Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
LOW TEMPERATURE PLASMA GENERATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108331
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a more practical low temperature plasma generator wherein a discharge electrode is easily formed. This low temperature plasma generator enables to improve ozone production efficiency and productivity. This low temperature plasma generator is used, for example, as an ozone production source for ozone sterilization apparatuses. Specifically disclosed is a low temperature plasma generator (1) wherein a pair of electrode elements (11, 11) are arranged opposite to each other. In the electrode element (11), a conductive paste is applied over at least the inner surface of a space formed within an insulating body (12) in a hermetic manner, so that the continuous portion of the conductive paste serves as a discharge electrode (13).

Inventors:
NAKANISHI MASARU (JP)
NIEDA MASAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053756
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
March 03, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
OHNIT CO LTD (JP)
NAKANISHI MASARU (JP)
NIEDA MASAKI (JP)
International Classes:
H01T23/00; C01B13/11
Foreign References:
JP3015268B22000-03-06
JP2004311071A2004-11-04
JPH05155606A1993-06-22
JP2006100031A2006-04-13
JPH0421525U1992-02-24
JPH04149005A1992-05-22
JP2005251458A2005-09-15
JPS5329755U1978-03-14
Attorney, Agent or Firm:
MORI, Hisao et al. (Ohjima Kurashiki-shi, Okayama 47, JP)
Download PDF:
Claims:
対となる電極要素を対向させてなる低温プラズマ発生体において、電極要素は、絶縁体の内部に設けた空間の少なくとも内面に密着させて導電ペーストを前記空間に封入し、前記導電ペーストの連続する部分を放電極としたことを特徴とする低温プラズマ発生体。
絶縁体は、両端が封止されるパイプ状絶縁体であり、放電極は、パイプ状絶縁体の内部に導電ペーストを塗布又は充填して形成され、対となる電極要素は、それぞれの放電極を並行にし、互いのパイプ状絶縁体を線接触又は近接して接合される請求項1記載の低温プラズマ発生体。
パイプ状絶縁体は、セラミックスパイプである請求項2記載の低温プラズマ発生体。
パイプ状絶縁体は、ガラスパイプである請求項2記載の低温プラズマ発生体。
パイプ状絶縁体は、樹脂パイプである請求項2記載の低温プラズマ発生体。
放電極は、パイプ状絶縁体の内面に導電ペーストを塗布して形成される導電薄膜からなるパイプ状放電極である請求項2~5いずれか記載の低温プラズマ発生体。
パイプ状放電極は、パイプ状絶縁体の内面に形成された導電薄膜に密着するペースト状の絶縁物質を充填してなる請求項6記載の低温プラズマ発生体。
放電極は、パイプ状絶縁体に導電ペーストを充填して形成される導電中実体からなる棒状放電極である請求項2~5いずれか記載の低温プラズマ発生体。
電極端子は、パイプ状絶縁体の内面から端面及び表面にわたって連続的に塗布される導電ペーストにより形成される導電薄膜からなる請求項2~8いずれか記載の低温プラズマ発生体。
Description:
低温プラズマ発生体

 本発明は、例えば飲料水やプールの水の 質浄化、タバコ、ペット、トイレやゴミ等 悪臭除去、カビや細菌等の滅菌消毒、その か食品冷凍庫における鮮度保持等に用いる ゾン殺菌装置のオゾン生成源となる低温プ ズマ発生体に関する。

 オゾン殺菌装置のオゾン生成源の多くは 面放電を利用している。しかし、例えば特 文献1に見られるように、対となる電極要素 を対向させた低温プラズマ発生体をオゾン生 成源とするオゾン殺菌装置もある。特許文献 1に見られる低温プラズマ発生体は、パイプ 絶縁体(貫通孔を設けた棒状セラミックス誘 体)に挿入した棒状導電体を放電極とし、接 着剤で前記パイプ状絶縁体及び棒状導電体の 両端を封止した電極要素を線接触の状態で接 合して構成される。この低温プラズマ発生体 は、各放電極に高電圧を印加すると、電極要 素のパイプ状絶縁体の表面間に放電を生じ、 前記放電により生起される低温プラズマによ って空気中の酸素分子を分解し、オゾンを生 成する。

