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Title:
HIGH-FREQUENCY HARDENING MONITOR DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/035011
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a high-frequency hardening monitor device (20) comprising a current sensor (21) for detecting the output current of a high-frequency inverter (11), a voltage sensor (22) for detecting the voltage at a heating coil (15) connected in an equivalent circuit manner together with a condenser (12) between the output terminals of the high-frequency inverter (11), and a control unit (23) for performing a hardening administration on the basis of the detected signal of the current sensor (21) and the detected signal of the voltage sensor (22). The control unit (23) calculates the effective value of the output current from the high-frequency inverter (11) on the basis of the detected signal from the current sensor (21), and calculates the effective value of the voltage to establish in a heating coil (15), on the basis of the detected signal from the voltage sensor (22), or calculates a load impedance from the individual effective values, thereby to monitor the hardening.

Inventors:
YANG YUE (JP)
IKUTA FUMIAKI (JP)
KITAMURA TAICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066360
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
September 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NETUREN CO LTD (JP)
YANG YUE (JP)
IKUTA FUMIAKI (JP)
KITAMURA TAICHI (JP)
International Classes:
C21D1/10; H05B6/06; H05B6/10
Domestic Patent References:
WO2005107324A12005-11-10
Foreign References:
JP2001023762A2001-01-26
JPH07211440A1995-08-11
JPH0349561A1991-03-04
JPS62147689A1987-07-01
JP2002317224A2002-10-31
JP2000150126A2000-05-30
JP2003231923A2003-08-19
DE10143652A12002-04-25
Other References:
See also references of EP 2210961A4
Attorney, Agent or Firm:
HIRAYAMA, Kazuyuki (Shinjukugyoen Bldg. 2-3-10, Shinjuku,Shinjuku-k, Tokyo 22, JP)
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Claims:
 高周波インバータにコンデンサと加熱コイルとが接続された高周波焼入れ装置に接続可能であり、
 上記高周波インバータからの出力電流を検出する電流センサと、
 上記加熱コイルに生じる電圧を検出する電圧センサと、
 上記電流センサの検出信号と上記電圧センサの検出信号とに基づいて焼入れ管理を行う制御部と、を備える、高周波焼入れ監視装置。
 前記高周波インバータに前記コンデンサと前記加熱コイルとが並列接続されている、請求の範囲1に記載の高周波焼入れ監視装置。
 前記制御部は、前記電流センサからの検出信号に基づいて前記高周波インバータからの出力電流の実効値を算出する電流測定回路と、前記電圧センサからの検出信号に基づいて前記加熱コイルに生じる電圧の実効値を算出する電圧測定回路とを備え、上記電流測定回路と上記電圧測定回路とでそれぞれ算出した実効値に基づいて焼入れ処理を監視する、請求の範囲2に記載の高周波焼入れ監視装置。
 前記制御部は、前記電流測定回路と前記電圧測定回路とでそれぞれ算出した実効値が設定範囲内か否かを判定する判定部を備える、請求の範囲2に記載の高周波焼入れ監視装置。
 前記制御部は、前記電流センサの検出信号と前記電圧センサの検出信号とから負荷インピーダンスを算出して、算出した負荷インピーダンスに基づいて焼入れ管理を行う、請求の範囲1に記載の高周波焼入れ監視装置。
 前記制御部は、前記電流センサからの検出信号に基づいて前記高周波インバータからの出力電流の実効値を算出する電流測定回路と、前記電圧センサからの検出信号に基づいて前記加熱コイルに生じる電圧の実効値を算出する電圧測定回路と、を備え、上記電流測定回路と上記電圧測定回路とでそれぞれ算出した実効値に基づいて負荷インピーダンスを算出する、請求の範囲5に記載の高周波焼入れ監視装置。
 前記制御部は、算出した負荷インピーダンスが設定範囲内か否かを判定する判定部を備える、請求の範囲6に記載の高周波焼入れ監視装置。
 前記制御部は、前記電流センサからの検出信号に基づいて前記高周波インバータからの出力電流を算出し、算出した出力電流にも基づいて焼入れの管理を行う、請求の範囲5に記載の高周波焼入れ監視装置。
Description:
高周波焼入れ監視装置

 本発明は、ワークに対する高周波焼入れ 理が適切に行われているかを監視する高周 焼入れ監視装置に関する。

 ワークの硬度などの物性を向上させるた 、ワークに対して高周波電力による焼入れ 理が施されている。図24は一般的な焼入れ 理の様子を模式的に示す外観図である。例 ば、加熱対象のワーク50は、図示するように 、棒状基部51に張出し部52を同軸状に備えて 成されているため、棒状基部51と張出し部52 が断面略L字状になっている。加熱コイル61 鞍型コイルであり、半円周部61aの両端に一 の直線部61b,61bが接続されてなる。焼入れ処 理を行う際には、先ず、図示しない保持手段 にワーク50を保持させ、加熱コイル61の半円 部61aを張出し部52の上面側に位置し、かつ加 熱コイル61の直線部61bが直軸部52と平行に位 するように、加熱コイル61をワーク50に配置 る。その際、加熱コイル61と張出し部52との 距離が所定範囲内となっていることを確認す る。その後、ワーク50を回転させながら、高 波インバータ62から加熱コイル61に高周波電 力を投入する。これにより、焼入れ処理を施 す。なお、図中の63は加熱コイル61と並列共 回路を構成する整合用コンデンサである。

 焼入れ処理で用いられる公知の高周波焼入 装置は、等価回路的に、高周波インバータ 出力端子間に整合用のコンデンサと加熱コ ルとが並列接続されて回路構成されている 焼入れの品質を保証するため、理想的には 加熱コイルに投入される有効電力(kW)を実際 に計測し、この有効電力を基準に管理するこ とが好ましいとされている。加熱コイルの等 価回路は、インダクタンスと直列抵抗との直 列接続で表される。さらに、加熱コイルで加 熱されるワークが抵抗負荷となっている。有 効電力の監視方法は、加熱コイルの両端に生 じる電圧(V coil )と加熱コイルに流れるコイル電流(I coil )との位相差を測定し、式P kw =cosφV coil I coil から求める方法である。なお、cosφは力率(φ 力率角である)である。

 しかしながら、高周波焼入れの場合、力率 低い負荷が多く、計測対象となるコイル電 とコイル電流との位相差が大きい。具体的 は、コンデンサと加熱コイルとの並列回路 Qは10程度である。力率はQの逆数と見積もる ことができ、Qが10の場合には力率は0.1であり 、この時の力率角φは84°となる。したがって 、V coil とI coil とを測定し、演算回路でこれらの値を積算し て求めた有効電力は小さい。また、この演算 回路は温度ドリフトの影響、周波数や位相差 の変動の影響を受け易いので、演算回路の算 出値に基づいて高周波焼入れ処理の有効電力 を高精度で監視することができないのが現状 である。

特開2002-317224号公報

特開2000-150126号公報

特開2003-231923号公報

 そこで、従来、高周波発振器からの電圧 定制御にて出力制御を行う場合には、加熱 イルの電流を検出して、平均電流を求め電 監視することが考えられている(例えば特許 文献1)。しかしながら、コイル電流は、正確 は、コイルの有するインダクタンス成分と 抗成分とを流れる合成電流である。このた 、負荷が変動してもコイル電流の変動は小 く、感度が低い。したがって、有効な電力 視を行うことができない。

 また、高周波インバータからの出力電圧 出力電流を検出するか又は出力電力を検出 ることで監視することも考えられている(例 えば特許文献2及び3)。この出力電力の検出に は、出力電圧及び出力電流を検出してそれら の実効値を乗算することも含まれる。しかし ながら、この監視方法では監視対象が高周波 インバータからの出力電力、換言すれば、高 周波インバータの出力端子間からみて負荷に 投入された有効電力であるので、整合回路に よる損失や電力の伝送損失の影響を受け、負 荷変動を敏感に検出することはできず、感度 が鈍い。特に、高周波インバータから加熱コ イルまでの距離が長いと、電力の伝送損失に より、負荷変動の検出感度が低下してしまう 。

