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Patent Searching and Data


Title:
HYDROPHILIC POROUS MEMBRANE AND METHOD FOR PRODUCING HYDROPHILIC POROUS MEMBRANE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175416
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a hydrophilic porous membrane that includes a porous membrane and a hydroxyalkyl cellulose supported on the porous membrane. The average pore diameter is different for each surface of the porous membrane. The hydroxyalkyl cellulose, which is distributed in the thickness direction of the hydrophilic porous membrane, shows two detection intensity peaks in GPC. Between those peaks, the weight average molecular weight (Mwmin) of the peak that is detected last is less than 100,000. Also provided is a method for producing a hydrophilic porous membrane, the method comprising separately preparing a hydrophilic liquid containing a hydroxyalkyl cellulose having a lower weight average molecular weight and a hydrophilic liquid containing a hydroxyalkyl cellulose having a higher weight average molecular weight, and sequentially coating these hydrophilic liquids on both surfaces or one surface of the porous membrane.

Inventors:
ISHII AKIHIRO (JP)
UMEHARA TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007282
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 25, 2020
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
International Classes:
B01D69/00; B01D69/10; B01D69/12; B01D71/12; B01D71/68
Domestic Patent References:
WO2014115438A12014-07-31
WO2005032684A22005-04-14
WO2005037413A12005-04-28
Foreign References:
JPH0975694A1997-03-25
JP2015157278A2015-09-03
JP2007136449A2007-06-07
JP2000515062A2000-11-14
JPS6368646A1988-03-28
JP2003251152A2003-09-09
JP2006116383A2006-05-11
JPS6434403A1989-02-03
JPS6434403A1989-02-03
JPS63141610A1988-06-14
JPS63141610A1988-06-14
JPH04349927A1992-12-04
JPH04349927A1992-12-04
JP2010268966A2010-12-02
JPH0468966B21992-11-04
JPH04351645A1992-12-07
JPH04351645A1992-12-07
JP2010235808A2010-10-21
JP2012045524A2012-03-08
JPH09227714A1997-09-02
JPH09227714A1997-09-02
Other References:
See also references of EP 3932528A4
Attorney, Agent or Firm:
SIKS & CO. (JP)
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Claims:
〇 2020/175416 27 卩(:171? 2020 /007282

請求の範囲

[請求項 1] 多孔質膜と前記多孔質膜に保持されたヒドロキシアルキルセルロース を含む親水性多孔質膜であって、

前記多孔質膜の両表面どうしで平均孔径が異なっており、

前記親水性多孔質膜の厚み方向に分布する前記ヒドロキシアルキルセ ルロースはゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィで検出強度のピ _ クを 2つ以上示し、

前記ピークのうち最も遅く検出されるピークの重量平均分子量 IV! が 1 0 0 , 0 0 0未満である、 前記親水性多孔質膜。

[請求項 2] 前記親水性多孔質膜を厚み方向に平均孔径がより小さい表面側から均 等厚みで 2つの部分 、 部分巳に分けたとき、

前記部分巳に保持された前記ヒドロキシアルキルセルロースよりも、 前記部分 に保持された前記ヒドロキシアルキルセルロースのゲルパ —ミエーシヨンクロマトグラフィにおいて、 前記の最も遅く検出され るピークの検出強度が大きい、 請求項 1 に記載の親水性多孔質膜。 [請求項 3] 孔径が最小となる層状の緻密部位を内部に有し、

前記緻密部位から前記多孔質膜の少なくとも一方の膜表面に向かって 厚み方向で孔径が連続的に増加しており、

前記緻密部位が前記部分 にある請求項 2に記載の親水性多孔質膜。 [請求項 4] 前記緻密部位の平均孔径が〇. 0 1〜 5 である請求項 3に記載の 親水性多孔質膜。

[請求項 5] 前記ピークのうち最も早く検出されるピークの重量平均分子量 IV! が以下の関係を満たす請求項 1〜 4のいずれか一項に記載の親水性多 孔質膜;

3 0 , 0 0 0 £ 1\^ノ1£ 1 3 0 , 0 0 0

式中、 は前記多孔質膜の平均孔径の大きい側の表面の平均孔径 [ ] である。

[請求項 6] 前記多孔質膜がポリエーテルスルホンまたはポリスルホンを含む請求 〇 2020/175416 28 卩(:171? 2020 /007282

項 1〜 5のいずれか一項に記載の親水性多孔質膜。

[請求項 7] 前記ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロース である請求項 1〜 6のいずれか一項に記載の親水性多孔質膜。

[請求項 8] 前記ヒドロキシアルキルセルロースの総質量が前記多孔質膜の総質量 に対し〇. 0 2〜 3質量%である請求項 1〜 7のいずれか一項に記載 の親水性多孔質膜。

[請求項 9] 多孔質膜と前記多孔質膜に保持されたヒドロキシアルキルセルロース を含む親水性多孔質膜の製造方法であって、

両表面において平均孔径が異なる前記多孔質膜を用意すること、 前記多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に重量平均分子量のより 大きいヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化液を塗布すること 、 および

前記多孔質膜の平均孔径がより小さい表面側に重量平均分子量のより 小さいヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化液を塗布すること を含む、 前記製造方法。

[請求項 10] 多孔質膜と前記多孔質膜に保持されたヒドロキシアルキルセルロース を含む親水性多孔質膜の製造方法であって、

両表面において平均孔径が異なる前記多孔質膜を用意すること、 およ び

前記多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に重量平均分子量のより 小さいヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化液を塗布し、 その 後、 同じ表面側に重量平均分子量のより大きいヒドロキシアルキルセ ルロースを含む親水化液を塗布することを含む、 前記製造方法。

[請求項 1 1 ] より小さい前記重量平均分子量が 1 〇〇, 0 0 0未満である請求項 9 または 1 0に記載の製造方法。

[請求項 12] 前記ヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化液のヒドロキシアル キルセルロース濃度がいずれも〇. 0 0 5〜〇. 5質量%である請求 項 9〜 1 1のいずれか一項に記載の製造方法。

Description:
\¥0 2020/175416 1 卩(:17 2020 /007282

明 細 書

発明の名称 : 親水性多孔質膜および親水性多孔質膜の製造 方法 技術分野

[0001 ] 本発明は、 親水性多孔質膜および親水性多孔質膜の製造 方法に関する。

背景技術

[0002] ポリマーを材料とする多孔質膜は水浄化用途 などのろ過膜として工業的に 有用であり、 プリーツ加工して一定の容量の力ートリッジ 中に収めた製品も 市販されている。 通常、 フィルターカートリッジには、 ピンホールやシール 不良のような欠陥の有無を確認するために完 全性試験が実施される。 完全性 試験では、 ろ過器に装着したろ過膜に通水して細孔を水 で満たした後に空気 圧力を負荷し気体の漏れを観察する。 このとき、 ろ過膜が水に濡れず、 水で 塞がれない細孔があると、 圧力をかけたときに欠陥が存在しなくても気 体が 漏れるため、 欠陥の有無(完全性)の判定ができない。 すなわち、 ろ過膜が疎 水性であると、 完全性試験による欠陥の有無の正確な確認が 困難である。 そ のため、 従来から、 親水性ポリマーを用いた多孔質膜の親水化が 行われてい る。

[0003] 特許文献 1 には、 ポリエーテルスルホン膜に親水性ポリマーを 付与して得 られたオートクレープ滅菌処置にも耐える精 密ろ過多孔質膜について開示さ れている。 特許文献 1 に記載の精密ろ過多孔質膜の製造には、 親水性ポリマ —として分子量 1 1 0 , 0 0 0から 1 5 0 , 0 0 0のヒドロキシプロピルセ ルロースが用いられている。

