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Title:
IMMUNOMODULATORY AGENT AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145238
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a CD8-positive regulatory T cell which is more practical for an immune-related disease in an animal including a human body. A CD8-positive CXCR3-positive T cell is used as an immunomodulatory agent.

Inventors:
SUZUKI HARUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059728
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV NAGOYA NAT UNIV CORP (JP)
SUZUKI HARUHIKO (JP)
International Classes:
A61K35/12; A61K35/14; A61K35/17; A61P1/04; A61P1/16; A61P3/10; A61P7/06; A61P11/06; A61P15/08; A61P17/06; A61P21/00; A61P25/00; A61P27/14; A61P37/02; A61P37/06; A61P37/08; A61P43/00; A61K39/00
Other References:
WINTER D ET AL.: "Down-modulation of CXCR3 surface expression and function in CD8+ T cells from cutaneous T cell lymphoma patients", THE JOURNAL OF IMMUNOLOGY, vol. 179, no. 6, 2007, pages 4272 - 4282
GILLIET M. ET AL.: "Generation of Human CD8 T Regulatory Cells by CD40 Ligand activated Plasmacytoid Dendritic Cells", JOURNAL OF EXPERIMENTAL MEDICINE, vol. 195, no. 6, 2002, pages 695 - 704
FILACI G. ET AL.: "CD8+CD28- T Regulatory Lymphocytes Inhibiting T Cell Proliferative and Cytotoxic Functions Infiltrate Human Cancers", THE JOURNAL OF IMMUNOLOGY, vol. 179, no. 7, 2007, pages 4323 - 4334
SUZUKI H. ET AL.: "CD8+CD122+ Seigyosei T-saibo ni yoru Men'eki Seigyo", IGAKU NO AYUMI, vol. 220, no. 6, 2007, pages 525 - 526
SUZUKI H.: "CD8+CD122+ Seigyosei T-saibo", EXPERIMENTAL MEDICINE, vol. 24, no. 20, 2006, pages 3192 - 3199
SUZUKI H. ET AL.: "Are CD8+CD122+ cells regulatory T cells or memory T cells?", HUMAN IMMUNOLOGY, vol. 69, no. 11, November 2008 (2008-11-01), pages 751 - 754
SUZUKI H.: "CD8+ Seigyosei T-saibo no Rinsho Oyo eno Tenkai", JAPANESE SOCIETY FOR APOPTOSIS PROGRAM YOSHISHU, vol. 17TH, August 2008 (2008-08-01), pages 27
SUZUKI H.: "CD8+CD122+ Seigyosei T-saibo o Riyo shita Gan Men'eki Ryoho no Kaihatsu", GRANT-IN-AIDS FOR SCIENTIFIC RESEARCH ON PRIORITY AREAS CANCER HEISEI 19 NENDO, 18 August 2008 (2008-08-18), pages 381
SUZUKI M. ET AL.: "Inhibitory CD8+ T cells in autoimmune disease", HUMAN IMMUNOLOGY, vol. 69, no. 11, November 2008 (2008-11-01), pages 781 - 789
COSMI L. ET AL.: "Human CD8+CD25+ thymocytes share phenotypic and functional features with CD4+CD25+ regulatorythy mocytes", BLOOD, vol. 102, no. 12, 2003, pages 4107 - 4114
Attorney, Agent or Firm:
KAI-U PATENT LAW FIRM (JP)
Patent business corporation KAI-U Patent Law Firm (JP)
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Claims:
 CD8陽性CXCR3陽性T細胞を含有する、免疫調節剤。
 前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞はインターロイキン10の産生活性を有する、請求項1に記載の免疫調節剤。
 前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞は霊長類由来である、請求項1又は2に記載の免疫調節剤。
 免疫抑制がその予防又は治療に有効である免疫関連障害の予防又は治療用である、請求項1~3のいずれかに記載の免疫調節剤。
 前記免疫関連障害は自己免疫疾患である、請求項4記載の免疫調節剤。
 前記免疫関連障害は臓器移植後の拒絶反応である、請求項4に記載の免疫調節剤。
 免疫関連障害の予防又は治療剤であって、
 請求項1~6のいずれかに記載の免疫調節剤と、
 薬学的に許容される担体と、
を含有する、予防又は治療剤。
 活性化されたCD8陽性制御性T細胞の製造方法であって、
 CD8陽性CXCR3陽性T細胞を準備する工程と、
 前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞を、当該細胞のT細胞受容体を介して刺激する物質の存在下培養する活性化工程と、
を備える、製造方法。
 前記活性化工程は、前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞のインターロイキン10の産生活性を発現させる工程である、請求項8に記載の製造方法。
 前記活性化工程は、前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞を特定の抗原の存在下で培養して当該抗原についての特異性を有するCD8陽性CXCR3陽性T細胞を活性化する工程である、請求項8又は9に記載の製造方法。
 前記抗原は、自己免疫疾患の原因物質、アレルギー疾患の原因物質及び臓器移植時のドナー由来細胞又はその一部から選択される、請求項10に記載の製造方法。
 さらに、前記活性化したCD8陽性CXCR3陽性T細胞をIL10産生活性を指標として選抜する工程を備える、請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。
 さらに、活性化された前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞を培養して増殖させる工程を備える、請求項8~12のいずれかに記載の製造方法。
 CD8陽性制御性T細胞の検出又は分離用キットであって、
 CD8陽性CXCR3陽性T細胞を検出又は分離する試薬を含む、キット。
 免疫関連障害の予防又は治療用剤の製造方法であって、
 CD8陽性CXCR3陽性T細胞を準備する工程と、
 前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞と薬学的に許容される担体とを混合する工程と、
を備える、製造方法。
 免疫関連障害の予防又は治療手段のスクリーニング方法であって、
 CD8陽性CXCR3陽性T細胞に1種又は2種以上の被験条件を付与して前記T細胞の免疫抑制活性を検出する工程、
を備える、スクリーニング方法。
 さらに、前記1種又は2種以上の被験条件中、前記免疫抑制活性を増強する1種又は2種以上の被験条件を免疫抑制が有効な免疫関連障害の予防又は治療手段として選択する工程を備える、請求項16に記載のスクリーニング方法。
 さらに、前記1種又は2種以上の被験条件中、前記免疫抑制活性を低下させる1種又は2種以上の被験条件を免疫活性化が有効な免疫関連障害の予防又は治療手段として選択する工程、を備える、請求項16に記載のスクリーニング方法。
 免疫関連障害の予防又は治療方法であって、
 前記免疫関連障害の予防又は治療を要する個体に、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を投与する工程、
を備える、方法。
 免疫関連障害の予防又は治療方法であって、
 前記免疫関連障害の予防又は治療を要する個体から、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の少なくとも一部を除去する工程、
を備える、方法。
Description:
免疫調節剤及びその利用

 本発明は、免疫調節剤及びその利用に関 、詳しくはCD8陽性CXCR3陽性T細胞及びその利 に関する。

 ヒトなどの動物における免疫系は、病原 などの外来抗原やがん細胞などの変異性自 抗原を検知し駆除する生体防御機構である かかる生体防御は、T細胞による細胞性免疫 及びB細胞を主体とする体液性免疫のそれぞ の応答によるものである。

 免疫系は活性化と抑制とのバランスを保 制御システムの上に生体防御機構として成 している。このため、こうした制御系の崩 が、アレルギー性疾患、自己免疫疾患並び 発癌といった疾患を発症させる場合もあり る。したがって、免疫系を制御する細胞を 出し分離することは、疾患の診断並びに予 及び治療に極めて有用である。

 現在、免疫系を正常に機能させるための 御機構は必ずしも明らかになっているわけ はない。免疫系の制御システムの基本は、C D4陽性細胞やCD8陽性細胞を含めた各種T細胞が 担っていると考えられており、CD25陽性CD4陽 細胞が種々の自己免疫疾患の進展の抑制や 器移植後の免疫寛容に有効であることが知 れている(非特許文献1、2)。また、本発明者 は、CD8陽性キラーT細胞やCD4陽性ヘルパーT 胞を制御するCD8陽性制御性T細胞としてCD8陽 CD122陽性T細胞を既に分離している(特許文献 1、非特許文献3及び非特許文献4)。

国際公開WO2005/78072号公報

Nat Rev Immunol., 2, 389-400, 2002 Nat Rev Immunol., 3, 199-210, 2003 The Journal of Experimental Mdeicine, 200:1123-11 34 The Journal of Immunology, 2008,180:825-832

 特許文献2及び非特許文献2に開示される うに、マウスにおいては、CD8陽性制御性T細 は、CD122というマーカー分子の発現によっ 他の通常のエフェクターT細胞等から分離さ た。しかしながら、ヒトにおいては、CD8陽 T細胞中に、CD122陽性細胞を見出すことがで なかった。したがって、ヒトにおいては、C D8陽性制御性T細胞は未だ分離されていない。

