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Title:
METHOD OF DESIGNING MINUTE FLOW RATE CONTROLLER WITH ENTRANCE THROTTLE GROOVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081530
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of designing a minute flow rate controller that is capable of accurately controlling the minute flow rate of a fluid and realizing desired valve characteristics without inducing any unsteadiness of fluid flow and has a simple configuration with respect to a throttle groove for controlling the fluid flow rate. With respect to a minute flow rate controller comprising inflow passage (12) for introducing a fluid, valve member (2) furnished with main throttle groove (6) for causing the introduced fluid to flow from a starting end toward a finishing end thereof, fluid outflow port (20) opened with an optional cross section by a flow rate regulating member and outflow passage (14) for leading out the fluid flowing out from the fluid outflow port (20), there is provided a method of designing the minute flow rate controller with entrance throttle groove, comprising providing entrance throttle groove (8) communicably preceding the starting end position of the main throttle groove (6), and, on the basis of a relational expression derived from the momentum equation of the fluid flowing through the entrance throttle groove (8) and the main throttle groove (6), determining the size of the entrance throttle groove (8) so as to exhibit a desired flow resistance.

Inventors:
SEKOGUCHI KOTOHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2006/326205
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 28, 2006
Export Citation:
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Assignee:
FUJIKIN KK (JP)
SEKOGUCHI KOTOHIKO (JP)
International Classes:
F16K3/00
Foreign References:
JP2006153141A2006-06-15
JP2006153140A2006-06-15
Attorney, Agent or Firm:
MIKI, Hisami (3-8 Kyutaromachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-city, Osaka 56, JP)
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Claims:
流体を導入する流入路と、この流入路から導入された流体を始端から終端に向けて流動させるメイン絞り溝が形成された弁体と、このメイン絞り溝を任意の位置まで密閉できる流量調整部材と、この流量調整部材により前記メイン絞り溝の任意断面で開口される流体流出口と、この流体流出口から流出する流体を導出する流出路から構成される微小流量制御装置において、前記メイン絞り溝の始端位置に連通的に先行するエントランス絞り溝を設け、前記エントランス絞り溝及びメイン絞り溝を流動する流体の運動量方程式から導出された関係式に基づいて所望の流動抵抗を発揮するようにエントランス絞り溝の寸法を決定することを特徴とするエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記メイン絞り溝の断面積が始端から終端に向かって単調に減少するとき、前記流体流出口の位置が始端から終端に向かって移動するに従い、前記流体流出口から流出する流体の流量が単調に減少するように、前記エントランス絞り溝の寸法を決定する請求項1に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記流体の運動量方程式が、
 uρ(du/dz)+(λ/D H )(1/2)u 2 ρ+dP/dz=0
(ここで、uは流速、ρは密度、zは流体の流動方向座標、λは摩擦係数、D H は絞り溝断面積の等価直径、Pは圧力)で表される請求項1又は2に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記運動量方程式が
 u=G/(ρA)及びλ=64μA/(GD H )
(ここで、Gは質量流量、ρは流体の密度、Aは流体流出口の断面積、μは流体の粘性係数)に基づいて演算される請求項3に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記メイン絞り溝の終端の位置をL=0、流体流出口の位置をL=L、始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、流体流出口がL=Lにあるときの流量をG、L * =L/L 0 、G * =G/G M 、L * =1における(dG * /dL * )の値を(dG * /dL * ) L*=1 としたとき、エントランス絞り溝の臨界長さL EC
 L EC =L 0 /(dG * /dL * ) L*=1
で与えられる請求項4に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記流体が非圧縮性流体であり、メイン絞り溝の任意断面の形状が相互に相似形であるとき、弁特性がG * =L * で表されるリニア型に対する臨界長さL EC
 L EC =L 0
とする請求項5に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記メイン絞り溝の終端の位置をL=0、流体流出口の位置をL=L、始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、流体流出口がL=Lにあるときの流量をG、L * =L/L 0 、G * =G/G M 、前記メイン絞り溝の任意断面の形状が相互に非相似形で、弁特性がリニア型であるとき、前記臨界長さL EC
 L EC =L 0 /(dG * /dL * )
で与えられる請求項4に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
弁特性が
 G * =G 0 * +(1-G 0 * )L *
(ここで、G 0 * はL * =0におけるG * の値)で表されるリニア型であり、G 0 * =1/R A (1≦R A ≦∞)で表されるとき、前記臨界長さL EC
 L EC =L 0 /(1-1/R A )
で与えられる請求項5又は7に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
弁特性が
 G * =G 0 *(1-L*)
(ここで、G 0 * はL * =0におけるG * の値)で表されるイコールパーセンテイジ型であり、G 0 * =1/R A (1≦R A ≦∞)で表されるとき、前記臨界長さL EC
 L EC =L 0 /lnR A
で与えられる請求項5又は7に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記エントランス絞り溝の断面積が前記メイン絞り溝の始端位置に向かって単調に増加するエントランス絞り溝を具備する請求項1~4のいずれかに記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記エントランス絞り溝の断面積A E (z)が流動方向座標zに沿って線型に増加し、前記断面積A E (z)が
 A E (z)=A EQ +{(A E0 -A EQ )/L EQ }・z
(ここで、A EQ はエントランス絞り溝の始端断面積、A E0 は前記メイン絞り溝の始端位置に接するエントランス絞り溝の終端断面積、L EQ はエントランス絞り溝の長さ、zは流体の流動方向座標)で与えられる請求項10に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
前記メイン絞り溝の終端の位置をL=0、始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=0にあるときの流量をG 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、G 0 * =G 0 /G M 、R A =1/G 0 * とし、前記エントランス絞り溝内の摩擦圧力降下が,前記臨界長さL EC を有する一様な断面積のエントランス絞り溝の呈する摩擦圧力降下に等価な大きさをとるものとして得られる下記のエントランス絞り溝の長さ
 L EQ =(A EQ /A E0 ){L 0 /(1-G 0 * )}
      =(A EQ /A E0 ){L 0 /(1-1/R A )}
をもつ請求項11に記載のエントランス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法。
Description:
エントランス絞り溝付微小流量 御装置の設計方法、

 本発明は、液体や気体の流量を制御する 量制御装置に関し、更に詳細には、マイク サイズ等の極微小サイズの流路・流体動作 境・反応器等における流体(液体や気体)の 小流量を制御する微小流量制御装置の設計 法に関する。

 近年、化学反応システムの微小化及び集 化が合成化学、分析化学、半導体産業及び イオテクノロジー産業における新たな技術 課題として注目されており、免疫分析シス ム、環境分析システム、細胞生化学実験シ テム、化学気相成長システム及び合成化学 験システム等の化学反応制御の高精度化及 効率化において重要な役割を果たすと考え れる。こうした技術動向の中で、反応容積 ナノリッターからマイクロリッターの微細 間における化学反応、いわゆるマイクロリ クタを対象として反応収率の向上、反応時 の短縮、環境負荷の軽減などを目的とした しい研究開発が推進されようとしている。 のような微細空間に供給する液体あるいは 体については、既存の技術にはない微小で 確な流量制御が不可欠とされている。

