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Title:
VERTICAL ORGANIC TRANSISTOR, METHOD FOR MANUFACTURING VERTICAL ORGANIC TRANSISTOR, AND LIGHT EMITTING ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028706
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a vertical organic transistor which easily performs current modulation and makes it possible to suppress manufacturing cost. A method for manufacturing such vertical organic transistor is also provided. The vertical organic transistor is provided with an upper electrode, a lower electrode and an organic semiconductor arranged between the both electrodes, and an intermediate electrode arranged in the organic semiconductor. The intermediate electrode is a layer-like continuous body, including continuous insulating metal compound and a particle metal distributed in the insulating metal compound.

Inventors:
FUJIMOTO SHINYA (JP)
MAEDA HIROKI (JP)
TSURUOKA YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065666
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
September 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAINIPPON PRINTING CO LTD (JP)
FUJIMOTO SHINYA (JP)
MAEDA HIROKI (JP)
TSURUOKA YOSHIAKI (JP)
International Classes:
H01L51/05; H01L29/66; H01L51/50; H05B33/10; H05B33/26
Foreign References:
JP2005293980A2005-10-20
JP2006191044A2006-07-20
JP2006260206A2006-09-28
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Kenji et al. (Room 323 Fuji Bldg., 2-3, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 05, JP)
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Claims:
 縦型有機トランジスタであって、
上部電極と、下部電極と、両電極間に設けられた有機半導体と、該有機半導体内に設けられた中間電極とを備えてなり、
 前記中間電極が、連続する絶縁性金属化合物と、該絶縁性金属化合物内に分布する粒状金属とを含んでなる層状連続体である、縦型有機トランジスタ。
 前記粒状金属の平均直径が、5nm以上200nm以下である、請求項1に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記絶縁性金属化合物が、前記粒状金属と同じ金属の酸化物である、請求項1に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記粒状金属が、アルミニウム又は銅である、請求項1に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記有機半導体が、前記中間電極と前記下部電極との間にある下側有機半導体層と、前記中間電極と前記上部電極との間にある上側有機半導体層とを備えてなるものである、請求項1に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記中間電極にバスラインが設けられてなる、請求項1に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記バスラインが、前記中間電極と前記下部電極乃至前記上部電極とが平面視でオーバーラップしない部位に形成されてなる、請求項6に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記上部電極にバスラインが設けられてなる、請求項1に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記バスラインが、前記上部電極と前記下部電極乃至前記中間電極とが平面視でオーバーラップしない部位に形成されてなる、請求項8に記載の縦型有機トランジスタ。
 前記バスラインが、金属、酸化物半導体及び導電性高分子から選ばれるいずれかで形成されてなる、請求項6~9のいずれか一項に記載の縦型有機トランジスタ。
 縦型有機トランジスタを製造する方法であって、
前記縦型有機トランジスタが、上部電極と、下部電極と、両電極間に設けられた有機半導体と、該有機半導体内に設けられた中間電極とを備えてなり、前記有機半導体が、前記上部電極側の上側有機半導体層と前記下部電極側の下側有機半導体層とを備えてなるものであり、
 前記下部電極が形成された基板上に前記下側有機半導体層を形成する工程と、
 前記下側有機半導体層上に、連続する絶縁性金属化合物と該絶縁性金属化合物内に分布する粒状金属とを有する中間電極を形成する工程と、
 前記中間電極上に前記上側有機半導体層を形成する工程と、
 前記上側有機半導体層上に前記上部電極を形成する工程を含んでなる、縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記中間電極を形成する工程が、
 前記下側有機半導体層上の全面に金属膜を形成する金属膜形成工程と、
 前記金属膜を部分的に絶縁化させて、連続する絶縁性金属化合物と、
前記絶縁性金属化合物内に分布する粒状金属とを生じさせる部分絶縁化工程を含んでなる、請求項11に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記金属膜が、5nm以上200nm以下の粒径を持つ金属粒の複合体からなる、請求項12に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記部分絶縁化工程が、前記粒状金属の平均直径を5nm以上200nm以下まで行うものである、請求項12に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記部分絶縁化工程が、酸素雰囲気中で酸化処理するものである、請求項12に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記中間電極と前記下部電極乃至前記上部電極とが平面視でオーバーラップしない部位の前記基板上に、該中間電極に接続するバスラインを形成するバスライン形成工程を含んでなる、請求項12に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記上部電極と前記下部電極乃至前記中間電極とが平面視でオーバーラップしない部位の前記基板上に、該上部電極に接続するバスラインを形成するバスライン形成工程を含んでなる、請求項12に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 前記バスライン形成工程において、前記バスラインが、金属、酸化物半導体及び導電性高分子から選択される一又は二種以上のもので形成されてなる、請求項16に記載の縦型有機トランジスタの製造方法。
 請求項1~10のいずれか一項に記載の縦型有機トランジスタと、
当該縦型有機トランジスタを構成する上部電極と下部電極との間に有機発光層が設けられている発光素子部とを備えてなる、発光素子。
 前記発光素子部が、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層及び電子注入層から選ばれる1又は2以上の層を含んでなり、前記有機発光層が有機EL層である、請求項19に記載の発光素子。
Description:
縦型有機トランジスタ、その製 方法及び発光素子 関連出願

 本願は、日本国特許出願2007-226664号(2007年 8月31日出願)及び日本国特許出願2008-215068号(20 08年8月25日出願)に基づくパリ条約4条の優先 主張を伴う出願である。従って、本願明細 は、これら特許出願の出願明細書に開示さ た事項の全てを包含するものである。

 本発明は、縦型有機トランジスタ、その 造方法及び発光素子に関し、更に詳しくは 電流変調が容易で、製造コストを抑えた縦 有機トランジスタ、及びその製造方法、並 に縦型有機トランジスタを備えた発光素子 関する。

 有機電界効果型トランジスタ(OFET:Organic F ield Effect Transistor)は、有機半導体を印刷等 塗布プロセスで作製可能であるため、安価 フレキシブル等の特長を有しており、フレ シブルディスプレイや、ID情報を埋め込んだ タグから電磁界や電波等を用いた近距離無線 通信によって情報をやりとりするRFID(Radio Fre quency Identification)等のように、従来のSiトラ ジスタとは異なる新たな用途が期待されて る。しかし、有機電界効果型トランジスタ 用いられる有機半導体はキャリア移動度が いため、電流変調量が小さい、応答速度が い等の問題がある。

 これらの問題を解決するため、縦型有機 ランジスタが提案されている。縦型有機ト ンジスタは、上下に配置したコレクタ電極 エミッタ電極との間に有機半導体を挟み、 の有機半導体内に中間電極を形成した積層 造であるため、有機半導体が担うチャネル を例えば1μm以下に短くできること、電極面 全体を有効利用できるために高速応答や大電 力化が可能となること、さらに、界面の影響 を受け難くなること等のメリットがある。そ のため、キャリア移動度の低い有機半導体を 用いた場合であっても、低電圧での高速応答 が可能になる。

 こうした縦型有機トランジスタは、有機 導体を間に挟んで上下に対向するエミッタ 極とコレクタ電極とに一定電圧を印加した 合において、エミッタ電極と有機半導体内 設けられたベース電極との間に電圧を印加 ないときはエミッタ電極とコレクタ電極と 間にほとんど電流は流れないが、エミッタ 極とベース電極との間に電圧を印加すると ミッタ電極とコレクタ電極との間に流れる 流量が大幅に増加し、電流を変調すること できる。

 従来の縦型有機トランジスタは、例えば 許文献1~4(特開2004-327615号公報、特開2007-27566 号公報、特開2005-243871号公報及び特開2003-32420 3号公報[請求項1])並びに非特許文献1(工藤一 、「有機トランジスタの現状と将来展望」 応用物理、第72巻、第9号、第1151頁~第1156頁(2 003年))に示すように、有機半導体内にストラ プ状(メッシュ状)の中間電極(ベース電極と て作用する。)が挿入されているものが提案 されている。これらの態様において、有機半 導体は、エミッタ電極とコレクタ電極の両方 に接するとともに、ストライプ状の中間電極 間の「開口部」にも存在しているので、エミ ッタ電極と中間電極との間の印加電圧によっ て、有機半導体からなる開口部を流れる電流 が変調される。

