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Patent Searching and Data


Title:
LIQUID CRYSTAL POLYESTER MULTI-FILAMENT AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175216
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a liquid crystal polyester multi-filament which has an initial elastic modulus variation of at most 3.0% and a tensile strength of at least 18 cN/dtex.

Inventors:
IKEHATA KEIICHI (JP)
IDE JUNYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006104
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 17, 2020
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
International Classes:
D01F6/62; D02J1/22
Foreign References:
JPH03260114A1991-11-20
JPS58502227A1983-12-22
JPS57159816A1982-10-02
JPS60239512A1985-11-28
JPS59204908A1984-11-20
JP2016176161A2016-10-06
JPS6245726A1987-02-27
Other References:
See also references of EP 3913118A4
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA & PARTNERS (JP)
Download PDF:
Claims:
\¥02020/175216 26 卩(:17 2020/006104

請求の範囲

[請求項 1 ] 初期弾性率バラつきが 3 . 0 %以下であり、 引張強度が

¢1 ㊀ X以上であることを特徴とする、 液晶ポリエステルマルチフィ ラメント。

[請求項 2] 強度バラつきが 3 . 0 %以下であることを特徴とする、 請求項 1 に 記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。

[請求項 3] 請求項 1 または請求項 2に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメ ントを少なくとも一部に用いた高次加工製品。

[請求項 4] 液晶ポリエステルマルチフィラメントの紡糸原糸を熱処理する工程 を少なくとも含み、

前記熱処理において、 前記紡糸原糸を伸長倍率 1 . 0 0 1〜 1 . 2 0 0倍で搬送して処理を行うことを特徴とする、 請求項 1 または請求 項 2に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメントの製造方法。

[請求項 5] 前記液晶ポリエステルマルチフィラメントの熱処理前後の強度比が

1 . 5倍以上となることを特徴とする、 請求項 4に記載の液晶ポリエ ステルマルチフィラメントの製造方法。

[請求項 6] 前記液晶ポリエステルマルチフィラメントを口ール · トウ · 口ール 方式で搬送しながら熱処理を行うことを特徴とする、 請求項 4または 請求項 5に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメントの製造方法。

Description:
\¥02020/175216 1 卩(:17 2020/006104

明 細 書

発明の名称 :

液晶ポリエステルマルチフィラメント及び その製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は、 液晶ポリエステルマルチフィラメント及びそ の製造方法に関す る。

背景技術

[0002] 液晶ポリエステルマルチフィラメントは、 剛直な分子鎖が高度に配向した 分子構造に由来して高い力学物性 (高強度、 低伸度、 高弾性率) を有する繊 維である。 そのため、 強度の高さや弾性率の高さ (負荷に対する寸法変化の 小ささ) が求められる用途として、 テンションメンバー (電線、 光ファイバ —、 ヒーター線芯糸、 イヤホンコード等の各種電気製品のコード等 ) 、 セー ルクロス、 ロープ、 ザイル、 陸上ネッ ト、 命綱、 釣糸、 漁網、 延縄等の高次 加工製品等に使用されている。

[0003] これらの用途に用いられるマルチフィラメン トは、 力学物性 (強度、 弾性 率) の平均値が高いマルチフィラメントであって も、 局所的に力学物性の低 い部分が存在すると、 高次加工製品全体としての力学物性は低いも のになっ てしまう。 従って、 平均値が高いだけでなく、 最低値も高いこと、 すなわち 力学物性の/《ラつきが小さいことが重要で る。

[0004] 液晶ポリエステルマルチフィラメントの力学 物性のバラつき低減に関する 従来技術には、 例えば、 特許文献 1 (特開 2 0 1 6 - 1 7 6 1 6 1号公報) がある。 この文献では、 固相重合の昇温条件を多段ステップかつ低速 昇温に することで、 単繊維間融着を減らし、 強度バラつき及び伸度バラつきを低減 する方法が挙げられている。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 1 6 _ 1 7 6 1 6 1号公報 \¥02020/175216 2 卩(:17 2020/006104

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] ここで、 特に、 マルチフィラメントの初期弾性率のバラつき が小さいと、 マルチフィラメント同士を引き揃えながら合 糸してテンションメンバー等の 高次加工製品を作製する際の相互の弛みが小 さく、 また、 マルチフィラメン 卜間で空隙の少ない高密度な高次加工製品を 作製できるため、 高次加工製品 としての力学物性のバラつきを小さく抑えら れる。 すなわち、 品質が安定し ており、 力学物性利用率が高いコンパクトな高次加工 製品を作製するために は、 マルチフィラメントの初期弾性率のバラつき が小さいことが重要である

[0007] しかし、 上記特許文献 1 に記載の方法における固相重合はバッチ方式 であ り、 以下に述べる二つの理由から、 バッチ方式で固相重合を行うことは、 均 —な力学物性のマルチフィラメントを得るに は不向きな方法である。

[0008] 一つは、 バッチ方式で固相重合を行う際に、 ボビン状パッケージの内外層 の違いや幅方向の位置の違いが存在するため に、 熱処理環境が繊維長手方向 に亘って不均 _ となるためである。

[0009] もう一つは、 マルチフィラメントを構成する単繊維同士に 、 平行ではなく 、 弛んでいる部分が生じてしまうためである。

[0010] 上記特許文献 1のようにマルチフィラメントをボビンに巻 取ったパッケ

—ジ形状にして、 バッチ方式で固相重合を行う方法では、 巻き取り工程の端 面折り返し部分において、 マルチフィラメントを構成する単繊維同士の 間で 折り返しの内外差による経路長差が存在する ため、 全ての単繊維が平行に引 き揃えられておらず、 一部の単繊維が弛んだ箇所が形成されてしま う。