 本発明は、ヒトを含む動物の免疫関連疾 により実用的なCD8陽性制御性T細胞及びその 利用を提供することを一つの目的とする。

 本発明者は、マウスのCD8 陽性CD122陽性T 胞に特異的に発現している分子をDNAマイク アレイ法で検索した結果、いくつかの候補 伝子を見出し、これらの中にケモカイン受 体の一つであるCXCR3があるという知見を得た 。さらに、特異的抗体を用いたフローサイト メトリーにより、CD8陽性細胞集団中のCD122陽 細胞集団は、CXCR3陽性細胞集団と一致して るという知見を得た。本発明者は、さらに ヒトにおいてCD122陽性細胞集団中にCXCR3陽性 胞集団が存在し、当該細胞集団がCD8陽性制 性T細胞として機能するという知見を得た。 本発明はこれらの知見によってなされたもの である。本発明によれば以下の手段が提供さ れる。

 本発明によれば、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を 有する、免疫調節剤が提供される。本発明 免疫調節剤において、前記CD8陽性CXCR3陽性T 胞はインターロイキン10の産生活性を有す ことができる。また、前記CD8陽性CXCR3陽性T 胞は霊長類由来とすることもできる。

 本発明の免疫調節剤は、免疫抑制がその 防又は治療に有効である免疫関連障害の予 又は治療剤とすることもできる。この態様 おいて、前記免疫関連障害は自己免疫疾患 あってもよいし、臓器移植後の拒絶反応で ってもよい。

 本発明によれば、免疫関連障害の予防又 治療剤であって、上記いずれかの免疫調節 と、薬学的に許容される担体と、を含有す 、予防又は治療剤が提供される。

 本発明によれば、活性化されたCD8陽性制 性T細胞の製造方法であって、CD8陽性CXCR3陽 T細胞を準備する工程と、前記CD8陽性CXCR3陽 T細胞を、当該細胞のT細胞受容体を介して 激する物質の存在下で培養する活性化工程 、を備える、製造方法が提供される。本発 の製造方法においては、前記活性化工程は 前記CD8陽性CXCR3陽性T細胞のインターロイキ 10の産生活性を発現させる工程であることが 好ましい。また、前記活性化工程は、前記CD8 陽性CXCR3陽性T細胞を特定の抗原の存在下で培 養して当該抗原についての特異性を有するCD8 陽性CXCR3陽性T細胞を活性化する工程とするこ とができる。この態様において、前記抗原は 、自己免疫疾患の原因物質、アレルギー疾患 の原因物質及び臓器移植時のドナー由来細胞 又はその一部からなる群から選択することが できる。

 本発明の活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細 の製造方法においては、さらに、前記活性 したCD8陽性CXCR3陽性T細胞をIL10産生活性を指 標として選抜する工程を備えることもできる 。また、さらに、活性化された前記CD8陽性CXC R3陽性T細胞を培養して増殖させる工程を備え ることもできる。

 本発明によれば、CD8陽性制御性T細胞の検 出又は分離用キットであって、CD8陽性CXCR3陽 T細胞を検出又は分離する試薬を含む、キッ トが提供される。

 本発明によれば、免疫関連障害の予防又 治療剤の製造方法であって、CD8陽性CXCR3陽 T細胞を準備する工程と、前記CD8陽性CXCR3陽 T細胞と薬学的に許容される担体とを混合す 工程と、を備える、製造方法が提供される

 本発明によれば、免疫関連障害の予防又 治療手段のスクリーニング方法であって、C D8陽性CXCR3陽性T細胞に1種又は2種以上の被験 件を付与して前記T細胞の免疫抑制活性を検 する工程、を備える、スクリーニング方法 提供される。本発明のスクリーニング方法 おいては、さらに、前記1種又は2種以上の 験条件中、前記免疫抑制活性を増強する1種 は2種以上の被験条件を免疫抑制が有効な免 疫関連障害の予防又は治療手段として選択す る工程を備えることもできる。また、さらに 、前記1種又は2種以上の被験条件中、前記免 抑制活性を低下させる1種又は2種以上の被 条件を免疫活性化が有効な免疫関連障害の 防又は治療手段として選択する工程、を備 ることもできる。

 本発明によれば、免疫関連障害の予防又 治療方法であって、前記免疫関連障害の予 又は治療を要する個体に、CD8陽性CXCR3陽性T 胞を投与する工程、を備える、方法が提供 れる。また、本発明によれば、免疫関連障 の予防又は治療方法であって、前記免疫関 障害の予防又は治療を要する個体から、CD8 性CXCR3陽性T細胞の少なくとも一部を除去す 工程、を備える、方法が提供される。

C57BL/6マウスから採取した細胞を抗CD8 び抗CXCR3抗体で染色し、その後、フローサイ トメトリーにより分析した結果を示す図であ る。ほとんどCD8陽性細胞が存在しない新生仔 を除いて、全CD8陽性細胞中のCXCR3陽性細胞の 合は、各週令のC57BL/6を個々のパネルに示す 。 各週令マウスのフローサイトメトリッ ク解析により得られた全CD8陽性細胞中のCXCR3 性細胞の割合を示すグラフ図である。各週 につき2匹のマウスの平均値を標準偏差のエ ラーバーとともに示す。 4週令マウスについて、CD8陽性細胞に ートされた細胞についてのCD122及びCXCR3の発 プロファイル及びCD4陽性細胞にゲートされ 細胞についてのCD25及びCXCR3の発現プロファ ルをドットプロットとして示す図である。 6週令マウスから回収したCD8陽性細胞 構成する3つの細胞集団(#1:CD44弱陽性CD62L強陽 性、#2:CD44強陽性CD62L強陽性、#3:CD44強陽性CD62L 弱陽性)におけるCD122及びCXCR3の発現プロファ ルをドットプロットとして示す図である。 マウスから抗CD8抗体コーティングビー ズにより抗体コートビーズで回収されたCD8陽 性細胞についてのフローサイトメトリーによ るCD8及びCXCR3の発現プロファイル及びセルソ ティング後のフローサイトメトリー結果を す図である。それぞれのパネルには、全細 数に対する当該象限にある細胞の割合を示 。 リンパ球を欠くSCIDマウスにCD8陽性CXCR3 陰性細胞単独もしくはCD8陽性CXCR3陰性細胞とC D8陽性CXCR3陽性細胞を混合したものを移入し 10週後の脾臓細胞を解析した。脾臓細胞由来 のCD8陽性細胞中のCD69発現についての代表的 ドットプロットを全CD8陽性細胞数に対するCD 69陽性細胞数の割合とともに示す図である。3 匹のマウスから得られた全CD8陽性細胞数に対 するCD69陽性細胞の割合もグラフとして示す 前記リンパ球移入マウスの脾臓におけ るGr-1発現についての代表的なドットプロッ を、全脾臓細胞に対するGr-1陽性顆粒球の割 とともに示す図である。3匹のマウスから得 られた全脾臓細胞数に対するGr-1細胞の割合 グラフとして示す。 前記リンパ球移入マウスの骨髄細胞を 赤血球生成細胞(TER-119陽性)及び顆粒球生成細 胞(Gr-1陽性)のバランスを確認するためにフロ ーサイトメーターにより分析した結果を示す 図である。TER-119陽性細胞数に対するGr-1陽性 胞数の割合を各図に示すとともに、3匹のマ ウスから得られたデータもグラフとして示す 。 マウスCD8陽性CXCR3陽性T細胞及びCD8陽性 CXCR3陰性T細胞を活性化した。CD8抗体及びCytofi x/Cytopem(BDバイオサイエンス)を用いて細胞内IL 10を検出した。これらの細胞をフローサイト トリーで分析した結果を示す。全CD8陽性細 におけるIL10の産生活性を示す細胞又は示さ ない細胞の割合を各パネルに示す。 3回の実験から得られた、全CD8陽性細 中のIL10産生細胞数の平均値を、標準偏差の ラーバーとともに示すグラフ図である。 CD8陽性CXCR3陽性T細胞及びCD8陽性CXCR3陰 T細胞の各培養上清のIL10濃度を、3回の実験 ら得られた平均値を標準偏差のエラーバー ともに示すグラフ図である。 CD8陽性CXCR3陰性T細胞の単独又はCD8陽性 CXCR3陽性T細胞と共培養後のCFSE標識細胞(CD8陽 CXCR3陰性T細胞)のIFN-γの産生活性を調べた結 果を示す図である。全CD8陽性細胞中のIFN-γ産 生細胞の割合を各パネルに示す。 全CFSE陽性CD8陽性細胞中のIFN-γ産生細 の割合の平均値(3回繰り返し)を標準偏差の ラーバーとともに示すグラフ図である。 CFSE蛍光の減少によってCD8陽性CXCR3陰性 T細胞の細胞増殖状態を評価した結果を示す である。灰色で塗りつぶしたピークは、CD8 性CXCR3陰性T細胞単独で培養したときのCFSE蛍 を表し、太線のオープンピークは、CD8陽性C XCR3陽性T細胞とともに培養したときのCFDSE蛍 を表す。 末梢血から分離したヒト単核球を、抗 ヒトCD8抗体、抗ヒトCXCR3抗体及び抗ヒトCD122 体で染色してフローサイトメトリーにより 析した結果を示す図である。CD8及びCXCR3で展 開したドットプロット及びCD8及びCD122で展開 たドットプロットをそれぞれ示す。各象限 CD8陽性CXCR3陽性T細胞の割合を各パネル内部 示す。 CD8 hi (強陽性、ほとんどCD8陽性に一致する)にゲー された細胞集団及びCD8 dim にゲートされた細胞集団につき、CXCR3及びCD12 2で展開したドットアナリシスを示す図であ 。各象限における細胞の割合をパネル内部 示す。 CD8陽性CXCR3陰性T細胞及びCD8陽性CXCR3陽 T細胞にゲートされた各細胞集団についての CD45RA及びCCR7の発現プロファイルを示す。各 限における細胞の割合をパネル内部に示す ヒト単核球についてCD8及びCXCR3の発現 ロファイルを示す図である。全CD8陽性細胞 のCXCR3陽性細胞の割合をパネルに示す。 左図は、ヒト末梢血の単核球細胞にお けるCD4及びCD25の発現プロファイルをドット ロットとして示す図である。右図は、CD4陽 細胞集団にゲートされたCD25及びCXCR3の発現 ロファイルを示す図である。各象限におけ 細胞の割合をパネル内に示す。 CD8及びCXCR3の発現についてのヒト末梢 単核球の代表的染色パターンを示す図であ 。セルソーターによってCD8陽性CXCR3陰性T細 及びCD8陽性CXCR3陽性T細胞を取得するための ート位置を長方形状の領域として示す。 回収したCD8陽性CXCR3陰性T細胞及びCD8陽 性CXCR3陽性T細胞の培養上清のELISAによるIL10産 生量の測定結果を示すグラフ図である。それ ぞれについての2回繰り返しの平均値を標準 差のエラーバーとともに示す。 回収したCD8陽性CXCR3陰性T細胞及びCD8陽 性CXCR3陽性T細胞の培養細胞についてのCD8及び IL10の発現プロファイルをフローサイトメト ーで分析した結果を示す図である。全CD8陽 細胞におけるIL10の産生活性を示す細胞又は さない細胞の割合を各パネルに示す。 フローサイトメトリーによる全CD8陽性 細胞中のIL10の産生活性を示す細胞の割合の 均値(3回繰り返し)を標準偏差のエラーバー ともに示すグラフ図である。 CD8陽性CXCR3陰性T細胞の単独培養及びCD8 陽性CXCR3陽性T細胞との共培養の双方につき、 CFSE標識細胞(CD8陽性CXCR3陰性T細胞)のIFN-γ産生 活性をフローサイトメトリーにより分析した 結果を示す図である。全CD8陽性細胞中のIFN-γ 産生細胞の割合を各パネルに示す。 フローサイトメトリーによるCFSE標識 胞(CD8陽性CXCR3陰性T細胞)のIFN-γの産生活性の 測定結果(3回繰り返し)の平均値を標準偏差の エラーバーとともに示すグラフ図である。 CFSE標識細胞(CD8陽性CXCR3陰性T細胞)につ き、CFSE蛍光の減少により細胞増殖を評価し 結果を示す図である。灰色で塗りつぶした ークは、CD8陽性CXCR3陰性T細胞単独で培養し ときのCFSE蛍光を表し、太線のオープンピー は、CD8陽性CXCR3陽性T細胞とともに培養した きのCFSE蛍光を表す。 EAEマウスに対するCD8陽性CD122陽性T細胞 投与のプロトコールの概要と投与結果を示 図である。 RAGノックアウトIBDモデルマウスに対するCD8 + CD122 + 制御性T細胞の投与結果を示す図である。

