宜 択される。

 燐酸エステル等ポリマー成分で構成され いない軟化剤はポリマー成分としない。し し、硬化によりポリマーとなる成分につい はポリマー成分とする。

 熱伝導無機粉体の表面処理としてチタンカ プリング剤,アルミニウムカップリング剤, ルコニウムカップリング剤を使用してもよ 、さらにR(CH 3 ) a Si(OR’) 3-a (Rは炭素数6~20の非置換または置換有機基、R は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)の ランカップリング剤は、一種又は二種以上 混合物で処理した熱伝導無機粉体と同時に いることができる。

 その他の添加剤として、顔料,耐熱剤,難 剤を必要に応じて添加してもよい。顔料と ては無機物と有機物があるが、好ましいの 無機物である。具体例として酸化鉄,酸化コ ルト等があるがここに挙げた限りではない 耐熱剤にも無機物と有機物があり無機物に 酸化セリウム,水酸化セリウム,酸化鉄等が り有機物にはフェノール系酸化防止剤,ホス ァイト系酸化防止剤,チオエーテル系酸化防 止剤等があるがここに挙げた限りではない。 難燃剤も燐系,燐酸系,酸化鉄,カーボン,金属 酸化物等があるがここに挙げた限りではな 。いずれもポリマー成分の硬化,加硫反応を 害しない、さらにポリマー成分の物性に影 のないものを適宜選択する。むろん一種又 二種以上の混合物を添加してもよい。

 本発明は(c)成分由来の揮発ガス量が5μg/cm 2 以下が好ましい。(c)成分由来の揮発ガス量と は表面処理する際に未反応分として残ったシ ランとその分解物である。揮発ガス量の測定 方法はガスクロマトグラフによるのが好まし い。本発明では以下のように測定をしている 。厚さ2mmの樹脂組成物を用意し、それを縦:13 mm、横:30mmの形状にして、更に四等分する。 れを容量22mlのバイアル瓶に詰め100℃で20分 暴露し、そのとき発生するガスをガスクロ トグラフで定量する。なお測定装置は島津 作所製GC-2010を使用し、カラムはDB-5,検出器 FIDである。

 本発明を実施例により詳細に説明するが 本発明は実施例に限定されない。

 (実施例1~9,比較例1~9)
1.材料成分
(1)ポリマー成分
 ポリマー成分としてポリイソブチレンであ EP200A(製品名、カネカ社製)、PAO-5010(製品名 出光興産社製),CR300(製品名、カネカ社製)を 用した。
(2)白金触媒と遅延剤
 白金触媒として、PT-VTSC-3.0IPA(製品名、ユミ アプレシャスメタルズ・ジャパン社製)、遅 延剤としてサーフィノール61(製品名、日信化 学工業製)を使用した。
(3)小粒径熱伝導性無機粉体
 小粒径熱伝導性無機粉体としてAL43L,比表面 3.2m 2 /g(製品名、昭和電工株式会社製)を使用した
(4)大粒径熱伝導性無機粉体
 大粒径熱伝導性無機粉体としてAS10,比表面 0.5m 2 /g(製品名、昭和電工株式会社製)を使用した
(5)シラン
 シランとしてヘキシルトリエトキシシランK BE3063(製品名、信越化学工業株式会社製)を使 した。KBE3063の必要量=熱伝導性無機粉体の (g)×熱伝導性無機粉体の比表面積(m 2 /g)/シランの最小被覆面積(m 2 /g)で算出した。KBE3063の最小被覆面積は315m 2 /gであることから1000g×3.2m 2 /g/315m 2 /g=10.2gとした。
(6)無機粉体のシラン処理1
 小粒径熱伝導性無機粉体は以下の処理をお なった。
(乾式法1)
 ブレンダーにAL43Lを1kg投入し撹拌しながらKB E3063、10.2gを少しずつ添加し15分撹拌し1日放 後、100℃で2時間乾燥した。
(乾式法2)
 ブレンダーにAL43Lを1kg投入し撹拌しながらKB E3063、10.2g、イソプロパノール20g、水1gの割合 で混合した薬剤を少しずつ添加し、15分撹拌 、1日放置後、100℃で2時間乾燥した。
(湿式法)
 ブレンダーにAL43Lを1kg投入し撹拌しながらKB E3063 10.2g、イソプロパノール1000g、水0.5gの割 合で混合した薬剤を少しずつ添加し、30分撹 し、そのまま1日放置後、溶剤分を除いた後 に100℃で2時間乾燥した。
(7)無機粉体のシラン処理2
 大粒径熱伝導性無機粉体は以下の処理をお なった。
(乾式法2)
 AS10の場合:ブレンダーにAS10を1kg投入し撹拌 ながらKBE3063、1.6g、イソプロパノール10g、 0.5gの割合で混合した薬剤を少しずつ添加し 15分撹拌し、1日放置後、100℃で2時間乾燥し た。
 AW50-74の場合:ブレンダーにAS10を1kg投入し撹 しながらKBE3063 0.22g、イソプロパノール5g、 水0.1gの割合で混合した薬剤を少しずつ添加 、15分撹拌し、1日放置後、100℃で2時間乾燥 た。
(インテグラル法)
 コンパウンド作成する時にシランを添加す ことでおこなった。
(8)コンパウンドの作成
 EP200A,PAO-5010及びCR300を各々、所定の質量部 対して無機粉体を所定の質量部、さらに酸 鉄,白金触媒,遅延剤を添加してプラネタリー ミキサーで脱泡しながら10分撹拌してコンパ ンドにした。
インテグラル法で無機粉体の表面処理をおこ なう場合はシランも追加し添加して同様な加 工をおこなった。コンパウンドの配合は表1 実施例と表2の実施例の条件でおこなった。
(9)シート成形
 フッ素離型処理をしたポリエステルフィル に厚さ2mmの金枠を置きコンパウンドを流し みもう一枚のフッ素離型処理をしたポリエ テルフィルムを載せる。これを5MPaの圧力で 120℃、20分間硬化して試験片を成形した。