 従来、流体の微小流量調整に使用される の形式としては、通常、ニードル弁タイプ 用いられる。ニードル弁は、弁の開放後に 量が急激に増大するため、前記した微細空 に供給される流量、例えば、液体について 最大流量が10mL/min~1mL/min、気体については1~0 .01sccmの微小流量を調整する手段として使用 ることは困難であり、従ってこのような目 に適した新しい微小流量制御技術の開発が 要となっている。

 ニードル弁タイプとは異なる方式の微小流 制御弁の先行技術として、特開2001-187977号( 許文献1)及び特開2003-278934号(特許文献2)が公 表されている。この先行技術のいずれもが流 体の流量を制御する絞り溝を円弧状に配置し た形状を特徴としている。

特開2001-187977号公報

特開2003-278934号公報

 図21は、特許文献1に記載されている従来 流量制御弁の組立分解斜視図である。弁本 は中心軸Zを中心として弁座110と弁体103から 構成され、弁座110と弁体103との間には絞り溝 104を形成した金属弁102が配置されている。弁 座110には出口流路114が設けられ、弁体103には 入口流路用溝部103aが形成されている。流体 弁体110に形成された入口流路用溝部103aを経 、金属弁102に形成された絞り溝104に導かれ 弁座110にある出口流路114の軸Zを中心とする 回転角度により流量を制御され、弁座に形成 されたL字状の出口流路114から弁出口114aへ導 れる。この弁座110の回転は上部に配置され ステップモータにより行われる。

 図22は、図21の金属弁102に形成された絞り 溝104の平面図である。Z軸を中心として半径r 円弧上に絞り溝104が形成され、深さhは一定 で、幅Wは先端部が最大で後端部に向かって 第に狭くなる形状を有している。絞り溝104 始端位置には、入口流路用溝部103a(図23)に連 通する貫通孔113が形成されている。この貫通 孔113から導入された流体の流量は、弁座110に 形成されたL字状の出口流路114のZ軸を中心と る回転角度により制御される。

 従って、流体流量を微小に調整するため は、弁座114を微小回転することが重要にな 。しかし、回転による円周変位量は円半径 回転角度の積に比例するので、円半径が大 い場合には回転角度量は相対的に小さくな 。一般に、ニードル弁に限らず、流量制御 の場合、開弁直後の極めて僅かな円周変位 を精細に制御するには、回転角度もまた精 に制御する必要があるが、円半径が大きい 合には回転角度の調整を一層微細としなけ ばならなくなり、それだけ微小流量制御が しくなることを意味している。他方、円半 が小さい場合には、そのような円弧状絞り を正確に刻設することが逆に困難になる。 って、円弧状絞り溝では、円半径が必然的 大きくなり、微小角度制御の困難性が出現 る。

 絞り溝104の始端位置104aから終端位置104bま の長さをL 0 とし、出口流路114aが形成する絞り溝104の開 断面114bから絞り溝の終端104bまでの長さをL する。開口部の長さLとその最大長さL 0 との比をL * とする。L * は0~1の範囲で変化し、弁が直線的に移動する 場合はリフトの無次元長さを意味する(相対 ラベルともいう)。以下では、L * を無次元リフトと称する。

 本発明者は、微小流量制御装置の弁開度 流量の関係、すなわち流量特性が所要の特 となるためには絞り溝の断面積を流路に沿 てどのように変化させる必要があるかにつ て解析を行い、流体の物理的性質、弁の前 の圧力差、絞り溝の断面形状、また、断面 状が長方形である場合には溝の高さとアス クト比(縦横比)、溝の長さ等、各種の設計 ラメータの相違によって絞り溝の断面積の 方向変化にみられる特徴を調査した。なお 流量調整弁の流量特性は弁特性ともいわれ これにはリニア特性とイコールパーセンテ ジ特性とがあり、通常、いずれかの特性を 与するように設計される。微小流量制御装 の流量特性にみられる基本的特徴を、リニ 型の弁特性を付与する場合について説明す 。図23は、流体の物性値として20℃の水を基 とし、粘性係数がこの水の10倍及び20倍とな った場合に、弁特性を所要のリニア型とする ために絞り溝の断面積を流れの方向にどのよ うに変化させる必要があるか、について示し ている。

 図23は、従来型微小流量制御装置において 絞り溝の全長を基準とした無次元長さL * (弁の全開時にL * =1となるように溝の長さをとれば、L * は無次元リフトに相当する)を横軸とし、任 の位置の断面積と溝の入口断面積との比(無 元断面積A * )と、弁の全開時の流量を基準とした無次元 量Q(体積流量比)とをそれぞれ縦軸にとった 関図である。絞り溝断面の形状は長方形で り、その全長L0は10mm、高さH 0 は0.5mm一定で、溝のアスペクト比Caが絞り溝 入口において1.5の場合である。また、
弁の入口と出口の圧力差は、0.001MPa(全開時の 流量は約12mL/min)としている。通常、リニア特 性及びイコールパーセンテイジ特性のいずれ においても開弁直後に生じるG * (質量流量比:液体の場合はQ * と同じ)の値をG * 0 とすると、その逆数1
/G * 0 は当該弁の流量調整能力を開弁直後の流量の 倍数で表したときの大きさに相当しており、 これをレンジアビリティ(以下、R A と書く)という。図25ではR A =20の場合を示している。絞り溝の断面積は無 次元リフトに対して単調に変化するのではな く、図25に示されるようにL * =0~1の間で最大値を取る曲線となることがあ 、粘度の増加に伴ってより急峻なピークを つ曲線となる。一般的傾向として、無次元 面積A * の最大値は、溝の深さの減少、及び溝の入口 におけるアスペクト比の増加とともに大きく なる。これらのことは、流量が小さいほどA * の最大値が大きくなることを意味している。 従って、マイクロリアクタで問題とされる10m L/min、あるいはこれ以下のきわめて微小な流 の場合には、粘度の比較的低い流体におい も顕著なピークを持つ曲線となるという性 がある。このような性質は、溝の加工を困 にするだけでなく、流路断面積の急拡大に う流れの剥離を誘発し、流動特性を不安定 する可能性がある。また、使用条件の変化 対して、弁特性がリニア特性型から逸脱し 流量変化をもたらすことになる。以上の性 は、弁特性がイコールパーセンテイジ特性 場合についても同様に現れ、問題になり得 ものであった。

 一方、特開2003-278934号(特許文献2)に記載 れている電動流量制御弁は上部弁と下部弁 ら構成され、上部弁の開閉により流体圧力 下部弁に付加して弁の密閉性を高めている しかし、特許文献1に記載の電動流量制御弁 機構的に同様であるから、流路断面積の急 大に伴う流体の流れの剥離を誘発し、流動 性を不安定にするなどの上記問題点を有し いる。本発明者はこの問題を解決すべく鋭 研究した結果、絞り溝の前段に流動抵抗を 与することを着想し、この流動抵抗を付与 る絞り溝の構造を設計する方法を流体力学 論に基づいて導出し、本発明を完成させた のである。

 本発明の目的は、流体の微小流量を安定 つ正確に制御するために、図23に見られる うな流れの急拡大部を形成することによる 動の不安定を誘起することなく、所要の弁 性を実現することにある。すなわち、適切 大きさの流動抵抗を発揮するエントランス り溝をメイン絞り溝の入口側に付置するこ により、メイン絞り溝の断面積を流動方向 単調に変化させるという条件の下で、所要 弁特性が実現できる微小流量制御装置の設 方法を提供することである。