[0004] 特許文献 2には、 異方性多孔質膜であるポリエーテルスルホン 膜をヒドロ キシプロピルセルロースで親水化したフィル ターのプリーツ加工処理法が記 載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 0 3 _ 2 5 1 1 5 2号公報 〇 2020/175416 2 卩(:171? 2020 /007282

特許文献 2 :特開 2 0 0 6 _ 1 1 6 3 8 3号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] 孔径分布を有する異方性多孔質膜では、 孔径の小さい部位の親水化が不十 分になったり、 目詰まりを起こしたりしやすく、 特許文献 1および 2に記載 の親水化方法はまだ改善の余地がある。

本発明は、 親水性多孔質膜およびその製造方法を提供す ることを課題とす る。 特に、 本発明の課題は、 フイルターカートリッジのろ過膜として使用 さ れた際に完全性試験に合格できる親水性多孔 質膜であって透水性の高い親水 性多孔質膜およびその製造方法を提供するこ とである。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明者らは、 上記課題の解決のため鋭意検討を重ね、 重量平均分子量が

1 0 0 , 0 0 0未満のヒ ドロキシアルキルセルロースとより重量平均 分子量 が大きいヒ ドロキシアルキルセルロースとを組み合わせ て用いて作製した親 水性多孔質膜が完全性試験において十分な親 水性による正確な結果を与える とともに透水性も高いことを見出し、 上記課題の解決に至った。

[0008] すなわち、 本発明は以下の< 1>〜< 1 2>を提供するものである。

<1>多孔質膜と上記多孔質膜に保持された ドロキシアルキルセルロース を含む親水性多孔質膜であって、

上記多孔質膜の両表面どうしで平均孔径が異 なっており、

上記親水性多孔質膜の厚み方向に分布する上 記ヒドロキシアルキルセルロー スはゲルパーミエーシヨンクロマトグラフイ で検出強度のピークを 2つ以上 示し、

上記ピークのうち最も遅く検出されるピーク の重量平均分子量 IV! „が 1 0 0 , 0 0 0未満である、 上記親水性多孔質膜。

<2>上記親水性多孔質膜を厚み方向に平均 径がより小さい表面側から均 等厚みで 2つの部分 、 部分巳に分けたとき、

上記部分巳に保持された上記ヒドロキシアル キルセルロースよりも、 上記部 〇 2020/175416 3 卩(:171? 2020 /007282

分八に保持された上記ヒ ドロキシアルキルセルロースのゲルパーミエ ーシヨ ンクロマトグラフィにおいて、 上記の最も遅く検出されるピークの検出強度 が大きい、 < 1>に記載の親水性多孔質膜。

< 3>孔径が最小となる層状の緻密部位を内部 有し、

上記緻密部位から上記多孔質膜の少なくとも 一方の膜表面に向かって厚み方 向で孔径が連続的に増加しており、

上記緻密部位が上記部分 にある< 2>に記載の親水性多孔質膜。

< 4>上記緻密部位の平均孔径が 0 . 0 1〜 5 である<3>に記載の親 水性多孔質膜。

<5>上記ピークのうち最も早く検出される ークの重量平均分子量 IV! が 以下の関係を満たす< 1>〜<4>のいずれかに記載の親水性多孔質 ;

3 0 , 0 0 0 £ 1\^ノ1£ 1 3 0 , 0 0 0

式中、 は上記多孔質膜の平均孔径の大きい側の表面 の平均孔径 [ ] で ある。

[0009] <6>上記多孔質膜がポリエーテルスルホン たはポリスルホンを含む< 1 >〜< 5>のいずれかに記載の親水性多孔質膜。

<7>上記ヒドロキシアルキルセルロースが ドロキシプロピルセルロース である< 1>〜< 6>のいずれかに記載の親水性多孔質膜。

<8>上記ヒドロキシアルキルセルロースの 質量が上記多孔質膜の総質量 に対し〇. 0 2〜 3質量%である<1>~< 7>のいずれかに記載の親水性 多孔質膜。

< 9>多孔質膜と上記多孔質膜に保持されたヒ ロキシアルキルセルロース を含む親水性多孔質膜の製造方法であって、

両表面において平均孔径が異なる上記多孔質 膜を用意すること、

上記多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側 に重量平均分子量のより大きい ヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化 液を塗布すること、 および 上記多孔質膜の平均孔径がより小さい表面側 に重量平均分子量のより小さい ヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化 液を塗布することを含む、 上記 〇 2020/175416 4 卩(:171? 2020 /007282

製造方法。

< 1 〇>多孔質膜と上記多孔質膜に保持された ドロキシアルキルセルロー スを含む親水性多孔質膜の製造方法であって 、

両表面において平均孔径が異なる上記多孔質 膜を用意すること、 および 上記多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側 に重量平均分子量のより小さい ヒドロキシアルキルセルロースを含む親水化 液を塗布し、 その後、 同じ表面 側に重量平均分子量のより大きいヒドロキシ アルキルセルロースを含む親水 化液を塗布することを含む、 上記製造方法。

< 1 1 >より小さい上記重量平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0未満である < 9 > または < 1 0 >に記載の製造方法。

< 1 2 >上記ヒドロキシアルキルセルロースを含 親水化液のヒドロキシア ルキルセルロース濃度がいずれも〇. 0 0 5〜〇. 5質量%である < 9 >~ < 1 1 >のいずれかに記載の製造方法。

発明の効果

[0010] 本発明により、 親水性多孔質膜およびその製造方法が提供さ れる。 本発明 の親水性多孔質膜は、 フィルターカートリツジの完全性試験による 欠陥検査 が可能になるとともに透水性が高い。

図面の簡単な説明

[001 1 ] [図 1 ]本発明の実施例で用いた多孔質膜の断面図 (写真) を示す図である。

発明を実施するための形態

[0012] 以下、 本発明を詳細に説明する。

本明細書において 「〜」 とはその前後に記載される数値を下限値およ び上 限値として含む意味で使用される。

[0013] <親水性多孔質膜 >

本明細書において、 親水性多孔質膜は基材となる多孔質膜が親水 化されて いる膜を意味する。 親水性多孔質膜は、 基材となる多孔質膜に対し、 ヒドロ キシアルキルセルロースを保持することによ り親水性が増している膜を指し 、 基材となる多孔質膜が完全に疎水性であるこ とを意味するものではない。 〇 2020/175416 5 卩(:171? 2020 /007282

親水性多孔質膜は、 複数の細孔を有する膜である。 孔は例えば膜断面の走 査型電子顕微鏡 (3巳 IV!) 撮影画像または透過型電子顕微鏡 (丁巳 IV!) 撮影 画像で確認することができる。

[0014] 本発明の親水性多孔質膜は、 多孔質膜と、 この多孔質膜に保持されたヒド ロキシアルキルセルロースとを含む。

多孔質膜に保持されたとは、 親水性多孔質膜の保存時や使用時に容易に剥 離しない程度に多孔質膜に結合していること を意味する。 多孔質膜とヒドロ キシアルキルセルロースとは例えば疎水性相 互作用により互いに結合してい てもよい。

[0015] 基材となる多孔質膜がヒドロキシアルキルセ ルロースにより親水化される とき、 一般的に、 ヒドロキシアルキルセルロースは多孔質膜の 外面の少なく とも一部を被覆した状態で保持される。 本明細書において、 多孔質膜の外面 とは、 多孔質膜の膜表面 (膜のおもて面または裏面) および多孔質膜内部の 各細孔に面している多孔質膜の面 (本明細書において 「細孔の表面」 という ことがある) を意味する。 本発明の親水性多孔質膜では、 膜厚方向において 多孔質膜の膜表面 (膜のおもて面および裏面の双方) が被覆されている。 ま た、 本発明の親水性多孔質膜は、 従来技術に比較して、 より多くの細孔の表 面が被覆されており、 好ましくは、 実質的に全ての細孔の表面が被覆されて いる。

