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Patent Searching and Data


Title:
MODIFIED PROPYLENE RESIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/088033
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a modified propylene resin containing an extremely small amount of a low-crystalline and low-molecular-weight component. Specifically disclosed is a modified propylene resin characterized by meeting the following requirements (1) to (4): (1) the melting point (Tm) is 140˚C or higher as measured on a differential scanning calorimetry (DSC): (2) the amount a monomer having an ethylenically unsaturated bond grafted in the resin is 0.1 to 5 wt% after the resin is washed with hot xylene; (3) a component soluble in o-dichlorobenzene at 70˚C is contained in an amount of 1.5 wt% or less; and (4) the intrinsic viscosity [η] is 0.1 to 4 dl/g.

Inventors:
ITAKURA KEITA (JP)
IWASHITA TORU (JP)
HASHIZUME SATOSHI (JP)
OHNISHI RIKUO (JP)
GODA HIROFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050119
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
January 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
PRIME POLYMER CO LTD (JP)
ITAKURA KEITA (JP)
IWASHITA TORU (JP)
HASHIZUME SATOSHI (JP)
OHNISHI RIKUO (JP)
GODA HIROFUMI (JP)
International Classes:
C08K3/00; C08F255/02; C08L23/10; C08L51/06
Domestic Patent References:
WO2001027124A12001-04-19
Foreign References:
JPH093141A1997-01-07
JPH0391514A1991-04-17
JP2002020436A2002-01-23
JP2004197068A2004-07-15
JP2002020560A2002-01-23
JP2007112954A2007-05-10
JP2002020436A2002-01-23
JP2002256023A2002-09-11
JPH11315109A1999-11-16
JP2006117839A2006-05-11
JP2004002837A2004-01-08
JPH07145212A1995-06-06
Other References:
POLYMER, 2004, pages 2883 - 2888
J. POLYM. SCI., vol. 8, 1970, pages 1803
MARKOMOL. CHEM., vol. 177, 1976, pages 213
See also references of EP 2233506A4
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (Gotanda Yamazaki Bldg. 6F13-6, Nishigotanda 7-chom, Shinagawa-ku Tokyo 31, JP)
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Claims:
 下記要件(1)~(4)を満たすことを特徴とする変性プロピレン樹脂(D)。
(1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が140℃以上である。
(2)熱キシレン洗浄後のエチレン系不飽和結合含有モノマーのグラフト量が0.1~5重量%である。
(3)70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量が1.5重量%以下である。
(4)極限粘度[η]が0.1~4dl/gである。
 下記要件(5)を満たすことを特徴とする請求項1記載の変性プロピレン樹脂。
(5)熱キシレン洗浄前後の70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量の変化が0.5重量%未満である。
 下記要件(6)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変性プロピレン樹脂(D)。
(6)イオンクロマトグラフ法により測定した塩素量が3重量ppm以下である。
 メタロセン触媒の存在下で重合して製造されたプロピレン重合体(A)100重量部に対して、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)0.1~20重量部、有機過酸化物(C)0.001~10重量部を配合して、溶媒中または溶融状態で変性させることを特徴とする、下記要件(1)~(6)を満たす変性プロピレン樹脂の製造方法。
(1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が140℃以上である。
(2)エチレン系不飽和結合含有モノマーのグラフト量が0.1~5重量%である。
(3)70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量が1.5重量%以下である。
(4)極限粘度[η]が0.1~4dl/gである。
(5)熱キシレン洗浄前後の70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量の変化が0.5重量%未満である。
(6)イオンクロマトグラフ法により測定した塩素量が3重量ppm以下である。
 プロピレン重合体(A)100重量部に対して、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)0.1~20重量部、有機過酸化物(C)0.001~10重量部を配合して、これらを、押出機を用いて混練し、溶融状態にして変性させることを特徴とする請求項4記載の変性プロピレン樹脂の製造方法。
 プロピレン系重合体(A)の示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150℃以上であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の変性プロピレン樹脂の製造方法。
 請求項4~6のいずれかに記載の方法で製造された変性プロピレン樹脂(D)。
請求項1、2または7に記載の変性プロピレン樹脂(D)0.1~40重量%、ポリプロピレン系樹脂(P)60~99.9重量%(ただし、(D)および(P)の合計は100重量%)を含むポリプロピレン系樹脂組成物(S1)。
請求項1、2または7に記載の変性プロピレン樹脂(D)0.1~10重量%、フィラー(F)3~70重量%、ポリプロピレン系樹脂(P)20~96.9重量%(ただし、(D)、(F)および(P)の合計量は100重量%)を含むポリプロピレン系樹脂組成物(S2)。
フィラー(F)が、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の無機フィラーである請求項9に記載のポリプロピレン系樹脂組成物(S2)。
 フィラー(F)が、木粉、セルロースからなる群から選ばれる1種以上の有機フィラーである請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂組成物(S2)。
 請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂組成物(S1)または請求項9~11のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物(S2)を含んでなる成形体。
 2以上の層からなり、請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂組成物(S1)または請求項9~11のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物(S2)を少なくとも1つの層に含んでなる積層体。
Description:
変性プロピレン樹脂

 本発明は、変性プロピレン樹脂に関し、 しくは低結晶性および低分子量成分が非常 少ない変性プロピレン樹脂に関する。

 ポリプロピレン樹脂は、低比重で剛性が く、更に成形性が良いことから、日用雑貨 台所用品、家電製品、機械部品、電気部品 自動車部品など各種構造部品として使用さ ている。さらにその特長を生かす為に、ポ プロピレン樹脂とガラス繊維の複合化によ 高剛性化が検討されており、金属代替自動 用モジュール部品、エンジンファン等への 用が進められている。

 金属代替自動車用モジュール部品やエン ンファン等では、長期に渡り応力負荷がか り、かつ高温下で使用されることが多いこ から、部品として耐久性が要求される。ポ プロピレン樹脂-ガラス繊維複合体では、そ の強度を上げる為に、プロピレン樹脂とガラ ス繊維の接着強度を向上させることが必要で あり、プロピレン重合体に無水マレイン酸等 のエチレン性不飽和結合含有カルボン酸を有 機過酸化物等開始剤の存在下、あるいは紫外 線や放射線照射でグラフト化させて得られる 変性プロピレン樹脂を添加することが検討さ れている。もっとも、前記のような変性プロ ピレン樹脂の製造工程においては、グラフト 化に際してプロピレン重合体の一部が酸化反 応を起こしたり、分解したりする。このため 、グラフト量を向上させる為に有機過酸化物 等の開始剤の添加量を増やしていくと変性プ ロピレン樹脂が低分子量化することがあり、 その結果、プロピレン樹脂とガラス繊維との 間の接着強度が不十分になる場合があった。

 この問題を解決する方法として、例えば 開2002-20436号公報では超高分子量プロピレン 重合体をエチレン性不飽和結合含有モノマー でグラフト化させる方法、特開2002-256023号公 ではプロピレン重合体を低温分解型有機化 化物存在下でエチレン性不飽和結合含有カ ボン酸をグラフト化させる方法、その他ス レンとエチレン性不飽和結合含有カルボン を共存下でグラフト化させる方法(井出文雄 著、実用ポリマーアロイ設計、P51工業調査会 (1996))が開示されている。これらの方法によ 、比較的分子量が高くかつ高グラフト量の 性プロピレン樹脂を製造することが可能で る。

 しかし、構造部品の安全性および信頼性 上を背景に、プロピレン樹脂-ガラス繊維複 合体の耐久性を更に改良させることが要求さ れており、変性プロピレン樹脂の一層の高性 能化が求められている。

 また、変性プロピレン樹脂は、食品等の包 用多層フィルムにおいてポリプロピレン樹 層と他ポリマー層との接着層、フィルムお び成形体への塗装性、印刷性、蒸着適性付 を施す為の改質剤、ポリプロピレン樹脂と ンジニアリングプラスチックとのポリマー ロイ相溶化剤に使用されている。これら変 プロピレン樹脂用途でも、更なる高性能化 求められている。

特開2002-20436号公報

特開2002-256023号公報

 本発明は、低結晶性または低分子量成分 存在するとプロピレン樹脂とガラス繊維と 接着強度の経時低下や、ポリプロピレン樹 層と他ポリマー層との接着強度の経時低下 生じることに着眼し、上記要求を満たす変 プロピレン樹脂を得ようとしたものである すなわち本発明は、低結晶性および低分子 成分が非常に少ない変性プロピレン樹脂を 供すること、更に詳しくは、低結晶性およ 低分子量成分が非常に少なく、プロピレン 脂-ガラス繊維複合体の耐久性向上等の高度 な要求に適用できる変性プロピレン樹脂を提 供すること、およびその変性プロピレン樹脂 の製造方法を提供することを目的とする。

 前記課題を解決する本発明は、下記要件(1)~ (4)を満たす変性プロピレン樹脂である。
 (1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm) 140℃以上である。

 (2)熱キシレン洗浄後のエチレン系不飽和結 含有モノマーのグラフト量が0.1~5重量%であ 。
 (3)70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量 が1.5重量%以下である。

 (4)極限粘度[η]が0.1~4dl/gである。
前記発明の好適な態様として、前記変性プロ ピレン樹脂はさらに下記要件(5)を満たす。

 (5)熱キシレン洗浄前後の70℃のo-ジクロロベ ンゼンに可溶な成分量の変化が0.5重量%未満 ある。
さらに、前記変性プロピレン樹脂は下記要件 (6)を満たすことが好ましい。

 (6)イオンクロマトグラフ法により測定した 素量が3重量ppm以下である。
 前記課題を解決する他の発明は、メタロセ 触媒の存在下で重合して製造されたプロピ ン重合体(A)100重量部に対して、エチレン性 飽和結合含有モノマー(B)0.1~20重量部、有機 酸化物(C)0.001~10重量部を配合して、溶媒中 たは溶融状態で変性させる、下記要件(1)~(6) 満たす変性プロピレン樹脂の製造方法であ 。
(1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が 140℃以上である。
(2)エチレン系不飽和結合含有モノマーのグラ フト量が0.1~5重量%である。
(3)70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量 1.5重量%以下である。
(4)極限粘度[η]が0.1~4dl/gである。
(5)熱キシレン洗浄前後の70℃のo-ジクロロベ ゼンに可溶な成分量の変化が0.5重量%未満で る。
(6)イオンクロマトグラフ法により測定した塩 素量が3重量ppm以下である。

 前記変性プロピレン樹脂の製造方法の好 な態様として、プロピレン重合体(A)100重量 に対して、エチレン性不飽和結合含有モノ ー(B)0.1~20重量部、有機過酸化物(C)0.001~10重 部を配合して、これらを、押出機を用いて 練し、溶融状態にして変性させる。

 また、他の発明は、前記の製造方法で製 された変性プロピレン樹脂(D)、該変性プロ レン樹脂(D)とポリプロピレン系樹脂(P)を含 ポリプロピレン系樹脂組成物(S1)、該変性プ ロピレン樹脂(D)、フィラー(F)とポリプロピレ ン系樹脂(P)を含むプロピレン系樹脂組成物(S2 )である。

