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Title:
LAMINATE, SEPARATOR FOR CAPACITOR, AND CAPACITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050864
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a laminate having excellent heat resistance, and a separator for capacitors which is made of such a laminate. The laminate has a nanofiber layer and a base layer, and the nanofiber layer is composed of a polyamide filament made of a polyamide (a) and having an average fiber diameter of 10-1000 nm. The dicarboxylic acid unit and the diamine unit constituting the polyamide (a) are characterized as follows. (i) Not less than 60% by mole of the dicarboxylic acid unit is composed of a terephthalic acid unit. (ii) Not less than 60% by mole of the diamine unit is composed of at least one diamine unit selected from the group consisting of a 1,9-nonanediamine unit and a 2-methyl-1,8-octanediamine unit. The base layer is composed of a fiber containing at least a polyamide fiber made of the polyamide (a).

Inventors:
HAYAKAWA TOMOHIRO (JP)
HAYASHI HIDEO (JP)
OKUNO TAKETOSHI (JP)
SUGOH NOZOMU (JP)
KAMADA HIDEKI (JP)
KAWAI HIROYUKI (JP)
INADA SHINYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002849
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
HAYAKAWA TOMOHIRO (JP)
HAYASHI HIDEO (JP)
OKUNO TAKETOSHI (JP)
SUGOH NOZOMU (JP)
KAMADA HIDEKI (JP)
KAWAI HIROYUKI (JP)
INADA SHINYA (JP)
International Classes:
H01G9/02
Domestic Patent References:
WO2007105479A12007-09-20
WO2006035614A12006-04-06
WO2006049151A12006-05-11
Foreign References:
JP2004342396A2004-12-02
JP2007271124A2007-10-18
JPH09129509A1997-05-16
JPH11168033A1999-06-22
JP2000040641A2000-02-08
JP2001068380A2001-03-16
JP2001185455A2001-07-06
JP2002151358A2002-05-24
JP2005159283A2005-06-16
JP2006135243A2006-05-25
JP2007150122A2007-06-14
Other References:
See also references of EP 2202764A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMOTO, Shuji et al. (10-2Edobori 1-chome, Nishi-ku,Osaka-sh, Osaka 02, JP)
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Claims:
 ナノファイバー層および基材層を有し、一方の表面または両方の表面にナノファイバー層が少なくとも存在する積層体からなるキャパシタ用セパレータであって;
 前記ナノファイバー層は、ポリアミド(a)からなる平均繊維径10~600nmのポリアミドフィラメントから形成され、
 このポリアミド(a)を構成するジカルボン酸単位とジアミン単位は、
 (i)ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレフタル酸単位であり、
 (ii)ジアミン単位の60モル%以上が、1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位で構成される群から選択される少なくとも一種のジアミン単位であり;且つ、
 前記基材層は、前記ポリアミド(a)からなるポリアミド繊維を少なくとも含む繊維から形成されている;
キャパシタ用セパレータ。
 ナノファイバー層と基材層との剥離強力が5~100g/30mmである請求項1に記載のキャパシタ用セパレータ。
 基材層が、ポリアミド(a)からなるポリアミド(a)繊維と、ポリアミド(a)およびポリアミド(b)を含むポリアミド(ab)からなるポリアミド(ab)繊維とを含み、
 前記ポリアミド(b)を構成するジカルボン酸単位とジアミン単位は、
 (i)ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位で構成される群から選択される少なくとも一種のジカルボン酸単位であり、
 (ii)ジアミン単位の60モル%以上が、2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン単位、2,4,4-トリメチルヘキサンジアミン単位および1,6-ヘキサンジアミン単位で構成される群から選択される少なくとも一種のジアミン単位である、
請求項1または2に記載のキャパシタ用セパレータ。
 ナノファイバー層の空隙率が65~95%である請求項1~3のいずれか1項に記載のキャパシタ用セパレータ。
 基材層を構成する繊維の単繊維繊度が0.01~5.0dtexである請求項1~4のいずれか1項に記載のキャパシタ用セパレータ。
 ナノファイバー層の厚みに対する基材層の厚みが、0.8~3.5倍である請求項1~5のいずれか1項に記載のキャパシタ用セパレータ。
 ポリアミド(a)の有機溶媒溶液または溶融液を用いて静電紡糸を行って、ポリアミド(a)からなる平均繊維径10~600nmのポリアミドフィラメントよりなるナノファイバー層を、基材層上に積層して形成したものである請求項1~6のいずれか1項に記載のキャパシタ用セパレータ。
 請求項1~7のいずれか1項に記載のキャパシタ用セパレータを使用したキャパシタ。
 ナノファイバー層および基材層を有し、一方の表面または両方の表面にナノファイバー層が少なくとも存在する積層体であって;
 前記ナノファイバー層は、ポリアミド(a)からなる平均繊維径10~1000nmのポリアミドフィラメントから形成され、
 このポリアミド(a)を構成するジカルボン酸単位とジアミン単位は、
 (i)ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレフタル酸単位であり、
 (ii)ジアミン単位の60モル%以上が、1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位で構成される群から選択される少なくとも一種のジアミン単位であり;且つ、
 前記基材層は、前記ポリアミド(a)からなるポリアミド繊維を少なくとも含む繊維から形成されている耐熱性積層体。
 真空下で200℃に保持した乾燥機中で24時間乾燥処理した場合の加熱前後の寸法変化率が、2.5%未満である請求項9に記載の耐熱性積層体。
 
Description:
積層体、キャパシタ用セパレー およびキャパシタ 関連出願

 本願は、日本国で2007年10月18日に出願さ た、特願2007-271124の優先権を主張するもので あり、その全体を参照により本出願の一部を なすものとして引用する。

 本発明は、耐熱性、特に加熱前後の寸法 定性に優れた積層体に関し、より詳細には キャパシタ用セパレータおよび当該セパレ タを使用したキャパシタ、特に有機系電解 を使用する電気二重層キャパシタで用いる に好適なキャパシタ用セパレータおよび当 セパレータを備えるキャパシタに関する。

 電気二重層キャパシタは、ニッカド電池 ニッケル水素電池、リチウムイオン電池に まる大容量を有することから、従来のキャ シタ(別名:コンデンサ)の主な用途であった 源平滑化、ノイズ吸収用などの用途以外に パーソナルコンピュータのメモリーバック ップ電源、二次電池の補助や代替などに用 られるようになってきた。

 従来の二次電池は高容量を有するものの 比較的寿命が短く、しかも急速な充放電が 難であった。それに対して、電気二重層キ パシタは比較的大きな容量を持ちながら、 ャパシタ本来の長所である長寿命、急速充 電が可能という好特性を併せ持つ。

 電気二重層キャパシタは、一般に正負電 、電解液、セパレータ、集電板などから構 されており、セパレータの使用目的は、正 両極の接触を防ぎながら電解液を流通させ ことである。セパレータは、厚みが大きく るほど電極間の通路が長くなって、内部抵 が増すため、セパレータを構成する繊維を 細化して厚みを薄くすることが望まれてい 。

 電解液としては、水系電解液(硫酸水溶液 など)または有機系電解液(例えばテトラエチ アンモニウム・テトラフルオロボレートを ロピレンカーボネートに溶解したものなど) が用いられてきているが、有機系電解液は、 その分解電圧が水の電気分解電圧よりも高く てエネルギー密度を高くできるために近年注 目を集めている。有機系電解液では、水は不 純物となりキャパシタ性能を低下させるため 、水分を極力除去する必要がある。そのため 、有機系電解液を使用するキャパシタに用い るセパレータでは、セパレータの乾燥処理を 真空下に高温で行って水を十分に除去する処 理が一般に行われることから、高温での乾燥 に十分に耐えることのできる高い耐熱性が求 められている。

 電気二重層キャパシタ用のセパレータと ては、セルロース系繊維よりなるセパレー (特許文献1~3を参照)、ポリアクリルニトリ の極細繊維集合体層を含み、全体の厚みが25 μm以下のセパレータ(特許文献4を参照)、スル ホン化処理して親水化したポリオレフィン系 繊維を主体とする不織布又は織布よりなる水 系電解液を用いる電気二重層キャパシタ用の セパレータ(特許文献5を参照)、が知られてい る。

 しかしながら、セルロース系繊維よりなる パレータは、150℃以上に加熱すると茶色に 色して物性低下を生じ易く、耐熱性に劣っ いる。
 また、ポリアクリルニトリルの極細繊維集 体層を含むセパレータも、加熱により熱収 するため耐熱性に劣っている。
 さらに、スルホン化処理したポリオレフィ 系繊維よりなるセパレータも、耐熱性に劣 ているため、一般に高温で乾燥処理して水 を完全に除去する必要のある、有機系電解 を用いる電気二重層キャパシタ用のセパレ タとしては適していない。

 さらに、耐熱性のフィブリル繊維および/ または耐熱性の短繊維を含む抄紙用原料を湿 式抄造して得られる湿式不織布からなる電気 二重層キャパシタ用のセパレータが知られて いる(特許文献6~10を参照)。

 これらのセパレータは、耐熱性のフィブ ル繊維および/または短繊維から形成されて いるため耐熱性は向上している。しかし、こ れらの従来技術のうち、微細なフィブリル繊 維や細繊度の短繊維を用いて湿式抄造して得 られたセパレータでは、湿式抄造を行ってい ることによって空隙率が小さくなり過ぎて、 電解液が良好に通過せず、キャパシタに用い たときに内部抵抗が高くなり、滑らかで安定 した充放電ができにくい。一方、汎用のμmオ ーダーまたはそれに近い平均繊維径の短繊維 を用いて湿式抄造した得られたセパレータは 、孔が大きすぎて、キャパシタに使用したと きに正負電極から剥がれた電極物質などがセ パレータを通過してしまうため、リーク電流 が大きくなったり、短絡を起こし易い。

特開平9-129509号公報

特開平11-168033号公報

特開2000-40641号公報

国際公開第2006/049151号パンフレット

特開2001-68380号公報

特開2001-185455号公報

特開2002-151358号公報

特開2005-159283号公報

特開2006-135243号公報

特開2007-150122号公報

 本発明の目的は、耐熱性に優れていて、乾 時や加工時の加熱によって物性や性能の低 がない積層体を提供することである。
 また、本発明の目的は、前記した優れた特 に加えて、微粒子の捕集効率に優れるだけ なく、耐薬品性や耐久性にも優れる積層体 提供することである。
 さらに、本発明の目的は、前記した優れた 性に加えて、正負電極から剥がれた電極物 などの遮蔽性に優れ、その一方で電解液の 過性に優れる、キャパシタ用セパレータを 供することである。
 さらにまた、本発明の目的は、前記した優 た特性に加えて、強度などの力学的特性、 久性および取り扱い性に優れるキャパシタ セパレータを提供することである。
 そして、本発明の目的は、前記した優れた 性を有するセパレータを備える、リーク電 や短絡の発生がなく、その一方で電解液の 過性に優れていて内部抵抗が小さくて滑ら で安定した充放電が可能なキャパシタを提 することである。

