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Patent Searching and Data


Title:
HEAT-INSULATING PILE FOR ARTIFICIAL TURF AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/034794
Kind Code:
A1
Abstract:
Piles for artificial turf which have excellent heat-insulating properties effective in inhibiting the surface temperature of a pavement with an artificial-turf surface layer from increasing and which can be colored in any desired tints including black. Also provided is a means for producing the piles for artificial turf by the masterbatch method employed in an ordinary artificial-turf pile production process. The piles for artificial turf are characterized by containing a coloring pigment composition containing a perylene pigment which has a heat-resistance limit of 250-350°C and a solar reflectance as provided for in JIS A 5759 of 15-95%.

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Inventors:
MORIISHI KIYOSHI (JP)
YANAGAWA KAZUTERU (JP)
KINOSHITA KEIGO (JP)
FUKAE NORIYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063995
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
August 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OKU EN TOUT CAS CO LTD (JP)
MORIISHI KIYOSHI (JP)
YANAGAWA KAZUTERU (JP)
KINOSHITA KEIGO (JP)
FUKAE NORIYUKI (JP)
International Classes:
E01C13/08
Foreign References:
JP2007154623A2007-06-21
JP2007138644A2007-06-07
JP2007177143A2007-07-12
JP2006274674A2006-10-12
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIDA, Yoshiharu (20-10 Nishi-shinbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 ペリレン系顔料のうち、耐熱限界が250℃以上350℃以下でJIS A5759に規定の日射反射率が15%以上95%以下のものを含んだ着色顔料組成物を含有することを特徴とする人工芝パイル。
 ペリレン系顔料のうち、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以下のものを含んだ着色顔料組成物を含有することを特徴とする請求の範囲1に記載の人工芝パイル。
 ペリレン系顔料のうち、DIN. EN12877に規定の耐熱性が250℃以上350℃以下のものを含んだ着色顔料組成物を含有することを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、いずれも耐熱限界が250℃以上1100℃以下、JIS A5759に規定の日射反射率が15%以上95%以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、いずれも耐熱限界が250℃以上1100℃以下、JIS A5759に規定の日射反射率が15%以上95%以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲3に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲3に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲4に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲5に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、いずれもDIN. EN12877に規定の耐熱性が250℃以上1100℃以下のものから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物のペリレン系顔料以外の組成が、酸化チタン系、酸化鉄系、フタロシアニン系、イミダゾロン系、モノアゾ-ジスアゾ縮合物系、ジオキサジン系、キナクリドン系のいずれかから選ばれた顔料からなることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 人工芝パイルの原料素材に対して、着色顔料組成物を合計で1~15重量%含有することを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物に占めるペリレン系顔料の含有量が0.5~10重量%であることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
 着色顔料組成物を混練した原料素材を、190~250℃の温度で溶融、押出成型することを特徴とする請求の範囲1または2に記載の人工芝パイル。
Description:
遮熱性人工芝パイルおよびその 造方法

 本出願は、スポーツ施設等の天然芝の代 として用いられる人工芝に関する技術範囲 属する。

 近年、スポーツ人口の増大、活発化につ 、野球場、サッカー、ホッケーおよびラグ ー場、テニスコート、ゲートボール場等の 戯場や多目的広場等の屋外スポーツ施設に いては従来既設の天然芝あるいはクレーコ トの代替として、人工芝が多用されている その理由としては、人工芝は天候条件に影 されにくく、常に一定のグラウンド条件が 持され、維持管理が容易であり、利便性や 理費を節減できる等がある。

 人工芝はそうした利点を持つ一方で、か てはパイルすなわち葉糸が短く衝撃吸収性 低いものが主であり、さらに人工芝の下が ンクリートなどの舗装面のことが多かった めもあり、天然芝に比すると、競技者に対 る安全性に問題があるとされてきた。しか 近年、パイルが長いロングパイルのものや さらにロングパイル人工芝にパイル糸間隔 開けて植設した粗植型で、そのパイル糸間 砂等の無機質粒状物あるいはゴムチップ等 弾性粒状物を充填して成る、衝撃吸収性に ぐれたものの開発、改良が進んでおり、各 競技の国際機関が公式に公認または認定す ほどに広範に用いられている。