[0016] 本発明の親水性多孔質膜は、 面積方向において、 親水化されていない部分 を含んでいてもよい。 すなわち、 本発明の親水性多孔質膜は、 ヒドロキシア ルキルセルロースを全面で保持していても、 一部のみにおいて保持していて もよい。 全面で保持していることにより、 多孔質膜全体の親水化が好ましく 達成できる。 また、 特に親水性が必要となる一部のみにおいて親 水化を行う ことにより、 基材である多孔質膜の特性を活かしつつ必要 な範囲での親水化 が達成できる。

[0017] 本発明の親水性多孔質膜がヒドロキシアルキ ルセルロースを面積方向の一 部のみにおいて保持している例として好まし くは、 長尺シート状の多孔質膜 〇 2020/175416 6 卩(:171? 2020 /007282

の長辺側両端部のみにおいてヒドロキシア ルキルセルロースを保持している 親水性多孔質膜が挙げられる。 長辺側両端部は、 例えば、 短辺が 2 0〜 3 5 〇 の多孔質膜である場合、 親水性多孔質膜の長辺の縁から短辺方向 4〇 、 より好ましくは 2〇 以内の部位であればよい。 多孔質膜は、 フィルター 力ートリッジのろ過膜として使用される際、 両端部において負荷がかかりや すい。 すなわち、 長尺シート状の多孔質膜は、 必要に応じてプリーツ加工さ れ、 円筒状に丸められ、 その合わせ目をシールしたうえで、 その円筒の両端 部が力ートリッジのエンドブレートと呼ばれ る板に融着される。 融着の際は 熱がかかることによって多孔質膜が疎水化さ れ完全性試験において濡れ不良 による気体の漏れが生じ易い。 特に熱がかかる両端部の親水性をヒドロキシ アルキルセルロースの保持により高めておく ことで、 力ートリッジ作製工程 に由来する親水性の低下を防止することがで きる親水性多孔質膜が得られ、 この親水性多孔質膜を利用して、 完全性試験を合格するフィルターカートリ ッジを作製することができる。

[0018] したがって、 長尺シート状の多孔質膜は、 特に、 フィルターカートリッジ のろ過膜として使用される長尺シート状の多 孔質膜は、 少なくとも長辺側両 端部においてヒドロキシアルキルセルロース を保持していることが好ましい

[0019] [多孔質膜]

(多孔質膜の構造)

本明細書において、 多孔質膜は親水性多孔質膜の基材となる膜で ある。 多孔質膜は複数の細孔を有する膜をいう。 細孔は、 例えば膜断面の走査型 電子顕微鏡 (3巳 IV!) 撮影画像または透過型電子顕微鏡 (丁巳 IV!) 撮影画像 で確認することができる。

[0020] 本発明の親水性多孔質膜における多孔質膜は 、 多孔質膜の両表面 (おもて 面および裏面) どうしで平均孔径が異なっている。 両表面の平均孔径の比較 は、 後述する膜の厚み方向の孔径の比較において 、 膜のおもて面および裏面 それぞれにもっとも近い区分の平均孔径を比 較して行なう。 〇 2020/175416 7 卩(:171? 2020 /007282

[0021 ] 本発明の親水性多孔質膜における多孔質膜は 、 厚み方向に孔径分布を持つ 構造を有する。 また、 膜のおもて面の孔径および裏面の孔径が異な るように 孔径分布を有する厚み方向に非対称である構 造 (非対称構造) である。 非対 称構造の例としては、 一方の膜表面から他方の膜表面に向かって厚 み方向で 孔径が連続的に増加している構造、 孔径が最小となる層状の緻密部位をいず れかの表面に偏っている内部に有し、 この緻密部位から多孔質膜の少なくと も一方の膜表面に向かって厚み方向で孔径が 連続的に増加している構造が挙 げられる。

[0022] 本発明で用いられる多孔質膜は、 多孔質膜の両表面どうしで平均孔径が異 なっているとともに、 孔径が最小となる層状の緻密部位を内部に有 する構造 であることが好ましい。 緻密部位は多孔質膜を厚み方向に均等厚みで 2つの 部分 、 巳に分けたとき、 平均孔径がより小さい表面側の部分 にあればよ い。

[0023] 多孔質膜の内部とは膜の表面に接していない ことを意味し、 「緻密部位を 内部に有する」 とは、 緻密部位が、 後述するように膜の厚み方向の孔径を比 較したときに、 膜のいずれかの表面にもっとも近い区分では ないことを意味 する。 緻密部位を内部に有する構造の多孔質膜を用 いることによっては、 同 じ緻密部位を表面に接して有する多孔質膜を 用いた場合よりも、 透過させる ことが意図された物質の透過性が低下しにく い。 いかなる理論にも拘泥する ものではないが、 緻密部位が内部にあることによりタンパク質 などの他の物 質の吸着が起こりにくくなっているためと考 えられる。

[0024] 本明細書において、 多孔質膜の平均孔径は電子顕微鏡によって得 られた膜 断面の写真から測定すればよい。 具体的には、 多孔質膜にメタノールを含浸 させたあと液体窒素中で凍結された多孔質膜 からミクロトーム (1- 6 丨 社製、 巳 IV! II〇 6) で断面観察用の切片を切り出し、 3 0 0 0倍で 3巳 IV! 撮影 (日立ハイテクノロジーズ社製、 3 II 8 0 3 0型 巳一3巳1\/1) を行う ことにより多孔質膜断面の写真を得ることが できる。

なお、 親水性多孔質膜の平均孔径は、 ヒドロキシアルキルセルロースを保 〇 2020/175416 8 卩(:171? 2020 /007282

持していることにより、 基材の多孔質膜の孔径より小さくなっていて もよい が、 通常、 多孔質膜の孔径と同じであると近似できる。

[0025] 本明細書において、 膜の厚み方向の孔径の比較を行なう場合、 膜断面の 3 巳 IV!撮影写真を膜の厚み方向で分割して行なう ものとする。 分割数は膜の厚 みに応じて適宜選択できる。 分割数は少なくとも 5以上とし、 例えば、 2 0 0 厚の膜では平均孔径がより小さい表面から 2 0分割して比較を行う。 この場合、 それぞれの多孔質膜の断面の 3日 IV!撮影写真を厚み方向に 2 0分 割する分割線を 1 9本引き、 各分割線と交差または接する孔 (閉孔) をデジ タイザ—でなぞり、 閉孔と同じ面積に相当する円直径とし、 連続する 5 0個 の孔の平均孔径を求める。 なお、 分割幅の大きさは、 膜における厚み方向の 幅の大きさを意味し、 写真での幅大きさを意味するものではない。 膜の厚み 方向の孔径の比較において、 孔径は、 各区分の平均孔径として比較される。 各区分の平均孔径は、 例えば、 膜断面図の各区分の 5 0個の孔の平均値であ ればよい。 この場合の膜断面図は例えば 8 0 幅 (表面と平行な方向にお いて 8 0 の距離) で得てもよい。 このとき、 孔が大きく、 5 0個測定で きない区分については、 その区分でとれる数だけ測定したものであれ ばよい 。 また、 このとき、 孔が大きくその区分に収まるものでない場合 は、 ほかの 区分にわたってその孔の大きさを計測する。

[0026] 孔径が最小となる層状の緻密部位は、 上記膜断面の区分のうちで平均孔径 が最小となる区分に相当する多孔質膜の層状 の部位をいう。 緻密部位は平均 孔径が最小となる区分の 1 . 1倍以内の平均孔径を有する 1つまたは複数の 区分に相当する部位からなる。 緻密部位の厚みは、 0 . 5 〇1 ~ 5 0 111であ ればよく、 〇. 5 〇!〜 3 0 〇!であることが好ましい。 本明細書において 、 緻密部位の平均孔径は〇. 0 1〜 5 であることが好ましく、 0 . 0 2 〜 3 であることがより好ましく、 〇. 0 5〜 1 . 4 であることがさ らに好ましい。