 本発明者らは、上記の目的を達成すべく 討を重ねてきた。その結果、フィブリル繊 や短繊維を湿式抄造して得られる抄造シー (湿式抄造紙)をキャパシタ用セパレータと てそのまま用いる上記した従来技術に代え 、ナノファイバー層と基材層とを組み合わ て積層するとともに、前記ナノファイバー と基材層とを特定のポリアミドで形成する 、耐熱性に優れていて、乾燥時や加工時の 熱によって物性や性能の低下がないこと、 らに、このような積層体からキャパシタ用 パレータを形成すると微細な孔がナノファ バー層全体に均一に分布していて正負電極 ら剥がれた電極物質などの遮蔽性能に優れ こと、その一方で空隙率が大きくて電解液 通過性に優れることを見出した。

 さらに、本発明者らは、そしてこのよう 積層体およびこの積層体からなるキャパシ 用セパレータは、ナノファイバー層と基材 の接着強度が高くて層間剥離などが生じず 力学的特性、耐久性および取り扱い性に優 ること、さらに当該セパレータを用いたキ パシタは、正負電極から剥がれた電極物質 どの遮蔽性能に優れることによってリーク 流や短絡の発生がなく、その一方で空隙率 高くて電解液の通過性に優れるために内部 抗が小さくて滑らかで安定した充放電が可 であることを見出し、これらの知見に基づ て本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、
 ナノファイバー層および基材層を有し、一 の表面または両方の表面にナノファイバー が少なくとも存在する積層体からなるキャ シタ用セパレータであって;
 前記ナノファイバー層は、ポリアミド(a)か なる平均繊維径10~600nmのポリアミドフィラ ントから形成され、
 このポリアミド(a)を構成するジカルボン酸 位とジアミン単位は、
 (i)ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレ タル酸単位であり、
 (ii)ジアミン単位の60モル%以上が、1,9-ノナ ジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジ ミン単位で構成される群から選択される少 くとも一種のジアミン単位であり;且つ、
 前記基材層は、前記ポリアミド(a)からなる リアミド繊維を少なくとも含む繊維から形 されている;
キャパシタ用セパレータである。

 前記セパレータでは、ナノファイバー層と 材層との剥離強力が5~100g/30mm程度であって よく、基材層が、ポリアミド(a)からなるポ アミド(a)繊維とポリアミドバインダー繊維 の混合繊維から形成されてもよい。すなわ 、基材層は、ポリアミド(a)繊維と、ポリア ド(a)およびポリアミド(b)を含むポリアミド(a b)からなるポリアミド(ab)繊維とを含んでもよ く、
 前記ポリアミド(b)を構成するジカルボン酸 位とジアミン単位は、
 (i)ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレ タル酸単位およびイソフタル酸単位で構成 れる群から選択される少なくとも一種のジ ルボン酸単位であり、
 (ii)ジアミン単位の60モル%以上が、2,2,4-トリ メチルヘキサンジアミン単位、2,4,4-トリメチ ルヘキサンジアミン単位および1,6-ヘキサン アミン単位で構成される群から選択される なくとも一種のジアミン単位であってもよ 。

 また、セパレータでは、ナノファイバー層 空隙率が65~95%程度であってもよく、基材層 構成する繊維の単繊維繊度が0.01~5dtex程度で あってもよい。また、ナノファイバー層の厚 みに対する基材層の厚みが、0.8~3.5倍程度で ってもよい。
 前記セパレータは、ポリアミド(a)の有機溶 溶液または溶融液を用いて静電紡糸を行っ 、ポリアミド(a)からなる平均繊維径10~600nm ポリアミドフィラメントよりなるナノファ バー層を、基材層上に積層して形成しても い。

 また、本発明は、前記キャパシタ用セパ ータを使用したキャパシタ(例えば電気二重 層用キャパシタ)をも包含する。

 さらに本発明は、ナノファイバー層および 材層を有し、一方の表面または両方の表面 ナノファイバー層が少なくとも存在する耐 性積層体をも包含する。前記耐熱性積層体 は、
 前記ナノファイバー層が、ポリアミド(a)か なる平均繊維径10~1000nmのポリアミドフィラ ントから形成され、
 このポリアミド(a)を構成するジカルボン酸 位とジアミン単位は、
 (i)ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレ タル酸単位であり、
 (ii)ジアミン単位の60モル%以上が、1,9-ノナ ジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジ ミン単位で構成される群から選択される少 くとも一種のジアミン単位であり;且つ、
 前記基材層が、前記ポリアミド(a)からなる リアミド繊維を少なくとも含む繊維から形 されている。
 この積層体は、耐熱性に優れているため、 空下で200℃に保持した乾燥機中で24時間乾 処理した場合の加熱前後の寸法変化率が、2. 5%未満であってもよい。

 本発明の積層体は、耐熱性に優れていて、 燥時や加工時、さらに使用時の外部からの 熱によって物性や性能が低下しにくい。さ に、微細な孔がナノファイバー層全体に均 に分布するだけでなく、ナノファイバー層 空隙率が高いため、微粒子(例えば、粉塵、 電極物質など)の捕集性に優れる。しかもナ ファイバー層と基材層の接着強度が高くて 間剥離が生じにくく、力学的特性、耐久性 よび取り扱い性に優れている。
 さらに本発明の積層体よりなるキャパシタ セパレータは、微細な孔がナノファイバー 全体に均一に分布していて正負電極から剥 れた電極物質などの遮蔽性能に優れており その一方で空隙率が大きくて電解液の通過 に優れている。
 そして、本発明のキャパシタ用セパレータ 用いて作製したキャパシタは、正負電極か 剥がれた電極物質などの遮蔽性能に優れる め、リーク電流や短絡の発生がなく、その 方で空隙率が高くて電解液の通過性に優れ ため、内部抵抗が小さくて滑らかで安定し 充放電が可能である。

 この発明は、添付の図面を参考にした以下 好適な実施例の説明から、より明瞭に理解 れるであろう。しかしながら、実施例およ 図面は単なる図示および説明のためのもの あり、この発明の範囲を定めるために利用 れるべきものではない。この発明の範囲は 付の請求の範囲によって定まる。
本発明のキャパシタ用セパレータをな 、ナノファイバー層と基材層を有する積層 の製造に好適に用いられる静電紡糸装置の 例を示す図である。

 以下に本発明について詳細に説明する。
 本発明の積層体は、ナノファイバー層およ 基材層を有する積層体であって、当該積層 の一方の表面または両方の表面にナノファ バー層が存在する(ナノファイバー層が位置 する)積層体からなっている。本発明の積層 は、耐熱性や微粒子除去性能に優れている め、キャパシタ用セパレータ(以下単に「セ レータ」ということがある)やフィルターと して好適に用いることができる。

[ナノファイバー層]
 本発明の積層体におけるナノファイバー層 、ナノサイズの平均繊維径を有する半芳香 ポリアミドフィラメントから形成されてい [以下、ポリアミド(a)よりなるナノサイズの 平均繊維径を有するポリアミドフィラメント を、「ポリアミド(a)ナノフィラメント」とい うことがある]。

(ポリアミド(a)ナノフィラメント)
 微粒子の除去効率を向上する観点から、ナ ファイバー層を形成するポリアミド(a)ナノ ィラメントの平均繊維径は、10~1000nm(好まし くは10~600nm程度、より好ましくは40~550nm程度 さらに好ましくは50~450nm程度)である。1000nm りも大きいと、ナノファイバー層における のサイズ(ポアサイズ)が大きくなり、微粒子 の除去効率が低減する虞がある。一方、ポリ アミド(a)からなるポリアミドフィラメントの 平均繊維径が10nm未満であると、積層体を製 する際の加工性が低下して安定な生産が困 になる場合がある。

 特に、積層体でセパレータを形成する場 、ナノファイバー層を形成する、ポリアミ (a)ナノフィラメントの平均繊維径は、10~600n m程度である。600nmよりも大きいと、ナノファ イバー層における孔のサイズ(ポアサイズ)が きくなり、電極物質などの遮蔽性能が低下 、キャパシタに使用した際に漏れ電流が大 くなり、キャパシタの性能の低下を招くの 好ましくない。

 セパレータとしての遮蔽性能およびセパ ータ用の積層体を製造する際の生産性の両 を考慮すると、ポリアミド(a)ナノフィラメ トの平均繊維径は、40~500nmであることが好 しく、100~400nmであることがより好ましい。

 なお、ここで、本明細書における「平均 維径」は、以下の実施例に記載した方法で められる平均繊維径をいう。

(ポリアミド(a))
 前記ポリアミド(a)ナノフィラメントを形成 るポリアミド(a)は、ジカルボン酸単位とジ ミン単位よりなるポリアミドであって、ジ ルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸 位であり、ジアミン単位の60モル%以上が1,9- ノナンジアミン単位および/または2-メチル-1, 8-オクタンジアミン単位(言い換えると、1,9- ナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタ ジアミン単位で構成される群から選択され 少なくとも一種のジアミン単位)であるポリ アミド(a)である。このような特定のポリアミ ド(a)を用いることにより、平均繊維径の小さ いナノフィラメントであっても、優れた耐熱 性、さらには耐薬品性を実現することができ る。
 さらに、セパレータとして用いた場合、セ レータの耐熱性が良好になるだけでなく、 解液に侵されにくくなり耐電解液性も良好 なる。

 ポリアミド(a)におけるテレフタル酸単位の 合が全ジカルボン酸単位に対して60モル%未 であると、積層体としての耐熱性が低下す だけでなく、セパレータの耐熱性、耐電解 性なども低下する。
 ポリアミド(a)では、耐熱性、耐薬品性(例え ば耐電解液性)などの点から、ポリアミド(a) 構成する全ジカルボン酸単位に対して、70モ ル%以上がテレフタル酸単位であることが好 しく、80モル%以上がテレフタル酸単位であ ことがより好ましく、90~100モル%がテレフタ 酸単位であることが更に好ましい。

