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Title:
METHOD OF DETECTING AMPLIFICATION OR DELETION IN GENOMIC DNA FRAGMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102606
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a CGH method, in particular a CGH microarray method, enabling detection at an elevated accuracy and elevated sensitivity,. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A method which comprises: (a) labeling a test genomic DNA fragment that is a cell-origin genomic DNA fragment to be tested with either a label represented by the following general formula (1) or another label represented by the general formula (2), and labeling a control genomic fragment that serves as a standard for detecting a difference from the test genomic DNA fragment with the other label; (b) hybridizing the labeled test genomic DNA fragment and the labeled control genomic DNA fragment each with a specimen nucleic acid containing a nucleic acid sequence for detecting the difference between the test genomic fragment and the control genomic fragment; and (c) detecting an amplification or deletion in the test genomic DNA fragment by using the fluorescent intensities thus obtained as an indication; and a kit for the above-described method which contains a nucleotide residue labeled with the label represented by the following general formula (1) and a nucleotide residue labeled with the label represented by the following general formula (2).

Inventors:
AMANO MAKOTO (JP)
YAMAMOTO NAOYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051215
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
January 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
WAKO PURE CHEM IND LTD (JP)
AMANO MAKOTO (JP)
YAMAMOTO NAOYUKI (JP)
International Classes:
C12Q1/68; C12N15/09; G01N33/53; G01N33/533; G01N37/00
Domestic Patent References:
WO1996017628A11996-06-13
WO1996017628A11996-06-13
WO1999012544A11999-03-18
WO1993018186A11993-09-16
Foreign References:
JP2006115844A2006-05-11
JP2005304481A2005-11-04
JP2006094726A2006-04-13
JPH07505053A1995-06-08
JPH02A
JP2006094726A2006-04-13
JP2005304481A2005-11-04
JP2002012782A2002-01-15
US6974873B22005-12-13
US6974873B22005-12-13
JP2002193991A2002-07-10
JPH1180189A1999-03-26
JP2006115844A2006-05-11
JPH11258233A1999-09-24
JP2595201B21997-04-02
JP2005000023A2005-01-06
JP2005525786A2005-09-02
JP2005304497A2005-11-04
JP2005500023A2005-01-06
Other References:
KALLIONIEMI ET AL., SCIENCE, vol. 258, 1992, pages 818 - 821
GENOMICS, vol. 87, 2006, pages 298 - 306
NUCLEIC ACIDS RESEARCH, vol. 14, no. 19, 1986, pages 7617
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Claims:
(a)検査対象となる細胞由来のゲノムDNA断片である被験ゲノムDNA断片を下記一般式(1)で示される標識物質または一般式(2)で示される標識物質の何れか一方の標識物質で標識し、当該被験ゲノムDNA断片との違いを検出するための基準となる対照ゲノムDNA断片を残りの一方の標識物質で標識し、(b)標識された被験ゲノムDNA断片と標識された対照ゲノムDNA断片を、被験ゲノムDNA断片と対照ゲノムDNA断片との違いを検出するための核酸配列を含む標本核酸に競合的にハイブリダイズさせ、(c)得られる蛍光強度を指標として、被験ゲノムDNA断片中の増幅または欠失を検出する方法。
〔式中、R 1 ~R 4 およびR 8 ~R 11 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 15 (式中、R 15 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表す。)を表し、R 5 およびR 12 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホアルキル基を表し、R 6 、R 7 およびR 14 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 13 はカルボキシアルキル基を表す。〕
〔式中、R 21 ~R 24 およびR 28 ~R 31 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 35 (式中、R 35 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表す。)を表し、R 25 およびR 32 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホアルキル基を表し、R 26 、R 27 およびR 34 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 33 はカルボキシアルキル基を表す。〕
前記標本核酸が、基板に定着(固定化)されているものである、請求項1に記載の方法。
前記標本核酸が、人工染色体に由来するものである、請求項2に記載の方法。
前記標本核酸が、BAC(Bacterial Artificial chromosome) DNAである、請求項3に記載の方法。
前記標識された被験ゲノムDNA断片が下記一般式(3)で示されるヌクレオチド残基または一般式(4)で示されるヌクレオチド残基の何れか一方のヌクレオチド残基を含むものであり、前記標識された対照ゲノムDNA断片が残りの一方のヌクレオチド残基を含むものである、請求項1に記載の方法。
〔式中、Q1はヌクレオチド残基を表し、V1はリンカーを表し、W1は下記一般式(1')を表す。
(式中、Z 1 はV1と結合する結合手を、R 13 'はアルキル基を表し、R 1 ~R 12 およびR 14 は前記と同じ。)〕、
〔式中、Q2はヌクレオチド残基を表し、V2はリンカーを表し、W2は下記一般式(2')を表す。
(式中、Z 2 はV2と結合する結合手を、R 33 'はアルキル基を表し、R 21 ~R 32 およびR 34 は前記と同じ。)〕。
前記一般式(3)で示されるヌクレオチド残基が下記一般式(3')で示されるヌクレオチド残基であり、前記一般式(4)で示されるヌクレオチド残基が下記一般式(4')で示されるヌクレオチド残基である、請求項5に記載の方法。
(式中、E1は-CH=CH-または-C≡C-を表し、X1およびY1はそれぞれ独立してアルキレン基を表し、T1は-O-または-NH-CO-を表し、Q1およびW1は前記と同じ。)
(式中、E2は-CH=CH-または-C≡C-を表し、X2およびY2はそれぞれ独立してアルキレン基を表し、T2は-O-または-NH-CO-を表し、Q2およびW2は前記と同じ。)
前記被験ゲノムDNAの標識物質による標識および前記対照ゲノムDNAの標識物質による標識が、プライマーエクステンション法、ニックトランスレーション法、および末端付加反応法から選ばれる方法によるものである、請求項1~6の何れかに記載の方法。
下記一般式(1)で示される標識物質で標識されたヌクレオチド残基と下記一般式(2)で示される標識物質で標識されたヌクレオチド残基とを含んでなる、請求項1~7の何れかに記載の方法のためのキット。
〔式中、R 1 ~R 4 およびR 8 ~R 11 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 15 (式中、R 15 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表す。)を表し、R 5 およびR 12 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホアルキル基を表し、R 6 、R 7 およびR 14 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 13 はカルボキシアルキル基を表す。〕
〔式中、R 21 ~R 24 およびR 28 ~R 31 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 35 (式中、R 35 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表す。)を表し、R 25 およびR 32 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホアルキル基を表し、R 26 、R 27 およびR 34 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 33 はカルボキシアルキル基を表す。〕
前記一般式(1)で示される標識物質で標識されたヌクレオチド残基が下記一般式(3)で示されるヌクレオチド残基であり、前記一般式(2)で示される標識物質で標識されたヌクレオチド残基が下記一般式(4)で示されるヌクレオチド残基である、請求項8に記載のキット。
〔式中、Q1はヌクレオチド残基を表し、V1はリンカーを表し、W1は下記一般式(1')を表す。
(式中、Z 1 はV1と結合する結合手を、R 13 'はアルキル基を表し、R 1 ~R 12 およびR 14 は前記と同じ。)〕、
〔式中、Q2はヌクレオチド残基を表し、V2はリンカーを表し、W2は下記一般式(2')を表す。
(式中、Z 2 はV2と結合する結合手を、R 33 'はアルキル基を表し、R 21 ~R 32 およびR 34 は前記と同じ。)〕。
前記一般式(3)で示されるヌクレオチド残基が下記一般式(3')で示されるヌクレオチド残基であり、前記一般式(4)で示されるヌクレオチド残基が一般式(4')で示されるヌクレオチド残基である、請求項9に記載のキット。
(式中、E1は-CH=CH-または-C≡C-を表し、X1は炭素数1~6のアルキレン基(直鎖・分枝・環状)を表し、Y1は炭素数2~8のアルキレン基(直鎖・分枝・環状)を表し、T1は-O-または-NH-CO-を表し、Q1およびW1は前記と同じ。)
(式中、E2は-CH=CH-または-C≡C-を表し、X2は炭素数1~6のアルキレン基(直鎖・分枝・環状)を表し、Y2は炭素数2~8のアルキレン基(直鎖・分枝・環状)を表し、T2は-O-または-NH-CO-を表し、Q2およびW2は前記と同じ。)
更に、ランダムプライマー法用のプライマー、dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、およびクレノウ フラグメントから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項8~10の何れかに記載のキット。
更に、請求項1~7の何れかに記載の方法での使用のための説明書を含む、請求項8~11の何れかに記載のキット。
Description:
ゲノムDNA断片の増幅または欠失 検出方法

 本発明は、比較ゲノムハイブリダイゼー ョン法(Comparative Genomic Hybridization法:CGH法) 特に、マイクロアレイを用いるCGHマイクロ レイ法に関するものである。

