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Title:
TUNNEL MAGNETORESISTIVE THIN FILM AND MAGNETIC MULTILAYER FORMATION APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/155996
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a tunnel magnetoresistive thin film which, while maitaining a thin film form of an Ru layer used as a nonmagnetic layer for switched connection, can improve heat resistance, can realize good development of a switched connection magnetic field by an Ru layer even upon annealing at elevated temperatures, and has a high MR ratio. In the tunnel magnetoresistive thin film, at least one of a first magnetization fixed layer (4) and a second magnetization fixed layer (6) stacked on top of each other through a nonmagnetic layer (5) for switched connection has a laminated structure comprising two or more layers formed of respective magnetic materials different from each other.

Inventors:
TSUNEKAWA KOJI (JP)
NAGAMINE YOSHINORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060419
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CANON ANELVA CORP (JP)
TSUNEKAWA KOJI (JP)
NAGAMINE YOSHINORI (JP)
International Classes:
H01L43/08; G11B5/39; H01F10/16; H01F10/30; H01F41/18; H01L21/8246; H01L27/105; H01L43/12
Foreign References:
JP2003188440A2003-07-04
JP2001189503A2001-07-10
JP2006319259A2006-11-24
JP2002167661A2002-06-11
Other References:
ARAKI S.: "2.2 TMR.GMR Soshi no Seizo Hoho (Jiseimaku. Tunnel-maku), 'MRAM Gijutsu - Kiso kara LSI Oyo made -", SAIPEKKU, 28 February 2002 (2002-02-28), pages 78 - 79, XP008104448
D.DJAYAPRAWIRA ET AL., APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 86, 2005, pages 092502
Y.S.CHOI ET AL., APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 101, 2007, pages 013907
HASEGAWA ET AL., JOURNAL OF THE MAGNETIC SOCIETY OF JAPAN, vol. 24, no. 9, 2000, pages 1239
Y.M.LEE ET AL., APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 89, 2006, pages 042506
D. C. WORLEDGE; P. L. TROUILLOUD, APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 83, 2003, pages 84 - 86
"Experimental Physics Lecture 6 Magnetic Measurement I", 15 February 2000, MARUZEN TOKYO
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Keisuke et al. (Mitsui Sumitomo Ginko Okachimachi Bld.11-4, Taito 4-chom, Taito-ku Tokyo 16, JP)
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Claims:
 反強磁性層、
トンネルバリア層、
前記反強磁性層側に位置し、磁性体及びボロン原子を含有する第一磁化固定層、
前記トンネルバリア層側に位置し、磁性体及びボロン原子を含有する第二磁化固定層、
前記第一磁化固定層と前記第二磁化固定層との間に位置する交換結合用非磁性層、
及び
磁化自由層を有し、
前記第一磁化固定層は、前記反強磁性層側に位置する反強磁性層側の層と前記交換結合用非磁性層側に位置する交換結合用非磁性層側の層とを有し、該反強磁性層側の層と該交換結合用非磁性層側の層とがそれぞれ含有するボロン原子のatomic%で表される含有率が互いに異なることを特徴とするトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記トンネルバリア層が、(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を含んだ酸化マグネシウム膜である請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記第一磁化固定層の反強磁性層側の層が含有するボロン原子の含有率は、前記第一磁化固定層の交換結合用非磁性層側の層が含有するボロン原子の含有率より大きい値である請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記第一磁化固定層の反強磁性層側の層は、50atomic%以上のコバルト原子、5atomic%以上のボロン原子及び鉄原子を含有する合金であって、前記第一磁化固定層の交換結合用非磁性層側の層は、50atomic%以上のコバルト原子及び5atomic%未満のボロン原子及び鉄原子を含有する合金からなる請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記第二磁化固定層の交換結合用非磁性層側の層が含有するボロン原子の含有率は、前記第二磁化固定層のトンネルバリア層側の層が含有するボロン原子の含有率より大きい値である請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記第二磁化固定層は、前記交換結合用非磁性層側に位置する交換結合用非磁性層側の層及び前記トンネルバリア層側に位置するトンネルバリア層側の層を有する積層体構造を有し、該交換結合用非磁性層側の層は、50atomic%以上のコバルト原子、15atomic%以上のボロン原子及び鉄原子を含有する合金であり、該トンネルバリア層側の層は、40atomic%以上の鉄原子、5atomic%以上のボロン原子及び15atomic%以下のコバルト原子を含有するアモルファス合金からなる請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記交換結合用非磁性層は、Ru原子、Rh原子及びIr原子からなる群の中から選択される少なくとも一種を含有する金属又は合金からなり、その膜厚は、1nm以下である請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 ロボット搬送装置を備えた搬送チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置され、コバルト原子、鉄原子及びボロン原子を含有した第一磁性体ターゲット、該第一磁性体ターゲット中のボロン原子と異なる含有率のボロン原子、コバルト原子及び鉄原子を含有した第二磁性体ターゲット、実質的にボロン原子を含有していないコバルト及び鉄原子を含有した第三磁性体ターゲット、反強磁性体を含有した反強磁性体ターゲット及び非磁性体を含有した交換結合用非磁性体ターゲットを備えた第1のスパッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、酸化マグネシウムターゲット及び/又はマグネシウムターゲットを備えた第2のスパッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、磁化自由層を成膜するように為した第3のスパッタリング成膜チャンバ、並びに、
前記第1のスパッタリング成膜チャンバにおいて、基板の上に、前記反強磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により反強磁性層を成膜し、該反強磁性層の上に前記第一磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第一磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、第二磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第二磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、非磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により交換結合用非磁性層を成膜し、該交換結合用非磁性層の上に、前記第三磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第三磁性体の磁化固定層を成膜し、
前記第2のスパッタリング成膜チャンバにおいて、第三磁性体の磁化固定層の上に、酸化マグネシウムターゲット及び/又はマグネシウムターゲットを用いたスパッタリング法により酸化マグネシウム層又は金属マグネシウム層及び酸化マグネシウム層の積層体からなるトンネルバリア層を成膜し、
前記第3のスパッタリング成膜チャンバにおいて、トンネルバリア層の上に、磁化自由層を成膜するように為した搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装置。
 前記第一磁性体ターゲット中のボロン原子含有率は、前記第二磁性体ターゲット中のボロン原子含有率より大きい値である請求項9に記載の磁性多層膜作製装置。
 ロボット搬送装置を備えた搬送チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置され、コバルト原子、鉄原子及びボロン原子を含有した第一磁性体ターゲット、該第一磁性体ターゲット中のボロン原子と異なる含有率のボロン原子、コバルト原子及び鉄原子を含有した第二磁性体ターゲット、反強磁性体を含有した反強磁性体ターゲット及び非磁性体を含有した交換結合用非磁性体ターゲットを備えた第1のスパッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置され、コバルト原子、鉄原子及びボロン原子を含有した第三磁性体ターゲット、該第三磁性体ターゲット中のボロン原子と異なる含有率のボロン原子、コバルト原子及び鉄原子を含有した第四磁性体ターゲットを備えた第2のスパッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、酸化マグネシウムターゲット及び/又はマグネシウムターゲットを備えた第3のスパッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、磁化自由層を成膜するように為した第4のスパッタリング成膜チャンバ、並びに、
前記第1のスパッタリング成膜チャンバにおいて、基板の上に、前記反強磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により反強磁性層を成膜し、該反強磁性層の上に前記第一磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第一磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、第二磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第二磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、非磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により交換結合用非磁性層を成膜し、
前記第2のスパッタリング成膜チャンバにおいて、前記交換結合用非磁性層の上に、前記第三磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第三磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、前記第四磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により第四磁性体の磁化固定層を成膜し、
前記第3のスパッタリング成膜チャンバにおいて、第四磁性体の磁化固定層の上に、酸化マグネシウムターゲット及び/又はマグネシウムターゲットを用いたスパッタリング法により酸化マグネシウム層又は金属マグネシウム層及び酸化マグネシウム層の積層体からなるトンネルバリア層を成膜し、
前記第4のスパッタリング成膜チャンバにおいて、トンネルバリア層の上に、磁化自由層を成膜するように為した搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装置。
 前記第一磁性体ターゲット中のボロン原子含有率は、前記第二磁性体ターゲット中のボロン原子含有率より大きい値である請求項10に記載の磁性多層膜作製装置。
Description:
トンネル磁気抵抗薄膜及び磁性 層膜作製装置

