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Title:
MAGNETIC RANDOM ACCESS MEMORY AND MAGNETIC RANDOM ACCESS MEMORY INITIALIZATION METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078244
Kind Code:
A1
Abstract:
Magnetic random access memory includes a magnetization recording layer, a pin layer, and a bias magnetic layer. The magnetization recording layer is a ferromagnetic layer having vertical magnetic anisotropy. The pin layer is connected with the magnetization recording layer via a nonmagnetic barrier layer. The bias magnetic layer is connected with the magnetization recording layer via the nonmagnetic barrier layer. The magnetization recording layer is provided with a magnetization inversion region, a first magnetization fixed region, and a second magnetization fixed region.The magnetization inversion region has invertible magnetization and is overlapped with the pin layer. The first magnetization fixed region is connected with the first boundary of the magnetization inversion region and has an orientation of magnetization fixed in a first direction. The second magnetization fixed region is connected with the second boundary of the magnetization inversion region and has an orientation of magnetization fixed in a second direction. The first magnetization fixed region is overlapped with the bias magnetic layer.

Inventors:
SUZUKI TETSUHIRO (JP)
NAGAHARA KIYOKAZU (JP)
FUKAMI SHUNSUKE (JP)
ISHIWATA NOBUYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071103
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
November 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NEC CORP (JP)
SUZUKI TETSUHIRO (JP)
NAGAHARA KIYOKAZU (JP)
FUKAMI SHUNSUKE (JP)
ISHIWATA NOBUYUKI (JP)
International Classes:
H01L21/8246; G11C11/15; H01L27/105; H01L29/82; H01L43/08
Domestic Patent References:
WO2005069368A12005-07-28
WO2007020823A12007-02-22
Foreign References:
JP2006073930A2006-03-16
JP2005191032A2005-07-14
JP2007103663A2007-04-19
JP2005150303A2005-06-09
Attorney, Agent or Firm:
KUDOH, Minoru (24-10 Minamiooi 6-chom, Shinagawa-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 垂直磁気異方性を有する強磁性層である磁化記録層と、
 非磁性バリア層を介して前記磁化記録層に接続されたピン層と、
 非磁性バリア層を介して前記磁化記録層に接続されたバイアス磁性層と
 を具備し、
 前記磁化記録層は、
  反転可能な磁化を有し前記ピン層とオーバーラップする磁化反転領域と、
  前記磁化反転領域の第1境界に接続され、磁化の向きが第1方向に固定された第1磁化固定領域と、
  前記磁化反転領域の第2境界に接続され、磁化の向きが第2方向に固定された第2磁化固定領域と
  を備え、
 前記第1磁化固定領域と前記バイアス磁性層とがオーバーラップしている
 磁気メモリセル。
 請求の範囲1に記載の磁気メモリセルであって、
 前記第1磁化固定領域と前記磁化反転領域との境界、前記第2磁化固定領域と前記磁化反転領域との境界にそれぞれ磁壁をピン止めするためのピンサイトが設けられている
 磁気メモリセル。
 請求の範囲2に記載の磁気メモリセルであって、
 前記第1磁化固定領域と前記磁化反転領域との境界、及び、前記第2磁化固定領域と前記磁化反転領域との境界の各々において、前記第1磁化固定領域、及び、前記第2磁化固定領域の幅は前記磁化反転領域の幅よりも広い
 磁気メモリセル。
 請求の範囲1乃至3のいずれか一項に記載の磁気メモリセルであって、
 前記ピン層は、
 第1ピン磁性層と、
 前記第1ピン磁性層と互いに反平行な磁化方向を持つ第2ピン磁性層と、
 前記第1ピン磁性層と前記第2ピン磁性層との間に設けられた非磁性層と
 を備え、
 前記バイアス磁性層は、前記第1ピン磁性層及び前記第2ピン磁性層のいずれかと同じ材料である
 磁気メモリセル。
 請求の範囲4に記載の磁気メモリセルであって、
 前記第1ピン磁性層と前記第2ピン磁性層の間に反強磁性的な結合がある
 磁気メモリセル。
 請求の範囲4又は5に記載の磁気メモリセルであって、
 前記バイアス磁性層は、
  前記第1ピン磁性層と同じ材料の場合、前記第1ピン磁性層と同時に形成され、
  前記第2ピン磁性層と同じ材料の場合、前記第2ピン磁性層と同時に形成される
 磁気メモリセル。
 請求の範囲1乃至6のいずれか一項に記載の磁気メモリセルであって、
 前記第1磁化固定領域と前記第2磁化固定領域の磁化の方向が実質的に反平行である
 磁気メモリセル。
 請求の範囲1乃至7のいずれか一項に記載の磁気メモリセルであって、
 前記バイアス磁性層と前記磁化自由層の間に絶縁層が配置されている
 磁気メモリセル。
 行列状に配置された請求の範囲1乃至8のいずれか一項に記載の複数の磁気メモリセルを具備する
 磁気ランダムアクセスメモリ。
 磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法であって、
 前記磁気ランダムアクセスメモリは、行列状に配置された複数の磁気メモリセルを備え、
 前記複数の磁気メモリセルの各々は、
  垂直磁気異方性をもつ強磁性層である磁化記録層と、
 非磁性バリア層を介して前記磁化記録層に接続されたピン層と、
 非磁性バリア層を介して前記磁化記録層に接続されたバイアス磁性層と
  を具備し、
  前記磁化記録層は、
   反転可能な磁化を有し前記ピン層とオーバーラップする磁化反転領域と、
   前記磁化反転領域の第1境界に接続され、磁化の向きが第1方向に固定された第1磁化固定領域と、
   前記磁化反転領域の第2境界に接続され、磁化の向きが第2方向に固定された第2磁化固定領域と
   備え、
  前記ピン層は、互いに反平行な磁化方向を持つ第1ピン磁性層と第2ピン磁性層とを備え、
  前記第1磁化固定領域と前記バイアス磁性層とがオーバーラップし、
 前記磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法は、
 前記磁化記録層から前記ピン層へ向かう第1方向に十分に大きな第1磁界を印加して、前記第1ピン磁性層を除く前記第2ピン磁性層、前記磁化記録層、及び前記バイアス磁性層の磁化を、前記第1方向に向けるステップと、
 前記第1方向と反対の第2方向に、前記第1磁界よりも小さい第2磁界を印加して、前記磁化記録層のうち、前記第1磁化固定領域内における前記バイアス磁性層近傍以外の領域の磁化を、前記第2方向に向けるステップと、
 前記第1方向に前記第1磁界よりも小さい第3磁界を印加して、前記第1磁化固定領域における前記バイアス磁性層近傍に形成された磁壁を移動させ、前記磁化反転領域と前記第2磁化固定領域との境界に前記磁壁を初期化するステップと
 を具備する
 磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法。
 請求の範囲10に記載の磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法であって、
 前記磁化記録層は、
  前記第1磁化固定領域と前記磁化反転領域との境界、及び、前記第2磁化固定領域と前記磁化反転領域との境界の各々において、前記第1磁化固定領域、及び、前記第2磁化固定領域の幅は前記磁化反転領域の幅よりも広い
 磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法。
Description:
磁気ランダムアクセスメモリ、 び、磁気ランダムアクセスメモリの初期化 法

