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Patent Searching and Data


Title:
IMMERSION NOZZLE FOR CONTINUOUS CASTING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119301
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an immersion nozzle (10) for continuous casting, in which the drift of flow of a molten steel discharged from a discharge hole (14) is suppressed and the variation of molten metal surface is reduced, and which can be easily manufactured. The immersion nozzle (10) includes a molten steel inlet (13) formed at the upper end thereof, a flow passage (12) extending from the inlet (13) downward in the interior of the nozzle, and a pair of discharge holes (14) which communicate with the flow passage (12) and are so formed in the lower side surface part of a tube body (11) having a bottom part (15) as to face each other. In the immersion nozzle, convex strips (16) projecting inward and horizontally traversing an inner wall (18) are so disposed as to face each other on the inner wall (18) which is provided between the pair of discharge holes (14) and defines the flow passage (12).

Inventors:
KIDO KOJI (JP)
KURISU JOJI (JP)
OTSUKA HIROSHI (JP)
MIZOBE ARITO (JP)
KURODA TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054465
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KROSAKI HARIMA CORP (JP)
KIDO KOJI (JP)
KURISU JOJI (JP)
OTSUKA HIROSHI (JP)
MIZOBE ARITO (JP)
KURODA TAKAHIRO (JP)
International Classes:
B22D41/50; B22D11/10
Foreign References:
JPH08294757A1996-11-12
JP2001347348A2001-12-18
JPH04238658A1992-08-26
Other References:
None
See also references of EP 2279816A4
Attorney, Agent or Firm:
NAKAMAE, Fujio et al. (JP)
Fujio Nakamae (JP)
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Claims:
上端部が溶鋼の流入口とされ、該流入口から下方に延びる流路が内部に形成された、底部を有する管体の下がわ側面部に、前記流路と連通する一対の吐出孔が対向して形成された連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、
一対の前記吐出孔間に在って前記流路を画成する内壁に、内方に突出し該内壁を水平方向に横断する突条部が対向配置されていることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記吐出孔を正面視して、該吐出孔の水平方向の幅をa’、鉛直方向の幅をb’とし、前記突条部端面の突出高さをa、鉛直方向の幅をbとすると、a/a’=0.05~0.38、b/b’=0.05~0.5である連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項2記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記吐出孔を正面視して、該吐出孔の上縁から前記突条部端面の鉛直方向の幅の1/2までの鉛直距離をcとすると、c/b’=0.15~0.7である連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記突条部の両端部が外方に向けて下方に傾斜する傾斜部とされている連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項4記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記吐出孔の上端面及び下端面が外方に向けて下方に傾斜し、該上端面及び該下端面の傾斜角度と前記傾斜部の傾斜角度とが同角度である連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項5記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記突条部の延在方向に関し、一対の前記吐出孔の直上における前記流路の幅をL 1 、前記傾斜部を除いた前記突条部の長さをL 2 とすると、L 2 /L 1 =0~1である連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項6記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記上端面、前記下端面、及び前記傾斜部の傾斜角度が0~45°である連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記突条部の延在方向の端面は、延在方向と直交する鉛直面とされている連続鋳造用浸漬ノズル。
請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記管体の底部に凹陥状の湯溜り部が形成されている連続鋳造用浸漬ノズル。
Description:
連続鋳造用浸漬ノズル

本発明は、タンディッシュから鋳型内に溶 鋼を注湯する連続鋳造用浸漬ノズルに関する 。

溶鋼を連続的に冷却凝固させて所定形状の鋳 片を形成する連続鋳造工程では、タンディッ シュの底部に設置された連続鋳造用浸漬ノズ ル(以下では、単に「浸漬ノズル」と呼ぶこ もある。)を介して鋳型内に溶鋼が注湯され 。
一般に、浸漬ノズルは、上端部が溶鋼の流入 口とされ、流入口から下方に延びる流路が内 部に形成された、底部を有する管体からなり 、管体の下がわ側面部には、流路と連通する 一対の吐出孔が対向して形成されている。浸 漬ノズルは、その下部を鋳型内の溶鋼中に浸 漬させた状態で使用される。これにより、注 湯された溶鋼の飛散を防止すると共に、溶鋼 と大気との接触を遮断して酸化を防止してい る。また、浸漬ノズルを使用することにより 鋳型内の溶鋼が整流化され、湯面を浮遊する スラグや非金属介在物などの不純物が溶鋼中 へ巻き込まれないようにしている。