 本発明は、DC8陽性制御性T細胞とその利用 に関し、具体的には、当該制御性T細胞を含 免疫関連障害の予防又は治療剤及びその製 方法、該制御性T細胞を含む免疫抑制剤、免 関連障害の予防又は治療手段のスクリーニ グ方法並びに免疫関連障害の予防又は治療 法等に関する。

 本発明は、本発明者らが分離したCD8陽性C XCR3陽性T細胞に基づいている。本発明者らは マウスにおいてCD8陽性制御細胞として分離 たCD8陽性CD122陽性細胞が、ヒトにおいてはCD 8陽性CXCR3陽性細胞に相当することを確認した 。したがって、CD8陽性CXCR3陽性T細胞は、少な くとも非霊長哺乳類であるマウスと霊長類で あるヒトを含む動物、好ましくは哺乳動物に おいて、CD8陽性制御性T細胞として機能する とができる。

 例えば、CD8陽性CXCR3陽性T細胞は、自身の ンターロイキン10(IL10)の産生活性を有する き制御性T細胞として機能すると考えられる したがって、当該産生活性に基づいて、ま 、標的細胞であるCD8陽性CXCR3陰性T細胞のIFN- γの産生の抑制に基づいて、免疫系の制御に 与することができる。さらに、CD8陽性CXCR3 性T細胞は、標的細胞であるCD陽性CD122陰性T 胞又はCD4陽性CD25陰性T細胞のインターフェロ ンγ(IFN-γ)の産生を抑制するとともにインタ ロイキン2(IL2)の産生を抑制することにより 免疫系の制御に寄与することができる。

 本発明によれば、かかるCD8陽性制御性T細 胞及びその前駆細胞を分離同定できたことか ら、当該制御性T細胞の過剰又は活性化を伴 免疫関連障害については、これらを除去等 ることにより当該障害を予防又は改善する とが可能であり、また、当該制御性T細胞の 少又は不活性化を伴う免疫関連障害につい は、これらを補充又は活性化することによ 当該障害を改善又は予防することができる

 さらに、本発明によれば、CD8陽性制御性T 細胞を分離同定できたことから、当該制御性 T細胞の免疫制御活性を促進又は抑制する被 条件を見出すことにより、免疫抑制又は免 活性化が有効な免疫関連障害の予防又は治 手段をスクリーニングすることができるよ になる。

 以下、本発明の各種実施形態について詳 に説明する。

(免疫調節剤)
(CD8陽性CXCR3陽性T細胞)
 本発明の免疫調節剤は、CD8陽性CXCR3陽性T細 を含有している。当該T細胞は、CD8陽性及び CXCR3陽性の表現型を有しており、CD8陽性CXCR3 性細胞集団に属している。当該T細胞は、in  vitro及びin vivoにて活性化されると、CD8陽性 御性T細胞として機能することができる。こ ため、本発明の免疫調節剤は、CD8陽性制御 T細胞の免疫抑制能に基づき、免疫調節剤、 特に免疫抑制剤として利用できる。

 本明細書において、「制御性T細胞」とは 、抗原等によりT細胞受容体を介する刺激を けたとき、当該制御性T細胞の標的細胞の活 化(増殖、サイトカイン産生等)を抑制する 力(免疫抑制能)を有するT細胞を意味してい 。

 本発明で用いるCD8陽性CXCR3陽性T細胞が標 とする標的細胞は、例えば全CD8陽性T細胞、 CD8陽性CXCR3陰性細胞が挙げられる。

 本発明で用いるCD8陽性CXCR3陽性T細胞は、T 細胞受容体を介する刺激を受けたとき、効果 (免疫抑制能)発揮因子としてインターロイキ 10(IL10)を自己産生することができる。これ より、標的細胞のIFN-γの産生を抑制できる IL10の生産能は、例えば、IL10に特異的な抗体 を用いてフローサイトメトリーやELISA等によ 検出・解析することができる。また、本発 で用いるCD8陽性CXCR3陽性T細胞は、標的細胞 あるCD8陽性CXCR3陰性細胞等の増殖を抑制す ことができる。

 なお、本明細書において、細胞の表現型 マーカー分子(抗原)発現の有無や強弱で表 れる場合、特に断りのない限り、当該マー ー分子に対する抗体による特異的結合の有 や強弱で表記される。マーカー分子の発現 有無や強弱による細胞の表現型の決定は、 常、当該マーカー分子に対する特異的抗体 を用いたフローサイトメトリー解析等によ 行われる。マーカー分子の発現が「陽性」 は、該マーカー分子が細胞表面上(或いは細 内)に発現しており、当該マーカー分子に対 する抗体による特異的結合が確認できること をいう。

 本発明で用いるT細胞は、哺乳動物由来で あることが好ましい。哺乳動物としては、上 記した特定の表現型細胞集団が本発明のCD8陽 性制御性T細胞として利用できる限り特に限 されないが、例えば、マウス、ラット、ハ スター、モルモット等のげっ歯類やウサギ の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒ ジ、ミンク等の家畜、イヌ、ネコ等のペッ 、ヒト、サル、アカゲザル、マーモセット オラウータン、チンパンジーなどの霊長類 挙げることが出来る。哺乳動物は、好まし は霊長類であり、より好ましくはヒトであ 。

 本発明で用いるT細胞は、胸腺、臍帯血及 び抹消組織のいずれかのCD8陽性CXCR3陽性T細胞 である。したがって、本発明で用いるCD8陽性 制御性T細胞は、末梢組織(胸腺及び臍帯血以 の組織:例えば末梢血液、脾臓、リンパ節、 腸管、肝臓等)に存在している細胞であって よい。調製操作の容易性を考慮すると、末 血液又は脾臓中の細胞が好ましく用いられ 。

 CD8陽性CXCR3陽性T細胞は、単離・精製され いることが好ましい。当該T細胞の単離・精 製は、哺乳動物等の各種組織から表現型等に 基づき、公知の方法により行うことができる 。例えば、ヒトのCD8陽性CXCR3陽性T細胞を有す る末梢T細胞を単離・精製するには、まず、 梢組織(例えば末梢血液等)より、単核球分画 が調製される。単核球分画の調製は、例えば 、密度勾配遠心等により行われる。次に、蛍 光色素や磁気ビーズ等により標識された、CD8 及び/又はCXCR3に対する特異的抗体により単核 球分画を染色し、セルソーターや磁性カラム 等を用いて目的とする分画を単離・精製する 。高い精製度を達成するため、好ましくは、 セルソーターが用いられる。

