Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
IMPACT STRENGTH MODIFIER, THERMOPLASTIC RESIN COMPOSITION, MOLDED ARTICLE, AND METHOD FOR PRODUCING GRAFT COPOLYMER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026626
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a thermoplastic resin composition having excellent impact resistance at low temperatures, while maintaining high transparency. This thermoplastic resin composition is obtained by blending an impact strength modifier into a thermoplastic resin, and the impact strength modifier is composed of a graft copolymer which is obtained by polymerizing a vinyl monomer component in the presence of a polymer mixture containing a polymer mainly containing a butadiene unit and a polymer mainly containing a styrene unit. The butadiene unit content in the polymer mixture is 45-65% by mass, while the styrene unit content is 35-55% by mass.

Inventors:
OKUNAKA OSAMU (JP)
NISHII HIROYUKI (JP)
SHOUJI TADASHI (JP)
NAKAMURA KEIJI (JP)
KIM TAE UK (KR)
LEE BYUNG CHOON (KR)
Application Number:
PCT/JP2007/066734
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 29, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MITSUBISHI RAYON CO (JP)
CHEIL IND INC (KR)
OKUNAKA OSAMU (JP)
NISHII HIROYUKI (JP)
SHOUJI TADASHI (JP)
NAKAMURA KEIJI (JP)
KIM TAE UK (KR)
LEE BYUNG CHOON (KR)
International Classes:
C08F291/00; C08L51/04
Foreign References:
JP2003335935A2003-11-28
JPH08143741A1996-06-04
JP2004536935A2004-12-09
JP2004182820A2004-07-02
JP2006231776A2006-09-07
JPS62240352A1987-10-21
Other References:
See also references of EP 2058344A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Yaesu Chuo-ku, Tokyo 53, JP)
Download PDF:
Claims:
 ブタジエン単位を主成分とする重合体(A1)とスチレン単位を主成分とする重合体(A2)とを含有する重合体混合物(A)の存在下に、ビニル単量体成分(b)を重合して得られるグラフト共重合体であり、
 重合体混合物(A)中のブタジエン単位の含有率が45~65質量%、スチレン単位の含有率が35~55質量%であるグラフト共重合体からなる、耐衝撃性向上剤。
 ビニル単量体成分(b)(100質量%)中の、芳香族ビニル単量体(b1)の含有率が40~80質量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体(b2)の含有率が20~60質量%である、請求項1記載の耐衝撃性向上剤。
 グラフト共重合体(100質量%)中の、重合体混合物(A)の含有率が60~85質量%、ビニル単量体成分(b)を重合して得られるグラフト部の含有率が15~40質量%である、請求項1記載の耐衝撃性向上剤。
 熱可塑性樹脂90~99質量%と、請求項1記載の耐衝撃性向上剤1~10質量%とを含有する、熱可塑性樹脂組成物。
 熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネートである、請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
 請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
 ブタジエン単位を主成分とする重合体(A1)ラテックスと、スチレンを主成分とする単量体成分とを混合し、次いで、スチレンを主成分とする単量体成分の重合を開始することにより、ブタジエン単位の含有率が45~65質量%、スチレン単位の含有率が35~55質量%である重合体混合物(A)を製造し、重合体混合物(A)の存在下に、ビニル単量体成分(b)を重合する、グラフト共重合体の製造方法。
 ビニル単量体成分(b)(100質量%)中の、芳香族ビニル単量体(b1)の含有率が40~80質量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体(b2)の含有率が20~60質量%である、請求項7記載のグラフト共重合体の製造方法。
 グラフト共重合体(100質量%)中の、重合体混合物(A)の含有率が60~85質量%、ビニル単量体成分(b)を重合して得られるグラフト部の含有率が15~40質量%である、請求項7記載のグラフト共重合体の製造方法。
 スチレン単位を主成分とする重合体(A2)ラテックスの存在下で、ブタジエンを主成分とする単量体成分を重合することにより、ブタジエン単位の含有率が45~65質量%、スチレン単位の含有率が35~55質量%である重合体混合物(A)を製造し、重合体混合物(A)の存在下に、ビニル単量体成分(b)を重合する、グラフト共重合体の製造方法。
 ビニル単量体成分(b)(100質量%)中の、芳香族ビニル単量体(b1)の含有率が40~80質量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体(b2)の含有率が20~60質量%である、請求項10記載のグラフト共重合体の製造方法。
 グラフト共重合体(100質量%)中の、重合体混合物(A)の含有率が60~85質量%、ビニル単量体成分(b)を重合して得られるグラフト部の含有率が15~40質量%である、請求項10記載のグラフト共重合体の製造方法。
 
Description:
耐衝撃性向上剤、熱可塑性樹脂 成物、成形品及びグラフト共重合体の製造 法

 本発明は、熱可塑性樹脂、特に芳香族ポリ ーボネートの低温での耐衝撃性を向上させ 且つ、高い透明性を維持する耐衝撃性向上 、それを配合した熱可塑性樹脂組成物及び 形品に関する。
 本願は、2006年8月29日に出願された特願2006-2 31776号に基づき優先権を主張し、その内容を こに援用する。

 芳香族ポリカーボネートは、室温での耐 撃性に優れ、透明性に優れる熱可塑性樹脂 あるため、透明性が必要とされる光メディ 用材料、OA機器、自動車用材料、雑貨等の 野で使用されている。しかし、低温での耐 撃性が低いことが課題として挙げられる。 た、芳香族ポリカーボネートは屈折率が高 、汎用の耐衝撃性向上剤を配合した場合に 、樹脂と耐衝撃性向上剤との屈折率差が大 くなるために、成形品の透明性を損なうこ が課題として挙げられる。

