Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
HYDROPHILIC SHEET AND METHOD OF IMPARTING ULTRAHIGH HYDROPHILICITY TO SUBSTRATE SURFACE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116335
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a hydrophilic sheet which has high wettability by water and from which adherent fouling substances or adherent foreign substances can be easily removed by washing with water. The sheet can be prevented from fogging with waterdrop adhesion. Also provided is a method of imparting high wettability by water to a surface of any desired substrate. The hydrophilic sheet comprises a base and, formed thereon, a layer of oblique columnar structures gathered together and protruding at an angle of elevation from the surface smaller than 90°, the surface of the layer having a water contact angle of 10° or smaller. The method of imparting ultrahigh hydrophilicity to a surface of a substrate comprises forming, on the substrate surface by oblique vapor deposition, a layer of oblique columnar structures gathered together and protruding at an angle of elevation from the surface smaller than 90°.

Inventors:
TERADA YOSHIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052483
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
February 16, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
TERADA YOSHIO (JP)
International Classes:
B32B3/14; B08B17/02; C09K3/00
Foreign References:
JPH0827561A1996-01-30
JP2008274409A2008-11-13
JP2007140326A2007-06-07
JP2005274641A2005-10-06
Attorney, Agent or Firm:
MOMII, Takafumi (JP)
Takafumi Momii (JP)
Download PDF:
Claims:
 支持体の表面に該表面からの仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造体の集合層を備え、該集合層の表面の水接触角が10度以下である、親水性シート。
 前記支持体の片面に該表面からの仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造体の集合層を備え、該集合層の表面の水接触角が10度以下であり、前記支持体のもう一方の片面に粘着剤層が形成されている、請求項1に記載の親水性シート。
 前記集合層が汚れ防止層である、請求項1または2のいずれかに記載の親水性シート。
 前記集合層がくもり防止層である、請求項1または2のいずれかに記載の親水性シート。
 基材の表面を超親水化させる方法であって、
 斜め蒸着法によって、該基材の表面に該表面からの仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造体の集合層を形成させる、
 基材表面の超親水化方法。
 前記斜め蒸着法は、真空蒸着装置を用いる、請求項5に記載の基材表面の超親水化方法。
 前記真空蒸着装置内の到達真空度が1×10 -3 torr以下である、請求項6に記載の基材表面の超親水化方法。
 前記真空蒸着装置内における蒸着材料の蒸着が電子ビームによる加熱・気化によって行われる、請求項6または7に記載の基材表面の超親水化方法。
 前記斜め蒸着法は、ロールで送り出される前記基材上に蒸着材料を蒸着させて行う、請求項5から8までのいずれかに記載の基材表面の超親水化方法。
 前記斜め蒸着法は、蒸着源と前記基材との間に部分的な遮へい板を設けることによって該基材上に蒸着材料を斜め蒸着させる、請求項5から9までのいずれかに記載の基材表面の超親水化方法。
 前記集合層の厚みが10nm以上である、請求項5から10までのいずれかに記載の基材表面の超親水化方法。
 前記基材の表面の単位面積当たりの前記斜め柱状構造体の本数が、1×10 8 本/cm 2 以上である、請求項5から11までのいずれかに記載の基材表面の超親水化方法。
 前記集合層の表面の水接触角が10度以下である、請求項5から12までのいずれかに記載の基材表面の超親水化方法。
Description:
親水性シートおよび基材表面の 親水化方法

 本発明は、水に対して高い濡れ性を有する 水性シートに関する。具体的には、付着し 汚れや異物を水洗によって容易に除去でき 汚れ防止シートや、水滴付着によるくもり 防ぐことができるくもり防止シートなどの 親水性シートに関する。
 また、本発明は、基材表面の超親水化方法 関する。詳細には、任意の基材の表面に、 に対する高い濡れ性を付与する方法に関す 。本発明の方法によれば、基材表面に付着 た汚れや異物を水洗によって容易に除去で 、また、水滴付着による基材表面のくもり 防ぐことができる。
 本発明の親水性シートは、好ましくは、本 明の基材表面の超親水化方法を用いて得る とができる。

 近年、大気汚染、黄砂飛来、花粉飛散な により、屋外で使用される部材に対する汚 付着が深刻な問題となっている。

 他方で、化石エネルギーの代替として太 電池技術が普及し、また、太陽光を十分に り込むためにガラスを多用したビルが好ま るようになり、屋外におけるガラスパネル 利用が最近急激に増大している。このよう ガラスパネルは、太陽光を確実に取り込む とが求められ、また、外観上も汚れが目立 やすいため、定期的なクリーニング作業が 要となる。しかしながら、このようなガラ パネルは高所挟所に設置されている場合が く、頻繁にクリーニング作業を行いにくい そこで、屋外で使用される部材であって簡 に汚れを除去できる部材が求められている( 例えば、特許文献1参照)。

 一方、屋内で使用される部材に対する汚 付着についても、使用者の要求は年々厳し なっている。

 屋内で使用される部材の中でも、特に、 ス、キッチン、トイレに代表される水周り 使用される部材においては、不特定多数の (肌)が直接接する機会が多い。このため、 垢、水カビ、石鹸残りカスなどの汚れの付 が、外観的にも衛生上の観点からも問題と っている。

 また、以前から、道路標識、表示パネル、 周りで使用される鏡などでは、水滴付着に りくもりが発生し、視界低下などの問題が こっている。

特開2002-52667号公報

 本発明の課題は、水に対して高い濡れ性を し、付着した汚れや異物を水洗によって容 に除去でき、また、水滴付着によるくもり 防ぐことができる、親水性シートを提供す ことにある。
 また、本発明の課題は、上記親水性シート 得るために好適な基材表面の超親水化方法 すなわち、任意の基材の表面に、水に対す 高い濡れ性を付与する方法を提供すること ある。