 本発明は、磁気ディスク駆動装置の磁気 生ヘッド、磁気ランダムアクセスメモリの 憶素子及び磁気センサーに用いられるトン ル磁気抵抗薄膜(好ましくは、スピンバルブ 型トンネル磁気抵抗薄膜)及び磁性多層膜作 装置に関する。

 非特許文献1には、アモルファスCoFeBを強 性電極とし、NaCl構造のMgO膜をトンネルバリ ア層としたスピンバルブ型トンネル磁気抵抗 薄膜が開示されている。係るトンネル磁気抵 抗薄膜は、第一磁化固定層としてCoFe層、第 磁化固定層としてアモルファスのCoFeB層が用 いられている。そして、高温アニールによっ てアモルファスCoFeBから体心立方構造のCoFeが 晶出し、(001)配向したMgO層とCoFe(001)[110]//MgO(00 1)[100]のエピタキシャル関係が実現する。こ により、理論通りの高いTMR(トンネル磁気抵 ;Tunneling Magneto Resistance)効果が得られる(非 許文献2参照)。

 しかしながら、交換結合用非磁性層とし 一般的に用いられているRu層は第一磁化固 層と第二磁化固定層の間で高い交換結合磁 を発現するようにその膜厚が薄く設定され いる。具体的には、非特許文献3に開示され いるように、RKKY(Ruderman Kittel Kasuya Yosida) 互作用の2ndピークと言われる0.7乃至0.9nmであ る。そのため、360℃よりも高い温度や、360℃ でも長時間のアニールを行うことによって、 その薄いRu層が第一磁化固定層や第二磁化固 層と拡散し、交換結合磁界を発現しなくな という問題があった(非特許文献2参照)。

 また、そのRu層は反強磁性層として用い れているMn合金からなる反強磁性層からのMn 熱拡散を防止するという効果が報告されて る(非特許文献4参照)。

 リーらの報告によれば、Ru層の膜厚を厚 することによって耐熱性が上がることがわ っており、さらに高温アニールをすること よってMR比(磁気抵抗変化率)がより増加する とがわかっている。