 ポリアミド(a)が、テレフタル酸単位と共 他のジカルボン酸単位を有する場合は、他 ジカルボン酸単位として、例えば、イソフ ル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナ タレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカル ン酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、1,3- ェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ 息香酸、4,4'-オキシジ安息香酸、ジフェニル メタン-4,4'-ジカルボン酸、ジフェニルスルホ ン-4,4'-ジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカル ン酸などの芳香族ジカルボン酸;マロン酸、 ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチル ハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル 、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリ チルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン 、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジ ルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、 1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式 カルボン酸の1種または2種以上に由来するジ カルボン酸単位を有することができる。

 また、ポリアミド(a)は、必要に応じて、ト メリット酸、トリメシン酸、ピロメリット などの多価カルボン酸に由来する構造単位 、上記したポリアミド(a)ナノフィラメント 形成が可能な範囲で有していてもよい。
 そのうちでも、ポリアミド(a)では、ポリア ド(a)を構成する全ジカルボン酸単位に対し 、芳香族ジカルボン酸単位の割合が、75モ %以上、特に100モル%であることが、セパレー タの耐熱性、耐電解液性などの点から好まし い。

 全ジアミン単位に対する1,9-ノナンジアミ ン単位および/または2-メチル-1,8-オクタンジ ミン単位の割合(1,9-ノナンジアミン単位と2- メチル-1,8-オクタンジアミン単位の両方を有 る場合は両単位の合計割合)が60モル%未満で あるポリアミドは、一般に耐熱性、耐薬品性 (例えば、耐電解液性)などに劣る。

 かかる点から、ポリアミド(a)の耐熱性お び耐電解液性を良好なものとするために、 リアミド(a)を構成する全ジアミン単位に対 て、1,9-ノナンジアミン単位および/または2- メチル-1,8-オクタンジアミン単位の割合は60 ル%以上であり、70モル%以上であることが好 しく、80モル%以上であることがより好まし 、90~100モル%であることが更に好ましい。

 ポリアミド(a)における全ジアミン単位が1 ,9-ノナンジアミン単位単独からなっていても 、または全ジアミン単位が2-メチル-1,8-オク ンジアミン単位単独からなっていてもよい 、ポリアミド(a)は、1,9-ノナンジアミン単位 2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位の両方を 有していることが好ましい。特に1,9-ノナン アミン単位:2-メチル-1,8-オクタンジアミン単 位の含有比率が、モル比(質量)で30:70~99:1、特 に40:60~95:5であることが耐熱性の点からより ましい。

 ポリアミド(a)が、1,9-ノナンジアミン単位 および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミン 位と共に他のジアミン単位を有する場合は 他のジアミン単位として、1,9-ノナンジアミ ンおよび2-メチル-1,8-オクタンジアミン以外 炭素数が6~12のアルキレンジアミン、具体例 しては、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタ ジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデ ンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチ ル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタ ンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジ ミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミ 、5-メチル-1,9-ノナンジアミン;前記した炭素 数6~12のアルキレンジアミン以外のジアミン 具体例としては、エチレンジアミン、1,4-ブ ンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘ キサンジアミン、メチルシクロヘキサンジア ミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジ メチルジアミン、トリシクロデカンジメチル ジアミンなどの脂環式ジアミン;p-フェニレン ジアミン、m-フェニレンジアミン、キシリレ ジアミン、キシレンジアミン、4,4'-ジアミ ジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニル スルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル どの芳香族ジアミンの1種または2種以上に 来するジアミン単位を有していることがで る。

 ポリアミド(a)では、ポリアミド(a)を構成 る全ジアミン単位に対して、炭素数6~12のア ルキレンジアミン単位の割合が、1,9-ノナン アミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジア ン単位をも含めて、75モル%以上、特に90モ %以上であることが、耐熱性の点から好まし 。

 また、ポリアミド(a)では、当該ポリアミド 子鎖におけるアミド結合(-CONH-)とメチレン (-CH 2 -)のモル比[(-CONH-)/(-CH 2 -)]が、1/2~1/8、特に1/3~1/5であることが好まし 。ポリアミド(a)におけるアミド結合とエチ ン基のモル比が前記範囲内であると、積層 としての耐熱性、さらにはセパレータの耐 解液性および耐熱性が優れたものになる。

 ポリアミド(a)は、その極限粘度(濃硫酸30℃ 測定した値)が0.6~2dl/gであることが好ましく 、0.6~1.8dl/gであることがより好ましく、0.7~1.6 dl/gであることが更に好ましい。ポリアミド(a )の極限粘度が前記範囲内であると、繊維化 の溶融粘度特性が良好になる。そのため、 ノファイバー層を有していても、積層体と ての強度や耐熱性、さらには、セパレータ 強度、耐電解液性および耐熱性が優れたも になる。
 なお、本明細書におけるポリアミドの極限 度は、以下の実施例に記載した方法で求め 極限粘度である。

 また、ポリアミド(a)は、その分子鎖の末 基の10%以上、更には40%以上、特に70%以上が 端封止剤により封止されていることが好ま い。ポリアミド(a)の分子鎖の末端が前記割 で封止されていると、セパレータの強度、 電解液性、耐熱性等が優れたものとなる。

 末端封止剤としては、ポリアミド末端のア ノ基またはカルボキシル基と反応性を有す 単官能性の化合物であればとくに制限はな が、反応性および封止末端の安定性などの からモノカルボン酸、モノアミンが好まし 。取り扱いの容易さ、反応性、封止末端の 定性、価格の点でモノカルボン酸が好まし 。モノカルボン酸としては、例えば、酢酸 プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸 カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、 リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸 安息香酸などを挙げることができる。なお 末端の封止率は 1 H-NMRにより、各末端基に対応する特性シグナ の積分値より求めることができる。

 本発明の積層体は、微粒子の捕集効率と 十分な通気または通液量とをかね揃える観 から、ナノファイバー層の厚さが3~30μmであ ることが好ましく、5~27μmであることがより ましく、7~25μmであることが更に好ましい。 ノファイバー層の厚みがこのような範囲内 あると、本発明の積層体でセパレータを形 する場合、セパレータを薄葉化してキャパ タにおける電極物質の充填容積を増大させ それによってキャパシタにおける電極物質 充填量を増加させてキャパシタの性能を向 させることができる。

 また、通気性または通液性と、微粒子など 捕集効率とを両立する観点から、ナノファ バー層の目付は、0.1~10g/m 2 であることが好ましく、0.2~5g/m 2 であることがより好ましい。ナノファイバー 層の目付がこのような範囲内であると、本発 明の積層体からなるセパレータの内部抵抗を 低減できるとともに、電極物質の遮蔽性能な どを向上することができる。

 そして、本発明の積層体およびセパレータ は、通気性または通液性の確保、内部抵抗 低減、微粒子などの捕集効率、電極物質の 蔽性能などの点から、ナノファイバー層の 度(嵩密度)は、0.08~0.5g/cm 3 であることが好ましく、0.1~0.45g/cm 3 であることがより好ましく、0.14~0.4g/cm 3 であることが更に好ましい。

 微粒子の捕集効率を高める観点から、ポ アミド(a)ナノフィラメントよりなるナノフ イバー層の空隙率は、50~95%であることが好 しく、60~93%であることがより好ましい。こ ような空隙率であると、微粒子との接触面 を広くして、微粒子を効率よく捕集できる

 また、特に積層体をセパレータとして用 る場合、キャパシタに用いた際に内部抵抗 低くして電解液の通過が良好に行われるセ レータを得るために、ポリアミド(a)ナノフ ラメントよりなるナノファイバー層の空隙 は、65~95%であることが好ましく、70~90%であ ことがより好ましい。ナノファイバー層の 隙率が65%未満であると、キャパシタのセパ ータとして使用したときに、内部抵抗が高 なって、電解液の通過が円滑に行われなく り、キャパシタの性能が劣ったものになり い。一方、ナノファイバー層の空隙率が95% りも大きいと、空隙が広くなりすぎて、電 物質などの遮蔽性が低下して漏れ電流が大 くなり、キャパシタの性能が劣ったものに り易い。

 微細なフィブリル繊維や細繊度の短繊維を む抄造原料を湿式抄造して製造した従来の パレータでは、空隙率を高くする(例えば、 65%以上にする)ことが困難で、内部抵抗が高 ため、キャパシタに用いたときに電解液が 好に通過せず、滑らかで安定した充放電が きにくいが、本発明のセパレータでは、電 物質などの遮蔽層として機能するナノファ バー層が、短繊維やフィブリル繊維を用い 湿式抄造ではなくて、平均繊維径10~600nmのポ リアミド(a)ナノフィラメントが堆積(集積)し 層(不織布層)であるため、ナノファイバー の空隙率を上記した65~95%という高い値にす ことができる。
 なお、ここで、本明細書における「空隙率 は、以下の実施例に記載する方法で求めら る空隙率をいう。

 平均繊維径が10~1000nm(特に10~600nm)のポリア ミド(a)ナノフィラメントから構成される前記 した物性を有するナノファイバー層は、以下 で説明するように、ポリアミド(a)の有機溶媒 溶液または溶融液を用いて静電紡糸を行って 、ポリアミド(a)ナノフィラメントの層を、基 材層上に不織布状に積層(堆積)することによ て円滑に形成することができる。

[基材層]
 本発明の積層体における基材層は、ジカル ン酸単位とジアミン単位よりなるポリアミ であって、ジカルボン酸単位の60モル%以上 テレフタル酸単位であり、ジアミン単位の6 0モル%以上が1,9-ノナンジアミン単位および/ たは2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位であ ポリアミド(a)からなる繊維を少なくとも含 繊維から形成されている。

(ポリアミド(a)繊維)
 基材層を構成している「ポリアミド(a)から るポリアミド繊維」[以下「ポリアミド(a)繊 維」ということがある]を形成しているポリ ミド(a)は、ナノファイバー層を構成するポ アミド(a)ナノフィラメントを形成している リアミド(a)と同じ範疇に属するポリアミド ある。

 基材層を構成するポリアミド(a)繊維は、 リアミド(a)ナノフィラメントを形成してい ポリアミド(a)と全く同じポリアミドから形 されていてもよいし、またはポリアミド(a) 範疇に属するが、ポリアミド(a)ナノフィラ ントを形成しているのとは異なるポリアミ から形成されていてもよい。

 本発明の積層体(例えば、セパレータ)では 積層体におけるナノファイバー層がポリア ド(a)ナノフィラメントから形成され、基材 がポリアミド(a)繊維を少なくとも含む繊維 ら形成されていて、ナノファイバー層と基 層とが同じ又は同種のポリアミドから形成 れているので、ナノファイバー層と基材層 が強固に接着してナノファイバー層と基材 との間のズレがなく、機械的特性、耐久性 取り扱い性に優れる。
 しかも、この積層体からなるセパレータを ャパシタに使用する場合、ナノファイバー と基材層とのズレによる漏れ電流の発生な が生じにくくなる。