 一方、焼入れ対象となるワークと加熱コ ルとの位置関係が所定範囲外となると、負 変動により適切な焼入れ処理を行うことが きない、という課題もある。以下、具体的 説明する。図24に示した焼入れ処理におい 、ワーク50は、必ずしも同一寸法ではなく、 或る程度の許容範囲内の寸法を有しているた め、ワーク50と加熱コイル61との位置関係が ーク毎に異なる可能性があるにも拘らず、 ーク50によらず同一の高周波電力を投入して も適切な焼入れ処理がなされている保証はな い。つまり、ワーク50と加熱コイル61との位 関係、特に張出し部52の上面53と加熱コイル6 1の半円周部61aとの距離が長くなると、ワー 50と加熱コイル61との間のギャップが増加し ーク50に高周波が投入され難くなる。その め、ワーク毎に焼入れ処理の品質保証が十 図れていないのが現状である。

 本発明は、上記課題に鑑み、負荷変動の 出感度が高く、高周波焼入れ処理の品質管 を高精度で行える高周波焼入れ監視装置を 供することを目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明の高 波焼入れ監視装置は、高周波インバータに ンデンサと加熱コイルとが接続された高周 焼入れ装置に接続可能であり、高周波イン ータからの出力電流を検出する電流センサ 、加熱コイルに生じる電圧を検出する電圧 ンサと、電流センサの検出信号と電圧セン の検出信号とに基づいて焼入れ管理を行う 御部と、を備える。

 具体的に説明すると、本発明の第1の構成 では、特に、高周波インバータにコンデンサ と加熱コイルとが並列接続されている。これ により、高周波インバータからコンデンサを 介して加熱コイルに高周波電力が投入された 際、高周波インバータの出力電圧が一定とな るよう制御されていることで、高周波インバ ータからの出力電力の変動が直に出力電流に 影響する。よって、この出力電流をモニター することで、高周波焼入れ処理において高周 波インバータからの出力電力を監視すること ができる。一方、加熱コイルに生じる電圧を モニターすることで、高周波インバータから 加熱コイルまでの伝送損失、コンデンサと加 熱コイルとの並列共振回路による整合損失に より検出感度が高くなり、加熱コイルの電圧 変動を高い精度で検出することができる。

 特に、制御部は、電流センサからの検出 号に基づいて高周波インバータからの出力 流の実効値を算出する電流測定回路と、電 センサからの検出信号に基づいて加熱コイ に生じる電圧の実効値を算出する電圧測定 路とを備え、電流測定回路と電圧測定回路 でそれぞれ算出した実効値に基づいて焼入 処理を監視するとよい。各実効値を監視す ことで、出力電力を容易に管理することが きる。

 特に、制御部は、電流測定回路と電圧測 回路とでそれぞれ算出した実効値が設定範 内か否かを判定する判定部を備えるとよい これにより、判定部が設定範囲外の判定を した場合、外部に警告信号を出力すること 可能となり、高周波焼入れ処理が正常に行 れていないことを検知することもできる。

 本発明の第2の構成では、特に、制御部は 、電流センサの検出信号と電圧センサの検出 信号とから負荷インピーダンスを算出して、 算出した負荷インピーダンスに基づいて焼入 れ管理を行う。これにより、高周波インバー タからコンデンサを介して加熱コイルに高周 波電力が投入された際、高周波インバータの 出力電力を一定となるよう制御することで、 焼入れ対象となるワークと加熱コイルとの位 置関係が許容範囲外となると、負荷インピー ダンスの変動が許容範囲を超える。よって、 この負荷インピーダンスをモニターすること で、高周波焼入れ処理の品質を保証すること ができる。

 特に、制御部は、電流センサからの検出 号に基づいて高周波インバータからの出力 流の実効値を算出する電流測定回路と、電 センサからの検出信号に基づいて前記加熱 イルに生じる電圧の実効値を算出する電圧 定回路と、を備え、電流測定回路と電圧測 回路とでそれぞれ算出した実効値に基づい 負荷インピーダンスを算出するとよい。こ により、制御部が実効値から負荷インピー ンスを算出して、この負荷インピーダンス 監視することで、焼入れ監視を容易にかつ 速に行うことができる。

 特に、制御部は、算出した負荷インピー ンスが設定範囲内か否かを判定する判定部 備えるとよい。これにより、判定部が設定 囲外の判定を出した場合、外部に警告信号 出力することも可能となり、高周波焼入れ 理が正常に行われていないことを検知する ともできる。

 制御部が、電流センサからの検出信号に づいて前記高周波インバータからの出力電 を算出し、算出した出力電流にも基づいて 入れの管理を行うようにしてもよい。制御 が高周波インバータからの出力電流をモニ ーすることで、高周波インバータの出力値 ら高周波焼入れ処理が正常に行われている とを確認することができる。

 本発明によれば、高周波焼入れの際、高 波インバータからの出力電流と加熱コイル 両端に生じる電圧を監視することで、高周 焼入れ処理が正常に行われているかを監視 き、高周波焼入れの品質を保証することが きる。また、高周波焼入れの際、負荷イン ーダンス、すなわち、加熱コイル電圧を高 波インバータからの出力電流で割った値を 視することで、高周波焼入れ処理が正常に われているかを監視でき、高周波焼入れの 質を保証することができる。

実施形態に係る高周波焼入れ監視装置 組み込んだ高周波焼入れシステムの構成図 ある。 図1における信号処理部内の電圧測定回 路を示す。 (A)は負荷共振回路を示し、(B)は(A)に示 負荷共振回路に関し高周波インバータの周 数が負荷共振回路の共振周波数と一致して 期している場合の等価回路図である。 コイルギャップの変動が負荷インピー ンス変動として観測できる理由を説明する めの模式的な回路図で、(A)は誘導加熱をモ ル化した等価回路図、(B)はワークが存在し い状態での等価回路図、(C)は(B)に示す等価 路を並列回路で示したものである。 第2の実施形態の変形例を説明するため の模式図である。 実施例1の結果を示し、(A)は加熱コイル における電圧に対応する信号波形、(B)は高周 波インバータからの出力電流に対応する信号 波形である。 実施例2の結果を示し、(A)は加熱コイル における電圧に対応する信号波形、(B)は高周 波インバータからの出力電流に対応する信号 波形である。 実施例3の結果を示し、(A)は加熱コイル における電圧に対応する信号波形、(B)は高周 波インバータからの出力電流に対応する信号 波形である。 比較例1の結果を示し、(A)は加熱コイル における電圧に対応する信号波形、(B)は図1 示す電流変成器13の一次側の電流に対応する 信号波形である。 比較例2の結果を示し、(A)は加熱コイ における電圧に対応する信号波形、(B)は図1 示す電流変成器13の一次側の電流に対応す 信号波形である。 加熱コイルとワークとの位置関係を示 す図である。 実施例4の結果のうち、負荷インピー ンスのコイルギャップ依存性を示す図であ 。 実施例4の結果のうち、負荷インピー ンス変化率に対するコイルギャップ依存性 示す図である。 実施例4の結果のうち、高周波インバ タからの出力電流のコイルギャップ依存性 示す図である。 実施例4の結果のうち、高周波インバ タからの出力電流の変化率のコイルギャッ 依存性を示す図である。 実施例4の結果のうち、コイルギャッ dが1.5mmのときの波形を示し、(A)は負荷イン ーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示 図である。 実施例4の結果のうち、コイルギャッ dが2.1mmのときの波形を示し、(A)は負荷イン ーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示 図である。 比較例3の結果のうち、コイル電圧の イルギャップ依存性を示す図である。 比較例3の結果のうち、コイル電圧変 率に対するコイルギャップ依存性を示す図 ある。 比較例3の結果のうち、高周波インバ タからの出力電流のコイルギャップ依存性 示す図である。 比較例3の結果のうち、高周波インバ タからの出力電流の変化率のコイルギャッ 依存性を示す図である。 比較例3の結果のうち、コイルギャッ dが1.5mmのときの波形を示し、(A)はコイル電 の波形、(B)は出力電流の波形を示す図であ 。 比較例3の結果のうち、コイルギャッ dが2.1mmのときの波形を示し、(A)はコイル電 の波形、(B)は出力電流の波形を示す図であ 。 一般的な焼入れ処理の様子を模式的に 示す図である。