 しかしながら、Ru膜厚の増加はRKKY相互作 に基づく交換結合磁界を低下させてしまう め実用的ではなかった。とりわけ、磁気ラ ダムアクセスメモリの製造工程には350℃を える高温プロセスが存在するため、上記の 題は深刻であった。

D.D.ジャヤプラウィラ(Djayaprawira)ら、「ア プライド・フィジックス・レターズ(Applied Ph ysics Letters)」,86,092502(2005) Y.S.チョイ(Choi)ら,「アプライド・フィジ クス・レターズ(Applied Physics Letters)」,101,01 3907(2007) 長谷川他、「日本応用磁気学会誌」、vol .24,No.9,1239(2000) Y.M.リー(Lee)ら,「アプライド・フィジッ ス・レターズ(Applied Physics Letters)」,89,042506( 2006)

 本発明の課題は、MR比の高いスピンバル 型トンネル磁気抵抗薄膜を提供することに る。より具体的には、交換結合用非磁性層 して用いられるRu層の薄膜を維持したまま、 耐熱性を改善し、高温でのアニールを経ても Ru層が良好に交換結合磁界を発現する構成を 供することにある。

 本発明の第1は、
反強磁性層、
トンネルバリア層、
前記反強磁性層側に位置し、磁性体及びボロ ン原子を含有する第一磁化固定層、
前記トンネルバリア層側に位置し、磁性体及 びボロン原子を含有する第二磁化固定層、
前記第一磁化固定層と前記第二磁化固定層と の間に位置する交換結合用非磁性層、
及び
磁化自由層を有し、
前記第一磁化固定層は、前記反強磁性層側に 位置する反強磁性層側の層と前記交換結合用 非磁性層側に位置する交換結合用非磁性層側 の層とを有し、該反強磁性層側の層と該交換 結合用非磁性層側の層とがそれぞれ含有する ボロン原子のatomic%で表される含有率が互い 異なることを特徴とするトンネル磁気抵抗 膜である。

 本発明においては、以下の構成を好まし 態様として含む。

 前記トンネルバリア層が、(001)配向した 化マグネシウム結晶粒を含んだ酸化マグネ ウム膜である。

 前記第一磁化固定層の反強磁性層側の層 含有するボロン原子の含有率は、前記第一 化固定層の交換結合用非磁性層側の層が含 するボロン原子の含有率より大きい値であ 。

 前記第一磁化固定層の反強磁性層側の層 、50atomic%以上のコバルト原子、5atomic%以上 ボロン原子及び鉄原子を含有する合金であ て、前記第一磁化固定層の交換結合用非磁 層側の層は、50atomic%以上のコバルト原子及 5atomic%未満のボロン原子及び鉄原子を含有す る合金からなる。

 前記第二磁化固定層の交換結合用非磁性 側の層が含有するボロン原子の含有率は、 記第二磁化固定層のトンネルバリア層側の が含有するボロン原子の含有率より大きい である。

 前記第二磁化固定層は、前記交換結合用 磁性層側に位置する交換結合用非磁性層側 層及び前記トンネルバリア層側に位置する ンネルバリア層側の層を有する積層体構造 有し、該交換結合用非磁性層側の層は、50at omic%以上のコバルト原子、15atomic%以上のボロ 原子及び鉄原子を含有する合金であり、該 ンネルバリア層側の層は、40atomic%以上の鉄 子、5atomic%以上のボロン原子及び15atomic%以 のコバルト原子を含有するアモルファス合 からなる。

 前記交換結合用非磁性層は、Ru原子、Rh原 子及びIr原子からなる群の中から選択される なくとも一種を含有する金属又は合金から り、その膜厚は、1nm以下である。

 また、本発明の第2は、
ロボット搬送装置を備えた搬送チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置され、コバルト原子、鉄原子及びボロ ン原子を含有した第一磁性体ターゲット、該 第一磁性体ターゲット中のボロン原子と異な る含有率のボロン原子、コバルト原子及び鉄 原子を含有した第二磁性体ターゲット、実質 的にボロン原子を含有していないコバルト及 び鉄原子を含有した第三磁性体ターゲット、 反強磁性体を含有した反強磁性体ターゲット 及び非磁性体を含有した交換結合用非磁性体 ターゲットを備えた第1のスパッタリング成 チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置し、酸化マグネシウムターゲット及び /又はマグネシウムターゲットを備えた第2の パッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置し、磁性体ターゲットを用いたスパッ タリング法により、磁化自由層を成膜するよ うに為した第3のスパッタリング成膜チャン 、並びに、
前記第1のスパッタリング成膜チャンバにお て、基板の上に、前記反強磁性体ターゲッ を用いたスパッタリング法により反強磁性 を成膜し、該反強磁性層の上に前記第一磁 体ターゲットを用いたスパッタリング法に り第一磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁 固定層の上に、第二磁性体ターゲットを用 たスパッタリング法により第二磁性体の磁 固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、非 性体ターゲットを用いたスパッタリング法 より交換結合用非磁性層を成膜し、該交換 合用非磁性層の上に、前記第三磁性体ター ットを用いたスパッタリング法により第三 性体の磁化固定層を成膜し、
前記第2のスパッタリング成膜チャンバにお て、第三磁性体の磁化固定層の上に、酸化 グネシウムターゲット及び/又はマグネシウ ターゲットを用いたスパッタリング法によ 酸化マグネシウム層又は金属マグネシウム 及び酸化マグネシウム層の積層体からなる ンネルバリア層を成膜し、
前記第3のスパッタリング成膜チャンバにお て、トンネルバリア層の上に、磁化自由層 成膜するように為した搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装 置である。