緻密部位の平均孔径は多孔質膜の最小孔径に 該当する。 多孔質膜の最小孔 径は八3丁1\/1 3 1 6 - 8 6により測定することもできる。 〇 2020/175416 9 卩(:171? 2020 /007282

多孔質膜の最小孔径は、 ろ過対象物の大きさに応じて適宜選択するこ とが できる。

[0027] 本発明の親水性多孔質膜における多孔質膜に おいて、 緻密部位は多孔質膜 を厚み方向に均等厚みで 2つの部分に分けたとき、 平均孔径がより小さい表 面 (本明細書において、 「表面 X」 ということがある。 ) 側の部分八にある 。 すなわち、 緻密部位は、 多孔質膜の厚みの中央部位より表面 X側に偏って いる。 具体的には、 緻密部位が表面 Xから多孔質膜の厚みの 5分の 2以内の 距離にあることが好ましく、 3分の 1以内の距離にあることがより好ましく 、 4分の 1以内の距離にあることがさらに好ましい。 この距離は上述の膜断 面写真において判断すればよい。

[0028] 多孔質膜においては緻密部位から少なくとも いずれか一方の表面に向かっ て厚み方向で孔径が連続的に増加していれば よい。 多孔質膜において、 緻密 部位から表面 Xに向かって厚み方向で孔径が連続的に増加 ていてもよく、 緻密部位から表面 Xと反対側の表面に向かって厚み方向で孔径 連続的に増 加していてもよく、 緻密部位から多孔質膜のいずれの表面に厚み 方向で向か うときも孔径が連続的に増加していてもよい 。 これらのうち、 少なくとも織 密部位から表面 Xと反対側の表面に向かって厚み方向で孔径 連続的に増加 していることが好ましく、 緻密部位から多孔質膜のいずれの表面に厚み 方向 で向かうときも孔径が連続的に増加している ことがより好ましい。 「厚み方 向で孔径が連続的に増加」 とは、 厚み方向に隣り合う区分の間の平均孔径の 差異が、 最大平均孔径 (最大孔径) と最小平均孔径 (最小孔径) の差異の 5 0 %以下、 好ましくは 4 0 %以下、 より好ましくは 3 0 %以下となるように 増加していることをいう。 「連続的に増加」 は、 本質的には、 減少がなく一 律に増加することを意味するものであるが、 減少している部位が偶発的に生 じていてもよい。 例えば、 区分を表面から 2つずつ組み合わせたときに、 組 み合わせの平均値が、 _律に増加 (表面から緻密部位に向かう場合は一律に 減少) している場合は、 「緻密部位から膜の表面に向かって厚み方向 で孔径 が連続的に増加している」 と判断できる。 〇 2020/175416 10 卩(:171? 2020 /007282

[0029] 多孔質膜の最大孔径は〇. 1 以上であることが好ましく、 〇. 1 超であることがより好ましく、 1 . 5 超であることがさらに好ましく、 また、 2 5 以下であることが好ましく、 2 3 以下であることがより 好ましく、 2 1 以下であることがさらに好ましい。 本明細書において、 上記膜断面の区分のうちで平均孔径が最大と なる区分のその平均孔径を多孔 質膜の最大孔径とする。

[0030] 緻密部の平均孔径と多孔質膜の最大孔径との 比 (多孔質膜の最小孔径と最 大孔径との比であって最大孔径を最小孔径で 割った値、 本明細書において 「 異方性比」 ということもある。 ) は、 3以上が好ましく、 4以上がより好ま しく、 5以上がさらに好ましい。 緻密部位以外の平均孔径を大きく し、 多孔 質膜の物質透過性を高くするためである。 また、 異方性比は、 2 5以下であ ることが好ましく、 2 0以下であることがより好ましい。 上記の多段濾過の ような効果は異方性比が 2 5以下の範囲で効率よく得られるためである 平均孔径が最大となる区分は膜のいずれかの 表面にもっとも近い区分また はその区分に接する区分であることが好まし い。

[0031 ] 膜のいずれかの表面にもっとも近い区分にお いては、 平均孔径が 0 . 0 5 〇!超 2 5 〇!以下であることが好ましく、 0 . 0 8 〇!超 2 3 〇!以下で あることがより好ましく、 〇. 1 超 2 1 以下であることがさらに好 ましい。 また、 膜のいずれかの表面にもっとも近い区分の平 均孔径の緻密部 の平均孔径との比は、 1 . 2以上 2 0以下であることが好ましく、 1 . 5以 上 1 5以下であることがより好ましく、 2以上 1 3以下であることがさらに 好ましい。

[0032] 多孔質膜の厚みは、 特に限定されないが、 膜強度、 取扱性、 およびろ過性 能の観点から、 1 0 111 ~ 1 0 0 0 であることが好ましく、 1 0 〇!〜 5 0 0 であることがより好ましく、 3 0 〇!〜 3 0 0 〇!であることが さらに好ましい。

なお、 親水性多孔質膜の厚みは、 ヒドロキシアルキルセルロースを保持し ていることにより、 基材の多孔質膜の厚みより大きくなっていて もよいが、 〇 2020/175416 1 1 卩(:171? 2020 /007282

通常、 基材の多孔質膜の厚みとほぼ同じとなる。

[0033] (多孔質膜の組成)

多孔質膜はポリマーを含む。 多孔質膜は本質的にポリマーから構成されて いることが好ましい。 ポリマーは数平均分子量 (M n) が 1 , 0 0 0 ~ 1 0 , 0 0 0 , 0 0 0であるものが好ましく、 5 , 0 0 0〜 1 , 0 0 0 , 0 0 0 であるものがより好ましい。

[0034] ポリマーの例としては、 熱可塑性または熱硬化性のポリマーが挙げら れる 。 ポリマーの具体的な例としては、 ポリスルホン、 スルホン化ポリスルホン 、 ポリエーテルスルホン ( 巳3) 、 スルホン化ポリエーテルスルホン、 セ ルロースアシレート、 ニトロセルロース、 ポリアクリロニトリル、 スチレン —アクリロニトリルコポリマー、 スチレンーブタジエンコポリマー、 エチレ ンー酢酸ビニルコボリマーのケン化物、 ポリビニルアルコール、 ポリカーボ ネート、 オルガノシロキサンーポリカーボネートコポ リマー、 ポリエステル 力ーボネート、 オルガノボリシロキサン、 ポリフエニレンオキシド、 ポリア ミ ド、 ポリイミ ド、 ポリアミ ドイミ ド、 ポリベンズイミダゾール、 エチレン ビニルアルコール共重合体、 ポリテトラフルオロエチレン ( 丁 巳) 、 ポ リエチレン、 ポリプロピレン、 ポリフルオロエチレン、 ポリエチレンテレフ タレート、 6 , 6 -ナイロン、 ポリフッ化ビニリデン ( 〇 ) 等を挙げる ことができる。 これらは、 溶解性、 光学的物性、 電気的物性、 強度、 弾性等 の観点から、 ホモポリマーであってもよいし、 コポリマーやポリマープレン ド、 ポリマーアロイとしてもよい。

これらのうち、 ポリスルホン、 ポリエーテルスルホン、 P y D F , スルホ ン化ポリスルホン、 スルホン化ポリエーテルスルホン、 6 , 6—ナイロン、 セ ルロースアシレートが好ましく、 ポリスルホンがより好ましい。

[0035] 多孔質膜はポリマー以外の他の成分を添加剤 として含んでいてもよい。

上記添加剤としては、 食塩、 塩化リチウム、 硝酸ナトリウム、 硝酸カリウ ム、 硫酸ナトリウム、 塩化亜鉛等の無機酸の金属塩、 酢酸ナトリウム、 ギ酸 ナトリウム等の有機酸の金属塩、 ポリエチレングリコール、 ポリビニルピロ 〇 2020/175416 12 卩(:171? 2020 /007282