符号の説明

  1:高周波焼入れシステム
 10:高周波焼入れ装置
 11:高周波インバータ
 12:整合用のコンデンサ
 13:電流変成器
 13a:一次電流側コイル
 13b:二次電流側コイル
 14:加熱コイル
 15:ワーク(被加熱材)
 20:高周波焼入れ監視装置(インピーダンス監 視装置)
 21:電流センサ
 22:電圧センサ
 22a,22b,22c,22d:端部
 23:制御部
 23a:電流検出部
 23b:電圧検出部
 23c:信号処理部
 23d:判定部
 23e:表示部
 24:警告部
 30:電圧測定回路
 31:第1の演算増幅器
 32:第2の演算増幅器
 33:フィルター回路
 34:入力抵抗
 35:第1のダイオード
 36:第2のダイオード
 37,38,39,40,41:抵抗
 42:コンデンサ
 50:ワーク
 51:棒状基部 
 52:張出し部
 53:上面
 61:加熱コイル
 61a:半円周部
 61b:直線部

 以下、図面を参照しながら本発明の最良の 態を詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
 第1の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置 は、高周波インバータからの出力電流と加熱 コイルの両端に生じる電圧を監視することで 高周波焼入れの品質を保証するものである。 図1は、第1の実施形態に係る高周波焼入れ監 装置を組み込んだ高周波焼入れシステムの 成を示す図である。高周波焼入れシステム1 は、高周波焼入れ装置10と高周波焼入れ監視 置20とで構成される。

 高周波焼入れ装置10は、電気回路的に、 周波インバータ11と、高周波インバータ11の 力端子間に接続される整合用のコンデンサ1 2と、ワーク15を誘導加熱する加熱コイル14と 整合用のコンデンサ12と加熱コイル14との間 に介在される電流変成器13と、で構成されて る。よって、高周波焼入れ装置10は、等価 路的に、整合用のコンデンサ12と加熱コイル 14とが並列共振回路を含んで構成されている

 ここで、高周波インバータ11は電流型イ バータであって、出力電圧の一定制御方式 駆動制御される。電流変成器13は、高周波イ ンバータ11に対して整合用のコンデンサ12と 列接続される一次コイル13aと、加熱コイル14 と並列接続される二次コイル13bと、で構成さ れている。

 高周波焼入れ装置10は、加熱コイル14を内 蔵した受け部(図示せず)にワーク15を配置し 状態で、高周波インバータ11から加熱コイル 14に対して高周波電流を供給することで、ワ ク15の内部に渦電流を発生させてワーク15を 加熱して焼入れ処理を行う。

 高周波焼入れ監視装置20は、高周波イン ータ11の出力電流を検出する電流センサ21と 加熱コイル14における電圧を検出する電圧 ンサ22と、電流センサ21の検出信号と電圧セ サ22の検出信号とに基づいて焼入れ管理を う制御部23と、制御部23に対して各種制御情 を入力し、制御部23から警告信号を受ける 告部24と、を備えている。

 電流センサ21は、高周波インバータ11と整合 用のコンデンサ12との配線に電気的に接続さ 、高周波インバータ11の出力電流I o を検出する。電圧センサ22は、両端に端子22a, 22bを備え、加熱コイル14に並列接続され、加 コイル14の電圧V coil を検出する。

 制御部23は、電流センサ21からの検出信号 の入力を受ける電流検出部23aと、電圧センサ 22からの検出信号の入力を受ける電圧検出部2 3bと、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの 力を受けてそれぞれ信号処理を行う信号処 部23cと、信号処理部23cで信号処理された結 の入力を受け、結果が所定の範囲内か否か 判定する判定部23dと、を含んでいる。判定 23dは、信号処理部23cで信号処理された結果 出力する表示部23eを備えている。

 電流センサ21と電流検出部23aとは、検出し 電流を電圧に変換するカレントトランスフ ー(変流器)で構成してもよい。このとき、電 流センサ21にはロゴスキーコイルを用いるこ ができ、電流検出部23aはロゴスキーコイル 生じる電圧から所定の範囲の電圧に変換す 。カレントトランスファーは例えば出力電 500A rms を0.5V rms に変換する。

 電圧センサ22と電圧検出部23bとは、検出し 電圧を所定範囲の電圧に変換するポテンシ ルトランスファー(変圧器)で構成してもよい 。このとき、電圧センサ22には加熱コイル14 端子間に接続可能なプローブを用いること できる。電圧検出部23bはプローブで抽出し 電圧を所定範囲の電圧に変換する。ポテン ャルトランスファーは例えばコイル電圧200V rms を10V rms に変換する。

 信号処理部23cは、電流検出部23a及び電圧検 部23bからの信号を、それぞれ整流して実効 を算出すると共にフィルターでノイズを除 し、電流信号S i 及び電圧信号S v を判定部23dに出力する。これにより、カレン トトランスファーからの信号、例えば0.5V rms の信号を5Vの電圧信号に変換する一方、ポテ シャルトランスファーからの信号、例えば 10V rms の信号を5Vの電圧信号に変換する。

 判定部23dは、信号処理部23cから入力された 流信号S i 及び電圧信号S v が適切であるか否かの判定を行う。即ち、判 定部23dは、高周波インバータ11を制御する制 部(図示せず)から加熱同期信号S s が入力されることにより、電流信号S i 及び電圧信号S v の波形を取り出し、表示部23eに表示する。そ の際、判定部23dは予め設定されている上限下 限のしきい値も表示する。これにより、判定 部23dは、高周波焼入れ装置10が動作中である 態で、電流信号S i 、電圧信号S v が上限のしきい値を上回ったり下限のしきい 値を下回った場合には、判定NGとして当該波 を異常波形として記録する。また、判定部2 3dは、警告部24に対して警告信号を出力する その際、判定部23dが警告信号を出力する際 表示部23eに、「NG」として警告表示を行って もよい。

 警告部24は、判定部23dからの警告信号に づいて警告表示を行ったり、警告音を外部 発生させたり、また、高周波インバータ11の 制御部(図示せず)に対して高周波電力の出力 停止するように指示する。

 図1の信号処理部23c内部の回路構成につい て説明する。信号処理部23cには、電流検出部 23aからの信号を処理する電流測定回路と、電 圧検出部23bからの信号を処理する電圧測定回 路とが別々に含まれている。電流測定回路も 電圧測定回路も同様の回路構成であるので、 以下では電圧測定回路を説明する。

 図2は、図1における信号処理部23c内の電圧 定回路30を示す図である。
 電圧測定回路30は、第1の演算増幅器31と第2 演算増幅器32が縦続接続され、出力側にフ ルター回路33が接続されている。第1の演算 幅器31には、入力抵抗34と、入力端子と出力 子に接続される第1のダイオード35と、出力 子に一端が接続される第2のダイオード36と 入力端子に一端が接続され他端が第2のダイ オード36の他端に接続される抵抗37と、が接 されている。この第1の演算増幅器31は、所 理想ダイオードであり、入力信号電圧の半 整流を行う。第1の演算増幅器31と第2の演算 幅器32とは、抵抗38で接続されている。第2 演算増幅器32は、入力端子と出力端子との間 に抵抗39が接続された反転増幅器である。第2 の演算増幅器32の入力端子は、抵抗40を介し 、入力抵抗34の入力信号側と接続されている 。第2の演算増幅器32の出力は、入力電圧信号 の両波整流波形となる。この両波整流波形が 、抵抗41及びコンデンサ42からなるローパス のフィルター回路33に入力され、両波整流波 のリップルが除去されて直流電圧に変換され る。フィルター回路33の抵抗41及びコンデン 42の値を設定することで、第2の演算増幅器32 から出力される両波整流波の実効値が得られ る。

 以下、図1に示す高周波焼入れシステム1に る焼入れ監視について説明する。
 高周波焼入れ装置10において、高周波イン ータ11から整合用のコンデンサ12及び電流変 器13を介して加熱コイル14に高周波電力を投 入する。これにより、加熱コイル14内に配置 れたワーク15が加熱され、高周波焼入れさ る。その際、高周波焼入れ監視装置20におい て、電流センサ21が高周波インバータ11の出 電流I o を検出し、電圧センサ22が加熱コイル14の電 V coil を検出する。

