MASUZAWA MAMIKO (JP)
MASUZAWA MIKIO (JP)
MASUZAWA MAMIKO (JP)
JP2006345811A | 2006-12-28 |
NAKAMURA M. ET AL.: "Musaibo Ekitai Baiyokei de Baiyo site Silicon Slide-jo deno Raikin no Zoshokuzo to Omowareru Shoken", NIPPON HANSEN-BYO GAKKAI ZASSHI, vol. 67, no. 2, 1998, pages 287 - 291
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SCID(重症複合型免疫不全症)マウス皮下可植性ヒト血管肉腫由来の低温耐性かつ低増殖性細胞株を宿主として用いることを特徴とするライ菌の体外培養法。 |
前記低温耐性かつ低増殖性細胞株が、28~37℃の温度条件下における倍加時間が1日以上28日以下である請求項1に記載のライ菌の体外培養法。 |
低温耐性かつ低増殖性細胞株として、SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCIDより得た腫瘍細胞をマウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養上清含有培地で培養し、トリプシン-EDTA処理によって剥離しない細胞を選択し、得られた細胞株を前記ISOS-1培養上清の培地中添加量を低減しながら継代培養することにより得られる低増殖性細胞株を用いる請求項1または2に記載のライ菌の体外培養法。 |
低温耐性かつ低増殖性細胞株として、超低増殖性細胞株SLG/WB-SCID(平成17年6月8日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM-BP-10349号として寄託)をISOS-1培養上清の培地中添加量を低減しながら継代培養することにより得られる低増殖性細胞株を用いる請求項1~3のいずれかに記載のライ菌の体外培養法。 |
低温耐性かつ低増殖性細胞株として、細胞株LTT/WB-SCID(平成19年7月10日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP-10864号として寄託)を用いる請求項4に記載のライ菌の体外培養法。 |
前記宿主中、28~32℃の範囲内で培養を行う請求項1~5のいずれかに記載のライ菌の体外培養法。 |
SCID(重症複合型免疫不全症)マウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCIDより得た腫瘍細胞をマウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養上清含有培地で培養し、トリプシン-EDTA処理によって剥離しない細胞を選択し、得られた細胞株を前記ISOS-1培養上清の培地中添加量(培養上清含有濃度)を低減しながら継代培養することを特徴とする低増殖性細胞株の樹立方法。 |
前記ISOS-1培養上清の培養上清含有濃度を20%以下とした時点で培養温度を28℃まで下げる工程を含む請求項7に記載の低増殖性細胞株の樹立方法。 |
SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫に由来し、請求項7または8に記載の方法により樹立された低増殖性細胞株。 |
28~37℃の温度条件下における倍加時間が1日以上28日以下である請求項9に記載の超低増殖性細胞株。 |
SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCIDに由来する超低増殖性細胞株SLG/WB-SCID(平成17年6月8日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM-BP-10349号として寄託)をISOS-1培養上清の培地中添加量(培養上清含有濃度)を低減しながら剥離継代培養する方法により樹立された低増殖性細胞株。 |
低増殖性細胞株LTT/WB-SCID(平成19年7月10日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP-10864号として寄託)。 |
本発明は、低増殖性細胞株の樹立方法、 に低温耐性低増殖性細胞株の樹立方法、そ 方法により樹立された低温耐性低増殖性細 株及びこれを用いたライ菌の培養方法に関 る。
ハンセン病はWHO指定特定伝染病であり、全 界で約1200万人の患者がいると推定されてい る。また、年間50万人以上の患者が新たに発 しているとされる。この感染症の原因菌で るライ菌( Mycobacterium leprae )は細胞内寄生菌であり、マクロファージ、 ュワン細胞、血管内皮細胞等の内部で増殖 る。