近年、連続鋳造工程における鋼品質の高品 位化及び高生産化が求められている。現有設 備において高生産化を指向する場合、鋳込速 度を上げる必要があり、限られた鋳型内で浸 漬ノズルの流路径を大きくしたり、吐出孔を 大きくしたりして通鋼量を稼ぐ工夫がなされ ている。

しかし、吐出孔を大きくすると、吐出孔か ら吐出する吐出流の上下方向及び/又は左右 向の流速分布にアンバランスが生じる。そ て、このアンバランスな流れ(偏流)が鋳型の 短辺がわ側壁に衝突することにより、鋳型内 において不安定な溶鋼流が引き起こされる。 その結果、過大な反転流による湯面変動やモ ールドパウダーの巻き込みによる鋼品質の低 下を招くと共に、ブレークアウト等の要因に なっていた。

そこで、例えば特許文献1では、管体の下 わ側面部に対向して形成された一対の吐出 を、内方に突出する突起部によって上下2段 は3段に分割して総数4個又は6個の吐出孔と た浸漬ノズルの発明が開示されている(図18( A)、(B)参照)。そして、当該浸漬ノズルによれ ば、詰まりを抑制すると共に、より一様な吐 出流速を有し、回転と渦が大幅に減少した、 より安定且つ制御された吐出流が生成される としている。

国際公開第2005/049249号パンフレット

本発明者は、特許文献1に記載された浸漬 ズルと、管体の下がわ側面部に対向して形 された一対の吐出孔を有する従来の浸漬ノ ルと、従来の浸漬ノズルにおいて対向する 出孔間の流路中央部に内方に突出する突起 を設けたタイプ(図19参照)について水モデル 験を実施し、各浸漬ノズルから吐出される 出流のバラツキについて検証した。

図20は、各浸漬ノズルの水モデル結果を示し ものである。同図では、鋳型を短辺方向か 見て、浸漬ノズルを挟んで左右の反転流速 標準偏差の平均値σ av を横軸、左右の反転流速の標準偏差の差δσ び左右の反転流速の平均値V av を縦軸に採っている。また、試験体Aが特許 献1に記載された浸漬ノズル(4吐出孔タイプ) 試験体Bが従来の浸漬ノズル、試験体Cが流 中央部(浸漬ノズルの内壁面上かつ流路幅の 央部)に突起部を設けた浸漬ノズルに対応し ている。
図20(A)より、左右の反転流速の標準偏差の差 σ、即ち左右の反転流速の差が最も大きい浸 漬ノズルが従来タイプであり、特許文献1に 載された浸漬ノズルと流路中央部に突起部 設けた浸漬ノズルは、左右の反転流速の差 小さいことがわかる。一方、図20(B)より、従 来の浸漬ノズルと特許文献1に記載された浸 ノズルは左右の反転流速の平均値V av が大きく、流路中央部に突起部を設けた浸漬 ノズルは左右の反転流速の平均値V av が小さいことがわかる。

鋳込速度(スループット)が増大するにつれて 左右の反転流速の標準偏差の差δσ及び左右 の反転流速の平均値V av は増大することが確認されているが、鋼品質 の高品位化の観点からすれば、δσは2cm/sec以 、V av は10cm/sec~30cm/secが望ましい。この点に関し、 σについては全ての試験体において2cm/sec以 となっているが、V av については、全ての試験体が10cm/sec~30cm/secの 囲から外れている。