リ ドン等の高分子、 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、 ポリビニルべンジ ルトリメチルアンモニウムクロライ ド等の高分子電解質、 ジオクチルスルホ コハク酸ナトリウム、 アルキルメチルタウリン酸ナトリウム等のイ オン系界 面活性剤等を挙げることができる。 添加剤は多孔質構造のための膨潤剤とし て作用していてもよい。

[0036] 例えば、 ポリマーとしてポリスルホンまたはポリエー テルスルホンを用い る場合、 多孔質膜は、 さらにポリビニルピロリ ドンを含むことが好ましい。 このとき、 ポリビニルピロリ ドンは多孔質膜に保持されている状態であっ て もよい。 疎水性であるポリスルホンまたはポリエーテ ルスルホンはポリビニ ルピロリ ドンを含むことにより親水性が高くなる。 ポリビニルピロリ ドンは 、 例えば、 特開昭 64-34403号公報に記載があるようにポリスルホ 膜またはポリエーテルスルホン膜の製膜原液 中に孔形成剤として添加される ものである。 製膜原液中のポリビニルピロリ ドンは製膜過程でそのほとんど が凝固水中に溶解して除去されるが、 一部が膜表面に残留するものである。

[0037] 多孔質膜は単一の層として 1つの組成物から形成された膜であることが ま しく、 複数層の積層構造ではないことが好ましい。

多孔質膜の製造方法については、 特開昭 63_ 1 4 1 6 1 0号公報、 特開 平 4— 349927号公報、 特公平 4 _ 68966号公報、 特開平〇 4— 3 5 1 645号公報、 特開 201 0-235808号公報等を参照することが できる。

多孔質膜としては市販品を使用してもよい。 例えば、 スミライ ト 3- 1 300 (住友べークライ ト社製) 、 マイクロ 巳3 1 ? 1 ~ 1 (メンプラー ナ社製) 、 八 3 「〇 〇 「 0 (ポリスルホン膜、 富士フイルム株式会社製 ) 、 0リ 「 3 〇 「 6 ( 〇 膜、 メルクミリポア I I 1 〇 「㊀) 社製) 、

製) 等が挙げられる。

[0038] [ヒ ドロキシアルキルセルロース]

本発明の親水性多孔質膜におけるヒドロキシ アルキルセルロースは、 多孔 〇 2020/175416 13 卩(:171? 2020 /007282

質膜を親水化する親水性ポリマーである。

ヒドロキシアルキルセルロースのセルロース 骨格の疎水性が基材である多 孔質膜との疎水性相互作用に寄与し、 多孔質膜に保持させると同時に、 ヒド ロキシアルキルセルロースの側鎖のヒドロキ シ基やヒドロキシプロピル基に より多孔質膜に親水性を付与することができ る。 また、 ヒドロキシアルキル セルロースは分子間力が高いため、 分子が親水性多孔質膜中で強固に相互作 用し、 その形態を保持することができると推測され る。

さらに、 ヒドロキシアルキルセルロースは食品添加物 として使用できる成 分であるため、 フィルターカートリツジ作製後に洗い流す必 要がない。 その ため、 工程負荷が少なく、 かつ、 安全な親水性多孔質膜を得ることができる

[0039] 本発明の親水性多孔質膜において厚み方向に 分布するヒドロキシアルキル セルロースはゲルパーミエーシヨンクロマト グラフィで検出強度のピークを 2つ以上示し、 上記ピークのうち最も遅く検出されるピーク の重量平均分子 量1\/1 111 ; „が 1 0 0 , 0 0 0未満である。 具体的には、 本発明の親水性多孔質 膜において親水化されている部位の厚み方向 を全て含むように切り出し、 そ こに含まれるヒドロキシアルキルセルロース のゲルパーミエーシヨンクロマ トグラフィを行ったときに、 上記のように 2つ以上のピークが検出される。 ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ (〇 〇) は、 具体的には本明細書 の実施例に記載の手順および条件で測定する ことができる。 また、 〇 〇で 検出される各ピークの重量平均分子量は当業 者に周知の方法で求めることが できる (例えば、 森定雄著、 “サイズ排除クロマトグラフィー” 、 共立出版 (1 9 9 1) 参照) 。

[0040] 上記のゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ ィで観測されるピークは孔径 に合った親水化の観点からは、 ピークは多いほど好ましく、 通常の測定では ピークとして判別できなくなるほど重量平均 分子量の分布を段階的に有して いることが好ましい。 しかし、 ヒドロキシアルキルセルロースの入手の容易 性などの観点から、 上記のゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ ィで観測さ \¥0 2020/175416 14 卩(:17 2020 /007282

れるピークは 2つまたは 3つであることが好ましく、 2つであることが好ま しい。

[0041 ] 本発明の親水性多孔質膜は、 ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィで 1

0 0 , 0 0 0未満の重量平均分子量のピークを示すヒド キシアルキルセル ロース、 すなわち、 重量平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0未満のヒドロキシアル キルセルロースを含む。 重量平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0未満であるヒドロ キシアルキルセルロースを含むことにより、 多孔質膜においてより孔径の小 さい部位の細孔の表面も親水化することがで きる。 また、 ヒドロキシアルキ ルセルロースが凝集しにくくなる。 このため、 ヒドロキシアルキルセルロー スによる目詰まりが生じにくくなり、 親水性多孔質膜の透水性が低下するこ とを防止することができる。

[0042] ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィで最 も遅く検出されるピークに対 応するヒドロキシアルキルセルロースの重量 平均分子量 ; すなわち、 本発明の親水性多孔質膜に含まれるヒドロキ シアルキルセルロースのうち、 最も低い重量平均分子量のヒドロキシアルキ ルセルロースの重量平均分子量 は、 1 0 , 0 0 0以上であることが好ましく、 1 0 , 0 0 0以上 8 0 , 0 0 0以下であることがより好ましく、 3 0 , 0 0 0以上 5 0 , 0 0 0以下であ ることがさらに好ましい。 1 0 , 0 0 0以上とすることにより、 ヒドロキシ アルキルセルロース間および、 ヒドロキシアルキルセルロースと多孔質膜と の相互作用を十分なものとして、 ヒドロキシアルキルセルロースが多孔質膜 に保持されるようにすることができる。

[0043] 本発明の親水性多孔質膜において厚み方向に 分布するヒドロキシアルキル セルロースにはゲルパーミエーシヨンクロマ トグラフィにおいて、 上記の最 も遅く検出されるピークとは別のピークを示 す重量平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0以上のヒドロキシアルキルセルロースも含 れる。 重量平均分子量がよ り大きいヒドロキシアルキルセルロースを含 むことにより、 多孔質膜におい てより孔径の大きい部位の細孔の表面を効率 的に親水化することができる。 重量平均分子量が 1 〇〇, 0 0 0以上のヒドロキシアルキルセルロースの重 〇 2020/175416 15 卩(:171? 2020 /007282

量平均分子量は 1 0 0 , 0 0 0以上 2 , 5 0 0 , 0 0 0以下であることがよ り好ましく、 1 4 0 , 0 0 0以上 1 , 5 0 0 , 0 0 0以下であることがさら に好ましい。

[0044] また、 重量平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0以上のヒドロキシアルキルセルロ —スのうち、 最も大きい重量平均分子量のヒドロキシアル キルセルロースの 重量平均分子量

検出されるピークの重量平均分子量) は多孔質膜の孔径の大きい側の表面の 平均孔径 [ ] との関係が以下を満たすことが好ましい。 これにより、 より大きい孔径の細孔の表面も効率的に親水 化できるとともに目詰まりを防 止することができる。