 制御部23の電流検出部23a、電圧検出部23bは 電流センサ21、電圧センサ22からのそれぞれ 検出信号をレベル調整し、電流信号S i 及び電圧信号S v を信号処理部23cに出力する。よって、信号処 理部23cが、電流検出部23a、電圧検出部23bから それぞれ入力された電流信号、電圧信号を整 流して実効値を求め、電流信号S i 及び電圧信号S v として判定部23dに出力する。

 判定部23dは、信号処理部23cからの電流信号S i 及び電圧信号S v を加熱同期信号S S により同期を取って波形の判定を行い、上限 及び下限のしきい値と比較し、電流信号S i 及び電圧信号S v が上限のしきい値を上回ったり、下限のしき い値を下回ったか否かの判定を行う。判定部 23dは、電流信号S i 及び電圧信号S v がしきい値から外れた場合には当該波形を記 録し、警告信号を警告部24に出力する。

 警告信号を受けた警告部24は、警告を表 したり警告音を発生させる。よって、焼入 作業者は、警告の表示や警告音を認知した き、高周波焼入れに異常が発生したことを ることができる。また、警告部24は、高周波 焼入れ装置10の高周波インバータ11の出力動 を停止させてもよい。

 以上のように、電流センサ21を用いて高 波インバータ11からの出力電流を検出し、電 圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電 を検出し、電流センサ21の検出信号と電圧セ ンサ22の検出信号とに基づいて焼入れ管理を う。これにより、出力電圧が一定となるよ 出力制御される高周波インバータ11からコ デンサ12を介して加熱コイル14に高周波電力 投入された際、高周波インバータ11からの 力電力の変動が直に出力電流に影響する。 って、電流センサ21を用いてこの出力電流を モニターすることで、高周波焼入れ処理にお いて高周波インバータ11からの出力電力を監 することができる。一方、電圧センサ22を いて加熱コイル14に生じる電圧をモニターす ることで、高周波インバータ11から加熱コイ 14までの伝送損失、コンデンサ12と加熱コイ ル14との並列共振回路による整合損失により 出感度が高くなり、加熱コイル14の電圧変 を高い精度で検出することができる。

 即ち、電力の伝送損失が小さい場合、負 変動による出力電流の変動率がコイル電圧 変動率より大きいので、高周波インバータ1 1からの出力電流を電流センサ21で監視するこ とが有効となる。一方、電力の伝送損失が大 きい場合、負荷変動によるコイル電圧の変動 率が、高周波インバータ11からの出力電流の 動より大きいので、コイル電圧を電圧セン 22で監視することが有効となる。逆に、背 技術で説明した、高周波インバータの出力 流及び出力電圧を監視する方法において、 周波インバータの出力電圧を一定となるよ 出力電力を制御する場合、負荷変動を検出 ることはできない。以下、この点について 説する。

 図3(A)は負荷共振回路を示し、(B)は(A)に示す 負荷共振回路に関し高周波インバータの周波 数が負荷共振回路の共振周波数と一致して同 期している場合の等価回路を示す図である。 図1に示す誘導加熱の電気回路は、図3(A)に示 ように、整合用コンデンサC p と負荷抵抗R p と負荷インダクタンスL p との並列接続に対し、高周波インバータと加 熱コイルとの間の伝送損失及び整合損失を含 めた抵抗R x とが直列接続された回路で表される。図3(A) 示す負荷共振回路において高周波インバー の周波数が負荷共振回路の周波数と一致し 同期している場合には、図3(A)に示す回路は 図3(B)に示す等価回路、即ち鈍抵抗化回路に 書き直すことができる。なお、高周波インバ ータと加熱コイルとの間の伝送損失及び整合 損失を含めた抵抗をR x とし、負荷抵抗をR p とし、高周波インバータからの出力電圧をV 0 =300V、出力電流I o =300Aとする。Rx、R p が何れも0.5ωであるとして説明を簡略化する 負荷変動により抵抗R p が0.5ωから0.55ωに+10%変化すると、出力電圧一 定制御のため、出力電圧V O が300Vで不変で、出力電流I o は300Aから285.7Aに変化するので、出力電流の 化率も-4.8%であり、出力電力も-4.8%変化する このとき、コイル電圧V coil は150V(=300A×0.5ω)から157.1V(=285.7A×0.55ω)に変化 、コイル電圧の変化率は+4.8%となる。つま 、高周波インバータからの出力電流の低下 とコイル電圧の増加率とがほぼ等しくなる

 上記回路構成において、伝送損失と整合損 を含めた抵抗R x が0.4ωで、負荷抵抗R p が0.6ωの場合、負荷抵抗R p が変化率で+10%、即ち0.6ωから0.66ωに変化した 場合を考えると、高周波インバータの出力電 圧V 0 は300Vで不変で、出力電流I o は300Aから283.0Aに変化するので、出力電流の 化率も-5.7%であり、出力電力も-5.7%変化する このとき、コイル電圧V coil は180V(=300A×0.6ω)から186.8V(=283.0A×0.66ω)に変化 、コイル電圧の変化率は約+3.8%となる。つ り、高周波インバータからの出力電流の減 率の絶対値は、コイル電圧の増加率の絶対 と比べてより大きい。

 上記回路構成において、逆に、伝送損失と 合損失を含めた抵抗R x が0.6ωで、負荷抵抗R p が0.4ωの場合、負荷抵抗R p が変化率で+10%、即ち0.4ωから0.44ω変化した場 合を考えると、高周波インバータの出力電圧 V O は300Vで不変で、出力電流I o は300Aから288.5Aに変化するので、出力電流の 化率も-3.8%であり、出力電力も-3.8%変化する このとき、コイル電圧V coil は180V(=300A×0.6ω)から126.9V(=288.5A×0.44ω)に変化 、コイル電圧の変化率は約+5.7%となる。つ り、高周波インバータからの出力電流の減 率の絶対値は、コイル電圧の増加率の絶対 と比べてより小さい。

 以上のことから、従来のように、高周波イ バータの出力電流及び出力電圧を監視する 法では、伝送損失及び整合損失が増加する 従い、例えば伝送損失及び整合損失を含め 抵抗R x と負荷抵抗R p との比率が0.4:0.6、0.5:0.5、0.6:0.4となるに従い 、高周波インバータからの出力電流I o の変化率は、-5.7%、-4.8%、-3.8%となり、負荷抵 抗R 2 の変化率に比例して変化せず、負荷抵抗R p の変動に対して感度が悪いことが分かる。

 これに対し、本実施形態のように、コイル 圧V coil と高周波インバータからの出力電流I o との何れもモニターして監視することで、伝 送損失の影響を排除した負荷変動を監視する ことができる。なぜなら、伝送損失及び整合 損失の割合が小さい場合、負荷抵抗の変動は 、コイル電圧の変動率の方よりも出力電流の 変化率の方に大きく影響するため、高周波イ ンバータからの出力電流の変化を監視するこ とが好ましいからである。逆に、伝送損失及 び整合損失の割合が大きい場合、負荷抵抗の 変動は、出力電流の変化率の方よりコイル電 圧の変動率の方に大きく影響するので、コイ ル電圧の変化を監視することが好ましいから である。つまり、コイル電圧V coil と高周波インバータからの出力電流I o との両方を監視することで、回路の電力損失 の影響を排除した監視方法を確立することが できる。

〔第2の実施形態〕
 第2の実施形態では、高周波焼入れの際、加 熱コイル電圧を高周波インバータから出力さ れた出力電流で加熱コイル電圧を割って求め た値、即ち負荷インピーダンスを監視するこ とで、高周波焼入れ処理の正常性を監視する 。第2の実施形態に係る焼入れ監視装置を組 込んだ高周波焼入れシステムの構成は、第1 実施形態を示す図1の場合と同様である。す なわち、第2の実施形態に係る高周波焼入れ 視装置具体的にはインピーダンス監視装置 組み込んだ高周波焼入れシステムは、図1に すように、高周波焼入れ装置10と焼入れ監 装置20とで構成される。

