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Patent Searching and Data


Title:
LUBRICANT OIL COMPOSITION FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119506
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lubricant oil composition for an internal combustion engine. The lubricant oil composition is characterized by comprising: a lubricant base oil having a urea adduct fraction of 4 mass% or less and a viscosity index of 100 or more; and at least one member selected from an ashless antioxidant which does not contain sulfur as a constituent element, an ashless antioxidant which contains sulfur as a constituent element and an organic molybdenum compound.

Inventors:
TAGAWA KAZUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055667
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
TAGAWA KAZUO (JP)
International Classes:
C10M171/02; C10M101/02; C10M109/02; C10N20/00; C10N20/02; C10N70/00
Domestic Patent References:
WO2008123249A12008-10-16
WO2008123246A12008-10-16
WO1998026030A11998-06-18
WO1999031113A11999-06-24
Foreign References:
JP2006521416A2006-09-21
JP2006509899A2006-03-23
JP2006518395A2006-08-10
JP2006502297A2006-01-19
JP2006241436A2006-09-14
JP2008274236A2008-11-13
JP2008303344A2008-12-18
JP2008274238A2008-11-13
JP2008274237A2008-11-13
JPH0436391A1992-02-06
JPS63223094A1988-09-16
JPH08302378A1996-11-19
JPH093463A1997-01-07
JP2006502298A2006-01-19
JP2002503754A2002-02-05
Other References:
See also references of EP 2264134A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (JP)
Yoshiki Hasegawa (JP)
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Claims:
 尿素アダクト値が4質量%以下であり且つ粘度指数が100以上である潤滑油基油と、
 硫黄を構成元素として含まない無灰酸化防止剤と、
 硫黄を構成元素として含む無灰酸化防止剤および有機モリブデン化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
 前記潤滑油基油が、ノルマルパラフィンを含有する原料油について、得られる被処理物の尿素アダクト値が4質量%以下であり且つ粘度指数が100以上となるように、水素化分解/水素化異性化を行う工程により得られた潤滑油基油であることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
 前記原料油が潤滑油基油の溶剤脱ろうによって得られるスラックワックスを50質量%以上含有することを特徴とする、請求項2に記載の潤滑油組成物。
Description:
内燃機関用潤滑油組成物

 本発明は内燃機関用潤滑油組成物に関し 詳しくは、二輪車、四輪車、発電用、舶用 のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン 含酸素化合物含有燃料対応エンジン、ガス ンジン等の潤滑油として好適な内燃機関用 滑油組成物に関する。

 自動車用エンジンなどの内燃機関に使用 れる潤滑油には、過酷な条件下での長期の 用に耐えるための熱・酸化安定性が求めら ている。さらに、近年では、省燃費の観点 ら、粘度指数の高い基油が求められており また、添加剤、基油についてのさまざまな 討がなされている。例えば、添加剤として ジチオリン酸亜鉛やジチオカルバミン酸モ ブデンなどのパーオキサイド分解能を有す 硫黄系含有化合物、あるいはフェノール系 たはアミン系酸化防止剤等の無灰酸化防止 を基油に配合することが一般的になされて る(例えば、特許文献1~4を参照。)。

 また、粘度-温度特性/低温粘度特性や熱酸 安定性を向上させる手法として、天然や合 のノルマルパラフィンを含む原料油につい 水素化分解/水素化異性化を行なうことによ 、高粘度指数基油を製造する方法が知られ いる(例えば、特許文献5~6を参照)。さらに 潤滑油の低温粘度特性を改善する手法とし は、高度精製鉱油系基油に流動点降下剤等 添加剤を配合する方法がある。

特開平4-36391号公報

特開昭63-223094号公報

特開平8-302378号公報

特開平9-003463号公報

特表2006-502298号公報

特表2002-503754号公報

 近時、内燃機関用潤滑油の使用条件の更 る苛酷化に加えて、資源有効利用、廃油の 減、潤滑油ユーザーのコスト削減等の観点 らも、潤滑油のロングドレイン化に対する 求は一層高まるとともに、エンジン始動時 低温時の粘度を低くし、粘性抵抗を少なく て省燃費効果を高める要求が強くなってい 。従来の内燃機関用潤滑油に使用される潤 油基油は、高性能基油と呼ばれるものであ ても、それ自体の熱・酸化安定性が必ずし 十分とはいえない。また、酸化防止剤の配 量を増量することで熱・酸化安定性をある 度改善することは可能であるが、この手法 よる熱・酸化安定性の向上効果には自ずと 界がある。また、粘度-温度特性/低温粘度 性に関しては、潤滑油基油への添加剤の配 によりある程度改善することはできても、 の手法には限界がある。特に、流動点降下 は、配合量を増加させてもその効果が濃度 比例関係ではなく、また、配合量の増加に ってせん断安定性が低下してしまう。

 また、従来、潤滑油基油及び潤滑油の低 粘度特性の評価指標としては、流動点、曇 点、凝固点などが一般的である。また、最 では、ノルマルパラフィンやイソパラフィ の含有量等の潤滑油基油に基づき低温粘度 性を評価する手法も知られている。しかし 本発明者の検討によれば、上記の要求に応 る潤滑油基油及び潤滑油を実現するために 、流動点や凝固点等の指標が潤滑油基油の 温粘度特性(省燃費性)の評価指標として必 しも適切でないことが判明した。

 本発明は、このような実情に鑑みてなさ たものであり、熱・酸化安定性および粘度- 温度特性/低温粘度特性に優れ、十分なロン ドレイン性および省燃費性を達成すること 可能な潤滑油組成物を提供することを目的 する。

 上記課題を解決するために、本発明は、 素アダクト値が4質量%以下であり且つ粘度 数が100以上である潤滑油基油と、硫黄を構 元素として含まない無灰酸化防止剤と、硫 を構成元素として含む無灰酸化防止剤およ 有機モリブデン化合物から選ばれる少なく も1種とを含有することを特徴とする内燃機 用潤滑油組成物を提供する。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物に含ま る潤滑油基油は、尿素アダクト値および粘 指数が上記条件を満たすものであるため、 れ自体が熱・酸化安定性に優れる。更に、 該潤滑油基油は、添加剤が配合された場合 、当該添加剤を安定に溶解保持しつつその 能をより高水準で発現させることができる のである。そして、このように優れた特性 有する潤滑油基油に、硫黄を構成元素とし 含まない無灰酸化防止剤(以下、場合により 「(A)成分」という)と、硫黄を構成元素とし 含む無灰酸化防止剤及び有機モリブデン化 物から選ばれる少なくとも1種(以下、場合に より「(B)成分」という)との双方を含有せし ることで、(A)、(B)成分の相乗作用による熱 酸化安定性の向上効果を最大限に発揮させ ことができるようになる。したがって、本 明の内燃機関用潤滑油組成物によって、十 なロングドレイン化を達成することが可能 なる。

 また、本発明の内燃機関用組成物に含ま る潤滑油基油は、尿素アダクト値および粘 指数がそれぞれ上記条件を満たすものであ ため、それ自体が粘度-温度特性及び摩擦特 性に優れている。そして、当該潤滑油基油に よれば、優れた粘度-温度特性により実用温 範囲における粘度抵抗や攪拌抵抗を低減す ことができ、特に、0℃以下の低温条件にお て、粘性抵抗や攪拌抵抗を大幅に低減する とによりその効果を発揮することができる め、装置におけるエネルギー損失を低減し 省エネルギー化を達成できる。更に、当該 滑油基油は、上述のように添加剤の溶解性 び効き目の点で優れており、摩擦調整剤が 合された場合には摩擦低減効果を高水準で ることができるものである。したがって、 のように優れた潤滑油基油を含む本発明の 燃機関用潤滑油組成物によれば、摺動部に ける摩擦抵抗や撹拌抵抗などに起因するエ ルギー損失を低減し、十分な省エネルギー を図ることができる。

 更に、従来の潤滑油基油の場合は低温粘 特性の改善と揮発防止性の確保との両立が 難であったが、本発明にかかる潤滑油基油 よれば低温粘度特性と揮発防止性との双方 高水準でバランスよく達成することができ 。したがって、本発明の内燃機関用潤滑油 成物は、内燃機関のロングドレイン化及び エネルギー化に加えて、低温時始動性の改 の点でも有用である。

 なお、本発明でいう尿素アダクト値は以 の方法により測定される。秤量した試料油( 潤滑油基油)100gを丸底フラスコに入れ、尿素2 00g、トルエン360ml及びメタノール40mlを加えて 室温で6時間攪拌する。これにより、反応液 に尿素アダクト物として白色の粒状結晶が 成する。反応液を1ミクロンフィルターでろ することにより、生成した白色粒状結晶を 取し、得られた結晶をトルエン50mlで6回洗 する。回収した白色結晶をフラスコに入れ 純水300ml及びトルエン300mlを加えて80℃で1時 攪拌する。分液ロートで水相を分離除去し トルエン相を純水300mlで3回洗浄する。トル ン相に乾燥剤(硫酸ナトリウム)を加えて脱 処理を行った後、トルエンを留去する。こ ようにして得られた尿素アダクト物の試料 に対する割合(質量百分率)を尿素アダクト値 と定義する。

 また、本発明でいう粘度指数、並びに後 する40℃又は100℃における動粘度とは、そ ぞれJIS K 2283-1993に準拠して測定された粘度 指数及び40℃又は100℃における動粘度を意味 る。

 なお、従来、水素化分解/水素化異性化に よる潤滑油基油の精製方法においてノルマル パラフィンからイソパラフィンへの異性化率 の向上が検討されていることは上述の通りで あるが、本発明者らの検討によれば、単にノ ルマルパラフィンの残存量を低減するだけで は低温粘度特性を十分に改善することは困難 である。すなわち、水素化分解/水素化異性 により生成するイソパラフィンの中にも低 粘度特性に悪影響を及ぼす成分は含まれる 、従来の評価方法においてはその点につい 十分に認識されていない。また、ノルマル ラフィン及びイソパラフィンの分析にはガ クロマトグラフィー(GC)やNMRなどの分析手法 適用されるが、これらの分析手法ではイソ ラフィンの中から低温粘度特性に悪影響を ぼす成分を分離又は特定することは、煩雑 作業や多大な時間を要するなど実用上有効 あるとはいえない。

 これに対して、本発明における尿素アダ ト値の測定においては、尿素アダクト物と て、イソパラフィンのうち低温粘度特性に 影響を及ぼす成分、さらには潤滑油基油中 ノルマルパラフィンが残存している場合の 該ノルマルパラフィンを精度よく且つ確実 捕集することができるため、潤滑油基油の 温粘度特性の評価指標として優れている。 お、本発明者らは、GC及びNMRを用いた分析 より、尿素アダクト物の主成分が、ノルマ パラフィン及び主鎖の末端から分岐位置ま の炭素数が6以上であるイソパラフィンの尿 アダクト物であることを確認している。

 本発明においては、上記潤滑油基油が、 ルマルパラフィンを含有する原料油につい 、得られる被処理物の尿素アダクト値が4質 量%以下且つ粘度指数が100以上となるように 水素化分解/水素化異性化を行う工程により られたものであることが好ましい。これに り、熱・酸化安定性および粘度-温度特性と 低温粘度特性とが高水準で両立された潤滑油 組成物をより確実に得ることができる。

 また、上記潤滑油基油が、ノルマルパラ ィンを含有する原料油について、得られる 処理物の尿素アダクト値が4質量%以下且つ 度指数が100以上となるように、水素化分解/ 素化異性化を行う工程により得られたもの ある場合、上記原料油は、潤滑油基油の溶 脱ろうによって得られるスラックワックス 50質量%以上含有することが好ましい。

 以上の通り、本発明によれば、熱・酸化 定性あるいは更に粘度-温度特性/低温粘度 性、摩擦特性及び揮発防止性に優れた内燃 関用潤滑油組成物が実現可能となる。そし 、本発明の内燃機関用潤滑油組成物を内燃 関に適用することにより、ロングドレイン 及び省エネルギー化を達成することができ ようになり、更には低温始動性を改善する とができるようになる。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、尿 アダクト値が4質量%以下であり且つ粘度指 が100以上である潤滑油基油と、(A)硫黄を構 元素として含まない無灰酸化防止剤と、(B) 黄を構成元素として含む無灰酸化防止剤お び有機モリブデン化合物から選ばれる少な とも1種とを含有する。

 本発明に係る潤滑油基油の尿素アダクト は、粘度-温度特性を損なわずに低温粘度特 性を改善する観点から、上述の通り4質量%以 であることが必要であり、好ましくは3.5質 %以下、より好ましくは3質量%以下、さらに ましくは2.5質量%以下である。また、潤滑油 基油の尿素アダクト値は、0質量%でも良い。 かし、十分な低温粘度特性と、より粘度指 の高い潤滑油基油を得ることができ、また ろう条件を緩和して経済性にも優れる点で 好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5 質量%以上、特に好ましくは0.8質量%以上であ 。

 本発明に係る潤滑油基油の粘度指数は、 度-温度特性の観点から、上述の通り100以上 であることが必要であり、好ましくは110以上 、より好ましくは120以上、更に好ましくは130 以上、特に好ましくは140以上である。

 本発明に係る潤滑油基油を製造するに際 、ノルマルパラフィン、またはノルマルパ フィンを含有するワックスを含有する原料 を用いることができる。原料油は、鉱物油 は合成油のいずれであってもよく、あるい これらの2種以上の混合物であってもよい。

