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Title:
MEDICINAL COMPOSITION FOR TREATING GASTROINTESTINAL STROMAL TUMOR (GIST) AND KIT AND METHOD FOR ESTIMATING THE PROGNOSIS OF PATIENT SUFFERING FROM GASTROINTESTINAL STROMAL TUMOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069680
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a tumor marker by which poor prognosis cases can be distinguished from good prognosis cases at a high discrimination ratio among gastrointestinal stromal tumor cases. A medicinal composition for treating a gastrointestinal stromal tumor of a patient who is defined based on the expression of DDX39 from among patients suffering from gastrointestinal stromal tumor, which comprises as the active ingredient 4-(4-methylpiperazin-1-ylmethyl)-N-[4-methyl-3-(4-pyridin-3-yl)pyrimidin-2-ylamino)phenyl]-benzamide represented by the following formula (I): [Chemical formula 1] (I) or a pharmaceutically acceptable salt thereof; and a kit and a method for estimating the prognosis of a patient suffering from gastrointestinal stromal tumor.

Inventors:
KONDO TADASHI
HIROHASHI SETSUO
KAWAI AKIRA
KIKUTA KAZUTAKA
Application Number:
PCT/JP2008/071495
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN HEALTH SCIENCE FOUND (JP)
KONDO TADASHI
HIROHASHI SETSUO
KAWAI AKIRA
KIKUTA KAZUTAKA
International Classes:
C07D401/04; A61K31/506; A61P1/00; A61P35/00
Domestic Patent References:
WO2007043295A12007-04-19
Foreign References:
JP2008100958A2008-05-01
Other References:
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Attorney, Agent or Firm:
OKUYAMA, Shoichi et al. (Akasaka NOA Bldg. 2-12, Akasaka 3-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 消化管間質腫瘍を患う患者のうち、DDX39の発現に基づき定義された患者の消化管間質腫瘍を処置するための医薬組成物であって、
 下式(I):
で示される4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチル)-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)フェニル]-ベンズアミドまたは薬学的に許容されるその塩を活性成分として含む医薬組成物。
 前記患者が、消化管間質腫瘍を患う患者のうち、DDX39陽性の患者である、請求項1に記載の医薬組成物。
 消化管間質腫瘍を患う患者の予後を予測するためのキットであって、前記患者から得られた試料におけるDDX39の発現を検出または定量する手段を含む、キット。
 消化管間質腫瘍を患う患者の予後を予測する方法であって、
 前記患者から得られた試料を供するステップと、
 前記試料におけるDDX39の発現を検出または定量するステップと、
 DDX39の発現に基づき前記患者の予後を予測するステップと
 を含む、方法。
 前記予測するステップにおいて、DDX39陽性である場合に予後不良と判断する、請求項4に記載の方法。
Description:
消化管間質腫瘍(GIST)を処置する めの医薬組成物、ならびに消化管間質腫瘍 患う患者の予後を予測するためのキットお び方法

 本発明は、消化管間質腫瘍(GIST:gastrointesti nal stromal tumor)を処置するための医薬組成物 ならびに消化管間質腫瘍を患う患者の予後 予測するためのキットおよび方法に関する

 消化管間質腫瘍は、化学療法や放射線治 に抵抗性を示し、手術が唯一の完全寛解療 とされてきた。しかしながら、近年、チロ ンリン酸化酵素阻害剤(メシル酸イマチニブ 、商品名:グリベック)が治療に用いられるよ になった(特許文献1:特表2004-512328)。メシル イマチニブは多くの消化管間質腫瘍症例で 効性を示す一方で重篤な副作用も引き起こ ことが報告されている。このため、現在の ころ、メシル酸イマチニブは術後再発症例 進行症例に主に処方されている。

 予後不良症例を事前にみきわめることが きればあらかじめメシル酸イマチニブによ 治療を開始することが可能である。このよ な予後予測マーカーとして、臨床病理像と 後の関係や(非特許文献1:Hasegawa T et al.(2002  Jun))、Kitのエクソン11における変異と予後の 関係(非特許文献2:Andersson J et al.(2006))が報 されている。しかしながら、これらは実用 のレベルでは十分なものではない。このよ に、治療方針を決定するほどの確度で信頼 れ、臨床の場で実用化できるレベルで予後 予測できる腫瘍マーカーや臨床病理学的因 は、消化管間質腫瘍においては確立されて ない。また、mRNAやタンパク質発現解析によ 予後不良因子の同定は試みられた例がない