 本発明は、磁気ランダムアクセスメモリ( MRAM:Magnetic Random Access Memory)に関し、特に、 壁移動方式のMRAMに関する。

 MRAMは、高集積・高速動作の観点から有望 な不揮発性メモリである。MRAMにおいては、TM R(Tunnel MagnetoResistance)効果などの「磁気抵抗 果」を示す磁気抵抗素子が利用される。そ 磁気抵抗素子には、例えばトンネルバリヤ が二層の強磁性層で挟まれた磁気トンネル 合(MTJ;Magnetic Tunnel Junction)が形成される。そ の二層の強磁性層は、磁化の向きが固定され た磁化固定層(ピン層)と、磁化の向きが反転 能な磁化自由層(フリー層)とを有している

 ピン層とフリー層の磁化の向きが“反平 ”である場合のMTJの抵抗値(R+δR)は、磁気抵 抗効果により、それらが“平行”である場合 の抵抗値(R)よりも大きくなることが知られて いる。MRAMは、このMTJを有する磁気抵抗素子 メモリセルとして用い、その抵抗値の変化 利用することによってデータを不揮発的に 憶する。例えば、反平行状態はデータ“1” 対応付けられ、平行状態はデータ“0”に対 応付けられる。メモリセルに対するデータの 書き込みは、フリー層の磁化の向きを反転さ せることによって行われる。

 MRAMに対するデータの書き込み方法として 、従来、「アステロイド方式」や「トグル方 式」が知られている。これらの書き込み方式 によれば、メモリセルサイズにほぼ反比例し て、フリー層の磁化を反転させるために必要 な反転磁界が大きくなる。つまり、メモリセ ルが微細化されるにつれて、書き込み電流が 増加する傾向にある。

 微細化に伴う書き込み電流の増加を抑制 ることができる書き込み方式として、「ス ン注入(spin transfer)方式」が提案されている (例えば、特開2005-93488号公報、“Current-driven  excitation of magnetic multilayers”,J.C.Slonczewski,Jou rnal of Magnetism & Magnetic Materials,159,L1-L7(19 96)、を参照)。スピン注入方式によれば、強 性導体にスピン偏極電流(spin-polarized current) 注入され、その電流を担う伝導電子のスピ と導体の磁気モーメントとの間の直接相互 用によって磁化が反転する(以下、「スピン 注入磁化反転:Spin Transfer Magnetization Switching と参照される)。

 米国特許第6834005号公報には、スピン注入 を利用した磁気シフトレジスタが開示されて いる。この磁気シフトレジスタは、磁性体中 の磁壁(domain wall)を利用して情報を記憶する 多数の領域(磁区)に分けられた磁性体にお て、磁壁を通過するように電流が注入され その電流により磁壁が移動する。各領域の 化の向きが、記録データとして扱われる。 のような磁気シフトレジスタは、例えば、 量のシリアルデータの記録に利用される。 、磁性体中の磁壁の移動は、“Real-Space Obser vation of Current-Driven Domain Wall Motion in Submic ron Magnetic Wires”,A.Yamaguchi et al.,Physical Revie w Letters,Vol.92,pp.077205-1-4(2004)にも報告されて る。

 このようなスピン注入による磁壁移動(Dom ain Wall Motion)を利用した「磁壁移動方式のMRA M」が、特開2005-191032号公報、及びWO2007/020823 公報に記載されている。

 特開2005-191032号公報に記載されたMRAMは、 化が固定された磁化固定層と、磁化固定層 に積層されたトンネル絶縁層と、トンネル 縁層に積層された磁化記録層とを備える。 化記録層には、磁化の向きが反転可能な部 と実質的に変化しない部分も含まれている め、磁化自由層ではなく、磁化記録層と呼 ことにする。図1は、特開2005-191032号公報の 化記録層の構造を示す概略平面図である。 1において、磁化記録層100は、直線形状を有 している。具体的には、磁化記録層100は、ト ンネル絶縁層及び磁化固定層と重なる接合部 103、接合部103の両端に隣接するくびれ部104、 及びくびれ部104に隣接形成された一対の磁化 固定領域101、102を有する。一対の磁化固定領 域101、102には、互いに反対向きの固定磁化が 付与されている。更に、MRAMは、一対の磁化 定領域101、102に電気的に接続された一対の き込み用端子105、106を備える。この書き込 用端子105、106により、磁化記録層100の接合 103、一対のくびれ部104及び一対の磁化固定 域101、102を貫通する電流が流れる。

 図2は、WO2007/020823号公報の磁気記録層120 構造を示す概略平面図である。図2において 磁気記録層120は、U字型の形状を有している 。具体的には、磁気記録層120は、第1磁化固 領域121、第2磁化固定領域122、及び磁化反転 域123を有している。磁化反転領域123は、ピ 層130とオーバーラップしている。磁化固定 域121、122は、Y方向に延びるように形成され ており、その磁化の向きは同じ方向に固定さ れている。一方、磁化反転領域123は、X方向 延びるように形成されており、反転可能な 化を有している。従って、磁壁が、第1磁化 定領域121と磁化反転領域123との境界B1、あ いは、第2磁化固定領域122と磁化反転領域123 の境界B2に形成される。磁化状態の初期化 、例えば、XY面内で斜め45度方向に十分大き 初期磁界を印加することにより行われ、初 磁界を除いた後に、磁化固定領域の磁化が+ Y方向、磁化反転領域の磁化が+X方向を向き、 磁壁が境界B1に形成された状態が実現される

