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Title:
INK TUBE FOR INKJET PRINTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051063
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an ink tube for inkjet printers, which has excellent flexibility and workability, while being small in compression set as well as in water vapor permeability and air permeability. Specifically, an ink tube for inkjet printers is made from a thermoplastic elastomer composition which contains a rubber component containing a butyl rubber at a ratio of not less than 30% by mass but not more than 80% by mass, not less than 5 parts by mass but not more than 50 parts by mass of an olefin thermoplastic resin per 100 parts by mass of the rubber component, and not less than 10 parts by mass but not more than 100 parts by mass of a hydrogenated styrene thermoplastic elastomer per 100 parts by mass of the rubber component. In this thermoplastic elastomer composition, the rubber component is finely dispersed by dynamic crosslinking.

Inventors:
NAKANO HIROAKI (JP)
OKUYAMA HIDEYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068376
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO RUBBER IND (JP)
NAKANO HIROAKI (JP)
OKUYAMA HIDEYUKI (JP)
International Classes:
B41J2/175; C08J3/24; C08L23/02; C08L23/16; C08L23/22; C08L53/02; F16L11/04
Foreign References:
JP2004142364A2004-05-20
JP2002226666A2002-08-14
JP2002069244A2002-03-08
JP2002226066A2002-08-14
JP2001342301A2001-12-14
JP2001187647A2001-07-10
Attorney, Agent or Firm:
OWADA, Kazumi (11-20 Nishitemma 1-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 47, JP)
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Claims:
 ブチル系ゴムを30質量%以上80質量%以下の割合で含有したゴム成分と、
 前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下のオレフィン系熱可塑性樹脂と、
 前記ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを含み、
 前記ゴム成分が動的架橋により微分散されている熱可塑性エラストマー組成物から成形されてなることを特徴とするインクジェットプリンター用インクチューブ。
 全組成物における前記オレフィン系熱可塑性樹脂の含有率が15質量%以下である請求項1に記載のインクジェットプリンター用インクチューブ。
 前記ゴム成分としてブチル系ゴムとともにエチレン-プロピレン-ジエンゴムを含んでいる請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター用インクチューブ。
 前記熱可塑性エラストマー組成物を樹脂押し出し法によりチューブ状に押し出して成形されてなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インクチューブ。
 ASTM D 1434 Methods5に準拠して測定した空気透過性が70[g・mm/m 2 ・day・atm(23℃)]以下、JIS K6253に準拠して測定したタイプAデュロメータ硬さが60以下、JIS K6262に準拠して測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮率25%で測定した圧縮永久ひずみが30%以下である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インクチューブ。
Description:
インクジェットプリンター用イ クチューブ

 本発明は、インクジェットプリンター用 ンクチューブに関し、詳しくは、動的架橋 ムが分散された熱可塑性エラストマー組成 から成形されたインクジェットプリンター チューブに関し、特に、優れた柔軟性と加 性を有すると共に、水蒸気や空気の透過性 小さく、かつ、圧縮永久ひずみが小さいも である。

 インクジェットプリンターには、インク 輸送するためにインクチューブがインクヘ ドに連結されている。該インクチューブは インクヘッドをクリーニングした際に廃イ クをヘッド外へ除去したり、インクタンク らインクヘッドにインクを供給したりする めに用いられる。

 これらのインクチューブは、内部のイン の乾燥および劣化を防ぐために、水蒸気透 性及び空気透過性が小さいことが求められ 。また、耐キンク性(チューブの折り曲がり に対する性能)が必要となるため、適度な柔 性が求められる。

 この種のインクチューブに関して、近年、 ムに比べて加工性およびリサイクル性に優 た熱可塑性エラストマーを用いたものが提 されている。
 本出願人は、特開2004-142364号公報(特許文献1 )において、オレフィン系熱可塑性樹脂中に チルゴムの含有割合を30重量%以上としたゴ 成分が動的架橋により微分散され、ショアA 度が70以下である熱可塑性エラストマー組 物を用いて成形されてなるインクジェット リンター用インクチューブを提供している 該インクチューブは、柔軟性を向上させ、 蒸気透過性や空気透過性を小さくしている

特開2004-142364号公報

 しかしながら、近年のインクジェットプリ ターの小型化に伴い、インクチューブも小 化することが求められている。このインク ェットプリンター装置及びインクチューブ 小型化により、特にインクタンク等の可動 に接続されるインクチューブは折り曲げて 置される場合があるため、更なる柔軟性の 上及び折り曲げられた場合の戻り性の向上 求められている。
 さらに、インクジェットプリンター内部に 熱がこもり、高温環境となるため、一層の 熱性を有することが求められている。

 本発明は、前記課題に鑑みてなされたも であり、優れた柔軟性と加工性を有すると に、水蒸気や空気の透過性が小さく、かつ 圧縮永久ひずみが小さいインクジェットプ ンター用インクチューブを提供することを 題としている。

 前記課題を解決するため、本発明は、ブチ 系ゴムを30質量%以上80質量%以下の割合で含 したゴム成分と、
 前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以 上50質量部以下のオレフィン系熱可塑性樹脂 、
 前記ゴム成分100質量部に対して、10質量部 上100質量部以下の水素添加スチレン系熱可 性エラストマーを含み、
 前記ゴム成分が動的架橋により微分散され いる熱可塑性エラストマー組成物から成形 れてなることを特徴とするインクジェット リンター用インクチューブを提供している

