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Title:
MAGNETRON SPUTTERING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047235
Kind Code:
A1
Abstract:
The objective is to achieve improved sputter process efficiency and production efficiency for a magnetron sputtering method that uses a rectangular target. This magnetron sputtering device (10) is an upright, transit-type sputtering device that forms a sputter film while standing substrates (PL), (PR) upright and causing them to move (transit), and that is equipped with a single or a shared magnetic field generation mechanism (42) and symmetrical targets (12L), (12R) to the left/right (top/bottom in the figure), thus configuring a sputtering device that can process two substrates simultaneously.

Inventors:
OHMI TADAHIRO (JP)
GOTO TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/067601
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOHOKU NAT UNIV CORP (JP)
OHMI TADAHIRO (JP)
GOTO TETSUYA (JP)
International Classes:
C23C14/35; C23C14/34; H01L21/285
Domestic Patent References:
WO2007043476A12007-04-19
Foreign References:
JPS62149869A1987-07-03
JP2000169962A2000-06-20
JP2004027272A2004-01-29
JP2005213570A2005-08-11
JP2006134825A2006-05-25
JPS644472A1989-01-09
JPS6342368A1988-02-23
JPS4964549U1974-06-06
JPS4960046U1974-05-27
JP2003147519A2003-05-21
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, Noriyasu et al. (JP)
Noriyasu Ikeda (JP)
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Claims:
 1本の柱状回転軸の外周面に所定の配列パターンで取り付けられた複数の板状磁石からなる回転磁石群を含み、前記回転磁石群を前記柱状回転軸と一体に回転駆動する磁界発生機構と、
 各々が前記回転磁石群に背を向けて前記柱状回転軸と平行に延び、前記柱状回転軸の半径方向で相互に重なり合わないように前記回転磁石群の周囲に設けられる複数のターゲット保持機構と、
 前記複数のターゲット保持機構のおもて面に対向させて被処理基板をそれぞれ個別に出し入れ可能に収容する減圧可能な複数の処理室と、
 各々の前記処理室内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、
 各々の前記処理室内で前記スパッタガスのプラズマを生成するために、各々前記ターゲットに放電用の電力を供給する電力供給機構と
 を有し、
 前記磁界発生機構により前記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるための磁界を形成し、前記複数の処理室内でスパッタ処理を可能にした、
 マグネトロンスパッタ装置。
 前記柱状回転軸の周囲に設けられる前記ターゲット保持機構は2つであり、それら2つのターゲット保持機構は前記柱状回転軸を挟んで互いに平行に配置される、請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記磁界発生機構が、前記複数のターゲット保持機構に保持されるターゲットのそれぞれのおもて面上において、前記柱状回転軸の軸方向に対して交わる方向に延びる円形または楕円形のプラズマリングを形成し、前記回転磁石群を回転させることにより前記プラズマリングを前記柱状回転軸の軸方向と平行に移動させる、請求項1または請求項2に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記磁界発生機構が、前記回転磁石群の各々を取り囲むようにそれぞれ配置された複数の固定外周板磁石または強磁性体を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記回転磁石群を構成する板状磁石は、表面がN極およびS極の一方に磁化されており、表面がN極およびS極の他方に磁化された他の板状磁石または強磁性体と前記柱状回転軸の外周面に沿って帯状に並進しながら巻かれるような配列パターンで前記柱状回転軸に取り付けられる、請求項4に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記回転磁石群を構成する板状磁石は、板厚方向で磁化されており、N極とS極とがそれぞれ帯状に前記柱状回転軸の外周面に沿って前記柱状回転軸の軸方向の位置を変化させながら一周するかまたは螺旋状に巻かれるような磁極リングが前記柱状回転軸の軸方向に一定のピッチで1つまたは複数形成される配列パターンで前記柱状回転軸に取り付けられ、
 前記固定外周板磁石は、板厚方向で磁化されており、そのN極またはS極のいずれか一方の磁極が前記ターゲット保持機構と対向するように配置される、請求項4に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記電力供給機構が、前記複数のターゲット保持機構にそれぞれ個別的に電気的に接続される複数の直流電源を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記電力供給機構が、前記複数のターゲット保持機構にそれぞれ個別的に電気的に接続される複数の高周波電源を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記電力供給機構より前記複数のターゲット保持機構にそれぞれ与えられる高周波を相互に隔離するために、前記複数のターゲット保持機構の背面側の高周波給電部をそれぞれ個別的に覆う電気的に接地された導電体カバーを有する、請求項8に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記複数のターゲット保持機構が、ターゲットを背面側から支持するための複数の導電性バッキングプレートをそれぞれ有し、各々のターゲットを各対応するバッキングプレートを介して前記電力供給機構に電気的に接続する、請求項1~9のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記磁界発生機構より前記複数のターゲット保持機構にそれぞれ与えられる磁界を相互に隔離するために、前記複数のターゲット保持機構の背面側の磁界空間をそれぞれ個別的に覆う複数の磁性体カバーを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 各々の前記処理室内で、前記ターゲット保持機構の正面に設けられるスパッタ空間を前記基板が横切って通過するように、前記ターゲット保持機構と平行でかつ前記柱状回転軸の軸方向と交わる方向に前記基板を移動させる基板移動機構を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記基板移動機構が前記基板を重力の方向に略平行な姿勢で移動させるように、装置各部が配置される、請求項12に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記柱状回転軸の軸方向が重力の方向に略一致するように、装置各部が配置される、請求項13に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記複数の処理室の間に前記基板を減圧下で搬送するための搬送室を設けて、前記搬送室を介して各々の前記基板を前記複数の処理室の間で転送し、各々の前記基板に対して各処理室毎の成膜処理をインラインで連続的に施す、請求項1~14のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 第1の柱状回転軸の外周面に所定の配列パターンで取り付けられた複数の板状磁石からなる第1の回転磁石群を含み、前記第1の回転磁石群を前記第1の柱状回転軸と一体に回転駆動する第1の磁界発生機構と、
 前記第1の回転磁石群に背を向けて前記第1の柱状回転軸と平行に延び、前記第1の回転磁石群の片側に配置される第1のターゲット保持機構と、
 前記第1の回転磁石群に背を向けて前記第1の柱状回転軸と平行に延び、前記第1のターゲット保持機構と平行に向かい合って前記第1の回転磁石群の反対側に配置される第2のターゲット保持機構と、
 前記第1の柱状回転軸から離間してそれと平行に延びる第2の柱状回転軸の外周面に所定の配列パターンで取り付けられた複数の板状磁石からなる第2の回転磁石群を含み、前記第2の回転磁石群を前記第2の柱状回転軸と一体に回転駆動する第2の磁界発生機構と、
 前記第2の回転磁石群に背を向けて前記第2の柱状回転軸と平行に延び、前記第1のターゲット保持機構と略面一で前記第2の回転磁石群の片側に配置される第3のターゲット保持機構と、
 前記第2の回転磁石群に背を向けて前記第2の柱状回転軸と平行に延び、前記第3のターゲット保持機構と平行に向かい合い、かつ前記第2のターゲット保持機構と略面一で前記第2の回転磁石群の反対側に配置される第4のターゲット保持機構と、
 前記第1、第2、第3および第4のターゲット保持機構のおもて面に対向させて被処理基板を出し入れ可能にそれぞれ収容する減圧可能な第1、第2、第3および第4の処理室と、
 前記第1、第2、第3および第4の処理室内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、
 前記第1、第2、第3および第4の処理室内で前記スパッタガスのプラズマを生成するために、前記第1、第2、第3および第4のターゲット保持機構に放電用の電力を供給する電力供給機構と
 を有し、
 前記第1の磁界発生機構により第1および第2のターゲット保持機構に対して前記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるための磁界を形成して、前記第1および第2の処理室内でスパッタ処理を可能にし、
 前記第2の磁界発生機構により第3および第4のターゲット保持機構に対して前記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるための磁界を形成して、前記第3および第4の処理室内でスパッタ処理を可能にした、マグネトロンスパッタ装置。
 前記第1および第3の処理室内で、前記第1および第3のターゲット保持機構の正面にそれぞれ設けられる第1および第3のスパッタ空間を前記第1の被処理基板が横切って順次通過するように、前記第1および第3のターゲット保持機構と平行でかつ前記第1および第2の柱状回転軸の軸方向と直交する方向に前記第1の被処理基板を移動させる第1の基板移動機構と、
 前記第2および第4の処理室内で、前記第2および第4のターゲット保持機構の正面にそれぞれ設けられる第2および第4のスパッタ空間を前記第2の被処理基板が横切って順次通過するように、前記第2および第4のターゲット保持機構と平行でかつ前記第1および第2の柱状回転軸の軸方向と直交する方向に前記第2の被処理基板を移動させる第2の基板移動機構と、
 を有する、請求項16に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 1本の柱状回転軸の外周面に所定の配列パターンで取り付けられた複数の板磁石からなる回転磁石群を含み、前記回転磁石群を前記柱状回転軸と一体に回転駆動する磁界発生機構と、
 各々が前記回転磁石群に背を向けて前記柱状回転軸と平行に延び、前記柱状回転軸の半径方向で相互に重なり合わないように前記回転磁石群の周囲に設けられる複数のターゲット保持機構と、
 前記複数のターゲット保持機構を一括収容し、被処理基板を出し入れ可能に収容する減圧可能な処理室と、
 前記複数のターゲット保持機構の中の所望の一つを稼動ターゲット保持機構として前記処理室内に設定された正規スパッタ空間と対向する所定の稼動位置に位置合わせするために、前記複数のターゲット保持機構を前記柱状回転軸の周囲で周回方向に一体的に移動させるインデックス送り機構と、
 前記処理室内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、
 前記正規スパッタ空間で前記スパッタガスを放電させるために、前記処理室内で前記稼動ターゲット保持機構に放電用の電力を供給する電力供給機構と
 を有し、
 前記磁界発生機構により前記稼動ターゲット保持機構に対して前記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるための磁界を形成し、前記正規スパッタ空間でスパッタ処理を可能にした、マグネトロンスパッタ装置。
 前記処理室内で、前記複数のターゲット保持機構の中の前記稼動ターゲット保持機構以外の1つまたは複数のターゲット保持機構と対向する位置にダミースパッタ空間を設け、
 前記電力供給機構が、前記ダミースパッタ空間で前記スパッタガスを放電させるために、前記非稼動ターゲット保持機構にも放電用の電力を供給し、
 前記磁界発生機構により前記非稼動ターゲット保持機構に対して前記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるための磁界を形成し、前記ダミースパッタ空間でダミースパッタを可能にした、請求項18に記載のマグネトロンスパッタ装置。
 前記非稼動ターゲットに保持されるターゲットより前記ダミースパッタ空間に放出されたスパッタ粒子を受け止めて堆積させるダミースパッタ防着部を有する、請求項19に記載のマグネトロンスパッタ装置。
Description:
マグネトロンスパッタ装置