 本発明は上記課題を解決するためになさ たものであり、本発明の第1の形態は、流体 を導入する流入路と、この流入路から導入さ れた流体を始端から終端に向けて流動させる メイン絞り溝が形成された弁体と、このメイ ン絞り溝を任意の位置まで密閉できる流量調 整部材と、この流量調整部材により前記メイ ン絞り溝の任意断面で開口される流体流出口 と、この流体流出口から流出する流体を導出 する流出路から構成される微小流量制御装置 において、前記メイン絞り溝の始端位置に連 通的に先行するエントランス絞り溝を設け、 前記エントランス絞り溝及びメイン絞り溝を 流動する流体の運動量方程式から導出された 関係式に基づいて所望の流動抵抗を発揮する ようにエントランス絞り溝の寸法を決定する エントランス絞り溝付微小流量制御装置の設 計方法である。

 本発明の第2の形態は、前記第1の形態に いて、前記メイン絞り溝の断面積が始端か 終端に向かって単調に減少するとき、前記 体流出口の位置が始端から終端に向かって 動するに従い、前記流体流出口から流出す 流体の流量が単調に減少するように、前記 ントランス絞り溝の寸法を決定するエント ンス絞り溝付微小流量制御装置の設計方法 ある。

 本発明の第3の形態は、前記第1又は第2の形 において、前記流体の運動量方程式が、
 uρ(du/dz)+(λ/D H )(1/2)u 2 ρ+dP/dz=0
(ここで、uは流速、ρは密度、zは流体の流動 向座標、λは摩擦係数、D H は絞り溝断面積の等価直径、Pは圧力)で表さ るエントランス絞り溝付微小流量制御装置 設計方法である。

 本発明の第4の形態は、前記第3の形態にお て、前記運動量方程式が
 u=G/(ρA)及びλ=64μA/(GD H )
(ここで、Gは質量流量、ρは流体の密度、Aは 体流出口の断面積、μは流体の粘性係数)に づいて演算されるエントランス絞り溝付微 流量制御装置の設計方法である。

 本発明の第5の形態は、前記第4の形態にお て、前記メイン絞り溝の終端の位置をL=0、 体流出口の位置をL=L、始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、流体流出口がL=Lにあるときの流量をG、L * =L/L 0 、G * =G/G M 、L * =1における(dG * /dL * )の値を(dG * /dL * ) L*=1 としたとき、エントランス絞り溝の臨界長さ L EC
 L EC =L 0 /(dG * /dL * ) L*=1
で与えられるエントランス絞り溝付微小流量 制御装置の設計方法である。

 本発明の第6の形態は、前記第5の形態にお て、前記流体が非圧縮性流体であり、メイ 絞り溝の任意断面の形状が相互に相似形で るとき、弁特性がG * =L * で表されるリニア型に対する臨界長さL EC
 L EC =L 0
とするエントランス絞り溝付微小流量制御装 置の設計方法である。

 本発明の第7の形態は、前記第4の形態にお て、前記メイン絞り溝の終端の位置をL=0、 体流出口の位置をL=L、始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、流体流出口がL=Lにあるときの流量をG、L * =L/L 0 、G * =G/G M 、前記メイン絞り溝の任意断面の形状が相互 に非相似形で、弁特性がリニア型であるとき 、前記臨界長さL EC
 L EC =L 0 /(dG * /dL * )
で与えられるエントランス付微小流量制御装 置の設計方法である。

 本発明の第8の形態は、前記第5又は第7の形 において、弁特性が
 G * =G 0 * +(1-G 0 * )L *
(ここで、G 0 * はL * =0におけるG * の値)で表されるリニア型であり、G 0 * =1/R A (1≦R A ≦∞)で表されるとき、前記臨界長さL EC
 L EC =L 0 /(1-1/R A )
で与えられるエントランス絞り溝付微小流量 制御装置の設計方法である。

 本発明の第9の形態は、前記第5又は第7の形 において、弁特性が
 G * =G 0 *(1-L*)
(ここで、G 0 * はL * =0におけるG * の値)で表されるイコールパーセンテイジ型 あり、G 0 * =1/R A (1≦R A ≦∞)で表されるとき、前記臨界長さL EC
 L EC =L 0 /lnR A
で与えられるエントランス絞り溝付微小流量 制御装置の設計方法である。

 本発明の第10の形態は、前記第1~第4のい れかの形態において、前記エントランス絞 溝の断面積が前記メイン絞り溝の始端位置 向かって単調に増加するエントランス絞り を具備するエントランス絞り溝付微小流量 御装置の設計方法である。

 本発明の第11の形態は、前記第10の形態にお いて、前記エントランス絞り溝の断面積A E (z)が流動方向座標zに沿って線型に増加し、 記断面積A E (z)が
 A E (z)=A EQ +{(A E0 -A EQ )/L EQ }・z
(ここで、A EQ はエントランス絞り溝の始端断面積、A E0 は前記メイン絞り溝の始端位置に最近接する エントランス絞り溝の終端断面積、L EQ はエントランス絞り溝の長さ、zは流体の流 方向座標)で与えられるエントランス絞り溝 微小流量制御装置の設計方法である。

 本発明の第12の形態は、前記第11の形態にお いて、前記メイン絞り溝の終端の位置をL=0、 始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=0にあるときの流量をG 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、G 0 * =G 0 /G M 、R A =1/G 0 * とし、前記エントランス絞り溝内の摩擦圧力 降下が,前記臨界長さL EC を有する一様な断面積のエントランス絞り溝 の呈する摩擦圧力降下に等価な大きさをとる ものとして得られる下記のエントランス絞り 溝の長さ
 L EQ =(A EQ /A E0 ){L 0 /(1-G 0 * )}
      =(A EQ /A E0 ){L 0 /(1-1/R A )}
をもつエントランス絞り溝付微小流量制御装 置の設計方法である。

 本発明の第1の形態によれば、微小流量制 御装置におけるメイン絞り溝の始端位置に先 行して連通的に設けられたエントランス絞り 溝の寸法が絞り溝内を流動する流体の運動量 方程式から導出された関係式に基づいて決定 されるから、本発明に係る設計方法により設 計されたエントランス絞り溝を配設すること により、単純な構造を有し、所要の弁特性を 実現するメイン絞り溝断面の寸法を決定する ことができる。すなわち、前記関係式に基づ いて所望の弁特性に適合した流動抵抗を発揮 するエントランス絞り溝の寸法を決定するか ら、所要の弁特性を実現するためにメイン絞 り溝の断面積を軸方向に急峻に、あるいは微 妙に変化させる必要がなく、軸方向に単調に 変化するメイン絞り溝の断面積の寸法を決定 することができる。また、前記エントランス 絞り溝の寸法を決定する関係式は、所要の弁 特性を付与するという条件の下で、前記運動 量方程式から導出することができる。また、 本発明に係る設計方法により設計されたエン トランス絞り溝を配設することにより、単純 な構造を有するメイン絞り溝を具備する微小 流量制御装置により、高精度な微小流量の制 御を簡易に行うことができる。更に、前記メ イン絞り溝が単純な構造を有することにより 、高精度な微小流量制御装置を容易に製造す ることができ、微小流量制御装置の製造コス トを低減することができる。