 CD8陽性CXCR3陽性T細胞は、ex vivoで適切な 激を付与してIL10を産生する活性化した状態 してもよい。こうすることで、投与後、速 かにin vivoにおいて制御性T細胞として機能 せることができる。このような活性化され CD8陽性CXCR3陽性T細胞は、IL10の産生の有無に て検出し分離することができる。以下、活性 化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞の製造について 説明する。

(活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞の製造方 )
 本発明の活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞 製造方法は、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を準備す 工程と、前記T細胞をT細胞受容体を介した 激が可能な物質等の存在下、培養して活性 する工程と、を備えることができる。本発 の製造方法によれば、活性化したCD8陽性CXCR3 陽性T細胞を得ることができ、この活性化し CD8陽性CXCR3陽性T細胞を投与することで、確 で速やかな効果が期待される。

 CD8陽性CXCR3陽性T細胞準備工程は、CD8陽性C XCR3陽性T細胞を、既に説明したように、適切 由来の採取源(例えば、ヒト患者等)の適切 部位から採取することによって実施できる CD8陽性CXCR3陽性T細胞は、既に説明したよう 、単離・精製されていることが好ましい。

 活性化工程は、T細胞受容体を介した刺激 を付与可能なT細胞受容体刺激物質を用いる 例えば、かかる物質としてCD8陽性CXCR3陽性T 胞の活性化に利用できる各種の抗原の1種又 2種以上を用いる。こうしたT細胞受容体刺 物質の存在下、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を培養 ることによって活性化工程を実施できる。 性化工程における培養条件は、CD8陽性CXCR3陽 性T細胞を活性化できればよく、リンパ球の 養において当業者に公知の条件から適宜選 し、あるいはこれらを適宜改変択して用い ことができる。

 CD8陽性CXCR3陽性T細胞を活性化してIL10産生 活性を付与するには、IL2の存在下CD8陽性CXCR3 性T細胞にT細胞受容体を介した刺激を付与 ることが好ましい。ここで、「抗原」とは 培養細胞上の抗原受容体(例えばT細胞受容体 )に認識され、該受容体を介して細胞を刺激 得る物質を包括的に意味する。抗原として 、例えばペプチド、タンパク質、脂質、糖 質等の抗原分子のみならず、免疫学的非自 細胞、抗原受容体の構成分子(CD3、TCRβ、TCRα 等)や補刺激分子(CD28等)を認識する作動性抗 (例えば抗ヒトCD3抗体であるOKT-3等)やスーパ 抗原などの抗原ミミックを含んでいてもよ 。

 活性化工程は、得ようとする活性化され CD8陽性CXCR3陽性T細胞の抗原に対する特異性 応じて種々の態様で実施できる。例えば、 養に供される上記CD8陽性CXCR3陽性T細胞の集 が有している抗原受容体のレパートリーの 様性を保持し、当該多様性を反映した制御 T細胞集団を製造しようとする場合には、CD8 陽性CXCR3陽性T細胞が、抗原受容体の構成分子 (CD3、TCRβ、TCRα等)を認識する作動性抗体(例 ば抗ヒトCD3抗体であるOKT-3等)、補刺激分子(C D28等)を認識する作動性抗体(例えば抗ヒトCD28 抗体)、スーパー抗原などの抗原ミミックが 択される(Blood, 104, p. 895-903, 2004、Blood, 104 , p. 453-61, 2004)。当該抗原ミミックは複数種 類を組合せて用いることも可能であり、例え ばCD3を認識する作動性抗体と、CD28を認識す 作動性抗体との組み合わせ等が用いられ得 。当該抗原ミミックを使用することで、多 性を有する制御性T細胞集団が得られる。

 また、活性化工程は、CD8陽性CXCR3陽性T細 を特定の抗原の存在下で培養して抗原特異 を有する活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞 取得するようにしてもよい。後述するよう 特異的に活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞 IL10産生活性に基づき選抜できる。これによ り、特定抗原による免疫系の亢進を抑制する のに好ましい活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細 胞集団を得ることができる。

 例えば、ある特定の抗原分子(ペプチド、 タンパク質、脂質、糖脂質等)に特異的なCD8 性CXCR3陽性T細胞を製造しようとする場合は 当該抗原分子が選択される。抗原分子とし は、例えば、組織適合抗原など細胞及び組 由来抗原、アレルギー疾患の原因抗原又は 己免疫疾患の原因抗原(食品由来抗原、抗原 を示すことが予想される薬剤若しくは製剤 に共存する物質、又は人工臓器関連物質、 はそれらの変性物(例えば熱変性物等))など 挙げられる。組織適合抗原としては主要組 適合抗原(MHC抗原)や非主要組織適合抗原が げられる。アレルギーの原因物質には環境 花粉抗原、真菌抗原、食物抗原、人工抗原 が含まれ、例えば、環境・花粉抗原として ダニ、ハウスダスト、スギ花粉、ブタクサ 、真菌抗原としてはカンジダ、アルテルナ ア、アスペルギルス、クラドスポリウム、 ニシリウム等、食物抗原としては卵白、牛 、大豆、小麦粉、ソバ粉、サバ、イワシ、 ジ、エビ、カニ、ブタ肉、牛肉、トリ肉等 人工抗原としては薬剤、人工臓器等が挙げ れる。また、自己免疫疾患の原因物質とし は、疾患の原因となる自己抗体の対応抗原 が挙げられる。

 なお、採取源からのCD8陽性CXCR3陽性T細胞 採取に先立って、個体にCD8陽性CXCR3陽性T細 を形成させる程度に特定の抗原を供給して き、当該抗原に特異的なCD8陽性CXCR3陽性T細 を採取しやすい状態にしておいてもよい。 うすることで、将来的に暴露される可能性 ある抗原による免疫系の亢進を抑制可能な 性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞を採取でき 。

 このような手法は、臓器移植の拒絶反応 制に有用である。例えば、臓器移植など、 取源である個体の免疫系が暴露される可能 のある特定の免疫学的非自己細胞又はその 部を予め個体に供給しておくことで、免疫 的非自己細胞に特異的なCD8陽性CXCR3陽性T細 を当該個体から採取することが可能である 免疫学的非自己細胞は、公知の方法、例え 放射線(ガンマ線等)照射や抗癌剤(マイトマ シンC等)処理等で不活化されていることが ましい。また、免疫学的非自己細胞の種類 特に限定されず、所望の組織由来の細胞(例 ば末梢血単核球細胞(PBMC)等)を使用すること が可能である。例えば、同種異系のドナーか らの移植に先立ち、当該ドナー由来細胞に特 異的なレシピエントの制御性T細胞の製造が 図されている場合にはドナー由来の細胞が 択される。この場合、該ドナー由来の細胞 、移植されうる臓器と同一臓器由来の細胞 あっても、異なる組織由来の細胞であって よい。

 抗原提示を確実に達成するには、抗原提 細胞が選択されてもよい。抗原提示細胞と ては、本発明の方法により制御性T細胞を製 造し得る限り特に限定されないが、通常は、 CD8陽性CXCR3陽性T細胞と同種同系の抗原提示細 胞(例えば、該T細胞が由来する個体から得ら た抗原提示細胞)が用いられる。また、抗原 提示細胞の種類は、抗原提示能を有し、本発 明の方法により制御性T細胞を製造し得る限 特に限定されないが、例えばPBMC、樹状細胞 が用いられる。抗原提示細胞は、自体公知 方法、例えば放射線(ガンマ線等)照射や抗 剤(マイトマイシンC等)処理等で不活化され いることが好ましい。

 なお、抗原としては、複数種類の抗原を 合せて用いることも可能であり、例えば免 学的非自己細胞と抗原受容体の構成分子を 識する作動性抗体との組み合わせ(同種異系 細胞と抗CD3抗体との組み合わせ等)を用いる とが可能である。

 活性化工程によって活性化したCD8陽性CXCR 3陽性T細胞をIL10産生活性を指標として選抜す る工程を備えることができる。こうすること で、活性化したCD8陽性CXCR3陽性T細胞を選択的 に含む高活性なCD8陽性CXCR3陽性T細胞集団を得 ることができる。また、特定抗原で活性化し た場合には、抗原特異性につき選択的である 活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞を含む抗原 特異的かつ高活性なCD8陽性CXCR3陽性T細胞集団 を得ることができる。IL10産生活性を指標と てCD8陽性CXCR3陽性T細胞を選択するには、セ ソーター等などが用いられる。なお、選抜 程は、必要に応じて実施される。

 活性化工程後又は選択工程後において、 性化後のCD8陽性CXCR3陽性T細胞を培養して増 させる工程を備えることができる。増殖工 は、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の活性化状態を維 できるよう条件設定されるが、抗原などT細 胞受容体刺激物質の非存在下でありかつIL2等 の存在下で実施することが好ましい。増殖工 程によって活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞 を増殖させることができれば、個体の負担を 抑制して必要量のCD8陽性CXCR3陽性T細胞を得る ことができるため好ましい。また、抗原特異 的かつ高活性のCD8陽性CXCR3陽性T細胞集団を増 殖させることでより高い免疫調節効果の高い 細胞集団を得ることができる。