 以上の実施例1~9の条件と結果を表1に、比 較例1から9の条件と結果を表2にまとめて示す

 表中の添加量は質量部を示す。以下の表 おいても同じ。

 表1及び表2において、比率は下式(A)により 出した(以下同じ)。
大粒径熱伝導性無機粉体の表面積(m 2 )=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉 の比表面積(m 2 /g)・・・I
小粒径熱伝導性無機粉体の表面積(m 2 )=熱伝導性無機粉体の量(g)×熱伝導性無機粉 の比表面積(m 2 /g)・・・II
[I/(I+II)]×100・・・(A)
各物性の測定は以下の方法でおこなった。
(i)熱伝導率:ホットディスク法(京都電子工業 式会社)熱物性測定装置TPA-501(製品名)を使用 して測定した。この装置の説明は同社のホー ムページに掲載されている。
測定試料は以下のように作成した。
各実施例,比較例で記述してあるシート成形 法にて作成した厚み2mmシートを大きさ縦25mm 横25mmにカットしこれを4枚重ね合わせて1つ ブロックとした。これを2個用意した。直径7 mmのセンサ-を、用意したブロックで上下に挟 み、冶具にセットした。冶具を挟むトルクは 30N・cmでおこなった。なお自己粘着性のない ートも重ね合わせて1つのブロックとした。
測定方法は、冶具にセットしたら風があたら ないよう冶具付属の覆いをし、15分間安定化 せた。安定化したら測定を開始し、数字を みとった。別の試料を測定する場合は同じ 業を繰り返す。
(ii)硬度:ASTM D2240 Shore A
(iii)揮発ガス量:ヘッドスペース法によるガス クロマトグラフ
(iv)低分子シロキサン揮発量:ヘッドスペース によるガスクロマトグラフ
(v)粘度は硬化前のコンパウンドの粘度:精密 転粘度計による測定
 表1から、小粒径熱伝導性無機粉体の表面処 理方法の違いによって硬度、熱伝導率の物性 が大きく変わることはないといえる。しかし 、表2から明らかなとおり、揮発ガス量はイ テグラルブレンド法(比較例4~6)でおこなうと 多かった。

 実施例1~9は表面処理をした熱伝導性無機 体を添加しているため硬化前のコンパウン 粘度は比較例1~3よりも低くなった。同様に 度も実施例1~9は比較例1~3よりも低くなった

 (実施例10~12,比較例10~15)
 次に小粒径熱伝導無機粉体を二種以上の混 にして実験した。上記のアルミナに加えてA L160SG-1,比表面積6.6m 2 /g(製品名、昭和電工株式会社製),AW50-74,比表 積0.07m 2 /g(製品名、株式会社マイクロン社製)を使用 た。AL160SG-1粒径熱伝導性無機粉体は以下の 理をおこなった。
(乾式法1)
 ブレンダーにAL160SG-1を1kg投入し、撹拌しな らKBE3063、21.0gを少しずつ添加し15分撹拌し1 放置後、100℃で2時間乾燥した。
(乾式法2)
ブレンダーにAW50-74を1kg投入し、撹拌しなが KBE3063、0.22g、イソプロパノール、5g、水、0.1 gの割合で混合した薬剤を少しずつ添加し、15 分撹拌し、1日放置後、100℃で2時間乾燥した コンパウンド作成方法及びシート成形は表1 の実施例1~9及び表2の比較例1~9と同様である コンパウンド場合の配合は表3の条件でおこ った。

 表3に実施例10~12及び比較例10~15の条件と 果をまとめて示す。

 比率及び各物性は表1~表2の下の説明と同じ ある。
表3から、比表面積の大きい小粒径熱伝導性 機粉体をシランで処理することによってポ マー成分への充填性はよくなり、ゴム硬度 低くなることがわかる。また、大粒径熱伝 性無機粉体は表面処理をしなくても比表面 の大きい小粒径熱伝導性無機粉体を表面処 するのみで、熱伝導性無機粉体がポリマー 分に大量に充填されているにもかかわらず 硬度が低く、かつ熱伝導率が高く、表面処 剤由来のアウトガスが少なくなった。

 表3の実施例10~12は表面処理をした熱伝導 無機粉体を添加しているため硬化前のコン ウンド粘度は表3の比較例10~12よりも低くな た。同様に硬度も実施例10~12は比較例10~12よ りも低くなった。比表面積の大きな小粒径熱 伝導性無機粉体をシランで処理するとコンパ ウンドの低粘度化,ゴム硬度の低硬度化に顕 な効果が確認できる。

 大粒径熱伝導無機粉体をシランで処理し 粉体を検討したのが表3の比較例13~15である 表3の実施例10~12と諸物性を比較するとコン ウンド粘度は実施例10~12より低いが硬度,揮 ガス量は同じような値になっている。ただ 、表3の比較例15はシランで処理した大粒径 伝導無機粉体の充填量が多いためコンパウ ドの低粘度化,ゴム硬度の低硬度化している 。

