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Title:
LUBRICANT COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/125551
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lubricant composition exhibiting excellent metal fatigue resistance and load-carrying capacity, while having improved fuel efficiency. The lubricant composition contains (A) a mineral oil-containing base oil composed of one or more mixtures and having a kinematic viscosity at 40˚C of 5-15 mm2/s, and (B) an ester-containing base oil composed of one or more mixtures and having a kinematic viscosity at 40˚C of 3-25 mm2/s and a kinematic viscosity at 0˚C of 10-130 mm2/s. The base oil obtained by mixing the component (A) and the component (B) has a kinematic viscosity at 40˚C of not more than 18 mm2/s, and an ester-containing base oil blending ratio of 0.5-80% by mass. The composition has a kinematic viscosity at 40˚C of 4-23 mm2/s.

Inventors:
KOMATSUBARA HITOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001457
Publication Date:
October 15, 2009
Filing Date:
March 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
KOMATSUBARA HITOSHI (JP)
International Classes:
C10M111/02; C10M169/04; C10M101/02; C10M105/32; C10M105/34; C10M145/14; C10N20/02; C10N20/04; C10N30/02; C10N30/06; C10N30/08; C10N40/04; C10N40/12; C10N40/25; C10N40/30
Domestic Patent References:
WO2004069967A12004-08-19
WO2005095556A12005-10-13
Foreign References:
JP2004277712A2004-10-07
JPH11293266A1999-10-26
JP2000001682A2000-01-07
JP2004262979A2004-09-24
JPH11286696A1999-10-19
JP2003514099A2003-04-15
Other References:
See also references of EP 2261309A4
Attorney, Agent or Firm:
MORITA, NOBUYUKI (JP)
Yoriyuki Morita (JP)
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Claims:
 (A)1種または2種以上の混合物からなる、40℃における動粘度が5~15mm 2 /sの鉱油系基油、および(B)1種または2種以上の混合物からなる、40℃における動粘度が3~25mm 2 /s、0℃における動粘度が10~130mm 2 /sのエステル系基油を含有し、(A)成分と(B)成分の混合基油の40℃における動粘度が18mm 2 /s以下で、かつエステル系基油配合率が0.5~80質量%であり、潤滑油組成物の40℃における動粘度が4~23mm 2 /sであることを特徴とする潤滑油組成物。
 前記(B)エステル系基油がモノエステルであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
 前記(B)エステル系基油の粘度指数が170以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
 (C)重量平均分子量7万以下のポリメタクリレート系粘度指数向上剤を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
 請求項1~4のいずれかに記載の潤滑油組成物からなる変速機油組成物。
Description:
潤滑油組成物

 本発明は、潤滑油組成物に関し、詳しく 、優れた粘度温度特性及び低温流動性を有 、かつ優れた疲労防止性、耐荷重性を有す 潤滑油組成物、特に自動変速機及び/又は無 段変速機、並びに内燃機関に好適な潤滑油組 成物に関する。

 従来から自動変速機や手動変速機及び内 機関に使用される潤滑油には、熱酸化安定 、耐摩耗性、疲労防止性等の各種耐久性向 や省燃費性向上のための粘度温度特性の向 、低温粘度低減、低温流動性の向上等の低 粘度特性の向上が要求されており、このよ な性能を向上させるために、基油に適宜、 化防止剤、清浄分散剤、摩耗防止剤、摩擦 整剤、シール膨潤剤、粘度指数向上剤、消 剤、着色剤等の各種添加剤が配合された潤 油が使用されている。

 最近の変速機・エンジン油には省燃費化 軽量小型化や高出力化が望まれており、さ に変速機においては組み合わされるエンジ の高出力化に伴い、動力伝達能力の向上が 求されている。そのため、これらに使用さ る潤滑油には、製品粘度や基油粘度を低減 たうえで、高い潤滑性能を維持し、ベアリ グ、歯車等の表面における摩耗・疲労等を 止する性能が要求される。また、自動変速 や無段変速機は-10℃以下の寒冷地で使用さ ることが想定され、低温始動性の向上や低 時の燃費向上の目的で、より一層の低温性 の向上が求められている。一般的には、省 費性を向上するためには、基油粘度を低減 、粘度指数向上剤を増量することにより、 度温度特性を向上させる手法が取られるが 基油粘度の低減により、疲労防止性は悪化 るため、省燃費性と摩耗防止性や疲労防止 をより高いレベルで両立できる潤滑油の開 が熱望されている。また、低温粘度特性の 上は、基油粘度を低減するか、製品粘度を 減することにより達成可能となる。しかし がら、基油粘度を低減することにより、摩 防止性や疲労防止性は悪化することが知ら ており、低温粘度特性と摩耗防止性や疲労 止性を両立できる潤滑油の開発が熱望され いる。

 こうした中、省燃費性や低温粘度特性と疲 防止性を両立させるために、低温性能のよ 基油を用いることや、高粘度の基油を併用 ること、さらにリン系極圧剤及び硫黄系極 剤などを適量添加することが知られている( 例えば特許文献1~3)。
 しかしながら、上記手法だけでは粘度温度 性および低温性能と疲労防止性、耐荷重性 両立が十分に図れておらず、これらの性能 両立させつつその他の諸性能についても問 ない性能を有する潤滑油組成物の開発が求 られている。

特開2004-262979号公報

特開平11-286696号公報

特表2003-514099号公報

 本発明は、以上のような事情に鑑み、優 た粘度温度特性及び低温性能を有するとと に、疲労防止性や耐荷重性に優れた潤滑油 成物、特に自動変速機及び/又は無段変速機 に好適な潤滑油組成物を提供することを目的 とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意検討した結果、特定の潤滑油基油に特 の添加剤を含有する潤滑油組成物が粘度温 特性及び低温性能に優れ、摩耗防止性及び 属疲労寿命を改善できることを見出し、本 明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、(A)1種または2種以上 混合物からなる、40℃における動粘度が5~15mm 2 /sの鉱油系基油、および(B)1種または2種以上 混合物からなる、40℃における動粘度が3~25mm 2 /s、0℃における動粘度が10~130mm 2 /sのエステル系基油を含有し、(A)成分と(B)成 の混合基油の40℃における動粘度が18mm 2 /s以下で、かつエステル系基油配合率が0.5~80 量%であり、組成物の40℃における動粘度が4 ~23mm 2 /sである潤滑油組成物である。

