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Title:
LENS EVALUATION METHOD, LENS EVALUATION DEVICE, LENS MANUFACTURING METHOD, AND LENS CHARACTERISTIC DISPLAY METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028684
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method which can easily evaluate presence/absence and a degree of an error which greatly changes locally in a lens. Firstly, according to an actually measured dioptry distribution of a spectacle lens, the method acquires a dioptry distribution of an arbitrary direction at a plurality of measurement points. Next, a calculation dioptry distribution as a designed dioptry distribution is created. Furthermore, the method acquires a difference distribution between the actually measured dioptry distribution and the calculated dioptry distribution. The method differentiates the difference distribution to obtain a difference index.According to the difference index, the method evaluates presence/absence and a degree of an error which greatly changes locally in the lens.

Inventors:
KOZU KAZUMA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065581
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HOYA CORP (JP)
KOZU KAZUMA (JP)
International Classes:
G01M11/00; G01M11/02; G02C7/02
Domestic Patent References:
WO2003098181A12003-11-27
WO2003098181A12003-11-27
Foreign References:
JP2007303900A2007-11-22
JP2005308642A2005-11-04
JP2006208348A2006-08-10
JPH08304228A1996-11-22
JPH10507825A1998-07-28
JP2000186978A2000-07-04
Other References:
See also references of EP 2189776A4
Attorney, Agent or Firm:
TSUNODA, Yoshisue et al. (1-64-8 Sasazuka, Shibuya-k, Tokyo 73, JP)
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Claims:
 球面度数、乱視度数、乱視軸を表す点群からなる眼鏡レンズの実測度数分布に基づいて、複数の測定点の任意方向の度数分布を得る度数分布変換工程と、
 前記眼鏡レンズにおける設計上の度数分布である計算度数分布を作成する計算度数分布作成工程と、
 前記眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示した前記実測度数分布と前記計算度数分布との誤差分布を得る誤差分布算出工程と、
 前記複数の測定点におけるレンズ内の距離によって、前記誤差分布算出工程で得られた前記誤差分布を微分して誤差指数を求める誤差指数算出工程と、
 前記誤差指数算出工程で算出された前記誤差指数をもとに前記眼鏡レンズの評価を行う評価工程と、
 を有することを特徴とするレンズ評価方法。
 前記任意の方向は、等角度の複数方向である
 を特徴とする請求項1に記載のレンズ評価方法。
 前記誤差指数算出工程で算出される前記誤差指数は、前記複数の測定点におけるレンズ内の距離によって、前記誤差分布を微分して得られた値の絶対値が最大となる方向における値であること
 を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のレンズ評価方法。
 眼鏡レンズにおいて、近用部及び遠用部に対して、前記誤差分布に重み付けを行う誤差分布補正工程を有すること
 を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレンズ評価方法。
 非点収差を基準にして前記誤差分布に重み付けを行う誤差分布補正工程を有すること
 を特徴とする請求項1乃至4に記載のレンズ評価方法。
 前記誤差分布には、下記数式1により算出された重み付けを行う誤差分布補正工程を有すること
 を特徴とする請求項1乃至5に記載のレンズ評価方法。
j:測定点
A:定数
AS:計算度数分布の点jにおける非点収差の大きさ
Wj:重み付け
Ej:重み付けを考慮した誤差分布
Dj:誤差分布
 異なる設計タイプのレンズ同士を比較すること
 を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のレンズ評価方法。
 眼鏡レンズの複数の測定点の球面度数、乱視度数、乱視軸からなる度数を測定し、実測度数分布を得る度数分布測定装置と、
 前記実測度数分布を用いて前記眼鏡レンズの評価を行う処理部を有する評価用コンピュータと、を備え、
 前記評価用コンピュータの前記処理部は、前記実測度数分布に基づいて、前記複数の測定点の任意方向の度数分布を得る度数分布変換処理と、前記眼鏡レンズにおける設計上の度数分布である計算度数分布を作成する計算度数分布作成処理と、前記眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示した前記実測度数分布と前記計算度数分布との誤差分布を得る誤差分布算出処理と、前記複数の測定点におけるレンズ内の距離によって、前記誤差分布算出処理で得られた前記誤差分布を微分して誤差指数を求める誤差指数算出処理と、前記誤差指数算出処理で算出された前記誤差指数をもとに前記眼鏡レンズの評価する処理を行う
 ことを特徴とするレンズ評価装置。
レンズブランクの光学的に仕上げられていない面を光学的に仕上げる工程と
 両面が光学的に仕上げられたレンズにおける設計データとの誤差が許容範囲であるか否かを評価するレンズ評価工程と、を有し、
 前記レンズ評価工程では、
 球面度数、乱視度数、乱視軸を表す点群からなる前記眼鏡レンズの実測度数分布に基づいて、複数の測定点の任意方向の度数分布を得る度数分布変換工程と、
 前記眼鏡レンズにおける設計上の度数分布である計算度数分布を作成する計算度数分布作成工程と、
 前記眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示した前記実測度数分布と前記計算度数分布との誤差分布を得る誤差分布算出工程と、
 前記複数の測定点におけるレンズ内の距離によって、前記誤差分布算出工程で得られた前記誤差分布を微分して誤差指数を求める誤差指数算出工程と、
 前記誤差指数算出工程で算出された前記誤差指数をもとに前記眼鏡レンズの評価を行う評価工程と、
 を行うことを特徴とする眼鏡レンズ製造方法。
 球面度数、乱視度数、乱視軸を表す点群からなる眼鏡レンズの実測度数分布に基づいて、複数の測定点の任意方向の度数分布を得る度数分布変換工程と、
 前記眼鏡レンズにおける設計上の度数分布である計算度数分布を作成する計算度数分布作成工程と、
 前記眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示した前記度数分布と前記計算度数分布との誤差分布を得る誤差分布算出工程と、
 前記複数の測定点におけるレンズ内の距離によって、前記誤差分布算出工程で得られた前記誤差分布を微分して誤差指数を求める誤差指数算出工程と、
 前記誤差指数算出工程で算出された前記誤差指数から前記眼鏡レンズ内における誤差指数の分布を作成する誤差指数分布作成工程と、
 前記誤差指数分布作成工程で作成された前記誤差指数分布を表示する表示工程と、
 を有するレンズ特性の表示方法。
 
Description:
レンズ評価方法、レンズ評価装 及びレンズ製造方法、並びにレンズ特性表 方法

 本発明は、眼鏡レンズまたは眼鏡レンズ 形に用いるモールドの光学性能や面形状を 価する方法および装置、並びに、この評価 法または評価装置を用いた眼鏡レンズ製造 法、更に眼鏡レンズの光学特性を表示する 法に関する。

 眼鏡レンズの製造・加工にあたっては、 られた眼鏡レンズの両光学面が仕様通りあ いは設計通りの光学性能や面形状を有して るかどうかを評価する必要がある。このよ な眼鏡レンズの評価は、主にレンズメータ 用いて点単位に光学特性(屈折力)を測定す ことにより実施され、単焦点レンズならば 学中心、多焦点レンズならば遠用部光学中 や加入屈折力を測定する位置(遠用部頂点屈 力測定点と近用部測定基準点)、累進屈折力 レンズならば遠用部測定基準点や加入屈折力 を測定する位置(遠用部測定基準点と近用部 計基準点)を測定点として測定するのが一般 である。

 なお、各種眼鏡用レンズ(単焦点眼鏡レン ズ、多焦点眼鏡レンズ、累進屈折力眼鏡レン ズ)の光学特性の測定方法や表示値に対する 容差については、ISOやJIS規格等で定められ いる。

 しかし、眼鏡レンズの装用者は、レンズ における前述の測定点以外の領域を通して 物を見ている。そのため、前述の測定点だ でなく、広範囲にレンズを評価する方法が められている。例えば、累進屈折力レンズ ように、片面あるいは両面が複雑な面形状 有している場合には、特に広範囲のレンズ 価が重要である。

 従来技術としては、実際にレンズ面の3次 元形状を測定して、その3次元形状から光学 性を算出して評価する試みが知られている( えば、特許文献1及び3参照)。また、レンズ の広範囲の光学特性、例えば屈折度数分布( 以下、度数分布とも言う)を測定する方法、 置も知られており(引用文献2参照)、得られ 広範囲の度数分布と設計データに基づく度 分布との誤差分布に基づいてレンズの光学 性を評価する試みも知られている(例えば特 文献4参照)。

 上記測定される度数分布としては、非点 差分布{乱視屈折力(乱視度数ともいう)Cの絶 対値の分布}や平均度数分布〔S+C/2の度数分布 {ここで、Sは球面屈折力(球面度数ともいう) Cは乱視度数を指す}〕などが用いられている 。