特許第3015268号公報

 特許文献1の低温プラズマ発生体は、オゾ ン生成量が少ないが、沿面放電を利用したオ ゾン生成源に比べて周辺環境(特に温度や湿 )に影響を受けにくく、また消費電力が少な 利点を備える。しかし、前記低温プラズマ 生体は構造上不可避的な問題があった。す わち、パイプ状絶縁体に棒状導電体を挿通 る必要から、パイプ状絶縁体の内径が棒状 電体の外径より大きくなり、前記棒状導電 を挿入した段階で、パイプ状絶縁体の内面 棒状導電体の表面との間に間隙が形成され ことにより、問題が発生していた。

 特許文献1の低温プラズマ発生体は、パイ プ状絶縁体の間隙を塞ぐことができない。こ の間隙は、パイプ状絶縁体と棒状導電体とに 介在する誘電層を形成し、パイプ状絶縁体の 外部の放電を導く印加電圧を高くし、前記外 部の放電を不安定にさせる原因となっていた 。また、間隙はパイプ状絶縁体の内部に放電 を引き起こし、結果としてオゾンの生成に寄 与しない電力の消費を招いていた。更に、前 記パイプ状絶縁体の内部の放電は、低温プラ ズマ発生体を不必要に加熱し、パイプ状絶縁 体の外部で生成されたオゾンを少なからず熱 分解して、オゾン生成効率(供給するエネル ーに対するオゾン生成量、すなわち単位印 電圧当たりのオゾン生成量)を低下させる問 を招いていた。

 このほか、間隙に空気が閉じこめられる 、前記間隙における放電によりパイプ状絶 体の内部でオゾンが生成されることになる しかし、前記オゾンは当然外部に放出され 、せいぜい棒状導電体の表面に酸化膜を形 することにしか役立たない。また、パイプ 絶縁体の両端を接着剤で封止する際、前記 着剤に含まれる成分が放出されて有機ガス なり、間隙に閉じこめられた有機ガスに起 して間隙内で引き起こされる放電により、 ゾン生成量が安定しなくなる場合があった こうしたことから、特許文献1の低温プラズ マ発生体は、できる限り間隙を小さくするた め、パイプ状絶縁体に設けた貫通孔や棒状導 電体に厳しい寸法管理が要求され、生産性の 向上を阻害していた。

 このほか、小型化される特許文献1の低温 プラズマ発生体は、十分な構造強度を確保し 、かつ耐熱性に優れたタングステンを棒状導 電体として使用するが、前記タングステンは 高価である上に加工が難しく、更にハンダ付 けに適さないため、パイプ状絶縁体から突出 させる前記タングステンの棒状導電体の端部 を電極端子として利用する場合、給電線との 接続に導電クリップを用いる必要がある等、 材料に起因する生産性阻害の問題も抱えてい た。特許文献1の低温プラズマ発生体は、沿 放電を利用した構成に比べ、小型なオゾン 成源として有効であることは間違いないが 上述のように、様々な構造上不可避的な問 があった。そこで、オゾン生成効率の向上 生産性の向上を目的として、より実用的な 温プラズマ発生体を開発すべく、検討した

 検討の結果開発したものが、対となる電 要素を対向させた低温プラズマ発生体にお て、電極要素は、絶縁体の内部に設けた空 の少なくとも内面に密着させて導電ペース を前記空間に封入し、前記導電ペーストの 続する部分を放電極とした低温プラズマ発 体である。本発明の低温プラズマ発生体は 絶縁体の内部に設けた空間に棒状導電体(特 許文献1)を挿入するのではなく、前記空間の なくとも内面に密着する導電ペーストの連 する部分を放電極とする。すなわち、絶縁 に設けられた空間の内面と、前記放電極の 面との間に間隙が形成されることがない。 れにより、間隙に基づいた種々の問題が解 され、オゾン生成効率や低温プラズマ発生 の生産性を向上させる。

 本発明に利用しうる導電ペーストは、銀 ースト、ニッケルペースト、金ペースト、 ラジウムペーストやカーボンブラックペー ト等を例示できる。導電ペーストは、球状 はフレーク状の導電フィラーを有機バイン 又は無機バインダの一種又は組み合わせに り込んだ糊状材料である。導電フィラーは 球状又はフレーク状とした導電物質、例え 球状又はフレーク状の銀、ニッケル、金、 ラジウムやカーボンブラック等である。ま 、有機バインダは、エポキシ樹脂が一般的 あるが、ウレタン樹脂、シリコー ン樹脂 アクリル樹脂、ポリイミド樹脂やこのほか 知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を例示 きる。また、無機バインダは低融点ガラス( わゆるガラスフリット)を例示できる。