 しかしながら人工芝舗装にも、全天候運 場共通の問題点のひとつとして、夏季屋外 おける炎天下での表面温度が高くなる点が り、時には70℃をこえる場合も多い。特に 近年広く用いられている粒状物入りロング イル人工芝は、長いパイルや粒状物の間隙 空気層が多いため、パイルの短い人工芝に して熱が逃げづらく、温度上昇がさらに生 やすくなっている問題がある。結果として 競技者にとっては過酷であり、熱中症発症 おそれもあり、また環境温度への悪影響や ひいてはヒートアイランド現象の原因とも ることが問題となっており、その対策が求 られてきた。

 現在考えられる対策としては、人工芝に して散水する方法、さらには、例えば特許 献1に開示されているように、人工芝の素材 に保水性を付与したものを充填するといった ものがあるが、効果は一時的なものに限られ ている。

 また、人工芝に遮熱性を付与する手段と て、芝の表層表面に、例えば特許文献2にお いて開示された近赤外線反射材を塗布する方 法、また本出願人らが先に特許文献3におい 提供した遮熱塗料を塗布するという方法な がある。しかし芝の表層表面に塗料を塗布 る方法は、運動場等における摩擦の多い条 下では塗料が剥がれる可能性が高く、構造 な持久性において問題がある。

 また、例えば特許文献4に開示されている ように、人工芝パイルの素材自体に白色顔料 などの日射反射率の高い素材を添加する方法 や、それらと緑色の人工芝とを混合して編み こむことによって高温化の抑制をはかる方法 があるが、自然芝に近くなるような色調の調 整には及びもつかず、また緑色人工芝との混 合によっては、充分な遮熱効果が得られると は言いがたい。

特開2006-144345号公報

特開2006-124984号公報

特開2007-177143号公報

特開2007-154623号公報

 上記のような点に鑑み、本願発明者らは 人工芝表層舗装体の表面温度の上昇抑制に して、特許文献3の遮熱性塗料に用いた、す ぐれた遮熱性をもち、なおかつ黒色系を含む 自在な色調調整の可能な遮熱顔料を樹脂組成 中に混練する構成と、その人工芝パイルを一 般的人工芝パイル製造方法におけるマスター バッチ法によって製造する手段を講じた。

 しかしながら、その構成による人工芝パ ルは、製造時に素材劣化により色調異常を たし、また遮熱性をはじめとする物理的な 能も得られないという問題に新たに直面し 。これは顔料に耐熱性能が低いものがあり 顔料組成物がパイル押出成型工程での成型 度が220~230℃の場合において熱分解を起こす ためであった。特に、発明者らが遮熱性の高 い黒色系の顔料として選択したメチアゾ系顔 料は、人工芝パイルの成型温度に対する耐熱 性能は不十分であった。しかしながら、黒色 を加法混色によって調整することには困難が 伴い、色調の調整には黒色系顔料が必要とさ れた。

 そこで、この問題を解決すべく、通常の 工芝パイル成型温度をこえる250℃以上でも 分解を起こすことのない着色顔料組成物を む人工芝パイルを得ることを目的として鋭 検討を重ねた結果、本願発明の人工芝パイ とその製法を得るに至った。

 上記目的を達成すべく、本発明にかかる 工芝パイルおよびその製造方法は、次のよ な手段を採用する。

 すなわち、本発明の人工芝パイルは、ペ レン系顔料のうち、耐熱限界が250℃以上350 以下でJIS A5759に規定の日射反射率が15%以上 95%以下のものを含んだ着色顔料組成物を含有 することを特徴とする。