 また、眼鏡用プラスチックレンズ成形に 用されるモールドはガラスからなり、その 形面は、プラスチックレンズに転写される そのため、モールドの成型面は、眼鏡レン と同様の高い面精度を有している必要があ 。従って、モールドがレンズ形状に成形さ ている場合には、眼鏡レンズと同様の評価 可能である。

 特許文献1:特開平8-304228
 特許文献2:特表平10-507825
 特許文献3:特開2000-186978
 特許文献4:再公表特許WO2003/098181

 上記特許文献4記載の評価方法においては 、レンズ光学面の広い範囲の評価が可能であ り、各測定点における屈折度数の測定値と設 計値との誤差の程度を把握できる。また、予 めその許容差を設定することにより各測定点 の誤差が許容差内なのかどうかを把握するこ とができる。しかしながら、この従来の方法 では、誤差の種類の違いについては特定され ていなかった。

 すなわち、誤差の種類としては、その一 の種類として、レンズのある領域にわたっ 、ほぼ均一に同じ値の誤差が生じている場 や緩やかに変化する誤差が生じている場合 ある。これらの誤差は、総称して「規則性 ある誤差」(あるいは「全体的誤差」)と呼 こととする。また、他の種類として、局所 に大きく変化する誤差が生じている場合も る。この誤差は、上記「規則性のある誤差 に対して、「規則性のない誤差」(あるいは 局所的誤差」)と呼ぶこととする。そして、 特に規則性のない誤差(局所的誤差)は、装用 にとって歪みや揺れとして感じられやすく 例え許容差内であっても問題になる場合が る。しかしながら、従来の評価方法では、 のような規則性のある誤差(全体的誤差)と 則性のない誤差(局所的誤差)とを区別するこ とは行なわれていなかった。

 そこで、本発明の第1の目的は、これら誤 差の種類に着目し、規則性のない誤差の有無 やその誤差の程度等を評価できる方法を提供 することである。

 また、従来の測定方法や評価方法におい 用いる光学特性の指標として、平均度数分 や非点収差分布などが用いられ、これらの 布を基に評価している。しかしながら、こ らの分布では乱視軸に関する情報が含まれ いないため、乱視軸も考慮した評価が難し った。更に、評価する対象がモールドの場 においても、上記した眼鏡レンズと同様の 題点があった。

 本発明の第2の目的は、評価対象物である レンズあるいはモールドの測定された度数分 布と設計データに基づく度数分布との誤差を 基に、レンズあるいはモールドを局所的誤差 に着目して評価する方法および装置、並びに これら方法または装置を用いた眼鏡レンズの 製造方法、更にレンズの光学特性を表示する 方法を提供することにある。

 本発明のレンズ評価方法は、以下の(1)から( 5)に示す工程を含んでいる。
(1)球面度数、乱視度数、乱視軸を表す点群か らなる眼鏡レンズの実測度数分布に基づいて 、複数の測定点の任意方向の度数分布を得る 度数分布変換工程、
(2)眼鏡レンズにおける設計上の度数分布であ る計算度数分布を作成する計算度数分布作成 工程、
(3)眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示 した実測度数分布と計算度数分布との誤差分 布を得る誤差分布算出工程、
(4)複数の測定点におけるレンズ内の距離によ って、誤差分布算出工程で得られた誤差分布 を微分して誤差指数を求める誤差指数算出工 程、
(5)誤差指数算出工程で算出された誤差指数を もとに前記眼鏡レンズの評価を行う評価工程 。

 本発明のレンズ評価装置は、眼鏡レンズの 数の測定点の球面度数、乱視度数、乱視軸 らなる度数を測定し、実測度数分布を得る 数分布測定装置と、実測度数分布を用いて 鏡レンズの評価を行う処理部を有する評価 コンピュータと、を備える。
 そして、評価用コンピュータの処理部は、 下(1)から(5)に示す処理を行う。
(1)実測度数分布に基づいて、複数の測定点の 任意方向の度数分布を得る度数分布変換処理 、
(2)眼鏡レンズにおける設計上の度数分布であ る計算度数分布を作成する計算度数分布作成 処理、
(3)眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示 した実測度数分布と計算度数分布との誤差分 布を得る誤差分布算出処理、
(4)複数の測定点におけるレンズ内の距離によ って、誤差分布算出処理で得られた誤差分布 を微分して誤差指数を求める誤差指数算出処 理、
(5)誤差指数算出処理で算出された誤差指数を もとに眼鏡レンズの評価する処理。

 本発明のレンズの製造方法は、レンズブラ クの光学的に仕上げられていない面を光学 に仕上げる工程と、両面が工学的に仕上げ れたレンズにおける設計データとの誤差が 容範囲であるか否かを評価するレンズ評価 程と、を含んでいる。そして、特に、レン 評価工程では、以下(1)から(5)に示す工程が り返される。
(1)球面度数、乱視度数、乱視軸を表す点群か らなる眼鏡レンズの実測度数分布に基づいて 、複数の測定点の任意方向の度数分布を得る 度数分布変換工程、
(2)眼鏡レンズにおける設計上の度数分布であ る計算度数分布を作成する計算度数分布作成 工程、
(3)眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示 した実測度数分布と計算度数分布との誤差分 布を得る誤差分布算出工程、
(4)複数の測定点におけるレンズ内の距離によ って、誤差分布算出工程で得られた誤差分布 を微分して誤差指数を求める誤差指数算出工 程、
(5)誤差指数算出工程で算出された誤差指数を もとに前記眼鏡レンズの評価を行う評価工程 。

 本発明のレンズ特性の表示方法は、以下の( a)から(f)に示す工程を含んでいる。(a)球面度 、乱視度数、乱視軸を表す点群からなる眼 レンズの実測度数分布に基づいて、複数の 定点の任意方向の度数分布を得る度数分布 換工程、
(b)眼鏡レンズにおける設計上の度数分布であ る計算度数分布を作成する計算度数分布作成 工程、
(c)眼鏡レンズにおける実際の度数の分布を示 した実測度数分布と計算度数分布との誤差分 布を得る誤差分布算出工程、
(d)複数の測定点におけるレンズ内の距離によ って、誤差分布算出工程で得られた誤差分布 を微分して誤差指数を求める誤差指数算出工 程、
(e)誤差指数算出工程で算出された誤差指数か ら眼鏡レンズ内における誤差指数の分布を作 成する誤差指数分布作成工程と、
(f)誤差指数分布作成工程で作成された誤差指 数分布を表示する表示工程。

 本発明によれば、局所的誤差の有無およ 程度を容易に把握することができ、より精 の高い評価が可能になる。また、各測定点 乱視軸を考慮した評価が可能になるため、 り精度の高い評価が可能となる。

 更に、本発明によれば、局所的誤差と全 的誤差の区別が簡単に行えるので、誤差が じる原因の特定が容易になる。この結果、 造されたレンズの実際の度数分布と、設計 ータの度数分布との誤差の度合いを定量的 表現し、レンズ表面形状の特性を客観的に 度良く評価することができる。

 また、本発明の製造方法を用いることに り、局所的誤差を許容範囲内に抑えたレン を容易に製造することができる。

本実施形態における眼鏡レンズ評価装 の概略構成を示すブロック図である。 本実施形態における度数分布測定装置 概略構成を示す説明図である。 本実施形態における眼鏡レンズ評価装 の動作を示すシーケンス図である。 本実施形態に係る度数分布測定装置か 出力される測定データを示す説明図である 実施例に係る(S,C,Ax)度数分布を、(D1,D2,D 3,D4,NT,ST)度数分布に変換する処理についての 明図である。 実施例に係る(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’)度数分布を、平均度数分布、非点収差分 、(D1,D2,D3,D4,NT,ST)度数分布に変換した結果を す説明図である。 実施例に係る誤差指数分布を求める工 についての説明図である。 実施例に係る(D1,D2,D3)度数分布から誤差 指数分布を求める工程についての説明図であ る。 実施例に係る(D4,NT,ST)度数分布から誤差 指数分布を求める工程についての説明図であ る。 実施例に係る(D1,D2,D3)度数分布から誤 指数分布を求める工程についての説明図で る。 実施例に係る(D4,NT,ST)度数分布から誤 指数分布を求める工程についての説明図で る。 本実施形態における眼鏡レンズ製造方 法を示すフローチャートである。

 発明者らは、規則性のある誤差(全体的誤 差)と規則性のない誤差(局所的誤差)と言う二 つの種類の誤差に着目し、局所的誤差の有無 や程度を評価することにより、従来できなか った眼鏡レンズのより緻密な評価が可能にな ることを見出した。