 磁化固定領域121、122は、電流供給端子125 126のそれぞれに接続されている。これら電 供給端子125、126を用いることにより、磁気 録層120に書き込み電流を流すことが可能で る。その書き込み電流の方向に応じて、磁 は磁化反転領域123中を移動する。この磁壁 動により、磁化反転領域123の磁化方向を制 することができる。

 しかし、電流駆動磁壁移動を利用したMRAMで は、書き込み電流の絶対値が比較的大きくな ってしまうことが懸念される。前掲のPhysical Review Letters,Vol.92,pp.077205-1-4(2004)のほかにも 電流駆動磁壁移動の観測は数多く報告され いる。しかし、磁壁移動には概ね1×10 8 A/cm 2 程度の閾値電流密度を要している。この場合 、例えば磁壁移動の起こる層の幅を100nm、膜 を10nmとした場合でも書き込み電流は1mAとな る。これ以下に書き込み電流を低減するため には膜厚を薄くすればよいが、この場合には 書き込みに要する電流密度は更に上昇してし まうことが知られている(例えば、“Reduction  of Threshold Current Density for Current-Driven Domain  Wall Motion using Shape Control”,A.Yamaguchi et al .,Japanese Journal of Applied Physics,vol.45,No.5A,pp.38 50-3853(2006)参照)。
電流駆動磁壁移動を利用したMRAMにおいて、 込み電流を低減できる技術が期待される。 

 一方、磁化記録層の磁気異方性が基板面に 直である垂直磁気異方性材料を用いた素子 おいては、10 6 A/cm 2 台の閾値電流密度が観測されている(例えば “Threshold currents to move domain walls in films with perpendicular anisotropy”,D.Ravelosona et al.,Ap plied Physics Letters,Vol.90,072508(2007)参照)。

 関連する技術として特開2005-19464号公報に 磁気ランダムアクセスメモリ、電子カードお よび電子装置が開示されている。この磁気ラ ンダムアクセスメモリは、磁気抵抗素子と、 書き込む書き込み配線とを具備する。磁気抵 抗素子は、非磁性層を狭持した二層の磁性層 を有し、磁性層の磁化方向が膜面垂直方向を 向く垂直型のものである。書き込み配線は、 前記磁気抵抗素子の厚さ方向に垂直な方向に 配設され、書き込み電流を流して発生する磁 界を前記磁気抵抗素子の磁性層の磁化方向に 印加し、前記磁気抵抗素子の2つの磁性層の ちの一方の記録層の磁化方向を変化させて 報を書き込む。前記磁気抵抗素子を厚さ方 から狭持し、前記書き込み配線による発生 界を前記磁気抵抗素子の磁性層に印加する 性ヨークをさらに具備していても良い。

 また、特開2006-73930号公報に磁壁移動を利 用した磁気抵抗効果素子の磁化状態の変化方 法及び該方法を用いた磁気メモリ素子、固体 磁気メモリが開示されている。この磁気メモ リ素子は、第一の磁性層と中間層と第二の磁 性層とを有し、情報を第一の磁性層と、第二 の磁性層との磁化の方向で記録する。この磁 気メモリ素子は、少なくとも一方の磁性層内 に互いに反平行磁化となる磁区とそれらの磁 区を隔てる磁壁を定常的に形成し、前記磁壁 を磁性層内で移動させることで、隣り合う磁 区の位置を制御して情報記録を行うことを特 徴とする。前記第二の磁性層は膜面垂直方向 に磁気異方性を有していても良い。

 発明者は、今回以下のような問題点を発見 た。
 既述のように、電流駆動磁壁移動を利用し MRAMでは、書き込み電流の絶対値が比較的大 きくなってしまうことが懸念される。従って 、発明者は、以下に示すように、電流駆動磁 壁移動を利用したMRAMにおいて、磁化記録層 して垂直磁気異方性材料を用いることによ 、書込み電流を低減できることを検討した  

 図3A及び図3Bは、それぞれ想定しうる垂直 磁気異方性材料を用いた磁気抵抗素子の平面 図及び断面図である。磁化記録層210は、磁化 反転領域213と、一対の磁化固定領域211a、211b を備える。ただし、図3A及び図3Bにおいて、 白丸と点の記号、白丸とバツの記号、白矢印 は、それらが記載された磁化反転領域213や磁 化固定領域211a、211bの磁化方向を示している

 磁化反転領域213は、トンネル絶縁層232及 ピン層230と重なり、フリー層としての機能 有する。磁化固定領域211aは磁化反転領域213 の一端に、磁化固定領域211bは磁化反転領域21 3の他端にそれぞれ隣接されている。磁化反 領域213と磁化固定領域211a、211bとの接合部に はくびれ部215が設けられる。一対の磁化固定 領域211a、211bには、互いに反対向きの固定磁 が付与されなければならない。また、くび 部215は磁壁に対するピンポテンシャルとし 機能し、磁壁はくびれ部215付近の磁壁212a、 又は、磁壁212bとなるように初期化されなけ ばならない。

 ここで、磁化記録層の磁気異方性が面内 あり、磁化が面内方向に向いている場合、 2に示されるように、磁化記録層の形状をU 型にすることにより、磁化固定部の磁化方 と磁壁位置を所望の状態に初期化すること 容易にできた。しかし、磁化記録層の磁気 方性が垂直である場合、U字形状を採用して 、外部磁界により初期化をおこなうことは 難である。 

 本発明の目的は、磁化記録層の磁気異方 が垂直方向である電流駆動磁壁移動型MRAMに おいて、磁化固定部、及び、磁壁位置の初期 化を容易に行うことが可能な磁気ランダムア クセスメモリ、及び、磁気ランダムアクセス メモリの初期化方法を提供することである。  