ライ菌は試験管内で培養することはでき 、抗ライ薬の効果を調べるためにはマウス 底部でのライ菌培養が用いられている。ま 、ライ菌はアルマジロに感染することが発 されており、ライ腫型ライ(LL型:ライ菌が最 も増殖する臨床病型)の疾患モデルとしてラ 研究に利用され、これを用いてライワクチ をつくることが試みられている。
しかし、動物を用いた培養は取扱いが不 である。マクロファージ、神経細胞などを 染細胞として用いることも検討されてきた 、培養には成功していない。このように、i n vitro培養が不可能であるという事情がハン ン病研究の遅れの大きな原因となっている また、上述の通り、ハンセン病は現在でも 数の患者を有する感染症である。ハンセン 治療薬としてはサルファ剤や各種抗生物質 用いられており、耐性菌に対しては2~3剤併 の多剤療法が行なわれているが、これらに しても耐性菌が発生しており、有用な抗ラ 薬のスクリーニング系が望まれている。
上記の事情に鑑み、本発明者らの一人は、
管内皮細胞から、増殖速度が低くライ菌の
染増殖に適した超低増殖性内皮系細胞(本願
明細書において「SLG細胞」という)を樹立し
これを用いたライ菌の培養方法を先に提案
た(特許文献1)。しかし、このSLG細胞は低温
性の点で未だ不十分であり、用い得る培地
も制限があった。
本発明は、動物を利用することなく、ラ 菌の長期的なin vitro培養を可能とするより 善された培養系の確立を目的とする。
本発明者らは、上記の超低増殖性内皮系 胞(SLG細胞)の継代培養を重ねた結果、上記 胞が、形態及び増殖性の点で明確に異なる 温耐性低増殖性細胞(本願明細書において「L TT細胞」という)に変化するという予想外の結 果を得た。また、このLTT細胞は、28℃の低温 での温度により細胞増殖が制御可能であり かつ通常の培地で培養が可能であることを 出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の低増殖性細胞 の樹立方法、特に超低増殖性細胞株の樹立 法、その方法により樹立された超低増殖性 胞株及びこれを用いたライ菌の培養方法を 供する。
1.SCID(重症複合型免疫不全症)マウス皮下可
性ヒト血管肉腫由来の低温耐性かつ低増殖
細胞株を宿主として用いることを特徴とす
ライ菌の体外培養法。
2.前記低温耐性かつ低増殖性細胞株が、28~37
℃の温度条件下における倍加時間が1日以上28
日以下である前記1に記載のライ菌の体外培
法。
3.低温耐性かつ低増殖性細胞株として、SC IDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCIDより得 た腫瘍細胞をマウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養 上清含有培地で培養し、トリプシン-EDTA処理 よって剥離しない細胞を選択し、得られた 胞株を前記ISOS-1培養上清の培地中添加量を 減しながら継代培養することにより得られ 低増殖性細胞株を用いる前記1または2に記 のライ菌の体外培養法。
4.低温耐性かつ低増殖性細胞株として、 低増殖性細胞株SLG/WB-SCID(平成17年6月8日付で 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物 託センターに受託番号FERM-BP-10349号として寄 託)をISOS-1培養上清の培地中添加量を低減し がら継代培養することにより得られる低増 性細胞株を用いる前記1~3のいずれかに記載 ライ菌の体外培養法。
5.低温耐性かつ低増殖性細胞株として、 胞株LTT/WB-SCID(平成19年7月10日付で、独立行政 法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ ーに受託番号FERM BP-10864号として寄託)を用い る前記4に記載のライ菌の体外培養法。
6.前記宿主中、28~32℃の範囲内で培養を行う
前記1~5のいずれかに記載のライ菌の体外培養
法。
7.SCID(重症複合型免疫不全症)マウス皮下可
性ヒト血管肉腫より得た腫瘍細胞をマウス
管肉腫細胞株ISOS-1培養上清含有培地で培養
、トリプシン-EDTA処理によって剥離しない細
胞を選択し、得られた細胞株を前記ISOS-1培養
上清の培地中添加量(培養上清含有濃度)を低
しながら継代培養することを特徴とする低
殖性細胞株の樹立方法。
8.前記ISOS-1培養上清の培養上清含有濃度を20
%以下とした時点で培養温度を28℃まで下げる
工程を含む前記7に記載の低増殖性細胞株の
立方法。
9.SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫に由来