 具体的な低温プラズマ発生体は、絶縁体 両端が封止されるパイプ状絶縁体であり、 電極はパイプ状絶縁体の内部に導電ペース を塗布又は充填して形成され、対となる電 要素はそれぞれの放電極を並行にし、互い パイプ状絶縁体を線接触又は近接して接合 る。対となる電極要素の「放電極を並行に するとは、対向する位置関係にある放電極 表面を結ぶ最短直交距離が電極要素の延在 向のどこにおいても等しいこと、いわゆる 電極の間隔を一定にすることを意味する。 電極はパイプ状絶縁体に封入されているか 、前記パイプ状絶縁体を線接触させても放 極相互を短絡しない。これから、電極要素 に通風域を形成して放熱効果を向上させる の目的を有しない場合、電極要素は相互の 置関係を容易に特定できるように線接触で 合し、一体の低温プラズマ発生体とするこ が望ましい。

 パイプ状絶縁体は、厚み(内面と表面との 距離)が一定、すなわち内面及び表面が相似 断面で、絶縁性を備えた筒体、具体的には 面及び表面が相似な円形断面の丸パイプが ましい。パイプ状絶縁体の「両端が封止さ る」とは、パイプ状絶縁体の開放された両 を電気的及び物理的に塞ぐことを意味する ここで、開放された端部を電気的に塞ぐと 、パイプ状放電極に通電する電極端子を除 て、パイプ状絶縁体の内面と端面及び表面 を絶縁することである。また、開放された 部を物理的に塞ぐとはパイプ状絶縁体の内 と外部との間で気体又は液体の透過を許さ いことである。仮に、最初から一端が電気 及び物理的に塞がれていれば、パイプ状絶 体の内部に導電ペーストによる放電極を形 後、残る開放された他端のみを電気的及び 理的に塞げばよい。

 本発明に利用しうるパイプ状絶縁体は、 気的な絶縁性とオゾン生成に際して発生す 熱に対する耐熱性とを備えていればよい。 うしたパイプ状絶縁体としては、セラミッ スパイプ、ガラスパイプ(石英ガラスパイプ 、硼珪酸ガラスパイプ等)、樹脂パイプ(テフ ン(登録商標)パイプ、ABSパイプ、PPパイプ等 )を例示できる。ここで、多くの導電ペース が焼成して固化させる加熱硬化型であるた 、前記焼成を考慮して、セラミックスパイ 又はガラスパイプが好適である。この場合 加熱硬化型の導電ペーストであっても、焼 温度はガラスの溶融温度を大きく下回るた 、ガラスパイプをパイプ状絶縁体として用 ることができる。これに対し、常温硬化型 導電ペーストを用いる場合、樹脂パイプを いてもよい。

 パイプ状絶縁体の内部に、導電ペースト より形成される具体的な放電極は、大きく2 種類に分けることができる。まず、放電極は 、パイプ状絶縁体の内面に導電ペーストを塗 布して形成される導電薄膜からなるパイプ状 放電極とすることができる。このパイプ状放 電極は、導電性さえ備えていれば導電薄膜の 厚みは自由であるが、導電薄膜が厚くなると 焼成に際して気泡の混入する虞があるため、 導電薄膜は薄いほど好ましい。また、導電薄 膜が十分に薄ければ、パイプ状放電極の抵抗 の大小はあまり問題にならなくなるため、導 電ペーストは導電率を気にすることなく、自 由に選択できる利点が得られる。