 本発明は、スパッタプロセスにマグネト ン放電を利用するマグネトロンスパッタ法 係り、特に短冊形のターゲットを用いるマ ネトロンスパッタ装置に関する。

 半導体デバイスやフラットパネルディス レイ(FPD:Flat Panel Display)の製造では、被処 基板(半導体ウエハ、ガラス基板等)上に所定 の薄膜を形成する工程とその薄膜をリソグラ フィでパターニングしてエッチング加工する 工程とが数多く繰り返される。スパッタ法は 、ターゲット(薄膜母材)をイオン衝撃でスパ タしてターゲット材料原子を基板上に堆積 せる物理的気相成長法(PVD: Physical Vapor Depo sition)の薄膜形成技術であり、半導体プロセ で広く用いられている。中でも、マグネト ンスパッタ法が最も実用的でスパッタ法の 流になっている。

 マグネトロンスパッタ法は、一般に平行 板型の2極スパッタ装置において、カソード 側のターゲットの裏側に磁石を配置して、タ ーゲットの表側に漏れる磁界を形成する。こ こで、漏れ磁界がターゲット表面と平行にな る成分を有し、その平行磁界成分がターゲッ ト表面と平行でかつ磁力線と直交する方向で ループ状に分布するように、両極性(N極/S極) 磁石を配置する。そうすると、イオンの入 によってターゲット表面からたたき出され 二次電子がローレンツ力を受けて上記ルー に沿ってサイクロイドの閉じた軌跡を描い 運動しながらターゲット表面付近に束縛さ 、マグネトロン放電によりスパッタガスの ラズマ化ないしイオン化を促進する。この 法によれば、低い圧力でも大きな電流密度 得られ、低温・高速のスパッタ成膜が可能 ある。

 マグネトロンスパッタ法において、典型 な平行平板型2極スパッタの形態を採る場合 は円板形または角板形のターゲットが用いら れている。この場合、ターゲット表面に形成 される漏れ磁界が静止していると、上記ルー プつまりプラズマリングと対向する部分での み局所的にターゲット表面が侵食されてしま い、ターゲットの有効利用率が低いばかりか 、スパッタ成膜の均一性の面でも望ましくな い。そこで、プラズマリングがターゲット表 面を出来るだけ広い範囲に亘ってなぞるよう に、ターゲットの裏側で磁石を適宜移動(回 ・直進・揺動等)させる機構を設けている。

 特許文献1には、比較的細長い角板形つま り短冊形のターゲットを使用し、ターゲット 表面の侵食領域をターゲット長手方向で移動 させて、ターゲットの利用率および消耗均一 性ならびにスパッタ成膜の均一性を向上させ たマグネトロンスパッタ装置が開示されてい る。

 このマグネトロンスパッタ装置において 、ターゲットの背後で、ターゲット長手方 と平行に延びる柱状回転軸の外周にN極の板 磁石およびS極の板磁石を軸方向に一定の間 を空けてそれぞれ螺旋状に貼り付けてなる 転磁石群を構成するとともに、ターゲット 略同等の外郭寸法(幅寸法・長さ寸法)を有し 、ターゲットの背面に近接した位置でそれら 回転磁石群の周囲を取り囲む矩形の枠状固定 外周板磁石を設ける。かかる磁界発生機構に よれば、ターゲットのおもて面上に螺旋のピ ッチに略等しい短軸とターゲットの幅寸法に 略等しい長軸とを有する略楕円形のプラズマ リングを軸方向に並べて多数形成することが できる。そして、回転磁石群を柱状回転軸と 一体に回転させることにより、それら多数の プラズマリングをターゲット長手方向で移動 させるようにしている。

国際公開WO2007/043476

 特許文献1で開示されたマグネトロンスパ ッタ装置においては、上記のような柱状回転 軸に取り付けられる回転磁石群とその周囲に 配置される固定外周板磁石との磁気的結合の 構造上、原理的には、短冊形ターゲットのサ イズが、軸方向では特に限界はないが、幅方 向では120~130mm位が限界であるとされている。 したがって、一般のFPD用基板はもちろん大口 径(たとえば300mm)の半導体ウエハでも、1つの 冊形ターゲットを用いて基板の全面にスパ タ膜を形成するには、ターゲットおよび基 の両者を静止させる方式は使えず、両者を 方向で相対的に移動させて基板の一端から 端までスパッタ成膜の走査を行う方式が採 れる。通常は、ターゲット側を固定し、タ ゲット正面のスパッタ空間を基板が横切っ 通過するように基板を移動させるようにし いる。

 このような走査方式を採ることによって 装置を連続的に動作させ、稼動率を最大限 上げることはできる。しかしながら、FPD製 ラインあるいは半導体製造ラインにおいて 様々な減圧処理装置からなるインラインシ テムにマグネトロンスパッタ装置を組み込 場合は、稼動率だけでなく装置1台当たりの 生産効率が装置採用の重要な要件になる。す なわち、生産効率が低ければ、それを補うた めに装置台数を増やす結果、装置コストはも ちろんフットプリントが増大するという不利 点があり、装置性能の評価は下がる。

 本発明は、上記のような従来技術の実状 よび問題点に鑑みてなされたものであって マグネトロンスパッタ法におけるスパッタ 理効率ないし生産効率の飛躍的な向上を実 するマグネトロンスパッタ装置を提供する とを目的とする。

 上記の目的を達成するために、本発明の 1の観点におけるマグネトロンスパッタ装置 は、1本の柱状回転軸の外周面に所定の配列 ターンで取り付けられた複数の板状磁石か なる回転磁石群を含み、前記回転磁石群を 記柱状回転軸と一体に回転駆動する磁界発 機構と、各々が前記回転磁石群に背を向け 前記柱状回転軸と平行に延び、前記柱状回 軸の半径方向で相互に重なり合わないよう 前記回転磁石群の周囲に設けられる複数の ーゲット保持機構と、前記複数のターゲッ 保持機構のおもて面に対向させて被処理基 をそれぞれ個別に出し入れ可能に収容する 圧可能な複数の処理室と、各々の前記処理 内にスパッタガスを供給するためのガス供 機構と、各々の前記処理室内で前記スパッ ガスのプラズマを生成するために、各々前 ターゲットに放電用の電力を供給する電力 給機構とを有し、前記磁界発生機構により 記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるた の磁界を形成し、前記複数の処理室内でス ッタ処理を可能とする。