、前記7または8に記載の方法により樹立さ
た低増殖性細胞株。
10.28~37℃の温度条件下における倍加時間が1
以上28日以下である前記9に記載の低増殖性
胞株。
11.SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫に由来
する超低増殖性細胞株SLG/WB-SCID(平成17年6月8
付で、独立行政法人産業技術総合研究所特
生物寄託センターに受託番号FERM-BP-10349号と
て寄託)をISOS-1培養上清の培地中添加量(培
上清含有濃度)を低減しながら剥離継代培養
る方法により樹立された低増殖性細胞株。
12.低温耐性低増殖性細胞株LTT/WB-SCID(平成1 9年7月10日付で、独立行政法人産業技術総合 究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP -10864号として寄託)。
本発明によれば、ライ菌の感染増殖に適 た低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)が得られ 。このため、ライ菌の長期的なin vitro培養 可能となる。また、ライ菌の体外培養をこ LTT細胞で確立することで、いままで解明さ てこなかったライ菌のクローニング、細胞 侵入経路や細胞内増殖様式、さらには治療 のin vitro実験系など今迄不可能であったラ 菌の研究が幅広く可能となる。
I.低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)株の樹立方
はじめに、本発明による低温耐性低増殖性
胞(LTT細胞)株の樹立方法について説明する
本発明による低温耐性低増殖性細胞(LTT細 胞)株の樹立方法は、SCID(重症複合型免疫不全 症)マウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCIDより た腫瘍細胞をマウス血管肉腫細胞株ISOS-1培 上清含有培地で培養し、トリプシン-EDTA処 によって剥離しない細胞を選択し、得られ (超)低増殖性細胞株を前記ISOS-1培養上清の培 地中添加量(培養上清含有濃度)を低減しなが 剥離継代培養することを特徴とする。ここ 、(超)低増殖性細胞株は特開2006-345811で開示 した方法により得られる。この方法を以下の (A)~(B)で説明し、本発明のLTT細胞の樹立方法 ついて(C)で説明する。
(A)低増殖性細胞の分離培養方法
SCID(severe combined immunodeficiency disease;重症複
合型免疫不全症)マウスは、遺伝子再構成能
異常があるために成熟したBおよびT細胞が先
天的に欠損したマウスであり、ヒト新生児で
みられる遺伝性の重症複合型免疫不全症のモ
デル動物である。レシピエントとしてのSCID
ウスは、種々の系統が知られているが、本
明ではいずれも用いることができる。一方
ヒト血管肉腫は稀ではあるが致死性の高い
瘍である。
SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCID 、本発明者らがヒト血管肉腫をSCIDマウスに 値して可植性腫瘍として樹立したものであ (Masuzawa M.et al.,“Evaluation of recombinant inter leukin-2 immunotherapy for human hemangiosarcoma in a SCID mice model(WB-SCID)”,J.Dermatol. Sci.27(2):88-94, 2001)。本発明においては、この腫瘍(WB-SCID) たはこれに準じて作製したSCIDマウス皮下可 性ヒト血管肉腫を用いることができる。以 の説明では、便宜上、このようにして得ら るSCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫細胞を WB-SCID腫瘍細胞と呼ぶ。
低増殖性細胞を得るには、まず、WB-SCID腫 瘍細胞を腫瘍から得た後、マウス血管肉腫細 胞株ISOS-1培養上清含有培地で培養する。マウ ス血管肉腫細胞株ISOS-1培養上清を含まない培 地ではWB-SCID腫瘍細胞は数日間で死滅するた 、マウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養上清は培 に必須である。マウス血管肉腫細胞株ISOS-1 本発明者らにより樹立され(Masuzawa M. et al., “Establishment of a new murine-phenotypic angiosarcom a cell line(ISOS-1)“,J. Dermatol. Sci.,16(2):91-98,199 8)、東北大学加齢医学研究所医用細胞資源セ ターに保存されている(保存番号:TKG 0590)。
マウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養上清は、上 ISOS-1を培養することにより得られるが、典 的には、FBS(ウシ胎児血清)を添加したDMEM-hig h glucose(ダルベッコ改変イーグル培地)を用い ることができる。具体的には(a)培地としてDME M-high glucose+10%FBS+2mM L-グルタミン+10mM Hepes+50 μg/mlゲンタマイシンを用い、ISOS-1細胞を1×10 6 程度フラスコで培養し、コンフルエントにな り細胞数約1×10 8 となった状態で培地を回収し、遠心(3000rpm)後 、上清を凍結保存し、使用時に37℃で解凍後 濾過して使用する。ISOS-1培養上清の添加濃 は好ましくは50%以下である。
WB-SCID腫瘍細胞を培養するための培地は、 上記ISOS-1培養上清の添加を除けば通常と同様 でよく、例えば、FBS(ウシ胎児血清)を添加し DMEM-high glucose(ダルべッコ改変イーグル培地 )を用いることができる(Masuzawa M.et al.,“Estab lishment of a human hemangiosasarcoma cell line (ISO- HAS)”Int. J. Cancer, 81(2):305-308,1999参照)。培養 条件は後述の超低増殖性培養株を得る場合以 外は通常の温度条件及び湿度条件を採用し得 る。培養は接着培養にて行なう。
次いで、トリプシン-EDTA処理を行ない、 離した細胞を除く処理を行なう。処理時間 5~30分間程度、好ましくは10~20分間程度、よ 好ましくは15分間程度である。これにより、 酵素抵抗性細胞以外の細胞が除去できる。継 続培養しながらトリプシン-EDTA処理は通常5回 以上、好ましくは10回以上行ない、酵素抵抗 細胞のみを純化する。
このように純化して得られたWB-SCID腫瘍細 胞は、それ自体低増殖性であるが、このWB-SCI D腫瘍細胞を剥離継代培養することにより、 り低増殖性の細胞株を得ることができる。 こで剥離継代培養とは、細胞に対してトリ シン-EDTA処理を行なった後、これを機械的に 剥離して培養する手法を繰り返して継代培養 を行なうことである。剥離継代培養における 機械的剥離操作としては接着細胞を穏やかか つ効果的に剥離するために慣用される剥離方 法が利用できるが、典型的にはピペッティン グ操作が用いられる。剥離継代培養は通常10 以上、好ましくは100代以上行なう。
得られた細胞は密度依存性であり、密度が
いほど増殖が活発化する。
(B)超低増殖性細胞株の樹立方法
超低増殖性細胞株の樹立方法は、基本的に
上記の低増殖性細胞の分離培養方法と同様
あるが、初代培養時のマウス血管肉腫細胞
ISOS-1培養上清の添加濃度は好ましくは5~20%
度、特に好ましくは20%程度とする。
このようにして得られる(超)低増殖性細 株は、マウスCD31、GSA-1陽性であり、マウス 皮系細胞である。また、染色体はすべてマ ス型で、最頻数は77である。しかし、ヒト/ ウス両クラスI抗原を同時発現している。ま 、ここで得られる(超)低増殖性細胞株のう ほとんどはマウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養 清の添加濃度5%以下では成育せず死滅する。
得られた細胞株の1つがSLG/WB-SCIDであり、 成17年6月8日付で、独立行政法人産業技術総 合研究所特許生物寄託センターに受託番号FER M-BP-10349号として寄託されている。
(C)低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)株
上述のように、前記SLG細胞はマウス血管肉
細胞株ISOS-1培養上清の添加濃度5%以下では
育せず死滅する。しかし、継代培養しなが
徐々に添加濃度を下げることにより添加濃
0%の培地(例えば、10%FBS含有DMEM-high glucose培
)で培養が可能な細胞が得られることが明ら
になった。
本発明の低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞) の樹立方法では、上記(B)の手順により新た (超)低増殖性細胞株を得、これを以下の操作 に供してもよいが、平成17年6月8日付で、独 行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 ンターに受託番号FERM-BP-10349号として寄託し SLG/WB-SCIDを用いてもよい。
前記培養上清の添加濃度の低減は、任意の
法で行い得る。例えば、一定の割合(例えば
、継代するごとに30%~99%)で添加濃度を逓減し