 芳香族ポリカーボネートの低温での耐衝撃 を向上させる方法として、ブタジエン系ゴ にスチレン及びアクリロニトリルを重合さ たグラフト共重合体を耐衝撃性向上剤とし 配合する方法が提案されている(特許文献1) しかし、この方法で得られる芳香族ポリカ ボネート組成物では、低温での耐衝撃性は 上するが、成形品の透明性が低下するとい 課題を有している。

特開昭62-240352号公報

 本発明の目的は、熱可塑性樹脂、特に芳 族ポリカーボネートの低温での耐衝撃性を 上させ、且つ、高い透明性を維持する耐衝 性向上剤、それを配合した熱可塑性樹脂組 物及び成形品を提供することにある。

 本発明者らは鋭意検討した結果、ブタジ ン単位を主成分とする重合体(A1)とスチレン 単位を主成分とする重合体(A2)とを含有する 合体混合物(A)の存在下に、ビニル単量体成 (b)を重合して得られるグラフト共重合体を 衝撃性向上剤として用いることで、芳香族 リカーボネートの低温での耐衝撃性を向上 せ、且つ、高い透明性を維持できることを 出した。

 即ち、本発明は、ブタジエン単位を主成分 する重合体(A1)とスチレン単位を主成分とす る重合体(A2)とを含有する重合体混合物(A)の 在下に、ビニル単量体成分(b)を重合して得 れるグラフト共重合体であり、重合体混合 (A)中のブタジエン単位の含有率が45~65質量% スチレン単位の含有率が35~55質量%であるグ フト共重合体からなる耐衝撃性向上剤であ 。
 該耐衝撃性向上剤は、ビニル単量体成分(b)( 100質量%)中の、芳香族ビニル単量体(b1)の含有 率が40~80質量%、アルキル(メタ)アクリレート 量体(b2)の含有率が20~60質量%であることが好 ましい。
 該耐衝撃性向上剤は、グラフト共重合体(100 質量%)中の、重合体混合物(A)の含有率が60~85 量%、ビニル単量体成分(b)を重合して得られ グラフト部の含有率が15~40質量%であること 好ましい。

 また、本発明は、熱可塑性樹脂90~99質量%と 該耐衝撃性向上剤1~10質量%とを含有する熱 塑性樹脂組成物、及びそれを成形して得ら る成形品である。
 該熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂が 香族ポリカーボネートであることが好まし 。

 また、本発明は、ブタジエン単位を主成 とする重合体(A1)ラテックスと、スチレンを 主成分とする単量体成分とを混合し、次いで 、スチレンを主成分とする単量体成分の重合 を開始することにより、ブタジエン単位の含 有率が45~65質量%、スチレン単位の含有率が35~ 55質量%である重合体混合物(A)を製造し、重合 体混合物(A)の存在下に、ビニル単量体成分(b) を重合する、グラフト共重合体の製造方法で ある。

 また、本発明は、スチレン単位を主成分 する重合体(A2)ラテックスの存在下で、ブタ ジエンを主成分とする単量体成分を重合する ことにより、ブタジエン単位の含有率が45~65 量%、スチレン単位の含有率が35~55質量%であ る重合体混合物(A)を製造し、重合体混合物(A) の存在下に、ビニル単量体成分(b)を重合する 、グラフト共重合体の製造方法である。

 前記グラフト共重合体の製造方法では、ビ ル単量体成分(b)(100質量%)中の、芳香族ビニ 単量体(b1)の含有率が40~80質量%、アルキル( タ)アクリレート単量体の含有率が20~60質量% あることが好ましい。
 前記グラフト共重合体の製造方法では、グ フト共重合体(100質量%)中の、重合体混合物( A)の含有率が60~85質量%、ビニル単量体成分(b) 重合して得られるグラフト部の含有率が15~4 0質量%であることが好ましい。

 本発明の耐衝撃性向上剤によれば、熱可 性樹脂、特に芳香族ポリカーボネートの低 での耐衝撃性を向上させ、且つ、高い透明 を維持する成形品を得ることができる。

 本明細書において、(メタ)アクリルは、 クリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アク リレートは、アクリレート又はメタクリレー トを意味する。

 本発明の重合体混合物(A)は、ブタジエン 位を主成分とする重合体(A1)とスチレン単位 を主成分とする重合体(A2)とを含有するもの ある。

 ブタジエン単位を主成分とする重合体(A1) は、1,3-ブタジエンの単独重合体又は共重合 が好ましく、1,3-ブタジエンと、必要に応じ 他のビニル単量体と、必要に応じて架橋性 量体とを重合して得られる。

 他のビニル単量体としては、例えば、スチ ン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単 体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ )アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート のアルキル(メタ)アクリレート単量体;(メタ )アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量 ;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエー ル等のアルキルビニルエーテル単量体;塩化 ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル単 量体;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等の ロゲン化ビニリデン単量体;グリシジル(メタ )アクリレート、アリルグリシジルエーテル のグリシジル基含有ビニル単量体が挙げら る。
 他のビニル単量体は、1種を単独で用いても よく、2種以上を併用してもよい。

 架橋性単量体としては、例えば、ジビニル ンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官 ビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ) クリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)ア リレート等の多価アルコールのジ又はトリ( メタ)アクリレート単量体;アリル(メタ)アク レート単量体;ジアリルフタレート、トリア ルトリアジン等のジ又はトリアリル単量体 挙げられる。
 架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく 、2種以上を併用してもよい。