 また前記(B)エステル系基油は、モノエス ルであることが好ましい。

 また前記(B)エステル系基油の粘度指数は1 70以上であることが好ましい。

 また本発明の潤滑油組成物は、(C)重量平 分子量7万以下のポリメタクリレート系粘度 指数向上剤を含有することが好ましい。

 また本発明は、前記の潤滑油組成物から る変速機油組成物である。

 本発明の潤滑油組成物は、優れた粘度温 特性及び低温性能を有するとともに、金属 労防止性、耐荷重性に優れる。従って、自 車、建設機械、農業機械等の自動変速機及 /又は無段変速機に特に好適であり、また、 自動車、建設機械、農業機械等の手動変速機 用、ディファレンシャルギヤ用の潤滑油とし ても好適に用いられる。その他、工業用ギヤ 油、二輪車、四輪車等の自動車用、発電用、 舶用等のガソリンエンジン、ディーゼルエン ジン、ガスエンジン用の潤滑油、タービン油 、圧縮機油等にも好適に使用することができ る。

 以下本発明について詳述する。
 本発明の潤滑油組成物における(A)成分は、1 種または2種以上の混合物からなる40℃におけ る動粘度が5~15mm 2 /sの鉱油系基油である。
 (A)成分の40℃における動粘度は5~15mm 2 /sであることが必要であり、好ましく6mm 2 /s以上であり、より好ましくは7mm 2 /s以上であり、さらに好ましくは8mm 2 /s以上であり、特に好ましくは9mm 2 /s以上である。また、好ましくは13mm 2 /s以下であり、より好ましくは12mm 2 /s以下であり、さらに好ましくは11mm 2 /s以下であり、特に好ましくは10mm 2 /s以下である。(A)成分の40℃における動粘度 15mm 2 /sを越える場合は、粘度温度特性及び低温粘 特性が悪化し、一方、5mm 2 /s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不 分であるため金属疲労防止性、耐荷重性に り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくな ため、それぞれ好ましくない。

 (A)成分の100℃における動粘度については特 制限はないが、1~5mm 2 /sであることが好ましく、より好ましく1.5mm 2 /s以上であり、さらに好ましくは2.0mm 2 /s以上であり、特に好ましくは2.3mm 2 /s以上であり、最も好ましくは2.5mm 2 /s以上である。また、好ましくは4.0mm 2 /s以下であり、より好ましくは3.5mm 2 /s以下であり、さらに好ましくは3.3mm 2 /s以下であり、特に好ましくは3.0mm 2 /s以下である。(A)成分の100℃における動粘度 5mm 2 /sを越える場合は、粘度温度特性及び低温粘 特性が悪化し、一方、1mm 2 /s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不 分であるため金属疲労防止性、耐荷重性に り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくな ため、それぞれ好ましくない。

 (A)成分の流動点については特に制限はな が、-15℃以下であることが好ましく、より ましくは-17.5℃以下であり、さらに好まし は-20℃以下であり、特に好ましくは-22.5℃以 下であり、最も好ましくは-25℃以下である。 また、その下限については特に制限はないが 、低温粘度特性と脱ろう工程における経済性 の点で、好ましくは-45℃以上であり、より好 ましくは-40℃以上、さらに好ましくは-35℃以 上、特に好ましくは-30℃以上である。(A)成分 の流動点を-15℃以下とすることで、低温粘度 特性に優れた潤滑油組成物を得ることができ る。なお、脱ろう工程としては溶剤脱ろう、 接触脱ろうのいずれの工程を適用してもよい が、低温粘度特性をより改善できる点で接触 脱ろう工程であることが特に好ましい。

 (A)成分の粘度指数については特に制限は いが、100以上であることが好ましく、より ましくは105以上であり、さらに好ましくは1 10以上である。また、本発明の1つの態様とし て135以上でもよいが、添加剤やスラッジの溶 解性により優れる点で好ましくは135以下、よ り好ましくは130以下、さらに好ましくは125以 下、特に好ましくは120以下である。なお、前 記(A)成分の粘度指数を100以上とすることで粘 度温度特性及び低温粘度特性に優れた潤滑油 組成物を得ることができる。

 また、(A)成分の%C P については特に制限はないが、70以上である とが好ましく、熱・酸化安定性と粘度温度 性をより高めることができる点で、より好 しくは72以上、さらに好ましくは73以上、特 に好ましくは75以上であり、その上限につい は特に制限はなく、本発明の1つの態様とし て90以上でもよいが、添加剤やスラッジの溶 性により優れる点で好ましくは90以下であ 、より好ましくは85以下である。
 また、(A)成分の%C A については特に制限はないが、5以下である とが好ましく、熱・酸化安定性と粘度温度 性を高めることができる点で、より好まし は3以下であり、さらに好ましくは2以下、特 に好ましくは1以下である。
 また、(A)成分の%C N については特に制限はないが、熱・酸化安定 性と粘度温度特性をより高めることができる 点で、好ましくは30以下、より好ましくは25 下であり、その下限については特に制限は く、本発明の1つの態様として10未満でもよ が、添加剤やスラッジの溶解性に優れる点 好ましくは10以上であり、より好ましくは15 上である。
 なお、ここでいう%C A 、%C P 及び%C N とは、それぞれASTM D 3238-85に準拠した方法(n -d-M環分析)により求められる、芳香族炭素数 全炭素数に対する百分率、パラフィン炭素 の全炭素数に対する百分率及びナフテン炭 数の全炭素数に対する百分率をそれぞれ意 する。

 (A)成分の飽和分の含有量については特に制 はないが、熱・酸化安定性と粘度温度特性 より高めることができる点で、好ましくは9 0質量%以上、より好ましくは94質量%以上、さ に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは9 9質量%以上である。
 また、(A)成分の芳香族分の含有量について 特に制限はないが、熱・酸化安定性と粘度 度特性をより高めることができる点で、好 しくは10質量%以下、より好ましくは6質量% 下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ま しくは1質量%以下である。
 なお、本発明でいう飽和分及び芳香族分の 有量とは、ASTM D 2007-93に準拠して測定され る値(単位:質量%)を意味する。

 (A)成分のアニリン点については特に制限 ないが、低温粘度特性と疲労寿命に優れる 滑油組成物を得ることができる点で90℃以 であることが好ましく、より好ましくは95℃ 以上、さらに好ましくは100℃以上であり、特 に好ましくは103℃以上である。また、その上 限については特に制限はなく、本発明の1つ 態様として120℃以上でもよいが、添加剤や ラッジの溶解性により優れ、シール材への 合性により優れる点で好ましくは120℃以下 あり、より好ましくは115℃以下、さらに好 しくは110℃以下である。