 ポリアミド(a)ナノフィラメントから構成さ るナノファイバー層と、ポリアミド(a)繊維 含む繊維から構成される基材層とが積層し 本発明の積層体は、通常5g/30mm以上の高い剥 離強力を有している。本発明のセパレータに おけるナノファイバー層と基材層との剥離強 力は5~100g/30mmであることが好ましく、7.5~75g/30 mmがより好ましく、10~50g/30mmであることがさ に好ましい。
 なお、本願明細書における剥離強力は以下 実施例に記載する方法で測定した剥離強力 いう。

 このような剥離強力を有する積層体は、 ノファイバー層と基材層との一体性が高く 積層体としての耐久性に優れるだけでなく 通気性や通液性と、微粒子の捕集効率とを 立することができる。

 なお、剥離強力が100g/30mmを超える積層体 は、高い剥離強力を付与するために多量の 着成分を含む場合が多く、それにより積層 の空隙が接着成分で塞がれる可能性がある そのため、積層体の剥離強力の上限は100g/30 mmが好ましい。特に、積層体をセパレータと て用いる場合、内部抵抗の高いセパレータ なるのを防ぐ観点から、剥離強力の上限が1 00g/30mmであるのが好ましい。

 前記した剥離強力は、ナノファイバー層 基材層とを公知または慣用の接着剤により 着することにより達成してもよいが、基材 を、ポリアミド(a)繊維と共に接着成分をな ポリアミドバインダー繊維を含む繊維混合 を用いて形成することによって、接着剤を 部から付与しなくとも、ナノファイバー層 基材層の剥離強力をより高くすることがで る。

 基材層は、ポリアミド(a)繊維単独から形 されていてもよいが、ナノファイバー層と 材層の接着を強固にし、且つ基材層を形成 る繊維間の結合を強くして、機械的特性、 久性、取り扱い性により優れ、漏れ電流の 生の原因となる層間のズレのないセパレー を得るためには、基材層を、ポリアミド(a) 維と、後述するポリアミドバインダー繊維( またはポリアミド(ab)繊維)との繊維混合物か 形成することが好ましい。

 熱接着性と耐熱性とは、相反する性質で るが、基材層を、ポリアミド(a)繊維とポリ ミド(ab)繊維との繊維混合物から形成するだ けでなく、この基材層と、ポリアミド(a)繊維 から形成したナノファイバー層とを組み合わ せると、基材層とナノファイバー層を熱接着 して積層できるだけでなく、得られた積層体 は、優れた耐熱性をも実現することができる 。

 特に、基材層を、ポリアミド(a)繊維と混 ポリアミド(ab)繊維を混合した繊維混合物か ら形成することによって、上記した5~100g/30mm いう高い接着強力を有するセパレータを円 に得ることができる。

(混合ポリアミド(ab)繊維)
 バインダー成分をなすポリアミドバインダ 繊維は、前記したポリアミド(a)とポリアミ (b)とを混合した混合ポリアミド(ポリアミド 組成物)[以下「混合ポリアミド(ab)」というこ とがある]から形成した繊維[以下「混合ポリ ミド(ab)繊維」ということがある]である。

(ポリアミド(a))
 なお、ポリアミド(a)は、前述の通り、ジカ ボン酸単位とジアミン単位よりなるポリア ドであってジカルボン酸単位の60モル%以上 テレフタル酸単位であり、ジアミン単位の6 0モル%以上が1,9-ノナンジアミン単位および/ たは2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位であ ポリアミドである。

(ポリアミド(b))
 ポリアミド(b)は、ジカルボン酸単位とジア ン単位よりなるポリアミドであって、ジカ ボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸単 および/またはイソフタル酸単位(すなわち ジカルボン酸単位の60モル%以上が、テレフ ル酸単位およびイソフタル酸単位で構成さ る群から選択される少なくとも一種のジカ ボン酸単位)であり、ジアミン単位の60モル% 上が2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン単位 2,4,4-トリメチルヘキサンジアミン単位およ 1,6-ヘキサンジアミン単位から選択される少 なくとも一種のジアミン単位である。

 ポリアミド(b)では、ポリアミドを構成す 全ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフ ル酸単位および/またはイソフタル酸単位か らなる。ポリアミド(b)におけるテレフタル酸 単位および/またはイソフタル酸単位の含有 合が60モル%未満であると、混合ポリアミド(a b)繊維の接着性、セパレータの耐電解液性な が低下する。

 混合ポリアミド(ab)繊維の接着性、セパレ ータの耐電解液性などの点から、ポリアミド (b)では、全ジカルボン酸単位に対して、70モ %以上がテレフタル酸単位および/またはイ フタル酸単位であることが好ましく、80モル %以上がテレフタル酸単位および/またはイソ タル酸単位であることがより好ましく、90~1 00モル%がテレフタル酸単位および/またはイ フタル酸単位であることが更に好ましい。

 ポリアミド(b)が、テレフタル酸単位およ /またはイソフタル酸単位と共に他のジカル ボン酸単位を有する場合は、他のジカルボン 酸単位として、例えば、2,6-ナフタレンジカ ボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナ フタレンジカルボン酸、1,4-フェニレンジオ シジ酢酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、 フェン酸、ジ安息香酸、4,4’-オキシジ安息 香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸 ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4, 4’-ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジ ルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、 ハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸 、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メ チルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピ メリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベ リン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロ ンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジ カルボン酸などの脂環式ジカルボン酸の1種 たは2種以上に由来するジカルボン酸単位を することができる。

 なかでも積層体の耐熱性と接着性とを両 する観点から、ポリアミド(b)では、ジカル ン酸単位の100%がテレフタル酸および/また イソフタル酸であることが好ましい。また ポリアミド(b)におけるテレフタル酸単位:イ フタル酸単位の比率(モル比)は、100:0~0:100と することができ、特に70:30~50:50であることが ましい。特に、このような積層体から形成 れたセパレータは、強度、耐薬品性、耐電 液性、耐酸化性などに優れている。

 ポリアミド(b)では、接着性の観点から、 ジアミン単位に対して、2,2,4-トリメチルヘ サンジアミン単位、2,4,4-トリメチルヘキサ ジアミン単位および1,6-ヘキサンジアミン単 位から選ばれる1つ以上のジアミン単位を、60 モル%以上の割合で有しており、70モル%以上 割合で有することが好ましく、80モル%以上 割合で有することがより好ましく、100モル% 割合で有することが更に好ましい。

 ポリアミド(b)において、2,2,4-トリメチル キサンジアミン単位、2,4,4-トリメチルヘキ ンジアミン単位および1,6-ヘキサンジアミン 単位から選ばれる1つ以上のジアミン単位の 合が少なすぎると、接着性が低下し、セパ ータの耐電解液性、強度などが低下する。

 2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン単位、2 ,4,4-トリメチルヘキサンジアミン単位および1 ,6-ヘキサンジアミン単位から選ばれる1つ以 のジアミン単位を60モル%以上の割合で有す ポリアミド(b)においては、[1,6-ヘキサンジア ミン単位]:[1,9-ノナンジアミン単位と2-メチル -1,8-オクタンジアミン単位の合計]のモル比が 100:0~50:50、特に100:0~60:40であることが好まし 。また、ポリアミド(b)が1,9-ノナンジアミン 位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位の双 方を有する場合は、[1,9-ノナンジアミン単位] :[2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位]のモル が99:1~40:60、特に90:10~45:55であることが好ま い。ジアミン単位を前記範囲のモル比にす ことにより、バインダー繊維である混合ポ アミド(ab)繊維の接着性能と分散性能のバラ スが良好になる。

 また、ポリアミド(b)では、当該ポリアミド 子鎖におけるアミド結合(-CONH-)とメチレン (-CH 2 -)のモル比[(-CONH-)/(-CH 2 -)]が、1/2~1/8、特に1/3~1/5であることが好まし 。ポリアミド(b)におけるアミド結合とエチ ン基のモル比が前記範囲内であると、積層 の耐熱性および耐薬品性、特にセパレータ 耐電解液性および耐熱性が優れたものにな 。

 ポリアミド(b)は、その極限粘度(濃硫酸30 で測定した値)が0.6~2.5dl/gであることが好ま く、0.7~2dl/gであることがより好ましく、0.8~ 1.7dl/gであることが更に好ましい。ポリアミ (b)の極限粘度が前記範囲内であると、繊維 時の溶融粘度特性が良好になり、繊維形成 だけでなく、耐熱性および耐薬品性も向上 ることができる。しかも、セパレータとし 用いた場合、セパレータの強度、耐電解液 、耐熱性が優れたものになる。

 また、ポリアミド(b)は、その分子鎖の末 基の10%以上、更には40%以上、特に70%以上が 端封止剤により封止されていることが好ま い。ポリアミド(b)の分子鎖の末端が前記割 で封止されていると、積層体の耐熱性およ 耐薬品性、特にセパレータの強度、耐電解 性、耐熱性等が優れたものとなる。

 末端封止剤としては、ポリアミド末端のア ノ基またはカルボキシル基と反応性を有す 単官能性の化合物であればとくに制限はな が、反応性および封止末端の安定性などの からモノカルボン酸、モノアミンが好まし 。取り扱いの容易さ、反応性、封止末端の 定性、価格の点でモノカルボン酸が好まし 。モノカルボン酸としては、例えば、酢酸 プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸 カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、 リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸 安息香酸などを挙げることができる。なお 末端の封止率は 1 H-NMRにより、各末端基に対応する特性シグナ の積分値より求めることができる。

 混合ポリアミド(ab)繊維を製造するための混 合ポリアミド(ab)におけるポリアミド(a)とポ アミド(b)の混合割合は、質量比で、ポリア ド(a):ポリアミド(b)=10:90~90:10が好ましく、15:8 5~70:30がより好ましく、20:80~40:60が更に好まし い。ポリアミド(a)とポリアミド(b)の混合比率 を前記範囲にすることにより、接着性能およ び分散性能においてバランスのとれた混合ポ リアミド(ab)繊維が得られる。
 混合ポリアミド(ab)は、ポリアミド(a)とポリ アミド(b)を押出機などを用いて溶融混練する ことによって得ることができる。