 本発明の第2の形態によれば、断面積が始 端から終端に向かって単調に減少するメイン 絞り溝が形成された微小流量制御装置により 、前記流量を高精度に調整できる。前述のよ うに、従来の微小流量制御装置では、流量調 整部材を移動することにより流量の単調減少 を実現するためには、メイン絞り溝の始端近 傍を急激に窄ませる必要があったが、本発明 に係るエントランス絞り溝を連通的に設ける ことにより、断面積が単調に変化するメイン 絞り溝によって所要の流量特性を実現するこ とができる。前記断面積が単調に減少するメ イン絞り溝は前記弁体に形成することが容易 であり、設計されたメイン絞り溝の形状を高 精度で加工することができる。従って、高精 度な微小流量制御装置を提供できると共に、 製作上の歩留まりを格段に向上させることが できる。

 本発明の第3の形態によれば、前記流体の運 動量方程式として、
   uρ(du/dz)+(λ/D H )(1/2)u 2 ρ+dP/dz=0 ・・・(1)
(ここで、uは流速、ρは密度、zは流体の流動 向座標、λは摩擦係数、D H は絞り溝断面積の等価直径、Pは圧力)を適用 ることによって、前記関係式を導出するこ ができる。ここで、任意の断面形状を有す 絞り溝に対しては、D H =4A/Uで定義される等価直径D H を用いる。

 本発明の第4の形態によれば、流速uが
   u=G/(ρA)  ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・(2)
と表されるから、前記関係式は、絞り溝の断 面積A及び質量流量Gを変数又はパラメータと て含むことができ、所望の弁特性とエント ンス絞り溝の寸法の関係を明確に表すこと できる。更に、前記絞り溝内の流動を層流 みなすことにより、前記摩擦係数λが流体 レイノルズ数Reにのみに依存して
   λ=64/Re    ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・(3)
ここで、レイノルズ数は次式で定義される。
   Re=D H u/(μ/ρ))  ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・(4)
従って、
   λ=64μA/(GD H )  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・(5)
となるから、前記摩擦係数λを容易に導出す ことができる。

 本発明の第5の形態によれば、前記メイン絞 り溝の終端の位置をL=0、流体流出口の位置を L=L、始端の位置をL=L 0 、前記L=Lにおけるメイン絞り溝の断面積をA 流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、流体流出口がL=Lにあるときの流量をG、L * =L/L 0 、G * =G/G M 、L * =1における(dG * /dL * )の値を(dG * /dL)L*=1としたとき、エントランス絞り溝の臨 長さL EC
   L EC =L 0 /(dG * /dL)L*=1  ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・(6)
で与え、所望の弁特性の下で、前記運動量方 程式を解くことによってメイン絞り溝の無次 元断面積A * (=A/A E )を決定することができる。このようにして られるA * は、L * =1の近傍においてG * =A * となり、更にA * は軸方向に単調に変化するという特徴を有す る。このような設計手法は、流体の圧縮性の 有無、絞り溝の断面形状が軸方向に相似形で あるか否か、また弁特性がリニア型であるか イコールパーセンテイジ型であるか否かを問 わず、適用できるものである。

 本発明の第6の形態によれば、前記流体が非 圧縮性流体であり、メイン絞り溝の任意断面 の形状が相互に相似形であるとき、弁特性が G * =L * で表されるリニア型に対する臨界長さL EC
   L EC =L 0   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・(7)
と与え、A * =L * とすることによって、G * =L * となる弁特性を実現することができる。臨界 長さL EC がL EC =L 0 に設定されたエントランス絞り溝と、これに 連通するメイン絞り溝から構成される流路に 対して前記運動量方程式を適用すると、弁特 性とメイン絞り溝の無次元断面積A * との関係として、G * =A * =L * が導出される。従って、前記エントランス絞 り溝をL EC =L 0 に設定すれば、前記メイン絞り溝の断面の寸 法をA * =L * となるように決定することにより、流量Gが 体流出口の位置Lの定数倍となる単純な弁特 を前記微小流量制御装置に付与することが き、高精度な微小流量の制御を容易に行な ことができる。

 本発明の第7の形態によれば、前記メイン絞 り溝の終端の位置をL=0、流体流出口の位置を L=L、始端の位置をL=L 0 、流体流出口がL=L 0 にあるときの流量をG M 、流体流出口がL=Lにあるときの流量をG、L * =L/L 0 、G * =G/G M 、前記メイン絞り溝の任意断面の形状が相互 に非相似形であり、弁特性がリニア型である とき、前記臨界長さL EC
   L EC =L 0 /(dG * /dL * ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (8)
で与え、所望の弁特性の下で前記運動量方程 式を解くことによって軸方向に単調に変化す るメイン絞り溝の無次元断面積A * を決定することができる。

 本発明の第8の形態によれば、弁特性が
   G * =G 0 * +(1-G 0 * )L *   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
で表されるリニア型のときには、前記臨界長 さL EC
   L EC =L 0 /(1-1/R A )  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (10)
で与えられるから、前記メイン絞り溝の長さ L 0 及びレンジアビリティR A を与えれば、前記リニア型の弁特性を付与す るエントランス絞り溝の臨界長さを簡易に決 定することができる。無次元流量G * 0 は弁の流量調整能力を開弁直後の流量の倍数 で表したときの大
きさに相当しており、レンジアビリティR A は、G * 0 の逆数1/G * 0 で定義され、全閉状態(L * =0)近傍における弁特性を特徴付ける量である 。

 本発明の第9の形態によれば、弁特性が
   G * =G 0 *(1-L*)   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・(11)
で表されるイコールパーセンテイジ型であり 、G 0 * はL * =0におけるG * の値でG 0 * =1/R A (1≦R A ≦∞)で表されるとき、前記臨界長さL EC
   L EC =L 0 /lnR A   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・(12)
で与えられるから、イコールパーセンテイジ 型の弁特性を実現するエントランス絞り溝の 長さを決定することができる。

 本発明の第10の形態によれば、前記エン ランス絞り溝の終端位置の断面積が同一の 合、エントランス絞り溝の断面積を前記メ ン絞り溝の始端位置に向かって単調に増加 せることにより、すなわち、エントランス り溝の入口に向かって単調に減少させるこ により、エントランス絞り溝による流動抵 を増大させることができるから、前記エン ランス絞り溝の長さを短縮することができ 。従って、微小流量制御装置をコンパクト することができる。

 本発明の第11の形態によれば、前記エント ンス絞り溝の断面積が流動方向座標zに沿っ 線型に増加し、前記断面積が
   A E (z)=A EQ +{(A E0 -A EQ )/L EQ }・z   ・・・・・・(13)
で与えられるから、前記エントランス絞り溝 による流動抵抗が増大すると共に、このエン トランス絞り溝における流体の圧力損失を容 易に見積もることができる。すなわち、所望 の弁特性を与えるエントランス絞り溝の寸法 が簡易に決定される。

 本発明の第12の形態によれば、前記エント ンス絞り溝の長さが
  L EQ =(A EQ /A E0 )(L 0 /(1-G 0 * ))
       =(A EQ /A E0 )(L 0 /(1-1/R A * ))  ・・・・・・・・(14)
で与えられるから、リニア型の弁特性を微小 流量制御装置に付与するエントランス絞り溝 の長さを容易に決定することができる。

