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Patent Searching and Data


Title:
HYDROPHILIC COATING AGENT, HYDROPHILIC COATING FILM, AND HYDROPHILIC BASE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044912
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a hydrophilic coating film having antifog properties due to high hydrophilicity in addition to hardness, water resistance and alkali resistance. Specifically disclosed is a hydrophilic coating agent characterized by containing a colloidal silica sol (A), an acrylic polymer (B) having an active hydrogen and a weight average molecular weight of 5,000-200,000, a reactive silane coupling agent (C), and a curing agent (D) for the acrylic polymer (B). This hydrophilic coating agent is also characterized in that the mass ratio between the component (A) and the component (B), namely (A)/(B) is within the range of from 5/95 to 95/5, and the mass ratio between the total of the component (A) and the component (B) and the component (C), namely (A + B)/(C) is within the range of from 30/70 to 95/5.

Inventors:
NAKAI RYOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068164
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HARIMA CHEMICALS INC (JP)
NAKAI RYOICHI (JP)
International Classes:
C09D133/00; C09D7/61; C09D161/28; C09D175/04; C09K3/00
Foreign References:
JP2001158872A2001-06-12
JP2003062948A2003-03-05
JP2002285069A2002-10-03
JP2006124660A2006-05-18
Attorney, Agent or Firm:
KOTANI, Etsuji et al. (2-2 Nakanoshima 2-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 05, JP)
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Claims:
 (A)コロイダルシリカゾルと、(B)活性水素を有する重量平均分子量(M w )5千~20万のアクリルポリマーと、(C)反応性シランカップリング剤と、(D)アクリルポリマー(B)に対する硬化剤とを含有し、
 (A)成分と(B)成分との質量比[(A)/(B)]が5/95~95/5であり、且つ、(A)成分及び(B)成分の合計と(C)成分との質量比[(A+B)/(C)]が30/70~95/5であることを特徴とする親水性被覆剤。
 (B)成分と(E)成分との合計量に対して、活性水素を有する界面活性剤(E)を30質量%以下の割合で含有する請求項1に記載の親水性被覆剤。
 (B)成分と(E)成分との合計量に対して、活性水素を有する界面活性剤(E)を5~20質量%の割合で含有する請求項1に記載の親水性被覆剤。
 アクリルポリマー(B)が、活性水素を有するラジカル反応性モノマー単位と活性水素を有しないラジカル反応性モノマー単位との共重合体であり、前記活性水素を有するラジカル反応性モノマー単位の構成割合が20質量%以上である請求項1~3の何れか1項に記載の親水性被覆剤。
 アクリルポリマー(B)が、水酸基,カルボキシル基,アミノ基,アミド基,スルホン酸基,及び,ホスフェート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の親水性被覆剤。
 コロイダルシリカゾル(A)が、平均粒子径1~200nmの微粒子シリカを分散質として含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の親水性被覆剤。
 シランカップリング剤(C)が、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、及びイソシアネートプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1~6のいずれか1項に記載の親水性被覆剤。
 硬化剤(D)が、ポリイソシアネート、及びメラミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1~7のいずれか1項に記載の親水性被覆剤。
 硬化金属触媒(F)をさらに含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の親水性被覆剤。
 請求項1~9のいずれか1項に記載の親水性被覆剤を基材に塗布し、硬化させて得られることを特徴とする親水性被膜。
 請求項10に記載の親水性被膜で被覆されたことを特徴とする親水性基材。
Description:
親水性被覆剤、親水性被膜、及 親水性基材

 本発明は眼鏡レンズ、窓材などに防曇性 付与するための親水性被覆剤及び、該親水 被覆剤から得られる親水性被膜、及び該親 性被膜が形成された親水性基材に関する。

 従来から、ガラスやプラスチック材料な を基材とする、眼鏡レンズや窓材などに防 性を付与するための親水性被覆剤が知られ いる。

 例えば、下記特許文献1には、耐擦傷性と 防曇性とを両立する親水性被膜を形成するた めの親水性ハードコート用組成物が開示され ている。具体的には、1分子中に少なくとも3 以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノ ーと、カルボキシル基,スルホン酸基,リン酸 基から選ばれる官能基を有する親水性モノマ ーと、無機コロイドゾルとを含有する親水性 ハードコート用組成物が開示されている。

 また、下記特許文献2には、耐摩耗性に優 れた防曇性被膜を形成するための塗布剤であ って、レベリング工程の時間短縮を図れる塗 布剤が開示されている。具体的には、有機イ ソシアネート、吸水性ポリオール、アクリル ポリオール、活性水素基含有界面活性剤、及 び溶媒の混合物とからなる塗布剤が開示され ている。

 また、下記特許文献3には、ハードコート 層を形成した眼鏡用プラスチックレンズ基材 上に、有機物及び無機物よりなる防曇コート 層を形成した防曇性眼鏡レンズが開示されて いる。前記防曇コート層の具体例としては、 コロイダルシリカとポリビニルアルコールと ポリアクリル酸と水含有有機溶媒とを含有す るコーティング組成物を第1層として積層し この第1層の上にメチルシリケートとアセチ アセトンアルミニウムと水含有有機溶媒と 含有する第2層を積層してなるものが開示さ れている。さらに、前記防曇コート層の具体 例としては、エチルシリケートとコロイダル シリカと水含有有機溶媒とを含有するコーテ ィング組成物を第1層として積層し、この第1 の上に、ポリビニルアルコール部分ケン化 とメチルシリケートとアセチルアセトンア ミニウムとエポキシシリカ等を含有する第2 層を積層してなるものが開示されている。