 (実施例13~21,比較例16~24)
 下記の実施例及び比較例では、同様な実験 別のポリマー成分でおこなった。
(1)ポリマー成分としてエチレン-プロピレン 重合体X-4010(製品名、三井化学社製)、ダイア ナプロセスオイルPW-90(製品名、出光興産社製 ),CR300(製品名、カネカ社製)を使用した。
(2)白金触媒は、PT-VTSC-3.0IPA(製品名、ユミコア プレシャスメタルズ・ジャパン社製)を使用 た。
(3)遅延剤は、サーフィノール61(製品名、日信 化学工業社製)を使用した。
(4)コンパウンドの作成
X-4010,ダイアナプロセスオイルPW-90及びCR300各 を所定の質量部に対して無機粉体を所定の 量部さらに酸化鉄,白金触媒,遅延剤を添加 てプラネタリーミキサーで脱泡しながら10分 撹拌してコンパウンドにした。
インテグラル法にて無機粉体の表面処理をお こなう場合はシランも追加し添加して同様な 加工をおこなった。コンパウンドの配合は表 4の実施例,表5の実施例とおりおこなった。
(5)シート成形方法
 フッ素離型処理をしたポリエステルフィル に厚さ2mmの金枠を置きコンパウンドを塊で きもう一枚のフッ素離型処理をしたポリエ テルフィルムを載せる。これを5MPaの圧力で 120℃、20分間硬化した。

 実施例13~21の条件と結果を表4に示し、比 例16~24の条件と結果を表5に示す。なお揮発 ス量はシートに残存するKBE3063の量とした。

 比率及び各物性は表1及び表2の下の説明 同じである。可塑度は、ウォ-レス可塑計を 用して測定した。

 表4の実施例13~15と実施例16~18と実施例19~21 は小粒径熱伝導無機粉体の表面処理の違いに よる検討である。コンパウンドの粘度,ゴム 度,熱伝導率のゴム物性はほぼ同等である。 発ガス量は表面処理方法により違いはある

 実施例13~18と比較例16~18を比較すると小粒 径熱伝導無機粉体の表面をシランで処理する とコンパウンドの低粘度化,ゴム硬度の低硬 化の効果が確認できる。

 実施例13~18と比較例19~21と比較すると揮発 ガス量の違いが顕著である。比較例19~21はイ テグラル法による処理方法のため揮発ガス がかなり多い。

 表5の比較例22~24は大粒径熱伝導無機粉体 も表面処理する検討である。表4の実施例13~ 18は小粒径熱伝導無機粉体のみ処理をしてい 検討であるが、比較するとコンパウンドの 度,ゴム硬度,熱伝導率のゴム物性はほぼ同 である。

 (実施例22~24,比較例25~30)
 以下の表6の実施例22~24及び比較例25~30は、 粒径熱伝導性無機粉体を二種以上の混合に て表6のように実験をした。小粒径熱伝導性 機粉体はAL160SG-1(製品名、昭和電工株式会社 製。比表面積6.6m 2 /g),AW50-74(製品名、株式会社マイクロン社製。 比表面積0.07m 2 /g)を使用し処理方法は、表3の実施例10~12及び 比較例10~15で使用した熱伝導性無機粉体と同 の処理をおこなった。

 以上の実施例22~24及び比較例25~30の条件と 結果をまとめて表6に示す。

 表6の実施例22~24と比較例28~30の比較から る通り、大粒径熱伝導性無機粉体は表面処 をしなくても比表面積の大きい小粒径熱伝 性無機粉体を表面処理するのみで、小粒径 伝導性無機粉体を表面処理したものとほぼ 等の物性を示している事がわかる。

 これに対して、実施例22と比較例25、実施 例23と比較例26、実施例24と比較例27の比較か 、小粒径熱伝導性無機粉体を表面処理しな と硬度が高くなる傾向にあることがわかる

 以上のとおり、実施例1~24,比較例1~30から 比表面積の大きい小粒径熱伝導性無機粉体 選択的にシランで処理することによって、 リマー成分への充填性は充分よくなること 確認できた。これは、粘度又は可塑度の値 小さくなることからも明らかである。加え 、小粒径熱伝導性無機粉体のみに選択的に ランで処理することによって、表面処理剤 来の揮発ガス量も抑えることができる。す わち、大粒径熱伝導性無機粉体は表面処理 しなくても、比表面積の大きい小粒径熱伝 性無機粉体を表面処理するのみで、熱伝導 無機粉体がポリマー成分に大量に充填され いるにもかかわらず、硬度が低く、かつ熱 導率が高く、表面処理剤由来の揮発ガスが ないポリマー組成物でありかつ製造管理が 易である熱伝導性ポリマー組成物をつくる とができた。

 (比較例31~34)
 次に小粒径無機粉体(AL43L,AL160SG-1)の全表面 を覆う計算値の2倍量のシランで表面処理し 場合の検討をした。また、前記式(A)におい 、10を越えた場合も併せて検討した。
(乾式法3)
(1)AL43Lの処理の場合
 ブレンダーにAL43Lを1kg投入し撹拌しながらKB M3063を20.2g少しずつ添加し、15分間撹拌し、1 放置後、100℃で2時間乾燥した。
(2)AL160SG-1の処理の場合
 ブレンダーにAL160SG-1を1kg投入し撹拌しなが KBM3063を42.0g少しずつ添加し、15分間撹拌し 1日放置後、100℃で2時間乾燥した。
コンパウンド作成方法,作成方法は表3の実施 10~12及び比較例10~15と同様におこなった。

 表7に比較例31~34の条件と結果を実施例10~1 2と対比して示す。

 表7の比較例31は比率が10を超えたときの 討である。比較例31を実施例11~12と比較する 、ポリマー分100質量部に対して、熱伝導性 機粉体は800質量部添加している。これらの 較から、大粒径熱伝導性無機粉体を単に増 すだけでは、熱伝導率が低下することがわ る。

 さらに、実施例10~12に対して比較例32~34は 、小粒径熱伝導性無機粉体の全表面積を覆う ことができる2倍のシラン量で表面処理した 粒径熱伝導性無機粉体を使用した例である 小粒径熱伝導性無機粉体の全部表面積を覆 以上のシランが存在するため、余分なシラ が揮発ガス量となり、好ましくなかった。