本発明に係る微小流量制御装置の概略 明図である。 本発明に係る微小流量制御装置の概略 面図である。 本発明に係る微小流量制御装置が全開 態にある場合の概略断面図である。 本発明に係る微小流量制御装置が全閉 態にある場合の概略断面図である。 本発明に係る微小流量制御装置の概略 面図である。 本発明に係る絞り溝の概略図である。 本発明に係る運動量方程式の計算過程 である。 本発明に係る関係式の導出過程図であ 。 非圧縮流体における関係式の導出過程 である。 相似形の断面を有する絞り溝の概略図 である。 弁特性がリニア型である場合の臨界長 さの分類図である。 リニア型の弁特性が付与された本発明 に係る微小流量制御装置におけるメイン絞り 溝の断面積Aと流量Qの相関図である。 リニア型の弁特性が付与された本発明 に係る微小流量制御装置におけるメイン絞り 溝の断面積Aと流量Qの相関図である。 非相似形断面を有する絞り溝の概略図 である。 本発明に係るエントランス絞り溝の長さが準 臨界長さL EC に設定された本発明に係る微小流量制御装置 における断面積Aと流量Qの相関図である。 弁特性がイコールパーセンテイジ(EQ) である場合の臨界長さの分類図である。 イコールパーセンテイジ型の弁特性が 付与された本発明に係る微小流量制御装置に おけるメイン絞り溝の断面積Aと流量Qの相関 である。 イコールパーセンテイジ型の弁特性が 付与された本発明に係る微小流量制御装置に おけるメイン絞り溝の断面積Aと流量Qの相関 である。 本発明に係る短縮エントランス絞り溝 を有する絞り溝の概略図である。 本発明に係る短縮エントランス絞り溝 の長さの導出過程図である。 従来の流量制御弁の組立分解斜視図で ある。 図21の金属弁に形成された絞り溝の平 図である。 エントランス絞り溝を具備しない従来 型微小流量制御装置において、リフトに対す る絞り溝の断面積と流量の関係に及ぼす流体 の粘度の大きさの影響を示す相関図である。

符号の説明

2    弁体
4    絞り溝
6    メイン絞り溝
8    エントランス絞り溝
10   流量調整スライダ
10a  摺接位置
10b  矢印
12   流入路
14   流出路
15   流入部
16   エントランス絞り溝の始端断面
18   メイン絞り溝の始端端面
19   エントランス絞り溝の終端断面
20   流体流出口
22   流出部
24   摺動範囲
24a  全開位置
24b  全閉位置
26   管路
26a  微小円柱
102  金属弁
103  弁体
103a 入口流路用溝部
104  絞り溝
110  弁座
113  貫通孔
114  出口流路
114a 弁出口

 図1は、本発明に係る微小流量制御装置の概 略説明図である。微小流量制御装置の基本構 造は、絞り溝4が形成された弁体2とこの弁体2 の上面をスライドする流量調整スライダ10か 構成されている。前記絞り溝4はメイン絞り 溝6とエントランス絞り溝8から構成され、前 流量調整スライダ10が弁体の上面に摺接す ことにより、前記メイン絞り溝4とエントラ ス絞り溝8が流路として機能する。前記流量 調整スライダ10が弁体2の上面における摺接位 置10aにある場合、流入路12から流入した流体 、流入部15からエントランス絞り溝8に流れ み、前記メイン絞り溝6を経て流体流出口20 ら流出し、流出部22から流出路14へと流入す る。前記流量調整スライダ10が矢印10bの方向 摺動することにより、前記メイン絞り溝6の 長さが変化して流体の流量が調整
される。

 図2は、本発明に係る微小流量制御装置の 概略断面図である。前記流量調整スライダ10 、弁体2の上面に摺接して摺動範囲24内を全 位置24aから全閉位置24bまで自在に移動する とができる。図示しないが、微動流量制御 置には、設定流量に応じて前記流量調整ス イダ10の位置を移動させる駆動手段が付設 れ、この駆動手段としてステッピングモー や圧電素子などから構成される微動制御手 を用いることができる。

 図3は、本発明に係る微小流量制御装置が 全開状態にある場合の概略断面図である。前 記流量調整スライダ10の端部が前記摺接範囲2 4内の全開位置24aにあるとき、前記流体流出 20の断面積20が最大となり、最大流量が流出 22から流出路14へ供給される。

 図4は、本発明に係る微小流量制御装置が 全閉状態にある場合の概略断面図である。前 記流量調整スライダ10の端面が前記摺動範囲2 4内の全閉位置24aにあるとき、前記流出部が 記流量調整スライダにより完全に閉じられ 、流量は0となる。

 図5は、微小流量制御装置の概略平面図であ る。前記運動量方程式(1)
  uρ(du/dz)+(λ/D H )(1/2)u 2 ρ+dP/dz=0 ・・・(1)
(ここで、uは流速、ρは密度、zは流体の流動 向座標、λは摩擦係数、D H は絞り溝の等価直径、Pは圧力)を本発明に係 絞り溝4に適用する。uは絞り溝断面内の平 流速、ρは密度、流体の流動方向をz軸(流動 向座標zと呼ぶ)とする。更に、前記メイン り溝の長さがL 0 、前記エントランス絞り溝の長さがL E で与えられ、前記流量調整スライダ10の位置 標L(「リフト」と呼ぶ)は、前記メイン絞り の終端の位置でL=0、始端の位置でL=L 0 となる。また、前記前記流量調整スライダ10 位置は、LをL 0 で規格化した無次元リフトL * =L/L 0 及びメイン絞り溝の始端位置を原点としてL 0 で規格化された無次元座標ζ * =1-L * によって示される。

 図6は、本発明に係る絞り溝4の概略図であ 。図6に示した管路内における流体の運動量 程式(1)を本発明に係る絞り溝内の流体に適 する。上述のように、式中の等価直径は、 路の断面積Aとその周長Uを用いて、D H =4A/Uで定義され、対象とする流路が直径いく の円管と等価であるかを示す代表長さであ 。例えば、断面の形状が直径Dの半円形の場 合、A=(1/2)π(D/2) 2 及びU=D+π(D/2)から、等価直径D H は、
   D H ={(2π) 0.5 /(1+π/2)}・A 0.5   ・・・・・・・・(15)
となる。半円形以外の断面形状であっても、 内側に入り組んだ表面を有しない相似な断面 形状であれば、周長UはA 0.5 に比例するという関係があるから、式(15)に られるDH∝A 0.5 が成り立つ。

 以下、前記運動量方程式(1)から所望の弁特 とエントランス絞り溝の臨界長さの基本関 式を導出する。
 図7は、本発明に係る運動量方程式の計算過 程図である。前記運動量方程式(1)を式(1-1)と て再渇している。流速uは流体の連続条件か ら質量流量Gと次式によって関係付けられて る。
   u=G/(ρA)  ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・(2)
層流に対する摩擦係数λは、既出の以下の式 表される。
   λ=64μA/(uD H )  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・(5)
式(2)と(5)を前記運動量方程式(1-1)に代入して 理すると、式(1-2)が得られる。

