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Title:
LUBRICANT FOR HOT WORKING AND PROCESS FOR MANUFACTURING SEAMLESS STEEL PIPE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/088036
Kind Code:
A1
Abstract:
A lubricant for hot plastic working which contains 20 to 40 mass% of iron oxide and 10 to 30mass% of sodium silicate and has an impurity content of 3mass% or below and which further contains 40 to 60mass% of water. The lubricant exhibits excellent lubricity and supply characteristics and dose not adversely affect the corrosion resistance of articles by virtue of combined action of the components. The lubricant is suitable for lubricating a guide shoe in piercing rolling high-Cr steel and exerts the great effect of inhibiting the outer surface of an article from seizure when applied directly to the outer surface of a workpiece just before piercing rolling, preferably, within one second before the initiation of piercing rolling.

Inventors:
SAITO KENICHI (JP)
IIDA SUMIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050129
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
January 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
SAITO KENICHI (JP)
IIDA SUMIO (JP)
International Classes:
C10M173/02; C10M103/06; C10M125/10; C10N20/00; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/24
Domestic Patent References:
WO2007105774A12007-09-20
Foreign References:
JPH04331292A1992-11-19
JPH07256328A1995-10-09
JPH06142749A1994-05-24
JPH10130687A1998-05-19
JP2006219556A2006-08-24
JPH1135967A1999-02-09
JPS6021111A1985-02-02
JPH1030097A1998-02-03
JPS60184410A1985-09-19
JPH04172112A1992-06-19
JPS6021111A1985-02-02
JPH07126684A1995-05-16
JPH1135967A1999-02-09
JP2638317B21997-08-06
JPH07284817A1995-10-31
Other References:
See also references of EP 2243820A4
Attorney, Agent or Firm:
MORI, Michio (17-23 Higashinaniwa-cho 5-chom, Amagasaki-shi Hyogo 92, JP)
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Claims:
 熱間加工用潤滑剤であって、
 当該潤滑剤は酸化鉄20~40質量%および珪酸ナトリウム10~30質量%を含有し、
 不純物が3質量%以下であり、
 水分が40~60質量%であること、
 を特徴とする熱間加工用潤滑剤。
 被加工材の表面に請求項1に記載の熱間加工用潤滑剤を塗布し、直ちに当該被加工材を熱間加工すること、
 を特徴とする継目無鋼管の製造方法。
Description:
熱間加工用潤滑剤および継目無 管の製造方法

 本発明は、熱間加工による継目無鋼管の 造において、被加工材と熱間加工工具(以下 、単に「工具」という)との間の摩擦を軽減 、焼付きを防止することができる潤滑剤に する。具体的には、穿孔圧延機による継目 鋼管の製造において、ビレット(被加工材)と ガイドシュー(工具)との摩擦を軽減し、焼付 を防止することができる潤滑剤に関する。 た、本発明は、この潤滑剤を用いた継目無 管の製造方法に関する。

 なお、別に記載がない限り、本明細書にお る用語の定義は次の通りである。
 「%」:対象物に含まれる各成分の重量百分 を表す。
 「鋼管」:Fe、Ni、Crの含有率の合計が50%以上 の金属管をいう。

 [継目無鋼管の製造方法]
 継目無鋼管は、マンネスマン方式により製 することができる。この方式は、次のステ プからなる:
 (1)穿孔圧延機(ピアサー)により、ビレット 穿孔圧延し、素管(以下、「ホローシェル」 いう)を形成する;
 (2)延伸圧延機(例:マンドレルミル)により、 ローシェルを延伸圧延する;
 (3)定径圧延機(例:ストレッチレデューサー) より、延伸圧延したホローシェルを定径圧 する。

 穿孔圧延機は、ガイドシューを備える。 孔圧延する際に、ビレットの外径が必要以 に増大するのを防ぐためである。穿孔圧延 、ビレットの外面がガイドシューと接触し 状態で行われる。ビレットの外面とガイド ューとの間の潤滑が不十分であれば、ビレ トがガイドシューに焼付く。すると、ガイ シューに焼付き疵が発生するだけでなく、 ローシェルの外面にシューマークと呼ばれ 焼付き疵が発生する。

 ガイドシューには、(1)固定式のプレート 、(2)回転式のディスク型、の2種類がある。 いずれの型のガイドシューでも、上記の焼付 きを防止することが必要である。そのために 、ビレット外面とガイドシューとの間の潤滑 が十分であることがきわめて重要である。