3 0 , 0 0 0 £ 1\^ノ1£ 1 3 0 , 0 0 0

さらに、 以下を満たすことがより好ましい。

8 0 , 0 0 0 £ !\^ノ1£ 1 1 0 , 0 0 0

[0045] 重量平均分子量がより小さいヒドロキシアル キルセルロースにより、 より 孔径の小さい部位の細孔の表面が親水化され 、 重量平均分子量がより大きい ヒドロキシアルキルセルロースにより、 より孔径の大きい部位の細孔の表面 が親水化されていることは以下の分析から判 別、 確認することができる。

[0046] 多孔質膜を厚み方向に平均孔径がより小さい 表面側から均等厚みで順番に

2つの部分 、 部分巳に分けたとき、 部分巳よりも、 部分 に保持されたヒ ドロキシアルキルセルロースのゲルパーミエ ーシヨンクロマトグラフィにお いて、 上記の 2つ以上のピークのうちの最も検出時間が遅 ピークの検出強 度が大きくなる。 例えば、 本願実施例で用いられた 3巳 2 0は図 1 に断面 図を示すような構造を有するが、 厚み方向に均等に 2つの部分に分けたとき 、 図 1 において下側が部分八となり、 上側が部分巳となる。 図 1からわかる ように、 部分 は通常緻密部位を有する。 このような例において部分 から 溶出したヒドロキシアルキルセルロースは部 分巳から溶出したヒドロキシア ルキルセルロースよりも小さい重量平均分子 量を示す。

[0047] ヒドロキシアルキルセルロースとしては、 炭素数が 3以上 5以下のアルキ 〇 2020/175416 16 卩(:171? 2020 /007282

レンオキシドをセルロースに付加したヒド ロキシアルキルセルロースが好ま しい。 多孔質膜とヒドロキシアルキルセルロースと の相互作用および得られ る親水性多孔質膜の親水性が実用に好ましい 範囲で得られるからである。 こ のうち、 プロピレンオキシド (炭素数 3) をセルロースに付加したヒドロキ シプロピルセルロースが最も好ましい。 アルキレンオキシドの付加数 (置換 度) は、 多いと親水性が上がり、 少ないと親水性が低くなる。 この観点から 、 モル置換度は 1以上が好ましく、 2以上がより好ましい。

[0048] ヒドロキシアルキルセルロースの含有量は、 ヒドロキシアルキルセルロー スを保持している部位 (ヒドロキシアルキルセルロースを浸透させ た部位) について、 親水性多孔質膜の質量に対し、 〇. 0 2〜 3質量%であることが 好ましく、 〇. 0 5 ~ 1 . 0質量%であることがより好ましい。 多孔質膜に おけるヒドロキシアルキルセルロースの含有 量は、 例えば実施例に示す方法 で測定することができる。

[0049] [親水性多孔質膜の製造方法]

親水性多孔質膜は基材である多孔質膜にヒド ロキシアルキルセルロースに よる親水化処理を行うことにより製造するこ とができる。 具体的には、 ヒド ロキシアルキルセルロースを含む親水化液を 多孔質膜に浸透させることによ り製造することができる。 親水化された多孔質膜に、 さらに洗浄処理、 滅菌 処理等を行ってもよい。

[0050] (親水化液)

親水化液はヒドロキシアルキルセルロースを 含む溶液として調製すればよ い。 溶媒は、 水または水に混和する性質を持つ溶媒であれ ば、 特に限定され ない。 溶媒は、 水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。 水と有機溶媒と の混合溶媒を用いる場合、 その有機溶媒は少なくとも 1種類以上の低級アル コールであることが好ましい。 低級アルコールとしては、 メタノール、 エタ ノール、 プロパノール、 イソプロパノール、 ブタノール、 エチレングリコー ル、 プロピレングリコール、 グリセリン等の炭素数が 5以下のアルコールが 挙げられる。 有機溶媒としては、 メタノール、 エタノール、 またはイソプロ 〇 2020/175416 17 卩(:171? 2020 /007282

パノールがより好ましく、 エタノールがさらに好ましい。 親水化液の溶媒は 水であることが特に好ましい。

[0051 ] 親水化液はヒドロキシアルキルセルロースお よび溶媒以外に界面活性剤、 防腐剤、 ポリフエノール等の膜硬化剤等を含んでいて もよい。

[0052] (浸透)

多孔質膜への親水化液の浸透方法は、 特に限定されないが、 例えば、 浸潰 法、 塗布法、 転写法、 噴霧法等が挙げられる。 浸透は、 少なくとも親水化を 行う部位において、 多孔質膜の厚み方向全体に親水化液が浸透す るように行 うことが好ましい。 これらのうち、 浸漬法または塗布法が好ましい。 多孔質 膜内部まで親水化液を効率よく浸透させるこ とができるからである。 多孔質 膜への親水化液の浸透方法としては、 塗布法がより好ましい。 多孔質膜内部 まで孔径に適したヒドロキシアルキルセルロ ースを効率よく浸透させること ができるからである。

[0053] 塗布法としては、 上記の重量平均分子量分布を有するヒドロキ シアルキル セルロースを含む親水化液を多孔質膜の片面 または両面から塗布することに より行う方法および重量平均分子量の異なる ヒドロキシアルキルセルロース 毎に親水化液を別途準備し、 別途塗布することにより行う方法が挙げられ る 。 特に重量平均分子量毎に親水化液を用意する 後者の方法により、 多孔質膜 に孔径に適したヒドロキシアルキルセルロー スを浸透させることができる。

[0054] 重量平均分子量毎に用意された親水化液は、 例えば、 以下の手順 1 または

2のように多孔質膜に塗布することにより、 ヒドロキシアルキルセルロース の凝集を防止することができ、 また、 ヒドロキシアルキルセルロースによる 多孔質膜の目詰まりを防止することができる 。

手順 1 (両面塗布)

多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に重 量平均分子量のより大きいヒ ドロキシアルキルセルロースを含む親水化液 を塗布し、 かつ平均孔径がより 小さい表面側に重量平均分子量のより小さい ヒドロキシアルキルセルロース を含む親水化液を塗布する。 〇 2020/175416 18 卩(:171? 2020 /007282

手順 2 (琢次塗布)

多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に重 量平均分子量のより小さいヒ ドロキシアルキルセルロース溶液を塗布し、 その後、 同じ表面側に重量平均 分子量のより大きいヒドロキシアルキルセル ロース溶液を塗布する。

[0055] 塗布は多孔質膜の厚み方向全体に親水化液が 浸透するように行うことが好 ましい。 複数の親水化液を用いて塗布を行う場合は、 全ての親水化液の塗布 後に多孔質膜の厚み方向全体に親水化液が浸 透していればよい。 多孔質膜の —部のみを被覆する場合は、 被覆したい一部のみに親水化液を塗布する塗 布 法を行うことができる。 親水化液の塗布は、 親水化液をスポンジや布に染み 込ませたものを多孔質膜の表面に接触させる 方法や、 ビードコート、 グラビ アコートあるいはワイヤーバーコートなどの 既知の方法により行うことがで きる。

[0056] 浸潰法においては、 親水化液中に多孔質膜を浸潰することにより 親水化液 を多孔質膜に含浸させる。 親水化液としては上記の重量平均分子量分布 を有 するヒ ドロキシアルキルセルロースを含む親水化液 を用いればよい。 浸漬後 は親水化液から、 多孔質膜を引き上げることによって余分な親 水化液を除去 すればよい。

浸潰は加圧下で行ってもよい。 加圧により多孔質膜の各細孔内に効率よく 親水化液を注入することができる。

[0057] 浸潰処理あるいは圧入処理する場合の浸潰時 間または圧入時間は特に限定 されないが一般的には 0 . 5秒〜 1分間程度であればよく、 〇. 5秒〜 3 0 秒間程度が好ましい。 溶媒等の選択により、 浸潰時間の短縮を図ることがで きる。

多孔質膜の親水化液中への浸潰時間や親水化 液中のヒ ドロキシアルキルセ ルロース濃度によってヒ ドロキシアルキルセルロースの付着量を適宜 調節す ることができる。