もよいし、一定の値(例えば、継代するごと
に1%~10%)添加濃度を低減してもよい。また、
加濃度の低減に際して、低温処理を行って
よい。例えば、添加濃度を20%以下とし
た時点で培養温度を低下させる。但し、28℃
下では成育しないので低温処理は28℃以上
行うことが好ましい。好ましくは、添加濃
を20%にした時点で28℃までの低温処理を行う
。
このようにして得られた低温耐性低増殖 細胞株としては、例えば、LTT/WB-SCID(平成19 7月10日付で、独立行政法人産業技術総合研 所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP-10 864号として寄託)がある。
得られる細胞は28℃までの低温耐性となり
また、温度を下げることで小型化するなど
態上の変化も見られる(図1~4)。
II.ライ菌の培養
本発明による、低温耐性低増殖性細胞(LTT細
胞)株は倍加時間が1日以上28日以下であり、
かも、適応温度が28℃までである。また、低
温により細胞増殖が制御可能であり、ライ菌
の培養に適している。
後述の実施例に示すように、本発明によ 低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)株はライ菌 容易に感染させることができる。例えば、 温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)を、例えば、マ ウス足蹠のライ腫より分離した粗なライ菌浮 遊液と混合培養するだけでよい。ライ菌の培 養は好ましくは28~32℃、より好ましくは30℃ 後にて行う。
また、本発明の低温耐性低増殖性細胞(LTT 細胞)株によれば、ライ菌の継代培養を容易 行うことができる。具体的には、ライ菌感 LTT細胞を2度蒸留水(DDW)で処理することでLTT 胞を破壊して、細胞内のライ菌を遊出させ 新たにLTT細胞に感染させる。
また、LTT細胞内感染ライ菌の長期培養に いて、ライ菌障害や処理過程におけるライ の損失などを避けるために、例えば、牛胎 血清(FBS)の添加濃度を2.5%まで低下させ、1% 度の脂肪カクテルを混合した培地を用いる とができる。これにより、ライ菌増殖を保 しつつLTT細胞増殖をさらに抑えることがで 、従って、LTT細胞を破壊処理することなく ライ菌を感染したままでLTT細胞を適時分割 ながら長期培養することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
説明するが、これらは本発明を制限するも
ではない。なお、下記の手技はすべて無菌
作で行なった。また、ライ菌はThai53株ライ
(国立感染症研究所ハンセン病研究センター
より入手)を用いたが、この株がライ菌であ
ことは、ライ菌の特異的プライマーを用い
PCR(Cox RA, Kempsell K, Fairclough L, Colston MJ. T
he 16s ribosomal RNA of Mycobacterium leprae
contains a unique sequence which can be used for
identification by the polymerase chain reaction. J. M
ed. Microbiol.,35:284-290,1991.参照)を用いて事前に
確認した。
参考例1:低増殖性細胞株の樹立
(1)マウス血管肉腫細胞株ISOS-1培養上清の作
培地としてDMEM-high glucose+10%FBS+2mM L-グルタ
ン+10mM Hepes+50μg/mlゲンタマイシンを用い、I
SOS-1(Masuzawa M. et al.,”Establishment of a new mu
rine-phenotypic angiosarcoma cell line (ISOS-1)”,J.Der
matol. Sci.,16(2):91-98,1998)を1×10 6
を175cm 2
フラスコで上記培地50ml中1週間培養した。フ
スコがコンフルエントになり細胞数約1×10 8
となった状態で培地を回収し、遠心(3000rpmで1
0分間)後、上清を-20℃凍結保存した。これを
用時37℃で解凍後、0.45μmフィルターで濾過
て用いる。
(2)WB-SCID細胞
SCIDマウス皮下可植性ヒト血管肉腫WB-SCID(Masu
zawa M. et al.,“Evaluation of recombinant interleuki
n-2 immunotherapy for human hemangiosarcoma in a SCID
mice model (WB-SCID)”, J. Dermatol. Sci.27(2):88-94
,2001
)の腫瘍を摘出した。