また、特許文献1に記載された浸漬ノズル(4吐 出孔タイプ)の場合、図21(A)、(B)に示す流体解 析結果が示すように、下側吐出孔からの吐出 流が多く、上側吐出孔からの吐出流が少ない 。その結果、反転流速が35cm/secと大きな値を している。なお、流体解析時の鋳型サイズ 1500mm×235mm、鋳込速度は3.0ton/minである。
加えて、特許文献1に記載された浸漬ノズル は、吐出孔が4個以上有るため、製造が複雑 なり過ぎると共に、吐出孔の閉塞や溶損が 生した場合、吐出流のバランスが崩れやす という難点がある。

本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの で、吐出孔から吐出する溶鋼流の偏流が少な く湯面変動も小さく、製造が容易な連続鋳造 用浸漬ノズルを提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明は、上端部 が溶鋼の流入口とされ、該流入口から下方に 延びる流路が内部に形成された、底部を有す る管体の下がわ側面部に、前記流路と連通す る一対の吐出孔が対向して形成された連続鋳 造用浸漬ノズルにおいて、一対の前記吐出孔 間に在って前記流路を画成する内壁に、内方 に突出し該内壁を水平方向に横断する突条部 が対向配置されていることを特徴としている 。
ここで、「内壁を水平方向に横断する」とは 、内壁の一方の側端(一方の吐出孔との境界 置)から他方の側端(他方の吐出孔との境界位 置)まで、突条部が水平方向に延在すること 意味する。
なお、本明細書では、連続鋳造用浸漬ノズル を鉛直に立てた状態に基づいて各方向を設定 している。

従来の浸漬ノズルでは、吐出孔から吐出す る吐出流の流速分布が下方に偏り不均一とな っていたが、本発明では、対向する突条部に よる堰き止め効果により、吐出孔上部におい ても吐出流を得ることができる。一方、対向 する突条部間を下方に通過する溶鋼流は、突 条部間のクリアランスによる整流効果によっ て、突条部の延在方向と平行な鉛直面内にお いて管体軸を挟んで左右均等な流れとなる。 また、吐出流が均等となることによって、鋳 型の短辺がわ側壁に衝突する吐出流の最大速 度が緩和され、反転流速が小さくなる。その 結果、過大な反転流による湯面変動やモール ドパウダーの巻き込みがなくなり、鋼品質の 低下を防止することができる。

また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズル では、前記吐出孔を正面視して、該吐出孔の 水平方向の幅をa’、鉛直方向の幅をb’とし 前記突条部端面の突出高さをa、鉛直方向の 幅をbとすると、a/a’=0.05~0.38、b/b’=0.05~0.5で ることを好適とする。さらに、該吐出孔の 縁から前記突条部端面の鉛直方向の幅の1/2 での鉛直距離をcとすると、c/b’=0.15~0.7であ ることを好適とする。

また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルで は、前記突条部の両端部が外方に向けて下方 に傾斜する傾斜部とされていることが好まし い。またそれに伴い、前記吐出孔の上端面及 び下端面が外方に向けて下方に傾斜し、該上 端面及び該下端面の傾斜角度と前記傾斜部の 傾斜角度とが同角度であることが好ましい。
吐出孔の上端面及び下端面が外方に向けて下 方に傾斜した浸漬ノズルにおいて、延在方向 の両端部に傾斜部の無い突条部を設けた場合 、突条部上方における吐出流が突条部により 遮られ、上方に向けて吐出する流れとなる。 そして、この流れが、鋳型表面における反転 流と衝突するため、反転流速の安定化が図れ なくなる。このため、突条部の両端部に形成 した傾斜部の傾斜角度は、吐出孔の上端面及 び下端面の傾斜角度と同角度であることが望 ましい。

また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルで は、前記突条部の延在方向に関し、一対の前 記吐出孔の直上における前記流路の幅をL 1 、前記傾斜部を除いた前記突条部の長さをL 2 とすると、L 2 /L 1 =0~1であることが好ましい。

また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズル では、前記上端面、前記下端面、及び前記傾 斜部の傾斜角度は0~45°であることが好ましい 。

