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Title:
LASER-TRANSMITTING RESIN MOLDED ARTICLE, AND COMPOSITE MOLDED ARTICLE COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/152909
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a laser-transmitting resin molded article which comprises a polyester resin as a base material and has both of a laser-weldable property (a laser-transmitting property) and flame retardancy at high levels. The molded article is formed from a resin composition comprising a polyester resin (A) (e.g., a PBT resin), at least one bromine-containing compound (B) selected from a brominated (meth)acrylate resin, a brominated styrene resin, a brominated polycarbonate resin and a brominated epoxy resin, and an antimony oxide (C) having an average particle diameter of 2 to 10 μm. The molded article has an excellent laser-transmitting property and excellent flame retardancy, and may have a laser beam transmissivity of 20% or more as measured at a thickness of 1 mm and a flame retardancy evaluation rating of V-0 as measured in accordance with UL94 standard at a thickness of 0.8 mm. The resin composition may further comprise a filler, a fluorine-containing resin, a polycarbonate resin, a phosphorus compound and/or a crystallization nucleating agent.

Inventors:
HARUHARA JUN (JP)
HIRAKAWA TAKAKAZU (JP)
SAKATA KOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059734
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
May 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
WINTECH POLYMER LTD (JP)
HARUHARA JUN (JP)
HIRAKAWA TAKAKAZU (JP)
SAKATA KOICHI (JP)
International Classes:
C08L67/00; B29C65/16; C08J5/00; C08K3/22
Domestic Patent References:
WO2007077794A12007-07-12
WO2005068162A12005-07-28
Foreign References:
JP2003517075A2003-05-20
JP2006509893A2006-03-23
JP2008133341A2008-06-12
Attorney, Agent or Firm:
KUWATA, Mitsuo et al. (6th FloorMinato Umeda Building,3-17, Nishitemma 6-chome,Kita-k, Osaka-shi Osaka 47, JP)
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Claims:
 レーザー光を吸収可能なレーザー吸収性樹脂成形品と接触可能であり、レーザー光を透過して、前記樹脂成形品と接合するレーザー透過性樹脂成形品であって、ポリエステル系樹脂(A)と、臭素化(メタ)アクリル系樹脂、臭素化スチレン系樹脂、臭素化ポリカーボネート系樹脂、および臭素化エポキシ系樹脂から選択された少なくとも1種の臭素系化合物(B)と、平均粒子径2~10μmを有するアンチモン酸化物(C)とで構成された樹脂組成物で形成されているレーザー透過性樹脂成形品。
 厚み1mmにおいて、レーザー光透過率が20%以上である請求項1記載の成形品。
 アンチモン酸化物(C)が、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンおよびアンチモン酸ソーダから選択された少なくとも1種である請求項1又は2に記載の成形品。
 ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、臭素系化合物(B)の割合が10~50重量部であり、アンチモン酸化物(C)の割合が5~30重量部である請求項1~3のいずれかに記載の成形品。
 さらに、ポリカーボネート系樹脂(D)及びリン系化合物(E)を含む請求項1~4のいずれかに記載の成形品。
 さらに、結晶化促進剤(F)を含む請求項1~5のいずれかに記載の成形品。
 厚み0.8mmのとき、UL94規格に基づく難燃性評価がV-0である請求項1~6のいずれかに記載の成形品。
 請求項1~7のいずれかに記載のレーザー透過性樹脂成形品と、レーザー光を吸収可能なレーザー吸収性樹脂成形品とがレーザー溶着により接合されている複合成形品。
 レーザー透過性樹脂成形品が、少なくともレーザー光が透過する厚み0.1~1.0mmの部位を有する樹脂成形品であり、この部位でレーザー吸収性樹脂成形品と接合されている請求項8記載の複合成形品。
Description:
レーザー透過性樹脂成形品及び の複合成形品

 レーザー光の透過性が高く、しかも難燃 に優れたレーザー溶着用(レーザー溶着にお ける透過側部材用)樹脂組成物で形成され、 ーザー光に対する透過側部材として有用な ーザー溶着用成形品(レーザー透過側成形品) 、およびこの成形品を用いた複合成形品に関 する。

 ポリエステル系樹脂、例えば、ポリブチ ンテレフタレート(PBT)系樹脂は、耐熱性、 薬品性、電気特性、機械的特性、及び成形 工性などの種々の特性に優れるため、多く 用途に利用されている。具体的な用途とし は、各種自動車用電装部品(各種コントロー ユニット、各種センサー、イグニッション イルなど)、自動車や電気製品に搭載される コネクター類、スイッチ部品、リレー部品、 コイル部品、トランス部品、ランプ部品など が挙げられる。これらの部品は、導電部を備 える場合が多く、このような部品では、近年 、異常過熱や短絡などの故障の影響により発 火する危険性が増え、難燃性の改善が求めら れている。

 PBT系樹脂などのポリエステル系樹脂にお る難燃性の改善については、以前から検討 れている。例えば、特開2000-256545号公報(特 文献1)には、特定の芳香族ポリエステル、 素化エポキシ化合物、臭素化ポリアクリレ ト、及び三酸化アンチモンを特定の割合で む難燃性ポリエステル樹脂組成物が開示さ ている。この文献には、三酸化アンチモン 関し、純度98%以上、粒径0.1~5μmのものが好ま しく用いられるが、純度99%以上、粒径0.5~3μm ものが特に好ましいことが記載されている このように臭素化合物とアンチモン化合物 の組合せにより難燃性を発現させる手法が られている。中でも、特開昭61-66746号公報( 許文献2)においては、ポリブチレンテレフ レートに対し、難燃剤としての芳香族臭素 合物(ジフェニルエーテルの臭素5~10置換化合 物、エチレングリコールジフェニルエーテル などの芳香環水素の臭素5~10置換化合物など 低分子量臭素化合物、芳香族ポリカーボネ ト、エポキシ化合物の単量体やそれらの重 体の臭素化物、ポリスチレンオリゴマーの 素化物、臭素化シアヌル酸エステル化合物 ど)と、難燃助剤としての平均粒径1μm以上( ましくは2μm以上、特に5~7μm)の三酸化アンチ モンとを用いることで、難燃性ポリブチレン テレフタレート組成物の溶融熱安定性を改良 できることが記載されている。

 なお、これらの文献には、いずれも難燃 ポリエステル樹脂組成物のレーザー透過性 、レーザー溶着についてなんら記載されて ない。

 一方、上記のような部品(成形品)は、複 の部材(又はパーツ)の接合などにより作製し たり、部品を形成した後、他の部品と接合さ せる場合が多い。そして、各パーツや部品の 接合には、接着剤、ネジ止め、スナップフィ ット、各種溶着方法(熱板溶着、超音波溶着 振動溶着、レーザー溶着など)などが利用さ ている。しかし、接着剤を用いると、接着 が硬化するまでの工程的な時間のロスや環 への負荷が問題となる。また、ネジ止めで 、締結の手間やコストが増大する。溶着方 のうち、熱板溶着、超音波溶着、振動溶着 は、熱や振動などによる製品の損傷が懸念 れる。これに対し、レーザー溶着による接 方法は、溶着に伴う熱や振動による製品の メージが無く、溶着工程も非常に簡易であ 。そのため、最近、レーザー溶着法は、広 利用されるようになってきており、各種樹 部品の溶着手法として着目されている。

 しかし、PBT系樹脂に代表されるポリエス ル系樹脂は、レーザー光の透過性が低いた 、溶着し難いという問題があり、様々な提 がなされている。例えば、特開2003-136601号 報(特許文献3)には、レーザー溶接の適用分 において使用するのに適した透過性を有す プラスチック部品であって、前記プラスチ ク部品がポリエステルを含む組成物を含み 800~1200nmの波長において、前記組成物から作 した成形品で測定した厚さ1mm当たりの透過 が10%以上であるプラスチック部品が開示さ ている。この文献には、難燃性を改善させ 目的で難燃剤および難燃助剤を加えること できると記載されている。また、特開2001-26 656号公報(特許文献4)には、融点が170~220℃のPB T系共重合体、融点が200~250℃のポリエチレン レフタレート系共重合体及び融点が210~260℃ のポリエチレンナフタレート系共重合体から 選ばれた少なくとも1種のポリエステル系共 合体(a)からなる成形品(A)と、他の成形品(B) を溶着加工により一体化させて成形体を製 する方法が開示されている。この文献には 発明の効果を損なわない範囲で、ハロゲン 物やリン化合物等の難燃剤、難燃助剤など 添加できることが記載されている。しかし これらの文献に記載の難燃性ポリエステル 樹脂組成物では、レーザー光に対する透過 に乏しく、十分にレーザー溶着を行うこと 困難である。

 さらに、特表2006-509893号公報(特許文献5) は、難燃性のレーザ溶接可能なポリエステ 樹脂組成物であって、(A)10~90重量%の熱可塑 ポリエステル、(B)1~35重量%のリン含有難燃剤 、(C)1~25重量%のフェノールポリマー、および( D)1~25重量%の熱可塑性アクリルポリマーを含 ポリエステル樹脂組成物が開示されている この文献の樹脂組成物では、レーザー透過 とポリエステル樹脂組成物に要求される実 上十分な難燃性との両立が可能であるが、 ェノールポリマーを必須成分とするため、 形品が茶褐色に変色する他、熱撓み温度を 下させ、ポリエステル樹脂組成物に要求さ る実用上十分な色相や熱特性を損なうとい 問題がある。