 ここで「規則性のある誤差」と呼ぶもの 、眼鏡レンズ全体の規則的な誤差を示して るので、従来のレンズメータによる点単位 検査方法でも十分検知でき、容易にその誤 を抽出することができる。そして、測定さ た度数と設計上の度数との差が、ISO又はJIS 格、あるいはそれらより厳しいレンズ製造 独自の基準の許容範囲内に収まっているか かで合否判定を行える。

 しかしながら、「規則性のない誤差」と ぶものは、眼鏡レンズのごく一部分にしか 差を有しないことから、従来のレンズメー による検査方法では検知しにくく、容易に 誤差を抽出しづらい。もちろん、広い範囲 わたって多数の点を測定することにより、 数の点の誤差の分布を得ることも考えられ が、そのようにして得られる誤差分布は、 体的誤差に属するのかあるいは局所的誤差 属するのかの判断が困難であった。また、 所的誤差に属するとしても、全体的誤差の でどの程度の局所的誤差が生じているのか 判断することは容易ではなかった。

 そこで、発明者らは、規則性のない誤差 抽出し、この規則性のない誤差を数値的に 徴付ける手法を発明した。すなわち、規則 のない誤差についての度数分布を特徴付け ための効果的な方法として、誤差分布を微 すると、規則性のない誤差の場合には微分 はゼロとはならず、ある大きな量として存 することを見出した。そして、この事実を 用して、誤差の一階微分を取ると、規則性 ない誤差を簡単に見つけることができると う知見を得た。

 しかしながら、微分を取るにはその度数 布が連続的に変化する指標を用いる必要が る。一方、前記した従来の指標のうち、非 収差分布は、連続性がないため微分するこ ができない。また、非点収差分布および平 度数分布は、その方向性(乱視軸)を考慮し いないことから、一つの値が多くの情報か 成り立っており、誤差分布の指標としては 切ではない。そこで、連続性のある度数分 を基に誤差分布を作成し、その微分を取る とが重要である。

 この知見を基に、以下、本発明を実施す ための最良の形態を説明するが、この実施 形態は例示的に示されるもので、本発明の 術思想から逸脱しない限り種々の変形が可 である。

[眼鏡レンズ評価装置]
 まず、本実施形態に係る眼鏡レンズ評価装 について、図1を参照して説明する。
 図1は、本実施形態に係る眼鏡レンズ評価装 置の概略構成を示すブロック図である。

 本実施例の眼鏡レンズ評価装置10は、度 分布測定装置1と、データサーバ2と、評価用 コンピュータ3と、入力手段4と、出力手段5と 、レンズメータ6とを有している。レンズメ タ6は、眼鏡レンズ(被検レンズ)の屈折力を ポット的に測定する。

 度数分布測定装置1は、被検レンズの度数 分布を測定する装置である。ここで、度数分 布測定装置1の概略構成について、図2を参照 て説明する。図2は、度数分布測定装置1の 略構成を示す説明図である。

 度数分布測定装置1は、被検レンズ100の多数 の点について、球面度数S、乱視度数C、乱視 Axが測定できるものであればよく、従来の 定装置を利用することができる。
 度数分布測定装置の一例を図2に示す。この 度数分布測定装置1は、光源装置11と、ビーム スプリッタ12と、スクリーン13と、CCDカメラ14 と、計算装置15とからなる。光源装置11は、 検レンズ100に平行光を照射する。ビームス リッタ12は、被検レンズ100を挟んで光源装置 11の反対側に配置されており、複数の光透過 (図示せず)を有している。

 スクリーン13は、ビームスプリッタ12の被 検レンズ100に対向する面の反対側の面に対向 されている。このスクリーン13には、ビーム プリッタ12を透過した光が到達する。CCDカ ラ14は、スクリーン13に表示された映像を取 込む。計算装置15は、CCDカメラ14によって取 り込まれた映像から被検レンズ100を透過した 光の経路を測定し、被検レンズ100の光学特性 を計算する。この計算装置15は、図1に示され る評価用コンピュータ3と兼用してもよい。

 光源装置11から被検レンズ100に平行光を 射すると、被検レンズ100から光が出射され 。被検レンズ100から出射された光は、ビー スプリッタ12を透過し、スクリーン13に投影 れる。計算装置15は、スクリーン13に投影さ れる光(映像)から被検レンズ100を透過後の光 経路を測定し、被検レンズ100の光学特性を 出する。

 再び、図1に示す度数分布測定装置1につ ての説明に戻る。データサーバ2は、データ 憶手段を有するコンピュータであり、評価 コンピュータ3とネットワークを介して接続 されている。なお、度数分布測定装置1とデ タサーバ2は、通信ケーブルなどの通信媒体 直接送受信可能に接続してもよい。データ ーバ2は、被検レンズ100の評価に必要なデー タと評価結果とを記憶する記憶部20を有する

 記憶部20は、設計データ記憶部21と、受注 データ記憶部22と、測定結果記憶部23と、合 判定結果記憶部24を有する。設計データ記憶 部21は、被検レンズ100の設計データをあらか め記憶し、受注データ記憶部22は、受注デ タをあらかじめ記憶する。測定結果記憶部23 は、度数分布測定装置1やレンズメータ6で得 れた各種測定結果や演算結果などの測定結 データを記憶する。合否判定結果記憶部24 、評価用コンピュータ3によって判定された ンズの合否結果を表す合否結果データを記 する。

 データサーバ2は、工場のメインサーバ7 ネットワークで接続されている。なお、メ ンサーバ7とデータサーバ2は、通信ケーブル などの通信媒体で直接接続してもよい。メイ ンサーバ7は、通信媒体8を介して眼鏡店9の注 文用端末91に接続されている。本実施形態で 、レンズの製造元であるレンズメーカの工 が、レンズの発注元である眼鏡店等の顧客 らオンラインで受注する場合の例で説明す 。通信媒体8としては特に限定されるもので はなく、例えば、公衆通信回線、専用回線、 インターネット等を利用することができる。

 眼鏡店9には、上述した注文用端末91と、 レーム形状測定装置92が設置されている。 レーム形状測定装置92は、眼鏡フレームの枠 形状を測定する装置である。注文用端末91は 眼鏡レンズを注文するために必要な各種情 をレンズメーカの工場へ送信するための端 コンピュータである。注文用端末91から工 のメインサーバ7に注文データが送られると メインサーバ7上に登録されている受注処理 プログラムにより受注処理が実行され、受注 データが作成される。作成された受注データ は、データサーバ2の受注データ記憶部22に記 憶される。

 受注データは、レンズに関する情報、眼 フレームに関する情報、処方値、レイアウ 情報などである。レンズに関する情報とし は、レンズの種類に関する情報やレンズ加 指示に関する情報がある。ここで、レンズ 種類に関する情報としては、レンズ材質、 折率、レンズ表裏面の光学設計などであり レンズ加工指示に関する情報としては、レ ズ厚さ、コバ厚、偏心、縁面の仕上げ方法 フレーム取付部の加工種類や方法、染色、 ーティングなどが考えられる。

 また、前記眼鏡フレームの情報としては フレームサイズ、フレームの素材、色、玉 形状等がある。ここで、玉形形状とは、フ ーム形状測定装置92により測定されたレン 枠の形状を表すデータ、リムレスフレーム 溝掘りフレームのように予め設定されてい 玉形形状を表すデータなどを指している。 た、処方値としては、球面屈折力、乱視屈 力、乱視軸、プリズム、加入屈折力などが る。レイアウト情報としては、瞳孔間距離 左右片眼瞳孔間距離、近用瞳孔間距離、セ メント小玉位置、アイポイント位置などが る。

 工場のメインサーバ7には、レンズの形状 を設計するためのレンズ設計プログラムが備 えられている。メインサーバ7は、レンズ設 プログラムを実行し、上述した受注データ 、記憶部20に予め記憶されている設計に必要 なデータ(光学面形状、玉形形状など)に基づ た所望のレンズ形状(レンズ前面形状データ 、レンズ後面形状データ、レンズ前面と後面 の配置に関するデータ、周縁形状データ等) 計算する。計算されたレンズ形状は、設計 ータとしてデータサーバ2の設計データ記憶 21に記憶される。

 つまり、被検レンズ100の設計値は、設計 ータと受注データを基に決定されている。 して、設計データには、被検レンズ100の前 (装用眼から遠い方のレンズ表面)と後面(装 眼から近い方のレンズ表面)の3次元形状デ タと、レンズ中心厚やプリズム値などのレ ズ前面と後面の間隔や配置に関するデータ 、被検レンズ100の屈折率やアッベ数(ある光 材料の色収差に対する補正を見積もるため 数)などの材質パラメータとが含まれる。な お、3次元形状データは、スプライン関数に り関数化されていることが好ましい。

