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Title:
LUBRICANT COMPOSITION FOR CHAIN AND CHAIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075131
Kind Code:
A1
Abstract:
A lubricant composition for chains which, when adhered to sliding surfaces of a chain, has both adequate resistance to the centrifugal force applied to the chain and flowability, and which is inhibited from flowing out and shows satisfactory lubricating/antiwear performance over long. Also provided is a chain. The chain (1) is one obtained by alternately connecting a pair of outer plates (4, 4) connected to each other with pins (5, 5) and a pair of inner plates (2, 2) connected to each other with bushes (3, 3), into each of which the adjoining one of the pins (5, 5) of the adjoining pair of outer plates (4, 4) has been fitted. Constituent parts of the chain have the lubricant composition for chains which is adherent to the outer surface and inner surface thereof. The composition comprises 95-80 mass% lubricant which is liquid at ordinary temperature and 5-20 mass% wax which is solid at ordinary temperature and has a consistency of 60-475 and a dropping point of 60-120°C.

Inventors:
TANAKA KOJI
Application Number:
PCT/JP2008/067001
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
September 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TSUBAKIMOTO CHAIN CO (JP)
TANAKA KOJI
International Classes:
C10M169/02; C10M101/02; C10M119/02; F16G13/02; C10N30/06; C10N40/32; C10N50/10
Foreign References:
JPS5679194A1981-06-29
JPH07126679A1995-05-16
JPH10246230A1998-09-14
JPH11351338A1999-12-24
Other References:
See also references of EP 2236592A4
Attorney, Agent or Firm:
KOHNO, Takao (4-3 Tsuriganecho 2-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 35, JP)
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Claims:
 常温で液体である潤滑剤95~80質量%と、
 常温で固体であるワックス5~20質量%と
 を含み、
 ちょう度が60以上475以下であり、滴点が60℃以上120℃以下であることを特徴とするチェーン用潤滑剤組成物。
 ちょう度が95以上385以下であり、滴点が77℃以上120℃以下である請求項1に記載のチェーン用潤滑剤組成物。
 前記潤滑剤はパラフィン系の鉱物油であり、
 前記ワックスはポリエチレンワックスであり、平均分子量が900以上8000以下である請求項1又は2に記載のチェーン用潤滑剤組成物。
 2つのブシュにより連結された一対の内プレートと、相隣る内プレートの相隣るブシュに挿通された2つのピンにより連結された一対の外プレートとを交互に連結してなるチェーンにおいて、
 面に、請求項1乃至3のいずれかに記載のチェーン用潤滑剤組成物を付着してなることを特徴とするチェーン。
Description:
チェーン用潤滑剤組成物及びチ ーン

 本発明は、チェーン用潤滑剤組成物、及 該チェーン用潤滑剤組成物を面に付着して るチェーンに関する。

 従来、動力伝達機構及び搬送機構として ブシュチェーン、ローラチェーン等のチェ ンが用いられている。ブシュチェーンは、 端部が2本のピンにより連結される一対の外 プレートと、二対の外プレートの相隣る側の ピンを内嵌させるように2つのブシュが両端 に設けられた、一対の内プレートとを交互 連結して構成されている。ローラチェーン 場合、ブシュに外嵌されたローラをさらに えている。

 前記ブシュは円筒状を有する。ブシュに 、帯鋼を切断した矩形母材を成形機等によ 円筒状に捲き加工してなる捲きタイプ、鍛 等により成形され、母線状継ぎ目がない円 状部材を用いてなるシームレスタイプ、金 焼結体からなる焼結タイプ等がある。捲き イプ、及びシームレスタイプのブシュにお ては、耐摩耗性を向上させるために、通常 該ブシュと前記ピンとの間、該ブシュとロ ラとの間の摺動面に潤滑剤を介在させてい 。焼結タイプのブシュには、該ブシュの気 に潤滑油を含浸させている。