 重合体(A1)の重合に用いる単量体(100質量%)中 の1,3-ブタジエンの量は、得られる成形品の 衝撃性が向上する点から60質量%以上が好ま く、80質量%以上がより好ましい。
 他のビニル単量体の量は0~30質量%が好まし 、架橋性単量体の量は0~10質量%が好ましい。

 スチレン単位を主成分とする重合体(A2)は 、スチレンの単独重合体又は共重合体が好ま しく、スチレンと、必要に応じて他のビニル 単量体と、必要に応じて架橋性単量体とを重 合して得られる。

 他のビニル単量としては、例えば、α-メチ スチレン等の芳香族ビニル単量体;メチル( タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー 、n-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル( メタ)アクリレート単量体;(メタ)アクリロニ リル等のシアン化ビニル単量体;メチルビニ エーテル、ブチルビニルエーテル等のアル ルビニルエーテル単量体;塩化ビニル、臭化 ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;塩化ビ リデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビ リデン単量体;グリシジル(メタ)アクリレー 、アリルグリシジルエーテル等のグリシジ 基含有ビニル単量体;1,3-ブタジエンが挙げら れる。
 他のビニル単量体は、1種を単独で用いても よく、2種以上を併用してもよい。

 架橋性単量体としては、重合体(A1)の製造 で用いた架橋性単量体を用いることができる 。

 重合体(A2)の重合に用いる単量体(100質量%)中 のスチレンの量は、得られる成形品の透明性 を維持する点から80質量%以上が好ましく、90 量%以上がより好ましい。
 他のビニル単量体の量は0~20質量%が好まし 、架橋性単量体の量は0~10質量%が好ましい。

 重合体混合物(A)は、重合体(A1)と重合体(A2) の単なる混合物であってもよく、重合体(A1) 重合体(A2)とが複合化した重合体複合物であ ってもよい。重合体(A1)の中に重合体(A2)のド インが形成された構造となることが、より ましい。
 重合体(A1)の中に重合体(A2)のドメインが形 された構造となることで、低温での耐衝撃 を保持したまま重合体混合物(A)のスチレン 有率を上げることが可能であり、重合体混 物(A)全体の屈折率を上げることができる。 のようなグラフト共重合体を耐衝撃性向上 として用いることで、芳香族ポリカーボネ トのような屈折率の高いマトリクス樹脂に しても、低温での耐衝撃性を向上させ、且 、高い透明性を維持することができる。

 重合体混合物(A)(100質量%)中のブタジエン単 の含有率は45~65質量%であり、55~65質量%が好 しい。重合体混合物(A)(100質量%)中のスチレ 単位の含有率は35~55質量%であり、35~45質量% 好ましい。
 重合体混合物(A)(100質量%)中のブタジエン単 の含有率が45質量%以上であれば耐衝撃性の 上効果が十分となり、65質量%以下であれば 形品の透明性が維持される。重合体混合物( A)(100質量%)中のスチレン単位の含有率が35質 %以上であれば成形品の透明性が維持され、5 5質量%以下であれば耐衝撃性の向上効果が十 となる。

 重合体混合物(A)(100質量%)中の、重合体(A1)及 び重合体(A2)の含有率は、以下の(X)~(Z)で示す 値を用いて算出される。
 (X):重合体(A1)の重合に用いる単量体(100質量% )中の、1,3-ブタジエン及びスチレンの含有率
 (Y):重合体(A2)の重合に用いる単量体(100質量% )中の、スチレン及び1,3-ブタジエンの含有率
 (Z):重合体混合物(A)(100質量%)中の、ブタジエ ン単位の含有率(45~65質量%)及びスチレン単位 含有率(35~55質量%)。

 重合体混合物(A)の製造方法には乳化重合が しており、例えば(1)、(2)の方法が挙げられ 。
 (1):ブタジエン単位を主成分とする重合体(A1 )ラテックスと、スチレンを主成分とする単 体成分とを混合し、スチレンを主成分とす 単量体成分を重合体(A1)に含浸させ、次いで スチレンを主成分とする単量体成分の重合 開始する。
 (2):スチレン単位を主成分とする重合体(A2) テックスの存在下で、ブタジエンを主成分 する単量体成分を重合する。

 重合体混合物(A)の製造方法としては、ス レン単位を主成分とする重合体(A2)のドメイ ンサイズがブタジエン単位を主成分とする重 合体(A1)の粒子径よりも小さくなり、可視光 波長に比べて十分に小さいドメインを形成 きる可能性が高いことから、(1)の方法が好 しい。

 本発明のグラフト共重合体は、重合体混合 (A)の存在下に、ビニル単量体成分(b)を重合 て得られる。重合体混合物(A)の存在下でビ ル単量体成分(b)を重合することは、重合体 合物(A)に対してビニル単量体成分(b)をグラ トさせることを目的とするが、ビニル単量 成分(b)が重合体混合物(A)にグラフトせず、 独に重合したフリーポリマーも副生し、グ フト共重合体とフリーポリマーの混合物と て得られる。
 本発明においては、副生したフリーポリマ も含めてグラフト共重合体という。また、 ニル単量体成分(b)を重合して得られた重合 については、フリーポリマーも含めてグラ ト部という。

 本発明のビニル単量体成分(b)は、1種以上 のビニル単量体を含有するものである。ビニ ル単量体としては、例えば、スチレン、α-メ チルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビ ニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチ ル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリ レート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレー 等のアルキル(メタ)アクリレート単量体;(メ )アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量 体が挙げられる。