 本発明者らは、鋭意研究した結果、イン ジェットプリンター用インクチューブ(以下 、単に「インクチューブ」とも称す)を、ゴ 成分としてブチル系ゴムと他のゴム成分を み合わせ、ブチル系ゴムの含有割合をゴム 分全体に対して30~80質量%とし、さらに前記 ム成分を動的架橋して分散させるマトリッ スとしてオレフィン系熱可塑性樹脂と水素 加スチレン系熱可塑性エラストマーの混合 を特定の配合割合で用いた熱可塑性エラス マー組成物から成形することで、前記課題 解決することができることを知見した。即 、前記熱可塑性エラストマー組成物から成 されてなるインクチューブは、加工性に優 ながら、柔軟かつ低硬度で、圧縮永久ひず が小さく、さらに水蒸気や空気の透過性が 常に小さいという特性を有する。

 特に、水素添加スチレン系熱可塑性エラス マーを前記配合割合で配合することにより 加工性を損なわず、耐水蒸気透過性、耐空 透過性等の特性は良好としたまま、硬さ及 圧縮永久ひずみの両方を小さくすることが きる。このように低硬度、低圧縮永久ひず の成分を含むことによって、本発明のイン ジェットプリンター用インクチューブを好 しい硬さ、好ましい圧縮永久ひずみに調整 ることができる。インクチューブを形成す 熱可塑性エラストマー組成物の加工性を向 するには、オレフィン系樹脂または/及び水 素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを増 量すればよいが、オレフィン系樹脂のみを増 量した場合、圧縮永久ひずみが著しく悪化し てしまう。
 オレフィン系樹脂のみを増量した場合の圧 永久ひずみの悪化は、特に高温において著 いが、前記配合割合で配合することにより 圧縮永久ひずみの悪化を抑えることができ 。

 さらに、前記水素添加スチレン系熱可塑性 ラストマーを配合する理由としては、オイ 等の可塑剤と親和性が良い点がある。より 軟性が要求される場合においてオイル等の 塑剤を加えて硬さを調整することは良く行 れることであるが、水素添加スチレン系熱 塑性エラストマーはオイル等の可塑剤と親 性が良いために可塑剤を加えた場合の加工 容易であり、かつ成形物からの可塑剤のブ ードを防ぐことができる。
 さらに、水素添加スチレン系熱可塑性エラ トマーは水素添加により二重結合が飽和さ ているため、ゴム成分の動的架橋を阻害し いことも水素添加スチレン系熱可塑性エラ トマーを用いる理由として挙げられる。

 以下、本発明のインクジェットプリンタ 用インクジェットチューブを形成する熱可 性エラストマー組成物の各成分について詳 に説明する。

 前記ブチル系ゴムとしては公知の化合物を いてよいが、例えばイソブチレン-イソプレ ン共重合ゴム、ハロゲン化イソブチレン-イ プレン共重合ゴムまたはその変性物が挙げ れる。変性物としてはイソブチレンとp-メチ ルスチレンの共重合体の臭素化物等が挙げら れる。
 ブチル系ゴムにおける不飽和度(イソブチレ ン-イソプレン共重合ゴムの場合はイソプレ 量)は通常0.6~2.5mol%である。
 ハロゲン化イソブチレン-イソプレン共重合 ゴムのハロゲンは塩素または臭素が好適な例 として上げられる。ハロゲンの含有量は通常 1.1~2.4質量%である。
 ブチル系ゴムとしては1種類を単独で使用し ても良いし、2種類以上を組み合わせて用い よい。なかでも、イソブチレン-イソプレン 重合ゴムを含むことが好ましく、イソブチ ン-イソプレン共重合ゴムを単独で含むこと がより好ましい。

 ブチル系ゴムを他のゴム成分と組み合わせ 用いても良いが、前記のように、ブチル系 ムの含有割合がゴム成分全体に対し30~80質 %とすることで、水蒸気透過性や空気透過性 小さくしつつ、高い加工性を確保している
 即ち、前記配合割合としているのは、ゴム 分中においてブチル系ゴムを30質量%未満し 含んでいないと、ブチル系ゴムが持つ耐水 気透過性・耐空気透過性を発揮できないか である。一方、ブチル系ゴムをゴム成分全 の80質量%より多く含むと高い加工性を発揮 きない。これは、ブチル系ゴムはムーニー 度が高いため動的架橋を行う際に困難が生 たり、粘着性が強いため得られる熱可塑性 ラストマー組成物に粘着性が生じ、加工が 易ではなくなることによる。

 ブチル系ゴムと組み合わせる「他のゴム成 」は特に限定されないが、例えば、イソプ ンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジ ンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ア リロニトリルブタジエンゴムなどのニトリ 系ゴム、水素化ニトリル系ゴム、ノルボル ンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレ -プロピレン-ジエンゴム、アクリルゴム、 チレン・アクリレートゴム、フッ素ゴム、 ロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピ ロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ウレ ンゴム、多硫化ゴム、フォスファンゼンゴ または1,2-ポリブタジエン等が挙げられる。
 なかでも「他のゴム成分」としては、ブチ ゴムと相溶性の良いゴム、例えば、天然ゴ 、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチ ンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、1,2- ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタ ジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴ 等が良い。
 前記他のゴム成分は1種類を単独で使用して も良いし、2種類以上を組み合わせて用いて い。
 さらに、「他のゴム成分」としては加工性 よいゴム成分が好ましく、特にエチレン-プ ロピレン-ジエンゴム(以下、EPDMゴムという) 良好な加工性を有するうえにブチル系ゴム の相溶性に優れていることから好適に用い れる。