 上記した各特許文献等では、横方向に一 間隔で形成されたストライプ状の中間電極 ピッチ(ストライプピッチ)が数十μmと広く その中間電極間の開口部にある有機半導体 幅も数十μmと広いため、エミッタ電極と中 電極との間に印加した電圧によって影響さ る領域が、ストライプ状の中間電極のエッ 近傍に限定されてしまう。こうした問題に し、有機半導体からなる開口部の全面を流 る電流を効果的に変調するためには、スト イプ状の中間電極の間隔を微細化(例えば100n m程度)することが有効であるとの報告がある( 非特許文献2:東口 達、他、「第53回応用物理 学関係連合講演会予稿集」、23a-ZG-3、第1412頁 (2006年))。

しかしながら、上記非特許文献2において 、中間電極の微細パターンを電子線描画等 微細加工手段を用いて作製しているので、 られた縦型有機トランジスタはコストアッ となり、実用的ではない。こうしたことは そもそも、簡単な作製法でチャネル長を短 することができるという縦型有機トランジ タの利点が失われてしまうという問題があ 。

 本発明は、上記課題を解決するためにな れたものであって、本願発明は、電流変調 容易で、製造コストを抑えた縦型有機トラ ジスタ及びその製造方法を提供することに る。また、本発明の別の態様によれば、上 縦型有機トランジスタを備えた発光素子を 供することにある。

 上記課題を解決するための本発明の縦型 機トランジスタは、上部電極と、下部電極 、両電極間に設けられた有機半導体と、該 機半導体内に設けられた層状連続体を備え なる縦型有機トランジスタであって、前記 状連続体が、連続する絶縁性金属化合物と 該絶縁性金属化合物内に分布する粒状金属 を含んでなることを特徴とする。

 本願発明によれば、層状連続体を、連続 る絶縁性金属化合物とその絶縁性金属化合 内に分布する粒状金属とを有するように構 したので、従来の「開口部」は有機半導体 代わりに絶縁性金属化合物で構成され、従 の「中間電極(ベース電極)」はパターンエ チングされた金属層の代わりに粒状金属で 成されている。こうした形態からなる層状 続体は、粒状金属以外の絶縁性金属化合物 部分(「開口部」に相当する部分)が、上部電 極と下部電極との間を流れる電流の透過部と して作用し、粒状金属がベース電極として作 用する。そうした層状連続体は、薄膜状の金 属を成膜した後の化学反応により絶縁性の金 属化合物を生成することによって容易に形成 される。したがって、この発明によれば、粒 状金属の周りに絶縁性金属化合物が存在した 態様で層状連続体が構成されているので、従 来の開口部として作用する絶縁性金属化合物 からなる透過部が従来のような幅の広い開口 部とはならず、微細化される。その結果、エ ミッタ電極とベース電極(粒状金属)との間に 加した電圧によって影響される領域がベー 電極(粒状金属)のエッジ近傍に限定されて 、上部電極と下部電極との間を流れる電流 効率的に変調することができる。さらに、 状連続体は容易に形成できる形態であるの 、製造コストを削減することもできる。

 本発明の縦型有機トランジスタの好まし 態様は、前記粒状金属の平均直径が、5nm以 200nm以下であるように構成する。

 この発明によれば、上記範囲の粒状金属 平均直径が従来のベース電極である金属層 幅よりも著しく微細化されているので、そ 粒状金属の周りに形成されて電流の透過部 して作用する絶縁性金属化合物を、層状連 体内に多く(高い密度で)形成することがで る。その結果、上記同様、エミッタ電極と ース電極(粒状金属)との間に印加した電圧に よって影響される領域がベース電極(粒状金 )のエッジ近傍に限定されても、上部電極と 部電極との間を流れる電流を効率的に変調 ることができる。

 本発明の縦型有機トランジスタの好まし 態様は、前記絶縁性金属化合物が、前記粒 金属と同じ金属の酸化物であるように構成 る。

 この発明によれば、絶縁性金属化合物を 成する金属成分と、粒状金属を構成する金 成分とが同じであるので、例えば、薄膜状 金属を成膜した後に酸素等の反応ガスを導 して化学反応させることによって、層状連 体を構成する絶縁性金属化合物を容易に形 することができる。

 本発明の縦型有機トランジスタの好まし 態様は、前記粒状金属が、アルミニウム又 銅であるように構成する。

 本発明の縦型有機トランジスタの好まし 態様は、前記有機半導体が、前記中間電極 前記下部電極との間にある下側有機半導体 と、前記中間電極と前記上部電極との間に る上側有機半導体層とで構成されている。

 この発明によれば、有機半導体内に層状 続体が形成されているので、その有機半導 は下側有機半導体層と上側有機半導体層と 構成される。こうした形態により、例えば なる有機半導体材料によって下側有機半導 層と上側有機半導体層とを構成できる。ま 、下側有機半導体層及び上側有機半導体層 、少なくとも1種(1種又は2種以上)の材料で 成される。

 本発明の縦型有機トランジスタの好まし 態様は、(1)前記中間電極にバスラインが設 られているように構成したり、(2)前記バス インは、前記中間電極と前記下部電極乃至 記上部電極とが平面視でオーバーラップし い部位に形成されているように構成したり (3)前記上部電極にバスラインが設けられて るように構成したり、(4)前記バスラインは 前記上部電極と前記下部電極乃至前記中間 極とが平面視でオーバーラップしない部位 形成されているように構成したりすること できる。これらのバスラインは、金属、酸 物半導体及び導電性高分子からなる群から 択される一又は二種のもので形成されてい ことが好ましい。

 この発明によれば、非常に薄く、一般的 金属よりも抵抗の高い中間電極や上部電極 導電性のよいバスラインを設けたので、電 降下を防ぎ、電流変調特性の低下を抑制す ことができる。また、バスラインを中間電 や上部電極に設けるが、そのバスラインと れ以外の電極との間隔を例えば20μm程度離 て形成することにより、バスラインを経由 た電流が他の電極に漏洩することがない。

 上記課題を解決するための本発明の縦型 機トランジスタの製造方法は、上部電極と 下部電極と、両電極間に設けられた有機半 体と、該有機半導体内に設けられた層状連 体とを有し、前記有機半導体が、前記上部 極側の上側有機半導体層と前記下部電極側 下側有機半導体層とからなる縦型有機トラ ジスタを製造する方法であって、前記下部 極が形成された基板上に前記下側有機半導 層を形成する工程と、前記下側有機半導体 上に、連続する絶縁性金属化合物と該絶縁 金属化合物内に分布する粒状金属とを有す 層状連続体を形成する工程と、前記層状連 体上に前記上側有機半導体層を形成する工 と、前記上側有機半導体層上に前記上部電 を形成する工程とを含んでなることを特徴 する。

 この発明によれば、下側有機半導体層上 層状連続体を形成する工程を備えるが、こ 工程で形成された層状連続体は、粒状金属 らなる部分が従来のパターンエッチングさ た中間電極(ベース電極)として作用し、粒 金属が形成されていない絶縁性金属化合物 らなる部分が従来の開口部として作用する こうした形態からなる層状連続体において 、開口部として作用する絶縁性金属化合物 部分が上部電極と下部電極との間を流れる 流の透過部となる。層状連続体は、例えば 膜状の金属を形成した後の化学反応等によ 絶縁性の金属化合物を生成することによっ 容易に形成されるので、製造された縦型有 トランジスタの製造コストを低減すること できる。

 本発明の縦型有機トランジスタの製造方 の好ましい態様は、前記層状連続体を形成 る工程が、前記下側有機半導体層上の全面 金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記 属膜を部分的に絶縁化させて、連続する絶 性金属化合物と、該絶縁性金属化合物内に 布する粒状金属とを生じさせる部分絶縁化 程とを含んでなるように構成する。

 この発明によれば、層状連続体を形成す 工程が、金属膜形成工程と部分絶縁化工程 を有するので、この工程後の層状連続体は 連続する絶縁性金属化合物と、その絶縁性 属化合物内に分布する粒状金属とを含んで る。こうした形態からなる層状連続体は、 記同様、例えば金属膜を形成した後の化学 応等により絶縁性の金属化合物を生じさせ ことによって容易に形成されるので、製造 れた縦型有機トランジスタの製造コストを 減することができる。