 パイプ状放電極の内部は中空域となるが 前記中空域は同電位の導電薄膜に囲まれて 電を生ずる虞はなく、中空域のままでも構 ない。しかし、外部からの衝撃や経時劣化 伴う導電薄膜の剥離を防止するため、パイ 状放電極は、パイプ状絶縁体の内面に形成 れる導電薄膜に密着する絶縁物質を充填す ことが好ましい。ここで、「パイプ状絶縁 の内面に形成される導電薄膜に密着する絶 物質を充填する」とは、前記パイプ状放電 の内部に絶縁物質を充填して中実構造にす と共に、絶縁物質が導電薄膜の内側から押 当てられ、前記導電薄膜の剥離を防止する とを意味する。これにより、本発明の電極 素は、パイプ状絶縁体に前記絶縁物質を充 して中実となり、外観上、パイプ状放電極 内蔵する棒状絶縁体から構成される。パイ 状放電極の内部に充填され、前記パイプ状 電極を構成する導電薄膜に密着する絶縁物 は、絶縁性及び耐熱性を備えたシリコーン( 例えばシリコーン・ポッティング材)を用い 。

 上記中空域をなくする観点から、放電極 、パイプ状絶縁体に導電ペーストを充填し 形成される導電中実体からなる棒状放電極 してもよい。この棒状放電極は、上記パイ 状放電極に充填する絶縁体に代えて、導電 ーストを充填した構造である。すなわち、 状放電極は、パイプ状絶縁体の内面に形成 れる導電薄膜に密着する導電ペーストを充 した構成に等しい。棒状放電極は、導電中 体であるから、前記導電中実体の表面(パイ プ状放電極に相当する部分)が剥離する虞は い。また、パイプ状放電極に比較して、少 からず断面積が大きくなるので、放電極と ての抵抗をより低くできる利点がある。

 電極要素は、放電極に高電圧を印加する め、前記放電極に通電する電極端子を備え ければならない。電極端子は、例えば放電 に通電する別部材の端子部品をパイプ状絶 体の一端に取り付けて構成できる。しかし 導電ペーストにより放電極を構成すること 利用して、パイプ状絶縁体の内面から端面 び表面にわたって連続的に塗布される導電 ーストにより形成される導電薄膜により電 端子を構成するとよい。すなわち、パイプ 絶縁体の端部に導電ペーストスルーホール 形成し、前記導電ペーストスルーホールを 極端子とする。ここで、例えば導電ペース の導電フィラーがハンダ付け可能な銀であ ば、本発明の電極端子は給電線をハンダ付 できる。このほか、導電ペーストにより形 される導電薄膜により電極端子を構成する 、電極端子を設けたパイプ状絶縁体の一端 開放されたまま残され、パイプ状放電極の 部に絶縁物質を充填しやすい利点もある。

 本発明の低温プラズマ発生体は、絶縁体 内部に設けた空間の少なくとも内面に密着 せて導電ペーストを前記空間に封入し、前 導電ペーストの連続する部分を放電極、具 的にはパイプ状絶縁体の内面に導電ペース を塗布して形成される導電薄膜からなるパ プ状放電極や、パイプ状絶縁体に導電ペー トを充填して形成される導電中実体からな 棒状放電極とした電極要素を用いることに り、従来の低温プラズマ発生体に見られた 隙に起因する問題を解決し、オゾン生成効 を向上させると共に、更に低温プラズマ発 体としての生産性を改善する効果を有する 具体的には、次の通りである。

 まず、導電ペーストにより形成される本 明の放電極(パイプ状放電極や棒状放電極) 、絶縁体の内部に間隙を形成しないので、 記絶縁体の内部での放電をなくして電力消 を低減し、発熱量を抑制できる。無駄な電 消費がないことは、従来の低温プラズマ発 体に比べて低い印加電圧でも同量のオゾン 生成できること、すなわちオゾン生成効率 向上させる効果を、また発熱量の抑制は低 プラズマ発生体としての寿命を延ばす効果 もたらしている。また、内部に絶縁物質を 填したパイプ状放電極や、パイプ状絶縁体 内部に導電物質を充填して形成される棒状 電極は、パイプ状絶縁体の内部に空気や有 ガスが混入する虞をなくし、パイプ状絶縁 の内部における絶縁破壊を防止する。これ 、低温プラズマ発生体としての寿命を延ば 効果をもたらしている。

 次に、導電ペーストにより形成される本 明の放電極(パイプ状放電極や棒状放電極) 、導電ペーストが常温硬化型ならもちろん 焼成して硬化するものであっても比較的低 での熱処理で済むため、絶縁体の熱変形を き起こさない利点がある。これは、オゾン 生成する放電状態を左右する絶縁体の厚み 設計通りに維持できることを意味し、例え パイプ状絶縁体からなる電極要素を対向さ て線接触させて接合した場合、放電極相互 放電間距離を設計通り確保できる。これに り、本発明に基づく低温プラズマ発生体の 質は高く安定し、製品の歩留まりを向上さ る効果がもたらされる。