 本発明の変性プロピレン樹脂は、低結晶 および低分子量成分が非常に少なく、更に チレン性不飽和結合含有モノマーのグラフ 量と変性プロピレン樹脂分子量のバランス 優れていることから、プロピレン樹脂-ガラ ス繊維複合体の耐久性向上等の高度な要求に 適用できる。

図1は、振動疲労試験に用いた試験片の 形状および寸法を示す概略図である。 図2は、プロピレン重合体中の二重結合 構造を示す概略図である。

 以下、変性プロピレン樹脂およびその製法 ついて詳述に説明する。
 <変性プロピレン樹脂>
 本発明の変性プロピレン樹脂は、下記要件( 1)~(4)を満たし、好ましくは下記要件(1)~(4)の (5)または(6)を満たし、さらに好ましくは下 要件(1)~(4)の他(5)および(6)を満たす。
(1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が 140℃以上である。
(2)熱キシレン洗浄後のエチレン系不飽和結合 含有モノマーのグラフト量が0.1~   5重量%。
(3)70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量 1.5重量%以下である。
(4)極限粘度[η]が0.1~4dl/gである。
(5)熱キシレン洗浄前後の70℃のo-ジクロロベ ゼンに可溶な成分量の変化が
  0.5重量%未満である。
(6)イオンクロマトグラフ法により測定した塩 素量が3重量ppm以下である。

 以下、本発明に係る変性プロピレン樹脂 備える上記要件(1)~(4)および、好ましくは備 える上記要件(5)、さらに好ましくは備える上 記要件(6)について、プロピレン樹脂/変性プ ピレン樹脂/ガラス繊維組成物からなる複合 (プロピレン樹脂-ガラス繊維複合体)を例に て、詳述に説明する。

 要件(1)
 本発明の変性プロピレン樹脂は、示差走査 量計(DSC)で測定される融点(Tm)が140℃以上、 ましくは145℃以上、更に好ましくは150℃以 である。融点が140℃未満であると、変性プ ピレン樹脂の剛性が低下し、プロピレン樹 -ガラス繊維組成物に変性プロピレン樹脂を 添加すると得られた複合体の剛性が低下する 。
 示差走査熱量計(DSC)による融点の測定方法 ついては、実施例において詳述した。

 要件(2)
 熱キシレン洗浄後のエチレン系不飽和結合 有モノマーのグラフト量が0.1~5重量%、好ま くは0.3~5重量%、更に好ましくは0.5~5重量%で る。グラフト量が0.1重量%未満であると、変 性プロピレン樹脂によるプロピレン樹脂とガ ラス繊維の接着性改良効果が低くなり、得ら れたプロピレン樹脂-ガラス繊維複合体の剛 が低下する。また、グラフト量が5重量%を超 えると、プロピレン樹脂中において変性プロ ピレン樹脂の分散性が低下する。その為、変 性プロピレン樹脂によるプロピレンプロピレ ン樹脂とガラス繊維の接着性改良効果が低く なり、得られたプロピレン樹脂-ガラス繊維 合体の剛性が低下する。

 ここで、熱キシレン洗浄とは、加熱したキ レンで変性プロピレン樹脂を洗浄する操作 いい、たとえば、変性プロピレン樹脂約2g 500mlの沸騰p-キシレンに完全に加熱溶解し、 却後、1200mlのアセトン中に投入し、析出物 濾過、乾燥する操作である。
 グラフト量の測定方法については、実施例 おいて詳述した。

 要件(3)
 70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量が 1.5重量%以下であり、好ましくは 1.0重量%以 、さらに好ましくは0.5重量%以下である。70 のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分は、低結 晶性または低分子量プロピレン重合体に由来 し、その量が1.5重量%よりも多いと、プロピ ン樹脂-ガラス繊維複合体の疲労強度が低下 る。
 70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成分量の 測定はクロスクロマト分別測定(CFC)により行 た。この測定方法については、実施例にお て詳述した。

 要件(4)
 極限粘度[η]が0.1~4dl/g、好ましくは0.4~3dl/g、 更に好ましくは0.6~2dl/gである。極限粘度[η] 0.1dl/g未満であると、変性プロピレン樹脂自 の強度が低下する為、プロピレン樹脂-ガラ ス繊維複合体の強度が低下する。極限粘度[η ]が4dl/gよりも高いと、プロピレン樹脂中にお いて変性プロピレン樹脂の分散性が低下する 。その為、変性プロピレン樹脂によるプロピ レンプロピレン樹脂とガラス繊維の接着性改 良効果が低くなり、得られたプロピレン樹脂 -ガラス繊維複合体の剛性が低下する場合が る。
 極限粘度[η]の測定方法については、実施例 において詳述した。

 要件(5)
 熱キシレン精製前後の70℃のo-ジクロロベン ゼンに可溶な成分量の変化、すなわち熱キシ レン精製前における70℃のo-ジクロロベンゼ に可溶な成分量(重量%)と熱キシレン精製後 おける70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成 量(重量%)との差が0.5重量%未満、好ましくは 0.3重量%未満、更に好ましくは0.1重量%未満で る。熱キシレン精製前後の70℃のo-ジクロロ ベンゼンに可溶な成分量の変化が0.5重量%よ も多いと、プロピレン樹脂-ガラス繊維複合 の疲労強度が低下する。

 要件(6)
 イオンクロマトグラフ法により測定した塩 量が3重量ppm以下である。イオンクロマトグ ラフ法により測定した塩素量が3重量ppmより 多いと、プロピレン樹脂-ガラス繊維複合体 形加工時およびプロピレン樹脂-ガラス繊維 複合体製品の使用時に、残留塩素による劣化 作用によりプロピレン樹脂-ガラス繊維複合 の疲労強度が低下する場合がある。

 本発明の変性プロピレン樹脂は、低結晶 および低分子量成分が非常に少なく、かつ チレン性不飽和結合含有モノマーのグラフ 量と変性プロピレン樹脂分子量とのバラン に優れていることから、各種改質剤として 用することができる。具体的には、プロピ ン樹脂-ガラス繊維組成物において疲労特性 改良および強度改良材に適用できる。また、 プロピレン樹脂-各種フィラーや繊維からな 組成物の剛性、強度改良剤としても使用で る。フィラー、繊維の具体例としては、タ ク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、け 酸塩類、炭酸塩類、ガラス繊維などの無機 ィラー、炭素繊維、ポリエチレンテレフタ ート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維 ケナフ繊維等の有機繊維が挙げられる。ま 、プロピレン樹脂と他ポリマーとの多層成 体の接着層としても適用でき、従来の変性 ロピレン樹脂と比較して接着強度の経時低 が少ないという特徴がある。また、プロピ ン樹脂組成物の塗装性改良材、印刷性改良 、蒸着適性改良材、染色性改良材、ナイロ 等の他樹脂との相溶化材として、フィルム シートの包装材料分野、産業材分野、自動 分野等の各種成形体に適用することができ 。

 本発明の変性プロピレン樹脂は、たとえば 下の方法によって製造することができる。
 <変性プロピレン樹脂の製造方法>
 本発明の変性プロピレン樹脂の製造方法は プロピレン重合体(A)をエチレン性不飽和結 含有モノマー(B)と有機過酸化物(C)とで溶媒 あるいは溶融状態で変性させる方法であり 上述の変性プロピレン樹脂が製造される。

  プロピレン重合体(A)
 プロピレン重合体(A)は、プロピレン単独重 体、プロピレンと1種類以上のC2または炭素 4から炭素数20のα-オレフィンからなるプロ レン-α-オレフィンランダム共重合体、プロ ピレン-α-オレフィンブロック共重合体であ 、特にプロピレン単独重合体、プロピレン- -オレフィンランダム共重合体であることが ましい。プロピレン重合体(A)の融点は145℃ 上であることが好ましく、さらに好ましく 150℃以上、特に好ましくは155℃以上である プロピレン重合体(A)の融点が145℃未満であ と、得られる変性プロピレン樹脂の融点が1 40℃未満となり、プロピレン樹脂-ガラス繊維 複合体の剛性、強度が低下する傾向がある。
プロピレン重合体(A)の極限粘度[η]は0.5~15dl/g あることが好ましく、さらに好ましくは1.0~ 10dl/gであり、MFRは0.001~1500g/10minであることが ましく、さらに好ましくは0.005~100g/10minであ る。
プロピレン重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は1.5~4 .0であることが好ましく、さらに好ましくは1 .5~3.5、最も好ましくは1.5~3.0である。プロピ ン重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が4.0よりも大 いと、プロピレン重合体(A)中に含まれる低 子量成分が、変性プロピレン樹脂製造時に に低分子量化される。結果として、変性プ ピレン樹脂中に含まれる低分子量成分が多 なり、プロピレン樹脂-ガラス繊維複合体の 疲労強度が低下しやすくなる。

 プロピレン重合体(A)として用いられる材 中に含まれている残留塩素の量は3重量ppm以 下、好ましくは1重量ppm以下である。前記残 塩素の量が3重量ppmよりも多いと、変性プロ レン樹脂製造中に遊離塩素が発生し、低分 量の変性プロピレン樹脂が副生される可能 、または変性プロピレン樹脂中の残留塩素 多くなり、プロピレン樹脂-ガラス繊維複合 体の疲労強度が低下する場合がある。

 また、プロピレン重合体(A)中に少量の二 結合構造が含まれていると、変性プロピレ 樹脂製造時に前記二重結合構造とエチレン 不飽和結合含有モノマーとの反応が生じや くなり、変性プロピレン樹脂中のエチレン 不飽和結合含有モノマーのグラフト量が高 なる場合がある。

 プロピレン重合体(A)は、 13 C-NMRスペクトルから求められる、全プロピレ 構成単位中のプロピレンモノマーの2,1-挿入 に基づく異種結合の割合および1,3-挿入に基 く異種結合の割合の和が好ましくは0.1mol%以 、より好ましくは0.05mol%以下である。プロ レン重合体(A)の2,1-挿入に基づく異種結合の 合および1,3-挿入に基づく異種結合の割合の 和が前記範囲にあると、変性プロピレン樹脂 の融点が高くなり、プロピレン樹脂-ガラス 維複合体の強度が高くなる。

 プロピレン重合体(A)は、メタロセン触媒 存在下で製造される。本発明に係る変性プ ピレン樹脂の特性を満たすことができれば プロピレン重合体(A)は公知のメタロセン触 を用いて製造することができる。

 シクロペンタジエニル骨格を有する配位 を分子内に含むメタロセン化合物は、その 学構造から下記一般式[I]で表されるメタロ ン化合物(D1)および下記一般式[II]で表され で表される架橋型メタロセン化合物(D2)が挙 られる。これらの中では、架橋型メタロセ 化合物(D2)が好ましい。