 高周波焼入れ装置10は、図1に示すように 等価回路的に、整合用のコンデンサ12と加 コイル14とが並列共振回路を含んで構成され ている。第2の実施形態では、高周波焼入れ 置10は整合用のコンデンサと加熱コイルとが 直列共振回路であってもよい。高周波インバ ータ11は、第1の実施形態と同様電流型インバ ータであるが、第1の実施形態と異なり、出 される高周波の電力が一定となるよう、電 一定制御方式で駆動制御される。電流変成 13が、高周波インバータ11に対して整合用の ンデンサ12と並列接続される一次コイル13a 、加熱コイル14と並列接続される二次コイル 13bとで構成されている点は、第1の実施形態 場合と同様である。

 高周波焼入れ装置10は、加熱コイル14を内 蔵した受け部(図示せず)にワーク15を配置し 状態で、高周波インバータ11から加熱コイル 14に対して高周波電流を供給することで、ワ ク15の内部に渦電流を発生させてワーク15を 加熱して焼入れ処理を行う。

 焼入れ監視装置20は、高周波インバータ11 の出力電流を検出する電流センサ21と、加熱 イル14における電圧を検出する電圧センサ22 と、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22 検出信号とから負荷インピーダンスを算出 、この負荷インピーダンスに基づいて焼入 管理を行う制御部23と、制御部23に対して各 制御情報を入力し、制御部23から警告信号 受ける警告部24と、を備えている。

 電流センサ21は、高周波インバータ11と整合 用のコンデンサ12との配線に電気的に接続さ 、高周波インバータ11の出力電流I o を検出する。電圧センサ22は、両端に端子22a, 22bを備え、加熱コイル14に並列接続され、加 コイル14の電圧V coil を検出する。

 制御部23は、電流センサ21からの検出信号 の入力を受ける電流検出部23aと、電圧センサ 22からの検出信号の入力を受ける電圧検出部2 3bと、電流検出部23aからの入力を受けて出力 流に関する実効値を求めると共に電圧検出 23bからの入力を受けてコイル電圧に関する 効値を求める信号処理部23cと、信号処理部2 3cから求めた出力電流及びコイル電圧に関す 各実効値から負荷インピーダンスを算出し 負荷インピーダンスが基準範囲内か否かを 定する判定部23dと、を含んでいる。判定部2 3dは、信号処理部23cで信号処理された結果を 力する表示部23eを備えている。

 電流センサ21と電流検出部23aとは、検出 た電流を電圧に変換するカレントトランス ァー(変流器)で構成してもよい。電圧センサ 22と電圧検出部23bとは、検出した電圧を所定 囲の電圧に変換するポテンシャルトランス ァー(変圧器)で構成してもよい。これらの は第1の実施の形態と同様である。

 信号処理部23cは、電流検出部23a及び電圧検 部23bからの信号を、それぞれ整流して実効 を算出すると共にフィルターでノイズを除 し、電流信号S i 及び電圧信号S v を判定部23dに出力する。この点は第1の実施 態と同様であり、信号処理部23cには、電流 出部23aからの信号を処理する電流測定回路 、電圧検出部23bからの信号を処理する電圧 定回路と、が別々に含まれている。電流測 回路、電圧測定回路の具体的な構成は第1の 施形態と同様である。よって、カレントト ンスファーからの信号、例えば0.5V rms の信号を5Vの電圧信号に変換する一方、ポテ シャルトランスファーからの信号、例えば 10V rms の信号を5Vの電圧信号に変換する。

 判定部23dは、信号処理部23cから入力された 流信号S i 及び電圧信号S v に基づいてコイル電圧を出力電流で割り、こ の算出した負荷インピーダンスが規定範囲内 であるか否かを判定する。具体的には、先ず 、高周波インバータ11を制御する制御部(図示 せず)から加熱同期信号S s が入力されることにより、信号処理部23cから 入力された電流信号S i 及び電圧信号S v の値をサンプリングする。次に、サンプリン グした電圧値をサンプリングした電流値で割 り、所定の比例定数を乗算することで、コイ ル電圧に対する出力電流、即ち負荷インピー ダンスを算出する。算出した結果をグラフィ ックに表示部23eに表示する。その際、算出し た負荷インピーダンスが基準範囲内であるか 否かの判定を行う。判定部23dは、算出した負 荷インピーダンスが基準範囲内であった場合 には焼入れ処理がOKと判断し、算出した負荷 ンピーダンスが基準範囲外であった場合に 焼入れ処理がNGと判断して警告部24に対して 警告信号を表示する。

 なお、判定部23dは、高周波インバータ11の 御部(図示せず)から加熱同期信号S s が入力されることで切り出した電流信号S i 及び電圧信号S v の何れかの波形を表示部23eに出力できるよう にしてもよい。その際、判定部23dは予め設定 されている上限下限のしきい値も表示する。 これにより、判定部23dは、高周波焼入れ装置 10が動作中である状態で、電流信号S i 及び電圧信号S v が上限のしきい値を上回ったり下限のしきい 値を下回ったりした場合には、判定がNGであ と判定し、当該波形を異常波形として記録 る。

 判定部23dは、警告部24に対して警告信号 出力する。その際、判定部23dが警告信号を 力する際、表示部23eに、「NG」として警告表 示を行ってもよい。

 警告部24は、判定部23dからの警告信号に づいて警告表示を行ったり、警告音を外部 発生したり、また、高周波インバータ11の制 御部(図示せず)に対して高周波電力の出力を 止するように指示する。

 高周波焼入れシステム1を用いて焼入れ処理 を行う際の焼入れ監視について説明する。
 高周波焼入れ装置10において、高周波イン ータ11から整合用のコンデンサ12及び電流変 器13を介して加熱コイル14に高周波電力を投 入する。これにより、加熱コイル14内に配置 れたワーク15が加熱され、高周波焼入れさ る。その際、高周波焼入れ監視装置10におい て、電流センサ21が高周波インバータ11の出 電流I o を検出し、電圧センサ22が加熱コイル14の電 V coil を検出する。

 制御部23の電流検出部23a、電圧検出部23bは 電流センサ21、電圧センサ22からのそれぞれ 検出信号をレベル調整し、電流信号S i 及び電圧信号S v を信号処理部23cに出力する。よって、信号処 理部23cが、電流検出部23a、電圧検出部23bから それぞれ入力された電流信号、電圧信号を整 流して実効値を求め、電流、電圧の各実効値 を電流信号S i 及び電圧信号S v として判定部23dに出力する。

 判定部23dは、信号処理部23cからの電流信号S i と電圧信号S v との入力を受け、電流信号S i 及び電圧信号S v について加熱同期信号S S により同期を取って波形を取得する。そして 、判定部23dは、各波形から電流の実効値と電 圧の実効値とのデータ列を得、その後、電流 の実効値を電圧の実効値で割ることで負荷イ ンピーダンスを算出し、算出した負荷インピ ーダンスが規定の範囲内か範囲外かの判定を 行う。判定部23dは、負荷インピーダンスがし きい値から外れた場合には、そのデータ列を 取得して記録し、警告信号を警告部24に出力 る。

 その際、判定部23dは、電流の実効値と上限 び下限のしきい値とを比較し、電流信号S i が上限のしきい値を上回ったか、下限のしき い値を下回ったか、の判定を行うようにして もよい。電流信号S i がしきい値から外れた場合には、その波形を 記録し、警告信号を警告部24に出力する。こ により、後述するように、負荷インピーダ スの監視では判定できない高周波インバー 11からの出力の変動を監視することができ 。

 警告信号を受けた警告部24は、警告を表 しまたは警告音を発生させる。よって、焼 れ作業者は、警告の表示や警告音を認知し とき、高周波焼入れに異常が発生したこと 知ることができる。また、警告部24は、高周 波焼入れ装置10の高周波インバータ11の出力 作を停止させてもよい。