 (A)成分の硫黄分については特に制限はない 、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ま しくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質 量%以下であることが望ましい。
 (A)成分の窒素分については特に制限はない 、より熱・酸化安定性に優れる組成物を得 ことができる点で、好ましくは5質量ppm以下 であり、より好ましくは3質量ppm以下である

 (A)成分のNOACK蒸発量については特に制限 れないが、好ましくは2~70質量%であり、好ま しくは5~60質量%、より好ましくは20~50質量%、 らに好ましくは25~50質量%である。なお、本 明でいうNOACK蒸発量とは、ASTM D 5800-95に準 して測定された蒸発損失量を意味する。

 (A)成分は、1種の鉱油のみであっても、ま た2種以上の鉱油の混合物であってもよい。

 (A)成分は、上記性状を有する限りにおいて の製造法に特に制限はないが、具体的には 以下に示す基油(1)~(8)を原料とし、この原料 油及び/又はこの原料油から回収された潤滑 留分を、所定の精製方法によって精製し、 滑油留分を回収することによって得られる 油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原 の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原 の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(W VGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス (スラックワックス等)及び/又はガストゥリキ ッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワッ ス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワ ックス等)
(4)基油(1)~(3)から選ばれる1種又は2種以上の混 合油及び/又は当該混合油のマイルドハイド クラッキング処理油
(5)基油(1)~(4)から選ばれる2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の脱瀝油(DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処 理油(MHC)
(8)基油(1)~(7)から選ばれる2種以上の混合油

 なお、上記所定の精製方法としては、水 化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フ ルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱 うや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活 白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソ ーダ洗浄などの薬品(酸又はアルカリ)洗浄な が好ましい。本発明では、これらの精製方 のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以 を組み合わせて行ってもよい。また、2種以 の精製方法を組み合わせる場合、その順序 特に制限されず、適宜選定することができ 。

 更に、本発明にかかる潤滑油基油としては 上記基油(1)~(8)から選ばれる基油又は当該基 油から回収された潤滑油留分について所定の 処理を行うことにより得られる下記基油(9)又 は(10)が特に好ましい。
(9)上記基油(1)~(8)から選ばれる基油又は当該 油から回収された潤滑油留分を水素化分解 、その生成物又はその生成物から蒸留等に り回収される潤滑油留分について溶剤脱ろ や接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、ま は当該脱ろう処理をした後に蒸留すること よって得られる水素化分解鉱油
(10)上記基油(1)~(8)から選ばれる基油又は当該 油から回収された潤滑油留分を水素化異性 し、その生成物又はその生成物から蒸留等 より回収される潤滑油留分について溶剤脱 うや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、 たは、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留す ことによって得られる水素化異性化鉱油

 上記(9)又は(10)の潤滑油基油を得るに際して 、脱ろう工程としては、熱・酸化安定性と低 温粘度特性をより高めることができ、潤滑油 組成物の疲労防止性能をより高めることがで きる点で、接触脱ろう工程を含むことが特に 好ましい。
 また、上記(9)又は(10)の潤滑油基油を得るに 際して、必要に応じて溶剤精製処理及び/又 水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい

 上記水素化分解・水素化異性化に使用さ る触媒については特に制限されないが、分 活性を有する複合酸化物(例えば、シリカア ルミナ、アルミナボリア、シリカジルコニア など)又は当該複合酸化物の1種類以上を組み わせてバインダーで結着させたものを担体 し、水素化能を有する金属(例えば周期律表 第VIa族の金属や第VIII族の金属などの1種類以 )を担持させた水素化分解触媒、あるいはゼ オライト(例えばZSM-5、ゼオライトベータ、SAP O-11など)を含む担体に第VIII族の金属のうち少 なくとも1種類以上を含む水素化能を有する 属を担持させた水素化異性化触媒が好まし 使用される。水素化分解触媒及び水素化異 化触媒は、積層又は混合などにより組み合 せて用いてもよい。

 水素化分解・水素化異性化の際の反応条件 特に制限されないが、水素分圧0.1~20MPa、平 反応温度150~450℃、LHSV0.1~3.0hr -1 、水素/油比50~20000scf/bblとすることが好まし 。

 また、接触脱ろう(触媒脱ろう)の場合は 水素化分解・異性化生成油を、適当な脱ろ 触媒の存在下、流動点を下げるのに有効な 件で水素と反応させる。接触脱ろうでは、 解/異性化生成物中の高沸点物質の一部を低 点物質へと転化させ、その低沸点物質をよ 重い基油留分から分離し、基油留分を分留 、2種以上の潤滑油基油を得る。低沸点物質 の分離は、目的の潤滑油基油を得る前に、あ るいは分留中に行うことができる。

 脱ろう触媒としては、分解/異性化生成油 の流動点を低下させることが可能なものであ れば特に制限されないが、分解/異性化生成 から高収率で目的の潤滑油基油を得ること できるものが好ましい。このような脱ろう 媒としては、形状選択的分子篩(モレキュラ シーブ)が好ましく、具体的には、フェリエ ライト、モルデナイト、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-23、Z SM-35、ZSM-22(シータワン又はTONとも呼ばれる) シリコアルミノホスフェート類(SAPO)などが げられる。これらのモレキュラーシーブは 触媒金属成分と組み合わせて使用すること 好ましく、貴金属と組み合わせることがよ 好ましい。好ましい組合せとしては、例え 白金とH-モルデナイトとを複合化したものが 挙げられる。

 脱ろう条件は特に制限されないが、温度は2 00~500℃が好ましく、水素圧は10~200バール(1MPa~ 20MPa)がそれぞれ好ましい。また、フロースル ー反応器の場合、H 2 処理速度は0.1~10kg/l/hrが好ましく、LHSVは0.1~10h -1 が好ましく、0.2~2.0h -1 がより好ましい。また、脱ろうは、分解/異 化生成油に含まれる、通常40質量%以下、好 しくは30質量%以下の、初留点が350~400℃であ 物質をこの初留点未満の沸点を有する物質 と転換するように行うことが好ましい。

 本発明の潤滑油組成物は、(A)成分に加えて (B)成分である40℃における動粘度が3~25mm 2 /s、0℃における動粘度が10~130mm 2 /sのエステル系基油を含有する。

