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Title:
IODINE COMPOUND PRODUCTION SYSTEM AND PRODUCTION PROCESS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096446
Kind Code:
A1
Abstract:
An iodine compound production system (100) which comprises: a raw-material preparation unit (1) in which a hydrogen-containing gas is supplied to at least either of liquid iodine in an iodine-melting tank (4) and gaseous iodine obtained by vaporizing the liquid iodine to thereby obtain a mixed gas; a hydrogen iodide generation unit (10) which includes a hydrogen iodide generation column (12) having a catalyst layer (12a) where the mixed gas introduced is converted to crude hydrogen iodide gas; a hydrogen iodide purification unit (20) in which the iodine remaining unreacted is removed from the crude hydrogen iodide gas introduced to thereby obtain hydrogen iodide gas; and an iodine compound generation unit (30) in which a target iodine compound is produced from the hydrogen iodide gas obtained and a starting material. Thus, a high-purity iodine compound can be easily and efficiently produced at low cost.

Inventors:
KANBE SATOSHI
HOSONO KAZUMI
WADA MASAHIRO
Application Number:
PCT/JP2009/051421
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 29, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPOH CHEMICALS (JP)
KANBE SATOSHI
HOSONO KAZUMI
WADA MASAHIRO
International Classes:
C01B7/13; B01D53/14; B01D53/18; B01J23/42
Foreign References:
JP2005255514A2005-09-22
JPH1087301A1998-04-07
JPH0959003A1997-03-04
JP2004315332A2004-11-11
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi,2-chome Kita,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 41, JP)
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Claims:
 ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物製造システムであって、
 水素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触させることにより生成される粗ヨウ化水素ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させることにより、ヨウ化水素ガスを得る精製器を備えたヨウ化水素精製ユニットを備えていることを特徴とするヨウ素化合物製造システム。
 固体ヨウ素を溶融し、液化させた液状ヨウ素を貯留するヨウ素貯留槽、および、水素を含む水素含有ガスを供給する水素供給器を備えた原料調整ユニットであって、上記ヨウ素貯留槽に貯留されている液状ヨウ素および当該液状ヨウ素を気化させることにより得られるガス状ヨウ素の少なくともいずれかに対して、上記水素供給器から供給される水素含有ガスを供給することにより、ガス状ヨウ素および水素を含む混合ガスを得る原料調整ユニットと、
 上記原料調整ユニットにおいて得られた混合ガスを粗ヨウ化水素ガスとする触媒からなる触媒部を有するヨウ化水素生成器を備えたヨウ化水素生成ユニットと、
 上記ヨウ化水素精製ユニットにおいて得られたヨウ化水素ガスと、当該ヨウ化水素ガスに対して反応性を有する反応原料とを接触させることにより、ヨウ素化合物を生成するヨウ素化合物生成器備えたヨウ素化合物生成ユニットと、
をさらに備えていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ素貯留槽は、当該ヨウ素貯留槽を加熱するヨウ素貯留槽加熱器を備えていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ化水素生成ユニットは、上記触媒部を加熱する触媒部加熱器を備えていることを特徴とする請求の範囲第2項または第3項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ化水素精製ユニットは、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を循環させる循環機構を備えており、
 上記循環機構は、上記精製器に戻される上記精製溶液を冷却する冷却器を備えていることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ素化合物生成器には、上記反応原料溶液を流す流路が設けられているとともに、上記流路に上記ヨウ化水素ガスを導入するガスノズルが接続されていることを特徴とする請求の範囲第2項から第5項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記原料調整ユニットは、上記混合ガスにおける上記ガス状ヨウ素と上記水素との組成を均一とするガス混合器をさらに備えていることを特徴とする請求の範囲第2項から第6項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記原料調整ユニットは、上記混合ガスを加熱する混合ガス加熱器をさらに備えていることを特徴とする請求の範囲第2項から第7項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記混合ガス加熱器は、上記ガス混合器に備えられていることを特徴とする請求の範囲第8項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記混合ガス加熱器および上記ガス混合器は、上記ヨウ化水素生成器に備えられていることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記原料調整ユニットの少なくともヨウ素との接触面の材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、およびポリテトラフルオロエチレンから選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求の範囲第2項から第10項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ化水素生成ユニットのヨウ化水素およびヨウ素との接触面の材質は、ハステロイ、耐熱ガラス、セラミック、および白金から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求の範囲第2項から第10項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 本発明に係るヨウ素化合物製造システムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユニットおよび上記ヨウ素化合物生成ユニットの材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、白金、ポリ塩化ビニル、およびポリテトラフルオロエチレンから選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求の範囲第2項から第10項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ化水素精製ユニットにおける精製器は、充填物を充填した充填塔を備えており、当該充填塔には、上記粗ヨウ化水素ガスおよび当該粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を導入する導入口が設けられていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 上記ヨウ化水素精製ユニットにおける精製器は、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応のヨウ素を除去する精製溶液を貯留する精製槽と、当該精製槽に上記粗ヨウ化水素ガスを供給する供給器と、を備えていることを特徴とする請求項の範囲第1項に記載のヨウ素化合物製造システム。
 ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物製造方法であって、
 水素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触させることにより生成される粗ヨウ化水素ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させることにより、ヨウ化水素ガスを得るヨウ化水素精製工程を含むことを特徴とするヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ化水素精製工程における精製溶液は、飽和ヨウ化水素溶液であることを特徴とする請求の範囲第16項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記飽和ヨウ化水素溶液の溶媒は、水、ケトン類、エーテル類、アルコール類、および芳香族化合物の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求の範囲第17項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ化水素精製工程では、充填物を充填した充填塔内において、上記粗ヨウ化水素ガスと上記精製溶液とを気液接触させることを特徴とする請求の範囲第16項から第18項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ化水素精製工程では、上記粗ヨウ化水素ガスを上記精製溶液中に吹き込むことにより気液接触させることを特徴とする請求の範囲第16項から第18項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記触媒は、少なくとも1種類以上の白金族元素を酸化物および活性炭の少なくともいずれか一方に分散担持させたものであることを特徴とする請求の範囲第16から第20項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 固体のヨウ素を加熱して得られる液状ヨウ素に、当該液状ヨウ素に対して不活性なガスおよび水素の少なくともいずれかを含むガスを接触させ、ガス状ヨウ素を得るガス状ヨウ素生成工程と、
 上記ガス状ヨウ素および水素を含む混合ガスを上記触媒存在下で接触還元させ、粗ヨウ化水素ガスを生成するヨウ化水素生成工程と、
 上記ヨウ化水素精製工程において得られたヨウ化水素ガスを用いて、ヨウ素化合物を製造するヨウ素化合物生成工程と、をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第16項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記混合ガス中のガス状ヨウ素に対する水素のモル比を、上記ヨウ化水素生成工程の前までに、0.5~10の範囲内とすることを特徴とする請求の範囲第22項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ素化合物生成工程では、無機塩基化合物溶液に対して、上記ヨウ化水素ガスを接触させることを特徴とする請求の範囲第22項または第23項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ素化合物生成工程において得られる無機ヨウ化物溶液を乾燥する乾燥工程をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第24項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ素化合物生成工程では、アルコール類含有溶液または芳香族ジアゾニウム溶液に対して、上記ヨウ化水素ガスまたは上記ヨウ化水素ガスを溶質とする溶液を接触させることを特徴とする請求の範囲第22項から第25項のいずれか1項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 上記ヨウ素化合物生成工程において得られる有機ヨウ化物溶液を精製する有機ヨウ化物精製工程をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第26項に記載のヨウ素化合物製造方法。
 請求の範囲第16から第21項に記載のヨウ素化合物製造方法におけるヨウ化水素生成工程において得られたヨウ化水素。
 上記ヨウ化水素に含有されるヨウ素の含有量は、上記ヨウ化水素に含有される全成分の重量を100重量%としたとき、少なくとも2重量%以下であることを特徴とする請求の範囲第28項に記載のヨウ化水素。
 請求の範囲第29項に記載のヨウ化水素を水に溶解して得られたヨウ化水素酸。
Description:
ヨウ素化合物製造システムおよ 製造方法

 本発明は、ヨウ素化合物の製造システム よび製造方法に関し、特には、簡便な方法 より高純度なヨウ素化合物を製造するシス ムおよび方法に関する。

 従来、ヨウ素化合物の製造方法としては 様々な方法が知られている。例えば、ヨウ 化合物の製造方法の一例として、以下の特 文献1から7および非特許文献1から3を挙げる ことができる。

 特許文献1には、アルカリ水溶液にヨウ素 を添加して反応させて、ヨウ素酸塩をアルミ ニウムや亜鉛で還元する方法が開示されてい る。また、特許文献2には、アルカリ水溶液 ヨウ素を添加した後、硫化水素で還元する 法が開示されている。特許文献3には、ヨウ またはヨウ素酸塩をアルカリまたは中性下 、アルカリ金属アマルガムにより還元する 法が開示されている。特許文献4には、ヨウ 素の水酸化アルカリ水溶液に、ギ酸、シュウ 酸、マロン酸などの有機還元剤を作用する方 法が開示されている。特許文献5には、水酸 カリウム溶液にヨウ素を加え、これに還元 としてギ酸を添加する方法が開示されてい 。特許文献6には、水酸化カリウムまたは、 酸アルカリに還元剤として、ヒドラジンを いてヨウ素を反応させる方法が開示されて る。特許文献7には、水酸化カリウム溶液に ギ酸を添加して中和後、これに化学量論量よ り多めのヨウ素を加えて反応させ、生成物中 の遊離ヨウ素を硫化カリウムで処理する方法 が開示されている。特許文献8には、酸化物 たは活性炭に高分散させた白金族触媒を用 て、水素含有ガスとガス状ヨウ素とを接触 元により反応させるヨウ化水素の製造方法 および生成したヨウ化水素ガスを水または ルカリ水溶液で回収する方法が開示されて る。

 また、非特許文献1には、100℃に加熱した 白金上にヨウ素を飽和させた水素気流を通す 方法が記載されている。非特許文献2には、 ウ化水素酸を炭酸水素カリウムと混合中和 、弱アルカリ性の状態で硫化水素で未反応 ヨウ素を処理してヨウ化カリウムを製造す 方法が開示されている。非特許文献3には、 ウ素と水酸化カリウムとからヨウ化カリウ を合成するにあたり副生するヨウ素酸カリ ムを結晶化し、600℃の温度に加熱すること より分解して除去する方法が開示されてい 。

 従来、ヨウ素化合物の原料として用いら るヨウ化水素の製造方法としては、赤リン 水とヨウ素とを化学反応させて得る方法が 般的である。また、上記のヨウ化水素の製 方法とは別のヨウ化水素(またはヨウ化水素 酸)の製造方法として、例えば、特許文献9~16 ような技術が開示されている。

 特許文献9~16に記載の技術について、以下に 具体的に説明する。特許文献9には、亜リン またはピロリン酸などの水溶液を還元剤と て、ヨウ素からヨウ化水素酸を製造する方 が開示されている。特許文献10には、水、二 酸化硫黄およびヨウ素からヨウ化水素酸を製 造する方法が開示されている。特許文献11に 、鉄触媒の存在下、アンモニアおよびヨウ からヨウ化水素を製造する製造方法が開示 れている。特許文献12には、リン酸水溶液 五酸化二リンと金属ヨウ化物との反応によ て、無水ヨウ化水素を製造する製造方法が 示されている。特許文献13には、ヨウ素とテ トラヒドロナフタリンとからヨウ化水素を製 造する製造方法が開示されている。特許文献 8には、水素含有ガスとガス状ヨウ素とを触 存在下において接触還元することによりヨ 化水素を製造する製造方法が開示されてい 。また、特許文献14~16には、電気化学的手法 を用いて高純度のヨウ化水素を製造する製造 方法が開示されている。

米国特許第2,828,184号明細書

米国特許第3,402,995号明細書

日本国公開特許公報「特開昭31-8013号公 」

日本国公開特許公報「特開平1-261224号公 」

露国特許第560826号明細書

日本国公開特許公報「特開昭61-48403号公 」

露国特許第497233号明細書

日本国公開特許公報「特開2005-255514号公 」

日本国公開特許公報「特開平8-59205号公 (1996年3月5日公開)」

米国特許第4,150,094号明細書(1979年4月17日 開)

米国特許第3,278,264号明細書(1966年10月11日 公開)

日本国公開特許公報「特開平9-86902号公 (1997年3月31日公開)」

米国特許第4,357,309号明細書(1982年11月2日 開)

日本国公開特許公報「特表平11-503203号公 報(1999年3月23日公表)」

米国特許第4,053,376号明細書(1977年10月11日 公開)

日本国公開特許公報「特開平9-54197号公 (1997年2月25日公開)」

欧州特許第0714849号明細書(1996年6月5日公 )