 潤滑方法についての従来技術は、下記の のがある。

 特開昭60-21111号公報には、金属酸化物粉 からなる焼付防止剤とバインダーとの混合 料を塗布する穿孔圧延方法が開示されてい 。

 特開平07-126684号公報には、酸化鉄の粉末 アクリル酸系水溶性高分子および界面活性 を含むステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤が 示されている。

 特開平11-35967号公報には、酸化鉄、珪酸 トリウム、澱粉類、キサンタンガムを含む 間加工用潤滑剤が開示されている。

 特許第2638317号公報には、金属酸化物粉末 およびケイ酸ナトリウムを含有する水溶液か らなり、粘度が200cp以上4000cp未満である熱間 圧延用潤滑剤を、加熱された熱間状態の被 延材の表面にスプレー塗布すること、が記 されている。

 しかし、難加工材(例:13%Cr鋼)を穿孔する 、これらの文献に開示される潤滑剤では、 イドシューとホローシェルとの間の潤滑が 分でない。そのため、これらの潤滑剤では 付き疵の発生を防止することは難しい。

 特開平7-284817号公報には、膨潤雲母水溶 に固体潤滑剤を混合した潤滑剤を、被圧延 とガイドシューとの間に供給し圧延する方 、が記載されている。しかし、この文献に 示されている潤滑剤は、被圧延材に塗布し 時に突沸し、潤滑剤が被圧延材から剥がれ しまうという課題がある。そのため、この 滑剤でも焼付き疵の発生を防止することは しい。

 本発明の目的は、次の特性を有する熱間加 用潤滑剤を提供することである:
 (1)潤滑性に優れていること;
 (2)必要箇所への供給性に優れていること。 に、被加工材の表面にスケールが存在して る場合でも、被加工材の表面に潤滑剤を円 に供給し適切な量付着できること;
 (3)耐食性能維持性に優れていること。すな ち、潤滑剤が加工後の製品表面に残留して 、製品の耐食性を損なわないこと。

 本発明の他の目的は、本発明の潤滑剤を いた継目無鋼管の製造方法を提供すること ある。

 本発明の要旨は、次の通りである。

 (I)熱間加工用潤滑剤であって、
 当該潤滑剤は酸化鉄20~40質量%および珪酸ナ リウム10~30質量%を含有し、
 不純物が3質量%以下であり、
 水分が40~60質量%であること、
 を特徴とする熱間加工用潤滑剤。

 (II)被加工材の表面に前記(I)に記載の熱間加 工用潤滑剤を塗布し、直ちに当該被加工材を 熱間加工すること、
 を特徴とする継目無鋼管の製造方法。

 本発明の熱間加工用潤滑剤は、下記の顕著 効果を有する:
 (1)潤滑性に優れていること;
 (2)供給性に優れていること;
 (3)耐食性能維持性に優れていること。

 本発明の熱間加工用潤滑剤は、潤滑性に れている。そのため、焼付き防止に顕著な 果を発揮する。さらに本発明の潤滑剤は、 給性に優れている。そのため、高温の被加 材表面、その他供給が困難な部分へ潤滑剤 供給することができる。すなわち、被加工 表面にスケールが存在しても、被加工材の 面に十分な量の潤滑剤を付着させることが き、被加工材表面と工具との界面に潤滑剤 供給することが可能である。これらの効果 より、本発明の潤滑剤は熱間加工用の潤滑 として有効である。特に、難加工材(例:8~25 量%のCrを含む鋼)の穿孔圧延において、ガイ ドシュー、さらには製品外面の焼付き疵の発 生防止に多大な効果を発揮する。加えて、本 発明の潤滑剤は、耐食性能維持性に優れてい る。そのため、潤滑剤が加工後の製品の表面 に残留しても、製品の耐食性が劣化しない。

 本発明の潤滑剤の優れた特性は、本発明 継目無鋼管の製造方法で十分に発揮させる とができる。

 [本発明の潤滑剤]
 本発明の潤滑剤は、酸化鉄を、珪酸ナトリ ムと水との混合物(水ガラス)中に分散させ ものである。酸化鉄は、粉末状のものが好 しい。

 本発明の潤滑剤は、上記の成分のほかに 酸化鉄を安定して分散させるための安定化 を含有してもよい。安定化剤の含有量は、 滑剤1リットルに対し20~100グラム程度がよい 。

 本発明の潤滑剤は、調製の過程で不純物 混入し易い。不純物には、酸化亜鉛(ZnO)、 化鉛(PbO)および酸化銅(CuO)の3種の酸化物が例 示される。これら3種の酸化物は本発明の潤 剤の性能に及ぼす影響が大きい。そのため 本発明の潤滑剤中の不純物量の上限を規定 た。