 (B)成分の40℃における動粘度は3~25mm 2 /sであることが必要であり、好ましくは4mm 2 /s以上であり、より好ましくは5mm 2 /s以上であり、さらに好ましくは6mm 2 /s以上であり、特に好ましくは7mm 2 /s以上であり、最も好ましくは8mm 2 /s以上である。また、その上限値は、好まし は23mm 2 /s以下であり、より好ましくは20mm 2 /s以下であり、さらに好ましくは15mm 2 /s以下であり、特に好ましくは12mm 2 /s以下であり、最も好ましくは10mm 2 /s以下である。(B)成分の40℃における動粘度 25mm 2 /sを越える場合は、粘度温度特性及び低温粘 特性が悪化するため好ましくない。一方、 の動粘度が3mm 2 /s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不 分であるため金属疲労防止性、耐荷重性に り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくな ため、それぞれ好ましくない。

 (B)成分の0℃における動粘度は10~130mm 2 /sであることが必要であり、好ましくは15mm 2 /s以上であり、より好ましくは20mm 2 /s以上であり、さらに好ましくは25mm 2 /s以上であり、特に好ましくは27mm 2 /s以上であり、最も好ましくは29mm 2 /s以上である。また、その上限値は、好まし は120mm 2 /s以下であり、より好ましくは100mm 2 /s以下であり、さらに好ましくは80mm 2 /s以下であり、特に好ましくは60mm 2 /s以下であり、最も好ましくは40mm 2 /s以下である。(B)成分の0℃における動粘度が 130mm 2 /sを越える場合は、粘度温度特性及び低温粘 特性が悪化するため好ましくない。一方、 の動粘度が10mm 2 /s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不 分であるため金属疲労防止性、耐荷重性に り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくな ため、それぞれ好ましくない。

 (B)成分の100℃における動粘度については特 制限はないが、その下限値は、好ましくは1 .0mm 2 /s以上であり、より好ましくは1.5mm 2 /s以上であり、さらに好ましくは2.0mm 2 /s以上であり、特に好ましくは2.3mm 2 /s以上であり、最も好ましくは2.5mm 2 /s以上である。また、その上限値は、好まし は10mm 2 /s以下であり、より好ましくは5mm 2 /s以下であり、さらに好ましくは4mm 2 /s以下であり、特に好ましくは3.5mm 2 /s以下であり、最も好ましくは3.0mm 2 /s以下である。(B)成分の100℃における動粘度 10mm 2 /sを越える場合は、粘度温度特性及び低温粘 特性が悪化する傾向にあり、一方、その動 度が1.0mm 2 /s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不 分であるため金属疲労防止性、耐荷重性に り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくな ため、それぞれ好ましくない。

 (B)成分の粘度指数については特に制限は いが、その下限値は100以上であることが好 しく、より好ましくは120以上であり、さら 好ましくは140以上であり、特に好ましくは1 60以上であり、最も好ましくは170以上であり 特に最も好ましくは180以上である。また、 発明の1つの態様として220以上でもよいが、 (A)成分との溶解性に優れる点で好ましくは220 以下、より好ましくは210以下、さらに好まし くは200以下、特に好ましくは190以下である。 なお、前記(B)成分の粘度指数を100以上とする ことで粘度温度特性及び低温粘度特性に優れ た潤滑油組成物を得ることができる。

 (B)成分であるエステル系基油を構成する ルコールとしては1価アルコールでも多価ア ルコールでもよく、また、エステル系基油を 構成する酸としては一塩基酸でも多塩基酸で あってもよい。また、エステル結合を含有す る基油であれば、複合エステル化合物であっ てもよい。好ましくはモノエステルもしくは ジエステルであり、モノエステルであること がより好ましい。

 1価アルコールとしては、通常炭素数1~24 好ましくは1~12、より好ましくは1~8のものが いられ、このようなアルコールとしては直 のものでも分枝のものでもよく、また飽和 ものであっても不飽和のものであってもよ 。炭素数1~24のアルコールとしては、具体的 には例えば、メタノール、エタノール、直鎖 状または分枝状のプロパノール、直鎖状また は分枝状のブタノール、直鎖状または分枝状 のペンタノール、直鎖状または分枝状のヘキ サノール、直鎖状または分枝状のヘプタノー ル、直鎖状または分枝状のオクタノール、直 鎖状または分枝状のノナノール、直鎖状また は分枝状のデカノール、直鎖状または分枝状 のウンデカノール、直鎖状または分枝状のド デカノール、直鎖状または分枝状のトリデカ ノール、直鎖状または分枝状のテトラデカノ ール、直鎖状または分枝状のペンタデカノー ル、直鎖状または分枝状のヘキサデカノール 、直鎖状または分枝状のヘプタデカノール、 直鎖状または分枝状のオクタデカノール、直 鎖状または分枝状のノナデカノール、直鎖状 または分枝状のイコサノール、直鎖状または 分枝状のヘンイコサノール、直鎖状または分 枝状のトリコサノール、直鎖状または分枝状 のテトラコサノールおよびこれらの混合物等 が挙げられる。

 多価アルコールとしては、通常2~10価、好 ましくは2~6価のものが用いられる。2~10価の 価アルコールとしては、具体的には例えば エチレングリコール、ジエチレングリコー 、ポリエチレングリコール(エチレングリコ ルの3~15量体)、プロピレングリコール、ジ ロピレングリコール、ポリプロピレングリ ール(プロピレングリコールの3~15量体)、1,3- ロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3 -ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メ ル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロ ンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペン タンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペ タンジオール、ネオペンチルグリコール等 2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリ (グリセリンの2~8量体、例えばジグリセリン トリグリセリン、テトラグリセリン等)、ト リメチロールアルカン(トリメチロールエタ 、トリメチロールプロパン、トリメチロー ブタン等)およびこれらの2~8量体、ペンタエ スリトールおよびこれらの2~4量体、1,2,4-ブ ントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、1 ,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテト ール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビ ールグリセリン縮合物、アドニトール、ア ビトール、キシリトール、マンニトール等 多価アルコール;キシロース、アラビノース リボース、ラムノース、グルコース、フル トース、ガラクトース、マンノース、ソル ース、セロビオース、マルトース、イソマ トース、トレハロース、スクロース等の糖 、およびこれらの混合物等が挙げられる。