 また、下記特許文献4には、水分散性シリ カ(A)と、アクリル共重合体等の水溶性又は水 分散性重合体(B)と、必要に応じて反応性シラ ン化合物とからなり、特定の成分(A)と(B)の配 合比を満たす有機-無機複合体反応物で金属 面を被覆することが記載されている。

 また、下記特許文献5には、防曇性能の寿 命に優れる塗膜を形成するための防曇塗料が 開示されている。具体的には、コロイダルシ リカゾルと親水性ポリマーとを必須成分とし て含有する防曇塗料が記載されている。前記 親水性ポリマーの具体例としては、例えば、 ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアル コール、ポリビニルピロリドン、変性ポリビ ニルピロリドン、親水性アクリル系ポリマー などが列挙されている。また、防曇塗料には ポリイソシアネート化合物などの架橋剤をさ らに含有しても良いことが記載されている。

 上記何れの文献に開示された被覆剤から形 される親水性被膜も、親水性は示す。しか ながら、高い硬度、耐水性、耐アルカリ性 全てをさらに備えるものではなかった。

特開2005-187576号公報

特開2006-169440号公報

特開2005-234066号公報

特開昭55-99976号公報

特開2005-314495号公報

 本発明は、高い親水性による防曇性と、 度,耐水性,耐アルカリ性とを兼ね備えた親 性被膜を提供することを目的とする。

 本発明の一局面は、(A)コロイダルシリカ ルと、(B)活性水素を有する重量平均分子量5 千~20万のアクリルポリマーと、(C)反応性シラ ンカップリング剤と、(D)アクリルポリマー(B) に対する硬化剤とを含有し、(A)成分と(B)成分 との質量比[(A)/(B)]が5/95~95/5であり、且つ、(A) 成分及び(B)成分の合計と(C)成分との質量比[(A +B)/(C)]が30/70~95/5であることを特徴とする親水 性被覆剤である。

 本発明の目的、特徴、局面、および利点 、以下の詳細な説明によって、より明白と る。

 以下、本発明を実施形態に基づいて詳細 説明する。なお、本発明は、以下に説明す 実施形態により、何ら限定されるものでは い。

 本実施形態における親水性被覆剤は、(A) ロイダルシリカゾルと、(B)活性水素を有す 重量平均分子量5千~20万のアクリルポリマー と、(C)反応性シランカップリング剤と、(D)ア クリルポリマー(B)に対する硬化剤とを含有し 、(A)成分と(B)成分との質量比[(A)/(B)]が5/95~95/5 であり、且つ、(A)成分及び(B)成分の合計と(C) 成分との質量比[(A+B)/(C)]が30/70~95/5であること を特徴とする。

 コロイダルシリカゾル(A)は、水、メタノ ル、エタノール、イソプロピルアルコール ブタノール、キシレン、ジメチルホルムア ド等を分散媒とする、シラノール基(-Si-OH) 有するシリカ系化合物のコロイドまたはゾ である。コロイダルシリカゾルとしては、 チルシリケート、エチルシリケート及びそ らのオリゴマー等を原料として塩基性触媒 用いて製造される、シリカ微粒子や長鎖状 分子を分散質として含むものが挙げられる

 分散質の平均粒子径としては、1~200nm、さ らには、10~100nmであることが被覆剤の安定性 硬化後の透明性に優れる点から好ましい。 お、前記平均粒子径は比表面積換算して算 された値である。

 また、コロイダルシリカゾル(A)中のシリ 系化合物の含有割合としては、5~50質量%、 らには、10~40質量%であることが粒子の安定 に優れる点から好ましい。

 コロイダルシリカゾル(A)の具体例として 、市販品である、MEK-ST、メタノールシリカ ルなどのスノーテックスシリーズ(共に日産 化学(株)製);クォートロン(扶桑化学(株)製);カ タロイドS(触媒化成工業(株)製);ルドックス( レース社製);シリカドール(日本化学工業(株) 製);アデライト(旭電化工業(株)製)などが挙げ られる。

 本実施形態におけるアクリルポリマー(B) 、活性水素を有する重量平均分子量5千~20万 のアクリルポリマーである。アクリルポリマ ーに含まれる活性水素により、アクリルポリ マー(B)は、反応性シランカップリング剤(C)を 介してコロイダルシリカゾル(A)と架橋構造を 形成する。また、アクリルポリマー(B)の活性 水素は、硬化剤(D)による硬化点にもなる。

 活性水素を有するアクリルポリマー(B)は 活性水素を有する官能基を有するラジカル 合性モノマー(以下、単に活性水素含有モノ マーとも称する)を含有するモノマー混合液 重合することにより得られる。重合方法の 体例としては、溶液重合、懸濁重合、乳化 合等が挙げられる。これらの中では、モノ ー混合液を溶媒に溶解させ、必要に応じて 合開始剤の存在下で重合させる溶液重合を いることが好ましい。

 活性水素を有する官能基の具体例として 、例えば、水酸基、カルボキシル基、スル ン酸基、アミノ基、アミド基、ホスフェー 基、メルカプト基などが挙げられる。これ の中では水酸基が、カップリング剤との反 性に優れる点及び被覆剤の安定性に優れる から好ましい。

 アクリルポリマー(B)は、活性水素含有モ マー単位を含有する重合体であれば特に限 されず、活性水素含有モノマーと該活性水 含有モノマーと共重合可能な活性水素を有 ないラジカル重合性モノマー(以下、単に活 性水素非含有モノマーとも称する)との共重 体であっても、活性水素含有モノマーの単 重合体であってもよい。