 そして、この人工芝パイルは、ブラック グレー、ブラウン、グリーンなど黒系の色 を持ち、組成顔料の耐熱限界が250℃以上で ることで、パイル押出成型温度として通常 いられる200~230℃においても顔料の色彩が劣 化することがなく、なおかつ日光反射率の高 さによって日光による温度上昇を防ぐ遮熱性 をあわせもつペリレン系顔料を含有している 。

 また、本発明の人工芝パイルは、ペリレ 系顔料のうち、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣 上限値が 2(δE)以下のものを含んだ着色顔料 組成物を含有することを特徴とする。

 そして、この人工芝パイルは、ペリレン 顔料の紫外線による劣化が少ない。

 また、本発明の人工芝パイルは、ペリレ 系顔料のうち、DIN. EN12877に規定の耐熱性が 250℃以上350℃以下のものを含んだ着色顔料組 成物を含有することを特徴とする。

 そして、この人工芝パイルは、ペリレン 顔料が高熱によって構造が分解しづらい。

 また、本発明の人工芝パイルは、着色顔 組成物のペリレン系顔料以外の組成が、い れも耐熱限界が250℃以上1100℃以下、JIS A575 9に規定の日射反射率が15%以上95%以下のもの ら選ばれた顔料からなることを特徴とする

 そして、この人工芝パイルは、ペリレン 以外の顔料も耐熱限界および遮熱性を備え ものによって構成された着色顔料組成物を する。

 また、本発明の人工芝パイルは、着色顔 組成物のペリレン系顔料以外の組成が、JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以下 ものから選ばれた顔料からなることを特徴 する。

 そして、この人工芝パイルは、ペリレン 以外の顔料も紫外線による劣化が少ないも によって構成された着色顔料組成物を有す 。

 また、本発明の人工芝パイルは、着色顔 組成物のペリレン系顔料以外の組成が、い れもDIN. EN12877に規定の耐熱性が250℃以上110 0℃以下のものから選ばれた顔料からなるこ を特徴とする。

 そして、この人工芝パイルは、ペリレン 顔料以外の顔料も高熱によって化学的に性 が変化しづらいものによって構成された着 顔料組成物を有する。

 また、本発明の人工芝パイルは、着色顔 組成物のペリレン系顔料以外の組成が、酸 チタン系、酸化鉄系、フタロシアニン系、 ミダゾロン系、モノアゾ-ジスアゾ縮合系、 ジオキサジン系、キナクリドン系のいずれか から選ばれた顔料からなることを特徴とする 。

 そして、この人工芝パイルは、いずれに いても耐熱限界、日光反射率、QUV劣化上限 、耐熱性において好適な値を示す顔料を、 色顔料組成物の組成として有する。

 また、本発明の人工芝パイルは、人工芝 イルの原料素材に対して、着色顔料組成物 合計で1~15重量%含有することを特徴とする

 そして、この人工芝パイルは、顔料を最 1.0wt%含有することで、着色の効果と遮熱性 得られ、また最大15wt%とすることで、合成 脂素材への顔料の練りこみが可能で、人工 の引っ張り強度が最大の値となる。