 本発明においては、前記第一磁性体ター ット中のボロン原子含有率は、前記第二磁 体ターゲット中のボロン原子含有率より大 い値である構成を好ましい態様として含む

 本発明の第3は、
ロボット搬送装置を備えた搬送チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置され、コバルト原子、鉄原子及びボロ ン原子を含有した第一磁性体ターゲット、該 第一磁性体ターゲット中のボロン原子と異な る含有率のボロン原子、コバルト原子及び鉄 原子を含有した第二磁性体ターゲット、反強 磁性体を含有した反強磁性体ターゲット及び 非磁性体を含有した交換結合用非磁性体ター ゲットを備えた第1のスパッタリング成膜チ ンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置され、コバルト原子、鉄原子及びボロ ン原子を含有した第三磁性体ターゲット、該 第三磁性体ターゲット中のボロン原子と異な る含有率のボロン原子、コバルト原子及び鉄 原子を含有した第四磁性体ターゲットを備え た第2のスパッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置し、酸化マグネシウムターゲット及び /又はマグネシウムターゲットを備えた第3の パッタリング成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置し、磁性体ターゲットを用いたスパッ タリング法により、磁化自由層を成膜するよ うに為した第4のスパッタリング成膜チャン 、並びに、
前記第1のスパッタリング成膜チャンバにお て、基板の上に、前記反強磁性体ターゲッ を用いたスパッタリング法により反強磁性 を成膜し、該反強磁性層の上に前記第一磁 体ターゲットを用いたスパッタリング法に り第一磁性体の磁化固定層を成膜し、該磁 固定層の上に、第二磁性体ターゲットを用 たスパッタリング法により第二磁性体の磁 固定層を成膜し、該磁化固定層の上に、非 性体ターゲットを用いたスパッタリング法 より交換結合用非磁性層を成膜し、
前記第2のスパッタリング成膜チャンバにお て、前記交換結合用非磁性層の上に、前記 三磁性体ターゲットを用いたスパッタリン 法により第三磁性体の磁化固定層を成膜し 該磁化固定層の上に、前記第四磁性体ター ットを用いたスパッタリング法により第四 性体の磁化固定層を成膜し、
前記第3のスパッタリング成膜チャンバにお て、第四磁性体の磁化固定層の上に、酸化 グネシウムターゲット及び/又はマグネシウ ターゲットを用いたスパッタリング法によ 酸化マグネシウム層又は金属マグネシウム 及び酸化マグネシウム層の積層体からなる ンネルバリア層を成膜し、
前記第4のスパッタリング成膜チャンバにお て、トンネルバリア層の上に、磁化自由層 成膜するように為した搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装 置である。

 本発明においては、前記第一磁性体ター ット中のボロン原子含有率は、前記第二磁 体ターゲット中のボロン原子含有率より大 い値である構成を好ましい態様として含む

 本発明によれば、高い温度領域でのアニ ル下において、大きなMR比とすることが可 となる。

 また、本発明によれば、高い温度領域での ニール下において、高い交換結合磁界(H ex * )の数値及び高い飽和磁界(H s * )の数値が得られる。

 特に、本発明によれば、350℃以上の高温 ロセスを必須とする磁気ランダムアクセス モリ(MRAM)の製造工程に有利に適用すること できる。

本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の実施 態の断面模式図である。 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の実施 態の断面模式図である。 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜を製造 るためのスパッタリング装置の構成を模式 に示す平面図である。 MRAMの構成を示す図である。 図4のMRAMの1メモリセルの断面模式図で る。 図4のMRAMの1メモリセルの等価回路図で る。 本発明の実施例1のトンネル磁気抵抗薄 膜のMR比のアニール温度依存性を示す図であ 。 本発明の実施例1のトンネル磁気抵抗薄 膜の第一磁化固定層と第二磁化固定層間の交 換結合磁界とその飽和磁界のアニール温度依 存性を示す図である。 トンネル磁気抵抗薄膜における、交換 合用非磁性層を介した第一磁化固定層と第 磁化固定層間の交換結合磁界とその飽和磁 の定義を示す図である。

符号の説明

 1 基板
 2 緩衝層
 3,13 反強磁性層
 4,14 第1磁化固定層
 4a,14a 反強磁性層側の層
 4b,14b 交換結合用非磁性層側の層
 5 交換結合用非磁性層
 6,16 第2磁化固定層
 6c,16c 交換結合用非磁性層側の層
 6d,16d トンネルバリア層側の層
 7,17 トンネルバリア層
 8 磁化自由層
 9 保護層
 20 真空搬送室
 21,22,23,24 スパッタリング室
 21a Co 70 Fe 20 B 10 ターゲット
 21b Taターゲット
 21c PtMnターゲット
 21d Co 60 Fe 20 B 20 ターゲット
 21e Ruターゲット
 22a Co 70 Fe 30 ターゲット
 22b PtMnターゲット
 22c Co 64 Fe 16 B 20 ターゲット
 22d Ruターゲット
 22e Co 22 Fe 66 B 12 ターゲット
 23a MgOターゲット
 23b Mgターゲット
 24a Taターゲット
 24b Co 60 Fe 20 B 20 ターゲット
 24c Ruターゲット
 25 基板前処理室
 26 酸化処理室
 27 ロードロック室
 28 基板搬送用ロボット
 42 書き換え用ワード線
 43 ビット線
 44 読み出し用ワード線
 45 TMR素子
 46 トランジスタ