 アクリルポリマー(B)中の活性水素含有モ マー単位の含有割合としては、10質量%以上 さらには20質量%以上で、100質量%以下、さら には80質量%以下であることが好ましい。前記 活性水素含有モノマー単位の含有割合が低す ぎる場合には得られる被膜の親水性が不充分 になる傾向がある。

 アクリルポリマー(B)の重量平均分子量(M w )は5千~20万の範囲であり、好ましくは2万~15万 、さらに好ましくは4万~10万の範囲である。 記重量平均分子量が5千未満の場合には、形 される親水性被膜の表面の耐水性、耐アル リ性が低下する。一方、前記重量平均分子 が20万を超える場合には、(A)コロイダルシ カゾルとの相溶性が低下することにより、 覆剤中に凝集を生じて塗布が困難になった 、良好な塗膜が得られなくなったりする。

 本実施形態の親水性被覆剤においては、 ロイダルシリカゾル(A)とアクリルポリマー( B)との質量比[(A)/(B)]は、5/95~95/5であり、好ま くは、20/80~80/20、さらに好ましくは25/75~75/25 である。A/Bが5/95未満の場合には、高い表面 度が得られず、また、耐溶剤性が低下し、A/ Bが95/5よりも高い場合には、クラックが発生 るなどして良好な塗膜が得られない。

 水酸基を有するラジカル重合性モノマー しては、水酸基を有する、(メタ)アクリル エステル,ビニルエーテル,又は(メタ)アクリ 酸エステルのグリコール系付加物などが挙 られる。

 水酸基を有するラジカル重合性モノマー 具体例としては、例えば、2-ヒドロキシエ ル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ (メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル( タ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒ ロキシアルキルエステル;4-ヒドロキシブチ ビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ ルモノビニルエーテル等のヒドロキシアル ルビニルエーテル;ヒドロキシエチルアリル ーテル、シクロヘキサンジメタノールモノ リルエーテル等のヒドロキシアルキルアリ エーテル;ポリエチレングリコール、ポリプ ロピレングリコール、テトラメチレングリコ ール等のポリアルキレンンポリオールと(メ )アクリル酸とのエステルであるポリオール ノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレンポリ ールとε-カプロラクトンとの付加物などが げられる。なお、ポリオールモノ(メタ)ア リレートの具体例としては、市販品として ブレンマーAETシリーズ、APTシリーズ、AEシリ ーズ、AEPシリーズ、ブレンマーAP-400、AP-550、 AP-800、ブレンマーPEPシリーズ、PETシリーズ、 PPTシリーズ、PPシリーズ(何れも日本油脂(株) );日本乳化剤(株)製のMAシリーズ;第一工業製 薬(株)製のニューフロンティアNFシリーズ;ダ セル化学(株)製のプラクセルFMシリーズ、FA リーズ等が挙げられる。

 カルボキシル基を含有するラジカル重合 モノマーの具体例としては、(メタ)アクリ 酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、 タコン酸、2-アクリロイルオキシエチルフタ ル酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸 ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メ )アクリレート等の不飽和カルボン酸類が挙 られる。

 スルホン酸基を含有するラジカル重合性 ノマーの具体例としては、例えば、ビニル ルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ア ルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル ロパンスルホン酸等が挙げられる。

 アミド基を含有するラジカル重合性モノ ーの具体例としては、例えば、(メタ)アク ルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、 ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジ アセトンアクリルアミド、N-メチロールアク ルアミド等が挙げられる。

 アミノ基を含有するラジカル重合性モノ ーの具体例としては、例えば、ジメチルア ノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア ノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ ノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ 。

 ホスフェート基を含有するラジカル重合 のモノマーの具体例としては、2-(メタ)アク リロイルオキシエチルアシッドホスフェート 等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシ ドホスフェート類が挙げられる。

 一方、活性水素を有する官能基を有しな ラジカル重合性モノマーの具体例としては 例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチ (メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリ ート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロ キシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ) クリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ )アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー ト;グリシジル(メタ)アクリレート;トリフル ロエチル(メタ)アクリレート;ポリシロキサ 含有(メタ)アクリレート;スチレン、ビニル ルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニ 化合物;アクリロニトリル、メタクリロニト ル等のシアン化ビニル化合物;3-メタクリロ シプロピルトリエトキシシラン、ビニルト メトキシシラン等のアルコキシシリル基含 ビニル化合物などが挙げられる。

 上記モノマーは何れも単独でも、2種以上 を組み合わせて用いてもよい。

 重合開始剤の具体例としては、例えば、 ンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオ シド、カプロイルパーオキシド、t-ヘキシ パーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオ キシビバレート等の有機過酸化物、2,2-アゾ ス-iso-ブチロニトリル、2,2-アゾビス-2,4-ジメ チルバレロニトリル、2,2-アゾビス-4-メトキ -2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物 が挙げられる。重合開始剤は単独でも、2種 上を組み合わせて用いてもよい。重合開始 の配合割合としては、ラジカル重合性モノ ー100質量部に対して、0.01~5質量部、さらに 0.5~2質量部であることが好ましい。