 近年、KallioniemiらによってCGH法が開発さ た(特許文献1、非特許文献1)。このCGH法は、 度のハイブリダイゼーションで全染色体に いてゲノムDNAのコピー数異常を検出するこ が可能であり、ゲノム異常解析法として広 利用されている。その具体的な方法は以下 通りである。例えば、先ず腫瘍組織(細胞) り抽出したDNAと正常組織(細胞)より得られた DNAとをそれぞれ異なった蛍光色素(例えばCy3 びCy5等)で標識し、正常染色体標本と競合的 ハイブリダイズさせ、染色体の蛍光色の違 を解析する、というものである。この際、 瘍組織(細胞)中で遺伝子・染色体の増幅が じていれば、それに相当する正常染色体領 は腫瘍組織(細胞)より抽出したDNAが相対的に 多くハイブリダイズするため腫瘍組織(細胞) り抽出したDNAに由来する蛍光色が強く発せ れ、逆に、腫瘍組織(細胞)において遺伝子 染色体の欠失領域が存在する場合には、そ に相当する正常染色体領域は正常組織(細胞) より得られたDNAが相対的に多くハイブリダイ ズするため正常染色体領域は正常組織(細胞) り得られたDNAに由来する蛍光色が強く〔腫 組織(細胞)より抽出したDNAに由来する蛍光 が弱く〕発せられることとなる。このため この色調から腫瘍組織(細胞)における遺伝子 ・染色体のコピー数が不均衡となっている領 域を染色体標本上の位置として検出すること ができる。

 さらに、このCGH法をより簡便且つ迅速に うため、正常染色体標本の代わりに、全染 体領域をカバーするDNAクローンやcDNA、オリ ゴヌクレオチド等が結合したマイクロアレイ を用いるCGHマイクロアレイ法が開発されてい る(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。

 しかしながら、上記した如き従来のCGH法 、使用される蛍光色素に起因して、検出感 および検出精度が必ずしも十分ではなかっ 。

特表平07-505053号公報

特開2006-9115844号公報

特開2006-94726号公報

特開2005-304481号公報 Kallioniemi et al., Science, 258, p.818-821, 199 2

 本発明は、前記した如き状況に鑑みなさ たもので、より精度良く且つ高感度に検出 得るCGH法、特にCGHマイクロアレイ法を提供 ることを課題とする。

 本発明は上記課題を解決する目的で成され もので、以下の構成よりなる。
 1.(a)検査対象となる細胞由来のゲノムDNA断 である被験ゲノムDNA断片を下記一般式(1)で される標識物質または一般式(2)で示される 識物質の何れか一方の標識物質で標識し、 該被験ゲノムDNA断片との違いを検出するた の基準となる対照ゲノムDNA断片を残りの一 の標識物質で標識し、(b)標識された被験ゲ ムDNA断片と標識された対照ゲノムDNA断片を 被験ゲノムDNA断片と対照ゲノムDNA断片との いを検出するための核酸配列を含む標本核 に競合的にハイブリダイズさせ、(c)得られ 蛍光強度を指標として、被験ゲノムDNA断片 の増幅または欠失を検出する方法。

〔式中、R 1 ~R 4 およびR 8 ~R 11 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 15 (式中、R 15 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモ ニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表 す。)を表し、R 5 およびR 12 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホ アルキル基を表し、R 6 、R 7 およびR 14 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 13 はカルボキシアルキル基を表す。〕

〔式中、R 21 ~R 24 およびR 28 ~R 31 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 35 (式中、R 35 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモ ニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表 す。)を表し、R 25 およびR 32 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホ アルキル基を表し、R 26 、R 27 およびR 34 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 33 はカルボキシアルキル基を表す。〕

 2.下記一般式(1)で示される標識物質で標 されたヌクレオチド残基と下記一般式(2)で される標識物質で標識されたヌクレオチド 基とを含んでなる、上記1.に記載の方法のた めのキット。

〔式中、R 1 ~R 4 およびR 8 ~R 11 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 15 (式中、R 15 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモ ニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表 す。)を表し、R 5 およびR 12 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホ アルキル基を表し、R 6 、R 7 およびR 14 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 13 はカルボキシアルキル基を表す。〕

〔式中、R 21 ~R 24 およびR 28 ~R 31 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 35 (式中、R 35 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモ ニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表 す。)を表し、R 25 およびR 32 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホ アルキル基を表し、R 26 、R 27 およびR 34 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 33 はカルボキシアルキル基を表す。〕

 本発明の方法によれば、従来のCGH法、特 CGHマイクロアレイ法と比較して、より精度 く且つ高感度に、CGH解析を実施すること、 ち、ゲノムDNAのコピー数異常を高精度且つ 感度に検出することができる。

1.CGH法
 本発明において、CGH法とは、原理的には、( a)検査対象となる細胞由来のゲノムDNA断片で る被験ゲノムDNA断片と当該被験ゲノムDNA断 との違いを検出するための基準となる対照 ノムDNA断片とを、それぞれ異なる波長の2種 の標識物質で標識し、(b)標識された被験ゲノ ムDNA断片と標識された対照ゲノムDNA断片とを 、被験ゲノムDNA断片と対照ゲノムDNA断片との 違いを検出するための核酸配列を含む標本核 酸に競合的にハイブリダイズさせ、(c)得られ る蛍光強度を指標として、被験ゲノムDNAのコ ピー数異常(即ち、被験ゲノムDNA断片中の増 または欠失)を検出する方法である。
 この際、コピー数異常の検出は、通常、被 ゲノムDNA断片と対照ゲノムDNA断片との競合 ハイブリダイジーション後に標本核酸上の 光強度を測定し、被験ゲノムDNA断片由来の 識物質と対照ゲノムDNA断片由来の標識物質 の蛍光強度比を求め、これを解析すること よって行われる。即ち、対照ゲノムDNA断片 来の標識物質に対する被験ゲノムDNA断片由 の標識物質の蛍光強度比が高い場合には、 本核酸上の当該部分(領域)は、対照ゲノムDN A断片に比較して被験ゲノムDNA断片とより強 ハイブリダイズしたことを示し、被験ゲノ DNAにおける、標本核酸上の当該部分(領域)に 相当する領域が増幅している(コピー数が増 している)と判断され、逆に、対照ゲノムDNA 片由来の標識物質に対する被験ゲノムDNA断 由来の標識物質の蛍光強度比が低い場合(或 いは被験ゲノムDNA断片由来の標識物質の蛍光 が認められない場合)には、標本核酸上の当 部分(領域)は、被験ゲノムDNA断片に比較して 対照ゲノムDNA断片とより強くハイブリダイズ したこと(或いは対照ゲノムDNA断片のみがハ ブリダイズしたこと)を示し、被験ゲノムDNA おける、標本核酸上の当該部分(領域)に相 する領域が欠失している(コピー数が減少或 はコピーされていない)と判断される。尚、 本発明においては、上記したような被験ゲノ ムDNA中のコピー数異常(または染色体異常)を 断すること、言い換えれば、被験ゲノムDNA のコピー数異常の有無(または染色体異常の 有無)或いはコピー数の増加量または減少量 定量(または半定量)することをも含む。

2.本発明の方法
 本発明は、前述した如きCGH法において使用 れる異なる波長の2種の標識物質として、一 般式(1)及び(2)で示される蛍光物質を用いるこ とを特徴とする。

 (1)被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムDNA断
 本発明において、「被験ゲノムDNA断片」と 、検査対象となる(コピー数異常或いは染色 体異常を検出・調査したい)細胞に由来する ノムDNAを、また、「対照ゲノムDNA断片」と 、当該被験ゲノムDNA断片との違い(即ち、被 ゲノムDNAのコピー数異常)を検出するための 基準となるゲノムDNA断片を意味する。

 また、被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムD NA断片はそれぞれ異なる試料から得られたそ ぞれ異なるゲノムDNAに由来するものである 異なる試料としては、例えば(1)試料の種類 異なるが、試料の由来〔生体(個体・集団) 場所等〕は同一である場合、(2)試料の種類 同一であるが、試料の由来が異なる場合、(3 )試料の種類及び試料の由来が異なる場合、(4 )試料の種類及び試料の由来が同一である場 である。
 より具体的には、例えば、(1)同一個体(生体 、生物種)における異なる種類の細胞、細胞 団、体液等、(2)異なる個体(生体、生物種)間 〔例えば特定個体と標準(正常)個体間〕又は 定の個体(生体、生物種)と集団間〔例えば 定個体と標準(正常)集団間〕における、同じ 種類の細胞、細胞集団、体液等、(3)異なる個 体(生体、生物種)間〔例えば罹患個体と標準( 正常)個体間〕又は特定個体(生体、生物種)と 集団間〔罹患個体と標準(正常)集団間〕にお る、異なる種類の細胞、細胞集団、体液等 例えば異常細胞(組織、器官、体液)と正常 胞(組織、器官、体液)等〕、(4)環境、状態等 が異なる場合(例えば薬剤投与前後、ストレ 付加前後、病態の異なるステージ、培養前 等)の同一個体(生体、生物種)における、同 種類の細胞、細胞集団、体液等が挙げられ 。
 尚、被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムDNA 片は、実質的に同一の核酸(DNA)配列を含む のであるが、一般的には、対照ゲノムDNA断 はゲノムDNAのコピー数に変化がない(ゲノムD NAのコピー数に異常をきたしていない)試料〔 例えば標準(正常)個体または集団、正常細胞( 組織、器官、体液)等〕から得られるゲノムDN A断片であり、また、被験ゲノムDNA断片はこ 以外のゲノムDNAのコピー数に変化が生じて る(ゲノムDNAのコピー数に異常をきたしてい )か或いは当該変化が生じている疑いがある (当該異常をきたしている疑いがある)試料〔 えば特定個体、罹患個体、異常(組織、器官 、体液)等〕から得られるゲノムDNA断片であ が、このような組合せに限定されない。