 このように、従来の技術では、レーザー溶 性と高い難燃性とを両立でき、さらにはこ らの特性と、ポリエステル樹脂組成物に求 られるその他の特性とを高いレベルで両立 ることは困難であった。

特開2000-256545号公報(特許請求の範囲、段 落番号[0028])

特開昭61-66746号公報(特許請求の範囲、第 2頁右下欄18行~第3頁左上欄9行、第3頁左上欄17 ~19行)

特開2003-136601号公報(特許請求の範囲、段 落番号[0018])

特開2001-26656号公報(特許請求の範囲、段 番号[0027])

特表2006-509893号公報(特許請求の範囲)

 従って、本発明の目的は、ポリエステル 樹脂(特に、ポリブチレンテレフタレート系 樹脂などのポリアルキレンアリレート系樹脂 )をベースとしながらも、レーザー溶着性(レ ザー透過性)と難燃性とを高いレベルで両立 できるレーザー透過性樹脂成形品、およびこ の成形品を用いた複合成形品を提供すること にある。

 本発明の他の目的は、レーザー溶着性と 燃性とを高いレベルで両立できるとともに 色相及び熱安定性に優れたレーザー透過性 脂成形品、およびこの成形品を用いた複合 形品を提供することにある。

 本発明のさらに他の目的は、レーザー透 性に優れるとともに、薄肉成形しても、高 難燃性を維持できるレーザー透過性樹脂成 品、およびこの成形品を用いた複合成形品 提供することにある。

 本発明の別の目的は、高い難燃性を有す 成形品と、レーザー光を吸収可能な樹脂成 品とがレーザー溶着により接合された複合 形品を提供することにある。

 本発明者らは、前記課題を達成するため 意検討した結果、特定の臭素系化合物(又は 臭素系難燃剤)と、特定の粒子径を有するア チモン酸化物とを組み合わせたポリエステ 系樹脂組成物でレーザー透過性部材を形成 ると、ポリエステル系樹脂(特に、ポリブチ ンテレフタレート系樹脂などのポリアルキ ンアリレート系樹脂)をベースとするにもか かわらず、レーザー透過性を損なうことなく 、レーザー溶着性と難燃性とを高いレベルで 両立できることを見いだし、本発明を完成し た。

 すなわち、本発明のレーザー透過性樹脂 形品(又はレーザー透過側成形品)は、レー ー光を吸収可能なレーザー吸収性樹脂成形 と接触可能であり、レーザー光を透過して 前記樹脂成形品と接合するレーザー透過性 脂成形品であって、ポリエステル系樹脂(A) 、臭素化(メタ)アクリル系樹脂、臭素化スチ レン系樹脂、臭素化ポリカーボネート系樹脂 、および臭素化エポキシ樹脂から選択された 少なくとも1種の臭素系化合物(B)(又は臭素系 燃剤(B))と、比較的大きい粒径(平均粒子径2~ 10μm程度)を有するアンチモン酸化物(C)とで構 成された樹脂組成物(レーザー溶着における 過側部材用樹脂組成物、レーザー溶着用(透 側部材用)難燃性樹脂組成物などということ がある)で形成されている。

 このような成形品は、レーザー透過性に いて優れ、例えば、厚み1mm(又は厚み1mmの成 形品)において、レーザー光透過率は、20%以 であってもよい。

 前記成形品(又は樹脂組成物)において、前 ポリエステル系樹脂(A)は、ポリアルキレン リレート系樹脂(ポリC 2-4 アルキレンアリレート系樹脂など、特に、ポ リブチレンテレフタレート系樹脂)であって よい。

 前記アンチモン酸化物(C)は、特に、三酸 アンチモン、五酸化アンチモンおよびアン モン酸ソーダ(アンチモン酸ナトリウム)か 選択された少なくとも1種であってもよい。

 前記成形品(又は樹脂組成物)において、 素系化合物(B)の割合は、ポリエステル系樹 (A)100重量部に対して10~50重量部程度であって もよく、アンチモン酸化物(C)の割合はポリエ ステル系樹脂(A)100重量部に対して5~30重量部 度であってもよい。

 前記成形品(又は樹脂組成物)は、さらに ポリカーボネート系樹脂(D)及びリン系化合 (E)を含んでいてもよい。前記成形品(又は樹 組成物)は、さらに、結晶化促進剤(F)を含ん でいてもよい。前記成形品(又は樹脂組成物) 、さらに、充填材を含んでいてもよい。ま 、前記成形品(又は樹脂組成物)は、さらに フッ素含有樹脂を含んでいてもよい。

 本発明の成形品(又は樹脂組成物)は、難 性に優れ、厚み0.8mmのとき(又は厚み0.8mmの成 形品において)、UL94規格に基づく難燃性評価 、通常、V-0であってもよい。

 本発明には、前記レーザー透過性樹脂成 品と、レーザー光を吸収可能なレーザー吸 性樹脂成形品とがレーザー溶着により接合 れている複合成形品も含まれる。このよう 複合成形品は、レーザー透過性樹脂成形品 、少なくともレーザー光が透過する厚み0.1~ 1.0mmの部位を有する樹脂成形品であり、この 位でレーザー吸収性樹脂成形品と接合され いる複合成形品であってもよい。前記複合 形品は、例えば、レーザー透過性樹脂成形 とレーザー吸収性樹脂成形品との接触面に 前記レーザー透過性樹脂成形品側からレー ー吸収性樹脂成形品の方向に向けてレーザ 光を照射することにより製造できる。

 本発明のレーザー透過性樹脂成形品では ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタ レート系樹脂など)と、特定の臭素系化合物( 素系難燃剤)と、特定の粒径のアンチモン酸 化物とを組み合わせるので、ポリエステル系 樹脂(特に、ポリブチレンテレフタレート系 脂などのポリアルキレンアリレート系樹脂) ベースとしながらも、レーザー溶着性(レー ザー透過性)と難燃性とを高いレベルで両立 きる。そのため、ポリエステル系樹脂の優 た性質(機械特性、耐熱性、耐薬品性など)を 保持しつつも、レーザー透過性を損なうこと なく、レーザー溶着性と難燃性とを高いレベ ルで両立できる。また、本発明のレーザー透 過性樹脂成形品は、フェノールポリマーなど を実質的に含有していなくてもよいため、レ ーザー溶着性と難燃性とを高いレベルで両立 できるとともに、色相及び熱安定性において 優れている。さらに、本発明のレーザー透過 性樹脂成形品は、レーザー透過性に優れると ともに、薄肉成形しても、高い難燃性を維持 できる。そのため、高い難燃性を有する成形 品(特に薄肉成形品)と、レーザー光を吸収可 な樹脂成形品とがレーザー溶着により接合 れた複合成形品を得ることができる。

図1は実施例及び比較例でのレーザー溶 着を説明するための概略側面図である。 図2は実施例及び比較例でのレーザー溶 着を説明するための概略上面図である。

発明の詳細な説明

 本発明のレーザー透過性樹脂成形品(又は レーザー透過側成形品)は、レーザー光を吸 可能なレーザー吸収性樹脂成形品と接触可 であり、レーザー光を透過して、前記樹脂 形品と接合するレーザー透過性樹脂成形品 あり、特定のポリエステル系樹脂組成物で 成されている。そして、本発明には、この うなレーザー溶着用の特定のポリエステル 樹脂組成物(レーザー溶着における透過側部 用樹脂組成物、レーザー溶着用(透過側部材 用)難燃性樹脂組成物)も含まれる。

 前記樹脂組成物(レーザー溶着用樹脂組成 物、レーザー溶着用難燃性樹脂組成物、ポリ エステル系樹脂組成物、透過側部材用樹脂組 成物、樹脂組成物などということがある)は ポリエステル系樹脂(A)と、特定の臭素系化 物(B)と、特定のアンチモン酸化物(C)とで構 されている。

 (ポリエステル系樹脂(A))
 ベース樹脂であるポリエステル系樹脂は、 カルボン酸成分とジオール成分との重縮合 オキシカルボン酸又はラクトンの重縮合、 たはこれらの成分の重縮合などにより得ら るホモポリエステル又はコポリエステルで る。

 ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪 ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、ピメリ ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン 酸、ダイマー酸などのC 4-40 ジカルボン酸、好ましくはC 4-14 ジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば ヘキサヒドロテレフタル酸などのC 8-12 ジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸;2,6 -ナフタレンジカルボン酸などのナフタレン カルボン酸;4,4″-ジフェニルジカルボン酸、 4,4″-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4 -ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4″-ジフ ェニルケトンジカルボン酸などのC 8-16 ジカルボン酸)、又はこれらの反応性誘導体[ えば、低級アルキルエステル(ジメチルテレ フタル酸、ジメチルフタル酸、ジメチルイソ フタル酸(DMI)などのテレフタル酸、フタル酸 はイソフタル酸のC 1-4 アルキルエステルなど)、酸クロライド、酸 水物などのエステル形成可能な誘導体]など 挙げられる。さらに、必要に応じて、ジカ ボン酸成分に加えて、トリメリット酸、ピ メリット酸などの多価カルボン酸成分など 併用してもよい。