 また、溶液重合における溶媒としては、 セトン、メチルエチルケトン、メチルイソ チルケトン等のケトン系有機溶剤、酢酸メ ル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル 有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチ スルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン等の 性溶剤、メチルアルコール、エチルアルコ ル、イソプロピルアルコール等のアルコー 系有機溶剤、トルエン、キシレン、「ソル ッソ100」(エクソンケミカル社製)等の芳香族 炭化水素系有機溶剤、n-ヘキサン、シクロヘ サン、メチルシクロヘキサン、「ロウス」 「ミネラルスピリット EC」(共にシェル社 )等の脂肪族炭化水素系/脂環族炭化水素系有 機溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソル ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系有機 溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の エーテル系有機溶剤、n-ブチルカルビトール iso-アミルカルビトール等のカルビトール系 有機溶剤が挙げられる。これらは、単独でも 、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

 アクリルポリマー(B)は、アクリル樹脂溶 、アクリルエマルジョン、アクリルサスペ ジョン等の液体状態で配合される。アクリ 樹脂溶液、アクリルエマルジョン、または クリルサスペンジョン中のアクリルポリマ (B)の固形分濃度としては、10~80質量%、さら は、20~60質量%であることがアクリルポリマ 製造時の安定製造及び作業性の点から好ま い。

 一方、本実施形態における反応性シラン ップリング剤(C)は、コロイダルシリカゾル( A)とアクリルポリマー(B)との間に架橋構造を 成するために用いられる。すなわち、反応 シランカップリング剤(C)は、その末端官能 によりアクリルポリマー(B)の活性水素と反 し、また、その末端のアルコキシシリル基 より反応コロイダルシリカゾル(A)表面のシ ノール基とシラノール結合を形成する。そ て、コロイダルシリカゾル(A)とアクリルポ マー(B)との間に架橋構造を形成することに り、得られる被膜表面に高い耐アルカリ性 高い親水性を付与しうると考えられる。

 反応性シランカップリング剤(C)の具体例 しては、例えば、グリシドキシプロピルト メトキシシラン(信越化学工業(株)製のKBM403 チッソ(株)製のサイラプレーンS-510等)、グ シドキシプロピルトリエトキシシラン(信越 学工業(株)製のKBE403、東レ・ダウコーニン (株)製のZ-6041等)等のエポキシ基含有シラン ップリング剤;アミノプロピルトリメトキシ ラン(信越化学工業(株)製のKBM903、東レ・ダ コーニング(株)製のZ-6610等)、アミノプロピ トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製のK BE903、チッソ(株)製のサイラプレーンS330等)等 のアミノ基含有シランカップリング剤;メル プトプロピルトリメトキシシラン(信越化学 業(株)製のKBM803、東レ・ダウコーニング(株) 製のZ-6062等)のメルカプト基含有シランカッ リング剤;ウレイドプロピルトリエトキシシ ン(信越化学工業(株)製のKBE585、東レ・ダウ ーニング(株)製のZ-6676等)等のウレタン基含 シランカップリング剤;イソシアネートプロ ピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 のKBE9007等)のイソシアネート基含有シランカ プリング剤、等が挙げられる。これらの中 は、グリシドキシプロピルトリメトキシシ ン、アミノプロピルトリメトキシシラン、 ソシアネートプロピルトリエトキシシラン 被覆剤の安定性及び反応性に優れる点から ましい。

 反応性シランカップリング剤(C)の配合割 としては、コロイダルシリカゾル(A)とアク ルポリマー(B)との合計量(A+B)とシランカッ リング剤(C)との質量比[(A+B)/(C)]で、30/70~95/5 あり、好ましくは50/50~90/10、さらに好ましく は、60/40~80/20である。質量比[(A+B)/(C)]が30/70未 満の場合には成膜性が低下して、表面硬度及 び耐水性が低下する。また、質量比[(A+B)/(C)] 95/5を超える場合には、コロイダルシリカ(A) とアクリルポリマー(B)との架橋が少なくなる ことにより、コロイダルシリカゾル(A)とアク リルポリマー(B)との界面での結合が少なくな るために、親水性及び耐アルカリ性が低下す る。

 本実施形態におけるアクリルポリマー(B) 対する硬化剤(D)は、アクリルポリマー(B)を 化させることにより、形成される被膜に高 耐アルカリ性、耐水性、及び耐溶剤性等を 与する成分である。

 硬化剤(D)は、アクリルポリマー(B)が有す 活性水素との反応性を具備する官能基を少 くとも2つ以上有する化合物であれば特に限 定なく用いられる。

 硬化剤(D)の具体例としては、少なくとも2 つ以上の反応性の官能基を有する、例えば、 ポリイソシアネート、メラミン樹脂系硬化剤 、エポキシ系硬化剤、カルボジイミド系硬化 剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる 。これらの中では、ポリイソシアネート、メ ラミン樹脂系硬化剤が、特には、ポリイソシ アネートが比較的低温でも反応性に優れる点 から好ましい。

 ポリイソシアネートの具体例としては、 えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、 ソホロンジイソシアネート、トルエンジイ シアネ-ト等を出発原料としたビウレット、 イソシアヌレート構造を有する3官能のポリ ソシアネート(三井武田ケミカル(株)製のNP110 0(ビウレット構造)、D-170N(イソシアヌレート 造)等)、エチレンオキサイド等の親水基によ り変性された水分散型ポリイソシアネート( 井武田ケミカル(株)製のWDシリーズ、旭化成 ミカルズ(株)製のデュラネートWB40-100)、ま は水分散ブロック型のイソシアネート(三井 田ケミカル(株)製のWBシリーズ)等が挙げら る。

 また、メラミン樹脂系硬化剤の具体例と ては、例えば、市販品として(株)三和ケミ ル製のニカラックシリーズなどが挙げられ 。

 また、エポキシ系硬化剤の具体例として 、例えば、市販品として、油化シェルエポ シ(株)製のエピコートシリーズ、共栄社化 (株)製のエポライトシリーズ等が挙げられる 。