 この発明のこれらの目的とそれ以外の目 と利益とは以下の説明と添付図面とによっ 容易に確認することができる。

 本発明の磁気メモリセルは、磁化記録層 、ピン層と、バイアス磁性層とを具備する 磁化記録層は、垂直磁気異方性を有する強 性層である。ピン層は、非磁性バリア層を して磁化記録層に接続されている。バイア 磁性層は、非磁性バリア層を介して磁化記 層に接続されている。磁化記録層は、磁化 転領域と、第1磁化固定領域と、第2磁化固 領域とを備える。磁化反転領域は、反転可 な磁化を有しピン層とオーバーラップする 第1磁化固定領域は、磁化反転領域の第1境界 に接続され、磁化の向きが第1方向に固定さ ている。第2磁化固定領域は、磁化反転領域 第2境界に接続され、磁化の向きが第2方向 固定されている。第1磁化固定領域とバイア 磁性層とがオーバーラップしている。

 本発明の磁気ランダムアクセスメモリは 行列状に配置された上記の本発明の複数の 気メモリセルを具備する。

 本発明の磁気ランダムアクセスメモリの初 化方法は、以下に示す方法である。ただし 磁気ランダムアクセスメモリは、行列状に 置された複数の磁気メモリセルを備える。 数の磁気メモリセルの各々は、磁化記録層 、ピン層と、バイアス磁性層とを具備する 磁化記録層は、垂直磁気異方性を有する強 性層である。ピン層は、非磁性バリア層を して磁化記録層に接続されている。バイア 磁性層は、非磁性バリア層を介して磁化記 層に接続されている。磁化記録層は、磁化 転領域と、第1磁化固定領域と、第2磁化固 領域とを備える。磁化反転領域は、反転可 な磁化を有しピン層とオーバーラップする 第1磁化固定領域は、磁化反転領域の第1境界 に接続され、磁化の向きが第1方向に固定さ ている。第2磁化固定領域は、磁化反転領域 第2境界に接続され、磁化の向きが第2方向 固定されている。第1磁化固定領域とバイア 磁性層とがオーバーラップしている。
 そして、磁気ランダムアクセスメモリの初 化方法は、磁化記録層からピン層へ向かう 1方向に十分に大きな第1磁界を印加して、 1ピン磁性層を除く第2ピン磁性層、磁化記録 層、及びバイアス磁性層の磁化を、第1方向 向けるステップと;第1方向と反対の第2方向 、第1磁界よりも小さい第2磁界を印加して、 磁化記録層のうち、第1磁化固定領域内にお るバイアス磁性層近傍以外の領域の磁化を 第2方向に向けるステップと;第1方向に第1磁 よりも小さい第3磁界を印加して、第1磁化 定領域におけるバイアス磁性層近傍に形成 れた磁壁を移動させ、磁化反転領域と第2磁 固定領域との境界に記磁壁を初期化するス ップとを具備する。

図1は、特開2005-191032号公報の磁化記録 の構造を示す概略平面図である。 図2は、WO2007/020823号公報の磁気記録層12 0の構造を示す概略平面図である。 図3Aは、想定しうる垂直磁気異方性材 を用いた磁気抵抗素子の平面図である。 図3Bは、想定しうる垂直磁気異方性材 を用いた磁気抵抗素子の断面図である。 図4Aは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の一例を示す平面図である。 図4Bは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の一例を示す断面図である。 図5Aは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第1の初期化方法を示す断面図である。 図5Bは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第1の初期化方法を示す断面図である。 図5Cは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第1の初期化方法を示す断面図である。 図6Aは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第2の初期化方法を示す断面図である。 図6Bは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第2の初期化方法を示す断面図である。 図6Cは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第2の初期化方法を示す断面図である。 図6Dは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子の第2の初期化方法を示す断面図である。 図7は、本実施の形態に係る磁気抵抗素 子に対するデータの書込み原理を示す断面図 である。 図8は、本実施の形態に係る磁気抵抗素 子の変形例を示す断面図である。 図9は本実施の形態に係る磁気抵抗素子 の別の変形例を示す断面図である。 図10は、本実施の形態に係るMRAMの構成 の一例を示すブロック図である。

 以下、添付図面を参照して、本発明の実 の形態に係る磁気メモリセル及びMRAMについ て説明する。本実施の形態に係る磁気メモリ セル及びMRAMは垂直磁気異方性を持つ磁性層 用いた磁壁移動方式の磁気メモリセル及びMR AMである。

1.磁気メモリセルの構成
 図4A及び図4Bは、本実施の形態に係る磁気抵 抗素子(磁気メモリセル)の一例を示す平面図 び断面図である。その磁気抵抗素子2を磁気 メモリセルに用いた例について説明する。図 4Bは例えば“0”を記憶した場合を示す。ただ し、図4A及び図4Bにおいて、白丸と点及び白 とバツの記号や白矢印は、各層における磁 方向(紙面に対し垂直上方及び垂直下方や矢 方向)を示している(以下同じ)。

 磁気抵抗素子2は、強磁性体層である磁化記 録層10、ピン層30、及び、非磁性体層である ンネルバリヤ層32、トンネルバリヤ層32a、バ イアス磁性層34aを備えている。トンネルバリ ヤ層32は、磁化記録層10とピン層30に挟まれて いる。これら磁化記録層10、トンネルバリヤ 32、及びピン層30により磁気トンネル接合(MT J)が形成されている。
ピン層30は第1ピン磁性層34、非磁性層31、第2 ン磁性層33から構成されている。第1ピン磁 層34の磁化方向と第2ピン磁性層33の磁化方 とは互いに反平行である。この反平行の磁 は、非磁性層としてはRu、Cuなど用い、2つの 磁性層間に反強磁性的な結合を作用させるこ とにより得ることができる。また、2つの磁 層の保磁力を異ならせることによっても得 ことができる。反平行な磁化配置において 、2つの強磁性層の磁化を最適化することに り、ピン層30から磁化記録層10への漏洩磁界 を抑制することができる。

 ピン層30の磁化の向き(第1ピン磁性層34と 2ピン磁性層33の磁化の向き)は、書込み、及 び、読出し動作によって変化しない。そのた め、ピン層30の磁気異方性は磁化記録層10よ も大きいことが望ましい。これは、磁化記 層10とピン層30とについて、材料及び/又は組 成を互いに変えることにより実現することが できる。また、ピン層30におけるトンネルバ ヤ層32とは反対側の面に反強磁性体層を積 し、磁化をピン止めすることによっても実 することができる。 