 EPDMゴムにはゴム成分のみからなる非油展 タイプのEPDMゴムとゴム成分とともに伸展油 含む油展タイプのEPDMゴムとが存在するが、 発明ではいずれのタイプのものも使用可能 ある。EPDMゴムにおけるジエンモノマーの例 としては、ジシクロペンタジエン、メチレン ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4 -ヘキサジエンまたはシクロオクタジエンな が挙げられる。

 本発明で用いる前記オレフィン系熱可塑 樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリ ロピレン、エチレンエチルアクリレート樹 、エチレンビニルアセテート樹脂、エチレ -メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂また は塩素化ポリエチレン等が挙げられ、そのう ちポリプロピレンまたはポリエチレンを用い ることが好ましい。なかでもポリプロピレン を用いることがより好ましい。ポリプロピレ ンはポリエチレンに比べて流動性が良く、か つブチル系ゴムとの相溶性も良いからである 。

 オレフィン系熱可塑性樹脂の含有量は、 記のように、ゴム成分100質量部に対して15 量部以上50質量部以下とし、優れた柔軟性を 維持しつつ高い加工性を確保している。前記 配合割合としているのは、オレフィン系熱可 塑性樹脂をゴム成分100質量部に対して50質量 より多く含むとゴム成分の配合割合が相対 に小さくなり、ゴム弾性由来の優れた柔軟 を発揮できないことによる。一方、オレフ ン系熱可塑性樹脂を15質量部未満しか含ん いないと、好ましい流動性が確保できず動 架橋を行う際に困難が生じたり、熱可塑性 ラストマー組成物の加工性に問題が生じる とによる。

 さらに、オレフィン系熱可塑性樹脂の含有 は全組成物中15質量%以下であることが好ま く、10~15質量%であることがより好ましい。
 これは、オレフィン系熱可塑性樹脂の含有 が全組成物中15質量%を超えると硬度が上昇 るため柔軟性に欠け、ゴム弾性が発揮され くく、耐キンク性が悪くなり、好ましくな からである。一方で、オレフィン系熱可塑 樹脂の含有量が少ないと、動的架橋に困難 きたし加工性が悪くなる場合があることか 、オレフィン系熱可塑性樹脂の含有量は全 成物中10質量%以上であることが好ましい。

 本発明で用いる前記水素添加スチレン系 可塑性エラストマーとしては、スチレン系 ノマーを主体とする重合体ブロック(A)と共 ジエン化合物を主体とするブロック(B)のブ ック共重合体の共役ジエン重合単位を水素 加したものを例示することができる。前記 チレン系モノマーとしては、スチレン、α- チルスチレン、ビニルトルエンまたはt-ブ ルスチレンなどが挙げられる。これらモノ ーは1種類のみを使用しても良いし、2種以上 を組み合わせて用いても良い。スチレン系モ ノマーとしては、なかでもスチレンが好まし い。また前記共役ジエン化合物としては、ブ タジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3- メチルブタジエンなどが挙げられる。これ は1種類のみを使用しても良いし、2種以上を 組み合わせて用いても良い。

 前記水素添加スチレン系熱可塑性エラスト ーとして、具体的には、スチレン-エチレン -スチレン共重合体(SES)、スチレン-エチレン/ ロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン -エチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共 合体(SEEPS)またはスチレン-エチレン/ブチレ -スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。
 なかでも、スチレン-エチレン-エチレン/プ ピレン-スチレン共重合体(SEEPS)を用いるこ が特に好ましい。

 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー 含有割合を、前記のように、ゴム成分100質 部に対して10質量部以上100質量部以下とし 、良好な加工性、及び小さな圧縮永久ひず を発揮させている。
 前記配合割合としているのは、水素添加ス レン系熱可塑性エラストマーをゴム成分100 量部に対して100質量部より多く含むと動的 橋によって架橋されたゴム成分が持つ小さ 圧縮永久ひずみを発揮できないことによる 一方、水素添加スチレン系熱可塑性エラス マーを10質量部未満しか含んでいないと、 工性が悪化すると共に熱可塑性エラストマ 組成物は高硬度を示し、柔軟性が要求され インクジェットプリンター用インクチュー には好ましくない。

 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ とオレフィン系熱可塑性樹脂との混合割合 使用するエラストマーおよび樹脂に応じて 切な混合割合を決定できるが、オレフィン 熱可塑性樹脂100質量部に対して水素添加ス レン系熱可塑性エラストマーが30質量部以 300質量部以下とすることが好ましい。これ 、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ の混合量が30質量部未満であると本発明の熱 可塑性エラストマー組成物からなる成形物の 硬度が高くなりやすいことによる。一方、水 素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの混 合量が300質量部より多いと相対的にオレフィ ン系熱可塑性樹脂の割合が低くなり、熱可塑 性樹脂を混合した効果、例えば加工性の向上 等が見られないからである。