 前記潤滑剤として、通常、粘度分類で、S AE(アメリカ合衆国自動車技術会)のNo.10~50(エ ジン油:ISO VG(国際標準化機構 粘度分類)22~32 0相当)のグレードに属し、常温で液体である のが多用されている。

 ブシュが捲きタイプである場合、矩形母材 捲き加工するときの突き合わせ部が継ぎ目 なって残存するため、ブシュにピンを挿通 てチェーンを構成し、前記潤滑剤を使用し ときに、前記継ぎ目から潤滑剤が流出し、 摩耗伸び寿命が短いという問題があった。
 潤滑剤の流出を緩和する目的で、特許文献1 には、内周面に盲溝を複数設けたブシュの発 明が開示されている。しかし、特許文献1の シュの場合においても、チェーンにかかる 心力等の影響により、盲溝に保持された潤 剤が継ぎ目に流動し易く、この盲溝から流 した潤滑剤が継ぎ目の長手方向の端部から 時間で外部へ流出し、ブシュに、長時間に って潤滑剤が保持され得ず、潤滑耐摩耗性 を維持することができないという問題があ た。

 特許文献2には、シームレスタイプのブシ ュにおいて、内周面に盲溝を複数設けたもの が開示されている。このブシュにおいては、 継ぎ目に起因する潤滑剤の損失はないが、ブ シュの軸方向の両端側の開口部から潤滑剤が 漏出するのを十分に抑制することはできない という問題があった。

 焼結タイプのブシュの場合、上述したよう 、常温液体の潤滑剤を気孔に含浸保持させ ことで、チェーンにかかる遠心力による飛 を抑制している。そして、揺動に伴うピン のポンプ作用によりブシュの気孔から吸い され、摩擦熱に起因する膨張により溢出し 潤滑剤が、ピンとの摺動部分において、油 を形成し、この油膜によって、ピンの焼き け等が抑制されている。揺動が停止すれば 温度降下により潤滑剤は再び気孔に吸い込 れるので、潤滑剤には気孔の径に対応して 入りすることができる流動性が必要とされ おり、潤滑剤は外部にも流出しやすく、潤 剤のロスが多いという問題があった。
 以上のように、潤滑剤を物理的に保持させ 機構の検討が種々、なされてきた。

 また、軸受用潤滑剤組成物の発明として、 許文献3には、超高分子量ポリエチレン又は 低分子量ポリエチレンと、これらの融解温度 より高い滴点を有する潤滑グリースとを配合 してなる軸受用潤滑剤組成物の発明が開示さ れている。特許文献4には、潤滑グリース、 高分子量ポリオレフィン、及び油の溢出抑 剤を混合してなる軸受用固形潤滑剤の発明 開示されている。

特開平8-277886号公報

特開2007-218430号公報

特公昭63-23239号公報

特開平9-268298号公報

 チェーンの軸受であるブシュは、モータ の高速回転運動をする軸の軸受と異なり、 般的に、ピン(又は軸)との摺動が低速、高 圧であり、かつピンが揺動運動をする。前 特許文献3及び4の潤滑剤組成物の場合、超高 分子量ポリオレフィン又は低分子量ポリエチ レンと、それらの融解温度より高い滴点を有 する潤滑グリースとを配合して固化させてい るため、チェーンに用いたとき、チェーン運 動、すなわち揺動のような大きな動きに対し て、潤滑剤は復元されずに、外部へ飛散して ロスがあり、摺動熱が、潤滑剤が融解する温 度に達した時点では、摩耗がすでに促進され ているという問題があった。

 本発明は、斯かる事情に鑑みてなされた のであり、摺動面に付着させることにより チェーンにかかる遠心力に対する適切な抗 と流動性とが得られ、流出(ロス)が抑制さ るので、長時間に亘って、良好な潤滑耐摩 性能が発揮されるチェーン用潤滑剤組成物 及びチェーンを提供することを目的とする