 ジオール成分には、例えば、脂肪族ジオー (例えば、エチレングリコール、トリメチレ ングリコール、プロピレングリコール、1,4- タンジオール、ネオペンチルグリコール、 キサンジオール、オクタンジオール、デカ ジオールなどのC 2-12 アルカンジオール、好ましくはC 2-10 アルカンジオール)、ポリアルキレングリコ ル[複数のオキシC 2-4 アルキレン単位を有するグリコール、例えば 、ジ乃至テトラトリエチレングリコール、ジ 乃至テトラプロピレングリコール、ポリテト ラメチレングリコールなど]、脂環族ジオー (例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4- クロヘキサンジメタノール、水素化ビスフ ノールAなど)、芳香族ジオール[例えば、ハ ドロキノン、レゾルシノール、ナフタレン オールなどのC 6-14 芳香族ジオール;ビフェノール;ビスフェノー 類;キシリレングリコールなど]などが挙げ れる。

 ビスフェノール類としては、ビス(4-ヒドロ シフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1- ス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノ ールAD)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロ ン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ (ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3- チルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロ シフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフ ェニル)ヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリ ル)C 1-6 アルカン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シク ロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C 4-10 シクロアルカン;ビス(4-ヒドロキシフェニル) ーテル;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスル ン;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド ;4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、及び れらのアルキレンオキサイド付加体が例示 きる。アルキレンオキサイド付加体として 、ビスフェノール類のC 2-3 アルキレンオキサイド付加体、例えば、2,2- ス-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロ ン、ジエトキシ化ビスフェノールA(EBPA)、2,2- ビス-[4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プ ロパン、ジプロポキシ化ビスフェノールAな が挙げられる。アルキレンオキサイド付加 において、アルキレンオキサイド(エチレン キサイド、プロピレンオキサイドなどのC 2-3 アルキレンオキサイド)の付加モル数は、各 ドロキシル基に対して1~10モル、好ましくは1 ~5モル程度である。

 さらに、必要に応じて、ジオール成分に えて、グリセリン、トリメチロールプロパ 、トリメチロールエタン、ペンタエリスリ ールなどのポリオール成分を併用してもよ 。

 オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安 香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェ ル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸 どのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体 どが含まれる。ラクトンには、プロピオラ トン、ブチロラクトン、バレロラクトン、 プロラクトン(例えば、ε-カプロラクトンな ど)などのC 3-12 ラクトンなどが含まれる。

 ポリエステル系樹脂は、単独で又は二種 上組み合わせて使用できる。ポリエステル 樹脂のうち、レーザー溶着性の点から、低 晶性又は非晶性芳香族ポリエステル系樹脂 好ましい。

 好ましいポリエステル系樹脂には、飽和ポ エステル系樹脂、特に芳香族飽和ポリエス ル系樹脂が含まれ、通常、ポリブチレンテ フタレート(PBT)系樹脂(PBT(単独重合体)又はPB T系共重合体など)、ポリブチレンナフタレー (PBN)系樹脂(PBN(単独重合体)又はPBN系共重合 など)、ポリエチレンテレフタレート(PET)系 脂(PET(単独重合体)又はPET系共重合体)、ポリ チレンナフタレート(PEN)系樹脂(PEN(単独重合 体)又はPEN系共重合体など)などのポリアルキ ンアリレート系樹脂(例えば、ポリC 2-6 アルキレンアリレート系樹脂、好ましくはポ リC 2-4 アルキレンアリレート系樹脂、さらに好まし くはポリC 2-4 アルキレンテレフタレート系樹脂)を用いる 合が多い。

 このようなポリアルキレンアリレート系 脂には、例えば、ポリアルキレンアリレー (単独重合体)、ポリアルキレンアリレート 共重合体などが含まれる。

 ポリアルキレンアリレート系共重合体(特に 、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体 )において用いる共重合性モノマーとしては 例えば、ジオール類[ポリアルキレンアリレ ト系重合体のアルキレン単位(例えば、エチ レン、1,4-ブチレンなど)とは異なるアルキレ 単位に対応するC 2-6 アルキレングリコール(例えば、エチレング コール、トリメチレングリコール、プロピ ングリコール、ヘキサンジオールなどの直 状又は分岐鎖状アルキレングリコールなど) 繰返し数が2~4程度のオキシアルキレン単位 有するポリC 2-4 アルキレングリコール(ジエチレングリコー など)、ビスフェノール類(ビスフェノール類 又はそのアルキレンオキサイド付加体など) ど]、ジカルボン酸類[例えば、C 6-12 脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン 、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸 ど)、カルボキシル基がアレーン環の非対称 置に置換した非対称芳香族ジカルボン酸、1 ,4-シクロヘキサンジメタノールなど]、オキ カルボン酸(前記例示の化合物など)、ラクト ン(カプロラクトンなどの前記例示の化合物) どが挙げられる。これらの化合物のうち、 香族化合物、例えば、ビスフェノール類(特 にビスフェノールA)のアルキレンオキサイド 加体、及び非対称芳香族ジカルボン酸[フタ ル酸、イソフタル酸、及びその反応性誘導体 (ジメチルイソフタル酸(DMI)などの低級アルキ ルエステル)など]などが好ましい。

 共重合性モノマーの割合(変性量)は、ポ エステル系樹脂(特に、ポリアルキレンアリ ート系樹脂)(又はモノマーの総量)に対して 例えば、30モル%以下(例えば、0~30モル%)、例 えば、0.01~30モル%程度の範囲から選択でき、 常、1~30モル%、好ましくは3~25モル%、さらに 好ましくは5~20モル%(例えば、5~15モル%)程度で あってもよい。

 特に好ましいポリエステル系樹脂は、PBT 樹脂(PBT、変性PBT(PBT系共重合体))である。PBT 系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて 使用できる。また、難燃性や機械物性改善の 観点から、PBT系樹脂と他のポリアルキレンア リレート系樹脂(例えば、PET(単独重合体)、変 性PET(PET系共重合体)などのPET系樹脂など)とを 併用してもよい。

 PBT系樹脂の融点は、レーザー溶着性の観 から、例えば、190℃以上(例えば、190~270℃ 度)、好ましくは200~260℃、さらに好ましくは 210~250℃程度である。

 また、PBT系樹脂の固有粘度(IV)は、例えば 、0.5~1.3dL/g程度の範囲から選択でき、成形性 び/又は機械的特性の観点から、好ましくは 0.6~1.2dL/g、さらに好ましくは0.65~1.1dL/g程度で ってもよい。固有粘度が低すぎると、機械 度が低下する虞があり、高すぎると流動性 ひいては成形性が低下する虞がある。なお 固有粘度(IV)は、例えば、o-クロロフェノー 中で、温度35℃の条件下で測定できる。

 ポリエステル系樹脂は、市販品を使用し もよく、慣用の方法、例えば、エステル交 、直接エステル化法などにより製造できる 例えば、PBT系樹脂は、テレフタル酸又はそ 反応性誘導体と1,4-ブタンジオールと必要に より共重合可能なモノマーとを、上記慣用の 方法にて共重合することにより製造できる。

 (臭素系化合物(B))
 本発明では、アンチモン酸化物(C)と組み合 せる難燃剤として、特定の臭素系難燃剤、 なわち、臭素含有(メタ)アクリル系樹脂(又 臭素化(メタ)アクリル系樹脂、例えば、臭 化ポリベンジル(メタ)アクリレート系樹脂( えば、ポリ(ペンタブロモベンジル(メタ)ア リレート)などの臭素化ポリベンジル(メタ) クリレート、ポリ(ペンタクロロベンジル(メ タ)アクリレート)などのハロゲン化ベンジル( メタ)アクリレートの単独又は共重合体など) どの臭素化ポリ(メタ)アクリレート)、臭素 有スチレン系樹脂[又は臭素化スチレン系樹 脂、例えば、臭素化ポリスチレンなどのスチ レン系樹脂の臭素化物(又はスチレン系樹脂 臭素化処理した臭素化物)、臭素化スチレン 単量体の単独又は共重合体など;例えば、ポ リ臭素化スチレンなど]、臭素含有ポリカー ネート系樹脂(又は臭素化ポリカーボネート 樹脂、例えば、臭素化ビスフェノールA型ポ リカーボネート樹脂などの臭素化ビスフェノ ール型ポリカーボネート樹脂)、および臭素 有エポキシ系樹脂[又は臭素化エポキシ系樹 、例えば、臭素化ビスフェノール型エポキ 樹脂(臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹 など)などの臭素化エポキシ樹脂;臭素化ビス フェノール型フェノキシ樹脂(臭素化ビスフ ノールA型フェノキシ樹脂など)などの臭素化 フェノキシ樹脂など]から選択された少なく も1種の臭素系化合物(B)を使用する。

 このような特定の臭素系化合物と後述の 定の粒径を有するアンチモン酸化物とを組 合わせることにより、前記樹脂組成物(又は レーザー透過性樹脂成形品)に高い難燃性と ーザー透過性とを両立させて付与できる。

 臭素系化合物において、臭素原子の割合( 重量割合)は、臭素系化合物全体に対して、 常、30重量%以上(例えば、35~90重量%程度)の範 囲から選択でき、40重量%以上(例えば、45~90重 量%程度)であるのが好ましく、さらに好まし は50重量%以上(例えば、55~85重量%程度)であ てもよい。

 以下、臭素系化合物について詳述する。

 臭素含有(メタ)アクリル系樹脂には、臭 化ポリ(メタ)アクリレート(又は臭素含有ポ (メタ)アクリレート又はポリ臭素化(メタ)ア リレート)、特に臭素化ポリベンジル(メタ) クリレート系樹脂などが含まれる。臭素化 リアクリレート系樹脂は、例えば、下記式 表される化合物であってもよい。