 以上のように、電流センサ21を用いて高 波インバータ11からの出力電流を検出し、電 圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電 を検出し、電流センサ21の検出信号と電圧セ ンサ22の検出信号とから負荷インピーダンス 算出して、算出した負荷インピーダンスに づいて焼入れ管理を行う。これにより、出 電力が一定となるよう出力制御される高周 インバータ11からコンデンサ12を介して加熱 コイル14に高周波電力が投入された際、高周 インバータ11からの出力電流の変動率が小 く、かつ加熱コイル14に生じるコイル電圧の 変動率が小さい場合であっても、焼入れ対象 となるワークと加熱コイルとの位置関係が基 準範囲から外れると、即ち、図11に示すよう ワーク50と加熱コイルとの間のギャップd(こ れを以下、コイルギャップdという)が大きく ると負荷インピーダンスの変動として検出 ることができる。よって、高周波焼入れ処 の品質管理を容易にかつ高い精度で行うこ ができる。

 ここで、高周波焼入れ処理において、高 波インバータ11からの出力電流の変動率が さく、かつ加熱コイル14に生じるコイル電圧 の変動率が小さい場合であっても、負荷イン ピーダンスの変動として現れる理由について 説明する。

 図4は、コイルギャップdの変動が負荷イ ピーダンス変動として観測できる理由を説 するための模式的な回路図であり、(A)は誘 加熱をモデル化した等価回路図、(B)はワー が存在しない状態での等価回路図、(C)は(B) 示す等価回路を並列回路で示した図である

 誘導加熱の電気回路のうち図1(A)に示す高周 波インバータ11から加熱コイル14までの電気 路は、伝送損失R x を省略すると抵抗R1と自己インダクタンスL1 の直列接続に対し整合用コンデンサCpが並列 接続されている点で示され、ワーク15は自己 ンダクタンスL2と抵抗R2との並列接続で示さ れ、加熱コイル14にワーク15が配置される状 が相互インダクタンスとしてモデル化する とができる。ここで、R1とはコイル導線の抵 抗成分、R2は加熱対象の抵抗成分、L1は加熱 イル14のインダクタンス成分、L2は加熱対象 インダクタンス成分、Mは相互インダクタン スであり、加熱コイル14とワーク15とのギャ プにより変化する。なお、相互インダクタ スMは、自己インダクタンスL1と自己インダ タンスL2との結合係数をkとすると、k=M/(L1×L2 ) 1/2 の関係を満たす。このとき整合用コンデンサ Cpの両端から見た負荷インピーダンスは、リ クタンス成分ωLeと抵抗成分Reとの和で示さ る。なお、Le=L1(1-k 2 )、Re=R1+A・R2である。ここで、Aは前述の結合 数k、負荷形状、加熱周波数で定まる係数で ある。

 ワーク15と加熱コイル14とのギャップdが増 すると、負荷の結合が弱くなる。極限的な 況として、k=0、Re=R1まで負荷の結合が弱くな り、Le=L1となる。即ち、図4(A)の等価回路は図 4(B)のように書き換えることができる。
 よって、ギャップが増加すると、Leが増加 、Reが減少する。

 さらに、図4(B)の直列等価回路を図4(C)の並 等価回路に変換することができる。なお、Ze =Re+jwLeであるので、アドミタンスYeはYe=1/Zeで るから、次式で表される。
  Ye=Gp+jBp
 但し、Gp、Bpは次式の通りである。
  Gp=Re/(Re 2 +(ωLe) 2 )
  Bp=ωLe/(Re 2 +(ωLe) 2 )
 ここで、Rp=1/Gp、|Xp|=1/|Bp|であり、Rp、|Xp|は 式で表される。
  Rp=(Re 2 +(ωLe) 2 )/Re
  |Xp|=(Re 2 +(ωLe) 2 )/(ωLe)
 焼入れ応用ではωLe 2 >>Re 2 であるため、次式が成り立つ。
  Rp=(ωLe) 2 /Re
  |Xp|≒ωLe
 なお、ωが高周波インバータ11から出力され る高周波の角周波数である。
 高周波インバータの周波数が負荷共振回路 それと一致して同期している場合には、負 インピーダンスZ o は、
  Z o =R p =(ωLe) 2 /Re
 となる。
 つまり、上記の近似式から、ワーク15と加 コイル14とのギャップdが増加すると、負荷 結合が弱くなり、Leが増加し、Reが減少し、 荷インピーダンスZ o が大きくなる。しかも、負荷インピーダンス Z o の変化率は、Le、Reそれぞれの変化率と比べ 大きい。

 よって、高周波インバータ11からの出力 力を一定としてコイルギャップdが増加する 、高周波インバータ11からの出力電流が小 くなる一方、コイル電圧は大きくなる。従 て、出力電流の減少率が小さくても、コイ 電圧の増加率が小さくても、出力電流に対 るコイル電圧比、すなわち、負荷インピー ンスが増加する。よって、コイルギャップd 増加すると、負荷インピーダンスの変動に 接現れる。

 以上のことから、高周波焼入れ処理にお て、高周波インバータ11の出力電力が一定 なるよう制御している場合、負荷インピー ンスの変動を判定部23dで監視し、負荷イン ーダンスの変動がしきい値の上限及び下限 収まっていることを確認することで、高周 焼入れ監視を効率的に行うことができる。 た、制御部23が電流センサ21からの検出信号 基づいて高周波インバータ11からの出力電 を算出し、この出力電流の変動がしきい値 上限及び下限に収まっていることを確認す ことが好ましい。これにより、ギャップが 容範囲であるか否かを負荷インピーダンス モニターすることで確認することができ、 つ高周波インバータ11からの出力電流の変動 をモニターすることで、焼入れに必要なエネ ルギーが投入されていることを確認でき、質 の高い焼入れの管理を行うことができる。

 第1の実施形態に係る高周波焼入れ監視装 置は、図1に示した高周波焼入れ装置10に対し てのみ適用されるものではなく、等価回路的 に、整合用のコンデンサと加熱コイルとでな る並列共振回路及び高周波インバータを含ん で構成される高周波焼入れ装置に対して適用 可能である。例えば電流変成器13は省略され もよい。

 第2の実施形態の変形例を説明する。
 図5は、本発明の変形例を説明するための模 式図である。なお、図24と同一の部材には同 の符号を付してある。図5に示すように、コ イル電圧としてコイルの半円周部61aの両端部 22c,22dの電圧を検出するように配置する。こ により、コイルギャップdの変動を効率的に 荷インピーダンスに反映させることができ 。

 この変形例のように、加熱コイル61がワ ク50の焼入れ対象領域に対して所定のギャッ プdを有するように配置される半円周部61aを え、図5に点線で示すように、電圧センサ22 両端部22c,22dが半円周部61a間の電圧を検出す ように半円周部61aの両端部に接続されるこ が好ましい。これにより、実線で示すよう 電圧センサ22の両端部22a,22bを直線部61b,61bを 介して接続している場合よりも、点線で示す ように電圧センサ22の端部22c,22dを半円周部61a の両端部に接続した方がコイルギャップの変 動率を高感度に検出することができ、より精 度の高い焼入れ監視を行うことができる。

 以上のことから、高周波電力が一定とな よう制御されている場合、コイルギャップd が増加すると負荷インピーダンスが大きくな り、この負荷インピーダンスの変動を元に、 焼入れ処理が正しくなされているかの判定を 行うことができる。

 第2の実施形態に係る高周波焼入れ監視装 置は、図1に示した高周波焼入れ装置10に対し てのみ適用されるものではなく、等価回路的 に、整合用のコンデンサと加熱コイルとでな る共振回路及び高周波インバータを含んで構 成される高周波焼入れ装置に対して適用可能 である。例えば電流変成器13は省略されても い。

 以下、第1の実施形態に対応する実施例1 至3及び比較例1乃至2と、第2の実施形態に対 する実施例4及び比較例3について説明する

 図1に示した高周波焼入れシステム1を用い 負荷の評価試験を行った。
 高周波インバータ11として、直流電圧で一 制御されることで、周波数25kHzの高周波を出 力するものを用いた。並列共振タイプの負荷 回路として、10μFの整合用のコンデンサ12、 線比6:1の電流変成器13を用いた。加熱コイル 14が内蔵されてワーク15を受ける鞍型受け部 は、内径40mmで幅4mmのものを用いた。ワーク1 5には外形33mm、肉厚5.5mmの丸パイプを用いた 実施例1では、ワーク15を、鞍型受け部の端 とワークの外形とのギャップが標準値の4mm なるよう設置した。高周波インバータ11の出 力電力を設置ボリュームの50%とし、1秒間出 するように高周波インバータ11の出力を設定 した。判定部23dに対し、予めコイル電圧V coil と電流I o の基準範囲を設定した。具体的には、予め、 ワーク15を鞍型受け部に対して標準状態で配 後ワーク15の焼入れを行い、電流センサ21及 び電圧センサ22により電流信号S i 及び電圧信号S v の各波形を取り込んだ。そして、品質が所定 の範囲であることを確認し、取り込んだ波形 をそれぞれ基準波形として、各基準波形に沿 って縦軸電圧値及び横軸時間について上限と 下限を設定した。本実施例では、電圧V coil における上下限の設定値を±4.3%(±50mV)とし、 間軸設定値を±4.8%(±48ms)とし、電流I o における上下限の設定値を±3.8%(±20mV)とし、 間軸設定値を±4.8%(±48ms)とした。