 また、本発明は、パラフィン系の鉱物油 、平均分子量が900以上8000以下であるポリエ チレンワックスを配合することにより、流出 がより抑制され、より良好な潤滑耐摩耗性能 が発揮され、チェーンが、より良好な耐摩耗 伸び寿命を有するチェーン用潤滑剤組成物を 提供することを目的とする。

 第1発明に係るチェーン用潤滑剤組成物は 、常温で液体である潤滑剤95~80質量%と、常温 で固体であるワックス5~20質量%とを含み、ち う度が60以上475以下であり、滴点が60℃以上 120℃以下であることを特徴とする。

 ここで、常温とは、温度が25℃である場合 いう。
 本発明においては、潤滑剤組成物をチェー の面に付着させることにより、ブシュとピ との摺動面等に該潤滑剤組成物が介在する で、チェーンにかかる遠心力に対する適切 抗力と流動性とが得られ、潤滑剤組成物の 散によるロス(流出)が抑制され、長時間に って、良好な潤滑耐摩耗性能が発揮される

 第2発明に係るチェーン用潤滑剤組成物は 、第1発明において、ちょう度が95以上385以下 であり、滴点が77℃以上120℃以下であること 特徴とする。

 本発明においては、潤滑剤組成物のちょ 度及び滴点がより適切であるので、潤滑剤 成物が摺動面に介在する場合に、より適切 抗力と流動性とが得られ、潤滑剤組成物の 出がより抑制され、より長時間に亘って、 好な潤滑耐摩耗性能が発揮される。

 第3発明に係るチェーン用潤滑剤組成物は 、第1又は第2発明において、前記潤滑剤はパ フィン系の鉱物油であり、前記ワックスは リエチレンワックスであり、平均分子量が9 00以上8000以下であることを特徴とする。

 本発明においては、潤滑剤組成物が摺動面 介在する場合、より適切な抗力と流動性と 得られ、潤滑剤組成物の流出がさらに抑制 れるので、さらに長時間に亘って、良好な 滑耐摩耗性能が発揮される。
 また、潤滑剤組成物をブシュとピンとの間 浸透させるのに長時間を要さず、作業性が 好である。

 第4発明に係るチェーンは、2つのブシュ より連結された一対の内プレートと、相隣 内プレートの相隣るブシュに挿通された2つ ピンにより連結された一対の外プレートと 交互に連結してなるチェーンにおいて、面 、第1乃至第3発明のいずれかのチェーン用 滑剤組成物を付着してなることを特徴とす 。

 本発明においては、摺動面に本発明の潤 剤組成物が介在するので、使用時に、良好 潤滑耐摩耗性能が発揮され、良好な耐摩耗 び寿命を有する。

 第1発明及び第4発明によれば、潤滑剤組 物が摺動面に介在するので、チェーンにか る遠心力に対する抗力と流動性とが得られ 潤滑剤組成物の飛散によるロスが抑制され 長時間に亘って、良好な潤滑耐摩耗性能が 揮される。従って、チェーンは良好な耐摩 伸び寿命を有する。

 第2発明及び第3発明によれば、潤滑剤組 物をチェーンの摺動面に介在させた場合に 潤滑剤組成物の流出がより抑制され、より 好な潤滑耐摩耗性能が発揮されるので、チ ーンはより良好な耐摩耗伸び寿命を有する

本発明の実施例1に係るローラチェーン タイプのチェーンを示す一部斜視図である。 実施例1乃至3、及び比較例1の潤滑剤組 物について、温度と絶対粘度との関係を調 た結果を示すグラフである。 実施例2、4、6、及び比較例3の潤滑剤組 成物について、温度と絶対粘度との関係を調 べた結果を示したグラフである。 ワックスの配合量と、滴点及びちょう との関係を示したグラフである。