 磁化記録層10は基板面に垂直な方向(±Z方 )の異方性を持ち、材料としては、Fe、Co、Ni のうちから選択される少なくとも一つ以上の 材料を含むことが望ましい。さらに、PtやPd 含むことで垂直磁気異方性を安定化するこ ができる。これに加えて、B、C、N、O、Al、Si 、P、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru Rh、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Smなどを添 することによって所望の磁気特性が発現さ るように調整することができる。具体的に Co、Co-Pt、Co-Pd、Co-Cr、Co-Pt-Cr、Co-Cr-Ta、Co-Cr-B 、Co-Cr-Pt-B、Co-Cr-Ta-B、Co-V、Co-Mo、Co-W、Co-Ti、C o-Ru、Co-Rh、Fe-Pt、Fe-Pd、Fe-Co-Pt、Fe-Co-Pd、Sm-Co どが例示される。この他、Fe、Co、Niのうち ら選択される少なくとも一つの材料を含む が、異なる層と積層されることにより垂直 向の磁気異方性を発現させることもできる 具体的にはCo/Pd、Co/Pt、Fe/Auの積層膜などが 示される。

 バイアス磁性層34a、ピン層30における第1 ン磁性層34及び第2ピン磁性層33、は、磁化 録層10と同様な材料を用いることが出来る。 そして、バイアス磁性層34a、ピン層30におけ 第1ピン磁性層34及び第2ピン磁性層33は、垂 磁気異方性を持つことが望ましい。

 トンネルバリヤ層32、は、Al 2 O 3 膜やMgO膜等の薄い絶縁膜である。非磁性層31 、上述のようにRu膜やCu膜やなどの薄い絶縁 膜である。磁化記録層10及びピン層30の一部 特にトンネルバリヤ層32と接する部分にCoFe CoFeBなどTMR効果の大きな材料を用いても良い 。 

 図4A及び図4Bに示されるように、本実施の 形態に係る磁化記録層10は、第1磁化固定領域 11a、第2磁化固定領域11b、及び磁化反転領域13 を有している。この磁化反転領域13は、ピン 30とオーバーラップするように形成されて る。言い換えれば、磁化記録層10の磁化反転 領域13の一部が、トンネルバリヤ層32を介し ピン層30に接続されている。一方、第1磁化 定領域11a及び第2磁化固定領域11bの少なくと 一方には、バイアス磁性層34aがオーバーラ プするように形成されている。言い換えれ 、第1磁化固定領域11a及び第2磁化固定領域11 bの少なくとも一方がトンネルバリヤ層32aを してバイアス磁性層34aに接続されている。

 バイアス磁性層34aからの漏洩磁界は後述 ように磁化固定領域の磁化を初期化し、磁 位置を初期化するために利用される。なお バイアス磁性層34aはピン層30を構成する磁 層の一方である第2ピン磁性層34と同層とし 形成することができる。例えば、まず、磁 記録層用膜、バリア層用膜、第1ピン磁性層 膜、非磁性層用膜、第2ピン磁性層用膜を連 続成膜する。その後、ピン層30及びバイアス 性層34aを残す領域を同時にパターニングす 。続いて、バイアス磁性層34aを残す領域の 第2ピン磁性層用膜をエッチングする。その ようなプロセスにより、図4A及び図4Bのよう 構成が得られる。すなわち、第1ピン磁性層3 4とバイアス磁性層34aとは、同じ第1ピン磁性 用膜を用いて、同時に形成される。このと 、バイアス磁性層34aを残す領域の非磁性層 膜はエッチングしてもしなくてもよい。な 、このようにして作成した磁気抵抗素子2に おいては、バイアス磁性層34aと磁化記録層10 の間にピン層30部分と同様にバリア層32aが 成されることに注意されたい。 

 後述する初期化動作により、第1磁化固定 領域11aと第2磁化固定領域11bの磁化は、互い 反平行な方向に固定される。尚、「磁化が 定されている」とは、書き込み動作の前後 磁化の方向が変わらないことを意味する。 き込み動作中に、それら磁化固定領域の一 の磁化の方向が変化しても、書き込み動作 了後には元に戻る。 

 一方、磁化反転領域13の磁化の向きは反 可能であり、+Z方向あるいは-Z方向である。 まり、磁化反転領域13の磁化は第1ピン磁性 34の磁化と平行あるいは反平行になること 許される。図4Bのように磁化反転領域13の磁 の向きが-Z方向の場合、磁化反転領域13と第 1磁化固定領域11aが1つの磁区(magnetic domain)を 成し、第2磁化固定領域11bが別の磁区を形成 する。つまり、第2磁化固定領域11bと磁化反 領域13との間に磁壁(domain wall)12が形成され 。一方、磁化反転領域13の磁化の向きが+Z方 の場合、磁化反転領域13と第2磁化固定領域1 1bが1つの磁区を形成し、第1磁化固定領域11a 別の磁区を形成する。つまり、第1磁化固定 域11aと磁化反転領域13との間に磁壁(図示さ ず)が形成される。 

 なお、第1磁化固定領域11aと第2磁化固定領 11bとは、図4Aに示されるように磁化反転領域 13と比較して幅広い形状をしている。これは 1磁化固定領域11a及び第2磁化固定領域11bと 化反転領域13との境界に磁壁12のピンニング イトを形成するためである。すなわち、磁 のエネルギーは素子(磁気記録層10)の幅にほ ぼ比例するので、磁化固定領域11a、11b(幅が きくエネルギーが大きい)に生じた磁壁は磁 反転領域13(幅が小さくエネルギーが小さい) に移動することは容易である。それに対し、 磁化反転領域13(エネルギーが小さい)に生じ 磁壁は磁化固定領域11a、11b(エネルギーが大 い)に移動することは困難である。したがっ て、磁壁12の移動は、磁化反転領域13内に限 される。また、磁化固定領域11a、11bにおけ 磁化反転領域13からはみ出した部分(磁化固 領域11a、11bにおける磁化反転領域13よりも幅 広な部分)からの静磁界により、磁壁12は第1 化固定領域11a及び第2磁化固定領域11bのいず か一方と磁化反転領域13との境界にピン止 される。
 なお、ピンニングサイトは、図3Aで示した うなくびれを用いることにより形成するこ もできる。 

 2.磁化固定領域の初期化 
 次に、本実施の形態に係る磁気抵抗素子の 期化方法について、図面を参照して説明す 。ここでは、第1ピン磁性層34、第2ピン磁性 層33、磁化記録層10の磁性膜の特性に応じて (1)第1の初期化方法、及び、(2)第2の初期化方 法について説明する。