 本発明の潤滑剤は、Crを多く含有する継 無鋼管の製造に好適である。特に、8~25質量% のCrを含有する鋼(例:SUS420H相当鋼、SUS304相当 、25Cr系二相ステンレス鋼)からなる継目無 管の製造に適している。

 本発明の潤滑剤の各成分について説明す 。

 (1)酸化鉄:20~40質量%
 酸化鉄は、焼付き防止効果を得るために必 な成分である。酸化鉄は、酸化鉄(II)(FeO)、 化鉄(III)(Fe 2 O 3 )、酸化鉄(II、III)(Fe 3 O 4 )のいずれでもよい。これら酸化鉄の二種以 を含んでもよい。潤滑剤中の酸化鉄の量は 20~40質量%である。酸化鉄の量が20質量%未満 は、被加工材とこれに接触する部材間に焼 きが生じる。一方、酸化鉄の量が40質量%を えると、潤滑剤中の珪酸ナトリウム含有量 比べて酸化鉄が多過ぎ、潤滑剤の供給性が 化する。この場合、潤滑剤が加工摺動界面( 加工材と、工具(例:ガイドシュー)との界面) へ引き込まれ難くなる。

 (2)珪酸ナトリウム:10~30質量%
 珪酸ナトリウムは、酸化鉄の粒子を結合す 作用を有する。この作用により、酸化鉄の 子が加工摺動界面に引き込まれやすくなる 珪酸ナトリウムは、この効果のために必要 成分である。潤滑剤中の珪酸ナトリウムの は、無水物換算で10~30質量%である。潤滑剤 の珪酸ナトリウムの量が10質量%未満では、 滑剤の供給性が低下し、潤滑剤が加工摺動 面へ引き込まれ難くなる。潤滑剤中の珪酸 トリウムの量が30質量%を超えると、酸化鉄 対して珪酸ナトリウムの含有量が多過ぎ、 化鉄による焼付き防止効果が低下する。

 (3)不純物:3質量%以下
 不純物は少ないことが望ましい。本発明の 滑剤を調製する過程で、酸化鉄等に付随し 酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉛(PbO)および酸化銅(CuO) が混入する。例えば、酸化鉄の原料として 鉛メッキラインの酸洗スライム(slime)や製鋼 スラグを使用すると、酸化亜鉛等が不純物と して混入する。

 不純物が多く含まれていると、耐食性能 持性が低下し、潤滑剤が製品の表面に残留 た場合に、不純物が製品の耐食性を劣化さ る。不純物中の酸化物は高温で還元され、 品自体と反応して耐食性の低い合金を形成 るからである。

 潤滑剤中の不純物量が3質量%以下であれ 、耐食性を劣化させる作用は小さく、問題 ならない。潤滑剤中の不純物量が3質量%を超 えると、潤滑剤の耐食性能維持性が低下し、 潤滑剤の焼付き防止効果も低下する。

 (4)水分:40~60質量%
 本発明の潤滑剤は、水分を含有する。潤滑 中の水分を40~60質量%とすることにより、潤 剤の供給性と潤滑性とを両立させることが きる。潤滑剤中の水分が40質量%未満では、 滑剤の粘度が高くなる。そのため、被加工 表面へ潤滑剤を供給することが困難となり 潤滑性が低下する。水分が60質量%を超える 、高温の被加工材表面へ潤滑剤を供給し付 したときに、突沸現象(潤滑剤中の水が激し く水蒸気化すること)が生じる。その現象に り、潤滑剤が飛散し、潤滑剤が被加工材表 に十分に付着しない。この現象は、被加工 の温度が高い第1の穿孔で顕著に発生する。

 本発明の潤滑剤に含まれる珪酸ナトリウム よび水分として、水ガラスを用いてもよい 水ガラスは、水ガラス1号(Na 2 O:SiO 2 =1:2)、水ガラス3号(Na 2 O:SiO 2 =1:3)、水ガラス4号(Na 2 O:SiO 2 =1:4)のいずれでもよい。

 (5)その他の成分
 酸化鉄の粉末を安定して分散させるために 本発明の潤滑剤に安定化剤を添加してもよ 。安定化剤の例は次の通りである:ナフタリ ンスルフォン酸ソーダフォルマリン縮合物、 スチレン・無水マレイン酸共重合樹脂のソー ダ塩、ポリアクリル酸ソーダ塩、ポリエチレ ングリコールアルキルエーテル、ポリエチレ ングリコールアルキルフェニルエーテル等。