 また、本発明の人工芝パイルは、着色顔 組成物に占めるペリレン系顔料の含有量が0 .5~10重量%であることを特徴とする。

 そして、この人工芝パイルは、着色顔料 成物において充分な彩色が提供される範囲 ペリレンを含む。

 また、本発明の人工芝パイルの製造方法 、着色顔料組成物を混練した成型用ペレッ を、190~250℃の温度で溶融、押出成型するこ とを特徴とする。

 そして、この人工芝パイルの製造法は、 リレン系顔料を含む顔料組成物を含有する 工芝パイルを、従来用いられる押出し成型 製造法を用いて製造する。

 本発明に係る人工芝パイルによれば、ペ レン系顔料が、黒系を含めた色調と、遮熱 とを提供し、成型時の高熱によってその色 が劣化することがない。これらの性質をあ せもつことで、黒系の色彩を調整すること でき、なおかつ使用時に表面温度が上昇し いという、屋外の施設などに特に好適に用 られる人工芝に応用することができ、さら 、この人工芝パイルは従来人工芝パイルの 造に用いられる加熱成型を含む製法に準じ 製造することができる。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、ペリレン系顔料が主に直射日光などを含 紫外線による劣化が少ないため、特に屋外 人工芝として用いる際の耐候性が高く、ペ レン系顔料の色と遮熱性が衰えない人工芝 イルが得られる。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、ペリレン系顔料が化学的性質において熱 安定なことを示す耐熱性を持ち、熱に対し 色が劣化しないという耐熱限界とは別の側 から安定性が担保されている。また分解し 顔料による人工芝パイルの素材の劣化から 守られている。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、色調を調整する顔料組成物がいずれも耐 限界、遮熱性を兼ね備えているため、成型 の高熱によっても、色調および遮熱性が劣 することがない人工芝パイルが得られる。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、着色顔料組成物の組成がいずれも紫外線 らの劣化が少ないものから構成されている め、着色顔料組成物全体として耐候性が保 される。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、着色顔料組成物の組成がいずれも化学的 質の面から熱に安定なことを示す耐熱性を ち、着色顔料組成物全体として製造時の熱 の安定性が担保される。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、着色顔料組成物の組成のため、遮熱性を ち加熱成型で製造できる人工芝パイルが得 れる。

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、顔料の練りこみで製造できる範囲で、色 と遮熱性、人工芝としての引っ張り強度を れぞれ兼ね備えた人工芝パイルが得られる

 また、本発明に係る人工芝パイルによれ 、着色力の強いペリレンによって充分な黒 の彩色が得られ、人工芝パイルの色彩を幅 く選択することができる。

 また、本発明に係る人工芝パイルの製法 よれば、耐熱性能と遮熱性をもつ人工芝パ ルを、従来の製法や設備を用いて製造する とができる。

遮熱効果比較(比較例1と実施例1、200℃) を示す図である。 遮熱効果比較(比較例1と実施例1、250℃) を示す図である。 遮熱効果比較(実施例1と比較例2、250℃) を示す図である。 遮熱効果比較(比較例1と比較例2、250℃) を示す図である。 顔料組成割合と日光反射率の関係を示 図である。 顔料組成割合と引っ張り強度の関係を す図である。

 以下、本発明を詳細に説明する。

 本発明において、人工芝パイルの素材に 練する着色顔料組成物は、耐熱限界が250℃ 上でJIS A5759に規定の日射反射率が15%以上で JIS K5600, 7.8.に規定のQUV劣化上限値が2(δE)以 でDIN. EN12877に規定の耐熱性が250℃以上のペ リレン系顔料を含有する。

 化1に示すペリレンは当初、溶剤に可溶なVAT 染料として有用とされたが、構造中に側鎖や 結晶性を付与すること等により顔料化が行わ れている。

 本発明に用いるペリレン系顔料の耐熱限 、耐候性、日射反射率、耐熱性は、以下の 準によって選択する。

 耐熱限界は、顔料が熱によって主に色調 変化を起こさない基準として設けるもので り、その測定には、以下の方法を用いる。 なわち、時計皿上に顔料を入れて一定の雰 気温度にて30分間保ち、本熱処理顔料を用 て塗料化して得られた塗膜と、熱履歴を経 いない非熱処理同顔料を用いて得られた塗 との色差δEを測定する。後者を標準として δEが2以下であることをもって、耐熱限界が 囲気温度以上であるとする。250℃以上の耐 限界を要求するのは、パイルの成型が主に2 20~230℃で行われるので、それに充分に耐えら れる温度としての値であるが、望ましくは耐 熱限界が260℃以上であるとさらに好適である 。なおペリレン系を含めて、有機顔料類には 耐熱限界が特に高いもので320℃、最大で350℃ 前後までが想定される。

 日射反射率は、遮熱性の最も重要な基準 あり、JIS A5759の規定による建築用熱線遮蔽 およびガラス飛散防止フィルムで定義される 350~2100nmの領域における日射反射率が15%以上 あるとする。さらには、20%以上である顔料 選択するのが望ましい。