 また、ビニル単量体成分(b)は、必要に応じ 架橋性単量体を含有することができる。架 性単量体としては、例えば、ジビニルベン ン等の芳香族多官能ビニル単量体;エチレン グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレ グリコールジ(メタ)アクリレート等の多価 ルコールのジ又はトリ(メタ)アクリレート単 量体;多官能(メタ)アクリル基変性シリコーン 単量体;アリル(メタ)アクリレート単量体;ジ リルフタレート、トリアリルシアヌレート のジ又はトリアリル単量体が挙げられる。
 架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく 、2種以上を併用してもよい。

 ビニル単量体成分(b)は、芳香族ビニル単量 (b1)とアルキル(メタ)アクリレート単量体(b2) を含有することが好ましく、ビニル単量体成 分(b)(100質量%)中の芳香族ビニル単量体(b1)の 有率が40~80質量%、アルキル(メタ)アクリレー ト単量体(b2)の含有率が20~60質量%であること より好ましい。
 ビニル単量体成分(b)(100質量%)中の芳香族ビ ル単量体(b1)の含有率が40質量%以上であれば グラフト部の屈折率が高くなるため、成形品 の透明性が維持され、80質量%以下であれば熱 可塑性樹脂との相溶性が高くなるため、耐衝 撃性の向上効果が十分となり、且つ、成形品 の透明性が維持される。
 ビニル単量体成分(b)(100質量%)中のアルキル( メタ)アクリレート単量体(b2)の含有率が20質 %以上であれば耐衝撃性の向上効果が十分と り、且つ、成形品の透明性が維持され、60 量%以下であれば成形品の透明性が維持され 。

 また、ビニル単量体成分(b)は、ビニル単量 成分(b)(100質量%)中の芳香族ビニル単量体(b1) の含有率が40~80質量%、アルキル(メタ)アクリ ート単量体(b2)の含有率が20~60質量%、その他 のビニル単量体(b3)の含有率が0~20質量%であっ てもよい。
 ビニル単量体成分(b)(100質量%)中のその他の ニル単量体(b3)の含有率が20質量%以下であれ ば耐衝撃性の向上効果が十分となり、且つ、 成形品の透明性が維持される。

 グラフト共重合体(100質量%)中の重合体混合 (A)の含有率は、60~85質量%が好ましく、70~80 量%がより好ましい。グラフト共重合体(100質 量%)中の、ビニル単量体成分(b)を重合して得 れるグラフト部の含有率は、15~40質量%が好 しく、20~30質量%がより好ましい。
 グラフト共重合体(100質量%)中の重合体混合 (A)の含有率が60質量%以上であれば耐衝撃性 向上効果が十分となり、85質量%以下であれ グラフト共重合体としての取扱い性が低下 ず、且つ、マトリクス樹脂中での分散性が 下しない。グラフト共重合体(100質量%)中の ラフト部の含有率が15質量%以上であればグ フト共重合体としての取扱い性が低下せず 且つ、マトリクス樹脂中での分散性が低下 ず、40質量%以下であれば耐衝撃性の向上効 が十分となる。

 重合体混合物(A)の存在下にビニル単量体 分(b)を重合する方法としては、例えば、重 体混合物(A)ラテックスの存在下で、ビニル 量体成分(b)を一段又は多段でグラフト重合 る方法が挙げられる。耐衝撃性の向上効果 、成形品の透明性維持の点から、ビニル単 体成分(b)を三段階でグラフト重合させるこ が好ましい。

 ビニル単量体成分(b)を三段階でグラフト重 する場合、以下の方法で行なうことが好ま い。
 一段階目:アルキル(メタ)アクリレート単量 (b2)、又は、アルキル(メタ)アクリレート単 体(b2)及びその他のビニル単量体(b3)からな 単量体混合物を用いる。
 二段階目:芳香族ビニル単量体(b1)、又は、 香族ビニル単量体(b1)及びその他のビニル単 体(b3)からなる単量体混合物を用いる。
 三段階目:アルキル(メタ)アクリレート単量 (b2)、又は、アルキル(メタ)アクリレート単 体(b2)及びその他のビニル単量体(b3)からな 単量体混合物を用いる。

 かかる重合方法を採用すれば、一段階目 グラフト重合で、耐衝撃性の向上及び熱可 性樹脂との相溶性を向上させることができ 二段階目のグラフト重合で、グラフト部の 折率を高くすることができ、三段階目のグ フト重合で、成形品の外観を向上させるこ ができる。

 また、かかる重合方法を採用する場合、一 階目のグラフト重合に用いる単量体又は単 体混合物を10~50質量%、二段階目のグラフト 合に用いる単量体又は単量体混合物を40~80 量%、三段階目のグラフト重合に用いる単量 又は単量体混合物を5~30質量%とすることが ましい(用いる単量体の合計を100質量%とする )。
 一段階目のグラフト重合に用いる単量体又 単量体混合物が10質量%以上であれば耐衝撃 の向上効果が十分となり、50質量%以下であ ば成形品の外観が低下しない。

 二段階目のグラフト重合に用いる単量体又 単量体混合物が40質量%以上であれば成形品 透明性が維持され、80質量%以下であれば耐 撃性の向上効果が十分となる。
 三段階目のグラフト重合に用いる単量体又 単量体混合物が5質量%以上であれば成形品 外観が低下せず、30質量%以下であればグラ ト共重合体のマトリクス樹脂中での分散性 低下しない。