 被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムDNA断片 は、例えば全ての染色体に相当する配列を 質的に有するゲノムDNA断片、例えば特定の 色体に相当する配列を実質的に有するゲノ DNA断片、これら染色体(全ての染色体または 特定の染色体)の一部に相当する配列を有す ゲノムDNA断片等が含まれる。また、ゲノムDN Aクローン断片、これらゲノムDNA断片やゲノ DNAクローン断片を制限酵素により断片化或 は化学的に断片化したDNAフラグメント、こ らゲノムDNA断片、ゲノムDNAクローン断片ま はDNAフラグメントを増幅した増幅産物等も 用可能である。更に、cDNA、そのDNAフラグメ トまたはこれらの増幅産物も使用可能であ 。
 尚、一般的には、例えば両者のうち一方が ての染色体(または特定の染色体)に相当す 配列を実質的に有するものである場合には 方も同様に全ての染色体(または特定の染色 )に相当する配列を実質的に有するものであ り、また、両者のうち一方が染色体(全ての 色体または特定の染色体)の一部に相当する 列を有するものである場合には他方は当該 部分と同じ部分の染色体(全ての染色体また は特定の染色体)に相当する配列を有するも である。

 本発明が適用される試料の種類としては この分野で用いられているものであれば良 、特に限定されない。このような試料とし は、例えば細胞、組織、器官、体液(血液、 血清、血漿、髄液、滑液、膵液、リンパ液等 )、排泄物(尿、唾液、糞便等)、喀たん、膿、 皮膚由来物等の生体由来試料;微生物(菌類、 菌類、ウイルス等);例えば環境試料(食品、 料、水道水、海水、湖沼水、河川水、工場 液、半導体用洗浄水、医療器具等を洗浄し 後の洗浄液等);これらから得られる抽出液; びこれらを水や通常この分野で用いられて る緩衝液等(トリス緩衝液、グリシン緩衝液 、りん酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸 緩衝液、グッド緩衝液等)に適宜溶解させて 構成して得られた処理物等が挙げられる。

 このような被験ゲノムDNA断片および対照ゲ ムDNA断片は、上記した如き試料から自体公 の抽出法或いは市販の抽出キットを使用し 調製することができる。また、目的によっ は、市販品等の入手可能なゲノムDNA断片〔 えば標準(正常)試料由来のゲノムDNA断片(対 ゲノムDNA断片)やある種の癌患者由来のゲノ ムDNA断片(被験ゲノムDNA断片)〕を使用するこ も可能である。
 また、ゲノムDNAクローン断片の調製法、cDNA の調製法、制限酵素による断片化法、化学的 断片化法、増幅方法(例えばGenomics 87(2006)298-3 06に記載されたDOPPCR、roling Cycle Amprification、 GenomePlex等の増幅法、ICAN法、LAMP法、その他ゲ ノムを増幅できる方法等)等も自体公知の方 や市販のキット等に従えばよい。

 (2)標識物質
 本発明において、上記した如き被験ゲノムD NA断片および対照ゲノムDNA断片を標識するた の標識物質は下記一般式(1)で示される蛍光 識物質(以下、本発明に係る標識物質(1)と略 記する。)と下記一般式(2)で示される蛍光標 物質(以下、本発明に係る標識物質(2)と略記 る。)の2種である。

〔式中、R 1 ~R 4 およびR 8 ~R 11 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 15 (式中、R 15 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモ ニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表 す。)を表し、R 5 およびR 12 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホ アルキル基を表し、R 6 、R 7 およびR 14 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 13 はカルボキシアルキル基を表す。〕
 尚、一般式(1)においてR 1 ~R 4 およびR 8 ~R 11 のうちの少なくとも1つは-SO 3 R 15 (R 15 は前記と同じ。)であるのが好ましく、N + と分子内塩を形成していても良い。

〔式中、R 21 ~R 24 およびR 28 ~R 31 はそれぞれ独立して水素原子または-SO 3 R 35 (式中、R 35 は水素原子、アルカリ金属原子、有機アンモ ニウムイオンまたはアンモニウムイオンを表 す。)を表し、R 25 およびR 32 はそれぞれ独立してアルキル基またはスルホ アルキル基を表し、R 26 、R 27 およびR 34 はそれぞれ独立してアルキル基を表し、R 33 はカルボキシアルキル基を表す。〕
 尚、一般式(2)においてR 21 ~R 24 およびR 28 ~R 31 のうちの少なくとも1つは-SO 3 R 35 (R 35 は前記と同じ。)であるのが好ましく、N + と分子内塩を形成していても良い。

 上記一般式(1)および(2)において、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 8 、R 9 、R 10 、R 11 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 28 、R 29 、R 30 およびR 31 で示される-SO 3 R 15 および-SO 3 R 35 において、R 15 およびR 35 で示されるアルカリ金属原子としては、例え ばナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙 げられ、中でもリチウム、ナトリウムが好ま しい。
 有機アンモニウムイオンとしては、例えば リアルキルアンモニウムイオン等が挙げら る。また、当該トリアルキルアンモニウム オンとしては、直鎖状、分枝状或いは環状 何れでもよく、通常炭素数1~10のもの、好ま しくは1~6のものが挙げられ、具体的には、例 えばトリメチルアンモニウムイオン、トリエ チルアンモニウムイオン、トリn-プロピルア モニウムイオン、トリイソプロピルアンモ ウムイオン、トリブチルアンモニウムイオ 、トリヘキシルアンモニウムイオン、トリ クチルアンモニウムイオン、トリノニルア モニウムイオン、トリデシルアンモニウム オン、トリシクロペンチルアンモニウムイ ン、トリシクロヘキシルアンモニウムイオ 、トリシクロヘプチルアンモニウムイオン トリシクロオクチルアンモニウムイオン等 挙げられる。中でもトリメチルアンモニウ イオン又はトリエチルアンモニウムイオン 好ましく、トリエチルアンモニウムイオン より好ましい。

 R 5 、R 6 、R 7 、R 12 、R 14 、R 25 、R 26 、R 27 、R 32 およびR 34 で示されるアルキル基としては、直鎖状、分 枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数 1~6、好ましくは1~3のものが挙げられ、具体的 には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピ 基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブ ル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチ ル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert- ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基 イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキ ル基、ネオヘキシル基、シクロプロピル基 シクロブチル基、シクロペンチル基、シク ヘキシル基等が挙げられる。中でもメチル 、エチル基、n-プロピル基等の直鎖状のア キル基が好ましい。

 R 5 、R 12 、R 25 およびR 32 で示されるスルホアルキル基としては、スル ホ基を有する、通常炭素数1~10、好ましくは1~ 6のアルキル基である。このようなアルキル としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何 でもよく、例えばエチル基、n-プロピル基、 イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基 sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる
 また、スルホアルキル基の具体例としては 例えばスルホエチル基、スルホプロピル基 スルホブチル基、スルホペンチル基、スル ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは2-ス ホエチル基、3-スルホプロピル基、4-スルホ チル基である。

 R 13 およびR 33 で示されるカルボキシアルキル基としては、 通常1~3個、好ましくは1個のカルボキシ基を する、通常炭素数1~10、好ましくは1~6のアル ル基である。このようなアルキル基として 、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよ 、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル 、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル 基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル 、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペ チル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、 ソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシ 基、ネオヘキシル基、シクロプロピル基、 クロブチル基、シクロペンチル基、シクロ キシル基等が挙げられる。なかでも直鎖状 ものが好ましい。
 また、カルボキシアルキル基の具体例とし は、例えばカルボキシメチル基、カルボキ エチル基、カルボキシプロピル基、カルボ シブチル基、カルボキシペンチル基、カル キシヘキシル基、1,2-ジカルボキシエチル基 、1,3-ジカルボキシプロピル基、3,5-ジカルボ シフェニル基、3,4-ジカルボキシフェニル基 、2,4-ジカルボキシフェニル基、4-(1,2-ジカル キシエチル)-フェニル基等が挙げられ、好 しくは、カルボキシメチル基、2-カルボキシ エチル基、3-カルボキぷろぴる基、4-カルボ シブチル基、5-カルボキシヘキシル基等が挙 げられる。好ましくは2-カルボキシエチル基 3-カルボキプロピル基、4-カルボキシブチル 基である。