(式中、mは2以上の整数、Rは炭化水素基、Xは 素原子又はハロゲン原子を示し、少なくと 1つのXが臭素原子である。)
 代表的な臭素化ポリ(メタ)アクリレート系 脂には、臭素化ポリベンジル(メタ)アクリレ ート系樹脂[例えば、臭素化ベンジル(メタ)ア クリレート(例えば、ペンタブロモベンジル( タ)アクリレート、テトラブロモベンジル( タ)アクリレート、トリブロモベンジル(メタ )アクリレート)を重合成分とする樹脂、例え 、臭素化ベンジル(メタ)アクリレートの単 又は共重合体、臭素化ベンジル(メタ)アクリ レートと共重合性単量体との共重合体など] どが含まれる。

 臭素化ポリベンジル(メタ)アクリレート 樹脂において、共重合性単量体としては、 ニル系モノマー(特に臭素化されていないビ ル系モノマー)、例えば、(メタ)アクリル酸; メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア リレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベン ジル(メタ)アクリレートのような(メタ)アク ル酸エステル類;スチレンなどのスチレン系 量体;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン ビニル系単量体;フマル酸、マレイン酸など の不飽和カルボン酸またはその無水物;酢酸 ニルなどのカルボン酸ビニルエステル類な が挙げられる。また、共重合性単量体とし 、架橋性ビニルモノマー、例えば、ポリ(メ )アクリレート(例えば、キシレンジ(メタ)ア クリレート、テトラブロモキシレンジ(メタ) クリレートなど)、ジエン系単量体(例えば ブタジエン、イソプレンなど)、ジビニルベ ゼンなどを使用することもできる。これら 共重合性単量体は単独又は2種以上組み合わ せてもよい。

 なお、臭素化ベンジル(メタ)アクリレー と共重合性単量体との共重合体において、 素化ベンジル(メタ)アクリレートの割合は、 構成モノマー全体に対して50モル%以上(例え 、55~99.5モル%程度)、好ましくは60モル%以上( えば、65~99モル%程度)、さらに好ましくは70 ル%以上(例えば、75~98モル%程度)であっても い。

 臭素含有(メタ)アクリル系樹脂(特に臭素 ポリベンジル(メタ)アクリレート系樹脂)の 平均分子量は、例えば、1000~300000、好まし は3000~200000、さらに好ましくは5000~150000程度 あってもよい。

 また、臭素含有スチレン系樹脂(又は臭素 化スチレン系樹脂)は、例えば、下記式で表 れる樹脂であってもよい。

(式中、jは2以上の整数、mは1~4の整数を示す )
 代表的な臭素含有スチレン系樹脂(又は臭素 化スチレン系樹脂)には、臭素化スチレン系 量体(例えば、ジブロモスチレン、トリブロ スチレンなどの臭素化スチレン)を重合成分 とする樹脂、例えば、臭素化スチレン系単量 体の単独又は共重合体(臭素化ポリスチレン ど)、臭素化スチレン系単量体と共重合性単 体との共重合体などが含まれる。共重合性 量体としては、前記例示の共重合性単量体 どが含まれる。共重合性単量体は単独又は2 種以上組み合わせてもよい。

 なお、臭素化スチレン系単量体と共重合 単量体との共重合体において、臭素化スチ ン系単量体の割合は、構成モノマー全体に して50モル%以上(例えば、55~99.5モル%程度)、 好ましくは60モル%以上(例えば、65~99モル%程 )、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、75~ 98モル%程度)であってもよい。

 臭素含有スチレン系樹脂の数平均分子量 、例えば、1000~300000、好ましくは3000~200000、 さらに好ましくは5000~150000程度であってもよ 。

 臭素含有ポリカーボネート系樹脂(臭素化 ポリカーボネート系樹脂、ポリ臭素化カーボ ネート系樹脂)は、例えば、下記式で表され 樹脂であってもよい。

(式中、RおよびR″はそれぞれ水素原子又は炭 化水素基を示し、Xは炭化水素基、カルボニ 基、エーテル基、-S-または-SO 2 -を示し、kおよびmはそれぞれ1~4の整数を示し 、nは2以上の整数を示す。)
 上記式のRおよびR″において、炭化水素基 しては、例えば、炭素数1~10のアルキル基(メ チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ ル基など)などのアルキル基が挙げられる。 た、Xにおいて、炭化水素基としては、二価 C 1-10 炭化水素基(メチレン、エチレン、2-プロピリ デン基などのC 1-4 炭化水素基)などが挙げられる。

 代表的な臭素含有ポリカーボネート系樹脂 は、臭素含有ビスフェノール類(又は臭素化 ビスフェノール類、例えば、テトラブロモビ スフェノールAなどの臭素化ビス(ヒドロキシ ェニル)C 1-10 アルカンなど)を重合(ベース)成分(又はジオ ル成分)とするポリカーボネート系樹脂、例 ば、臭素化ビスフェノールA型ポリカーボネ ート樹脂(例えば、テトラブロモビスフェノ ルAカーボネートポリマー又はオリゴマー)な どの臭素化ビスフェノール型ポリカーボネー ト樹脂などが含まれる。なお、臭素含有ポリ カーボネート系樹脂のジオール成分は、単独 又は2種以上組み合わせてもよく、臭素化さ ていないジオール成分(例えば、ビスフェノ ルAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C 1-10 アルカン)を含んでいてもよい。

 臭素含有ポリカーボネート系樹脂の数平 分子量は、例えば、1000~40000、好ましくは200 0~30000程度であってもよい。

 臭素含有エポキシ樹脂(臭素化エポキシ樹 脂)は、例えば、下記式で表される樹脂であ てもよい。

[式中、Xは臭素原子、iおよびjは1~4の整数、n 0以上の整数を示し、T 1 およびT 2 は、同一又は異なって、グリシジル基又は-CH 2 CH(OH)CH 2 OPh(式中、Phは、置換基を有していてもよいハ ロゲン化フェニル基を示す)を示す。]
 代表的な臭素含有エポキシ樹脂(臭素化エポ キシ樹脂)には、臭素含有ビスフェノール類( は臭素化ビスフェノール類、例えば、テト ブロモビスフェノールAなどの臭素化ビス( ドロキシフェニル)C 1-10 アルカンなど)を重合成分(又はジオール成分) とするエポキシ樹脂、例えば、臭素化ビスフ ェノールA型エポキシ樹脂などの臭素化ビス ェノール型エポキシ樹脂(例えば、テトラブ モビスフェノールAとエピクロロヒドロリン との反応物)が含まれる。なお、臭素化エポ シ樹脂のジオール成分は、単独又は2種以上 み合わせてもよく、臭素化されていないジ ール成分(例えば、ビスフェノールAなどの ス(ヒドロキシフェニル)C 1-10 アルカン)を含んでいてもよい。また、臭素 有エポキシ樹脂の末端は、前記式のT 2 の場合と同様に、末端封止処理されていても よい。特に、テトラブロモビスフェノールA 重合(ベース)成分とするエポキシ樹脂(又は トラブロモビスフェノールA・ジグリシジル ーテルを含有するエポキシ樹脂)は、配合量 が多すぎると成形品中に黒斑状の異物が増え 、機械特性及び/又は電気特性を損ない、レ ザー溶着時に異常過熱が生じ、溶着性を損 う可能性があるため、末端封止処理されて るのが好ましい。

 臭素含有エポキシ樹脂の数平均分子量は 例えば、1000~40000、好ましくは2000~30000、さ に好ましくは3000~20000程度であってもよい。

 これらの臭素含有樹脂の中でも、レーザ 溶着の安定性において優れている点で、特 、臭素化ポリ(メタ)アクリレート系樹脂(特 、臭素化ポリベンジルアクリレート系樹脂 どの臭素化ポリアクリレート系樹脂)および 臭素化スチレン系樹脂(臭素化ポリスチレン ど)から選択された少なくとも1種を用いるの が好ましい。

 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂 成形品)において、臭素系化合物(B)の割合は ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、 えば、5~70重量部、好ましくは8~60重量部、さ らに好ましくは10~50重量部(例えば、15~40重量 )程度であってもよい。上記のような割合で 臭素系化合物(B)を使用すると、高い難燃性の 発現とポリエステル系樹脂が本来持つ優れた 特性(機械特性、電気特性、成形加工性)の維 とを効率よく実現させやすい。

 (アンチモン酸化物(C))
 アンチモン酸化物には、例えば、酸化アン モン[三酸化アンチモン(又は三酸化二アン モン、Sb 2 O 3 など)、五酸化アンチモン(又は五酸化二アン モン、xNa 2 O・Sb 2 O 5 ・yH 2 O(x=0~1、y=0~4)など)など]、アンチモン酸塩[ア チモン酸金属塩(例えば、アンチモン酸ナト ウムなどのアルカリ金属塩、アンチモン酸 グネシウムなどのアルカリ土類金属塩など) 、アンチモン酸アンモニウムなど]などが挙 られる。

 これらのアンチモン酸化物のうち、酸化 ンチモン(特に、三酸化アンチモン、五酸化 アンチモン)、アンチモン酸ナトリウム(アン モン酸ソーダ)が好ましい。アンチモン酸化 物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用 できる。