 グラフト共重合体の質量平均粒子径は、0.05 μm以上が好ましく、0.08μm以上がより好まし 。また、グラフト共重合体の質量平均粒子 は、0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下がより ましく、0.15μm以下がさらに好ましい。
 グラフト共重合体の質量平均粒子径が0.05μm 以上であれば耐衝撃性の向上効果が十分とな り、且つ、マトリクス樹脂中での分散性が低 下しない。グラフト共重合体の質量平均粒子 径が0.3μm以下であれば成形品の透明性が維持 され、特に成形品のヘーズが上昇しない。

 得られたグラフト共重合体のラテックス 、硫酸、塩酸等の酸;塩化カルシウム、酢酸 カルシウム、硫酸マグネシウム等のアルカリ 土類金属塩等を溶解した熱水中に投入して凝 析させ、分離、乾燥することによりグラフト 共重合体の粉体として得ることができる。グ ラフト共重合体のラテックスを凝析させる工 程では、炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウム等 のアルカリ金属塩を併用してもよい。また、 スプレードライ法等の直接乾燥法で、ラテッ クスから粉体を直接得ることも可能である。

 本発明の耐衝撃性向上剤は、本発明のグラ ト共重合体からなるものである。本発明の ラフト共重合体は、重合体混合物(A)として ブタジエン単位を主成分とする重合体(A1)と スチレン単位を主成分とする重合体(A2)とを 有している。
 ブタジエン重合体は、ガラス転移温度が室 以下であるゴム重合体の中では高い屈折率( 1.52)を示し、屈折率の高い耐衝撃性向上剤を 造するのに有利である。スチレン重合体は 高い屈折率(1.59)を示すため、耐衝撃性向上 の屈折率を高くするのに有利である。

 本発明の耐衝撃性向上剤は、グラフト部に チルメタクリレートを用いることで、極性 を有する芳香族ポリカーボネートのような トリクス樹脂への相溶性に優れると共に、 衝撃性向上剤としての取扱い性に優れる。
 また、ブタジエン重合体のようなガラス転 温度の低い成分と、スチレン重合体及びメ ルメタクリレート重合体のようなガラス転 温度の高い成分とを併用することで、耐衝 性の向上効果に優れると共に、耐衝撃性向 剤としての取扱い性に優れる。

 本発明の耐衝撃性向上剤を配合する熱可塑 樹脂に特に制限はないが、屈折率が1.54~1.61 ものが好ましく、芳香族ポリカーボネート( 屈折率:1.58~1.59)が特に好ましい。
 熱可塑性樹脂の屈折率が1.54未満であると、 本発明の耐衝撃性向上剤を用いなくても耐衝 撃性の向上効果と、成形品の透明性維持を達 成することが可能である。熱可塑性樹脂の屈 折率が1.61を越えると、本発明の耐衝撃性向 剤を用いても成形品の透明性を維持するこ が困難となる。

 本発明で用いる芳香族ポリカーボネート 、2価フェノールより誘導される公知の芳香 族ポリカーボネートである。粘度平均分子量 は10,000~60,000であるものが好ましく、15,000~30,0 00であるものがより好ましい。

 芳香族ポリカーボネートは、公知の方法 製造されるものであり、例えば、2価フェノ ールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶 融法で反応させて得られるものである。2価 ェノールとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフ ニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい が、必要に応じて他の2価フェノールで置き えてもよい。他の2価フェノールとしては、 えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、 2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル) ロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェ ニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ス ホンが挙げられる。カーボネート前駆体と ては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカー ネート、二価フェノールのジハロホルメー が挙げられる。

 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性 脂と耐衝撃性向上剤とを含有する。
 熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の熱可塑性 脂の含有率は、90~99質量%であり、95~98質量% 好ましく、95.5~97.5質量%がより好ましい。熱 可塑性樹脂組成物(100質量%)中の耐衝撃性向上 剤の含有率は、1~10質量%であり、2~5質量%が好 ましく、2.5~4.5質量%がより好ましい。
 熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の熱可塑性 脂の含有率が90質量%以上であれば成形品の 明性が維持され、99質量%以下であれば耐衝 性の向上効果が十分となる。熱可塑性樹脂 成物(100質量%)中の耐衝撃性向上剤の含有率 1質量%以上であれば耐衝撃性の向上効果が 分となり、10質量%以下であれば成形品の透 性が維持される。

 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発 の目的を損なわない範囲で難燃剤を配合し もよい。難燃剤としては、例えば、スルホ 酸金属塩系難燃剤、スルホネート系難燃剤 挙げられる。これらの難燃剤は、添加量が ないため、成形品の透明性を低下させるお れが少ない。さらに難燃性を向上させるた 、フィブリル形成能を有するポリテトラフ オロエチレンを配合してもよい。ポリテト フルオロエチレンとしては、例えば、メタ レンA-3700(三菱レイヨン(株)製)が挙げられる 。メタブレンA-3700は、熱可塑性樹脂中での分 散に優れるため、成形品の透明性の低下が少 ない。

 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発 の目的を損なわない範囲で、ポリエステル ポリアミド、ABS、ポリフェニレンエーテル の樹脂;タルク、マイカ、ガラス繊維、カー ボン繊維、繊維状酸化チタン、チタン酸カリ ウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィス カー等の強化材を配合してもよい。

 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さら 、必要に応じて任意成分を配合することが 能である。任意成分としては、例えば、ヒ ダードフェノール系化合物、ホスファイト 化合物等の酸化防止剤;ポリカプロラクトン 等の流動性改質剤;離型剤;紫外線吸収剤;帯電 防止剤;染顔料等が挙げられる。