摘出腫瘍をシャーレに移し、生理食塩水 にて半割し、腫瘍中心半壊死組織より円刃 用いて擦過するようにして非酵素処理にて 胞遊出させた。遊出した細胞を遠心チュー に移し、遠心器にて4℃、1000rpmで遠心し、 胞を沈下させ上清を除去し、沈下した細胞 を分離した。
細胞層を上記(1)のマウス血管肉腫細胞株ISOS -1培養上清50%添加し、ヒト血管肉腫細胞用培 (DMEM-high glucose+10%FBS+マウス血管肉腫細胞株I SOS-1培養上清50%添加)(以後培地と略す)にて再 遊させて通常の培養皿に移し、CO 2 インキュベータ内にて37℃、5%CO 2 の通常の培養環境で培養を開始した(初代培 )。
以後週に2回培地を交換し、培養開始1週 後、培地を除去し、生理食塩水で1回培養皿 を洗い、0.25%トリプシン-EDTA(GIBCO製)(以後、 リプシン-EDTAと略す)を適量加え10分間放置 た。放置後、剥離した細胞を除去し、培養 底に残存した細胞のみを生理食塩水で1回洗 、新たに新鮮な培地を加え継続培養した。 記の操作を週2回、計10回繰り返し、トリプ ン-EDTA処理にて剥離する細胞がないことを 認し、トリプシン-EDTAで剥離しなかった細胞 のみ培養を続けた。
(3)低増殖細胞株の選択
1カ月後、培養皿底に観察される細胞コロニ
ーをトリプシン-EDTAで1時間処理し、その後ト
ランスファーピペットで約10分間ピペッティ
グして機械的に細胞を剥離した。剥離細胞
新たな培養皿に移し、培養を継続した。
培養皿内で増殖した細胞について上記と同
にピペッティングして機械的に細胞を剥離
剥離継代培養を繰り返した。
2ケ月後、紐状に長い細胞群が単層敷石状に
安定して培養された。この細胞は密度依存性
(細胞密度が高いほど増殖は活発化)に増殖し
。
径35mm培養皿(9.6cm 2 )で培地2ml、培地交換週2回の培養条件で、10 5 個の細胞を培養すると最も増殖する7日目か 10日目でも、倍加時間は約70時間であり、低 殖性であった。
上記の培養条件で10日目以降に細胞は培養
をほぼ覆い、唐草模様状に単層に増殖した
コンフルエントの状態に近づくと、細胞の
離が起こった。
細胞数を減らして培養を繰り返すことで細
は性状を変化せず、ゆっくり増殖を続けた
得られた細胞は紐状で長い形態(長さ:約10 0~250μm)である。また、得られた細胞を自動細 胞分析装置(FACScan:Becton Dickinson社製)を用いCEL LQuest解析ソフトでFACS解析したところ、マウ CD31、GSA-1陽性でマウス内皮系細胞であるこ が確認された。染色体はすべてマウス型で 71~79に及び、最頻数は77であった。また、ヒ /マウス両クラスI抗原を同時発現しており 電顕的には高密度顆粒が多く、きわめて細 小器官に富んでいた。この細胞はDMSO10%添加 地で凍結保存が可能であった。
参考例2:超低増殖性細胞株の樹立
参考例1と同様にしてWB-SCID細胞を得た。(1)
地に添加するISOS-1培養上清の添加比率を50%
ら20%に低下させ、(2)CO 2
インキュベータの温度設定を37℃から34℃に
下させた他は参考例1と同様の培養条件でこ
を培養した。
この結果、変更前の条件でコンフルエント
達した細胞密度の約50%まで増殖した時点で
胞は超低増殖性となり、この時点での倍加
間は1500時間以上であった。
細胞の形状等は参考例1と同様であった。単
一株をSLG/WB-SCIDとして、平成17年6月8日付で、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄
託センターに寄託した(受託番号FERM-BP-10349号)
。
低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)の
立
上記のSLG/WB-SCID細胞株を75cm 2
培養フラスコを用いて34℃インキュベータでI
SOS-1培養上清20%添加の培地にて培養しさらに2
℃ずつ培養温度を下げ、28℃までの低温度に
した時点からISOS-1培養上清の添加濃度を下
、最終的に無添加条件で培養が可能となっ
。
細胞の形状は実施例1~2とは異なり、短縮し
小型化する。
この単一株をLTT/WB-SCIDとして、平成19年7月10
日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特
許生物寄託センターに寄託した(受託番号FERM
BP-10864号)。
LTT細胞のヒト型ネスチン発現
本実施例においてLTT細胞 (LTT/WB-SCID)が神経
細胞マーカーであるヒト型ネスチン(nestin)
現陽性であることを確認した。
1.Nestin FACS解析
LTT細胞のヒト型ネスチンおよびマウス型ネ
チンの発現の有無をFACSで解析した。ヒト型
ネスチン発現解析のため、第一抗体として神
経幹細胞マーカーヒト型ネスチン抗体(Rabbit