日本国公開特許公報「特開2005-289936号公 (2005年10月20日公開)」 化学大辞典編集委員会編、「化学大辞典 」、縮刷版第28版、共立出版株式会社、昭和5 9年3月15日発行、第9巻、p410 社会法人日本化学会編、「新実験化学講 座」、丸善株式会社、昭和52年3月20日発行、 8巻、p522 Jacqueline I. Kroschwitz著、「Encyclopedia of C hemical Technology」、第4版、JOHN WILEY & SONS 1996年、第19巻、p1084

 しかし、上記特許文献1から7および非特 文献2および3に記載のヨウ素化合物の製造方 法では、いずれもヨウ素分子を出発物質とし て用いるために、還元剤を使用する必要があ る。そのため、目的とするヨウ素化合物を単 離する際に、還元剤や副生成物の除去を行う 必要がある。また、用いる還元剤によっては 、毒性を示すなど取り扱いが困難な場合もあ る。

 より具体的には、特許文献1、特許文献7 よび非特許文献3に記載の方法では、反応後 副生成物を除去しなくてはならない問題が る。特許文献2、特許文献3および特許文献6 記載の方法では、取り扱いが困難である還 剤を使用しなくてはならない問題がある。 らに、特許文献4および特許文献5に記載の 法では、ギ酸やシュウ酸などの扱いやすい 元剤を用いているが、還元速度が遅く、ま 、反応系に仕込んだヨウ素に対して得られ ヨウ素化合物の量が少ない(すなわち、収率 低い)という問題がある。非特許文献2では 未反応のヨウ素を除去する際に硫化水素を いる必要がある。なお、非特許文献1には、 ウ化水素の具体的な製造方法については開 されておらず、特許文献8には、接触還元反 応によるヨウ化水素の製造方法について開示 されているのみであり。具体的にヨウ化物一 般についての開示はなされていない。

 上述のように、還元剤や副生成物の除去 しなくてはならないことや、取り扱いが困 である還元剤を使用することは、煩雑な工 を増やす一因となる。また、煩雑な工程が くなることは、製造コストの増加を招き、 いては最終生成物の価格の高騰にもつなが 。それゆえ、簡便であり、効率がよく、さ には製造コストを抑えたヨウ素化合物の製 方法の開発が望まれている。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その主たる目的は、簡便であ 、効率がよく、さらには廉価にヨウ素化合 を製造することができる製造方法および製 システムを提供することである。

 また、赤リンと水とヨウ素とを化学反応 せてヨウ化水素を得る方法では、反応終了 、反応により生成する副生成物および反応 おいて残余した未反応のヨウ素を除去する 理が必要となる。

 未反応のヨウ素を除去するための方法と ては、一般的に、ヨウ化水素を含有するガ を冷却して除去する方法、またはヨウ化水 を含有する溶液に還元剤を用いて還元処理 る方法がある。しかし、これらの処理方法 、非常に煩雑であると共に処理条件も極め 厳しく、またヨウ化水素の損失が大きいた 効率的ではない。したがって、これらの処 方法を用いることによって、効率よく高純 のヨウ化水素を得ることは困難である。

 また、特許文献9に記載の方法では、蒸留 による副生成物の除去および還元または活性 炭による未反応のヨウ素の除去を行う必要が ある。特許文献10に記載の方法では、副生す 硫酸および未反応のヨウ素を除去する除去 理を行う必要がある。特許文献11に記載の 法では、生成したヨウ化水素、未反応のヨ 素およびアンモニアを水酸化カリウムに通 ことによって未反応のヨウ素およびアンモ アを除去する除去処理を行う必要がある。 許文献12の記載の方法では、副生する金属リ ン酸塩を除去する除去処理を行う必要がある 。特許文献13に記載の方法では、生成した副 成物であるナフタレンを除去する除去処理 必要となる。特許文献8に記載の方法では未 反応のヨウ素を除去する除去処理を行う必要 がある。

 すなわち、特許文献8~13に記載の方法であ っても未反応のヨウ素、およびヨウ化水素が 分解することによって生じるヨウ素を、生成 したヨウ化水素(またはヨウ化水素酸)から除 することは煩雑であり、かつ非効率的な処 は依然として必要である。また、反応にお て生じる副生成物を除去するための処理条 および煩雑さについてもヨウ素の除去と同 に容易ではない。したがって、これらの技 を用いて効率よく高純度のヨウ化水素を得 ことは依然として困難である。

 ヨウ化水素を生成する反応において残余 た未反応のヨウ素、および当該化学反応に いて生成する副生成物の少なくともいずれ を除去する方法については、粗ヨウ化水素 ゼオライトにより処理する方法(例えば、特 許文献17参照)、ならびにヨウ化水素、水およ び高沸点物成分から、ヨウ素を分離する方法 がある(例えば、特許文献18参照)。

 しかし、特許文献17に記載の方法におい 用いるゼオライトは比較的高価であり、再 して再利用する必要があると共に、ゼオラ ト自体が強酸性であるヨウ化水素に侵され しまうという問題を有する。また、特許文 18に記載の方法では、使用したメタノールな どを蒸留して回収する必要がある。すなわち 、特許文献18に記載の方法であっても、使用 た物質を回収し、再生するための煩雑な処 を必要とする問題を有している。

 また、特許文献14~16に記載の技術では、 ウ化水素の製造に電気を使用するため、工 的に生産をするには、莫大な製造コストが 要であり、電気化学的手法を用いたヨウ化 素の製造方法を工業生産に応用することは 常に困難である。

 なお、従来の赤リンと水とヨウ素とを化 反応させてヨウ化水素を得る方法では、ヨ 化水素酸を得ることを主目的としており、 ウ化水素ガスおよび未反応のヨウ素を生じ いように反応させている。したがって、ヨ 化水素含有ガスからヨウ素を除去する研究 ほとんど行われていない。例えば、特許文 8に記載の技術では、生成させたヨウ化水素 含有ガスを回収する回収方法については記載 されているものの、ヨウ化水素含有ガスから 未反応のヨウ素を除去(分離)する方法につい は何ら記載されていない。

 本発明は、上述した問題点に鑑みてなさ たものでもあり、その目的は、高純度のヨ 化水素を極めて容易に、かつ効率良く製造 ることである。なお、上記製造方法を用い 製造したヨウ化水素、および当該ヨウ化水 を水に溶解したヨウ化水素酸も併せて提供 る。

 本発明に係るヨウ素化合物製造システムは 上記課題を解決するために、
 ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製 するヨウ素化合物製造システムであって、 素ガスとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で 触させることにより生成される粗ヨウ化水 ガスに対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含 されるヨウ化水素以外の物質を溶解し、か 、ヨウ化水素を溶解しない精製溶液を接触 せることにより、ヨウ化水素ガスを得る精 器を備えたヨウ化水素精製ユニットを備え いることを特徴としている。

 上記の構成によれば、ヨウ化水素を溶解 ることなくヨウ化水素以外の物質を溶解す 精製溶液を用いるため、気液接触させる際 、粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素以外の 質のみを効率良く除去することができる。

 また、上記の構成におけるヨウ化水素精 ユニットは、気体と液体との気液接触によ 精製を行う。そのため、従来のような、被 製物質と精製物質とが同一の状態(気体と気 体、または液体と液体)である場合に必要で った、精製後における精製物質の分離処理 必要としない。したがって、従来のヨウ化 素精製ユニットに比べて、極めて容易に、 製したヨウ化水素を得ることができる。

 すなわち、上記の構成によれば、単に粗 ウ化水素ガスと精製溶液とを接触させるだ にもかかわらず、粗ヨウ化水素ガスに含ま るヨウ化水素をほとんど損失することなく 高純度のヨウ化水素として得ることができ 効果を奏する。

 なお、「高純度のヨウ化水素」とは、粗 ウ化水素ガスを生成する反応において生じ 副反応物、およびヨウ化水素精製工程によ 得られたヨウ化水素を用いたさらなる反応 ロセスにおいて悪影響を与える物質をほと ど含まないヨウ化水素のことを指す。

 本発明に係るヨウ素化合物製造システム は、さらに、固体ヨウ素を溶融し、液化さ た液状ヨウ素を貯留するヨウ素貯留槽、お び、水素を含む水素含有ガスを供給する水 供給器を備えた原料調整ユニットであって 上記ヨウ素貯留槽に貯留されている液状ヨ 素および当該液状ヨウ素を気化させること より得られるガス状ヨウ素の少なくともい れかに対して、上記水素供給器から供給さ る水素含有ガスを供給することにより、ガ 状ヨウ素および水素を含む混合ガスを得る 料調整ユニットと、上記原料調整ユニット おいて得られた混合ガスを粗ヨウ化水素ガ とする触媒からなる触媒部を有するヨウ化 素生成器を備えたヨウ化水素生成ユニット 、上記ヨウ化水素精製ユニットにおいて得 れたヨウ化水素ガスと、当該ヨウ化水素ガ に対して反応性を有する反応原料とを接触 せることにより、ヨウ素化合物を生成する ウ素化合物生成器備えたヨウ素化合物生成 ニットと、をさらに備えていることが好ま い。

 上記の構成によれば、ガス状ヨウ素と水 とを用いた気相接触還元反応においてヨウ 水素を生成することができる。ヨウ化水素 合成に気相反応を用いることによって、液 反応における副生成物の生成を抑制するこ ができ、簡便かつ効率よくヨウ化水素を生 することができる。

 また、上記の構成によれば、粗ヨウ化水 ガスの生成反応における副生成物の生成を ぼ完全に抑制することができるため、粗ヨ 化水素ガスの精製において、副生成物を除 する処理を不要とすることができる。すな ち、気相接触還元反応において未反応であ たヨウ素(または水素)を除去するのみで高 度なヨウ化水素を得ることができる。

 さらに、上記の構成から得られた高純度 ヨウ化水素を用いてヨウ素化合物を生成す ことによって、ヨウ素化合物を簡便に、か 効率よく生成することができる効果を奏す 。また、ヨウ化水素の生成に要するコスト 削減することができるため、ヨウ化水素、 いては当該ヨウ化水素から製造されるヨウ 化合物の価格を廉価とすることができる効 を奏する。

 また、ガス状ヨウ素に対して水素を供給 る場合には、気相接触還元反応におけるガ 状ヨウ素に対する水素のモル比を、容易に 望の比とすることができる。これによって 気相接触還元反応において、未反応物質を とんど生じさせることなく、ヨウ化水素を 成することができる効果も併せて奏するこ になる。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ素貯留槽は、 該ヨウ素貯留槽を加熱するヨウ素貯留槽加 器を備えていることが好ましい。

 上記の構成によれば、固体のヨウ素から 状ヨウ素を生成することができる効果を奏 る。

 また、ヨウ素貯留槽の温度が融点(114℃程 度)~150℃の範囲となるように加熱することに って、ヨウ素をガス化させることなく、液 のまま維持することができる。これによっ 、ヨウ素の温度および接触させるガス量に じた量のヨウ素をガス化することができる め、所望量のガス状ヨウ素を容易に得るこ ができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ化水素生成ユ ットは、上記触媒部を加熱する触媒部加熱 を備えていることが好ましい。

 上記の構成によれば、ヨウ化水素生成ユ ットにおけるヨウ化水素生成器中の混合ガ の温度を好適な値に維持することができる これによって、水素およびガス状ヨウ素を 性化させるとともに、生成した粗ヨウ化水 ガスの触媒表面からの脱離が不十分となる とを防止することができる効果を奏する。 らに、ヨウ素の転化率の低下による粗ヨウ 水素ガスの収率の低下、および触媒活性の 下を抑制することができる効果も併せて奏 る。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユ ットは、上記粗ヨウ化水素ガスから未反応 ヨウ素を除去する精製溶液を循環させる循 機構を備えており、上記循環機構は、上記 製器に戻される上記精製溶液を冷却する冷 器を備えていることが好ましい。

 上記の構成によれば、精製したヨウ化水 に含有される水分をより一層少なくするこ ができる効果を奏する。すなわち、得られ ヨウ化水素をより一層高純度化することが きる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ素化合物生成 には、上記反応原料溶液を流す流路が設け れているとともに、上記流路に上記ヨウ化 素ガスを導入するガスノズルが接続されて ることが好ましい。

 上記の構成によれば、生産性よくヨウ素 合物を製造することができると共に、効率 くヨウ素化合物を製造することができる効 を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記原料調整ユニット 、上記混合ガスにおける上記ガス状ヨウ素 上記水素との組成を均一とするガス混合器 さらに備えていることが好ましい。