 本発明の実施の形態について図面を用い 説明する。

 図1及び図2は本発明のトンネル磁気抵抗 膜の好ましい実施形態の断面模式図である

 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜は、少な とも反強磁性層、第一磁化固定層、交換結 用非磁性層、第二磁化固定層、トンネルバ ア層、磁化自由層からなる積層体である。 積層体内において、反強磁性層、第一磁化 定層、交換結合用非磁性層、第二磁化固定 、トンネルバリア層、磁化自由層は当該順 で積層されている。

 図1(a)は、反強磁性層3を基板1側に配置し ボトム型であり、図1(b)は磁化自由層8を基 1側に配置したトップ型である。さらに、本 明においては、図2に示すように、磁化自由 層8を挟んで両側にトンネルバリア層、第二 化固定層、交換結合用非磁性層、第一磁化 定層、反強磁性層を磁化自由層8側から順に 層したデュアル型も好ましく適用される。

 本発明の構成上の特徴は、第一磁化固定 4,14と第二磁化固定層6,16の少なくとも一方 互いに異なる磁性材料からなる2層以上の積 体で構成されていることにある。図1及び図 2の例においては、第一磁化固定層4,14と第二 化固定層6,16の両方が2層構成の場合である 尚、便宜上、第一磁化固定層4,14の、反強磁 層3,13に接する側4a,14aをa層、交換結合用非 性層5,15に接する側4b,14bをb層と呼ぶ。また、 第二磁化固定層6,16の、交換結合用非磁性層5, 15に接する側6c,16cをc層、トンネルバリア層7,1 7に接する側6d,16dをd層と呼ぶ。

 本発明において、互いに異なる磁性材料 らなるとは、磁性材料の構成元素が異なる 構成元素の組み合わせが異なる、構成元素 組み合わせが同じで組成比が異なる場合の ずれもが含まれる。

 本発明において好ましい磁性材料の組み わせとしては、第一磁化固定層4,14の反強磁 性層側の層4a,14aがCoを50atomic%以上、Bを5atomic% 上含むCoFeB合金(CoFeB)である。これに対して 交換結合用非磁性層側の層4b,14bはCoを50atomic %以上含むCoFe合金(CoFe)またはCoを50atomic%以上 Bを5atomic%未満含むCoFeBが好ましい。反強磁性 層側の層4a及び14a、並びに、交換結合用非磁 層側の層4b及び14bには、微量の他の成分、 えば、Ni(ニッケル)やC(カーボン)等を含有す ことができる。

 また、第二磁化固定層6,16の交換結合用非 磁性層側の層6a,16aはCoを50atomic%以上、Bを15atom ic%以上含むCoFeBが好ましい。これに対して、 ンネルバリア層側の層6d,16dはFeを40atomic%以 、Bを5atomic%以上15atomic%以下含むアモルファ のCoFeBが好ましい。交換結合用非磁性層側の 層6a及び16a、並びに、トンネルバリア層側の 6d及び16dには、微量の他の成分、例えば、Ni (ニッケル)、N(窒素)やC(カーボン)等を含有す ことができる。

 尚、本発明において、好ましくは、磁化 由層8で用いるCoFeB合金やCoFe合金にも、該合 金構成元素の100atomic%とすることができるが 微量の他元素(例えば、Ni、N、C等)を含むこ ができる。

 第一磁化固定層4,14の膜厚は、反強磁性層3,1 3と第一磁化固定層4,14の間に作用する交換結 磁界(H ex )が1kOe以上になるような膜厚が好ましい。具 的には、反強磁性層3,13と第一磁化固定層4,1 4に用いる材料によっても異なるが典型的に 2.5nm以下が用いられる。また、第一磁化固定 層4,14のa層4a,14aとb層4b,14bの膜厚比は1:1の均等 な比にする必要性はなく、不均等な膜厚比で あっても薄い方の膜厚が0.5nm以上あれば同様 効果が期待できる。

 第二磁化固定層6,16の総膜厚は、交換結合用 非磁性層5,15を介した第一磁化固定層4,14と第 磁化固定層6,16間の交換結合磁界(H ex * )が1kOe以上になるような膜厚が好ましい。具 的には、第一磁化固定層4,14と交換結合用非 磁性層5,15と第二磁化固定層6,16に用いる材料 よっても異なるが、典型的には3nm以下であ 。また、第二磁化固定層6,16において、c層6c ,16cとd層6d,16dの膜厚比は必ずしも1:1の均等な にする必要性はなく、不均等な膜厚比であ ても薄い方の膜厚が0.5nm以上あれば同様の 果が期待できる。