 また、ハンダ付できる導電ペーストによ 電極端子を形成すれば、ハンダ付けできる 極端子を構成できる。これは、本発明の低 プラズマ発生体をオゾン生成源としてオゾ 殺菌装置に組み込む際、低温プラズマ発生 と給電線とをハンダ付けにより容易に接続 きる効果をもたらす。このほか、本発明の 温プラズマ発生体は、従来の低温プラズマ 生体に用いられていた高価なタングステン の棒状放電極を廃止することにより、製造 ストを低下させる経済的利点も有する。こ ように、本発明は低温プラズマ発生体のオ ン生成効率を向上させるほか、低温プラズ 発生体自身、ひいては前記低温プラズマ発 体をオゾン生成源とするオゾン殺菌装置の 産性を向上させる効果を有する。

本発明に基づくパイプ状放電極を有す 電極要素からなる低温プラズマ発生体の一 を表わした部分破断斜視図である。 本発明に基づく棒状放電極を有する電 要素からなる低温プラズマ発生体の一例を わした部分破断斜視図である。 大きさが実施例と同一な特許文献1に基 づく比較例である低温プラズマ発生体の図1 当部分破断斜視図である。 実施例又は比較例をオゾン生成源とし 構成した比較試験用装置のブロック図であ 。 印加電圧に対する実施例及び比較例の ゾン生成量を表わす結果のグラフである。

符号の説明

 1 低温プラズマ発生体
 11 電極要素
 12 ガラスパイプ
 13 パイプ状放電極
 14 電極端子
 15 棒状放電極
 2 低温プラズマ発生体
 3 ノイズ低減用コイル

 以下、本発明の実施形態について図を参 しながら説明する。図1は本発明に基づくパ イプ状放電極13を有する電極要素11,11からな 低温プラズマ発生体1の一例を表わした部分 断斜視図であり、図2は本発明に基づく棒状 放電極15を有する電極要素11,11からなる低温 ラズマ発生体1の一例を表わした部分破断斜 図である。各例示の低温プラズマ発生体1は 、各電極要素11を構成するパイプ状絶縁体が 径1mm、内径0.6mm、長さ35mmの断面丸形のガラ パイプ12であり、導電ペーストとしてガラ フリットを混入した銀ペーストを前記ガラ パイプ12の内面に塗布した導電薄膜131をパイ プ状放電極13とした例(図1)又はガラスパイプ1 2に充填した導電中実体151を放電極15とした例 (図2)である。これから、各例においてオゾン 生成に寄与するパイプ状放電極13又は棒状放 極15の最短直交距離は、ガラスパイプ12,12を 線接触させているとして、0.4mmである。

 本発明の低温プラズマ発生体1は、例えば 図1に見られるように、パイプ状絶縁体であ ガラスパイプ12の内面に、導電ペーストとし て銀ペーストを塗布して形成される導電薄膜 131をパイプ状放電極13とする電極要素11,11を として、互い違いに向けた各電極要素11それ ぞれのパイプ状放電極13,13を並行にし、互い ガラスパイプ12,12を線接触して接合し、構 される。ガラスパイプ12をはじめとするセラ ミックスパイプ又は樹脂パイプ等のパイプ状 絶縁体は、耐熱性を備えた接着剤により前記 線接触部位を接着し、接合できる。また、本 例のガラスパイプ12又は樹脂パイプであれば 前記線接触部位を一部溶融することにより 容易に接合できる。このほか、例えば電極 子14を機械的に固定し、ガラスパイプ12,12を 線接触又は近接した位置関係及び姿勢を維持 できれば、電極要素11,11を物理的に一体にし くても構わない。

 パイプ状放電極13を構成する導電薄膜131 、ガラスパイプ12の内面に塗布された銀ペー ストを焼成して形成される。本例の低温プラ ズマ発生体1において、銀ペーストの塗布す 厚さは、およそ気泡の混入の虞がなくなる50 μm以下、好ましくは40μm以下にすることが望 しい。