符号の説明

 1 チェーン
 2 内プレート
 2a 穴
 3 ブシュ
 4 外プレート
 4a 穴
 5 ピン
 6 ローラ

 以下、本発明をその実施の形態を示す図面 基づき具体的に説明する。
 本発明に係るチェーン用潤滑剤組成物(以下 、潤滑剤組成物という)は、常温で液体であ 潤滑剤95~80質量%と、常温で固体であるワッ ス5~20質量%とを含み、ちょう度が60以上475以 であり、滴点が60℃以上120℃以下である。
 ちょう度は95以上385以下であり、滴点が77℃ 以上120℃以下であるのがより好ましい。

 前記潤滑剤としては、鉱物油、合成炭化 素(ポリ-α-オレフィン:PAO)、ヒンダードエス テル(ポリオールエステル)、ポリフェニルエ テル油、ポリアルキレングリコール油、ジ ステル油、リン酸エステル油、シリコーン 、ケイ酸エステル、フルオロカーボン、動 物油等が挙げられる。中でも、鉱物油、ヒ ダードエステル等が好ましい。

 前記ワックスとしては、パラフィンワッ ス,マイクロクリスタリンワックス,ペトロ タム等の石油ワックスと、ポリエチレンワ クス,フィッシャー・トロプシュワックス等 合成ワックスと、脂肪酸アマイド,脂肪酸エ ステル等の油脂系合成ワックスと、蜜ロウ, ノリン等の動物系ワックス、カルナウバワ クス,ライスワックス等の植物系ワックス、 びモンタンワックス,オゾケライト等の鉱物 系ワックスからなる天然ワックスとが挙げら れる。

 本発明に係る潤滑剤組成物は、付加機能 付与するために、必要に応じ、油性剤、防 剤、酸化防止剤、極圧剤、消泡剤等の添加 を1種又は2種以上、組み合わせて添加する とができる。この添加剤は、潤滑剤組成物 体に対し、0質量%超過10質量%以下含まれるの が好ましい。

 前記油性剤としては、ステアリン酸、オレ ン酸等の長鎖脂肪酸、及びその塩が挙げら る。
 前記防錆剤としては、カルボン酸、カルボ 酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル類等 挙げられる。

 前記酸化防止剤としては、DBPC(2,6-ジ-t-ブチ パラクレゾール)、フェニル-α-ナフチルア ン、ジアリルジチオリン酸亜鉛、ベンゾト アゾール等が挙げられる。
 前記極圧剤としては、ジアルキルポリスル ィド、アルキルリン酸エステル、アルキル オリン酸亜鉛等が挙げられる。
 前記消泡剤としては、ジメチルポリシロキ ン等が挙げられる。

 本発明のチェーンとしては、ブシュチェ ン、ローラチェーン等が挙げられる。

 以下、本発明の実施例及び比較例につき 体的に説明するが、本発明はこの実施例に 定されるものではない。

[実施例1]
 図1は、本発明の実施例1に係るローラチェ ンタイプのチェーン1を示す一部斜視図であ 。
 チェーン1の内プレート2及び外プレート4は 長円形の平板な部材の中央部両側縁に内側 向かう円弧状の窪みを形成し、長円の両極 傍に穴2a,2a及び穴4a,4aをそれぞれ開設した略 8の字型を有しており、プレート幅及び開設 てある穴の直径は外プレート4より内プレー 2の方が大きい。内プレート2の2つの穴2a,2a は、円筒状のブシュ3,3の一端がそれぞれし りばめしてあり、ブシュ3,3の他端を他方の プレート2の穴2a,2aにしまりばめすることに って内プレート2,2が連結されている。ブシ 3,3には該ブシュ3,3の外径より大きな内径を する筒状のローラ6,6が回転自在に外嵌され いる。本実施例において、ブシュ3としては 捲きタイプのものを用いた。