〔上記一般式[I]および[II]において、Mはチタ 原子、ジルコニウム原子、またはハフニウ 原子を示し、Qはハロゲン原子、炭化水素基 、アニオン配位子、及び孤立電子対で配位可 能な中性配位子から選ばれ、jは1~4の整数で り、Cp 1 およびCp 2 は、互いに同一か又は異なっていてもよく、 Mと共にサンドイッチ構造を形成することが きるシクロペンタジエニルまたは置換シク ペンタジエニル基である。ここで、置換シ ロペンタジエニル基は、インデニル基、フ オレニル基、アズレニル基およびこれらが つ以上のハイドロカルビル基で置換された も包含し、インデニル基、フルオレニル基 アズレニル基の場合はシクペンタジエニル に縮合するベンゼン骨格に二重結合の一部 水添されていてもよい。一般式[II]においてY は、炭素原子数1~20の2価の炭化水素基、炭素 子数1~20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価 ケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、 2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO 2 -、-Ge-、-Sn-、-NR a -、-P(R a )-、-P(O)(R a )-、-BR a -または-AlR a -を示す。(但し、R a は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭 素原子数1~20の炭化水素基、炭素原子数1~20の ロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン 子または窒素原子に炭素原子数1~20の炭化水 素基が1個または2個結合した窒素化合物残基 ある)。〕
 特に、本発明において好んで用いられるメ ロセン触媒は、本願出願人によって既に国 公開(WO01/27124)されている下記一般式[III]で される架橋性メタロセン化合物、並びに、 機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化 物およびメタロセン化合物と反応してイオ 対を形成することのできる化合物から選ば る少なくても1種以上の化合物、さらに必要 応じて粒子状担体とからなるメタロセン触 である。

 上記一般式[III]において、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 、R 9 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ば れ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。 このような炭化水素基としては、メチル基、 エチル基、n-プロピル基、アリル基、n-ブチ 基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチ 基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、t ert-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基 、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチ 基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロ ルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル 基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピ 基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル 基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、 シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマ ンチル基などの環状飽和炭化水素基; フェニ ル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基 、フェナントリル基、アントラセニル基など の環状不飽和炭化水素基; ベンジル基、クミ ル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニ メチル基などの環状不飽和炭化水素基の置 した飽和炭化水素基; メトキシ基、エトキ 基、フェノキシ基、フリル基、N-メチルアミ ノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミ ノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原 子含有炭化水素基等を挙げることができる。 ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基 、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシ リル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフ ェニルシリル基などを挙げることができる。 また、R 5 からR 12 の隣接した置換基は互いに結合して環を形成 してもよい。このような置換フルオレニル基 としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾ フルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフル オレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベ ンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒ ドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙 げることができる。

 本発明に関わるメタロセン化合物としては 前記一般式[III]において、シクロペンタジ ニル環に置換するR 1 、R 2 、R 3 、R 4 は水素、または炭素数1~20の炭化水素基であ ことが好ましく、R 3 が炭素数1~20の炭化水素基であることがより ましい。

 また、前記一般式[III]において、フルオレ 環に置換するR 5 からR 12 は炭素数1~20の炭化水素基であることが好ま い。炭素数1~20の炭化水素基としては、前述 炭化水素基を例示することができる。R 5 からR 12 の隣接した置換基は互いに結合して環を形成 してもよい。

 本発明に関わるメタロセン化合物として 、前記一般式[III]において、シクロペンタ エニル環とフルオレニル環を架橋するYは第1 4族元素であることが好ましく、炭素、ケイ 、ゲルマニウムがより好ましく、炭素原子 更に好ましい。

 また、Yに置換するR 13 、R 14 は相互に同一でも異なっていてもよく、互い に結合して環を形成してもよい炭素数1~20の 化水素基であり、好ましくはR 14 は炭素数6~20のアリール(aryl)基である。アリ ル基としては、前述の環状不飽和炭化水素 、環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭 水素基、ヘテロ原子含有環状不飽和炭化水 基を挙げることができる。また、R 13 、R 14 はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互 いに結合して環を形成してもよい。このよう な置換基としては、フルオレニリデン基、10- ヒドロアントラセニリデン基、ジベンゾシク ロヘプタジエニリデン基などが好ましい。な お、R 13 、R 14 はR 5 からR 12 の隣接した置換基またはR 1 からR 4 の隣接した置換基と互いに結合して環を形成 しても良い。

 前記一般式[III]において、Mは好ましくは 4族遷移金属であり、さらに好ましくはTi、Z r、Hf等が挙げられる。また、Qはハロゲン、 化水素基、アニオン配位子または孤立電子 で配位可能な中性配位子から同一または異 る組合せで選ばれる。jは1~4の整数であり、j が2以上の時は、Qは互いに同一でも異なって てもよい。ハロゲンの具体例としては、フ 素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素 の具体例としては前述と同様のものなどが げられる。アニオン配位子の具体例として 、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシな のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエー などのカルボキシレート基、メシレート、 シレートなどのスルホネート基等が挙げら る。孤立電子対で配位可能な中性配位子の 体例としては、トリメチルホスフィン、ト エチルホスフィン、トリフェニルホスフィ 、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機 ン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチル ーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン どのエーテル類等が挙げられる。Qは少なく とも1つがハロゲンまたはアルキル基である とが好ましい。

 前記の好ましい架橋メタロセン化合物と ては、イソプロピル(3-tert-ブチル-5-メチル クロペンタジエニル)(3,6-ジtert-ブチルフルオ レニル)ジルコニウムジクロリド、1-フェニル エチリデン(4-tert-ブチル-2-メチルシクロペン ジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベ ゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、[ 3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒ ロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチ ル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレ ン)]ジルコニウムジクロライド等を例示する とができる。

 なお、本発明に係わるメタロセン触媒に いて、前記一般式[I]で表わされる第4族遷移 金属化合物とともに用いられる、有機金属化 合物、有機アルミニウムオキシ化合物、およ びメタロセン化合物と反応してイオン対を形 成する化合物から選ばれる少なくとも1種の 合物、さらには必要に応じて用いられる粒 状担体については、本出願人による前記公 (WO01/27124)や特開平11-315109号公報中に開示さ た化合物を制限無く使用することができる

  エチレン性不飽和結合含有モノマ ー(B)
 本発明で使用するエチレン性不飽和結合含 モノマー(B)は、1分子内にエチレン性不飽和 結合と1種類以上の極性基とを合わせ持つ化 物である。極性基の種類としては、カルボ シル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基 アミノ基、アミド基、イミド基、エステル 、アルコキシシラン基、酸ハライド基、芳 族環、およびニトリル基等が挙げられる。

 エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)の 体例としては、不飽和カルボン酸、その無 物または金属塩等の誘導体、水酸基含有エ レン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチ ン性不飽和化合物、スチレン系モノマー、 クリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル が挙げられる。これらの中では、不飽和カ ボン酸、その無水物または誘導体、水酸基 有エチレン性不飽和化合物、およびエポキ 基含有エチレン性不飽和化合物が好ましい

 エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と て用いる前記不飽和カルボン酸、その無水 または誘導体の具体例としては、アクリル 、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マ イン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル 、メチルテトラヒドロフタル酸、シトラコ 酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンド ス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2,3-ジカルボン酸( ジック酸、商標)、メチル-エンドシス-ビシ ロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(メチ ナジック酸、商標)等の不飽和カルボン酸; れらの不飽和カルボン酸の無水物;不飽和カ ボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド 不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和カル ン酸のエステル等の誘導体などが挙げられ 。より具体的には、塩化マレニル、マレイ ド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、 レイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル グリシジルマレエートおよびメタクリル酸 チルなどを挙げることができる。これらの では、アクリル酸、マレイン酸、ナジック 、無水マレイン酸、無水ナジック酸、メタ リル酸メチルが好ましい。不飽和カルボン 、その無水物または誘導体は1種単独で使用 することもできるし、2種以上を組み合せて 用することもできる。

 エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と て用いる前記水酸基含有エチレン性不飽和 合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチ (メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル( メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル( タ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキ プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒ ロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリ リンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリス リトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチ ールプロパン(メタ)アクリレート、テトラ チロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブ タンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリ チレングリコールモノ(メタ)アクリレート 2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチル クリレート等の(メタ)アクリル酸エステルな どを挙げることができる。なお、「(メタ)ア リ」は「アクリ」および/または「メタクリ 」を意味する。

 また水酸基含有エチレン性不飽和化合物 しては、10-ウンデセン-1-オール、1-オクテ -3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒド ロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエ ーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、 N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクリ ロイルオキシエチルアシッドホスフェート、 グリセリンモノアリルエーテル、アリルアル コール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4 -ジオール、グリセリンモノアルコールなど 使用することもできる。

 前記水酸基含有エチレン性不飽和化合物 中では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ ート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ トが好ましい。水酸基含有エチレン性不飽 化合物は1種単独で使用することもできるし 2種以上を組み合せて使用することができる 。

 エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と て用いる前記エポキシ基含有エチレン性不 和化合物の具体例としては、下記式(IV)で表 される不飽和グリシジルエステル類、下記式 (V)で表される不飽和グリシジルエーテル類、 および下記式(VI)で表されるエポキシアルケ 類などが挙げられる。

〔式(IV)中、Rは重合可能なエチレン性不飽 結合を有する炭化水素基を示す。〕

〔式(V)中、Rは重合可能なエチレン性不飽和 合を有する炭化水素基を示す。Xは-CH 2 -O-または

で表される2価の基を示す。〕

〔式(VI)中、R 1 は重合可能なエチレン性不飽和結合を有する 炭化水素基、R 2 は水素原子またはメチル基を示す。〕
 前記エポキシ基含有エチレン性不飽和化合 のより具体的なものとしては、グリシジル クリレート、グリシジルメタクリレート、 タコン酸のモノまたはジグリシジルエステ 、ブテントリカルボン酸のモノ、ジまたは リグリシジルエステル、テトラコン酸のモ またはジグリシジルエステル、エンド-シス -ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン (ナジック酸、商標)のモノまたはジグリシジ ルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプ ト-5-エン-2,3-ジメチル-2,3-ジカルボン酸(メチ ナジック酸、商標)のモノまたはジグリシジ ルエステル、アリルコハク酸のモノまたはジ グリシジルエステル、p-スチレンカルボン酸 グリシジルエステル、アリルグリシジルエ テル、2-メチルアリルグリシジルエーテル スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキ -1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、 3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチ -1-ペンテン、5,5-エポキシ-1-ヘキセン、およ びビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが 挙げられる。これらの中ではグリシジルアク リレート、グリシジルメタクリレートが好ま しい。エポキシ基含有エチレン性不飽和化合 物は1種単独で使用することもできるし、2種 上を組み合せて使用することができる。

 エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)の中 は、不飽和カルボン酸無水物が特に好まし 、無水マレイン酸が最も好ましい。
  有機過酸化物(C)
 本発明で使用する有機過酸化物(C)として具 的には、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5- リメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチル ペルオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチ ペルオキシ)オクタン、n-ブチル-4,4-ビス(t- チルペルオキシ)バラレート、2,2-ビス(t-ブチ ルペルオキシ)ブタン等のペルオキシケター 類;ジ-t-ブチルペルオキシド、ジクミルペル キシド、t-ブチルクミルペルオキシド、α,α ″-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピル ンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペル キシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチ ルペルオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルペル オキシド類;アセチルペルオキシド、イソブ ルペルオキシド、オクタノイルペルオキシ 、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペ オキシド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルペ オキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,5-ジ ロロベンゾイルペルオキシド、m-トリオイ ペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;t -ブチルオキシアセテート、t-ブチルペルオキ シイソブチレート、t-ブチルペルオキシ-2-エ ルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシラ リレート、t-ブチルペルオキシベンゾエート 、ジ-t-ブチルペルオキシイソフタレート、2,5 -ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘ サン、t-ブチルペルオキシマレイックアシ ド、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボ ネート、クミルペルオキシオクテート等のペ ルオキシエステル類;ジ(2-エチルヘキシル)ペ オキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メト シブチル)ペルオキシジカーボネート、等の ペルオキシジカーボネート類;t-ブチルハイド ロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシ ド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオ キシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロ ペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハ ドロペルオキシド等のハイドロペルオキシ 類などを挙げることができる。これらの中 は、t-ブチルペルオキシベンゾエート、2,5- メチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ 、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエ ト、ジクミルペルオキシドなどが好ましい