 本発明の縦型有機トランジスタの製造方 の好ましい態様は、前記金属膜が、5nm以上2 00nm以下の粒径を持つ金属粒の集合体からな ように構成する。

 この発明によれば、金属膜を、所定の粒 を持つ金属粒の集合体として形成するので その金属粒の周縁は膜厚が薄く、例えば化 反応等によって容易に絶縁性の金属化合物 することができる。その結果、上部電極と 部電極との間を流れる電流の透過部を容易 形成できるので、縦型有機トランジスタの 造コストを低減することができる。

 本発明の縦型有機トランジスタの製造方 の好ましい態様は、前記部分絶縁化工程を 前記粒状金属の平均直径を5nm以上200nm以下 するまで行うように構成する。

 この発明によれば、部分絶縁化工程によ 、粒状金属の平均直径を5nm以上200nm以下と るので、粒状金属の平均直径を従来のベー 電極である金属層の幅よりも著しく微細化 ることができる。その結果、粒状金属の周 に形成されて電流の透過部として作用する 縁性金属化合物を、層状連続体内に多く(高 密度で)形成することが容易となる。

 本発明の縦型有機トランジスタの製造方 の好ましい態様は、前記部分絶縁化工程が 酸素雰囲気中で酸化処理する工程であるよ に構成する。

 この発明によれば、部分絶縁化工程を、 素雰囲気中で酸化処理する工程としたので 粒状金属の周りに絶縁性金属酸化物を容易 形成することができ、その絶縁性金属化合 を電流の透過部として作用させることがで る。

 本発明の縦型有機トランジスタの製造方 の好ましい態様は、(1)前記中間電極と前記 部電極乃至前記上部電極とが平面視でオー ーラップしない部位の前記基板上に、該中 電極に接続するバスラインを形成するバス イン形成工程を有するように構成したり、( 2)前記上部電極と前記下部電極乃至前記中間 極とが平面視でオーバーラップしない部位 前記基板上に、該上部電極に接続するバス インを形成するバスライン形成工程を含ん なるように構成したりすることができる。 れらのバスライン形成工程において、前記 スラインを、金属、酸化物半導体及び導電 高分子から選ばれるいずれかで形成するこ が好ましい。

 上記課題を解決するための本発明の発光 子は、上記本発明の縦型有機トランジスタ 、当該縦型有機トランジスタを構成する上 電極と下部電極との間に有機発光層が設け れている発光素子部とを備えてなることを 徴とする。

 この発明によれば、エミッタ電極(上部電 極)とコレクタ電極(下部電極)との間に流れる 電流量を大幅に変調することができる縦型有 機トランジスタを備えてなるので、その変調 電流をエミッタ電極(上部電極)とコレクタ電 (下部電極)間の有機発光層に発光電流とし 印加することができる。その結果、有機発 層の発光輝度等の制御性を高めることがで るとともに、コスト低減を図ることができ 。

 本発明の発光素子の好ましい態様は、前 発光素子部が、正孔輸送層、電子輸送層、 孔注入層及び電子注入層から選ばれる1又は 2以上の層を備えてなり、前記有機発光層が 機EL層であるように構成する。

 本発明の縦型有機トランジスタによれば 粒状金属の周りに絶縁性金属化合物が存在 た態様で層状連続体が構成されているので 従来の開口部として作用する絶縁性金属化 物からなる透過部が従来のような幅の広い 口部とはならず、微細化される。その結果 エミッタ電極とベース電極(粒状金属)との に印加した電圧によって影響される領域が ース電極(粒状金属)のエッジ近傍に限定され ても、上部電極と下部電極との間を流れる電 流を効率的に変調することができる。

 本発明の縦型有機トランジスタの製造方 によれば、開口部として作用する絶縁性金 化合物の部分が上部電極と下部電極との間 流れる電流の透過部となるので、その層状 続体を、例えば薄膜状の金属を形成した後 化学反応等によって絶縁性の金属化合物を 易に形成できる。その結果、製造された縦 有機トランジスタの製造コストを低減する とができる。

 本発明の発光素子によれば、上記本発明 縦型有機トランジスタを備えるので、その 調電流をエミッタ電極(上部電極)とコレク 電極(下部電極)間の有機発光層に発光電流と して印加することができ、有機発光層の発光 輝度等の制御性を高めることができる。さら に、発光素子全体のコスト低減を図ることが できる。

本発明の縦型有機トランジスタの一例 示す模式的な断面構成図である。 層状連続体の模式的な詳細断面図であ 。 縦型有機トランジスタにバスラインを 成した態様の一例を示す断面図である。 バスラインを形成した縦型有機トラン スタの一例を示す平面図である。 バスラインを形成した縦型有機トラン スタの他の一例を示す平面図である。 層状連続体の形成工程を示す説明図で る。 本発明の発光素子の一例を示す模式的 断面構成図である。 層状連続体の断面形態を示すTEM像であ 。 種々のガス雰囲気で形成した層状連続 を有する縦型有機トランジスタにおいて、 レクタ電流の電流変調に及ぼす影響を説明 るグラフである。 層状連続体の断面形態を示すTEM像であ る。 実施例5の縦型有機トランジスタの電 変調特性を示すグラフである。 実施例7の縦型有機トランジスタの電 変調特性を示すグラフである。 実施例8の縦型有機トランジスタの電 変調特性を示すグラフである。 実施例9の縦型有機トランジスタの電 変調特性を示すグラフである。

図面の中の符号の説明
 1 エミッタ電極(上部電極)
 2 コレクタ電極(下部電極)
 3 有機半導体
 3a 上側有機半導体層
 3b 下側有機半導体層
 4 層状連続体
 4a 粒状金属
 4b 絶縁性金属化合物
 4’ 金属膜
 4” 金属粒
 5a,5b バスライン
 6a,6b 取り出し部
 10 基板
 11 縦型有機トランジスタ
 21 発光素子
 22 発光素子部
 23 正孔注入層
 24 正孔輸送層
 25 有機発光層
 A 動作領域

 以下に、本発明の縦型有機トランジスタ その製造方法及び発光素子について、図面 参照して詳しく説明する。なお、本発明は その技術的特徴を有すれば種々の変形が可 であり、以下に具体的に示す実施形態に限 されるものではない。

 [縦型有機トランジスタ]
 (全体構成)
 図1は、本発明の縦型有機トランジスタの一 例を示す模式的な断面構成図であり、図2は 層状連続体の模式的な詳細断面図である。 発明の縦型有機トランジスタ11は、図1に示 ように、上部電極1と、下部電極2と、両電極 1,2間に設けられた有機半導体3と、有機半導 3内に設けられた層状連続体4とを有している 。そして、その層状連続体4は、図2に示すよ に、連続する絶縁性金属化合物4bと、絶縁 金属化合物4b内に分布する粒状金属4aとを有 ている。また、有機半導体3は、詳しくは、 上部電極1と層状連続体4との間に設けられた 荷輸送性の上側有機半導体層3aと、下部電 2と層状連続体4との間に設けられた電荷輸送 性の下側有機半導体層3bとで構成されている

 なお、本発明の縦型有機トランジスタに いて、上部電極1はエミッタ電極又はコレク タ電極として作用し、その上部電極1に対向 る下部電極2はコレクタ電極又はエミッタ電 として作用し、層状の連続体4内に有する粒 状金属4aはベース電極として作用する。以下 説明においては、基板10上に形成された下 電極2をコレクタ電極として説明し、上部電 1をエミッタ電極として説明し、粒状金属4a 必要に応じてベース電極として説明する。

 また、図1において、Icは、エミッタ電極1 -コレクタ電極2間にコレクタ電圧Vcを印加し ときの電流(コレクタ電流)であり、Ibは、エ ッタ電極1-ベース電極4a間にベース電圧Vbを 加したときの電流(ベース電流)である。本 明の縦型有機トランジスタ11においては、エ ミッタ電極1とコレクタ電極2との間にコレク 電圧Vcを印加し、さらにエミッタ電極1とベ ス電極4aと間にベース電圧Vbを印加すると、 そのベース電圧Vbの作用により、エミッタ電 1から注入された電子が著しく加速されて層 状連続体4の絶縁性金属化合物4bを透過し、コ レクタ電極2に到達する。すなわち、ベース 圧Vbの印加によってエミッタ電極-コレクタ 極間に流れる電流Icを変調させることができ る。したがって、この縦型有機トランジスタ 11によれば、一般的トランジスタと同様の電 変調を安定して得ることができる。