 以上説明したように、活性化工程、さら は必要に応じて選択工程及び/又は増殖工程 を実施することで、所望の活性化されたCD8陽 性CXCR3陽性T細胞集団を得ることができる。得 られたCD8陽性CXCR3陽性T細胞集団は、IL10産生 性を有し、標的細胞であるCD8陽性CXCR3陰性T 胞の増殖やIFN-γ産生活性を抑制できる。

 活性化されたCD8陽性CXCR3陽性T細胞も、活 化前のCD8陽性CXCR3陽性T細胞と同様に単離・ 製されていることが好ましい。

(免疫関連障害の予防又は治療剤及びその製 方法並びに免疫関連障害の予防又は治療方 )
 本発明の免疫関連障害の予防又は治療剤は 本発明の免疫調節剤、すなわち、CD8陽性CXCR 3陽性T細胞(活性化されたものを含む。以下同 じ。)を有効成分として含有している。また 本発明の免疫関連障害の予防又は治療方法 、免疫関連障害の予防又は治療を要する個 に、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を投与する工程を えることができる。

 本発明の予防又は治療剤、すなわち、CD8 性CXCR3陽性T細胞を免疫関連当該T細胞を免疫 関連障害の予防又は治療を要する個体に投与 することで、免疫系における当該T細胞量又 比率を増大させて、CD8陽性制御性T細胞の免 抑制効果等に基づく予防又は治療効果を得 ことができる。すなわち、生体内で免疫反 が異常に亢進している場合、生体内で望ま くない免疫反応が起こっている場合、ある は望ましくない免疫応答が起こることが将 的に予測される場合等に、当該個体にCD8陽 CXCR3陽性細胞を投与することなどにより、 常に亢進した免疫反応を抑制し、望ましく い免疫反応を抑制し、あるいは望ましくな 免疫反応を回避することができる。

 本発明の予防又は治療剤並びに予防又は 療方法は、免疫抑制がその予防又は治療に 効である障害に有効である。こうした免疫 連障害としては、自己免疫疾患(多発性筋炎 、慢性リュウマチ、全身性エリテマトーシス 、全身性硬化症、水ほう症、皮膚エリテマト ーシス、乾癬症、クローンズ病、潰瘍性大腸 炎、自己免疫性肝炎、多発性硬化症、1型糖 病、再生不良性貧血等)、臓器移植における 絶反応、アレルギー疾患(花粉症、食品アレ ルギー、薬剤アレルギー、喘息、アトピー性 皮膚炎、湿疹、食物過敏症、蕁麻疹、アレル ギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)、移植片 宿主病(GVHD)、不妊症等の予防・治療に有用 ある。

 例えば、上記各種疾患の予防又は治療と て、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を投与しておくこ で、上記疾患によりあるいはそれに伴って 生する可能性のある免疫亢進状態を回避又 抑制することができる。

 また、上記各種疾患の予防又は治療とし 、当該患者由来のCD8陽性CXCR3陽性T細胞から れらの予防又は治療に有効な抗原を用いて 激して活性化した抗原特異的CD8陽性CXCR3陽 T細胞を投与してもよい。例えば、同種異系 ドナーからの臓器移植に先立ち、まず、レ ピエントにドナー由来の細胞又はその一部 投与して当該ドナー由来細胞に特異的なCD8 性CXCR3陽性T細胞を生体内において取得し、 うして得られたT細胞を採取し、必要に応じ て活性化し増殖させた後レシピエントに投与 することで、移植片に対する免疫寛容を誘導 し、移植片に対する拒絶反応を回避し、移植 片の生着を促進することができる。

 また、例えば、自己免疫疾患の患者にお て、当該患者由来のCD8陽性CXCR3陽性T細胞を 当該自己免疫疾患の原因抗原の存在下で培 することで、当該原因抗原に特異的に活性 された制御性T細胞を取得し、このT細胞を 者に投与することで、自己免疫反応を抑制 ることができる。

 さらに、アレルギー疾患の患者において 当該患者由来のCD8陽性CXCR3陽性T細胞を、ア ルギーの原因抗原の存在下で培養すること 、当該原因抗原に特異的なCD8陽性CXCR3陽性T 胞を取得し、このT細胞を患者に投与するこ とで、アレルギー反応を抑制することができ る。

 さらに、例えば、不妊症の患者において 、当該患者由来のCD8陽性CXCR3陽性T細胞を、 ートナー由来の細胞の存在下で培養するこ で、当該パートナー由来細胞(又は抗原)に 異的なCD8陽性CXCR3陽性T細胞を取得し、このT 胞を患者に投与することで、パートナー由 細胞(又は抗原)或いは、当該パートナー由 抗原を保持する胎児に対する免疫寛容を誘 し、胎児に対する拒絶反応を回避し、妊娠 維持を促進することができる。

 なお、本発明の予防又は治療剤は、当業 に周知の手法に従って、有効量のCD8陽性CXCR 3陽性T細胞を準備、当該T細胞と薬学的に許容 される担体とを混合する等して、経口/非経 製剤として製造することが出来る。本発明 免疫調節剤は、通常は、注射剤、懸濁剤、 滴剤等の非経口製剤として製造される。当 非経口製剤に含まれ得る担体としては、例 ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助 を含む等張液(例えば、D-ソルビトール、D-マ ンニトール、塩化ナトリウムなど)などの注 用の水性液を挙げることが出来る。本発明 免疫調節剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リ 酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛 化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸 ロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清ア ルブミン、ポリエチレングリコールなど)、 存剤、酸化防止剤などと配合してもよい。 のようにして得られる製剤は安全で低毒性 あるので、例えば、ヒト等の上述の哺乳動 に対して投与することができる。

 本発明の予防又は治療剤の投与量は、投与 象、対象臓器、症状、投与方法などにより 異はあるが、例えば、ヒト成人の患者(体重 60Kgとして)においては、例えば非経口投与の 合、約10 9 個程度/日を上限として有効量を投与するこ ができる。

 本発明の免疫関連障害の予防又は治療方 の別の態様として、免疫関連障害の予防又 治療を要する個体から、CD8陽性CXCR3陽性T細 の少なくとも一部を除去する工程を備える とができる。過剰にCD8陽性CXCR3陽性T細胞を 持したり過剰に活性化したCD8陽性CXCR3陽性T 胞を保持する個体から、こうしたCD8陽性CXCR 3陽性T細胞の少なくとも一部を除去すること より、例えば、免疫系の機能を改善又は活 化することができる。例えば、腫瘍に対す 免疫応答を強化して腫瘍の予防又は治療が 能となる。

 個体から、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を除去す には、抗CXCR3抗体を静脈投与等することに って可能である。例えば、ヒトに対しては 抗ヒトCXCR3抗体を投与するのが有効である。 なお、異種動物で作製された抗体を使用する 場合には、免疫応答を抑制又はアナフィラキ シーを抑制又は回避するために、抗体のFc部 をヒト抗体のFcに置き換えたヒト型抗体を いることが好ましい。こうした抗体作製は 業者において周知である。

 この態様の免疫関連障害としては、免疫 性化が予防又は治療に有効である疾患が挙 られる。このような疾患としては、ガン全 挙げられる。以上のことから、CXCR3抗体は 免疫活性化剤及び免疫活性化が有効な予防 治療に有効な疾患の予防又は治療剤として いることができる。

(CD8陽性制御性T細胞の検出又は分離用キット)
 本発明のキットは、CD8陽性CXCR3陽性T細胞を 出又は分離する試薬を含むことができる。 発明のキットによれば、適当な採取源からC D8陽性制御性T細胞を検出又は分離することが できる。本発明のキットは、CD8陽性制御性T 胞を分離又は検出するためにCD8及びCXCR3の分 子マーカーに対する標識抗体を含むことがで きる。さらに、活性化したCD8陽性CXCR3陽性T細 胞を選抜するためのIL10に対する標識抗体を むことができる。さらに、CD8陽性CXCR3陽性T 胞の活性化及び培養のための各種試薬(培地 IL2など)を含むことができる。このような検 出又は分離用キットは、個体から採取した末 梢血中等のCD8陽性CXCR3陽性T細胞を検出し、当 該細胞の含有量や当該細胞の抗原特異性を評 価するのに用いることで、個体の免疫系の状 態や自己免疫疾患などの免疫関連障害の診断 用キットとしても用いることができる。また 、このような検出又は分離用キットは、CD8陽 性CXCR3陽性T細胞を免疫関連障害の予防又は治 療剤として用いるためのキットとしても用い ることができる。

(免疫関連障害の予防又は治療手段のスクリ ニング方法)
 本発明のスクリーニング方法は、CD8陽性CXCR 3陽性T細胞に複数の被験条件を付与して各被 条件につき前記T細胞の免疫抑制活性を検出 する工程、を備えることができる。このスク リーニング方法によればCD8陽性CXCR3陽性T細胞 の免疫抑制活性を増強又は低下する被験条件 を選択することができる。被験条件は、例え ば、被験化合物をCD8陽性CXCR3陽性T細胞に接触 させることであってもよいし、適当な遺伝子 のノックアウト及び/又は発現を含む遺伝子 変を伴う遺伝子導入であってもよいし、温 等の環境条件であってもよい。