また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズル では、前記突条部の延在方向の端面は、延在 方向と直交する鉛直面とされていることが好 ましい。

また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズル では、前記管体の底部に凹陥状の湯溜り部が 形成されていることが好ましい。

本発明では、一対の吐出孔間に在って流路 を画成する内壁に、内方に突出し、該内壁を 水平方向に横断する突条部を対向配置するこ とによって、吐出孔全域に亘って吐出流を分 散、均一化させることができる。これにより 、鋳型の短辺がわ側壁に衝突する吐出流の流 速分布及び衝突位置を安定化させることがで き、鋳型表面の反転流速を低減することがで きる。その結果、湯面変動が小さくなると共 に、浸漬ノズル左右の流れも対称に近づき、 鋼品質の高品位化及び高生産化が可能となる 。

加えて、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズ ルでは、一対の吐出孔間に在って流路を画成 する内壁に突条部を対向して形成すればよい ので、通常の浸漬ノズルにて吐出孔を形成す る方法を適用することができ製造も容易であ る。

なお、通常の浸漬ノズルにて吐出孔を形成 する方法としては、例えば、最終形状よりも 小さな吐出孔を成形した後、当該吐出孔を正 面方向からボーリング等により削孔して、設 定した断面寸法を有する突条部を形成する方 法や、CIP(Cold Isostatic Pressing)成形時に、突条 部となる部分を凹状の空間として成形時の芯 金に形成しておき、その凹状空間に、管体を 形成する坏土を充填して圧縮し、設定した断 面寸法を有する突条部を形成するなどの方法 を採ることができる。

本発明の一実施の形態に係る連続鋳造 浸漬ノズルを示し、(A)は側面図、(B)は縦断 図である。 同連続鋳造用浸漬ノズルの部分側面図 ある。 (A)、(B)は、同連続鋳造用浸漬ノズルの 分縦断面図である。 水モデル試験を説明するための模式図 ある。 (A)はa/a’とδσとの関係、(B)はa/a’とV av との関係を示すグラフである。 (A)はb/b’とδσとの関係、(B)はb/b’とV av との関係を示すグラフである。 (A)はc/b’とδσとの関係、(B)はc/b’とV av との関係を示すグラフである。 (A)はL 2 /L 1 とδσとの関係、(B)はL 2 /L 1 とV av との関係を示すグラフである。 (A)はR/a’とδσとの関係、(B)はR/a’とV av との関係を示すグラフである。 流体解析に使用した解析モデルの模式 図を示し、(A)は実施例、(B)は従来例である。 実施例の流体解析結果を示し、(A)は流 体の鉛直面内の流れを示す説明図、(B)は流体 の水平面内の流れを示す説明図である。 従来例の流体解析結果を示し、(A)は流 体の鉛直面内の流れを示す説明図、(B)は流体 の水平面内の流れを示す説明図である。 δθとV av との関係を示すグラフである。 実施例(θ=0°)の流体解析結果を示し、( A)は流体の鉛直面内の流れを示す説明図、(B) 流体の水平面内の流れを示す説明図である 実施例(θ=25°)の流体解析結果を示し、 (A)は流体の鉛直面内の流れを示す説明図、(B) は流体の水平面内の流れを示す説明図である 。 実施例(θ=35°)の流体解析結果を示し、 (A)は流体の鉛直面内の流れを示す説明図、(B) は流体の水平面内の流れを示す説明図である 。 実施例(θ=45°)の流体解析結果を示し、 (A)は流体の鉛直面内の流れを示す説明図、(B) は流体の水平面内の流れを示す説明図である 。 特許文献1に記載された連続鋳造用浸 ノズルを示し、(A)は縦断面図、(B)は平断面 である。 対向する吐出孔間の流路中央部に突起 部を設けた連続鋳造用浸漬ノズルの部分縦断 面図である。 (A)はσ av とδσとの関係、(B)はσ av とV av との関係を示すグラフである。 特許文献1に記載された浸漬ノズルの 体解析結果を示し、(A)は流体の鉛直面内の れを示す説明図、(B)は流体の水平面内の流 を示す説明図である。