 本発明のインクジェットプリンター用イン チューブを形成する熱可塑性エラストマー 成物においては、ブチル系ゴムを含むゴム 分が動的架橋されてオレフィン系熱可塑性 脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラスト ーの混合物中に分散されている。ゴム成分 動的架橋はせん断力を加えつつ架橋を行え よく、例えば二軸スクリュー押出機を用い 行うことができる。
 このようにせん断力を加えながら架橋を行 と組成物中のゴム粒子径を数μm~数十μmにす ることができ、微分散させることができる。

 前記ゴム成分を動的架橋する架橋剤とし は、組成物中のゴム成分を架橋できれば特 限定されず、公知の架橋剤を用いることが きる。例えば、硫黄、樹脂架橋剤、金属酸 物または有機過酸化物などが挙げられる。 のうち、樹脂架橋剤は、硫黄と加硫促進剤 を用いた架橋物によく見られるブルームの 題が起こりにくいため好ましい。

 前記樹脂架橋剤は加熱等によってゴム成分 架橋反応を起こさせる合成樹脂であり、本 明においては特に限定されず、公知の樹脂 橋剤を用いることができる。
 樹脂架橋剤としては、例えばフェノール樹 、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリ ジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメ キシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる なかでもフェノール樹脂を用いると、給紙 構を構成する部材として用いたときに給紙 能を高めることができるため好ましい。
 フェノール樹脂の具体例としては、フェノ ル、アルキルフェノール、クレゾール、キ レノールもしくはレゾルシン等のフェノー 類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ もしくはフルフラール等のアルデヒド類と 反応により合成される各種フェノール樹脂 挙げられる。フェノール樹脂のアルデヒド ニットに少なくとも一個のハロゲン原子が 合したハロゲン化フェノール樹脂を用いる ともできる。
 特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位に ルキル基が結合したアルキルフェノールと ホルムアルデヒドとの反応によって得られ アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹 が、ゴム成分との相溶性に優れるとともに 応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較 早くできるので好ましい。アルキルフェノ ル・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は 通常、炭素数が1から10のアルキル基であり 具体的にはメチル基、エチル基、プロピル またはブチル基等が挙げられる。また、こ アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹 のハロゲン化物も好適に用いられる。
 また、硫化-p-第三ブチルフェノールとアル ヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフ ノール樹脂や、アルキルフェノール・スル ィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能であ 。

 前記樹脂架橋剤の配合量は、前記ゴム成 100質量部に対して1~50質量部であることが好 ましい。これは、樹脂架橋剤の配合量が1質 部未満では架橋が不十分となるため圧縮永 ひずみ等の物性が劣ることとなる一方、樹 架橋剤の配合量が50質量部を超えるとインク チューブの硬度が高くなりすぎる場合がある からである。前記配合量は8~15質量部である とがより好ましい。

 動的架橋反応を適切に行うために架橋活性 を用いてもよい。架橋活性剤としては金属 化物が使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛 好ましい。
 架橋活性剤の配合量はゴム成分の物性が十 発揮される量であればよいが、例えば前記 ム成分100質量部に対して0.5~10質量部である とが好ましく、さらには1~10質量部であるこ とがより好ましい。

 前記有機過酸化物としては、ゴム成分を 橋できる化合物であれば特に限定されない 、例えばベンゾイルパーオキサイド、1,1-ビ ス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシ ロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイル パーオキシ)ヘキサン、ジ(tert-ブチルパーオ シ)ジイソプロピルベンゼン、1,4-ビス[(tert- チル)パーオキシイソプロピル]ベンゼン、ジ (tert-ブチルパーオキシ)ベンゾエート、tert-ブ チルパーオキシベンゾエート、ジクミルパー オキシド、tert-ブチルクミルパーオキシド、2 ,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキ サン、ジtert-ブチルパーオキシドまたは2,5-ジ メチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)-3-ヘキセ ン等が挙げられる。これらは1種類を単独で いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い もよい。

 前記有機過酸化物の配合量はゴム成分100質 部に対し0.2~3.0質量部であることが好ましい 。これは、有機過酸化物の配合量が0.2質量部 未満ではゴム成分の架橋が不十分となるため 圧縮永久ひずみ等の物性が劣ることとなる一 方、有機過酸化物の配合量が3.0質量部を超え ると分子切断による物性低下が起ってしまう うえに分散不良などが発生して加工も困難と なることによる。
 有機過酸化物の配合量に関し、下限はゴム 分100質量部に対し0.5質量部以上であること より好ましく、1.0質量部以上であることが に好ましい。また、上限はゴム成分100質量 に対し2.5質量部以下が好ましく、2.0質量部 下が特に好ましい。

 前記有機過酸化物とともに共架橋剤を配合 てもよい。共架橋剤とはそれ自身も架橋す とともにゴム分子とも反応して架橋し全体 高分子化する働きをするものである。この 架橋剤を用いて共架橋することにより架橋 子の分子量が増大し、耐摩耗性等を向上さ ることができる。
 前記共架橋剤としては、例えば多官能性モ マー、メタクリル酸あるいはアクリル酸の 属塩、メタクリル酸エステル、芳香族ビニ 化合物、複素環ビニル化合物、アリル化合 、1,2-ポリブタジエンの官能基を利用した多 官能ポリマー類、ジオキシム類等が挙げられ る。
 有機過酸化物とともに共架橋剤を配合する 合、当該共架橋剤の配合量は共架橋剤の種 または用いる他の成分との関係で適宜選択 ることができるが、ゴム成分100質量部に対 て好ましくは5質量部以上20質量部以下、よ 好ましくは10質量部以上15質量部以下とする 。