 これらの多価アルコールの中でも、エチ ングリコール、ジエチレングリコール、ポ エチレングリコール(エチレングリコールの 3~10量体)、プロピレングリコール、ジプロピ ングリコール、ポリプロピレングリコール( プロピレングリコールの3~10量体)、1,3-プロパ ンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール 2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチ グリコール、グリセリン、ジグリセリン、 リグリセリン、トリメチロールアルカン(ト リメチロールエタン、トリメチロールプロパ ン、トリメチロールブタン等)およびこれら 2~4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタ リスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,3,5 -ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオ ル、1,2,3,4-ブタンテトロール、ソルビトール 、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合 物、アドニトール、アラビトール、キシリト ール、マンニトール等の2~6価の多価アルコー ルおよびこれらの混合物等が好ましい。さら にエチレングリコール、プロピレングリコー ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、 トリメチロールエタン、トリメチロールプロ パン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、 およびこれらの混合物等がより好ましい。こ れらの中でも、より高い熱・酸化安定性が得 られることから、ネオペンチルグリコール、 トリメチロールエタン、トリメチロールプロ パン、ペンタエリスリトール、およびこれら の混合物等が最も好ましい。

 また、本発明において用いるエステルを 成する酸のうち、一塩基酸としては、通常 素数2~24の脂肪酸が用いられ、その脂肪酸は 直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽 和のものでも不飽和のものでもよい。具体的 には、例えば、酢酸、プロピオン酸、直鎖状 または分枝状のブタン酸、直鎖状または分枝 状のペンタン酸、直鎖状または分枝状のヘキ サン酸、直鎖状または分枝状のヘプタン酸、 直鎖状または分枝状のオクタン酸、直鎖状ま たは分枝状のノナン酸、直鎖状または分枝状 のデカン酸、直鎖状または分枝状のウンデカ ン酸、直鎖状または分枝状のドデカン酸、直 鎖状または分枝状のトリデカン酸、直鎖状ま たは分枝状のテトラデカン酸、直鎖状または 分枝状のペンタデカン酸、直鎖状または分枝 状のヘキサデカン酸、直鎖状または分枝状の ヘプタデカン酸、直鎖状または分枝状のオク タデカン酸、直鎖状または分枝状のノナデカ ン酸、直鎖状または分枝状のイコサン酸、直 鎖状または分枝状のヘンイコサン酸、直鎖状 または分枝状のドコサン酸、直鎖状または分 枝状のトリコサン酸、直鎖状または分枝状の テトラコサン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸 、直鎖状または分枝状のブテン酸、直鎖状ま たは分枝状のペンテン酸、直鎖状または分枝 状のヘキセン酸、直鎖状または分枝状のヘプ テン酸、直鎖状または分枝状のオクテン酸、 直鎖状または分枝状のノネン酸、直鎖状また は分枝状のデセン酸、直鎖状または分枝状の ウンデセン酸、直鎖状または分枝状のドデセ ン酸、直鎖状または分枝状のトリデセン酸、 直鎖状または分枝状のテトラデセン酸、直鎖 状または分枝状のペンタデセン酸、直鎖状ま たは分枝状のヘキサデセン酸、直鎖状または 分枝状のヘプタデセン酸、直鎖状または分枝 状のオクタデセン酸、直鎖状または分枝状の ノナデセン酸、直鎖状または分枝状のイコセ ン酸、直鎖状または分枝状のヘンイコセン酸 、直鎖状または分枝状のドコセン酸、直鎖状 または分枝状のトリコセン酸、直鎖状または 分枝状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、 およびこれらの混合物等が挙げられる。これ らの中でも、潤滑性および取扱性がより高め られる点から、特に炭素数3~20の飽和脂肪酸 炭素数3~22の不飽和脂肪酸およびこれらの混 物が好ましく、炭素数4~18の飽和脂肪酸、炭 素数4~18の不飽和脂肪酸およびこれらの混合 がより好ましく、酸化安定性の点からは、 素数4~18の飽和脂肪酸が最も好ましい。

 多塩基酸としては炭素数2~16の二塩基酸お よびトリメリット酸等が挙げられる。炭素数 2~16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分 のものでもよく、また飽和のものでも不飽 のものでもよい。具体的には例えば、エタ 二酸、プロパン二酸、直鎖状または分枝状 ブタン二酸、直鎖状または分枝状のペンタ 二酸、直鎖状または分枝状のヘキサン二酸 直鎖状または分枝状のヘプタン二酸、直鎖 または分枝状のオクタン二酸、直鎖状また 分枝状のノナン二酸、直鎖状または分枝状 デカン二酸、直鎖状または分枝状のウンデ ン二酸、直鎖状または分枝状のドデカン二 、直鎖状または分枝状のトリデカン二酸、 鎖状または分枝状のテトラデカン二酸、直 状または分枝状のヘプタデカン二酸、直鎖 または分枝状のヘキサデカン二酸、直鎖状 たは分枝状のヘキセン二酸、直鎖状または 枝状のヘプテン二酸、直鎖状または分枝状 オクテン二酸、直鎖状または分枝状のノネ 二酸、直鎖状または分枝状のデセン二酸、 鎖状または分枝状のウンデセン二酸、直鎖 または分枝状のドデセン二酸、直鎖状また 分枝状のトリデセン二酸、直鎖状または分 状のテトラデセン二酸、直鎖状または分枝 のヘプタデセン二酸、直鎖状または分枝状 ヘキサデセン二酸およびこれらの混合物等 挙げられる。

 エステルを形成するアルコールと酸との組 合わせは任意であって特に制限されないが 本発明で使用可能なエステルとしては、例 ば下記のエステルを挙げることができ、こ らのエステルは単独でもよく、また2種以上 を組み合わせてもよい。
(a)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(c)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(d)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(e)一価アルコール、多価アルコールとの混合 物と多塩基酸との混合エステル
(f)多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸との 混合物との混合エステル
(g)一価アルコール、多価アルコールとの混合 物と一塩基酸、多塩基酸との混合エステル

 これらの中でも、金属疲労防止性に優れ いることから、(a)一価アルコールと一塩基 とのエステル、(b)多価アルコールと一塩基 とのエステル、または(c)一価アルコールと 塩基酸とのエステルであることが好ましく 更に一価アルコールと一塩基酸のエステル たは一価アルコールと二塩基酸のエステル より好ましい。