[001 1 ] また、 公知の溶融紡糸方法で製造された液晶ポリエ ステルマルチフィラメ ントは、 紡糸巻き取り工程において、 上記と同様の理由で形成された同様の 弛んだ箇所を有する。 そして、 これら弛んだ箇所を含むマルチフィラメント のボビンパッケージを固相重合する方法では 、 液晶ポリエステルマルチフィ ラメントの固相重合中に、 一般的に生じる単繊維間の融着現象により、 弛ん 〇 2020/175216 3 卩(:170? 2020 /006104

だ箇所が固相重合を経て融着固定されてし まい、 引き揃えの悪い部分が固相 重合工程後も残存する。

[0012] マルチフィラメントの初期弾性率バラつきを 低減するためには、 マルチフ ィラメントを構成する単繊維同士が、 繊維長手方向の全ての箇所において、 弛みなく平行に引き揃えられていることが重 要である。 従って、 特許文献 1 に記載の方法で強度バラつきや伸度バラつき を抑えることができたとしても 、 初期弾性率バラつきをもたらす因子である、 一部の繊維が弛んだ箇所を減 らすことはできない。

[0013] 以上より、 繊維長手方向に亙って均一な環境で熱処理を 行い、 かつ、 製造 工程において生じたマルチフィラメント内の 弛みを熱処理中に解消すること が、 マルチフィラメントの初期弾性率バラつきを 低減するためには重要であ る。

[0014] なお、 特許文献 1 において、 強度バラつきから想定される強度の範囲と伸 度バラつきから想定される伸度の範囲から、 概算の弾性率のバラつきを計算 できるが、 この弾性率はマルチフィラメントが破断する までの平均弾性率で あり、 産業資材用途において重視される初期弾性率 (破断伸度に対して伸び 率の小さい領域の弾性率;本発明では伸び率 〇. 2 5 %と 1 . 0 0 %の 2点 を通る直線の傾きとしている) とは必ずしも一致しない。 加えて、 マルチフ ィラメントが破断するまでの弾性率のバラつ きを小さくするには、 フィラメ ント内に存在する分子末端等の欠陥の頻度を 均一にすることが重要であるが 、 初期弾性率バラつきを小さくするには、 後述の様に繊維同士の収束性や並 行性を高めることが重要であり、 繊維構造的にも異なる対策が必要である。

[0015] また、 弛みを解消するために、 例えば、 特開昭 6 2 _ 4 5 7 2 6号公報の ような融着を防ぐ公知の方法を用いて固相重 合を行った後に、 微延伸等の公 知の引き揃え処理を行う方法も考えられる。 しかし、 この方法では、 融着防 止剤が後の工程で糸を傷つける原因になり、 固相重合後の巻き返し工程が増 えることで通過する口ーラーやガイ ドの数が増え、 擦過等によりマルチフィ ラメントの力学物性や品質が低下するという 問題がある。 〇 2020/175216 4 卩(:170? 2020 /006104

[0016] そこで、 本発明は、 上述の問題に鑑みてなされたものであり、 初期弾性率 バラつきが小さい液晶ポリエステルマルチフ ィラメント及びその製造方法を 提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0017] 本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意検討した結果 、 本発明を完 成させるに至った。 すなわち、 本発明は、 以下の好適な態様を提供するもの である。

[0018] [1] 初期弾性率バラつきが 3 . 0 %以下であり、 引張強度が

〇1 I 6 X以上であることを特徴とする、 液晶ポリエステルマルチフィラメン 卜。

[0019] [2] 強度バラつきが 3 . 0 %以下であることを特徴とする、 前記 [ 1] に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメン ト。

[0020] [3] 前記 [1] または [2] に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメ ントを少なくとも一部に用いた高次加工製品 。

[0021] [4] 液晶ポリエステルマルチフィラメントの紡糸 原糸を熱処理する工程 を少なくとも含み、 前記熱処理において、 前記紡糸原糸を伸長倍率 1 . 〇〇 1〜 1 . 2 0 0倍で搬送して処理を行うことを特徴とする 前記 [1] また は [2] に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメン トの製造方法。

[0022] [5] 前記液晶ポリエステルマルチフィラメントの 熱処理前後の強度比が

1 . 5倍以上となることを特徴とする、 前記 [4] に記載の液晶ポリエステ ルマルチフィラメントの製造方法。

[0023] [6] 前記液晶ポリエステルマルチフィラメントを 口ール · トウ · 口ール 方式で搬送しながら熱処理を行うことを特徴 とする、 前記 [4] または [5 ] に記載の液晶ポリエステルマルチフィラメン トの製造方法。

発明の効果

[0024] 本発明によれば、 テンションメンバー等の高次加工製品に好適 に用いるこ とが可能な、 初期弾性率バラつきが小さく、 高強度の液晶ポリエステルマル チフィラメントを得ることができる。 〇 2020/175216 5 卩(:170? 2020 /006104

[0025] なお、 本発明における高次加工製品とは、 マルチフィラメントに対して撚 り、 編み、 開織、 製織、 コーティング、 樹脂含侵、 液晶ポリエステルマルチ フィラメント及びその他のフィラメントとの 合糸などの加工を少なくとも 1 つ以上施した加工製品であって、 液晶ポリエステルマルチフィラメントを少 なくとも一部に用いる製品であり、 特に種類を制限するものではないが、 テ ンシヨンメンバー (例えば、 電線、 光ファイバー、 ヒーター線芯糸、 イヤホ ンコード等の各種電気製品のコード等) 、 セールクロス、 口ープ、 ザイル、 陸上ネッ ト、 命綱、 釣糸、 漁網、 延縄等が挙げられる。