 上記の構成によれば、原料調整ユニット おいて、混合ガスにおけるガス状ヨウ素と 素との組成を均一にし、組成を均一にした 合ガスをヨウ化水素生成器に送ることがで る。そのため、ヨウ化水素生成ユニットに けるヨウ化水素の合成を好適に進行させる とができるという効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記原料調整ユニット 、上記混合ガスを加熱する混合ガス加熱器 さらに備えていることが好ましい。

 上記の構成によれば、ヨウ化水素生成ユ ットにおいて反応が開始される前までに、 合ガスの温度を反応において好適である温 にすることができる。これによって、ヨウ 水素生成塔内の触媒層に混合ガスが到達し ときに、最も好適な温度状態でヨウ化水素 合成を開始することができる効果を奏する

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記混合ガス加熱器は 上記ガス混合器と一体をなして設けられて ることが好ましい。

 上記の構成によれば、ガス混合器におい 混合ガスにおけるガス状ヨウ素と水素との 成を均一としつつ、ヨウ化水素生成器にお る反応において好適な温度に加熱すること できる効果を奏する。

 また、ガス混合器と混合ガス加熱器とを 々に備える必要がなくなるため、本発明に るヨウ素化合物製造システムを小型、軽量 することができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記混合ガス加熱器お び上記ガス混合器は、上記ヨウ化水素生成 と一体をなして設けられていることが好ま い。

 上記の構成によれば、ヨウ化水素生成ユ ットにおける反応において好適な温度に加 された混合ガスの温度を変化させることな 、ヨウ化水素生成塔内の触媒層に供給する とができる効果を奏する。

 また、ガス混合器および混合ガス加熱器 ヨウ化水素生成器と別々に設ける必要がな なるため、本発明に係るヨウ素化合物製造 ステムを小型、軽量化することができる効 を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記原料調整ユニット 材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック メタルタンタル、白金、およびポリテトラ ルオロエチレンから選択される少なくとも1 種からなることが好ましい。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ化水素生成ユ ットの材質は、ハステロイ、耐熱ガラス、 ラミック、および白金から選択される少な とも1種からなることが好ましい。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユ ットおよび上記ヨウ素化合物生成ユニット 材質は、ハステロイ、ガラス、セラミック メタルタンタル、白金、ポリ塩化ビニル、 よびポリテトラフルオロエチレンから選択 れる少なくとも1種からなることが好ましい 。

 原料調整ユニット、ヨウ化水素生成ユニ ト、ヨウ化水素精製ユニットおよびヨウ素 合物生成ユニットの材質を上記したような 質とすることにより、各ユニットが腐食性 有するヨウ素およびヨウ化水素により腐食 れることを防止することができる。これに って、本発明に係るヨウ素化合物製造シス ムの寿命を延ばすことができる効果を奏す 。

 また、ヨウ化水素生成ユニットの材質を 記の材質とすることにより、350℃程度の温 に加熱された混合ガスおよび粗ヨウ化水素 スによりユニットが損傷を受けることを防 することができる。これによって、本発明 係るヨウ素化合物製造システムの寿命をよ 一層延ばすことができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユ ットにおける精製器は、充填物を充填した 填塔を備えており、当該充填塔には、上記 ヨウ化水素ガスおよび当該粗ヨウ化水素ガ から未反応のヨウ素を除去する精製溶液を 入する導入口が設けられていることが好ま い。

 上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガス 含まれる未反応のヨウ素は、飽和ヨウ化水 溶液に吸収される。これによって、煩雑な 理を行うことなく、極めて容易に高純度の ウ化水素を得ることができる。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造シ テムでは、さらに、上記ヨウ化水素精製ユ ットにおける精製器は、上記粗ヨウ化水素 スから未反応のヨウ素を除去する精製溶液 貯留する精製槽と、当該精製槽に上記粗ヨ 化水素ガスを供給する供給器と、を備えて ることが好ましい。

 上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガス 含まれる未反応のヨウ素は、飽和ヨウ化水 溶液に吸収される。これによって、煩雑な 理を行うことなく、極めて容易に高純度の ウ化水素を得ることができる。

 本発明に係るヨウ素化合物製造方法は、上 課題を解決するために、
 ヨウ化水素ガスを用いてヨウ素化合物を製 するヨウ素化合物製造方法であって、水素 スとガス状ヨウ素とを触媒の存在下で接触 せることにより生成される粗ヨウ化水素ガ に対して、当該粗ヨウ化水素ガスに含有さ るヨウ化水素以外の物質を溶解し、かつ、 ウ化水素を溶解しない精製溶液を接触させ ことにより、ヨウ化水素ガスを得るヨウ化 素精製工程を含むことを特徴としている。

 上記の構成によれば、本発明に係るヨウ 化合物製造システムと同様の作用効果を奏 る。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ化水素精製工程に ける精製溶液は、飽和ヨウ化水素溶液であ ことが好ましい。

 上記の構成によれば、粗ヨウ化水素ガス 含有される未反応のヨウ素を効果的に除去 ることができる。したがって、ヨウ化水素 含まれるヨウ素を除去する処理を極めて容 にすることができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記飽和ヨウ化水素溶液の 媒は、水、ケトン類、エーテル類、アルコ ル類、および芳香族化合物の少なくともい れか1種であることが好ましい。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ化水素精製工程で 、充填物を充填した充填塔内において、上 粗ヨウ化水素ガスと上記精製溶液とを気液 触させることが好ましい。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ化水素精製工程で 、上記粗ヨウ化水素ガスを上記精製溶液中 吹き込むことにより気液接触させることが ましい。

 上記の構成によれば、高価な設備を必要 することなく、かつ極めて容易な処理によ て、ヨウ化水素含有ガスからヨウ化水素を 製することができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記触媒は、少なくとも1種 類以上の白金族元素を酸化物および活性炭の 少なくともいずれか一方に分散担持させたも のであることが好ましい。

 上記の構成によれば、ヨウ素と水素とを 性化させることができる。これによって、 較的低い反応温度であってもヨウ化水素の 成速度を向上できる効果を奏する。また、 記の構成によれば、ヨウ素の転化率および 成するヨウ化水素の収率を向上できる効果 併せて奏する。

 本発明に係るヨウ素化合物製造方法では さらに、固体のヨウ素を加熱して得られる 状ヨウ素に、当該液状ヨウ素に対して不活 なガスおよび水素の少なくともいずれかを むガスを接触させ、ガス状ヨウ素を得るガ 状ヨウ素生成工程と、上記ガス状ヨウ素お び水素を含む混合ガスを触媒存在下で接触 元させ、粗ヨウ化水素ガスを生成するヨウ 水素生成工程と、上記ヨウ化水素精製工程 おいて得られたヨウ化水素ガスを用いて、 ウ素化合物を製造するヨウ素化合物生成工 と、をさらに含むことが好ましい。

 上記の構成によれば、本発明に係るヨウ 化合物製造システムと同様の作用効果を奏 る。

 また、上記の構成によれば、ヨウ化水素 成工程において生成される粗ヨウ化水素は スとして生成される。したがって、粗ヨウ 水素ガスを生成するために、ヨウ化水素を 成分とするヨウ化水素含有溶液を加熱蒸留 る処理を省くことができるため、高純度の ウ化水素をより一層容易に得ることができ 効果も併せて奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記混合ガス中のガス状ヨ 素に対する水素のモル比を、上記ヨウ化水 生成工程の前までに、0.5~10の範囲内とする とが好ましい。

 混合ガスにおいて、ガス状ヨウ素に対す 水素のモル比を上記範囲内とすることによ て、ヨウ素の水素化反応をスムーズに進行 せる効果を奏する。

 モル比が0.5未満では、ヨウ素ガスに対す 水素ガス量が少ないため、ヨウ化水素の生 性が低くなると共に、高価なヨウ素を回収 る工程が必要となる。一方、モル比が10を えると無駄な水素を使うことになるため、 ウ化水素の製造に要するコストを押し上げ ことになり、不利となる。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程 は、無機塩基化合物溶液に対して、上記ヨ 化水素ガスを接触させることが好ましい。

 上記の構成によれば、ヨウ化水素ガスと 無機塩基化合物溶液とを気液接触させてい ため、反応原料の接触効率を向上すること できる。そのため、無機ヨウ化物の生産性 向上することができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程 おいて得られる無機ヨウ化物水溶液を乾燥 る乾燥工程をさらに含むことが好ましい。

 上記の構成によれば、固体の無機ヨウ化 を製造することができる効果を奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程 は、アルコール類含有溶液または芳香族ジ ゾニウム溶液に対して、上記ヨウ化水素ガ または上記ヨウ化水素ガスを溶質とする溶 を接触させることが好ましい。

 上記の構成によれば、ヨウ化水素ガスま はヨウ化水素溶液と、アルコール類含有溶 または芳香族ジアゾニウム溶液とを接触さ るのみで簡便に効率よく有機ヨウ化物を製 することができる効果を奏する。

 また、ヨウ化水素ガスを用いる場合には ヨウ化水素ガスとアルコール類含有溶液ま は芳香族ジアゾニウム溶液とを気液接触さ ることができるため、反応原料の接触効率 向上することができる。そのため、有機ヨ 化物の生産性を向上することができる効果 奏する。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 では、さらに、上記ヨウ素化合物生成工程 おいて得られる有機ヨウ化物溶液を精製す 有機ヨウ化物精製工程をさらに含むことが ましい。

 上記の構成によれば、高純度の有機ヨウ 物を製造することができる効果を奏する。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明で明白になるであろう。

 また、本発明に係るヨウ素化合物製造方 におけるヨウ化水素生成工程において得ら たヨウ化水素もまた本発明の範疇に含まれ 。

 また、上記ヨウ化水素に含有されるヨウ の含有量は、上記ヨウ化水素に含有される 成分の重量を100重量%としたとき、少なくと も2重量%以下であることであることが好まし 。

 上記の構成とすることによって、得られ 高純度のヨウ化水素を他の反応に適用する に、ヨウ化水素に含まれるヨウ素の影響を 小限のものとすることができる効果を奏す 。

 また、上記のヨウ化水素を水に溶解する とにより得られるヨウ化水素酸もまた本発 の範疇に含まれる。

本発明に係るヨウ素化合物製造システ の概略を示すブロック図である。

符号の説明

 1   原料調整ユニット
 2   水素含有ガス供給器(水素供給器)
 4   ヨウ素溶融釜(ヨウ素貯留槽)
 5   液体ヨウ素
 8   ミキサー部(ガス混合器、混合ガス加 器)
 10  ヨウ化水素生成ユニット
 12  ヨウ化水素生成塔(ヨウ化水素生成器)
 12a 触媒層(触媒部)
 13  触媒層加熱器(触媒部加熱器)
 20  ヨウ化水素精製ユニット
 22  充填塔(精製器)
 24  タンク
 30  ヨウ素化合物生成ユニット
 32  ヨウ素化合物生成塔(ヨウ素化合物生成 器)
 34  回収槽
 100 ヨウ素化合物製造システム

 〔実施形態1〕
 本発明に係るヨウ素化合物の製造方法の一 施形態について、以下に説明する。

 (ヨウ素化合物の製造方法の概要)
 本実施形態では、ヨウ素化合物の製造方法 して、ヨウ素の気相接触還元反応を用いて 成したヨウ化水素を用いてヨウ素化合物を 造する場合を例にあげて説明する。本実施 態に係るヨウ素化合物の製造方法は、主と て、ガス状ヨウ素生成工程、ヨウ化水素生 工程、ヨウ化水素精製工程、ヨウ素化合物 成工程の4つの工程を含んでいる。これら4 の工程について、以下にそれぞれ説明する

 ここで、本明細書等における「ヨウ化水素 および「水素」は、特に断りのない限り、 体のヨウ化水素および気体の水素、すなわ ヨウ化水素ガスおよび水素ガスを指す。ま 、「粗ヨウ化水素」とは、ヨウ化水素以外 、ヨウ化水素の生成反応において残余した 反応のヨウ素、ヨウ化水素が分解すること よって生じるヨウ素、またはヨウ化水素を 成する反応において生じる副生成物である 純物を含むガスであることを意味している さらに、「ヨウ素」および「水素」は、特 断りのない限り、それぞれヨウ素分子(I 2 )および水素分子(H 2 )を指す。

 (ガス状ヨウ素生成工程)
 まず、ガス状ヨウ素生成工程について以下 説明する。ガス状ヨウ素生成工程は、固体 ヨウ素を加熱することにより、その少なく も一部をガス状ヨウ素とする工程である。

 ヨウ素は、融点113.7℃、沸点184.5℃の昇華 性を有する物質である。したがって、ガス状 ヨウ素生成工程では、固体のヨウ素を融点以 上沸点以下の温度範囲内となるように加熱す ればよい。これによって、固体のヨウ素から ガス状ヨウ素を生成することができる。