 図6は実施例1の結果を示し、(A)は加熱コイ 14における電圧に対応する信号波形であり、 (B)は高周波インバータ11からの出力電流に対 する信号波形である。図中、実線は各波形 示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限 示している。実施例1では、ギャップが基準 値の4mmであるので、図6から分かるように、 形はしきい値の上限と下限のほぼ中央に収 っており、判定部23dの判定はOKであった。な お、高周波インバータ11における出力電力、 力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加 コイル14の電圧V coil の信号は1.157V(1.157×200/5VのV coil に相当)であり、高周波インバータ11の出力電 流I o の信号は0.529V(0.529×500/5AのI o に相当)であった。

 実施例2では、鞍型受け部の端面とワーク 15の外形とのギャップが6mmとなるようワーク1 5を配置した以外は、実施例1と同様にした。

 図7は実施例2の結果を示し、(A)は加熱コイ 14における電圧に対応する信号波形で、(B)は 高周波インバータ11からの出力電流に対応す 信号波形である。図中、実線は各波形を示 、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示 ている。実施例2では、ギャップが基準値の 4mmより広いので、図7から分かるように、電 の波形はしきい値の上限と下限のほぼ中央 り下限側であるが、しきい値の範囲内であ 、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周 波インバータ11における出力電力、出力電圧 、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14 の電圧V coil の信号は1.172V(1.172×200/5VのV coil に相当)であり、高周波インバータ11の出力電 流I o の信号は0.520V(0.520×500/5AのI o に相当)であった。

 実施例3では、鞍型受け部の端面とワーク 15の外形とのギャップが7mmとなるようワーク1 5を配置した以外は、実施例1と同様にした。

 図8は実施例3の結果を示し、(A)は加熱コイ 14における電圧に対応する信号波形、(B)は高 周波インバータ11からの出力電流に対応する 号波形である。図中、実線は各波形を示し 点線はしきい値の範囲の上限と下限を示し いる。実施例3では、ギャップが基準値の4mm よりさらに広い7mmであるので、図8から分か ように、電流の信号波形はしきい値の下限 ら部分的にはみ出しており、焼入れ処理と てはNGである。なお、高周波インバータ11に ける出力電力、出力電圧は、それぞれ17kW、 290Vであった。加熱コイル14の電圧V coil の信号は1.162V(1.162×200/5VのV coil に相当)であり、高周波インバータ11の出力電 流I o の信号は0.500V(0.520×500/5AのI o に相当)であった。

(比較例1)
 比較例について説明する。
 比較例では、高周波焼入れシステム1におい て高周波インバータ11と整合用のコンデンサ1 2との間の配線に結合されていた電流センサ21 を、図1に破線で示すように、電流変成器13の 一次側に接続することで、電流センサ21で変 器の一次電流I ctrl-1 を検出するようにした。

 実施例1~3と同様、高周波インバータ11の出 電力を設置ボリュームの50%とし、1秒間出力 るように高周波インバータ11の出力を設定 た。判定部23dに対し、電圧V coil における上限及び下限の設定値を±4.3%(±50mV) し、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とし、電流I o における上限及び下限の設定値を±3.8%(±125mV) とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とした。電 I o における上限及び下限の設定は、電流の計測 対象が高周波インバータ11の出力電流I o から電流変成器13の一次電流I crtl-1 に変更したため、上下限の設定値を同じ範囲 (%)にしても、電流値が大きくなるからである 。
 比較例1では、鞍型受け部とワークとのギャ ップを、実施例1と同様、4mmとした。

 図9は比較例1の結果を示し、(A)は加熱コイ 14における電圧に対応する信号波形で、(B)は 電流変成器13の一次側電流に対応する信号波 である。図中、実線が波形を示し、点線は きい値の範囲の上限と下限を示している。
 比較例1では、ギャップが基準値の4mmである ので、図9から分かるように、電流、電圧の 信号波形は、何れもしきい値の上限と下限 ほぼ中央であり、判定部23dの判定はOKであっ た。なお、高周波インバータ11における出力 力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであっ 。加熱コイル14の電圧V coil の信号は1.170V(1.170×200/5VのV coil に相当)であり、一次電流I crtl-1 の信号は、3.287V(3.287×500/5AのI crtl-1 に相当)であった。

(比較例2)
 比較例2では、鞍型受け部とワークとのギャ ップを7mmとした以外は比較例2と同様に焼入 を行った。

 図10は比較例2の結果を示し、(A)は加熱コイ 14における電圧に対応する信号波形、(B)は 流変成器13の一次側電流に対応する信号波形 である。図中、実線が波形を示し、点線はし きい値の範囲の上限と下限を示している。
 比較例2では、ギャップが基準の4mmより広い にも拘らず、図10から分かるように、電圧の 号波形、電流変成器13の一次側電流の信号 形は、何れもしきい値の上限と下限のほぼ 央でしきい値の範囲内であった。よって、 定部23dでは、「OK」の判定となってしまう。 なお、高周波インバータ11における出力電力 出力電圧は、それぞれ17kW、290Vであった。 熱コイル14の電圧V coil の信号は1.166V(1.166×200/5VのV coil に相当)であり、一次電流I crtl-1 の信号は、3.281V(3.281×500/5AのI crtl-1 に相当)であった。

 表1は実施例1~3と比較例1及び2の結果を示 図表である。高周波焼入れシステム1におい て、実施例1~3のように高周波インバータ11と 合用のコンデンサ12との間の配線に電流セ サ21を電気的に接続した場合と、比較例1及 2のように電流変成器13の一次側に電気的に 続した場合と、を比較すると次のことが分 る。

 実施例1~3のように高周波インバータ11から 出力電流I o を検出した場合には、ギャップを基準の4mm、 6mm、7mmと順に広げると、電流センサ21で検出 た出力電流I o の信号S i は電圧換算で0.529V、0.520V、0.500Vと変化する。 ギャップが基準の4mmの場合との変化率を求め ると、ギャップが6mmでは約-1.7%、ギャップが7 mmでは約-5.5%となり、判定部23dは、しきい値 上限下限の±3.8%(電圧換算で±20mV)の範囲から 外れたことが判定できる。

 これに対し、比較例1及び2のようにギャッ を基準の4mmから7mmに広げると、出力電力(メ タ指示値)は18kWから17kWとなり、検出される 流の信号S i は約-5.5%の変化があるにも拘らず、判定部23d おける電流I crtl-1 は、ギャップ4mmの場合とほぼ同じ値になって しまう。これはしきい値の範囲内であり、判 定部23dにより「OK」の判定を出してしまう。 って、比較例1及び2のように、電流変成器13 の一次側の電流を検出することで、高周波焼 入れの監視を精度良く行うことができない。

 この理由について考察すると、比較例では 視対象が一次電流I ctrl-1 であるため、等価回路的に、並列抵抗に流れ る実効電流分と並列インダクタンスに流れる 無効電流分のベクトル合成(=(I +I ) 1/2 )により与えられる。従って、ワーク15と加熱 コイル14のギャップの僅かな変化では、イン クタンスの変化が少なく、共振の鋭さQが4~5 以上であれば実効電流分が変化したとしても 、上記ベクトル合成全体はあまり大きく変化 しないためと考えられる。

 一方、本発明では実効電流分のみを検出 るため、ギャップの変化に伴い並列抵抗の 化が検出電流に直接に比例して反映される それ故、監視電流の変化を容易に検出する とができる。