 基材層を、主体繊維であるポリアミド(a)繊 とバインダー繊維である混合ポリアミド(ab) 繊維を混合した繊維混合物から形成する場合 は、両者の混合割合は、質量比で、ポリアミ ド(a)繊維:混合ポリアミド(ab)繊維=90:10~50:50で ることが好ましく、80:20~55:45であることが り好ましい。バインダー繊維である混合ポ アミド(ab)繊維の割合が多くなり過ぎると、 層体の力学的強度や剥離強力は増すが、混 ポリアミド(ab)繊維によって積層体の空隙が 埋まってしまって空隙率が低下してしまう虞 がある。その結果、セパレータとして用いた 場合、内部抵抗の高いセパレータとなり、キ ャパシタに使用しても性能に優れるキャパシ タが得られなくなる可能性がある。
 なお、基材層は、性能の低下を招かない範 で、ポリアミド(a)繊維および混合ポリアミ (ab)繊維以外の他の繊維を含んでいてもよい 。

 基材層を形成するポリアミド(a)繊維およ 混合ポリアミド(ab)繊維の繊維形態としては 、短繊維、フィラメント(長繊維)、それらの 合物などのいずれであってもよい。

 基材層を構成するポリアミド(a)繊維および 合ポリアミド(ab)繊維の単繊維繊度は、通気 性または通液性と、強度とを両立する観点か ら、0.01~5.0dtexであることが好ましく、0.06~3dte xであることがより好ましい。基材層を構成 る繊維の単繊維繊度が小さすぎると、強度 耐える目付とした場合に抵抗値が高くなっ しまい、電解液の通過性に劣るようになり 一方単繊維繊度が大きすぎると基材層を構 する繊維の本数が少なくなり、基材層、ひ てはセパレータの強度が低下し易くなる。
 基材層を形成するポリアミド(a)繊維および 合ポリアミド(ab)繊維の製造方法は特に制限 されず、例えば溶融紡糸方法などによって製 造することができる。

 基材層の形態としては、不織布、織布、編 などのいずれであってもよく、セパレート 、機械的特性などの点から不織布であるこ が好ましい。
 基材層が不織布からなる場合は、湿式抄造 織布、スパンボンド不織布、メルトブロー 不織布、スパンレース不織布、サーマルボ ド不織布、ケミカルボンド不織布、エアレ ド不織布、ニードルパンチ不織布などのい れであってもよい。そのうちでも、湿式抄 不織布であることが、薄くて均一な基材層 シート(不織布)が得られる点から好ましい

 基材層の厚さは、通気性または通液性と 強度とを両立する観点から、15~70μmである とが好ましく、20~50μmであることがより好ま しく、23~40μmであることが更に好ましい。特 、基材層がこのような範囲の厚みであると 積層体をセパレータとして用いた場合、セ レータを薄葉化してキャパシタにおける電 物質の充填容積を増大させ、それによって ャパシタにおける電極物質の充填量を増加 せてキャパシタの性能を向上させることが きる。

 基材層は、積層体の製造時にナノファイバ 層を支持するための支持体としての役割を つことから、セパレータをなす積層体の生 工程に耐えうる強力物性が必要であり、そ ため基材層の目付は、5~50g/m 2 であることが好ましく、8~30g/m 2 であることがより好ましい。基材層の目付が 小さすぎると、積層体の生産工程に耐えうる 強力を確保できない。また、積層体をセパレ ータとして用いる場合、基材層の目付が大き すぎると、基材層が厚くなり過ぎ、それに伴 ってセパレータの厚さが大きくなりすぎて、 キャパシタに用いたときに電極間距離が遠く なり、キャパシタの抵抗が大きくなり、性能 に優れるキャパシタが得られなくなる。

 通気性または通液性と、強度とを両立す 観点から、基材層の空隙率は50~80%であるこ が好ましく、55~70%であることがより好まし 。例えば、基材層の空隙率が低くなりすぎ と、キャパシタのセパレータとして使用し ときに、内部抵抗が高くなって、電解液の 過が円滑に行われなくなり、キャパシタの 能に劣ったものになり易い。一方、基材層 空隙率が大きすぎると、基材層の強度が低 し、ナノファイバー層の支持体(補強層)と て機能しにくくなる。

 そして、本発明の積層体およびセパレータ は、通気性または通液性、強度などの点か 、基材層の密度(嵩密度)は、0.25~0.7g/cm 3 であることが好ましく、0.3~0.6g/cm 3 であることがより好ましく、0.35~0.55g/cm 3 であることが更に好ましい。

[積層体]
 ナノファイバー層および基材層を有する積 体(セパレータ)では、ナノファイバー層が 積層体(セパレータ)の一方の表面または両方 の表面に少なくとも存在し(位置し)、一方ま は両方の表面に少なくとも存在するサイズ 小さな孔を有するナノファイバー層が、電 から脱落した電極物質の通過を阻止する遮 層として機能する。

 本発明の積層体の具体例としては、ナノ ァイバー層/基材層からなる2層構造積層体 ナノファイバー層/基材層/ナノファイバー層 からなる3層構造積層体、ナノファイバー層/ 材層/ナノファイバー層/基材層/ナノファイ ー層からなる5層構造積層体、ナノファイバ ー層/基材層/ナノファイバー層/基材層/ナノ ァイバー層/基材層/ナノファイバー層からな る7層構造積層体などを挙げることができる

 ナノファイバー層が複数あると、一方の 面のナノファイバー層が製造工程中に擦過 どで損傷した場合にも残りのナノファイバ 層で、微粒子(例えば、粉塵、電極物質など )の通過を阻止することができ、積層体の捕 性能や、セパレータの遮蔽性能が良好に維 される。但し、全体の層数が多くなると、 パレータの厚さが大きくなり、内部抵抗の 加を招き易くなるので、内部抵抗が高くな ないようにすることが必要である。

 積層体(セパレータ)が厚くなり過ぎず、 蔽性能、キャパシタに用いたときに内部抵 の増加の防止、積層体(セパレータ)の製造工 程の簡素化、セパレータの薄葉化によるキャ パシタにおける電極物質の充填容積の増大と 電極物質の充填量の増加によるキャパシタの 高性能化などの点から、セパレータは、ナノ ファイバー層/基材層からなる2層構造積層体 よびナノファイバー層/基材層/ナノファイ ー層からなる3層構造積層体、特に後者の3層 構造積層体からなっていることが好ましい。

 本発明の積層体(セパレータ)では、全体 厚さ(総厚み)を18~100μm、特に25~50μm(例えば、 27~49.5μm)とすると、強度、取り扱い性、内部 抗の低減、セパレータの薄葉化によるキャ シタにおける電極物質の充填容積の増大と 極物質の充填量の増加によるキャパシタの 性能化などの点から好ましい。

 また、積層体の総厚みに応じて、ナノフ イバー層の厚みに対する基材層の厚みも適 設定することができるが、例えば、ナノフ イバー層の厚みに対する基材層の厚みは、0 .8~3.5倍程度が好ましく、より好ましくは0.9~3. 3倍程度、さらに好ましくは1.0~3倍程度である 。ナノファイバー層の厚みと基材層の厚みと を、上記の範囲に設定すると、積層体におけ るナノファイバー層の特性を有効に発揮でき るとともに、積層体全体の強度を維持するこ とができ、積層体の耐久性を向上することが できる。

 本発明の積層体では、積層体の微粒子捕 性と通気性または通液性とを両立する観点 ら、積層体全体での平均ポアサイズ(平均孔 径)が0.1~10μmであることが好ましく、0.2~9μmで あることがより好ましく、0.3~8μmであること 更に好ましい。

 また、本発明の積層体をセパレータとして いた場合、電極物質などの遮蔽性能を良好 ものとし且つ内部抵抗を低くするために、 パレータ全体での平均ポアサイズ(平均孔径 )は、0.1~10μmであることが好まし、0.15~5μmで ることがより好ましく、0.2~3μmであることが 更に好ましい。
 セパレータにおける平均ポアサイズが小さ ぎると、電極物質などの遮蔽性能は向上す が内部抵抗が高くなって電解液の通過性が 下し、一方平均ポアサイズが大きすぎると 極物質などの遮蔽性が低下して漏れ電流が きくなり易い。
 ここで、本明細書でいうセパレータの「平 ポアサイズ(平均孔径)」は、以下の実施例 記載する方法で測定した平均ポアサイズ(平 孔径)である。

 本発明の積層体は、特定のポリアミドを いてナノファイバー層と基材層とを形成す ため、耐熱性に優れており、例えば、真空 で200℃に保持した乾燥機中で24時間乾燥処 しても、加熱前後の寸法変化率は、例えば 2.5%未満であり、好ましくは2.3%以下であり、 さらに好ましくは2.1%以下であってもよい。

 なお、加熱後の寸法変化率が大きすぎると( 例えば、3.0%以上)、積層体をエンジンルーム どの過酷な条件下での使用に際すると、熱 縮が発生してしまうため、短期間で使用で なくなり、耐久性に欠ける。さらに、積層 をセパレータとして用いた場合、キャパシ 成型時の乾燥工程で収縮が発生し、電極同 が接してしまうため、キャパシタとして機 しなくなってしまう。
 ここで、本明細書でいうセパレータの「加 前後の寸法変化率」は、以下の実施例に記 する方法で測定した加熱前後の寸法変化率 ある。

 本発明のセパレータをなす積層体の製法は に制限されないが、本発明のセパレータを す積層体は、ポリアミド(a)繊維から構成さ る基材シート、またはポリアミド(a)繊維と 合ポリアミド(ab)繊維の繊維混合物から構成 される基材シートに向けて、ポリアミド(a)の 有機溶媒溶液または溶融液を用いて静電紡糸 して、基材シート上に平均繊維径10~600nmのポ アミド(a)ナノフィラメントよりなるナノフ イバー層を不織布状に積層(堆積)して、ナ ファイバー層を一方または両方の表面に少 くとも有するナノファイバー層と基材層と 積層体を形成し、その後に必要に応じて(好 しくは)当該積層体を、混合ポリアミド(ab) 維は軟化または溶融するが、ポリアミド(a) ノフィラメントおよびポリアミド(a)繊維は 化および溶融しない温度で熱プレスするこ によって円滑に製造することができる。
 ナノファイバー層を両方の表面に合計で2層 有する積層体は、上記した操作を一方の表面 側ともう一方の表面側とで2回繰り返して行 てもよいし、または基材層の両面にナノフ イバー層を同時に形成できる静電紡糸装置 用いて1回の操作で製造してもよい。

 静電紡糸に当たって、ポリアミド(a)を有 溶媒に溶解して調製した溶液を紡糸原液と て用いる場合は、有機溶媒としては、ポリ ミド(a)を溶解し得る有機溶媒のいずれもが 用でき、具体例としては、ヘキサフルオロ ソプロパノール(HFIP)、フェノール、クレゾ ル、濃硫酸、蟻酸などのプロトン性極性溶 、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホ キシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)など の非プロトン性極性溶媒などを挙げることが できる。そのうちでも、有機溶媒としては、 ヘキサフルオロイソプロパノール、蟻酸が紡 糸原液の安定性の点から好ましく用いられる 。