[0058] (乾燥、 加熱)

多孔質膜への親水化液の浸透後、 乾燥により親水化液中の溶媒を揮発除去 〇 2020/175416 19 卩(:171? 2020 /007282

することが好ましい。 乾燥の手段としては、 加温乾燥、 風乾燥、 および減圧 乾燥等が挙げられ、 特に限定されないが、 製造工程の簡便性から風乾燥また は加温乾燥が好ましい。 乾燥は、 単に放置することにより達成されてもよい

[0059] (洗浄)

上記乾燥の後は、 洗浄溶媒を用いた洗浄を行うことが好ましい 。 過剰のヒ ドロキシアルキルセルロースなどを除去する ことができるからである。 また 、 洗浄により、 原料の多孔質膜に含まれる不要な成分も除去 することができ る。 洗浄方法は特に限定されないが、 浸潰あるいは圧入法で親水性多孔質膜 の膜表面および細孔表面に洗浄溶媒を浸透さ せ、 その後、 除去すればよい。 洗浄溶媒としては、 親水化液の溶媒として例示した溶媒を例示す ることがで きる。 2回以上洗浄溶媒の浸透および除去を行って よい。 このとき 2回以 上の洗浄において洗浄溶媒は同じであっても よく、 異なっていてもよいが、 異なっていることが好ましい。 洗浄の最後に用いられる洗浄溶媒は水である ことが好ましい。 特に水に浸潰することが好ましい。 アルコールなど有機溶 媒成分を除くためである。

洗浄後の親水性多孔質膜は上述の手順で再度 乾燥させればよい。

[0060] (滅菌処理)

親水性多孔質膜の滅菌処理として、 例えば、 高圧蒸気滅菌処理を行うこと ができる。 特に才ートクレーブを用いた高温高圧の水蒸 気による処理を行う ことが好ましい。 通常、 プラスチックに対する高圧蒸気滅菌処理は、 飽和水 蒸気によって加圧され 1 1 0〜 1 4 0 ° 〇程度の環境下で 1 〇〜 3 0分間処理 することによって行われるが、 本発明の親水性多孔質膜の滅菌処理も同様の 条件で行うことができる。 滅菌処理に用いられる才ートクレーブとして は、 例えば、 株式会社トミー精エ製の 3 3 3 2 5が挙げられる。

[0061 ] <親水性多孔質膜の用途>

本発明の親水性多孔質膜はろ過膜として各種 用途で使用することができる 。 ろ過膜は、 種々の高分子、 微生物、 酵母、 微粒子を含有あるいは懸濁する 〇 2020/175416 20 卩(:171? 2020 /007282

液体の分離、 精製、 回収、 濃縮などに適用され、 特にろ過を必要とする微細 な微粒子を含有する液体からその微粒子を分 離する必要のある場合に適用す ることができる。 例えば、 微粒子を含有する各種の懸濁液、 発酵液あるいは 培養液などの他、 顔料の懸濁液などから微粒子を分離するとき にろ過膜を使 用することができる。 本発明の親水性多孔質膜は、 具体的には、 製薬工業に おける薬剤の製造、 食品工業におけるビールなどのアルコール飲 料製造、 電 子工業分野での微細な加工、 精製水の製造などにおいて必要となる精密ろ 過 膜として使用することができる。

[0062] 孔径分布を有する本発明の親水性多孔質膜を ろ過膜として用いるとき、 よ り孔径が小さい部位がろ過液の出口側 (アウトレッ ト側) に近くなるように 配置してろ過を行うことにより、 微粒子を効率よく捕捉することができる。 また、 親水性多孔質膜は、 孔径分布を有するため、 その表面から導入された 微細粒子が最小孔径部分に到達する以前に吸 着または付着によって除かれる 。 したがって、 目詰まりを起こしにくく、 長期間にわたって高いろ過効率を 維持することができる。

[0063] 本発明の親水性多孔質膜は、 用途に応じた形状に加工して、 種々の用途に 用いることができる。 親水性多孔質膜の形状としては、 平膜状、 管状、 中空 糸状、 プリーツ状、 繊維状、 球状粒子状、 破砕粒子状、 塊状連続体状などが 挙げられる。 多孔質膜の親水化処理前に用途に応じた形状 に加工してもよく 、 多孔質膜の親水化処理後に用途に応じた形状 に加工してもよい。

[0064] 親水性多孔質膜は、 各種用途に用いられる装置において容易に取 り外し可 能である力一トリッジに装着されてもよい。 力一トリッジにおいて親水性多 孔質膜はろ過膜として機能しうる形態で保持 されていることが好ましい。 親 水性多孔質膜を保持した力ートリッジは、 公知の多孔質膜力ートリッジと同 様に製造することができ、 例えば、 0 2 0 0 5 / 0 3 7 4 1 3号、 特開 2 0 1 2— 0 4 5 5 2 4号公報を参照することができる。

[0065] 例えば、 フィルターカートリッジは、 以下のように製造することができる 〇 2020/175416 21 卩(:171? 2020 /007282

長尺の親水性多孔質膜を短辺 (幅) 方向で折り目がつくようにプリーツ加 エする。 例えば、 通常 2枚の膜サボートの間に挟んで、 公知の方法でプリー ツ加工することができる。 膜サボートとしては不織布、 織布、 ネッ トなどを 使用すればよい。 膜サポートは、 ろ過圧変動に対してろ過膜を補強すると同 時に、 ひだの奥に液を導入するために機能する。 プリーツひだの幅は例えば 5 であればよい。 プリーツ加工した親水性多孔質膜は円筒 状に丸め、 その合わせ目をシールすればよい。

[0066] 円筒状の親水性多孔質膜はエンドブレートに エンドシールされる、 エンド シールはエンドブレート材質にしたがって公 知の方法で行えばよい。 エンド プレートに熱硬化性のエポキシ樹脂を使用す る時は、 調合したエポキシ樹脂 接着剤の液体をポッティング型中に流し込み 、 予備硬化させて接着剤の粘度 が適度に高くなってから、 円筒状ろ材の片端面をこのエポキシ接着剤中 に揷 入し、 その後加熱して完全に硬化させればよい。 エンドプレートの材質がポ リプロピレンやポリエステルの如き熱可塑性 樹脂の時は、 熱溶融した樹脂を 型に流し込んだ直後に円筒状ろ材の片端面を 樹脂の中に揷入する方法を行っ てもよい。 一方、 既に成形されたエンドプレートのシール面の みを熱板に接 触させたり赤外線ヒーターを照射したりして プレート表面だけを溶融し、 円 筒状ろ材の片端面をプレートの溶融面に押し つけて溶着してもよい。

[0067] 組み立てられたフィルターカートリッジはさ らに公知の洗浄工程に付して もよい。

なお、 親水性多孔質膜におけるヒドロキシアルキル セルロースは、 フィル 夕一力ートリッジにおいて、 一部または全てが洗浄工程等で用いられる溶 剤 に溶解して除去されていてもよい。

実施例

[0068] 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴 をさらに具体的に説明する。

以下の実施例に示す材料、 使用量、 割合、 処理内容、 処理手順等は、 本発明 の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することが できる。 従って、 本発明の範囲 は以下に示す具体例により限定的に解釈され るべきものではない。 〇 2020/175416 22 卩(:171? 2020 /007282

[0069] [親水化液の作製]

ヒドロキシプロピルセルロースについては日 本曹達 (株) 製の 1 3 3 0

1 ~ 1 〇 1 ~ 1グレード (分子量 1 0 0万) 、 IV!グレード (分子量 7 0万) 、 3 !_グレード (分子量 1 0万) そして 3 3 !_グレード (分子量 4万) を用い た。 ヒドロキシエチルセルロースについては三晶 (株) 製の 3八1\1 1 ~ 1巳〇 IV!グレード (分子量 7 2万) 、 !_グレード (分子量 9万) を用いた。 上記の いずれかを純水中に表 1 に記載の質量%濃度になるように加え、 完全に溶解 するまで撹拌した。 また、 表 1中、 実施例 1および比較例 1 においては、 上 記のうちのいずれか 2種のグレードを混合して用いているが、 2種のグレー ドは質量比で 1 : 1で混合し、 表に記載の濃度は混合物の濃度である。