(1)第1の初期化方法
 図5A~図5Cは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子(磁気メモリセル)の第1の初期化方法を示 断面図である。第1の初期化方法として、第1 ピン磁性層34と第2ピン磁性層33との間の反強 性結合が十分大きく、かつ、各ピン磁性層3 4、33、バイアス磁性層34aの磁性膜の保磁力が 磁化記録層10の保磁力よりも大きい場合につ て述べる。

 まず、図5Aに示されるように、+Z方向に十 分に大きな磁界H1を印加する。その後、その 界H1を取り除く。それにより、第1ピン磁性 34以外の各層(第2ピン磁性層33、第1磁化固定 領域11a、第2磁化固定領域11b、磁化反転領域13 、バイアス磁性層34a)の磁化を+Z方向に向ける (Step1)。このとき、第1ピン磁性層34は第2ピン 性層33との反強磁性結合のため-Z方向を向く 。なお、第1ピン磁性層34及び第2ピン磁性層33 のうち、いずれが-Z方向を向き、いずれが+Z 向を向くかは2つのピン磁性層の磁気モーメ トの大きさにより定まる。磁化自由層とし の磁化反転領域13への漏洩磁界を低減する 点からは、第2ピン磁性層33の磁気モーメン は、第1ピン磁性層34の磁気モーメントより 大きいことが望ましい。この場合、第1ピン 性層34の磁化が-Z方向を向く。

 次に、図5Bに示されるように、-Z方向に磁 界H2(<H1)を印加して行く。それにより、磁 記録層10のうち、第1磁化固定領域11a内のバ アス磁性層34a近傍を除いた領域において磁 が反転し、-Z方向を向く(Step2)。バイアス磁 層34aの磁化が反転しないのは、バイアス磁 層34aの保磁力が十分大きく、磁界H2では反転 させられないからである。第1磁化固定領域11 a内のバイアス磁性層34a近傍の磁化が反転し いのは、バイアス磁性層34aからの正(+Z方向) 漏洩磁界のため反転し難いためである。こ により、第1磁化固定領域11aのバイアス磁性 層34a近傍の磁化が反転していない領域と、第 1磁化固定領域11aの磁化が反転した領域との に磁壁12が形成される。

 次に、図5Cに示されるように、+Z方向に磁 界H3(<H1)を印加する。それにより、第1磁化 定領域11a内のバイアス磁性層34a近傍に形成 れた磁壁12は磁化記録層10の中を+X方向に移 して行く。既述のように、幅の大きい磁化 定領域11aの磁壁12は幅の小さい磁化反転領 13に移動することは容易であり、幅の小さい 磁化反転領域13の磁壁12は幅の大きい磁化固 領域11bへ移動することは困難である。した って、磁壁12は、磁化反転領域13と第2磁化固 定領域11bとの境界にあるピンニングサイトに より拘束され停止する(Step3)。このとき、第1 化固定領域11aと第2磁化固定領域11bの磁化は 互いに反平行になり、磁壁12は磁化反転領域1 3と第2磁化固定領域11bの境界にのみ形成され 初期化が実現される。

(2)第2の初期化方法
 図6A~図6Dは、本実施の形態に係る磁気抵抗 子(磁気メモリセル)の第2の初期化方法を示 断面図である。第2の初期化方法として、第1 ピン磁性層34と第2ピン磁性層33との間の反強 性結合が小さく、かつ、保磁力は第2ピン磁 性層33>第1ピン磁性層34、バイアス磁性層34a >磁化記録層10の順に大きい場合について述 べる。

 まず、図6Aに示されるように、+Z方向に十 分大きな磁界H4を印加する。その後、その磁 H4を取り除く。それにより、全ての層(第2ピ ン磁性層33、第1ピン磁性層34、第1磁化固定領 域11a、第2磁化固定領域11b、磁化反転領域13、 バイアス磁性層34a)の磁化を+Z方向に向ける(St ep1)。

 次に、図6Bに示されるように、-Z方向に磁 界H5(<H4)を印加する。それにより、第2ピン 性層33以外の層(第1ピン磁性層34、第1磁化固 定領域11a、第2磁化固定領域11b、磁化反転領 13、バイアス磁性層34a)の磁化が反転し、-Z方 向を向く(Step2)。第2ピン磁性層33の磁化が反 しないのは、第2ピン磁性層33の保磁力が十 大きく、磁界H5では反転させられないからで ある。

 次に、図6Cに示されるように、+Z方向に磁 界H6(<H5)を印加する。それにより、磁化記 層のうち、第1磁化固定領域11a内のバイアス 性層34a近傍を除いた領域において磁化が反 し、+Z方向を向く(Step3)。バイアス磁性層34a 磁化が反転しないのは、バイアス磁性層34a 保磁力が十分大きく、磁界H6では反転させ れないからである。第1磁化固定領域11a内の イアス磁性層34a近傍の磁化が反転しないの 、バイアス磁性層34aからの負(-Z方向)の漏洩 磁界のため反転し難いためである。これによ り、第1磁化固定領域11aのバイアス磁性層34a 傍の磁化が反転していない領域と、第1磁化 定領域11aの磁化が反転した領域との間に磁 12が形成される。

 次に、図6Dに示されるように、-Z方向に磁 界H7(<H4)を印加する。それにより、第1磁化 定領域11a内のバイアス磁性層34a近傍に形成 れた磁壁12は磁化記録層10の中を+X方向に移 して行く。既述のように、幅の大きい磁化 定領域11aの磁壁12は幅の小さい磁化反転領 13に移動することは容易であり、幅の小さい 磁化反転領域13の磁壁12は幅の大きい磁化固 領域11bへ移動することは困難である。した って、磁壁12は、磁化反転領域13と第2磁化固 定領域11bとの境界にあるピンポテンシャルに より拘束され停止する(Step4)。このとき、第1 化固定領域11aと第2磁化固定領域の磁化は互 いに反平行になり、磁壁12は磁化反転領域13 第2磁化固定領域11bの境界にのみ形成され、 期化が実現される。