 本発明に係る標識物質(1)の好ましい具体 としては、例えば下記で示されるものが挙 られる。

 本発明に係る標識物質(2)の好ましい具体 としては、例えば下記で示されるものが挙 られる。

 本発明に係る標識物質(1)と標識物質(2)の 合せとしては、同じ置換基を有するものが ましく、具体的には、例えば上表の(1)-1と(2 )-1との組合せ、(1)-2と(2)-2との組合せ、(1)-3と (2)-3との組合せ、(1)-4と(2)-4との組合せ等がよ り好ましく、(1)-1と(2)-1との組合せが特に好 しい。

 尚、本発明に係る標識物質(1)および(2)は、 えばWO96/17628号パンフレット(特開2002-12782号 報)、米国特許第6974873号等に記載された自 公知の合成方法により合成することができ 。
 また、市販品〔例えば、DYOMICS社(Dyomics GmbH) 製、DY-647およびDY-547等〕を使用することもで きる。

 (3)標識被験ゲノムDNA断片、標識対照ゲノムD NA断片および標識方法
 前述したように、本発明の方法は、CGH法に いて、本発明に係る標識物質(1)または標識 質(2)の何れか一方の標識物質で標識された 験ゲノムDNA断片(以下、標識被験ゲノムDNA断 片と略記する。)と残りの一方の標識物質で 識された対照ゲノムDNA断片(以下、標識対照 ノムDNA断片と略記する。)とを用いるもので ある。
 本発明において、標識被験ゲノムDNA断片は 発明に係る標識物質(1)または標識物質(2)の れか一方の標識物質を上記した如き被験ゲ ムDNA断片に直接またはリンカー等を介して 接的に結合させたものであり、また、標識 照ゲノムDNA断片は本発明に係る標識物質(1) たは標識物質(2)の残りの一方の標識物質(即 ち、本発明に係る標識物質(1)および(2)のうち 、被験ゲノムDNA断片に結合させたもの以外の 残りの一方)を上記した如き対照ゲノムDNA断 に直接またはリンカー等を介して間接的に 合させたものである。
 具体的には、これら標識被験ゲノムDNA断片 よび標識対照ゲノムDNA断片は、本発明に係 標識物質(1)中のカルボキシアルキル基〔一 式(1)におけるR 13 〕または本発明に係る標識物質(2)中のカルボ キシアルキル基〔一般式(1)におけるR 33 〕が被験ゲノムDNA断片または対照ゲノムDNA断 片と直接またはリンカー等を介して間接的に 結合したものである。
 なかでも、本発明において用いられる標識 験ゲノムDNA断片および標識対照ゲノムDNA断 としては、本発明に係る標識物質(1)中のカ ボキシアルキル基〔一般式(1)におけるR 13 〕または本発明に係る標識物質(2)中のカルボ キシアルキル基〔一般式(1)におけるR 33 〕が被験ゲノムDNA断片または対照ゲノムDNA断 片とリンカー等を介して間接的に結合したも のが好ましい。

 上記において、リンカーとしては、通常 の分野で用いられるものが全て使用できる 、具体的には、下記一般式(A)で示される構 のリンカーが挙げられる。

(式中、Eは-CH=CH-または-C≡C-を表し、Xおよ Yはそれぞれ独立してアルキレン基を表し、 Tは-O-または-NH-CO-を表す。)

 上記一般式(A)において、Xで示されるアル キレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環 状でもよく、通常炭素数1~10、好ましくは1~6 より好ましくは1~3のものが挙げられ、具体 には、例えばメチレン基,エチレン基,トリメ チレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン ,ヘキサメチレン基,ヘプタメチレン基,オク メチレン基,ノナメチレン基,デカメチレン 等の直鎖状アルキレン基、例えばエチリデ 基,プロピレン基,イソプロピリデン基,1-メチ ルトリメチレン基,2-メチルトリメチレン基,1, 1-ジメチルエチレン基,1,2-ジメチルエチレン ,エチルエチレン基,1-メチルテトラメチレン ,1,1-ジメチルトリメチレン基,2,2-ジメチルト リメチレン基,2-エチルトリメチレン基,1-メチ ルペンタメチレン基,1-メチルヘキサメチレン 基,1-メチルヘプタメチレン基,1,4-ジエチルテ ラメチレン基,2,4-ジメチルヘプタメチレン ,1-メチルオクタメチレン基,1-メチルノナメ レン基等の分枝状アルキレン基、例えばシ ロプロピレン基,1,3-シクロブチレン基,1,3-シ ロペンチレン基,1,4-シクロへキシレン基,1,5- シクロヘプチレン基,1,5-シクロオクチレン基, 1,5-シクロノニレン基,1,6-シクロデカレン基等 の環状アルキレン基等が挙げられる。なかで も直鎖状のものが好ましい。

 Yで示されるアルキレン基としては、直鎖 状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数 1~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6のも が挙げられ、具体的には、例えばメチレン ,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレ 基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,ヘ タメチレン基,オクタメチレン基,ノナメチレ ン基,デカメチレン基等の直鎖状アルキレン 、例えばエチリデン基,プロピレン基,イソプ ロピリデン基,1-メチルトリメチレン基,2-メチ ルトリメチレン基,1,1-ジメチルエチレン基,1,2 -ジメチルエチレン基,エチルエチレン基,1-メ ルテトラメチレン基,1,1-ジメチルトリメチ ン基,2,2-ジメチルトリメチレン基,2-エチルト リメチレン基,1-メチルペンタメチレン基,1-メ チルヘキサメチレン基,1-メチルヘプタメチレ ン基,1,4-ジエチルテトラメチレン基,2,4-ジメ ルヘプタメチレン基,1-メチルオクタメチレ 基,1-メチルノナメチレン基等の分枝状アル レン基、例えばシクロプロピレン基,1,3-シク ロブチレン基,1,3-シクロペンチレン基,1,4-シ ロへキシレン基,1,5-シクロヘプチレン基,1,5- クロオクチレン基,1,5-シクロノニレン基,1,6- シクロデカレン基等の環状アルキレン基等が 挙げられる。なかでも直鎖状のものが好まし い。

 本発明において用いられる標識被験ゲノムD NA断片および標識対照ゲノムDNA断片は上記し 通りであるが、言い換えれば、標識被験ゲ ムDNA断片は、本発明に係る標識物質(1)で直 またはリンカー等を介して間接的に標識さ たヌクレオチド残基、または本発明に係る 識物質(2)で直接またはリンカー等を介して 接的に標識されたヌクレオチド残基の何れ 一方のヌクレオチド残基を含むものであり また、標識対照ゲノムDNA断片としては、残 の一方のヌクレオチド残基を含むものであ 。
 なかでも、これら標識被験ゲノムDNA断片お び標識対照ゲノムDNA断片としては、本発明 係る標識物質(1)または(2)でリンカー等を介 て間接的に標識されたヌクレオチド残基を むものが好ましい。
 より具体的には、標識被験ゲノムDNA断片と ては、下記一般式(3)で示されるヌクレオチ 残基または一般式(4)で示されるヌクレオチ 残基の何れか一方のヌクレオチド残基を含 ものが好ましく、また、標識対照ゲノムDNA 片としては、残りの一方のヌクレオチド残 を含むものが好ましい。

〔式中、Q1はヌクレオチド残基を表し、V1 リンカーを表し、W1は下記一般式(1')を表す

(式中、Z 1 はV1と結合する結合手を、R 13 'はアルキル基を表し、R 1 ~R 12 およびR 14 は前記と同じ。)〕、

〔式中、Q2はヌクレオチド残基を表し、V2 リンカーを表し、W2は下記一般式(2')を表す

(式中、Z 2 はV2と結合する結合手を、R 33 'はアルキル基を表し、R 21 ~R 32 およびR 34 は前記と同じ。)〕。

 一般式(3)および(4)においてQ1およびQ2で示さ れるヌクレオチド残基としては、例えばリボ ヌクレオチド残基、2’-デオキシリボヌクレ チド残基、3’-デオキシリボヌクレオチド 基、5’-デオキシリボヌクレオチド残基、2 、3’-ジデオキシリボヌクレオチド残基等が 挙げられる。
 具体的には、このようなヌクレオチド残基 しては、例えば一般式(i)、(ii)、(v)、(vi)、(v ii)、(viii)、(xii)および(xiii)で示されるプリン クレオチド残基、または一般式(iii)、(iv)、( x)および(xi)で示されるピリミジンヌクレオチ ド残基が挙げられる。