特表2004-512328号公報 、国際公開第02/34727 号パンフレット

特開平6-87834号公報、特許第2706682号明細 、 欧州特許出願公開第0564409号明細書、米 特許第5521184号明細書

特表2001-510192号公報、特許第3276359号明細 書、国際公開第99/03854号パンフレット

国際公開2007/043295号パンフレット

国際公開2004/022778号パンフレット Hasegawa T, Matsuno Y, Shimoda T, Hirohashi S.,  “Gastrointestinal stromaltumor: consistent CD117 imm unostaining for diagnosis, and prognostic classificatio n based on tumor size and MIB-1 grade.”, Human Pa thology, 2002 Jun;33(6):p.669-676 Andersson J, Bumming P, Meis-Kindblom JM, Sihto H, Nupponen N, Joensuu H, Oden A, Gustavsson B, Ki ndblom LG, Nilsson B., “Gastrointestinal stromal tum ors with KIT exon 11 deletions are associated with  poor prognosis.”, Gastroenterology, 2006 May;130(6):p. 1573-1581 T Sugiuraet al., “Intracellular characterization  of DDX39, a novel growth-associated RNA helicase”,  Experimental cell research, 2007;313:p.782-790 Joon T. Park et al., “Notch3 Gene Amplificati on in Ovarian Cancer”, Cancer Res, 2006;66:p.6312-63 18 I. Gashawet al.,“Gene signatures of testicular seminoma with emphasis on expression of etsvariant g ene 4”, CMLS, Cell. Mol. Life Sci, 2005;62:p.2359-2 368 J. Takitaet al., “Gene expression profiling an d identification of novel prognostic marker genes in neuroblastoma”, Genes, Chromosomes And Cancer 40:120 -132,2004 Skye H. C et al., “Genomic Prediction of Loc oregional Recurrence After Mastectomy in Breast Cancer ”, J Clin Oncol, 2006;28:p.4594-4601 Hasegawa T, Yokoyama R, Lee YH, et al., "Progn ostic relevance of a histological grading system usin g MIB-1 for adult soft-tissue sarcoma.", Oncology, 20 00;58:p.66-74 Hasegawa T, Yamamoto S, Nojima T, et al., “V alidity and reproducibility of histologic diagnosis an d grading for adult soft tissue sarcomas.”, Human  Pathology, 2002 Jan;33(1):p.111-115

 本発明は、消化管間質腫瘍症例において 予後不良症例と予後良好症例を高判別率で 別する腫瘍マーカーを提供することを目的 する。

 本発明の一の側面によると、消化管間質腫 を患う患者のうち、DDX39の発現に基づき定 された患者の消化管間質腫瘍を処置するた の医薬組成物であって、
 下式(I):
で示される4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチ )-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3-イル)ピリミジ -2-イルアミノ)フェニル]-ベンズアミドまた 薬学的に許容されるその塩を活性成分とし 含む医薬組成物が提供される。

 本発明の他の側面によると、消化管間質 瘍を患う患者の予後を予測するためのキッ であって、前記患者から得られた試料にお るDDX39の発現を検出または定量する手段を む、キットが提供される。

 本発明の他の側面によると、消化管間質 瘍を患う患者の予後を予測する方法であっ 、前記患者から得られた試料を供するステ プと、前記試料におけるDDX39の発現を検出 たは定量するステップと、DDX39の発現に基づ き前記患者の予後を予測するステップとを含 む、方法が提供される。

 以下に詳細に説明するように、本発明によ と、消化管間質腫瘍症例において、予後不 症例と予後良好症例を高判別率で識別する 瘍マーカーが提供される。

予後不良9症例および予後良好8症例に いて蛍光二次元電気泳動法により得られたDD X39・スポットの濃度を示すグラフである。図 中、白抜きのバー(1)は、早期転移消化管間質 腫瘍症例を示し、網かけのバー(2)は、長期無 転移消化管間質腫瘍症例を示す。 (a)予後不良9症例および予後良好8症例 おけるウェスタン・ブロッティング法の結 を示す写真である。図中、白抜きのバー(1) 、早期転移消化管間質腫瘍症例を示し、網 けのバー(2)は、長期無転移消化管間質腫瘍 例を示す。