図面の簡単な説明

[0026] [図 1]実施例 1〜 5、 比較例 2における口ール · トウ · 口ール方式による搬送 熱処理工程を説明するための概略図である。

[図 2]実施例 6における口ール · トウ · 口ール方式による搬送熱処理工程を説 明するための概略図である。

[図 3]実施例 7における口ール · トウ · 口ール方式による搬送熱処理工程を説 明するための概略図である。

発明を実施するための形態

[0027] 以下、 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トとその製造方法につ いて、 詳細に説明する。

[0028] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 高次加工製品全体とし ての力学物性を向上させる観点から、 初期弾性率バラつきが小さいことが重 要である。 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トにおいては、 初期 弾性率バラつきが、 3 . 0 %以下である。 初期弾性率バラつきは、 2 . 5 % 以下であることが好ましく、 2 . 0 %以下であることがより好ましい。 初期 弾性率/《ラつきの下限値は特に制限される のではないが、 本発明により達 し得る値としては〇. 1 %程度である。

[0029] また、 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 寸法安定性 (負 荷に対する寸法変化の小ささ) の観点から、 初期弾性率が 1 0 0〇 1\1 / 1 6 X以上であることが好ましい。 初期弾性率は、 より好ましくは 3 0 0〇 〇 2020/175216 6 卩(:170? 2020 /006104

/ 6 t 6父以上、 さらに好ましくは 5 0 0〇 1\1 / I 6 X以上である。 初期 弾性率の上限値は特に制限されるものではな いが、 本発明により達し得る値 としては X程度である。

[0030] なお、 初期弾性率、 及び初期弾性率バラつきは、 後述する実施例に記載の 測定方法により算出されるものである。

[0031 ] また、 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 高強度であるこ とが重要である。 本発明における 「高強度」 とは、 熱処理後の引張強度が 1 8〇 1\1 / I 6 X以上であることを指す。 引張強度は、 好ましくは 2 0〇 1 6 X以上、 より好ましくは 2 3〇 1\1 / 1 6 X以上である。 引張強度 の上限値は特に制限されるものではないが、 本発明により達し得る値として は 3 0〇 1\1 /〇1 ㊀ X程度である。

[0032] また、 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 高次加工製品全 体としての力学物性を向上させる観点から、 強度バラつきが 3 . 0 %以下で あることが好ましい。 強度バラつきは 2 . 5 %以下であることがより好まし く、 2 . 0 %以下であることがさらに好ましい。 強度バラつきの下限値は特 に制限されるものではないが、 本発明により達し得る値としては〇. 1 %程 度である。

[0033] なお、 引張強度、 及び強度バラつきは、 後述する実施例に記載の測定方法 により算出されるものである。

[0034] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 液晶ポリエステルを溶 融紡糸することにより得ることができる。 液晶ポリエステルとしては、 例え ば、 芳香族ジオール、 芳香族ジカルボン酸、 芳香族ヒドロキシカルボン酸等 に由来する反復構成単位からなり、 本発明の効果を損なわない限り、 芳香族 ジオール、 芳香族ジカルボン酸、 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構 成単位は、 その化学的構成については特に限定されるも のではない。 また、 本発明の効果を阻害しない範囲で、 液晶ポリエステルは、 芳香族ジアミン、 芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノ カルボン酸に由来する構成単位 を含んでいてもよい。 例えば、 好ましい構成単位としては、 表 1 に示す例が 〇 2020/175216 卩(:17 2020 /006104

挙げられる。

[0035] [表 1 ]

(但し 式中の)<は以下の構造より選択される)

ール基,アラルキル基アルコキシ基ァ 1

-ルオキシ基,アラルキルオキシ基から選 される置換基で 4)

[0036] 表 1の構成単位において、 01は〇〜 2の整数であり、 式中の丫は、 1〜置 換可能な最大数の範囲において、 それぞれ独立して、 水素原子、 ハロゲン原 子 (例えば、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子等) 、 アルキル 基 (例えば、 メチル基、 エチル基、 イソプロピル基、 ーブチル基等の炭素 数 1から 4のアルキル基等) 、 アルコキシ基 (例えば、 メ トキシ基、 エトキ シ基、 イソプロポキシ基、 门ーブトキシ基等) 、 アリール基 (例えば、 フエ ニル基、 ナフチル基等) 、 アラルキル基 (ベンジル基 (フエニルメチル基)

、 フエネチル基 (フエニルエチル基) 等) 、 アリールオキシ基 (例えば、 フ エノキシ基等) 、 アルキルオキシ基 (例えば、 ベンジルオキシ基等) 等が挙 げられる。

[0037] より好ましい構成単位としては、 下記表 2、 表 3及び表 4に示す例 (1) 〜 (1 8) に記載される構成単位が挙げられる。 なお、 式中の構成単位が、 複数の構造を示し得る構成単位である場合、 そのような構成単位を二種以上 \¥02020/175216 8 卩(:17 2020/006104

組み合わせて、 ポリマーを構成する構成単位として使用して もよい。

[0038] [表 2]

[0039] \¥02020/175216 9 卩(:17 2020/006104

[表 3]

[0040] 〇 2020/175216 10 卩(:170? 2020 /006104

[表 4]

[0041 ] 表 2、 表 3及び表 4の構成単位において、 nは 1 または 2の整数で、 それ それの構成単位 = 1、 = 2は、 単独でまたは組み合わせて存在してもよ く、 丫 1 及び丫 2 は、 それぞれ独立して、 水素原子、 ハロゲン原子 (例えば、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子等) 、 アルキル基 (例えば、 メチル基、 エチル基、 イソプロピル基、 1 _ブチル基等の炭素数 1から 4の アルキル基等) 、 アルコキシ基 (例えば、 メ トキシ基、 エトキシ基、 イソプ ロポキシ基、 门 _ブトキシ基等) 、 アリール基 (例えば、 フエニル基、 ナフ チル基等) 、 アラルキル基 (ベンジル基 (フエニルメチル基) 、 フエネチル 基 (フエニルエチル基) 等) 、 アリールオキシ基 (例えば、 フエノキシ基等 ) 、 アラルキルオキシ基 (例えば、 ベンジルオキシ基等) 等であってもよい 。 これらのうち、 水素原子、 塩素原子、 臭素原子、 またはメチル基が好まし い。