 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜において トンネルバリア層7,17としては、(001)配向し MgO結晶粒を含んだMgO膜が好ましく用いられ 。係るMgO膜の配向性は、X線回折により確認 することができる。即ち、X線回折(θ-2θ法)に おいて、2θ=43°付近に(200)回折ピークが現れ ば(001)配向であることが間接的にわかる。ま た、より直接的な確認方法としては、透過型 電子顕微鏡により断面像を観察し、その格子 間隔から(001)配向を確認することができる。 の時、MgO層に電子線を照射し、その回折パ ーンを解析することによって、より明確に( 001)配向を確認することができる。

 トンネルバリア層7,17としては、Mg/MgOの2層 も用いることができる。係るMg/MgO膜はツネ ワらがアプライド・フィジックス・レター (Appl.Phys.Lett.),87,072503(2005)に報告している。Mg O膜及びMg/MgOの2層膜の膜厚はトンネル磁気抵 薄膜のトンネル接合抵抗値(RA)に応じて変わ るが、磁気ヘッドや磁気ランダムアクセスメ モリに必要とされるRA値は1乃至10000ωμm 2 であるため、典型的には1乃至2nmの間である

 また、本発明に係る交換結合用非磁性層5 ,15は、Ru、Rh、Irの中から選択される一種もし くは2種以上からなる合金からなり、膜厚が1n m以下であることが好ましい。Ru層の膜厚はRKK Y相互作用によって第一磁化固定層4,14と第二 化固定層6,16の間に反強磁性結合が現れる膜 厚にする必要があり、実用的には2ndピークと 呼ばれる、0.7乃至0.9nmが好ましい。

 さらに、本発明に係る反強磁性層3,13とし ては、PtMnが好ましく用いられ、強い反強磁 結合が現れる膜厚が必要とされるため10乃至 30nmが好ましい。PtMnの他、IrMnやIrMnCr、NiMn、Pd PtMn、RuRhMn、OsMn等も好ましく用いられる。

 次に、本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の 造方法について説明する。本発明のトンネ 磁気抵抗薄膜は、基板1側から順に所望の膜 を積層すればよい。

 図1は、本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の製 造に使用しうるスパッタリング装置の構成を 模式的に示す平面図である。係る装置におい ては、基板搬送用のロボット28が2機搭載され た真空搬送室(搬送チャンバ)20と、真空搬送 20に接続されたスパッタリング室(成膜チャ バ)21乃至24と、基板前処理室25と酸化処理室2 6とロードロック室27から構成される。ロード ロック室27を除く全ての部屋は2×10 -6 Pa以下の真空室であり、各真空室間の基板の 動は真空搬送ロボット28によって真空中に 行われる。

 スピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜を 成するための基板は、初め大気圧にされた ードロック室27に配置され、ロードロック 27を真空排気した後、真空搬送ロボット28に って所望の真空室に搬送される。

 一例として、後述する実施例で作製したボ ム型のトンネル磁気抵抗薄膜を製造する場 を例に挙げて説明する。各層の構成は、緩 層2がTa(10nm)、反強磁性層3がPtMn(15nm)、交換 合用非磁性層5がRu(0.85nm)、トンネルバリア層 7がMgO(1nm)、磁化自由層8がCo 60 Fe 20 B 20 (3nm)とする。また、保護層9はTa(10nm)/Ru(7nm)で る。尚、( )内は膜厚を示す。また、Co 60 Fe 20 B 20 の下付数字はatomic%を示す(以下、同様)。

 PtMn層はアニールによって規則化し反強磁性 が発現するように、Pt含有量が47乃至51(atomic%) となるようにスパッタリングターゲットの組 成と成膜条件(ガス種、ガス圧、投入電力)を 整する。反強磁性層3にIrMnを用いる場合に 、Irの含有量が18乃至30atomic%となるようにス ッタリングターゲットの組成及び成膜条件( ガス種、ガス圧、投入電力)を調整する。膜 はできるだけ高いH ex を得るために4乃至15nmが好ましい。また、緩 層2であるTaとIrMn層の間にfcc構造を持ったIrM nの(111)配向を促進するためのシード層として Ru層を用いるとより効果的であり、その膜厚 1乃至50nmが好ましい。

 上記のような膜構成を効率的に成膜するた に、次のようにスパッタリングターゲット 各スパッタリング室に配置する。スパッタ ング室21にはCo 70 Fe 20 B 10 スパッタリングターゲット21a、Taスパッタリ グターゲット21b、PtMnスパッタリングターゲ ット21c、Co 60 Fe 20 B 20 スパッタリングターゲット21d、及びRuスパッ リングターゲット21eが配置されている。ス ッタリング室22にはCo 70 Fe 30 スパッタリングターゲット22a、PtMnスパッタ ングターゲット22b、Co 64 Fe 16 B 20 スパッタリングターゲット22c、Ruスパッタリ グターゲット22d及びCo 22 Fe 66 B 12 スパッタリングターゲット22eを配置する。ま た、スパッタリング室23にはMgOスパッタリン ターゲット23aとMgスパッタリングターゲッ 23bを配置する。スパッタリング室24にはTaス ッタリングターゲット24a、Co 60 Fe 20 B 20 スパッタリングターゲット24b、Ruスパッタリ グターゲット24cを配置する。ここで、スパ タリング室21又は22を用いた同一のスパッタ リング室において、反強磁性層3、第一磁化 定層4又は14、交換結合用非磁性層5及び第二 化固定層6又は16を積層成膜することができ 。