 本発明の潤滑剤を被加工材表面に供給す 方法は、限定されない。通常は、潤滑剤を 加工材の表面に直接塗布する。望ましい方 には、スプレー法(ノズルを用い潤滑剤を霧 状にして噴射させる方法)がある。作業能率 よく、均一な塗布が可能だからである。本 明の潤滑剤は液体なので、スプレー法によ 塗布が可能である。

 本発明の熱間加工用潤滑剤は、潤滑性に れている。そのため、特に難加工材の熱間 孔において、ガイドシューにおける焼付き の発生、さらには製品の外面疵の発生を防 することができる。また、本発明の潤滑剤 、耐食性能維持性に優れている。そのため 残留した潤滑剤に起因して製品の耐食性等 損なわれることはない。

 本発明の潤滑剤は、供給性に優れている そのため、高温の被加工材表面、その他潤 剤の供給が困難な部分へ潤滑剤を供給する とが可能である。すなわち、穿孔圧延直前 、スケールの有無にかかわらず、ビレット( 被加工材)の表面に潤滑剤を塗布し付着させ ことができ、さらに潤滑剤を被加工材とガ ドシューの間に効率的に供給することがで る。望ましくは、穿孔圧延開始前の1秒以内 被加工材表面に潤滑剤を塗布する。搬送中 潤滑剤が剥離せず十分な潤滑性が得られる 、ビレット表面にスケールが存在しても、 滑剤がスケールに強固に固着せず、穿孔時 外面疵を発生させないためである。

 本発明の潤滑剤を穿孔圧延直前に被加工 表面に直接塗布すれば、継目無鋼管の製造 おいて、本発明の潤滑剤の優れた特性を十 に発揮させることができる。

 (実施例1)
 表1に示す成分構成の潤滑剤を用いて、マン ネスマン-ピアサーによる穿孔圧延を行った その条件は下記のとおりである。

  被加工材の寸法:直径が225mm、長さが3000mm
  被加工材の材質:13%Cr鋼の油井管製造用ビ ット
  穿孔圧延機:傾斜ロール方式のピアサー
  ガイドシュー:直径が2800mm、幅が150mmのデ スクロール
  穿孔後のホローシェル:外径230mm、肉厚21.0m m、長さ9000mm
  潤滑剤の供給方法:吐出圧力0.5MPaで被加工 表面にスプレー

 潤滑剤を被加工材表面にスプレー塗布した 、1秒以内に穿孔圧延を行った。
 表1において、「珪酸ナトリウム」は、水ガ ラス3号を用いて添加した。珪酸ナトリウム 含有量は、無水物に換算した含有量である 「安定剤、その他」としては、ナフタリン ルフォン酸ソーダフォルマリン縮合物、ス レン・無水マレイン酸共重合樹脂のソーダ 、ポリアクリル酸ソーダ塩等、ポリエチレ グリコールアルキルエーテル、ポリエチレ グリコールアルキル、フェニルエーテル等 添加した。

 穿孔後、下記の性能を評価した。その結 を表1に併せて示す。

 (1)耐焼付き性
 耐焼付き性は、13Cr鋼50本を穿孔した後にガ ドシューの表面を目視で検査して評価した
 表1の「耐焼付き性」欄の記号の意味は次の 通りである。
 ○:良。焼付きが発生していなかったことを 示す。
 △:可。軽微な焼付きが発生したことを示す 。
 ×:不可。広範囲にわたり著しい焼付きが発 したことを示す。

 (2)耐食性
 耐食性は、穿孔圧延後のホローシェルから 験片を採取し、沸騰65%硝酸液に720時間浸漬 た後の腐食の有無で評価した。
 表1の「耐食性」欄の記号の意味は次の通り である。
 ○:良。腐食が認められなかったことを示す 。
 ×:不可。腐食が認められたことを示す。

 (3)付着性
 付着性は、熱間での塑性加工で使用される 滑剤の潤滑性(耐焼付き性)に直接関係する 査項目であり、潤滑剤をスプレー塗布した 加工材表面を目視で検査して評価した。
 表1の「付着性」欄の記号の意味は次の通り である。
 ○:良。付着性の不良部位が認められなかっ たことを示す。
 △:可。付着性の不良部位が若干認められた ことを示す。
 ×:不可。潤滑剤が付着しなかったことを示 。

 (4)突沸性
 突沸性は、表面に潤滑剤をスプレー塗布し ディスクロールを被加工材と接触させた際 おける、潤滑剤中の水の激しい水蒸気化(突 沸現象)の有無により評価した。
 表1の「突沸性」欄の記号の意味は次の通り である。
 ○:良。突沸がなかったことを示す。
 △:可。突沸が若干認められたことを示す。
 ×:不可。激しい突沸があったことを示す。
 突沸が生じると潤滑剤が飛散して被加工材 面に付着しないので、突沸性と付着性は同 傾向を示す。