 また、カルボジイミド系硬化剤の具体例 しては、例えば、市販品として、日清紡(株 )製のカルボジライトシリーズなどが挙げら る。

 また、オキサゾリン系硬化剤の具体例と ては、例えば、市販品として、日本触媒(株 )製のエポクロスシリーズなどが挙げられる

 硬化剤(D)の配合割合は、アクリルポリマ (B)を充分に硬化させる割合であれば特に限 されず、アクリルポリマー(B)の種類や、活 水素含有量等により適宜選択される。具体 には、例えば、アクリルポリマー(B)が水酸 含有アクリルポリマーであり、硬化剤(D)が リイソシアネートである場合には、水酸基 有アクリルポリマーの水酸基1当量に対して 、ポリイソシアネートのイソシアネート基が 0.2~3当量になるような配合割合であることが ましい。

 本実施形態の被覆剤においては、活性水 を有する界面活性剤(E)をさらに配合しても い。活性水素を有する界面活性剤(E)を配合 ることにより、得られる被膜表面の親水性 さらに向上する。また、界面活性剤が活性 素を有するために、反応性シランカップリ グ剤(C)や硬化剤(D)と反応することにより親 性の向上効果が長期間維持される。

 界面活性剤(E)としては、活性水素を有す ものである限り特に限定されない。具体的 は、活性水素を有する官能基を有する、ア オン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤 ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が げられる。活性水素を有する官能基として 、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ア ド基等が挙げられる。

 活性水素を含有するアニオン系界面活性 の具体例としては、例えば、ヒマシ油モノ ルフェート、ヒマシ油モノホスフェート、 ルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ソ ビタン脂肪酸エステルホスフェート、ポリ キシアルキレングリセリンエーテルモノサ フェート、ポリオキシアルキレングリセリ エーテルモノホスフェート、パーフルオロ ルキルエステルホスフェートなどが挙げら る。

 活性水素を含有するカチオン系界面活性 の具体例としては、ジアルカノールアミン 、ポリオキシアルキレンアルキルアミンエ テル塩、ポリオキシアルキレンアルキルア モニウム塩、ポリオキシアルキレンジアル ノールアミンエーテル塩などが挙げられる

 活性水素を含有するノニオン系界面活性 としては、ポリオキシエチレンポリオキシ ロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂 酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビ ン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸 ステルなどが挙げられる。

 活性水素を含有する両性界面活性剤の具 例としては、N,N-ジ(β-ヒドロキシアルキル)N -ヒドロキシエチル-N-カルボキシアルキルア モニウムベタイン、N,N-ジ(ポリオキシエチレ ン)-N-アルキル-N-スルホアルキルアンモニウ ベタイン、パーフルオロアルキルベタイン どが挙げられる。

 界面活性剤(E)の配合割合としては、アク ルポリマー(B)と界面活性剤(E)との合計量[(B) +(E)]に対して、30質量%以下、さらには、20質 %以下であり、5質量%以上、さらには、10質量 %以上であることが好ましい。界面活性剤(E) 配合割合が30質量%を超える場合には、得ら る被膜の硬度、耐水性、耐アルカリ性、及 耐溶剤性が低下する傾向がある。

 本実施形態の表面親水性被覆剤は、硬化 属触媒(F)をさらに含有することが好ましい 硬化金属触媒(F)を配合することにより、コ イダルシリカゾル(A)と反応性シランカップ ング剤(C)との縮合反応が促進されて得られ 被膜の硬度及び耐アルカリ性をさらに向上 せることができる。

 硬化金属触媒(F)の具体例としては、例え 、スズ、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、ア ミニウムの金属塩、アルコキシド、キレー 化合物などが挙げられる。具体的にはアル ニウムモノアセチルアセトネート、ジ-イソ プロポキシチタニウムビス(エチルアセトア テート)、ジルコニウムテトラエチルアセト セテートなどが挙げられる。

 硬化金属触媒(F)の配合割合としては、表 親水性被覆剤の全量中、0.01~0.2質量%、さら は、0.05~0.1質量%の範囲であることが好まし 。硬化金属触媒(F)の配合割合が高すぎる場 には、得られる被膜の硬度、耐アルカリ性 向上するが、親水性が低下する傾向がある

 本実施形態の表面親水性被覆剤には、本 明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ 紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐 安定剤、帯電防止剤、消泡剤などの各種添 剤をさらに配合してもよい。

 本実施形態の表面親水性被覆剤は、コロ ダルシリカゾル(A)、アクリルポリマー(B)の 液、反応性シランカップリング剤(C)、硬化 (D)とを、上述した配合割合になるように混 することにより調製される。なお、硬化剤( D)をコロイダルシリカゾル(A)やアクリルポリ ー(B)と混合すると、すぐに架橋反応が開始 れるために、硬化剤(D)は塗布直前に配合す ことが好ましい。具体的には、コロイダル リカゾル(A)と反応性シランカップリング剤( C)、必要に応じて界面活性剤(E)及び硬化金属 媒(F)を予備混合した後、アクリルポリマー( B)の溶液を徐々に添加して均一混合して主剤 得る。そして、基材に塗布する直前に主剤 硬化剤(D)を添加することにより表面親水性 覆剤が調製される。さらに具体的には、例 ば、コロイダルシリカ(A)、反応性シランカ プリング剤(C)、界面活性剤(E)、及び硬化金 触媒(F)を容器に仕込み、40℃まで昇温する そして、前記容器にアクリルポリマー(B)を 々に、具体的には30~60分間程度かけて滴下す る。そして、滴下終了後、さらに40℃で30~60 間程度撹拌することにより主剤を調整する そして、基材に塗布する直前に、主剤に硬 剤(D)を配合して撹拌混合することにより表 被覆剤が調製される。