 紫外線照射に対する耐性である耐候性は JIS K5600, 7.8. 基準によりQUV, 1000hrs処理後 δEが2以下であることを基準とする。

 また、耐熱性は、顔料が熱によって主に 理的な性質が変化しないという基準であり DIN. EN12877の基準で250℃以上であるとする。 これも耐熱限界同様パイル成型の温度におい て性質が変化しないためであり、望ましくは 260℃以上であるとさらに好適である。耐熱限 界同様に、ペリレンを含め有機顔料系では耐 熱性が高いもので320℃、最大で350℃前後まで の顔料が想定される。

 これらの条件をみたすペリレン系顔料と ては、黒色系のFK-4280(BASF社)などが市販され ており、暗色の調整に特に好適に用いること ができる。また、黒色以外のペリレン系には 、紺色系のファストゲンブルー548(DIC社)やフ ストゲングリーンS(DIC社)などが市販されて り、好適に用いることができる。

 着色顔料組成物には、目的とする色調に じて、各種の単色系顔料を組み合わせる。 色系が主流の人工芝の場合、白色、褐色、 色、緑色、青色、紫色、黒色といった顔料 組み合わせる。

 このとき、黒系には上記のペリレン系顔 を用いる。また、黒系以外の色彩にも、ペ レン系顔料のうち黒系以外を用いることも きる。

 また、ペリレン系以外の顔料に関しては いずれも上記のペリレン系の場合と同様の 準により選択した耐熱限界、耐候性、日射 射率、耐熱性を兼ね備えた顔料を選択する なお、耐熱限界および耐熱性は、有機顔料 であれば高いもので320℃、最大350℃前後ま 、無機顔料類ならば高いもので1050℃、最大 1100℃前後までが上限として想定でき、これ を高い耐熱性能をもつ顔料として用いるこ ができる。

 耐熱限界、耐候性、日射反射率、耐熱性 いずれも備えたペリレン系以外の顔料とし は、白色には酸化チタン系、褐色には酸化 赤系、緑色にはフタロシアニン系、黄色に イミダゾロン系および酸化鉄黄系、赤色に キナクリドン系、紫色にはジオキサジン系 褐色にはモノアゾ-ジスアゾ縮合物系などを 用いることができる。

 具体的な顔料の例としては、白色系にはJ R-1000(テイカ社)など、褐色系には120ED(戸田化 )、ファストブラウンHFR(ヘキスト社)など、 色系にはHG-2(クラリアン社)、3912(BASF社)、フ ァストイエローH2G(ヘキスト社)など、橙色系 はファストオレンジGRL(ヘキスト社)など、 色系には5370S(DIC社)などを用いることができ 。

 本発明ではペリレンをはじめ、色彩にか わらず日光反射率が高い顔料を選択するた 、着色顔料組成物を暗色の色調、例えば人 芝パイルに好適なダークグリーンなどに調 することもできる。工業上のデータでは暗 とは、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*値が60未満で 特に30未満であることである。

 人工芝パイルの原料素材の総量に対する 色顔料組成物の合計配合量は、着色効果、 よび工程において合成樹脂など原料への顔 の練りこみが充分に可能な量とする必要が る。原料素材の総量に対して、着色の効果 あるのは最低0.5wt%程度からである。また最 15.0wt%までは顔料の練りこみが可能であるが 、それを上回ると困難となる。