  プロピレン樹脂の変性方法
 本発明に係る変性プロピレン樹脂の製造方 は、プロピレン重合体(A)とエチレン性不飽 結合含有モノマー(B)とを、加熱条件下で有 過酸化物(C)の存在下に反応させることによ 変性を行う。上記のような変性反応は、溶 の存在下に行うこともできるし、また溶媒 非存在下に行うこともできる。

 溶媒の存在下で行う場合、溶媒としては ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、 デカン、テトラデカン、灯油などの脂肪族 化水素、メチルシクロペンタン、シクロヘ サン、メチルシクロヘキサン、シクロオク ン、シクロドデカンなどの脂環族炭化水素 ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ ゼン、クメン、エチルトルエン、トリメチ ベンゼン、シメン、ジイソプロピルベンゼ などの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、 ロモベンゼン、o-ジクロロベンゼン、四塩 炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチ ン、テトラクロロエタン、テトラクロロエ レンなどのハロゲン化炭化水素などを例示 ることができる。上記のような変性反応の 度は、通常50~250℃、好ましくは60~200℃であ 、反応時間は通常15分~20時間、好ましくは0.5 ~10時間程度である。また変性反応は、常圧、 加圧いずれの条件下においても実施すること ができる。反応に供給されるエチレン性不飽 和結合含有モノマー(B)の割合は、プロピレン 重合体(A)100重量部に対して通常は0.2~100重量 、好ましくは0.5~50重量部である。

 溶媒の非存在下で行う場合は、特に溶融 態で混練して変性反応を行うことが好まし 。具体的には、樹脂同士あるいは樹脂と固 もしくは液体の添加物を混合するための公 の各種方法が採用可能である。好ましい例 しては、各成分の全部をヘンシェルミキサ 、リボンブレンダー、ブレンダー等により 合して、該混合物を混練する等の方法、ま は成分のいくつかを組み合わせて別々にヘ シェルミキサー、リボンブレンダー、ブレ ダー等により混合して均一な混合物とした 、該混合物を混練する方法等を挙げること できる。混練の手段としては、バンバリー キサー、プラストミル、ブラベンダープラ トグラフ、一軸又は二軸の押出機等の従来 知の混練手段が広く採用可能である。特に ましいのは、一軸又は二軸押出機を用い、 め十分に予備混合したポリプロピレン樹脂 不飽和カルボン酸化合物及び/又はその誘導 体、有機過酸化物を押出機の供給口より供給 して混練を行う方法である。というのも、本 方法では連続生産が可能であり、生産性が向 上するからである。混練機の混練を行う部分 の温度は(例えば、押出機ならシリンダー温 )、100~300℃、好ましくは160~250℃である。温 が低すぎるとグラフト量が向上しない場合 あり、また、温度が高すぎると樹脂の分解 起こる場合がある。混練時間は、0.1~30分間 特に好ましくは0.5~5分間である。混練時間が 短すぎると十分なグラフト量は得られない場 合があり、また、混練時間が長すぎると樹脂 の分解が起こる場合がある。

 本発明の変性プロピレン樹脂の製造方法に いて、溶融混練で製造する場合、各成分の 合割合としては、たとえばプロピレン重合 (A)100重量部に対して、エチレン性不飽和結 含有モノマー(B)0.1~20重量部、好ましくは0.3~ 10重量部、さらに好ましくは0.5~5重量部、お び有機過酸化物(C)0.001~10重量部、好ましくは 0.01~5重量部、さらに好ましくは0.1~4重量部で る。
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
 本発明の変性プロピレン樹脂(D)は、低結晶 および低分子量成分が非常に少なく、かつ チレン性不飽和結合含有モノマーのグラフ 量と変性プロピレン樹脂分子量とのバラン に優れていることから、各種改質剤として 用することができる。具体例として、変性 ロピレン樹脂(D)0.1~40重量%とポリプロピレン 系樹脂(P)60~99.9重量%(ただし、(D)および(P)の合 計は100重量%)とを含むポリプロピレン樹脂組 物(S1)、あるいは変性プロピレン樹脂(D)0.1~10 重量%、フィラー(F)3~70重量%とポリプロピレン 系樹脂(P)20~96.9重量%(ただし、(D)、(F)および(P) の合計量は100重量%)を含むポリプロピレン系 脂組成物(S2)の実施形態等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂(P)
 ポリプロピレン系樹脂(P)とは、プロピレン 単独重合体、プロピレンとエチレンおよび -オレフィンとの共重合体、プロピレンとエ レンおよびα-オレフィンとのブロック共重 体である。前述のα-オレフィンの具体例と ては、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、2-メ ル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン 、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、 2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4- メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1- ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペ ンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブ テン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、 チル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメ ル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチ エチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1 -ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセ 等を挙げることができる。この中でも1-ブテ ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンのα- オレフィンを好ましく用いることができる。

 ポリプロピレン系樹脂(P)は、融点(Tm)が通常 100~170℃、好ましくは115~167℃である。また、 リプロピレン系樹脂(P)のメルトフローレー (MFR:ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)は、通常0.3~2 00g/10分、好ましくは2~150g/10分、さらに好まし くは10~100g/10分である。
ポリプロピレン樹脂組成物(S1)において変性 ロピレン樹脂(D)およびポリプロピレン系樹 (P)の量(ただし、(D)および(P)の合計は100重量% )は、変性プロピレン樹脂(D)0.1~40重量%かつプ ピレン系樹脂(P)60~99.9重量%、好ましくは変 プロピレン樹脂(D)0.3~20重量%かつプロピレン 樹脂(P)80~99.7重量%、さらに好ましくは変性 ロピレン樹脂0.5~10重量%かつプロピレン系樹 (P)90~99.5重量%である。
フィラー(F)
 フィラー(F)とは、ガラス繊維、炭素繊維、 ルク、硫酸マグネシウム繊維、マイカ、炭 カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸 ンモニウム塩、珪酸塩類、炭酸塩類等の無 フィラーと、木粉、セルロース、ポリエス ル繊維、ナイロン繊維、ケナフ繊維、竹繊 、ジュード繊維、米粉、澱粉、コーンスタ チ等の有機フィラーとに大別される。

 前記無機フィラーとしては、ガラス繊維、 素繊維、タルク、硫酸マグネシウムが好適 使用される。以下、詳細に説明する。
(ガラス繊維)
ガラス繊維としては、Eガラス(Electrical glass) Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、 Sガラス(High strength glass)および耐アルカリガ ラスなどのガラスを溶融紡糸してフィラメン ト状の繊維にしたものを挙げることができる 。該ガラス繊維は1mm以下の短繊維、1mm以上の 長繊維の形態で組成物中に含まれる。

 短繊維ガラスを用いる場合、ポリプロピ ン樹脂組成物(S2)中の短繊維ガラス含有量は 、3~70重量%、好ましくは10~50重量%、更に好ま くは20~40重量%である。

 長繊維ガラスを用いる場合は、公知のブレ ド方法が使用できる。特に、特開2006-117839 公報、特開2004-2837号公報に記載されている うにガラス繊維処理用変性ポリオレフィン 樹脂を含むサイジング剤で処理された表面 理ガラス繊維を含む繊維強化プロピレン系 脂を長さ2~200mmのペレットに加工して、本発 の変性プロピレン樹脂(D)とポリプロピレン 樹脂(P)との組成物にブレンドすることが望 しい。ポリプロピレン樹脂組成物(S2)におい て、長繊維ガラスの含有量は、3~70重量%、好 しくは10~70重量%、更に好ましくは35~55重量% ある。
(炭素繊維)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(S2)で 用される炭素繊維は、繊維径が2 μ mより大 きく1 5 μ m 以下であり、好ましくは3 μ m  ~ 1 2 μ m 、より好ましくは4 μ m ~1 0   m である。繊維径が2 μ m 以下の場合、 維の剛性が著しく低下し、1 5 μ m を超え と、繊維のアスペクト比( 長さ( L ) と太 ( D ) の比: L / D ) が低下してしまうた 、剛性や耐熱性などの十分な補強効率が得 れず好ましくない。ここで繊維径は、繊維 繊維方向に垂直に裁断し、その断面を顕微 観察して直径を計測し、1 0 0 本以上の繊 の直径の数平均を算出することにより求め ことができる。

 また、炭素繊維は、繊維長が1 ~ 2 0 m m  、好ましくは2 ~ 1 5 m m 、より好ましく 3 ~ 1 0 m m である。繊維長が1 m m 未満 場合、アスペクト比が低く十分な補強効率 得られず、繊維長が2 0 m m を超えると、 工性や外観が著しく悪化してしまうため好 しくない。

 ここで、繊維長は、ノギス等を用いて計測 、1 0 0 本以上の繊維の繊維長の数平均を 出することにより求めることができる。
 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使 される( B ) 炭素繊維としては、上述の形 を満たせば、特に制限なく、従来公知の炭 繊維が使用できる。炭素繊維としては、例 ば、ポリアクリロニトリルを原料としたP A  N 系炭素繊維や、ピッチを原料としたピッ 系炭素繊維などを例示する事ができる。こ らの炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに 断した、所謂チョップドカーボンファイバ として用いることができ、又必要に応じて 各種サイジング剤を用いて収束処理された のであっても良い。収束処理に用いるサイ ング剤は、ポリプロピレン樹脂との溶融混 において融解する必要があるため、2 0 0℃  以下で溶融するものであることが好ましい

 このようなチョップドカーボンファイバー 具体例としては、P A N 系炭素繊維では、
東レ(株)社製商品名『トレカチョップ』、三 レーヨン(株)社製商品名『パイロフィル(チ ップ)』、東邦テナックス(株)社製商品名『 スファイト(チョップ)』等を挙げる事が出 、ピッチ系炭素繊維では、三菱化学産資(株) 社製商品名『ダイアリード』、大阪ガスケミ カル(株)社製商品名『ドナカーボ(チョップ) 、呉羽化学(株)社製商品名『クレカチョップ 』等を挙げることが出来る。