 また、工場のメインサーバ7には、レンズ の加工データを作成するための加工データ作 成プログラムも備えられている。メインサー バ7は、加工データ作成プログラムを実行し 前述した受注データや設計データに基づい 、レンズ製造過程(例えばブロック工程、切 工程、研磨工程、染色工程、表面処理工程 玉形加工工程など)における各種加工条件が 設定された加工データを作成する。作成され た加工データは、データサーバ2の記憶部20に 記憶される。そして、受注データ、設計デー タ、加工データに基づいて、アンカットレン ズ(玉形加工前のフィニッシュトレンズ)が製 され、必要により染色、表面処理、玉形加 等が行なわれて、発注元に納品される。

 評価用コンピュータ3は、データサーバ2 記憶部20に記憶されているデータと度数分布 測定装置1により測定されたデータとから設 値に対する被検レンズの評価を行う。この 価用コンピュータ3は、度数分布測定装置1、 レンズメータ6、入力手段4及び出力手段5に接 続されると共に、ネットワークを介してデー タサーバ2に接続されている。

 評価用コンピュータ3は、度数分布測定装 置1、レンズメータ6、データサーバ2、入力手 段4及び出力手段5とのインタフェース(図示せ ず)と、処理部31と、記憶部32を有している。

 処理部31は、度数分布変換処理311、計算 数分布算出処理312、誤差分布算出処理313、 み付け補正処理314、微分分布算出処理315、 価指数作成処理316、合否判定処理317などを う。度数分布変換処理311は、度数分布測定 置1によって測定された度数分布{(球面度数S, 乱視度数C,乱視軸Ax)を表す点群からなる分布} を連続性のある8つの分布へ変換する処理で る。度数分布算出処理312は、設計上の度数 布(計算度数分布)を算出する処理である。こ の設計上の度数分布(計算度数分布)とは、眼 レンズが設計どおりに製造された場合の度 分布のことである。

 誤差分布算出処理313は、度数分布測定装 1によって測定された度数分布(実測度数分 )と設計上の度数分布(計算度数分布)との誤 分布を算出する処理である。重み付け補正 理314は、誤差分布算出処理313において算出 れた誤差分布に重要度である重み付けを行 処理である。微分分布算出処理315は、重み け補正処理314で重み付けが行われた誤差分 をレンズ内の距離によって微分した微分分 を算出する処理である。評価指数作成処理31 6は、誤差分布を微分した誤差指数から評価 数を作成する処理である。そして、合否判 処理317は、評価指数作成処理316において作 された評価指数に基づいてレンズの合否を 定する処理である。

 記憶部32は、合否判定基準記憶部321と、 み付け計算用係数記憶部322を有している。 否判定基準記憶部321には、合否判定処理317 おいて用いられる合否判定基準データが記 されている。また、重み付け計算用係数記 部322には、重み付け補正処理において用い れる重み付け計算用係数が記憶されている

 入力手段4は、測定する被検レンズを識別 するためのデータを評価用コンピュータ3に 力するために用いられる。この入力手段4と ては、例えば、バーコードリーダ、2次元コ ードリーダ、ICチップリーダ、キーボード、 の装置から送られてきた識別データを受信 る手段などを挙げることができる。また、 力手段4によって入力されるデータとしては 、後述する識別データなどを挙げることがで きる。

 出力手段5は、設計レンズの度数分布(計 度数分布)、度数分布測定装置1で測定された 被検レンズ100の度数分布(実測度数分布)、設 レンズに対する被検レンズ100の誤差分布、 の誤差分布を基にした合否判定結果等を表 またはデータ出力する。この出力手段5とし ては、例えば、ディスプレイ装置やプリンタ 、他の装置へ結果をデータとして出力する手 段などが挙げられる。

[眼鏡レンズ評価装置の動作]
 次に、眼鏡レンズ評価装置について、図1~ 3を参照して説明する。
 図3は、本発明に係る眼鏡レンズ評価装置の 動作を示すシーケンス図である。

1.前工程(ステップS1)
 はじめに、両面が光学的に仕上げられた被 レンズとして、プラスチックレンズを得る 工程を行う(ステップS1)。つまり、前工程で は、上述した受注データ、設計データ、加工 データに基づいて、アンカットレンズ(玉形 工前のフィニッシュトレンズ)が製造される

 このアンカットレンズの作成方法は、従 の技術を用いることができるため、詳細な 明は省略するが、例えば、注型重合成形や 出成形により両光学面が仕上げられた状態 アンカットレンズを成形してもよい。また 一方の面または両面が光学的に仕上げられ いないレンズブランクやセミフィニッシュ レンズブランクを用いて、その仕上げられ いない面を光学的に仕上げてアンカットレ ズを得てもよい。その場合、レンズブラン やセミフィニッシュトレンズブランクの光 的に仕上げられていない面を、カーブジェ レータ(CG)等の切削装置で切削する。その後 、切削された面を研磨装置によって研磨する ことにより、両光学面が仕上げられたアンカ ットレンズが形成される。

2.第1レンズ評価工程(ステップS2~S4)
 次に、前工程において得られたアンカット ンズ(被検レンズ100)に対して第1のレンズ評 を行う。

 第1レンズ評価工程は、被検レンズ100の光 学特性をスポット的に測定して評価する工程 であり、特定の測定位置(以下、第1評価測定 と呼ぶ)における屈折度数の実測値と設計値 とを比較して合否を判定する。以下、単に屈 折度数(あるいは度数)と言った場合には、球 度数S、乱視度数C、および、乱視軸Axによっ て特徴付けられた光学特性を表すものとする 。

 第1評価測定点としては、1点あるいは複 の点を設定することができる。この第1評価 定点は、任意に設定することもできるが、 ンズの屈折度数の表示値を検査する位置が まれているとより好ましい。屈折度数の表 値を検査する位置としては、例えば、単焦 眼鏡レンズであれば、レンズの屈折力(後面 頂点屈折力)を測定する位置(光学中心)である 。多焦点眼鏡レンズであれば、遠用部屈折力 (後面頂点屈折力)を測定する位置(遠用部測定 基準点)や加入屈折力を測定する位置(遠用部 点屈折力測定点、近用部測定基準点)である 。累進屈折力レンズであれば、遠用部屈折力 (後面頂点屈折力)を測定する位置(遠用部測定 基準点)や加入屈折力を測定する位置(遠用部 定基準点、近用部設計基準点)である。

 第1レンズ評価工程では、まず、レンズメ ータ6(図1を参照)を用いて第1評価測定点にお る屈折度数を測定する(ステップS2)。この測 定結果は、評価用コンピュータ3に送信され 。なお、第1評価測定点を広範囲に多数設定 る場合には、例えば、特許文献4に記載のよ うな一度に多数の点の屈折度数を測定できる 装置を用いて各点の屈折度数を測定してもよ い。

 次に、評価用コンピュータ3は、レンズメ ータ6から供給された測定結果が許容範囲条 内であるかどうかを判断し合否を判定する( テップS3)。

 ここで、評価用コンピュータ3が許容範囲条 件を取得する手順を説明する。
 まず、被検レンズ100に添付されたそのレン を特定する識別データを入力手段(例えばバ ーコードリーダやICチップリーダ)4により読 取る。この識別データは、例えば、指示書 印刷されたバーコード等の情報やICチップに 記憶された情報である。入力手段4は、読み った識別データを評価用コンピュータ3に送 。

 評価用コンピュータ3は、入力手段4で読 取られた識別データを、ネットワークを介 てデータサーバ2に送り、識別データに対応 る被検レンズ100の設計データと受注データ 問い合わせる。データサーバ2は、評価用コ ンピュータ3から識別データを受信すると、 の識別データに対応する被検レンズ100の設 データと受注データを設計データ記憶部21お よび受注データ記憶部22から取り出して評価 コンピュータ3に送信する。設計データには 、被検レンズの第1評価測定点における設計 の表示値(屈折度数等)およびその許容範囲条 件の情報が含まれている。その結果、評価用 コンピュータ3は、許容範囲条件を取得する とができる。

 ステップS3の処理において、レンズメー 6による測定結果が許容範囲条件外であると 断したとき、評価用コンピュータ3は、被検 レンズ100に対する第1のレンズ評価の結果が 合格であると判定し、レンズの評価を終了 る(ステップS4)。不合格となった被検レンズ1 00は、作り直されたり、資源として再利用さ たりする。

 一方、ステップS3の処理において、レン メータ6による測定結果が許容範囲条件内で ると判断したとき、評価用コンピュータ3は 、被検レンズ100に対する第1のレンズ評価の 果が合格であると判定し、次の工程(ステッ S5)に処理を移行する。