 しかし、下記に説明するヨウ化水素反応 程では、ガス状ヨウ素および水素を混合し なる混合ガスにおけるガス状ヨウ素に対す 水素のモル比が、0.5~10の範囲内であること 好ましく、0.5~6の範囲内であることがより ましい。ガス状ヨウ素に対する水素のモル を上記の範囲内とすることによって、ヨウ 水素を生産性よく製造することが可能であ 。すなわち、モル比が0.5未満である場合に 、ヨウ素ガスに対する水素ガス量が少ない め、ヨウ素の消費が減り、ヨウ化水素の生 性が低くなる。また、高価であるヨウ素を 収する工程が必要となる。一方、モル比が10 を超えると無駄な水素を使うことになるため 、ヨウ化水素の製造に要するコスト(製造費) 押し上げられ、不利になる。

 そのため、固体のヨウ素をガス状ヨウ素 するのではなく、一旦、液状ヨウ素とする そして、その一部をガス状とすることが好 しい。したがって、固体のヨウ素の加熱温 は、ヨウ素の融点(114℃程度)~150℃の範囲内 することが好ましく、120~150℃の範囲内とす ることがより好ましい。

 また、液状ヨウ素からガス状ヨウ素を生 する際には、液状ヨウ素に水素を含有する 素含有ガスを接触させることが好ましい。 状ヨウ素は、水素含有ガスと接触した際の ス流量および液状ヨウ素温度に応じた量の ス状ヨウ素を生成する。すなわち、接触さ る水素含有ガスのガス流量および液状ヨウ 温度を調整することにより、気化するヨウ ガスの量を調整することができる。このと 、液状ヨウ素に接触させる水素含有ガスに まれる水素の量は、ガス状ヨウ素に対する 素のモル比が上述した所定の比率となるよ な量であることが好ましいが、これに限定 れるものではない。すなわち、液状ヨウ素 ガス状ヨウ素とした後に、所定の比率とな ように水素をさらに追加してもよい。

 また、水素含有ガスは、所望量のガス状 ウ素を生じさせることができれば、水素以 のガス(気体)を含んでいてもよい。水素含 ガスに含まれる水素以外のガスとしては、 ウ素に対して不活性のガスであることが好 しい。例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム どを挙げることができる。

 ガス状ヨウ素および水素を混合してなる 合ガスは、ヨウ化水素生成工程の前までに 一に混合することが好ましい。また、ガス ヨウ素を生成する際に、水素含有ガスにお る水素の量が所望のモル比となるような量 ない場合には、混合ガスを均一に混合する までに水素とガス状ヨウ素とのモル比を所 のモル比とすることが好ましい。混合ガス 均一とする構成については、実施形態2にお いて詳述するため、ここではその説明を省略 する。

 なお、使用する固体のヨウ素の純度は、9 0%以上であることが好ましく、95%以上である とがより好ましく、99%以上であることがさ に好ましい。

 また、使用する水素は、純水素、水蒸気 よび二酸化炭素の少なくともいずれかによ メタンを改質することにより得られる水素 有ガス、当該水素含有ガスから分離された 素、メタンの部分酸化反応により得られる 素含有ガス、メタノールを水蒸気改質する とにより得られる水素含有ガス、およびメ ノールの分解により得られる水素含有ガス どを用いることができる。また、石炭、石 コークス、および重質残渣油を原料として ガス化プロセスにより得られる水素を水素 として用いてもよい。さらには、ヨウ化水 生成塔の出口におけるガスに含有されてい 未反応の水素を分離回収した水素をリサイ ルして使用してもよい。

 (ヨウ化水素生成工程)
 次に、ヨウ化水素生成工程について以下に 明する。ヨウ化水素生成工程は、ヨウ素を 相接触還元して得られる、ヨウ化水素を主 分として含有する粗ヨウ化水素ガスを生成 る工程である。なお、本明細書等において 主成分」とは、粗ヨウ化水素ガスまたはヨ 化水素に含まれる全成分のうち、50重量%を える成分であることを意味している。

 ヨウ化水素生成工程は、従来公知の方法 用いて行うことができる。例えば、触媒の 在下、ガス状ヨウ素と水素とを気相接触還 することにより粗ヨウ化水素ガスを生成す ことができる。

 このように、触媒の存在下、ガス状ヨウ および水素ガスを用いた気相接触還元反応 よりヨウ化水素含有ガスを生成する場合、 ヨウ化水素ガス中には気相接触還元反応に いて反応することなく残余しているヨウ素 よび水素以外の物質、特に副生成物はほと ど含まれていない。すなわち、粗ヨウ化水 ガスをガス状ヨウ素および水素を用いた気 接触還元反応により得ることによって、液 反応において必要となるヨウ化水素含有溶 を加熱蒸留する処理を省くことができる。 れによって、高純度のヨウ化水素を容易に ることができる。

 ここで、水素は、後の反応工程、例えば 機ヨウ化物の製造工程において影響を及ぼ ないため、水素を分離する処理を別段とし 施す必要はない。しかし、粗ヨウ化水素ガ から水素を除去したい場合には、粗ヨウ化 素ガスからヨウ素を除去した後に、ヨウ化 素ガスを冷却し、液化させることが好まし 。これによって、粗ヨウ化水素ガスに含ま ている水素を容易に除去することができる

 (ヨウ化水素生成工程における触媒)
 ガス状ヨウ素および水素ガスを用いた気相 触還元反応における触媒としては、白金族 素を酸化物および活性炭の少なくともいず か一方に分散担持させた触媒であることが ましい。白金族元素を酸化物および活性炭 少なくともいずれか一方に分散担持させる とによって、ヨウ素と水素とを活性化させ ことができる。これによって、比較的低い 度においてもヨウ化水素の生成速度を向上 きる。また、ヨウ素の転化率および生成す ヨウ化水素の収率も併せて向上できる。

 白金族元素としては、白金(Pt)、パラジウ ム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリ ジウム(Ir)およびロジウム(Rh)を挙げることが きる。また、酸化物の具体例としては、酸 マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アル ナ、コージライト、ジルコニア、シリカア ミナおよびゼオライトを挙げることができ 活性炭の具体例としては、木片、木粉、ヤ 殻およびクルミ殻などを原料として活性化 た植物系活性炭、泥炭、石炭コークスおよ タールなどを原料として活性化した鉱物系 性炭ならびに再生繊維、レーヨンなどの天 素材、およびフェノール樹脂、アクリル樹 などの合成素材を原料として活性化した活 炭などを挙げることができる。

 触媒の形状(すなわち、白金族元素を分散 担持させる支持体の形状)としては特に限定 れるものではない。例えば、支持体は、粉 状態であってもよく、あらかじめ環状(リン 状)、球形状、ハニカム状に成型しておき、 そこに白金族元素を担持させてもよく、また 支持体に白金族元素を担持させた後に環状( ング状)、球形状、ハニカム状に成型しても い。さらには、酸化物粉体に白金族元素を 持させた粉体を環状(リング状)、球形状、 ニカム状に成型した炭化ケイ素(SiC)または窒 化物に担持させてもよい。

 また、触媒として用いる白金族元素は、 述した白金族元素のうちの1種類のみを用い てもよいし、2種類以上を混合して用いても い。白金族元素の担体として用いられる酸 物および活性炭もまた、1種類のみを用いて よいし、2種類以上を混合して用いてもよい 。さらに、酸化物および活性炭を、単独で使 用してもよいし、両者を併用して使用しても よい。

 (ヨウ化水素生成工程における条件)
 気相接触還元反応における反応温度は、200~ 1000℃の範囲内であることが好ましく、250~900 の範囲内であることがより好ましく、250~850 ℃の範囲内であることがさらに好ましい。ま た、ガス空間速度は。300~10000hr- 1 の範囲内であることが好ましく、500~4000hr- 1 の範囲内であることがより好ましい。なお、 本明細書等における「ガス空間速度」とは、 標準状態において単位時間当たりの反応ガス 容積と触媒容積との比率を意味している。さ らに、反応圧力は、常圧から10MPaの範囲内で ることが好ましい。

 なお、気相接触還元反応を用いて粗ヨウ 水素ガスを生成する場合における詳細な条 については、特許文献8に記載の内容全体を 参照してもよい。

 (ヨウ化水素精製工程)
 次に、ヨウ化水素精製工程について以下に 明する。ヨウ化水素精製工程は、ヨウ化水 生成工程において生成した、ヨウ化水素を 成分とする粗ヨウ化水素ガスにおけるヨウ 水素以外の物質(以下、不純物とも称する) 除去する工程である。すなわち、粗ヨウ化 素ガスに含有される不純物を溶解するが、 ウ化水素を溶解しない精製溶液と、粗ヨウ 水素ガスとを気液接触させる工程である。

 ヨウ化水素精製工程を採用することによ て、ヨウ化水素生成工程において合成され ヨウ化水素をほとんど損失することなく、 ヨウ化水素ガスに含有されている不純物を めて容易に除去することができる。

 また、ヨウ化水素精製工程は、ガス状態 ある粗ヨウ化水素ガスと液体である精製溶 との気液接触であるため、従来のように同 の状態、例えば液体と液体とにより精製を う場合とは異なり、精製後に精製に用いた 質を分離する分離処理を必要としない。す わち、効率よく、極めて容易に不純物を含 する粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素のみ 精製し、高純度のヨウ化水素として得るこ ができる。

 ヨウ化水素精製工程は、精製した後のヨ 化水素に含まれるヨウ素の含有量が、ヨウ 水素に含まれる全成分の重量を100重量%とし たとき、少なくとも2重量%以下となるように 理することが好ましく、1重量%以下となる うに処理することがより好ましく、0.5重量% 下となるように処理することがさらに好ま く、0.1重量%以下となるように処理すること が最も好ましい。

 言い換えれば、得られる高純度のヨウ化 素は、ヨウ化水素に含まれる全成分の重量 100重量%としたとき、ヨウ素の重量が少なく とも2重量%以下であり、より好ましくは1重量 %以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下 あり、最も好ましくは、0.1重量%以下である 。なお、このヨウ化水素精製工程で得られた 高純度のヨウ化水素ガスは水に吸収させれば 高純度で任意の濃度のヨウ化水素が得られ、 また冷却により高純度の液状ヨウ化水素が得 られる。

 ヨウ化水素ガスに含まれる未反応のヨウ が上記範囲内であれば、得られた高純度の ウ化水素を他の反応、例えば下記に説明す ヨウ素化合物生成工程に適用する際に、ヨ 化水素に含まれるヨウ素の影響を最小限と ることができる。

 ここで、水素および窒素などの不活性ガ は、粗ヨウ化水素ガスに含まれるヨウ化水 以外の物質には含まない。したがって、ヨ 化水素に含まれる「全成分」とは、水素お び窒素などの不活性ガスを除くヨウ化水素 全成分を意味している。また、本明細書等 おける「高純度のヨウ化水素」とは、ヨウ 水素の「全成分」の重量を100重量%としたと きに、ヨウ素の重量が上述した範囲であるこ とを意味している。言い換えれば、「高純度 のヨウ化水素」とは、ヨウ化水素の「全成分 」の重量を100重量%としたときに、「不純物 の重量が上述した範囲であることを意味し いる。

 (精製溶液について)
 精製溶液は、粗ヨウ化水素ガスに含有され 不純物を溶解するが、ヨウ化水素を溶解し い溶液であれば、特に限定されるものでは い。それらの中でも、ヨウ化水素からの分 が困難であり、かつ生成したヨウ化水素を の反応に用いる場合に問題となる未反応の ウ素を除去できる溶液であることが好まし 。

 上述したような性質を有する精製溶液と ては、例えば、飽和ヨウ化水素溶液を挙げ ことができる。飽和ヨウ化水素溶液は、ヨ 素を非常によく溶解する溶液であるが、ヨ 化水素は飽和状態であるため、ほとんど溶 しない。なお、本実施形態においては、以 、精製用溶液として飽和ヨウ化水素溶液を いる場合を例に挙げて説明する。

 飽和ヨウ化水素溶液は、溶媒にヨウ化水 を飽和状態となるまで溶解させることによ 作製することができる。飽和ヨウ化水素溶 を作製するための溶媒としては、ヨウ化水 を溶解できる溶媒であれば特に限定される のではない。例えば、水、ケトン類、ハロ ン化合物、芳香族化合物、エーテル類、ア コール類などの溶媒を挙げることができる また、アルカリ金属のヨウ化物を含有する 溶液またはアルカリ土類金属のヨウ化物を 有する水溶液であってもよい。溶媒のより 体的な例としては、蒸留水、アセトン、ク ロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエ 、キシレン、石油エーテル、ジオキサン、 チルエーテル、メタノール、ヨウ化カリウ 水溶液およびヨウ化バリウム水溶液などを げることができる。これらの中でも、水、 ルカリ金属のヨウ化物を含有する水溶液、 トン類および芳香族化合物であることが好 しく、容易かつ安価に得ることができる水 あることがより好ましい。