 次に、前記運動量方程式(1-2)を弁全開時の ントランス絞り溝内の流れに適用する。両 にρを掛け、最大流量をG M 、エントランス絞り溝の断面積A E が一定であるとし、前記運動量方程式(1-2)を ントランス絞り溝の全長に亘って積分する 、式(1-3)が得られる。式(1-3)の積分記号に付 した1と2は、流入部と流出部の状態を示す。 た、第1項の積分の上限F(L E )は、パラメータ{1/(ρA)}のエントランス絞り の出口端面における値を示している。

 次に、前記リフトLが任意の値(L=L)をとると 、与えられた弁特性からリフトLに対応する 流量がGであるとして、式(1-2)にρを掛けて流 部から流出部まで積分すると、式(1-4)が得 れる。この式(1-4)の左辺第2項の積分は、エ トランス絞り溝全体と、メイン絞り溝入口 らリフトLまで行われる。すなわち、zの範囲 は0~{L E +(L 0 -L)}であり、0~L E までのエントランス領域とL E ~(L 0 -L)までのメイン領域とに分けることができる 。このメイン領域における積分を行うために 、メイン絞り溝の始端位置を原点とした無次 元座標ζ及び前記無次元座標ζ * (=1-L * )を用いる。無次元座標ζは、
  ζ=(z-L E )/L 0   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・(16)
で定義され、dzをdζへ変数変換すると、
  dz=L 0 dζ   ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・(17)
が得られる。

 式(1-4)の第2項は、前記メイン領域(変数ζ:0~1 )とエントランス領域(変数z:0~L E )の二つの部分に分けられ、式(1-5)が得られる 。この式(1-5)を式(1-4)に代入すると、式(1-6)が 得られる。また、式(1-4)の左辺第1項のAはζの 関数であるから、積分の上限値をF(ζ * )と書くことができる。すなわち、パラメー {(1/ρA)}に関して流入部1からζ * まで積分することを意味している。式(1-3)の 3項と式(1-6)の第4項は等しいから、これらを 等置すると式(1-7)が得られる。この式(1-7)をG 割り、G * =G/G M と置くと、式(1-8)となる。

 図8は、本発明に係る関係式の導出過程図で ある。前記式(1-8)をζ * について微分すると、式(2-1)となる。無次元 標ζ * は(=1-L * )であるから、ζ * をL * で書き改めると、(2-2)式が得られる。この式( 2-2)の左辺が0となる条件式(2-3)を満たすL E を臨界長さL EC とする。この臨界長さL EC は所望の弁特性の実現に適合した最適なエン トランス絞り溝の長さであるとういう意味を 有している。換言すれば、前記条件式(2-3)は 所望の弁特性とメイン絞り溝の形状から最 なエントランス絞り溝の長さである臨界長 L EC を導出する関係式として用いられる。従って 、前記式(2-3)から前記臨界長さL EC は、関係式(2-4)で表される。この関係式(2-4) は、物性値が含まれていないから、流体が 体であるか又は気体であるかを限定するも ではなく、前記関係式(2-4)は、種々の流体に 対して適用する。更に、式(2-2)の左辺が0のと き、右辺も0であるから式(2-5)が得られる。

 図9は、非圧縮性流体における関係式の導出 過程図である。式(3-1)は、図8に示した式(2-5) 示している。流体が液体で非圧縮性である 合、前記式(3-1)の第1項における積分は、流 部(1)の断面積が絞り溝の断面積に比べ十分 きいとすると、式(3-2)のようになる。一方 前記式(3-1)の第2項は、式(3-3)のように書き換 えられる。式(3-2)と式(3-3)を式(3-1)に代入する ことによって、式(3-4)が得られる。ここで、 次元断面積A * =A/A E を用いて書き換えると、式(3-5)のように表さ る。従って、[(G * /A *2 )-(1/G * )]のL * に関する微分値が0であるから、式(3-6)に示す ように、式(3-5)は[(G * /A *2 )-(1/G * )]が定数Cで表であることを示している。更に 、弁全開時では、G * =1,A *2 =1となるから、定数Cは0となる。従って、弁 開時における前記式(3-6)は式(3-7)となり、非 縮性流体の関係式(3-8)が得られる。

 図10は、相似形の断面を有する絞り溝4の概 図である。上述したように、絞り溝4の断面 が相似形である場合、絞り溝4の等価直径D H は断面積Aの0.5乗に比例し、D H ∝A 0.5 となる。図のように断面形状が台形の場合に おいてもその係数が変化するのみで、D H ∝A 0.5 なる関係が成り立っている。

 従って、図9の式(3-9)に示すように、式(2-4) 右辺における(A E D HE 2 )/(AD H 2 )は、1/A *2 となり、式(3-9)を式(2-4)に代入すると、相似 断面において臨界長さを与える関係式(3-10) 得られる。更に、流体が非圧縮性の場合、 似形断面における関係式(3-10)に前記非圧縮 流体の関係式(3-8)が成り立つから、非圧縮性 流体及び相似形断面における関係式(3-11)が得 られる。

 図11は、弁特性がリニア型である場合の臨 長さの分類図である。前記関係式(2-4)には、 G * と(dG * /L * )が含まれており、G * とL * の関係は所望の弁特性によって決定される。 代表的な弁特性として、リニア型とイコール パーセンテイジ型があり、これらの2種類の 特性の内、先ずリニア型の場合について詳 する。

 弁特性がリニア型の場合、無次元流量G *
   G * =G 0 * +(1-G 0 * )・L *   ・・・・・・・・・・・・・・・(4-1)
で与えられ、ここで、G 0 * は、L * =0におけるG * の値であり、レンジアビリティR A とは次の関係がある。
   G 0 * =1/R A    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・(4-2)
前記メイン絞り溝の終端が理想的な形状を有 する場合、全閉状態(L * =0)近傍おける流量は、弁特性に従って連続的 に0に近付いていくが、そのような終端形状 現実に形成することは不可能である。弁特 を式で表す場合、初期流量G * 0 又はレンジアビリティR A を導入する。前記リニア型の弁特性はレンジ アビリティR A を用いて、
   G * =1/R A +(1-1/R A )・L *   ・・・・・・・・・・・・・・(4-3)
で表される。この式(4-3)の(dG * /L * )を求めると、
   (dG * /L * )=(1-1/R A ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・(4-4)
となる。式(4-3)及び式(4-4)を関係式(2-4)に代入 すると、流体の種類及び絞り溝の形状を限定 しない、リニア型弁特性に対する臨界長さの 一般関係式(4-5)が導出される。

 前記メイン絞り溝が相似形断面の場合は、 記関係式(2-4)に式(3-9)、(4-3)及び(4-4)を代入 ると、リニア型弁特性に対する相似形断面 おける臨界長さの関係式(4-6)が得られる。更 に、非圧縮性流体・相似形断面の場合に限定 すれば、前記臨界長さの関係式(3-11)に式(4-4) 代入することにより、リニア型弁特性に対 る非圧縮性流体・相似形断面の関係式(4-7) 導出することができる。また、非圧縮性流 ・相似形断面の場合、前記式(3-8)及び式(4-3) ら、臨界長さL EC を有するエントランス絞り溝に対してメイン 絞り溝の断面積は、
   A * =1/R A +(1-1/R A )・L *    ・・・・・・・・・・・・・(4-8)
なる関係を有している。更に、レンジアビリ ティが無限大のとき、前記関係式(4―7)から 臨界長さL EC
   L EC =L 0   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・(4-9)
となる。従って、非圧縮性流体を扱う微小流 量制御装置にリニア型の弁特性を付与するに は、メイン絞り溝の断面の形状を相似形とし 、その長さL 0 とエントランス絞り溝の臨界長さL EC とを等しくとればよい。