 本発明の親水性シートは、支持体の表面 該表面からの仰角が90度未満で突出した斜 柱状構造体の集合層を備え、該集合層の表 の水接触角が10度以下である。

 好ましい実施形態においては、上記支持 の片面に該表面からの仰角が90度未満で突 した斜め柱状構造体の集合層を備え、該集 層の表面の水接触角が10度以下であり、上記 支持体のもう一方の片面に粘着剤層が形成さ れている。

 好ましい実施形態においては、上記集合 が汚れ防止層である。

 好ましい実施形態においては、上記集合 がくもり防止層である。

 本発明の基材表面の超親水化方法は、基 の表面を超親水化させる方法であって、斜 蒸着法によって、該基材の表面に該表面か の仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造 の集合層を形成させる。

 好ましい実施形態においては、上記斜め 着法は、真空蒸着装置を用いる。

 好ましい実施形態においては、上記真空蒸 装置内の到達真空度が1×10 -3 torr以下である。

 好ましい実施形態においては、上記真空 着装置内における蒸着材料の蒸着が電子ビ ムによる加熱・気化によって行われる。

 好ましい実施形態においては、上記斜め 着法は、ロールで送り出される前記基材上 蒸着材料を蒸着させて行う。

 好ましい実施形態においては、上記斜め 着法は、蒸着源と上記基材との間に部分的 遮へい板を設けることによって該基材上に 着材料を斜め蒸着させる。

 好ましい実施形態においては、上記集合 の厚みが10nm以上である。

 好ましい実施形態においては、上記基材の 面の単位面積当たりの上記斜め柱状構造体 本数が、1×10 8 本/cm 2 以上である。

 好ましい実施形態においては、上記集合 の表面の水接触角が10度以下である。

 本発明によれば、水に対して高い濡れ性 有し、付着した汚れや異物を水洗によって 易に除去することができ、また、水滴付着 よるくもりを防ぐことができる、親水性シ トを提供することができる。

 上記のような効果は、支持体の表面に該 面からの仰角が90度未満で突出した斜め柱 構造体の集合層を備え、該集合層の表面の 接触角が10度以下とし、この斜め柱状構造体 の集合層を高親水性層として機能させること によって、発現することができる。

 また、本発明によれば、任意の基材の表 に、水に対する高い濡れ性を付与すること できる。本発明によれば、基材表面に付着 た汚れや異物を水洗によって容易に除去で 、また、水滴付着による基材表面のくもり 防ぐことができる。

 上記のような効果は、斜め蒸着法によっ 、基材の表面に該表面からの仰角が90度未 で突出した斜め柱状構造体の集合層を形成 せることによって発現することができる。

 つまり、支持体や基材の表面に該表面か の仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造 の集合層を備えることで、フラクタル理論 基づき、該集合層の表面に高い濡れ性を付 することができる。

 ここで、フラクタル理論とは、表面を超 水化する理論であり、表面の微細な凹凸に って親水効果がより強くなるという理論で る。表面に微細な凹凸構造(フラクタル構造 )を形成すると、空気中の水分を吸着して凹 部に微小な水膜が形成されるため、全体と て表面の親水性が増大する。従って、この うな表面に異物や汚れが付着しても、該異 や汚れは表面と完全に固着せず、浮いたよ な状態を保つ。そして、この状態において をかけること(水洗)によって、表面と異物や 汚れとの界面に水が浸透し、汚れを簡単に除 去できる。自然界において、このフラクタル 理論による汚れ防止は、カタツムリの殻の汚 れ防止機能として知られている。

 また、一般的に、水接触角が10度以下で る場合、超親水性と呼ばれ、水滴は平らに り付いたような形となり水膜を作らず、流 落ちる。従って、このような場合には、水 が付着せず、くもり防止の効果が発現でき 。

本発明の親水性シートまたは本発明の 法で得られる親水性部材の好ましい実施形 の概略断面図である。 本発明の親水性シートまたは本発明の 法で得られる親水性部材の好ましい実施形 の概略断面図である。 本発明の親水性シートまたは本発明の 法で得られる親水性部材の好ましい実施形 の概略断面図であって仰角αを説明する概 断面図である。 本発明の親水性シートまたは本発明の 法で得られる親水性部材における斜め柱状 造体の好ましい実施形態の概略断面図であ 。 本発明の親水性シートまたは本発明の 法で得られる親水性部材における斜め柱状 造体の好ましい実施形態の概略断面図であ 。 斜め蒸着法に用いる装置の好ましい実 形態の概略断面図である。 実施例1で得られた親水性シートの断面 SEM写真である。 実施例2で得られた親水性シートの断面 SEM写真である。 くもり防止性評価の写真図である。

符号の説明

 10 支持体または基材
 20 集合層
 30 斜め柱状構造体
 40 粘着剤層
 50 遮へい板
 60 蒸着源
 70 蒸着ロール
100 親水性シート
200 親水性シート

 図1、図2は本発明の好ましい実施形態で る親水性シートまたは本発明の方法で得ら る好ましい実施形態である親水性部材の概 断面図である。

 図1が親水性シートの概略断面図である場 合、図1で示す親水性シート100は、支持体10と 、斜め柱状構造体30の集合層20とを有する。 め柱状構造体30の集合層20は、支持体10の片 に設けられていてもよいし、両面に設けら ていてもよい。また、斜め柱状構造体30の集 合層20は、それが設けられた支持体10の表面 全面に設けられていてもよいし、支持体10の 表面の一部のみに設けられていてもよい。