 本発明のインクジェットプリンター用イン チューブを形成する熱可塑性エラストマー 成物には、本発明の目的に反しない限り他 成分を配合してもよい。
 他の成分としては、例えば、適度な柔軟性 弾性を与えるために、必要に応じて軟化剤 配合することができる。
 軟化剤としてはオイルや可塑剤が挙げられ 。オイルとしては、例えばパラフィン系、 フテン系、芳香族系等の鉱物油や炭化水素 オリゴマーからなるそれ自体公知の合成油 またはプロセスオイルを用いることができ 。合成油としては、例えばα-オレフィンと オリゴマー、ブテンのオリゴマー、エチレ とα-オレフィンとの非晶質オリゴマーが好 しい。可塑剤としては、フタレート系、ア ペート系、セパケート系、ホスフェート系 ポリエーテル系、ポリエステル系等の可塑 が挙げられ、より具体的には例えばジオク ルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP) 、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチルア ペート(DOA)等が挙げられる。
 軟化剤の配合量はゴム成分100質量部に対し 600質量部以下であることが好ましく、400質 部以下であることがより好ましい。軟化剤 前記範囲より多く配合すると、組成物の表 から軟化剤がブリードしたり、あるいは軟 剤が架橋阻害を起こしてゴム成分が十分に 橋されず物性が低下してしまうことがある らである。軟化剤の配合量の下限は特に限 されず、軟化剤を添加した効果、すなわち 的架橋時におけるゴム成分の分散性をより 化する効果が得られればよいが、通常は15 量部以上である。
 軟化剤を配合する方法としては、動的架橋 の組成物に加えて混練する方法や、予め組 物中の一部の成分に加えて混練しておいて ら全体と混練する方法等が挙げられる。
後者は、例えば、油展EPDMゴムを組成物に加 る方法や、油展した水素添加スチレン系熱 塑性エラストマーを用いる方法がある。
 なお、油展EPDMゴムや油展した水素添加スチ レン系熱可塑性エラスマー等を用いた場合は 伸展油が軟化剤としての役割も果たす。ゆえ に、伸展油の量を軟化剤の配合量に勘案する 。

 機械的強度を改善するために、必要に応じ 充填剤等を配合することができる。
 充填剤としては、例えばシリカ、カーボン ラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム 酸化チタン、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩 性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を げることができる。
 充填剤はゴム成分100質量部に対して30質量 以下で配合するのが好ましい。充填剤の比 が前記範囲を超えると、柔軟性が低下して まうことがあるからである。

 また、受酸剤を配合することもできる。ゴ 成分としてクロロプレンゴム、エピクロロ ドリンゴム、ハロゲン化イソブチレン-イソ プレン共重合ゴムなどのハロゲンを含むゴム を用いた場合、受酸剤を配合することにより 動的架橋時に発生するハロゲン系ガスの残留 を防止することができる。
 受酸剤としては酸受容体として作用する種 の物質を用いることができるが、マグネシ ムまたはカルシウムの炭酸塩などが好適な として挙げられる。また、ハイドロタルサ ト類または酸化マグネシウムを用いること できる。
 受酸剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対 0.1質量部以上10質量部以下であることが好 しく、0.5質量部以上5質量部以下であること より好ましい。

 そのほか、前記熱可塑性エラストマー組成 においては、滑剤、老化防止剤、酸化防止 、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、難燃 、中和剤、造核剤または気泡防止剤等の添 剤を適宜配合してもよい。
 滑剤としては、例えば高級脂肪酸アミドま は不飽和脂肪酸アミド等が挙げられる。
 老化防止剤としては、例えば2-メルカプト ンゾイミダゾールなどのイミダゾール類;フ ニル-α-ナフチルアミン,N,N’-ジ-6-ナフチル- p-フェニレンジアミンもしくはN-フェニル-N’ -イソプロピル-p-フェニレンジアミンなどの ミン類;または2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェ ノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブ チルフェノール)もしくは2,5-ジ-tert-ブチルハ ドロキノンなどのフェノール類等が挙げら る。

 本発明のインクジェットプリンター用イン チューブを形成する熱可塑性エラストマー 成物は、例えば、以下のような方法で製造 ることができる。
 まず、少なくともブチル系ゴムを含むゴム 分、オレフィン系熱可塑性樹脂、水素添加 チレン系熱可塑性エラストマーおよび架橋 、所望によりその他の添加剤を投入してヘ シェルミキサー、スーパーミキサー等の混 機で混練、もしくはタンブラーを用いて混 する。全ての成分を一度に混練・混合して 良いし、一部の成分を予め混練・混合した ち残りの成分を加えて混練・混合してもよ 。
 この混練物あるいは混合物を一軸もしくは2 軸押出機またはニーダー等に投入し、せん断 力を加えつつ150~250℃に加熱しながら架橋剤 よりゴム成分を動的架橋し、オレフィン系 可塑性樹脂および水素添加スチレン系熱可 性エラストマーの混合物中にゴム成分を分 させる。