 これらの炭素繊維成分は、本発明のポリプ ピレン系樹脂組成物を構成するその他の成 と共に、押出機などの溶融混練装置を用い 複合化されるが、この溶融混練の際には、
炭素繊維成分の過剰な折損を防止するような 複合化方法を選択する事が好ましい。これを 実現するための方法としては、例えば、押出 機による溶融混練では、炭素繊維成分以外の 成分を十分に溶融混練した後、炭素繊維成分 をサイドフィード法等により、樹脂成分の完 全溶融位置よりも川下側の位置からフィード し、繊維の折損を最小限に抑えながら、収束 繊維を分散させる方法等を例示することがで きる。
本発明にかかる炭素繊維を含むプロピレン系 樹脂組成物(S2)は、反応性官能基を有するサ ジング剤で表面処理された炭素繊維に、本 明にかかる変性プロピレン樹脂(P)とポリプ ピレン系樹脂(P)とを含浸してなる炭素長繊 強化プロピレン系樹脂ペレットの形態で使 しても良い。前記炭素長繊維強化プロピレ 系樹脂ペレットでは、該ペレットの長さ方 に炭素長繊維が同一長さで平行配列してお 、該炭素長繊維の長さが4~50mmであることが ましい。

 また、本発明にかかる炭素繊維を含むプ ピレン系樹脂組成物(S2)は、反応性官能基を 有するサイジング剤で表面処理された炭素繊 維に、本発明にかかる変性プロピレン樹脂(P) とポリプロピレン系樹脂(P)とを含浸してなる 炭素繊維強化シートの形状で使用しても良い 。

 炭素繊維を用いる場合、ポリプロピレン 脂組成物(S2)において、炭素繊維の含有量は 、3~70重量%、好ましくは5~70重量%、更に好ま くは5~55重量%である。

 (タルク)
 タルクは、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕 たものである。含水ケイ酸マグネシウムの 晶構造は、パイロフィライト型三層構造で り、タルクはこの構造が積み重なったもの ある。タルクとして、より好ましくは、含 ケイ酸マグネシウムの結晶を単位層程度に で微粉砕した平板状のものである。

 上記のタルクの平均粒子径として、好まし は3μm以下である。ここでタルクの平均粒子 径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用い て水またはアルコールである分散媒中にタル クを懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲 線から求めた50%相当粒子径D 50 を意味する。タルクは、無処理のまま使用し ても良く、または、プロピレン系樹脂との界 面接着性やプロピレン系樹脂組成物に対する 分散性を向上させるために、各種シランカッ プリング剤、チタンカップリング剤、高級脂 肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミ ド、高級脂肪酸塩類、または、他の界面活性 剤で表面を処理して使用しても良い。

 タルクを用いる場合、ポリプロピレン樹 組成物(S2)において、タルクの含有量は、3~7 0重量%、好ましくは5~50重量%、更に好ましく 10~40重量%である。

 (硫酸マグネシウム繊維)
 硫酸マグネシウム繊維を用いた場合、その 均繊維長として、好ましくは5~50μmであり、 より好ましくは10~30μmである。また、硫酸マ ネシウム繊維の平均繊維径として、好まし は0.3~2μmであり、より好ましくは0.5~1μmであ る。製品としては、宇部興産(株)「モスハイ 」などが挙げられる。
硫酸マグネシウム繊維を用いる場合、ポリプ ロピレン樹脂組成物(S2)において、硫酸マグ シウム繊維の含有量は、3~70重量%、好ましく は5~50重量%、更に好ましくは10~40重量%である
前記有機フィラーとしては、木粉、セルロー ス繊維、結晶セルロースが好適に使用される 。以下、木粉とセルロースについて詳細に説 明する。
(木粉)
木粉としては、木材をカッターミルなどによ って破断し、これをボールミルやインペラー ミルなどにより粉砕して、微粉状にしたもの などが使用可能であり、その平均粒径は通常 1~200μm、好ましくは10~150μmである。平均粒径 1μm未満のものは、取り扱いが困難であるう えに、特に木質系充填剤の配合量が多い場合 は、樹脂への分散が悪いと、製造される木質 樹脂発泡成形体に機械強度の低下が発生する 。また、200μmより大きいと、成形品の均質性 、平面性、機械的強度が低下する。
木粉を用いる場合、ポリプロピレン樹脂組成 物(S2)において、木粉の含有量は、通常3~70重 %、好ましくは10~50重量%、更に好ましくは15~ 40重量%である。
(セルロース)
セルロースは、セルロース繊維と結晶セルロ ースが好適に使用される。
セルロース繊維は、純度が高い繊維であるの が好ましく、例えば、α-セルロース含量が80 量%以上の繊維であるのが好ましい。セルロ ース繊維などの有機繊維(B)としては、平均繊 維径0.1~1000μm及び平均繊維長0.01~5mmを有する 維が使用できる。

 結晶セルロースは、繊維性植物からパルプ して得たα-セルロースを、鉱酸で部分的に 重合し、精製したものであり、製品として 旭化成(株)製「セオラス」等が挙げられる
セルロースを用いる場合、ポリプロピレン樹 脂組成物(S2)において、セルロースの含有量 、通常3~70重量%、好ましくは5~50重量%、更に ましくは10~40重量%である。

ポリプロピレン系樹脂組成物(S1) らなる成形体
 本発明にかかる変性プロピレン樹脂(D)とプ ピレン系重合体(A)とからなるポリプロピレ 系樹脂組成物(S1)は、射出成形、押出成形、 共押出成形、中空成形、射出延伸ブロー成形 、二軸延伸成形、押出発泡成形、射出発泡成 形などの公知の成形方法により、各種成形体 に成形することができる。本発明に係る変性 プロピレン樹脂(D)は、低結晶性および低分子 量成分が非常に少ない特徴を有していること から、ポリプロピレン系樹脂組成物(S1)から る各種成形体は、塗装性、印刷性、蒸着適 などの機能性を有している。また、ポリプ ピレン系樹脂組成物(S1)を食品等の包装用多 フィルムに適用した場合、ポリプロピレン 脂層と他ポリマー層との接着層として使用 ることができる。
ポリプロピレン系樹脂組成物(S2) らなる成形体
 本発明にかかる変性プロピレン樹脂(D)、フ ラー(F)とポリプロピレン系重合体(A)とから るポリプロピレン系樹脂組成物(S2)は、射出 成形、押出成形、共押出成形、中空成形、射 出延伸ブロー成形、二軸延伸成形、押出発泡 成形、射出発泡成形などの公知の成形方法に より、各種成形体に成形することができる。 本発明に係る変性プロピレン樹脂(D)は低結晶 性および低分子量成分が非常に少ない特徴を 有しているおり、変性プロピレン樹脂(D)によ り、プロピレン樹脂―フィラー複合体の疲労 強度等の耐久性向上や機械的強度の向上が期 待できる。各種フィラーを含んだポリプロピ レン系樹脂組成物(S2)の製品事例について以 に記す。
(ガラス繊維)
  ガラス繊維を含んだ本発明のポリプロピ ン系樹脂組成物(S2)から得られる成形体は、 体的には自動車部品、二輪・自転車部品、 宅部品、家電部品、電動工具部品として好 に用いられる。自動車部品としては、フロ トエンド、エンジンファン、ファンシェラ ド、クーリングファン、エンジンアンダー バー、ラジエターボックス、サイドドア、 ックドアインナー、バックダアウター、外 、ルーフレール、ドアハンドル、ラゲージ ックス、ホイールカバー、ハンドル、クー ングモジュール、エアークリーナー部品、 アークリーナーケース、座席シートレバー よびペダル等があげられ、二輪・自転車部 としてはラゲージボックス、ハンドル、ホ ール等が挙げられ、住宅部品としては温水 浄便座部品、浴室部品、椅子の脚、バルブ 、メーターボックス等が挙げられ、家電部 としては、OAハウジング、エアコン室外機 ァン、洗濯機部品や洗濯乾燥機部品具体的 は、バランスリング、脱水受けカバー、脱 受け、排気口ガイド等が挙げられ、電動工 部品としては電動ドリル等が挙げられる。 た、本発明の応力耐久成形体は、草刈機ハ ドル、ホースジョイント、樹脂ボトル、コ クリート型枠、パイプ継ぎ手、発電機カバ としても有用である。
(炭素繊維)
炭素繊維を含んだ本発明のポリプロピレン系 樹脂組成物(S2)から得られる成形体は高強度 あり、かつ従来の熱硬化性樹脂をマトリッ スとした炭素繊維強化樹脂と比較して成形 イクルを劇的に短縮させることができる。 の為、炭素繊維を含んだ本発明のポリプロ レン系樹脂組成物(S2)から得られる成形体は 航空宇宙部品、スポーツ用品、自動車部品 電子電気部品、OA機器などの産業資材など 好適に使用することができる。
(タルク、硫酸マグネシウム)
 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(S2)は 、ポリプロピレンとタルク、硫酸マグネシウ ム界面の密着性が高くなる、高強度化が可能 であるなどの特徴が挙げられる。したがって 、ポリプロピレン系樹脂組成物(S2)から得ら る成形体としては、自動車内外装部品、エ ジンアンダーカバー、家電製品などが挙げ れる。
(木粉)
 木粉を含んだ本発明のポリプロピレン系樹 組成物(S2)により、木質感や成形加工性に優 れ、かつ構造部品として十分な機械強度を有 する成形体を得ることができる。上記特性を 生かし、種々の建材、例えば床材ないし床仕 上げ材、壁材ないし壁仕上げ材、天井材ない し天井仕上げ材、閾い、窓枠、サッシュ等、 家具などの構造材乃至パネル材、車両用内装 材、OA機器や家電製品の外装材乃至ハウジン などの分野の製品に有用に使用することが きる。
(セルロース)
セルロースを含んだ本発明のポリプロピレン 系樹脂組成物(S2)は、軽量かつ高強度である で、パソコン、携帯電話等の家電製品の筐 (ハウジング)に用いることができる。また、 文具等の事務機器、家具等の生活用品、スポ ーツ用品、自動車のダッシュボード等の内装 、飛行機の荷物入れ、輸送用機器の構造部材 、住宅におけるサッシ等の建材などにも使用 することができる。更に、絶縁性に優れるの で、電気・電子・通信機器にも使用すること ができる

 次に本発明を実施例に基づき詳述に説明す が、本発明はかかる実施例に限定されるも ではない。本発明において採用した分析方 は以下の通りである。
 [m1]融点(Tm)
 プロピレン単独重合体および変性プロピレ 樹脂の融点(Tm)は示差走査熱量計(DSC、パー ンエルマー社製)を用いて測定を行った。こ で、第3stepにおける吸熱ピークを融点(Tm)と 義した。
(サンプル作成条件)
成形方法  :プレス成形
金型  : 厚さ0.2mm(サンプルをアルミホイル 挟み、金型を用いてプレス成形)
成形温度 : 240℃(加熱温度240℃、予熱時間:7 )
プレス圧力: 300kg/cm 2 、プレス時間: 1分
プレス成形後、金型を氷水で室温付近まで冷 却後、シートを取り出し、下記測定容器に約 0.4gのシートを封入。
測定容器 : アルミ製PAN(DSC PANS 10μl BO―14-3 015)
       アルミ製COVER(DSC COVER BO14-3003)
(測定条件)
  第1step:30℃/分で240℃まで昇温し、10分間保 持する。