 また、スパッタリング室21及び22の両方を 用いたスパッタリングにより、図1及び図2に 示する反強磁性層3、第一磁化固定層4又は14 、交換結合用非磁性層5及び第二磁化固定層6 は16からなる積層体を成膜することができ 。

 (成膜例)
 基板1を基板前処理室25に搬送し、逆スパッ エッチングにより、大気中で汚染された表 層の約2nmを物理的に除去する。その後、ス ッタリング室21に搬送して、スパッタリン 室21内で、Ta(緩衝層2)/PtMn(反強磁性層3)/第一 化固定層4/Ru(交換結合用非磁性層5)/第二磁 固定層6までを積層成膜する(第1プロセス)。

 また、基板1を基板前処理室25に搬送し、 スパッタエッチングにより、大気中で汚染 れた表面層の約2nmを物理的に除去し、その 、スパッタリング室21に搬送して、スパッ リング室21内で、Ta(緩衝層2)を成膜する。次 で、Ta(緩衝層2)付き基板1をスパッタリング 22に移動して、スパッタリング室22内で、PtM n(反強磁性層3)/第一磁化固定層4/Ru(交換結合 非磁性層5)/第二磁化固定層6までを積層成膜 る(第2プロセス)。

 上記第1プロセス及び第2プロセスの場合 おいて、第二磁化固定層6まで成膜した後は スパッタリング室23に移動してトンネルバ ア層7としてMgO(酸化マグネシウム)膜またはMg (マグネシウム)/MgO(酸化マグネシウム)の2層膜 を成膜する。

 また、MgOトンネルバリア層の形成方法と て、スパッタリング室23で金属Mg膜を成膜し 、その後酸化処理室26に基板を搬送してラジ ル酸化法や自然酸化法などによってMg層を 化処理してNaCl構造のMgO膜を形成してもよい トンネルバリア層7形成後、スパッタリング 室24に搬送して、CoFeB(磁化自由層8)/Ta(保護層9 )/Ru(保護層9)を成膜して、ロードロック室27に 帰す。

 この後、作製したトンネル磁気抵抗薄膜 、磁場中アニール炉に入れ、強さ8kOe以上の 一方向に平行な磁場を印加しながら、真空中 にて所望の温度と時間でアニール処理を行う 。適切な温度と時間については、定性的には アモルファスCoFeB層の結晶化エネルギー以上 つ、交換結合用非磁性層として使われる極 Ru層が熱拡散によって劣化するエネルギー 下であることである。典型的には250℃以上36 0℃以下であるが、前記エネルギーとの関係 ら、低温の場合には5時間以上の長時間が、 温の場合には2時間以下の短時間が好ましい 。

 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜は、磁気 ィスク駆動装置の磁気再生ヘッド、磁気ラ ダムアクセスメモリ(MRAM)の記憶素子及び磁 センサーに好ましく用いられる。以下に本 明のトンネル磁気抵抗薄膜を用いたMRAMを例 に挙げて説明する。

 図4はMRAMの構造を模式的に示す図であり 図5はその1メモリセルの断面模式図、図6は1 モリセルの等価回路図である。MRAMにおいて 、42は書き換え用ワード線、43はビット線、44 は読み出し用ワード線、45は磁気抵抗素子で る。多数のメモリセルのそれぞれは、複数 ビット43と読み出し用ワード線44の各交点位 置に配置され、格子状の位置関係に配置され 、それぞれが1ビットの情報を記憶する。

 MRAMのメモリセルは、図5、図6に示す如く ビット線43と読み出し用ワード線44の交点位 置において、1ビットの情報を記憶する磁気 抗(TMR)素子45と、スイッチ機能を有するトラ ジスタ46とから構成される。本発明のトン ル磁気抵抗薄膜は上記TMR素子45として用いら れる。

 TMR素子45は、図1(a)に示すトンネルバリア 7の両側の強磁性層(第二磁化固定層6及び磁 自由層8)との間に所要電圧を印加して一定 流を流した状態において、外部磁場をかけ 。第二磁化固定層6と磁化自由層8の磁化の向 きが平行で同じである時(平行状態)、TMR素子4 5の電気抵抗は最小になり、第二磁化固定層6 磁化自由層8の磁化の向きが平行で反対であ る時(反平行状態)、TMR素子45の電気抵抗は最 になる。このように、外部磁場によってTMR 子45に平行状態と反平行状態を作り出すこと により、抵抗値変化として「1」もしくは「0 の情報の記憶を行うことができる。

 図4のMRAMにおいては、図5に示すように、 み出し用ワード線44と平行に、即ちビット 43と交差して書き換え用ワード線42がTMR素子4 5の下方に配置されている。よって、ビット 43と書き換え用ワード線42とに電流を流すこ によって磁界が誘起され、ビット線43と書 換え用ワード線42との交点にあたるメモリセ ルのTMR素子45の磁化自由層のみが両者からの 界の影響を受けて磁化反転する。他のメモ セルのTMR素子45は両者の磁界の影響を全く けないか、もしくはビット線43及び書き換え 用ワード線42のいずれか一方の磁界の影響し 受けないため、磁化自由層が磁化反転しな 。このようにして、所望のメモリセルのTMR 子45の磁化自由層のみ磁化反転させて書き みを行う。読み出しの際には、TMR素子45の下 方に位置するトランジスタ46のゲートが読み し用ワード線44の役割を担う。ビット線43と 読み出し用ワード線44の交点に位置するメモ セルのTMR素子45のみに電流が流れるため、 の時の電圧を検出することによって、係るTM R素子45の抵抗値を測定し、「1」もしくは「0 の情報を得ることができる。