 本発明で用いられる原料油は、ASTMD86又は ASTM D2887に規定する潤滑油範囲で沸騰するワ クス含有原料であることが好ましい。原料 のワックス含有率は、原料油全量を基準と て、好ましくは50質量%以上100質量%以下であ る。原料のワックス含有率は、核磁気共鳴分 光法(ASTM D5292)、相関環分析(n-d-M)法(ASTMD3238) 溶剤法(ASTM D3235)などの分析手法によって測 することができる。

 ワックス含有原料としては、例えば、ラ ィネートのような溶剤精製法に由来するオ ル、部分溶剤脱ロウ油、脱瀝油、留出物、 圧ガスオイル、コーカーガスオイル、スラ クワックス、フーツ油、フィッシャー-トロ プシュ・ワックスなどが挙げられ、これらの 中でもスラックワックス及びフィッシャー- ロプシュ・ワックスが好ましい。

 スラックワックスは、典型的には溶剤ま はプロパン脱ロウによる炭化水素原料に由 する。スラックワックスは残留油を含有し るが、この残留油は脱油により除去するこ ができる。フーツ油は脱油されたスラック ックスに相当するものである。

 また、フィッシャー-トロプシュ・ワック スは、いわゆるフィッシャー-トロプシュ合 法により製造される。

 さらに、ノルマルパラフィンを含有する 料油として市販品を用いてもよい。具体的 は、パラフィリント(Paraflint)80(水素化フィ シャー-トロプシュ・ワックス)およびシェル MDSワックス質ラフィネート(ShellMDS Waxy Raffina te)(水素化および部分異性化中間留出物合成 ックス質ラフィネート)などが挙げられる。

 また、溶剤抽出に由来する原料油は、常 蒸留からの高沸点石油留分を減圧蒸留装置 送り、この装置からの蒸留留分を溶剤抽出 ることによって得られるものである。減圧 留からの残渣は、脱瀝されてもよい。溶剤 出法においては、よりパラフィニックな成 をラフィネート相に残したまま抽出相に芳 族成分を溶解する。ナフテンは、抽出相と フィネート相とに分配される。溶剤抽出用 溶剤としては、フェノール、フルフラール よびN-メチルピロリドンなどが好ましく使 される。溶剤/油比、抽出温度、抽出される き留出物と溶剤との接触方法などを制御す ことによって、抽出相とラフィネート相と 分離の程度を制御することができる。さら 原料として、より高い水素化分解能を有す 燃料油水素化分解装置を使用し、燃料油水 化分解装置から得られるボトム留分を用い もよい。

 上記の原料油について、得られる被処理物 尿素アダクト値が4質量%以下且つ粘度指数 100以上となるように、水素化分解/水素化異 化を行う工程を経ることによって、本発明 係る潤滑油基油を得ることができる。水素 分解/水素化異性化工程は、得られる被処理 物の尿素アダクト値及び粘度指数が上記条件 を満たせば特に制限されない。本発明におけ る好ましい水素化分解/水素化異性化工程は
 ノルマルパラフィンを含有する原料油につ て、水素化処理触媒を用いて水素化処理す 第1工程と、
 第1工程により得られる被処理物について、 水素化脱ロウ触媒を用いて水素化脱ロウする 第2工程と、
 第2工程により得られる被処理物について、 水素化精製触媒を用いて水素化精製する第3 程と
を備える。

 なお、従来の水素化分解/水素化異性化に おいても、水素化脱ロウ触媒の被毒防止のた めの脱硫・脱窒素を目的として、水素化脱ロ ウ工程の前段に水素化処理工程が設けられる ことはある。これに対して、本発明における 第1工程(水素化処理工程)は、第2工程(水素化 ロウ工程)の前段で原料油中のノルマルパラ フィンの一部(例えば10質量%程度、好ましく 1~10質量%)を分解するために設けられたもの あり、当該第1工程においても脱硫・脱窒素 可能であるが、従来の水素化処理とは目的 異にする。かかる第1工程を設けることは、 第3工程後に得られる被処理物(潤滑油基油)の 尿素アダクト値を確実に4質量%以下とする上 好ましい。

 上記第1工程で用いられる水素化触媒とし ては、6族金属、8-10族金属、およびそれらの 合物を含有する触媒などが挙げられる。好 しい金属としては、ニッケル、タングステ 、モリブデン、コバルトおよびそれらの混 物が挙げられる。水素化触媒は、これらの 属を耐熱性金属酸化物担体上に担持した態 で用いることができ、通常、金属は担体上 酸化物または硫化物として存在する。また 金属の混合物を用いる場合は、金属の量が 媒全量を基準として30質量%以上であるバル 金属触媒として存在してもよい。金属酸化 担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ- アルミナまたはチタニアなどの酸化物が挙げ られ、中でもアルミナが好ましい。好ましい アルミナは、γ型またはβ型の多孔質アルミ である。金属の担持量は、触媒全量を基準 して、0.5~35質量%の範囲であることが好まし 。また、9-10族金属と6族金属との混合物を いる場合には、9族または10族金属のいずれ が、触媒全量を基準として、0.1~5質量%の量 存在し、6族金属は5~30質量%の量で存在する とが好ましい。金属の担持量は、原子吸収 光法、誘導結合プラズマ発光分光分析法ま は個々の金属について、ASTMで指定された他 方法によって測定されてもよい。

 金属酸化物担体の酸性は、添加物の添加 金属酸化物担体の性質の制御(例えば、シリ カ-アルミナ担体中へ組み入れられるシリカ 量の制御)などによって制御することができ 。添加物の例には、ハロゲン、特にフッ素 リン、ホウ素、イットリア、アルカリ金属 アルカリ土類金属、希土類酸化物、および グネシアが挙げられる。ハロゲンのような 触媒は、一般に金属酸化物担体の酸性を高 るが、イットリアまたはマグネシアのよう 弱塩基性添加物はかかる担体の酸性を弱く る傾向がある。

 水素化処理条件に関し、処理温度は、好ま くは150~450℃、より好ましくは200~400℃であ 、水素分圧は、好ましくは1400~20000kPa、より ましくは2800~14000kPaであり、液空間速度(LHSV) は、好ましくは0.1~10hr -1 、より好ましく0.1~5hr -1 であり、水素/油比は、好ましくは50~1780m 3 /m 3 、より好ましくは89~890m 3 /m 3 である。なお、上記の条件は一例であり、第 3工程後に得られる被処理物の尿素アダクト 及び粘度指数がそれぞれ上記条件を満たす めの第1工程における水素化処理条件は、原 、触媒、装置等の相違に応じて適宜選定す ことが好ましい。

 第1工程において水素化処理された後の被 処理物は、そのまま第2工程に供してもよい 、当該被処理物についてストリッピングま は蒸留を行い、被処理物(液状生成物)からガ ス生成物を分離除去する工程を、第1工程と 2工程との間に設けることが好ましい。これ より、被処理物に含まれる窒素分及び硫黄 を、第2工程における水素化脱ロウ触媒の長 期使用に影響を及ぼさないでレベルにまで減 らすことができる。ストリッピング等による 分離除去の対象は主として硫化水素およびア ンモニアのようなガス異物であり、ストリッ ピングはフラッシュドラム、分留器などの通 常の手段によって行うことができる。

 また、第1工程における水素化処理の条件 がマイルドである場合には、使用する原料に よって残存する多環芳香族分が通過する可能 性があるが、これらの異物は、第3工程にお る水素化精製により除去されてもよい。

 また、第2工程で用いられる水素化脱ロウ 触媒は、結晶質又は非晶質のいずれの材料を 含んでもよい。結晶質材料としては、例えば 、アルミノシリケート(ゼオライト)またはシ コアルミノホスフェート(SAPO)を主成分とす 、10または12員環通路を有するモレキュラー シーブが挙げられる。ゼオライトの具体例と しては、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-48、ZSM-57、フ ェリエライト、ITQ-13、MCM-68、MCM-71などが挙げ られる。また、アルミノホスフェートの例と しては、ECR-42が挙げられる。モレキュラーシ ーブの例としては、ゼオライトベータ、およ びMCM-68が挙げられる。これらの中でも、ZSM-48 、ZSM-22およびZSM-23から選ばれる1種又は2種以 を用いることが好ましく、ZSM-48が特に好ま い。モレキュラーシーブは好ましくは水素 にある。水素化脱ロウ触媒の還元は、水素 脱ロウの際にその場で起こり得るが、予め 元処理が施された水素化脱ロウ触媒を水素 脱ロウに供してもよい。

 また、水素化脱ロウ触媒の非晶質材料と ては、3族金属でドープされたアルミナ、フ ッ化物化アルミナ、シリカ-アルミナ、フッ 物化シリカ-アルミナ、シリカ-アルミナなど が挙げられる。

 脱ロウ触媒の好ましい態様としては、二 能性、すなわち、少なくとも1つの6族金属 少なくとも1つの8-10族金属、またはそれらの 混合物である金属水素添加成分が装着された ものが挙げられる。好ましい金属は、Pt、Pd たはそれらの混合物などの9-10族貴金属であ 。これらの金属の装着量は、触媒全量を基 として好ましくは0.1~30質量%である。触媒調 製および金属装着方法としては、例えば分解 性金属塩を用いるイオン交換法および含浸法 が挙げられる。

 なお、モレキュラーシーブを用いる場合 水素化脱ロウ条件下での耐熱性を有するバ ンダー材料と複合化してもよく、またはバ ンダーなし(自己結合)であってもよい。バ ンダー材料としては、シリカ、アルミナ、 リカ-アルミナ、シリカとチタニア、マグネ ア、トリア、ジルコニアなどのような他の 属酸化物との二成分の組合せ、シリカ-アル ミナ-トリア、シリカ-アルミナ-マグネシアな どのような酸化物の三成分の組合せなどの無 機酸化物が挙げられる。水素化脱ロウ触媒中 のモレキュラーシーブの量は、触媒全量を基 準として、好ましくは10~100質量%、より好ま くは35~100質量%である。水素化脱ロウ触媒は 噴霧乾燥、押出などの方法によって形成さ る。水素化脱ロウ触媒は、硫化物化または 硫化物化した態様で使用することができ、 化物化した態様が好ましい。

 水素化脱ロウ条件に関し、温度は好ましく 250~400℃、より好ましくは275~350℃であり、 素分圧は好ましくは791~20786kPa(100~3000psig)、よ り好ましくは1480~17339kPa(200~2500psig)であり、液 空間速度は好ましくは0.1~10hr -1 、より好ましくは0.1~5hr -1 であり、水素/油比は好ましくは45~1780m 3 /m 3 (250~10000scf/B)、より好ましくは89~890m 3 /m 3 (500~5000scf/B)である。なお、上記の条件は一例 であり、第3工程後に得られる被処理物の尿 アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条 を満たすための第2工程における水素化脱ロ 条件は、原料、触媒、装置等の相違に応じ 適宜選定することが好ましい。

 第2工程で水素化脱ロウされた被処理物は 、第3工程における水素化精製に供される。 素化精製は、残留ヘテロ原子および色相体 除去に加えて、オレフィンおよび残留芳香 化合物を水素化により飽和することを目的 するマイルドな水素化処理の一形態である 第3工程における水素化精製は、脱ロウ工程 カスケード式で実施することができる。

 第3工程で用いられる水素化精製触媒は、 6族金属、8-10族金属又はそれらの混合物を金 酸化物担体に担持させたものであることが ましい。好ましい金属としては、貴金属、 に白金、パラジウムおよびそれらの混合物 挙げられる。金属の混合物を用いる場合、 属の量が触媒を基準にして30質量%もしくは れ以上であるバルク金属触媒として存在し もよい。触媒の金属含有率は、非貴金属に いては20質量%以下、貴金属については1質量 %以下が好ましい。また、金属酸化物担体と ては、非晶質または結晶質酸化物のいずれ あってもよい。具体的には、シリカ、アル ナ、シリカ-アルミナまたはチタニアのよう 低酸性酸化物が挙げられ、アルミナが好ま い。芳香族化合物の飽和の観点からは、多 質担体上に比較的強い水素添加機能を有す 金属が担持された水素化精製触媒を用いる とが好ましい。

 好ましい水素化精製触媒として、M41Sクラ スまたは系統の触媒に属するメソ細孔性材料 を挙げることができる。M41S系統の触媒は、 いシリカ含有率を有するメソ細孔性材料で り、具体的には、MCM-41、MCM-48およびMCM-50が げられる。かかる水素化精製触媒は15~100Å 細孔径を有するものであり、MCM-41が特に好 しい。MCM-41は、一様なサイズの細孔の六方 系配列を有する無機の多孔質非層化相であ 。MCM-41の物理構造は、ストローの開口部(細 のセル径)が15~100オングストロームの範囲で あるストローの束のようなものである。MCM-48 は、立方体対称を有し、MCM-50は、層状構造を 有する。MCM-41は、メソ細孔性範囲の異なるサ イズの細孔開口部で製造することができる。 メソ細孔性材料は、8族、9族または10族金属 少なくとも1つである金属水素添加成分を有 てもよく、金属水素添加成分としては、貴 属、特に10族貴金属が好ましく、Pt、Pdまた それらの混合物が最も好ましい。