 以下、本発明の縦型有機トランジスタの 成要素について順に説明する。

 (エミッタ電極とコレクタ電極)
 エミッタ電極(上部電極)1とコレクタ電極(下 部電極)2とは、図1に示すように、有機半導体 3を挟むように配置されている。図1に示す例 は、コレクタ電極2は基板10上に設けられ、 ミッタ電極1はコレクタ電極2と対向する上 に設けられている。エミッタ電極1とコレク 電極2の構成材料としては、金属、導電性酸 化物、導電性高分子等の薄膜が用いられる。 なお、エミッタ電極1又はコレクタ電極2を基 10上に設ける場合には、その間にバリア層 平滑層等が設けられていてもよい(図示しな )。

 コレクタ電極2の形成材料としては、例えば 、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジ ム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO 2 、ZnO等の透明導電膜、ポリアニリン、ポリア セチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、 ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を 挙げることができる。一方、有機半導体3が 述する電子輸送性の有機化合物からなる場 、エミッタ電極1の形成材料としては、アル 、銀等の単体金属、MgAg等のマグネシウム合 金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li Caをはじめとするアルカリ金属類、それら ルカリ金属類の合金のような仕事関数の小 な金属等を挙げることができる。なお、有 半導体3が後述する正孔輸送性の有機化合物 らなる場合には、エミッタ材料として、金 クロムのような仕事関数の大きな金属を用 る。

 (有機半導体)
 有機半導体3は、エミッタ電極1とコレクタ 極2との間に挟まれた態様で、層状に設けら ている。この有機半導体3は、コレクタ電極 2と層状連続体4との間にある下側有機半導体 3bと、層状連続体4とエミッタ電極1との間に ある上側有機半導体層3aとで構成されている

 上側有機半導体層3aと下側有機半導体層3b とは、種々の電荷輸送性の有機半導体材料に よって形成することができる。例えば、(i)上 側有機半導体層3aと下側有機半導体層3bとを1 又は2種以上の同じ材料で形成しても、1種 は2種以上の異なる材料で形成してもよいし (ii)その材料が正孔輸送材料であっても電子 輸送材料であってもよいし、(iii)上側有機半 体層3aの厚さと下側有機半導体層3bの厚さと が同じでも異なっていてもよいし、(iv)電荷 入層(図示しない)を有機半導体3とエミッタ 極1ないしコレクタ電極2との間に有するもの であってもよい。

 なお、有機半導体3上に電極(エミッタ電 1又はコレクタ電極2)を形成する場合は、電 形成時に有機半導体3に加わるダメージを軽 するための保護層(図示しない)を有機半導 3上に設けてもよい。保護層としては、例え Au、Ag、Al等の金属膜やZnS、ZnSe等の無機半導 体膜等の蒸着膜又はスパッタ膜のように、成 膜時にダメージを与え難いものが1~500nm程度 厚さで予め成膜されることが好ましい。

 有機半導体3の形成材料としては、例えば、 Alq 3 (トリス8-キノリノラトアルミニウム錯体)、n 有機半導体であるペリレン顔料(Me-PTC)、フ ーレンC60、NTCDA(ナフタレンテトラカルボン 二無水物)、PTCDA(3,4,9,10-ペリレンテトラカル ン酸二無水物)若しくはPh-Et-PTC等を好ましく 挙げることができ、また、アントラキノジメ タン、フルオレニリデンメタン、テトラシア ノエチレン、フルオレノン、ジフェノキノン オキサジアゾール、アントロン、チオピラン ジオキシド、ジフェノキノン、ベンゾキノン 、マロノニトリル、ニジトロベンゼン、ニト ロアントラキノン、無水マレイン酸若しくは ペリレンテトラカルボン酸、又はこれらの誘 導体等、電荷輸送材料として通常使用される ものを用いることができる。

 有機半導体3の電荷移動度は、なるべく高い ことが望ましく、少なくとも、0.001cm 2 /Vs以上であることが望ましい。

 下側有機半導体層3bの厚さは、通常、10nm~ 3μm程度を挙げることができるが、好ましく 50nm~700nm程度である。なお、その厚さが10nm未 満の場合又は3μmを超える場合は、トランジ タが動作しないことがある。一方、上側有 半導体層3aの厚さは、下側有機半導体層3bに べて基本的に薄いことが望ましく、通常、5 00nm程度以下を挙げることができるが、好ま くは10nm~150nm程度である。その厚さが10nm未満 の場合は、導通の問題が発生して歩留まりが 低下することがある。

 なお、有機半導体層3bと層状連続体4との に、又は層状連続体4の両面に、漏れ電流を 抑制するため、例えば酸化ケイ素膜等を設け てもよい。

 (層状連続体)
 層状連続体4は、図2に示すように、粒状金 4aと、その粒状金属4aを内部に有する態様で けられた絶縁性金属化合物4bとで構成され いる。言い換えると、層状連続体4は、連続 る絶縁性金属化合物4bと、絶縁性金属化合 4b内に分布する粒状金属4aとを有する態様で 成されている。

 粒状金属4aは、層状連続体4の横方向に粒 に分布する金属であり、エミッタ電極1から 供給された電荷をコレクタ電極2側の下側有 半導体層3b内に強制的に供給するベース電極 として作用する。粒状金属4aの形態は特に限 されないが、通常は円形又は略円形(楕円形 等を含む)又はそれらに類似の形態である。 形又は略円形からなる粒状金属4aの平均直径 は、5nm以上200nm以下であることが好ましく、1 0nm以上100nm以下がより好ましく、30nm以上50nm 下が特に好ましい。こうした範囲の粒状金 4aは、ベース電極として作用する従来の金属 層の幅よりも著しく微細なので、その粒状金 属4aの周りに形成されて電流の透過部として 用する絶縁性金属化合物4bを、層状連続体4 に多く(高い密度で)形成することができる その結果、エミッタ電極1とベース電極(粒状 金属4a)との間に印加した電圧Vbによって影響 れる領域がベース電極(粒状金属4a)のエッジ 近傍に限定されても、エミッタ電極1(上部電 )とコレクタ電極2(下部電極)との間を流れる 電流Icを効率的に変調することができる。

 粒状金属4aの平均直径が5nm未満では、小 すぎて面抵抗が大きくなり、電極として機 しないことがある。一方、粒状金属4aの平均 直径が500nmを超えると、開口部が相対的に小 くなって従来の金属層に近づくので、電流 過が起こらないという問題が生じることが る。

 粒状金属4aの厚さは特に限定されず、例 ば5nm~100nm程度、好ましくは10nm~40nm程度を挙 ることができる。なお、後述の製造方法の で説明するように、所定粒径の金属粒4”か なる金属膜4’(図6(A)参照)を酸化等の化学反 応により粒状金属4aとする場合には、粒状金 4aの厚さは2nm~50nm程度であることが好ましく 、5nm~20nm程度であることがより好ましい。こ した厚さからなる粒状金属4aは、層状連続 4の横方向に粒状に分布することができる。

 層状連続体4内に分布する粒状金属4aは、 述の製造方法に由来するように、通常は、 方向に並んでいるが上下方向に積層してい い形態で分布している。なお、必ずしもそ した形態で分布していなくてもよく、上下 向にも積層していてもよい。

 粒状金属4aの材質は導電性の金属であれ 特に限定されないが、好ましくは導電性の いアルミニウム又は銅等が採用される。特 アルミニウムは、酸化反応によって容易に 化アルミニウムとすることができ、その酸 アルミニウムが絶縁性金属化合物4bとなるの で便利である。しかも、その酸化アルミニウ ムは、酸化の進行がある程度進むと停止する という性質を有するので、粒状金属4aの大き と絶縁性金属化合物4bの厚さをおよそ10nm以 の範囲内にコントロールすることができる いう利点がある。