 なお、アンチモン酸化物は、必要により エポキシ化合物、シラン化合物、イソシア ート化合物及び/又はチタネート化合物など の表面処理剤により表面処理されていてもよ い。

 本発明では、アンチモン酸化物として、 定の粒子径を有するアンチモン酸化物を使 する。アンチモン酸化物の平均粒子径は、2 μm以上の範囲から選択でき、例えば、2~10μm 好ましくは2.5~9μm(例えば、3~8μm)程度である なお、平均粒子径は、例えば、レーザー回 /散乱式の粒度分布測定装置などによりメジ アン径として得られる。なお、慣用の臭素系 難燃剤およびアンチモン酸化物を使用すると 、樹脂組成物又はレーザー透過性樹脂成形品 のレーザー透過性が低下し、レーザー溶着で きない。しかし、本発明では、このような特 定粒径のアンチモン酸化物と特定の前記臭素 系化合物とを併用することにより、ポリエス テル系樹脂(特に、PBTなどの芳香族ポリエス ル系樹脂)に対して、高い難燃性とレーザー 過性とを高レベルで付与できる。なお、ア チモン酸化物の粒子径が大きすぎると、機 的な応力を加えたときに破壊の起点となり すく脆さを生じる他、難燃性も低下する。 た、アンチモン酸化物の粒子径が小さすぎ と、レーザー光の透過性を損ない、ポリエ テル系樹脂(A)そのものを分解させたり、ポ エステル系樹脂(A)とハロゲン含有樹脂系難 剤(B)との反応を促し、成形安定性を損なう がある。

 本発明の樹脂組成物において、アンチモ 酸化物(C)の割合は、ポリエステル系樹脂(A)1 00重量部に対して、例えば、3~40重量部、好ま しくは5~30重量部、さらに好ましくは10~50重量 部程度であってもよい。なお、配合量が少な すぎると十分な難燃性が発現せず、配合量が 多すぎるとポリエステル系樹脂本来の機械的 特性や成形加工特性を損なったり、レーザー 光の散乱・遮蔽効果によりレーザー透過性を 低下させる虞がある。

 また、前記樹脂組成物(又はレーザー透過 性樹脂成形品)において、臭素系化合物(B)と ンチモン酸化物(C)との割合は、前者/後者(重 量比)=95/5~30/70、好ましくは90/10~40/60、さらに ましくは80/20~50/50程度であってもよい。

 (ポリカーボネート系樹脂(D))
 本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート 樹脂を含んでいてもよい。

 ポリカーボネート系樹脂は、通常、ジヒ ロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニル ーボネートなどの炭酸エステルとの反応に り得られる樹脂である。ジヒドロキシ化合 は、脂環族化合物などであってもよいが、 ましくは芳香族化合物(特にビスフェノール 化合物)である。

 ビスフェノール化合物としては、前記ポリ ステル系樹脂の項で例示のビスフェノール [例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒド キシアリール)C 1-6 アルカン;ビス(ヒドロキシアリール)C 4-10 シクロアルカン;4,4’-ジヒドロキシジフェニ エーテル;4,4’-ジヒドロキシジフェニルス ホン;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィ ド;4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトンなど] が挙げられる。好ましいポリカーボネート系 樹脂には、ビスフェノールA型ポリカーボネ トが含まれる。

 なお、ポリカーボネート系樹脂は、ポリ ステル系樹脂(特にポリブチレンテレフタレ ート系樹脂)と相溶しやすく、レーザー透過 を改善する効果が高い。また、ポリカーボ ート系樹脂を用いると、成形体の反りを効 よく改善できる。ポリカーボネート系樹脂 好ましい配合量は、例えば、ポリエステル 樹脂(A)100重量部に対して、5~100重量部程度で あってもよく、好ましくは10~70重量部、さら 好ましくは10~50重量部程度で添加してもよ 。ポリカーボネート系樹脂の配合量が多す ると、ポリエステル系樹脂(例えば、PBT系樹 )が結晶性を失い、耐薬品性や耐熱性が低下 する虞がある。

 (リン系化合物(E))
 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂成 形品)には、結晶性やレーザー透過性を安定 させる目的で、さらに、リン系化合物(又は ン含有化合物)を添加してもよい。リン系化 合物の好ましい例は、ホスファイト類{例え 、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファ ト、ビス(2-t-ブチルフェニル)フェニルホス ァイトなどのモノ乃至トリス(分岐鎖状C 3-6 アルキル-フェニル)ホスファイト;ビス(2,6-ジ- t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ スファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペ ンタエリスリトールジホスファイト、テトラ キス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4´-ビフェニ ンジホスファイトなどの脂肪族多価アルコ ルの(分岐鎖状C 3-6 アルキル-アリール)ホスファイトなど}、ホス フォナイト類(テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェ ニル)-4,4″-ビフェニレンジホスフォナイトな ど)など]、ホスフェート類[例えば、トリス(2, 4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェートなどのト リフェニルホスフェート系化合物]、リン酸 (例えば、第一リン酸カルシウム、第一リン ナトリウム一水和物などのアルカリ又はア カリ土類金属リン酸塩(又はその水和物)な のリン酸金属塩)が挙げられる。これらのリ 系化合物のうち、脂肪族多価アルコールの( 分岐鎖状C 3-6 アルキル-アリール)ホスファイト、リン酸金 塩などが好ましい。

 リン系化合物の配合量は、ポリエステル 樹脂(A)100重量部に対し、例えば、0.01~3重量 、好ましくは0.03~2重量部、さらに好ましく 0.05~1.0重量部である。配合量が少ないと結 性、レーザー透過性の安定化に寄与せず、 合量が多すぎる場合にはブリードアウトや 形品の絶縁性低下、周囲に金属がある場合 は金属腐食や回路の短絡といった悪影響を える虞がある。

 (結晶化促進剤(F))
 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂成 形品)には、同じく結晶性、レーザー透過性 安定化させる目的で、レーザー透過性を損 わない範囲で結晶化促進剤を添加してもよ 。結晶化促進剤としては、例えば、ロジン どの有機核剤であってもよいが、無機核剤 例えば、金属酸化物(シリカ、アルミナ、ジ コニア、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛な )、金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグ シウム、炭酸バリウムなど)、ケイ酸塩(ケイ 酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク など)、金属炭化物(炭化ケイ素など)、金属窒 化物(窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化タンタ など)などを好適に使用できる。これらの結 化促進剤は、単独で又は二種以上組み合わ て使用できる。結晶化促進剤は、粉粒状又 板状であってもよい。

 なお、結晶化促進剤(無機核剤など)の平 粒子径は、例えば、0.01~10μm、好ましくは0.02 ~5μm程度であってもよい。なお、平均粒子径 、例えば、レーザー回折/散乱式の粒度分布 測定装置によりメジアン径で得られる。結晶 化促進剤の割合は、ポリエステル系樹脂100重 量部に対して、例えば、0.001~10重量部、好ま くは0.01~7重量部程度であってもよい。

 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂 成形品)は、レーザー光の透過性に悪影響を ぼさない範囲であれば、充填材(又は補強材) を含んでいてもよい。

 このような充填材(又は充填剤)には、繊 状充填材[例えば、無機質繊維(例えば、ガラ ス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ ・アルミナ繊維、アルミニウムシリケート繊 維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維 、ウィスカー(炭化ケイ素、アルミナ、窒化 ウ素などのウィスカー)、ウォラストナイト ど)、有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香 ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素 脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル 脂、レーヨンなどで形成された繊維、炭素 維など)など]、板状充填材[例えば、タルク マイカ、ガラスフレークなど]、粉粒状充填 [例えば、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルド ファイバー(例えば、ミルドガラスファイバ など)、クレー、有機化クレー、カオリンク ー、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、 化チタン、長石系鉱物、グラファイトなど] などが含まれる。

 繊維状充填材の平均径(平均繊維径)は、 えば、1~50μm(好ましくは3~30μm)程度であって よく、平均長(平均繊維長)は、例えば、100μ m~3mm(好ましくは300μm~1mm)程度であってもよい また、板状又は粉粒状充填材の平均粒径は 例えば、0.1~100μm、好ましくは0.1~50μm程度で あってもよい。これらの充填材は単独で又は 二種以上組み合わせて使用できる。

 これらの充填材のうち、レーザ光を透過 能な充填材が好ましい。このような充填材 、レーザ光の波長に応じて選択でき、特に ラス質充填材又は補強材(ガラス繊維、ガラ スフレーク、ガラスビーズなど)が好ましい

 なお、ガラス繊維の断面形状は、特に制限 れず、円形、楕円形(又は長円形、まゆ形
などの変形楕円も含む)、半円、扇形(円弧)、 多角形(三角形、方形(矩形、台形など)など) 又はこれらの類似形などが挙げられる。

 充填材又は補強剤は、必要により、慣用 収束剤又は表面処理剤により処理されてい もよい。収束剤又は表面処理剤としては、 えば、エポキシ系化合物、イソシアネート 化合物、シラン系化合物、チタネート系化 物などの官能性化合物などが挙げられる。 お、充填材には、他の成分(成分(A)、(B)、お よび(C)など)との混合に先立って、予め上記 束剤又は表面処理剤による処理を施しても く、充填材と他の成分との混合に伴って収 剤又は表面処理剤を添加することにより処 を施してもよい。収束剤又は表面処理剤の 合は、充填材(ガラス繊維など)100重量部に対 して、例えば、0~10重量部(例えば、0.01~10重量 部)、好ましくは0.05~5重量部程度である。