 図12は、リニア型の弁特性が付与された微 流量制御装置におけるメイン絞り溝の断面 Aと流量Qの相関図である。流体は粘度が1.01× 10 -3 Pa・sの水で、流入口と流出口の圧力差が0.1MPa 、メイン絞り溝の長さL 0 を10mmとし、断面形状は相似な半円形を有し レンジアビリティは無限大に設定されてい 。即ち、非圧縮性流体・相似形断面の条件 満たしている場合で、流体流出口の全閉状 (L * =0)から全開状態(L * =1)へ前記流量調整スライダを摺動させること により、前記流量Qが0から最大流量までリニ に変化するように設計されている。

 上記の設計目的を達成するためには、エン ランス絞り溝の臨界長さL EC として非圧縮性流体・相似形断面の場合の式 (4-7)を用いて算定する。ただし、この場合は レンジアビリティを無限大としているから 式(4-7)より前記臨界長さL EC は、L 0 と同じ長さとする。すなわち、10mmに設定さ ている。図より明らかなように、前記臨界 さを有するエントランス絞り溝を設けるこ によって、前記メイン絞り溝の断面積A(□) 直線的に増加させるだけで微小流量制御装 に高精度のリニア型の弁特性が付与するこ ができる。

 一方、太線で示したエントランス絞り溝無 (L E =0)の場合、L * =0.5近傍までは、前記断面積A(太線)が前記リ トL * の増加に伴って単調に増加している。しかし 、前記リニア型の弁特性を実現するためには 、全開状態(L * =1)に近付くにつれて、前記断面積Aを減少さ る縮小する必要性があり、無次元リフトL * =0.7近傍に断面積の最大値を有している。従 て、エントランス絞り溝の無い微小流量制 装置では、メイン絞り溝に拡大部が存在す ことになる。このような拡大部が存在する 細なメイン絞り溝を弁体に形成するために 、非常に高度な加工技術が必要とされると に、流量を安定且つ高精度に供給すること できる絞り溝を形成することは、非常に困 である。

 図13は、リニア型の弁特性が付与された微 流量制御装置におけるメイン絞り溝の断面 Aと流量Qの相関図である。流体は粘度が前出 の水よりも約30倍大きな場合(例として、3.16× 10 -2 Pa・sのトランス油)であり、その他の条件は 図12の水を用いた場合と同じ値に設定されて いる。すなわち、前記流入口と流出口の圧力 差が0.1MPa、メイン絞り溝の長さL 0 が10mm、断面形状は相似な半円形を有し、レ ジアビリティは無限大に設定されている。 記微小流量制御装置から流出する流量Qも無 元リフトL * が0から1へ変化するにともなってリニアに増 しており、前記メイン絞り溝はリニア型の 特性を有している。

 ここで、エントランス絞り溝の長さL E が臨界長さL EC に設定され、非圧縮性流体・相似形断面の条 件で、レンジアビリティを無限大としている から、式(4-7)によって前記臨界長さL EC は、L 0 と同じ長さの10mmに設定されている。図より らかなように、水より1桁以上粘度が高いト ンス油を用いた場合においても、前記臨界 さを有するエントランス絞り溝を設けるこ により、単純な構造を有する絞り溝によっ 、微小流量制御装置に高精度のリニア型の 特性が付与されている。

 一方、太線で示したエントランス絞り溝無 (L E =0)の場合、L * =0.9近傍までは、前記断面積A(太線)が前記リ トL * の増加に伴って単調に増加している。しかし 、全開状態(L * =1)に近付くにつれて、急激にメイン絞り溝の 断面が減少している。このようなメイン絞り 溝断面の急激な変化は、図12に示した水の場 に比べて、トランス油の粘度が大きいこと より引起されたものである(後出の図23参照) 。従って、本発明に係る微小流量制御装置は 、前記臨界長さに設定されたエントランス絞 り溝を具備することにより、メイン絞り溝の 断面積を急激に変化させることなく、高粘度 の流体を流量制御する場合においても、所望 の弁特性を付与することができる。

 図14は、非相似形断面を有する絞り溝の概 図である。絞り溝4は、長方形の断面を有し 高さが一定で流動方向へ向かって絞り溝の Wが減少している。即ち、流体流出口20の断 は、前記流量調整スライダが摺動するに伴 て、非相似形に変化する。従って、前記臨 長さを決定するには、図13に示した前記関 式(4-5)から導出しなければならない。しかし 、前記関係式(4-5)において、L EC は断面積A,等価直径D H 及び無次元リフトL * の関数になっており、これは弁の開度に応じ てL EC を変えること、又はL EC が定数となるような断面積A,等価直径D H 及び無次元リフトL * の関係を選んだとしても、L EC の値には不定性が残り、一意的にL EC の値を決定することができない。

 図12及び図13に示すように、前記臨界長さL EC に設定されたエントランス絞り溝を備えるこ との意義は、L * =1の近傍で絞り溝の断面積が急拡大する場合 これを回避できる点にある。従って、前記 イン絞り溝断面が非相似形である場合、L * =1と置き、その他のパラメータもL * =1における値をとるとして、前記関係式(4-5) ら得られる長さを準臨界長さL EC と呼び、図11に示した準臨界長さL EC =L 0 /(1-1/R A )によりエントランス絞り溝の長さを決定す 。

 図15は、本発明に係るエントランス絞り溝 長さが準臨界長さL EC に設定された微小流量制御装置における断面 積Aと流量Qの相関図である。流体は粘度が3.16 ×10 -2 Pa・sのトランス油であり、流入口と流出口の 圧力差が0.1MPa、メイン絞り溝の長さL 0 が10mm、準臨界長さL EC =10.5mm、最大流量Q M =456ml/m、断面形状は図14に示した非相似な長 形を有し、レンジアビリティR A は20である。更に、前記メイン絞り溝は、そ 弁特性は流量Qがリニア型(図中実線)となる うに設定されている。

 前記エントランス絞り溝の長さが準臨界長 L EC に設定された場合(△)、断面積AがリフトL * に対して単調に増加している。従って、前記 準臨界長さにエントランス絞り溝の長さを設 定することにより、好適な流動抵抗が流体に 加えられ、絞り溝を急拡大させる必要性を回 避されている。一方、エントランス絞り溝無 し(L E =0)の場合(□)、L * =0.5近傍までは、前記リフトL * の増加に伴ってメイン絞り溝の断面積Aは単 に増加するが、全開状態(L * =1)に近付くにつれて、メイン絞り溝の断面積 が減少している。従って、全開状態(L * =1)における準臨界長さを用いることは、前記 メイン絞り溝が非相似形である場合、前記エ ントランス絞り溝の長さを決定する上で有効 である。