 このスクリーニング方法において、さら 、前記免疫抑制活性を増強する被験条件を 免疫抑制が有効な免疫関連障害の予防又は 療手段として選択する工程を備えることが きる。こうしたスクリーニング方法によれ 、免疫抑制剤及び本発明の予防又は治療剤 免疫関連障害に有効な予防又は治療手段が 供される。なお、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の免 抑制活性の増強は、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の 加であってもよいし、CD8陽性CXCR3陽性T細胞 体の活性増強であってもよい。

 このスクリーニング方法において、さら 、前記免疫抑制活性が低下する被験条件を 免疫活性化が有効な免疫関連障害の予防又 治療手段として選択する工程、を備えるこ ができる。こうしたスクリーニング方法に れば、免疫活性化剤及び免疫活性化が予防 は治療に有効であるガン全般を始めとする 種疾患に有効な予防又は治療手段が提供さ る。なお、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の免疫抑制 性の低下は、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の減少で ってもよいし、CD8陽性CXCR3陽性T細胞自体の 性低下であってもよい。

 以下、本発明を実施例を挙げて具体的に 明するが、本発明は以下の実施例に限定さ るものではない。なお、以下の実施例にお て特に断りのない限り、以下に示す材料及 方法を用いた。

(マウス)
 C57BL/6及びBALB/cマウスは、SLC、ジャパンより 購入し、各種週令マウスを準備した。CB-17 SC IDマウスは、Cleaジャパンより購入した。
(ヒト単核球画分の調製)
 ヒト単核球画分は健常人ボランティアから 取した末梢血をFicoll-Paque Plus(アマーシャム バイオサイエンス)で遠心分離しPBSにて十分 洗浄することにより回収した。
(抗体)
 全ての抗体は、商業的に入手した。
(フローサイトメトリー)
 分析用途にはFACSキャリバーフローサイトメ ーター(BDバイオサイエンス)を用い、セルソ ティング用途にはFACSヴァンテージセルソー ー(BDバイオサイエンス)を用いた。
(磁性ビーズによる細胞精製)
 CD8陽性細胞は、磁性マイクロビーズに結合 せた抗CD8抗体及びカラム(ミルテニイバイオ テック)を用いてそのプロトコールに従い分 した。
(細胞培養)
 マウス及びヒト由来のそれぞれの細胞につ 、2×10 5 個の細胞を96ウェルプレート上の平坦な底部 有する1ウェル内で、10ng/.mlのIL2を含有する2 00μlの完全培地(RPMI1640+10%FCS及び50μM 2-ME)中で 培養した。
(ELISA)
 マウス細胞の培養上清中のIL10濃度について は、マウスIL10用のELISAキット(R&Dシステム )を用いた。ヒト細胞の培養上清中のIL10濃 については、SRLに依頼した。
(DNAマイクロアレイ)
 それぞれ1×10 6 個のCD8陽性CXCR3陽性T細胞及びCD8陽性CXCR3陰性T 細胞は、C57BL/6マウスの脾臓細胞からEFACSヴァ ンテージセルソーターを用いて回収した。mRN Aを回収した細胞から抽出し、DNAマイクロア イ解析は北海道システムサイエンスに依頼 た。

(マウスにおけるCD8陽性CXCR3陽性細胞とCD8陽性 CD122陽性細胞の発現の比較解析)
 マウスにおけるCD8陽性CXCR3陽性T細胞とCD8陽 CD122陽性T細胞との発現プロファイルを比較 るために、まず、DNAマイクロアレイを実施 た。セルソーティングによりC57BL/6マウスの 脾臓からCD8陽性CD122陽性T細胞及びCD8陽性CD122 性T細胞のそれぞれをおおよそ100万個程度採 取し、これらの細胞集団から抽出したmRNAに きDNAマイクロアレイ解析を行った。

 マイクロアレイの結果、10個以上の遺伝 がCD8陽性CD122陰性T細胞におけるよりもCD8陽 CD122陽性T細胞において2倍以上の発現レベル 示した。なかでも、CXCR3遺伝子がCD8陽性CD122 陰性T細胞よりもCD8陽性CD122陽性T細胞におい 10倍以上発現していることがわかった。

 次いで、マウス抗CXCR3抗体を用いてマウ の脾臓におけるCXCR3(CD183)遺伝子の発現レベ をフローサイトメトリーで分析した。具体 には、脾臓細胞を異なる週令のC57BL/6マウス ら採取し、抗CD8抗体及び抗CXCR3抗体で染色 、その後、フローサイトメトリーにより分 した。結果を図1A及び図1Bに示す。

 図1A及び図1Bに示すように、CD8陽性T細胞 うちの一部がCXCR3を発現していることがわか った。また、CXCR3陽性T細胞の割合は、マウス の個体年齢に依存する傾向があることがわか った。すなわち、新生仔マウスはほとんどCD8 陽性細胞を有していなかったが、1週令マウ あたりからCD8陽性細胞が現れはじめた。幼 マウスでは、高い割合でCXCR3陽性細胞を含ん でいたが、同様の現象は、CD122陽性細胞にも 察されていた。また、マウスの週令によるC XCR3陽性細胞の割合の変動を解析してみると CD122陽性細胞におけるのと類似のパターン示 すこともわかった。

 同時に、CD8陽性細胞群におけるCXCR3及びCD 122の発現を解析した。具体的には、4週令マ スについて、CD8陽性細胞にゲートされた細 についてCD122及びCXCR3の発現プロファイル及 CD4陽性細胞にゲートされた細胞についてCD25 及びCXCR3の発現プロファイルをフローサイト トリーにより分析した。結果を図1Cに示す

 図1Cに示すように、CD122及びCXCR3の双方を 現する明瞭な細胞集団があることがわかっ 。また、図1Cに示すように、CD25及びCXCR3の 方を発現する細胞集団を見出すことはでき かった。以上の結果から、マウスのCD8陽性 胞集団において、CD122及びCXCR3の発現には強 相関関係があることがわかった。一方、マ スのCD4陽性細胞において、CD25及びCXCR3の発 にはなんら相関関係がないことがわかった

 また、CD8陽性細胞をCD44及びCD62L(CD44弱陰 CD62L強陽性、CD44強陽性CD62L弱陽性、CD44強陽 CD62L強陽性)の発現状態に基づき3つの細胞集 に分けて、これらの各集団のCD122及びCXCR3の 発現プロファイルを確認した。具体的には、 抗CD8抗体でコートしたマグネティックビーズ を用いて6週令マウスから回収したCD8陽性細 を抗CD44抗体、抗CD62L抗体及び抗CD122抗体並び に抗CXCR3抗体で染色した。これらの細胞をフ ーサイトメトリーで分析して、CD44及びCD62L 発現パターンで決定される3つの細胞集団(#1 :CD44弱陽性CD62L強陽性、#2:CD44強陽性CD62L強陽 、#3:CD44強陽性CD62L弱陽性)におけるCD122及びCX CR3の発現プロファイルを確認した。結果を図 1Dに示す。

 図1Dに示すように、CD8陽性CD122陽性T細胞 団(CD44強陽性CD62L強陽性T細胞集団)は、CD122及 びCXCR3の双方を発現する細胞を高率で含み、 イーブT細胞集団(CD44陰性CD62L強陽性T細胞集 )がCD8陽性CXCR3陰性T細胞であることがわかっ た。さらに、エフェクターメモリー細胞集団 (CD44強陽性CD62L弱陽性T細胞集団)は、CXCR3又はC D122を発現する細胞を含むものの、CD44強陽性C D62L強陽性T細胞集団と比べて明確なCD8陽性CXCR 3陽性T細胞集団を示すものではなかった。

(マウスCD8陽性CXCR3陽性T細胞の制御性T細胞と てin vivoにおける機能解析)
 本実施例では、リンパ球欠損重症複合型免 不全(SCID)マウスにCD8陽性CXCR3陽性T細胞を伴 て又は伴わずにCD8陽性CXCR3陰性T細胞の移植 験を行った。最初に、CD8陽性CXCR3陽性T細胞 びCD8陽性CXCR3陰性T細胞をBALB/cマウスから抗C D8抗体マグネティックビーズ及びセルソータ を用いて回収した。ビーズ処理後であって ルソーティング前のフローサイトメトリー びセルソーティング後のフローサイトメト ーによる分析結果を図2Aに示す。

 図2Aに示すように、実験に用いた細胞は BALB/cマウスからセルソーティングにより採 し、純度が確認された。こうして調製され CD8陽性CXCR3陰性T細胞をCD8陽性CD122陽性T細胞 混合した状態又は混合しない状態で、CB-17 S CIDマウスに移植した。

 なお、リンパ球欠損SCIDマウス又はRAG -/- マウス(データ示さず)にCD8陽性CXCR3陰性T細胞 移植する場合には、このT細胞を受容したマ ウスは、CD69陽性活性化CD8陽性T細胞及び脾臓 おける顆粒球の増加を伴って不健康になり 最終的には赤血球生成が抑制される顆粒球 位の造血傾向を示すようになる。このよう 造血傾向は、CD8陽性CD122陽性制御性T細胞の 足の良好なマーカーになりうる。以上のこ から、本実施例では、CD8陽性CXCR3陰性T細胞 CD69発現と脾臓における顆粒球の増大を指標 としてT細胞の活性化を測定することとした