 本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法 しては、通常の樹脂組成物の調製に用いら る公知の方法が挙げられる。例えば、耐衝 性向上剤と熱可塑性樹脂とを、V型ブレンダ ー、リボンミキサー又はタンブラー等に投入 して均一に混合した後、1軸又は2軸の押出機 で溶融混練する。また、成分の一部を予め 練した後、さらに残りの成分を添加して混 してもよい。

 本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂 成物を成形して得られるものである。成形 法としては、押出成形法、射出成形法、圧 成形法等、公知の方法を用いることができ 。また、ブロー成形法、真空成形法等にも 用することができる。
 成形品は耐衝撃性と透明性に優れるため、O A機器や筐体等の、透明性や発色性が必要と れる用途等、幅広い分野に用いることがで る。

 以下、実施例により本発明をさらに具体 に説明するが、本発明はこれら実施例に限 されるものではない。実施例中の「部」及 「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量% を表す。

(重合率の測定)
 以下のようにして、重合体の重合率を測定 た。
 重合体ラテックスに禁止剤(ハイドロキノン )を投入し、180℃で30分加熱して固形分を測定 した。仕込み量からの計算値との比較により 、重合体の重合率を求めた。

(質量平均粒子径の測定)
 以下の手順により、質量平均粒子径を測定 た。
 重合体ラテックスを蒸留水で濃度約3%に希 したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000 粒度分布計を用いて測定した。
 測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で なった。即ち、専用の粒子分離用キャピラ ー式カートリッジ及びキャリア液を用い、 性はほぼ中性、流速1.4ml/分、圧力約4000psi(260 0KPa)、温度35℃を保った状態で、試料0.1mlを測 定に用いた。
 標準物質として、米国DUKE社製の粒子径既知 の単分散ポリスチレンを0.02~0.8μmの範囲内で 計12点用いた。

(実施例1) グラフト共重合体(G-1)
 重合体(A1-1)ラテックスの製造:
 攪拌機、単量体添加口、温度計を備えた70L ートクレーブに、下記の第1単量体混合物を 仕込み、攪拌しながら内温を43℃まで昇温し 。
 第1単量体混合物:
   1,3-ブタジエン                   194部
   スチレン                           6部
   t-ドデシルメルカプタン                 1.0部
   ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ キサイド      1.0部
   ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム           2.0部
   水酸化ナトリウム                    0.02部
   脱イオン水                    585.98部

 次いで、下記の第1還元剤混合物を添加し、 重合を開始した。
 第1還元剤混合物:
   硫酸第一鉄                     0.002部
   EDTA・2Na                  0.006部
   ロンガリット                       0.3部
   脱イオン水                     9.692部
 さらに内温を65℃まで昇温して10時間保持し 、重合体(A1-1)ラテックスを得た。得られた重 合体(A1-1)の重合率は95%であった。

 重合体混合物(A-1)ラテックスの製造:
 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、単量体 加口、温度計を備えた5Lセパラブルフラス に、20℃で下記のラテックス混合物を仕込ん だ。
 ラテックス混合物:
   重合体(A1-1)ラテックス               720部
                          (固形 :180部)
   スチレン                         120部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
   脱イオン水                     248.4部

 20℃の温度を保持したまま1時間攪拌した後 内温を55℃まで昇温して、下記の第2還元剤 合物を添加し、スチレンの重合を開始した
 第2還元剤混合物:
   ロンガリット                       0.3部
   脱イオン水                       9.7部
 内温を75℃まで昇温して90分間保持し、重合 体混合物(A-1)ラテックスを得た。

 グラフト共重合体(G-1)の製造:
 重合体混合物(A-1)ラテックスの全量(1098.8部/ 固形分:300部)に、引続き、下記の第2単量体混 合物を75℃で15分かけて滴下して重合を行な た。
 第2単量体混合物:
   メチルメタクリレート                    15部
   エチルアクリレート                     5部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 75℃で90分間保持し、1段階目のグラフト重 を終了した。

 次いで、下記の第3単量体混合物を75℃で60 かけて滴下して重合を行なった。
 第3単量体混合物:
   スチレン                          70部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 75℃で120分間保持し、2段階目のグラフト重 を終了した。

 次いで、下記の第4単量体混合物を75℃で10 かけて滴下して重合を行なった。
 第4単量体混合物:
   メチルメタクリレート                    10部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 75℃で90分間保持して3段階目のグラフト重 を終了し、グラフト共重合体(G-1)ラテックス を得た。得られたグラフト共重合体(G-1)の重 率は99%以上、グラフト共重合体(G-1)の質量 均粒子径は0.1μmであった。

 得られたグラフト共重合体(G-1)ラテック 100部を、80℃に加温した5%濃度の酢酸カルシ ム水溶液200部に投入して凝析した。凝析物 温水で洗浄し、その後乾燥して、グラフト 重合体(G-1)の粉体を得た。

(実施例2) グラフト共重合体(G-2)
 重合体混合物(A-1)ラテックスの製造に用い ラテックス混合物を下記の組成に変更した 外は、実施例1と同様にしてグラフト共重合 (G-2)を得た。
 ラテックス混合物:
   重合体(A1-1)ラテックス               600部
                          (固形 :150部)
   スチレン                         150部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
   脱イオン水                     338.4部