 水素化精製の条件に関し、温度は好ましく 150~350℃、より好ましくは180~250℃であり、 圧は好ましくは2859~20786kPa(約400~3000psig)であ 、液空間速度は好ましくは0.1~5hr -1 、より好ましくは0.5~3hr -1 であり、水素/油比は好ましくは44.5~1780m 3 /m 3 (250~10,000scf/B)である。なお、上記の条件は一 であり、第3工程後に得られる被処理物の尿 素アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条 件を満たすための第3工程における水素化生 条件は、原料や処理装置の相違に応じて適 選定することが好ましい。

 また、第3工程後に得られる被処理物につ いては、必要に応じて、蒸留等により所定の 成分を分離除去してもよい。

 上記の製造方法により得られる本発明に る潤滑油基油においては、尿素アダクト値 び粘度指数がそれぞれ上記条件を満たせば その他の性状は特に制限されないが、本発 に係る潤滑油基油は以下の条件を更に満た ものであることが好ましい。

 本発明に係る潤滑油基油における飽和分 含有量は、潤滑油基油全量を基準として、 ましくは90質量%以上、より好ましくは93質 %以上、更に好ましくは95質量%以上である。 た、当該飽和分に占める環状飽和分の割合 、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは0.5 ~40質量%、更に好ましくは1~30質量%、特に好ま しくは5~20質量%である。飽和分の含有量及び 該飽和分に占める環状飽和分の割合がそれ れ上記条件を満たすことにより、粘度-温度 特性及び熱・酸化安定性を達成することがで き、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合さ れた場合には、当該添加剤を潤滑油基油中に 十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤 の機能をより高水準で発現させることができ る。更に、飽和分の含有量及び当該飽和分に 占める環状飽和分の割合がそれぞれ上記条件 を満たすことにより、潤滑油基油自体の摩擦 特性を改善することができ、その結果、摩擦 低減効果の向上、ひいては省エネルギー性の 向上を達成することができる。

 なお、飽和分の含有量が90質量%未満であ と、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩 擦特性が不十分となる傾向にある。また、飽 和分に占める環状飽和分の割合が0.1質量%未 であると、潤滑油基油に添加剤が配合され 場合に、当該添加剤の溶解性が不十分とな 、潤滑油基油中に溶解保持される当該添加 の有効量が低下するため、当該添加剤の機 を有効に得ることができなくなる傾向にあ 。更に、飽和分に占める環状飽和分の割合 50質量%を超えると、潤滑油基油に添加剤が 合された場合に当該添加剤の効き目が低下 る傾向にある。

 本発明において、飽和分に占める環状飽 分の割合が0.1~50質量%であることは、飽和分 に占める非環状飽和分が99.9~50質量%であるこ と等価である。ここで、非環状飽和分には ルマルパラフィン及びイソパラフィンの双 が包含される。本発明に係る潤滑油基油に めるノルマルパラフィン及びイソパラフィ の割合は、尿素アダクト値が上記条件を満 せば特に制限されないが、イソパラフィン 割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましく 50~99.9質量%、より好ましくは60~99.9質量%、更 に好ましくは70~99.9質量%、特に好ましくは80~9 9.9質量%である。潤滑油基油に占めるイソパ フィンの割合が前記条件を満たすことによ 、粘度-温度特性及び熱・酸化安定性をより 上させることができ、また、当該潤滑油基 に添加剤が配合された場合には、当該添加 を十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添 剤の機能を一層高水準で発現させることが きる。

 なお、本発明でいう飽和分の含有量とは ASTM D 2007-93に準拠して測定される値(単位: 量%)を意味する。

 また、本発明でいう飽和分に占める環状 和分及び非環状飽和分の割合とは、それぞ ASTM D 2786-91に準拠して測定されるナフテン 分(測定対象:1環~6環ナフテン、単位:質量%)及 アルカン分(単位:質量%)を意味する。

 また、本発明でいう潤滑油基油中のノルマ パラフィンの割合とは、前記ASTM D 2007-93に 記載された方法により分離・分取された飽和 分について、以下の条件でガスクロマトグラ フィー分析を行い、当該飽和分に占めるノル マルパラフィンの割合を同定・定量したとき の測定値を、潤滑油基油全量を基準として換 算した値を意味する。なお、同定・定量の際 には、標準試料として炭素数5~50のノルマル ラフィンの混合試料が用いられ、飽和分に めるノルマルパラフィンは、クロマトグラ の全ピーク面積値(希釈剤に由来するピーク 面積値を除く)に対する各ノルマルパラフィ ンに相当に相当するピーク面積値の合計の割 合として求められる。
(ガスクロマトグラフィー条件)
カラム:液相無極性カラム(長さ25mm、内径0.3mm 、液相膜厚さ0.1μm)昇温条件:50℃~400℃(昇温 度:10℃/min)
キャリアガス:ヘリウム(線速度:40cm/min)
スプリット比:90/1
試料注入量:0.5μL(二硫化炭素で20倍に希釈し 試料の注入量)

 また、潤滑油基油中のイソパラフィンの 合とは、前記飽和分に占める非環状飽和分 前記飽和分に占めるノルマルパラフィンと 差を、潤滑油基油全量を基準として換算し 値を意味する。

 飽和分の分離方法、あるいは環状飽和分 非環状飽和分等の組成分析の際には、同様 結果が得られる類似の方法を使用すること できる。例えば、上記の他、ASTM D 2425-93に 記載の方法、ASTM D 2549-91に記載の方法、高 液体クロマトグラフィ(HPLC)による方法、あ いはこれらの方法を改良した方法等を挙げ ことができる。

 なお、本発明に係る潤滑油基油において 原料として、燃料油水素化分解装置から得 れるボトム留分を用いた場合には、飽和分 含有量が90質量%以上、該飽和分に占める環 飽和分の割合が、30~50質量%、該飽和分に占 る非環状飽和分の割合が50~70質量%、潤滑油 油中のイソパラフィンの割合が40~70質量%、 度指数が100~135、好ましくは120~130の基油が られるが、尿素アダクト値が上記条件を満 すことで、本願発明の効果、特に-40℃にお るMRV粘度を20000mPa・s以下、特に10000mPa・s以 という優れた低温粘度特性を有する潤滑油 成物を得ることができる。また、本発明に る潤滑油基油において、原料としてワック 含有量が高い原料(例えばノルマルパラフィ 含有量が50質量%以上)であるスラックワック ス、フィッシャー-トロプシュワックスを用 た場合には、飽和分の含有量が90質量%以上 該飽和分に占める環状飽和分の割合が、0.1~4 0質量%、該飽和分に占める非環状飽和分の割 が60~99.9質量%、潤滑油基油中のイソパラフ ンの割合が60~99.9質量%、粘度指数が100~170、 ましくは135~160の基油が得られるが、尿素ア クト値が上記条件を満たすことで、本願発 の効果、特に-40℃におけるMRV粘度を12000mPa s以下、特に7000mPa・s以下という高粘度指数 低温粘度特性に極めて優れた特性を有する 滑油組成物を得ることができる。

 また、本発明に係る潤滑油基油における 香族分は、潤滑油基油全量を基準として、 ましくは5質量%以下、より好ましくは0.05~3 量%、更に好ましくは0.1~1質量%、特に好まし は0.1~0.5質量%である。芳香族分の含有量が 記上限値を超えると、粘度-温度特性、熱・ 化安定性及び摩擦特性、更には揮発防止性 び低温粘度特性が低下する傾向にあり、更 、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に 該添加剤の効き目が低下する傾向にある。 た、本発明に係る潤滑油基油は芳香族分を 有しないものであってもよいが、芳香族分 含有量を0.05質量%以上とすることにより、 加剤の溶解性を更に高めることができる。

 なお、ここでいう芳香族分の含有量とは ASTM D 2007-93に準拠して測定された値を意味 する。芳香族分には、通常、アルキルベンゼ ン、アルキルナフタレンの他、アントラセン 、フェナントレン及びこれらのアルキル化物 、更にはベンゼン環が四環以上縮合した化合 物、ピリジン類、キノリン類、フェノール類 、ナフトール類等のヘテロ原子を有する芳香 族化合物などが含まれる。

 また、本発明に係る潤滑油基油の%C p は、好ましくは80以上、より好ましくは82~99 更に好ましくは85~98、特に好ましくは90~97で る。潤滑油基油の%C p が80未満の場合、粘度-温度特性、熱・酸化安 定性及び摩擦特性が低下する傾向にあり、更 に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に 当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。 また、潤滑油基油の%C p が99を超えると、添加剤の溶解性が低下する 向にある。

 また、本発明に係る潤滑油基油の%C N は、好ましくは20以下、より好ましくは15以 、より好ましくは1~12、更に好ましくは3~10で ある。潤滑油基油の%C N が20を超えると、粘度-温度特性、熱・酸化安 定性及び摩擦特性が低下する傾向にある。ま た、%C N が1未満であると、添加剤の溶解性が低下す 傾向にある。

 また、本発明に係る潤滑油基油の%C A は、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以 下、更に好ましくは0.1~0.5である。潤滑油基 の%C A が0.7を超えると、粘度-温度特性、熱・酸化 定性及び摩擦特性が低下する傾向にある。 た、本発明に係る潤滑油基油の%C A は0であってもよいが、%C A を0.1以上とすることにより、添加剤の溶解性 を更に高めることができる。

 更に、本発明に係る潤滑油基油における%C P と%C N との比率は、%C P /%C N が7以上であることが好ましく、7.5以上であ ことがより好ましく、8以上であることが更 好ましい。%C P /%C N が7未満であると、粘度-温度特性、熱・酸化 定性及び摩擦特性が低下する傾向にあり、 に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合 当該添加剤の効き目が低下する傾向にある また、%C P /%C N は、200以下であることが好ましく、100以下で あることがより好ましく、50以下であること 更に好ましく、25以下であることが特に好 しい。%C P /%C N を200以下とすることにより、添加剤の溶解性 を更に高めることができる。

 なお、本発明でいう%C P 、%C N 及び%C A とは、それぞれASTM D 3238-85に準拠した方法(n -d-M環分析)により求められる、パラフィン炭 数の全炭素数に対する百分率、ナフテン炭 数の全炭素数に対する百分率、及び芳香族 素数の全炭素数に対する百分率を意味する つまり、上述した%C P 、%C N 及び%C A の好ましい範囲は上記方法により求められる 値に基づくものであり、例えばナフテン分を 含まない潤滑油基油であっても、上記方法に より求められる%C N が0を超える値を示すことがある。

 また、本発明に係る潤滑油基油のヨウ素 は、好ましくは0.5以下であり、より好まし は0.3以下、更に好ましくは0.15以下であり、 また、0.01未満であってもよいが、それに見 うだけの効果が小さい点及び経済性との関 から、好ましくは0.001以上、より好ましくは 0.05以上である。潤滑油基油のヨウ素価を0.5 下とすることで、熱・酸化安定性を飛躍的 向上させることができる。なお、本発明で うヨウ素価とは、JIS K 0070「化学製品の酸 、ケン化価、ヨウ素価、水酸基価及び不ケ 化価」の指示薬滴定法により測定したヨウ 価を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油における 黄分の含有量は、その原料の硫黄分の含有 に依存する。例えば、フィッシャートロプ ュ反応等により得られる合成ワックス成分 ように実質的に硫黄を含まない原料を用い 場合には、実質的に硫黄を含まない潤滑油 油を得ることができる。また、潤滑油基油 精製過程で得られるスラックワックスや精 う過程で得られるマイクロワックス等の硫 を含む原料を用いる場合には、得られる潤 油基油中の硫黄分は通常100質量ppm以上とな 。本発明に係る潤滑油基油においては、熱 酸化安定性の更なる向上及び低硫黄化の点 ら、硫黄分の含有量が10質量ppm以下である とが好ましく、5質量ppm以下であることがよ 好ましく、3質量ppm以下であることが更に好 ましい。

 また、コスト低減の点からは、原料とし スラックワックス等を使用することが好ま く、その場合、得られる潤滑油基油中の硫 分は50質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下 であることがより好ましい。なお、本発明で いう硫黄分とは、JIS K 2541-1996に準拠して測 される硫黄分を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油における 素分の含有量は、特に制限されないが、好 しくは5質量ppm以下、より好ましくは3質量pp m以下、更に好ましくは1質量ppm以下である。 素分の含有量が5質量ppmを超えると、熱・酸 化安定性が低下する傾向にある。なお、本発 明でいう窒素分とは、JIS K 2609-1990に準拠し 測定される窒素分を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油の動粘度は その100℃における動粘度は、好ましくは1.5~ 20mm 2 /s、より好ましくは2.0~11mm 2 /sである。潤滑油基油の100℃における動粘度 1.5mm 2 /s未満の場合、蒸発損失の点で好ましくない また、100℃における動粘度が20mm 2 /sを超える潤滑油基油を得ようとする場合、 の収率が低くなり、原料として重質ワック を用いる場合であっても分解率を高めるこ が困難となるため好ましくない。

 本発明においては、100℃における動粘度が 記の範囲にある潤滑油基油を蒸留等により 取し、使用することが好ましい。
(I)100℃における動粘度が1.5mm 2 /s以上3.5mm 2 /s未満、より好ましくは2.0~3.0mm 2 /sの潤滑油基油
(II)100℃における動粘度が3.0mm 2 /s以上4.5mm 2 /s未満、より好ましくは3.5~4.1mm 2 /sの潤滑油基油
(III)100℃における動粘度が4.5~20mm 2 /s、より好ましくは4.8~11mm 2 /s、特に好ましくは5.5~8.0mm 2 /sの潤滑油基油。