 そして、一方の外プレート4の2つの穴4a,4aに は、円柱状のピン5,5の一端がそれぞれしまり ばめされている。ピン5,5は、直径がブシュ3,3 の内径より小さく、長さが内プレート2,2間の 距離より長い。
 ピン5,5を、隣り合う内プレート2,2の隣り合 ブシュ3,3に挿通した状態で、ピン5,5の他端 他方の外プレート4の穴4a,4aにしまりばめす ことで、外プレート4,4と2組の内プレート2,2 とが連結される。以上のように、外プレート 4,4と内プレート2,2とが交互に連結されること で、チェーン1が構成される。
 チェーン1のサイズは、「JIS B1801-1895」の呼 び番号80に相当する。

 このチェーン1の構成部品の外面及び内面 に付着させる潤滑剤組成物として、「ダイア ナフレシア P430」(パラフィン系鉱物油/平均 子量1171:出光興産株式会社製)85質量%と、「 井ハイワックス110P」(ポリエチレンワック /平均分子量1000,融点109℃(DSC法):三井化学株 会社製)15質量%とを配合した。この配合物を 点以上に加温し、前記チェーン1を5~10分浸 して、前記潤滑剤組成物が外面及び内面に 着された、実施例1のチェーン1を得た。

[実施例2]
 潤滑剤組成物に含有されるワックスとして 「三井ハイワックス320P」(ポリエチレンワ クス/平均分子量3000,融点109℃(DSC法):三井化 株式会社製)15質量%を配合したこと以外は、 施例1と同様にして、実施例2のチェーンを 製した。

[実施例3]
 潤滑剤組成物に含有されるワックスとして 「三井ハイワックス720P」(ポリエチレンワ クス/平均分子量7200,融点113℃(DSC法):三井化 株式会社製)15質量%を配合したこと以外は、 施例1と同様にして、実施例3のチェーンを 製した。

[実施例4]
 潤滑剤組成物として、「コスモニュートラ 150」(パラフィン系鉱物油/平均分子量410:コ モ石油ルブリカンツ株式会社製)85質量%と、 前記「三井ハイワックス320P」15質量%とを配 したこと以外は、実施例1と同様にして、実 例4のチェーンを作製した。

[実施例5]
 潤滑剤組成物のワックスとして、前記「三 ハイワックス720P」15質量%を配合したこと以 外は、実施例4と同様にして、実施例5のチェ ンを作製した。

[実施例6]
 潤滑剤組成物として、「コスモニュートラ 500」(パラフィン系鉱物油/平均分子量521:コ モ石油ルブリカンツ株式会社製)85質量%と、 前記「三井ハイワックス320P」15質量%とを配 したこと以外は、実施例1と同様にして、実 例6のチェーンを作製した。

[実施例7]
 潤滑剤組成物のワックスとして、前記「三 ハイワックス720P」15質量%を配合したこと以 外は、実施例6と同様にして、実施例7のチェ ンを作製した。

[実施例8]
 潤滑剤組成物のワックスとして、「三井ハ ワックス800P」(ポリエチレンワックス/平均 子量8000,融点127℃(DSC法):三井化学株式会社 )5質量%と、「三井ハイワックス320P」10質量% を配合したこと以外は、実施例1と同様にし て、実施例8のチェーンを作製した。

[実施例9]
 潤滑剤組成物のワックスとして、前記「三 ハイワックス800P」10質量%と、「三井ハイワ ックス320P」5質量%とを配合したこと以外は、 実施例1と同様にして、実施例9のチェーンを 製した。

[実施例10]
 潤滑剤組成物として、前記「ダイアナフレ ア P430」93質量%と、「三井ハイワックス220P 」(ポリエチレンワックス/平均分子量2000,融 110℃(DSC法):三井化学株式会社製)7質量%とを 合したこと以外は、実施例1と同様にして、 施例10のチェーンを作製した。

[実施例11]
 潤滑剤組成物として、「ダイアナフレシア P430」90質量%と、「三井ハイワックス220P」10 量%を配合したこと以外は、実施例1と同様 して、実施例11のチェーンを作製した。