 (5)流動性
 流動性は、潤滑剤の供給性の良否に直接関 する調査項目であり、潤滑剤を被加工材表 にスプレーで供給する際における吐出状態 より評価した。
 表1の「流動性」欄の記号の意味は次の通り である。
 ○:良。潤滑剤の吐出状態が良好であったこ とを示す。
 △:可。それより若干悪かったことを示す。
 ×:不可。吐出できなかったことを示す。

 (5)総合評価
 総合評価は、「耐焼付き性」、「耐食性」 「付着性」、「突沸性」および「流動性」 5項目全ての評価を総合した評価結果である 。具体的には、5項目についてのそれぞれの 価のうち、最も悪かった評価結果を「総合 価」とした。例えば、5項目のうち1項目が× であれば、他の4項目が全て○印であっても 、「総合評価」は×印となる。5項目の調査で 評価される性能のうちの一つが不可の場合、 その潤滑剤は熱間での使用に供し得ないから である。
 表1の「総合評価」欄の記号の意味は次の通 りである。
 ○:良。5項目全てが○であることを示す。
 △:可。5項目全てが○または△であること 示す。
 ×:不可。5項目のうちいずれかが×であるこ を示す。

 表1から次のことが示される。
 本発明例1~4は、いずれも本発明の規定を満 す。そのため、総合評価はいずれも良(○印 )であった。これらの潤滑剤は、いずれも優 た性能を有する。

 比較例1は、酸化鉄の含有量が本発明の規 定量より少なく、水分含有量が本発明の規定 範囲を超えている。そのため、突沸が生じて 潤滑剤が被加工材表面に付着せず、焼付き防 止効果が認められなかった。

 比較例2は、酸化鉄が本発明の規定量より 多い。そのため、流動性が若干悪く、被加工 材とガイドシューの界面への円滑な付着が妨 げられた。結果として、軽微な焼付きが発生 した。

 比較例3は、珪酸ナトリウムが本発明の規 定量より少なく、水分含有量が本発明の規定 範囲を超えている。そのため、若干の突沸が 生じ、付着性が低下した。結果として、広範 囲の焼付きが発生した。

 比較例4は、珪酸ナトリウムが本発明の規 定量を超えており、珪酸ナトリウムの含有量 が酸化鉄量に対して相対的に過多である。そ のため、酸化鉄による焼付き防止効果が低下 した。

 比較例5は、不純物の含有量が本発明の規 定範囲を超えている。そのため、耐食性の試 験で腐食が生じた。

 比較例6は、水分含有量が本発明の規定範 囲より若干少ない。そのため、流動性が低下 し、焼付きが発生した。

 比較例7は、水分含有量が本発明の規定範 囲を超えている。そのため、突沸が生じて潤 滑剤が被加工材表面に付着せず、広範囲にわ たり焼付きが発生した。

 (実施例2)
 潤滑剤を被加工材外表面に塗布してから穿 圧延を開始するまでの時間が、潤滑剤の効 に及ぼす影響を確認した。

 前記表1に示した本発明例1の潤滑剤を被 工材外表面に塗布した後、穿孔圧延開始ま の時間を変更した。その他の条件は実施例1 同じとした。潤滑性(実施例1の「耐焼付き 」と同一の評価)および被加工材(ホローシェ ル)の外面疵の発生有無を調査した。

 表2に調査結果を示す。
 表2の「潤滑性」欄の記号の意味は次の通り である。
 ○:良。焼付きが発生していなかったことを 示す。
 △:可。軽微な焼付きが発生したことを示す 。
 ×:不可。広範囲にわたり著しい焼付きが発 したことを示す。

 表2の「外面疵」欄の記号の意味は次の通り である。
 ○:良。疵の発生がなかったことを示す。
 △:可。若干の疵の発生があったことを示す 。
 ×:不可。多数の疵の発生があったことを示 。

 表2から次のことが示される。
 潤滑剤を被加工材表面にスプレー塗布した 、穿孔圧延開始までの時間が0~1秒の場合は 潤滑性および外面疵のいずれについても良 であった。一方、穿孔圧延開始までの時間 1秒を超えると、潤滑性および外面疵のいず れも低下する傾向を示し、60秒を超えると潤 性が悪化し、ホローシェル外面に多数の疵 発生した。

 本発明は、熱間加工の継目無鋼管の製造 有効に利用できる。