3.第2レンズ評価工程(ステップS5~S15)
 第1レンズ評価工程で合格と判定された被検 レンズ100に対しては、次に第2のレンズ評価 行われる。

 第2レンズ評価工程は、レンズ光学面の広 範囲の光学特性を測定し、被検レンズ100が設 計データから許容される光学特性を有してい るかどうかを評価する工程である。この第2 ンズ評価工程は、被検レンズ100の実測度数 布を測定する度数分布測定工程と、この実 度数分布に基づいて任意の方向の度数分布 得る度数分布変換工程を有している。更に 第2レンズ評価工程は、計算上の度数分布と 差を求めて誤差分布を算出する誤差分布算 工程と、誤差分布算出工程で得られた誤差 布を微分して誤差指数を求める誤差指数算 工程と、この誤差指数をもとに被検レンズ 評価を行う評価工程を有している。

 第2レンズ評価工程では、まず、被検レン ズ100の実測度数分布を測定し(ステップS5)、 の度数分布から処方度数を除去する。ここ 、処方度数とは、製造された眼鏡(本例では 累進屈折力レンズを用いた眼鏡)を装用する 装用者の視力に応じて処方される度数である 。なお、多焦点眼鏡レンズや累進屈折力レン ズを評価する場合の前記除去に用いる処方度 数は、遠用部の処方度数を用いている。

 次に、処方度数が除去された実測度数分 を連続性のある度数分布に変換する(ステッ プS6)。そして、評価用コンピュータ3が、実 度数分布から変換された連続性のある度数 布と、設計上の度数分布であって処方度数 除去された計算度数分布から変換された連 性のある度数分布との誤差分布を算出する( テップS7)。

 次に、誤差分布に重み付けを行い誤差分布 補正を行う(ステップS11)。続いて、誤差分 を微分して誤差指数を算出する(ステップS12) 。そして、誤差指数から評価指数を作成する (ステップS13)。このステップ13の処理で作成 れた評価指数を用いてレンズの合否を判定 る(ステップS14,ステップ15)。そして、ステッ プS15の処理で不合格と判定した場合には、レ ンズの評価を終了し(ステップS16)、合格と判 した場合には、次工程に処理を移行する(ス テップS17)。
 以下、第2レンズ評価工程の各処理について 詳細に説明する。

(1)度数分布測定工程(ステップS5)
 度数分布測定工程では、度数分布測定装置1 によって広範囲における多数の測定点(以下 「第2評価測定点」と呼ぶ)について屈折度数 を測定し、その測定結果から被検レンズ100の 屈折度数分布を得る。なお、本実施形態にお いて、屈折度数分布(あるいは度数分布)とは 球面度数S、乱視度数C、乱視軸Axで特徴付け られる点の分布とする。また、第2評価測定 の屈折度数を測定する測定装置としては、 数分布測定装置1に限定されるものではなく 広範囲にわたって多数の測定点の屈折度数 測定できる装置であればよい。

 ここで、度数分布測定装置1を用いて度数分 布を作成する場合について、図4を参照して 明する。
 図4は、度数分布測定装置1から出力される 定データを説明するための説明図である。

 まず、測定対象の被検レンズ100を度数分 測定装置1にセットし、測定開始の操作をす る。測定開始の操作が行われると、光源装置 11から平行光が出射され、その光が被検レン 100を通過してビームスプリッタ12により複 の光線に分離される。これにより、スクリ ン13上には、ビームスプリッタ12の複数の光 過孔に対応した複数の光スポットが投影さ る。

 度数分布測定装置1は、基準座標RefX,RefYと、 座標X,Yと、偏差DX,DYと、屈折度数とを測定デ タとして得る。
 基準座標RefX,RefYは、被検レンズ100がセット れていない状態におけるスクリーン13上の スポット(以下、校正スポットと呼ぶ)の位置 を示す。座標X,Yは、光源装置11の光が被検レ ズ100のビームスプリッタ12側の面から出射 るときの位置(以下、測定点と呼ぶ)を示す。

 偏差DX,DYは、被検レンズ100がセットされ 状態におけるスクリーン13上の光スポット( 下、測定スポットと呼ぶ)の位置と、これに 応する校正スポット(測定スポットと同一の 光透過孔を通過した校正スポット)の位置と 偏差である。屈折度数は、被検レンズ100を 過した光の光路を基に算出される。

 基準座標RefX,RefYと、測定点座標X,Yと、偏差D X,DYと、屈折度数は、個々のスポットごとに 応付けて出力される。そのため、被検レン 100の各測定点座標X,Yにおける屈折度数、す わち被検レンズ100の屈折度数分布(球面度数S 1 ,乱視度数C 1 ,乱視軸Ax 1 )が得られる。得られた被検レンズ100の屈折 数分布は、度数分布として評価用コンピュ タ3に送信される。

 次に、度数分布から処方度数を除いた度数 布を作成される。
 評価用コンピュータ3は、度数分布測定装置 1より受信した被検レンズ100の実測度数分布(S 1 ,C 1 ,Ax 1 )から処方度数を全体に亘って除去し、基準 測度数分布(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’)を作成する。

 このように、屈折度数分布から処方度数( 遠用部の処方度数)を除去して基準実測度数 布を作成する理由は、処方度数分の屈折度 はレンズにとって広範囲にわたって必要な 折度数なので、この処方度数を除去した後 残存した屈折度数だけを評価の対象にした がより適切に評価できるためである。なお 「屈折度数分布から処方度数を除去する」 は、そのレンズの全領域において処方され 遠用度数(S,C,Ax)がなくなるように度数分布を 補正することを意味するこことする。

(2)基準実測度数分布を連続性のある度数分布 に変換する工程(ステップS6)
 次に、ステップS5の処理で得られた基準実 度数分布を基に、平均度数分布、非点収差 布および連続性のある度数分布を作成する 程について、図5および図6を参照して説明す る。

 図5は、基準実測度数分布(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’) を、(D1,D2,D3,D4,NT,ST)度数分布に変換する 理を説明する説明図である。図6は、基準実 度数分布(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’)に基づいて得た平均度数分布、非点収差 布、(D1,D2,D3,D4,NT,ST)度数分布を示す説明図で る。

 図5に示すように、基準実測度数分布(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’)は、各第2評価測定点70に対して、球面度 S、乱視度数C、乱視軸Axで特徴付けられる点 からなる。このような基準実測度数分布を に平均度数分布と非点収差分布を作成する
 平均度数分布は、各第2評価測定点70の球面 数Sと、乱視度数Cの2分の1の値との和によっ て算出される値(S 1 ’+C 1 ’/2)の分布である。また。非点収差分布は、 各第2評価測定点70の乱視度数Cの絶対値(|C 1 ’|)の分布である。

 非点収差分布には、不連続な領域が存在す ため微分を取ることができない(なお、不連 続な領域は図6に示す縦軸と略一致する線上 存在しやすい)。
 平均度数分布は、各第2評価測定点70につい 全方向における度数を平均した値(度数)の 布であり、多くの情報が混ざった度数の分 となるため、高精度な度数分布の評価を行 ない。また、非点収差分布および平均度数 布には、各第2評価測定点70の乱視軸Axの情報 が含まれていないため高精度な度数分布の評 価を行えない。そこで、ステップS6の処理で 、非点収差分布および平均度数分布の他に 連続性があり、且つ、乱視軸Axの情報が反 された屈折度数分布を作成する。

 このような屈折度数分布は、基準実測度 分布を、各第2評価測定点70における任意方 の度数を表す度数分布に変換することで作 できる。このようにして作成された屈折度 分布は、各第2評価測定点70の屈折力の方向 統一されるため、連続性を有しかつ乱視軸A xの情報が反映されたものになる。なお、上 任意方向は、適宜設定可能であるが、等角 の複数方向を設定することが好ましい。な なら、基準実測度数分布を等角度の複数方 に基づいて変換することにより、各第2評価 定点70における度数を詳細に把握すること できるためである。

 また、図5に示すように、任意方向は、水 平方向を0度として、反時計回りを正とする き、0度(D1方向)、45度(D2方向)、90度(D3方向)、 135度(D4方向)の4方向に設定することが好まし 。このように、任意方向をD1~D4の4方向に設 すると、少ない方向の度数分布(4種類)で被 レンズを適切に評価できる。すなわち、眼 レンズを評価する上で重要な水平方向と垂 方向の度数分布を有し、かつ、その中間の 向の度数分布も有するからである。また、 のD1~D4の度数分布があればレンズ上の任意 場所と方向の度数を計算で求めることがで る。なお、任意方向は、上述した4方向に限 されるものではなく、互いに垂直に交差す 複数の方向でもよい。