 図1が親水性部材の概略断面図である場合 、図1で示す親水性部材100は、基材10と、斜め 柱状構造体30の集合層20とを有する。斜め柱 構造体30の集合層20は、基材10の片面に設け れていてもよいし、両面に設けられていて よい。また、斜め柱状構造体30の集合層20は それが設けられた基材10の表面の全面に設 られていてもよいし、基材10の表面の一部の みに設けられていてもよい。

 図2が親水性シートの概略断面図である場 合、図2で示す親水性シート200は、支持体10の 片面に斜め柱状構造体30の集合層20を有し、 持体10のもう一方の片面に粘着剤層40を有す 。粘着剤層40は、支持体10の片面の全面に設 けられてもよいし、支持体10の片面の一部の に設けられていてもよい。斜め柱状構造体3 0の集合層20は、それが設けられた支持体10の 面の全面に設けられていてもよいし、支持 10の表面の一部のみに設けられていてもよ 。

 図2が親水性部材の概略断面図である場合 、図2で示す親水性部材200は、基材10の片面に 斜め柱状構造体30の集合層20を有し、基材10の もう一方の片面に粘着剤層40を有する。粘着 層40は、基材10の片面の全面に設けられても よいし、基材10の片面の一部のみに設けられ いてもよい。斜め柱状構造体30の集合層20は 、それが設けられた基材10の表面の全面に設 られていてもよいし、基材10の表面の一部 みに設けられていてもよい。

 図1、図2に示すように、本発明における め柱状構造体の集合層20は、複数の斜め柱状 構造体30の集合層である。斜め柱状構造体の 合層20は、汚れ防止層あるいはくもり防止 として作用し得る。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材は、斜め柱状構造体 集合層を備えることで、表面に無数の微細 凹凸構造を形成でき、水に対して高い濡れ を発現し、特に、汚れ防止やくもり防止に して有効な親水性シートまたは親水性部材 なる。

 斜め柱状構造体30は、図3に示すように、 持体または基材10の表面に該表面からの仰 αが90度未満で突出している。仰角αは、好 しくは10~85度、より好ましくは20~80度、さら 好ましくは30~70度である。仰角αが90度未満 あることにより、本発明の親水性シートま は本発明の方法で得られる親水性部材は、 に対して高い濡れ性を有し、付着した汚れ 異物を水洗によって容易に除去することが き、また、水滴付着によるくもりを防ぐこ ができる。

 斜め柱状構造体30は、図4に示すように、 持体10または基材の表面から仰角αで実質的 にまっすぐに突出していてもよいし、図5に すように、支持体または基材10の表面から初 期仰角αで突出した後に曲がった形状となっ いてもよい。

 斜め柱状構造体は、柱状構造を有してい 。柱状構造としては、厳密に柱状の構造の ならず、略柱状の構造をも含む。例えば、 柱状構造、多角形柱状構造、コーン状構造 繊維状構造などが好ましく挙げられる。ま 、柱状構造の断面形状は、柱状構造体全体 わたって均一であってもよいし、不均一で ってもよい。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材においては、斜め柱 構造体の集合層の表面の水接触角が10度以 であり、好ましくは8度以下、より好ましく 6度以下である。斜め柱状構造体の集合層の 表面の水接触角を上記の範囲とすることで、 水に対して高い濡れ性を有し、付着した汚れ や異物を水洗によって容易に除去することが でき、また、水滴付着によるくもりを防ぐこ とができる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体のアスペクト比は、好ましくは1以上、よ り好ましくは2~20、さらに好ましくは3~10であ 。本発明において「アスペクト比」とは、 め柱状構造体の長さ(A)と斜め柱状構造体の が最も太い部分の径の長さ(B)の比(ただし、 (A)と(B)の単位は同じものとする)を表す。斜 柱状構造体のアスペクト比が上記の範囲に ることにより、水に対して高い濡れ性を有 、付着した汚れや異物を水洗によって容易 除去することができ、また、水滴付着によ くもりを防ぐことができる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体の長さは、好ましくは100nm以上であり、 り好ましくは200~100000nm、さらに好ましくは30 0~10000nm、特に好ましくは500~5000nmである。斜 柱状構造体の長さが上記の範囲にあること より、水に対して高い濡れ性を有し、付着 た汚れや異物を水洗によって容易に除去す ことができ、また、水滴付着によるくもり 防ぐことができる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体の径は、好ましくは1000nm以下であり、よ 好ましくは10~500nm、さらに好ましくは100~300n mである。斜め柱状構造体の径が上記の範囲 あることにより、水に対して高い濡れ性を し、付着した汚れや異物を水洗によって容 に除去することができ、また、水滴付着に るくもりを防ぐことができる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体の長さおよび径は、任意の適切な測定方 によって測定すれば良い。測定の容易さ等 点から、好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM )を用いた測定が挙げられる。走査型電子顕 鏡(SEM)を用いた測定は、例えば、SEM観察試料 台に本発明の親水性シートを貼り付け、側面 方向から観察することで、斜め柱状構造体の 長さおよび径を求めることが可能である。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方法 得られる親水性部材において、支持体また 基材の表面の単位面積当たりの斜め柱状構 体の本数は、好ましくは1×10 8 本/cm 2 以上、より好ましくは1×10 8 ~1×10 12 本/cm 2 、さらに好ましくは3×10 8 ~1×10 10 本/cm 2 である。支持体または基材の表面の単位面積 当たりの斜め柱状構造体の本数が上記の範囲 にあることにより、水に対して高い濡れ性を 有し、付着した汚れや異物を水洗によって容 易に除去することができ、また、水滴付着に よるくもりを防ぐことができる。