 また、耐熱遮熱性人工芝としてさらに望 しくは、人工芝パイルの遮熱性能に直接に 響する日光反射率が充分に得られることに えて、人工芝としての使用に鑑みてパイル 強度が安定して得られることが必要である 例えば、人工芝パイルの光の透過性を下げ 充分な日光反射率を得るためにはある程度 着色が必要であり、ポリプロピレン製シー においてはペレットが2wt%以上の複合顔料を 含むことが望ましく、さらに日光反射率は5wt %以上ならば最大値近くまで飽和する。対し 、シートの引っ張り強度は、複合顔料の配 量が5wt%未満ならば特に安定し、12wt%以上で きく低下する。これらの値に鑑みて、顔料 2~12wt%の配合量で用いることが好適であり、 に着色性・反射性能を重視するなら5~12wt%、 特に芝の強度を重視するなら2~5wt%を選択する ことができる。反射率と強度を両立させるな らば5wt%前後(4~6wt%)が最も望ましい。

 着色顔料組成物中に占めるペリレン系顔 の含有量は、目的とする色彩によって調整 る。ペリレンはきわめて着色力が高く、ペ レン系顔料は着色顔料組成物の総重量中0.5~ 10%、通常は0.5~1.5wt%の混合によって、充分に 色の調整が可能である。

 本発明の人工芝パイルは、従来の通常の スターバッチ法に準じた製法、工程、装置 利用して実施することが可能である。すな ち、ポリオレフィン系ないしポリアミド系 主とする合成樹脂中に着色顔料組成物、分 材、安定剤等の混練されたコンパウンドか なるペレットを溶融紡糸(190~230℃)、冷却固 、延伸(100から150℃)および弛緩熱処理して 糸圧30~150μmの扁平糸またはフィルム状に成 し、これを縦断または割繊したスプリット をパイル状となして製造することが望まし 。人工芝舗装の表層の人工芝布は、この人 芝パイルを基布に対して適宜の方法で植設 ることにより製造される。

 人工芝パイルの素材として使用する合成 リマーには、主にポリオレフィン系やポリ ミド系、例えばポリプロピレン、ポリエチ ン、ナイロン6、ナイロン66といった従来人 芝に用いられる合成樹脂のいずれか、もし は複数を用いることができる。従来、最も 用されているのはポリプロピレンであるが また摩擦による温度上昇が起こりにくいポ エチレンも耐熱性かつ遮熱性の人工芝とし 好適に用いることができ、これらから選択 るか適宜混合して用いることができる。

 なお、人工芝パイル素材に特によく用い れるポリオレフィン系素材は通常、難接着 、難着色性とされていることに対して、ペ レンの着色力の強さによって、ごく微量な リレン系顔料の添加でも、充分な彩色が可 となることも本発明の特色である。

 以下に実施例を挙げて、本発明をさらに 細に説明する。ただし、本発明の範囲はこ らの例のみに限定されるものではない。

(試験例1:緑色系試料の遮熱効果実験)
(試料の作成)
 Extruderを用いて、ポリプロピレン(以下PP)ペ ット90wt%に対して、表1に示すA、BおよびCの 合顔料組成からなる緑色系着色顔料組成物1 0wt%が混練された厚さ200μm、大きさ20cm角の緑 系試料PP板として、遮熱性顔料Aから遮熱性 料着色緑色PP板(比較例1)、耐熱性遮熱顔料B ら耐熱性遮熱顔料着色緑色PP板(実施例1)、 よび一般顔料Cから一般顔料着色緑色PP板(比 例2)を作成した。Extruderの成型温度は各試料 に対して200℃および250℃の2種類について各PP 板を成型し試料とした。
  (表1)

(遮熱効果の評価測定方法)
 表面温度測定としては、試料裏面中心部にt hermocoupleを取付け、更にはthermographyにより測 した。試料表面上より高さ30cmに取付けられ た250Wの赤外線照射ランプによる試料の表面 度上昇を時間経過とともに測定記録し、そ 上昇履歴を求めることにより評価した。

(実験結果)
 10分間での温度上昇を計測した結果を表2-5 図1-4に記す。
  (表2)
  (表3)
  (表4)
  (表5)
 遮熱性PP板については、一般PP板に比して温 度上昇履歴の差からその遮熱効果が認められ 、また、成型温度である200℃および250℃では 、耐熱性遮熱PP板の方がさらにその効果が大 いことがわかる。このことは本願発明によ 耐熱遮熱性顔料使用の安定効果が一層顕著 あることを示す。