 また、本発明に係る潤滑油基油の40℃にお る動粘度は、好ましくは6.0~80mm 2 /s、より好ましくは8.0~50mm 2 /sである。本発明においては、40℃における 粘度が下記の範囲にある潤滑油留分を蒸留 により分取し、使用することが好ましい。
(IV)40℃における動粘度が6.0mm 2 /s以上12mm 2 /s未満、より好ましくは8.0~12mm 2 /sの潤滑油基油
(V)40℃における動粘度が12mm 2 /s以上28mm 2 /s未満、より好ましくは13~19mm 2 /sの潤滑油基油
(VI)40℃における動粘度が28~50mm 2 /s、より好ましくは29~45mm 2 /s、特に好ましくは30~40mm 2 /sの潤滑油基油。

 上記潤滑油基油(I)及び(IV)は、尿素アダク ト値及び粘度指数がそれぞれ上記条件を満た すことにより、粘度グレードが同じ従来の潤 滑油基油と比較して、粘度-温度特性と低温 度特性とを高水準で両立することができ、 に、低温粘度特性に優れ、粘性抵抗や撹拌 抗を著しく低減することができる。また、 動点降下剤を配合することにより、-40℃に けるBF粘度を2000mPa・s以下とすることができ 。なお、-40℃におけるBF粘度とは、JPI-5S-26-9 9に準拠して測定された粘度を意味する。

 また、上記潤滑油基油(II)及び(V)は、尿素 アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条件 を満たすことにより、粘度グレードが同じ従 来の潤滑油基油と比較して、粘度-温度特性 低温粘度特性とを高水準で両立することが き、特に、低温粘度特性に優れ、更には揮 防止性及び潤滑性に優れる。例えば、潤滑 基油(II)及び(V)においては、-35℃におけるCCS 度を3000mPa・s以下とすることができる。

 また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)は、尿 アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条 を満たすことにより、粘度グレードが同じ 来の潤滑油基油と比較して、粘度-温度特性 と低温粘度特性とを高水準で両立することが でき、特に、低温粘度特性に優れ、更には揮 発防止性、熱・酸化安定性及び潤滑性に優れ る。

 また、本発明に係る潤滑油基油の20℃に ける屈折率は、潤滑油基油の粘度グレード もよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び(I V)の20℃における屈折率は、好ましくは1.455以 下、より好ましくは1.453以下、更に好ましく 1.451以下である。また、上記潤滑油基油(II) び(V)の20℃における屈折率は、好ましくは1. 460以下、より好ましくは1.457以下、更に好ま くは1.455以下である。また、上記潤滑油基 (III)及び(VI)の20℃における屈折率は、好まし くは1.465以下、より好ましくは1.463以下、更 好ましくは1.460以下である。屈折率が前記上 限値を超えると、その潤滑油基油の粘度-温 特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止 及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、 た、当該潤滑油基油に添加剤が配合された 合に当該添加剤の効き目が低下する傾向に る。

 また、本発明に係る潤滑油基油の流動点 、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、 えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)の流動点は 、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-12.5 以下、更に好ましくは-15℃以下である。ま 、上記潤滑油基油(II)及び(V)の流動点は、好 ましくは-10℃以下、より好ましくは-15℃以下 、更に好ましくは-17.5℃以下である。また、 記潤滑油基油(III)及び(VI)の流動点は、好ま くは-10℃以下、より好ましくは-12.5℃以下 更に好ましくは-15℃以下である。流動点が 記上限値を超えると、その潤滑油基油を用 た潤滑油全体の低温流動性が低下する傾向 ある。なお、本発明でいう流動点とは、JIS  K 2269-1987に準拠して測定された流動点を意味 する。

 また、本発明に係る潤滑油基油の-35℃に けるCCS粘度は、潤滑油基油の粘度グレード もよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び( IV)の-35℃におけるCCS粘度は、好ましくは1000mP a・s以下である。また、上記潤滑油基油(II)及 び(V)の-35℃におけるCCS粘度は、好ましくは300 0mPa・s以下、より好ましくは2400mPa・s以下、 に好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは 1800mPa・s以下、特に好ましくは1600mPa・s以下 ある。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の-3 5℃におけるCCS粘度は、好ましくは15000mPa・s 下、より好ましくは10000mPa・s以下である。-3 5℃におけるCCS粘度が前記上限値を超えると その潤滑油基油を用いた潤滑油全体の低温 動性が低下する傾向にある。なお、本発明 いう-35℃におけるCCS粘度とは、JIS K 2010-1993 に準拠して測定された粘度を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油の-40℃に けるBF粘度は、潤滑油基油の粘度グレード もよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び(I V)の-40℃におけるBF粘度は、好ましくは10000mPa ・s以下、より好ましくは8000mPa・sであり、更 に好ましくは6000mPa・s以下である。また、上 潤滑油基油(II)及び(V)の-40℃におけるBF粘度 、好ましくは1500000mPa・s以下、より好まし は1000000mPa・s以下である。-40℃におけるBF粘 が前記上限値を超えると、その潤滑油基油 用いた潤滑油全体の低温流動性が低下する 向にある。

 また、本発明に係る潤滑油基油の15℃にお る密度(ρ 15 )は、潤滑油基油の粘度グレードによるが、 記式(1)で表されるρの値以下であること、す なわちρ 15 ≦ρであることが好ましい。
ρ=0.0025×kv100+0.816  (1)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘 度(mm 2 /s)を示す。]

 なお、ρ 15 >ρとなる場合、粘度-温度特性及び熱・酸 安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特 が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油 添加剤が配合された場合に当該添加剤の効 目が低下する傾向にある。

 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)のρ 15 は、好ましくは0.825以下、より好ましくは0.82 0以下である。また、上記潤滑油基油(II)及び( V)のρ 15 は、好ましくは0.835以下、より好ましくは0.83 0以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び (VI)のρ 15 は、好ましくは0.840以下、より好ましくは0.83 5以下である。

 なお、本発明でいう15℃における密度と 、JIS K 2249-1995に準拠して15℃において測定 れた密度を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油のアニリン (AP(℃))は、潤滑油基油の粘度グレードによ が、下記式(2)で表されるAの値以上であるこ と、すなわちAP≧Aであることが好ましい。
A=4.3×kv100+100  (2)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘 度(mm 2 /s)を示す。]

 なお、AP<Aとなる場合、粘度-温度特性 び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び 温粘度特性が低下する傾向にあり、また、 滑油基油に添加剤が配合された場合に当該 加剤の効き目が低下する傾向にある。

 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)のAPは 好ましくは108℃以上、より好ましくは110℃ 上である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V) のAPは、好ましくは113℃以上、より好ましく 119℃以上である。また、上記潤滑油基油(III )及び(VI)のAPは、好ましくは125℃以上、より ましくは128℃以上である。なお、本発明で うアニリン点とは、JIS K 2256-1985に準拠して 測定されたアニリン点を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油のNOACK蒸 量は、特に制限されないが、例えば、上記 滑油基油(I)及び(IV)のNOACK蒸発量は、好まし は20質量%以上、より好ましくは25質量%以上 更に好ましくは30以上であり、また、好まし くは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下 、更に好ましくは40質量%以下である。また、 上記潤滑油基油(II)及び(V)のNOACK蒸発量は、好 ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量% 上、更に好ましくは10質量%以上であり、ま 、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16 質量%以下、更に好ましくは15質量%以下であ 。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)のNOACK蒸 発量は、好ましくは0質量%以上、より好まし は1質量%以上であり、また、好ましくは6質 %以下、より好ましくは5質量%以下、更に好 しくは4質量%以下である。NOACK蒸発量が前記 下限値の場合、低温粘度特性の改善が困難と なる傾向にある。また、NOACK蒸発量がそれぞ 前記上限値を超えると、潤滑油基油を内燃 関用潤滑油等に用いた場合に、潤滑油の蒸 損失量が多くなり、それに伴い触媒被毒が 進されるため好ましくない。なお、本発明 いうNOACK蒸発量とは、ASTM D 5800-95に準拠し 測定された蒸発損失量を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油の蒸留性 は、ガスクロマトグラフィー蒸留で、初留 (IBP)が290~440℃、終点(FBP)が430~580℃であるこ が好ましく、かかる蒸留範囲にある留分か 選ばれる1種又は2種以上の留分を精留する とにより、上述した好ましい粘度範囲を有 る潤滑油基油(I)~(III)及び(IV)~(VI)を得ること できる。

 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)の蒸留 性状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは2 60~340℃、より好ましくは270~330℃、更に好ま くは280~320℃である。また、10%留出温度(T10) 、好ましくは310~390℃、より好ましくは320~380 ℃、更に好ましくは330~370℃である。また、50 %留出点(T50)は、好ましくは340~440℃、より好 しくは360~430℃、更に好ましくは370~420℃であ る。また、90%留出点(T90)は、好ましくは405~465 ℃、より好ましくは415~455℃、更に好ましく 425~445℃である。また、終点(FBP)は、好まし は430~490℃、より好ましくは440~480℃、更に好 ましくは450~490℃である。また、T90-T10は、好 しくは60~140℃、より好ましくは70~130℃、更 好ましくは80~120℃である。また、FBP-IBPは、 好ましくは140~200℃、より好ましくは150~190℃ 更に好ましくは160~180℃である。また、T10-IB Pは、好ましくは40~100℃、より好ましくは50~90 ℃、更に好ましくは60~80℃である。また、FBP- T90は、好ましくは5~60℃、より好ましくは10~55 ℃、更に好ましくは15~50℃である。

 また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の蒸留性 状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは310~ 400℃、より好ましくは320~390℃、更に好まし は330~380℃である。また、10%留出温度(T10)は 好ましくは350~430℃、より好ましくは360~420℃ 、更に好ましくは370~410℃である。また、50% 出点(T50)は、好ましくは390~470℃、より好ま くは400~460℃、更に好ましくは410~450℃である 。また、90%留出点(T90)は、好ましくは420~490℃ 、より好ましくは430~480℃、更に好ましくは44 0~470℃である。また、終点(FBP)は、好ましく 450~530℃、より好ましくは460~520℃、更に好ま しくは470~510℃である。また、T90-T10は、好ま くは40~100℃、より好ましくは45~90℃、更に ましくは50~80℃である。また、FBP-IBPは、好 しくは110~170℃、より好ましくは120~160℃、更 に好ましくは130~150℃である。また、T10-IBPは 好ましくは5~60℃、より好ましくは10~55℃、 に好ましくは15~50℃である。また、FBP-T90は 好ましくは5~60℃、より好ましくは10~55℃、 に好ましくは15~50℃である。

 また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の蒸留 状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは44 0~480℃、より好ましくは430~470℃、更に好まし くは420~460℃である。また、10%留出温度(T10)は 、好ましくは450~510℃、より好ましくは460~500 、更に好ましくは460~480℃である。また、50% 留出点(T50)は、好ましくは470~540℃、より好ま しくは480~530℃、更に好ましくは490~520℃であ 。また、90%留出点(T90)は、好ましくは470~560 、より好ましくは480~550℃、更に好ましくは 490~540℃である。また、終点(FBP)は、好ましく は505~565℃、より好ましくは515~555℃、更に好 しくは525~565℃である。また、T90-T10は、好 しくは35~80℃、より好ましくは45~70℃、更に ましくは55~80℃である。また、FBP-IBPは、好 しくは50~130℃、より好ましくは60~120℃、更 好ましくは70~110℃である。また、T10-IBPは、 好ましくは5~65℃、より好ましくは10~55℃、更 に好ましくは10~45℃である。また、FBP-T90は、 好ましくは5~60℃、より好ましくは5~50℃、更 好ましくは5~40℃である。

 潤滑油基油(I)~(VI)のそれぞれにおいて、IB P、T10、T50、T90、FBP、T90-T10、FBP-IBP、T10-IBP、FB P-T90を上記の好ましい範囲に設定することで 低温粘度の更なる改善と、蒸発損失の更な 低減とが可能となる。なお、T90-T10、FBP-IBP T10-IBP及びFBP-T90のそれぞれについては、それ らの蒸留範囲を狭くしすぎると、潤滑油基油 の収率が悪化し、経済性の点で好ましくない 。

 なお、本発明でいう、IBP、T10、T50、T90及 FBPとは、それぞれASTM D 2887-97に準拠して測 定される留出点を意味する。

 また、本発明に係る潤滑油基油における 存金属分は、製造プロセス上余儀なく混入 る触媒や原料に含まれる金属分に由来する のであるが、かかる残存金属分は十分除去 れることが好ましい。例えば、Al、Mo、Niの 有量は、それぞれ1質量ppm以下であることが 好ましい。これらの金属分の含有量が上記上 限値を超えると、潤滑油基油に配合される添 加剤の機能が阻害される傾向にある。

 なお、本発明でいう残存金属分とは、JPI- 5S-38-2003に準拠して測定される金属分を意味 る。

 また、本発明に係る潤滑油基油は、その 粘度に応じて以下に示すRBOT寿命を示すこと が好ましい。例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)のRBOT寿命は、好ましくは290min以上、より ましくは300min以上、更に好ましくは310min以 である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の RBOT寿命は、好ましくは375min以上、より好ま くは400min以上、更に好ましくは425min以上で る。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)のRBOT 命は、好ましくは400min以上、より好ましく 425min以上、更に好ましくは440min以上である RBOT寿命がそれぞれ前記下限値未満の場合、 潤滑油基油の粘度-温度特性及び熱・酸化安 性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基 に添加剤が配合された場合には当該添加剤 効き目が低下する傾向にある。