 なお、飽和ヨウ化水素溶液の温度は、厳 に制御する必要はない。本来、ヨウ化水素 飽和溶液に溶解する際には、溶解熱による 熱を伴うが、本発明に係るヨウ化水素精製 程では、粗ヨウ化水素ガスが飽和ヨウ化水 溶液との気液接触時に、ヨウ化水素の溶解 生じないからである。

 この点においても、本発明は、ヨウ化水 精製工程において使用する溶液の温度を制 する煩雑な処理を省くことができ、高純度 ヨウ化水素を極めて容易に得ることができ 。しかし、例えば、半導体製造に用いるな の理由により、精製したヨウ化水素中の水 をできるだけ少なくしたい場合には、飽和 ウ化水素溶液の温度をできるだけ低くする とが好ましい。飽和ヨウ化水素溶液の好適 温度としては、具体的には、100℃以下であ ことがより好ましく、50℃以下であること さらに好ましく、20℃以下であることが最も 好ましい。

 また、ヨウ化水素精製工程によって精製 たヨウ化水素の一部を、飽和ヨウ化水素溶 の溶質として使用してもよい。

 (ヨウ素化合物生成工程)
 次に、ヨウ素化合物生成工程について以下 説明する。ヨウ素化合物生成工程は、上述 たヨウ化水素精製工程において得られた高 度のヨウ化水素ガスを用いて様々なヨウ素 合物を製造する工程である。本実施形態で 、一例として、無機ヨウ化物、脂肪族ヨウ 物および芳香族ヨウ化物を製造する場合に いて、それぞれ説明する。なお、上記の各 程を経て得られたヨウ化水素の用途は、上 のヨウ素化合物の製造に限定されるもので なく、ヨウ化水素を原料とするその他の反 においても好適に用いることができる。

 本発明に係るヨウ素化合物生成工程にお て用いられるヨウ化水素ガスとは、ヨウ化 素ガスを含有する気体である。つまり、ヨ 素化合物生成工程において、ヨウ化水素ガ とは、その全容量がヨウ化水素ガスである 合に限定されるものではない。ヨウ化水素 ス中のヨウ素の含有量は、その全重量に対 て、ヨウ素の含有量が2重量%以下であるこ が好ましい。ヨウ化水素ガス中のヨウ素を 記範囲内とすることによって、ヨウ素化合 を製造した後、精製処理および未反応のヨ 素分子を除去するための還元処理などを行 ことなく、高純度のヨウ素化物を製造する とができる。

 また、本実施形態において、ヨウ化水素 スは、その全重量を100%としたとき、不純物 の含有量が2重量%以下であることが好ましい つまり、本実施形態において、高純度のヨ 化水素ガスとは、全重量100%としたときに、 不純物の含有量が2重量%以下のヨウ化水素ガ であってもよい。

 (無機ヨウ化物の製造)
 まず、無機ヨウ化物の製造について、以下 説明する。無機ヨウ化物は、ヨウ化水素と 機塩基化合物との接触により製造すること できる。ここで、本実施形態において用い れる無機塩基化合物は、ヨウ化水素との間 中和反応を起こすことができる化合物であ 。言い換えれば、水溶液中で解離または平 反応を起こして、水酸化物イオン(OH-)を生 る化合物である。

 このような無機塩基化合物の具体例とし は、金属水酸化物、例えば、アルカリ金属 アルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属 アルミニウムや亜鉛などの典型元素の水酸 物、金属の塩基性酸化物、金属の炭酸塩、 えばアルカリ金属の炭酸塩、金属の炭酸水 塩、例えば、アルカリ金属の炭酸水素塩、 らにアンモニアを挙げることができる。こ らの中でも、安価で入手が容易であるため アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水 化物、およびアンモニアを用いることが好 しい。

 無機塩基化合物は、固体状態、または、 えば水などの溶媒に完全に溶解させた水溶 状態、あるいは、水に分散させたスラリー 態で反応に供される。これらの中でも、水 溶解させた水溶液の状態で反応に供される とが好ましい。この点については、後述の 応の説明にて詳細を説明する。

 (無機ヨウ化物の生成)
 本実施形態に係る無機ヨウ化物の製造では ヨウ化水素ガスと、無機塩基化合物とを接 させる中和反応を起こすことにより目的と る無機ヨウ化物を得る。例えば、無機塩基 合物が、水酸化カリウムである場合、反応 、下記の反応式(1)に従う。

   HI+KOH → KI+H 2 0・・・(1)
 無機ヨウ化物の製造において、ヨウ化水素 スと無機塩基化合物との接触は、液体の無 塩基化合物(以下、「無機塩基溶液」とも称 する)を用いて、気液接触により反応を進め ことが好ましい。気液接触を採用する場合 気固接触の場合と比べて、接触効率がよく 生産性を向上させることができる。

 無機ヨウ化物を溶液として用いる場合の 度は、溶質の溶媒への溶解度にも依存する 、一般的に、1~95重量%の範囲内であること 好ましく、5~90重量%の範囲内であることがよ り好ましく、10~80重量%の範囲内であることが さらに好ましい。無機ヨウ化物溶液の濃度を 上記の範囲内とすることによって、原料費の 削減および反応液から無機ヨウ化物を分離回 収に要するエネルギーの低減につながる。し たがって、無機ヨウ化物の製造に要するコス トを削減することができる。また、溶媒とし ては、水およびアルコール類を用いることが 好ましく、水を用いることがより好ましい。

 気液接触の方法としては、従来公知の方 を用いることができる。例えば、充填物を 填した反応塔内において、ヨウ化水素ガス 無機塩基溶液とを気液接触させてもよいし また無機塩基溶液を貯留した貯留槽中にヨ 化水素ガスを吹き込むことにより気液接触 せてもよい。

 また、気固接触をさせる場合には、粒状 無機水酸化物を充填したガラス管にヨウ化 素ガスを導入することによりこれらを反応 せることができる。

 無機ヨウ化物の生成反応における反応温 は、反応を進めることができる限り、特に 定されるものではない。ここで、反応系のp H値を、無機ヨウ化物の生成反応における反 終了後に1.50~11.00の範囲内とするように制御 ることが好ましい。すなわち、気液接触の 合には、反応液の最終pH値が上記範囲内で ることが好ましい。反応終了時のpHが1.50よ 小さい場合、製品中にヨウ素またはヨウ化 素が含まれやすくなり、高品質の無機ヨウ 物を得ることができない。また、反応終了 のpH値が11.00を超える場合、ヨウ素酸塩が製 中に含まれやすくなり、高品質な無機ヨウ 物が得られないという問題点がある。

 反応系のpH値は、計測されたpH値に応じて 、適宜、酸性化合物またはアルカリ性化合物 を反応系に加えることにより制御することが できる。たとえば、pH値が、1.50より小さい場 合には、無機塩基溶液を添加すればよく、pH 11.00を超える場合には、ヨウ化水素あるい 有機酸を添加すればよい。

 添加する有機酸としては、還元性を有す 酸を用いることが好ましい。このような有 酸として、ギ酸、ヒドラジン、亜硫酸、亜 ン酸などを挙げることができる。このよう 、還元性を有する酸を用いてpHを調整する とにより、ヨウ化カリウムの安定化を図る とができる。また、還元性を有する酸を用 る場合には、この酸がpH調整に加えて、未反 応ヨウ素の除去および無機ヨウ化物の分解に よるヨウ素の遊離防止の役割を果たす。

 さらに、反応終了後には、必要に応じて 未反応のヨウ素分子を除去するために還元 理を行ってもよい。この還元処理は、ギ酸 シュウ酸などに例示される還元剤の添加な 、従来公知の還元処理を行うことができる

 以上説明したように、ヨウ化水素ガスと 無機塩基化合物とを接触させることにより 簡便に効率よく高純度の無機ヨウ化物を製 することができる。特に、高純度のヨウ化 素ガスを用いた場合には、無機ヨウ化物を た後に、別段の精製工程を経ずとも、高純 の無機ヨウ化物を製造することができる。

 また、無機ヨウ化物を気液接触により無 ヨウ化物溶液として製造した場合には、溶 を留去し、無機ヨウ化物の結晶を乾燥させ 乾燥工程を経ることによって、無機ヨウ化 を固体として得ることができる。この際に いる乾燥工程は、従来公知の乾燥工程を採 することができる。これらの中でも、例え エバポレータによる減圧濃縮乾燥、または 結乾燥などを採用することにより、短時間 固体の無機ヨウ化物を得ることができる。

 (脂肪族ヨウ化物の生成)
 次に、脂肪族ヨウ化物を製造する場合につ て説明する。本明細書等における脂肪族ヨ 化物とは、ヨウ化アルキルを意味している すなわち、目的とする脂肪族ヨウ化物は、 ウ化水素ガスと、アルコール類含有溶液と 接触させることにより得ることができる。 肪族ヨウ化物の製造は、上述した無機ヨウ 物の製造とほぼ同様である。

 例えば、アルコール類含有溶液がメタノ ルである場合、反応は、下記の反応式(2)に う。

   HI+ CH 3 OH→ CH 3 I+H 2 0・・・(2)
 したがって、脂肪族ヨウ化物の製造につい 、無機ヨウ化物の製造において説明した内 は省略し、無機ヨウ化物の製造と異なる点 ついてのみ以下に説明する。

 脂肪族ヨウ化物の製造において、ヨウ化 素ガスと接触させるアルコール類含有溶液 、炭素数1~8程度のアルコール類であること 好ましく、1~6程度のアルコール類であるこ がより好ましい。また、脂肪族ヨウ化物の 造において好適に用いることができるアル ール類は、直鎖状であってもよく、また分 鎖を有していてもよい。さらに、好適に用 ることができるアルコール類は、1価のアル コールに限定されるものではなく、多価のア ルコールであってもよい。これらの中でもよ り一層好適に用いることができるアルコール 類溶液として具体的には、メタノール、エタ ノール、およびイソプロパノールなどを挙げ ることができる。

 さらに、アルコール類溶液は、その全容 がアルコール類からなるものに限定される のではない。すなわち、例えば水分または ルコール類以外の有機溶媒を含有していて よい。含有されているアルコール類が、50% 上であるアルコール類溶液であれば脂肪族 ウ化物の製造において好適に用いることが きる。

 なお、脂肪族ヨウ化物の製造では、ヨウ 水素ガスに代わり、ヨウ化水素ガスを溶質 して溶解した溶液(ヨウ化水素溶液)を用い もよい。ヨウ化水素溶液としては、例えば ウ化水素を水に溶解したヨウ化水素酸を挙 ることができる。

 なお、ヨウ素化合物生成工程において、 ウ化水素溶液を用いる場合には、上述した ウ化水素精製工程において、得られるヨウ 水素に含有されるヨウ素の含有量をヨウ化 素溶液の全成分を100重量%としたとき、2重 %以下となるように精製することが好ましく 1重量%以下となるように精製することがよ 好ましく、0.8重量%以下となるように精製す ことがさらに好ましく、0.5重量%となるよう に精製することが最も好ましい。

 ヨウ化水素に含有されるヨウ素の量を上 範囲内とすることによって、得られたヨウ 水素溶液を他の反応に適用する際に、ヨウ 水素溶液に含まれるヨウ素の影響を最小限 することができる。

 また、以上のように製造した脂肪族ヨウ 物溶液を精製する精製工程を経ることによ て、脂肪族ヨウ化物を純度の高い液体また 固体として得ることもできる。この際に用 る精製工程は、例えば蒸留などの従来公知 精製工程を採用することができる。

 (芳香族ヨウ化物の生成)
 次に、芳香族ヨウ化物を製造する場合につ て説明する。目的とする芳香族ヨウ化物は ヨウ化水素ガスと、芳香族ジアゾニウム溶 とを接触させることにより得ることができ 。すなわち、芳香環に結合しているジアゾ ウム基がヨウ素に置換され、芳香族ヨウ化 として得られる。芳香族ヨウ化物の製造は 上述した無機ヨウ化物の製造とほぼ同様で る。したがって、芳香族ヨウ化物の製造に いて、無機ヨウ化物の製造において説明し 内容は省略し、無機ヨウ化物の製造と異な 点についてのみ以下に説明する。

 芳香族ヨウ化物の製造において、好適に いることができる芳香族ジアゾニウム溶液 しては、その側鎖においてジアゾニウム基( N≡N+-)を有するものであれば特に限定される のではなく、ジアゾニウム基以外の置換基 有していてもよい。具体的には、下記一般 (1)で示す化合物を挙げることができる。