 具体的には、3×10 5 個のCD8陽性CXCR3陰性T細胞のみ、又は10 5 個のCD8陽性CXCR3陽性T細胞及び3×10 5 個のCD8陽性CXCR3陰性T細胞との混合物を静脈経 由でCB-17 SCIDマウスに移植した。10週間経過 、脾臓細胞をフローサイトメーターにより 析した。結果を図2B~図2Dに示す。

 図2Bに示すように、CD8陽性CXCR3陰性T細胞 みを受容したSCIDマウスは、CD69陽性活性化CD8 陽性T細胞の増加が認められたが、CD8陽性CD122 陰性T細胞とCD8陽性CD122陽性T細胞とを受容し マウスでは、このような活性化されたT細胞 増加は認められなかった。図2Cに示すよう 、CD8陽性CXCR3陰性T細胞のみを受容したマウ の脾臓におけるGr-I陽性顆粒球の増加は、双 のT細胞を受容したマウスにおいては観察さ れなかった。さらに、図2Dに示すように、CD8 性CXCR3陰性T細胞のみを受容したマウスの骨 においては顆粒球優位でありかつ赤血球生 が抑制された造血状態が認められたが、双 のT細胞を受容したマウスの骨髄においては こうした状態は改善されていた。

 以上の結果から、マウスにおいてはCD122 加えてCXCR3もCD8陽性制御性T細胞のマーカー して利用できることがわかった。

(マウスCD8陽性CXCR3陽性T細胞の制御性T細胞と てのin vitroでの機能解析)
 本実施例では、試験管内におけるマウスのC D8陽性CXCR3陽性T細胞の制御性T細胞の作用を調 べた。マウスの脾臓細胞をセルソーティング にかけて、CD8陽性CXCR3陽性T細胞及びCD8陽性CXC R3陰性T細胞をそれぞれ回収した。

 それぞれの細胞を、抗マウスCD3抗体+抗マ ウスCD28抗体コーティングビーズ(Dynabeads Mouse CD3/CD28 T Cell Expander)で刺激して培養した。 体的には、CD8陽性CXCR3陽性T細胞及びCD8陽性CX CR3陰性T細胞をC57BL/6マウスからセルソーティ グにより回収し、それぞれ抗マウスCD3抗体 び抗マウスCD28抗体でコーティングしたマイ クロビーズによる刺激下で培養した。48時間 過後、まずCD8抗体で染色し、その後、Cytofix /Cytopem(BDバイオサイエンス)を用いて細胞内IL1 0を検出した。また、同様にして培養して得 れた各培養上清のIL10濃度をELISAにより測定 た。これらの細胞についてのフローサイト トリーの結果を図3A及び図3Bに示す。また、E LISAによるIL10の測定結果を図3Cに示す。

 図3A及び図3Bに示すように、CD8陽性CXCR3陰 T細胞に比べてより多くのCD8陽性CXCR3陽性T細 胞がIL10を産生するようになった。IL10は、CD8 性CD122陽性制御性T細胞によって産生される も重要な作用伝達因子である。図3Cに示す うに、培養上清についてのELISAにおいても、 同様の現象が確認された。

 また、先と同様の抗体コーティングビー を用いて刺激したCD8陽性CXCR3陰性T細胞培養 おけるIFN-γ量を測定した。具体的には、セ ソーティングによりC57BL/6マウスから採取し たCD8陽性CXCR3陰性T細胞をまずCFSEによりラベ し、その後、単独又はCD8陽性CXCR3陽性T細胞 共に培養した。抗CD3抗体及び抗CD28抗体をコ トしたマイクロビーズによる刺激下で48時 培養した後、CFSE細胞(CD8陽性CXCR3陰性T細胞) IFN-γの産生活性をフローサイトメトリーに り調べた。結果を図3D及び図3Eに示す。また 上記と同様にして細胞培養を行い、CFSE蛍光 の減少によって細胞増殖を評価した。結果を 図3Fに示す。

 図3Dに示すように、CD8陽性CXCR3陽性T細胞 伴わないCD8陽性CXCR3陰性T細胞は、IFN-γを産 した。一方、図3Eに示すように、このような IFN-γ産生は、CD8陽性CXCR3陰性T細胞がCD8陽性CXC R3陽性T細胞とともに培養されたときには明ら かに抑制され、CD8陽性CXCR3陽性T細胞の制御活 性を呈していた。また、図3Fに示すように、C FSE蛍光の減少によって計測されたCD8陽性CXCR3 性T細胞の増殖状態からは、単独培養時に比 較して、CD8陽性CXCR3陽性T細胞と共培養したと き、CD8陽性CXCR3陰性T細胞の増殖が抑制されて いることがわかった。すなわち、CD8陽性CXCR3 性T細胞がCD8陽性CXCR3陰性T細胞に対して増殖 抑制能を有していることがわかった。

 以上の結果から、CD8陽性CXCR3陽性T細胞及 CD8陽性CXCR3陰性T細胞の関係は、CD8陽性CD122 性T細胞及びCD8陽性CD122陰性T細胞の関係に極 て類似していることがわかった。

(ヒトCD8陽性CXCR3陽性T細胞の発現解析)
 Ficoll重層遠心分離によってヒト末梢血から 核球を分離し、抗ヒトCD8抗体、抗ヒトCXCR3 体及び抗ヒトCD122抗体で染色し、フローサイ トメトリーにより分析した。結果を図4A及び 4Bに示す。

 図4Aに示すように、ヒト末梢血から採取し リンパ球には、明確にCD8陽性CD122陽性T細胞 確認できなかったが、Low-intermediate レベル CD8陽性T細胞(CD8 dim )中にCD122陽性細胞を見出した。しかしながら 、これらのCD8 dim CD122陽性細胞のほとんどがCD3陰性NK様細胞で った(データ示さず)。これに対して、図4A及 図4Bに示すように、CD8強陽性細胞集団中に らかにCXCR3陽性細胞が観察された。すなわち 、CXCR3の発現プロファイルは、ヒト末梢血リ パ球におけるCD122発現プロファイルとは異 っていた。また、マウスCD8陽性細胞集団に けるCD122及びCXCR3の発現に関しては正の相関 係が認められた(実施例1、図1C)のに対し、 トCD8強陽性細胞集団におけるCD122及びCXCR3の 現には何ら相関関係は見出されなかった(図 4B)。

 さらに、CD8陽性CXCR3陽性T細胞がセントラ メモリー細胞やエフェクターメモリ細胞と 連があるかとうかを調べるために、ヒト細 を抗CD45RA抗体及び抗CCR7抗体で染色し、フロ ーサイトメトリーを行った。結果を図4Cに示 。

 図4Cに示すように、CD8陽性CXCR3陽性T細胞 CD8陽性CXCR3陰性T細胞よりは多くのCD45RA陰性 モリー細胞を含んでいるものの、CD8陽性CXCR3 陽性T細胞とセントラルメモリー細胞(CD45RA陰 CCR7陽性)やエフェクターメモリー細胞(CD45RA 性CCR7陰性)とは明らかな相関関係は認めら かった。

 全てのCD8陽性細胞集団におけるCXCR3陽性 胞の比率を、異なる年齢の健常人ボランテ アから採取した末梢血リンパ球(単核球)につ いて、CD8及びCXCR3の発現プロファイルをフロ サイトメトリーにより分析した。結果を図4 Dに示す。また、ヒト末梢血リンパ球につい の、CD4及びCD25の発現プロファイルをフロー イトメトリーにより分析するとともに、CD4 性にゲートされた細胞集団についてのCD25及 びCXCR3の発現プロファイルをフローサイトメ リーで分析した。結果を図4Eに示す。

 図4Dに示すように、相対的に多くのCD8陽 CXCR3陽性T細胞が若年層と老年層に存在する 向がある程度示唆された。しかしながら、 CD8陽性細胞におけるCD8陽性CXCR3陽性T細胞の 率の変化は、マウス(実施例1、図1A及び図1B) おけるほど明確に観察されなかった。また 図4Eに示すように、ヒトにおいては、マウ と同様、CD4陽性細胞集団においてCD25及びCXCR 3の相関関係は認められなかった。

(ヒトCD8陽性CXCR3陽性T細胞の制御性T細胞とし のin vitroでの機能解析)
 実施例3においては、CD8陽性CXCR3陽性T細胞は 、マウスにおいて制御性T細胞として機能し 。本実施例では、CD8陽性CXCR3陽性T細胞がヒ においても制御性T細胞として機能するかど かを確認した。

 まず、ヒト末梢血単核球画分を分離し、 ルソーティングにかけて、CD8陽性CXCR3陽性T 胞及びCD8陽性CXCR3陰性T細胞をそれぞれ回収 た。結果を図5Aに示す。次に、抗ヒトCD3+抗 トCD28抗体コーティングビーズ(Dynabeads MouseC D3/CD28 T Cell Expander)の刺激下で、CD8陽性CXCR3 性T細胞とCD8陽性CXCR3陰性T細胞とをそれぞれ 別々に培養し、培養上清のIL10濃度をELISAで測 定した。また、培養細胞をまず抗CD8抗体で染 色し、その後、細胞内IL10をCytofix/Cytopemを用 て染色し、これらの細胞をフローサイトメ リーで分析した。これらの結果を図5B並びに 図5C及び図5Dに示す。図5B~図5Dに示すように、 CD8陽性CXCR3陽性T細胞はCD8陽性CXCR3陽性T細胞に 比較してより多くのIL10を産生していること わかった。