符号の説明

10:浸漬ノズル(連続鋳造用浸漬ノズル)、11: 体、12:流路、13:流入口、14:吐出孔、14a:上端 面、14b:下端面、15:底部、16:突条部、16a:傾斜 、16b:水平部、17:湯溜り部、18:内壁、21:鋳型 、22:流速検出器、23:短辺がわ側壁

続いて、添付した図面を参照しつつ、本発 明を具体化した実施の形態につき説明し、本 発明の理解に供する。

本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用浸漬 ノズル(以下では、単に「浸漬ノズル」と呼 。)10の形状を図1(A)、(B)に示す。
浸漬ノズル10は、底部15を有する円筒状の管 11からなり、内部に形成された流路12の上端 溶鋼の流入口13とされている。一方、管体11 の下がわ側面部には、流路12と連通する一対 吐出孔14が対向して形成されている。なお 浸漬ノズル10には耐スポーリング性及び耐食 性が要求されるため、管体11はアルミナ黒鉛 などの耐火物によって形成されている。

吐出孔14は正面視してコーナー部にアール 設けられた矩形状とされ、一対の吐出孔14 に在って流路12を画成する内壁18には、内方 向けて突出し当該内壁18を水平方向に横断 る突条部16が対向配置されている。即ち、対 向する突条部16は、一対の吐出孔14の中心を る鉛直面を挟んで対称に配置されている。 条部16間のクリアランスは一定とされ、延在 方向の両端部は、外方に向けて下方に傾斜す る傾斜部16aとされている(図3参照)。一方、各 吐出孔14の上端面14a及び下端面14bも外方に向 て下方に傾斜しており、本実施の形態では 突条部16に形成された傾斜部16aと吐出孔14の 上端面14a及び下端面14bとは同じ傾斜角度とさ れている。

突条部16は、内壁18の一方の側端(一方の吐 孔14との境界位置)から他方の側端(他方の吐 出孔14との境界位置)まで水平方向に延在して いる。突条部16の延在方向の端面は、図3(A)に 示すように、延在方向と直交する鉛直面とす ることが好ましい。但し、管体11が円筒状等 場合、図3(B)に示すように、突条部16の延在 向端面の形状を管体11の外周面の形状に合 せてもよく、これによって溶鋼の吐出流が 響を受けることはない。

なお、管体11の底部15には、凹陥状の湯溜り 17を形成することが好ましい。このような凹 陥状の湯溜り部17が管体11の底部15に無くても 本発明の効果に影響はないが、浸漬ノズル10 注湯された溶鋼を一旦、湯溜り部17で受け ことにより、両吐出孔14へ、より均一かつ、 より安定的に分散させることができる。
また、吐出孔14の水平方向の幅a’は、流路12 幅(円筒状の流路12の場合は直径)と同じ場合 でも異なる場合でも本発明の効果に影響はな い。

[水モデル試験]
次に、突条部16を備えた吐出孔14の最適形状 確定するため、上記構成からなる浸漬ノズ 10の模型を用いて実施した水モデル試験につ いて説明する。

最初に、突条部16を備えた吐出孔14の最適形 を確定するためのパラメータを定義してお 。吐出孔14を正面視して、吐出孔14の水平方 の幅をa’、鉛直方向の幅をb’とする。突 部16は矩形状断面とし、突条部16の端面の突 高さをa、鉛直方向の幅をbとすると共に、 出孔14の上縁から突条部16の端面の鉛直方向 幅の1/2までの鉛直距離をcとする(図2参照)。 ここで、「矩形状断面」は、矩形断面の角部 にアールを有するものを含む。また、突条部 16の延在方向に関し、一対の吐出孔14の直上 おける流路12の幅をL 1 、傾斜部16aを除いた突条部16の長さ(水平部16b の長さ)をL 2 とする(図3参照)。なお、突条部16に形成され 傾斜部16a並びに吐出孔14の上端面14a及び下 面14bの下向き傾斜角度をθとし、吐出孔14コ ナー部の曲率半径をRとする。