 (実施例1)
 図3に示した装置を用いて、ボトム型のスピ ンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜を作製した 。本例では、緩衝層2がTa(10nm)、反強磁性層3 PtMn(15nm)、交換結合用非磁性層5がRu(0.85nm)、 ンネルバリア層7がMgO(1nm)、磁化自由層8がCo 60 Fe 20 B 20 (3nm)とした。また、保護層9はTa(10nm)/Ru(7nm)と た。第一磁化固定層4の反強磁性層側の層4a はCo 60 Fe 20 B 20 (1.25nm)を、交換結合用非磁性層側の層4bにはCo 70 Fe 20 B 10 (1.25nm)を、第二磁化固定層6にはCo 60 Fe 20 B 20 (3nm)の単層を用いた。

 一方、比較例として、第一磁化固定層4の反 強磁性層側の層4aには、Co 70 Fe 20 B 10 (2.5nm)を用い、交換結合用非磁性層側の層4bに は、Co 60 Fe 20 B 20 (1.25nm)とした以外は、上記と同じ構成のトン ル磁気抵抗薄膜を作製した。

 本例の場合、緩衝層2のTaからトンネルバ ア層8の成膜前までの工程(第二磁化固定層6 での工程)を図3に示すスパッタリング室21の 中で連続して実施した。

 図7と図8は、夫々、アニール時間を2時間 定のままアニール温度を270℃から400℃の範 において、変化させた時のMR比と交換結合 界を示している。

 図7の図中、特性曲線71は本発明例の特性 示し、72は上記比較例の特性を示している

 図7の特性比較によれば、比較例はアニー ル温度380℃を境に、MR比の急激な減少が見え 。一方、本発明例は400℃付近まで、安定で 高いMR比を維持している。

 図8は、スピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄 膜の磁化曲線において、交換結合用非磁性層 5を介した第一磁化固定層4と第二磁化固定層6 間の交換結合磁界(H ex * )とその飽和磁界(H s * )のアニール温度依存性を示している。H ex * とH s * の定義は図9に示す。

 図8の図中、特性曲線81は本発明例の交換結 磁界(H ex * )を示し、特性曲線82は比較例の交換結合磁界 (H ex * )を示している。

 図8の図中、特性曲線83は本発明例の飽和磁 (H s * )を示し、特性曲線84は比較例の飽和磁界(H s * )を示している。

 図8によれば、交換結合磁界H ex * は本発明例が比較例と比較し、高温領域で高 い値を示している。飽和磁界H s * は本発明例が比較例と比較し、低温側でも高 い値を示す効果が得られる。

 尚、本例において、MR比、H s * 、H ex * の測定方法は以下の通りである。

 MR比:12端子プローブのCurrent-In-Plane Tunnelin g(CIPT)法を用いた。CIPT法の測定原理はD.C.Worled ge,P.L.Trouilloud,「アプライド・フィジックス・ レターズ(Applied Physics Letters)」,83(2003),84-86に 記載されている。

 H s * 、H ex * :振動試料型磁力計(VSM)を用い、得られた磁化 曲線から求めた。VSMの測定原理は例えば、「 実験物理学講座6 磁気測定I」、近桂一郎、 岡弘志編、丸善東京、2000年2月15日発行に示 れている。

 (実施例2)
 前記実施例1の本発明例で用いた第二磁化固 定層6(Co 60 Fe 20 B 20 (3nm)の単層)に換えて、第二磁化固定層6の交 結合用非磁性層側の層6cにCo 64 Fe 16 B 20 (膜厚:1.5nm)を用い、トンネルバリア層側の層6 dにCo 22 Fe 66 B 12 (膜厚:1.5nm)を用いた以外は、実施例1の本発明 例と同様の層構成とした。

 本例は、基板1の上にTa層(緩衝層2)を図3の スパッタリング室21で成膜し、Ta層付き基板1 スパッタリング室22に移送し、このスパッ リング室22で、第一磁化固定層2から第二磁 固定層6までを連続的に成膜した。

 本例のトンネル磁気抵抗薄膜において、 施例1と同様に2時間のアニール時間でアニ ル温度を変えていった場合のMR比と交換結合 磁界を調べたところ、実施例1と同様に比較 と比較し、高温のアニール温度でも高いMR比 、と交換結合磁界と飽和磁界とが確認された 。

 (実施例3)
 図2に図示したトンネル磁気抵抗薄膜におい て、第一磁化固定層4及び第二磁化固定層6と て、前記実施例2で用いた第二磁化固定層6 同一のものを用い、その他の層は、実施例1 同一ものを用いた。

 尚、本例では、基板1の上にTa層(緩衝層2) 図3のスパッタリング室21で成膜し、同じく 図3のスパッタリング室21で、第一磁化固定 4から第二磁化固定層6までのプロセスを実 し、トンネルバリア層8をスパッタリング室2 3で成膜し、第二磁化固定層16から第一磁化固 定層14までのプロセスをスパッタリング室22 実施した。

 本例は、前記実施例1と同様の結果が得ら れた。