 以下に、本発明の実施の形態を説明する もっとも、本発明は、以下に説明する実施 形態によって、限定されるものではない。

 本発明者等は、驚くべきことに、DDX39と うタンパク質の発現が消化管間質腫瘍の術 転移症例の原発巣腫瘍組織において、非転 症例の原発巣腫瘍組織よりも有意に発現が いことを発見した。本発明者等は、プロテ ーム解析によって消化管間質腫瘍患者の予 を予測するための腫瘍マーカーの開発を行 た。以下に詳細に説明するように、転移が3 以上なく病理学的悪性度も低かった症例群 、早期(1年以内)に転移を来し病理学的悪性 も高かった症例群とを比較した。手術検体 対して蛍光二次元電気泳動法によるタンパ 質の網羅的発現解析を行い、約5000個のタン パク質スポットの中から両群を区別しうる特 定のタンパク質としてDDX39を見いだした。

 このように、本発明の一の側面によると 消化管間質腫瘍を患う患者の予後を予測す ためのキットおよび方法が提供される。す わち、本発明によると、DDX39を腫瘍マーカ とすることで、消化管間質腫瘍症例のうち 後不良群を予め見出すことができる。さら 、このような症例には早期から消化管間質 瘍治療剤の投与を開始することで消化管間 腫瘍の治療成績を向上させることが見込ま る。なお、本発明による消化管間質腫瘍の 後の予測は、消化管間質腫瘍の術後または 前のいずれの時点でも行うことができる。 えば、本発明による消化管間質腫瘍の予後 予測は、術前および/または術後におけるメ ル酸イマチニブの投与等の化学療法の要否 検討する際に利用することができる。なお 本明細書において、予後不良は、術後に消 管間質腫瘍が転移することや、消化管間質 瘍の病勢が悪化することをいう。

 なお、DDX39(UniProt Accession No.:O00148)は、DEA D box RNA Helicasesの一種であり、正常細胞で ほとんど発現していないことが報告されて る。RNA Helicasesは、RNAのスプライシングや輸 送などRNA代謝に重要な役割を担うとされてお り、また、DEAD box protein familyは、発生、精 形成、細胞増殖・分化に関与していると考 られている。なお、本明細書においてDDX39 は、配列番号1のアミノ酸配列からなり、ま 配列番号1のアミノ酸配列において、1つ若 くは数個のアミノ酸残基が、欠失、置換、 加若しくは挿入されたアミノ酸配列からな ものも含む。

 これまでに、DDX39はいくつかの腫瘍組織 おいて高発現していることが報告されてお (非特許文献3: T Sugiura et al. (2007), 非特許 文献4: Joon T. Park et al. (2006), 非特許文献5 : I. Gashaw et al. (2005), 非特許文献6: J Takit a et al. (2004) )、乳がんや卵巣癌腫瘍の予後 を診断する際の複数の遺伝子マーカーセット の一つとして認識されていた(非特許文献7: S kye H. C et al (2006), 特許文献4:国際公開2004/ 022778号パンフレット)。しかしながら、本発 によれば、DDX39を単一のマーカーとして用い ることで腫瘍組織の予後を予測することが可 能となる。腫瘍の予後の予測に関し、DDX39の 独マーカーとしての利用は、どの腫瘍につ ても報告されていない。特に、消化管間質 瘍におけるDDX39の発現に関するものは何ら 告されていない。すなわち、本発明者は、 化管間質腫瘍を患う患者の予後を、DDX39を単 一のマーカーとして用いることで予測するこ とが可能であることを見出した。上記のよう に、単一マーカーによって予後を予測するこ とが可能となることにより、複数マーカーに より予後を予測する際に比べ、技術的により 簡便であり、迅速に予測することが可能であ り、またコスト面においても実用的なものと なる。

 DDX39の発現を検出または定量するための 料は、消化管間質腫瘍を患う患者の罹患組 、血液に由来することが好ましい。試験に する試料は、患者から採取された検体自体 あってもよく、また試験に応じて検体を処 して得られた試料であってもよい。例えば 料を免疫染色法に供する場合、試験に供す 試料として、患者から得られた検体から調 したパラフィン切片を用いることができる また、例えば試料をウェスタン・ブロッテ ング法またはRT-PCRに供する場合、試験に供 る試料として、患者から得られた検体から 製したタンパク質抽出液またはmRNA抽出液を いることができる。