 なお、本発明でいうRBOT寿命とは、潤滑油 基油にフェノール系酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブ ル-p-クレゾール;DBPC)を0.2質量%添加した組成 物について、JIS K 2514-1996に準拠して測定さ たRBOT値を意味する。

 上記構成を有する本発明に係る潤滑油基 は、粘度-温度特性及び低温粘度特性に優れ ると共に、粘性抵抗や撹拌抵抗が低く、更に は熱・酸化安定性及び摩擦特性が改善された ものであり、摩擦低減効果の向上、ひいては 省エネルギー性の向上を達成することができ るものである。また、本発明に係る潤滑油基 油に添加剤が配合された場合には当該添加剤 の機能(流動点降下剤による低温粘度特性向 効果、酸化防止剤による熱・酸化安定性向 効果、摩擦調整剤による摩擦低減効果、摩 防止剤による耐摩耗性向上効果など)をより 水準で発現させることができる。そのため 本発明は、乗用車用ガソリンエンジン、二 車用ガソリンエンジン、ディーゼルエンジ 、ガスエンジン、ガスヒートポンプ用エン ン、船舶用エンジン、発電エンジンなどの 燃機関に用いられる内燃機関用潤滑油であ が、本発明に係る潤滑油基油は、このほか 自動変速機、手動変速機、無断変速機、終 速機などの駆動伝達装置に用いられる潤滑 (駆動伝達装置用油)、緩衝器、建設機械等 油圧装置に用いられる油圧作動油、圧縮機 、タービン油、工業用ギヤ油、冷凍機油、 び止め油、熱媒体油、ガスホルダーシール 、軸受油、抄紙機用油、工作機械油、すべ 案内面油、電気絶縁油、切削油、プレス油 圧延油、熱処理油などにも好適に用いるこ ができ、これらの用途に本発明に係る潤滑 基油を用いることによって、各潤滑油の粘 -温度特性、熱・酸化安定性、省エネルギー 、省燃費性などの特性の向上、並びに各潤 油の長寿命化及び環境負荷物質の低減を高 準で達成することができるようになる。

 本発明の潤滑油組成物においては、本発 に係る潤滑油基油を単独で用いてもよく、 た、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の1 種又は2種以上と併用してもよい。なお、本 明に係る潤滑油基油と他の基油とを併用す 場合、それらの混合基油中に占める本発明 係る潤滑油基油の割合は、30質量%以上であ ことが好ましく、50質量%以上であることが り好ましく、70質量%以上であることが更に ましい。

 本発明に係る潤滑油基油と併用される他の 油としては、特に制限されないが、鉱油系 油としては、例えば100℃における動粘度が1 ~100mm 2 /sの溶剤精製鉱油、水素化分解鉱油、水素化 製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる

 また、合成系基油としては、ポリα-オレ ィン又はその水素化物、イソブテンオリゴ ー又はその水素化物、イソパラフィン、ア キルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエ テル(ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチ ルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペ ート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチル ヘキシルセバケート等)、ポリオールエステ (トリメチロールプロパンカプリレート、ト メチロールプロパンペラルゴネート、ペン エリスリトール2-エチルヘキサノエート、 ンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポ オキシアルキレングリコール、ジアルキル フェニルエーテル、ポリフェニルエーテル が挙げられ、中でも、ポリα-オレフィンが ましい。ポリα-オレフィンとしては、典型 には、炭素数2~32、好ましくは6~16のα-オレ ィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1-オク ンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレ -プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水 素化物が挙げられる。

 ポリα-オレフィンの製法は特に制限され いが、例えば、三塩化アルミニウム又は三 ッ化ホウ素と、水、アルコール(エタノール 、プロパノール、ブタノール等)、カルボン またはエステルとの錯体を含むフリーデル クラフツ触媒のような重合触媒の存在下、α -オレフィンを重合する方法が挙げられる。

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物 、(A)成分として、硫黄を構成元素として含 ない無灰酸化防止剤を含有する。かかる(A) 分としては、硫黄を構成元素として含まな フェノール系又はアミン系の無灰酸化防止 が好適である。

 硫黄を構成元素として含まないフェノー 系無灰酸化防止剤としては、具体的には、 えば、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチル ェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェ ノール)、4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフ ノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert- チルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メ ル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデ ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4 -イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフ ノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノ ルフェノール)、2,2’-イソブチリデンビス(4, 6-ジメチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4 -メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,6-ジ -tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert- チル-4-エチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert -ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-α-ジメチルア ノ-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’- メチルアミノメチルフェノール)、オクチル- 3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ ピオネート、トリデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチ -4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペ タエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブ ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキ シフェニル)プロピオネート、オクチル-3-(3,5- ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ ネート、オクチル-3-(3-メチル-5-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及び れらの混合物等が挙げられる。これらの中 も、ヒドロキシフェニル基置換脂肪酸と炭 数4~12のアルコールとのエステルであるヒド キシフェニル基置換エステル系酸化防止剤( オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフ ニル)プロピオネート、オクチル-3-(3-メチル -5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ ネート等)及びビスフェノール系酸化防止剤 好ましく、ヒドロキシフェニル基置換エス ル系酸化防止剤がより好ましい。また、分 量が240以上のフェノール系化合物は、分解 度が高く、より高温条件においてもその効 が発揮されるため、好ましい。

 また、硫黄を構成元素として含まないア ン系無灰酸化防止剤としては、具体的には フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェ ニル-α-ナフチルアミン、アルキルジフェニ アミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,N -ジフェニル-p-フェニレンジアミン及びこれ の混合物が挙げられる。これらのアミン系 灰酸化防止剤が有するアルキル基としては 炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基が好 ましく、炭素数4~12の直鎖又は分枝のアルキ 基がより好ましい。

 本発明における(A)成分の含有量は特に制 されないが、組成物全量基準で、好ましく 0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上 更に好ましくは0.5質量%以上、特に好ましく は1.0質量%以上であり、また、好ましくは5質 %以下、より好ましくは3質量%以下、特に好 しくは2質量%以下である。その含有量が0.01 量%未満の場合、潤滑油組成物の熱・酸化安 定性が不十分となり、特に、長期間に渡って 優れた清浄性を維持させることができなくな る傾向にある。一方、(A)成分の含有量が5質 %を超える場合、潤滑油組成物の貯蔵安定性 低下する傾向にある。

 本発明においては、(A)成分として、組成 全量基準で、フェノール系無灰酸化防止剤0 .4~2質量%とアミン系無灰酸化防止剤0.4~2質量% を併用するか、あるいは、アミン系酸化防 剤0.5~2質量%、より好ましくは0.6~1.5質量%を 独で用いることが特に好ましく、これによ 長期に渡り優れた清浄性を維持させること できる。

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物 、(B)成分として、(B-1)硫黄を構成元素とし 含む無灰酸化防止剤及び(B-2)有機モリブデン 化合物から選ばれる少なくとも1種を含有す 。

 (B-1)硫黄を構成元素として含有する無灰 化防止剤としては、硫化油脂、ジヒドロカ ビルポリスルフィド、ジチオカーバメート 、チアジアゾール類、及び硫黄を構成元素 して含有するフェノール系無灰酸化防止剤 どが好適である。

 硫化油脂としては、例えば、硫化ラード 硫化なたね油、硫化ひまし油、硫化大豆油 硫化米ぬか油などの油;硫化オレイン酸など の二硫化脂肪酸;及び硫化オレイン酸メチル どの硫化エステルを挙げることができる。

 硫化オレフィンとしては、例えば炭素数2 ~15のオレフィン又はその2~4量体を硫黄、塩化 硫黄等の硫化剤と反応させることによって得 ることができる。オレフィンとしては、例え ば、プロピレン、イソブテン、ジイソブテン などが好ましく用いられる。

 ジヒドロカルビルポリスルフィドの例の ましいものとしては、具体的には、ジベン ルポリスルフィド、ジ-tert-ノニルポリスル ィド、ジドデシルポリスルフィド、ジ-tert- チルポリスルフィド、ジオクチルポリスル ィド、ジフェニルポリスルフィド、及びジ クロヘキシルポリスルフィドなどが挙げら る。

 ジチオカーバメート類としては、下記一般 (6)又は(7)で示される化合物が好ましい具体 として挙げられる。

 一般式(6)及び(7)において、R 15 、R 16 、R 17 、R 18 、R 19 及びR 20 はそれぞれ個別に、炭素数1~30、好ましくは1~ 20の炭化水素基を示し、R 21 は水素原子又は炭素数1~30の炭化水素基、好 しくは水素原子又は1~20の炭化水素基を示し eは0~4の整数を、fは0~6の整数を示す。

 上記炭素数1~30の炭化水素基としては、例 えば、アルキル基、シクロアルキル基、アル キルシクロアルキル基、アルケニル基、アリ ール基、アルキルアリール基、及びアリール アルキル基を挙げることができる。

 チアジアゾール類としては、例えば、1,3, 4-チアジアゾール化合物、1,2,4-チアジアゾー 化合物及び1,4,5-チアジアゾール化合物を挙 ることができる。

 また、硫黄を構成元素として含むフェノ ル系無灰酸化防止剤としては、4,4’-チオビ ス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’- オビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2, 2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノー )、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチル ンジル)スルフィド、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4 -ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’-チオ -ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロ キシフェニル)プロピオネート]などが挙げら る。

 上記(B-1)成分の中でも、より優れた熱・ 化安定性が得られる点から、ジヒドロカル ルポリスルフィド、ジチオカーバメート類 びチアジアゾール類が好ましく用いられる

 本発明における(B)成分として(B-1)硫黄を 成元素として含む無灰酸化防止剤を用いる 合、その含有量は特に制限されないが、組 物全量を基準として、硫黄元素換算で、好 しくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質 量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり 、また、好ましくは0.2質量%以下、より好ま くは0.1質量%以下、特に好ましくは0.04質量% 下である。その含有量が前記下限値未満の 合、潤滑油組成物の熱・酸化安定性が不十 となり、特に、長期間に渡って優れた清浄 を維持させることができなくなる傾向にあ 。一方、前記上限値を超える場合、潤滑油 成物の高硫黄化による排ガス浄化装置への 影響が大きくなる傾向にある。

 また、(B)成分としての(B-2)有機モリブデ 化合物には、(B-2-1)硫黄を構成元素として含 有機モリブデン化合物、及び(B-2-2)硫黄を構 成元素として含まない有機モリブデン化合物 の双方が包含される。

 (B-2-1)硫黄を構成元素として含む有機モリ ブデン化合物としては、例えば、モリブデン ジチオホスフェート、モリブデンジチオカー バメート等の有機モリブデン錯体が挙げられ る。

 好ましいモリブデンジチオホスフェート しては、具体的には、硫化モリブデンジエ ルジチオホスフェート、硫化モリブデンジ ロピルジチオホスフェート、硫化モリブデ ジブチルジチオホスフェート、硫化モリブ ンジペンチルジチオホスフェート、硫化モ ブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫 モリブデンジオクチルジチオホスフェート 硫化モリブデンジデシルジチオホスフェー 、硫化モリブデンジドデシルジチオホスフ ート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル) チオホスフェート、硫化モリブデンジ(ノニ フェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシ モリブデンジエチルジチオホスフェート、硫 化オキシモリブデンジプロピルジチオホスフ ェート、硫化オキシモリブデンジブチルジチ オホスフェート、硫化オキシモリブデンジペ ンチルジチオホスフェート、硫化オキシモリ ブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化 オキシモリブデンジオクチルジチオホスフェ ート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオ ホスフェート、硫化オキシモリブデンジドデ シルジチオホスフェート、硫化オキシモリブ デンジ(ブチルフェニル)ジチオホスフェート 硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル) チオホスフェート(アルキル基は直鎖状でも 枝状でも良く、また、アルキルフェニル基 アルキル基の結合位置は任意である)、及び これらの混合物等が例示できる。なお、これ らモリブデンジチオホスフェートとしては、 1分子中に異なる炭素数及び/または構造の炭 水素基を有する化合物も、好ましく用いる とができる。

 モリブデンジチオカーバメートとしては、 体的には例えば、下記一般式(12)で表される 化合物を用いることができる。

 上記一般式(12)中、R 32 、R 33 、R 34 及びR 35 は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、 炭素数2~24、好ましくは炭素数4~13のアルキル 、又は炭素数6~24、好ましくは炭素数10~15の( アルキル)アリール基等の炭化水素基を示す またY 5 、Y 6 、Y 7 及びY 8 は、それぞれ硫黄原子または酸素原子を示す 。

 アルキル基として好ましい例としては、 チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル 、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、 ニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ 基、トリデシル基、テトラデシル基、ペン デシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル 、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1 級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキ 基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよ 。

また、上記構造以外のモリブデンジチオカ ーバメートとしては、WO98/26030あるいは、WO99/ 31113に開示されるようなチオ又はポリチオ-三 核モリブデンにジチオカーバメート基が配位 した構造を有するもの等が挙げられる。