 上記一般式において、Z 3 はV1またはV2と結合する結合手を、R 51 およびR 52 はそれぞれ独立してH、OHまたはO-を表し、R 53 は-PO 2 H-、-PO 3 H 2 、-P 2 O 6 H 3 、-P 3 O 9 H 4 またはその塩を表す。尚、塩の具体例として は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチ ウム塩等のアルカリ金属塩、例えばアンモニ ウム塩、トリエチルアンモニウム塩、ピリジ ン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
 尚、R 51 とR 52 は、R 51 がHでありR 52 がOHまたはO-の組合せ、R 51 およびR 52 がともにHの組合せ、R 51 がOHでありR 52 がH、OHまたはO-の組合せ、が好ましく、R 51 がHでありR 52 がOHまたはO-の組合せがより好ましい。
 また、R 53 は-PO 2 H-または-PO 3 H 2 が好ましい。
 尚、一般式(3)および(4)のヌクレオチド残基 、後述する標識モノヌクレオチドを用いて 素的にDNA断片を標識する方法で使用するた の標識モノヌクレオチドとして使用する場 には、Q1およびQ2で示されるヌクレオチド残 基は一般式(i)~(vi)から選ばれるものが好まし 。また、一般式(i)~(vi)のR 51 とR 52 は、R 51 がHでありR 52 がOHの組合せ、R 51 およびR 52 がともにOHの組合せが好ましく、R 51 がHでありR 52 がOHの組合せがより好ましい。更に、R 53 は-P 3 O 9 H 4 が好ましい。

 一般式(3)および(4)においてV1およびV2で示さ れるリンカーは、Q1およびQ2で示されるヌク オチド残基と、W1〔一般式(1')〕およびW2〔一 般式(2')〕で示される蛍光標識とを結合する めのリンカーである。
 即ち、当該リンカーの一方の末端が、前述 たQ1およびQ2で示されるヌクレオチド残基の うち、ピリミジンヌクレオチド残基について はそのピリミジン環の5位〔一般式(iii)、(iv) 場合〕またはそのりん酸残基のりん原子〔 般式(x)、(xi)の場合〕に結合し、また、プリ ヌクレオチド残基についてはその7-デアザ リン環の7位〔一般式(i)、(ii)、(v)、(vi)の場 〕またはそのプリン環(又は7-デアザプリン )のりん酸残基のりん原子〔一般式(vii)、(viii )、(ix)、(xii)、(xiii)の場合〕に結合している
 更に、当該リンカーの他方の末端が、W1〔 般式(1')〕およびW2〔一般式(2')〕で示される 識物質のカルボニル基〔一般式(1')における R 13 'に結合するカルボニル基、一般式(2')におけ R 33 'に結合するカルボニル基〕に結合している

 このようなリンカーとしては、W1〔一般式(1 ')〕およびW2〔一般式(2')〕で示される標識物 のカルボニル基〔一般式(1')におけるR 13 'に結合するカルボニル基、一般式(2')におけ R 33 'に結合するカルボニル基〕とQ1およびQ2で示 れるヌクレオチド残基とを結合し得るもの あれば全て使用でき、具体的には、下記一 式(A)で示される構造のリンカーが挙げられ 。

 式中、E、X、TおよびYは前記と同じであり 、また、これらの具体例、好ましい例等も前 述の通りである。

 従って、一般式(3)および一般式(4)で示さ るヌクレオチド残基としては、それぞれ下 一般式(3')および(4')で示されるものが好ま く、下記一般式(3”)および(4”)で示される のがより好ましい。

(式中、E1およびE2はそれぞれ独立して-CH=CH-ま たは-C≡C-を表し、X1、X2、Y1およびY2はそれぞ れ独立してアルキレン基を表し、T1およびT2 それぞれ独立して-O-または-NH-CO-を表す。ま 、Q1、Q2、W1およびY2は前記と同じ。)
 尚、上記において、X1およびX2で示されるア ルキレン基は前述のXで示されるアルキレン と同じであり、その具体例、好ましい例等 同様である。また、Y1およびY2で示されるア キレン基は前述のYで示されるアルキレン基 と同じであり、その具体例、好ましい例等も 同様である。

(式中、nは1~10、好ましくは1~6、より好まし くは1~4の整数を、mは1~10、好ましくは2~8、よ 好ましくは2~4の整数を表す。また、Q1、Q2、 W1、Y2、E1、E2、T1およびT2は前記と同じ。)

 一般式(1')および(2')においてR 13 'およびR 33 'で示されるアルキル基としては、通常炭素 1~9、好ましくは1~5のアルキル基である。こ ようなアルキル基としては、直鎖状、分枝 或いは環状の何れでもよく、例えばメチル 、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基 、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、 tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル 、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペ チル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec -ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル 基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シ クロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げ られる。なかでも直鎖状のものが好ましい。
 また、R 1 ~R 12 、R 14 、R 21 ~R 32 およびR 34 は前記と同じであり、その具体例、好ましい 例等も前記した通りである。

 このようなW1〔一般式(1')〕およびW2〔一 式(2')〕で示される標識物質としては、前記 た如き本発明に係る標識物質(1)〔一般式(1) および標識物質(2)〔一般式(2)〕にそれぞれ 来するものであり、これらの好ましい具体 も前記した如き本発明に係る標識物質(1)お び標識物質(2)と同様である。

 上記した如き被験ゲノムDNA断片および対照 ノムDNA断片を本発明に係る標識物質(1)また (2)で標識する方法としては、最終的に、本 明に係る標識物質(1)で直接またはリンカー を介して間接的に標識されたヌクレオチド 基、または本発明に係る標識物質(2)で直接 たはリンカー等を介して間接的に標識され ヌクレオチド残基の何れか一方のヌクレオ ド残基を含む被験ゲノムDNA断片、および残 の一方のヌクレオチド残基を含む対照ゲノ DNA断片を得ることができるものであれば全 使用できる。
 このような標識方法としては、自体公知の 接標識法や間接標識法〔例えばWO96/17628号パ ンフレット(特開2002-12782号公報)、米国特許第 6974873号、特開2002-193991号公報、WO99/12544号パ フレット、特開平11-80189号公報等に記載され た方法等〕が挙げられる。
 また、(1)標識物質が結合した標識モノヌク オチドを用いて酵素的にDNA断片を標識する 法〔例えばプライマーエクステンション法( ランダムプライマー法、プライマー法等)、 ックトランスレーション法、末端付加反応 (ターミナルデオキシトランスフェラーゼ法 )、PCR法、Degenerate Oligonucleotide Primer PCR (DO P-PCR)法等〕等、(2)標識物質が結合した標識オ リゴヌクレオチドをプライマーとして用いて 酵素的にDNA断片を標識する方法〔例えばプラ イマーエクステンション法(ランダムプライ ー法、プライマー法等)、PCR法、Degenerate Olig onucleotide Primer PCR (DOP-PCR)法等〕、および(3) 識物質が結合した標識オリゴ又はポリヌク オチドを酵素的にDNA断片に結合させて標識 る方法〔末端付加反応法(ライゲーション法 )等〕を使用することもできる。
 更に、DNA断片に反応性基(例えばアミノアリ ル基、スルフヒドリル基等)を導入した後に の反応性基と標識物質とを結合させる方法 、DNA断片に生理活性物質〔例えばビオチン DIG(ジゴシキゲニン)、糖鎖等〕を導入した後 に、当該生理活性物質に標識物質が結合した 当該生理活性物質と結合し得る物質(例えば ビジン、特異的抗体、レクチン等)を結合さ る方法等によって標識を行なっても良い。
 尚、上記した方法は、例えばWO93/018186号パ フレット(特表平07-505053号公報)、特開2006-1158 44号公報、特開2005-304481号公報、特開2006-94726 公報、特開平11-258233号公報、特許2595201、nuc leic Acids Research vol 14 number 19 1986年 p7617 に記載されている。
 また、被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムD NA断片を本発明に係る標識物質(1)または(2)で 識するに際しては、本発明に係る標識物質( 1)および(2)を用いる以外は、上記した如き標 法に基づく市販の標識キットを使用すれば り簡便である。

 上記した標識方法のなかでも、標識モノヌ レオチドを用いて酵素的にDNA断片を標識す 方法が好ましく、ランダムプライマー法、 ックトランスレーション法、末端付加反応 がより好ましい。
 尚、本発明において、これらの方法を利用 るには、本発明に係る標識物質(1)が結合し 標識モノヌクレオチドおよび本発明に係る 識物質(2)が結合した標識モノヌクレオチド 必要であるが、これら標識ヌクレオチドは 体公知の方法(例えば上記の標識方法等)に り調製することができる。
 具体的には、例えば特開2002-193991号公報([010 2]~[0121]段落)に記載の方法に準じて、例えば 下のように調製することができる。

 即ち、例えば下記一般式(a)で示されるヌ レオチド誘導体と下記一般式(b)で示される 発明に係る標識物質(1)または(2)のスクシン ミジルエステル体とを反応させることによ 容易に得られる。

(式中、QはQ1またはQ2を示す。Q1、Q2、E、X、 TおよびYは前記と同じ。)

(式中、WはW1またはW2を示し、Suはスクシン ミド基を示す。W1およびW2は前記と同じ。)

 また、前述した如き一般式で示されるリ カー部分のT(即ち、T1およびT2)が-NH-CO-であ 場合には、例えば以下のように調製するこ もできる。

 即ち、例えば、先ず下記一般式(c)で示さ るリンカーの一部分(部分リンカーA)を導入 、更に残りのリンカー部分(部分リンカーB) スクシンイミジルエステル体とを反応させ 、リンカーが導入された下記一般式(d)で示 れるヌクレオチド誘導体を調製する。更に この下記一般式(d)で示されるヌクレオチド 導体と下記一般式(e)で示される本発明に係 標識物質(1)または(2)のスクシンイミジルエ テル体とを反応させることにより容易に得 れる。