  第2step:10℃/分で30℃まで降温する。
  第3step:10℃/分で240℃まで昇温する。
[m2]グラフト量
 変性プロピレン樹脂を約2g採取し、500mlの沸 騰p-キシレンに完全に加熱溶解した。変性プ ピレン樹脂が溶けたp-キシレン溶液を2Lビー カーに移して、23℃雰囲気下で約1時間放冷さ せた。その後、1200mlのアセトンを前記ビーカ ーに加えて、撹拌しながらポリマーを析出さ せた。析出物を濾過、乾燥して未グラフト分 を除去した変性プロピレン樹脂の精製物を得 た。この精製物からのプレスフィルムのFT-IR 定し、1790cm -1 と974cm -1 のピーク強度比により、ポリプロピレン中に グラフトした無水マレイン酸量をwt%換算で算 出した。
[m3]クロスクロマト分別測定(CFC)
 変性プロピレン樹脂のクロスクロマト分別 定は、70℃のo-ジクロロベンゼンに可溶な成 分量の測定はクロスクロマト分別測定(CFC)に り行った。

 CFCは組成分別を行う温度上昇溶離分別(TREF) と、分子量分別を行うGPC部とを備えた下記 置を用いて、下記条件で測定し、各温度で 量を算出した。
 測定装置 : CFC T-150A型、三菱油化(株)製
 カラム  : Shodex AT-806MS(×3本)
 溶解液 : o-ジクロロベンゼン
 流速  : 1.0 ml/min
 試料濃度 : 0.3 wt%/vol%(0.1% BHT入り)
 注入量  : 0.5 ml
 溶解性  : 完全溶解
 検出器  : 赤外吸光検出法、3.42μ(2924 cm -1 )、NaCl板
 溶出温度 : 0~135℃、28フラクション
 0、10、20、30、40、45、50、55、60、65、70、75 80、85、90、94、97、100、103、1
06、109、112、115、118、121、124、127、135  (℃)
 測定の詳述は、試料を145℃で2時間加熱して 溶解してから、135℃で保持した後、0℃まで10 ℃/hrで降温、さらに0℃で60分保持して試料を コーティングさせた。昇温溶出カラム容量は 0.83 ml、配管容量は0.07 mlである。検出器はFO XBORO社製赤外分光器MIRAN 1A CVF型(CaF 2 セル)を用い、応答時間10秒の吸光度モードの 設定で、3.42μm(2924cm -1 )の赤外光を検知した。溶出温度は0℃~135℃ま でを28フラクションに分けた。温度表示は全 整数であり、例えば94℃の溶出画分とは、91 ~94℃で溶出した成分のことを示す。0℃でも ーティングされなかった成分および各温度 溶出したフラクションの分子量を測定し、 用較正曲線を使用して、ポリプロピレン換 分子量を求めた。SEC温度は135℃であり、内 注入量は0.5mlであり、注入位置は3.0mlであり データサンプリング時間は0.50秒である。デ ータ処理は、装置付属の解析プログラム「CFC データ処理(バージョン1.50)」で実施した。
[m4]極限粘度[η]
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。サ ンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃の イルバス中で比粘度ηspを測定した。このデ カリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈 後、同様にして比粘度ηspを測定した。この 釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外 挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた 。

   [η]=  lim(ηsp/C) (C→0)
[m5]塩素量
ポリプロピレン0.8gを三菱化成社製燃焼装置 アルゴン/酸素気流下で、400~900℃で燃焼した 後、燃焼ガスを超純水で捕集し濃縮後の試料 液を、日本ダイオネック(株)DIONEX-DX300型イオ クロマト測定装置を用いて、陰イオンカラ AS4A-SC(ダイオネッス社製)を用いて測定した
[m6]プロピレン重合体中の二重結合構造
 図2に示す二重結合構造は、H-NMRを用いて、P olymer2004、No.45、P2883-2888に記載された方法に って、炭素原子数1000個(1000C)あたりの個数と して解析した。図2において、Aは末端ビニル あり、Bは末端ビニリデンであり、Cは内部 ニリデンであり、Dは内部二置換であり、Eは 内部三置換である。
[m7]プロピレン重合体中の2,1-挿入の割合、1,3- 挿入の割合の測定
  13 C-NMRを用いて、特開平7-145212号公報に記載さ た方法に従って、プロピレンの2,1-挿入の割 、1,3-挿入の割合を測定した。
[m8]  Mw/Mn測定〔重量平均分子量(Mw)、数 平均分子量(Mn)〕
 ウォーターズ社製GPC-150C Plusを用い以下の にして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6-H T及びTSK gel GMH6-HTLであり、カラムサイズは れぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温 は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼ (和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT( 光純薬工業)0.025重量%を用い、1.0 ml/分で移 させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量 500マイクロリットルとし、検出器として示 屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分 量がMw<1000およびMw>4×10 6 については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×10 6 についてはプレッシャーケミカル社製を用い 、汎用較正法を用いてPPに換算した。なお、P S、PPのMark-Houwink係数はそれぞれ、文献(J. Poly m. Sci., Part A-2, 8, 1803 (1970)、Makromol. Chem., 177, 213 (1976))に記載の値を用いた。
[m9]MFR(メルトフローレート)
 プロピレン単独重合体および変性プロピレ 樹脂のMFRは、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従 って測定した。
[m11]金属分析
 試料を清浄な容器に精秤し、超高純度の硝 と共にマイクロウェーブ分解法にて処理し 。本分解液中のTiおよびZrをICP-MS法により定 量した。

 [ICP-MS装置]:アジレント・テクノロジー(株)HP -4500
[m12]振動疲労試験条件
 長繊維GF-PPマスターペレット、プロピレン 独重合体および変性プロピレン樹脂からな 樹脂組成物について振動疲労試験を下記条 にて実施した。

 試験片形状 : 図1参照(厚み 3.9mm、幅 9.9mm)
 温度:23℃、周波数:30Hz、応力:15MPa、20MPa(引 変形)
チャック間距離 :60mm
[m13]引張試験
 引張試験はJIS K7162-BAに従って行い、降伏強 度と引張破断伸びを測定した。

 <測定条件>
 試験片    : JIS K7162-BA ダンベル
          5mm(幅)×2mm(厚さ)×75mm(長さ)
 引張速度   : 20mm/分
 スパン間距離 : 58mm
[m14]加熱変形温度(HDT)
 加熱変形温度は、JIS K7191に従って、下記の 条件で測定した。

 <測定条件>
試験片 :10mm(幅)×4mm(厚さ)×80mm(長さ)
荷重 : 0.45MPa
[m15]曲げ試験
 曲げ試験は、JIS K7171に従って行い、曲げ強 度を測定した。

 <測定条件>
 試験片 :10mm(幅)×4mm(厚さ)×80mm(長さ)
 曲げ速度:2mm/分
 曲げスパン:64mm
[製造例1]
 (1) 固体触媒担体の製造
 1L枝付フラスコにSiO 2 300gをサンプリングし、トルエン800mLを入れ、 スラリー化した。次に5L4つ口フラスコへ移液 をし、トルエン260mLを加えた。メチルアルミ キサン(以下、MAO)-トルエン溶液(10wt%溶液)を 2830mL導入した。室温のままで、30分間攪拌し 。1時間で110℃に昇温し、4時間反応を行っ 。反応終了後、室温まで冷却した。冷却後 上澄みトルエンを抜き出し、フレッシュな ルエンで、置換率が95%になるまで、置換を った。

 (2) 固体触媒の製造(担体への金属触媒成分 担持)
 グローブボックス内にて、5L4つ口フラスコ イソプロピル(3-t-ブチル-5-メチルシクロペ タジエニル)(3、6-ジ-t-ブチルフルオレニル) ルコニウムジクロリドを2.0g秤取った。フラ コを外へ出し、トルエン0.46リットルと(1)で 調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4リットル を窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った 得られたイソプロピル(3-t-ブチル-5-メチル クロペンタジエニル)(3、6-ジ-t-ブチルフルオ レニル)ジルコニウムジクロリド/MAO/SiO2/トル ンスラリーはn-ヘプタンにて99%置換を行い 最終的なスラリー量を4.5リットルとした。 の操作は、室温で行った。

 (3) 前重合触媒の製造
  前記の(2)で調製した固体触媒成分404g、ト エチルアルミニウム218mL、ヘプタン100Lを内 量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し 、内温15~20℃に保ちエチレンを1212g挿入し、18 0分間攪拌しながら反応させた。重合終了後 固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およ ヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた 重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固 触媒成分濃度で6g/Lとなるよう、ヘプタンに より調整を行った。この前重合触媒は固体触 媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。

 (4) 本重合
 内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器 プロピレンを35kg/時間、水素を2.5NL/時間、(3 )で製造した触媒スラリーを固体触媒成分と て42g/時間、トリエチルアルミニウム8.0ml/時 を連続的に供給し、気相の存在しない満液 状態にて重合した。管状重合器の温度は30 であり、圧力は3.1MPa/Gであった。得られたス ラリーは内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重 器へ送り、更に重合を行った。重合器へは プロピレンを65kg/時間、水素を気相部の水 濃度が0.05mol%になるように供給した。重合温 度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。

 得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付 きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った 。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素 気相部の水素濃度が0.05mol%になるように供 した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行 た。

  得られたプロピレン重合体(A-1)は、80℃で 空乾燥を行った。
[製造例2]
 重合方法を以下の様に変えた以外は、製造 1と同様の方法で行った。

 (1)本重合
 内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器 プロピレンを35kg/時間、水素を2.5NL/時間、(3 )で製造した触媒スラリーを固体触媒成分と て26g/時間、トリエチルアルミニウム8.0ml/時 を連続的に供給し、気相の存在しない満液 状態にて重合した。管状重合器の温度は30 であり、圧力は3.1MPa/Gであった。得られたス ラリーは内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重 器へ送り、更に重合を行った。重合器へは プロピレンを80kg/時間、水素を気相部の水 濃度が0.07mol%になるように供給した。重合温 度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。

 得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付 きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った 。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素 気相部の水素濃度が0.07mol%になるように供 した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行 た。

  得られたプロピレン重合体(A-2)は、80℃で 空乾燥を行った。
[製造例3]
 重合方法を以下の様に変えた以外は、製造 1と同様の方法で行った。

 (1) 本重合
 内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器 プロピレンを35kg/時間、水素を2.5NL/時間、(3 )で製造した触媒スラリーを固体触媒成分と て19g/時間、トリエチルアルミニウム8.0ml/時 を連続的に供給し、気相の存在しない満液 状態にて重合した。管状重合器の温度は30 であり、圧力は3.1MPa/Gであった。得られたス ラリーは内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重 器へ送り、更に重合を行った。重合器へは プロピレンを85kg/時間、水素を気相部の水 濃度が0.10mol%になるように供給した。重合温 度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。

 得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付 きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った 。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素 気相部の水素濃度が0.10mol%になるように供 した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行 た。