 好ましいモリブデンジチオカーバメート しては、具体的には、硫化モリブデンジエ ルジチオカーバメート、硫化モリブデンジ ロピルジチオカーバメート、硫化モリブデ ジブチルジチオカーバメート、硫化モリブ ンジペンチルジチオカーバメート、硫化モ ブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫 モリブデンジオクチルジチオカーバメート 硫化モリブデンジデシルジチオカーバメー 、硫化モリブデンジドデシルジチオカーバ ート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル) チオカーバメート、硫化モリブデンジ(ノニ フェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシ モリブデンジエチルジチオカーバメート、硫 化オキシモリブデンジプロピルジチオカーバ メート、硫化オキシモリブデンジブチルジチ オカーバメート、硫化オキシモリブデンジペ ンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリ ブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化 オキシモリブデンジオクチルジチオカーバメ ート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオ カーバメート、硫化オキシモリブデンジドデ シルジチオカーバメート、硫化オキシモリブ デンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート 硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル) チオカーバメート(アルキル基は直鎖状でも 枝状でも良く、また、アルキルフェニル基 アルキル基の結合位置は任意である)、及び これらの混合物等が例示できる。なお、これ らモリブデンジチオカーバメートとしては、 1分子中に異なる炭素数及び/または構造の炭 水素基を有する化合物も、好ましく用いる とができる。

 また、これら以外の硫黄を含有する有機 リブデン錯体としては、モリブデン化合物( 例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデ ン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸 、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン 等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の 属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩 二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五 化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫 モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリ デン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブ ン等のハロゲン化モリブデン等)と、硫黄含 有有機化合物(例えば、アルキル(チオ)キサン テート、チアジアゾール、メルカプトチアジ アゾール、チオカーボネート、テトラハイド ロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ( オ)ハイドロカルビルジチオホスホネート) スルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化 エステル等)あるいはその他の有機化合物と 錯体等、あるいは、上記硫化モリブデン、 化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化 物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等 挙げることができる。

 本発明における(B)成分として(B-2-1)硫黄を 構成元素として含む有機モリブデン化合物を 用いると、熱・酸化安定性の向上効果に加え て摩擦低減効果を得ることができるので好ま しく、中でもモリブデンジチオカーバメート が特に好ましい。

 また、(B-2-2)硫黄を構成元素として含まな い有機モリブデン化合物としては、具体的に は、モリブデン-アミン錯体、モリブデン-コ ク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、 ルコールのモリブデン塩などが挙げられ、 でも、モリブデン-アミン錯体、有機酸のモ リブデン塩及びアルコールのモリブデン塩が 好ましい。

 上記モリブデン-アミン錯体を構成するモリ ブデン化合物としては、三酸化モリブデン又 はその水和物(MoO 3 ・nH 2 O)、モリブデン酸(H 2 MoO 4 )、モリブデン酸アルカリ金属塩(M 2 MoO4;Mはアルカリ金属を示す)、モリブデン酸 ンモニウム((NH 4 )2MoO 4 又は(NH 4 ) 6 [Mo 7 O 24 ]・4H 2 O)、MoCl 5 、MoOCl 4 、MoO 2 Cl 2 、MoO 2 Br 2 、Mo 2 O 3 Cl 6 等の硫黄を含まないモリブデン化合物が挙げ られる。こららのモリブデン化合物の中でも 、モリブデン-アミン錯体の収率の点から、6 のモリブデン化合物が好ましい。更に、入 性の点から、6価のモリブデン化合物の中で も、三酸化モリブデン又はその水和物、モリ ブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、及 びモリブデン酸アンモニウムが好ましい。

 また、モリブデン-アミン錯体を構成する 窒素化合物としては、特に制限されないが、 アンモニア、モノアミン、ジアミン、ポリア ミンが挙げられる。より具体的には、炭素数 1~30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖 でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミ ン;オクテニルアミン、及びオレイルアミン の炭素数2~30のアルケニル基(これらのアルケ ニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有す アルケニルアミン;炭素数1~30のアルカノール 基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分 状でもよい)を有するアルカノールアミン;炭 素数1~30のアルキレン基を有するアルキレン アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレ テトラミン、テトラエチレンペンタミン、 ンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ド デシルジプロパノールアミン、オレイルジエ タノールアミン、オレイルプロピレンジアミ ン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等 の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに 炭素数8~20のアルキル基又はアルケニル基を する化合物やN-ヒドロキシエチルオレイルイ ミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合 のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの 合物等が例示できる。これらの中でも、第1 級アミン、第2級アミン及びアルカノールア ンが好ましい。

 モリブデン-アミン錯体を構成するアミン 化合物が有する炭化水素基の炭素数は、好ま しくは4以上であり、より好ましくは4~30であ 、特に好ましくは8~18である。アミン化合物 の炭化水素基の炭素数が4未満であると、溶 性が悪化する傾向にある。また、アミン化 物の炭素数を30以下とすることにより、モリ ブデン-アミン錯体におけるモリブデン顔料 相対的に高めることができ、少量の配合で 発明の効果をより高めることができる。

 また、モリブデン-コハク酸イミド錯体と しては、上記モリブデン-アミン錯体の説明 おいて例示されたような硫黄を含まないモ ブデン化合物と、炭素数4以上のアルキル基 はアルケニル基を有するコハク酸イミドと 錯体が挙げられる。コハク酸イミドとして 、炭素数40~400のアルキル基又はアルケニル を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イ ミド、あるいはその誘導体や、炭素数4~39、 ましくは炭素数8~18のアルキル基又はアルケ ル基を有するコハク酸イミド等が挙げられ 。

 また、有機酸のモリブデン塩としては、上 モリブデン-アミン錯体の説明において例示 されたモリブデン酸化物あるいはモリブデン 水酸化物、モリブデン炭酸塩又はモリブデン 塩化物等のモリブデン塩基と、有機酸との塩 が挙げられる。有機酸としては、下記一般式 (P-1)又は(P-2)で表されるリン化合物及びカル ン酸が好ましい。
[式(P-1)中、R 57 は炭素数1~30の炭化水素基を示し、R 58 及びR 59 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水 素原子又は炭素数1~30の炭化水素基を示し、n 0又は1を示す。]
[式(P-2)中、R 60 、R 61 及びR 62 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水 素原子又は炭素数1~30の炭化水素基を示し、n 0又は1を示す。]

 また、カルボン酸のモリブデン塩を構成 るカルボン酸としては、一塩基酸又は多塩 酸のいずれであってもよい。

 一塩基酸としては、炭素数が通常2~30、好 ましくは4~24の脂肪酸が用いられ、その脂肪 は直鎖のものでも分岐のものでもよく、ま 飽和のものでも不飽和のものでもよい。

 また、一塩基酸としては、上記脂肪酸の に、単環又は多環カルボン酸(水酸基を有し ていてもよい)を用いてもよく、その炭素数 、好ましくは4~30、より好ましくは7~30である 。単環又は多環カルボン酸の好ましい例とし ては、安息香酸、サリチル酸、アルキル安息 香酸、アルキルサリチル酸、シクロヘキサン カルボン酸等が挙げられる。

 また、多塩基酸としては、二塩基酸、三 基酸、四塩基酸等が挙げられる。多塩基酸 鎖状多塩基酸、環状多塩基酸のいずれであ てもよい。また、鎖状多塩基酸の場合、直 状、分岐状のいずれであってもよく、また 飽和、不飽和のいずれであってもよい。鎖 多塩基酸としては、炭素数2~16の鎖状二塩基 酸が好ましい。また、環状多塩基酸としては 、1、2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シク ヘキセン-1,2-ジカルボン酸の脂環式ジカル ン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、 リメリット酸等の芳香族トリカルボン酸、 ロメリット酸等の芳香族テトラカルボン酸 が挙げられる。

 また、上記アルコールのモリブデン塩と ては、上記モリブデン-アミン錯体の説明に おいて例示されたような硫黄を含まないモリ ブデン化合物と、アルコールとの塩が挙げら れ、アルコールは1価アルコール、多価アル ール、多価アルコールの部分エステルもし は部分エステル化合物、水酸基を有する窒 化合物(アルカノールアミン等)などのいずれ であってもよい。なお、モリブデン酸は強酸 であり、アルコールとの反応によりエステル を形成するが、当該モリブデン酸とアルコー ルとのエステルも本発明でいうアルコールの モリブデン塩に包含される。

 一価アルコールとしては、通常炭素数1~24 、好ましくは1~12、より好ましくは1~8のもの 用いられ、このようなアルコールとしては 鎖のものでも分岐のものでもよく、また飽 のものであっても不飽和のものであっても い。

 また、多価アルコールとしては、通常2~10 価、好ましくは2~6価のものが用いられる。

 また、多価アルコールの部分エステルと ては、多価アルコールが有する水酸基の一 がヒドロカルビルエステル化された化合物 が挙げられ、中でもグリセリンモノオレー 、グリセリンジオレート、ソルビタンモノ レート、ソルビタンジオレート、ペンタエ スリトールモノオレート、ポリエチレング コールモノオレート、ポリグリセリンモノ レートが好ましい。

 また、多価アルコールの部分エーテルと ては、多価アルコールが有する水酸基の一 がヒドロカルビルエーテル化された化合物 多価アルコール同士の縮合によりエーテル 合が形成された化合物(ソルビタン縮合物等 )などが挙げられ、中でも3-オクタデシルオキ シ-1,2-プロパンジオール、3-オクタデセニル キシ-1,2-プロパンジオール、ポリエチレング リコールアルキルエーテル等が好ましい。

 また、水酸基を有する窒素化合物として 、上記モリブデン-アミン錯体の説明におい て例示されたアルカノールアミン、並びに当 該アルカノールのアミノ基がアミド化された アルカノールアミド(ジエタノールアミド等) どが挙げられ、中でもステラリルジエタノ ルアミン、ポリエチレングリコールステア ルアミン、ポリエチレングリコールジオレ ルアミン、ヒドロキシエチルラウリルアミ 、オレイン酸ジエタノールアミド等が好ま い。

 本発明における(B)成分として(B-2-2)硫黄を 構成元素として含まない有機モリブデン化合 物を用いると、潤滑油組成物の高温清浄性や 塩基価保持性を高めることができ、また、初 期の摩擦低減効果を長時間維持できる点で好 ましく、中でもモリブデン-アミン錯体が特 好ましい。

 また、本発明においては、(B-2-1)硫黄を構 成元素として含む有機モリブデン化合物と(B- 2-2)硫黄を構成元素として含まない有機モリ デン化合物とを併用してもよい。

 本発明における(B)成分として(B)有機モリ デン化合物を用いる場合、その含有量は特 制限されないが、組成物全量を基準として モリブデン元素換算で、好ましくは0.001質 %以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に ましくは0.01質量%以上であり、また、好ま くは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以 下、特に好ましくは0.04質量%以下である。そ 含有量が0.001質量%未満の場合、潤滑油組成 の熱・酸化安定性が不十分となり、特に、 期間に渡って優れた清浄性を維持させるこ ができなくなる傾向にある。一方、(B-1)成 の含有量が0.2質量%を超える場合、含有量に 合う効果が得られず、また、潤滑油組成物 貯蔵安定性が低下する傾向にある。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、上 の潤滑油基油及び(A)、(B)成分のみからなる のであってもよいが、その性能を更に向上 せるために、必要に応じて以下に示す各種 加剤を更に含有してもよい。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、耐 耗性の更なる向上の点から、摩耗防止剤を に含有することが好ましい。かかる極圧剤 しては、リン系極圧剤、リン-硫黄系極圧剤 などが好ましく用いられる。

 リン系極圧剤としては、リン酸、亜リン 、リン酸エステル類(リン酸モノエステル類 、リン酸ジエステル類及びリン酸トリエステ ル類を含む)、亜リン酸エステル類(亜リン酸 ノエステル類、亜リン酸ジエステル類及び リン酸トリエステル類を含む)、及びこれら の塩(アミン塩又は金属塩)が挙げられる。リ 酸エステル類及び亜リン酸エステル類とし は、通常炭素数2~30、好ましくは炭素数3~20 炭化水素基を有するものが用いられる。

 また、リン-硫黄系極圧剤としては、チオ リン酸、チオ亜リン酸、チオリン酸エステル 類(チオリン酸モノエステル類、チオリン酸 エステル類、チオリン酸トリエステル類を む)、チオ亜リン酸エステル類(チオ亜リン酸 モノエステル類、チオ亜リン酸ジエステル類 、チオ亜リン酸トリエステル類を含む)、及 これらの塩、並びにジチオリン酸亜鉛等が げられる。チオリン酸エステル類及びチオ リン酸エステル類としては、通常炭素数2~30 好ましくは炭素数3~20の炭化水素基を有する ものが用いられる。

 上記の極圧剤の含有量は特に制限されな が、組成物全量基準で、好ましくは0.01~5質 %、より好ましくは0.1~3質量%である。

 本発明では、上記の極圧剤の中でもジチオ ン酸亜鉛が特に好ましい。ジチオリン酸亜 としては、例えば下記一般式(13)で表される 化合物を例示できる。

 上記一般式(13)中のR 36 、R 37 、R 38 及びR 39 は、それぞれ別個に炭素数1~24の炭化水素基 示す。これら炭化水素基としては、炭素数1~ 24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3 ~24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素 数5~13のシクロアルキル基又は直鎖状若しく 分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素 6~18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状 アルキルアリール基、及び炭素数7~19のアリ ールアルキル基等のいずれかであることが望 ましい。また、アルキル基やアルケニル基は 、第1級、第2級及び第3級のいずれであっても よい。