 (実施例25~33,比較例35~40)
 以下、二液室温硬化シリコーンゴムの実施 で説明する。
1.材料成分
(1)シリコーン成分
 シリコーン成分として二液室温硬化シリコ ンゴム(二液RTV)はSE1885(商品名、東レ・ダウ ーニング株式会社製)を使用した。なお、SE1 885には白金触媒と硬化剤が予め添加されてい る。
(2)小粒径熱伝導性無機粉体
 実施例冒頭部の「材料成分」の(3)と同じも を使用した。
(3)大粒径熱伝導性無機粉体
 実施例冒頭部の「材料成分」の(4)と同じも を使用した。
(4)シラン
 実施例冒頭部の「材料成分」の(5)同じのも を使用した。
(5)小粒径熱伝導性無機粉体のシラン処理
 実施例冒頭部の「材料成分」の(6)と同じ様 処理をおこなった。
(6)シート成形加工方法
 フッ素離型処理をしたポリエステルフィル に厚さ2mmの金枠を置きコンパウンドを流し み、もう一枚のフッ素離型処理をしたポリ ステルフィルムを載せた。これを5MPaの圧力 で、120℃、10分硬化した。

 上記実施例及び比較例の熱伝導率、硬度、 発ガス量を表8及び表9に示す。表8及び表9に おいて、比率は前記式(A)により算出した。
各物性の測定方法は以下の通りとした。
熱伝導率:ホットディスク法(京都電子工業株 会社)
硬度:ASTM D2240 Shore00
揮発ガス量:ヘッドスペース法によるガスク マトグラフ
なお排ガス量はシートに残存するKBE3063の量 した。

 配合は表8の実施例25~33及び表9の比較例35~ 40でおこない、結果をまとめて表8及び表9に す。

 表8は小粒径熱伝導性無機粉体の表面処理 方法の違いと、シリコーン成分に添加する熱 伝導性無機粉体を変えて検討した結果をまと めた。表8から、小粒径熱伝導性無機粉体の 面処理方法の違いによって硬度、熱伝導率 物性が大きく変わらないといえる。しかし 表9から明らかなとおり、揮発ガス量はイン グラルブレンド法(比較例38~40)でおこなうと 多かった。

 (実施例34~36,比較例41~43)
 次に、実施例34~36で小粒径熱伝導性無機粉 を二種以上混合し実験をした。前記、実施 25~33で使用した、AL43L(商品名、昭和電工株式 会社製、比表面積3.2m 2 /g)、AS-10(商品名、昭和電工株式会社製、比表 面積0.5m 2 /g)に加えてAL160SG-1(製品名、昭和電工株式会 製、比表面積6.6m 2 /g)、AW50-74(製品名、株式会社マイクロン社製 比表面積0.07m 2 /g)を使用した。AL160SG-1熱伝導性無機粉は前記 表6と7の間に記載されている乾式法(3)と同様 処理をおこなった。シート成形は前記(6)シ ト成形加工方法と同様におこなった。

 表10に実施例34~36及び比較例41~43のサンプ 作成の条件と結果を示す。

 表10から明らかなとおり、実施例34~36は、 確実にゴムが硬化した。これは、小粒径熱伝 導性無機粉体表面がシラン化合物でコーティ ングされるため、白金触媒及び架橋剤が吸着 されることを防ぐためと推定される。また、 小粒径熱伝導性無機粉体の充填比率が多いほ ど揮発ガス量も多くなる。

 これに対して、比較例41~43は小粒径熱伝 性無機粉体の比表面積が大きくなるとゴム 硬化しにくくなることを示しており、とく 比較42、43は硬化しなくなった。これは、小 径熱伝導性無機粉体表面が、白金触媒及び 橋剤を吸着してしまうことによる。

 次に、小粒径熱伝導性無機粉体に処理する ランを代えて検討した。使用する小粒径熱 導性無機粉体はアルミナAL43L(製品名、昭和 工株式会社製、比表面積3.2m 2 /g)を使用した。

 シランは以下を使用した。すべて製造メー ーはすべて東レ・ダウコーニング株式会社 である。
(1)オクチルトリエトキシラン Z6341(最小被覆 積:283m 2 /g)
(2)デシルトリメトキシシラン AY43-210MC(最小 覆面積:298m 2 /g)
(3)オクタデシルトリメトキシシラン AY43-218MC (最小被覆面積:205m 2 /g)
(4)メチルトリエトキシシラン SZ6072(最小被覆 面積:439m 2 /g)
 処理方法は前記実施例同様に(乾式法1)で以 の処方でおこなった。ブレンダーにAL43Lを1k g投入し撹拌しながら下記の添加量にて薬剤 作成し、その薬剤を少しずつ添加し15分撹拌 し、1日放置後、100℃で2時間乾燥した。

 以上のシランの処理内容をまとめて表11 示す。

 (実施例37)
 SE1885を100質量部に乾式法1によりオクチルト リエトキシランで処理したAL43Lを300質量部、A S10を200質量部、酸化鉄を5質量部添加してプ ネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹拌し てコンパウンドを得た。これをシート成形加 工した。

 (実施例38)
 SE1885を100質量部に乾式法1によりオクチルト リエトキシランで処理したAL43Lを400質量部、A S10を100質量部、酸化鉄を5質量部添加してプ ネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹拌し てコンパウンドを得た。これをシート成形加 工した。

 (実施例39)
SE1885を100質量部に乾式法1によりデシルトリ トキシシランで処理したAL43Lを300質量部、AS1 0を200質量部、酸化鉄を5質量部添加してプラ タリーミキサーで脱泡しながら10分撹拌し コンパウンドを得た。これをシート成形加 した。

 (実施例40)
 SE1885を100質量部に乾式法1によりデシルトリ メトキシシランで処理したAL43Lを400質量部、A S10を100質量部、酸化鉄を5質量部添加してプ ネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹拌し てコンパウンドを得た。これをシート成形加 工した。