 調製された表面親水性被覆剤は、反応が 行しすぎる前に基材に塗布することが好ま い。

 基材は特に限定されず、ポリカーボネー 樹脂、ポリアクリル系樹脂、スチレン系樹 などの各種樹脂基材、ステンレス、鋼、ア ミニウムなどの各種金属基材、ガラスなど 無機基材等が特に限定なく用いられる。ま 、基材の形態も、板、フィルム、成形品等 に限定されない。

 塗布方法は特に限定されず、ディッピン 、ロールコート、スピンコート、バーコー 等の各種塗布方法が特に限定なく用いられ る。

 塗布された表面被覆剤は60~180℃、好まし は80~150℃程度の温度で15~120分間、好ましく 30~60分間程度加熱することにより熱硬化さ る。これにより、親水性被膜が形成される また、可能である限り、常温硬化や光硬化 よる硬化であってもよい。

 親水性被膜の膜厚は特に限定されないが 例えば、2~90μm、さらには、5~50μm程度であ ことが好ましい。

 このような、表面被覆剤は、眼鏡、ゴー ル等のレンズ、建築用、車両用、計器用の 材等に親水性被覆を形成するために好まし 用いられる。

 以下、本発明を実施例により更に詳しく 明する。なお、以下の「%」、「部」は質量 基準を意味する。

 なお、本発明は下記実施例何ら限定され ものではなく、本発明の技術的思想の範囲 で任意の変形をなし得る。

 《水酸基を有するアクリルポリマーの合成 》
 (合成例1)
 反応容器中に、メチルエチルケトン(MEK)224 と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)56部とからな 混合溶媒を仕込み、60℃まで昇温した。

 一方、メチルメタクリレート(MMA)78部及び ポリエチレングリコールのメタクリル酸エス テル(MA-50A、日本乳化剤(株)製)42部からなる混 合モノマーと、重合触媒としてt-ヘキシルパ オキシネオデカネート(パーヘキシルND、日 油脂(株)製)1.2部と、を撹拌混合することに りモノマー混合液を調製した。

 上記混合溶媒にモノマー混合液を60℃で3時 かけて滴下し、3時間後に反応を終了した。 このようにして、水酸基を有するM w 80000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 製造した。

 (合成例2)
 モノマー混合液として、MA-50Aからなるモノ ー120部とパーヘキシルND1.8部とを撹拌混合 ることにより調製したモノマー混合液を用 た以外は合成例1と同様にして、水酸基を有 るM w 40000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 製造した。

 (合成例3)
 混合モノマーとして、MMA 78部、MA-50A 36部 及びアクリル酸(AA)6部からなる混合モノマー を用いた以外は合成例1と同様にして、水酸 とカルボキシル基とを有するM w 90000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 製造した。

 (合成例4)
 混合モノマーとして、MMA 102部、及び、MA-50 A 18部からなる混合モノマーを用いた以外は 成例1と同様と同様にして、水酸基を有する M w 85000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 製造した。

 (合成例5)
 混合モノマーとして、MMA60部、及び2-ヒドロ キシエチルメタクリレート(2-HEA)60部からなる 混合モノマーを用いた以外は合成例1と同様 して、水酸基を有するM w 100000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 を製造した。

 (合成例6)
 モノマー混合液として、MA-50A 120部とパー キシルND6部と連鎖移動剤(2-メルカプトエタ ール)2.4部とを撹拌混合することにより調製 たモノマー混合液を用いた以外は合成例1と 同様にして、水酸基を有するM w 4000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 製造した。

 (合成例7)
 重合触媒(パーヘキシルND)の添加量を1.2部か ら0.6部に変更した以外は合成例1と同様にし 、水酸基を有するM w 250000のアクリルポリマーを含有する樹脂溶液 を製造した。

 表1に、合成例1~7におけるモノマー組成、溶 媒の種類、および得られたアクリルポリマー の重量平均分子量(M w )、樹脂溶液の粘度及び不揮発分、アクリル リマーの水酸基価をまとめて示す。

 《実施例》
 合成例1~7で得られた水酸基含有アクリルポ マーを用いて以下のように親水性被覆剤を 造した。

 なお、本実施例で用いたその他の原材料に いて、以下にまとめて説明する。
(A)コロイダルシリカゾル
・MEK-ST:分散粒径10~15nmの日産化学(株)製、ス ーテックシリーズ、不揮発分30%
・メタノール-シリカゾル:分散粒径10~15nmの日 産化学(株)製スノーテックシリーズ、不揮発 30%

(C1)反応性シランカップリング剤
・S-510溶液:グリシドキシプロピルトリメトキ シシラン(サイラプレーンS-510、チッソ(株)製) のMEK溶液、不揮発分30%
・KBE-9007溶液:イソシアネートプロピルトリエ トキシシラン(KBE-9007、信越化学工業(株)製)の MEK溶液、不揮発分30%

(C2)非反応性シランカップリング剤
・メチルシリケート溶液:メチルシリケート MEK溶液、不揮発分30%

(D)硬化剤
・WB40-100溶液:デュラネートWB40-100(旭化成ケミ カルズ(株)製の親水基付与変性ヘキサメチレ ジイソシアネート(HDI)のビュレット型水分 ポリウレタン樹脂)の溶液、不揮発分30%
・NP1100溶液:MT-オレスタ-NP1100(三井武田ケミカ ルズ(株)製のヘキサメチレンジイソシアネー (HDI)のビュレット型ポリレタン)のMEK溶液、 揮発分30%