[0042] また、 としては、 下記式で表される置換基が挙げられる。

[0043] [化 1 ] 〇 2020/175216 卩(:170? 2020 /006104

[0044] 液晶ポリエステルは、 好ましくは、 ナフタレン骨格を構成単位として有す る組み合わせであってもよい。 なお、 ヒドロキシ安息香酸由来の構成単位 ( 八) と、 ヒドロキシナフトエ酸由来の構成単位 (巳) の両方を含むことが、 特に好ましい。 例えば、 構成単位 (八) としては下記式 (八) が挙げられ、 構成単位 (巳) としては下記式 (巳) が挙げられる。 溶融成形性を向上する 観点から、 構成単位 ( ) と構成単位 (巳) の比率は、 好ましくは 9/1〜 1 /1、 より好ましくは 7/1〜 1 /1、 さらに好ましくは 5/1〜 1 /1 の範囲であってもよい。

[0045] [化 2]

[0046] [化 3]

[0047] また、 の構成単位と (巳) の構成単位の合計は、 例えば、 全構成単 位に対して 65モル%以上であってもよく、 より好ましくは 70モル%以上 、 さらに好ましくは 80モル%以上であってもよい。 ポリマー中、 特に (巳 ) の構成単位が 4〜 45モル%である液晶ポリエステルが好ましい

[0048] 本発明で好適に用いられる液晶ポリエステル マルチフィラメントの融点 ( 以下、 IV! と称することがある) は 220〜 380°〇の範囲であることが好 ましく、 より好ましくは 260〜 340°〇である。 なお、 ここでいう融点と 〇 2020/175216 12 卩(:170? 2020 /006104

は、 」 I 3 < 7 1 2 1試験法に準拠し、 示差走差熱量計 (0 3(3 ;株式 会社島津製作所製 「0 3(3— 6〇 」 ) で測定し、 観察される主吸収ピーク 温度である。 具体的には、 前記口 3〇装置に、 サンプルを

アルミ製パンへ封入した後、 キヤリヤーガスとして窒素を 1 0 0〇〇/分流 し、 2 0 °〇/分で昇温したときの吸熱ピークを測定す る。 ポリマーの種類に よって 0 3〇測定において 1 3 1 r u nで明確なピークが現れない場合は 、 5 0 °〇/分の昇温速度で予想される流れ温度より も 5 0 °〇高い温度まで昇 温し、 その温度で 3分間完全に溶融した後、 8 0 °〇/分の降温速度で 5 0 °〇 まで降温し、 しかる後に 2 0 ° 〇/分の昇温速度で吸熱ピークを測定す とよ い。

[0049] なお、 上記液晶ポリエステルには、 本発明の効果を損なわない範囲で、 ポ リエチレンテレフタレート、 変性ポリエチレンテレフタレート、 ポリオレフ ィン、 ポリカーボネート、 ポリアミ ド、 ポリフエニレンサルファイ ド、 ポリ エーテルエーテルケトン、 フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加して もよ い。 また、 酸化チタン、 カオリン、 シリカ、 酸化バリウム等の無機物、 力一 ボンブラック、 染料や顔料等の着色剤、 酸化防止剤、 紫外線吸収剤、 光安定 剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。

[0050] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 溶融紡糸により得られ る繊維を用いることができる。 溶融紡糸は公知または慣用の方法により行う ことができ、 例えば、 押出機においてマルチフィラメントを得るた めの繊維 形成樹脂を溶融させた後、 所定の紡糸温度でノズルから吐出して得るこ とが できる。

[0051 ] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トの単繊維繊度は、 好ましく は〇. 5 I 6 X以上、 5 0 I 6 X以下である。 単繊維繊度が上記下限値 を下回ると、 搬送熱処理を行う際に、 炉前後の室温の領域において、 張力が 掛かった際に単糸切れが生じやすくなる場合 がある。 また、 単繊維繊度が上 記上限値を上回ると、 単糸の内部まで熱が伝わりにくく、 固相重合に時間が 掛かったり強度が低いものになったりする場 合がある。 単繊維繊度の下限値 〇 2020/175216 13 卩(:170? 2020 /006104 は、 1 I 6 X以上であることがより好ましく、 1 . 5 6父以上である ことがさらに好ましい。 単繊維繊度の上限値は、 1 5 ¢1 I 6 X以下であるこ とがより好ましく、 1 0 I 6 X以下であることがさらに好ましい。

[0052] また、 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トでの総繊度は、 好ま しくは 1 0 I 6 X以上、 下である。 総繊度が上記下 限値を下回ると、 搬送熱処理を行う際に、 炉内において、 張力が掛かった際 にマルチフィラメントが断糸しやすくなり、 固相重合の進行に必要な温度ま で昇温することが難しくなる場合がある。 総繊度が上記上限値を上回ると、 マルチフィラメントの内層の繊維まで熱が伝 わりにくく、 固相重合に時間が 掛かったり強度が低いものになったりする場 合がある。 総繊度の下限値は、

1 5 I 6 X以上であることがより好ましく、 2 5 6 & X以上であること がさらに好ましい。 総繊度の上限値は、 3 0 0 0 0 ¢1 I 6 X以下であること がより好ましく、 1 0 0 0 0 I 6 X以下であることがさらに好ましい。

[0053] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 引き揃えてトウとして 使用してもよい。 トウ厚みは好ましくは〇. 1 111 111以上、 1 0〇1 111以下であ る。 トウ厚みの下限値は、 〇. 2 以上であることがより好ましく、 〇.