 上記第1の観点におけるマグネトロンスパ ッタ装置においては、上記の構成により、単 一または共通の磁界発生機構を用いて複数の 処理室で複数のターゲットにより複数の基板 に同一材質あるいは異種材質の薄膜を同時形 成することが可能であり、コンパクトな装置 一台で装置二台分のスループットないし生産 効率を実現することができる。また、マグネ トロン放電特性に最も影響する磁界発生機構 が複数の処理室に対して共通であるため、処 理室間の機差をなくすことも可能である。

 柱状回転軸の周囲に設けられるターゲッ 保持機構が2つの場合は、それら2つのター ット保持機構は柱状回転軸を挟んで互いに 行に配置されてよい。

 本発明の好適な一態様においては、磁界 生機構が、複数のターゲット保持機構に保 されるターゲットのおもて面上において、 状回転軸の軸方向に対して交わる方向に延 る円形または楕円形のプラズマリングを形 し、回転磁石群を回転させることによりプ ズマリングを柱状回転軸の軸方向と平行に 動させる。

 別の好適な一態様においては、磁界発生 構が、回転磁石群の各々を取り囲むように れぞれ配置された複数の固定外周板磁石ま は強磁性体を有する。この場合、好ましく 、回転磁石群を構成する板状磁石が、表面 N極およびS極の一方に磁化されており、表 がN極およびS極の他方に磁化された他の板状 磁石または強磁性体と前記柱状回転軸の外周 面に沿って帯状に並進しながら巻かれるよう な配列パターンで前記柱状回転軸に取り付け られる。また、好ましくは、固定外周板磁石 は、板厚方向で磁化されており、そのN極ま はS極のいずれか一方の磁極がターゲット保 機構と対向するように配置されてよい。

 好適な一態様において、回転磁石群を構 する板状磁石は、板厚方向で磁化されてお 、N極とS極とがそれぞれ帯状に柱状回転軸 外周面に沿って柱状回転軸の軸方向の位置 変化させながら一周するかまたは螺旋状に かれるような磁極リングが柱状回転軸の軸 向に一定のピッチで1つまたは複数形成され 配列パターンで前記柱状回転軸に取り付け れる。そして、固定外周板磁石は、板厚方 で磁化されており、そのN極またはS極のい れか一方の磁極が前記ターゲット保持機構 対向するように配置される。

 別の好適な一態様においては、電力供給 構が、複数のターゲット保持機構にそれぞ 個別的に電気的に接続される複数の直流電 および/または複数の高周波電源を有する。 この場合、好ましくは、電力供給機構より複 数のターゲット保持機構にそれぞれ与えられ る高周波を相互に隔離するために、複数のタ ーゲット保持機構の背面側の高周波給電部を それぞれ個別的に覆う電気的に接地された導 電体カバーが設けられる。そして、複数のタ ーゲット保持機構がターゲットを背面側から 支持する複数の導電性バッキングプレートを それぞれ有し、各々のターゲットは各対応す るバッキングプレートを介して電力供給機構 に電気的に接続される。

 別の好適な一態様においては、磁界発生 構より複数のターゲット保持機構にそれぞ 与えられる磁界を相互に隔離するために、 数のターゲット保持機構の背面側の磁界空 をそれぞれ個別的に覆う複数の磁性体カバ が設けられる。

 別の好適な一態様においては、各々の処 室内で、ターゲット保持機構の正面に設け れるスパッタ空間を基板が横切って通過す ように、ターゲット保持機構と平行でかつ 状回転軸の軸方向と直交する方向に基板を 動させる基板移動機構が備えられる。好ま くは、基板移動機構が基板を重力の方向に 平行な姿勢で移動させるように、装置各部 縦型に配置されてよい。典型的には、柱状 転軸の軸方向が重力の方向に略一致するよ に、装置各部が配置されてよい。

 また、本発明のマグネトロンスパッタ装 は、複数の処理室の間に基板を減圧下で搬 するための搬送室を設けて、搬送室を介し 各々の基板を複数の処理室の間で転送し、 々の基板に対して各処理室毎の成膜処理を ンラインで連続的に施す構成を採ることが きる。

 本発明の第2の観点におけるマグネトロン スパッタ装置は、第1の柱状回転軸の外周面 所定の配列パターンで取り付けられた複数 板状磁石からなる第1の回転磁石群を含み、 記第1の回転磁石群を前記第1の柱状回転軸 一体に回転駆動する第1の磁界発生機構と、 記第1の回転磁石群に背を向けて前記第1の 状回転軸と平行に延び、前記第1の回転磁石 の片側に配置される第1のターゲット保持機 構と、前記第1の回転磁石群に背を向けて前 第1の柱状回転軸と平行に延び、前記第1のタ ーゲット保持機構と平行に向かい合って前記 第1の回転磁石群の反対側に配置される第2の ーゲット保持機構と、前記第1の柱状回転軸 から離間してそれと平行に延びる第2の柱状 転軸の外周面に所定の配列パターンで取り けられた複数の板状磁石からなる第2の回転 石群を含み、前記第2の回転磁石群を前記第 2の柱状回転軸と一体に回転駆動する第2の磁 発生機構と、前記第2の回転磁石群に背を向 けて前記第2の柱状回転軸と平行に延び、前 第1のターゲット保持機構と略面一で前記第2 の回転磁石群の片側に配置される第3のター ット保持機構と、前記第2の回転磁石群に背 向けて前記第2の柱状回転軸と平行に延び、 前記第3のターゲット保持機構と平行に向か 合い、かつ前記第2のターゲット保持機構と 面一で前記第2の回転磁石群の反対側に配置 される第4のターゲット保持機構と、前記第1 第2、第3および第4のターゲット保持機構の もて面に対向させて被処理基板を出し入れ 能にそれぞれ収容する減圧可能な第1、第2 第3および第4の処理室と、前記第1、第2、第3 および第4の処理室内にスパッタガスを供給 るためのガス供給機構と、前記第1、第2、第 3および第4の処理室内で前記スパッタガスの ラズマを生成するために、前記第1、第2、 3および第4のターゲット保持機構に放電用の 電力を供給する電力供給機構とを有し、前記 第1の磁界発生機構により第1および第2のター ゲット保持機構に対して前記スパッタガスの プラズマを閉じ込めるための磁界を形成して 、前記第1および第2の処理室内でスパッタ処 を可能とし、前記第2の磁界発生機構により 第3および第4のターゲット保持機構に対して 記スパッタガスのプラズマを閉じ込めるた の磁界を形成して、前記第3および第4の処 室内でスパッタ処理を可能とする。

 上記第2の観点におけるマグネトロンスパ ッタ装置においては、第1の磁界発生機構に する第1および第2の処理室の並列配置と第2 磁界発生機構に対する第3および第4の処理室 の並列配置とにより、4つの処理室で4つのタ ゲットを用いて4枚の基板に同一材質あるい は異種材質の薄膜を同時形成することが可能 であるとともに、第1および第3の処理室の直 配置と第2および第4の処理室の直列配置と より同一基板に対する同種または異種の薄 の積層形成をスムースに効率よく行うこと できる。

 本発明の好適な一態様によれば、第1およ び第3の処理室内で、第1および第3のターゲッ ト保持機構の正面にそれぞれ設けられる第1 よび第3のスパッタ空間を第1の被処理基板が 横切って順次通過するように、第1および第3 ターゲット保持機構と平行でかつ第1および 第2の柱状回転軸の軸方向と直交する方向に 1の被処理基板を移動させる第1の基板移動機 構と、第2および第4の処理室内で、第2および 第4のターゲット保持機構の正面にそれぞれ けられる第2および第4のスパッタ空間を第2 被処理基板が横切って順次通過するように 第2および第4のターゲット保持機構と平行で かつ第1および第2の柱状回転軸の軸方向と直 する方向に第2の被処理基板を移動させる第 2の基板移動機構とが設けられる。

 本発明の第3の観点におけるマグネトロン スパッタ装置は、1本の柱状回転軸の外周面 所定の配列パターンで取り付けられた複数 板磁石からなる回転磁石群を含み、前記回 磁石群を前記柱状回転軸と一体に回転駆動 る磁界発生機構と、各々が前記回転磁石群 背を向けて前記柱状回転軸と平行に延び、 記柱状回転軸の半径方向で相互に重なり合 ないように前記回転磁石群の周囲に設けら る複数のターゲット保持機構と、前記複数 ターゲット保持機構を一括収容し、被処理 板を出し入れ可能に収容する減圧可能な処 室と、前記複数のターゲット保持機構の中 所望の一つを稼動ターゲット保持機構とし 前記処理室内に設定された正規スパッタ空 と対向する所定の稼動位置に位置合わせす ために、前記複数のターゲット保持機構を 記柱状回転軸の周囲で周回方向に一体的に 動させるインデックス送り機構と、前記処 室内にスパッタガスを供給するためのガス 給機構と、前記正規スパッタ空間で前記ス ッタガスを放電させるために、前記処理室 で前記稼動ターゲット保持機構に放電用の 力を供給する電力供給機構とを有し、前記 界発生機構により前記稼動ターゲット保持 構に対して前記スパッタガスのプラズマを じ込めるための磁界を形成し、前記正規ス ッタ空間でスパッタ処理を可能とする。