 また、CD8陽性CXCR3陰性T細胞の単独培養及 CD8陽性CXCR3陽性T細胞との共培養につき、CFSE 標識細胞(CD8陽性CXCR3陰性T細胞)のIFN-γ産生活 を調べた。具体的には、セルソーティング よりヒト末梢血から採取したCD8陽性CXCR3陰 T細胞をまずCFSEによりラベルし、その後、単 独又はCD8陽性CXCR3陽性T細胞と共に培養した。 抗CD3抗体及び抗CD28抗体をコートしたマイク ビーズによる刺激下で96時間培養した後、抗 CD8抗体による染色及び抗ヒトIFN-γ抗体による 細胞内染色を行い、IFN-γ産生活性をフローサ イトメトリーにより評価した。結果を図5E及 図5Fに示す。

 図5E及び図5Fに示すように、CD8陽性CXCR3陰 T細胞のみを培養したときにはIFN-γを産生し たが、CD8陽性CXCR3陽性T細胞と共培養したとき には、明らかにより少量のIFN-γしか産生しな かった。

 さらに、CFSE蛍光の減少に基づく細胞増殖 についても調べた。結果は、図5Gに示すよう 、単独培養時に比較して、CD8陽性CXCR3陽性T 胞と共培養したとき、CD8陽性CXCR3陰性T細胞 増殖が抑制されていた。すなわち、CD8陽性C XCR3陽性T細胞は、CD8陽性CXCR3陰性T細胞の増殖 抑制する能力があることがわかった。

 以上の結果から、ヒトのin vitro実験系に いて、CD8陽性CXCR3陽性T細胞は制御性T細胞と して機能することがわかった。また、ヒトCD8 陽性T細胞では発現されないCD122に代わり、CXC R3は、ヒト制御性T細胞のマーカーとして利用 できることがわかった。既に、実施例2及び3 おいて示したように、マウス実験系におい 、CD8陽性CXCR3陽性T細胞がCD8陽性CD122陽性制 性T細胞として実質的に等しいことを示した 、ヒトCD8陽性CXCR3陽性T細胞がマウスCD8陽性C D122陽性制御性T細胞のヒトにおける対応細胞 あることがわかった。

(ヒト多発性硬化症(MS)モデルマウス(EAEマウス )に対するCD8陽性CD122陽性細胞投与の効果)
 ヒトMSの動物モデルとしてマウスEAE(実験的 己免疫性脳脊髄炎)がある。本実施例では、 以下のプロトコールに従い、EAEマウスに対し てCD8陽性CD122陽性T細胞を投与してその症状の 改善について評価した。

(プロトコール)
(1)抗マウスCD122抗体(クローンTM-b1)は、ハイブ リドーマ細胞をヌードマウスの腹腔に植え付 けて増殖させた後に、腹水を回収し、硫安沈 殿をして精製したものを使用した。マウス1 あたり25mgの抗体を尾静脈より注射した。
(2)EAEの誘導には、メスのB6マウスを使用し、2 00mgのMOG 35-55 ペプチドを4mg/mlの結核菌死菌を含んだ完全フ ロイントアジュバントとよく混合し、エマル ジョン化したものを尾の付け根の皮内に注射 (この時をday0とする)し、同日と2日後の2回に たりPertussis Toxin 200ngを腹腔内に注射する とで行った。
(3)EAE症状の評価は、スコア0:症状なし、スコ 1:尾または片側の後肢の脱力、スコア2:尾と 後肢の脱力、スコア3:後肢の不完全麻痺、ス ア4:後肢の完全麻痺、スコア5:マウス死亡、 として行った。
(4)CD8 + CD122 + 細胞もしくはCD8 + CD122 - 細胞の移入には、マウス脾細胞からCD8 + 細胞を抗CD8抗体の結合した磁気ビーズ(ミル ニー社製)を用いて分離回収し、さらにそれ 蛍光標識抗CD8抗体と蛍光標識抗CD122抗体で 色したものをセルソーター(BD社製FACSVantage S E)を用いて99%以上の純度で回収し、その細胞 マウスの尾静脈から注射した。プロトコー の概要とB6マウスにMOGペプチドを免疫してEA Eを誘導し、症状をスコア化して追跡した結 を図6に示す。

 図6に示すように、抗CD122抗体を注射してCD8 + CD122 + 細胞を除去したマウスにEAEを導入すると、ピ ークに達した症状が回復せずに重症のまま経 過した。これに対して、こうしたマウスに、 他の同系マウスから採取したCD8 + CD122 + 制御性T細胞を移入すると速やかな症状の快 が認められた。CD8 + CD122 - 制御性T細胞を移入しても症状は回復しなか た。以上のことから、CD8 + CD122 + 制御性T細胞がEAEの症状快復に必須の役割を ていることがわかった。CD8 + CD122 + 制御性T細胞は、ヒトのCD8 + CXCR3 + 制御性T細胞に相当することから、CD8 + CXCR3 + 制御性T細胞は、ヒトのMSの予防又は治療に用 いることができることがわかった。

(炎症性腸疾患モデルマウスへに対するCD8陽 CD122陽性T細胞投与の効果)
 潰瘍性大腸炎とクローン病を総称して炎症 腸疾患(IBD)というが、これらも免疫応答が わった自己免疫性疾患の一つである。IBDモ ルマウスにもいくつかの種類があるが、よ 使われるものとしてリンパ球を欠損するRAG ックアウトマウスにCD4 + CD45RB + 細胞を養子移入するという系がある。本実施 例では、RAGノックアウトマウスに対してCD8 + CD122 + 制御性T細胞を投与したときのIBDの症状の変 を観察した。なお、IBDの症状が体重変化に 実に反映されることは、これまでの多くの 文によって証明されている。

(プロトコール)
(1)リンパ球を持たないRAGノックアウトマウス (遺伝的背景はB6)に各種の細胞を移入した後 マウスの体重を暫時計測し、細胞移入前の 重に対する増減を百分率で記録した。
(2)CD4 + CD45RB + 細胞、CD4 + CD45RB - 細胞、CD8 + CD122 + 細胞、CD8 + CD122 - 細胞はすべてB6マウスの脾細胞から調製した
(3)第一段階として、抗CD4もしくは抗CD8抗体を 結合させた磁気ビーズ(ミルテニー社製)によ てCD4 + 細胞もしくはCD8 + 細胞を分離回収し、その後蛍光標識した抗CD4 、抗CD45RB、抗CD8、抗CD122抗体で染色して、目 の細胞をセルソーター(BD社製FACSVantage SE)を 用いて高純度で分離回収した。
(4)CD4 + CD45RB + 細胞はいずれの組み合わせの細胞移入におい ても4x10 5 個を用い、そこにCD8 + CD122 + 細胞、CD8 + CD122 - 細胞、CD4 + CD45RB - 細胞はそれぞれ2x10 5 個を加える形で混ぜ合わせて経静脈的に移入 した。
結果を図7に示す。

 RAGノックアウトマウスに見られるIBDは、移 したCD4 + CD45RB + 細胞がCD4 + の制御性T細胞(CD4 + CD25 + 細胞)を含まないために起こってくるもので る。CD4 + CD45RB - 細胞(CD4 + CD25 + 制御性T細胞を含む)を同時に移入すれば症状( 下痢、血便、体重減少)は起こってこない。 た、CD4 + CD45RB - 細胞の代わりに正常マウスから採取したCD8 + CD122 + 制御性T細胞をCD4 + CD45RB + 細胞と同時に移入してもIBD症状は起こってこ なかった。この実験結果は、CD8 + CD122 + 制御性T細胞がIBDの発症抑制に効果的に働く とを示しており、CD8 + CD122 + 制御性T細胞(ヒトではCD8 + CXCR3 + 制御性T細胞)がIBDの予防/治療に使えることが わかった。

(CD8 + CD122 + 制御性T細胞(ヒトCD8 + CXCR3 + 制御性T細胞)のin vitroでの培養)
 ヒト疾患に対する制御性T細胞の有用性を示 すには、その制御性T細胞をin vitroで培養増 させることが必要である。具体的方法とし は、末梢血から採取した制御性T細胞を抗CD3 体などで刺激して活性化状態にし、IL-2添加 培地中で培養して増殖させる技術を確立する 必要がある。本実施例では、培養増殖させる ことが簡単なマウスT細胞を用いて実験を行 た。

 CD8 + CD122 + 細胞を、セルソーターを用いて純粋に採取し 、抗CD3抗体(BDBiocoat、BD社製)で24時間刺激し活 性化状態にした。以後は、細胞の維持・増殖 にはヒトレコンビナントIL-2(50ng/ml)のみを加 た培地で行い、細胞を100倍以上まで増殖さ 得ることがわかった。この増殖させた細胞 は、CD8 + 制御性T細胞が抑制作用を発揮するための必 分子であるIL-10を発現することが、培養上清 中のIL-10をELISA法(QuantikineマウスIL-10測定キッ 、R&D社製を使用)で測定した結果確かめ れており、制御性細胞としての機能を保っ ままマウスCD8 + 制御性T細胞を培養増殖させることが可能で ることがわかった。同様の方法により、ヒ CD8 + CXCR3 + 制御性T細胞を培養できると考えられる。