 図1に示した高周波焼入れシステム1を用 て負荷の評価試験を行った。加熱コイルと て鞍型コイルを用い、焼入れ処理物として ークを用いた。図11は、加熱コイル61とワー 50としての棒状部材との位置関係を示す図 ある。なお、図24と同一又は対応する部材に は同一の符号を付してある。

 加熱対象のワーク50は、図示するように 棒状基部51に張出し部52を同軸状に備えて構 されているため、棒状基部51と張出し部52と が断面略L字状になっている。加熱コイル61の 直線部61bに対向する部分の寸法をaとし、加 コイル61の半円周部61aに対向する部分の寸法 をbとした。また、加熱コイル61の半円周部61a とワーク50の上面53との距離、即ちコイルギ ップをdとした。高周波インバータ11として 周波数10kHzの高周波を出力し、かつ出力電力 が負荷によらず一定制御できるものを用いた 。並列共振タイプの負荷回路として、4.15μF 4個並列接続した整合用のコンデンサ12、巻 比8:1の電流変成器13を用いた。

 コイルギャップdをそれぞれ、1.5、1.7、1.9 、2.1、2.3、2.5mmとなるようワークに対して加 コイル61を配置して、各コイルギャップdに いて、ワーク50を軸回りに500rpm回転させな ら、高周波電力を150kW、5.5秒間投入して焼入 れ処理を行った。

 実施例4では、判定部23dに対し、予め負荷イ ンピーダンスの基準範囲を数値入力により設 定した。負荷インピーダンスの基準範囲とし て、上限を1.78ω、下限を1.712ωとした。さら 、高周波インバータからの出力電流を測定 た。出力電流I o の基準範囲は上限を290A、下限を250Aとした。

 実施例4の結果について説明する。図12は 施例4の結果のうち、負荷インピーダンスの コイルギャップ依存性を示す図、図13は負荷 ンピーダンス変化率に対するコイルギャッ 依存性を示す図、図14は高周波インバータ らの出力電流のコイルギャップ依存性を示 図、図15は高周波インバータからの出力電流 の変化率のコイルギャップ依存性を示す図で ある。横軸は何れもコイルギャップであり、 図12の縦軸は負荷インピーダンス、図13の縦 は負荷インピーダンスの変化率、図14の縦軸 は高周波インバータからの出力電流、図15の 軸は高周波インバータからの出力電流の変 率を示す。なお、各値の変化率は、コイル ャップdでの値をf(d)とすると、(f(d)-f(1.5))/f(1 .5)を100倍して求めた。

 負荷インピーダンスは、図12から分かる うに、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは1. 752ωであるが、dが増加すると直線的に増加し 、dが2.1mmでは基準範囲の上限を超えることが 分かる。負荷インピーダンスの変化率は、図 13から分かるように、dが2.1で約1.8%増加し、d 2.5mmでは2.6%まで増加する。

 高周波インバータからの出力電流は、図1 4から分かるように、コイルギャップdが標準 の1.5mmでは約267Aであるが、dが増加すると直 線的に減少し、dが2.5mmでは約262Aまで減少す ことが分かる。出力電流の変化率は、図15か ら分かるように、dが2.5mmでは約1.9%減少する

 図16は、コイルギャップdが1.5mmのときの 形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形 (B)は出力電流の波形を示す図である。図17は 、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し 、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力 電流の波形を示す図である。コイルギャップ dが1.5mm、2.1mmの何れの場合においても、負荷 ンピーダンスは、高周波焼入れ開始により 激に増加した後に僅かに減少し、その後は 加することが分かる。これに対応し、出力 流は、高周波焼入れ開始により急激に増加 た後にわずかに増加し、その後やや減少す ことが分かる。コイルギャップdが1.7mm、1.9m m、2.3mm、2.5mmでも同様な傾向であった。

 以上の結果から、コイルギャップdに対する 負荷インピーダンスの変化率は、コイルギャ ップdに対する出力電流の変化率より、絶対 比較で大きいことが分かる。よって、高周 焼入れ処理を行う場合には、負荷インピー ンス計測により監視することが好ましいこ が分かる。なお、高周波インバータからの 力電流I o を監視することで、高周波インバータ11の安 度を推察することができる。

(比較例3)
 次に比較例3を示す。
 比較例3では、実施例4とは異なり負荷イン ーダンスにより監視を行わず、コイル電圧 高周波インバータからの出力電流とを計測 て監視する点で異なる。その他の条件は実 例4と同一である。

 焼入れ監視に際し、判定部23dに対し、予め イル電圧V coil と電流I o の基準範囲を設定した。具体的には、予め、 ワーク50を既定の標準状態で配置後ワーク50 焼入れを行い、電流センサ21及び電圧センサ 22により電流信号S i 及び電圧信号S v の各波形を取り込んだ。そして、品質が所定 の範囲であることを確認し、取り込んだ波形 をそれぞれ基準波形として、各基準波形に沿 って縦軸電圧値及び横軸時間について上限と 下限を設定した。その際、コイル電圧V coil の上限を61V、下限を55Vとし、出力電流I o の上限を290A、下限を250Aとした。

 比較例3の結果について説明する。図18は イル電圧のコイルギャップ依存性を示す図 図19はコイル電圧変化率に対するコイルギ ップ依存性を示す図、図20は高周波インバー タからの出力電流のコイルギャップ依存性を 示す図、図21は高周波インバータからの出力 流の変化率のコイルギャップ依存性を示す である。横軸は何れもコイルギャップであ 、図18の縦軸はコイル電圧、図19の縦軸はコ イル電圧の変化率、図20の縦軸は高周波イン ータからの出力電流、図21の縦軸は高周波 ンバータからの出力電流の変化率を示す。 化率の算出は実施例と同様である。

 コイル電圧は、図18から分かるように、 イルギャップdが標準値の1.5mmでは58.8Vである が、dが増加すると直線的に増加し、dが2.5mm は約59.2Vであることが分かる。コイル電圧の 変化率は、図19から分かるように、dが2.5mmで 0.68%まで増加する。

 高周波インバータからの出力電流は、図2 0から分かるように、コイルギャップdが標準 の1.5mmでは約268.4Aであるが、dが増加すると 線的に減少し、dが2.5mmでは約263Aまで減少す ることが分かる。出力電流の変化率は、図21 ら分かるように、dが2.5mmでは約1.9%減少する 。

 図22は、コイルギャップdが1.5mmのときの波 を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力 流の波形を示す図である。図23は、コイルギ ャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)はコイ ル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図 である。図中、実線は各波形を示し、点線は しきい値の範囲の上限と下限を示している。 コイルギャップdが1.5mmでは、図22から分かる うに、波形がしきい値の上限と下限のほぼ 央に収まっているのに対して、コイルギャ プdが2.1では、図23から分かるように、電圧 形は概ねしきい値の上限と下限の中央近傍 収まったが、電流波形はしきい値内に収ま ていなかった。よって、コイルギャップdが 1.5mmでは判定部23dの判定はOKであるが、コイ ギャップdが2.1mmでは判定部23dの判定はNGであ った。なお、コイルギャップdを変えないで 導加熱を開始すると、コイル電圧V coil 、出力電流I o が変化するのは、ワークが加熱により誘導加 熱し難くなることに起因していると考えられ る。

 比較例3の結果から、コイルギャップdが1mm 加すると、出力電流I o は約2%減少し、コイル電圧V coil は約0.7%増加する。この変化率は実施例4の負 インピーダンスの変化率と比較すると小さ 。

 以上説明したように、実施例4と比較例3と 比べると、出力電流I o 、コイル電圧V coil を監視するよりも、負荷インピーダンスを監 視するほうが有効であることが分かった。な お、ワークとして棒状部材を例に説明したが 、ワークが軸部に対して交わる方向に接続部 を有するような、例えばフランジや鍔部近傍 を焼入れ処理する際の監視手段として有効で ある。なぜなら、ワークにおける焼入れ対象 領域と加熱コイルとの距離が大きくなるに従 い、図12に示すように、直線部分による焼入 処理状況には変化が見られないが、半円周 分による焼入れ処理状況は悪くなるからで る。