 上記第3の観点におけるマグネトロンスパ ッタ装置においては、複数のターゲット保持 機構の中からスパッタ成膜処理に供される稼 動ターゲット保持機構をインデックス送り機 構により任意に選択ないし切り替えることに より、1つの基板上に異種材質または同種材 の薄膜を連続的にスパッタ成膜することが きる。

 本発明の好適な一態様においては、処理 内で、複数のターゲット保持機構の中の稼 ターゲット保持機構以外の1つまたは複数の ターゲット保持機構と対向する位置にダミー スパッタ空間を設け、電力供給機構が、ダミ ースパッタ空間でスパッタガスを放電させる ために、非稼動ターゲット保持機構にも放電 用の電力を供給し、磁界発生機構により非稼 動ターゲット保持機構に対して前記スパッタ ガスのプラズマを閉じ込めるための磁界を形 成し、ダミースパッタ空間でダミースパッタ を可能とする。

 好適には、非稼動ターゲット保持機構に 持されるターゲットよりダミースパッタ空 に放出されたスパッタ粒子を受け止めて堆 させるダミースパッタ防着部を設けてよい

 本発明のマグネトロンスパッタ装置によ ば、上記のような構成および作用により、 グネトロンスパッタ法におけるスパッタ処 効率ないし生産効率を大幅に向上させるこ ができる。

本発明の第1の実施形態におけるマグネ トロンスパッタ装置の構成を示す略断面図で ある。 実施形態におけるマグネトロンスパッ タ装置に組み込まれるスパッタガン・ユニッ トの(主に左側面の)概観構成を示す斜視図で る。 実施形態におけるマグネトロンスパッ タ装置に組み込まれるスパッタガン・ユニッ トの(主に右側面の)概観構成を示す斜視図で る。 実施形態のマグネトロンスパッタ装置 おける磁界発生機構の主要部についてその 瞰図とターゲット側から矢視した図である 実施形態のマグネトロンスパッタ装置 におけるプラズマリング生成領域を示す斜視 図である。 実施形態のマグネトロンスパッタ装置 におけるプラズマリング生成領域を示す斜視 図である。 実施形態のマグネトロンスパッタ装置 における回転磁石群の別の構成例を示す図で ある。 実施形態のマグネトロンスパッタ装置 における回転磁石群の別の構成例を示す図で ある。 実施形態のマグネトロンスパッタ装置 おいて複数のスパッタガン・ユニットを一 に並べる構成の一例を模式的に示す図であ 。 一実施形態における有機ELディスプレ 製造用インラインシステムのレイアウトを す略平面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 有機ELディスプレイの製造工程を段階 に示す略断面図である。 別の実施形態における有機ELディスプ イ製造用インラインシステムのレイアウト 示す略平面図である。 別の実施形態における有機ELディスプ イ製造用インラインシステムの別のレイア トを示す略平面図である。 一実施形態における太陽電池製造用イ ンラインシステムのレイアウトを示す略平面 図である。 太陽電池の製造工程を段階的に示す 断面図である。 太陽電池の製造工程を段階的に示す 断面図である。 太陽電池の製造工程を段階的に示す 断面図である。 太陽電池の製造工程を段階的に示す 断面図である。 太陽電池の製造工程を段階的に示す 断面図である。 太陽電池の製造工程を段階的に示す 断面図である。 タンデム型太陽電池の一例の構造を示 す略断面図である。 別の実施形態における太陽電池製造用 インラインシステムのレイアウトを示す略平 面図である。 別の実施形態におけるマグネトロンス パッタ装置の構成を示す略断面図である。

 以下、添付図を参照して本発明の好適な 施の形態を説明する。

[第1の実施形態]
 図1~図6につき、本発明の第1の実施形態にお けるマグネトロンスパッタ装置を説明する。

 図1に、この実施形態におけるマグネトロ ンスパッタ装置10の構成を示す。

 このマグネトロンスパッタ装置10は、被 理基板である基板Pを垂直に立てて(つまり重 力の方向に略平行な基板姿勢にして)移動(通 )させながらスパッタ成膜処理を行う縦型通 過式のスパッタ装置であって、左右(図1では 下)対称の双子ターゲットであるターゲット 12L,12Rを備える二枚同時処理型のスパッタ装 として構成されている。

 ここで、図2Aおよび図2Bに、このマグネト ロンスパッタ装置10に装着される双頭型スパ タガンの外観構成(特に左右対称性)を模式 に示す。図示のように、1つのスパッタガン ユニット14の左側面14Lおよび右側面14Rに、 冊形の細長い矩形平板型のターゲット12L,12R バッキングプレート16L,16Rに貼り付けられた 状態でそれぞれ取り付けられる。両ターゲッ ト12L,12Rは薄膜原料となる任意の材質(金属、 縁物等)からなり、両者の材質・サイズは同 一であっても異なっていてもよい。バッキン グプレート16L,16Rは、任意の導電体からなり 通常は銅系の金属を用いる。スパッタガン ユニット14の内側には、後述するマグネトロ ン放電用の可動磁石(回転磁石群48)を含む磁 発生機構42(図1)が設けられる。

 図1において、スパッタガン・ユニット14 左右両側に減圧可能な真空チャンバ18L,18Rが 結合される。これらのチャンバ18L,18Rは、た えばアルミニウムからなり、電気的に保安 地されており、ターゲット12L,12Rの板面と平 な水平方向(X方向)にまっすぐ延びる廊下状 処理室20L,20Rをそれぞれ形成している。

 チャンバ18L,18R内には、模式的に点線で示す ように、被処理基板である基板P L ,P R をX方向で移動させるための基板搬送路22L,22R それぞれ敷設されている。たとえば、基板P L ,P R を垂直姿勢に保持する縦型の縦型トレイ24L,24 Rを基板搬送路22L,22R上で移動可能とし、リニ モータ(図示せず)等からなる搬送駆動部が 型トレイ24L,24Rを基板P L ,P R と一体に搬送駆動するようになっている。

 両チャンバ18L,18Rの側壁、底壁あるいは天 井壁には、スパッタガス供給部26L,26Rからの ス供給管28L,28Rとそれぞれ接続するガス供給 30L,30Rや、排気装置32L,32Rに通じる排気管34L,3 4Rとそれぞれ接続する排気口36L,36R等が設けら れている。また、図示省略するが、両チャン バ18L,18Rの長手方向(X方向)の両端には基板Pを し入れするための開閉可能な搬入出口が設 られている。

 スパッタガン・ユニット14の左右両側面 配置されるバッキングプレート16L,16Rは、矩 枠状の絶縁体38L,38Rを介してチャンバ18L,18R 内側壁の矩形開口40L,40Rを閉塞するようにそ ぞれ取り付けられる。両バッキングプレー 16L,16Rには、図示省略するが、チラー装置等 より循環供給される冷却媒体を流すための通 路が形成されている。

 両バッキングプレート16L,16Rの裏側スペー ス、つまり両者(16L,16R)の間のスペースに、両 ターゲット12L,12Rのおもて面上にマグネトロ 放電用の漏れ磁界を形成するための磁界発 機構42が設けられている。この磁界発生機構 42は、1本の柱状回転軸44の外周面に所定の配 パターンで取り付けられた複数の板状磁石4 6からなる回転磁石群48と、この回転磁石群48 柱状回転軸44と一体に回転駆動する回転駆 部(図示せず)と、回転磁石群48の中の一部の 石との間で両ターゲット12L,12Rのおもて面上 に漏れ磁界の一部を形成するための固定外周 板磁石50L,50Rとを有する。磁界発生機構42の各 部の構成および作用は後に詳述する。

 バッキングプレート16L,16Rの裏面には、タ ーゲット12L,12Rの背面側の磁界空間をそれぞ 個別的に覆う筒状の磁性体カバー52L,52Rが取 付けられている。これらの磁性体カバー52L, 52Rは、磁界発生機構42より両ターゲット12L,12R にそれぞれ与えられる磁界を内側に閉じ込め て相互に隔離するとともに、周囲の外部磁界 からの影響を防止(遮断)するための磁気シー ドとして機能する。