 以下、各第2評価測定点70におけるD1方向 屈折力(度数)をD1、その分布をD1分布と記す また、各第2評価測定点70におけるD2方向の屈 折力をD2、その分布をD2分布と記す。また、 第2評価測定点70におけるD3方向の屈折力をD3 その分布をD3分布と記す。また、各第2評価 定点70におけるD4方向の屈折力をD4、その分 をD4分布と記す。

 非点収差分布は、乱視度数Cに焦点を置い た分布であるが、上述したように、連続性を 有さず、乱視軸Axに関する情報が含まれない そこで、本実施形態では、非点収差分布に い分布として、垂直に交わる2方向の屈折力 (度数)の差を表す分布を用いる。このような 布は、非点収差分布に近い分布でありなが 、連続性があり、且つ、乱視軸Axが反映さ たものとなる。これにより、従来の評価方 よりもより精度の高い評価を行うことが可 である。

 任意方向をD1~D4方向に設定した場合は、 直に交わる2方向の屈折力(度数)の差を表す 布が2つになる。一方の分布は、D1(0度)方向 度数分布とD3(90度)方向の度数分布との差(NT=D 1-D3)を表す分布(以下「NT分布」と記す)である 。他方の分布は、D2(45度)方向の度数分布とD4( 135度)方向の度数分布との差(ST=D2-D4)を表す分 (以下「ST分布」と記す)である。

 各第2評価測定点70において、(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’)の組と(D1,D2,D3,D4)の組は、一対一に対応し おり、所定の計算式を用いることで(D1,D2,D3, D4)からNTとSTが算出される。すなわち、(S 1 ’,C 1 ’,Ax 1 ’)の組と(D1,D2,D3,D4,NT,ST)の組は一対一に対応 ている。
 また、乱視軸Axの情報を反映するD1、D2、D3 D4、NT、STの6つの分布を用いることにより、 検レンズ100の光学特性(度数分布)を効果的 評価することができる。

(3)設計上の度数分布を作成する工程(ステッ S8,S9)
 第1レンズ評価工程のステップS3の処理にお て、合格と判定された被検レンズ100につい は、ステップS5~S7の処理とは別に、その被 レンズ100の設計上の屈折度数分布(計算度数 布)を作成する。

 ステップS3の処理において、被検レンズ10 0に対する第1のレンズ評価の結果が合格であ と判定されると、評価用コンピュータ3の処 理部31は、データサーバ2から被検レンズ100の 設計データと受注データを取得する(ステッ S8)。

 次に、評価用コンピュータ3の処理部31は、 検レンズ100の設計データと受注データに基 いて、そのレンズの3次元形状モデルを作成 する。そして、作成した3次元形状モデルと ンズの屈折率に基づいて、広範囲の点(以下 「計算度数算出点」と呼ぶ)における屈折度 数を計算し、その度数分布(S 2 ,C 2 ,Ax 2 )を算出する(ステップS9)。なお、計算度数算 点は、第2評価測定点70と対応する位置に設 することがより好ましい。

 次に、評価用コンピュータ3の処理部31は、 テップS9の処理で得られた計算度数分布(S 2 ,C 2 ,Ax 2 )から処方度数を全体に亘って除去し、基準 算度数分布(S 2 ’,C 2 ’,Ax 2 ’)を作成する。

(4)計算度数分布の連続性のある度数分布に変 換する工程(ステップS10)
 評価用コンピュータ3の処理部31は、ステッ S9の処理で得られた基準計算度数分布(S 2 ’,C 2 ’,Ax 2 ’)を基に、設計上の平均度数分布、設計上 非点収差分布および連続性のある計算度数 布を作成する(ステップS10)。

 連続性のある計算度数分布の作成は、前述 た連続性のある実測度数分布の作成と同様 行われる。つまり、各計算度数算出点につ てD1方向、D2方向、D3方向、D4方向の屈折力(D 1 2 、D2 2 、D3 2 、D4 2 )を算出し、設計上のD1分布、D2分布、D3分布 D4分布を作成する。そして、D1 2 、D2 2 、D3 2 、D4 2 を基にNT 2 、ST 2 を算出し、NT分布、ST分布を作成する。これ 設計上のD1分布、D2分布、D3分布、D4分布、NT 布、ST分布は、連続性があり、且つ、乱視 Axが反映された分布である。

(5)誤差分布作成工程(ステップS7)
 評価用コンピュータ3の処理部31は、ステッ S6の処理で得た実測上の平均度数分布、非 収差分布、D1~D4分布、NT分布、ST分布と、ス ップS11の処理で得た計算上の平均度数分布 非点収差分布、D1~D4分布、NT分布、ST分布に づいてそれぞれの誤差分布(比較用度数分布) を作成する。具体的には、第2評価測定点70に おける各度数と、第2評価測定点70に対応する 計算度数算出点における各度数との差(誤差) 算出し、それぞれの誤差分布を作成する。

 平均度数分布の誤差δ|C|は、
 δ|C|=|C 1 ’|-|C 2 ’|により算出される。
 平均度数分布の誤差δ(S+C/2)は、
 δ(S+C/2)=(S 1 ’+C 1 ’/2)-(S 2 ’+C 2 ’/2)により算出される。
 D1分布の誤差δD1は、
 δD1=D1 1 -D1 2 により算出される。
 D2分布の誤差δD2は、
 δD2=D2 1 -D2 2 により算出される。
 D3分布の誤差δD3は、
 δD3=D3 1 -D3 2 により算出される。
 D4分布の誤差δD4は、
 δD4=D4 1 -D4 2 により算出される。
 NT分布の誤差δNTは、
 δNT=NT 1 -NT 2 により算出される。
 ST分布の誤差δSTは、
 δST=ST 1 -ST 2 により算出される。

(6)誤差分布補正工程(ステップS11)
 次に、ステップS7で得られた各第2評価点の 差分布(δD1,δD2,δD3,δD4,δNT,δST)に重み付けの 処理を行う誤差分布補正工程について説明す る。

 ここで、眼鏡レンズの重み付けについて 明する。一般的に、眼鏡レンズは、装用者 よく使用する領域に重みをおいて評価する とが好ましい。例えば、単焦点レンズは、 学中心付近に重みをおいて評価される。ま 、累進屈折力レンズは、遠用部から近用部 かけて重みをおいて評価される。特に、累 屈折力レンズは、重み付けを行うことが効 的である。

 すなわち、累進屈折力レンズは、遠くを るための遠用領域と、近くを見るための近 領域を有している。そして、累進屈折力レ ズは、主に遠用領域を基準として、近くを るための度数を付加することで実現されて る。この付加度数が存在しているために、 進屈折力レンズは、近用領域の側方に非点 差が発生している。そのため、累進屈折力 ンズは、レンズ上のこの非点収差が発生し 部分を通して物を見ても良好な視野は得ら なくなっている。これにより、累進屈折力 ンズでは、遠方から近方にかけてレンズ上 よく使う領域と近方側方部の明視できない 域とを区別して、評価の重み付けを行うこ が好ましい。

 具体的には、下記のようにして行われる 非点収差の小さい領域は、良好な視野が得 れる領域であると考えられる。これにより 非点収差の小さい領域は、重み付けを大き し、近用領域側方の非点収差の大きい領域 、重み付けを小さくする。ここで、誤差の きさは、加入屈折力の大きさに依存してい 。なお、加入屈折力とは、所定の条件で測 された,近用部頂点屈折力と遠用部頂点屈折 力との差である。そのため、重み付けは、加 入屈折力の大きさにより変化する。これによ り、重み付けの量は一定ではなく、加入屈折 力を変数に持つのが好ましい。

 これらにより、重み付けは、良好な視野が られる領域では許容誤差を小さくし、重要 ない領域意では許容誤差を大きくするとい ように許容誤差を変化させて行われる。こ 重み付けに用いられる重み付け関数の一具 例を次式[数2]に示す。なお、次式より計算 れた重み付けWjは、重み付け計算用係数と て、重み付け計算用係数記憶部322に記憶さ る。
j:測定点
A:定数
AS:計算度数分布の測定点jにおける非点収差 大きさ
Wj:重み付け
なお、測定点jの数がN個であれば1~Nまでの値 取る。

 次に、上記式より得られた重み付けWjを用 て、6つの誤差分布D1,D2,D3,D4,NT,STに重み付け 行う。すなわち、評価用コンピュータ3の処 部31は、重み付け計算用係数記憶部322から み付け計算用係数である重み付けWjを取得し 、6つの誤差分布D1,D2,D3,D4,NT,STに重み付けを行 う。この6つの誤差分布D1,D2,D3,D4,NT,STの各測定 点jにおける重み付けは、次式[数3]によって 出される。これにより、重み付けされた誤 分布(δD1,δD2,δD3,δD4,δNT,δST)を得ることがで る。