 上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例と ては、例えば、ジイソプロピルジチオリン 亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ- sec-ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ-sec-ペンチル ジチオリン酸亜鉛、ジ-n-ヘキシルジチオリン 酸亜鉛、ジ-sec-ヘキシルジチオリン酸亜鉛、 -オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ-2-エチルヘ キシルジチオリン酸亜鉛、ジ-n-デシルジチオ リン酸亜鉛、ジ-n-ドデシルジチオリン酸亜鉛 、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及び これらの任意の組合せに係る混合物等が挙げ られる。

 上記ジチオリン酸亜鉛の製造方法は特に限 されず、任意の従来方法を採用して製造す ことができる。具体的には、例えば、上記 (13)中のR 36 、R 37 、R 38 及びR 39 に対応する炭化水素基を有するアルコール又 はフェノールを五硫化ニリンと反応させてジ チオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させ ることにより合成できる。なお、使用する原 料アルコール等によって、上記ジチオリン酸 亜鉛の構造は異なる。

 また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は 特に制限されないが、排ガス浄化装置の触 被毒を抑制する点から、組成物全量を基準 して、リン元素換算量で、好ましくは0.2質 %以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に ましくは0.08質量%以下、特に好ましくは0.06 量%以下である。であることが好ましく、ま 0.06%以下であることがより好ましい。また ジチオリン酸亜鉛の含有量は、耐摩耗性添 剤の作用効果を及ぼすリン酸金属塩の形成 点から、組成物全量を基準として、リン元 換算量で、好ましくは0.01質量%以上、より好 ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.04質 量%以上である。ジチオリン酸亜鉛の含有量 前記下限値未満であると、その添加による 摩耗性向上効果が不十分となる傾向にある

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物 、清浄性及びスラッジ分散性の点から、無 分散剤を更に含有することが好ましい。か る無灰分散剤としては、ポリオレフィンか 誘導されるアルケニルコハク酸イミド、ア キルコハク酸イミド及びそれらの誘導体が げられる。代表的なコハク酸イミドは、高 子量のアルケニル基もしくはアルキル基で 換されたコハク酸無水物と、1分子当り平均 4~10個(好ましくは5~7個)の窒素原子を含むポリ アルキレンポリアミンとの反応により得るこ とができる。高分子量のアルケニル基もしく はアルキル基は、数平均分子量が700~5000のポ ブテン(ポリイソブテン)であることが好ま く、数平均分子量が900~3000のポリブテン(ポ イソブテン)であることがより好ましい。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物において ましく用いられるポリブテニルコハク酸イ ドとしては、例えば、下記一般式(14)又は(15 )で表される化合物が挙げられる。

 一般式(14)又は(15)におけるPIBはポリブテ ル基を示し、高純度イソブテンあるいは1-ブ テンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系 触媒あるいは塩化アルミニウム系触媒で重合 させて得られるポリブテンから得られるもの であり、ポリブテン混合物中において末端に ビニリデン構造を有するものが通常5~100mol%含 有される。また、スラッジ抑制効果に優れる 点からnは2~5の整数、好ましくは3~4の整数で ることが望ましい。

 一般式(14)又は(15)で表されるコハク酸イ ドの製造法としては特に制限はないが、例 ば、上記ポリブテンを塩素化したもの、好 しくは上記高純度イソブテンをフッ化ホウ 系触媒で重合させた高反応性ポリブテン(ポ イソブテン)、より好ましくは塩素やフッ素 が充分除去されたポリブテンを無水マレイン 酸と100~200℃で反応させて得られるポリブテ ルコハク酸を、ジエチレントリアミン、ト エチレンテトラミン、テトラエチレンペン ミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリ ミンと反応させることにより得ることがで る。なお、ビスコハク酸イミドを製造する 合は、該ポリブテニルコハク酸をポリアミ の2倍量(モル比)反応させれば良く、モノコ ク酸イミドを製造する場合は、該ポリブテ ルコハク酸とポリアミンを等量(モル比)で反 応させれば良い。これらの中では、スラッジ 分散性に優れる点から、ポリブテニルビスコ ハク酸イミドであることが好ましい。

 なお、上記製造法において用いられるポ ブテンには、製造過程の触媒に起因する微 のフッ素分や塩素分が残留し得るので、吸 法や十分な水洗等の適切な方法によりフッ 分や塩素分が十分除去されたポリブテンを いることが好ましい。フッ素や塩素の含有 としては、好ましくは50質量ppm以下、より ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは5質 ppm以下、特に好ましくは1質量ppm以下である

 また、ポリブテンと無水マレインとの反 によりポリブテニルコハク酸無水物を得る 程では、従来、塩素を用いる塩素化法が適 されることが多い。しかし、この方法では コハク酸イミド最終製品中に多量の塩素(例 えば約2000~3000ppm)が残留する結果となる。一 、塩素を用いない方法、例えば上記高反応 ポリブテンを用いた場合及び/又は熱反応法 は、最終製品中に残る塩素を極めて低いレ ル(例えば0~30ppm)に抑えることができる。従 て、潤滑油組成物中の塩素含有量を0~30重量 ppmの範囲の量に抑えるためには、上記塩素化 法を用いず、上記高反応性ポリブテンを用い る方法及び/又は熱反応法によって得られた リブテニルコハク酸無水物を用いることが ましい。

 また、ポリブテニルコハク酸イミドの誘 体としては、上記一般式(14)又は(15)で表さ る化合物に、ホウ酸等のホウ素化合物や、 ルコール、アルデヒド、ケトン、アルキル ェノール、環状カーボネート、有機酸等の 酸素有機化合物を作用させて、残存するア ノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中 又はアミド化した、いわゆる変性コハク酸 ミドとして用いることができる。特に、ホ 酸等のホウ素化合物との反応で得られるホ 素含有アルケニル(もしくはアルキル)コハ 酸イミドは、熱・酸化安定性の面で有利で る。

 一般式(14)又は(15)で表される化合物に作 させるホウ素化合物としては、ホウ酸、ホ 酸塩、ホウ酸エステル類等が挙げられる。 ウ酸としては、具体的には例えばオルトホ 酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸等が挙げ れる。上記ホウ素化合物を作用させたコハ 酸イミド誘導体は、耐熱性、酸化安定性に れることから好ましく用いられる。

 また、一般式(14)又は(15)で表される化合 に作用させる含酸素有機化合物としては、 体的には、例えば、ギ酸、酢酸、グリコー 酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、 プロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラ ゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウ ン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペン デカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、 テアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、 イコサン酸等の炭素数1~30のモノカルボン酸 、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、 ロメリット酸等の炭素数2~30のポリカルボン 酸若しくはこれらの無水物、又はエステル化 合物、炭素数2~6のアルキレンオキサイド、ヒ ドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネー 等が挙げられる。これらの中ではアミノ基 はイミノ基の全てにこれら含酸素有機化合 を作用させたものを主成分とするポリブテ ルビスコハク酸イミドがスラッジ分散性に れるため好ましく用いられる。そのような 合物は、例えば式(14)又は式(15)の化合物1モ に対し(n-1)モルの含酸素有機化合物を作用 せることで得られる。このような含酸素有 化合物を作用させたコハク酸イミド誘導体 、スラッジ分散性に優れ、特にヒドロキシ( リ)オキシアルキレンカーボネートを作用さ せたものが好ましい。

 本発明で用いられる無灰分散剤としての リブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘 導体の重量平均分子量は、好ましくは5000以 、より好ましくは6500以上、更に好ましくは7 000以上、特に好ましくは8000以上である。重 平均分子量が5000未満では、非極性基のポリ テニル基の分子量が小さくスラッジの分散 に劣り、また、酸化劣化の活性点となる恐 のある極性基のアミン部分が相対的に多く って酸化安定性に劣るため、本願発明のよ な長寿命化効果は得られないと考えられる 一方、低温粘度特性の悪化を防止する観点 ら、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又は その誘導体の重量平均分子量は、20000以下で ることが好ましく、15000以下であることが に好ましい。なお、ここでいう重量平均分 量とは、ウォーターズ製の150-CALC/GPC装置に ソー製のGMHHR-M(7.8mmID×30cm)のカラムを2本直列 に使用し、溶媒としてはテトラヒドロフラン 、温度23℃、流速1mL/分、試料濃度1質量%、試 注入量75μL、検出器示差屈折率計(RI)で測定 たポリスチレン換算の重量平均分子量を意 する。

 なお、本発明では、無灰分散剤として、 記のコハク酸イミド及び/又はその誘導体の 他、アルキル又はアルケニルポリアミン、ア ルキル又はアルケニルベンジルアミン、亜r る又はアルケニルコハク酸エステル、マン ッヒ塩基及びこれらの誘導体等を使用する とができる。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物におけ 無灰分散剤の含有量は、組成物全量を基準 して、窒素元素換算で、好ましくは0.005質 %以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に ましくは0.05質量%以上であり、また、好まし くは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以 、更に好ましくは0.015質量%以下である。無 分散剤の含有量が上記下限値に満たない場 は、十分な清浄性効果が発揮できず、一方 その含有量が上記上限値を超える場合は、 温粘度特性の悪化及び抗乳化性が悪化する めそれぞれ好ましくない。なお、重量平均 子量が6500以上のコハク酸イミド系無灰分散 剤を使用する場合、十分なスラッジ分散性を 発揮し、低温粘度特性に優れる点で、その含 有量は、組成物全量を基準として、窒素元素 換算で、0.005~0.05質量%とすることが好ましく 0.01~0.04質量%とすることがより好ましい。

 また、高分子量の無灰分散剤を用いる場 、その含有量は、組成物全量を基準として 窒素元素換算で、好ましくは0.005質量%以上 より好ましくは0.01質量%以上であり、また 好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05 質量%以下である。高分子量の無灰分散剤の 有量が上記下限値に満たない場合は、十分 清浄性効果が発揮できず、一方、その含有 が上記上限値を超える場合は、低温粘度特 の悪化及び抗乳化性が悪化するためそれぞ 好ましくない。

 また、ホウ素化合物で変性された無灰分 剤を用いる場合、その含有量は、組成物全 を基準として、ホウ素元素換算で、好まし は0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量% 上、更に好ましくは0.02質量%以上であり、ま た、好ましくは0.2質量%以下、より好ましく 0.1質量%以下である。ホウ素化合物で変性さ た無灰分散剤の含有量が上記下限値に満た い場合は、十分な清浄性効果が発揮できず 一方、その含有量が上記上限値を超える場 は、低温粘度特性の悪化及び抗乳化性が悪 するためそれぞれ好ましくない。

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物 、その摩擦特性を更に改善できる点から、 灰摩擦調整剤を含有することが好ましい。 灰摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調 剤として通常用いられる任意の化合物が使 可能であり、例えば、炭素数6~30のアルキル 基又はアルケニル基、特に炭素数6~30の直鎖 ルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸 ステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族ア コール、脂肪族エーテル、ヒドラジド(オレ イルヒドラジド等)、セミカルバジド、ウレ 、ウレイド、ビウレット等の無灰摩擦調整 等が挙げられる。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物におけ 摩擦調整剤の含有量は、組成物全量を基準 して、好ましくは0.01質量%以上、より好ま くは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以 上であり、また、好ましくは3質量%以下、よ 好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質 %以下である。摩擦調整剤の含有量が前記下 限値未満であると、その添加による摩擦低減 効果が不十分となる傾向にあり、また、前記 上限値を超えると、耐摩耗性添加剤などの効 果が阻害されやすく、あるいは添加剤の溶解 性が悪化する傾向にある。

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物 、清浄性の点から、金属系清浄剤を更に含 することが好ましい。かかる金属系清浄剤 しては、アルカリ土類金属スルホネート、 ルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土 金属サリシレートから選ばれる少なくとも1 種のアルカリ土類金属系清浄剤を用いること が好ましい。

 アルカリ土類金属スルホネートとしては 分子量300~1,500、好ましくは400~700のアルキル 芳香族化合物をスルホン化することによって 得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカ リ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又 カルシウム塩であり、カルシウム塩が好ま く用いられる。上記アルキル芳香族スルホ 酸としては、具体的にはいわゆる石油スル ン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。こ でいう石油スルホン酸としては、一般に鉱 の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をス ホン化したものやホワイトオイル製造時に 生する、いわゆるマホガニー酸等が用いら る。また合成スルホン酸としては、例えば 剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラ トから副生したり、ポリオレフィンをベン ンにアルキル化することにより得られる、 鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキ ベンゼンをスルホン化したもの、あるいは ノニルナフタレン等のアルキルナフタレン スルホン化したもの等が用いられる。また れらアルキル芳香族化合物をスルホン化す 際のスルホン化剤としては特に制限はない 、通常、発煙硫酸や無水硫酸が用いられる

 アルカリ土類金属フェネートとしては、 ルキルフェノール、アルキルフェノールサ ファイド、アルキルフェノールのマンニッ 反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネ ウム塩及び/又はカルシウム塩が挙げられる 。

 アルカリ土類金属サリシレートとしては アリキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩 特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩 が挙げられる。