 さらに、磁界発生機構42からみて磁性体 バー52L,52Rの外側で、放電用の電力を導入す ための給電路または伝送路を構成するたと ばアルミニウムからなる筒状の給電体54L,54R がバッキングプレート16L,16Rの裏面にそれぞ 取り付けられている。

 放電用の電力を供給する電力供給機構56 、左右の両ターゲット12L,12Rに対してそれぞ 専用の高周波/直流電源を備えている。

 高周波電源58Lは、整合器60L、給電線62Lお び給電体54Lを介して左側のバッキングプレ ト16Lに電気的に接続されている。第1の直流 電源64Lも、給電線62Lおよび給電体54Lを介して 左側バッキングプレート16Lに電気的に接続さ れている。ターゲット12Lが誘電体であるとき は、高周波電源58Lのみが使用される。ターゲ ット12Lが金属であるときは、直流電源64Lのみ が使用され、あるいは直流電源64Lと高周波電 源58Lが併用される。

 高周波電源58Rは、整合器60R、給電線62Rお び給電体54Rを介して右側のバッキングプレ ト16Rに電気的に接続されている。第2の直流 電源64Rも、給電線62Rおよび給電体54Rを介して 右側のバッキングプレート16Rに電気的に接続 されている。ターゲット12Rが誘電体であると きは、高周波電源58Rのみが使用される。ター ゲット12Rが金属であるときは、直流電源64Rの みが使用され、あるいは直流電源64Rと高周波 電源58Rが併用される。

 また、磁界発生機構42からみて給電体54L,5 4Rの外側でチャンバ18L,18Rに導電体カバー66が り付けられている。この導電体カバー66は 左右の給電体54L,54Rの間に、さらには左右の 性体カバー52L,52Rの間に割り込むように延び ている。この導電体カバー66は、たとえばア ミニウムからなり、チャンバ18L,18Rを介して 電気的に接地されており、電力供給機構56よ 両ターゲット12L,12Rにそれぞれ与えられる高 周波を相互に隔離するように機能する。

 両チャンバ18L,18R内において、両ターゲット 12L,12Rの正面にスパッタ空間68L,68Rがそれぞれ 定されるとともに、スパッタ空間68L,68RをX 向に横切って通過する基板P L ,P R の被処理面上のスパッタ領域を所望の形状・ サイズに限定するためのスリット70L,70Rがそ ぞれ設けられる。スリット70L,70Rを形成する 体72は、たとえばアルミニウム等の導体か なり、物理的かつ電気的にチャンバ18L,18Rに 合されており、基板P L ,P R が電気的にフローティング状態にあってもプ ラズマを効率よく励起させるためのグランド プレートとしての機能も有している。

 図3に、磁界発生機構42を構成する柱状回 軸44、回転磁石群48およびこれを構成する多 数の板状磁石46、固定外周板磁石50L(50R)、常 性体74L(74R)について、その鳥瞰図とバッキン グプレート16L(16R)側から見た状態の平面図を す。

 柱状回転軸44は、たとえばNi-Fe系高透磁率 合金からなり、図示しない伝動機構を介して モータに接続され、所望の回転数(たとえば60 0rpm)で回転駆動されるようになっている。

 柱状回転軸44の外周面は多角形たとえば 八角形となっており、八面体の各面に菱形 板状磁石46が所定の配列で多数取り付けられ ている。これらの板状磁石46には、残留磁束 度が1.1T程度のSm-Co系焼結磁石あるいは残留 束密度が1.3T程度のNd-Fe-B系焼結磁石を好適 使用できる。板状磁石46はその板面の垂直方 向(板厚方向)に磁化されており、柱状回転軸4 4に螺旋状に貼り付けられて複数の螺旋を形 し、柱状回転軸44の軸方向に隣り合う螺旋同 士が柱状回転軸44の径方向外側に互いに異な 磁極、すなわちN極とS極を形成している。 わば、帯状のN極と帯状のS極とが共通の柱状 回転軸44の外周面に沿って並進しながら螺旋 に巻かれた構造になっている。

 固定外周板磁石50L(50R)は、ターゲット12L(1 2R)に近接した位置で回転磁石群48を取り囲む うに矩形の枠状に形成されており、ターゲ ト12L(12R)あるいはバッキングプレート16L(16R) と対向する側の面がS極で反対側の面がN極に っている。この固定外周板磁石50L(50R)も、 とえばNd-Fe-B系焼結磁石で構成されてよい。

 上記のように柱状回転軸44に多数の板状 石46を螺旋状に配置した場合、図4Aに示すよ に、近似的にはターゲット12L(12R)側と対向 る面で帯状に延びる板状磁石46のN極の周り 付近の他の板状磁石46および固定外周板磁石 50L(50R)のS極が囲んでいる。これにより、板状 磁石46のN極から出た磁力線の一部は、曲線を 描いて、バッキングプレート16L(16R)2を貫通し てターゲット12L(12R)のおもて面上にいったん け出た後、そこから反対方向にバッキング レート16L(16R)を通り抜けて付近のS極で終端 る。ここで、ターゲット12L(12R)おもて面上 漏れ磁界の中の水平成分が二次電子をロー ンツ力で補足するのに寄与する。

 かかる構成の磁界発生機構42によれば、 ーゲット12L(12R)のおもて面上に、図4A,図4Bに 線で示すような楕円ループ状のパターンを するプラズマリング76に二次電子ないしプ ズマを閉じ込めて、同形状のプラズマリン 76を軸方向に並べて多数生成することができ る。これらのプラズマリング76は、固定外周 磁石50L(50R)の幅寸法に応じた長軸と螺旋ピ チに応じた短軸とを有する。したがって、 ーゲット12L(12R)の幅寸法に応じて固定外周板 磁石50L(50R)の幅寸法を選定することで、プラ マリング76の長軸がターゲットの一端から 端までカバーするサイズに調整できる。そ て、柱状回転軸44を回転駆動することにより 、その回転方向および回転速度に応じた進行 方向および進行速度で各プラズマリング76を 方向つまりターゲット長手方向で移動させ ことができる。

 なお、ターゲット12L(12R)側から見て固定 周板磁石50L(50R)の背面には同形の常磁性体74L (74R)が取り付けられ、この常磁性体74L,74Rは常 磁性体からなる板状のジョイント78L,78Rを介 てバッキングプレート16L(16R)ないし磁性体カ バー52L(52R)に接続されている。固定外周板磁 50L(50R)の背面(N極)から出た磁力線は常磁性 74L(74R)に入り、外部に拡散しないようになっ ている。

 図5Aに、回転磁石群48の別の構成例を示す 。この構成例の回転磁石群48は、N極とS極と それぞれ帯状に柱状回転軸44の外周面に沿っ て柱状回転軸44の軸方向の位置を変化させな ら一周するような磁極リング80が柱状回転 44の軸方向に一定のピッチで多数形成される 配列パターンで、多数の板状磁石46を柱状回 軸44の外周面に貼り付けている。

 より詳細には、柱状回転軸44の軸方向に り合う磁極リング(リング状板磁石群)80同士 おもて面側の磁極を逆極性(N極,S極)として り、柱状回転軸44の周回方向で一周する間に 各磁極リング80の軸方向の位置が所定のパタ ンで変化している。

 図5Bに、柱状回転軸44の表面および回転磁 石群48の展開図を示す。図示のように、各々 磁極リング80は、柱状回転軸44の周回方向に 沿って軸方向に変位し、180°で所定量(たとえ ば1ピッチ分)変位し、360°で元の位置に戻る ターンとなっている。

 この構成例においては、回転磁石群48を 状回転軸44と一緒に一方向(たとえば時計回 )に回転させると、ターゲット12L(12R)のおも 面上でプラズマリング76がターゲット長手方 向に往復運動(揺動)する。

 なお、この実施形態の磁界発生機構42に いて、回転磁石群48を構成するN極螺旋部(あ いはN極リング)とS極螺旋部(あるいはS極リ グ)との間で幅サイズやピッチを異ならせる 成も可能である。

 なお、磁界発生機構42において、固定外 板磁石50L(50R)を強磁性体で構成することも可 能であり、常磁性体74L(74R)を他の磁性体たと ば強磁性体に置き換える構成も可能である

 次に、このマグネトロンスパッタ装置の 体的な動作を説明する。このマグネトロン パッタ装置を稼動させるときは、スパッタ ス供給部26L,26Rよりスパッタガス(たとえばAr ガス)を所定の流量で気密状態のチャンバ18L,1 8R内に導入し、排気装置32L,32Rによりチャンバ 18L,18R内の圧力を設定値にする。さらに、高 波電源58L,58Rおよび/または直流電源64L,64Rを ンにして、所定周波数(たとえば13.56MHz)の高 波および/または直流電圧を所定のパワーで カソードの両ターゲット12L,12Rにそれぞれ印 する。