(E)界面活性剤
・エバンU105溶液:ポリオキシエチレンポリオ シプロピレングリコールエーテル(第一工業 製薬(株)製エバンU105)のMEK溶液、不揮発分30%
・VISGARD-A:スルフォン酸アミン塩(67%)とオキシ エチレン-オキシプロピレン(37%)との共重合体 の溶液(Film Specialties社製)、不揮発分27%

(F)硬化触媒
・アルミキレートD:アルミニウムモノアセチ アセテート(川研ファインケミカル(株)製の ルミキレートD)のMEK溶液、不揮発分30%

(G)吸水ポリオール
・PEG-1000溶液:ポリエチレングリコール(第一 業製薬(株)製のPEG-1000)のMEK溶液、不揮発分30%

 (実施例1)
 表2に示すような組成により、以下の方法に より親水性被覆剤を調製した。

 はじめに、反応容器中にMEK-ST40部及びS-510 溶液 40部を仕込み、40℃まで昇温した。

 次に、合成例1で得られた水酸基含有アク リルポリマー溶液20部を上記反応容器内に45 間かけて滴下し、滴下終了後に40℃、30分間 拌することにより主剤を調製した。

 そして、得られた主剤にWB40-100溶液 7.7部 を撹拌混合することにより親水性被覆剤を得 た。

 (実施例2~14)
 表2の組成に従って調製した以外は、実施例 1と同様にして親水性被覆剤を得た。

 (比較例1~11)
 表3の組成に従って調製した以外は、実施例 1と同様にして親水性被覆剤を得た。

 《親水性被覆剤の評価方法》
 上記実施例1~14、及び比較例1~11で得られた 剤に硬化剤(D)を撹拌混合して親水性被覆剤 調製した。そして、アプリケーター4milで150m m×70mm×0.5mm(厚み)のガラス板に得られた被覆 を塗布した後、120℃、20分の条件で乾燥して 試験板を作成した。そして、得られた試験板 を用いて、下記評価試験に供した。

 但し、比較例1で得られた親水性被覆剤は 塗膜表面に粉状のツブが多数発生し、また、 比較例10で得られた親水性被覆剤は塗工液が 集したため、共に試験できなかった。

 (外観評価)
 JIS K 5600-1-1の4.4「塗膜の外観」の試験法に 準拠して、下記の基準により透明性及びクラ ックの有無を判定した。
 優:無色透明であり、クラックなし。
 劣:白濁し、またはクラックが発生した。

 (鉛筆硬度)
 JIS K 5600-5-4「引っ掻き硬度(鉛筆法)」の試 法に準拠して、鉛筆硬度試験を実施した。 筆硬度試験においては、硬度が低い方から いほうにB、HB、F、Hの順に並べられる。ま 、「H」の前に付く数字が大きいほど硬度が く、「B」の前に付く数字が大きいほど硬度 が低い。

 (耐水性)
 試験板を23℃±2℃の水中に3日間浸漬した。 して浸漬後の試験片の外観を観察して、JIS K 5600-1-1の4.4「塗膜の外観」の試験法に準拠 して、耐水性を判定した。
 優:無色透明であった。
 普通:半透明であった
 劣:白化或は溶解した。

 (耐アルカリ性)
 試験板を23℃±2℃の5%水酸化ナトリウム水溶 液中に3日間浸漬した。そして浸漬後の試験 の外観を観察して、JIS K 5600-1-1の4.4「塗膜 外観」の試験法に準拠して、耐アルカリ性 判定した。
 優:無色透明であった。
 普通:半透明であった
 劣:白化或は溶解した。

 (耐溶剤性)
 試験板表面に形成された被膜の表面にアセ ンを滴下した後、荷重100gをかけて50回ラビ グ試験を行った。そして、JIS K 5600-1-1の4.4 「塗膜の外観」の試験法に準拠して、耐溶剤 性を判定した。
 優:無色透明であった。
 普通:半透明であった
 劣:白化或は溶解した。

 (防曇性)
 50℃の温水の表面に1cmの間隔を空けて試験 の塗布面を対向させ、被膜の表面が曇り始 るまでの時間を測定した。
 優:曇り始めるまでの時間に2分以上を要し 。
 普通:曇り始めるまでの時間が1分以上、2分 満であった。
 劣:曇り始めるまでの時間が1分未満であっ 。

 (表面親水性(水接触角))
 試験板表面に0.4μLの水滴を垂らし、接触角 (協和界面科学社製、Drop Master500)により接 角を測定した。結果を表4及び表5に示す。

 実施例1~14で調製した表面被覆剤から得ら れる被膜の外観は何れも無色透明であり、ク ラックの発生の無い外観性に優れたものであ った。また、その鉛筆硬度は何れも2H以上で った。さらに耐水性、耐アルカリ性、耐溶 性、防曇性も優れていた。また、何れの被 も水に対する接触角が低く、親水性に優れ いた。

 一方、比較例1で得られた親水性被覆剤は 、コロイダルシリカゾル(A)の割合が多すぎる ために、塗膜表面に粉状のツブが多数発生し て正常な塗膜が得られなかった。また、比較 例2で得られた親水性被覆剤は、コロイダル リカゾル(A)の割合が少なすぎるために、外 性には優れているが、硬度や耐溶剤性が低 した。