 絶縁性金属化合物4bは、後述の図8にもそ 一例を示すように、粒状金属4aを内部に有 た形態で横方向に層状に設けられている。 しくは、絶縁性金属化合物4bは、粒状金属4a 全体を取り巻くように設けられているとと に、横方向には層状に一様に形成されてい 。

 絶縁性金属化合物4bとしては、例えば酸 アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化 等を挙げることができる。絶縁性金属化合 4bを構成する金属は特に限定されないが、通 常は、粒状金属4aを構成する金属と同じであ 。したがって、例えば粒状金属4aがアルミ ウムである場合には、絶縁性金属化合物4bは アルミニウム化合物(例えば酸化アルミニウ 等)である。特に、絶縁性金属化合物4bが、 状金属4aを構成する金属の酸化物又は酸窒化 物又はそれらの複合化合物であることが好ま しい。こうすることにより、絶縁性金属化合 物4bを構成する金属成分と、粒状金属4aを構 する金属成分とが同じであるので、例えば 薄膜状の金属膜を成膜した後に酸素や窒素 の反応ガスを導入して化学反応させること よって、層状連続体4を構成する絶縁性金属 合物4bを容易に形成することができる。

 絶縁性金属化合物4bの厚さは特に限定さ ないが、金属粒4”からなる金属膜4’を酸化 等して絶縁性金属化合物4bを形成する場合に 、少なくとも粒状金属4aが所定の大きさで ず残存する程度の厚さであることが必要で り、例えばその厚さとしては0.1nm~100nm程度、 好ましくは1nm~10nmを例示できる。この場合に ける厚さは、少なくとも、粒状金属4aの周 に形成された厚さを指している。絶縁性金 化合物4bの厚さが0.1nm未満では、例えば隣接 る粒状金属4a,4a間に形成された絶縁性金属 合物4bからなる透過部が小さく、エミッタ電 極とコレクタ電極との間を流れる電流が効率 的に透過しないことがある。一方、絶縁性金 属化合物4bの厚さが100nmを超えると、例えば 接する粒状金属4a,4a間に形成された絶縁性金 属化合物4bからなる透過部が広くなりすぎ、 ミッタ電極と粒状金属4a(ベース電極)との間 に印加する電圧によって影響される領域が粒 状金属4aのエッジ部近傍に限られるという従 同様の問題が解決されないとともに、粒状 属4a,4a間の間隔が大きくなりすぎ、層状連 体4の電気導電性が劣り、粒状金属4a自体が ース電極として作用しないことがある。

 なお、絶縁性金属化合物4b内に分布して る粒状金属4aは、前記のようにそれぞれの金 属部分が接触せずに繋がっていない態様で分 布していてもいなくてもよいが、それぞれの 金属部分が接触して繋がっている態様で分布 していてもよい。それぞれの金属部分が接触 している場合は、粒状金属4a,4a間で電流が流 て電気導電性を確保できる。また、それぞ の金属部分が接触していない場合は、粒状 属4aの周囲に粒状金属4a,4a間に存在する電流 の透過部としての絶縁性金属化合物4bの幅(隣 り合う粒状金属4a,4aの間隔)が上記の厚さ寸法 の範囲で存在すれば、粒状金属4a,4a間ではト ネル電流が流れる等して電極としての電気 電性を確保できる。

 以上説明したように、本発明の縦型有機 ランジスタ10によれば、層状連続体4を、連 する絶縁性金属化合物4bとその絶縁性金属 合物内4bに分布する粒状金属4aとを有するよ に構成したので、従来の「開口部」は有機 導体の代わりに絶縁性金属化合物4bで構成 れ、従来の「中間電極(ベース電極)」はパタ ーンエッチングされた金属層の代わりに粒状 金属4aで構成されている。こうした形態から る層状連続体4は、粒状金属4a以外の絶縁性 属化合物4bの部分(「開口部」に相当する部 )が、エミッタ電極1(上部電極)とコレクタ電 極2(下部電極)との間を流れる電流の透過部と して作用し、粒状金属4aがベース電極として 用する。なお、そうした層状連続体4は、後 述の製造方法の欄で説明するように、薄膜状 の金属を成膜した後の化学反応によって絶縁 性の金属化合物を容易に形成することができ る。したがって、本発明の縦型有機トランジ スタ11によれば、粒状金属4aの周りに絶縁性 属化合物4bが存在した態様で層状連続体4が 成されているので、従来の開口部として作 する絶縁性金属化合物4bからなる透過部が従 来のような幅の広い開口部とはならず、微細 化される。その結果、エミッタ電極1とベー 電極(粒状金属4a)との間に印加した電圧Vbに って影響される領域がベース電極(粒状金属4 a)のエッジ近傍に限定されても、エミッタ電 1(上部電極)とコレクタ電極2(下部電極)との を流れる電流Icを効率的に変調することが きる。さらに、層状連続体4は容易に形成で る形態であるので、製造コストを削減する ともできる。

 (バスライン)
 図3は、縦型有機トランジスタにバスライン を形成した態様の一例を示す断面図である。 また、図4及び図5は、バスラインを形成した 型有機トランジスタの2つの例を示す平面図 である。本発明において、ベース電極4(中間 極)を構成する粒状金属4aは上記のように薄 ため、特に薄い厚さで粒状金属4aが形成さ る場合には、ベース電極4は一般的な金属膜 比べて抵抗が大きい。そのため、ベース電 4に取り出し部を設けた場合においては電圧 降下が生じて、動作領域A(ここでは、3つの電 極が平面視でオーバーラップする領域をいう 。)に印加されるベース電圧Vbが減少し、電流 変調特性を低下させるおそれがある。そのよ うな場合には、図3~図5に示すようなバスライ ン5a,5bを設けることが好ましい。

 具体的には、図3に示すように、ベース電 極4(中間電極)にバスライン5aが設けられてい 。このバスライン5aが他の電極(エミッタ電 1及びコレクタ電極2)に接触すると導通(ショ ート)が生じたり不要な漏れ電流が生じたり るので、バスライン5aはベース電極4のみに 触しているように形成されている。すなわ 、バスライン5aは、ベース電極4とコレクタ 極2(下部電極)とが平面視でオーバーラップ ない部位、及び、ベース電極4(中間電極)と ミッタ電極1(上部電極)とが平面視でオーバ ラップしない部位に形成されていることが ましい。図3においては、バスライン5aは、 ース電極4に接触するように、基板1とベース 電極4との間に設けられている。そして、そ バスライン5aの端部を取り出し部6aとするこ により、ベース電極4(中間電極)の端部を取 出し部とした場合のような電圧降下を防ぐ とができるので、動作領域Aに印加されるベ ース電圧Vbの減少を防ぎ、電流変調特性の低 を防ぐことができる。

 なお、バスライン5aと他の電極(エミッタ 極1及びコレクタ電極2)とが接触しないが近 きすぎる場合には、有機半導体層3bを介し 膜面方向に電流が流れるおそれがあるので バスライン5aと他の電極(エミッタ電極1及び レクタ電極2)との間隔を例えば20μm程度離し て形成することにより、バスラインを経由し た電流が他の電極に漏洩することがない。

 また、例えばこの縦型有機トランジスタ トップエミッション型の発光有機トランジ タとして用いた場合のように、上部電極1の 面抵抗が高い場合がある。この場合には、面 抵抗の高い上部電極1にも、図3に示すような スライン5bを設けることが好ましい。この 合のバスライン5bは、上記のベース電極4に けたバスライン5aと同様の理由により、上部 電極1のみに接触しているように形成されて る。すなわち、バスライン5bは、上部電極1 下部電極2とが平面視でオーバーラップしな 部位、及び、上部電極1と中間電極4とが平 視でオーバーラップしない部位に形成され いることが好ましい。図3においては、バス イン5bは、上部電極1に接触するように、基 1と上部電極1との間に設けられている。そ て、そのバスライン5bの端部を取り出し部6b することにより、上部電極1の端部を取り出 し部とした場合のような電圧降下を防ぐこと ができるので、動作領域Aに印加される電圧 減少を防ぐことができる。なお、バスライ 5bと他の電極との間隔は上記バスライン5aの 合と同様である。