(7)誤差微分分布作成工程(ステップS12)
 次に、ステップS11で補正された誤差分布か 、誤差微分分布を作成する。まず、評価用 ンピュータ3の処理部31は、補正された誤差 布から誤差微分値(ED1,ED2,ED3,ED4,ENT,EST)を算出 する。この誤差微分値(誤差指数)は、誤差分 を各測定点のレンズ内の距離により、一階 分して得た値の絶対値が最大となる方向に ける値である。この誤差微分値を誤差指数 も呼ぶ。誤差指数は、例えば次式[数4]によ て算出される。
E:誤差指数
s:レンズ内距離
j:測定点
 ここでjは測定点を表し、測定点数がN個あ ば、1~Nまでの値を取る。
 次に、評価用コンピュータ3の処理部31は、 の誤差指数から、レンズ内における誤差指 分布を作成する。

 図7は、D1分布における実測度数分布、計算 数分布、誤差分布及び誤差指数分布を表示 置に表示した例を示すものである。
 この図7に示すように、評価用コンピュータ 3は、誤差指数分布を例えば出力手段5である 示装置に表示させたり、プリンタ装置を用 て紙に印刷する。ここで、誤差指数分布は 誤差指数の大きさを例えば、等高線や色の 淡等で表される。等高線で表示する場合を 7(d)に示す。

 図7(c)及び図7(d)に示すように、誤差分布 等高線の間隔が詰っている箇所で誤差指数 大きくなっていることがわかる。また、誤 指数の大きさを色の濃淡で表示する場合は 例えば誤差指数の大きい場所を濃い色で表 し、誤差指数の小さい場所を薄い色で表示 る。誤差指数の大きい場所は誤差の変化が きい場所であり、誤差指数の小さい場所は 差の変化が小さい場所である。すなわち、 差指数分布により局所的に大きく変化する 差(規則性のない誤差)を容易に識別すること ができ、被検レンズにおける局所的誤差の有 無、程度、場所等を客観的かつ視覚的に認識 することができる。

 次に、累進屈折力眼鏡レンズ(遠用部屈折 力(S:-1.00,C0.00),加入屈折力2.00)における6つの 布D1、D2、D3、D4、NT、STの実測度数分布、計 度数分布、誤差分布及び誤差指数分布を実 に測定・計算し表示した例を示す。図8と図9 は局所的誤差があまり生じていないレンズの 例であり、図8に分布D1、D2、D3を示し、図9に 布D4、NT、STを示している。図10と図11は局所 的誤差が生じているレンズの例であり、図10 分布D1、D2、D3を示し、図11に分布D4、NT、ST 示している。

 この図8~図11に示すように、評価用コンピ ュータ3は、ステップS6、ステップ7,ステップS 10、ステップS12で作成した6つの分布を全て出 力手段5である表示装置に表示させてもよい これにより、眼鏡レンズにおける誤差の程 、誤差が発生している場所、誤差の種類(局 的誤差か全体的誤差か)を客観的かつ視覚的 に認識することができる。更に、4つの分布D1 ~D4は、レンズ内における4つの方向の度数を したものである。その結果、眼鏡レンズ内 、誤差が発生している方向を識別すること できる。その結果、精度の高い眼鏡レンズ 評価を行うことができる。

 なお、誤差分布及び誤差指数分布の表示 法は、図7~図11に示すものに限定されるもの ではなく、例えば、誤差分布及び誤差指数分 布を3次元形状データとして表示装置に表示 せてもよい。即ち、誤差の大きいところを く表示し、誤差の小さいところを低く表示 る。これにより、眼鏡レンズ内における誤 や局所的誤差の有無、程度、誤差が発生し いる場所を極めて容易に視覚的に識別する とができる。また、誤差の大小を、点の大 に変換してレンズ内に表示させてもよい。

 なお、ステップS8に処理を移行する前に、 テップS7で作成された誤差分布から、誤差微 分値(誤差指数)を求めてもよい。すなわち、 み付けを行い補正する前の誤差分布から誤 指数を算出する。この誤差微分値(誤差指数 )は、次式[数5]により求めることができる。 た、この誤差指数に重み付け処理を行って い。
E:誤差指数
s:レンズ内距離
j:測定点

(8)評価指数作成工程(ステップS13)
 次に、ステップS12で得られた誤差指数をも に評価指数βを作成する工程について説明 る。
 まず、評価用コンピュータ3の処理部31は、 重評価を避けるために、各第2評価測定点に おける6つの誤差指数のうち最大の分布を代 値とする。そして、評価用コンピュータ3の 理部31は、最大の分布における評価領域内 全点について足し合わせ、平均化する。こ 平均化した値が、実測度数分布全体を特徴 ける誤差指数となる。

 ここで、設計上意図しない局所的に変化 る誤差(規則性の無い誤差)がある場合、誤 の微分値は、大きくなる。そのため、局所 に変化する誤差がある場合、誤差指数は、 きくなる傾向にある。そこで、本例に係る 価用コンピュータ3の処理部31は、予め設定 た最大値から誤差指数の合計を減算して評 指数βを算出する。この最大値は、例えば、 100点とする。その結果、100点に近いものほど 、誤差が少なく設計を良く反映していること になる。これに対し、点数が低くなるほど、 誤差の程度が大きく、設計を反映していない と考えることができる。

 この指数(評価指数)βは、数式で表現すると 以下の式[数6]ようになる。なお、Cは定数で る。この数式により、局所的に大きく変化 る度数変化がある場合、指数βは小さくなり 、そのような変化が少ない場合は、指数βは きくなることが容易にわかる。
なお、図8と図9に示したレンズの評価指数β 93であり、図10と図11に示したレンズの評価 数βは11であった。この評価指数も、出力手 5である表示装置に表示させると、客観的評 価が容易になり好ましい。

 なお、評価指数は、上述した方法に限定 れるものではない。例えば、評価指数を算 するための誤差指数は、各第2評価測定点に おける6つの誤差指数の評価領域内の全ての を足し合わせて、平均化してもよい。また 各第2評価測定点における6つの誤差指数のう ち、最大のものと、その次に大きいものを代 表値に設定してもよい。更に、上述では、100 点から誤差指数の合計を減算したものを評価 指数としたが、誤差指数そのものを評価指数 としてもよい。また、最大値を100点に設定し た例を説明したが、最大値は、100点に限定さ れるものではないことは、言うまでもなく、 10点や1000点等ユーザの要望に応じて適宜設定 できるものである。

(9)合否判定(ステップS14~S16)
 次に、ステップS13で得られた評価指数βを いてレンズの合否を判定する。
 本例では、まず、複数のレンズについて度 分布を測定して、各レンズの指数βを計算 る。各レンズの指数βから頻度分布を求め、 この頻度分布を合否判定基準データとして合 否判定基準記憶部321に記憶する。そして、こ の頻度分布よりも大きくはずれるような指数 βを持つレンズについては、他の大多数のレ ズに比べてバラつきが大きいので不合格と う判断をする。これにより、評価用コンピ ータ3の処理部31は、被検レンズ100に対する 2のレンズ評価の結果が不合格であると判定 し、レンズの評価を終了する(ステップS4)。 合格となった被検レンズ100は、第1のレンズ 価と同様に、作り直されたり、資源として 利用されたりする。

 これに対し、指数βが頻度分布から大き 外れていないレンズについては、他のレン とのばらつきが小さいので合格という判断 する。そして、評価用コンピュータ3の処理 31は、被検レンズ100に対する第2のレンズ評 の結果が合格であると判定し、次の工程(ス テップS17)に処理を移行する。

 なお、第2のレンズ評価の判定は、上述し た判定方法に限定されるものではない。例え ば、評価指数βに閾値を設定し、この閾値を 否判定基準データとして合否判定基準記憶 321に記憶する。そして、ステップS13で得ら た評価指数βが閾値よりも大きい場合は、 格と判定し、小さい場合は、不合格と判定 るようにしてもよい。また、この閾値は、 ーザが所望するレンズの精度に応じて適宜 定できるものである。

4.次工程(ステップS17)
 ステップS15の処理において、合格と判定さ た被検レンズ100は、次工程に移される。次 程では、受注内容に応じた染色や各種コー ィングが行われる。その後、フレーム形状 玉型形状に合わせた縁摺り加工が行われ、 鏡レンズの製造が完了する。製造された眼 レンズは、発注元に出荷される。