 ポリアミド(a)の有機溶媒溶液におけるポ アミド(a)の濃度は、2~20質量%が好ましく、 に3~15質量%であることが、平均繊維径10~600nm ポリアミド(a)ナノフィラメントを円滑に製 できる点から好ましい。ポリアミド(a)の有 溶媒溶液におけるポリアミド(a)の濃度が低 ぎると、静電紡糸したときにビーズ状の塊 なり易く、一方濃度が高すぎると、ポリア ド(a)ナノフィラメントの平均繊維径が前記 囲よりも大きくなり易い。

 また、ポリアミド(a)を加熱溶融して調製 た溶融液を紡糸原液として用いる場合には ポリアミド(a)を好ましくは250~370℃、より好 ましくは270~350℃に加熱溶融して静電紡糸を うとよい。溶融温度が低すぎると、溶融液 粘度が高くなり過ぎて、得られるポリアミ (a)ナノフィラメントの平均繊維径が大きく り、平均繊維径10~600nmのポリアミド(a)ナノフ ィラメントが得られにくくなる。一方、溶融 温度が高すぎると、ポリアミドの熱分解によ る劣化が生じ易い。

 静電紡糸方法には特に制限はなく、紡糸 液を供給できる導電性部材に高電圧を印加 ることで、接地した対極側にナノファイバ を堆積させる方法であればいずれの方法を 用してもよい。その際に対極側に基材層を す基材を配置しておくことにより、基材層 にポリアミド(a)ナノフィラメントからなる ノファイバー層が不織布状に堆積・積層し 積層体が形成される。

 紡糸原液の供給部から吐出された紡糸原 は、高電圧の印加によって帯電分割され、 いで電場により液滴の一点から繊維(ナノフ ィラメント)が連続的に引き出され、分割さ た繊維が多数拡散する。有機溶媒溶液を紡 原液として用いた場合には紡糸原液におけ ポリアミド(a)の濃度が10質量%下であっても 機溶媒は繊維形成と細化の段階で容易に蒸 して除かれて、また溶融液を紡糸原液とし 用いた場合には溶融温度以下に冷却されて 紡糸原液の供給部より数cm~数十cm離れて設置 された捕集ベルトまたは捕集シート上に配置 した基材層用の繊維シート上に堆積する。堆 積と共に半乾燥状態にあるナノフィラメント 同士が微膠着し、ナノフィラメント間の移動 が阻止され、新たなナノフィラメントが逐次 堆積し、ナノフィラメントよりなるナノファ イバー層が形成される。

 何ら限定されるものではないが、本発明の パレータをなす積層体の製造に好ましく用 られる製造装置の一例として、図1に示す静 電紡糸装置を挙げることができる。
 図1において、1は紡糸原液を供給するため ポンプ、2は分配整流ブロック、3は口金部、 4は突出した口金、5は電気絶縁部、6は直流高 電圧発生電源、7は無端コンベアからなる移 装置、8は導電性部材を示す。

 図1の装置を使用して、本発明のセパレータ をなす、ナノファイバー層と基材層を有する 積層体を製造する方法について説明する。
 ポリアミド(a)の有機溶媒溶液または溶融液 りなる紡糸原液は、定量ポンプ1により計量 されて、分配整流ブロック2により均一な圧 と液量となるように分配されて口金部3に送 れる。口金部3には中空針状の1ホール毎に 出させた口金4が取り付けられ、電気絶縁部5 によって電気が口金部3全体に洩れるのを防 している。導電材料で作られた突出した口 4は無端コンベアからなる移送装置7の進行方 向に直角方向に多数並列に垂直下向きに取り 付けられ、直流高電圧発生電源6の一方の出 端子を該突出した口金4に取り付け、各突出 金4は導線により印加を可能にしている。移 送装置7の無端コンベアにはアースをとった 電性部材8が取り付けられ、印加された電位 中和できるようになっている。図1には示し てないが、基材シートを移送装置7の無端コ ベアに取り付けた導電性部材上に無端コン アを包囲するようにして巻き付けるか、ま は移送装置7の無端コンベアに取り付けた導 性部材8上に長尺または短尺の基材シートを 載置して、基材シートを無端コンベアによっ て図1の右側から左側へと移送する。口金部3 り突出口金4に圧送された紡糸原液は帯電分 裂され、次いで電場により液滴の1点からフ イバーが連続的に引き出され分割された繊 (ナノフィラメント)が多数拡散し、半乾燥の 状態で移送装置7に取り付けられた導電性部 8の上に巻き付けられているかまたは導電性 材8上に載置されている基材シート上に堆積 し、微膠着が進み、移送装置7により移動さ 、その移動と共に次の突出口金からのナノ ィラメントの堆積を受け、次々と堆積を繰 返しながら均一なシート状のナノファイバ 層が基材シート上に形成され、ナノファイ ー層と基材層を有するセパレータ用の積層 が形成される。

 上記により得られるナノファイバー層と基 層よりなるセパレータ用の積層体は、必要 応じて、エンボス処理やカレンダー処理に る熱圧融着を行ってナノファイバー層と基 層をより強固に接着させてもよい。
 また、上記により得られるセパレータ用の 層体は、必要に応じて熱プレスまたは冷間 レスを行って、目的とする厚さに調整して よい。

 そして、本発明のセパレータを正極と負極 の間に配置して素子を形成し、当該素子に 解液を含浸させることによって、キャパシ (電気二重層キャパシタ)を形成することが きる。前記キャパシタにおける正極および 極の種類、電解液の種類などは特に限定さ ず、キャパシタ、特に電気二重層キャパシ において従来から採用されているものを用 ることができる。特に、本発明のセパレー は、炭素質の正極および負極を備え、電解 として非水系の有機系電解液[例えば、テト アルキルアンモニウムカチオンとBF 4 - ,PF 6 - ,SO 3 CF 3 - ,AsF 6 - ,N(SO 2 CF 3 ) 2 - ,ClO 4 -などのアニオンとの塩をプロピレンカーボ ート、エチレンカーボネート、ジメチルカ ボネート、ジエチルカーボネート、メチル チルカーボネート、スルホラン、メチルス ホランなどの有機溶媒に溶解した電解液]を いる電気二重層キャパシタ用のセパレータ して適している。

 以下に本発明を実施例などにより具体的 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。以下の例において、各 性値は以下のようにして測定した。

(1)ポリアミドの極限粘度:
 硫酸中、30℃にて、ポリアミドの濃度が0.05g /dl、0.1g/dl、0.2g/dl、0.4g/dlの試料溶液を調製し 、それぞれの試料溶液の固有粘度(ηinh)を測 し、これを濃度0g/dlに外挿した値を極限粘度 [η]とした。
 なお、各試料溶液の固有粘度(ηinh)は、下記 の数式(i)から求められる。
 
 固有粘度(ηinh)(dl/g)=[In(t 1 /t 0 )]/c   (i)
 
 [式中、t 1 は溶媒(硫酸)の流下時間(秒)、t 0 は各試料溶液の流下時間(秒)、cは試料溶液中 のポリアミドの濃度(g/dl)を示す。] 

(2)ナノファイバー層、基材層および不織布シ ートを構成する繊維の平均繊維径:
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体または不織布シート)を、厚さ方向に切 し、その切断断面を日立製作所製の電子顕 鏡により倍率5000倍で写真撮影し、その写真 縦×横=20mm×20mmの正方形の面積部分に含まれ る全ての繊維横断面について、繊維径(繊維 断面において最も大きな値となる径を繊維 とする)を測定し、その平均値を採って平均 維径とした。なお、ナノファイバー層と基 層からなる積層体については、各層ごとに を構成する繊維の平均繊維径を求めた。
 平均繊維径は、ナノファイバー層では約20 の繊維横断面の平均値であり、基材層およ 不織布シートでは約20個の繊維横断面の平均 値である。

(3)積層体、ナノファイバー層、基材層および 不織布の目付(g/m 2 ):
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体または不織布)について、セパレータ(積 体)全体の目付、積層体におけるナノファイ バー層と基材層の目付および不織布シートの 目付を、JISP 8124「紙のメートル目付測定方 」に準じて測定した。

(4)積層体、ナノファイバー層、基材層および 不織布の厚さ(μm):
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体または不織布)について、積層体全体の さ、ナノファイバー層と基材層の厚さおよ 不織布の厚さをJISP 8118「紙及び板紙の厚さ 密度の試験方法」に準じて測定した。

(5)積層体、ナノファイバー層、基材層および 不織布の空隙率:
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体または不織布シート)について、積層体 体、ナノファイバー層、基材層および不織 の空隙率(%)を下記の数式(ii)から求めた。
 
   空隙率(%)={(d 1 -E)/d 1 }×100      (ii)
 
 式(ii)中、
  d 1 は、ナノファイバー層、基材層または不織布 シートを構成する繊維を形成している樹脂( 合体)の比重(g/cm 3 )(2種類以上の繊維の混合物を用いている場合 は、混合割合に応じて比重を算出)であり;
  Eは、上記(3)で求めたナノファイバー層、 材層または不織布シートの目付と上記(4)で めたナノファイバー層、基材層または不織 シートの厚さの積(ナノファイバー層、基材 層または不織布シートの嵩密度;単位g/cm 3 )である。

(6)積層体(セパレータ)の平均ポアサイズ(平均 孔径):
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体または不織布)について、コールターエ クトロニクス社製の「colter POROMETER II」を いて、バブルポイント法によりシート(セパ ータ)の孔径分布を測定し、その平均値を平 均ポアサイズ(μm)とした。

(7)積層体(セパレータ)の剥離強力:
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体)から巾30mm×長さ170mmの試料を採取し、当 該試料の長さ方向の一方の端部でナノファイ バー層と基材層を長さ方向に50mm剥離させ、 張り試験機(インストロン社製「Model5540」)を 使用して剥離試験を行い、剥離時の強力を測 定して、剥離時の最大荷重を剥離強力とした 。

(8)積層体(セパレータ)の耐電解液性:
 下記の実施例および比較例で得られたセパ ータ(ナノファイバー層と基材層からなる積 層体または不織布シート)から採取した試験 (巾×長さ=15mm×170mm)について、JIS P 8113に準 て、耐電解液性処理前後の試験片の強力(N/1 5mm)を測定して、電解液処理後の強力保持率(% )を求めて耐電解液性とした。
 なお、試験片の電解液処理は、試験片を窒 雰囲気下で50℃のプロピレンカーボネート (和光純薬株式会社製)中に1時間浸漬して行 た。