 バスライン5aは、電気伝導性のよい金属 酸化物半導体及び導電性高分子から選ばれ いずれかで形成されていることが好ましい 具体的には、Al等の金属膜、ITO等の酸化物半 導体、PEDOT(スタルク社製)等の導電性高分子 等の高電導性の材料を用い、その厚さ等を 整して設けることが好ましい。

 図4及び図5は、バスラインを形成した縦 有機トランジスタの2つの例を示す平面図で るが、バスライン5a,5bの形成態様は、図示 例に限定されない。例えば図3~図5の例では バスライン5aを基板10と中間電極4との間に設 けたり、バスライン5bを基板10と上部電極1と 間に設けたりしているが、バスライン5aを 間電極4上に設けたり、バスライン5bを上部 極1上に設けたりしてもよい。なお、バスラ ン5a,5bを基板10上に設ける場合は、例えばITO 等の電極材料を下部電極2と同時にパターン 成することができるので、作業工程の削減 図ることができるという利点がある。

 このように、非常に薄く、一般的な金属 りも抵抗の高い中間電極4や上部電極1に導 性のよいバスライン5a,5bを設けることにより 、電圧降下を防ぎ、電流変調特性の低下を抑 制することができる。

 [縦型有機トランジスタの製造方法]
 次に、上記の縦型有機トランジスタ11を製 する方法について説明する。本発明の縦型 機トランジスタの製造方法は、コレクタ電 2(下部電極)が形成された基板10上に下側有機 半導体層3bを形成する工程と、下側有機半導 層3b上に、連続する絶縁性金属化合物4bとそ の絶縁性金属化合物4b内に分布する粒状金属4 aとを有する層状連続体4を形成する工程と、 状連続体4上に上側有機半導体層3aを形成す 工程と、上側有機半導体層3a上にエミッタ 極1を形成する工程と、を有している。以下 各工程について説明する。なお、上記「縦 有機トランジスタ」で説明した内容と重複 る場合は随時その説明を省略する。

 (下側有機半導体層形成工程)
 この工程は、コレクタ電極2(下部電極)が形 された基板10上に下側有機半導体層3bを形成 する工程である。最初に、基板10について説 する。図1にも示すように、縦型有機トラン ジスタ11は基板10上に形成されているが、そ 基板10の種類や構造は特に限定されるもので はなく、例えば、Al等の金属、ガラス、石英 は樹脂等の各種の材料から任意に選択して いることができる。

 なお、縦型有機トランジスタ11を発光素 部と組み合わせて後述の発光素子とする場 において、有機発光層で発光した光を基板10 側から出射させるボトムエミッション構造の 発光素子とする場合には、透明又は半透明に なる材料で基板10が形成されることが好まし が、有機発光層で発光した光を基板10の反 側から出射させるトップエミッション構造 発光素子とする場合には、必ずしも透明又 半透明になる材料からなる基板10とする必要 はなく、不透明材料で基板10を形成してもよ 。この場合においては、特に、有機EL素子 基板として一般的に用いられているもの、 なわち、有機EL素子を強度的に支持している ものを好ましく用いることができる。基板10 材質は、用途に応じてフレキシブルな材質 硬質な材質等が選択される。具体的に用い ことができる材料としては、例えば、ガラ 、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、 リエチレンテレフタレート、ポリメタクリ ート、ポリメチルメタクリレート、ポリメ ルアクリレート、ポリエステル、ポリカー ネート等を挙げることができる。また、基 10の形状としては、枚葉状でも連続状でも く、具体的な形状としては、例えばカード 、フィルム状、ディスク状、チップ状等を げることができる。

 基板10上のコレクタ電極2の形成方法は、 に例示したコレクタ電極2の材質と基板10の 類や耐熱性等とを考慮し、真空蒸着法、ス ッタリング法、CVD法等や、塗布法等から任 に選択される。なお、通常は、ITO付きガラ 基板やITO付きプラスチック基板等を好まし 用いることができる。

 コレクタ電極2上への下側有機半導体層3b 形成は、既に例示した有機半導体材料の材 や特性等を考慮し、塗布法や蒸着法等から 意に選択される。このときの厚さ等につい も既述した通りである。

 (層状連続体形成工程)
 この工程は、下側有機半導体層3b上に層状 続体4を形成する工程である。層状連続体4は 、連続する絶縁性金属化合物4bと、その絶縁 金属化合物4b内に分布する粒状金属4aとを有 している。具体的には、層状連続体4を形成 る工程は、図6に示すように、下側有機半導 層3b上の全面に金属膜4’を形成する金属膜 成工程(図6(A)参照)と、その金属膜4’を部分 的に絶縁化させて、連続する絶縁性金属化合 物4bと、その絶縁性金属化合物4b内に分布す 粒状金属4aとを生じさせる部分絶縁化工程( 6(B)参照)と、を有している。この工程によれ ば、金属膜形成工程と部分絶縁化工程とによ って得られた層状連続体4は、既述したのと 様、例えば金属膜4’を形成した後の化学反 等により絶縁性の金属化合物4bが生じるこ によって容易に形成される。その結果、製 された縦型有機トランジスタ11の製造コスト を低減することができる。

 金属膜形成工程は、図6(A)に示すように、 下側有機半導体層3b上の全面に金属膜4’を形 成する工程であるが、この工程で形成される 金属膜4’は、上記した粒状金属4aの構成材料 を真空蒸着、スパッタリング等の成膜手段に よって形成することができる。形成される金 属膜4’の形態は特に限定されず、その後の 分絶縁化工程において、絶縁性金属化合物4b 内に粒状金属4aが分布する形態となるもので ればよいが、特には、その金属膜4’が5nm以 上200nm以下、好ましくは10nm以上40nm以下の粒 を持つ金属粒4”の集合体であることが好ま い。こうした範囲の金属粒4”からなる金属 膜4’は、その金属粒4”の周縁の膜厚が薄い で、例えば化学反応等によって容易に絶縁 の金属化合物3bにすることができるととも 、粒状金属4aの平均直径を5nm以上200nm以下と ることができる。その結果、エミッタ電極1 とコレクタ電極2との間を流れる電流の透過 を容易に形成できるので、縦型有機トラン スタ11の製造コストを低減することができる 。

 部分絶縁化工程は、上記のように、粒状 属4aの平均直径を5nm以上200nm以下とするまで 行う。具体的には、図6(A)に示すような金属 4”からなる金属膜4’を反応ガス中で化学反 応させ、図6(B)に示すような粒状金属4aが前記 の平均直径になるまで反応を行う。化学反応 させるための反応ガス雰囲気としては、酸素 雰囲気、酸素窒素混合雰囲気、高湿度雰囲気 下等を挙げることができるが、好ましくは酸 素雰囲気であり、容易に酸化処理することが できる。金属粒4”の集合体からなる金属膜4 を酸化処理することにより、金属粒4”の周 りに絶縁性金属酸化物4bを容易に形成するこ ができ、その絶縁性金属化合物4bをエミッ 電極1とコレクタ電極2間に流れる電流の透過 部として作用させることができる。

 このような部分絶縁化工程により、粒状 属4aの平均直径を所定の範囲内ものとすれ 、粒状金属4aの平均直径を従来のベース電極 である金属層の幅よりも著しく微細化するこ とができるので、粒状金属4aの周りに形成さ て電流の透過部として作用する絶縁性金属 合物4bを、層状連続体4内に多く(高い密度で )形成することが容易となる。

 (上側有機半導体層形成工程)
 この工程は、層状連続体4上に上側有機半導 体層3aを形成する工程である。層状連続体4上 への上側有機半導体層3aの形成は、既に例示 た有機半導体材料の材質や特性等を考慮し 塗布法や蒸着法等から任意に選択される。 のときの厚さ等についても既述した通りで る。

 (上部電極形成工程)
 この工程は、上側有機半導体層3a上にエミ タ電極1を形成する工程である。上側有機半 体層3a上へのエミッタ電極1の形成方法は、 に例示したエミッタ電極1の材質と上側有機 半導体層3aの種類や耐熱性等とを考慮し、真 蒸着法、スパッタリング法、CVD法等から任 に選択される。