 前記動的架橋は、塩素、臭素、フッ素また ヨウ素等のハロゲンの存在下で行ってもよ 。動的架橋時にハロゲンを存在させるには 上述したハロゲン化されたゴム成分を用い か、ハロゲン供与性物質を配合すればよい 前記ハロゲン供与性物質としては、塩化第 スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄、塩化第二 等が挙げられる。また、例えば塩素化ポリ チレンなどのハロゲン化樹脂を用いてもよ 。ハロゲン供与性物質は1種類の物質を単独 で用いてもよく、2種以上の物質を併用して よい。
 前記のようにして得られた熱可塑性エラス マー組成物は、後工程のためにペレット状 するのが良い。これにより良好な成形性を ることができる。

 本発明のインクジェットプリンター用イ クジェットチューブは、ペレット状とされ 前記熱可塑性エラストマー組成物を樹脂押 出し法によりチューブ状に押し出して成形 れてなることが好ましい。これにより良好 押し出し肌が得られると共に、加工性・成 性がさらに優れ、加硫ゴムに比べて生産速 も速く、生産性をより向上することができ 。その他、インジェクション成形等の方法 より成形することもできる。

 このようにして得られたインクチューブは ASTM D 1434 Methods5に準拠して測定した空気 過性が70[g・mm/m 2 ・day・atm(23℃)]以下であることが好ましく、 れによりインクチューブ外周側に存在する 素等の透過に起因するインクの劣化を防止 ることができる。
 また、インクチューブの水蒸気透過性は、0 .60以下であることが好ましく、0.55であるこ がより好ましい。これによりインクチュー 内周側に流通できるインク中に含まれる水 の蒸発を防ぎ、インクの固化を防止するこ ができ、チューブ詰まりを防止することが きる。
 水蒸気透過性は、実施例に記載の方法で測 している。

 また、インクチューブは、JIS K6253に準拠し て測定したタイプAデュロメータ硬さが60以下 であることが好ましい。
 タイプAデュロメータ硬さを60以下としてい のは、特に、小型のインクジェットプリン ーのインクタンク等の可動部に接続される ンクチューブにおいて、60よりも大きいと 分な柔軟性や可撓性が得られず、使用時に ンク(チューブの折れ曲がり)によりインクが 流れ難くなったり、作動時にチューブとの継 ぎ手の強度に影響を及ぼすことがあるからで ある。

 また、インクチューブのJIS K6262に準拠して 測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮率25%で 定した圧縮永久ひずみが30%以下であること 好ましい。
 これは圧縮永久ひずみが30%を超えると寸法 化が大きくなりすぎ、インクチューブの変 時の戻りが悪くなりやすいためである。ま 、継ぎ手と連結したチューブ端部が継ぎ手 ら外れやすくなるためである。

 本発明のインクジェットプリンター用イ クチューブは、チューブ形状で、前記熱可 性エラストマー組成物から成形されてなる のであれば、長さ、外径、肉厚等は特に限 されない。しかし、水蒸気や空気の透過性 、柔軟性及び可撓性のバランスを図る観点 ら、肉厚は0.5mm~3mmであることが好ましい。

 本発明のインクジェットプリンター用イ クチューブは、ゴム成分としてブチル系ゴ と他のゴム成分を組み合わせ、ブチル系ゴ の含有割合をゴム成分全体に対して30~80質 %とし、さらに前記ゴム成分を動的架橋して 散させるマトリックスとしてオレフィン系 可塑性樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性 ラストマーの混合物を特定の配合割合で用 た熱可塑性エラストマー組成物から成形さ ているので、優れた柔軟性と加工性を併せ つとともに、かつ、低圧縮永久ひずみを実 することができる。そのため、優れた可撓 を有しているにも関わらず、チューブが変 等しても戻りが良く、小型のインクジェッ プリンター内においても配置形態の制限も なく、良好なインク流れを維持することが きる。また、本発明のインクチューブは、 蒸気や空気の透過性が非常に小さいため、 ンクの水分蒸発や劣化を抑制することがで る。

 また、樹脂押し出し成形により成形可能 あるため、表面状態が良好であり、生産性 高めることができ、インクチューブとして 性能な材料を低コストで生産することがで る。

 従って、インクジェットプリンターにお てインクヘッド等に連結されてインクを輸 するためのインクチューブとして好適であ 、インクヘッドをクリーニングした際に廃 ンクをヘッド外へ除去したり、インクタン からインクヘッドにインクを供給したりす ために用いることができる。

本発明のインクジェットプリンター用 ンクチューブの模式図である。

符号の説明

  10 インクチューブ
   10a 内周面
   10b 外周面

 以下、本発明の実施形態を図面を参照して 明する。
 図1は、本発明のインクジェットプリンター 用のインクチューブ10を示す。
 インクチューブ10は、インクジェットプリ ターにおいてインクヘッド等に連結されて ンクを輸送するために用いられるものであ 、インクヘッドをクリーニングした際に廃 ンクをヘッド外へ除去したり、インクタン からインクヘッドにインクを供給したりす ために用いられる。
 具体的には、インクチューブ10の中空部内 インクが流通してインクチューブ10の内周面 10aとインクとが接触し、インクチューブ10の 周面10bと外気が接触した状態で使用される