図4に、水モデル試験を説明するための模式 を示す。
鋳型21は、縮尺1/1とし、アクリル樹脂で作製 た。鋳型21のサイズは、長辺方向の幅(図4で は左右方向)を925mm、短辺方向の幅(紙面に垂 な方向)を210mmとした。また、浸漬ノズル10か ら鋳型21に流入される水は、ポンプを用いて 引抜き速度が1.4m/minに相当するように循環 せた。

浸漬ノズル10は、鋳型21の中央に配置し、各 出孔14が鋳型21の短辺がわ側壁23に面するよ にした。また、鋳型21の短辺がわ側壁23から3 25mm(長辺方向の幅の1/4)、水面から30mmの位置 、プロペラ型の流速検出器22を設置し、反転 流Frの流速を3分間測定した。そして、測定さ れた左右の反転流Frの流速について標準偏差 差δσ及び平均流速V av を算出して評価した。

ここで、反転流速と鋳込速度(スループット) の関係について説明しておく。
浸漬ノズルを挟んで左右の反転流速の標準偏 差の差δσとスループットの関係及び左右の 転流速の平均値V av とスループットとの関係について明らかにす るために水モデル試験を実施したところ、ス ループットが増大するにつれてδσ及びV av が比例的に増大することが確認された。その 際、鋳型サイズ及び浸漬ノズルの流路断面積 としては、スラブの連続鋳造において一般的 に使用される、長辺方向700mm~2000mm×短辺方向1 50mm~350mmの鋳型及び15cm 2 ~120cm 2 (φ50mm~φ120mm)の浸漬ノズルを想定している。
スループットが1.4ton/min未満の場合、湯面に ける反転流速が不足傾向となり、7ton/minを超 えると、反転流速が増大し、湯面変動の増大 やモールドパウダーの巻き込みなどによる鋼 品質の低下が懸念される。因って、スループ ットは1.4ton/min~7ton/minであることが望ましく 左右の反転流速の標準偏差の差δσが2.0cm/sec 下且つ左右の反転流速の平均値V av が10cm/sec~30cm/secである場合に、スループット 上記最適範囲に収まることが判明した。従 て、以下に示す水モデル試験結果では、δσ が2.0cm/sec以下且つV av が10cm/sec~30cm/secであることを評価基準として 各パラメータを決定した。
なお、水モデル試験におけるスループット値 は、溶鋼比重/水比重=7.0として溶鋼換算した である。

図5(A)はa/a’とδσとの関係、図5(B)はa/a’とV av との関係を示したグラフである。図中、◆が 試験結果、実線は回帰曲線を示し、これらは 以降のグラフにおいても同様である。同図よ り、a/a’が0.05~0.38の範囲内にある場合に、δ が2.0cm/sec以下且つV av が10cm/sec~30cm/secであることがわかる。
a/a’が0.05未満の場合、遮流及び整流効果が 分発揮されず、鋳型内の浸漬ノズル左右の れが非対称となり、反転流速も30cm/secを超え る。その結果、湯面変動が激しく、モールド パウダー巻き込み等の悪影響が生じる。一方 、a/a’が0.38を超えると、吐出孔下方の流速 不足気味、換言すれば吐出孔上方の流速が 大となり、反転流速も30cm/secを超える。その 結果、湯面変動が激しく、モールドパウダー 巻き込み等の悪影響が生じる。
なお、本試験を実施した際の他のパラメータ 値は以下の通りである。
b/b’=0.25、c/b’=0.57、L 2 /L 1 =0.83、θ=15°、R/a’=0.14