(式中、EおよびXは前記と同じ。)

(式中、Q、E、XおよびYは前記と同じ。)

(式中、WおよびSuは前記と同じ。)

 より具体的には、上記した如き本発明に る標識物質(1)または標識物質(2)が結合した 識モノヌクレオチドのうち、蛍光標識2'-デ キシシチジン-5'-トリホスフェート誘導体お よび蛍光標識2'-デオキシウリジン-5'-トリホ フェート誘導体は、例えば以下の如き合成 路に準じて合成することができる。

 尚、下記合成経路において使用される略称 式名は下記の通りである。
・MeOTfa:トリフルオロ酢酸メチル
・-Tfa:トリフルオロアセチル基
・Bu 3 SnH:水素化トリ(n-ブチル)すず
・AIBN:アゾイソブチロニトリル
・Et 3 N:トリエチルアミン
・HO-Su:N-ヒドロキシこはく酸イミド
・DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
・TMS-Acetamide:N,O-ビス(トリメチルシリル)アセ アミド
・PdCl 2 (CH 3 CN) 2 :ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II )
・tris(TBAPP):トリス(トリ-n-ブチルアンモニウ )ピロホスフェート
・(EtO) 3 PO:りん酸トリエチル
・TFP:トリ-2-フリルホスフィン
・Pd 2 (dba) 3 :トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウ ム(0)

 (1)部分リンカーAの合成。
 尚、この化合物は、上記一般式(A)で示され リンカー(-E-X-T-Y-NH-)において、Tが-NH-CO-であ る場合の、-E-X-NH-に相当する化合物であって Eが-CH=CH-およびXがメチレン基である化合物 ある。

 (2)部分リンカーBの合成。
 尚、この化合物は、上記一般式(A)で示され リンカー(-E-X-T-Y-NH-)において、Tが-NH-CO-であ る場合の、-CO-Y-NH-に相当する化合物であって 、Yがペンタメチレン基である化合物である

 (3)2'-デオキシシチジン-5'-トリホスフェート 誘導体〔一般式(d)の化合物〕の合成。
 尚、この化合物は、一般式(3')(Q1-E1-X1-T1-Y1-NH -W1)のQ1-E1-X1-T1-Y1-NH-または一般式(4')(Q2-E2-X2-T2- Y2-NH-W2)のQ2-E2-X2-T2-Y2-NH-に相当する化合物であ って、Q1又はQ2が2'-デオキシシチジン、E1又は E2が-CH=CH-、X1又はX2がメチレン基、T1又はT2が- NH-CO-、Y1又はY2がペンタメチレン基である化 物である。

 (4)蛍光標識2'-デオキシシチジン-5'-トリホス フェート誘導体〔本発明に係る標識物質(1)ま たは(2)で標識されたモノヌクレオチド〕の合 成。
 尚、当該化合物は、一般式(3')(Q1-E1-X1-T1-Y1-NH -W1)または一般式(4')(Q2-E2-X2-T2-Y2-NH-W2)における Q1及びQ2が2'-デオキシシチジン、E1及びE2が-CH= CH-、X1及びX2がメチレン基、T1及びT2が-NH-CO-、 Y1及びY2がペンタメチレン基であって、W1とW2 一方が下記化合物(12a)、残りの一方が下記 合物(12b)である化合物である。

 (3)2'-デオキシウリジン-5'-トリホスフェート 誘導体〔一般式(d)の化合物〕の合成。
 尚、この化合物は、一般式(3')(Q1-E1-X1-T1-Y1-NH -W1)のQ1-E1-X1-T1-Y1-NH-または一般式(4')(Q2-E2-X2-T2- Y2-NH-W2)のQ2-E2-X2-T2-Y2-NH-に相当する化合物であ って、Q1又はQ2が2'-デオキシウリジン、E1又は E2が-CH=CH-、X1又はX2がメチレン基、T1又はT2が- NH-CO-、Y1又はY2がペンタメチレン基である化 物である。

 (6)蛍光標識2'-デオキシウリジン-5'-トリホス フェート誘導体〔本発明に係る標識物質(1)ま たは(2)で標識されたモノヌクレオチド〕の合 成。
 尚、当該化合物は、一般式(3')(Q1-E1-X1-T1-Y1-NH -W1)または一般式(4')(Q2-E2-X2-T2-Y2-NH-W2)における Q1及びQ2が2'-デオキシウリジン、E1及びE2が-CH= CH-、X1及びX2がメチレン基、T1及びT2が-NH-CO-、 Y1及びY2がペンタメチレン基であって、W1とW2 一方が下記化合物(12a)、残りの一方が下記 合物(12b)である化合物である。

 尚、上記以外の標識ヌクレオチドについ も同様に、対応する原料を用いて上記に準 て適宜合成することができる。

 標識物質が結合した標識モノヌクレオチド 用いて酵素的にDNA断片を標識する方法を利 する場合には、上記した如き、本発明に係 標識物質(1)が結合した標識モノヌクレオチ および本発明に係る標識物質(2)が結合した 識モノヌクレオチドを用いる以外は、これ の方法で使用される酵素類や試薬類は全て 用可能であり、例えば以下のようなものが げられる。
 (a)ランダムプライマー法の場合:
 i)ランダムプライマー法用のプライマー(ラ ダムな塩基配列を持つプライマー)、ii) dATP 、dGTP、dCTPおよびdTTP(又はdUTP)から選ばれる上 記した如き標識モノヌクレオチド以外の少な くとも3種、好ましくはdATP、dGTP、dCTP、dTTP又 /及びdUTP、iii) DNA Polymerase(例えばKlenow Fragm ent、phi 29 DNA Polymerase、Bca BEST DNA Polymerase )、好ましくはKlenow Fragment、iv)要すれば反 緩衝液、反応停止液等。
 (b)プライマー法の場合:
 i)プライマー法用のプライマー(特定の塩基 列を持つプライマー)、ii) dATP、dGTP、dCTPお びdTTP(又はdUTP)から選ばれる上記した如き標 識モノヌクレオチド以外の少なくとも3種、 ましくはdATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、ii i) DNA Polymerase(例えばKlenow Fragment、phi 29 DNA  Polymerase、Bca BEST DNA Polymerase等)、好ましく はKlenow Fragment、iv)要すれば反応緩衝液、反 停止液等。
 (c)ニックトランスレーション法の場合:
 i) dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP(又はdUTP)から選 れる上記した如き標識モノヌクレオチド以 の少なくとも3種、好ましくはdATP、dGTP、dCTP dTTP又は/及びdUTP、ii) DNase IおよびDNA Polymer ase I、iii)要すれば反応緩衝液、反応停止液 。
 (d)末端付加反応法(ターミナルデオキシトラ ンスフェラーゼを用いた方法)の場合:
 i)ターミナルデオキシトランスフェラーゼ ii)要すればdATP、dGTP、dCTPおよびdTTP(又はdUTP) ら選ばれる上記した如き標識モノヌクレオ ド以外の少なくとも3種、好ましくはdATP、dG TP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iii)更に要すれば 応緩衝液等。
 (e)PCR法の場合:
 i) PCR法用のプライマー(特定の塩基配列を つプライマー)、ii) dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP( 又はdUTP)から選ばれる上記した如き標識モノ クレオチド以外の少なくとも3種、好ましく はdATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iii)耐熱 DNA Polymerase、iv)要すれば反応緩衝液等。
 (f)DOP-PCR法の場合:
 i)DOP-PCR法用のプライマー(ランダムな塩基配 列を持つプライマー)、ii) dATP、dGTP、dCTPおよ びdTTP(又はdUTP)から選ばれる上記した如き標 モノヌクレオチド以外の少なくとも3種、好 しくはdATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iii)  耐熱性DNA Polymerase、iv)要すれば反応緩衝液 。

 また、標識物質が結合した標識オリゴヌク オチドをプライマーとして用いて酵素的にD NA断片を標識する方法を利用する場合には、 記した如き、本発明に係る標識物質(1)が結 した標識ヌクレオチド残基を含むオリゴヌ レオチド(プライマー)および本発明に係る 識物質(2)が結合した標識ヌクレオチド残基 含むオリゴヌクレオチド(プライマー)を用い る以外は、これらの方法で使用される酵素類 や試薬類は全て使用可能であり、例えば以下 のようなものが挙げられる。
 尚、このようなプライマーとしては、例え ランダムプライマー法の場合はランダムな 基配列を持つプライマー(ランダムプライマ ー法用のプライマー)であり、プライマー法 場合は特定の塩基配列を持つプライマー(プ イマー法用のプライマー)である。また、PCR 法の場合は特定の塩基配列を持つプライマー (PCR法用プライマー)であり、DOP-PCR法の場合は ランダムな塩基配列を持つプライマー(DOP-PCR 用のプライマー)である。
 (a)ランダムプライマー法の場合:
 i) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、ii) DNA Polymerase(例えばKlenow Fragment、phi 29 DNA Polyme rase、Bca BEST DNA Polymerase等)、好ましくはKleno w Fragment、iii)要すれば反応緩衝液、反応停止 液等。
 (b)プライマー法の場合:
 i) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、ii) DNA Polymerase(例えばKlenow Fragment、phi 29 DNA Polyme rase、Bca BEST DNA Polymerase等)、好ましくはKleno w Fragment、iii)要すれば反応緩衝液、反応停止 液等。
 (c)PCR法の場合:
 i) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、ii)耐熱 性DNA Polymerase、iii)要すれば反応緩衝液等。
 (d)DOP-PCR法の場合:
 i) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、ii) 耐 性DNA Polymerase、iii)要すれば反応緩衝液等。