(実施例3) グラフト共重合体(G-3)
 1段階目のグラフト重合に用いる第2単量体 合物、及び、2段階目のグラフト重合に用い 第3単量体混合物を下記の組成に変更した以 外は、実施例2と同様にして、グラフト共重 体(G-3)を得た。
 第2単量体混合物:
   メチルメタクリレート                    35部
   エチルアクリレート                     5部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 第3単量体混合物:
   スチレン                          50部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部

(実施例4) グラフト共重合体(G-4)
 重合体(A2-4)ラテックスの製造:
 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、単量体 加口、温度計を備えた5Lセパラブルフラス に、下記の第1単量体混合物を仕込んだ。
 第1単量体混合物:
   スチレン                         180部
   ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ キサイド      1.8部
   ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム             3部
   脱イオン水                     550.2部

 内温を60℃まで昇温して、下記の第1還元剤 合物を添加し、重合を開始した。
 第1還元剤混合物:
   硫酸第一鉄                     0.003部
   EDTA・2Na                  0.009部
   ロンガリット                       0.6部
   脱イオン水                    14.388部
 60℃で120分間保持して重合を終了し、重合 (A2-4)ラテックスを得た。

 重合体混合物(A-4)ラテックスの製造:
 攪拌機、単量体添加口、温度計を備えた70L ートクレーブに、下記のラテックス混合物 仕込み、攪拌しながら内温を43℃まで昇温 た。
 ラテックス混合物:
   重合体(A2-4)ラテックス               500部
                          (固形 :120部)
   ブタジエン                       180部
   t-ドデシルメルカプタン                 1.5部
   ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ キサイド      1.5部
   水酸化ナトリウム                    0.03部
   脱イオン水                    400.77部

 次いで、下記の第2還元剤混合物を添加して 、重合を開始した。
 第2還元剤混合物:
   硫酸第一鉄                     0.003部
   EDTA・2Na                  0.009部
   ロンガリット                      0.45部
   脱イオン水                    14.538部
 内温を65℃まで昇温して10時間保持し、重合 体混合物(A-4)ラテックスを得た。得られた重 体混合物(A-4)の重合率は98%であった。

 以下、重合体混合物(A-1)ラテックスを重 体混合物(A-4)ラテックスに変更した以外は、 実施例1と同様にしてグラフト重合を行ない グラフト共重合体(G-4)を得た。

(実施例5) グラフト共重合体(G-5)
 重合体混合物(A-5)ラテックスの製造:
 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、単量体 加口、温度計を備えた5Lセパラブルフラス に、20℃で下記のラテックス混合物を仕込ん だ。
 ラテックス混合物:
   重合体(A1-1)ラテックス               740部
                          (固形 :185部)
   スチレン                         115部
   t-ドデシルメルカプタン                 0.6部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
   脱イオン水                     232.8部

 20℃の温度を保持したまま1時間攪拌した後 内温を55℃まで昇温して、下記の還元剤混 物を添加し、スチレンの重合を開始した。
 還元剤混合物:
   ロンガリット                       0.3部
   脱イオン水                       9.7部
 内温を75℃まで昇温して90分間保持し、重合 体混合物(A-5)ラテックスを得た。

 グラフト共重合体(G-5)の製造:
 重合体混合物(A-5)ラテックスの全量(1098.8部/ 固形分:300部)に、引続き、下記の第1単量体混 合物を75℃で50分かけて滴下して重合を行な た。
 第1単量体混合物:
   メチルメタクリレート                    35部
   エチルアクリレート                     5部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 75℃で90分間保持し、1段階目のグラフト重 を終了した。

 次いで、下記の第2単量体混合物を75℃で60 かけて滴下して重合を行なった。
 第2単量体混合物:
   スチレン                          50部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 75℃で120分間保持し、2段階目のグラフト重 を終了した。

 次いで、下記の第3単量体混合物を75℃で10 かけて滴下して重合を行なった。
 第3単量体混合物:
   メチルメタクリレート                    10部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
 75℃で90分間保持して3段階目のグラフト重 を終了し、グラフト共重合体(G-5)ラテックス を得た。
 以下、実施例1と同様にしてグラフト共重合 体(G-5)を得た。

(実施例6) グラフト共重合体(G-6)
 重合体(A1-6)ラテックスの製造:
 攪拌機、単量体添加口、温度計を備えた70L ートクレーブに、下記の第1単量体混合物を 仕込み、攪拌しながら内温を43℃まで昇温し 。
 第1単量体混合物:
   1,3-ブタジエン                   150部
   スチレン                          50部
   t-ドデシルメルカプタン                 1.0部
   ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ キサイド      1.0部
   ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム           2.0部
   水酸化ナトリウム                    0.02部
   脱イオン水                    585.98部

 次いで、下記の第1還元剤混合物を添加し、 重合を開始した。
 第1還元剤混合物:
   硫酸第一鉄                     0.002部
   EDTA・2Na                  0.006部
   ロンガリット                       0.3部
   脱イオン水                     9.692部
 さらに内温を65℃まで昇温して10時間保持し 、重合体(A1-6)ラテックスを得た。

 重合体混合物(A-6)ラテックスの製造:
 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、単量体 加口、温度計を備えた5Lセパラブルフラス に、20℃で下記のラテックス混合物を仕込ん だ。
 ラテックス混合物:
   重合体(A1-6)ラテックス               720部
                          (固形 :180部)
   スチレン                         120部
   t-ドデシルメルカプタン                 0.6部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
   脱イオン水                     247.8部