 本発明において、アルコール成分として 価アルコールを用いた場合に得られるエス ルは、多価アルコール中の水酸基全てがエ テル化された完全エステルでもよく、水酸 の一部がエステル化されず水酸基のまま残 する部分エステルでもよい。また、酸成分 して多塩基酸を用いた場合に得られる有機 エステルは、多塩基酸中のカルボキシル基 てがエステル化された完全エステルでもよ 、あるいはカルボキシル基の一部がエステ 化されずカルボキシル基のままで残ってい 部分エステルであってもよい。

 本発明に用いられる(B)成分であるエステ 系基油は上記したエステル化合物1種類のみ から構成されるものであってもよいし、また 2種以上の混合物から構成されるものであっ もよい。

 エステル系基油の粘度指数については特 制限はないが、170以上であることが好まし 、より好ましく180以上であり、さらに好ま くは190以上である。また、その上限につい は特に制限はなく、(A)成分との混合安定性 よび貯蔵安定性を向上できる点で好ましく 300以下であり、より好ましくは250以下であ 、さらに好ましくは230以下であり、特に好 しくは210以下である。

 (B)成分の密度については特に制限はないが 0.80g/cm 3 以上であることが好ましく、より好ましく0.8 2g/cm 3 以上であり、さらに好ましくは0.84g/cm 3 以上であり、さらにより好ましくは0.85g/cm 3 以上であり、特に好ましくは0.86g/cm 3 以上であり、最も好ましくは0.87g/cm 3 以上である。また、その上限については特に 制限はなく、本発明の1つの態様として1.0g/cm 3 以上でもよいが、(A)成分との溶解性に優れる 点で好ましくは1.0g/cm 3 以下であり、より好ましくは0.95g/cm 3 以下であり、さらに好ましくは0.92g/cm 3 以下であり、特に好ましくは0.90g/cm 3 以下である。(B)成分の密度を0.80g/cm 3 以上とすることで、粘度温度特性及び低温性 能と摩耗防止性や疲労防止性を高いレベルで 両立することができる。(B)成分の密度が0.80g/ cm 3 未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十 分であるため金属疲労防止性、耐荷重性に劣 り好ましくない。

 (B)成分の酸価については、その上限値に に制限はないが、5mgKOH以下であることが好 しく、より好ましくは3mgKOH以下、さらに好 しくは2mgKOH以下、特に好ましくは1.5mgKOH以 、最も好ましくは1.0mgKOH以下である。また、 本発明の1つの様態として0.2mgKOH以下でもよい が、製造における経済性の点で好ましくは0.2 mgKOH以上、より好ましくは0.5mgKOH以上である なお、前記(B)成分の酸価を5mgKOH以下とする とで酸化安定性に優れた潤滑油組成物を得 ことができる。

 本発明の潤滑油組成物における(B)成分の 有量は、(A)成分と(B)成分の混合基油を基準 して、80質量%以下であることが必要である 、好ましくは30質量%以下であり、より好ま くは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以 、特に好ましくは13質量%以下、最も好まし は11質量%以下である。また、下限としては 0.5質量%以上であることが必要であり、好ま しくは1質量%以上であり、より好ましくは2質 量%以上であり、さらに好ましくは4質量%以上 であり、特に好ましくは7質量%以上である。( B)成分の含有量を80質量%以下とすることで、 化安定性を向上することができ、(B)成分の 有量を多くすることで、省燃費性と金属疲 防止性を向上することができる。(B)成分の 有量が0.5質量%未満の場合には、必要とする 粘度温度特性、低温粘度特性および疲労防止 性が得られないおそれがある。

 本発明の潤滑油組成物は、(A)成分および( B)成分を主成分として含有する限りにおいて 通常の潤滑油に使用される鉱油系基油およ /または合成系基油((A)成分および(B)成分を く)を(A)成分および(B)成分とともに使用する とができる。この場合、(A)成分および(B)成 の含有量は、潤滑油基油全量基準で、好ま くは50~99質量%であり、より好ましくは70~97 量%、さらに好ましくは85~95質量%である。

 鉱油系基油としては、(A)成分以外の鉱油系 油が挙げられる。
 合成系基油としては、具体的には、ポリブ ン又はその水素化物;1-オクテンオリゴマー 1-デセンオリゴマー等のポリ-α-オレフィン はその水素化物;アルキルナフタレン、アル キルベンゼン等の芳香族系合成油又はこれら の混合物等が例示できる。
 なお、これらの鉱油系基油および/または合 成系基油としては、これらの中から選ばれる 1種または2種以上の任意の混合物等が使用で る。例えば、1種以上の鉱油系基油、1種以 の合成系基油、1種以上の鉱油系基油と1種以 上の合成系基油との混合油等を挙げることが できる。

 本発明において用いられる潤滑油基油は、 記(A)成分および(B)成分からなる混合基油、 るいは、前記(A)成分および(B)成分の混合基 に、さらに前記鉱油系基油および/または合 成系基油を含有する基油であるが、(A)成分お よび(B)成分からなる混合基油の40℃における 粘度は、18mm 2 /s以下であることが必要であり、より好まし は16mm 2 /s以下、さらに好ましくは14mm 2 /s以下、特に好ましくは12mm 2 /s以下、最も好ましくは10mm 2 /s以下である。また、混合基油の40℃におけ 動粘度は、好ましくは3mm 2 /s以上、より好ましくは5mm 2 /s以上、さらに好ましくは7mm 2 /s以上、特に好ましくは8mm 2 /s以上に調整してなることが好ましい。
 なお、本発明の潤滑油基油が、前記(A)成分 よび(B)成分の混合基油に、さらに前記鉱油 基油および/または合成系基油を含有する基 油である場合においても、その潤滑油基油の 40℃における動粘度が18mm 2 /s以下であることが必要である。

 また、前記(A)成分および(B)成分からなる混 基油の100℃における動粘度については特に 限はないが、3.5mm 2 /s以下であることが好ましく、より好ましく 3.2mm 2 /s以下、さらに好ましくは3.0mm 2 /s以下、特に好ましくは2.9mm 2 /s以下、最も好ましくは2.8mm 2 /s以下である。また、混合基油の100℃におけ 動粘度は、好ましくは1mm 2 /s以上、より好ましくは2mm 2 /s以上、さらに好ましくは2.3mm 2 /s以上、特に好ましくは2.5mm 2 /s以上に調整してなることが好ましく、その 度指数を好ましくは100以上、より好ましく 105以上、さらに好ましくは110以上、特に好 しくは115以上、最も好ましくは120以上とす ことが望ましい。