 充填材の割合は、ポリエステル系樹脂100 量部に対して、例えば、0~200重量部程度の 囲から選択でき、好ましくは5~150重量部、さ らに好ましくは10~100重量部(例えば、15~65重量 部)程度である。充填材の割合が、多すぎる 、充填材の種類によっては、レーザー光透 性を損ない、十分な溶着強度が得られない 合がある。

 本発明の樹脂組成物は、さらにフッ素含 樹脂を含有してもよい。このようなフッ素 有樹脂としては、フッ素含有単量体の単独 は共重合体、例えば、フッ素含有単量体(テ トラフルオロエチレン、クロロトリフルオロ エチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサ フルオロプロピレン、パーフルオロアルキル ビニルエーテルなど)の単独又は共重合体や 前記フッ素含有単量体と他の共重合性単量 (エチレン、プロピレンなどのオレフィン系 量体、(メタ)アクリレートなどのアクリル 単量体など)との共重合体などが含まれる。

 このようなフッ素含有樹脂としては、具 的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポ クロロトリフルオロエチレン、ポリビニリ ンフルオライドなどの単独重合体;テトラフ ルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン 重合体、テトラフルオロエチレン-パーフル ロアルキルビニルエーテル共重合体、エチ ン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチ レン-クロロトリフルオロエチレン共重合体 どの共重合体が例示できる。フッ素含有樹 は、単独で又は二種以上組み合わせて使用 きる。好ましいフッ素含有樹脂としては、 トラフルオロエチレンの単独又は共重合体 テトラフルオロエチレンと(メタ)アクリレー トとの共重合体などが挙げられる。

 フッ素含有樹脂は、ドリッピング防止効 (すなわち、燃焼に伴って、溶融した樹脂の 滴下を防止する効果)を有していてもよい。 お、放射線処理又は200℃以上での熱処理を ったフッ素含有樹脂では、ドリッピング防 効果が劣るため、このような処理がなされ いないフッ素含有樹脂を用いてもよい。

 フッ素含有樹脂の割合は、ポリエステル 樹脂(A)100重量部に対して、0~3重量部(例えば 、0.01~3重量部)、好ましくは0.05~2重量部、さ に好ましくは0.1~1.5重量部程度である。なお 前記割合が多すぎると、樹脂組成物の粘度 上昇し、成形性が低下したり、成形品に白 斑点が生じて、外観を損なったり、局所的 レーザー光の透過率が低下し、レーザー溶 強度が低下する虞がある。

 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂 成形品)には、必要に応じて、本発明の効果 損なわない範囲で、用途などに応じて、種 の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫 線吸収剤、光安定剤、熱安定剤など)、他の 難燃剤(例えば、硫黄含有難燃剤、ケイ素含 難燃剤、アルコール系難燃剤、窒素系難燃 、リン系難燃剤など)、難燃助剤、滑剤、離 剤、帯電防止剤、着色剤(有機又は無機染顔 料など)、可塑剤、分散剤、他の熱可塑性樹 (例えば、非晶性又は低結晶性樹脂など)など を添加してもよい。特に最近では臭素系難燃 剤などのハロゲン系難燃剤以外の非ハロゲン 系難燃剤による難燃化も提案されており、例 えば、特開平5-70671号公報、特開平8-73720号公 等に示されたリン系難燃剤を併用してもか わない。

 前記酸化防止剤としては、慣用の酸化防止 、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防 剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒド キノン系酸化防止剤などが挙げられる。酸 防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせ 使用できる。酸化防止剤のうち、ヒンダー フェノール系酸化防止剤が好ましく、例え 、酸化防止剤として、ヒンダードフェノー 系酸化防止剤[例えば、グリセリントリス[3- (3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ オネート]、ペンタエリスリトールテトラキ [3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ ピオネート]などの脂肪族多価アルコールの ス乃至テトラキス[3-(3,5-ジ-分岐鎖状C 3-6 アルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ト]などを単独でまたは他の酸化防止剤と併 して使用してもよい。

 酸化防止剤の割合は、ポリエステル系樹脂( A)100重量部に対して、例えば、0.0
05~3重量部、好ましくは0.01~1.5重量部(例えば 0.02~1重量部)、さらに好ましくは0.05~0.5重量 程度であってもよい。なお、酸化防止剤の 合が多すぎると、樹脂への分散性が低下し り、成形品表面に酸化防止剤が染み出す虞 あるとともに、染み出しに伴って成形品の 観が低下する場合がある。

 離型剤としては、例えば、高級脂肪酸(例え ば、ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸 などのC 10-30 飽和又は不飽和脂肪酸など)と多価アルコー (例えば、エチレングリコール、ポリエチレ グリコールなどの(ポリ)アルキレングリコ ル、グリセリン、トリメチロールプロパン ペンタエリスリトール、ソルビタンなどの 肪族多価アルコールなど)のエステル(部分エ ステルも含む)、ワックス[例えば、パラフィ 、マイクロワックス、ポリオレフィン系ワ クス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレ ンワックス等のポリC2-4オレフィン系ワック (好ましくは低分子量ポリエチレンワックス ど)、エチレン共重合体ワックスなどのオレ フィン共重合体ワックスなど)など]などが使 できる。前記エステルの具体例としては、 えば、(ポリ)アルキレングリコール脂肪酸 ステル(モノ又はジエステル、例えば、エチ ングリコールジステアリン酸エステル、ポ エチレングリコールモノラウリン酸エステ など)、グリセリン脂肪酸エステル(モノ乃 トリエステル、例えば、グリセリンモノス アリン酸エステル、グリセリントリパルミ ン酸エステルなど)、トリメチロールプロパ 脂肪酸エステル(モノ乃至トリエステル、例 えば、トリメチロールプロパンモノパルミチ ン酸エステルなど)、ペンタエリスリトール 肪酸エステル(モノ乃至テトラエステル、ペ タエリスリトールステアリン酸エステルな )、ソルビタン脂肪酸エステル(モノ乃至テ ラエステル、例えば、ソルビタンモノステ リン酸エステルなど)などが挙げられる。離 剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使 できる。

 離型剤の割合は、ポリエステル系樹脂(A)1 00重量部に対して、例えば、0.005~3重量部、好 ましくは0.01~1.5重量部程度であってもよい。 お、離型剤の割合が多すぎると、樹脂への 散性が低下したり、成形品表面に離型剤が み出す虞があるとともに、染み出しに伴っ 成形品の外観が低下する場合がある。

 なお、前記樹脂組成物は、溶着に利用す レーザー光に対して透過性を大きく損なわ い範囲で、着色剤(例えば、特開2000-309694号 報や特開2001-71384号公報に記載の着色剤など )を含んでいてもよい。着色剤としては、レ ザー光に対して非吸収性の着色剤(無機又は 機染顔料)、例えば、黄色染顔料(カドミウ エローなどの無機顔料、ベンジジンイエロ などの有機顔料)、橙色染顔料(ハンザイエロ ーなど)、赤色顔料(赤色無機顔料などの無機 料、レーキレッドなどの有機顔料)、青色顔 料(コバルトブルーなどの無機顔料、フタロ アニンブルーなどの有機顔料)、緑色染顔料( クロムグリーンなどの無機顔料、フタロシア ニングリーンなどの有機顔料)、紫色染顔料 どが挙げられる。このような着色剤は、単 で用いてもよく、複数の着色剤を組み合わ て用いて所望の色調に調整してもよい。例 ば、減色混合(複数の染顔料、例えば、黄色 顔料と紫色染顔料との組み合わせ、黄色染 料と赤色染顔料と青色染顔料との組み合わ など)を利用して前記樹脂組成物を無彩色( 色や黒色)に着色することもできる。

 このような着色剤の使用量は、特に制限 れず、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対 て、例えば、0.001~5重量部、好ましくは0.005~ 3重量部、さらに好ましくは0.01~2重量部程度 あってもよい。

 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂 成形品)は、難燃性に優れており、樹脂組成 で形成された成形品が、厚み0.8mmのとき、UL9 4規格(アンダーライターズ・ラボラトリーズ サブジェクト94)に基づく難燃性評価が、通 、V-0である。そして、前記樹脂組成物(又は レーザー透過性樹脂成形品)は、薄肉に成形 ても高い難燃性を有しており、前記成形品 厚みが0.8mm以下、例えば、0.3~0.8mm、好ましく は0.4~0.75mm程度であっても、UL94規格に基づく 燃性評価V-0を達成できる。

 前記樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融 合物(ペレットなど)であってもよい。この うな樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂(A) 臭素系化合物(B)とアンチモン酸化物(C)と(さ に必要に応じて他の成分と)を、慣用の方法 により混合又は混練(溶融混練)することによ 製造できる。特に、前記樹脂組成物は、成 性に優れているため、各成分[ポリエステル 系樹脂(A)と臭素系化合物(B)とアンチモン酸化 物(C)と(さらに必要により他の成分と)]の溶融 混合物(溶融混練物)として効率よく得ること できる。溶融混合物は、慣用の方法により 成分を溶融混練することにより製造できる 例えば、前記樹脂組成物は、(1)各成分を混 して、押出機(一軸又は二軸の押出機)によ 混練し、押出してペレットを調製し、必要 よりさらに成形する方法、(2)一旦、組成の なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そ のペレットを所定量混合(希釈)して、成形に し、所定の組成の成形品(ペレットなど)を る方法、(3)成形機に各成分の1又は2以上を直 接仕込む方法などにより製造できる。なお、 ペレットなどの成形品は、例えば、脆性成分 (ガラス系補強材など)を除く成分を溶融混合 た後に、脆性成分(ガラス系補強材)を混合 ることにより調製してもよく、押出機のサ ドフィード口からフィードしてもよい。な 、各成分を均一に配合するため、樹脂成分( リエステル系樹脂など)の一部を微粉化した 後、得られる粉体と他の成分とを混合しても よい。また、本発明の樹脂組成物は、混合物 (例えば、粉粒体又は溶融混合物)の形態でそ まま成形体の製造に供してもよい。