 本発明の親水性シートにおける支持体と ては、任意の適切な材料を採用し得る。例 ば、ポリイミド(PI)系樹脂、ポリエステル(PE T)系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系 脂、ポリエーテルサルフォン(PES)系樹脂、ポ リエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂、ポリ アリレート(PAR)系樹脂、アラミド系樹脂、ま は液晶ポリマー(LCP)樹脂、フッ素系樹脂、 クリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレ ィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、EVA、PMMA、POM の有機高分子樹脂からなるシートや基板の か、石英基板、ガラス基板、シリコンウェ などの無機材料などからなる基板も用いら る。これらの中でも、特に、PET系樹脂シー 、ポリカーボネート系樹脂シートは、透明 が高く、好適に用いられる。

 本発明の方法で得られる親水性部材にお る基材としては、任意の適切な材料を採用 得る。例えば、ポリイミド(PI)系樹脂、ポリ エステル(PET)系樹脂、ポリエチレンナフタレ ト(PEN)系樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES) 系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系 樹脂、ポリアリレート(PAR)系樹脂、アラミド 樹脂、または液晶ポリマー(LCP)樹脂、フッ 系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂 ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、EV A、PMMA、POM等の有機高分子樹脂;石英、ガラス 、シリコンウェハ、コンクリート、モルタル 、サイディングボード、タイル、陶器、鏡、 金属(鉄、アルミニウム、合金、鋼、銅など) 石材、木材、スレートなどの無機材料;など が挙げられる。

 本発明の親水性シートにおける支持体また 本発明の方法で得られる親水性部材におけ 基材としては、より具体的には、用途別に 挙すると、例えば、
(1)トンネル内装板、トンネル内照明、道路標 識、道路照明、防音壁、ガードフェンス、反 射板、道路鏡などの道路関連資材;
(2)キッチン設備部材、浴室設備部材、住宅内 装部材、サイディング材、タイル、ガラス、 サッシ、網戸、門扉、カーポート、サンルー ム、ベランダ部材、屋根用部材、住宅外壁部 材、浴室鏡、化粧鏡、衛生陶器などの住宅関 連資材;
(3)ビルサッシ、カーテンウォール、塗装鋼板 、アルミパネル、タイル、石材、結晶化ガラ ス、ガラス用フィルムなどのビル関連資材;
(4)ショーケース、サイン・表示類、ショーウ ィンドウ、店舗用外装材、冷蔵商品ケース、 冷凍商品ケースなどの店舗関連資材;
(5)ガラス音質、ビニールハウスなどの農業関 連資材;
(6)コンピュータディスプレイ、太陽電池、ガ ラス、エアコン用アルミファン、高圧電線な どのエレクトロニクス関連資材;
(7)自動車ボディ、車両ボディ、自動車塗装部 材、車両塗装部材、前照灯カバー、窓ガラス 、ヘルメットシールド、ガラス用フィルム、 ドアミラー、二輪車バックミラー、二輪車風 防、ミラー用フィルムなどの車両関連資材;
(8)光学レンズ、内視鏡レンズなどの光学機器 関連資材;
(9)コンタクトレンズ、カテーテルなどの医療 関連資材;
(10)食器、調理器具、防汚メンテナンス材、 曇メンテナンス材などの日用品・消費財関 資材;
などが挙げられる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材においては、支持体 たは基材の表面に予めプラズマ(スパッタ) 理、コロナ放電、紫外線照射、火炎、電子 照射、化成、酸化などのエッチング処理や 有機物の下塗り処理を施して、斜め柱状構 体と支持体との密着性を向上させてもよい また、必要に応じて、溶剤洗浄や超音波洗 などにより、除塵清浄化してもよい。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における支持体また 基材の厚みとしては、任意の適切な厚みを 用し得る。例えば、シート状であれば、好 しくは10~250μm、基板状であれば、好ましく 0.1~10mmである。なお、支持体または基材は 層でも良いし、2層以上の積層体でも良い。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方法 得られる親水性部材における斜め柱状構造 としては、任意の適切な材料を採用し得る 例えば、アルミニウム、亜鉛、金、銀、プ チナ、ニッケル、クロム、銅、白金、イン ウムなどの金属類やサファイア、炭化珪素( SiC)、チッ化ガリウム(GaN)などの無機材料、一 酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO 2 )、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化ガリウム(Ga 2 O 3 )、酸化ハフニウム(HfO 2 )、五酸化タンタル(Ta 2 O 5 )、酸化イットリウム(Y 2 O 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO 2 )、五酸化チタン(Ti 3 O 5 )、酸化ニッケル(NiO)、酸化マグネシウム(MgO) ITO(In 2 O 3 +SnO 2 )、五酸化ニオブ(Nb 2 O 5 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )などの酸化物も使用できる。また、ポリイ ド、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウ 、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ネ ジウム、フッ化ナトリウムなどのフッ素系 料、シリコーンなどの樹脂等も利用できる これらの材料は、1種のみを単独で用いても いし、2種以上を混合して用いても良いし、 2層以上の多層構造としても良い。特に、親 性を有する材料である二酸化ケイ素(SiO 2 )、二酸化チタン(TiO 2 )などの酸化物が好適に用いられる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方法 得られる親水性部材における斜め柱状構造 の集合層の表面の表面自由エネルギーは、 ましくは70mJ/m 2 以上、より好ましくは73mJ/m 2 以上、さらに好ましくは75mJ/m 2 以上である。斜め柱状構造体の集合層の表面 の表面自由エネルギーが上記の範囲にあるこ とにより、集合層の表面の濡れ性が向上し、 付着した汚れや異物を水洗によって容易に除 去することができ、また、水滴付着によるく もりを防ぐことができる。