 また、銀ペーストの塗布する範囲は、ガ スパイプ12の内面全域が対象になるが、本 のように対となる電極要素11,11を互い違いに 向けた場合、次のように銀ペーストの塗布す る範囲を制約することが望ましい。まず、ガ ラスパイプ12の前端(図1中手前側の電極要素11 の左端)寄りの塗布開始位置は、対となる一 (図1中奥側)の電極要素11の電極端子14と、他 (図1中手前側)の電極要素11のパイプ状放電 13の先端との間で起きる放電を防止するため 、ガラスパイプ12の前端より少し奥まった位 とすることが望ましい。本例の場合、銀ペ ストを塗布開始位置は、ガラスパイプ12の 端から8mm奥まった位置である。

 これに対し、銀ペーストの塗布終了位置 自由である。本例は、ガラスパイプ12の後 から端面、そして折り返した表面に連続し 銀ペーストを塗布し、パイプ状放電極13とな る導電薄膜131に連続する導電薄膜141を形成し 、前記導電薄膜141を電極端子14としている。 イプ状放電極13の導電薄膜131と電極端子14の 導電薄膜141とは、同じ銀ペーストにより形成 されることから、パイプ状放電極13となる導 薄膜131を形成する銀ペーストを塗布する際 前記銀ペーストをガラスパイプ12の後端か 端面、そして折り返した表面まで塗布する よい。この場合、導電薄膜131及び導電薄膜14 1について同時に銀ペーストを焼成でき、製 工程を簡略できる。また、パイプ状放電極13 は電極端子14と通電しなければならないので 導電薄膜131は電極端子14の導電薄膜141まで する必要がある。これから、好適な銀ペー トを塗布する範囲は、上記ガラスパイプ12の 前端より少し奥まった位置から、ガラスパイ プ12の後端(図1中手前側の電極要素11の右端) での範囲となる。

 本例のパイプ状放電極13は、内部に充填 た後に真空脱泡して自然硬化させた絶縁物 であるシリコーン・ポッティング材132を導 薄膜131の内側から押し当て、前記導電薄膜13 1の剥離を防止している。パイプ状放電極13の 内部に充填する絶縁物質は、導電薄膜131の剥 離を防止する観点から、絶縁性及び耐熱性を 備えていれば足りる。しかし、パイプ状放電 極13の内部に充填する絶縁物質は、硬化に伴 体積膨張がなく、また気泡を含むことなく イプ状放電極13の内部を中実にできること 望ましいことから、真空脱泡して自然硬化 せることのできるシリコーン・ポッティン 材132が好ましい。本例のシリコーン・ポッ ィング材132は、ガラスパイプ12の前端から後 端にわたって全域に充填され、ガラスパイプ 12の前記前端及び後端を封止する働きも有し いる。

 本発明の低温プラズマ発生体1によるオゾ ンの生成は、特許文献1に見られる低温プラ マ発生体(後掲図3参照)と同様で、パイプ状 電極13が対向する範囲の各ガラスパイプ12,12 表面間の放電による。ここで、パイプ状放 極13は銀ペーストの導電薄膜131を焼成して 成されるところ、前記焼成温度(例えば560℃) はガラスパイプ12を変形させることがなく(例 えば硼珪酸ガラスの軟化点は770℃)、またガ スパイプ12の寸法精度は高いため、パイプ状 放電極13からガラスパイプ12の表面までの厚 は均一で、当然材質も均一となる。これに り、本発明の低温プラズマ発生体1は、ガラ パイプ12の表面における電解強度が均一と り、ガラスパイプ12のより広い表面の範囲で 安定した放電を起こすことができる。このほ か、既述したように、本発明の低温プラズマ 発生体1は、ガラスパイプ12の内部で放電させ ないことにより、無駄な電力消費をなくし、 発熱量を抑えているので、オゾンの生成に必 要な電力消費を少なくし、オゾンの生成に寄 与するガラスパイプ12の表面の範囲を拡げて ゾンの生成量を増やし、そして生成された ゾンが熱分解される量を減らして、オゾン 成効率を向上させる。