 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂 成形品)は、ポリエステル系樹脂で形成され いるにも拘わらず、レーザー光に対する光 透過性が高く、レーザー溶着に適している 前記樹脂組成物(又はレーザー透過性樹脂成 品)のレーザー光透過率は、例えば、厚み1.0 mmの成形品において、例えば、20%以上(例えば 、20~100%程度)であり、好ましくは25%以上(例え ば、25~80%)、さらに好ましくは30%以上(例えば 30~50%)、通常20~40%(例えば、20~30%)程度である なお、前記樹脂組成物(又はレーザー透過性 樹脂成形品)は、レーザー溶着に用いるレー ー光の波長(例えば、後述のレーザー光の波 範囲うちのいずれかの波長(例えば、波長940 nm))に対して、上記範囲のレーザー光透過率 有していればよい。

 このように、本発明の樹脂組成物は、ベ ス樹脂がポリエステル系樹脂(PBT系樹脂など )であるにも拘わらず、難燃性とレーザー光 過性とを高いレベルで有するため、レーザ 溶着用樹脂組成物として有用であり、前記 ようにレーザー溶着における透過側部材を 成するのに有用である。また、樹脂組成物 、成形性、機械的強度、耐熱性、耐薬品性 どの性質にも優れている。

 そのため、本発明の樹脂組成物は、レー ー溶着用の樹脂組成物、詳細には、レーザ 溶着における透過側部材用樹脂組成物(レー ザー透過性樹脂成形品用樹脂組成物、レーザ ー透過性樹脂成形品を形成するための樹脂組 成物、レーザー溶着における透過側部材用の 樹脂組成物などということがある)として好 である。なお、前記レーザー透過性樹脂成 品(レーザー透過性成形品、レーザー透過側 脂成形品、レーザー透過側成形品、レーザ 透過性樹脂部材、レーザー透過性部材など いうことがある)とは、前記のように、レー ザー光を吸収可能なレーザー吸収性樹脂成形 品と接触可能であり、レーザー光を透過して 、前記樹脂成形品と接合する成形品であって 、前記樹脂組成物で形成された成形品である 。

 [成形品]
 本発明のレーザー透過性樹脂成形品は、前 樹脂組成物(すなわち、レーザー溶着におけ る透過側部材用樹脂組成物)で形成されてお 、レーザー溶着における透過側部材を形成 るために使用される。

 このような成形品(レーザー透過性樹脂成 形品)は、上記のように、前記樹脂組成物(又 各成分)を溶融混練し、押出成形、射出成形 、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、回転成 形、ガスインジェクションモールディングな どの慣用の方法で成形してもよいが、通常、 射出成形により成形される。成形品は、特に 、射出成形により成形された成形品(射出成 品)であってもよい。射出成形の条件はポリ ステル系樹脂の種類に応じて適当に選択で 、例えば、200~300℃、好ましくは250~280℃程 で樹脂組成物を溶融混練し、必要によりペ ットを調製し、射出成形機により、シリン ー温度200~300℃(例えば、250~280℃)程度の条件 射出成形してもよい。なお、金型温度は40~1 00℃(例えば、40~90℃)程度の範囲から選択でき 、レーザー光透過性を維持する点から、金型 温度は40~95℃(例えば、45~90℃)、好ましくは40 ~80℃(例えば、45~80℃)程度であってもよく、 特に、50~85℃(例えば、46℃~80℃)程度であるの が好ましい。

 成形品の形状は、特に制限されないが、 ーザー溶着により相手材(他の樹脂成形品) 接合して用いるため、通常、少なくとも接 面(平面など)を有する形状(例えば、板状)で る。また、本発明の成形品は、少なくとも ーザー光が透過する部位(レーザ溶着される 部位、レーザー溶着部位)を有しており、こ ような部位の厚み(レーザー光が透過する方 の厚み)は、例えば、0.1~1.5mm、好ましくは0.2 ~1.0mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm程度であって もよい。成形品は、例えば、前記接触面の領 域において、このようなレーザー溶着部位を 有していてもよい。

 本発明には、前記レーザー透過性樹脂成 品で形成された複合成形品(又は複合成形体 又は複合成形部材又は複合成形樹脂部材)も まれる。この複合成形品は、前記樹脂組成 で形成された前記レーザー透過性樹脂成形 (又は第1の成形品)と、相手材のレーザー吸 性樹脂成形品(レーザー吸収側樹脂成形品、 ーザー吸収側成形品、レーザー吸収側樹脂 材、レーザー吸収側部材、第2の成形品、被 着体などということがある)とがレーザー溶 により接合された成形品であり、両成形品 互いに一体化されている。なお、第1の樹脂 形品は、前記のように少なくともレーザー が透過する部位(レーザー溶着部位)を有し おり、複合成形品においては、このような ーザー光透過部位(又はレーザー溶着部位)と 、第2の樹脂成形品とが接合している。第1の 脂成形品と第2の樹脂成形品とは、通常、接 合により少なくとも部分的に一体化されてい る。

 前記第2の樹脂成形品を構成する樹脂とし ては、特に制限されず、種々の熱可塑性樹脂 、例えば、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂 、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエ ステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカー ボネート系樹脂などが挙げられる。これらの 樹脂のうち、前記第1の樹脂成形品(前記樹脂 成物)を構成するベース樹脂と同種類又は同 系統の樹脂、例えば、PBT系樹脂、PET系樹脂な どのポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステ 系樹脂)、又はその組成物で第2の樹脂成形品 を形成してもよい。複合成形品の難燃性をさ らに高めるため、第2の樹脂成形品は難燃剤 どにより難燃化されていてもよい。また、 1の樹脂成形品及び第2の樹脂成形品の双方を 、前記難燃性樹脂組成物で形成してもよい。 なお、本発明では、第1の樹脂成形品が、難 性に優れるため、特に、第2の樹脂成形品を 燃剤などにより難燃化しなくても、複合成 品には、実用上十分な難燃性を付与するこ もできる。

 第2の樹脂成形品は、レーザー光に対する 吸収剤又は着色剤を含有してもよい。前記着 色剤は、レーザー光の波長に応じて選択でき 、無機顔料[カーボンブラック(例えば、アセ レンブラック、ランプブラック、サーマル ラック、ファーネスブラック、チャンネル ラック、ケッチェンブラックなど)などの黒 色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデ ートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンな どの白色顔料など]、有機顔料(黄色顔料、橙 顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料など) などが挙げられる。これらの吸収剤は単独で 又は二種以上組み合わせて使用できる。吸収 剤としては、通常、黒色顔料又は染料、特に カーボンブラックが使用できる。カーボンブ ラックの平均粒子径は、通常、10~1000nm、好ま しくは10~100nm程度であってもよい。着色剤の 合は、第2の樹脂成形品全体に対して0.1~10重 量%、好ましくは0.5~5重量%(例えば、1~3重量%) 度である。また、第1及び第2の樹脂成形品の 間に、カーボンブラックなどのレーザー光吸 収剤又は着色剤を含有する樹脂シート(PBT系 脂シートなど)を挟持させたり、又はレーザ 光吸収剤を塗布して、両成形体を密着させ 後、レーザー光照射により接合を行っても い。なお、前記着色剤を含有する樹脂シー の詳細については、例えば、特許第1829720号 公報などを参照できる。

 このような複合成形品は、第1の樹脂成形 品と第2の樹脂成形品とを接合することによ 製造できる。すなわち、複合成形品は、レ ザー透過性樹脂成形品とレーザー吸収性樹 成形品との接触面(又は界面)に、レーザー光 を照射することにより製造できる。詳細には 、接合は、第1の成形品と第2の成形品とを接 (特に少なくともレーザー光透過部位又は接 合部を面接触)させ、レーザー光を照射する とにより、第1の成形品と第2の成形品との界 面を少なくとも部分的に溶融させて接合面を 密着させた(融着した)状態で冷却することに り行うことができる。このような複合成形 において、本発明の成形品を用いると、融 により高い接合強度が得られ、レーザー光 照射により融着していない非融着部材と同 の高い融着強度を保持できる。

 レーザー光の照射は、通常、第1の樹脂成 形品側(透過部材側)から第2の成形品の方向に 向けて行われる。そして、このようなレーザ ー光の照射により、吸収剤又は着色剤を含む 第2の成形体の界面とで発熱させて、第1の成 品と第2の成形品とを融着させる。なお、必 要によりレンズ系を利用して、第1の成形品 第2の成形品との界面にレーザー光を集光さ 接触界面を融着してもよい。本発明では、 記レーザー光の透過性に優れる前記樹脂組 物で透過側部材、すなわち、第1の樹脂成形 品を形成するので、第2の樹脂成形品に対し 効率よくレーザー溶着でき、高い難燃性を 合成形品に付与できる。