 上述したように、本実施形態のレンズの 価方法は、製造されたレンズの度数分布を らかの方法で測定し(以下、実測度数分布) その分布と設計上計算された度数分布(以下 計算度数分布)とを引き算することで、差の 分布(以下、誤差分布)を求めている。そして その誤差分布全体を微分することで、実測 数分布を数値的に特徴付けることができる これにより、製造されたレンズの光学性能 、設計上意図しない度数変化(局所的に変化 する誤差)が存在するか否かを評価できる。

 また、誤差分布及び/又はこの誤差分布を 微分した誤差指数分布を表示装置に表示させ ている。これにより、眼鏡レンズ内おける誤 差の程度、又は誤差が発生している場所を極 めて容易に視覚的に識別することができる。

 更に、測定した度数分布を、任意方向(本 例では、水平方向を0度として、反時計回り 正とするとき、0度(D1方向)、45度(D2方向)、90 (D3方向)、135度(D4方向))の度数分布に変換し いる。これにより、乱視軸Axを考慮した評 を行うことができ、より精度の高い評価を うことができる。また、この任意方向の度 分布を表示装置に表示させることで、レン 内で誤差が発生している方向も識別するこ ができる。

[レンズ設計の異なるレンズの判断方法]
 次に、同じ度数かつ、同じ設計タイプ又は なる設計タイプの2つの累進屈折力レンズを 評価した結果を説明する。
 この場合、評価用コンピュータ3の処理部31 、2つのレンズのうち一方のレンズを基準と する。即ち、一方のレンズを計算度数分布と して評価する。そして、同じ設計タイプの2 の累進屈折力レンズでは、指数βは、高い値 になる。これに対し、異なる設計タイプの2 の累進屈折力レンズでは、指数βは、低い値 になる。このことから、この本発明の評価指 標は、設計の違いを評価することにも有効で あり、2つの異なるレンズ設計の違いを判断 ることが可能である。

[レンズの製造方法]
 次に、上述したレンズの評価方法を用いた ンズの製造方法について、図12を参照して 明する。
 図12は、受注から出荷までのレンズの製造 程の流れを示すフローチャートである。

 初めに、レンズが受注される(ステップS21 )。眼鏡店9(図1を参照)に設置されている注文 端末91の注文用プログラムが起動されると 注文用端末91が通信媒体8を介して工場のメ ンサーバ7と接続される。これにより、オー エントリ画面が、注文用端末91の画面表示 置に表示される。眼鏡店9のオペレータは、 文する眼鏡レンズの情報、眼鏡フレームの 報、処方値およびレイアウト情報など注文 報を注文用端末91の入力装置によって入力 る。

 注文用端末91に入力された注文情報は、 信媒体8を介して工場のメインサーバ7へ送ら れる。注文用端末91から注文情報が送られて ると、メインサーバ7は、眼鏡レンズ加工設 計プログラムを実行し、ヤゲン形状を含めた 所望のレンズ形状を演算する。演算の結果に 基づいてレンズの加工が不可能な場合、メイ ンサーバ7は、注文用端末91に注文入力値の修 正をうながす。一方、演算の結果に基づいて レンズの加工が可能な場合は受注が確定する 。

 受注が確定すると、注文用端末91から送 れてきた注文情報は、データサーバ2の受注 ータ記憶部22に受注データとして記憶され 。また、受注が確定すると、眼鏡レンズ加 設計プログラムにより演算されたレンズ形 に関する情報は、データサーバ2の設計デー 記憶部21に設計データとして記憶される。

 眼鏡レンズ加工設計プログラムは、各工 におけるレンズ加工設計値も演算し、その 工設計値に基づき加工するための加工条件( 各種機器設定値、使用治具など)も決定する そして、これらレンズ加工に関する情報(加 設計値、加工条件)は、データサーバ2の記 部20に加工データとして記憶されるとともに 、各種機器の制御に用いられる。

 工場には、片面だけが光学的に仕上げら たセミフィニッシュレンズブランク(以下、 セミフィニッシュレンズとする)や両面とも 学的に仕上げられていないレンズブランク あらかじめ多くの種類について製造されス ックされている。そして設計データや加工 ータに基づいて、ストックされているレン ブランクの中から加工するレンズが選び出 れる。

 次に、ブロック工程が行われる(ステップ S22)。ブロック工程とは、後の工程の切削工 、研磨工程で使用する切削装置、研磨装置 レンズを取り付けるためのレンズ保持具を ンズの前面又は後面に取り付ける工程であ 。

 次に、レンズブランクの光学的に仕上げ れていない面に対して切削加工工程が行わ る(ステップS23)。切削加工工程とは、切削 置を使用して研磨代分を残して所定の面形 に切削する工程である。切削する面形状は 設計データや加工データによってあらかじ 決定されている。

 次に、切削加工されたレンズの切削面に して研磨工程(ステップS24)が行われる。研 工程とは切削加工されたレンズの切削面を 磨装置で研磨して光学的に仕上げる工程で る。この研磨条件は、加工データによって らかじめ決定されている。ステップ21~ステ プ24までの工程は、図3に示す前工程に相当 る。

 次に、両面が光学的に仕上げられたレン に対して、レンズ評価工程(ステップS25)が われる。このレンズ評価工程については図3 参照して詳しく説明したため、ここでは、 明を省略する。

 次に、ステップS25のレンズ評価工程で合格 判定されたレンズに対して、必要により染 工程が行われる(ステップS26)。染色工程と 、レンズを染色する工程である。レンズは 受注データで指定されている色に染色され 。また、色見本がある場合には、その色に くなるように染色される。染色方法として 、種々の方法が実施されているが、例えば 加熱した染料液の中にレンズを所定時間浸 させた後、レンズを加熱して、レンズ内部 浸透した染料をさらに内部に拡散させて安 化させる方法がある。
 なお、染色の必要がないレンズは、レンズ 価工程の後に表面処理工程に移される。

 次に、レンズに対して表面処理工程が行 れる(ステップS27)。表面処理工程は、レン の表面にハードコート、反射防止膜、水や 防止コート、防汚膜などの表面処理を施す 程である。これらの表面処理は、受注デー に従って指定されたものが施される。

 次に、レンズに対して検査工程が行われ (ステップS28)。検査工程では、レンズの外 検査、所定の測定位置(例えば光学中心)にお ける光学特性、レンズの厚さなどが検査され る。上述したレンズメータ6と肉厚計(図示せ )は、検査工程管理用コンピュータに接続さ れている。検査工程管理用コンピュータは、 レンズメータ6と肉厚計によって得られた所 の測定位置の測定値と、受注データおよび 計データに基づくレンズ仕様とを比較して レンズが合格かどうかどうか判定する。

 次に、レンズに対して縁摺りヤゲン加工 程(玉形加工)が行われる(ステップS29)。なお 、受注データに縁摺りヤゲン加工(玉形加工) 指示がない場合、レンズは、検査工程が終 した状態で発注元に出荷される。

 縁摺りヤゲン加工工程(玉形加工)では、 ンズにレンズ保持具を取り付け、研削装置 より所定の玉形形状やフレームの形状に合 せてカットされ必要な周縁加工が施される 玉形加工済みのレンズの周長および形状は 形状測定器(図示せず)によって測定され、加 工データと比較して加工の合否が判定される 。この結果、合格になったレンズは、外観、 光学特性、厚さ等が再び検査され、合格して いれば発注元に送られる(ステップS30)。

 上記例では、レンズ評価工程(ステップS25) レンズ両光学面を光学的に仕上げる工程後 行なっているが、それより後の工程後に行 うこともできる。また、製造工程において 数回行なうこともできる。なお、この例の うにレンズの切削・研磨加工が終わった後 、レンズ評価を行って設計データとの誤差 早い段階で発見でき、設計データに対して きな誤差が発生しているレンズが後の工程 流れることを阻止できるので好ましい。
 また本発明によれば誤差の種類(全体的誤差 、局所的誤差)も把握できるので、誤差発生 因の特定等も容易になる。
 また、上記例では実測屈折度数分布と計算 数分布から処方度数を除去しているが、こ ら除去を行なわないこともできる。

引用符号の説明

 1   度数分布測定装置
 2   データサーバ
 3   評価用コンピュータ
 4   入力手段
 5   出力手段
 6   レンズメータ
 7   メインサーバ
 8   通信媒体
 9   眼鏡店
 10  眼鏡レンズ評価装置
 20  記憶部
 21  設計データ記憶部
 22  受注データ記憶部
 23  測定結果記憶部
 24  合否判定結果記憶部
 31  処理部
 32  記憶部
 70  第2評価測定点
 91  注文用端末
 100 被検レンズ
 321 合否判定条基準記憶部
 322 重み付け計算用係数記憶部