 試料におけるDDX39の発現は、以下に例示 る通り、任意の方法で検出または定量する とができる。なお、DDX39発現の検出または定 量は、単にDDX39発現の有無を検出するもので ってもよく、また、DDX39の発現量を相対的 たは絶対的に決定するものでもよい。また DDX39発現は、タンパク質レベルで検出または 定量してもよく、またmRNAレベルで検出また 定量してもよい。

 タンパク質レベルでの検出または定量は 例えば、免疫染色法(蛍光抗体法、酵素抗体 法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識 抗体法を含む)、電気泳動法による分離と蛍 、酵素、放射性同位元素等による検出また 定量との組み合わせ(ウェスタン・ブロッテ ング法、蛍光二次元電気泳動法を含む)、酵 素免疫測定吸着法(ELISA)、ドット・ブロッテ ング法等により行うことができる。また、mR NAレベルでの検出または定量は、例えば、RT-P CR(好ましくはリアルタイムRT-PCR)、ノーザン ブロッティング法、Branched DNAアッセイ等に り行うことができる。

 DDX39発現の検出または定量の結果は、2種 の段階(陽性および陰性)または3種類以上の 階に分類することができる。DDX39発現の分 は、検出または定量方法に応じて、十分な 験を有する病理医、臨床医、検査技師また 検査施設が行うことが好ましい。例えば、DD X39発現の分類は、免疫染色法を用いる場合は 病理医が行うことができ、RT-PCRを用いる場合 は検査技師が行うことができる。

 なお、DDX39発現の分類は、患者からの試 におけるDDX39の発現量を、コントロールにお けるDDX39の発現量と比較することにより行う とが好ましい。DDX39発現の結果を分類する 階の数に応じて、複数のコントロールを用 ることが好ましい。例えば、DDX39発現の結果 を2種類の段階(陽性および陰性)に分類する場 合は、それぞれの段階に対応した2種類のコ トロール(DDX39陽性コントロールおよびDDX39陰 性コントロール)を用いることが好ましい。 た、DDX39発現の結果を3種類の段階に分類す 場合は、それぞれの段階に対応した3種類の ントロールを用いることが好ましい。また コントロールの1つとして、健常者または予 後良好な消化管間質腫瘍患者に由来するコン トロールを用いることが好ましい。なお、コ ントロールは、予め作成されたものでもよく 、また、患者からの試料と同時に試験された ものでもよい。

 本発明によると、消化管間質腫瘍を患う 者の予後を予測するためのキットが提供さ る。当該キットは、患者から得られた試料 おけるDDX39の発現を検出または定量する手 を含む。すなわち、タンパク質レベルでの 出または定量を行う場合においては、発現 検出または定量する手段は、免疫染色法等 行うための手段を含むことが好ましく、例 ば、抗DDX39抗体(モノクローナルおよびポリ ローナル抗体、標識化抗体、キメラ抗体、 ト化抗体ならびにこれらの結合活性断片を む)を含むことが好ましい。また、mRNAレベル での検出または定量を行う場合においては、 発現を検出または定量する手段は、上記した RT-PCR等を行うための手段を含むことが好まし く、例えば、DDX39のmRNAに対するプローブを含 むことが好ましい。さらに、当業者に明らか なように、発現を検出または定量する手段は 、バッファー、発色基質、二次抗体、ブロッ キング剤等の試薬、試験に必要な器具、コン トロール、ならびに取扱説明書および評価指 導書(同等の内容の電子データを含むCD-ROM等 記録媒体も含む)等を含むことができる。

 実施例において詳細に説明するように、 発明者等は、DDX39の発現が患者の予後不良 相関することを見出した。すなわち、DDX39の 発現がより高いほど予後不良となる可能性が 高いと予測できる。

 なお、DDX39の発現による判断基準は、治 の段階や治療手段(メシル酸イマチニブの投 等)に応じて個々に設定することができる。 例えば、術前のメシル酸イマチニブの投与の 要否を検討するための判断基準と、術後のメ シル酸イマチニブの投与の要否を検討するた めの判断基準とは異ならせることができる。 なお、メシル酸イマチニブは副作用の大きさ や医療費の高さが問題となっているが、上記 判断基準は、消化管間質腫瘍の外科手術によ る摘出前および/または摘出後のメシル酸イ チニブの投与の要否を検討する際に用いる とが好ましい。