[0070] [親水性多孔質膜の作製]

表 1 に記載の多孔質膜を用い、 表 1 に記載の手順で各実施例、 比較例の親 水性多孔質膜を作製した。

表 1 において、 3 は富士フイルム株式会社製のポリスルホン膜 3巳 2 0である。 3巳 2 0は最小孔径〇. 2 、 最大孔径 (平均孔径が大き い表面の平均孔径 7 、 厚み 1 4 0 であり、 孔径分布を非対 称に有する構造を有する。 断面図を図 1 に示す。 2は特開平 9— 2 2 7 7 1 4号公報の実施例 1 を参考に製膜した。 最小孔径 2 、 最大孔径 ( 平均孔径が大きい表面の平均孔径 2 0 、 厚み 1 8 0 であり

、 孔径分布を非対称に有する構造を有する。 巳 3は 3 1\/1社製のポリエーテ ルスルホン膜メンブラーナ 丁1\/1 2 0 0であり、 最小孔径〇. 3 、 最大孔 径 (平均孔径が大きい表面の平均孔径: 1 〇 、 厚み 1 4 0 で あり、 孔径分布を非対称に有する構造を有する。

ヒドロキシアルキルセルロースは表 1 に記載の手順で多孔質膜に浸透させ た。 表 1 に記載の手順は以下の通りである。 なお、 塗布はいずれもギーサー を用いて行った。

[0071 ] 浸潰:多孔質膜を 2 7秒連続的に 2種のヒ ドロキシアルキルセルロースを含 む親水化液に浸潰した後引き上げた。 〇 2020/175416 23 卩(:171? 2020 /007282

両面塗布 (大大小小) :多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に 重量平均 分子量のより大きいヒドロキシアルキルセル ロースを含む親水化液を塗布し 、 かつ平均孔径がより小さい表面側に重量平均 分子量のより小さいヒドロキ シアルキルセルロースを含む親水化液を塗布 した。

両面塗布 (大小小犬) :多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に 重量平均 分子量のより小さいヒドロキシアルキルセル ロースを含む親水化液を塗布し 、 かつ平均孔径がより小さい表面側に重量平均 分子量のより大きいヒドロキ シアルキルセルロースを含む親水化液塗布し た。

逐次塗布 (小犬) :多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に 重量平均分子 量のより小さいヒドロキシアルキルセルロー スを含む親水化液を塗布し、 そ の後、 同じ表面側に重量平均分子量のより大きいヒ ドロキシアルキルセルロ —スを含む親水化液を塗布した。

逐次塗布 (大小) :多孔質膜の平均孔径がより大きい表面側に 重量平均分子 量のより大きいヒドロキシアルキルセルロー スを含む親水化液を塗布し、 そ の後、 同じ表面側に重量平均分子量のより小さいヒ ドロキシアルキルセルロ —スを含む親水化液を塗布した。

[0072] 上記手順の後の各親水性多孔質膜を 8 0 °〇のオーブンで 8 0秒間加熱し乾 燥させた。

乾燥後の各親水性多孔質膜について、 過剰なヒドロキシアルキルセルロー スを除去するため 2 5 °〇純水に 5分間浸潰して洗浄を実施した。 その後、 7 0 °〇の温度環境下で 2 4時間乾燥させた。

[0073] [重量平均分子量評価]

各親水性多孔質膜を 1 〇〇 1 0〇 に切断し、 これを (1\1 , —ジメチルホルムアミ ド) に溶解した。 溶解した液を凍結乾燥したのちに、 乾燥物を下記溶離液に溶解し、 膜中のヒドロキシアルキルセルロースの重量 平均分子量の評価を行った。

重量平均分子量は〇 〇 (ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ) にて 評価した。 条件は下記の通りである。 分子童マーカーにプルラン (P— 82) を使用

装置: H L C- 8320 G P C E c〇 S E C (東ソー (株) ) カラム: 〇 H p a k KB— 805 HQ (7. 8 mm I . D. X 30 c m)

カラム: 〇 H p a k KB— 804 HQ (7. 8 mm I . D. X 30 c m)

カラム: 〇 H p a k S B— 803 HQ (7. 8 m m I . D . X 30 c m)

-溶離液: 〇. 1 M N a N〇 3

-カラム温度: 40°C

観測されたピーク数と最も早く観測されたピ ークと最も遅く観測されたピ —クとの重量平均分子量 (Mw max 、 Mw m i n ) を表 1 に示す。

[0074] [多孔質膜中のヒドロキシアルキルセルロー 量]

多孔質膜を 1 c m四方に 5枚切り出し、 質量を測定したのち、 1 m Iのメ タノールに 30分間浸漬した。 この液を L i q u i d C h r om a t o g r a p h/C h a r g e d Ae r o s o l D e t e c t o r (LC/CAD ) にて評価した。 条件は下記の通りである。

標品: メタノールにヒドロキシアルキルセルロース を所定量溶解させた溶 液 (20/50/1 00 p pm)

装置: Wa t e r s社製 ACQU I T Y U P LC H-C l a s s カラム: P r e s t o F F - C 1 8 1 50X4. 6mm

-検出器: CAD (T h e r mo F i s h e r S c i e n t i f i c 製 Co r o n a U l t r a R S )

-溶離液: A液 水、 B液 アセトニトリル

-溶離条件: 5-90%B (0- 1 5 m i n) 、 0. 4m l /m i n、 37 。C

上記条件で測定したときに保持時間 8. 5〜 1 2. 5分に検出されるヒド ロキシアルキルセルロースピークの標品で得 られるピークとの面積比を用い 〇 2020/175416 25 卩(:171? 2020 /007282

て多孔質膜中のヒドロキシアルキルセルロ ース量 [膜中 1 ~ 1 (3含有量 (質量 %) ] を算出した。

[0075] [ヒドロキシアルキルセルロースの分布]

各親水性多孔質膜を 2 0〇 2 0〇 で 2枚切断した。 これらを多孔質 膜の平均孔径がより大きい表面側、 平均孔径がより小さい表面側からそれぞ れ厚み方向で中央まで削り取り、 それぞれ口1\/1 に溶解して、 溶出されたヒ ドロキシアルキルセルロースの重量平均分子 量の評価を行った。 最も検出時 間の遅いピークの検出強度がより大きかった 側の部分を (部分 :平均孔径 がより小さい表面側;部分巳 :平均孔径がより大きい表面側) 確認した。 い ずれも同じだった場合は、 表 1 において 「均等」 とした。

[0076] [完全性試験]

親水化処理をした膜で濾過フィルターカート リッジ ( 1 0インチ) を作製 し、 8 !_ / 丨 nで 2 0 0 3通水した後、 水を抜いた。 続いて 1次面側から ^ 3の空気圧をかけ、 濾過フィルターカートリッジを通過してくる 空気の量を測定し、 3 0 丨 n以下なら合格、 これより大きければ不 合格とした。

[0077] [透水性]

透水性は、 親水化処理した多孔質膜に 1 0 0 3の圧力をかけ純水を透 過させたときの透水性で評価した。 単位面積当たり、 1分間に膜を通って流 れ出た水の体積を測定し透水性 11 /〇〇! 2 ) とした。

[0078]

\¥0 2020/175416 26 卩(:17 2020 /007282

[表 1 ]

表 1中、㈠ 〇はヒドロキシアルキルセルロース、 はヒドロキシプ ロピルセルロース、㈠巳〇はヒドロキシエチ ルセルロースである。