anti-human nestin polyclonal antibody, 反応特異性:
ト型ネスチンのみ陽性、Chemicon International
Inc.)、第二抗体としてビオチン標識anti-rabbit
IgGで反応させたのち、FITC標識avidinで発色し
FACS解析した。マウス型ネスチン発現解析の
めに、第一抗体としてマウス型ネスチン抗
(Mouse anti-nestin monoclonal antibody, 反応特異
:ラットおよびマウス型ネスチンのみ陽性、C
hemicon International Inc.)、第二抗体FITC標識抗マ
ウス抗体IgGで発色しFACS解析した。
2.結果
LTT細胞はヒト型ネスチンが陽性で(図13)、マ
ウス型ネスチンは陰性であった(データ示さ
)。同時に解析した正常血管内皮細胞(HUVEC)、
血管肉腫細胞(ISO-HAS)、悪性組織球腫細胞(FEM)
悪性外毛根鞘腫細胞(TL-1)はいずれも明らか
陽性所見を認めなかった(図13)。
LTT細胞はヒト/マウス両クラス I抗原を発 現するマウス内皮系細胞であるが、ヒト型ネ スチンを発現していることで神経幹細胞とし ての性状も保持していることが明らかになっ た。ライ菌は生体内で神経組織に極めて親和 性が高いことが知られており、LTT細胞が神経 幹細胞の性状をも発現していることは、ライ 菌にとってLTT細胞は感染宿主として親和性が あると考えられる。
低温耐性低増殖性細胞(LTT細胞)の
育における温度依存性
実施例1で得たLTT/WB-SCIDを37、32、30及び28℃
温度条件下10%FBS含有DMEM培地の培地にて培養
、0、7、14及び21日目の細胞数を計測した。
果を図5に示す。増殖力は温度の低下ととも
に低下し、培養開始から14日目までの倍加時
は37℃で75.7時間(3.1日)、32℃で105.8時間(4.4日
)、30℃で237時間(9.9日)、28℃で500時間(20.8日)
あった。
LTT細胞とライ菌の親和性(易感染
)
マウス足蹠のライ腫より分離した粗なライ
浮遊液をLTT細胞と混合培養した。1週間後チ
ール・ネルセン染色した結果、細胞内ライ菌
の存在を確認した(図6)。
細胞内ライ菌増殖の最適温度条件
の確定
下記の方法により細胞内ライ菌増殖の最適
度条件を検討した。
A.LTT細胞内感染ライ菌の数量の判定
1)リアルタイムPCRによるライ菌16s rRNAの相
定量
Yang Z, Habib M, Shuai J, Fang W. Detection of P
CV2 DNA by SYBR Green I-based quantitative PCR. J. Zhejiang Univ.Sci. B,
8:162-169,2007に準じて、以下の手順によりライ
16s rRNAの相対定量を行う。
すなわち、実施例4のライ菌感染細胞をトリ
プシン-EDTAで剥離し、マイクロチューブに移
、遠心(560G、5分)して上清を除く。得られた
ペレットに溶解バッファ(キアゲン社 lysis bu
ffer; Buffer RLT, Rneasy Mini Kit)300μlを加え細胞
を溶解した。直ちに2回蒸留水(DDW)1mlを加え、
溶解バッファを希釈する。遠心(4600G、5分)し
上清を除き、ペレットに前記バッファ(Buffer
RLT)1mlを加え、ピペッティングにて混和する
。Lysing Matrix B tubeに移し、ボールミル型ホ
ジナイザー(トミー精工製Micro Smash)にて5000r
pmで1分間遠心する。Rneasy Mini Kitにて全RNAを
出し、QuantiTect(登録商標、キアゲン社)SYBR G
reen PCRキットにてcDNA合成した。下記のライ
16s rRNA遺伝子特異的プライマーP2×P3で、SYBER
Green Real-time PCRを行い、ライ菌特異的16s rR
NAを相対定量する。
P2:5’ AGTCGAACGGAAAGGTCTTAAAAAATCTT 3’(配列番号1)
P3:5’ CATCCTGCACCGCAAAAAGCTT 3’(配列番号2)
2)Shepard法rapid methodによる菌数のカウント定
量法
Shepard C.C. Acid-fast bacilli in nasal excretions
in leprosy,and results of inoculation of mice, Am. J
. Hyg.,71:147-157,1960に準じて、以下の手順によ
ライ菌数のカウントを行う。