 このように本発明によると、消化管間質 瘍の予後をより高い判別率で予測すること でき、ひいては、これに基づきより適切な 療計画を立てることが可能となり、より適 な治療を行うことが可能となる。例えば、 化管間質腫瘍の外科手術による摘出前およ /または摘出後のメシル酸イマチニブの投与 の要否を検討するために患者の予後を予測す る場合、上記したように予後不良となる可能 性が高いと判断された際には、メシル酸イマ チニブによる化学療法を受ける必要があると 判断できる。また、予後不良となる可能性が 低いと判断された際には、メシル酸イマチニ ブによる化学療法の必要はないと判断できる 。

 実施例において詳細に説明するように、 発明によると、非常に高い感度および特異 で患者の予後を予測することができる。さ に、メシル酸イマチニブは副作用の大きさ 医療費の高さが問題となっているが、本発 によると、メシル酸イマチニブによる治療 必要としない患者に対して当該治療薬の投 を回避することで上記問題点を回避でき、 らに、メシル酸イマチニブによる治療を必 とする患者に対してはより迅速に当該治療 による治療を開始できる。このように、本 明によると診断的価値が非常に高い予後予 方法およびキットが提供される。一方で、 発明による予測は、特殊な装置等を必要と ずに、例えば免疫染色法などの一般的に用 られている簡便な手法で通常の技術レベル 病理医等により廉価に行うことができる。

 また、本発明の他の側面によると、消化 間質腫瘍を患う患者のうち、DDX39の発現に づき定義された患者の消化管間質腫瘍を処 するための医薬組成物が提供される。本発 にかかる医薬組成物は、上記式(I)で示され 4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチル)-N-[4-メ ル-3-(4-ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イルア ノ)フェニル]-ベンズアミドまたは薬学的に 容されるその塩を活性成分として含む。

 4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチル)-N-[4- チル-3-(4-ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル アミノ)フェニル]-ベンズアミドまたは薬学的 に許容されるその塩の製造方法、および抗腫 瘍剤としてのその使用は、特許文献2(欧州特 出願公開第0564409号明細書の実施例21、なら に他の対応出願および対応特許、例えば日 国特許第2706682号明細書、米国特許第5521184 明細書)に記載されている。

 また、4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチ )-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3-イル)ピリミジン -2-イルアミノ)フェニル]-ベンズアミドまたは 薬学的に許容されるその塩は、好ましくは薬 学的に許容される酸付加塩であり、例えば塩 酸、硫酸またはリン酸のような無機酸との塩 であるか、あるいは適当な有機カルボン酸ま たはスルホン酸、例えばトリフルオロ酢酸、 酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク 酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレ イン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸もしく はシュウ酸のようなモノ-もしくはジ-カルボ 酸、またはアルギニンまたはリジンのよう アミノ酸、安息香酸、2-フェノキシ-安息香 、2-アセトキシ-安息香酸、サリチル酸、4- ミノサリチル酸のような芳香族カルボン酸 マンデル酸またはケイ皮酸のような芳香族- 肪族カルボン酸、ニコチン酸またはイソニ チン酸のような複素環式芳香族カルボン酸 メタン-、エタン-もしくは2-ヒドロキシエタ ン-スルホン酸のような脂肪族スルホン酸、 たはベンゼン-、p-トルエン-もしくはナフタ ン-2-スルホン酸のような芳香族スルホン酸 の塩である。

 また、4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチ )-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3-イル)ピリミジン -2-イルアミノ)フェニル]-ベンズアミドのモノ メタンスルホン酸付加塩およびその好ましい 結晶形は、特許文献3(国際特許出願99/03654号 ンフレット、ならびに他の対応出願および 応特許、例えば日本国特許第3276359号明細書) に記載されている。

 本発明にかかる医薬組成物の有効投与量 、患者の年齢、体重、病状、投与様式およ 臨床像等に依存して、体重約70kgの患者に対 してイマチニブとして例えば1日約100~1000mg、 ましくは200~600mg、さらに好ましくは400mgで る。