 本発明の潤滑油組成物には、(C)成分とし 粘度指数向上剤を含有することが好ましい 粘度指数向上剤としては、具体的には、各 メタクリル酸エステル1種又は2種以上のモ マーの(共)重合体であるいわゆる非分散型粘 度指数向上剤、又はさらに窒素を含む極性モ ノマーを共重合させたいわゆる分散型粘度指 数向上剤等が例示できる。他の粘度指数向上 剤の具体例としては、非分散型又は分散型エ チレン-α-オレフィン共重合体(α-オレフィン してはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン等 が例示できる。)又はその水素化物、ポリイ ブチレン又はその水素化物、スチレン-ジエ 水素化共重合体、スチレン-無水マレイン酸 エステル共重合体及びポリアルキルスチレン 等を挙げることができる。本発明においては 、これらの粘度指数向上剤の中から任意に選 ばれた1種あるいは2種以上の化合物を任意の で含有させることができるが、低温粘度特 と疲労防止性能をより高めることができる で、非分散型又は分散型ポリメタクリレー が好ましく、特に非分散型のポリメタクリ ートが好ましい。

 (C)成分の重量平均分子量(Mw)については特に 制限はないが、70,000以下であることが好まし く、より好ましくは50,000以下、さらに好まし くは40,000以下、特に好ましくは30,000以下であ る。その下限は特に制限はなく、通常1,000以 であるが、粘度温度特性および低温性能に れる点で、好ましくは10,000以上、より好ま くは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上 ある。(C)成分の重量平均分子量(Mw)が1,000未 の場合、粘度温度特性つまり省燃費性を十 高めることができないため好ましくない。 た、(C)成分の重量平均分子量(Mw)が70,000を超 える場合、せん断安定性に劣るため好ましく ない。
 本発明の潤滑油組成物における(C)成分の含 量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01~20質量 %であることが好ましく、より好ましくは5~15 量%であり、組成物の粘度指数を高めるとと もに、低温粘度特性と疲労防止性能を十分高 めることができる。

 また、本発明の潤滑油組成物は、優れた 度温度特性及び低温性能、疲労防止性や耐 重性を損なわない限りにおいて、必要に応 て各種添加剤を含有することができる。か る添加剤としては、特に制限されず、潤滑 の分野で従来使用される任意の添加剤を配 することができる。かかる潤滑油添加剤と ては、具体的には、金属系清浄剤、無灰分 剤、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、摩 調整剤、流動点降下剤、腐食防止剤、防錆 、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤など 挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独 で用いてもよく、また、2種以上を組み合わ て用いてもよい。

 金属系清浄剤としては、スルホネート系清 剤、サリチレート系清浄剤およびフェネー 系清浄剤等が挙げられ、アルカリ金属また アルカリ土類金属との正塩、塩基正塩、過 基性塩のいずれをも配合することができる 使用に際してはこれらの中から任意に選ば る1種類あるいは2種類以上を配合すること できる。
 無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる 意の無灰分散剤が使用でき、例えば、炭素 40~400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又 アルケニル基を分子中に少なくとも1個有す るモノまたはビスコハク酸イミド、炭素数40~ 400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に 少なくとも1個有するベンジルアミン、ある は炭素数40~400のアルキル基又はアルケニル を分子中に少なくとも1個有するポリアミン あるいはこれらのホウ素化合物、カルボン 、リン酸等による変成品等が挙げられる。 用に際してはこれらの中から任意に選ばれ 1種類あるいは2種類以上を配合することが きる。 
 酸化防止剤としては、フェノール系、アミ 系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン 等の金属系酸化防止剤が挙げられる。
 摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系、 肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩 調整剤、モリブデンジチオカーバメート、 リブデンジチオホスフェート等の金属系摩 調整剤等が挙げられる。
 極圧剤、摩耗防止剤としては、潤滑油に用 られる任意の極圧剤・摩耗防止剤が使用で る。例えば、硫黄系、リン系、硫黄-リン系 の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン 酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジ チオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸 エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸 エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリ チオリン酸エステル類、これらのアミン塩、 これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカ ーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリ ブデンジチオカーバメート、ジサルファイド 類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類 、硫化油脂類等が挙げられる。
 流動点降下剤としては、例えば、使用する 滑油基油に適合するポリメタクリレート系 ポリマー等が使用できる。
 腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリ ゾール系、トリルトリアゾール系、チアジ ゾール系、又はイミダゾール系化合物等が げられる。
 防錆剤としては、例えば、石油スルホネー 、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニ ナフタレンスルホネート、アルケニルコハ 酸エステル、又は多価アルコールエステル が挙げられる。
 抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエ レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ アルキルフェニルエーテル、又はポリオキ エチレンアルキルナフチルエーテル等のポ アルキレングリコール系非イオン系界面活 剤等が挙げられる。
 金属不活性化剤としては、例えば、イミダ リン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジ ゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベ ゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4-チア アゾールポリスルフィド、1,3,4-チアジアゾ ル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート 2-(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又 β-(o-カルボキシベンジルチオ)プロピオンニ トリル等が挙げられる。
 消泡剤としては、例えば、25℃における動 度が0.1~100mm 2 /s未満のシリコーンオイル、アルケニルコハ 酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコー と長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレ トとo-ヒドロキシベンジルアルコール等が げられる。

 これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物 含有させる場合には、その含有量は組成物 量基準で、それぞれ0.1~20質量%が好ましい。

 なお、本発明の潤滑油組成物の40℃におけ 動粘度は4~23mm 2 /sであることが必要であるが、上限値として 、好ましくは22mm 2 /sであり、より好ましくは21.5mm 2 /s、さらに好ましくは21.0mm 2 /s、特に好ましくは20.5mm 2 /s、最も好ましくは20mm 2 /sである。また、下限値としては、好ましく 5mm 2 /sであり、より好ましくは15mm 2 /s、さらに好ましくは17mm 2 /s、特に好ましくは18mm 2 /s、最も好ましくは19mm 2 /sである。40℃における動粘度が5mm 2 /s未満の場合には、潤滑部位の油膜保持性お び蒸発性に問題を生ずるおそれがあり、40 における動粘度が23mm 2 /sを超える場合には省燃費性に劣るおそれが る。