(試験例2:緑系以外の色調に調整された試料の 遮熱効果実験)
(実験方法)
 表6に示す組成によって、顔料組成DとEから 熱性遮熱顔料レンガ色着色PP板をそれぞれ( 施例2、3)作成した。このPP板と試験例1の比 例1の遮熱性顔料着色緑色PP板を、試験例1と 同様にして温度上昇を比較した。
  (表6)

(実験結果)
 10分間での温度上昇を顔料組成別に計測し 結果を表7に示す。
  (表7)
 レンガ色に調整した耐熱遮熱性顔料組成物 おいても、通常の遮熱顔料組成物に比して 度上昇が有意に低く、耐熱性のみならず遮 性に関しても有効である結果が得られた。

(試験例3:物性試験用シートによる引っ張り強 度の物性試験)
(シートの作成)
 ペレット状のポリプロピレン90重量部に、 験例1と同様に調整した顔料A,B,Cそれぞれ10重 量部を混合し、単軸押出成型器に供給し成形 温度200℃及び250℃でシートを成形し、顔料B 混合シートを実施例4、また顔料AとCの混合 ートをそれぞれ比較例3、4とした。得られた シートを130℃の加熱ロール上で延伸倍率6倍 なるように延伸し、物性試験用シートとし 。

(物性試験)
 JIS K 6251 加硫ゴムの引張試験方法に準拠 、作成したシートの物性を計測した。引張 験は3号ダンベル、測定器はオリエンテックS TA-1150、計測速度は500mm/secとした。測定結果 表8に示す。
  (表8)

 引っ張り強度試験は、耐熱遮熱性顔料に いては、250℃のほうがより強い強度が得ら た。遮熱顔料の比較をすると、250℃では通 遮熱顔料は極端に物性値が下降したが、本 発明の耐熱性、遮熱性を持つ着色顔料組成 を使用したシートは、逆に向上した。これ 、耐熱性、遮熱性の着色顔料組成物が高温 におけるシートの物性値に大きく関与して ると判断でき、人工芝パイルの品質に影響 及ぼすと考えられる。

(試験例4:複合顔料の配合重量部による日射反 射率および引張強度試験)
(シートの作成)
 ペレット状のポリプロピレンに対し、試験 1と同様に調整した顔料Bを1~15%混合し、単軸 押出成型器に供給し成形温度200℃及び250℃で シートを成形した。得られたシートを130℃の 加熱ロール上で延伸倍率6倍となるように延 し、物性試験用シートとした。

(日光反射率および引張強度試験)
 添加配合重量部数による日射反射率をJIS A 5759 (1994)により測定した結果を表9および図5 に示した。また、JIS K 6251 加硫ゴムの引張 験方法による引張強度を図6に示した。
  (表9)
 ペレット状ポリプロピレンへの顔料組成Bの 配合量は、着色による隠蔽性から光の透過率 の低下、遮熱性能の一大因子である日射反射 率に反映される。日射反射率は、顔料組成が 2wt%以上で大きく増大し、5wt%をこえるとほぼ 定して飽和状態となる。一方、シートの引 張り強度は、顔料組成Bの割合が2~5wt%の範囲 で特に安定し、12wt%をこえると大きく低下し 15wt%以上では低下がさらに著しい。本検証 結果、顔料組成の添加重量は2~12wt%が適正範 であることがわかる。