 本発明にかかる医薬組成物は、薬学的に 容される担体をさらに含むことができる。 学的に許容される担体として、任意の標準 な担体、緩衝剤および賦形剤(例えばリン酸 緩衝食塩水、5%デキストロース水溶液)を用い ることができる。好ましい担体は、投与様式 に依存する。典型的な投与様式には、経腸( えば経口)投与または非経口投与(例えば皮下 、筋肉内、静脈内もしくは腹腔内注射、また は局所、経皮、または経粘膜投与)が含まれ 経口投与が好ましい。例えば、経口投与の めには、カプセル、錠剤および粉末などの 形剤形、またはエリキシル、シロップおよ 懸濁液などの液体剤形で投与することがで る。

 上記したように、本発明にかかる医薬組 物は、DDX39の発現に基づき定義された患者 対象とする。具体的には、本発明にかかる 薬組成物は、上記したように、DDX39の発現に 基づき予後不良と予測された患者を対象とす ることが好ましい。以上のように、本発明に よると、消化管間質腫瘍を患う患者のうち、 DDX39の発現に基づき定義された患者の消化管 質腫瘍を処置するための医薬組成物が提供 れる。

 なお、消化管間質腫瘍治療薬であるメシ 酸イマチニブが、ノバルティスファーマ株 会社よりグリベック(登録商標)として販売 れている。その添付書類には、免疫組織学 検査によりKIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍と診 された患者を当該治療薬の対象とする旨が 記されている。このように、本発明にかか 医薬組成物の対象患者群と、グリベック(登 録商標)の対象患者群とは、当業者が明確に 別することが可能であり、本発明にかかる 薬組成物は、その対象患者、すなわち医薬 途において、グリベック(登録商標)とは一線 を画する。

 なお、本発明にかかる医薬組成物も、グ ベック(登録商標)と同様に、さらに免疫組 学的検査によりKIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍 診断された患者を対象とすることが好まし 。広く当業者に行われているように、KIT(CD1 17)陽性の確認は、例えば、抗ヒトc-Kit(CD117)ウ サギポリクローナル抗体(コード番号:A4502、 コ・ジャパン株式会社製)を用いた免疫染色 により行うことができる。免疫染色法は、 造業者の取扱説明書に記載の方法に準じて うことができる。KIT(CD117)陽性の確認は、上 記抗ヒトc-Kit(CD117)ウサギポリクローナル抗体 の添付書類に記載のように、当該抗体を用い た免疫染色法により行うことができる。

 以下に、本発明の実施例を説明する。も とも、本発明は、以下に説明する実施例に って限定されるものではない。

[材料および方法]
〔1.サンプル〕
(1-1.手術検体)
 手術検体を研究に使用することについて文 による同意を得た消化管間質腫瘍を患う患 から得られた手術検体を使用した。消化管 質腫瘍症例の手術検体の使用について、本 究は国立がんセンターの遺伝子倫理委員会 審査および承認を受けた。

(1-2.タンパク質の回収)
 症例の手術検体から腫瘍組織を回収し、液 窒素で凍らせた。凍らせた腫瘍組織をマル ビーズショッカー(安井機器、大阪)にて破 して粉末状にした。粉末状にした組織にタ パク質抽出バッファー(6M ウレア、2M チオ レア、3% CHAPS、1% TritonX-100)を加えてタンパ 質を抽出した。

〔2.蛍光二次元電気泳動〕
(2-1.サンプル調整)
 抽出したタンパク質を15000回転で遠心し、 精を回収した。上精に含まれるタンパク質 タンパク質定量キット(DCプロテインアッセ キット、Bio-Rad社、米国)にて定量した。抽出 したタンパク質5μgを蛍光色素(サチュレーシ ンダイCy5、GE Healthcare Biosciences社)で標識し た。標識は以下のように行った。(1)終濃度30m MとなるようにpH8.0のトリスバッファーを加え 、次に(2)1nmolのTECP(トリス(2-カルボキシエチ )ホスフィンヒドロクロライド,Sigma社)を加え 、(3)37度で60分間処理した。次に、(4)Cy5蛍光 素を4nmol加えて、37度で60分間処理した。今 の実験に用いたタンパク質サンプルから等 ずつタンパク質サンプルを集めて混合し、 部標準サンプルとした。内部標準サンプル 5μgを蛍光色素(サチュレーションダイCy3、GE Healthcare Biosciences社)で上記と同様に標識し 。Cy5で標識した個別のサンプルとCy3で標識 た内部標準サンプルを混合し、ウレア可溶 液で最終容量420μlとした。その際、終濃度 65mMとなるようにDTTを、2%となるようにとア フォライン(GE Healthcare Biosciences社)を加えた 。Cy5で標識した個別サンプルとCy3で標識した 内部標準サンプルを混合したサンプルを一枚 の二次元電気泳動ゲルで泳動した。