 (実施例41)
 SE1885を100質量部に乾式法1によりオクタデシ ルトリメトキシシランで処理したAL43Lを300質 部、AS10を200質量部、酸化鉄を5質量部添加 てプラネタリーミキサーで脱泡しながら10分 撹拌してコンパウンドを得た。これをシート 成形加工した。

 (実施例42)
 SE1885を100質量部に乾式法1によりオクタデシ ルトリメトキシシランで処理したAL43Lを400質 部、AS10を100質量部、酸化鉄を5質量部を添 してプラネタリーミキサーで脱泡しながら10 分撹拌してコンパウンドを得た。これをシー ト成形加工した。

 (比較例43)
 SE1885を100質量部に乾式法1によりメチルトリ メトキシシランで処理したAL43Lを300質量部、A S10を200質量部、酸化鉄を5質量部を添加して ラネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹拌 してコンパウンドを得た。これをシート成形 加工した。

 (比較例44)
 SE1885を100質量部に乾式法1により、メチルト リメトキシシランで処理したAL43Lを400質量部 AS10を100質量部、酸化鉄を5質量部を添加し プラネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹 拌してコンパウンドを得た。これをシート成 形加工した。

 (比較例45)
 SE1885を100質量部に無処理のAL43Lを300質量部 AS10を200質量部、酸化鉄を5質量部を添加して プラネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹 してコンパウンドを得た。これをシート成 加工した。

 (比較例46)
 SE1885を100質量部に無処理のAL43Lを400質量部 AS10を100質量部、酸化鉄を5質量部を添加して プラネタリーミキサーで脱泡しながら10分撹 してコンパウンドを得た。これをシート成 加工した。

 表12において、硬化性の試験は以下のよ におこなった。実施例37を例に挙げると以下 のようにおこなった。実施例38~42、比較例44~4 7も同様におこなった。

 SE1885のA液100質量部に、乾式法1にてオク ルトリエトキシランで処理したAL43L、300質量 部、無処理のAS10、200質量部、酸化鉄、5質量 を添加してプラネタリーミキサーで脱泡し がら5分撹拌してA液コンパウンドとした。 様にシリコーン成分SE1885のB液100質量部に、 式法1にてオクチルトリエトキシランで処理 したAL43L、300質量部、無処理のAS10、200質量部 、酸化鉄、5質量部を添加してプラネタリー キサーで脱泡しながら10分撹拌してB液コン ウンドとした。直後にA液コンパウンドとB液 コンパウンドを1:1でプラネタリーミキサーに て脱泡しながら5分撹拌してコンパウンドを て、それをシート成形した。このゴムシー の硬度を測定した。これを初期の硬度とし 。

 A液コンパウンドとB液コンパウンドを別 に1週間室温で保管したのちA液コンパウンド とB液コンパウンドを1:1でプラネタリーミキ ーにて脱泡しながら10分撹拌してコンパウン ドを得て、それをシート成形した。このゴム シートの硬度を測定した。これを一週間後の 硬度とした。

 表12に実施例37~42及び比較例44~47の条件と 果をまとめて示す。

 表12から明らかなとおり、熱伝導性無機 体のシラン処理剤の炭素数が多くなるにつ て硬度は下がる傾向にある。これは、シリ ーン成分との相溶性が向上するからと推定 れる。また、炭素数の多いシランで処理す ことによって保存性が向上する。実施例37~42 は初期硬度と1週間後の硬度の差が0~1である に対して、比較例44~47は初期硬度と1週間後 硬度差は5~13であり、炭素数の多いシランで 理する事で保存性が改善される。

 (比較例48~49)
 比較例として大粒径無機粉体にも表面処理 たものを使用することも実験した。使用す 大粒径熱伝導性無機粉体はAS10(商品名、昭 電工株式会社製、比表面積0.5m 2 /g),AW50-74(商品名、株式会社マイクロン社製、 比表面積0.07m 2 /g)シランとしてヘキシルトリエトキシシラン KEB3063(製品名、信越化学工業株式会社製)を使 用した。各大粒径無機粉体に対するKBM3063の 要量は、実施例の冒頭部分の実施例の冒頭 分の材料成分(5)と同様とした。

 各大粒径熱伝導性無機粉は、実施例の冒 部分の材料成分(5)と同様に処理をおこなっ 。

 表13に比較例48、49の条件及び結果と、実 例27、35、を併せて示す。

 表13において、硬化性の試験は以下のよ におこなった。実施例27を例に挙げると以下 のようにおこなった。実施例35、比較例37,48 49も同様におこなった。

 SE1885のA液100質量部に、乾式法1で処理を たAL43Lを300質量部、無処理のAS10を200質量部 酸化鉄を5質量部を添加してプラネタリーミ サーで脱泡しながら5分撹拌してA液コンパ ンドとした。同様にシリコーン成分SE1885のB 100質量部に、乾式法1により処理をしたAL43L 300質量部、無処理のAS10を200質量部、酸化鉄 を5質量部を添加してプラネタリーミキサー 脱泡しながら10分撹拌してB液コンパウンド した。直後にA液コンパウンドとB液コンパウ ンドを1:1でプラネタリーミキサーにて脱泡し ながら5分撹拌してコンパウンドを得て、そ をシート成形した。このゴムシートの硬度 測定した。これを初期の硬度とした。

 A液コンパウンドとB液コンパウンドを別 に1週間室温で保管したのちA液コンパウンド とB液コンパウンドを1:1でプラネタリーミキ ーにて脱泡しながら10分撹拌してコンパウン ドを得て、それをシート成形した。このゴム シートの硬度を測定した。これを一週間後の 硬度とした。