3〇!〇!以上であることがさらに好ましい。 トウ厚みの上限値は、 5〇!〇!以下 であることがより好ましく、 以下であることがさらに好ましい。

[0054] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 例えば、 液晶ポリエス テルマルチフィラメントの紡糸原糸を連続し て搬送しながら熱処理すること で、 固相重合を行うことにより得られる。 液晶ポリエステルマルチフィラメ ントの紡糸原糸の強度は一般的に 1 2〇 I 6 X以下であるため、 熱処 理前後の強度比が 1 . 5倍以上となるよう適当な条件で固相重合を うこと で、 液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度 を向上させることができる

[0055] なお、 ここで言う熱処理前後の強度比とは、 熱処理後の液晶ポリエステル マルチフィラメントの引張強度を熱処理前の 液晶ポリエステルマルチフィラ メントの引張強度で除した値のことをいう。 〇 2020/175216 14 卩(:170? 2020 /006104

[0056] 熱処理における搬送方法は、 接触搬送 (例えば、 コンベア方式、 サポート 口ール方式、 加熱された口ーラー状での熱処理方式) 、 非接触搬送 (口ール トゥ · 口ール方式) のいずれでも構わない。 また、 処理経路は一直線でな くてもよく、 装置内に折り返し口ーラーやガイ ドを配置して、 処理経路の長 さ、 角度、 曲率等を適宜変更して熱処理してもよい。

[0057] また、 熱処理温度は、 融解を防ぐために熱処理に供する液晶ポリエ ステル マルチフィラメントの融点以下である必要が ある。 ただし、 固相重合の進行 と共に液晶ポリエステルマルチフィラメント の融点は上昇するため、 熱処理 温度を固相重合の進行状態に応じて段階的に 高めることで、 一定の温度で熱 処理を行う場合に比し、 高温で行うことができる。 なお、 熱処理温度を時間 に対し段階的にあるいは連続的に高めること は、 融着を防ぐと共に固相重合 の時間効率を高めることができる点で好まし い。

[0058] また、 熱処理の方法は、 公知の方法を用いることができ、 例えば、 雰囲気 加熱、 接触加熱等の手段が挙げられる。 雰囲気としては空気、 不活性ガス ( 例えば、 窒素、 アルゴン) あるいはそれらを組み合わせた雰囲気等が好 適に 用いられる。 また、 熱処理を減圧下で行っても何等差し支えない 。

[0059] ここで、 上述のごとく、 ボビンに巻き取った繊維パッケージをバッチ オー ブンで熱処理する公知の固相重合方法では、 パッケージの内外層の違いや幅 方向の位置の違いから熱処理ムラが生じ、 得られる液晶ポリエステルマルチ フィラメントの長さ方向において、 力学物性のバラつきが発生する。

[0060] そこで、 液晶ポリエステルマルチフィラメントの長さ 方向にムラの無い熱 処理方法を検討したところ、 所定の伸長倍率で連続的に搬送しながら、 融点 以下の温度で、 熱処理前後の強度比が一定以上となるように 、 液晶ポリエス テルマルチフィラメントの紡糸原糸を熱処理 することで、 マルチフィラメン 卜の長さ方向の全ての部分において、 熱処理温度や雰囲気置換効率が同一の 熱処理となり、 得られる液晶ポリエステルマルチフィラメン トの力学物性の バラつきが低減されることを見出した。

[0061 ] また、 熱処理においては、 液晶ポリエステルマルチフィラメントを構成 す 〇 2020/175216 15 卩(:170? 2020 /006104

る単繊維同士が、 繊維長手方向の全ての箇所において、 弛みなく平行に引き 揃えられるように、 伸長を行いながら搬送熱処理を行うことが重 要である。

[0062] この伸長の方法としては、 特に制限されるものではないが、 例えば、 口一 ル · トゥ · 口ール方式で熱処理を行う際に、 後側の駆動口ーラーの回転速度 を前側の搬送口ーラーの回転速度より大きく する方法や、 搬送途中にダンサ 一口ーラーを使用して一定の荷重を掛けなが ら熱処理を行う方法、 加熱され たネルソンローラーを通過させる方法、 糸をピンで固定して搬送熱処理する ことにより、 繊維が繊維軸方向に対して負の熱膨張係数を 有することを利用 して伸長を行う方法等が挙げられる。

[0063] また、 伸長倍率とは、 伸長前後で液晶ポリエステルマルチフィラメ ントが 何倍に伸びたかを表す数値である。 伸長を速度差のついた 2個の口ーラーで 行う場合は、 その速度比から算出する。 ダンサーローラーの荷重による延伸 等、 速度比で表せない装置で伸長を行う場合は、 伸長前後 (熱処理前後) の マルチフィラメントの総繊度比から算出する 。 伸長倍率は、 伸長によって強 度が大きく低下しない限りは範囲を限定され るものではないが、 本発明の液 晶ポリエステルマルチフィラメントの製造方 法においては、 1 . 0 0 1〜 1 . 2 0 0倍の伸長倍率で連続的に搬送しながら熱処 を行う。 好ましくは 1 . 0 0 1 ~ 1 . 1 0 0倍であり、 さらに好ましくは 1 . 0 0 3 ~ 1 . 0 5 0 倍である。 1 . 0 0 1倍未満の場合は伸長が充分ではなく単繊維 士を引き 揃えることができない。 1 . 2 0 0倍より大きい場合は、 強度の大幅な低下 を招きやすい。