 インクチューブ10は、熱可塑性エラスト ー組成物から成形されており、該熱可塑性 ラストマー組成物は、ブチル系ゴムを30質量 %以上80質量%以下の割合で含有したゴム成分 、該ゴム成分100質量部に対して、5質量部以 50質量部以下のオレフィン系熱可塑性樹脂 、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上 100質量部以下の水素添加スチレン系熱可塑性 エラストマーを含み、前記オレフィン系熱可 塑性樹脂と水素添加スチレン系熱可塑性エラ ストマーとの混合物からなるマトリクス成分 中に前記ゴム成分が動的架橋により微分散さ れている。

 前記ゴム成分としてブチル系ゴムとEPDMゴ ムを含む。ブチル系ゴムとしてはイソブチレ ン-イソプレン共重合ゴムを用いることが好 しい。ブチル系ゴムとEPDMゴムの比率は、ブ ル系ゴムがゴム成分全体に対して30~80質量% 好ましくは50~70質量%となるように、一方、E PDMゴムがゴム成分全体に対して20~70質量%、好 ましくは30~50質量%となるようにしている。

 前記オレフィン系熱可塑性樹脂としてはポ プロピレンを用いている。
 オレフィン系熱可塑性樹脂は前記ゴム成分1 00質量部に対して15~50質量部配合されている とが好ましく、20~40質量部配合配合されてい ることがより好ましい。さらに、オレフィン 系熱可塑性樹脂の含有量が全組成物中の10~15 量%であることが好ましい。
 前記水素添加スチレン系熱可塑性エラスト ーとしてはスチレン-エチレン-エチレン/プ ピレン-スチレン共重合体を用いることが好 ましい。水素添加スチレン系熱可塑性エラス トマーは前記ゴム成分100質量部に対して10~100 質量部配合されていることが好ましく、10~80 量部配合されていることがより好ましく、1 5~60質量部配合されていることがさらに好ま い。
 オレフィン系熱可塑性樹脂と水素添加スチ ン系熱可塑性エラストマーの混合割合は、 レフィン系熱可塑性樹脂100質量部に対して 素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが5 0~200質量部であることが好ましい。

 ゴム成分を架橋するための架橋剤としては 脂架橋剤が好ましく、特にフェノール系樹 架橋剤を用いることが好ましい。該樹脂架 剤は、ゴム成分100質量部に対して1~20質量部 、好ましくは8~15質量部配合している。
 さらにまた、架橋反応を適切に行うために 橋活性剤として酸化亜鉛を含む。酸化亜鉛 ゴム成分100質量部に対して1~10質量部配合す ることが好ましい。

 さらに、軟化剤としてパラフィン系プロ スオイルを含む。パラフィン系プロセスオ ルはゴム成分100質量部に対して15~250質量部 好ましくは15~150質量部、さらに好ましくは2 0~100質量部配合している。

 本発明のインクチューブ10を形成する前記 可塑性エラストマー組成物は、以下の方法 製造しているが、該方法に限定されない。
 前記成分を所要の配合比にしてタンブラー 投入し、混合する。混合時間は15分とする 得られた混合物を2軸押出機に投入して、150~ 250℃、好ましくは180~200℃で動的架橋を行い ゴム成分を均一に分散させ、熱可塑性エラ トマー組成物のペレットを取得している。

 この熱可塑性エラストマー組成物のペレッ を樹脂押し出し法により押出機によりチュ ブ状に押し出し、図1に示すインクジェット プリンター用のインクチューブ10を成形して る。
 具体的には、インクチューブ10は、ペレッ を押出温度190~220℃で単軸押出機を用いてチ ーブ状に押し出し、所要長さにカットして 製している。

 インクチューブ10は、前記熱可塑性エラス マー組成物から成形されてなるものであれ 、いかなる形状を有するものであってもよ 。しかし、外径2mm~10mm、肉厚0.5mm~3mmのチュー ブとするのが好ましい。
 肉厚が0.5mm未満では薄すぎて低い水蒸気透 性・空気透過性を保つことができないおそ があり、3mmを超えるとインクチューブの柔 性、可撓性が不足し、プリンター内で屈曲 せにくくなるためである。

 前記インクチューブ10は、ASTM D 1434 Methods5 に準拠して測定した空気透過性[単位:g・mm/m 2 ・day・atm(23℃)]が70以下、実施例に記載の方 で測定した水蒸気透過性が0.60以下、JIS K6253 に準拠して測定したタイプAデュロメータ硬 が40以上50以下、JIS K6262に準拠して測定温度 70℃、測定時間24時間、圧縮率25%で測定した 縮永久ひずみが20%以上30%以下となる物性を する。
 この範囲の物性を有するインクチューブは インクチューブとして要求される諸機能を 分に発揮することができる。即ち、良好な 軟性及び変形時の戻り性を有し、耐キンク にも優れ、かつ、インクチューブの内周側 流れるインクの水分の蒸発及び劣化を防ぐ とができる。

 以下、本発明の実施例および比較例につい 詳述する。
 表1に記載の成分を用いて動的架橋された熱 可塑性エラストマー組成物を作製し、さらに 得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い てインクジェットプリンター用のインクチュ ーブを製造した。