 また、スパッタガン・ユニット14内の磁 発生機構42をオンにして、ターゲット12L,12R おもて面付近にマグネトロン放電によって 成されるプラズマをリング状に閉じ込め、 つリング状のプラズマ(プラズマリング)を所 定方向(ターゲット長手方向つまりZ方向)で移 動させる。プラズマリングからのイオンの入 射によってターゲット12L,12Rのおもて面から れぞれスパッタ粒子が放出される。

 一方、チャンバ18L,18R内では、縦型トレイ24L ,24Rが基板P L ,P R を垂直姿勢に保持して基板搬送路22L,22RをX方 に移動し、基板P L ,P R がスパッタ空間68L,68RをX方向に横切って通過 る。これにより、ターゲット12L,12Rから放出 されてスリット70L,70Rを通り抜けたスパッタ 子は、スパッタ空間68L,68Rを通過する基板P L ,P R の被処理面に入射してそこに堆積する。

 このような走査方式によりX方向で基板P L ,P R の一端から他端までスパッタ成膜が同時に施 され、基板P L ,P R の被処理面全体に同時に薄膜が形成される。 上記したようにターゲット12L,12Rの材質は各 独立に選定可能であり、一台の装置で2枚の 板P L ,P R 上に同一材質あるいは異種材質の薄膜を同時 形成することができる。

 また、マグネトロン放電特性に最も影響 る磁界発生機構42が左右のチャンバ18L,18Rに して共通であるため、チャンバ18L,18R間の機 差をなくすことも可能である。

 なお、左右のチャンバ18L,18R内の基板搬送路 22L,22R上で基板P L ,P R を移動させる向きを互いに逆にすることも可 能である。

 上述したように、この実施形態のマグネト ンスパッタ装置は、略直方体形状を有する 一のスパッタガン・ユニット14の相対向す 2面(左側面/右側面)に双子のターゲット12L,12R を備え、スパッタガン・ユニット14の左右両 で2枚の基板P i ,P j 上に同一材質あるいは異種材質の薄膜を同時 形成することが可能であり、コンパクトな装 置構造でありながら、装置一台で装置二台分 のスループットないし生産効率を実現するこ とができる。

 この実施形態の一応用例として、図6に示す ように、基板P i ,P j の移動方向(X方向)に沿って複数台のスパッタ ガン・ユニット14(1),14(2),・・を一列または直 列に配置する構成により、本発明による生産 効率の倍増効果を一層高めることができる。

[第2の実施形態]
 次に、図7~図9Dにつき、本実施形態のマグネ トロンスパッタ装置10の好適な一適用例とし 有機ELディスプレイ製造用のインラインシ テムを説明する。

 図7に示すように、このインラインシステ ムは、一方向(X方向)に左右2列で、一対のロ ダ100L,100R、一対のクリーニング装置102L,102R 一対の多層式有機層蒸着装置104L,104R、一対 Li蒸着装置106L,106R、一対の第1横/縦姿勢変換 置108L(1),108R(1)、縦型の第1マグネトロンスパ ッタ装置10(1)、一対の第1縦/横姿勢変換装置11 0L(1),110R(1)、一対のエッチング装置112L,112R、 対の第1封止膜CVD(Chemical Vapor Deposition)装置11 4L(1),114R(1)、一対の第2横/縦姿勢変換装置108L(2 ),108R(2)、縦型の第2マグネトロンスパッタ装 10(2)、一対の第2縦/横姿勢変換装置110L(2),110R( 2)、一対の第2封止膜CVD装置114L(2),114R(2)および 一対のアンローダ116L,116Rをこの順に並べて配 置している。

 上記ライン上の装置群の中で、初段のロー 100L,100Rは、大気圧の下で未処理の基板P L ,P R を導入し、室内を大気圧状態から減圧状態に したうえで、基板P L ,P R を後段のクリーニング装置102L,102Rへ送る。ク リーニング装置102L,102Rから第2封止膜CVD装置11 4L(2),114R(2)までの装置は、いずれも減圧処理 置または減圧姿勢変換装置である。最後段 アンローダ116L,116Rは、減圧下で処理済の基 P L ,P R を第2封止膜CVD装置114L(2),114R(2)から受け取り 室内を減圧状態から大気圧状態にしたうえ 、基板P L ,P R を大気圧下の外に搬出する。

 なお、図7において、P L は左側のプロセスライン(100L~116L)上で一連の 理を受ける基板を示し、P R は右側のプロセスライン(100R~116R)上で一連の 理を受ける基板を示す。

 図8A~図9Dにつき、このインラインシステ における有機ELディスプレイの製造工程を説 明する。

 先ず、ローダ100L,100Rに搬入される基板P L ,P R は、たとえばガラスなどの透明な板材または シート等からなり、図8Aに示すように、その 子形成面120上に、ITO(Indium Tin Oxide)などの 明な導電性材料からなる陽電極122と、後の 程で形成される陰電極128の引き出し線124と 予め形成している。

 基板P L ,P R は、水平な姿勢でローダ100L,100Rに搬入され、 水平姿勢を保ったまま隣室のクリーニング装 置102L,102Rで被処理面をたとえばドライクリー ニング法でクリーニングされる。

 次に、基板P L ,P R は多層式有機層蒸着装置104L,104Rの室内で水平 姿勢を保ったままX方向に搬送され、その間 蒸着法により基板上に有機層が多層(たとえ 6層)に重ねて形成される。すなわち、図8Bに 示すように、陽電極122、引き出し線124および 基板P L ,P R の素子形成面120の露出部を覆うように、発光 層(有機EL層)を含む6層の有機層126が形成され 。なお、この蒸着処理にあたっては、マス は用いず、実質的に基板の全面に有機層126 被着する。

 また、この蒸着プロセスは、基板P L ,P R の被処理面を上に向けて、つまりフェースア ップで行われる。このフェースアップ方式の 蒸着を行うために、多層式有機層蒸着装置104 L,104Rは、気体からなる成膜原料ガスを先ず基 板P上まで輸送し、基板P L ,P R 上からその成膜原料ガスを供給するように構 成されている。

 基板P L ,P R は、多層式有機層蒸着装置104L,104Rで多層構造 の有機層126を全面被着された後、Li蒸着装置1 06L,106Rに移され、そこで有機層126の上に仕事 数調整層として機能するLi膜(図示せず)を蒸 着法で被着される。その後、基板P L ,P R は、第1横/縦姿勢変換装置108L(1),108R(1)内で水 姿勢から垂直姿勢に変わり、本実施形態に る第1の縦型マグネトロンスパッタ装置10(1) 送られる。

 このマグネトロンスパッタ装置10(1)では、 とえばパターンマスクを用いたスパッタリ グ法により、図8Cに示すように、たとえばAg からなる陰電極128が基板P L ,P R 上に形成される。

 次いで、基板P L ,P R は、第1縦/横姿勢変換装置110L(1),110R(1)内で垂 姿勢から水平姿勢に変わり、水平姿勢でエ チング装置112L,112Rに搬入される。エッチン 装置112L,112Rは、パターニングされている陰 極128をマスクにして、たとえばプラズマエ チング法により有機層126をエッチング加工 て、図9Aに示すように、有機層126をパター ングする。このエッチング工程は、基板P L ,P R の被処理面を上に向けてフェースアップで行 われてよい。

 次に、基板P L ,P R は第1封止膜CVD装置114L(1),114R(1)に移され、そ でパターンマスクを用いたCVD法によりフェ スアップで基板P L ,P R 上に保護膜が形成される。すなわち、図9Bに すように、陽電極122の一部と、有機層126お び陰電極128を覆うように、たとえば窒化シ コン(SiN)からなる絶縁性の保護膜130がパタ ニング形成される。

 次に、基板P L ,P R は、第2横/縦姿勢変換装置108L(2),108R(2)内で水 姿勢から垂直姿勢に変わり、本実施形態に る第2の縦型マグネトロンスパッタ装置10(2) 搬入される。

 このマグネトロンスパッタ装置10(2)では たとえばパターンマスクを用いたスパッタ ング法により、図9Cに示すように、陰電極128 と引き出し線124とを当該開口部を介して電気 的に接続する接続線132がパターニング形成さ れる。

 次いで、基板P L ,P R は、第2縦/横姿勢変換装置110L(2),110R(2)内で垂 姿勢から水平姿勢に変わり、水平姿勢で第2 封止膜CVD装置114L(2),114R(2)に搬入される。第2 止膜CVD装置114L(2),114R(2)では、パターンマス を用いたCVD法によりフェースアップで基板P L ,P R 上に保護膜が形成される。すなわち、図9Dに すように、接続線132と引き出し線124の一部 覆うように、たとえば窒化シリコン(SiN)か なる絶縁性の保護膜134が形成される。