図6(A)はb/b’とδσとの関係、図6(B)はb/b’とV av との関係を示したグラフである。同図より、 b/b’が0.05~0.5の範囲内にある場合に、δσが2.0 cm/sec以下且つV av が10cm/sec~30cm/secであることがわかる。
b/b’が0.05未満とb/b’が0.5を超える場合は、a/ a’の場合と同様の現象が発生し、湯面変動 激しく、モールドパウダー巻き込み等の悪 響が生じる。
本試験を実施した際の他のパラメータ値は以 下の通りである。
a/a’=0.21、c/b’=0.48、L 2 /L 1 =0.77、θ=15°、R/a’=0.14

図7(A)はc/b’とδσとの関係、図7(B)はc/b’とV av との関係を示したグラフである。同図より、 δσはc/b’値の変化に敏感ではないが、V av に関しては、c/b’が0.15~0.7の範囲内にある場 に、V av が10cm/sec~30cm/secとなることがわかる。
c/b’が0.15未満とc/b’が0.7を超える場合は、a/ a’の場合と同様の現象が発生し、湯面変動 激しく、モールドパウダー巻き込み等の悪 響が生じる。
本試験を実施した際の他のパラメータ値は以 下の通りである。
a/a’=0.24、b/b’=0.25、L 2 /L 1 =0.77、θ=15°、R/a’=0.14

図8(A)はL 2 /L 1 とδσとの関係、図8(B)はL 2 /L 1 とV av との関係を示したグラフである。同図より、 L 2 /L 1 が0~1の範囲内にある場合に、δσが2.0cm/sec以 且つV av が10cm/sec~30cm/secであることがわかる。L 2 /L 1 =0は、L 2 =0、即ち、水平部16bの無い逆V字状の突条部16 あることを示している。一方、L 2 /L 1 が1を超えると、浸漬ノズルの製造が困難に るという製造上の問題がある。
なお、本試験を実施した際の他のパラメータ 値は以下の通りである。また、図8における は、突条部16が無い場合の結果を比較例とし て示したものである。
a/a’=0.29、b/b’=0.25、c/b’=0.5、θ=15°、R/a’=0. 14

図9(A)はR/a’とδσとの関係、図9(B)はR/a’とV av との関係を示したグラフであり、R/a’=0.5は 吐出孔の形状が長円形又は円形であること 示している。同図より、R/a’が大きくなる 、若干δσの値が大きくなるものの、特に大 な変化はないことがわかる。一方、V av については、R/a’が大きくなると、吐出孔面 積が小さくなることによる影響により、反転 流速が増加する傾向にある。しかしながら、 V av は10cm/sec~30cm/secの範囲内にあり、コーナー部 アールを大きくした場合でも、突条部が有 に作用することが確認された。
なお、本試験を実施した際の他のパラメータ 値は以下の通りである。また、本試験におけ る鋳型サイズは1500mm×235mm、鋳込速度は3.0ton/m inである。
a/a’=0.13、b/b’=0.25、c/b’=0.4、L 2 /L 1 =1、θ=0°

表1は、本発明の一実施の形態に係る連続鋳 用浸漬ノズルについて、管体の底部に湯溜 部が有る場合と無い場合に関して実施した モデル試験結果を示したものである。同表 り、δσ及びV av は、湯溜り部の有無にかかわらずほぼ等しい 値を示すと共に最適範囲内にあることがわか る。
なお、本試験を実施した際のパラメータ値は 以下の通りである。また、本試験における鋳 型サイズは1200mm×235mm、鋳込速度は2.4ton/minで る。
a/a’=0.14、b/b’=0.33、c/b’=0.5、L 2 /L 1 =1、θ=0°、R/a’=0.14

[流体解析]
次に、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造 用浸漬ノズル及び従来の連続鋳造用浸漬ノズ ルの吐出流について、それぞれ実施した流体 解析について説明する。