[0064] なお、 繊維を伸長させながら熱処理を行う技術とし て広く延伸技術が知ら れているが、 この延伸技術は、 糸の強度や弾性率を向上させることを目的と して分子配向性の低い繊維の配向を高める技 術であり、 本発明の液晶ポリエ ステルマルチフィラメントのように、 元々高度に配向した高次構造を持つ繊 維に適用することを想定した技術ではない。 また、 好適な処理条件も異なり 、 延伸技術ではできるだけ配向性を高めるため に延伸倍率を 1 . 2 0 0倍よ り大きく設定することが多いが、 本発明では単繊維同士が引き揃えられるだ 〇 2020/175216 16 卩(:170? 2020 /006104

けの伸長がなされればよいため、 伸長倍率は 1 . 0 0 1〜 1 . 2 0 0倍の範 囲が好適であり、 それ以上の倍率で処理を行うと、 配向性が高まる余地が無 いため、 分子鎖の滑り等を経て高次構造に欠陥が発生 し、 強度の大幅な低下 を招きやすい。 以上のように、 本発明の伸長技術は延伸技術とは異なる技術 であるため、 本発明では延伸倍率ではなく伸長倍率という 用語を用いている

[0065] なお、 熱処理時の張力に関しては、 〇. 0 0 1〜〇. 0 6〇 1\1 / 6父 が好ましい。 〇. 0 0 1 〇 1\1 / 1 6 Xを下回る場合は糸道が安定せず、 熱 処理が不均一になる。 また、 〇. 0 6〇 1\1 / I 6 Xを上回る場合は、 熱処 理中に繊維が断糸しやすくなる。

[0066] また、 非接触連続熱処理が可能なオーブンの構造に ついては、 特に制限さ れるものではない。 オーブン入口から出口まで接触体の無い、 繊維搬送経路 が一直線になる構造のものであってもよいし 、 炉内あるいは炉の側面に口一 ラーを配した、 二段以上の折り返しの繊維搬送経路を有する ものであっても よい。 折り返し用口ーラーは自ら回転駆動するもの であっても構わないし、 搬送される繊維に従属して回転するものであ っても構わない。

[0067] この場合、 フィブリルの発生を防ぎ、 かつ均一な処理を行うため、 繊維搬 送経路の折り返しのために配する口ーラーの 繊維と接触する部分の温度は、 熱処理前の液晶ポリエステルマルチフィラメ ントの (融点一 5 0) ° 〇以下で あることが好ましく、 室温 (4 0 ° 〇以下) であることがより好ましい。

[0068] また、 熱処理時に要する時間に関しては、 発明上の観点からは特に制限さ れるものではなく、 必要な物性の液晶ポリエステルマルチフィラ メントが得 られるように行えばよい。 ただし、 産業上の観点からは、 熱処理にむやみに 長い時間を課すのは製造コストの上昇を招き 望ましくないため、 2 0時間以 下になるよう温度等の条件を適宜設定するこ とが好ましく、 1 2時間以下が より好ましく、 3時間以下がさらに好ましい。

[0069] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 初期弾性率のバラつき が少ないことから、 従来の液晶ポリエステルマルチフィラメント に比べて、 〇 2020/175216 17 卩(:170? 2020 /006104

加工工程での寸法や張力の変動を小さくす ることができ、 優れた品質安定性 や高次加工性を発揮する。 従って、 テンションメンバー (例えば、 電線、 光 ファイバー、 ヒーター線芯糸、 イヤホンコード等の各種電気製品のコード等 ) 、 セールクロス、 ロープ、 ザイル、 陸上ネッ ト、 命綱、 釣糸、 漁網、 延縄 等の高次加工製品等に好適に使用できる。

実施例

[0070] 以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明す るが、 本発明はこれら 実施例に限定されるものではない。 なお、 本発明の各種特性の評価は次の方 法で行った。

[0071] <総繊度 ·単繊維繊度>

」 1 3 !_ 1 01 3 : 201 0 8. 3. 1 八法に準拠し、 大栄科学 精器製作所社製検尺器を用いて液晶ポリエス テルマルチフィラメントを 1 0 〇 カセ取りし、 その重量 (9) を 1 00倍して 1水準当たり 2回の測定を 行い、 その平均値を、 得られた液晶ポリエステルマルチフィラメン トの総繊 度 (〇1 1 6父) とした。 また、 この値を単繊維数で除した商を単繊維繊度 ( とした。

[0072] <引張強度、 初期弾性率>

」 1 3 1_ 1 01 3 : 201 0 8. 5. 1 に準拠し、 (株) 島津製作 所製才一トグラフ 「八〇3_ 1 00巳」 を用いて、 糸長 200〇!〇!、 初荷重 〇. 引張速度 分の定速伸長条件にて、 連 続した 50 の試料を用意し、 1 間隔で計 50回の引張試験を実施した。

[0073] そして、 破断時の応力を総繊度で除した値を引張強度 (〇 1\1/ 1 6 X)

、 破断時の伸び率を伸度 (%) とし、 伸び率〇. 25%と 1. 00%の 2点 を通る直線の傾きを初期弾性率 (〇 1\1/ I 6 X) とした。 本発明では、 引 張強度、 伸度、 初期弾性率は、 上記 50回の引張試験における平均値からそ れぞれ算出した。

[0074] <強度バラつき>

上述の引張強度と同じ測定条件及び計算方法 で、 液晶ポリエステルマルチ 〇 2020/175216 18 卩(:170? 2020 /006104

フィラメントの連続した 5 0 を 1サンプルとして 5 0回の測定を行い、 5 0回の各々の強度を総繊度で除した商の標準 差 (£7 ! ) を、 上記 5 0回の引 張強度の測定値の平均値 ( !) で除した商に、 1 0 0を掛けたものを強度バ ラつき (%) とした。

[0075] [数 1 ]

強度バラつき (%) = ( 1 /八 1 ) X 1 0 0 (1)