[実施例12]
 潤滑剤組成物として、「ダイアナフレシア P430」85質量%と、「三井ハイワックス220P」15 量%を配合したこと以外は、実施例1と同様 して、実施例12のチェーンを作製した。

[実施例13]
 潤滑剤組成物として、「ダイアナフレシア P430」80質量%と、「三井ハイワックス220P」20 量%とを配合したこと以外は、実施例1と同 にして、実施例13のチェーンを作製した。

[実施例14]
 潤滑剤組成物として、ヒンダードエステル9 0質量%と、「三井ハイワックス220P」10質量%と を配合したこと以外は、実施例1と同様にし 、実施例14のチェーンを作製した。

[実施例15]
 潤滑剤組成物として、「ダイアナフレシア P430」相当品のブライトストック油90質量%と 「HNP-10」(パラフィンワックス/平均分子量59 2,融点75℃:日本精鑞株式会社製)10質量%とを配 合したこと以外は、実施例1と同様にして、 施例15のチェーンを作製した。

[比較例1]
 ワックスは配合せず、前記「コスモニュー ラル150」を用いたこと以外は、実施例1と同 様にして、比較例1のチェーンを作製した。

[比較例2]
 ワックスは配合せず、前記「コスモニュー ラル500」を用いたこと以外は、実施例1と同 様にして、比較例2のチェーンを作製した。

[比較例3]
 ワックスは配合せず、前記「ダイアナフレ ア P430」を用いたこと以外は、実施例1と同 様にして、比較例3のチェーンを作製した。

[比較例4]
 潤滑剤組成物として、「ダイアナフレシア P430」90質量%と、ステアリン酸アマイド10質 %とを配合したこと以外は、実施例1と同様に して、比較例4のチェーンを作製した。

[比較例5]
 潤滑剤組成物に含有されるワックスとして 前記「三井ハイワックス800P」15質量%を配合 したこと以外は、実施例1と同様にして、比 例5のチェーンを作製した。

[比較例6]
 潤滑剤組成物として、前記「ダイアナフレ ア P430」96.5質量%と、「三井ハイワックス22 0P」3.5質量%とを配合したこと以外は、実施例 1と同様にして、比較例6のチェーンを作製し 。

 実施例1乃至15、比較例4乃至6の潤滑剤組成 につき、ちょう度及び滴点を測定した。そ 結果を下記の表1に示す。ちょう度は、「石 ワックス(JIS K 2235)」、及び「グリース(JIS K 2220)」のちょう度の測定方法に準じ、各潤 滑剤組成物を125℃まで加温し、25℃まで放冷 、試料中に規定の円錐が進入する深さを測 して求めた。
 滴点の測定は、「グリース(JIS K 2220)」の 点の測定方法に準じて行った。

 実施例1乃至3、及び比較例3の潤滑剤組成物 ついては、温度と絶対粘度との関係を調べ 結果を図2のグラフに、実施例4、6、及び比 例3の潤滑剤組成物については、温度と絶対 粘度との関係を調べた結果を図3のグラフに す。図3には、実施例2の測定結果も示してあ る。
 絶対粘度は、音叉型振動式粘度測定装置を い、120℃まで加温した後、自然放冷して求 た。
 比較例1乃至3の潤滑剤組成物については、40 ℃の動粘度(mm /s)を測定した。その結果を上記表1に示す。

 実施例1乃至15、及び比較例3乃至5に係るチ ーンの耐摩耗伸び寿命を評価するために、 下の性能評価試験を行った。
 雰囲気温度を室温とし、各チェーンを2つの スプロケット(歯数:17T)に無端状に懸回し、一 方のスプロケットの中心から、他方のスプロ ケットに向かう方向と反対の方向に負荷荷重 (面圧1.27kN/cm 、すべり速度16.2m/min)をかけた状態で、毎分65 0回転で回転させ、各チェーンの摩耗伸び量 1.0%になるまでの運転時間を測定した。その 果を上記の表1に示す。