 以上述べた第1の初期化動作及び第2の初 動作において、磁界方向を全て反対方向に 定しても、所望の初期状態が得られること 言うまでもない。

 3.書込み動作
 次に、磁気抵抗素子(磁気メモリセル)に対 るデータの書込み原理を説明する。
 図7は、本実施の形態に係る磁気抵抗素子( 気メモリセル)に対するデータの書込み原理 示す断面図である。データ書き込みは、ス ン注入を利用した磁壁移動方式で行われる 書き込み電流Iwは、MTJを貫通する方向では く、磁気記録層10内を平面的に流れる。その 書き込み電流Iwは、第1磁気固定領域11aに接続 された電流供給端子14a、及び、第2磁気固定 域11bに接続された電流供給端子14bのいずれ 一方から磁気記録層10に供給される。図7に ける(a)に示されるように、磁化反転領域13と 第1ピン磁性層34の磁化の向きが平行である状 態が、データ“0”に対応付けられている。 ータ“0”状態において、磁化反転領域13の 化の向きは-Z方向である。磁壁12は、磁化反 領域13と第2磁化固定領域11bとの境界に存在 る。一方、図7における(c)に示されるように 、磁化反転領域13と第1ピン磁性層34の磁化の きが反平行である状態が、データ“1”に対 応付けられている。データ“1”状態におい 、磁化反転領域13の磁化の向きは+Z方向であ 。磁壁12は、磁化反転領域13と第1磁化固定 域11aとの境界に存在する。

 データ“1”の書き込み動作時、第1書き み電流Iw1が、電流供給端子14aから供給され 第1磁化固定領域11aから磁化反転領域13を通 て第2磁化固定領域11bに流れ、電流供給端子1 4bから送出される(図7における(b))。この場合 磁化反転領域13には、第2磁化固定領域11bか スピン電子が注入される。注入された電子 スピンは、磁化反転領域13と第2磁化固定領 11bとの境界にある磁壁12を第1磁化固定領域1 1aの方向に駆動する。その結果、磁化反転領 13の磁化の向きは、+Z方向へスイッチする。 つまり、スピントランスファー効果により、 磁化反転領域13の磁化が反転し、その磁化の きが+Z方向に変わる。そして、磁壁12は、磁 化反転領域13と第1磁化固定領域11aとの境界に 移動する(図7における(c))。

 一方、データ“0”の書き込み動作時、第 2書き込み電流Iw2が、電流供給端子14bから供 され、第2磁化固定領域11bから磁化反転領域1 3を通って第1磁化固定領域11aに流れ、電流供 端子14aから送出される(図7における(d))。こ 場合、磁化反転領域13には、第1磁化固定領 11aからスピン電子が注入される。注入され 電子のスピンは、磁化反転領域13と第1磁化 定領域11aとの境界にある磁壁12を第2磁化固 領域11bの方向に駆動する。その結果、磁化 転領域13の磁化の向きは、-Z方向へスイッチ する。つまり、スピントランスファー効果に より、磁化反転領域13の磁化が反転し、その 化の向きが-Z方向に変わる。そして、磁壁12 は、磁化反転領域13と第2磁化固定領域11bとの 境界に移動する(図7における(a))。

 このように、磁気記録層10内を平面的に れる書き込み電流Iw1,Iw2によって、磁化反転 域13の磁化の方向がスイッチする。第1磁化 定領域11a及び第2磁化固定領域11bは、異なる スピンを有する電子の供給源の役割を果たし ている。

 この場合、磁気記録層10は、垂直磁気異 性材料により形成されている。そのため、 き込み電流Iw1,Iw2に対して磁気記録層10の各 域の磁化方向は垂直である。従って、書き み電流Iw1、Iw2の大きさを著しく低減するこ ができる。

 4.読出し動作
 次に、磁気抵抗素子(磁気メモリセル)に対 るデータの読出し原理を説明する。データ み出し動作時、読み出し電流は、ピン層30( 1ピン磁性層34、非磁性層31、第2ピン磁性層33 )と磁化反転領域13との間を流れるように供給 される。例えば、読み出し電流は、電流供給 端子14a、14bのいずれか一方から供給される。 そして、磁化固定領域11a、11bのいずれか一方 、磁化反転領域13、及びトンネルバリヤ層32 経由してピン層30(第1ピン磁性層34、非磁性 31、第2ピン磁性層33)へ流れ、第2ピン磁性層3 3上部の端子(図示されず)から送出される。あ るいは、読み出し電流は、第2ピン磁性層33上 部の端子から供給される。そして、ピン層30( 第2ピン磁性層33、非磁性層31、第1ピン磁性層 34)、トンネルバリヤ層32、及び磁化反転領域1 3を経由して磁化固定領域11a、11bのいずれか 方へ流れ、電流供給端子14a、14bのいずれか 方から送出される。

 データ“0”が記憶されている(図7におけ (a)参照)場合、第1ピン磁性層34の磁化は-Z方 に固定されている。磁化反転領域13の磁化 向も同様に-Z方向である。すなわち、両磁化 方向は平行である。したがって、上記読出し 電流を流すことにより、磁気抵抗素子のデー タとして、低抵抗値すなわちデータ“0”読 出される。一方、データ“1”が記憶されて る(図7における(d)参照)場合、第1ピン磁性層 34の磁化は-Z方向に固定されている。磁化反 領域13の磁化方向は+Z方向である。すなわち 両磁化方向は反平行である。したがって、 記読出し電流を流すことにより、磁気抵抗 子のデータとして、高抵抗値すなわちデー “1”読み出される。

5. 変形例
 図8は、本実施の形態に係る磁気抵抗素子( 気メモリセル)の変形例を示す断面図である 磁気抵抗素子2aは、強磁性体層である磁化 録層10、ピン層30b、及び、非磁性体層である トンネルバリヤ層32bを備えている。トンネル バリヤ層32bは、磁化記録層10とピン層30bに挟 れている。これら磁化記録層10、トンネル リヤ層32b、及びピン層30bによって磁気トン ル接合(MTJ)が形成されている。さらに、ピン 層30bは第1ピン磁性層34b、非磁性層31b、第2ピ 磁性層33bから構成されている。第1ピン磁性 層34bと第2ピン磁性層33bの磁化方向は互いに 平行である。また、第1ピン磁性層34b(及びト ンネルバリヤ層32b)は、磁化自由層10のほぼ全 領域とオーバーラップしている。しかし、第 2ピン磁性層33bは磁化自由層10の一部において オーバーラップしていない。ここで、バイア ス磁性層は、第1ピン磁性層34bと一体である みなすことが出来る。また、この磁気抵抗 子2aの磁化記録層10の平面形状は、図4Aと概 同じである。