[0076] <初期弾性バラつき>

上述の初期弾性率と同じ測定条件及び計算方 法で、 液晶ポリエステルマル チフィラメントの連続した 5 0 を 1サンプルとして 5 0回の測定を行い、

5 0回の各々の初期弾性率の標準偏差 (£7 2 ) を、 上記 5 0回の初期弾性率の 測定値の平均値 ( 2 ) で除した商に、 1 0 0を掛けたものを初期弾性率バラ つき (%) とした。

[0077] [数 2 ]

初期弾性率バラつき (%) = ( 2 /八 2 ) X 1 0 0 (2)

[0078] <テンションメンバーとしての力学物性バラ つき>

得られた液晶ポリエステルマルチフィラメン トを用いた高次加工製品の例 として、 テンションメンバーとしての力学物性バラつ きを、 撚り紐を作製し て評価した。 具体的には、 三つ打ちの撚り紐を作製し、 その撚り紐の強度バ ラつきと初期弾性率バラつきの数値で評価し た。 すなわち、 実施例毎に液晶 ポリエステルマルチフィラメントを 3糸条用意し、 各々テンサーガイ ドを通 して 5 0 !\1の張力を付与後、 合糸しながら撚り係数 2 0で片撚を行い、 三つ 打ちの撚り紐を作製し、 この撚り紐の強度バラつき及び弾性率バラつ きを測 定した (測定方法はフィラメントと同じ。 ) 。

[0079] [実施例 1 ]

熱処理に用いる紡糸原糸として、 総繊度 1 6 7 0 1 6 X、 フィラメント 本数 3 0 0本の液晶ポリエステルマルチフィラメント ( (株) クラレ製、 商 品名 :べクトラン 1\1丁、 融点: 2 8 1 °〇) を用意した。

[0080] 次に、 図 1の工程概略図に示すように、 この紡糸原糸 9を卷出機 1から巻 〇 2020/175216 19 卩(:170? 2020 /006104

き出し、 以下の の順に装置を通して巻き返すことで、 口ール · トウ ロール方式で搬送熱処理を行い、 本実施例の熱処理糸 1 2を得た。

[0081 ] 3 . 第ーローラー 2

熱処理炉 3 (炉管として 1本のセラミック管 1 0と、 その内部を雰囲 気加熱するためのヒーター部を有する制御部 1 1 を有する。 炉管は 3つの加 熱ゾーン 6〜 8を有しており、 各加熱ゾーン 6〜 8は、 別々の温度制御が可 能である。 )

〇 . 第ニローラー 4

卷取機 5

[0082] ここで、 熱処理時間 (熱処理炉 3の加熱ゾーン 6〜 8を糸試料が通過する 距離 ÷第ーローラー 2の回転速度) が 1時間になるように第ーローラー 2の 回転速度を設定した。 また、 伸長倍率 (第ニローラー 4の回転速度 ÷第ーロ —ラー2の回転速度) が 1 . 0 0 5倍になるように第ニローラー 4の回転速 度を設定した。 また、 熱処理炉内は窒素雰囲気で、 3つの加熱ゾーン 6〜 8 の温度は通過する順に 2 3 0 °〇、 2 6 0 °〇、 2 9 0 °〇とした。 なお、 糸道の 高さ等の調整のため、 適宜、 表面梨地処理のセラミックローラーやセラミ ッ クガイ ド (いずれも不図示) も用いた。 熱処理糸の分析結果を表 5に示す。

[0083] [実施例 2 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸、 装置を用い、 伸長倍率が 1 . 0 5 0倍になるよ うに第ニローラー 4の回転速度を設定したこと以外は、 実施例 1 と同じ条件 で熱処理糸 1 2を得た。 熱処理糸の分析結果を表 5に示す。

[0084] [実施例 3 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸、 装置を用い、 伸長倍率が 1 . 1 0 0倍になるよ うに第ニローラー 4の回転速度を設定したこと以外は、 実施例 1 と同じ条件 で熱処理糸 1 2を得た。 熱処理糸の分析結果を表 5に示す。

[0085] [実施例 4 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸、 装置を用い、 熱処理炉 3の 3つの加熱ゾーン 6 〜 8の温度を全て 2 3 0 °〇にし、 さらに熱処理時間が 1 0時間、 伸長倍率が 〇 2020/175216 20 卩(:170? 2020 /006104

1 . 0 0 5倍になるように第ーローラー 2と第ニローラー 4の回転速度を設 定したこと以外は、 実施例 1 と同じ条件で熱処理糸を得た。 熱処理糸の分析 結果を表 5に示す。

[0086] [実施例 5 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸、 装置を用い、 熱処理時間が 1 6時間、 伸長倍率 が 1 . 0 0 5倍になるように第ーローラー 2と第ニローラー 4の回転速度を 設定した以外は、 実施例 1 と同じ条件で熱処理糸を得た。 熱処理糸の分析結 果を表 5に示す。

[0087] [実施例 6 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸を用い、 図 2の工程概略図に示すように、 この紡 糸原糸 9を卷出機 1から巻き出し、 以下の 6〜 の順に装置を通して巻き返 すことで、 口ール · トゥ · 口ール方式で搬送熱処理を行い、 本実施例の熱処 理糸 1 2を得た。

[0088] 6 . 第ーローラー 2

干. 熱処理炉 3

9 . ダンサーローラー 1 3

I 卷取機 5

[0089] ここで、 ダンサーローラー 1 3の張力は 5 0 9とした。 また、 熱処理時間 (熱処理炉 3の加熱ゾーン 6〜 8を糸試料が通過する距離 ÷第ーローラー 2 の回転速度) が 1時間になるように第ーローラー 2の回転速度を設定した。 また、 熱処理炉内は窒素雰囲気で、 3つの加熱ゾーン 6〜 8の温度は通過す る順に 2 3 0 °〇、 2 6 0 °〇、 2 9 0 °〇とした。 なお、 糸道の高さ等の調整の ため、 適宜、 表面梨地処理のセラミックローラーやセラミ ックガイ ド (いず れも不図示) も用いた。 また、 熱処理糸の繊度と熱処理前の糸の繊度の比か ら算出した伸長倍率は 1 . 0 0 3倍であった。 熱処理糸の分析結果を表 5に 示す。