 本発明の低温プラズマ発生体1は、図2に られるように、パイプ状絶縁体であるガラ パイプ12に、導電ペーストとして銀ペースト を充填して形成される導電中実体151を棒状放 電極15とする電極要素11,11を対として、上記 示(図1参照)同様、ガラスパイプ12,12を線接触 して接合される構成としてもよい。棒状放電 極15を構成する導電中実体151は、ガラスパイ 12に充填された銀ペーストを焼成して形成 れる。銀ペーストの充填する範囲は、上記 示同様の理由に基づき、ガラスパイプ12の前 端(図2中手前側の電極要素11の左端)より少し まった位置からガラスパイプ12の後端(図2中 手前側の電極要素11の右端)までの範囲となる 。これから、前記ガラスパイプ12の後端は、 極端子14を構成する導電薄膜141に塞がれた となる(図1中奥側の電極要素11の左端と2中奥 側の電極要素11の左端とを比較対照)。

 棒状放電極15を内蔵する電極要素11は、上 記例示のように、導電薄膜141(図1参照)の剥離 を考慮する必要がない。しかし、対となる一 方(図1中奥側)の電極要素11の電極端子14と、 方(図2中手前側)の電極要素11のパイプ状放電 極13の先端との間で起きる放電を防止するた 、銀ペーストの充填開始位置をガラスパイ 12の前端より少し奥まった位置としている とから、前記ガラスパイプ12の前端と銀ペー ストの充填開始位置との隙間に、上記例示に 用いたシリコーン・ポッティング材132を充填 し、ガラスパイプ12の前端を封止している。 状放電極15を内蔵する電極要素11からなる低 温プラズマ発生体1は、内部構造こそ上記例 と異なるが、電気的には棒状放電極15の表面 と上記例示のパイプ状放電極13とは同じであ から、上述したところと同様に、オゾン生 効率を向上させている。

 本発明の低温プラズマ発生体1(実施例、 1参照)の性能向上、特に絶縁体の内部に間隙 を形成しないことによってオゾン生成効率が 向上することを確認するため、前記実施例と 大きさが同一な特許文献1に基づく低温プラ マ発生体2(比較例)との対比試験を実施した 図3は大きさが実施例と同一な特許文献1に基 づく比較例である低温プラズマ発生体2の図1 当部分破断斜視図であり、図4は実施例又は 比較例をオゾン生成源として構成した比較試 験用装置のブロック図である。実際のオゾン 殺菌装置は、商用交流電圧を一旦直流電圧に 変換した後、昇圧及び周波数変換して得られ る高周波高電圧をオゾン生成源に印加するが 、比較試験用装置のブロック図は、図示の簡 略のため、オゾン生成源に接続される交流電 源が高周波高電圧を直接印加するものとして いる。

 実施例の低温プラズマ発生体1は、上記例 示(図1参照)の構成である。パイプ状絶縁体は 、外径1mm、内径0.6mm、長さ35mmの硼珪酸ガラス 製のガラスパイプ12である。導電ペーストは フレーク状の銀が75%、ガラスフリットが3% その他有機バインダが22%の銀ペーストであ 。パイプ状放電極13は、前記銀ペーストを40 mの厚みで、ガラスパイプ12の前端より8mm奥 った位置から後端まで連続して27mmの範囲で 布して形成される導電薄膜131からなる。電 端子14は、前記銀ペーストにより導電薄膜13 1に連続して形成される導電薄膜141からなる パイプ状放電極13は、内部に充填したシリコ ーン・ポッティング材132を真空脱泡して硬化 させ、導電薄膜131の剥離を防止すると共に、 ガラスパイプ12の前端及び後端を封止してい 。低温プラズマ発生体1は、互い違いに向き 合わせ、電極要素11,11の有効放電長(パイプ状 放電極13が対向し、実際にガラスパイプ12の 面で放電を引き起こす長さ)を11mmとした。