 なお、本発明の潤滑油組成物の100℃におけ 動粘度については特に制限はないが、上限 としては、好ましくは6.0mm 2 /sであり、より好ましくは5.5mm 2 /s、さらに好ましくは5.3mm 2 /s、特に好ましくは5.2mm 2 /s、最も好ましくは5.1mm 2 /sである。また、下限値としては、好ましく 1.5mm 2 /sであり、より好ましくは4.0mm 2 /s、さらに好ましくは4.5mm 2 /s、特に好ましくは4.8mm 2 /s、最も好ましくは5.0mm 2 /sである。100℃における動粘度が1.5mm 2 /s未満の場合には潤滑部位の油膜保持性およ 蒸発性に問題を生ずるおそれがあり、100℃ おける動粘度が6.0mm 2 /sを超える場合には省燃費性の不足をもたら おそれがある。

 本発明の潤滑油組成物の粘度指数について 特に制限はないが、好ましくは160以上であ 、より好ましくは180以上、さらに好ましく 190以上、特に好ましくは195以上である。
 本発明の潤滑油組成物の-40℃におけるブル クフィールド(BF)粘度は、好ましくは15000mPa s以下であり、より好ましくは10000mPa・s以下 、さらに好ましくは8000mPa・s以下、特に好ま くは6000mPa・s以下、最も好ましくは5500mPa・s 以下である。
 ここで言うブルックフィールド粘度とは、A STM D 2983により測定される値である。

 本発明の潤滑油組成物は、優れた摩耗防止 及び疲労防止性を有し、かつ優れた低温流 性を有する潤滑油組成物であり、自動変速 油及び/又は無段変速機油として特に好適で ある。
 また、本発明の潤滑油組成物は、上記以外 変速機油としての性能にも優れており、自 車、建設機械、農業機械等の自動変速機用 るいは手動変速機用、ディファレンシャル ヤ用の潤滑油としても好適に用いられる。 の他、摩耗防止性、疲労防止性及び低温粘 特性が要求される潤滑油、例えば、工業用 ヤ油、二輪車、四輪車等の自動車用、発電 、舶用等のガソリンエンジン、ディーゼル ンジン、ガスエンジン用の潤滑油、タービ 油、圧縮機油等にも好適に使用することが きる。

 以下、本発明の内容を実施例および比較 によってさらに具体的に説明するが、本発 はこれらに何ら限定されるものではない。

(実施例1~4および比較例1~3)
 表1に示すように、本発明の潤滑油組成物( 施例1~4)、比較用の潤滑油組成物(比較例1~3) それぞれ調製した。得られた組成物につい 、動粘度、低温粘度特性、疲労防止性、四 耐荷重性を測定し、その結果を同じく表1に 記した。

 表1に示した基油の内容は下記のとおりであ る。
 基油A-1:鉱油[100℃動粘度:2.6mm 2 /s、40℃動粘度:9.5mm 2 /s、粘度指数:111、アニリン点:104℃、%C P :75、%C A :1、流動点:-27.5℃、S量:1質量ppm以下、N量:3質 ppm以下]
 基油A-2:鉱油[100℃動粘度:4.1mm 2 /s、40℃動粘度:18.7mm 2 /s、粘度指数:120、アニリン点:112℃、%C P :78、%C A :1、流動点:-22.5℃、S量:2質量ppm、N量:3質量ppm 下]
 基油A-3:鉱油[100℃動粘度:4.4mm 2 /s、40℃動粘度:22.8mm 2 /s、粘度指数:102、アニリン点:99℃、%C P :66、%C A :6、流動点:-15.0℃、S量:1300質量ppm、N量:6質量p pm]
 基油A-4:鉱油[100℃動粘度:2.0mm 2 /s、40℃動粘度:6.6mm 2 /s、粘度指数:93、アニリン点:87℃、%C P :61、%C A :5.3、流動点:-25.0℃、S量:1000質量ppm、N量:3質 ppm以下]
 エステル系基油B-1:モノエステル(C8アルコー ルと脂肪酸のモノエステル)[密度:0.87g/cm 3 、100℃動粘度:2.68mm 2 /s、40℃動粘度:8.2mm 2 /s、0℃動粘度:30.8mm 2 /s、粘度指数:182、流動点:-40℃、酸価:1.0mgKOH]
 エステル系基油B-2:ポリオールエステル(ネ ペンチルグリコールジエステル)[密度:0.90g/cm 3 、100℃動粘度:5.9mm 2 /s、40℃動粘度:24.0mm 2 /s、0℃動粘度:127mm 2 /s、粘度指数:206、流動点:-30℃、酸価:1.0mgKOH]
 粘度指数向上剤C-1:重量平均分子量2万5千、 分散型ポリメタクリレート
 粘度指数向上剤C-2:重量平均分子量2万、非 散型ポリメタクリレート
 性能添加剤D-1:摩耗防止剤、摩擦調整剤、酸 化防止剤等を含有する変速機油用添加剤パッ ケージ

(1)低温粘度特性
 ASTM D 2983に準拠し、各潤滑油組成物の-40℃ におけるBF粘度を測定した。本試験において 、BF粘度の値が小さいものほど低温流動性 優れていることを意味する。
(2)疲労防止性
 高温転がり疲労試験機を用いて、以下の試 条件でピッチング発生寿命を評価した。ま 、比較例1の試験結果を基準として、ピッチ ング発生寿命の比を算出した。本試験におい ては、疲労寿命比(L50比およびL10比)が大きい ど疲労防止性能に優れていることを意味す 。
 スラストニードルベアリング(面圧:1.9GPa、 転数:1410rpm、油温:120℃)
(3)高速四球耐荷重性
 ASTM D 2596に準拠し、高速四球試験機を用い 、各潤滑油組成物の1800回転における最大非 付き荷重(LNSL)を測定した。本試験において 、最大非焼付き荷重が大きいほど耐荷重性 優れていることを意味する。
(4)酸化安定性
 JIS K 2514 4.(内燃機関用潤滑油酸化安定度 験方法)に準拠して実施し、酸価増加および ンタン不溶分を測定した。

 表1の結果から明らかな通り、本発明にかか る実施例1~4の潤滑油組成物は、粘度温度特性 、低温粘度特性、疲労防止性及び耐荷重性に 優れていることがわかる。
 一方、潤滑油基油として(B)成分を使用せず 組成物の40℃動粘度が規定値を外れる比較 1は、粘度温度特性、低温粘度特性及び疲労 止性に劣る。同様に(B)成分を使用しない比 例2も、疲労防止性や耐荷重性に劣り、低温 粘度特性も不十分である。また、(A)成分を使 用しない比較例3は、疲労防止性、耐荷重性 び低温粘度特性に劣る。




 
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