  得られたプロピレン重合体(A-3)は、80℃で 空乾燥を行った。
[製造例4]
(1)固体触媒担体の製造
内容量200Lの攪拌機付き反応槽にトルエン27L SiO 2 (富士シリシア化学製キャリアクトP10)7.5kgを れ、スラリー化した。次に、槽内温度0~5℃ 保ち、MAO-トルエン溶液(10wt%溶液)73Lを約30分 けて導入し、30分間攪拌した。1時間で95℃ 昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、6 0℃まで冷却した。冷却後、上澄みトルエン 抜き出し、フレッシュなトルエンで、置換 が95%になるまで、置換を行った。
(2)固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の 持)
内容量14Lの攪拌機付き反応槽に(1)で調製した MAO/SiO2/トルエンスラリー7.9L(固体成分として1 030g)を入れ、攪拌しながら温度を30~35℃に保 た。グローブボックス内にて、1Lフラスコに [3-(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’-オクタメ ルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1 ,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒ ロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド 10.3g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエ ン0.5リットルで希釈後、反応槽に加え、反応 槽内液量を10Lになるまでトルエンを加えた。 60分間攪拌し担持を行った。得られた[3-(1’,1 ’,4’,4’,7’,7’,10’,10’-オクタメチルオク タヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-ト メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペ タレン)]ジルコニウムジクロライド/MAO/SiO2/ ルエンスラリーは、室温まで冷却した後、n- ヘプタンにて92%置換を行い、最終的なスラリ ー量を10Lとした。
(3)前重合触媒の製造
  前記の(2)で調製した固体触媒成分1040gをあ らかじめn-ヘプタン18Lを入れておいた内容量2 00Lの攪拌機付きオートクレーブに移液し、内 温15~20℃に保ち、トリイソブチルアルミニウ 554gを入れ、n-ヘプタンにて液量を62Lに調整 た。攪拌しながら、30~35℃に保ち、エチレ を630g/時間で3120g挿入し、300分間攪拌しなが 反応させた。重合終了後、固体成分を沈降 せ、上澄み液の除去およびヘプタンによる 浄を2回行った。得られた前重合触媒を精製 ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で 8g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行っ 。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリ エチレンを3g含んでいた。
(4)本重合
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器に プロピレンを35kg/時間、水素を2.5NL/時間、(3) 製造した触媒スラリーを固体触媒成分とし 19g/時間、トリエチルアルミニウム8ml/時間 連続的に供給し、気相の存在しない満液の 態にて重合した。管状重合器の温度は70℃で あり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量1000Lの攪拌機付き ッセル重合器へ送り、更に重合を行った。 合器へは、プロピレンを85kg/時間、水素を 相部の水素濃度が0.11mol%になるように供給し た。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行っ 。

 得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付 きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った 。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素 気相部の水素濃度が0.11mol%になるように供 した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行 た。

  得られたプロピレン重合体は、80℃で真空 乾燥を行った。
[製造例5]
 重合方法を以下の様に変えた以外は、製造 4と同様の方法で行った。
(1)本重合
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器に プロピレンを35kg/時間、水素を2.5NL/時間、製 例4(3)で製造した触媒スラリーを固体触媒成 分として13g/時間、トリエチルアルミニウム8m l/時間を連続的に供給し、気相の存在しない 液の状態にて重合した。管状重合器の温度 70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量1000Lの攪拌機付き ッセル重合器へ送り、更に重合を行った。 合器へは、プロピレンを85kg/時間、水素を 相部の水素濃度が0.17mol%になるように供給し た。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行っ 。

 得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付 きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った 。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素 気相部の水素濃度が0.17mol%になるように供 した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行 た。

  得られたプロピレン重合体は、80℃で真空 乾燥を行った。
[製造例6]
(1) 前重合触媒の製造
  内容量20Lの攪拌機付きベッセル重合器に 製ヘプタン14L、ジエチルアルミニウムクロ イド490gを加え市販のSolvay型三塩化チタン触 (東ソー・ファインケム社製)70gを加えた。 温を20℃に保持し、プロピレンを連続的に挿 入し、80分間反応した。重合終了後、固体成 を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタ による洗浄を2回行った。得られた前重合触 媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成 分濃度で10g/Lとなるよう、ヘプタンにより調 を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1 g当りポリプロピレンを3g含んでいた。
(2) 本重合
 内容量275Lの攪拌機付きベッセル重合器に、 精製ヘプタン120L、ジエチルアルミニウムク ライド210gを加え、(1)で調製した固体触媒成 として30gを装入した。重合温度60℃、重合 力0.68MPa/Gに保ち、プロピレンを4時間連続フ ードした。水素は、気相部の水素濃度が0.07 mol%となるように供給した。

 得られたポリプロピレンスラリーを内容 500Lの攪拌機付きオートクレーブに全量移液 し、メタノールを201g装入し、触媒の脱活を った。このスラリーを攪拌機付きろ過乾燥 に移液し、ろ過を行った後、85℃、6時間真 乾燥し、ポリプロピレン重合体(A'-1)を得た

 表1に、製造例1~6で得られたプロピレン重 合体の基礎物性を示した。

 [実施例1]
 製造例1で製造したプロピレン単独重合体(A- 1)100重量部に対して、エチレン性不飽和結合 有モノマー(B)として無水マレイン酸(試薬特 級、和光純薬(株)製)0.5重量部、有機過酸化物 としてt-ブチルペルオキシベンゾエート(パー ブチルZ、日本油脂(株)商標)(C-1)0.5重量部と熱 安定剤IRGANOX1010(チバガイギー(株)商標)0.1重量 部、熱安定剤ヨシノックスBHT(吉富ファイン ミカル(株)商標)0.1重量部を配合し、ヘンシ ルミキサーで3分間ブレンドした。このブレ ド物を二軸押出機にて下記の条件で溶融混 して、グラフト反応を行った。反応終了後 造粒して変性プロピレン樹脂(D-1)を得た。 性プロピレン樹脂の物性を表2に示す。また この変性プロピレン樹脂を熱キシレン洗浄 た後のグラフト量および70℃ジクロロベン ンに可溶な成分量を表2に示す。

 <溶融混練条件>
同方向二軸混練機 : 品番 KZW31-30HG、(株)テ ノベル製
混練温度 : 210℃
スクリュー回転数 : 200rpm
フィーダー回転数 : 80rpm
 [実施例2]
 実施例1における無水マレイン酸を1.0重量部 、t-ブチルペルオキシベンゾエート(C-1)を1.0 量部と変更した以外は実施例1と同様に行っ 。得られた変性プロピレン樹脂(D-2)の物性 表2に示す。また、この変性プロピレン樹脂 熱キシレン洗浄した後のグラフト量および7 0℃ジクロロベンゼンに可溶な成分量を表2に す。

 [実施例3]
 実施例1において、無水マレイン酸を1.5重量 部、t-ブチルペルオキシベンゾエート(C-1)を1. 5重量部と変更した以外は同様に行った。得 れた変性プロピレン樹脂(D-3)の物性を表2に す。また、この変性プロピレン樹脂を熱キ レン洗浄した後のグラフト量および70℃ジク ロロベンゼンに可溶な成分量を表2に示す。

 [実施例4]
 実施例1における無水マレイン酸を2重量部 t-ブチルペルオキシベンゾエート(C-1)を2重量 部と変更した以外は実施例1と同様に行った 得られた変性プロピレン樹脂(D-4)の物性を表 2に示す。また、この変性プロピレン樹脂を キシレン洗浄した後のグラフト量および70℃ ジクロロベンゼンに可溶な成分量を表2に示 。

 [実施例5]
 実施例1におけるプロピレン単独重合体(A-1) 代わりとして、製造例2で製造したプロピレ ン単独重合体(A-2)を使用し、無水マレイン酸 1重量部、t-ブチルペルオキシベンゾエート( C-1)を1重量部と変更した以外は実施例1と同様 に行った。得られた変性プロピレン樹脂(D-5) 物性を表2に示す。また、この変性プロピレ ン樹脂を熱キシレン洗浄した後のグラフト量 および70℃ジクロロベンゼンに可溶な成分量 表2に示す。

 [実施例6]
 実施例1におけるプロピレン単独重合体(A-1) 代わりとして、製造例3で製造したプロピレ ン単独重合体(A-3)を使用し、無水マレイン酸 1重量部、t-ブチルペルオキシベンゾエート( C-1)を1重量部と変更した以外は実施例1と同様 に行った。得られた変性プロピレン樹脂(D-6) 物性を表2に示す。また、この変性プロピレ ン樹脂を熱キシレン洗浄した後のグラフト量 および70℃ジクロロベンゼンに可溶な成分量 表2に示す。

 [実施例7]
実施例1におけるプロピレン単独重合体(A-1)の 代わりとして、製造例4で製造したプロピレ 単独重合体(A-4)を使用した以外は実施例1と 様に行った。得られた変性プロピレン樹脂(D -7)の物性を表2に示す。また、この変性プロ レン樹脂を熱キシレン洗浄した後のグラフ 量および70℃ジクロロベンゼンに可溶な成分 量を表2に示す。

 [実施例8]
実施例1におけるプロピレン単独重合体(A-1)の 代わりとして、製造例4で製造したプロピレ 単独重合体(A-4)を使用し、無水マレイン酸を 1重量部、t-ブチルペルオキシベンゾエート(C- 1)を1重量部と変更した以外は実施例1と同様 行った。得られた変性プロピレン樹脂(D-8)の 物性を表2に示す。また、この変性プロピレ 樹脂を熱キシレン洗浄した後のグラフト量 よび70℃ジクロロベンゼンに可溶な成分量を 表2に示す。

 [実施例9]
実施例1におけるプロピレン単独重合体(A-1)の 代わりとして、製造例5で製造したプロピレ 単独重合体(A-5)を使用した以外は実施例1と 様に行った。得られた変性プロピレン樹脂(D -9)の物性を表2に示す。また、この変性プロ レン樹脂を熱キシレン洗浄した後のグラフ 量および70℃ジクロロベンゼンに可溶な成分 量を表2に示す。
〔比較例1〕
製造例6で製造したプロピレン単独重合体(A'-1 )100重量部に対して、エチレン性不飽和結合 有モノマー(B)として無水マレイン酸(試薬特 、和光純薬(株)製)0.5重量部、有機過酸化物 してt-ブチルペルオキシベンゾエート(パー チルZ、日本油脂(株)商標)(C-1)0.5重量部と熱 定剤IRGANOX1010(チバガイギー(株)商標)0.1重量 、熱安定剤ヨシノックスBHT(吉富ファインケ ミカル(株)商標)0.1重量部を配合し、ヘンシェ ルミキサーで3分間ブレンドした。このブレ ド物を二軸押出機にて下記の条件で溶融混 して、グラフト反応を行った。反応終了後 造粒して変性プロピレン樹脂(D'-1)を得た。 性プロピレン樹脂の物性を表2に示す。また この変性プロピレン樹脂を熱キシレン洗浄 た後のグラフト量および70℃ジクロロベン ンに可溶な成分量を表2に示す。

 <溶融混練条件>
同方向二軸混練機 : 品番 KZW31-30HG、(株)テ ノベル製
混練温度 : 210℃
スクリュー回転数 : 200rpm
フィーダー回転数 : 80rpm
〔比較例2〕
  比較例1における無水マレイン酸を1重量部 、t-ブチルペルオキシベンゾエート(C-1)を1重 部と変更した以外は比較例1と同様に行った 。得られた変性プロピレン樹脂(D'-2)の物性を 表2に示す。また、この変性プロピレン樹脂 熱キシレン洗浄した後のグラフト量および70 ℃ジクロロベンゼンに可溶な成分量を表2に す。
〔比較例3〕
 比較例1における無水マレイン酸を2重量部 t-ブチルペルオキシベンゾエート(C-1)を2重量 部と変更した以外は比較例1と同様に行った 得られた変性プロピレン樹脂の物性を表2に す。また、この変性プロピレン樹脂を熱キ レン洗浄した後のグラフト量および70℃ジ ロロベンゼンに可溶な成分量を表2に示す。