 更に、標識物質が結合した標識オリゴ又は リヌクレオチドを酵素的にDNA断片に結合さ て標識する方法を利用する場合には、上記 た如き、本発明に係る標識物質(1)が結合し 標識ヌクレオチド残基を含むオリゴ又はポ ヌクレオチドおよび本発明に係る標識物質( 2)が結合した標識ヌクレオチド残基を含むオ ゴ又はポリヌクレオチドを用いる以外は、 れらの方法で使用される酵素類や試薬類は て使用可能であり、例えば以下のようなも が挙げられる。
 (a)ライゲーション法の場合:
 i)リガーゼ、ii) ATP、iii)要すれば反応緩衝 、反応停止液等。

 尚、上記のようにして被験ゲノムDNA断片 よび対照ゲノムDNA断片を標識した後、自体 知の精製方法(例えばエタノール沈澱法等) より遊離の標識物質(または遊離の標識モノ クレオチド)を除去するのが好ましい。また 、得られた標識被験ゲノムDNA断片および標識 対照ゲノムDNA断片を後述するハイブリゼーシ ョン工程に使用するに際しては、これらゲノ ムDNA断片中に存在する非特異的な繰り返し配 列をブロックするためにCot-1 DNA等で処理し おくのが好ましい。尚、得られた標識被験 ノムDNA断片および標識対照ゲノムDNA断片が 本鎖DNAである場合には、加熱処理等により 本鎖化した後にハイブリダイゼーション工 に供するのが一般的である。

 (4)標本核酸
 本発明において、「標本核酸」とは、前述 た如き被験ゲノムDNA断片と対照ゲノムDNA断 との違い(即ち、被験ゲノムDNAのコピー数異 常)を検出するための核酸配列を含むもので る。
 即ち、「標本核酸」は、検査対象となる(コ ピー数異常或いは染色体異常を検出・調査し たい)細胞(生物)の全ゲノム(全染色体に実質 に相当するゲノム)に相当する核酸配列また 上記のような違い(コピー数異常)を検出し うとする特定のゲノム〔特定の染色体、染 体の特定領域(特定部位)または特定の遺伝子 等に対応するゲノム〕に相当する核酸配列を 含むものであればよい。
 このような「標本核酸」としては、例えば 染色体、特定の染色体、これらの特定領域 ゲノムDNA断片(例えば全染色体に実質的に相 当するDNA配列を有するもの等)、ゲノムDNA断 の一部(例えば特定の染色体や染色体の特定 域に実質的に相当するDNA配列を有するもの 特定の遺伝子に対応するDNA配列を有するも 等)、mRNA(全部または一部)、cDNA(全部または 部、これらの増幅産物)等が挙げられる。
 具体的には、染色体(全染色体、特定の染色 体、これらの特定領域)としては、通常正常 ンパ球のメタフェーズ(分裂中期染色体)また はその一部が使用されるが、これに限定され るものではない。
 また、ゲノムDNA断片としては、細胞または 胞集団等から自体公知の方法により抽出さ たゲノムDNA断片、クローニングされたゲノ DNA断片、これらゲノムDNA断片の一部等が挙 られ、これらゲノムDNA断片の特定領域の配 を有する合成オリゴDNAフラグメント、これ ゲノムDNA断片を制限酵素により断片化或い 化学的に断片化したDNAフラグメント、これ を増幅した増幅産物等も使用可能である。
 上記において、クローニングされたゲノムD NA断片とは、適当なベクターにクローニング れたゲノムDNA断片を意味し、例えばBAC(Bacter ial Artificial Chromosome)、YAC(Yeast Artificial Chromo some)、PAC(P1-derived Artificial chromosome)、HAC(Human Artificial Chromosome)、MAC(Mammalian Artificial Chromo some)、TAC(Transformation competent Artificial Chromosom e)等の人工染色体にクローニングされたゲノ DNA断片、例えばプラスミドベクター、コス ドベクター、ウイルスベクター等にクロー ングされたゲノムDNA断片等が挙げられる。
 このような標本核酸は、自体公知の抽出法 いは市販の抽出キットを使用して調製する とができる。また、市販品を使用すること 可能である。

 (5)アレイCGH
 本発明は、上記した標本核酸が定着(固定化 )された基板を用いる、所謂 アレイCGH法に有 効である。
 アレイCGH法は、上記した如き標本核酸を基 (例えばスライドグラス、ガラスや金属、樹 脂性の板状チップ、マイクロビーズ、繊維状 担体等)に共有結合や非共有結合等により体 (固定化)したものを用いてCGH法(解析)を行う 法である。
 なかでも、本発明は、前記した如きゲノムD NA断片、ゲノムDNA断片の一部、cDNA等を定着( 定)させた基板を用いる場合に有効であり、 にクローニングされたゲノムDNA断片を定着( 固定)させた基板を用いる場合に有効である
 また、クローニングされたゲノムDNA断片を 着(固定)させた基板としては、BACにクロー ングされたゲノムDNA断片を定着(固定)させた 基板(BACアレイ)を用いるのが好ましい。
 尚、クローニングされたゲノムDNA断片を定 (固定)させた基板は、検査対象となる(コピ 数異常或いは染色体異常を検出・調査した )細胞(生物)の全ゲノムに全て対応できる個 のゲノムDNA断片を含むか、上記のような違 (コピー数異常)を検出しようとする染色体 特定領域(特定部位)または目的遺伝子に対応 するゲノムDNA断片を含むものであればよい。 即ち、複数のDNA断片が組み合わさって総合的 に、実質的に全染色体(または特定の染色体) いは染色体の特定領域に相当するDNA配列を バーするように、これら複数のDNA断片が定 (固定化)されたものでも、1または2種以上の 特定の遺伝子(またはmRNA、cDNA等)に対応する1 または2種以上のDNA配列を有する核酸断片(DN A断片、RNA断片)が定着(固定化)されたもので ってもよい。
 また、これらクローニングされたゲノムDNA 片は、染色体上の位置が確認されている(マ ッピングされている)ことが好ましい。

 標本核酸が定着(固定)させた基板は、自体 知の方法〔例えば特開2006-115844号公報、特開 2005-304481号公報、特開2006-94726号公報、特開200 5-500023号公報、特開2005-525786号公報、特開2005- 304497号公報等に記載された方法等〕等により 製造することができる。
 また、市販品を使用することも可能である 例えばMacrogen社製「MacArray」、米国Spectral Ge nomics社製「SpectralChip」、Affymetrix社製「GeneChip 」、GE Healthcare社製「CodeLink」、DNAチップ研 所製「AceGene」等〕。

 (6)具体的方法
 本発明の方法は、前述した如き原理に基づ CGH法に準じて実施することができる。
 即ち、(a)前述した如き標本核酸に、(b)本発 に係る標識物質(1)または標識物質(2)の何れ 一方の標識物質で標識された被験ゲノムDNA 片と残りの一方の標識物質で標識された対 ゲノムDNA断片とを競合的にハイブリダイズ せ(ハイブリダイゼーション工程)、得られ 蛍光強度を指標として、被験ゲノムDNA中の 幅または欠失(即ち、被験ゲノムDNAのコピー 異常)を検出する(分析工程)。

 上記において、ハイブリダイゼーション工 は、標本核酸に標識被験ゲノムDNA断片およ 標識対照ゲノムDNA断片とを競合的にハイブ ダイズさせるのもであり、例えば標識被験 ノムDNA断片と標識対照ゲノムDNA断片とを含 混合液を用いる等して、これら標識被験ゲ ムDNA断片と標識対照ゲノムDNA断片とを同時 標本核酸に接触させればよい。
 ここで使用される標識被験ゲノムDNA断片と 識対照ゲノムDNA断片との総量は、通常0.001~1 000μg、好ましくは0.01~100μg、より好ましくは1 ~32μgである。
 また、標識被験ゲノムDNA断片と標識対照ゲ ムDNA断片との使用比率は、混合液中の重量 として、被験ゲノムDNA1重量に対して対照ゲ ノムDNAの重量が、通常0.01倍~100倍、好ましく 0.1倍~10倍、より好ましくは0.5倍~2倍である
 ハイブリダイゼーションの温度は通常0℃~95 ℃、好ましくは30℃~70℃、より好ましくは35 ~46℃であり、ハイブリダイゼーションの時 は通常1~480時間、好ましくは4時間~240時間、 り好ましくは24~120時間、更に好ましくは36~7 2時間である。
 また、ハイブリダイゼーションは、ゲノムD NA断片中に存在する非特異的な繰り返し配列 ブロックするためにCot-1 DNA等のブロック剤 の存在下(例えば上記混合液中にCot-1 DNA等の ロック剤を共存させて)で行うことが好まし い。また、標識被験ゲノムDNA断片および標識 対照ゲノムDNA断片の基板への非特異的な結合 を防止するためにサケ精子DNAの存在下で行う こともできる。
 尚、非特異的なシグナルをできるだけなく ために、ハイブリダイゼーション後に、得 れた標本核酸を適当な洗浄液で洗浄するの 好ましい。