 チェーンの外面及び内面に潤滑剤を付着 せていない場合の摩耗伸び時間は略20時間 ある。比較例1及び2については、それぞれ試 験開始後5時間、10時間で潤滑剤組成物がほぼ 消失するのが確認されているので、前記20時 に、潤滑剤組成物がほぼ消失するまでの時 を加えた時間より少し長くした、28時間、33 時間がそれぞれ摩耗伸び時間として推定され る。比較例6については、上記の試験を行っ いないが、ちょう度が測定できないほど柔 かく、潤滑剤組成物が流出しやすいので、 耗伸び時間は略60時間を大きく下回ると推定 される。

 実施例1乃至15と、比較例1乃至3、及び6とを 較することにより、常温で液体である潤滑 95~80質量%と、常温で固体であるワックス5~20 質量%とを配合してなり、ちょう度が60以上475 以下であり、滴点が60℃以上120℃以下である 滑剤組成物をチェーンの外面及び内面に付 させている実施例1乃至15のチェーンは、摩 伸び時間が58時間を超え、耐摩耗寿命が向 していることが分かる。
 これは、実施例1乃至15に係る潤滑剤組成物 摺動面に介在する場合、チェーンにかかる 心力に対する適切な抗力と流動性とが得ら 、潤滑剤組成物の飛散によるロスが抑制さ 、長時間に亘って、良好な潤滑耐摩耗性能 発揮されるためと考えられる。
 そして、実施例1乃至15に係る潤滑剤組成物 滴点は、潤滑剤組成物の融解温度(融点)よ 低い温度であり、潤滑剤組成物は融解する 度に達するまでに適度の流動性を有し、ロ することなく潤滑性能を発揮する。
 なお、本実施例のチェーンは、全ての面に 実施例の潤滑剤組成物が付着されているの 、潤滑耐摩耗性能が良好であるとともに、 錆性も良好である。

 表1及び図2において、実施例1乃至3、並び に比較例3を比較することにより、実施例1乃 3は、ワックスを配合していない比較例3よ 摩耗伸び時間が向上していることが分かる そして、潤滑剤、ワックスの種類が同一で り、潤滑剤及びワックスの配合量が同一で る場合、ワックスの分子量が増加するのに い、絶対粘度及び滴点が高くなり、チェー の摺動面に付着させた場合、摩耗伸び時間 長くなることが分かる。

 比較例4及び5の場合、表1に示すように、 耗伸び時間はそれぞれ、59時間、155時間と 好であるが、比較例4の場合、潤滑剤組成物 滴点が132.8℃であり、比較例5の場合、平均 子量が8000であるワックスを15質量%含んだ潤 滑剤組成物のちょう度が測定できないほど硬 く、滴点が120℃と高いため、潤滑剤組成物が ブシュとピンとの間に浸透するのに長時間を 要して作業性が悪い。そして、チェーンを浸 漬処理するときの温度が高くなるため、潤滑 剤組成物が熱劣化しやすくなる。また、チェ ーンの使用時にチェーンの屈曲抵抗が大きく なり、チェーンが屈曲しにくくなるので、実 使用に向かないという問題がある。従って、 潤滑剤組成物は滴点が120℃以下であるものを 用いる。そして、ワックスとしては、平均分 子量が8000未満であるポリエチレンワックス 用いるのが好ましい。

 平均分子量が8000である「三井ハイワック ス800P」を用いる場合、実施例8及び9の潤滑剤 組成物のように、平均分子量が3000である「 井ハイワックス320P」と混合することで、得 れる潤滑剤組成物が、ちょう度が測定でき 程度の柔らかさを有し、ブシュとピンとの に容易に浸透することができ、作業性が良 になる。そして、摩耗伸び時間も長く、耐 耗寿命が長い。