[製造例7] 長繊維GF-PPマスターペレット(F-1)の 製造
押出機先端に設けられた含浸ノズル中に押出 機より溶融樹脂を供給する一方、数千本から なる連続状ガラス繊維束を通過させ、ガラス 繊維束に溶融樹脂を含浸させたのちノズルを 通過して引き抜き、所定の長さにペレタイズ して長繊維GF-PPマスターペレットを製造でき 。

 含浸樹脂として、プロピレン単独重合体( J-3000GV (株)プライムポリマー製)、ガラス繊 束として、ER2220(オーウェンスコーニング(株 )製 ガラス収束本数4000本 アミノシランカッ プリング剤処理)を用い、ガラス繊維量50重量 %、ペレット長さ8mmとなるように調整して、 繊維GF-PPマスターペレット(E-1)を製造した。

 [実施例10]
 長繊維GF-PPマスターペレット(F-1)80重量部、 ロピレン単独重合体
(MFR=30g/10min)(J-3000GV(株)プライムポリマー製)(A -2)12重量部と変性プロピレン樹脂(D-1)2重量 とを合わせて100重量部をドライブレンドし 射出成形機(東芝機械製 IS100EN)にて射出成形 体を作成した。得られた射出成形体について 振動疲労試験を実施した。振動疲労試験破断 回数のデータを表3に示す。

  <成形条件>
成形温度 : 240℃
金型温度 : 45℃
射出+保圧時間 : 15秒
冷却時間 : 30秒
 [実施例11]
 実施例10における変性プロピレン樹脂(D―1) 代わりに、変性プロピレン樹脂(D-2)を使用 た以外は実施例10と同様に行った。得られた 射出成形体の振動疲労試験破断回数のデータ を表3に示す。

 [実施例12]
 実施例10における変性プロピレン樹脂(D―1) 代わりに、変性プロピレン樹脂(D-8)を使用 た以外は実施例10と同様に行った。得られた 射出成形体の振動疲労試験破断回数のデータ を表3に示す。

〔比較例4〕
 実施例10における変性プロピレン樹脂(D-1)の 代わりに、変性プロピレン樹脂(D'-1)を使用し た以外は実施例10と同様に行った。得られた 出成形体の振動疲労試験破断回数のデータ 表3に示す。
〔比較例5〕
実施例10における変性プロピレン樹脂(D-1)の わりに、変性プロピレン樹脂(D'-2)を使用し 以外は実施例10と同様に行った。得られた射 出成形体の振動疲労試験破断回数のデータを 表3に示す。

 [実施例13]
 プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G 、(株)プライムポリマー製)88重部、タルク(F-2 )(ホワイトフィラー5000PJ(商標)、松村産業(株) 製)10量部、実施例2で製造された変性プロピ ン樹脂(D-2)2重量部、熱安定剤IRGANOX1010(商標 チバガイギー(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS1 68(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、ステア リン酸カルシウム0.1重量部をタンブラーにて 混合後、二軸押出機にて下記条件で溶融混練 してペレット状のプロピレン系樹脂組成物を 調製した。プロピレン系樹脂組成物を射出成 形機[品番 EC40、東芝機械(株)製]にて下記条 で試験片を成形した。成形品の物性を表4に す。
<溶融混練条件>
 同方向二軸混練機 : 品番 NR-2、(株)ナカタ ニ製
 混練温度 : 210℃
 スクリュー回転数 : 200rpm
 フィーダー回転数 : 400rpm
<射出成形条件>
  射出成形機:品番 EC40、東芝機械(株)製
  シリンダー温度:210℃
  金型温度:40℃
〔比較例6〕
 実施例15における変性プロピレン樹脂(D-2)の 代わりに、比較例2で製造された変性プロピ ン樹脂(D’-2)を使用した以外は実施例13と同 に行った。得られた射出成形体の物性を表4 に示す。
〔比較例7〕
プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G (株)プライムポリマー製)90重部、タルク(F-2)( ホワイトフィラー5000PJ(商標)、松村産業(株) )10量部、熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイ ー(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チ バガイギー(株))0.1重量部、ステアリン酸カル シウム0.1重量部をタンブラーにて混合後、実 施例13と同様に二軸押出機で混練してプロピ ン系樹脂組成物を調整後、前記プロピレン 樹脂組成物の射出成形を行った。得られた 出成形体の物性を表4に示す。

 [実施例14]
 プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G 、(株)プライムポリマー製)88重部、塩基性硫 マグネシウム(F-3)(モスハイジ(商標)、宇部 テリアルズ(株)製)10量部、実施例2で製造さ た変性プロピレン樹脂(D-2)2重量部、熱安定 IRGANOX1010(商標、チバガイギー(株))0.1重量部 熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1 重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を タンブラーにて混合後、二軸押出機にて下記 条件で溶融混練してペレット状のプロピレン 系樹脂組成物を調製した。プロピレン系樹脂 組成物を射出成形機[品番 EC40、東芝機械(株) 製]にて下記条件で試験片を成形した。成形 の物性を表5に示す。
<溶融混練条件>
 同方向二軸混練機 : 品番 NR-2、(株)ナカタ ニ製
 混練温度 : 210℃
 スクリュー回転数 : 200rpm
 フィーダー回転数 : 400rpm
<射出成形条件>
  射出成形機:品番 EC40、東芝機械(株)製
  シリンダー温度:210℃
  金型温度:40℃
〔比較例8〕
 実施例16における変性プロピレン樹脂(D-2)の 代わりに、比較例2で製造された変性プロピ ン樹脂(D’-2)を使用した以外は実施例14と同 に行った。得られた射出成形体の物性を表5 に示す。
〔比較例9〕
プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G (株)プライムポリマー製)90重部、塩基性硫酸 マグネシウム(F-3)(モスハイジ(商標)、宇部マ リアルズ(株)製)10量部、熱安定剤IRGANOX1010( 標、チバガイギー(株))0.1重量部、熱安定剤IR GAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、ス テアリン酸カルシウム0.1重量部をタンブラー にて混合後、実施例14と同様に二軸押出機で 練してプロピレン系樹脂組成物を調整後、 記プロピレン系樹脂組成物の射出成形を行 た。得られた射出成形体の物性を表5に示す 。

 [実施例15]
 プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G 、(株)プライムポリマー製)90重部、チョップ ファイバー炭素繊維(F-4)(エポキシ樹脂サイ ング)(HTA-C6-SR(商標)、東邦テナックス(株)製) 5量部、実施例4で製造された変性プロピレン 脂(D-4)5重量部、熱安定剤IRGANOX1010(商標、チ ガイギー(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168( 標、チバガイギー(株))0.1重量部、ステアリ 酸カルシウム0.1重量部をタンブラーにて混 後、単軸押出機にて下記条件で溶融混練し ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調 した。プロピレン系樹脂組成物を射出成形 [品番 EC40、東芝機械(株)製]にて下記条件で 験片を成形した。成形品の物性を表6に示す 。
<溶融混練条件>
 単軸混練機 : 品番 ラボプラストミル10M100 、東洋精機(株)製
 混練温度 : 220℃
 スクリュー回転数 : 50rpm
 ペレット長 : 5mm程度
 <射出成形条件>
  射出成形機:品番 EC40、東芝機械(株)製
  シリンダー温度:210℃
  金型温度:40℃
〔比較例10〕
 実施例17における変性プロピレン樹脂(D-4)の 代わりに、比較例3で製造された変性プロピ ン樹脂(D’-3)を使用した以外は実施例15と同 に行った。得られた射出成形体の物性を表6 に示す。
〔比較例11〕
プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G (株)プライムポリマー製)95重部、チョップド ファイバー炭素繊維(F-4)(エポキシ樹脂サイジ ング)(HTA-C6-SR(商標)、東邦テナックス(株)製)5 部、熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイギー( 株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバ イギー(株))0.1重量部、ステアリン酸カルシ ム0.1重量部をタンブラーにて混合後、実施 15と同様に単軸押出機で混練してプロピレン 系樹脂組成物を調整後、前記プロピレン系樹 脂組成物の射出成形を行った。得られた射出 成形体の物性を表6に示す。

 [実施例16]
 プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G 、(株)プライムポリマー製)57重部、実施例2で 製造された変性プロピレン樹脂(D-2)3重量部、 熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイギー(株))0.1 重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギ (株))0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1 量部をタンブラーにて混合後、木粉(F-5)(ス パースィーダ#100(商標)、三共精粉社製(粒径 150μm))40量部をサイドフィードしながら二軸 出機にて下記条件で溶融混練してペレット のプロピレン系樹脂組成物を調製した。プ ピレン系樹脂組成物を射出成形機[品番 EC40 東芝機械(株)製]にて下記条件で試験片を成 した。成形品の物性を表7に示す。
<混練条件>
 同方向二軸混練機 : 品番 NR-2、(株)ナカタ ニ製
 混練温度 : 190℃
 スクリュー回転数 : 200rpm
<射出成形条件>
  射出成形機:品番 EC40、東芝機械(株)製
  シリンダー温度:210℃
  金型温度:40℃
〔比較例12〕
 実施例16における変性プロピレン樹脂(D-3)の 代わりに、比較例2で製造された変性プロピ ン樹脂(D’-2)を使用した以外は実施例16と同 に行った。得られた射出成形体の物性を表7 に示す。
〔比較例13〕
 プロピレン単独重合体(A’-3)(MFR=9g/10min)(J105G 、(株)プライムポリマー製)60重部、熱安定剤I RGANOX1010(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、 安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1 量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を ンブラーにて混合後、木粉(F-5)(スーパース ーダ#100(商標)、三共精粉社製(粒径150μm))40量 部をサイドフィードしながら実施例18と同様 ニ軸押出機にて溶融混練してペレット状の ロピレン系樹脂組成物を調製した。プロピ ン系樹脂組成物を実施例16と同様に射出成 機[品番 EC40、東芝機械(株)製]にて試験片を 形した。成形品の物性を表7に示す。

 本発明の変性プロピレン樹脂は、低結晶 および低分子量成分が非常に少なく、かつ チレン性不飽和結合含有モノマーのグラフ 量と変性プロピレン樹脂分子量とのバラン に優れていることから、各種改質剤として 用することができる。具体的には、プロピ ン樹脂-ガラス繊維組成物において疲労特性 改良および強度改良材、プロピレン樹脂-無 フィラーにおいて強度改良材、プロピレン 脂-有機フィラーにおいて強度改良材、プロ レン樹脂と他ポリマーとの多層成形体の接 層、塗装性改良材、印刷性改良材、蒸着適 改良材、染色性改良材、ナイロン等の他樹 との相溶化材として、フィルムやシートの 装材料分野、産業材分野、自動車分野等の 種成形体に適用することができる。