(9)積層体(セパレータ)の耐熱性(加熱前後の寸 法変化率):
 下記の実施例および比較例で得られた積層 (ナノファイバー層と基材層からなる積層体 または不織布シート)を温度23℃および湿度65% RHの条件下で24時間調湿した後、それから縦× 横=20cm×20cmの試験片を採取し、試験片を真空 で200℃に保持した乾燥機中で24時間乾燥処 し、次いで試験片を乾燥機から取り出して 度23℃および湿度65%RHの条件下で24時間調湿 、それによって得られた試験片の縦および の寸法を測定した。そして、縦および横の ち、寸法変化の大きい方の寸法と、乾燥処 を行う前の寸法(20cm)とを比べて評価した。

(10)電気二重層キャパシタの漏れ電流および 部抵抗:
 以下の実施例および比較例で作製した電気 重層キャパシタを、充電電流20mAにて2.7Vま 充電後、2.7Vの定電圧条件にて2時間充電を行 い、放電電流20mAにて0Vまで放電を行った。こ の充電-放電サイクルを5回繰り返し、5サイク ル目の定電圧充電で2時間保持後の電流値を れ電流とした。
 また、内部抵抗値は、前記したサイクルの 電直後の電圧低下より求めた。
 漏れ電流については、高性能キャパシタに められるレベルとして、50μA未満を極めて 好(◎)、100μA未満を良好(○)とし、通常のキ パシタとしての性能に満たないレベルとな 100μA以上を不良(×)とした。
 内部抵抗については、高性能キャパシタと て求められるレベルとして、1.5ω未満を極 て良好(◎)、2.0ω未満を良好(○)とし、通常 キャパシタとしての性能に満たないレベル なる2.0ω以上を不良(×)とした。

《実施例1》
(1)基材用の湿式不織布の製造:
(i) ジカルボン酸単位の100モル%がテレフタル 酸単位からなり、ジアミン単位の50モル%が1,9 -ノナンジアミン単位および50モル%が2-メチル -1,8-オクタンジアミン単位からなるポリアミ (極限粘度0.73dl/g、末端封止率91%)(以下「ポ アミド9T」という)を溶融紡糸・延伸して、 繊維繊度0.1dtexのポリアミド延伸糸(延伸繊維 )を製造し、これを切断して繊維長3mmの短繊 (主体繊維)にした。
(ii) ジカルボン酸単位の80モル%がテレフタル 酸単位および20モル%がイソフタル酸単位から なり、ジアミン単位の100モル%が1,6-ヘキサン アミン単位からなるポリアミド(三井・デュ ポンポリケミカル株式会社製「シーラーPA3426 」)(以下「ポリアミド6IT」という)40質量部と 前記(i)で用いたのと同じポリアミド9T60質量 部をドライブレンドし溶融混練した後に溶融 紡糸して、単繊維繊度2.9dtexのポリアミド繊 を製造し、これを切断して繊維長10mmの短繊 (バインダー繊維)にした。
(iii) 上記(i)で得られた主体繊維70質量部およ び上記(ii)で得られたバイン
ダー繊維30質量部を水に分散させて抄造原料( 繊維含量0.2質量%)を調製し、当該抄造原料を いて長網抄造機にて抄造し、次いでヤンキ 型乾燥機にて乾燥して、目付11.8g/m 2 の基材用の湿式不織布を製造した。

(2)積層体の製造:
(i) 上記(1)の(i)で使用したのと同じポリアミ 9Tを蟻酸溶媒に投入し、25℃で静置溶解して 濃度20質量%の紡糸原液を調製した。
(ii) 上記(i)で得られた紡糸原液を使用して、 図1に示す紡糸装置にて静電紡糸を行って、 材層上にナノファイバー層が積層した積層 を製造した。
 具体的には、口金4として内径が0.9mmのニー ルを使用し、口金4と移送装置7との間の距 を15cmとし、移送装置7に設けた導電性部材8 上面全体に上記(1)で得られた基材用の湿式 織布を巻き付けて配置した。次いで、移送 度0.1m/分で移送装置7を移送しながら、紡糸 液を所定の供給量で口金4から紡出し、口金4 に20kVの印加電圧を与えて、導電性部材8の上 に配置した湿式不織布上に平均繊維径320nm ポリアミド9Tよりなるナノフィラメントを4.1 g/m 2 になるように均一な厚さに積層(堆積)させて ノファイバー層と基材層が積層した積層体( 積層シート)を製造した。
(iii) 上記(ii)で得られた積層体(積層シート) 装置から取り外し、170℃で60秒間熱プレス処 理して基材層とナノファイバー層を一体化し て、積層体を得た。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。

(3)電気二重層キャパシタの作製:
(i) 活性炭(クラレケミカル製「YP17D」)とポリ テトラフロロエチレンとカーボンブラック( 気化学工業製「デンカブラック」)を80:10:10 質量比で混錬した後、圧延して厚さ150μmの ートにし、当該シートから縦×横=30mm×30mmの 方形のシート片を2枚切り出して、シート状 の分極性電極とした。
(ii) 上記(2)で得られたセパレータ用の積層体 から、縦×横=40mm×40mmの正方形の片をセパレ タとして切り出し、このセパレータを、上 (i)で得られたシート状の分極性電極2枚と共 、180℃に保持した真空乾燥機で12時間乾燥 た後、分極性電極およびセパレータを-60℃ 下の露点雰囲気のドライボックスに収容し 。
(iii) 分極性電極およびセパレータに、テト エチルアンモニウムテトラフロロボレート 1mol%/Lの濃度で含有するプロピレンカーボネ ト溶液(水分率20ppm以下)を真空下で含浸させ た後、分極性電極、セパレータ、分極性電極 の順に重ね合せることで電気二重層キャパシ タを作製した。
(iv) 上記(iii)で得られた電気二重層キャパシ の性能(漏れ電流および内部抵抗)を上記し 方法で評価したところ、下記の表3に示すと りであった。

《実施例2》
(1) 実施例1の(2)の(i)において、ナノファイバ ー層を形成するためのポリアミド9Tの紡糸原 におけるポリアミド9Tの濃度を20質量%から10 質量%に変えるとともに、口金4と移送装置7と の間の距離を15cmから13cmに変更して、湿式不 布上に平均繊維径80nmのポリアミド9Tよりな ナノフィラメントを3.7g/m 2 になるように均一な厚さに積層(堆積)させた 外は、実施例1の(1)および(2)と同様の工程お よび操作を行って、積層体を製造した。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られたセパレータ用の積層体 用いて、実施例1の(3)と同様にして、電気二 重層キャパシタを作製し、その性能(漏れ電 および内部抵抗)を上記した方法で評価した ころ、下記の表3に示すとおりであった。

《実施例3》
(1) 実施例1の(2)の(i)において、ナノファイバ ー層を形成するためのポリアミド9Tの紡糸原 におけるポリアミド9Tの濃度を20質量%から23 質量%に変えて、湿式不織布上に平均繊維径50 0nmのポリアミド9Tよりなるナノフィラメント 3.3g/m 2 になるように均一な厚さに積層(堆積)させた 外は、実施例1の(1)および(2)と同様の工程お よび操作を行って、積層体を製造した。
 これによって積層体の物性を上記した方法 測定または評価したところ、下記の表1に示 すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られたセパレータ用の積層体 用いて、実施例1の(3)と同様にして、電気二 重層キャパシタを作製し、その性能(漏れ電 および内部抵抗)を上記した方法で評価した ころ、下記の表3に示すとおりであった。

《実施例4》
(1)基材用の湿式不織布の製造:
(i) ポリアミド9Tを溶融紡糸・延伸して、単 維繊度0.7dtexのポリアミド延伸糸(延伸繊維) 製造し、これを切断して繊維長10mmの短繊維( 主体繊維)にした。
(ii) 上記(i)で得られた主体繊維70質量部およ 実施例1の(1)の(ii)で製造したのと同じバイ ダー繊維30質量部を水に分散させて抄造原料 (繊維含量0.2質量%)を調製し、当該抄造原料を 用いて長網抄造機にて抄造し、次いでヤンキ ー型乾燥機にて乾燥して、目付11.8g/m 2 の基材用の湿式不織布を製造した。

(2)積層体の製造:
 導電性部材8の上面に、上記(1)で得られた湿 式不織布を配置する以外は、実施例1と同様 して、実施例1の(1)および(2)と同様の工程お び操作を行って、積層体を製造した。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。さらにこの積層 体をセパレータとして用いたところ、下記の 表3に示す物性を示した。

《実施例5》
(1) 実施例1において、ナノファイバー層を形 成するための紡糸原液濃度を8質量%とする以 は実施例1と同様にして積層体を製造した。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。さらにこの積層 体をセパレータとして用いたところ、下記の 表3に示す物性を示した。

《実施例6》
(1) 実施例1において、ナノファイバー層を形 成するための紡糸原液濃度を23.5質量%とする 外は実施例1と同様にして積層体を製造した 。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。さらにこの積層 体をセパレータとして用いたところ、下記の 表3に示す物性を示した。

《実施例7》
(1) 実施例1において、ナノファイバー層を形 成するための紡糸原液濃度を26質量%とする以 外は実施例1と同様にして積層体を製造した
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。

《実施例8》
(1) 実施例1において、ナノファイバー層を形 成するための紡糸原液濃度を24質量%とする以 外は実施例1と同様にして積層体を製造した
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表1に示すとおりであった。

《比較例1》
(1) 実施例1で用いたポリアミド9Tを島成分と 、5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重 した易アルカリ減量性ポリエステルを海成 とした海島型複合繊維を溶融紡糸・延伸し 後、アルカリ減量することによって海成分 完全に除去して得られた単繊維繊度が0.005det exのポリアミド延伸繊維を切断して繊維長1mm 短繊維(主体繊維)を製造した。
(2) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリアミ ド6ITの40質量部とポリアミド9Tの60質量部をド ライブレンドし溶融混練した後に溶融紡糸し て、単繊維繊度2.9dtexのポリアミド繊維を製 し、これを切断して繊維長10mmの短繊維(バイ ンダー繊維)にした。
(3) 上記(1)で得られた主体繊維70質量部およ 上記(2)で得られたバインダー繊維30質量部を 水に分散させて抄造原料(繊維含量0.2質量%)を 調製し、当該抄造原料を用いて長網抄造機に て抄造し、次いでヤンキー型乾燥機にて乾燥 して、目付14.2g/m 2 の湿式不織布を製造した。
 この湿式不織布の物性を上記した方法で測 または評価したところ、下記の表2に示すと おりであった。
(4) 上記(3)で得られた湿式不織布から縦×横=4 0mm×40mmの不織布片を切り出し、この不織布片 をセパレータとして用いて、実施例1の(3)と 様にして、電気二重層キャパシタを作製し その性能(漏れ電流および内部抵抗)を上記し た方法で評価したところ、下記の表3に示す おりであった。