 ここで、上記式(1)のRは、炭素数1~12のア キル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、 素数1~8のアルコシキ基、炭素数1~6のアシル キシ基、カルボキシル基、アルコキシカル キシル基、アルコキシカルボニルアルキル 、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイ 基、カルボニル基、ニトリル基、ニトロ基 よびハロゲン原子から選択される1種である

 アルキル基は、炭素数1~8であることがよ 好ましく、炭素数1~6であることがさらに好 しい。また、アルキル基は、直鎖状であっ もよいし、また分岐鎖を有していてもよい さらには、環状であってもよい。このよう アルキル基として具体的には、メチル基、 チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ ル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル 基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、 およびオクチル基などを挙げることができる 。また、アルコシキ基は、炭素数1~6であるこ とがより好ましく、炭素数1~4であることがさ らに好ましい。このようなアルコキシ基とし て具体的には、メトキシ基、およびエトキシ 基などを挙げることができる。

 上記した置換基を有する芳香族ジアゾニ ムの中でも、炭素鎖1~4のアルキル基、カル キシル基、およびハロゲン原子から選択さ る1種を好適に用いることができる。

 なお、上記一般式(1)は、ジアゾニウム基 外の置換基が1つの2置換体である場合を示 ているが、これに限定されるものではない すなわち、上記一般式(1)においてRで示され 置換基の他にさらに置換基を有している3置 換体以上の芳香族ジアゾニウムであってもよ い。

 この場合、さらなる置換基としては、例 ば、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基 よびブテニル基などのアルケニル基、ホル ル基、アセチル基およびプロピオニル基な の炭素数1~6のアルキル-カルボニル基、ベン イル基を含むアリール-カルボニル基などの アシル基、ホルミルオキシ基、アセチルオキ シ基およびプロピオニルオキシ基などの炭素 数1~6のアシルオキシ基、メチルアミノ基、ジ メチルアミノ基およびジエチルアミノ基など のモノまたはジアルキルアミノ基を含むアミ ノ基、ホルミルアミノ基およびアセチルアミ ノ基などの炭素数1~6のアシルアミノ基、アル バモイル基、置換カルバモイル基、カルボニ ル基ならびにニトリル基などを挙げることが できる。

 なお、芳香族ヨウ化物の製造においても 脂肪族ヨウ化物の場合と同様に、ヨウ化水 ガスに代わりヨウ化水素溶液を用いてもよ 。

 また、本明細書等における「有機ヨウ化 」とは、脂肪族ヨウ化物および芳香族ヨウ 物を合わせたヨウ化物の総称である。

 〔実施形態2〕
 本発明に係るヨウ素化合物製造システムに いて、実施形態2として図1を参照して以下 説明する。図1は、本発明に係るヨウ素化合 製造システムの概略を示すブロック図であ 。したがって、図1は、ヨウ素化合物製造シ ステムにおける各ユニットを繋ぐラインの形 状、各ユニット寸法などを正確に示すもので はない。これらは、装置を製造する際に適宜 変更することができる。なお、本実施形態に おいて実施形態1と同一の用語は、特に断り ない限り同一の意味として用いている。

 図1に示すように、本発明に係るヨウ素化 合物製造システム100は、主として、原料調整 ユニット1、ヨウ化水素生成ユニット10、ヨウ 化水素精製ユニット20およびヨウ素化合物生 ユニット30の4つのユニットを備えている。 料調整ユニット1とヨウ化水素生成ユニット 10、ヨウ化水素生成ユニット10とヨウ化水素 製ユニット20、ならびにヨウ化水素精製ユニ ット20とヨウ素化合物生成ユニット30は、ラ ンを介してそれぞれが物理的に接続されて る。上記の各ユニットについて、以下に説 する。

 (原料調整ユニット1)
 原料調整ユニット1は、ヨウ素化合物の製造 に用いるヨウ化水素を生成するための原料を 調整するためのユニットである。より具体的 には、ガス状ヨウ素および水素を所定のモル 比および温度となるように調整するためのユ ニットである。

 原料調整ユニット1は、図1に示すように 水素含有ガス供給器(水素供給器)2、ヨウ素 融釜(ガス状ヨウ素生成器)4、ミキサー部(ガ 混合器、混合ガス加熱器)8を備えている。 素含有ガス供給器2は、ヨウ化水素の合成に いる水素を貯留している。なお、実施形態1 においても説明したように、ガス状ヨウ素の 生成に不活性ガスを用いる際には、水素含有 ガス供給器2だけでなく、使用する不活性ガ を貯留する不活性ガス貯留器をさらに備え いることが好ましい。

 (ヨウ素溶融釜4)
 ヨウ素溶融釜4では、固体のヨウ素を融点~15 0℃程度に加熱して得られる液体ヨウ素5に対 て水素含有ガス供給器2からライン3を経て 給される水素含有ガスを接触させることに り、ガス状ヨウ素が生成される。生成され ガス状ヨウ素は、ライン6を経てミキサー部8 へと送られる。

 ヨウ素溶融釜4は、固体のヨウ素を液状ヨ ウ素に溶融するための加熱器(ヨウ素貯留槽 熱器)を備えている。加熱器としては、例え 、熱風、過熱水蒸気もしくはオイルなどの 熱した熱媒体を流すためのジャケット部、 体ヨウ素を充填したヨウ素溶融釜4を外部か ら加熱する電熱器、または固体のヨウ素に対 して赤外線もしくは遠赤外線を照射する赤外 もしくは遠赤外線照射装置を挙げることがで きる。

 また、ヨウ素溶融釜4は、液体ヨウ素5か ガス状ヨウ素を生成させるための機構を備 ている。ガス状ヨウ素を生成させるための 構としては、上述したように水素含有ガス 接触させることができる機構であれば特に 定されるものではない。

 例えば、ヨウ素溶融釜4内に水素含有ガス を吹き込む機構であってもよいし、ガス(例 ば、水素含有ガスまたは不活性ガス)により 圧または自然落下させた液体ヨウ素5に対し て水素含有ガスを接触させてガス状ヨウ素と してもよい。また、ヨウ素に腐食されない材 質からなるポンプを用いて必要量の液体ヨウ 素5を供給し、供給したヨウ素をガス状ヨウ に変化させてもよい。なお、水素含有ガス ヨウ素溶融釜4内に吹き込む構成を採用した 合、吹き込む水素含有ガスは、液体ヨウ素5 内まで吹き込むようにしてもよいし、また液 体ヨウ素5の表面に接触するように吹き込む うにしてもよい。

 また、ヨウ素溶融釜4は、例えば攪拌翼な どの液体ヨウ素5を撹拌する撹拌機構を備え いてもよい。さらに、攪拌翼に熱風、水蒸 、またはオイルなどの熱媒体を通し、固体 ヨウ素を溶融するための熱源としてもよい また、ガス状ヨウ素に対して接触させる水 含有ガスを予め高温に加熱しておき固体の ウ素を溶融する熱源としてもよい。

 ヨウ素溶融釜4は、長期連続的にガス状ヨ ウ素を得るために、製造ラインに対して並列 に配置することが好ましい。これによって、 ヨウ素溶融釜のいずれかで固体のヨウ素がな くなった場合であっても、必要に応じてライ ンを切り替えることができる。このため、ガ ス状ヨウ素を中断することなく連続的に供給 することが可能となる。

 なお、固体のヨウ素は、溶媒に溶解させ ことにより液体ヨウ素5としてもよい。固体 ヨウ素を溶解するための溶媒としては、例え ば、ベンゼン、メタノール、エタノール、ジ エチルエーテルなどを挙げることができる。

 (ミキサー部8)
 ミキサー部8は、ヨウ素溶融釜4において生 されたガス状ヨウ素に水素を混合した混合 スにおいて、ヨウ素と水素との組成が均一 なるように混合するガス混合器、および混 ガスを120~350℃程度にまで加熱する加熱器を えている。ミキサー部8において加熱された 混合ガスは、ライン14を経てヨウ化水素生成 ニット10へと送られる。

 ガス混合器は、具体的には、充填物を充 した充填管であることが好ましい。ガス混 器において好適に用いることができる充填 は、ヨウ素により腐食されない材質からな ものであれば特に限定されるものではない 具体的には、ハステロイ、ガラス、磁性セ ミックなどを挙げることができる。また、 填物の形状も特に限定されるものではなく 例えば、球形状、円柱状(シリンダー状)お び環状(リング状)などの形状を挙げることが できる。充填物は、形状が同一のもののみを 用いてもよいし、形状が異なるものを併せて 使用してもよい。

 加熱器は、混合ガスを120~350℃程度、好ま しくは250~350℃程度に加熱することができる のであれば特に限定されるものではない。 体的には、充填管の周りに電熱線を巻いて 熱してもよいし、また加熱した熱媒体を流 ジャケット部を設けてもよい。

 ヨウ素溶融釜4において、水素含有ガスを 用いてガス状ヨウ素を生成させた場合であっ て、生成された混合ガスが所定のモル比とな っていない場合には、ミキサー部8の手前ま にガス状ヨウ素に対する水素のモル比が0.5~1 0の範囲内となるようにライン7から水素を補 することが好ましい。

 なお、本実施形態では、ガス混合器と加 器とが一体となっているミキサー部8を例に 挙げて説明しているが、これに限定されるも のではなく、ガス混合器と加熱器とが独立し て設けられていてもよい。しかし、ガス混合 器と加熱器とを一体としたミキサー部8であ ば、ガス混合器において混合ガスにおける ス状ヨウ素と水素との組成を均一としつつ ヨウ化水素生成器における反応において好 な温度に加熱することができる。ヨウ素化 物製造システム100自体を小型、軽量化する ともできる。

 (ヨウ化水素生成ユニット10)
 ヨウ化水素生成ユニット10は、水素とガス ヨウ素とを反応させるヨウ化水素生成塔12を 備えている。ヨウ化水素生成塔12は、その内 に触媒層(触媒部)12aを備えている。水素ガ およびガス状のヨウ素は、ライン14を経てヨ ウ化水素生成塔12の下部から供給される。そ て、粗ヨウ化水素ガスが、ヨウ化水素生成 12の上部から得られる。生成された粗ヨウ 水素ガスはライン16を経てヨウ化水素精製ユ ニット20へと送られる。触媒層12aには、実施 態1において説明した触媒が充填されている 。また、ヨウ化水素生成塔12の外面には、触 層加熱器(触媒部加熱器)13(例えば、電気炉 オイルバスなど)が備えられている。

 なお、ヨウ化水素生成ユニット10は、ヨ 化水素生成塔12の下部から原料を供給し、ヨ ウ化水素生成塔12の上部から生成物を得る形 に限定されるものではない。例えば、塔頂 から水素ガスおよびガス状のヨウ素を供給 るような形態であってもよいし、ヨウ化水 生成塔12(特には触媒層12a)を水平に設置し、 水平方向から水素ガスおよびガス状のヨウ素 を供給するような形態であってもよい。

 触媒層加熱器13は、加熱対象物を100~1000℃ の範囲となるように加熱することができる。 しかし、通常、触媒層加熱器13は、触媒層12a 温度が200~850℃の範囲となるように加熱する 。触媒層12aの表面温度を200~850℃の範囲内と ることによって、混合ガスにおけるガス状 ウ素および水素を活性化させるとともに、 成した粗ヨウ化水素ガスが触媒表面から十 に脱離しなくなることを防止することがで る。これによって、ヨウ化水素の収率低下 および触媒活性の低下を抑制することがで る。

 また、ヨウ化水素生成塔12は、上述した キサー部8と一体をなしてしてもよい。すな ち、ヨウ化水素生成塔12における触媒層12a 前にミキサー部8を備えるようにしてもよい ヨウ化水素生成塔12をこのような構成とす ことによって、ヨウ化水素生成塔12における 反応において好適な温度に加熱された混合ガ スを、好適な温度を維持した状態でヨウ化水 素生成塔12内の触媒層12aに供給することがで る。また、ヨウ素化合物製造システム100を 型、軽量化することもできる。

 (ヨウ化水素精製ユニット20)
 ヨウ化水素精製ユニット20は、充填物が充 された充填塔22と、精製溶液が貯留されたタ ンク24とを備えている。充填塔22は、ヨウ化 素生成ユニット10で生成され、ライン16を経 供給された粗ヨウ化水素ガスと、精製溶液 を気液接触させるものである。精製溶液に いては、実施形態1において説明したため、 ここではその説明を省略する。