 図16は、弁特性がイコールパーセンテイジ(E Q)型である場合の臨界長さの分類図である。 に所望の弁特性として、イコールパーセン イジ型の場合について詳述する。弁特性が コールパーセンテイジ型の場合、無次元流 G *
   G * =G 0 *1-L* =(1/R A ) 1-L*   ・・・・・・・・・・・・(4-10)
で与えられ、この式(4-10)から(dG * /L * )を求めると、
   (dG * /L * )=-G * ・lnG 0 * =G * lnR A   ・・・・・・・(4-11)
となり、この式(4-11)を式(2-4)に代入すると、 体の種類及び絞り溝の形状を限定しない、 16に示すイコールパーセンテイジ型弁特性 対する臨界長さの一般関係式(4-12)が導出さ る。リニア型と同様の方法により、図16の関 係式(4-13)及び(4-14)が得られる。

 弁特性がイコールパーセンテイジ型である き、L EC は一般形、非圧縮性流体及び/又は相似形の べての場合における臨界長さL EC がL * の関数になっている。従って、イコールパー センテイジ型弁特性においても、全開時(L * =1)のときのL EC を準臨界長さとして用いる。イコールパーセ ンテイジ型における準臨界長さL EC は、
   L EC =L 0 /lnR A   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・(4-15)
となる。前記エントランス絞り溝の準臨界長 さを採用することは、断面形状の相似・非相 似を問わず、または流体の非圧縮性・圧縮性 の有無によらず、実際的で且つ有効である。

 図17は、イコールパーセンテイジ型の弁特 が付与された微小流量制御装置におけるメ ン絞り溝の断面積Aと流量Qの相関図である。 流体は粘度が0.0316Pa・sのトランス油で、流入 口と流出口の圧力差が0.1MPa、エントランス絞 り溝の臨界長さL EC =3.34mm、メイン絞り溝の長さL 0 を10mmとしている。更に、断面形状は相似な 円形を有し、レンジアビリティR A は20に設定されている。

 イコールパーセンテイジ型の弁特性から、 量Qは式(4-10)に示すように、無次元リフトL * の増加に伴って指数関数的に増加の割合が次 第に大きくなっている。イコールパーセンテ イジ型弁特性における準臨界長さの関係式(4- 15)から、エントランス絞り溝の長さが決定さ れる。このエントランス絞り溝を設けた場合 、前記メイン絞り溝の断面積A(□)は単調に増 加しており、単純な構造を有する絞り溝によ って、微小流量制御装置にイコールパーセン テイジ型の弁特性が付与されている。

 一方、太線で示したエントランス絞り溝無 (L E =0)の場合、L * =0.9近傍までは、前記断面積A(太線)が前記リ トL * の増加に伴って単調に増加している。しかし 、前記断面積AはL * =0.95近傍で最大値をとり、急激に断面積が減 している。即ち、前記メイン絞り溝の断面 は、始端位置から急拡大させる必要がある このような急拡大部を絞り溝に形成するこ は、非常に高度な加工技術が必要とされる

 図18は、イコールパーセンテイジ型の弁特 が付与された微小流量制御装置におけるメ ン絞り溝の無次元断面積A * と無次元流量Q * の相関図である。この図は、前記エントラン ス絞り溝の長さが、式(4-15)から決定された準 臨界長さL EC の場合(◇:L EC =3.34mm)、その長さが準臨界長さL EC より短い場合(■:L E =2.23mm)及びその長さが準臨界長さL EC より長い場合(●:L E =5.01mm)の異なるエントランス絞り溝の長さに する無次元断面積A * と無次元流量Q * の相関を示している。即ち、準臨界長さとそ の1.5分の1と1.5倍の長さを有するエントラン 絞り溝でどのような違いが生じるかを調べ いる。流体は粘度が0.0316Pa・sのトランス油 、流入口と流出口の圧力差が0.1MPa、メイン り溝の長さL 0 を10mm、レンジアビリティR A を20としている。図より明らかなように、前 エントランス絞り溝を配設しても、その長 が式(4-15)から決定される臨界長さと異なる 合には、無次元断面積A * が単調な変化にならず、臨界長さより短い場 合には、メイン絞り溝の断面積A * を急拡大させる必要があり、臨界長さより長 い場合には、前記断面積A * を急激に縮小しなければならない。

 図19は、短縮エントランス絞り溝8を有する り溝4の概略図である。前記エントランス絞 り溝8において、始端断面16の断面積A EQ が終端断面19の断面積A E よりも小さくなるように前記エントランス絞 り溝をテーパ状に形成することにより、この エントランス絞り溝8による流動抵抗を増大 せ、前記エントランス絞り溝8の長さを短縮 せる。この短縮エントランス絞り溝の長さ L EQ とする。

 長さLECで、一様な断面積AEを有するエント ンス絞り溝と同等の摩擦圧力降下δPEFを、前 記短縮エントランス絞り溝8で発生させるた に必要な断面積AEQと長さLEQの決定方法につ て、断面形状が半円形の場合を例にとって 下に説明する。
 図20は、本発明に係る短縮エントランス絞 溝の長さの導出過程図である。断面積Aを有 るエントランス絞り溝の微小区間dzおける 擦圧力降下dPは、図20の式(5-1)のようになる ここで、流速u、摩擦係数λ、等価直径D H として既出の以下の関係式
   u=G/(ρA) ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・(2)
   λ=64μA/(uD H )  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・(5)
   D H ={(2π) 0.5 /(1+π/2)}・A 0.5   ・・・・・・・・(15)
を式(5-1)に代入すると、式(5-2)が得られる。 の式(5-2)をエントランス絞り溝の全長に亘っ て積分すると、エントランス絞り溝における 摩擦圧力降下δP EQ を表す式(5-3)が得られる。ここで、断面積Aが 流動方向座標zに対して線型に変化するとす と、前記断面積Aは式(5-4)で与えられ、この を微分した式(5-5)により式(5-3)を変数変換し 積分を実行すると、最終的な摩擦圧力降下 (5-6)が得られる。同様に、エントランス絞 溝の断面積が一定の場合の摩擦圧力降下δP E を与える式(5-7)が得られる。この圧力降下δP E と先に求めたδP EQ を等値することによって、式(5-6)と式(5-7)か 短縮エントランス絞り溝の長さを与える式(5 -8)が得られる。この式(5-8)が明らかにしてい ように、エントランス絞り溝の断面積を始 断面に向かって縮小させることにより、断 積A E が一定のときに比べ、(A EQ /A E )倍だけエントランス絞り溝の長さを短縮す ことができる。

 本発明は、上記実施形態に限定されるも ではなく、本発明の技術的思想を逸脱しな 範囲における種々変形例、設計変更などを の技術的範囲内に包含するものであること 云うまでもない。

 本発明に係る微小流量制御装置の設計方 によれば、近年、合成化学、分析化学、半 体産業及びバイオテクノロジー産業におい 注目されているマイクロ化学プロセス技術 、用いられる、免疫分析システム、環境分 システム、細胞生化学実験システム、化学 相成長システム及び合成化学実験システム で展開するに際して必要となる高精度の微 流量制御装置を設計することができる。更 、これらのシステムにおける反応収率の向 、反応時間の短縮、環境負荷を軽減などに り、化学反応制御を格段に高精度化及び効 化することができる。また、既存の技術で 不可能な微小で正確な流量制御が必要とさ る化学反応システムの微小化及び集積化を 現することができる。