 これで、このインラインシステムにおける 連の処理工程が終了し、処理済の基板P L ,P R はアンローダ116L,116Rより搬出される。

 上記のように、このインラインシステム は、2台の縦型マグネトロンスパッタ装置10( 1),10(2)がそれぞれ左右2列のプロセスライン上 で同時に稼動し、各々一台で2台分の働きを ている。

 また、たとえば、実施形態のマグネトロ スパッタ装置10の1台当たりのタクトタイム 他の処理装置の1台当たりのタクトタイムよ りも著しく短い場合は、タクトタイムを揃え るようにプロセスラインのレイアウトを変形 することができる。たとえば、有機層成膜処 理部における基板P一枚分の有機層成膜処理 要する時間が6分であり、マグネトロンスパ タ装置10における基板P一枚分のスパッタ成 処理に要する時間が3分であるとする。この 場合は、有機層成膜処理部を並列に4ライン け、それら4ラインに対してマグネトロンス ッタ装置10を1台で済ますことができる。

 また、実施形態のマグネトロンスパッタ 置10は、基板Pを垂直(起立)姿勢にして成膜 理を行うため、この点でもフットプリント 小さくなっており、さらにはスパッタガン ユニット14内部(特に磁界発生機構42)に容易 アクセス可能であり、メンテナンス性もす れている。さらに、大型基板の反り量の管 も容易であり、大型基板を用いる有機ELディ スプレイの生産性が向上するという利点もあ る。

[第3の実施形態]
 図10に、本実施形態のマグネトロンスパッ 装置10を含む有機ELディスプレイ製造用のイ ラインシステムの別のレイアウトを示す。

 このシステムは、各一台のローダ100、ク ーニング装置102、第1横/縦姿勢変換装置108(1 )、縦型のマグネトロンスパッタ装置10(特に 側チャンバ18R)、第1縦/横姿勢変換装置110(1) 多層式有機層蒸着装置104をこの順にX方向の 方の向きに一列に並べて配置するとともに 矢印140で示すように折り返して、X方向の逆 の向きにLi蒸着装置106、第2横/縦姿勢変換装 108(2)、マグネトロンスパッタ装置10(特に左 チャンバ18L)、第2縦/横姿勢変換装置110(2)、 ・、アンローダ116をこの順に一列に並べて 置している。

 このシステムにおいては、ITO膜の無い基 Pをローダ100に搬入し、マグネトロンスパッ タ装置10の右側チャンバ18Rでパターンマスク 用いて基板P上に陽電極122(ITO膜)を形成する この場合、右側のターゲットであるターゲ ト12R(図1)の母材にはITOが用いられる。

 次いで、第1縦/横姿勢変換装置110(1)で基 Pの姿勢を垂直から水平に変えて、多層式有 層蒸着装置104で多層構造の有機層を形成す 。次いで、基板反転装置(図示せず)により 印140で示すように基板Pの向きを反転してか 、Li蒸着装置106で多層構造の有機層およびLi 層を基板P上に順次形成する。そして、第2横/ 縦姿勢変換装置108(2)で基板Pの姿勢を水平か 垂直に変え、マグネトロンスパッタ装置10の 左側チャンバ18Lでパターンマスクを用いて基 板P上にAg陰電極128を形成する。この場合、左 側のターゲットであるターゲット12L(図1)の母 材にはAgが用いられる。

 このように、このシステムでは、1台のマ グネトロンスパッタ装置10において、ITO膜形 のスパッタ処理とAg陰電極形成のスパッタ 理とを各基板Pに対しては異なる工程で、異 る基板P,Pに対しては並列的または同時的に すことができる。

[第4の実施形態]
 図11に、本実施形態のマグネトロンスパッ 装置10を含む有機ELディスプレイ製造用のイ ラインシステムの別のレイアウトを示す。

 このシステムでは、縦型マグネトロンス ッタ装置10の右側チャンバ18Rで基板P上に陰 極128としてAg膜を形成し、次いで基板反転 置(図示せず)により矢印142で示すように基板 Pの向きを反転してから、マグネトロンスパ タ装置10の左側チャンバ18Lで上記Ag膜上にAl を積層形成する。このように別々のスパッ 成膜室(18R,18L)でAg/Alの多層膜を形成するほう が、1つのスパッタ室で積層成膜するよりも っきりと層の分かれた多層膜を形成するこ ができる。

[第5の実施形態]
 次に、図12および図13A~図13Fにつき、本実施 態のマグネトロンスパッタ装置10を太陽電 製造用のインラインシステムに適用した実 形態について説明する。

 図12に示すように、このインラインシス ムは、一方向(X方向)に左右2列で、一対のロ ダ150L,150R、一対の第1横/縦姿勢変換装置152L( 1),152R(1)、第1、第2および第3の縦型マグネト ンスパッタ装置10(1),10(2),10(3)、一対の第1縦/ 姿勢変換装置154L(1),154R(1)、一対の第1エッチ ング装置156L(1),156R(1)、一対の第2横/縦姿勢変 装置152L(2),152R(2)、第4および第5の縦型マグ トロンスパッタ装置10(4),10(5)、一対の第2縦/ 姿勢変換装置154L(2),154R(2)、一対の第2エッチ ング装置156L(2),156R(2)、一対の封止膜CVD装置158 L,158Rおよび一対のアンローダ160L,160Rをこの順 に並べて配置している。

 上記ライン上の装置群の中で、第1横/縦 勢変換装置152L(1),152R(1)から封止膜CVD装置158L, 158Rまでの装置はいずれも減圧処理装置また 減圧姿勢変換装置である。

 図12において、P L は左側のプロセスライン(150L~160L)上で一連の 理を受ける基板を示し、P R は右側のプロセスライン(150R~160R)上で一連の 理を受ける基板を示す。

 図13A~図13Fにつき、このインラインシステ ムにおける太陽電池の製造工程を説明する。

 先ず、ローダ150L,150Rに搬入される基板P L ,P R は、たとえばガラスなどの透明な板材または シートからなり、図13Aに示すように、ガラス 基板162の素子形成面上に、たとえばGe添加のZ nOからなる透明導電膜164を予め形成している

 基板P L ,P R は、水平な姿勢でローダ150L,150Rに搬入された 後、隣室の第1横/縦姿勢変換装置152L(1),152R(1) で水平姿勢から垂直姿勢に変わり、次いで 1、第2および第3のマグネトロンスパッタ装 10(1),10(2),10(3)で立て続けにスパッタ成膜処 を受ける。図13Bに示すように、第1のマグネ ロンスパッタ装置10(1)ではp型の非晶質シリ ン層166pが形成され、第2のマグネトロンス ッタ装置10(2)では真性(i型)の非晶質シリコン 層166iが形成され、第3のマグネトロンスパッ 装置10(3)ではn型の非晶質シリコン層166nが形 成される。こうして積層形成されたpin構造の 非晶質シリコン層(166p,166i,166n)は発電層を構 する。

 次いで、基板P L ,P R は、第1縦/横姿勢変換装置154L(1),154R(1)内で垂 姿勢から水平姿勢に変わり、水平姿勢で第1 エッチング装置156L(1),156R(1)に搬入される。第 1エッチング装置156L(1),156R(1)は、図13Cに示す うに、たとえばレーザエッチングによって 電層(166p,166i,166n)にコンタクトホール168を開 る。

 次いで、基板P L ,P R は、第2横/縦姿勢変換装置152L(1),152R(1)内で水 姿勢から垂直姿勢に変わり、次いで第4およ び第5のマグネトロンスパッタ装置10(4),10(5)で 立て続けにスパッタ成膜処理を受ける。図13D に示すように、第4のマグネトロンスパッタ 置10(4)では低仕事関数金属として機能するMg 170が形成され、第5のマグネトロンスパッタ 装置10(5)ではAl電極172が形成される。その際 コンタクトホール168にAlが埋め込まれる。

 次いで、基板P L ,P R は、第2縦/横姿勢変換装置154L(2),154R(2)内で垂 姿勢から水平姿勢に変わり、水平姿勢で第2 エッチング装置156L(2),156R(2)に搬入される。第 2エッチング装置156L(2),156R(2)は、図13Eに示す うに、たとえばレーザエッチングによって 極層(170,172)および発電層(166p,166i,166n)を貫通 る素子分離およびパッシベーション用の溝1 74を形成する。