 ここで、表面自由エネルギーとは、固体表 に対して水およびヨウ化メチレンを用いて れぞれ接触角を測定し、この測定値と接触 測定液体の表面自由エネルギー値(文献より 既知)を、Youngの式および拡張Fowkesの式から導 かれる下記の式(1)に代入し、得られる二つの 式を連立一次方程式として解くことにより、 求められる固体の表面自由エネルギー値を意 味するものである。
 (1+cosθ)r L =2√(r S d r L d )+2√(r S v r L v )・・・(1)
 ただし、式中の各記号は、それぞれ以下の りである。
θ:接触角
r L :接触角測定液体の表面自由エネルギー
r L d :rLにおける分散力成分
r L v :rLにおける極性力成分
r S d :固体の表面自由エネルギーにおける分散力 分
r S v :固体の表面自由エネルギーにおける極性力 分

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体の集合層の厚みは、本発明の目的を達成 得る範囲において、任意の適切な条件を採 し得る。好ましくは10nm以上、より好ましく は50~10000nm、さらに好ましくは100~5000nmである 斜め柱状構造体の集合層の厚みがこのよう 範囲であれば、集合層の表面の濡れ性が向 し、付着した汚れや異物を水洗によって容 に除去することができ、また、水滴付着に るくもりを防ぐことができる。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体の集合層は、好ましくは、実質的に粘着 を有しない。ここで、実質的に粘着性を有 ないとは、粘着の本質を滑りに対する抵抗 ある摩擦としたとき、粘着性の機能を代表 る感圧性タックがないことを意味する。こ 感圧性タックは、たとえばDahlquistの基準に たがうと、粘着性物質の弾性率が1MPaまでの 範囲で発現するものである。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材における斜め柱状構 体の集合層の表面を保護するために、保護 ィルムを用いてもよい。保護フィルムは、 用時など適切な段階で剥離され得る。保護 ィルムとしては、任意の適切な材料から形 される保護フィルムを用い得る。例えば、 リコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、 肪酸アミド系、シリカ系の剥離剤などで剥 処理されたポリ塩化ビニル、塩化ビニル共 合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ チレンテレフタレート、ポリウレタン、エ レン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹 、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、 チレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体 、ポリスチレン、ポリカーボネートなどから なるプラスチックフィルムが挙げられる。ま た、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ テン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン などのポリオレフィン樹脂系のフィルムにつ いては、離型処理剤を用いなくとも離型性を 有するので、それ単体を保護フィルムとして 使用することもできる。

 保護フィルムの厚さは、好ましくは1~100μ mであり、より好ましくは10~100μmである。保 フィルムの形成方法は、本発明の目的を達 し得る範囲において、任意の適切な方法が 用され得る。例えば、射出成形法、押出成 法、ブロー成形法により形成することがで る。

 本発明の親水性シートの好ましい実施形 としては、上記支持体の片面に該表面から 仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造体 集合層を備え、該集合層の表面の水接触角 10度以下であり、上記支持体のもう一方の片 面に粘着剤層が形成されている。

 本発明の親水性シートにおける粘着剤層 用いられる粘着剤としては、任意の適切な 料を採用し得る。例えば、アクリル系粘着 、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙 られる。中でも、被着体への汚染性が低い どの点から、アクリル系粘着剤が好ましく 重量平均分子量が10万以下の成分が10重量% 下である(メタ)アクリル系ポリマーを主剤と したアクリル系粘着剤が特に好ましい。

 (メタ)アクリル系ポリマーを形成するモ マー成分としては、例えば、メチル基、エ ル基、n-プルピル基、イソプルピル基、n-ブ ル基、t-ブチル基、イソブチル基、アミル 、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基 シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オ クチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソ ノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデ シル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラ デシル基、ステアリル基、オクタデシル基、 及びドデシル基などの、炭素数30以下のアル ル基を有するアルキル(メタ)アクリレート 好ましく、より好ましくは、炭素数4~18の直 又は分岐のアルキル基を有するアルキル(メ タ)アクリレートである。これらアルキル(メ )アクリレートは、1種のみ単独で用いても く、2種以上を併用してもよい。

 上記以外のモノマー成分としては、例え 、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシ チル(メタ)アクリレート、カルボキシペン ル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイ ン酸、フマール酸、及びクロトン酸などのカ ルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸 無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メ タ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)ア リル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリ ル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6- ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒ ロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロ キシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシ ウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシ )メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキ ル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ア リルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2- チルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルア ミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル( タ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイル キシナフタレンスルホン酸などのスルホン 基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリ イルホスフェートなどのリン酸基含有モノ ー;などが挙げられる。これらモノマー成分 1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を併 してもよい。

 また、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋 理等を目的として、必要に応じて、多官能 ノマーを共重合モノマー成分として用いる とができる。

 多官能モノマーとしては、例えば、ヘキ ンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エ チレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポ リ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ ート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アク レート、トリメチロールプロパントリ(メタ) アクリレート、テトラメチロールメタンテト ラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ ールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ リスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)ア リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ( メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレ ート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウ タン(メタ)アクリレートなどが挙げられる これら多官能モノマーは、1種のみ単独で用 てもよく、2種以上を併用してもよい。