 ヨウ化水素精製ユニット20は、具体的に 、充填塔22の塔頂に接続されたライン28より 製溶液を流下させ、不純物を含有する粗ヨ 化水素ガスを塔下流に接続されたライン16 ら導入する向流気液接触装置、または精製 液と粗ヨウ化水素ガスとを共に塔上流より 入する並流気液接触装置である。なお、図1 は、ヨウ化水素精製ユニット20が向流気液 触装置である場合を例に挙げて図示してい 。

 これによって、粗ヨウ化水素ガスに含ま る、例えばヨウ素などの不純物は、充填塔2 2内部において接触した精製溶液に吸収され ため、充填塔22の下部では、煩雑な処理を行 うことなく、高純度のヨウ化水素ガスを容易 に得ることができる。得られた高純度のヨウ 化水素ガスは、ライン26を経てヨウ素化合物 成ユニット30へと送られる。

 また、ヨウ素などの不純物を吸収した精 溶液は、ヨウ素、ヨウ化水素、およびヨウ 水素酸に侵食されにくい循環ポンプを用い 充填塔22の上部に戻す際に、ライン28を冷却 器により冷却することが好ましい。これによ って、得られるヨウ化水素ガス中の水分をよ り一層少なくすることができる。

 充填塔22に充填する充填物としては、ヨ 素、ヨウ化水素およびヨウ化水素溶液に侵 されないか、または侵食されにくい材質で り、かつ精製溶液と粗ヨウ化水素ガスとの 触面積を増加させるものであれば、特に限 されるものではない。充填物の材質として 、具体的には、ハステロイ、各種セラミッ およびガラスなどを挙げることができる。 た、充填物の形状についても特に限定され ものではなく、例えば、球形状、円柱状(シ ンダー状)および環状(リング状)などの形状 挙げることができる。充填物は、形状が同 のもののみを用いてもよいし、形状が異な ものを併せて使用してもよい。なお、充填 の材質も、充填物の材質と同様に、ヨウ素 ヨウ化水素およびヨウ化水素溶液に侵食さ ないか、または侵食されにくい材質である とが好ましい。

 充填塔22の大きさは、精製する粗ヨウ化 素ガスの量によって、適宜設定することが ましい。また、使用する精製溶液の量、お び流速についても使用する充填塔22の大きさ 、すなわち精製する粗ヨウ化水素ガスの量に 基づいて適宜設定することが好ましい。

 なお、ヨウ化水素精製ユニット20は、充 塔22を用いる装置の他にも、例えば、バッチ 式の精製槽を用いる装置の場合を挙げること ができる。すなわち、例えばヨウ素などの不 純物を含有する粗ヨウ化水素ガスを精製溶液 を貯留している精製槽に吹き込む装置として もよい。

 この場合であっても、精製槽に吹き込ま た粗ヨウ化水素ガスに含まれるヨウ素など 不純物は、精製溶液に吸収されるため、煩 な処理を行うことなく、容易に高純度のヨ 化水素ガスを得ることができる。

 精製したヨウ化水素ガス中の水分をでき だけ少なくしたい場合には、精製槽を常に 定の温度以下に冷却する冷却装置を備える うにするか、または予め冷却した精製溶液 用いることが好ましい。

 なお、バッチ式の精製槽を用いる場合で っても、貯留槽に貯留する精製溶液の量、 ヨウ化水素ガスを吹き込む速度および吹き む量などは、精製する粗ヨウ化水素ガスの によって適宜設定することができる。

 また、ヨウ素などの粗ヨウ化水素ガスに まれている不純物の精製溶液への溶解度に 限度がある。したがって、充填塔22を用い 場合およびバッチ式の精製槽を用いる場合 いずれの場合であっても、例えばヨウ素な の不純物が過飽和状態となり、固体として 出するような状態となれば、新たな精製溶 と交換することが好ましい。このとき、精 溶液に溶解しているヨウ素は、濃縮し、固 ヨウ素として回収することが好ましい。な 、回収したヨウ素は、ヨウ化水素を生成す 反応に再利用してもよい。

 (ヨウ素化合物生成ユニット30)
 ヨウ素化合物生成ユニット30は、ライン26を 経て供給されたヨウ化水素ガスとライン38を て供給された反応原料溶液とを接触させる ウ素化合物生成塔32と、反応により得られ 生成物を回収する回収槽34とを備えている。 なお、本実施形態における「反応原料溶液」 とは、実施形態1において説明した、無機塩 化合物水溶液、アルコール類含有溶液、お び芳香族ジアゾニウム溶液を総称する用語 ある。また、実施形態1において説明したよ に、脂肪族ヨウ化物および芳香族ヨウ化物 製造は、ヨウ化水素溶液を用いてもよいが 本実施形態では、ヨウ化水素ガスを用いる 合を例に挙げて説明する。

 ヨウ素化合物生成塔32には、上流からラ ン38を経て反応原料溶液が導入される。一方 、ヨウ化水素ガスは、反応原料溶液の流路と 直交するようにしてヨウ素化合物生成塔32に 入される。これらがヨウ素化合物生成塔32 て気液接触することにより、反応が引き起 される。気液接触を効率よく行うには、ヨ 素化合物生成塔32にヨウ素、ヨウ化水素、お よびヨウ化水素酸に侵食されにくい材質の充 填物を充填することが好ましい。充填物の材 質としては、ハステロイ、各種セラミック、 ガラスなどを挙げることができ、また充填物 の形状については球状、円柱状、環状などの 形状を挙げることができる。得られたヨウ素 化合物は、ライン36を経て回収槽34にて溶液 して回収される。ヨウ素化合物生成塔32の外 側には、反応系の温度を制御するために温度 制御機構、例えば冷却機構が設けられている ことが好ましい。

 また、回収槽34に回収されたヨウ素化合 溶液から溶媒を留去することにより、目的 するヨウ素化合物を固体として得ることが きる。溶媒の留去に用いるための装置とし は、従来公知の装置を用いることができる 具体的には、エバポレータ、凍結乾燥機な を挙げることができる。

 また、ヨウ素化合物生成ユニット30は、 応原料溶液が貯留されたタンクに、ヨウ化 素ガスを直接吹き込む構成としてもよい。 お、ヨウ化水素反応における残存ガス(場合 よっては使用した不活性ガスも含む)は、ラ イン39よりヨウ素化合物製造システム100から 外へ取り出される。取り出された水素ガス 、ヨウ化水素反応において再利用してもよ 。

 (ヨウ素化合物製造システム100の材質)
 ヨウ化水素精製ユニット20およびヨウ素化 物生成ユニットにおいて、ヨウ素、ヨウ化 素、およびヨウ化水素溶液に接触する部材 、ヨウ素、ヨウ化水素およびヨウ化水素酸 より腐食されないか、または腐食されにく 材質からなることが好ましい。

 このような材質としては、例えば、ハス ロイ、ガラス、各種セラミック、メタルタ タル、白金、ポリ塩化ビニル、ポリテトラ ルオロエチレンなどを挙げることができる

 ヨウ素化合物製造システム100における各 ニットの材質を上記の材質とすることによ て、ヨウ素化合物製造システム100のヨウ素 たはヨウ化水素による腐食を防止すること できる。これによって、ヨウ素化合物製造 ステム100を長寿命化することができる。

 また、ヨウ素化合物製造システム100にお る各ユニットのうち、特に原料調整ユニッ 1、およびヨウ化水素生成ユニット10は、ヨ 素およびヨウ化水素により腐食されないか または腐食されにくいことに加えて、高温 対しての耐久性を有する材質からなること 好ましい。

 具体的には、原料調整ユニット1は固体ヨ ウ素の溶融において最高で200℃程度に加熱さ れるため、200℃程度の温度に耐性を有する材 質からなることが好ましい。このような材質 としては、例えば、ハステロイ、ガラス、各 種セラミック、メタルタンタル、白金、およ びポリテトラフルオロエチレンなどを挙げる ことができる。

 また、ヨウ化水素生成ユニット10は、ヨ 化水素の合成反応において350℃程度に加熱 れた混合ガスまたは粗ヨウ化水素ガスに曝 れることになるため、350℃以上の温度に耐 を有する材質からなることが好ましい。

 このような材質としては、例えば、ハス ロイ、各種セラミック、耐熱ガラスおよび 金などを挙げることができる。

 このように、耐熱性を有する材質を原料 整ユニット1およびヨウ化水素生成ユニット 10の材質とすることによって、高温による各 ニットの劣化を抑制することができる。こ によって、ヨウ素化合物製造システム100を り一層長寿命化することができる。

 なお、原料調整ユニット1におけるヨウ素 溶融釜4は、ヨウ素(液状またはガス状)と接触 する表面を、ハステロイ、耐熱ガラス、セラ ミック、メタルタンタル、白金およびポリテ トラフルオロエチレンから選択される材質に より、例えばライニング処理、またはコーテ ィング処理してもよい。また、ヨウ化水素精 製ユニット20およびヨウ素化合物生成ユニッ 30における充填塔22(または精製槽)、タンク2 4、およびヨウ素化合物生成塔32は、ヨウ素お よびヨウ化水素と接触する表面を、ハステロ イ、ガラス、セラミック、メタルタンタル、 白金、ポリ塩化ビニルおよびポリテトラフル オロエチレンから選択される材質により、例 えばライニング処理、またはコーティング処 理してもよい。さらに、ヨウ化水素生成ユニ ット10においてハステロイ、耐熱ガラス、セ ミックおよび白金から選択される材質が使 れるのはヨウ化水素生成塔12だけでよく、 媒層加熱器13には、上記材質を使用しなくて もよい。

 また、各ユニットに接続されている各ラ ンについても、接続している各ユニットと 様の材質から成ることが好ましい。

 なお、ヨウ素化合物製造システム100にお る各ラインは、ヨウ素が析出し、固化する とによるラインの詰まりを防ぐために、ヨ 素およびヨウ化水素の露点温度以上に加熱 れていることが好ましい。

 (本製造システムおよび製造方法を用いる利 点)
 以上のように、本発明に係るヨウ素化合物 製造システムおよび製造方法は、ガス状ヨ 素と水素とを用いた気相接触還元反応にお て粗ヨウ化水素ガスを生成している。これ よって、粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素 精製する際に、副生成物の除去などの煩雑 処理工程を不要とすることができる。これ よって、高純度のヨウ化水素を簡便、かつ 率よく得ることができるとともに、製造に するコストを削減することができる。また このように得られたヨウ化水素ガスを用い ヨウ素化合物を製造すれば、多様なヨウ素 合物を容易に、かつ効率よく得ることがで るとともに、製造したヨウ素化合物を廉価 提供することができる。

 本発明は上述した各実施形態に限定され ものではなく、請求項に示した範囲で種々 変更が可能である。すなわち、請求項に示 た範囲で適宜変更した技術的手段を組み合 せて得ることができる実施形態についても 発明の技術的範囲に含まれる。

 以下、実施例を示し、ヨウ素化合物の製 方法についてさらに詳しく説明する。もち ん、本発明は以下の実施例に限定されるも ではなく、細部については様々な様態が可 である。

 〔実施例1〕
 (固体ヨウ素の溶融)
 本実施例では、ヨウ素溶融釜4として、ジャ ケット付きガラスライニングされた内容積2L 容器を用いた。容器には、溶融ヨウ素液へ 素含有ガスを吹き込むための吹き込み管と 水素含有ガスおよびガス状ヨウ素の排出管 を設けた。

 ヨウ素溶融釜4に、固体ヨウ素1.5kgをいれ 続いて、ジャケット内にシリコンオイルを して固体ヨウ素を溶融し、溶融ヨウ素の温 が水素含有ガスを溶融ヨウ素内に吹き込ま た状態で120℃に維持されるようにした。次 、溶融した液体ヨウ素中に水素を450ml/分の で供給し、75ml/分のガス状ヨウ素を得た。

 なお、本実施例では、不足した供給ヨウ を補えるように同様の固体ヨウ素溶融釜を う一基並列にラインに組み込み、一定時間 に切り替えて、接触還元反応を連続して実 できるようにした。

 (混合ガスの調整)
 得られた水素およびガス状ヨウ素の混合ガ を粒径3mmのガラス玉を充填した内径20mm、長 さ50mmのハステロイ製円筒(ミキサー部8)に導 し、均一な混合ガスに調整した。

 ミキサー部8の外部にはシーズヒータが備 えられており、ミキサー部8内部における混 ガスの温度が200℃に保たれるようにした。 お、ミキサー部8とヨウ素溶融釜4を接続する ラインは、ヨウ素の凝縮が起こらないように 外部から保温した。