 また、アルカリ土類金属スルホネート、 ルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土 金属サリシレートとしては、上記のアルキ 芳香族スルホン酸、アルキルフェノール、 ルキルフェノールサルファイド、アルキル ェノールのマンニッヒ反応物、アリキルサ チル酸等を直接、マグネシウム及び/又はカ ルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸 化物等のアルカリ土類金属塩基と反応させた り、又は一度ナトリウム塩やカリウム塩等の アルカリ金属塩としてからアルカリ土類金属 塩と置換させること等により得られる中性( 塩)アルカリ土類金属スルホネート、中性(正 塩)アルカリ土類金属フェネート及び中性(正 )アルカリ土類金属サリシレートだけでなく 、中性アルカリ土類金属スルホネート、中性 アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカ リ土類金属サリシレートと過剰のアルカリ土 類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の存在 下で加熱することにより得られる塩基性アル カリ土類金属スルホネート、塩基性アルカリ 土類金属フェネート及び塩基性アルカリ土類 金属サリシレートや、中性アルカリ土類金属 スルホネート、中性アルカリ土類金属フェネ ート及び中性アルカリ土類金属サリシレート の存在下で、アルカリ土類金属の水酸化物と 炭酸ガス又はホウ酸とを反応させることによ り得られる過塩基性(超塩基性)アルカリ土類 属スルホネート、過塩基性(超塩基性)アル リ土類金属フェネート及び過塩基性(超塩基 )アルカリ土類金属サリシレートも含まれる 。

 本発明においては、上記の中性アルカリ 類金属塩、塩基性アルカリ土類金属塩、過 基性(超塩基性)アルカリ土類金属塩及びこ らの混合物等を用いることができる。これ の中でも、長期間に渡る清浄性を維持する 点から、過塩基性カルシウムスルホネート 過塩基性カルシウムフェネートとを組み合 せたもの、あるいは過塩基性カルシウムサ シレートを使用することが好ましく、過塩 性カルシウムサリシレートを使用すること 特に好ましい。金属系清浄剤は、通常、軽 潤滑油基油等で希釈された状態で市販され おり、また入手可能であるが、一般的に、 の金属含有量が1.0~20質量%、好ましくは2.0~16 量%のものを用いるのが望ましい。本発明で 用いるアルカリ土類金属系清浄剤の全塩基価 は任意であるが、通常、全塩基価が500mgKOH/g 下、好ましくは150~450mgKOH/gのものを用いるの が望ましい。なおここでいう全塩基価は、JIS K2501(1992)の「石油製品及び潤滑油-中和価試験 方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法 よる全塩基価を意味している。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物におけ 金属系清浄剤の含有量は任意であるが、組 物全量基準で、0.1~10質量%、好ましくは0.5~8 量%、より好ましくは1~5質量%含有するのが ましい。この含有量が10質量%を超える場合 、その含有量に見合うだけの効果が得られ いため好ましくない。

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物 、粘度-温度特性を更に改善できる点から、 粘度指数向上剤を含有することが好ましい。 かかる粘度指数向上剤としては、非分散型又 は分散型ポリメタクリレート類、分散型エチ レン-α-オレフィン共重合体又はその水素化 、ポリイソブチレン又はその水素化物、ス レン-ジエン水素化共重合体、スチレン-無水 マレイン酸エステル共重合体及びポリアルキ ルスチレン等が挙げられ、中でも重量平均分 子量が50,000以下、好ましくは40,000以下、最も 好ましくは10,000~35,000の非分散型粘度指数向 剤及び/または分散型粘度指数向上剤が好ま く用いられる。

 上述した粘度指数向上剤の中でも、低温 動性により優れる点から、ポリメタクリレ ト系粘度指数向上剤が好ましい。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物におけ 粘度指数向上剤の配合量は、組成物全量基 で、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは 0.5~5質量%である。粘度指数向上剤の含有量が 0.1質量%未満の場合、その添加による粘度-温 特性の改善効果が不十分となる傾向にあり また、10質量%を超える場合、初期の極圧性 長期間維持しにくくなる傾向にある。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物におい は、その性能をさらに向上させる目的で、 要に応じて、上記添加剤の他にさらに、腐 防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化 、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤、着 剤等の各種添加剤を単独で又は数種類組み わせて配合しても良い。

 腐食防止剤としては、例えば、ベンゾト アゾール系、トリルトリアゾール系、チア アゾール系、及びイミダゾール系化合物等 挙げられる。

 防錆剤としては、例えば、石油スルホネ ト、アルキルベンゼンスルホネート、ジノ ルナフタレンスルホネート、アルケニルコ ク酸エステル、及び多価アルコールエステ 等が挙げられる。

 抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシ チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ ンアルキルフェニルエーテル、及びポリオ シエチレンアルキルナフチルエーテル等の リアルキレングリコール系非イオン系界面 性剤等が挙げられる。

 金属不活性化剤としては、例えば、イミ ゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチア アゾール、メルカプトベンゾチアゾール、 ンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4-チ ジアゾールポリスルフィド、1,3,4-チアジア リル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメー 、2-(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、 びβ-(o-カルボキシベンジルチオ)プロピオン ニトリル等が挙げられる。

 流動点降下剤としては、潤滑油基油の性 に応じて公知の流動点降下剤を任意に選択 ることができるが、重量平均分子量が1~30万 、好ましくは、5~20万のポリメタクリレート 好ましい。

 特に、本発明においては、潤滑油基油に る流動点降下剤の添加効果が最大限に発揮 れるため、優れた低温粘度特性(-40℃におけ るMRV粘度が好ましくは20000mPa・s以下、より好 ましくは15000mPa・s以下、更に好ましくは10000m Pa・s以下)を達成することができる。なお、 こでいう-40℃におけるMRV粘度は、JPI-5S-42-93 準拠して測定された-40℃におけるMRV粘度を 味する。例えば上記基油(II)及び(V)に流動点 下剤を配合した場合、その-40℃におけるMRV 度は、12000mPa・s以下とすることができ、よ 好ましくは10000mPa・s以下、更に好ましくは8 000mPa・s、特に好ましくは6500mPa・s以下の極め て優れた低温粘度特性を有する潤滑油組成物 を得ることができる。この場合、流動点降下 剤の配合量は、組成物全量基準で0.05~2質量% 好ましくは0.1~1.5質量%であるが、特にMRV粘度 を低下させることができる点で0.15~0.8質量%の 範囲が最も良い。

 消泡剤としては、潤滑油用の消泡剤とし 通常用いられる任意の化合物が使用可能で り、例えば、ジメチルシリコーン、フルオ シリコーン等のシリコーン類が挙げられる これらの中から任意に選ばれた1種類あるい は2種類以上の化合物を任意の量で配合する とができる。

 着色剤としては、通常用いられる任意の 合物が使用可能であり、また任意の量を配 することができるが、通常その配合量は、 成物全量基準で0.001~1.0質量%である。

 これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物 含有させる場合、その含有量は組成物全量 準で、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤では れぞれ0.005~5質量%、金属不活性化剤では0.005 ~1質量%、流動点降下剤では、0.05~1質量%、消 剤では0.0005~1質量%、着色剤では0.001~1.0質量% 範囲で通常選ばれる。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、上 の通り硫黄を構成元素として含む添加剤を 有し得るが、潤滑油組成物の全硫黄含有量( 潤滑油基油及び添加剤に起因する硫黄分の合 計量)は、添加剤の溶解性、並びに高温酸化 件における硫黄酸化物の生成に起因する塩 価の消耗を抑制する点から、好ましくは0.05~ 0.3質量%であり、より好ましくは0.1~0.2質量%、 特に好ましくは0.12~0.18質量%である。

 また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物の1 00℃における動粘度は、通常、4~24mm 2 /sであるが、焼付きや磨耗を抑制する油膜厚 を保持する点、並びに撹拌抵抗の増加を抑 する点から、好ましくは5~18mm 2 /s、より好ましくは6~15mm 2 /s、さらに好ましくは7~12mm 2 /sである。

 上記の構成を有する本発明の内燃機関用 滑油組成物は、熱・酸化安定性あるいは更 粘度-温度特性、摩擦特性及び揮発防止性に 優れるものであり、二輪車、四輪車、発電用 、舶用等のガソリンエンジン、ディーゼルエ ンジン、含酸素化合物含有燃料対応エンジン 、ガスエンジン等の内燃機関用潤滑油として 用いた場合に、ロングドレイン化及び省エネ ルギー化を十分に実現することができる。

 以下、実施例及び比較例に基づき本発明 更に具体的に説明するが、本発明は以下の 施例に何ら限定されるものではない。

[原料ワックス]
 溶剤精製基油を精製する工程において減圧 留で分離した留分を、フルフラールで溶剤 出した後で水素化処理し、次いで、メチル チルケトン-トルエン混合溶剤で溶剤脱ろう した。溶剤脱ろうの際に除去され、スラック ワックスとして得られたワックス分(以下、 WAX1」という)の性状を表1に示す。

 WAX1をさらに脱油して得られたワックス分 (以下、「WAX2」という。)の性状を表2に示す

 パラフィン含量が95質量%であり、20から80 までの炭素数分布を有するFTワックス(以下、 「WAX3」という。)を用いたWAX3の性状を表3に す。

[潤滑油基油の製造]
 WAX1、WAX2およびWAX3を原料油とし、水素化処 触媒を用いて水素化処理を行った。このと 、原料油中のノルマルパラフィンの分解率 10質量%以下となるように、反応温度および 空間速度を調整した。

 次に、上記の水素化処理により得られた 処理物について、貴金属含有量0.1~5重量%に 整されたゼオライト系水素化脱ロウ触媒を い、315℃~325℃の温度範囲で水素化脱ロウを 行った。

 更に、上記の水素化脱ロウにより得られ 被処理物(ラフィネート)について、水素化 成触媒を用いて水素化精製を行った。その 蒸留により軽質分および重質分を分離して 表4に示す組成及び性状を有する潤滑油基油 得た。また、表4中、「尿素アダクト物中の ノルマルパラフィン由来成分の割合」は、尿 素アダクト値の測定の際に得られた尿素アダ クト物についてガスクロマトグラフィー分析 を実施することによって得られたものである (以下、同様である)。

 次に、表4の潤滑油基油に、自動車用潤滑 油に一般的に用いられているポリメタアクリ レート系流動点降下剤(重量平均分子量:約6万 )を添加した。流動点降下剤の添加量は、い れも、組成物全量基準で0.3質量%、0.5質量%お よび1.0質量%の3条件とした。次に、得られた 潤滑油組成物について、-40℃におけるMRV粘 を測定し、得られた結果を表4に示す。

[実施例1~7、比較例1~8]
 実施例1~7においては、基油1-1、基油1-2また 基油1-3、並びに以下に示す基油及び添加剤 用いて、表5に示す組成を有する潤滑油組成 物を調製した。また、比較例1~8においては、 以下に示す基油及び添加剤を用いて、表6、7 示す組成を有する潤滑油組成物を調製した 得られた潤滑油組成物の性状を表5~7に示す
(基油)
基油2:パラフィン系水素化分解基油(飽和分:94 .8質量%、飽和分に占める環状飽和分の割合:46 .8質量%、硫黄分:0.001質量%未満、100℃におけ 動粘度:4.1mm 2 /s、粘度指数:121、20℃における屈折率:1.4640、 n 20 -0.002×kv100:1.456)
基油3:パラフィン系高度精製基油(飽和分:99.7 量%、硫黄分:0.01質量%、100℃における動粘度 :4.0mm 2 /s、粘度指数:125)
基油4:パラフィン系溶剤精製基油(飽和分:77質 量%、硫黄分:0.12質量%、100℃における動粘度:4 .0mm 2 /s、粘度指数:102)
(硫黄を構成元素として含まない無灰酸化防 剤)
A1:アルキルジフェニルアミン
A2:オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ ェニル)プロピオネート
(硫黄を構成元素として含む無灰酸化防止剤 び有機モリブデン化合物)
B1:無灰ジチオカーバメート(硫黄含有量:29.4質 量%)
B2:モリブデンのジトリデシルアミン錯体(モ ブデン含有量:10.0質量%)
(摩耗防止剤)
C1:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(リン含有量:7 .4質量%、アルキル基:第1級オクチル基)
C2:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(リン含有量:7 .2質量%、アルキル基:第2級ブチル基又は第2級 ヘキシル基の混合物)
(無灰分散剤)
D1:ポリブテニルコハク酸イミド(ビスタイプ 重量平均分子量:8,500、窒素含有量:0.65質量%)
(無灰摩擦調整剤)
E1:グリセリン脂肪酸エステル(商品名:MO50、花 王社製)
(その他の添加剤)
F1:金属系清浄剤、粘度指数向上剤、流動点降 下剤及び消泡剤を含むパッケージ。

[熱・酸化安定性評価試験]
 実施例1~7及び比較例1~8の潤滑油組成物につ て、JIS K 2514の4.項の方法(ISOT)に準拠して ・酸化安定性試験(試験温度:165.5℃)を行い、 24時間後及び72時間後の塩基価保持率を求め 。得られた結果を表5~7に示す。

 [摩擦特性評価試験:SRV(微小往復動摩擦)試験 ]
 実施例1~7及び比較例1~8の潤滑油組成物につ て、以下のようにしてSRV試験を実施し、摩 特性を評価した。先ず、オプチモール社製S RV試験機用の試験片(鋼球(直径18mm)/ディスク SUJ-2)を用意し、その表面粗さをRa0.2μm以下に 仕上げた。この試験片をオプチモール社製SRV 試験機に装着し、殻潤滑油組成物を試験片の 摺動面に滴下し、温度80℃、荷重30N、振幅3mm 周波数50Hzの条件下で試験を行い、試験開始 後15分経過時から30分経過時までの平均摩擦 数を測定した。得られた結果を表5~7に示す

 表5~7より、実施例1~7の内燃機関用潤滑油 成物の熱・酸化安定性、摩擦特性、低温粘 特性は、比較例1~8に比べて優れていること 分かる。