 実施例4と5とを、実施例6と7とをそれぞれ 比較した場合、潤滑剤、及びワックスの種類 が同一であり、潤滑剤及びワックスの配合量 が同一であるとき、ワックスの分子量が増加 するのに従い、チェーンの摺動面に付着させ た場合、摩耗伸び時間が長くなることが分か る。

 表1及び図3において、実施例2、4及び6を 較することにより、同一のワックスを用い 潤滑剤及びワックスの配合量が同一である 合、潤滑剤の分子量が増加するのに従い、 対粘度及び滴点が高くなり、チェーンの摺 面に付着させた場合、摩耗伸び時間が長く ることが分かる。

 図4は、実施例10乃至13、及び比較例6の性状 分析結果に基づき、ワックスの配合量と、 点及びちょう度との関係を表したグラフで る。
 図4、並びに表1における実施例10乃至13、及 比較例6の性能評価結果を比較することによ り、ワックスの配合量が増加するのに従い、 ちょう度が小さく、すなわち硬くなり、かつ 滴点が高くなり、チェーンの摺動面に付着さ せた場合、摩耗伸び時間が概ね長くなること が分かる。

 ワックスの質量%が20を超える場合、潤滑剤 成物のコストが高くなる。
 ワックスの質量%が5未満である場合、潤滑 組成物のちょう度が測定できなくなる程、 らかくなり、流出しやすくなって摩耗伸び 間が短くなるので、ワックスは潤滑剤組成 中に、5質量%以上20質量%以下含有させる。

 表1において、実施例11と実施例14とを比較 ることにより、同一のワックスを配合した 合、潤滑剤としてパラフィン系鉱物油を含 実施例11の方が、ヒンダードエステルを含む 実施例14より摩耗伸び時間が長いことが分か 。
 また、潤滑剤として「ダイアナフレシア P4 30」相当品のブライトストック油を、ワック としてパラフィンワックスを配合した実施 15は、ポリエチレンワックスを配合した実 例11より摩耗伸び時間が短くなっていること が分かる。

 表1、及び図4より、滴点が60℃以上である 場合、潤滑剤組成物の流出が抑制されるため 、摩耗伸び時間が略60時間を超えることが分 る。滴点が120℃を超える場合、上述した比 例4のように、作業性が悪くなるので、滴点 は120℃以下とする。

 潤滑剤組成物が柔らかすぎる場合、摺動時 流出によるロスがあり、潤滑剤組成物が硬 ぎる場合、比較例5のように潤滑剤組成物が ブシュとピンとの間に浸透するのに長時間を 要して作業性が悪くなるので、ちょう度は60 上475以下であるのが好ましく、95以上385以 であるのがより好ましい。
 そして、表1より、ちょう度がより大きく、 すなわち潤滑剤組成物がより柔らかい場合、 滴点がより高くなるように設計することで、 摩耗伸び時間が長くなるように制御できるこ とが分かる。

 なお、前記実施例においては、本発明に係 潤滑剤組成物にチェーン1を浸漬することに より、該潤滑剤組成物をチェーン1の外面及 内面に付着させた場合につき説明している これに限定されるものではなく、塗布等に りチェーンの面に潤滑剤組成物を付着させ もよい。
 また、前記実施例においては、捲きタイプ ブシュ3を有するチェーン1の面に、本発明 係る潤滑剤組成物を付着させた場合につき 明しているがこれに限定されるものではな 、シームレスタイプのブシュ、及び内周面 盲溝が設けられたブシュ等を有するチェー の面に付着させることにしてもよい。
 そして、チェーンはローラチェーンタイプ 限定されるものではなく、ブシュチェーン イプであってもよい。

 本発明は、動力伝達機構及び搬送機構等 用いられるブシュチェーン、ローラチェー 等のタイプのチェーンに適用することが可 である。