 (接触還元反応)
 ミキサー部8において調整した水素流量450ml/ 分、ガス状ヨウ素流量75ml/分の均一混合ガス ヨウ化水素生成部10において気相接触還元 応させ、ヨウ化水素を生成した。このとき いた触媒は、粒径3mmの球状アルミナに白金 1g/L(担体1リットル当たりの担持量が1gである ことを示す)を担持させた白金族触媒である また、触媒は外部加熱型ハステロイ製円筒 充填して用いた。さらに、触媒の温度は350 とした。なお、触媒層12aの入口部には、粒 5mmのガラス球を充填し、均一混合ガスの予 を行った。

 ここで、ヨウ化水素生成塔出口の粗ヨウ 水素ガスの一部を水に吸収させ、化学分析 用いて、生成したヨウ化水素および未反応 ヨウ素の定量を行った。その結果、ヨウ素 転化率は98.0%であり、ヨウ化水素の収率は98 .0%であり、未反応ヨウ素と生成ヨウ化水素と の重量比は2/98であった。

 この接触還元反応を100時間連続行った。 の結果、ヨウ素転化率97.9%、ヨウ化水素収 97.9%であり、触媒の活性は安定に保たれた。

 (未反応ヨウ素除去処理)
 20mlの充填管にリング状の磁性充填物を充填 した縦型ガラス吸収管を用意し、ポンプを用 いて飽和ヨウ化水素水溶液をガラス吸収管の 上部から下部へと流下するように循環させた 。なお、飽和ヨウ化水素水溶液の流速度は、 50ml/分とした。次いで、接触還元反応により られた粗ヨウ化水素ガスをガラス吸収管の 部から導入し、並流気液接触させて、未反 ヨウ素を飽和ヨウ化水素水溶液に吸収させ 。ガラス吸収管からの排出ガスの一部を水 吸収させ、化学分析を用いてヨウ素とヨウ 水素の量を定量した。

 その結果、ヨウ素の転化率は98.0%であり ヨウ化水素の収率は98.0%であり、未反応ヨウ 素と生成ヨウ化水素との重量比は0.01/99.99で った。これによって、未反応のヨウ素を粗 ウ化水素ガスから十分に除去することがで ることが確認された。

 (ヨウ素化合物の製造)
 本実施例では、バッチ式の装置を用いてヨ 化カリウムの製造を実施した。200mlの四つ フラスコに、純度96重量%の水酸化カリウム 用いて調整した48重量%の水酸化カリウム水 液20.1g、およびイオン交換水100gを用意した そして、この四つ口フラスコに精製したヨ 化水素ガスを吹き込み、ヨウ化水素と水酸 カリウムとを中和反応させた。ヨウ化水素 スの吹き込みは、反応液のpH値をpHメーター を用いて追跡しながら行い、反応水溶液のp H値が5.72になったところで終了し、高純度の ウ化カリウム水溶液を製造した。

 得られたヨウ化カリウムの純度を確認す ため、反応液を回転エバポレータにより全 縮し、次いで、十分乾燥させて固体のヨウ カリウムとして取り出した。分析の結果、 度は99.8重量%であった。

 〔比較例1〕
 1Lフラスコにヨウ素200gを取り、47.6%の水酸 カリウム水溶液92.9g、イオン交換水20.5gを加 、ヨウ素を溶解した。これに87.1%ギ酸水溶 43.7gを少量ずつ添加した。2時間かけて全て ギ酸水溶液を添加し、反応液が発泡しなく った後、加熱しつつ1時間攪拌し、反応を行 た。反応後、活性炭の層に溶液を通し、未 応のギ酸を吸着させてヨウ化カリウムの水 液を得た。

 得られたヨウ化カリウムの純度を調べる めに、ヨウ化カリウム水溶液を全量濃縮し 結晶を析出させ乾燥した。その純度は99.5% あった。

 比較例1の製造方法では、還元反応にギ酸 を使用しているが、ギ酸による還元反応は反 応速度が遅いため、反応の完結、すなわちヨ ウ化カリウムの製造には時間を要した。一方 、実施例1に示すヨウ化水素と水酸化カリウ との中和反応は反応速度が速いため、反応 完結には時間を要さなかった。すなわち、 較例1の方法の生産性は実施例1に比べて極め て低くなることが確認された。

 また、ギ酸による還元反応は、反応速度 遅いことから、製造装置をバッチ式にせざ をえない。なお、実施例1では比較例1との 較のために、ヨウ化カリウム水溶液の製造 法をバッチ式で例示したが、ヨウ素化合物 成塔内に充填物を充填して気液接触効率を くし、水酸化カリウム水溶液の濃度や供給 度を調整し、反応液のpH値を管理することに より、ヨウ化カリウム水溶液を連続的に製造 することもできる。このような連続式製造方 法では、バッチ式よりもヨウ化カリウム水溶 液の生産性が更に向上させることができる。

 〔実施例2〕
 (ヨウ化水素含有ガスの生成方法)
 水素流量450ml/分、ガス状ヨウ素流量75ml/分 混合ガスを、350℃に加熱した、粒径3mmの球 アルミナに担体1Lあたり1gの白金を担持させ 白金族触媒に接触させ、ヨウ化水素含有ガ (粗ヨウ化水素ガス)を生成した。なお、ヨ 化水素含有ガスにおける未反応ヨウ素と生 したヨウ化水素との重量比は、2/98であった( 残りは水素ガスであった)。

 (ヨウ化水素含有ガスの精製)
 20mlの充填管にリング状の磁性充填物を充填 した縦型ガラス吸収管(以下、単に吸収管と 称する)を用意し、ポンプを用いて飽和ヨウ 水素水溶液を吸収管の上部から下部へと流 するように循環させた。なお、飽和ヨウ化 素水溶液の流速度は、50ml/分とした。次い 、生成したヨウ化水素含有ガスを吸収管の 部から導入し、未反応ヨウ素を飽和ヨウ化 素水溶液に吸収させた。

 (ヨウ化水素に含有されるヨウ素濃度の測定 )
 吸収管を通過した後のヨウ化水素含有ガス( すなわち、ヨウ化水素)は、水に吸収させ、 溶液として回収した。回収したヨウ化水素 水溶液中のヨウ素量およびヨウ化水素量は それぞれチオ硫酸ナトリウムおよび水酸化 トリウム水溶液による滴定分析によって測 した。

 その結果、ヨウ化水素水溶液に含有され いるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99 であった。これによって、高純度のヨウ化水 素を、極めて容易に、かつ効率よく得ること ができることが示された。

 〔参考例3〕
 (ヨウ化水素含有ガスの生成方法)
 300mlの四つ口フラスコに水(100g;5.556mol)、赤 ン(9g;0.290mol)を入れ、撹拌しながら0℃に冷却 した。そこに、ヨウ素(200g;0.788mol)を4回に分 て加え、2時間反応させてヨウ化水素を合成 た。次に、常圧下において、四つ口フラス 内に窒素ガスを30ml/分で流しながら加熱し 常圧下におけるヨウ化水素と水との共沸組 (重量比)である57.6%に対して過剰なヨウ化水 をヨウ化水素含有ガスとして発生させた。

 発生させたヨウ化水素含有ガスを水に吸 させ、ヨウ化水素含有ガスにおけるヨウ素 とヨウ化水素量とをそれぞれチオ硫酸ナト ウムおよび水酸化ナトリウムによる滴定分 によって測定した。結果として、ヨウ化水 含有ガスにおけるヨウ素とヨウ化水素との は、0.9/99.1であった。

 (ヨウ化水素含有ガスの精製)
 20mlの充填管にリング状の磁性充填物を充填 した縦型ガラス吸収管(以下、単に吸収管と 称する)を用意し、ポンプを用いて飽和ヨウ 水素水溶液を吸収管の上部から下部へと流 するように循環させた。なお、飽和ヨウ化 素水溶液の流速度は、50ml/分とした。次い 、生成したヨウ化水素含有ガスを吸収管の 部から導入し、未反応ヨウ素を飽和ヨウ化 素水溶液に吸収させた。

 (ヨウ化水素に含有されるヨウ素濃度の測定 )
 吸収管を通過した後のヨウ化水素含有ガス( すなわち、ヨウ化水素)は、水に吸収させ、 溶液として回収した。回収したヨウ化水素 水溶液中のヨウ素量およびヨウ化水素量は それぞれチオ硫酸ナトリウムおよび水酸化 トリウム水溶液による滴定分析によって測 した。

 その結果、ヨウ化水素水溶液に含有され いるヨウ素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99 であった。これによって、高純度のヨウ化水 素を、極めて容易に、かつ効率よく得ること ができることが示された。

 〔実施例4〕
 飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水からアセ ンに変更した以外は、実施例2と同様の方法 を用いてヨウ化水素を製造し、製造したヨウ 化水素を水に溶解して得ることができるヨウ 化水素水溶液に含有されているヨウ素の量を 測定した。

 結果として、ヨウ化水素に含有されるヨ 素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった 。これによって、高純度のヨウ化水素を、極 めて容易に、かつ効率よく得ることができる ことが示された。

 〔実施例5〕
 飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水から10重 %のヨウ化カリウムを含有した飽和ヨウ化水 水溶液に変更した以外は、実施例2と同様の 方法を用いてヨウ化水素を製造し、製造した ヨウ化水素を水に溶解して得ることができる ヨウ化水素水溶液に含有されているヨウ素の 量を測定した。

 結果として、ヨウ化水素に含有されるヨ 素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった 。これによって、高純度のヨウ化水素を、極 めて容易に、かつ効率よく得ることができる ことが示された。

 〔実施例6〕
 飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水からテト ヒドロフランに変更した以外は、実施例2と 同様の方法を用いてヨウ化水素を製造し、製 造したヨウ化水素を水に溶解して得ることが できるヨウ化水素水溶液に含有されているヨ ウ素の量を測定した。

 結果として、ヨウ化水素に含有されるヨ 素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった 。これによって、高純度のヨウ化水素を、極 めて容易に、かつ効率よく得ることができる ことが示された。

 〔実施例7〕
 飽和ヨウ化水素溶液の溶媒を、水からトル ンに変更した以外は、実施例2と同様の方法 を用いてヨウ化水素を製造し、製造したヨウ 化水素を水に溶解して得ることができるヨウ 化水素水溶液に含有されているヨウ素の量を 測定した。

 結果として、ヨウ化水素に含有されるヨ 素とヨウ化水素との比は、0.01/99.99であった 。これによって、高純度のヨウ化水素を、極 めて容易に、かつ効率よく得ることができる ことが示された。

 〔比較例2〕
 飽和ヨウ化水素溶液を、イオン交換水に変 した以外は、実施例2と同様の方法を用いて ヨウ化水素を製造した。ヨウ化水素に含有さ れるヨウ素とヨウ化水素との比は、ヨウ化水 素含有ガスを吸収管に導入してから1時間後 イオン交換水中に含まれるヨウ素量と、ヨ 化水素量とを実施例2と同様の方法によって 定し、算出した。

 結果として、ヨウ化水素に含有されるヨ 素とヨウ化水素との比は、2/98であった。す なわち、ヨウ化水素の純度に変化はみられな かった。

 以上説明したように、本発明に係るヨウ 化合物製造システムでは、ガス状ヨウ素と 素とを用いた気相接触還元反応において粗 ウ化水素ガスを生成している。これによっ 、粗ヨウ化水素ガスからヨウ化水素を精製 る際に、副生成物の除去などの従来の煩雑 処理工程を不要とすることができる。した って、高純度のヨウ化水素を簡便、かつ効 良く得ることができるとともに、製造に要 るコストを削減することができる効果を奏 る。

 また、このように得られたヨウ化水素ガ を用いてヨウ素化合物を製造することによ て、ヨウ素化合物を容易に、かつ効率よく ることができるとともに、ヨウ素化合物の 格を廉価とすることができる効果を奏する

 さらに、本明細書等では、ヨウ化水素含 ガスと、当該ヨウ化水素含有ガスに含有さ るヨウ化水素以外の物質を溶解するが、ヨ 化水素を溶解しない精製用溶液とを気液接 させることによって、ヨウ化水素含有ガス らヨウ化水素を精製している。これによっ 、ヨウ化水素含有ガスに含まれるヨウ化水 をほとんど損失することなく、高純度のヨ 化水素を得ることができる効果を奏する。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内で、いろい と変更して実施することができるものであ 。

 本発明に係るヨウ素化合物製造システム 、高純度のヨウ素化合物を簡便に、かつ効 良く、さらには廉価に製造することができ 。そのため、本発明に係る製造システムに って得られた高純度のヨウ素化合物は、そ を原料とする様々な反応において、好適に 用することができる。

 また、本発明に係るヨウ化水素の製造方 では、高純度のヨウ化水素を高効率に製造 ることができるため、ヨウ化水素の工業生 に好適である。また、得られた高純度のヨ 化水素またはヨウ化水素酸は、ヨウ化水素 たはヨウ化水素酸を用いたさらなる反応に 非常に好適に適用することができる。