細胞をトリプシン-EDTAで剥離し、マイク チューブに移し、遠心(560G、5分)して上清を く。得られたペレットに溶解バッファ(キア ゲン社1ysis buffer;Buffer RLT,Rneasy Mini Kit)300μl 加え、細胞を溶解する。2回蒸留水(DDW)1mlを え、ピペッティング後、遠心(4600G、5分)し 上清を完全に除去した後、血清入り培地10ml 加え、ピペッティングを十分に行い、平均 上のスライドグラス上に径10mmの円形状に塗 り広げて空気乾燥させる。3回火炎固定し、 ール・ネルセン染色を行った後、円の直径 に沿って、400倍の連続視野で視野内の菌数 カウントし合計し、下記の計算式から検体 の菌数を算出する。
総菌数=視野数×カウント合計菌数/1.27
B.LTT細胞内ライ菌増殖の最適温度
件の確定
粗なライ菌浮遊液(1×10 8
)を75cm 2
フラスコにプレコンフルエントになったLTT細
胞に添加して1週間培養した。フラスコをPBS --
(Ca 2+
,Mg 2+
-free)で洗浄後、トリプシン-EDTAで剥離し、10cm
2
の培養皿に1×10 4
/cm 2
を分注し、37℃、32℃、30℃、28℃の各温度で2
週間培養した。Aの1)の手順で、RNAを相対定量
し、30℃がライ菌増殖の最適温度であること
確認した(図7)。
C.最適温度条件における増殖を評
する菌数とrRNA相対定量の相関性の確認
最適温度にて培養したライ菌感染LTT細胞を
養1日目と2週間目とに採取した。Aの1)と2)の
各手法によりそれぞれ、RNAの相対定量と菌数
のカウントを行い、両者の相関を確認した(
8)。培養1日目と2週目の間の倍加時間〔generat
ion (doubling) time〕は4.4日であった。Shepard法
の顕微鏡視野内の比較でも明らかに菌数の
加が確認された(図9、10)。LTT細胞感染ライ菌
は培養1日目に比べて2週間目ではライ球(globi;
ライ腫型ライの良好な増殖形態とされる)状
菌塊増殖が目立っており(図11)、ライ菌の良
な増殖が確認できた。
ライ菌の継代培養
A.滅菌蒸留水(DDW)処理を用いる方法
2週間培養したライ菌感染LTT細胞の培養皿の
培養上清を除去し、培養皿を1度DDWで洗浄し
。新たにDDWを適量加え、5分間静置した。ホ
ルピペット(transfer pipette)でピペッティング
を行い、さらに5分間静置した。ホールピペ
トで再度ピペッティングを行った。一方、
感染の新しいLTT細胞の浮遊液を作成し、5×10
4
/cm 2
の細胞密度になるようにLTT細胞の浮遊液をDDW
処理した培養皿に4倍量添加し、1週間培養し
。
培養2週目とDDW処理後1週間目のLTT細胞を 収し、実施例5A1)の手順でRNAを相対定量した この結果、培養2週目のRNA量よりDDW処理後1 間目のRNAの増量が確認された。すなわち、 イ菌の継代増殖培養が可能であることが確 された(図12)。
B.牛胎児血清(FBS)の添加濃度を低下させた培
地を用いる培養方法
B-1 培地添加FBS濃度によるLTT細胞増殖抑制
方法:5% CO 2
インキュベーターでライ菌最適温度条件30
において、LTT細胞を~1 x 10 5
/ cm 2
密度で培養を開始し、DMEM-high-glucose(HDMEM)培地
添加FBS濃度を0%から10%までの各濃度で増殖抑
を検討した。
結果:LTT細胞はライ菌至適温度30℃でFBS濃度を
低下させると増殖が抑制された。2.5%濃度は
胞障害なく増殖が抑制される最低濃度で、2
間培養における倍加時間(DT)は372時間(15.5日)
であった(図14)。これは10% FBS添加条件の237時
間(9.9日)よりさらに延長している。
B-2 ライ菌感染LTT細胞の培養
方法:上記の結果より、FBS 2.5%添加HDMEMにライ
菌の栄養源として1%脂質カクテル(Lipid concentr
ate, Invitrogen Co.)を混和した培地を用い、ラ
菌感染LTT細胞を培養した。なお、ライ菌増
はライ菌特異的プライマーを用いたリアル
イム PCR による16s rRNAの相対定量により判
した。
結果:28日間培養でライ菌感染LTT細胞は2.5倍に
増殖し、倍加時間(DT)は504時間(21日)であった
この間に細胞内ライ菌は6.3倍に増加し、DT
252時間(10.5日)であった(図15)。
ライ菌の増殖率がLTT細胞の増殖率を上回 たことにより、ライ菌を感染したままでLTT 胞を適時分割培養することで、ライ菌の増 を維持することが可能となった。
本発明によれば、LTT細胞はライ菌の増殖 度よりも低増殖性であり、適応温度もライ の至適温度に類以しており、ライ菌の感染 殖に適している宿主細胞が得られ、細胞内 殖ライ菌の長期培養のための継代増殖培養 が確立された。この結果、ライ菌のin vitro の培養が可能になった。また、本発明によ 細胞株は低温耐性を有し、温度による増殖 御が容易であり、ライ菌の研究及び抗ライ のスクリーニング等に有用である。
[規則26に基づく差替え 16.09.2008]