[0090] [実施例 7 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸を用い、 図 3の工程概略図に示すように、 この紡 〇 2020/175216 21 卩(:170? 2020 /006104

糸原糸 9を卷出機 1から巻き出し、 以下の丨〜 の順に装置を通して巻き返 すことで、 口ール · トウ · 口ール方式で搬送熱処理を行い、 本実施例の熱処 理糸 1 2を得た。

[0091 ] 第ーローラー 2

第一熱処理炉 1 4 (炉管として 1本のセラミック管 1 5と、 その内部 を雰囲気加熱するためのヒーター部 1 6を有する。 なお、 加熱ゾーンは 1 ゾ —ンである。 )

!< 第ニローラー 1 7

I . 第二熱処理炉 1 8 (炉管として 1本のセラミック管 1 9と、 その内部 を雰囲気加熱するためのヒーター部 2 0を有する。 なお、 加熱ゾーンは 1 ゾ —ンである。 )

第三口ーラー 2 1

^ 第三熱処理炉 2 2 (炉管として 1本のセラミック管 2 3と、 その内部 を雰囲気加熱するためのヒーター部 2 4を有する。 なお、 加熱ゾーンは 1 ゾ —ンである。 )

〇 . 第四口ーラー 2 5

. 卷取機 5

[0092] ここで、 熱処理時間 (第一熱処理炉 1 4の炉管 1 5を糸試料が通過する距 離 ÷第ーローラー 2の回転速度と、 第二熱処理炉 1 8の炉管 1 9を糸試料が 通過する距離 ÷第ニローラー 1 7の回転速度と、 第三熱処理炉 2 2の炉管 2 3を糸試料が通過する距離 ÷第三口ーラー 2 1の回転速度の合計) が 1時間 になり、 かつ第一熱処理炉 1 4、 第二熱処理炉 1 8、 及び第三熱処理炉 2 2 の伸長倍率 (各熱処理炉の直後の口ーラーの回転速度 ÷直前の口ーラーの回 転速度) がそれぞれ 1 . 0 1 5倍になるように第 1〜第 4口ーラー 2 , 1 7 , 2 1 , 2 5の回転速度を設定した (この際の総伸長倍率は 1 . 0 4 6倍で ある) 。 また、 熱処理炉内は窒素雰囲気で、 第一熱処理炉 1 4の温度を 2 3 0 °〇、 第二熱処理炉 1 8の温度を 2 6 0 °〇、 及び第三熱処理炉 2 2の温度を 2 9 0 ° 〇とした。 なお、 糸道の高さ等の調整のため、 適宜、 表面梨地処理の 〇 2020/175216 22 卩(:170? 2020 /006104

セラミックローラーやセラミックガイ ド (いずれも不図示) も用いた。 熱処 理糸の分析結果を表 5に示す。

[0093] [比較例 1 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸を、 巻密度〇.

ム製ボビンに巻き返し、 密閉型オーブンを用いて窒素雰囲気下 2 3 0〜 2 9 0 ° 〇で 1 6時間熱処理を行い、 バッチ方式により、 本比較例の熱処理糸を得 た。 熱処理糸の分析結果を表 5に示す。

[0094] [比較例 2 ]

実施例 1 と同じ紡糸原糸、 装置を用い、 伸長倍率が 1 . 0 0 0倍になるよ うに第ニローラー 4の回転速度を設定した以外は、 実施例 1 と同じ条件で熱 処理糸を得た。 熱処理糸の分析結果を表 5に示す。

[0095]

〔 -

〇 2020/175216 24 卩(:170? 2020 /006104

[0096] 表 5に示すように、 初期弾性率バラつきが 3. 0%以下であり、 引張強度 が 1 8〇 1\1/〇1 ㊀父以上である実施例 1〜 7の液晶ポリエステルマルチフ ィラメントにおいては、 比較例 1〜 2に比し、 三つ打ちの撚り紐の強度バラ つき及び初期弾性率バラつきが小さいため、 品質が安定しており、 力学物性 利用率が高いコンパクトな高次加工製品が作 製できることが期待される。 産業上の利用可能性

[0097] 本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメン トは、 テンションメンバー ( 電線、 光ファイバー、 ヒーター線芯糸、 イヤホンコード等の各種電気製品の コード等) 、 セールクロス、 ロープ、 ザイル、 陸上ネッ ト、 命綱、 釣糸、 漁 網、 延縄等の高次加工製品等に用いられる繊維と して好適に利用できる。 符号の説明

[0098] 1 卷出機

2 第ーローラー

3 熱処理炉

4 第ニローラー

5 卷取機

6〜 8 熱処理炉 3の加熱ゾーン

9 結糸原糸

1 0 熱処理炉 3の炉管 (セラミック管)

1 1 熱処理炉 3のヒーター部を有する制御部

1 2 熱処理糸

1 3 ダンサーローラー

1 4 第一熱処理炉

1 5 第一熱処理炉 1 4の炉管 (セラミック管)

1 6 第一熱処理炉 1 4のヒーター部

1 7 第ニローラー

1 8 第二熱処理炉

1 9 第二熱処理炉 1 8の炉管 (セラミック管) 〇 2020/175216 25 卩(:170? 2020 /006104

20 第二熱処理炉 1 8のヒーター部

2 1 第三口ーラー

22 第三熱処理炉

23 第三熱処理炉 22の炉管 (セラミック管)

24 第三熱処理炉 22のヒーター部

25 第四口—ラ—