《比較例2》
(1)(i) 溶解槽に予め開繊したパルプ(ウエスタ ンパルプ、重合度DP=621、ALICELL社製)を入れ、8 0℃に加熱して1時間放置した。
(ii) また、上記(i)とは別に、90℃に加熱したN -メチルモルホリン-N-オキサイド水和物液に 没食子酸-n-プロピル(溶液安定剤、パルプに して0.25質量%の量)およびラウリル硫酸ナト ウム(界面活性剤、パルプに対して0.25質量% なる量)で添加し、攪拌、溶解した溶液を調 製した。
(iii) 上記(ii)で調製した溶液を、上記(i)の80 に加熱されたパルプに振りかけ、溶解槽の をして窒素置換を行い、30分間放置してパル プを十分に膨潤させ、溶解槽設置の攪拌機で 1時間攪拌してパルプを完全に溶解させた。 の後溶解槽の温度を100℃に昇温し、攪拌を 止して4時間放置して十分に脱泡を行って紡 原液を調製した。
(2)(i) 上記(1)で調製した紡糸原液を用いる以 は、実施例1の(2)と同様の静電紡糸操作を行 って、導電性部材8の上面に配置した湿式不 布[実施例1の(1)で得られたのと同じ湿式不織 布]上に平均繊維径450nmのセルロースよりなる ナノフィラメントを3.9g/m 2 になるように均一な厚さに積層(堆積)させて ノファイバー層と基材層が積層した積層体( 積層シート)を製造した。
(ii) 上記(i)で得られた積層体(積層シート)を 置から取り外し、170℃で60秒間熱プレス処 して基材層とナノファイバー層を一体化し 、積層体を得た。これによって得られた積 体の物性を上記した方法で測定または評価 たところ、下記の表2に示すとおりであった
 なお、これによって得られた積層体は、耐 性が低く、熱プレス時の加熱によってナノ ァイバー層が脆化してしまい、キャパシタ のセパレータとして用いることができなっ ので、電気二重層キャパシタの作製および の性能評価は行わなかった。

《比較例3》
(1)基材用の湿式不織布の製造:
 ポリエチレンテレフタレート繊維(主体繊維 )(単繊維繊度0.5dtex、株式会社クラレ製「EP043 3」)70質量部と、ポリエチレンテレフタレー 未延伸繊維(バインダー繊維)(単繊維繊度1.1d tex、株式会社クラレ製「EP101×5」)30質量部を に分散させて抄造原料(繊維含量0.2質量%)を 製し、当該抄造原料を用いて長網抄造機に 抄造し、次いでヤンキー型乾燥機にて乾燥 て、目付12.1g/m 2 の基材用の湿式不織布を製造した。
(2)積層体の製造:
 実施例1の(2)において、基材用の湿式不織布 として、実施例1の(1)で得られたポリアミド 維からなる湿式不織布を用いる代わりに、 比較例の上記(1)で得られたポリエチレンテ フタレート繊維からなる湿式不織布を用い それ以外は実施例1の(2)と同様の操作を行っ 、ポリエチレンテレフタレート繊維製湿式 織布よりなる基材層上にポリアミド9Tのナ フィラメントからなるナノファイバー層が 層した積層体を製造した。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表2に示すとおりであった。
 なお、これによって得られた積層体は、熱 レス時の加熱によってナノファイバー層と 材層が剥離してしまい、耐熱性も劣ってお 、キャパシタ用のセパレータとして用いる とができなったので、電気二重層キャパシ の作製およびその性能評価は行わなかった

《比較例4》
(1) メタ系アラミド繊維(2.0dtex、帝人株式会 製「コーネックス」)を繊維長1mmに切断して られた短繊維を、シングルディスクリファ ナーで叩解処理して平均繊維径500nmの微細 維を得た。
(2) 上記(1)で得られたメタ系アラミド微細繊 70質量部と、実施例1の(1)の(i)で得られたの 同じバインダー繊維(ポリアミド繊維)30質量 部を水に分散させて抄造原料(繊維含量0.2質 %)を調製し、当該抄造原料を用いて長網抄造 機にて抄造し、次いでヤンキー型乾燥機にて 乾燥して、目付21.1g/m 2 の湿式不織布を製造した。
 この湿式不織布の物性を上記した方法で測 または評価したところ、下記の表2に示すと おりであった。
(3) 上記(2)で得られた湿式不織布から縦×横=4 0mm×40mmの不織布片を切り出し、この不織布片 をセパレータとして用いて、実施例1の(3)と 様にして、電気二重層キャパシタを作製し その性能(漏れ電流および内部抵抗)を上記し た方法で評価したところ、下記の表3に示す おりであった。

《比較例5》
(1)基材用の湿式不織布の製造:
 上記比較例3の(1)と同様にして基材用の湿式 不織布を製造した。

(2)積層体の製造:
(i) ポリアクリルニトリル(アルドリッチ社製 、平均分子量15万)をDMF溶媒に投入し、25℃で 置溶解して濃度14質量%の紡糸原液を調製し 。
(ii) 上記(i)で得られた紡糸原液を使用して、 図1に示す紡糸装置にて静電紡糸を行って、 材層上にナノファイバー層が積層した積層 を製造した。
 具体的には、口金4として内径が0.9mmのニー ルを使用し、口金4と移送装置7との間の距 を13cmとし、移送装置7に設けた導電性部材8 上面全体に上記(1)で得られた基材用の湿式 織布を巻き付けて配置した。次いで、移送 度0.1m/分で移送装置7を移送しながら、紡糸 液を所定の供給量で口金4から紡出し、口金4 に18kVの印加電圧を与えて、導電性部材8の上 に配置した湿式不織布上に平均繊維径270nm ポリアクリルニトリルよりなるナノフィラ ントを3.1g/m 2 になるように均一な厚さに積層(堆積)させて ノファイバー層と基材層が積層した積層体( 積層シート)を製造した。
(iii) 上記(ii)で得られた積層体(積層シート) 装置から取り外し、170℃で60秒間熱プレス処 理して基材層とナノファイバー層を一体化し て、セパレータ用の積層体を得た。
 これによって得られた積層体の物性を上記 た方法で測定または評価したところ、下記 表2に示すとおりであった。さらにこの積層 体をセパレータとして用いたところ、下記の 表3に示す物性を示した。

 上記の表1および2の結果にみるように、実 例1~8の積層体は、ポリアミド(a)の範疇に属 るポリアミド9Tからなるナノファイバー層と ポリアミド(a)繊維を少なくとも含む繊維から 形成された基材層、特にポリアミド(a)繊維と 混合ポリアミド(ab)繊維(バインダー繊維)との 混合繊維から形成された基材層の一方の表面 または両方の表面に有していることにより、 耐熱性に優れていて、乾燥時や加工時の加熱 によって物性や性能の低下がない。しかも、 耐電解液性に優れ、更にはナノファイバー層 と基材層の接着が強固に行われていて剥離強 力が高い。
 その上、ナノファイバー層の平均繊維径を1 0~600nmの範囲内とする実施例1~6の積層体でセ レータを形成すると、このセパレータは、 負電極から剥がれた電極物質などの遮蔽性 に優れ、その一方で電解液の通過性に優れ ため、電気二重層キャパシタのセパレータ して用いたときに、漏れ電流が少なく且つ 部抵抗の低い、高性能のキャパシタを作製 ることができる。

 それに対して、上記の表2の結果にみるよ うに、比較例1のセパレータは、ポリアミド9T のナノフィラメントからなるナノファイバー 層を有しておらず、ポリアミド9Tからなる微 繊維(主体繊維)と混合ポリアミド(ab)繊維(バ インダー繊維)との混合繊維から形成された 式不織布単独からなっているために空隙率 低くて抵抗が大きく、電気二重層キャパシ のセパレータとして用いたときに電解液が 滑に通過せず、性能の良好なキャパシタが られない。

 さらに、比較例2のセパレータをなす積層 体は、ナノファイバー層がポリアミド(a)繊維 から形成されておらず、セルロースナノフィ ラメントから形成されていることにより、耐 熱性に劣っていて、熱処理時に寸法の変化が 大きく、そのため、キャパシタ用のセパレー タとして有効に使用できない。

 また、比較例3のセパレータをなす積層体 は、基材層がポリアミド(a)繊維を含む繊維か ら形成されておらず、ポリエチレンテレフタ レート繊維から形成されているために、ポリ アミド(a)ナノフィラメントよりなるナノファ イバー層と基材層とが強固に接着しておらず 、接着強力が低い。また、耐熱性に劣ってお り、熱処理により収縮したために、電極同士 が接触してしまい、キャパシタ用のセパレー タとして有効に使用できない。

 比較例4のセパレータは、ポリアミド9Tの ノフィラメントからなるナノファイバー層 有しておらず、メタ系アラミドからなる微 繊維(主体繊維)と混合ポリアミド(ab)繊維(バ インダー繊維)との混合繊維から形成された 式不織布単独からなっているために、空隙 が低く、微粒子との接触面積を確保できな 。また、セパレータとして用いた場合、空 率が低くて抵抗が大きく、電気二重層キャ シタのセパレータとして用いたときに電解 が円滑に通過せず、性能の良好なキャパシ が得られない。

 比較例5のセパレータは、ナノファイバー 層がポリアクリルニトリルのナノフィラメン トから形成されているため、耐熱性に劣って おり、熱処理時に寸法の変化が大きい。しか も、積層体としての剥離強度も低く、耐久性 にも劣る。さらに、熱処理により収縮したた めに、電極同士が接触してしまい、キャパシ タ用のセパレータとして有効に使用できない 。

 なお、実施例7および8の積層体をセパレ タとして用いた場合、内部抵抗は双方とも1. 1ωを示して良好であったが、積層体の平均繊 維径がそれぞれ970nmおよび650nmであったため 、実施例7では漏れ電流が112μA存在し、実施 8では漏れ電流が102μA存在した。そのため、 内部抵抗と漏れ電流の双方を満足することが できない。

 本発明の積層体は、耐熱性に優れるだけ なく、微細な孔がナノファイバー層全体に 一に分布するだけでなく、ナノファイバー の空隙率が高いため、微粒子(例えば、粉塵 、電極物質など)の捕集性に優れるため、二 電池(例えばリチウムイオン二次電池)やキャ パシタ用セパレータ、フィルターの濾材など として、好適に用いることができる。