 また、比較例3で得られた親水性被覆剤は 、反応性シランカップリング剤(C)が少なすぎ るために、親水性が低くなって防曇性が低下 した。また、被膜の耐アルカリ性も低下した 。一方、比較例4で得られた親水性被覆剤は 反応性シランカップリング剤(C)が多過ぎる めに、親水性が低下することにより防曇性 低下した。また、被膜の硬度も大幅に低下 、耐水性、耐アルカリ性及び耐溶剤性が劣 ていた。

 また、比較例5で得られた親水性被覆剤は 、硬化剤(D)を含有しないために、アクリルポ リマー(B)が架橋構造を形成しない。従って、 耐アルカリ性、耐水性、及び耐溶剤性が劣っ ていた。

 また、比較例6で得られた親水性被覆剤は 、反応性シランカップリング剤(C)を含有しな いために、コロイダルシリカゾル(A)に対する アクリルポリマー(B)の架橋形成が不充分にな るために、耐アルカリ性や防曇性が劣ってい た。

 また、比較例7で得られた親水性被覆剤は 、コロイダルシリカゾル(A)を含有しないため に、硬度及び耐溶剤性が劣っていた。

 また、比較例8で得られた親水性被覆剤は 、末端官能基を有しないシランカップリング 剤を含有するために、比較例6と同様に、コ イダルシリカゾル(A)に対するアクリルポリ ー(B)の架橋形成が不充分になるために、耐 ルカリ性や防曇性が劣っていた。

 また、比較例9で得られた親水性被覆剤は 、アクリルポリマー(B)の分子量が低いために 耐水性や耐アルカリ性が劣っていた。また、 比較例10で得られた親水性被覆剤は、アクリ ポリマー(B)の分子量が高すぎるために、コ イダルシリカゾル(A)との相溶性が低下して 製造時に凝集して塗布が困難な状態になっ 。

 また、比較例11で得られた親水性被覆剤 特許文献2に記載された発明に属するもので る。比較例11で得られた親水性被覆剤はコ イダルシリカゾル(A)を含有せず、また、界 活性剤(E)の含有割合が高いために硬度が極 て低かった。

 以上詳述したように、本発明の一局面の親 性被覆剤は、(A)コロイダルシリカゾルと、( B)活性水素を有する重量平均分子量(M w )5千~20万のアクリルポリマーと、(C)反応性シ ンカップリング剤と、(D)アクリルポリマー( B)に対する硬化剤とを含有し、(A)成分と(B)成 との質量比[(A)/(B)]が5/95~95/5であり、且つ、( A)成分及び(B)成分の合計と(C)成分との質量比[ (A+B)/(C)]が30/70~95/5であることを特徴とする。 のような親水性被覆剤によれば、高い親水 及び防曇性と、硬度,耐水性,耐アルカリ性 を兼ね備えた親水性被膜を形成することが きる。

 また、上記親水性被覆剤は、(B)成分と(E) 分との合計量に対して、活性水素を有する 面活性剤(E)を30質量%以下の割合、より好ま くは5~20質量%の範囲でさらに含有すること 好ましい。このような構成によれば、被膜 親水性をさらに向上させることができる。 た、界面活性剤が活性水素を有するために 反応性シランカップリング剤(C)や硬化剤(D) 反応することにより、親水性の向上効果が 時間維持される。

 また、前記アクリルポリマー(B)は、活性 素を有するラジカル反応性モノマー単位と 性水素を有しないラジカル反応性モノマー 位との共重合体であり、前記活性水素を有 るラジカル反応性モノマー単位の構成割合 20質量%以上であることが、被膜により優れ 親水性を付与できる点から好ましい。

 また、アクリルポリマー(B)は、水酸基,カ ルボキシル基,アミノ基,アミド基,スルホン酸 基,及び,ホスフェート基よりなる群から選ば る少なくとも一種の官能基を有することが 性水素を有する点から好ましい。

 また、コロイダルシリカゾル(A)が、平均 子径1~200nmの微粒子シリカを分散質として含 有する場合には、被覆剤の安定性に優れ、硬 化後の被膜の透明性に優れる点から好ましい 。

 また、シランカップリング剤(C)としては グリシドキシプロピルトリメトキシシラン アミノプロピルトリメトキシシラン、及び ソシアネートプロピルトリエトキシシラン らなる群から選ばれる少なくとも一種が被 剤の安定性及び反応性に優れる点から好ま い。

 また、硬化剤(D)としては、ポリイソシア ート、及びメラミン樹脂からなる群から選 れる少なくとも一種であることが比較的低 温度においても反応性が優れている点から ましい。

 また、上記親水性被覆剤は、硬化金属触 (F)をさらに含有することが、コロイダルシ カゾル(A)と反応性シランカップリング剤(C) の縮合反応が促進されることにより、得ら る被膜の硬度及び耐アルカリ性をさらに向 させることができる点から好ましい。

 また、本発明の他の一局面の親水性被膜 、上記いずれかの親水性被覆剤を基材に塗 し、硬化させて得られることを特徴とする このような親水性被膜は、高い親水性及び 曇性と、硬度,耐水性,耐アルカリ性とを兼 備えたものである。

 また、本発明の他の一局面の親水性基材 、上記親水性被膜で被覆されたことを特徴 する。このような親水性基材は、高い親水 及び防曇性と、硬度,耐水性,耐アルカリ性 を兼ね備えた表面を有する。

 本発明の親水性被覆剤は、親水性ハード ート用材料、防曇用コーティング剤、帯電 止用コーティング剤、油汚れや指紋などの 汚コーティング剤などに広く利用される。




 
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