 比較例の低温プラズマ発生体2は、図3に られる構成である。パイプ状絶縁体は、外 1mm、内径0.55mm、長さ35mmのアルミナ99%からな セラミックスパイプ22である。棒状放電極23 は、外径0.48mm、長さ24.5mmのタングステン99.96% からなる棒状導電体231で、セラミックスパイ プ22の前端より11mm奥まった位置から後端に突 出する範囲で前記セラミックスパイプ22に差 込んでいる。電極端子26は、前記棒状導電 231がセラミックスパイプ22の後端から突出す る部位を利用している。電極要素21は、セラ ックスパイプ22の前端に、硼珪酸ガラスか なる先端封止ガラス232を充填し、封止して る。図3から明らかなように、セラミックス イプ22の内部には、前記セラミックスパイ 22の内面と棒状放電極23の表面との間や、先 封止ガラス232と棒状放電極23の先端との間 、間隙234がある。低温プラズマ発生体2は、 極要素21,21を互い違いに向き合わせ、隣り うセラミックスパイプ22の前端及び後端を無 機セラミックス系の端部接合ボンド24で一体 接合し、更に硼珪酸ガラスをボンド保護ガ ス232として前記端部接合ボンド24を被覆し 保護している。電極要素21,21の有効放電長は 13mmとした。

 比較試験用装置は、実施例又は比較例を ゾン生成源として計測用筐体42に取り付け 各電極端子14,26に接続したノイズ低減用コイ ル3,3を介して高電圧交流電源41から延びる給 線を接続し、周波数24kHz~26kHzの条件(電圧の 圧に伴う周波数変動がある)で、電圧3.5kV~5.0 kVの範囲で前記オゾン生成源に高周波高電圧 印加する。実施例は、電極端子14にノイズ 減用コイル3,3の端子をハンダ付けにより、 た比較例は、電極端子26にノイズ低減用コイ ル3,3の端子を導電クリップにより接続してい る。印加電圧の電圧値は、給電線にプローブ 431を当て、オシロスコープ43により計測した 高周波低減コイル3は、オゾン生成源での放 電により発生し、高電圧交流電源41に向けた 周波電流を遮断し、給電線から外部へと高 波ノイズが放射されないようにするもので 実際のオゾン殺菌装置において使用するこ から、試験態様をできるだけ実際に近づけ 観点から、追加している。計測用筐体42は 外部から空気を取り込む吸気口のほか、生 したオゾンを排出する排気口のみを設けた 密閉容器である。オゾンの生成量は、前記 気口に吸引パイプ441を介して接続したオゾ 濃度計44により計測した。

 印加電圧に対する実施例及び比較例のオ ン生成量を表わす結果のグラフを図5に示す 。比較例は、例えば印加電圧4.4kV(比較例をオ ゾン生成源として用いるオゾン殺菌装置にお ける標準印加電圧)で3.5mg/hのオゾン生成量で るのに対し、実施例は、同じ印加電圧4.4kV 7.4mg/hのオゾン生成量が認められた。これか 、比較例をオゾン生成源として用いるオゾ 殺菌装置における標準印加電圧である印加 圧4.4kVでは、本発明の低温プラズマ発生体1 オゾン生成効率は、特許文献1の低温プラズ マ発生体2に比べ、およそ2倍のオゾン生成効 を有することが確認された。実施例と比較 とは同じ大きさであり、オゾン生成源とし 置き換えが可能であることから、本発明の 温プラズマ発生体1を、特許文献1の低温プ ズマ発生体2と置き換えるだけで、既存のオ ン殺菌装置におけるオゾン生成効率を容易 向上させることができる。

 また、印加電圧の変化に対するオゾン生 量の変化を比較した場合、比較的低い印加 圧では実施例と比較例との差は大きくない のの、印加電圧を高くしていくにつれて、 施例はオゾン生成量を大きく増加させてい のに対し、比較例はオゾン生成量をあまり 加させず、両者のオゾン生成量の差は次第 大きくなっている。これは、実施例はガラ パイプ12の内部で放電がないことから、印 電圧の増加がそのままオゾン生成量の増加 繋がっているのに対し、比較例はセラミッ スパイプ22の内部で放電が生じて電力消費の 無駄があり、また発熱量の増加も実施例に比 べて大きいため、オゾン生成量の増加が抑制 的だと考えられる。これから、特許文献1の 温プラズマ発生体2をオゾン生成原とするオ ン殺菌装置は、複数基の低温プラズマ発生 2を選択的に作動させてオゾン生成量を加減 するほかないが、本発明の低温プラズマ発生 体1をオゾン生成原とするオゾン殺菌装置は 単基の低温プラズマ発生体1に対する印加電 を加減するだけでオゾン生成量を容易に加 できる。このように、本発明は、低温プラ マ発生体によるオゾン生成効率を向上させ と共に、オゾン生成量の加減をも容易に実 する効果を有する。