 表面処理した小粒径熱伝導性無機粉体を 加したコンパウンドは保存性がよい。初期 度と一週間後の硬度の差が小さい。実施例2 7と比較例37を比較すると、実施例27の初期硬 と一週間後の硬度の差が1であるのに対して 比較例37は初期硬度と1週間後の硬度の差が10 あり、比表面積の大きな小粒径熱伝導無機 体を使うと初期硬度と1週間後の硬度の差が 大きくなる。表面処理をした小粒径熱伝導無 機粉体を使用すると初期硬度と1週間後の硬 の差が小さくなる。すなわち保存性がよく る。

 また、比表面積の大きい小粒径熱伝導性 機粉体を使う系ほど硬度の差が顕著である 比較例39にあるように無処理の小粒径熱伝 性無機粉体を使用すると硬化しない場合も る。実施例27と比較例37を比較し、実施例35 比較例39を比較する。実施例35,比較例39は、 施例27,比較例37よりも比表面積の大きな小 径熱伝導無機粉体を使用している。そのた 比較例39は初期で硬化すらしない。保存性が 全くないことを意味する。

 一方、小粒径熱伝導性無機粉体にはもち ん、大粒径熱伝導性無機粉体にも処理をし も保存性はよい。しかし、大粒径熱伝導性 機粉体は処理をしなくとも著しく一週間後 硬度が初期硬度比べて低下するわけではな 。実施例27と比較例48又は実施例35比較例49 比較する。比較例48と比較例49は大粒径熱伝 無機粉体にも表面処理をしている。それに して実施例27と実施例35は大粒径熱伝導無機 粉体には表面処理していないが硬度も同じ値 でありかつ、保存性も同じ程度である。

 (実施例43~44、比較例50~52)
 次にシリコーン成分としてミラブル型シリ ーンゴムを用いて検討した。

 ミラブル型シリコーンゴムとしてはTSE201( 製品名、モメンティブ・パフォーマンス・マ テリアルズ社製)及びSH8311CVU(製品名、東レ・ ウコーニング社製)を使用した。

 小粒径熱伝導性無機粉体としてアルミナA050 2(製品名、株式会社アドマファイン社製、比 面積7.5m 2 /g)、大粒径熱伝導性無機粉体としてアルミナ AS20(製品名、昭和電工株式会社製、比表面積0 .8m 2 /g)、シランとしてヘキシルトリメトキシシラ ン、KBE3063(製品名、信越化学工業株式会社製) をおのおのの処理に使用した。

 小粒径熱伝導性無機粉体を処理するのに必 な量は、「“KBE3063”の必要量=熱伝導性無 粉体の量(g)×熱伝導性無機粉体の比表面積(m 2 /g)/シランの最小被覆面積(m 2 /g)」で算出した。“KBE3063”の最小被覆面積 315m 2 /gであることから、1000g×7.5m 2 /g/315m 2 /g=23.8gとした。

 小粒径熱伝導性無機粉体AL43Lは、実施例 冒頭部分の材料成分(6)の処理をおこなった

 大粒径熱伝導性無機粉体AS20(比表面積:0.8m 2 /g)も用意した。この場合KBE3063の必要量は2.5g ある。大粒径熱伝導性無機粉体は以下の処 をおこなった。
白金触媒はTC-25A(製品名、モメンティブ・パ ォーマンス・マテリアルズ社製)を使用した
架橋剤はTC-25B(製品名、モメンティブ・パフ ーマンス・マテリアルズ社製)を使用した。

 AS20の場合:ブレンダーにAS20を1kg投入し撹拌 ながら、KBE3063、2.5g、イソプロパノール10g 水0.5gの割合で混合し薬剤を少しずつ添加し1 5分撹拌し1日放置後、100℃で2時間乾燥した。
(シート成形方法)
 フッ素離型処理をしたポリエステルフィル に厚さ2mmの金枠を置きコンパウンドを流し みもう一枚のフッ素離型処理をしたポリエ テルフィルムを載せた。これを5MPaの圧力で 170℃、10分硬化した。さらに200℃、4時間オー ブンで熱処理をした。

 表14に実施例43~44、比較例50~52の条件と結 を示す。

 表14の物性測定方法は次のとおりである。
(1)熱伝導率:ホットディスク法(京都電子工業 式会社)
(2)硬度:ASTM D2240 Shore A
(3)揮発ガス量:ヘッドスペース法によるガス ロマトグラフ
 表14から明らかなとおり、シリコーン成分 してミラブル型シリコーンゴムを使用した では、小粒径熱伝導性無機粉に表面処理を ないと充填もできなかった。比較例52は、比 率が10を越えている。10を越えるということ 大粒径無機粉体のシリコーンへの充填量は えることになる。熱伝導性の向上のために 大粒径無機粉体の間隙に小粒径無機粉体が るようにするのがよいが比較例52は実施例43 同じシリコーンへの充填量にかかわらず熱 導率が0.7W/m・Kと低下した。
(比較例53)
 TSE201、50質量部、とSH8311CVU、45質量部を二本 ロールで素練りし、さらに乾式法2で処理し AO502、200質量部、乾式法2で処理したAS20、100 量部添加し、混練りした。さらにTC-25B、5質 量部を加え、混練りし、最後にTC-25A、1質量 添加し、混練りしてコンパウンドを作成し 。

 (比較例54)
 TSE201、50質量部、SH8311CVU、45質量部を二本ロ ールで素練りし、さらに乾式法2で処理したAO 502、200質量部、乾式法2で処理したAS20、200質 部を添加し、混練りした。さらにTC-25B、5質 量部を加え、混練りし、最後にTC-25A、1質量 を添加し、混練りしてコンパウンドを作成 た。

 表15に比較例53~54の条件と結果を示す。

 表14及び表15から、大粒径熱伝導性無機粉 体に表面処理しても(比較例53~54)、しない場 (実施例43~44)と比較して、硬度の差は小さく ぼ同じ硬度になった。揮発ガス量は、200℃ 4時間の二次加硫をしているので、すべてゼ ロであった。