 これらの各工程を経て縦型有機トランジ タ11が製造されるが、エミッタ電極1上には 必要に応じて、PVP (ポリビニルピロリドン)  等からなる保護層や、酸化ケイ素や酸窒化 イ素等からなるガスバリア層を形成しても い。

 以上、本発明の縦型有機トランジスタの 造方法によれば、下側有機半導体層3b上に 状連続体4を形成する工程を備えるが、この 程で形成された層状連続体4は、粒状金属4a らなる部分が従来のパターンエッチングさ た中間電極(ベース電極)として作用し、粒 金属4aが形成されていない絶縁性金属化合物 4bからなる部分が従来の開口部として作用す 。こうした形態からなる層状連続体4におい ては、開口部として作用する絶縁性金属化合 物4bの部分が、エミッタ電極1(上部電極)とコ クタ電極2(下部電極)との間を流れる電流の 過部となる。こうした方法を採用すれば、 えば薄膜状の金属(金属膜4’)を形成した後 化学反応等によって絶縁性の金属化合物4b 容易に形成することができるので、製造さ た縦型有機トランジスタの製造コストを低 することができる。

 こうして形成された縦型有機トランジス 11は、低電圧で大電流変調が可能なトラン スタとして機能することから、例えば下記 示す発光素子21を構成するスイッチング素子 である駆動トランジスタとして好ましく適用 できる。

 [発光素子]
 次に、発光素子について説明する。図7は、 本発明の発光素子の一例を示す模式的な断面 構成図である。図7に例示した本発明の発光 子21は、陽極(コレクタ電極2)と陰極(エミッ 電極1)との間に有機発光層25が設けられてい 発光素子部22と、エミッタ電極1とコレクタ 極2との間の有機半導体3(3a,3b)中に層状連続 4が設けられている縦型有機トランジスタ11 、を基板10上に有している。具体的には、 板10側から、コレクタ電極2、発光素子部22、 下側有機半導体層3b、層状連続体4、上側有機 半導体層3a、エミッタ電極1の順で積層されて いる。この発光素子部22に電荷を与える電極 、図7の例では、コレクタ電極2が陽極とし 作用して正孔注入層23に正孔を注入し、エミ ッタ電極1は陰極として作用して上側有機半 体層3aに電子を注入する。以下、この発光素 子21について、縦型有機トランジスタ11以外 構成について説明する。

 (発光素子部)
 発光素子部22は、図7に示すように、コレク 電極2と下側有機半導体層3bとの間に設けら 、具体的には、発光素子部22は、コレクタ 極2側から、正孔注入層23、正孔輸送層24、有 機発光層25の順で積層されている。なお、発 素子部22の構成は、有機発光層25を必須の構 成として有すれば、正孔注入層23、正孔輸送 24、電子輸送層、及び電子注入層から選ば る1又は2以上の層は必要に応じて任意に設け られていればよく、図7に示す例に限定され い。また、その他の層として、正孔ブロッ 層、電子ブロック層等のように、キャリア( 孔、電子)のつきぬけを防止し、効率よくキ ャリアの再結合させるための電荷ブロック層 を設けてもよい。

 正孔注入層23の形成材料としては、例え 、有機発光層25の発光材料に例示した化合物 の他、フェニルアミン系、スターバースト型 アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウ ム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化 アルミニウムなどの酸化物、アモルファスカ ーボン、ポリアニリン、ポリチオフェンなど の誘導体等を挙げることができる。

 正孔輸送層24の形成材料としては、フタ シアニン、ナフタロシアニン、ポリフィリ 、オキサジアゾール、トリフェニルアミン トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロ 、ピラゾリン、テトラヒドロイミダゾール ヒドラゾン、スチルベン、ペンタセン、ポ チオフェン若しくはブタジエン、又はこれ の誘導体等、正孔輸送材料として通常使用 れるものを用いることができる。また、正 輸送層24の形成材料として市販されている、 例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェ /ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バ イエル社製、商品名;Baytron P AI4083、水溶液 して市販。)等も使用することができる。正 輸送層24は、こうした化合物を含有した正 輸送層形成用塗液を用いて形成される。な 、これらの正孔輸送材料は、上記の有機発 層25内に混ぜてもよいし、正孔注入層23内に ぜてもよい。

 有機発光層25の形成材料としては、有機EL 素子の発光層として一般的に用いられている 材料であれば特に限定されず、例えば色素系 発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発 光材料等を挙げることができる。

 色素系発光材料としては、例えば、シク ペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタ エン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、 キサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン 導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチ ルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チ フェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリ ン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフ ン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オ サジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマ 等を挙げることができる。

 金属錯体系発光材料としては、例えば、 ルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノー ベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛 体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチ 亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロ ウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等、又 Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子に キサジアゾール、チアジアゾール、フェニ ピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、 ノリン構造等を有する金属錯体等を挙げる とができる。

 高分子系発光材料としては、例えば、ポ パラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオ ェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、 リシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、 リビニルカルバゾール、ポリフルオレノン 導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキ リン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙 ることができる。

 有機発光層25中には、発光効率の向上や 光波長を変化させる等の目的でドーピング 等の添加剤を添加するようにしてもよい。 ーピング剤としては、例えば、ペリレン誘 体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キ クリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポ フィリン誘導体、スチリル色素、テトラセ 誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カ バゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙 ることができる。

 電子輸送層は、図7に示す例では、下側有 機半導体層3bと上側有機半導体層3aが電子輸 層として作用する。その形成材料としては 既述の通りであるのでここではその説明を 略する。なお、この電子輸送層の形成材料 、有機発光層25内に混ぜてもよい。

 電子注入層は、図7中には示してないが、 エミッタ電極1と上側有機半導体層3aとの間に 設けることができる。電子注入層の形成材料 としては、例えば、アルミニウム、フッ化リ チウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム 、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウ ム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸 化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カル シウム、ポリメチルメタクリレートポリスチ レンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシ ウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金 属類、及びアルカリ金属類のハロゲン化物、 アルカリ金属の有機錯体等を挙げることがで きる。

 上述した各層は、真空蒸着法によって成 するか、あるいは、それぞれの形成材料を ルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、 トラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒に 解又は分散させて塗布液を調整し、その塗 液を塗布装置等を用いて塗布又は印刷等す ことで形成される。

 また、必要に応じて、正孔ブロック層、 子ブロック層等として機能する励起ブロッ 層を設けてもよい。この励起ブロック層は キャリア(正孔、電子)が有機発光層25を突き 抜けるのを防止し、効率よくキャリアを再結 合させるための層であり、例えば、有機発光 層25のコレクタ電極2側の隣接面に正孔ブロッ ク層を設けたり、有機発光層25のエミッタ電 1側の隣接面に電子ブロック層を設けること により、各電極から注入された正孔や電子が 有機発光層25を突き抜けるのを防ぐことがで る。その形成材料としては、BCP(1-ブロモ-3- ロロプロパン)を例示できる。

 また、縦型有機トランジスタ11からの出 電流を発光素子部22に面均一に与えるように 等電位層(図示しない)を設けてもよい。等電 層は、図7の例では、例えば有機発光層25と 側有機半導体層3bとの間に設けることがで る。等電位層の形成材料としては、比抵抗 小さい材料が好ましく、例えば、Al、Ag、Au Cr等の金属材料が好ましく用いられる。

 以上、本発明の発光素子21によれば、エ ッタ電極1とコレクタ電極2との間に流れる電 流量を大幅に変調することができる縦型有機 トランジスタ11を備えるので、その変調電流 陽極として作用するエミッタ電極1と陰極と して作用するコレクタ電極2との間の有機発 層25に発光電流として印加することができる 。その結果、有機発光層25の発光輝度等の制 性を高めることができるとともに、コスト 減を図ることができる。