 多官能モノマーの使用量は、粘着特性等 観点より、全モノマー成分の30重量%以下で ることが好ましく、15重量%以下であること より好ましい。

 (メタ)アクリル系ポリマーの調製は、例 ば、1種または2種以上のモノマー成分を含む 混合物を用い、溶液重合方式、乳化重合方式 、塊状重合方式、又は懸濁重合方式等の適宜 な方式を適用して行うことができる。

 (メタ)アクリル系ポリマーの調製におい は、重合開始剤を使用し得る。重合開始剤 しては、例えば、過酸化水素、過酸化ベン イル、t-ブチルパーオキサイドなどの過酸化 物系が挙げられる。

 重合開始剤は、単独で用いるのが望まし が、還元剤と組み合わせてレドックス系重 開始剤として使用することもできる。

 還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、亜 酸水素塩、鉄塩、銅塩、コバルト塩などの オン化の塩;トリエタノールアミン等のアミ ン類;アルドース、ケトース等の還元糖;など 挙げることができる。

 重合開始剤としてアゾ化合物も好ましい 例えば、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオア ミジン酸塩、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレ ロニトリル、2,2’-アゾビス-N,N’-ジメチレン イソブチルアミジン酸塩、2,2’-アゾビスイ ブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチル-N-( 2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等を使 用することができる。

 重合開始剤は、1種のみを用いても良いし 、2種以上を併用しても良い。

 重合の反応温度は、好ましくは、50~85℃ ある。重合の反応時間は、好ましくは、1~8 間である。

 重合方式としては、特に、溶液重合方式 好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーの溶 としては、酢酸エチルやトルエン等の極性 剤が好ましい。溶液濃度は、好ましくは、20 ~80重量%である。

 本発明の親水性シートにおける粘着剤層 用いられる粘着剤には、ベースポリマーで る(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子 を高めるため、架橋剤を適宜に加えること できる。

 架橋剤としては、例えば、ポリイソシア ート化合物、エポキシ化合物、アジリジン 合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、無水化合 、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマ などが挙げられる。

 架橋剤を使用する場合、その使用量は、 き剥がし粘着力が下がり過ぎないことを考 し、ベースポリマー100重量部に対して、0.01 ~5重量部が好ましい。

 本発明の親水性シートにおける粘着剤層 用いられる粘着剤には、必要により、任意 適切な添加剤、例えば、粘着付与剤、老化 止剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等を含 させることができる。

 本発明の親水性シートにおける粘着剤層 厚みは、1~100μmが好ましく、3~50μmがより好 しく、5~20μmが特に好ましい。

 本発明の親水性シートにおける粘着剤層 には、セパレータが設けられていることが ましい。セパレータを設けることにより、 層シート(粘着シート)をロール状にして加 処理したり、保管したりすることができる また、親水性シートを使用するまでの間、 着剤層の表面を埃等から保護することがで る。

 セパレータの構成材料としては、例えば ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテル イミド、ポリアリレート,ポリエチレンナフ レート、ポリエチレン、ポリプロピレン、 リブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペ テン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合 ,ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ テレフタレート、ポリウレタン、エチレン- 酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エ チレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン -(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリス チレン、ポリカーボネート等のプラスチック から形成されるフィルムなどが挙げられる。

 セパレータの片面には、粘着剤層からの 離性を高めるため、必要に応じて、シリコ ン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理、 肪酸アミド系による処理、シリカ系による 理等の剥離処理が施されていてもよい。

 セパレータの厚みは、5~200μmが好ましく 25~100μmがより好ましく、38~60μmがさらに好ま しい。

 本発明の親水性シートは、支持体の表面 、斜め柱状構造体を形成させて製造し得る 斜め柱状構造体の形成方法としては、任意 適切な方法を採用し得る。好ましくは、斜 蒸着法である。

 本発明の基材表面の超親水化方法は、基 の表面を超親水化させる方法であって、斜 蒸着法によって、該基材の表面に該表面か の仰角が90度未満で突出した斜め柱状構造 の集合層を形成させる。

 斜め蒸着法としては、任意の適切な斜め 着法の技術を採用し得る。例えば、特開平8 -27561号公報に記載の方法が挙げられる。好ま しくは、真空蒸着装置を用いる。また、ロー ルで送り出される支持体上や基材上に蒸着材 料を蒸着させて行うことも好ましい。また、 蒸着源と支持体または基材との間に部分的な 遮へい板を設けることによって該支持体上ま たは該基材上に蒸着材料を斜め蒸着させるこ とも好ましい。ここで、「部分的な遮へい板 」とは、蒸着源と支持体または基材との間の 空間に遮へい板を配置するにあたって、蒸着 源から見て支持体または基材が完全に隠れる ように遮へい板を配置しないことを意味する 。すなわち、蒸着源から見て支持体または基 材の少なくとも一部が見えるように遮へい板 を配置することを意味する。

 好ましい実施態様として、図6に示すよう に、真空にした容器(チャンバー)の中で、蒸 材料を蒸着源60として加熱し気化もしくは 華して、離れた位置に置かれた支持体また 基材10の表面に付着させる際に、遮へい板50 用い、蒸着材料を支持体または基材10に対 て傾斜させて蒸着させる。蒸着材料を支持 または基材10に対して傾斜し蒸着させること で、支持体または基材10表面に対して傾斜し 斜め柱状構造体30が形成される。このとき 支持体または基材10は蒸着ロール70で送り出 れる。図6に示すような真空蒸着装置を用い る場合、支持体または基材の表面に該支持体 または該表面からの仰角が90度未満で突出し 斜め柱状構造体の集合層を設けることがで 、且つ、該斜め柱状構造体のアスペクト比 1以上であるように制御するために、装置設 計上、特に重要となるのは、蒸着ロールの半 径Rと、蒸着ロールの表面から蒸着源までの 短距離L3である。