 実施例25~44、比較例35~54から、比表面積の 大きい小粒径熱伝導性無機粉体にシランで処 理することによってシリコーン成分への充填 性はよくなり、コンパウンドの保存性もよく なり、揮発ガス量も少なくなることが確認で きた。

 大粒径熱伝導性無機粉体は、表面処理を なくても比表面積の大きい小粒径熱伝導性 機粉体を表面処理するのみで、熱伝導性無 粉体がシリコーン成分に大量に充填されて るにもかかわらず、硬度が低く、かつ熱伝 率が高く、表面処理剤由来のアウトガスが ないシリコーン組成物でありかつ保存安定 のある熱伝導性シリコーン組成物をつくる とができた。

 (比較例55~58)
 次に小粒径無機粉体(AL43L,AL160SG-1)の全表面 を覆う2倍量のシランで表面処理した場合の 討をした。また、前記式(A)において10を越 た場合も併せて検討した。

 (乾式法3)
(1)AL43Lの場合
 ブレンダーにAL43Lを1kg投入し撹拌しながらKB M3063、20.2g少しずつ添加し、15分間撹拌し、1 放置後、100℃で2時間乾燥した。
(2)AL160SG-1の場合
 ブレンダーにAL160SG-1を1kg投入し撹拌しなが KBM3063、42.0g少しずつ添加し、15分間撹拌し 1日放置後、100℃で2時間乾燥した。

 表16の実施例35,36は前記と同じである。

 表16に比較例55~58の条件と結果、及び実施 例35,36と対比して示す。

 表16の比較例55は比率が10を越える検討で る。実施例35,36と比較例55,比較例58を比較す ると、シリコーン100質量部に対して熱伝導無 機粉体は800質量部添加している。大粒径熱伝 導無機粉体を単に増やすだけでは熱伝導率が 低下することがわかる。比較例56,比較例57は 粒径熱伝導無機粉体の全表面積を覆うこと できる2倍のシラン量で表面処理した小粒径 熱伝導無機粉体を使用した例である。小粒径 熱伝導無機粉体の全表面積を覆う以上のシラ ンが存在するため余分なシランが揮発ガス量 となった。

 (実施例45~53,比較例59~67)
 下記の実施例では、樹脂成分としてポリエ レン ノバテックUJ480(製品名、日本ポリエ レン社製)を使用し、小粒径熱伝導性無機粉 してAL43L,比表面積3.2m 2 /g(製品名、昭和電工株式会社製)大粒径熱伝 性無機粉としてAS10,比表面積0.5m 2 /g(製品名、昭和電工株式会社製)、シランと てヘキシルトリエトキシシランKBE3063(製品名 、信越化学工業株式会社製)を使用した。KBE30 63の量は実施例の冒頭部分の材料成分(5)と同 とした。小粒径熱伝導性無機粉は、同材料 分(6)と同様に処理をおこなった。
大粒径熱伝導性無機粉は、同材料成分(7)と同 様に処理をおこなった。
インテグラル法の場合は表18の比較例62~64に すとおりとし、コンパウンド作成の際にKBE30 63を必要量添加した。
(コンパウンド作成方法)
 二軸ロールにて90℃で加温しながらポリエ レンを1分間素練し、熱伝導無機粉体を投入 二軸ロールで5分混練りしてコンパウンドを 作成した。
(シート成型方法)
 フッ素理系処理をしたポリエステルフィル に厚さ2mmの金枠を置きコンパウンドを仕込 、もう一枚のフッ素理系処理をしたポリエ テルフィルムを載せる。これを5MPaの圧力で 120℃で10分加熱し、その後冷却し熱伝導性樹 組成物を得た。

 比率は前記式(A)とした。
各物性の測定方法は以下の通り。
熱伝導率:ホットディスク法(京都電子工業株 会社)
硬度:ASTM D2240 Shore D
揮発ガス量:ヘッドスペース法によるガスク マトグラフ
流動性:厚み2.0mm、直径13mmのサンプルを作成 、150℃を保持したヒータ上にサンプルをお 、150℃に保温した500gの重りを載せ10分後の みを測定した。厚みが薄いほど流動性がよ ことを示す。

 まず、熱伝導無機粉体の表面処理方法の いよる検討、小粒径熱伝導無機粉体の処理 有無,処理した大粒径熱伝導無機粉体を使用 した場合の検討をした。表17及び表18の配合 コンパウンド作成,シート化し各物性を測定 た。

 表17の実施例45~53と表18の比較例59~61を比 すると、小粒径熱伝導性無機粉の処理方法 変えてかつ小径熱伝導性無機粉と大粒径熱 導性無機粉の比率を変えた結果、小粒径熱 導性無機粉の処理方法によって硬度,熱伝導 の違いはほとんどない。それに対して小粒 熱伝導性無機粉を処理しないと硬度は大き なる。流動性については小粒径熱伝導性無 粉に処理をすることによって顕著な効果が 認できる。実施例45~53と比較例62~64を比較す るとインテグラルブレンド法で小粒径熱伝導 性無機粉を処理したものは揮発ガス量が多い ことがわかる。実施例45~53と比較例65~67を比 すると大粒径熱伝導性無機粉を表面処理し ものをポリマー分に添加しても小粒径熱伝 性無機粉のみを処理したものを使えば硬度, 伝導率,揮発ガス量もほぼ同等になることが わかる。

 大粒径熱伝導性無機粉に表面処理を処理 なくとも小粒径熱伝導性無機粉体のみを表 処理することで硬度は低く,流動性はよく( 工しやすい)、揮発ガス量の少ない熱伝導性 リマー組成物となった。

 (実施例54~56,比較例68~73)
 表17及び表18と同様に小粒径熱伝導無機粉体 の処理の有無,処理した大粒径熱伝導無機粉 を使用した場合の検討をした。しかし、小 径熱伝導無機粉体を二種以上の混合にして 験した。