 以下、種々の実験を行って本発明をさら 具体的に説明する。なお、本発明は以下の に限定解釈されることはない。

 (実験例1)
 厚さ150nmの透明ITO電極(コレクタ電極)が形成 された厚さ1mmのガラス基板を準備した。その ITO電極付きガラス基板を真空チャンバー内に セットし、そのITO電極上に、ペリレン系顔料 (Me-PTC)を厚さ200nmとなるように蒸着法で形成 て下側有機半導体層を形成した。次に、そ 下側有機半導体層上に、アルミニウム金属 を厚さ20nmとなるように真空蒸着法で形成し が、その際、その金属膜が、平均粒径30nmの 多数の金属粒(グレイン)によって形成される うに蒸着レートを0.1nm/秒~1nm/秒の範囲で設 した(実際は、1nm/秒で成膜した。)。アルミ ウム金属膜を形成した素子(図6(A)参照)を大 雰囲気下で120℃に加温した環境に保持し、 のアルミニウム金属膜を構成する金属粒の 縁を酸化させて、粒状のアルミニウム金属 酸化アルミニウムとからなる層状連続体を 成した(図6(B)参照)。次いで、再び真空チャ バーに戻して厚さ40nmのフラーレンC60を蒸着 て上側有機半導体層を形成し、さらにAgを 着してエミッタ電極を形成し、さらに窒素 囲気下で封止処理を行った。なお、封止処 は、2枚のガラスを紫外線硬化樹脂で貼り合 せることで行った。こうして実験例1の縦型 有機トランジスタを作製した。

 図8(A)は層状連続体の断面形態を示すTEM像 であり、図8(B)は酸素マッピングしたもので る。これらの写真より、層状連続体を構成 る酸化アルミニウムは、粒状金属であるア ミニウム金属が内部に分布した態様からな ことが確認できる。

 (実験例2)
 実験例1において、アルミニウム金属膜を形 成した素子を大気雰囲気下で加温せずに25℃ 保持した他は、実験例1と同様にして実験例 2の縦型有機トランジスタを作製した。

 (実験例3)
 実験例1において、アルミニウム金属膜を形 成した素子を窒素ガス雰囲気下で120℃に加温 した環境に保持した他は、実験例1と同様に て実験例3の縦型有機トランジスタを作製し 。

 (実験例4)
 実験例1において、アルミニウム金属膜を形 成した素子を窒素ガス雰囲気下で加温せずに 25℃に保持した他は、実験例1と同様にして実 験例4の縦型有機トランジスタを作製した。

 (電流変調に及ぼす影響)
 次に、実験例1~実験例4で得られた縦型有機 ランジスタを用い、種々のガス雰囲気で形 した層状連続体がコレクタ電流の電流変調 及ぼす影響を検討した。図9は、その結果を 示すグラフである。測定は、2台のソースメ ャーユニットを用い、一定のコレクタ電圧 印加した状態でベース電圧を変化させたと の、コレクタ電流、ベース電流を測定する とで行った。なお、ベース電極は非常に薄 、また加熱処理によって層状連続体内の粒 金属膜となっているため、一般的な金属膜 比べ、抵抗が非常に高い。その結果、配線 で電圧降下を引き起こし、動作領域に印加 れるベース電圧を減少させ、電流変調特性 低下する。そこで、ベース電極の抵抗の増 が生じないように、下部電極作成時に動作 域Aの近傍までITOを予めバスラインとして作 したもので測定した(図3及び図4を参照)。

 図9に示すように、アルミニウム金属膜を 大気雰囲気下に保持した実験例1,2の場合は、 電圧Vbの走査に対する電流変調が確認され、 に120℃に加温した実験例1においては大きな 電流変調が確認された。一方、アルミニウム 金属膜を窒素雰囲気下に保持した実験例3,4の 場合は、電流変調を確認できなかった。この 結果は、実験例1,2においては、アルミニウム 金属膜が絶縁性の酸化アルミニウムに変化し 、その酸化アルミニウムの内部に粒状のアル ミニウム金属が存在する形態(図8を参照)とな っているため、粒状のアルミニウム金属間に ある酸化アルミニウムが電流を透過する透過 部(開口部)として作用しているためと考えら る。一方、実験例3,4においては、非酸化性 窒素雰囲気下で保持されたので、アルミニ ム金属膜が絶縁性の酸化アルミニウムに変 ぜず、電流を透過する透過部(開口部)が形 されなかったためと考えられる。

 (実験例5)
 実験例1において、下側有機半導体層である 厚さ200nmのペリレン系顔料(Me-PTC)の代わりに さ100nmのCuPcを蒸着法で形成し、さらに、上 有機半導体層である厚さ40nmのC60の代わりに さ60nmのペンタセンを蒸着法で形成した他は 、実験例1と同様にして実験例5の縦型有機ト ンジスタを作製した。このときに得られた 状連続体の断面形態のTEM像を図10に示す。 の場合においても、中間電極である層状連 体内には、グレイン形状からなる粒状金属 確認された。

 (実験例6)
 実験例1において、下側有機半導体層である 厚さ200nmのペリレン系顔料(Me-PTC)の厚さを100nm となるように蒸着法で形成した他は、実験例 1と同様にして実験例6の縦型有機トランジス を作製した。

 (実験例7)
 実験例1において、下側有機半導体層である 厚さ200nmのペリレン系顔料(Me-PTC)の代わりに さ100nmのペンタセンを蒸着法で形成し、さら に、上側有機半導体層である厚さ40nmのC60の わりに厚さ60nmのペンタセンを蒸着法で形成 た他は、実験例1と同様にして実験例7の縦 有機トランジスタを作製した。

 (実験例8)
 実験例1において、下側有機半導体層である 厚さ200nmのペリレン系顔料(Me-PTC)の代わりに さ80nmのNPDを蒸着法で形成し、アルミニウム 属膜を厚さ8nmとなるように形成し、さらに 上側有機半導体層である厚さ40nmのC60の代わ りに厚さ60nmのNPDを蒸着法で形成し、大気雰 気下での加熱温度を60℃にした他は、実験例 1と同様にして実験例8の縦型有機トランジス を作製した。

 (実験例9)
 実験例1において、下側有機半導体層である 厚さ200nmのペリレン系顔料(Me-PTC)の代わりに さ100nmのポリ-3ヘキシルチオフェンをスピン ート法で形成し、アルミニウム金属膜を厚 6nmとなるように形成し、さらに、上側有機 導体層である厚さ40nmのC60の代わりに厚さ30n mのポリ-3ヘキシルチオフェンをスピンコート 法で形成し、大気雰囲気下での加熱温度を80 にした他は、実験例1と同様にして実験例9 縦型有機トランジスタを作製した。

 (増幅率の評価)
 図9において測定したのと同様の方法により 、実験例1,5~9の縦型有機トランジスタの電流 調特性を測定した結果を図11~図14に示す。 施例1と実施例6の縦型有機トランジスタは、 n型材料であるのに対し、実施例5と実施例7~9 縦型有機トランジスタは、p型材料であり、 両者は電流変調特性のバイアス方向が反対に なっているが本発明においては本質的な違い ではない。得られた結果から、ベース電流の 変化量に対するコレクタ電流の変化量を増幅 率と定義し、増幅率の最大値を算出した。そ の結果、実験例1は増幅率が1000以上であり、 験例5は増幅率が200~300であり、実験例6は増 率が100~200であり、実験例7、8、9は増幅率が 0.1~10であった。この結果より、適切なグレイ ン粒の場合にのみベース電極として効果的に 機能するということが言える。

 (実験例10)
 発光素子を作製した。発光素子は、先ず、 さ150nmの透明ITO電極(コレクタ電極)が形成さ れた厚さ1mmのガラス基板を準備し、そのITO電 極付きガラス基板のITO電極上に、CuPcからな 厚さ5nmの正孔注入層と、真空蒸着法で形成 たNPDからなる厚さ30nmの正孔輸送層と、真空 着法で形成したAlq 3 からなる厚さ50nmの有機発光層とをその順で 成した。次いで、その励起ブロック層上に 実験例1と同様に、ペリレン系顔料(Me-PTC)か なる下側有機半導体層を形成し、アルミニ ム金属膜を形成した後に酸化処理して層状 続体を形成し、さらに、厚さ40nmのフラーレ C60からなる上側有機半導体層と、Agを蒸着 からなるエミッタ電極を形成し、さらに窒 雰囲気下で封止処理を行って、実験例10の発 光素子を作製した。封止処理は実験例1と同 とした。

 こうして得られた発光素子は、ベース電 0Vを印加したときは、発光が全く観測され かったが、ベース電圧を1Vを印加することで 、緑色の発光が観測された。