 20℃の温度を保持したまま1時間攪拌した後 内温を55℃まで昇温して、下記の第2還元剤 合物を添加し、スチレンの重合を開始した
 第2還元剤混合物:
   ロンガリット                       0.3部
   脱イオン水                       9.7部
 内温を75℃まで昇温して90分間保持し、重合 体混合物(A-6)ラテックスを得た。

 以下、重合体混合物(A-5)ラテックスを重 体混合物(A-6)に変更した以外は、実施例5と 様にしてグラフト重合を行ない、グラフト 重合体(G-6)を得た。

(比較例1) グラフト共重合体(G-7)
 重合体(A-7)ラテックスの製造:
 攪拌機、単量体添加口、温度計を備えた70L ートクレーブに、下記の単量体混合物を仕 み、攪拌しながら内温を43℃まで昇温した
 単量体混合物:
   1,3-ブタジエン                   180部
   スチレン                         120部
   t-ドデシルメルカプタン                 1.0部
   ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ キサイド      1.0部
   ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム           2.0部
   水酸化ナトリウム                    0.02部
   脱イオン水                    784.78部

 次いで、下記の還元剤混合物を添加し、重 を開始した。
 還元剤混合物:
   硫酸第一鉄                     0.002部
   EDTA・2Na                  0.006部
   ロンガリット                       0.3部
   脱イオン水                     9.692部
 さらに内温を65℃まで昇温して10時間保持し 、重合体(A-7)ラテックスを得た。

 以下、重合体混合物(A-1)ラテックスを重 体(A-7)ラテックスに変更した以外は、実施例 1と同様にしてグラフト重合を行ない、グラ ト共重合体(G-7)を得た。

(比較例2) グラフト共重合体(G-8)
 重合体混合物(A-1)ラテックスの製造に用い ラテックス混合物を下記の組成に変更した 外は、実施例1と同様にしてグラフト共重合 (G-8)を得た。
 ラテックス混合物:
   重合体(A1-1)ラテックス               840部
                          (固形 :210部)
   スチレン                          90部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
   脱イオン水                     158.4部

(比較例3) グラフト共重合体(G-9)
 重合体混合物(A-1)ラテックスの製造に用い ラテックス混合物を下記の組成に変更した 外は、実施例1と同様にしてグラフト共重合 (G-9)を得た。
 ラテックス混合物:
   重合体(A1-1)ラテックス               480部
                          (固形 :120部)
   スチレン                         180部
   t-ブチルハイドロパーオキサイド             0.4部
   脱イオン水                     428.4部

 グラフト共重合体(G-1)~(G-9)の組成、製造方 、屈折率(計算値)、質量平均粒子径について まとめたものを表1に示す。
 重合体混合物(A)の製造方法の欄に記載した( 1)及び(2)は、重合体混合物(A)の製造方法とし 明細書中に記載した(1)及び(2)を示す。

 

(実施例7~17、比較例4~7)
 熱可塑性樹脂として芳香族ポリカーボネー (ユーピロンS-2000F:三菱エンジニアリングプ スチックス(株)製)を用い、耐衝撃性向上剤 してグラフト共重合体(G-1)~(G-9)を用い、表2 示す比率で配合した。
 該配合物を30mmφの2軸押出機に供給し、シリ ンダー温度280℃で溶融混練して、熱可塑性樹 脂組成物のペレットを得た。該ペレットを射 出成形することで各種試験片を得た。得られ た試験片について以下の評価を行なった。評 価結果を表2に示す。

(1)アイゾット試験(耐衝撃性試験)
 ASTM D256に準拠してアイゾット試験を実施し た。肉厚1/4インチのノッチ付きの試験片を用 いて試験を行なった。測定は低温(-30℃)と室 (25℃)で実施した。全ての試験片が破断しな かったものについてはNBで表した。

(2)透明性(全光線透過率、ヘーズ)
 厚さ3mmの平板試験片を作成し、ヘーズメー ーHR-100(村上色彩技術研究所(株)製)を用い、 JIS-K7105に準じて全光線透過率とヘーズを測定 した。

 

 実施例7~17から、本発明の耐衝撃性向上剤は 、低温での耐衝撃性を向上させ、且つ、高い 透明性を維持することがわかる。
 比較例4はブタジエンとスチレンを共重合し ており、本発明の重合体混合物(A)の構造を有 していないため、低温での耐衝撃性の向上効 果が低く、本発明の耐衝撃性向上剤に比べて 、耐衝撃性と透明性のバランスが劣る。
 比較例5は重合体混合物(A)中のスチレン単位 の含有率が低いため、耐衝撃性の向上効果は 十分であるが、成形品の透明性が低い。
 比較例6は重合体混合物(A)中のブタジエン単 位の含有率が低いため、成形品の透明性は維 持されるが、耐衝撃性の向上効果が十分では ない。

 以上から明らかなように、本発明の耐衝撃 向上剤は、熱可塑性樹脂、特に芳香族ポリ ーボネートの低温での耐衝撃性を向上させ 且つ、成形品の高い透明性を維持すること できる。
 また、成形品の透明性が維持されることか 、ポリカーボネート組成物に染料及び/又は 顔料を配合した場合には、発色性の良好な成 形体を得ることができる。

 本発明の耐衝撃性向上剤は、熱可塑性樹脂 特に芳香族ポリカーボネートの低温での耐 撃性を向上させ、且つ、成形品の高い透明 を維持することができる。
 本発明の耐衝撃性向上剤を配合した熱可塑 樹脂組成物は、低温での耐衝撃性に優れ、 明性を維持できることから、光メディア用 料等の透明性が必要とされる用途や、筐体 の発色性が必要とされる用途等、幅広い分 に用いることができる。