 本変形例の磁化固定領域11a、11bの磁化方 の初期化は、図5A~図5Cに示した方法と同様 行うことができる。本変形例においては、 4A及び図4Bに示した例と比較して、磁気トン ル接合(MTJ)の領域が大きくなるという特長 ある。ピン層30bからの漏洩磁界はピン層30b 面積に反比例して大きくなるので、本変形 においては磁化固定領域11a、11bの初期化が 易であることに加え、漏洩磁界の影響がよ 小さいという効果がある。

 図9は本実施の形態に係る磁気抵抗素子( 気メモリセル)の別の変形例を示す断面図で る。磁気抵抗素子2bは、第2ピン磁性層34c、 磁性層31c、磁化記録層10、トンネルバリヤ 32c、第1ピン磁性層33cが順次積層されている 磁気トンネル接合(MTJ)は磁化記録層10、トン ネルバリヤ層32c、第1ピン磁性層33cから構成 れる。第1ピン磁性層33cと第2ピン磁性層34cは 互いに反平行な磁化をもち、磁化記録層10と 2ピン磁性層34cは全体で、第1ピン磁性層33c 一部を除いてオーバーラップしている。こ で、バイアス磁性層は、第1ピン磁性層34bと 体であるとみなすことが出来る。また、こ 磁気抵抗素子2aの磁化記録層10の平面形状は 、図4Aと概ね同じである。

 本変形例の磁化固定領域11a、11bの磁化方 の初期化は、図6A~図6Dに示した方法と同様 行うことができる。本変形例においては、 化記録層10に対して、第1ピン磁性層33c、及 、第2ピン磁性層34cを対称に配置することが 能になるので、磁化固定領域11a、11bの初期 が容易であることに加え、磁化記録層10へ ピン磁性層からの漏洩磁界の影響がより小 いという効果がある。

6.MRAMの構成 
 図10は、本実施の形態に係るMRAMの構成の一 を示すブロック図である。図10において、MR AM60は、複数の磁気メモリセル1がマトリック 状に配置されたメモリセルアレイ61を有し いる。このメモリセルアレイ61は、データの 記録に用いられる磁気メモリセル1と共に、 ータ読み出しの際に参照されるリファレン セル1rを含んでいる。リファレンスセル1rの 造は、磁気メモリセル1と同じである。

 各磁気メモリセル1は、図4A及び図4B(図8、 図9)に示された磁気抵抗素子2(2a~2bを含む)に え、選択トランジスタTR1、TR2を有している 選択トランジスタTR1のソース/ドレインの一 は、第1磁化固定領域11aの電流供給端子14aに 接続され、他方は第1ビット線BL1に接続され いる。選択トランジスタTR2のソース/ドレイ の一方は、第2磁化固定領域11bの電流供給端 子14bに接続され、他方は第2ビット線BL2に接 されている。選択トランジスタTR1、TR2のゲ トはワード線WLに接続されている。磁気メモ リセル1のピン層30は、配線69を介して図のよ にグランド線Gに接続されている。

 ワード線WLは、Xセレクタ62に接続されて る。Xセレクタ62は、データの書込み動作時 及び読出し動作時において、対象メモリセ 1sにつながるワード線WLを選択ワード線WLsと て選択する。第1ビット線BL1はY側電流終端 路64に接続されており、第2ビット線BL2はYセ クタ63に接続されている。Yセレクタ63は、 象メモリセル1sにつながる第2ビット線BL2を 択第2ビット線BL2sとして選択する。Y側電流 端回路64は、対象メモリセル1sにつながる第1 ビット線BL1を選択第1ビット線BL1sとして選択 る。

 Y側電流源回路65は、データ書込み動作時 選択第2ビット線BL2sに対し、所定の書き込 電流(Iw1,Iw2)の供給又は引き込みを行う。Y側 源回路66は、データ書き込み動作時、Y側電 終端回路64に所定の電圧を供給する。その 果、書き込み電流(Iw1,Iw2)は、Yセレクタ63へ れ込む、あるいは、Yセレクタ63から流れ出 。これらXセレクタ62、Yセレクタ63、Y側電流 端回路64、Y側電流源回路65、及びY側電源回 66は、磁気メモリセル1に書き込み電流Iw1,Iw2 を供給するための「書き込み電流供給回路」 を構成している。

 データ読み出し動作時、第1ビット線BL1は “Open”に設定される。読み出し電流負荷回 67は、選択第2ビット線BL2sに所定の読み出し 流を流す。また、読み出し電流負荷回路67 、リファレンスセル1rにつながるリファレン ス第2ビット線BL2rに所定の電流を流す。セン アンプ68は、リファレンス第2ビット線BL2rの 電位と選択第2ビット線BL2sの電位の差に基づ て、対象メモリセル1sからデータを読み出 、そのデータを出力する。

 以上述べたように、本発明では、磁化記 層の磁気異方性が垂直方向である電流駆動 壁移動型MRAMにおいて、上記構成を用いるこ とによりピン層、磁化記録層の磁化固定領域 及び磁壁の位置の初期化を容易に行うことが 可能となる。それにより、上記初期化方法を 用いることで、磁化記録層の磁化固定領域及 び磁壁の位置の初期化を容易に行うことがで きる。

 本発明によれば、垂直磁気異方性を持つ 性層を用いた磁壁移動方式のMRAMにおいて、 磁化固定領域、及び、磁壁位置の初期化が容 易におこなうことが可能になる。その結果、 書込み電流が低減された低消費電力の磁気ラ ンダムアクセスメモリを提供することができ る。

 本発明は上記各実施の形態に限定されず 本発明の技術思想の範囲内において、各実 の形態は適宜変形又は変更され得ることは らかである。

 また、本発明はいくつかの実施の形態と せて上述されたが、これらの実施の形態は 発明を説明するために単に提供されたもの あることは当業者にとって明らかであり、 義を限定するように添付の請求項を解釈す ために用いてはならない。

 この出願は、2007年12月18日に出願された 許出願番号2007-326204号の日本特許出願に基づ いており、その出願による優先権の利益を主 張し、その出願の開示は、引用することによ り、そっくりそのままここに組み込まれてい る。