 図6に示すような真空蒸着装置を用いる場 合、蒸着ロールの半径Rは、支持体または基 の表面に該支持体または該表面からの仰角 90度未満で突出した斜め柱状構造体の集合層 を設けることができ、且つ、該斜め柱状構造 体のアスペクト比が1以上であるように制御 きる限り、任意の適切な半径を採用し得る 効率よく本発明の効果を発現するためには 蒸着ロールの半径Rは、好ましくは、0.1~5m、 り好ましくは0.2~1mである。

 図6に示すような真空蒸着装置を用いる場 合、蒸着ロールの表面から蒸着源までの最短 距離L3は、支持体または基材の表面に該支持 または該表面からの仰角が90度未満で突出 た斜め柱状構造体の集合層を設けることが き、且つ、該斜め柱状構造体のアスペクト が1以上であるように制御できる限り、任意 適切な距離を採用し得る。効率よく本発明 効果を発現するためには、蒸着ロールの表 から蒸着源までの最短距離L3は、好ましく 、0.1~5m、より好ましくは0.3~3mである。

 図6に示すような真空蒸着装置を用いる場 合、蒸着ロールの中心から蒸着源までの最短 距離L1は、支持体または基材の表面に該支持 または該表面からの仰角が90度未満で突出 た斜め柱状構造体の集合層を設けることが き、且つ、該斜め柱状構造体のアスペクト が1以上であるように制御できる限り、任意 適切な距離を採用し得る。なお、L1は、L1=R+ L3で決まる長さである。したがって、効率よ 本発明の効果を発現するためには、蒸着ロ ルの中心から蒸着源までの最短距離L1は、 ましくは、0.2~10m、より好ましくは0.5~4mであ 。

 図6に示すような真空蒸着装置を用いる場 合、遮へい板から蒸着源までの最短距離L2は 支持体または基材の表面に該支持体または 表面からの仰角が90度未満で突出した斜め 状構造体の集合層を設けることができ、且 、該斜め柱状構造体のアスペクト比が1以上 あるように制御できる限り、任意の適切な 離を採用し得る。なお、L2はL3に依存して設 定され得る長さであるが、効率よく本発明の 効果を発現するためには、一般的には、L2は 好ましくはL3の1/2以上、より好ましくは2/3 上である。L2がこれよりも小さいと、蒸着膜 が等方的に成膜されやすくなり、上記の角度 、アスペクト比が制御しにくいおそれがある 。

 図6に示すような真空蒸着装置を用いる場 合、遮へい板の長さL4は、支持体または基材 表面に該支持体または該表面からの仰角が9 0度未満で突出した斜め柱状構造体の集合層 設けることができ、且つ、該斜め柱状構造 のアスペクト比が1以上であるように制御で る限り、任意の適切な長さを採用し得る。 お、L4はRに依存して設定され得る長さであ が、蒸着角度をつける必要があることから 好ましくはR<L4<2Rで設定し得る。L4は、 ましくは0.1~10m、より好ましくは0.2~2mである 。また、具体的には、支持体または基材の表 面に該支持体または該表面からの仰角αが90 未満、好ましくは10~85度、より好ましくは20~ 80度、さらに好ましくは30~70度で突出した斜 柱状構造体が設けられるように、遮へい板 長さL4を調整する。図5の場合、遮へい板50の 右端部の位置を水平方向に調整する。

 上記真空蒸着装置内の到達真空度は、好ま くは1×10 -3 torr以下、より好ましくは5×10 -4 torr以下、さらに好ましくは1×10 -4 torr以下である。上記真空蒸着装置内の到達 空度が上記範囲から外れると、本発明の効 を十分に発揮させ得る斜め柱状構造体を形 できないおそれがある。

 上記真空蒸着装置内において支持体また 基材が送り出されるライン速度は、装置サ ズ等を考慮して、支持体または基材の表面 該支持体または該表面からの仰角が90度未 で突出した斜め柱状構造体の集合層を設け ことができ、且つ、該斜め柱状構造体のア ペクト比が1以上であるように制御できるよ に、任意の適切な速度を設定すれば良い。

 上記真空蒸着装置内における蒸着材料の 着は、該蒸着材料を加熱・気化できる方法 あれば、任意の適切な方法を採用し得る。 えば、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導 レーザーなどの方法で加熱・気化する。好 しくは、上記真空蒸着装置内における蒸着 料の蒸着が電子ビームによる加熱・気化に って行われる。

 上記電子ビームのエミッション電流は、 置サイズ等を考慮して、支持体または基材 表面に該支持体または該表面からの仰角が9 0度未満で突出した斜め柱状構造体の集合層 設けることができ、且つ、該斜め柱状構造 のアスペクト比が1以上であるように制御で るように、任意の適切なエミッション電流 設定すれば良い。

 斜め蒸着法の条件としては、上記の条件 他に、任意の適切な条件を採用し得る。例 ば、蒸着時間、チャンバー真空度、加熱条 (電子ビーム出力電流、加速電圧など)、基 温度などを適宜変更して、条件を設定し得 。