 レーザー光の種類は、特に制限されず、例 ば、600~2000nm、好ましくは7
00~1500nm、さらに好ましくは800~1200nm(例えば、8 00~1100nm)程度の波長を有するレーザー光が使 できる。

 成形品のレーザー溶着に利用可能なレー ー光源としては、例えば、色素レーザー、 体レーザー(エキシマレーザー、アルゴンレ ーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム-ネ ンレーザーなど)、固体レーザー(YAGレーザー など)、半導体レーザーなどが利用できる。 ーザー光としては、通常、パルスレーザー 利用される。

 なお、レーザー溶着におけるレーザー走 速度(サンプル上をレーザー照射位置が移動 する速度)は、特に制限されず、任意に選択 きる。溶着不良を防止して、溶着強度を高 るには、前記レーザー走査速度は、例えば 0~150mm/秒、好ましくは1~100mm/秒、さらに好ま くは2~50mm/秒程度であるのが好ましい。

 前記成形品は、レーザー溶着性に優れて るため、通常、レーザー溶着により相手材 樹脂成形品に対して容易に接合できる。な 、必要であれば、レーザー溶着と他の溶着 (例えば、振動溶着法、超音波溶着法、熱板 溶着法など)とを組み合わせてもよい。

 本発明のレーザー溶着用難燃性樹脂組成 及びその成形品(透過側部材)は、レーザー の透過性に優れ、高い難燃性を有するため 種々の用途、例えば、電気・電子部品、オ ィスオートメーション(OA)機器部品、家電機 部品、機械機構部品、自動車機構部品など 適用できる。成形品及び複合成形品は、特 、自動車電装部品(各種コントロールユニッ ト、イグニッションコイル部品など)、モー ー部品、各種センサー部品、コネクター部 、スイッチ部品、リレー部品、コイル部品 トランス部品、ランプ部品などに好適に用 ることができる。

 以下に、実施例に基づいて本発明をより 細に説明するが、本発明はこれらの実施例 より限定されるものではない。

 なお、実施例及び比較例では、以下の成 を用いた。

 ボリエステル系樹脂(A);
 (A1)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度=0 .69dL/g、ウィンテックポリマー(株)製)
 (A2)変性ポリブチレンテレフタレート(テレ タル酸と1,4-ブタンジオールとの反応におい 、テレフタル酸の一部(12.5モル%)に代えて、 共重合成分としてのジメチルイソフタル酸(DM I)12.5モル%を用い、調製した変性ポリブチレ テレフタレート、固有粘度=0.76dL/g)
 (A3)ポリブチレンテレフタレート-ポリカプ ラクトンエラストマー(ポリブチレンテレフ レートとポリカプロラクトンとの共重合体 帝人ファイバー(株)製、Q4110)。

 臭素系化合物(B);
 (B1)臭素化ポリアクリレート(ポリ(ペンタブ モベンジルアクリレート)、デッドシーブロ ミングループ社製、FR1025)
 (B2):臭素化ポリスチレン(アルベマール(株) 、PyroChek 68PB)
 (B3):臭素化ポリカーボネート(臭素化ビスフ ノールA型ポリカーボネート,帝人化成(株)製 、ファイヤガード FG-7500)
 (B4):臭素化エポキシ樹脂(臭素化ビスフェノ ルA型エポキシ樹脂、阪本薬品工業(株)製、S RT5000)
 (B5):エチレンビステトラブロモフタルイミ (SAYTEX BT-93、アルベマール(株)製)。

 アンチモン酸化物(C);
 (C1)五酸化アンチモン(平均粒子径3.8μm、日 化学工業(株)製、サンエポック NA-1030)
 (C2)三酸化アンチモン(平均粒子径6.3μm、日 精鉱(株)製、PATOX-L)
 (C3)三酸化アンチモン(平均粒子径1.2μm、日 精鉱(株)製、PATOX-M)
 なお、アンチモン酸化物の粒径は、レーザ 回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作 所製 LA-920)を用い、分散媒として蒸留水を用 いて測定し、得られたメジアン径を粒径とし た。

 ポリカーボネート樹脂(D);
 (D1)ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニア ングプラスチックス(株)製、ユーピロンS-3000 )。

 リン系化合物(E);
 (E1)リン酸二水素ナトリウム(米山化学工業( )製、リン酸一ナトリウム)
 (E2)テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4 -ビフェニレンジホスフォナイト(クラリアン トジャパン(株)製、Sandostab P-EPQ)。

 結晶化促進剤(F);
 (F1)窒化ホウ素(水島合金鉄(株)、窒化硼素FS- 1)
 (F2)タルク(林化成(株)製、タルカンパウダー PK-NN)。

 充填材(G);
 (G1)ガラス繊維(直径13μm、日本電気硝子(株) 、ECS 03 T-187)
 (G2)ガラス繊維(直径10μm、日本電気硝子(株) 、ECS 03 T-187H)
 (G3)ガラスフレーク(日本板硝子(株)製、REFG-1 08)。

 フッ素含有樹脂(H);
 (H1)ポリテトラフルオロエチレン(旭硝子(株) 製、アフロンPTFE C D076)
 (H2)ポリテトラフルオロエチレン-アクリル アシェルポリマー(三菱レイヨン(株)製、メ ブレンA-3800)。

 (実施例1~19及び比較例1~12)
 (1)ペレットの調製
 表1~3に示すポリエステル系樹脂(A)に、各成 [臭素系化合物(B)、アンチモン酸化物(C)、及 び/又は、ポリカーボネート系樹脂(D)、リン 化合物(E)、結晶化核剤(F)]を表1~3に示す割合 配合し、Vブレンダーにて均一に混合した。 得られた混合物を、30mmφの2軸押出機を用い 、表1に示す割合の充填材(G)、フッ素含有樹 (H)を、バレル温度260℃にて溶融混合し、ダ スから吐出されるストランドを冷却後切断 て、ペレットを得た。なお、このペレット 、フェノール系酸化防止剤(チバ(株)製、「 ルガノックス1010」)0.3重量部と離型剤(クラ アント(株)製、「ワックスE」)0.5重量部とを 含んでいる。

 (2)成形品の作製およびレーザー溶着
 上記(1)で得られたペレットを用いて射出成 機((株)東芝製)により、シリンダー温度260℃ 及び金型温度80℃の条件で樹脂成形品A(縦8cm× 横1cm×厚さ1.0mm)を成形した。また、樹脂成形 Aに溶着するための樹脂成形品(被着体)Bとし て、前記ペレット100重量部及び黒色着色用カ ーボンブラック(ウィンテックポリマー(株)製 ,商品名「2020B」)3重量部を用いる以外、樹脂 形品Aと同様にして、着色した樹脂成形品B 作製した。なお、樹脂成形品Bはレーザー光 よる発熱体として作用する。

 (3)溶着性の判定(強度の測定)
 図1及び図2に示すように、樹脂成形品B(4)に して樹脂成形品A(3)を、一部を重ねて接触さ せた状態で、石英ガラス板(5)と金属板(6)とで 挟んで固定し、ライスター社製レーザー溶着 機(MODULAS Cタイプ)を用い、波長940nmのレーザ 光で、光源(1)からレーザー光(2)を樹脂成形 Aと樹脂成形品Bとの接触面に線幅W(2mm)で集 させ、樹脂成形品A(3)側から、レーザー出力1 0~50Wの範囲で5W刻み、及び走査速度10mm/秒の条 件でレーザー光を照射して溶着実験を行った 。溶着実験後の成形品について引張試験機( リエンテック社製、RTC-1325)を用いて、レー ー溶着した樹脂成形品Aと樹脂成形品Bとを5mm /分で引張せん断し、せん断強度が300Nを超え いるものを「溶着」と判断した。また、溶 面と垂直方向に切断し、溶着面の炭化及び 泡状態を実体顕微鏡にて観察し過溶着の有 を判定した。以上の結果から溶着が認めら 、炭化及び発泡状態の無いものを「3」、発 泡状態は認められるが溶着が認められるもの を「2」、炭化が顕著でレーザー光透過不十 なものを「1」として2以上をレーザー溶着性 良好と判断した。

 結果を表1~3に示す。なお、表1~3において 難燃性およびレーザー光線透過率は以下の うにして測定し、評価した。

 (A)難燃性(燃焼性テスト(UL-94))
 アンダーライターズ・ラボラトリーズのサ ジェクト94(UL94)の方法に準じて、実施例及 比較例の樹脂組成物で作製した5本の試験片( 厚み;0.8mm)を用いて難燃性及び樹脂の燃焼時 滴下特性について試験した。難燃性はUL94に 載の評価方法に従ってV-0、V-1、V-2、及びこ らのVランクに該当しないもの(notV と表示) 分類した。

 (B)レーザー光線透過率
 分光光度計(日本分光(株)製,V570 積分球付き )を用いて、波長940nmにおいて、樹脂成形品A 光線透過率を測定した。

 表1および2から明らかなように、特定の臭 系化合物及び特定のアンチモン酸化物を用 た実施例では、レーザー光の透過性が高い め、高い溶着強度が得られ、溶着の判定が3 たは2と判定された。また、難燃性の結果も 優れていた。それに対し、それ以外のハロゲ ン含有化合物やアンチモン酸化物を用いた比 較例では、難燃性が高くても溶着できなかっ たり、レーザー溶着により接合できても難燃 性が非常に低かった。