 次いで、基板P L ,P R は、水平姿勢のまま第2封止膜CVD装置114L(2),114 R(2)に搬入される。第2封止膜CVD装置114L(2),114R( 2)では、図13Fに示すように、基板P L ,P R の表面を覆うように、たとえば窒化シリコン (SiN)からなる絶縁性の保護膜176が形成される その際、溝174にも保護膜176が埋め込まれる

 これで、このインラインシステムにおける 連の処理工程が終了し、処理済の基板P L ,P R はアンローダ160L,160Rより大気圧下の外へ搬出 される。

 上記のように、この太陽電池製造用のイ ラインシステムでも、5台の縦型マグネトロ ンスパッタ装置10(1)~10(5)がいずれも左右2列の プロセスライン上で同時に稼動し、各々一台 で2台分の働き(全体では5台で10台分の働き)を しており、スループットの大幅な向上が図ら れている。

 上記の例はシングル接合型の太陽電池に るものであったが、本発明は多接合型(タン デム)型の太陽電池にも適用可能である。

 たとえば、図14に示すタンデム型太陽電 の発電層は、下から順に、それぞれpin構造 非晶質シリコン層180pin,微結晶シリコンゲル ニウム層182pinおよび微結晶ゲルマニウム層1 84pinを積層形成しており、計9層の半導体薄膜 からなる。これら3種類のpin接合体180pin,182pin, 184pinの禁制帯幅または光吸収スペクトルは異 なり、太陽光のエネルギーをより無駄なく電 力に変換することができる。

 この場合、図12と同様のレイアウトを採 インラインシステムは、9層構造の発電層を 成するために9台の縦型マグネトロンスパッ タ装置10(1)~10(9)を直列配置して、各々に左右2 列のプロセスライン上で同時に稼動させてよ い。また、2層構造の上部電極層(170,172)を形 するために、上記の例と同様に2台の縦型マ ネトロンスパッタ装置10(10)~10(11)を直列配置 して、各々に左右2列のプロセスライン上で 時に稼動させてよい。したがって、システ 全体では、11台の縦型マグネトロンスパッタ 装置10(1)~10(11)に22台分の働きをさせることが 能であり、シングル接合型以上にスループ トの大幅な向上が図れる。

[第6の実施形態]
 図15に、上記シングル接合型太陽電池製造 のインラインシステム(図12)の一変形例を示 。

 このインラインシステムは、ローダ150、 1横/縦姿勢変換装置152(1)、縦型の第1、第2お よび第3マグネトロンスパッタ装置10(1),10(2),10 (3)(特にそれぞれの右側チャンバ18R)、第1縦/ 姿勢変換装置154(1)、第1エッチング装置156(1) この順にX方向の一方の向きに一列に並べて 配置するとともに、矢印186で示すように折り 返して、X方向の逆の向きに第2縦/横姿勢変換 装置154(2)、第1、第2および第3マグネトロンス パッタ装置10(1),10(2),10(3)(特にそれぞれの左側 チャンバ18L)、第2エッチング装置156(2)、封止 CVD装置158およびアンローダ160をこの順に一 に並べて配置している。

 往路のプロセスラインでは、第1、第2お び第3マグネトロンスパッタ装置10(1),10(2),10(3 )のそれぞれの右側チャンバ18Rで、単一の発 層を構成するためのp型の非晶質シリコン層1 66p、真性(i型)の非晶質シリコン層166iおよびn の非晶質シリコン層166nがそれぞれ形成され る。

 復路のプロセスラインでは、第3マグネト ロンスパッタ装置10(3)の左側チャンバ18Lで低 事関数金属のMg膜170が形成され。第2および 1マグネトロンスパッタ装置10(2),10(1)の左側 ャンバ18L.18LでAl電極172が形成される。

 なお、マグネトロンスパッタ装置10で形 されるべき一層分の膜厚が比較的大きくて 膜形成に比較的長い時間を要する場合は、 の実施形態あるいは図6のような直列接続の ルチユニット構造を採ることによって1台当 たりのタクトタイムを短縮化することができ る。

[第7の実施形態]
 図16に、別の実施形態におけるマグネトロ スパッタ装置190の構成を示す。

 このマグネトロンスパッタ装置190は、磁 発生機構42を取り囲むように複数個たとえ 4個のターゲット12A,12B,12C,12Dを一体的な多面 (四面体)に組み立て、このターゲット組立 を磁界発生機構42の柱状回転軸44の回りに周 (θ)方向でインデックス送りできる構成を有 している。

 このマグネトロンスパッタ装置190におい は、4個のターゲット12A,12B,12C,12Dの中のいず れか1つを任意に選択してスパッタ処理空間68 に臨ませ(基板Pに対向させ)、スパッタ成膜に 供することができるとともに、インデックス 送りによって別のターゲットに任意に切り替 えることもできる。したがって、たとえば、 1枚の基板Pに対し、稼動ターゲットとして最 にAlのターゲット12Aを選んでAl層を形成し、 次いでインデックス送りによりTiのターゲッ 12Bに切り替えて上記Al層の上にTi層を積層形 成するといった使い方が可能である。このよ うに稼動ターゲットをインデックス送りで切 り替えることにより、異種材質または同種材 質の薄膜を連続的にスパッタ成膜することが できる。

 ターゲット12A,12B,12C,12Dは、誘電体のフレ ム材192を介して連結されているバッキング レート16A,16B,16C,16Dにそれぞれ結合されてい 。バッキングプレート16A,16B,16C,16Dには、個 の電源(電力供給機構)56A,56B,56C,56Dがスイッ 194A,194B,194C,194Dを介して電気的に接続されて る。

 ハウジング196は、たとえばアルミニウム らなり、スパッタ処理空間68に臨む面(図の 面)が開口しており、電気的に接地されてい る。ハウジング196の室内およびスパッタ処理 空間68は減圧状態に保たれており、スパッタ ス供給部26よりスパッタガス(たとえばArガ )が供給される。

 通常の使い方において、たとえばターゲ ト12Aが稼動ターゲットに選ばれているとき 、スパッタ処理中にスイッチ194Aだけがオン して、他のスイッチ194B,194C,194Dはすべてオフ 態に置かれ、非稼動ターゲットであるター ット12B,12C,12Dに電力は供給されない。

 しかし、使い方の1つとして、非稼動ター ゲットであるターゲット12B,12C,12Dのいずれか も電力を投入して、ハウジング196の内壁196a に向けてダミーのスパッタをさせることも可 能である。たとえば、部品交換されたばかり の新規ターゲットの表面が酸化している場合 は、ダミースパッタによってその酸化膜を除 去することが可能であり、このクリーニング の後にスパッタ成膜処理に正式使用してよい 。

 このように、ハウジング196の室内をダミ スパッタ空間に利用することができる。ハ ジング196の内壁196aは、ダミースパッタによ って付着して膜が剥がれないように適度な粗 面に形成されてよい。あるいは、ハウジング 196の内壁196aに防着板(図示せず)を着脱可能に 取り付けてもよい。

 なお、スパッタ成膜処理中に、基板Pは固 定式でスパッタ処理空間68内で静止していて よく、あるいは走査式でスパッタ処理空間6 8を通過移動してもよい。

[他の実施形態]
 以上好適な実施形態について説明したが、 発明は上記実施形態に限定されるものでは く、その技術思想の範囲内で種々の変形が 能である。

 たとえば、上記した実施形態におけるマ ネトロンスパッタ装置は基板を垂直に起て 姿勢でスパッタ処理を行う縦型装置であっ が、基板を他の姿勢たとえば水平に寝かせ 姿勢でスパッタ処理を行う横型装置に構成 ることも可能である。

 また、ターゲットの侵食状態に依らずに ーゲット表面の磁場強度が一定に維持され ように、ターゲットと磁界発生機構(特に回 転磁石)との距離を一定に保つ機構(たとえば ターゲット保持機構を独立に変位させる機 )を設けてもよい。

  10  マグネトロンスパッタ装置
  12L,12R  ターゲット
  14  スパッタガン・ユニット
  16L,16R  バッキングプレート
  18L,18R  チャンバ
  20L,20R  処理室
  22L,22R  基板搬送路
  24L,24R  縦型トレイ
  26L,26R  スパッタガス供給部
  32L,32R  排気装置
  42  磁界発生機構
  44  柱状回転軸
  46  板状磁石
  48  回転磁石群
  50L,50R  固定外周磁石
  52L,52R  磁性体カバー
  54L,54R  給電体 
  56  電力供給機構
  58L,58R  高周波電源
  64L,64R  直流電源
  68L,68R  スパッタ空間 
  190  マグネトロンスパッタ装置
  12A,12B,12C,12D  ターゲット
  16A,16B,16C,16D  バッキングプレート