 前記のアルミナに加えてAL160SG-1,比表面積6.6 m 2 /g(昭和電工株式会社製),AW50-74,比表面積0.07m 2 /g(株式会社マイクロン社製)を使用した。熱 導性無機粉体はAL160SG-1は、前記表3の下に記 した乾式法1,AW50-74は、実施例の冒頭部分の 料成分(7)と同様に処理をおこなった。
以上の条件と結果を表19に示す。なお比率お び各物性は前記と同様である。

 表19から比表面積の大きい小粒径熱伝導 無機粉体にシランで処理することによって 度が低くなる。これは小粒径熱伝導性無機 体にシランで処理することによって樹脂に 伝導性無機粉体が充填しやすいことを示し いる。また、大粒径熱伝導性無機粉体は表 処理をしなくても比表面積の大きい小粒径 伝導性無機粉体を表面処理するのみで、硬 は低くなることがわかる。流動性はついて 小粒径熱伝導性無機粉に処理をすることに って顕著な効果が確認できる。揮発ガス量 大粒径熱伝導性無機粉体に表面処理しても なくとも似たような揮発ガス量となった。

 (実施例57~65,比較例74~82)
 同様な実験を別の樹脂成分でおこなった。 脂成分:エポキシ樹脂 エビコート825(製品名 、ジャパンエポキシレジン株式会社製)、硬 剤:アミキュアMY-H(製品名、味の素ファイン クノ株式会社製)小粒径熱伝導性無機粉は以 の処理をおこなった。これら処理は表17の 施例45~表19の56,比較例59~73で使用した熱伝導 無機粉と同様である。
(コンパウンド作成方法)
 プラネタリーミキサーにてエポキシ樹脂に 伝導無機粉体を投入し10分間室温にて混練 し、硬化剤を投入してさらに5分混練りして ンパウンドを作成した。
(シート成型方法)
 フッ素理系処理をしたポリエステルフィル に厚さ2mmtの金型を置きコンパウンドを仕込 みもう一枚のフッ素理系処理をしたポリエス テルフィルムを載せる。これを5MPaの圧力で12 0℃で45分加熱し、その後冷却し熱伝導性樹脂 組成物を得た。
各物性の測定方法は以下の通り。
熱伝導率:ホットディスク法(京都電子工業株 会社)
硬度:ASTM D2240 Shore D
揮発ガス量:ヘッドスペース法によるガスク マトグラフ
粘度は硬化前のコンポウンドの粘度:精密回 粘度計による測定。

 まず、熱伝導無機粉体の表面処理方法の いよる検討、小粒径熱伝導無機粉体の処理 有無,処理した大粒径熱伝導無機粉体を使用 した場合の検討をした。表20~21の配合でコン ウンド作成,シート化し各物性を測定した。 比率は前記式(A)とした。

 表20及び表21は小粒径熱伝導性無機粉体の 表面処理方法の違い,大粒径熱伝導性無機粉 の表面処理の有無,ポリマー成分に添加する 粒径熱伝導性無機粉体と小粒径熱伝導性無 粉体の比率を変えて検討した結果が記述し ある。表20及び表21から、小粒径熱伝導性無 機粉体の表面処理方法の違いによって硬度, 伝導率の物性がおおきく変わることはない いえる。また、大粒径熱伝導性無機粉体は 面処理をしなくても比表面積の大きい小粒 熱伝導性無機粉体を表面処理するのみで、 度は低く、揮発ガス量の少ない熱伝導性ポ マー組成物となった。粘度は表面処理した 伝導性無機粉体を添加する系としない系で 大きく違った。

 (実施例66~68,比較例83~88)
 表20及び表21と同様に小粒径熱伝導無機粉体 の処理の有無,処理した大粒径熱伝導無機粉 を使用した場合の検討をした。しかし、小 径熱伝導無機粉体を二種以上の混合にして 験した。前記のアルミナに加えてAL160SG-1,比 面積6.6m 2 /g(昭和電工株式会社製),AW50-74,比表面積0.07m 2 /g(株式会社マイクロン製)を使用した。処理 法はAL160SG-1は、前記表3の下の乾式法1,AW50-74 、実施例の冒頭部分の材料成分(7)と同様で る。
シート成形は実施例57~65,比較例74~82と同様で る。条件と結果を表22に示す。

 表22から比表面積の大きい小粒径熱伝導 無機粉体に表面処理をすることによってコ パウンドの粘度は格段に低くなる。これは 粒径熱伝導性無機粉体にシランで処理する とによってポリマーに熱伝導性無機粉体が 填しやすいことを示している。樹脂成分が 伝導性無機粉体を取り込みやすいことを示 ている。また、大粒径熱伝導性無機粉体は 面処理をしなくても比表面積の大きい小粒 熱伝導性無機粉体を表面処理するのみで、 化前のコンパウンドの粘度は低く、硬化後 は揮発ガス量の少ない熱伝導性樹脂組成物 なった。

 実施例45~68,比較例59~88から比表面積の大 い小粒径熱伝導性無機粉体にシランで処理 ることによって、コンパウンドの粘度が小 くなる又は流動性がよくなることが確認で た。これはポリマーに熱伝導性無機粉体が 填しやすいことを示している。ポリマーが 伝導性無機粉体を取り込みやすいことを示 ている。また、小粒径熱伝導性無機粉体の にシランで処理することによって表面処理 由来の揮発ガス量も抑えることができる。 なわち、大粒径熱伝導性無機粉体は表面処 をしなくても比表面積の大きい小粒径熱伝 性無機粉体を表面処理するのみで、コンパ ンドの粘度が低い又は流動性がよくなり、 なわち加工しやすくなる。そのうえ、得ら た成型物,硬化物の硬度は低く、揮発ガス量 少ない熱伝導性樹脂組成物になる。