 使用した材料は下記の通りである。
・ブチル系ゴム;イソブチレン-イソプレン共 合ゴム(エクソンモービル社製「ブチル268( 品名)」) 
・他のゴム成分;EPDMゴム(住友化学(株)製「エ プレン670F(商品名)」)
 (当該EPDMゴムは油展ゴムであり、50質量%の ロセスオイルを含む。したがって、加えたEP DMゴムの質量のうち50質量%分を表中「他のゴ 成分」の欄に記載し、残りの50質量%分を「 化剤」として扱った。すなわち、表中「軟 剤」の欄には、下記パラフィン系プロセス イルの量とEPDMゴムの伸展油の量との総和を 記載している。)
・オレフィン系樹脂;ポリプロピレン樹脂(日 ポリケミカル社製「BC6(商品名)」)
・水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー ;スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-ス レン共重合体((株)クラレ製「セプトン4077( 品名)」)
・樹脂架橋剤;ハロゲン化アルキルフェノー 樹脂架橋剤(田岡化学工業(株)製「タッ  キ ール250-III(商品名)」)
・軟化剤;パラフィン系プロセスオイル(出光 産(株)製「ダイアナプロセスオイルP  W-380( 商品名)」)
・酸化亜鉛;酸化亜鉛2種(三井鉱山(株)製)

 製造方法は下記の通りとした。
 表1に記載の成分を表1に示した割合で配合 、タンブラーにて混合した後、2軸押出機(ア イベック製「HTM38」)にて180~200℃に加熱しな ら回転数200rpmで混練して動的架橋を行い、 可塑性エラストマー組成物を作製し、ペレ ト化した。
 得られたペレットをφ50単軸押出機((株)笠松 加工研究所製)を用いて190~220℃、20rpmにて押 成形し、インクチューブを成形した。
 得られた実施例のインクチューブの外径は4 .0mm±0.1mm、肉厚は1.0mm±0.1mmであった。なお、 ンクチューブの外径及び肉厚の測定は投影 を用いて行った。

 実施例および比較例のインクチューブにつ て後述する方法により各種評価を行った。 価結果は表1に示す。
(動的架橋における加工性)
 動的架橋を行った際のペレット形状を以下 2段階で評価した。
○:良好。動的架橋されており、均一なペレ トが得られた。
×:不可。流動性が悪く、粉末状の組成物しか 得られなかった。
(硬さ)
 JIS K 6253に準拠して、雰囲気温度23℃、相 湿度55%の恒温恒湿条件下にてタイプAデュロ ーター硬さ試験を行った。
(圧縮永久ひずみ)
 JIS K6262に準拠して、測定温度70℃、測定時 24時間、圧縮率25%にて測定した。
(水蒸気透過性)
 成形したインクチューブを100mm長さに切断 、チューブ内部に一定質量の純水を注入し 両端をクリップで封した。この純水を封し インクチューブの質量(初期質量)を測定した 後、温度50℃、湿度55%のオーブン内に7日間静 置後、再び質量を測定し、初期質量からの差 から減少した水の質量を求めた。(減少した の質量)/(注入した水の質量)から、水蒸気透 性を計算した。
(空気透過性)
 ASTM D1434 Methods5の試験法により、23℃の条 で行った。単位は[g・mm/m 2 ・day・atm]である。

(加工性試験)
 インクチューブの押出成形を行う際、成形 の表面の平滑さおよび押出機口金に発生す 目ヤニの量を評価した。評価は目視にて行 、以下の3段階評価とした。
○:非常に良好。成形物の表面は平滑であり 押出機口金に目ヤニは発生しなかった。
△:可。成形物の表面に所々平滑でない点が られたか、あるいは、押出機口金にまれに ヤニが発生した。
×:不可。成形物の表面にしばしば平滑でない 点が見られたか、あるいは、押出機口金にし ばしば目ヤニが発生する。

 実施例および比較例の試験結果より、ブチ 系ゴムの含有量が少ない熱可塑性エラスト ー組成物を用いた比較例1では、水蒸気透過 性や空気透過性が大きく、インクチューブと して好ましい特性が得られなかった。一方、 ブチル系ゴムの含有量が多い比較例2では水 気透過性や空気透過性が小さいものの加工 が悪く、好ましくなかった。
 オレフィン系熱可塑性樹脂の含有量が少な 比較例3では動的架橋に困難をきたし、成形 物が得られず、その後の評価を行うことがで きなかった。一方、オレフィン系熱可塑性樹 脂の含有量が多い比較例4では、硬さが高く り、圧縮永久ひずみも大きく、好ましくな った。
 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー 含有量が少ない比較例5では加工性が悪く、 硬さもやや大きめとなり、好ましくなかった 。一方、水素添加スチレン系熱可塑性エラス トマー含有量が多い比較例6では圧縮永久ひ みがやや大きく、また加工性も良好でない め、好ましくなかった。

 これに対し、実施例1~3のインクチューブ 、動的架橋時の流動性に優れ成形が容易で る上に加工性も優れていた。さらに、優れ 柔軟性を有するとともに、水蒸気透過性や 気透過性が小さく、さらに圧縮永久ひずみ 小さく、インクチューブとして優れていた