(試験例5:人工芝面舗装の遮熱性測定実験)
(人工芝舗装面の舗設)
 MFR(Melt Flow Rate; JIS K7210)=1.0/10minのポリプ ピレン単独重合体(PP-Homopolymer)80wt%および線 ポリエチレン20wt%からなる人工芝パイル成型 用ペレット100wtに対し、
 ・酸化チタン系白色顔料(テイカ製 JR-1000)      27.5wt%
 ・酸化鉄系褐色顔料(戸田化学製 120ED)         7.3
 ・ベンゾイミダゾロン系黄色系顔料(クラリ アン製 HG-2) 43.2
 ・フタロシアニン系緑色顔料(DIC製 5370S)      20.7
 ・ペリレン系黒色顔料(BASF製 FK-4280)       1.0
 から成る緑色用の複合顔料を、本願発明の 熱性、遮熱性を持つ「着色顔料組成物」と て、4.0wt%配合混練した。当該樹脂組成物ペ ットを230℃の温度で、溶融、押出成型し、 さ80μmのフィルムとなし、これを更に、130 の加熱ロールにより5倍に延伸後、スプリッ ーにて割繊され、厚さ75μm、幅2mm、繊度7500d 、引張強度126N/mm 2 の人工芝パイル糸(63/50, yarn)を形成した。こ をポリプロピレン製の基布(NWF)上に植設し ポリウレタン樹脂によるバッキング処理を し、ロングパイル製人工芝を作製した。次 、これを路盤上に、粗粒(t=40nn)/密粒(t=30)か なるアスファルトで舗装された基層上に舗 し、大きさ3m×3mの人工芝面とし、実施例5と た。比較例5として、緑色人工芝パイルの「 一般遮熱性着色顔料」について前記本願発明 の複合顔料組成中の「ペリレン系黒色顔料」 の替わりに「メチアゾ系黒色顔料」(大日精 製A-1103)に替え、また、比較例6として、通常 の遮熱性機能の無い緑色系人工芝パイルの複 合顔料組成のものを、
 ・酸化チタン系白色顔料(テイカ製 JR-1000)      24.7wt%
 ・酸化鉄系褐色顔料(戸田化学製 120ED)         3.7
 ・酸化鉄系褐色顔料(BASF製 3912)          49.4       
 ・フタロシアニン系緑色顔料(DIC製 5370S)      17.3
 ・酸化鉄系黒色顔料(ヘキスト社製 318)           4.9
 から成る着色顔料組成物を適用し、同様に て、人工芝舗装面を舗設した。

(遮熱性測定実験)
 色相が緑色の人工芝面上50cmの高さに、250W 赤外線ランプを設置し、芝面に対して点灯 射開始後の表面温度上昇履歴を、二次元放 温度計(ii-1064 (株式会社堀場製作所))を用い 計測した。なお、二次元放射温度計は合計6 4素子があり、64個の温度計測ができるが、そ のうち計測カメラの被写体に9個の素子が入 ように設置し、得られた9ポイントの温度の 均値として次表10に示す結果を得た。
  (表10)
 通常パイルおよび遮熱パイルに対して、耐 性遮熱パイルを用いた人工芝の舗装面の温 上昇率が有意に低く、高い遮熱性が得られ ことを示す。

(試験例6)
 実施例5および比較例5、6の人工芝舗装表面 植設されたロングパイル間に、粒状物充填 として、当該人工芝基布表面より約3~5cmの さにおいて、粒状ゴムチップ(φ=0.8-2.4)およ 無機質粒状物(ケイ砂#5~6)がおよそ等容積比 おいて混合されたものが充填された人工芝 それぞれ実施例6、比較例7、8とし、この人 芝を用いて、試験例5と同様に遮熱性評価試 を行い、表11に示す結果を得た。
  (表11)
 その結果、耐熱性遮熱顔料配合パイルのも と一般遮熱性顔料配合パイルのものとの間 おいても、同様の遮熱効果が認められた。

 本出願に特定する耐熱性と遮熱性をもつ 工芝パイルとその製法による人工芝は、そ 素材自体に遮熱機能が具備されることによ 、各種グラウンド運動場、広場、歩経路等 敷設して、夏季屋外炎天下等での当該舗装 面温度の低下による遮熱効果により、長時 プレー等における熱中症、日射病等の防止 ヒートアイランド現象抑制や予防等の環境 全や地球温暖化防止効果への寄与が可能な 能性を有する各種屋外体育施設への展開が 能である。