 上記蒸着材料としては、任意の適切な材料 採用し得る。例えば、アルミニウム、亜鉛 金、銀、プラチナ、ニッケル、クロム、銅 白金、インジウムなどの金属類やサファイ 、炭化珪素(SiC)、チッ化ガリウム(GaN)などの 無機材料、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素( SiO 2 )、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化ガリウム(Ga 2 O 3 )、酸化ハフニウム(HfO 2 )、五酸化タンタル(Ta 2 O 5 )、酸化イットリウム(Y 2 O 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、一酸化チタン(TiO)、二酸化チタン(TiO 2 )、五酸化チタン(Ti 3 O 5 )、酸化ニッケル(NiO)、酸化マグネシウム(MgO) ITO(In 2 O 3 +SnO 2 )、五酸化ニオブ(Nb 2 O 5 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )などの酸化物も使用できる。また、ポリイ ド、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウ 、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ネ ジウム、フッ化ナトリウムなどのフッ素系 料、シリコーンなどの樹脂等も利用できる これらの材料は、1種のみを単独で用いても いし、2種以上を混合して用いても良いし、 2層以上の多層構造としても良い。特に、親 性を有する材料である二酸化ケイ素(SiO 2 )、二酸化チタン(TiO 2 )などの酸化物が好適に用いられる。

 本発明の親水性シートは、任意の適切な 途に用いうる。好ましくは、例えば、汚れ 止層やくもり防止層を有する親水性シート 挙げられる。

 以下、本発明を実施例に基づいて説明す が、本発明はこれに限定されるものではな 。

[水接触角、表面自由エネルギー]
 斜め柱状構造体の集合層表面に対して水お びヨウ化メチレンを用いてそれぞれ接触角 測定し、式(1)により表面自由エネルギーを 出した。

[汚れ防止性評価]
 親水性シートの斜め蒸着構造体の集合層上 油滴(松村石油研究所製、ネオバックMR-200) 適量のせた。その後、油滴の周りに、純水 油滴を取り囲むように流しこみ、純水によ 油滴の除去性を確認した。評価は5段階(5が も良好)の官能性評価で行った。

[くもり防止性評価]
 10cm□にカットした親水性シートの粘着剤層 側のセパレータを剥離し、窓ガラスに貼り合 せた。その後、斜め柱状構造体の集合層に息 を吹きかけ、窓ガラスのくもりとめ性を確認 した。評価は5段階(5が最も良好)の官能性評 で行った。

[実施例1]
(斜め蒸着法)
 斜め柱状構造体の形成は、図6に示す巻き取 り式電子ビーム(EB)真空蒸着装置を使用した 基材としては厚み50μmのポリエステルフィル ム(東レ製、ルミラーS10)、蒸発源として二酸 シリコン(SiO 2 )を用い、ライン速度を0.2m/minとして、チャン バー内到達真空度4×10 -5 torr、EB出力(エミッション電流)500mA、蒸着入 角60度の条件にて作製した。
(親水性シート作製)
 アクリル酸ブチル100部及びアクリル酸3部か らなるモノマ―混合液から得たアクリルポリ マー100部に対して、ポリイソシアネート化合 物(日本ポリウレタン工業製、商品名:コロネ トL)2部、エポキシ系化合物(三菱瓦斯化学製 、商品名:テトラッドC)0.6部を均一に混合して 、アクリル系粘着剤溶液を調製した。片面が シリコーン系離型剤にて処理されたポリエス テル性セパレータ(三菱化学ポリエステルフ ルム製、商品名MRF50、厚み50μm、幅250mm)のシ コーン離型処理面に、上記粘着剤溶液を乾 後の厚みが10umとなるようにコーティングし 乾燥させた。斜め柱状構造体が形成された50 m厚のポリエステルフィルムの他面にラミネ トし、親水性シートを作製した。
(評価)
 評価結果を表1に示す。また、得られた親水 性シートの断面SEM写真を図7に示す。さらに くもり防止性評価の写真図を図9に示す。

[実施例2]
 ライン速度を1.7m/minとした以外は実施例1と 様の方法にて蒸発源のSiO 2 を蒸発させ、斜め柱状構造体を基材上に形成 し、親水性シートを作製した。評価結果を表 1に示す。また、得られた親水性シートの断 SEM写真を図8に示す。さらに、くもり防止性 価の写真図を図9に示す。

[実施例3]
 斜め柱状構造体の形成において、基材とし 4インチのシリコンウェハを用いた以外は、 実施例1と同様の方法にて蒸発源のSiO 2 を蒸発させ、斜め柱状構造体を基材上に形成 し、親水性シートを作製した。評価結果を表 1に示す。

[実施例4]
 斜め柱状構造体の形成において、基材とし 厚み2mmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)樹 を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて 蒸発源のSiO 2 を蒸発させ、斜め柱状構造体を基材上に形成 し、親水性シートを作製した。評価結果を表 1に示す。

[比較例1]
 ライン速度を2.9m/minとした以外は実施例1と 様の方法にて蒸発源のSiO 2 を蒸発させ、斜め柱状構造体を基材上に形成 し、親水性シートを作製した。評価結果を表 1に示す。また、くもり防止性評価の写真図 図9に示す。

[比較例2]
 ライン速度を4.3m/minとした以外は実施例1と 様の方法にて蒸発源のSiO 2 を蒸発させ、斜め柱状構造体を基材上に形成 し、親水性シートを作製した。評価結果を表 1に示す。また、くもり防止性評価の写真図 図9に示す。

[比較例3]
 斜め柱状構造体を形成せず、片面粘着剤層 らなるシートを作製した。評価結果を表1に 示す。また、くもり防止性評価の写真図を図 9に示す。

 本発明の親水性シートまたは本発明の方 で得られる親水性部材は、水に対して高い れ性を有し、付着した汚れや異物を水洗に って容易に除去できる汚れ防止シートや、 滴付着によるくもりを防ぐことができるく り防止シートなどに適用できる。