流体解析には、フルーエント・アジア・パシ フィック(株)製のFLUENT(流体解析ソフトウェア )を使用した。図10に流体解析に使用した解析 モデルを示す。同図において(A)が実施例、(B) が従来例である。本解析では、従来例として 、底部を有する円筒状管体の下がわ側面部に 流路と連通する一対の吐出孔が対向して形成 された浸漬ノズルを用いた。一方、実施例は 、対向する突条部を従来例に設けたものであ り、諸元は以下の通りである。a/a’=0.13、b/b =0.13、c/b’=0.43、L 2 /L 1 =0.68、θ=15°
また、鋳型は長辺方向1540mm、短辺方向235mmと 、鋳込速度は2.7ton/minとした。

図11(A)、(B)に実施例の流体解析結果を、図1 2(A)、(B)に従来例の流体解析結果をそれぞれ す。これらの図より、実施例は、鋳型内に ける左右の偏流が従来例に比べて少なく、 面の反転流速も低減されていることがわか 。その結果、湯面変動が小さくなり、優れ スラブ品質と高速鋳造による生産効率の向 が可能となる。

また、図13は、実施例に関して、吐出孔の上 面及び下端面の傾斜角度に対して突条部に 成された傾斜部の傾斜角度を変化させた場 における左右の反転流速の平均値V av の値を、流体解析により算出した結果を示し たものである。同図において、δθは、突条 に形成された傾斜部の傾斜角度と吐出孔の 端面及び下端面の傾斜角度との差であり、δ θが負の場合、突条部に形成された傾斜部の うが、吐出孔の上端面及び下端面よりも上 きであることを意味している。
同図より、δθがゼロの場合、即ち突条部に 成された傾斜部と吐出孔の上端面及び下端 が同じ傾斜角度である場合が、V av が最も小さくなることがわかる。また、δθ -10°~+7°の範囲において、V av が10cm/sec~30cm/secとなり、良好な反転流速を示 ことが確認された。

さらに、実施例において、突条部に形成され た傾斜部の傾斜角度と吐出孔の上端面及び下 端面の傾斜角度とを同期させて変化させた場 合における吐出流について、流体解析により 検討した。その結果を図14~図17に示す。その の諸元は以下の通りである。
図14(A)、(B)の場合、a/a’=0.13、b/b’=0.25、c/b’ =0.4、L 2 /L 1 =1、θ=0°、鋳込速度:3.0ton/min
図15(A)、(B)の場合、a/a’=0.13、b/b’=0.13、c/b’ =0.43、L 2 /L 1 =0.68、θ=25°、鋳込速度:2.7ton/min
図16(A)、(B)の場合、a/a’=0.13、b/b’=0.13、c/b’ =0.43、L 2 /L 1 =0.68、θ=35°、鋳込速度:2.7ton/min
図17(A)、(B)の場合、a/a’=0.13、b/b’=0.13、c/b’ =0.43、L 2 /L 1 =0.68、θ=45°、鋳込速度:2.7ton/min
図14~図17及び先に示したθ=15°の解析結果(図11 )より、傾斜角度が0°~45°の場合、鋳型内にお ける吐出流の偏流は少なく、湯面の反転流速 も低減されることがわかる。

以上、本発明の一実施の形態について説明 してきたが、本発明は何ら上記した実施の形 態に記載の構成に限定されるものではなく、 特許請求の範囲に記載されている事項の範囲 内で考えられるその他の実施の形態や変形例 も含むものである。例えば、上記実施の形態 では、連続鋳造用浸漬ノズルの管体は円筒状 としているが、角形状など他の形状も含むも のである。また、上記実施の形態では、突条 部の両端部に傾斜部を設けているが、突条部 に傾斜部を設けず、吐出孔の上端面及び下端 面を水平としてもよい。なお、連続鋳造用浸 漬ノズルの吐出孔の形状は矩形状が好ましい が、長円形や楕円形などでもよい。

本発明は、タンディッシュから鋳型内に溶 鋼を注湯する連続鋳造用浸漬ノズルを使用す る連続鋳造設備に利用することができる。そ の際、本発明によれば、湯面変動が小さくな ると共に、浸漬ノズル左右の流れも対称に近 づき、鋼品質の高品位化及び高生産化が可能 となる。