(2-2.電気泳動)
 まず、一次元目の泳動はイモビラインゲル( 24cm、pI4-7、GE Healthcare Biosciences社)と、Multipho r II(GE Healthcare Biosciences社)を使用した。泳 するタンパク質サンプルでイモビラインゲ を室温にて一晩膨潤させた。泳動は40000Vh行 た。二次元目の泳動は9-15%のポリアクリル ミドのグラジエントゲルと、GiantGelRunner(バ オクラフト社)を使用した。泳動は泳動装置 台につき18Wで17時間、20度で行った。

(2-3.タンパク質検出)
 泳動終了後は、タンパク質を検出する目的 、ガラス板に挟んだままの状態のゲルをレ ザースキャナー(Typhoon Trio、GE Healthcare Bios ciences社)に載せスキャンした。

(2-4.発現解析)
 読み込んだ画像は画像解析ソフトProgenesis(No n-linear Dynamic社)で解析した。

〔3.タンパク質同定〕
(3-1.ゲル内消化法)
 全自動スポット回収装置ProHunter(AsOne社)を用 いて、ゲルから96穴プレートにスポットを回 した。ゲルをメタノールで十分洗浄し、タ パク質分解酵素(トリプシン)で37度にて一晩 処理した。この処理によってタンパク質はペ プチド化される。得られたペプチドは、60%ア セトニトリルにてゲルを洗浄することで回収 した。

(3-2.質量分析)
 ペプチドの質量を測定するためにLTQ(サーモ 社)を使用した。タンパク質同定のためのデ タベース検索にはMasCotを使用した。

〔4.ウェスタン・ブロッティング〕
 前述の方法により手術検体より抽出したタ パク質10μgをSDS-PAGEにて分離し、ニトロセル ロース膜に転写した。抗体は抗DDX39抗体(Gene  way社)を用いた。抗体の希釈濃度は1000倍とし 検出にはECLキット(GE Healthcare Biosciences社) 使用した。

〔6.病理判断〕
(6-1.転移の有無)
 外来経過観察中の診察所見および定期的画 検査(CT,MRI,単純X線写真)により、肺、リンパ 節、腹腔など全身のいずれの場所にも明らか な病変の出現がない場合に転移なしと判断し た。

(6-2.病理学的悪性度(リスク分類))
 非特許文献1(Hasegawa H et al.(2002))に記載の 法に準じて、表1およびこれに関連した上記 載の通りに病理学的悪性度を判断した。腫 分化度、腫瘍壊死およびMIB-1のそれぞれに いて病理医がスコアを決定した。

[実施例1]
 消化管間質腫瘍の手術検体からタンパク質 抽出し、蛍光二次元電気泳動法と質量分析 置にて転移、予後に関係するタンパク質を 析した。1)術後1年以内に転移を来しかつ病 学的悪性度(リスク分類)が高度であった9症 、2)術後3年間、転移がなくかつ病理学的悪 度が中等度あるいは低度であった8症例の手 術検体を用いた。約5000個のタンパク質スポ トから、両群の間で濃度が異なるタンパク スポット38個を選別した(Wilcoxon検定のP値が0. 01以下で平均値が2倍以上)。

 質量分析装置を用いたタンパク質同定の 果、DDX39というタンパク質に由来するタン ク質スポット(DDX39・スポット)が、38個のス ット中1個含まれていた。DDX39・スポットの 度によって、前述の予後不良であった9症例 、予後良好であった8症例を感度(真陽性率 予後不良の患者が検査陽性となる確率)、特 度(真陰性率、予後良好の患者が検査陰性と なる確率)ともに100%で識別することが可能で った(図1参照:図中、白抜きのバー(1)は、早 転移消化管間質腫瘍症例を示し、網かけの ー(2)は、長期無転移消化管間質腫瘍症例を す。)。DDX39に対する特異抗体を用いたウェ タン・ブロッティング法を同じ手術検体に して行った場合においても、感度、特異度 もに100%の正確さで、予後不良の9症例を予 良好の8症例から識別できた(図2参照)。