 上記ハイブリダイゼーション工程は、「 トリンジェントな条件」で行うのが好まし 。「ストリンジェントな条件」は、自体公 のCGH法において使用される条件から適宜選 して設定すればよく、特に限定されないが 具体的には例えば「50%ホルムアミド、2×SSC び4%SDS、10%デキストラン硫酸を含むハイブ ダイゼーション緩衝液(pH7)中又はこれと同等 のストリンジェントな条件を得られるハイブ リダイゼーション緩衝液中、35~42℃の温度で3 6時間~72時間ハイブリダイゼーションを行い 50%ホルムアミド含有2×SSC(pH7)、0.1%SDS含有2×SS C(pH7)および0.1% NP-40含有0.1M りん酸緩衝液(pH8 )、又はこれらと同等のストリンジェントな 件を得られる緩衝液等で必要に応じて予備 浄を行った後、2×SSC又はこれと同等の塩濃 の溶液等で洗浄」という条件である。尚、 似のストリンジェンシー条件を得るために 程度だが異なるハイブリダイゼーション及 洗浄条件が利用できることは言うまでもな 。

 上記において、分析工程は、ハイブリダイ ーション工程を実施した後、標本核酸上の 光強度を測定し、得られる蛍光強度を指標 して、被験ゲノムDNA中の増幅または欠失(即 ち、被験ゲノムDNAのコピー数異常)を検出す ものである。
 標本核酸上の蛍光強度は、例えばレーザー キャナーやCCDカメラ等の画像解析装置によ 標本核酸上の蛍光イメージを取得し、取得 た蛍光イメージを画像解析ソフト等を使用 て求めることができる。
 また、得られた蛍光強度を指標として、被 ゲノムDNA中の増幅または欠失(即ち、被験ゲ ノムDNAのコピー数異常)を検出するには、例 ば得られた蛍光強度から、画像解析ソフト を使用して被験ゲノムDNA断片由来の標識物 と対照ゲノムDNA断片由来の標識物質との蛍 強度比を求め、これを解析すればよい。
 即ち、対照ゲノムDNA断片由来の標識物質に する被験ゲノムDNA断片由来の標識物質の蛍 強度比が高い場合には、標本核酸上の当該 分(領域)は、対照ゲノムDNA断片に比較して 験ゲノムDNA断片とより強くハイブリダイズ たことを示し、被験ゲノムDNAにおける、標 核酸上の当該部分(領域)に相当する領域の増 幅(コピー数の増加)が検出され、逆に、対照 ノムDNA断片由来の標識物質に対する被験ゲ ムDNA断片由来の標識物質の蛍光強度比が低 場合(或いは被験ゲノムDNA断片由来の標識物 質の蛍光が認められない場合)には、標本核 上の当該部分(領域)は、被験ゲノムDNA断片に 比較して対照ゲノムDNA断片とより強くハイブ リダイズしたこと(或いは対照ゲノムDNA断片 みがハイブリダイズしたこと)を示し、被験 ノムDNAにおける、標本核酸上の当該部分(領 域)に相当する領域の欠失(コピー数の減少或 はコピーされていないこと)が検出される。 尚、上記において蛍光強度比を求めるにあた っては、被験ゲノムDNA断片由来の標識物質の 蛍光強度の平均と対照ゲノムDNA断片由来の標 識物質の蛍光強度の平均〔言い換えれば、本 発明に係る標識物質(1)に由来する蛍光強度の 平均と本発明に係る標識物質(2)に由来する蛍 光強度の平均〕を同じ値に補正した後に、当 該補正値に基づいて蛍光強度比を求めるのが 好ましい。
 尚、本発明においては、上記したような被 ゲノムDNA中のコピー数異常(或いは染色体異 常)を判断する工程〔言い換えれば、被験ゲ ムDNA中のコピー数異常の有無(または染色体 常の有無)或いはコピー数の増加量または減 少量を定量(または半定量)する工程〕や上記 た如き標識被験ゲノムDNA断片および標識対 ゲノムDNA断片を調製する工程を含んでいて よい。

 本発明の方法は、上記した通りであるが 具体的には、例えばWO93/018186号パンフレッ (特表平07-505053号公報)、特開2006-115844号公報 特開2005-304481号公報、特開2006-94726号公報、 開2005-500023号公報、特開2005-525786号公報、特 開2005-304497号公報、特開平11-258233号公報等に 載された方法等に準じて実施することがで 、これらに記載された試薬類、条件(例えば ハイブリダイゼーション条件等)は全て使用 きる。

 以下に、本発明方法の一例として、BACア イを用いた場合についてより具体的に述べ 。

 (a)標識被験ゲノムDNA断片および標識対照ゲ ムDNA断片の調製
 例えば、前述のようにして細胞または細胞 団から抽出した被験ゲノムDNA断片および対 ゲノムDNA断片をそれぞれ鋳型として、ラン ムプライマー法を利用して、本発明に係る 識物質(1)〔または本発明に係る標識物質(2) で標識された標識被験ゲノムDNA断片および 発明に係る用いて標識物質(2)〔または本発 に係る標識物質(1)〕で標識された標識対照 ノムDNA断片をそれぞれ合成する。これによ 、鎖長100~5000bp程度の標識被験ゲノムDNA断片 および標識対照ゲノムDNA断片を得ることがで きる。尚、必要により、自体公知の精製法や 市販の精製キットにより、得られた標識被験 ゲノムDNA断片または標識対照ゲノムDNA断片を 含有する溶液から標識ゲノムDNA断片に取り込 まれなかった標識物質等を除去して、標識ゲ ノムDNA断片を精製する。
 得られた標識被験ゲノムDNA断片および標識 照ゲノムDNA断片を含有する溶液に、繰り返 配列をブロックするためCot-1 DNA(50~100μg)等 加え、これをエタノール沈殿法などによっ 沈殿させ、沈殿した精製された標識被験ゲ ムDNA断片、標識対照ゲノムDNA断片およびCot- 1 DNAの混合物をハイブリダイゼーション溶液 〔例えば50%ホルムアミド/2xSSC(2xSSC: 2倍濃度 標準クエン酸緩衝液)/10%硫酸デキストラン/4%  SDS (SDS: ドデシル硫酸ナトリウム)/100mg/ml  母tRNA, pH 7.0等〕に溶解する。標識被験ゲ ムDNA断片および標識対照ゲノムDNA断片を溶 したハイブリダイゼーション溶液を、例え 70℃で10分間加熱処理して標識被験ゲノムDNA 片および標識対照ゲノムDNA断片を一本鎖化 、その後37℃で60分間インキュベートするこ とで、標識被験ゲノムDNA断片および標識対照 ゲノムDNA断片中の非特異的な繰り返し配列を Cot-1 DNAでブロックする。

 (b)BACアレイの前処理
 例えば前述のようにして得られたBACアレイ るいは市販のBACアレイにおいては、アレイ に定着(固定化)されている標本核酸(DNA)が一 本鎖である場合はそのままハイブリダイゼー ションに供し、当該標本核酸(DNA)が二本鎖の 態であれば、例えば沸騰水中に1分程度加熱 するなどにより二本鎖標本核酸(DNA)を一本鎖 した後、これを乾燥させてからハイブリダ ゼーションに供する。
 尚、アレイ担体への標識被験ゲノムDNA断片 よび標識対照ゲノムDNA断片中の吸着を抑制 るために、サケ精子由来DNA(10mg/ml)を含むハ ブリダイゼーション溶液に30分程度浸漬し 後、精製水で洗浄し、直ちに乾燥させてお とよい。

 (c)ハイブリダイゼーション
 BACアレイ上に定着(固定化)されている標本 酸(DNA)断片(BAC クローンDNA断片)と、得られ 標識被験ゲノムDNA断片および標識対照ゲノ DNA断片を接触させて、標本核酸(DNA)と標識被 験ゲノムDNA断片および標識対照ゲノムDNA断片 との競合的ハイブリダイゼーション反応を前 述した如き条件下で行う。尚、BACアレイ上の 標本核酸と標識被験ゲノムDNA断片および標識 対照ゲノムDNA断片との接触は、上記のように して得られた標識被験ゲノムDNA断片および標 識対照ゲノムDNA断片を溶解したハイブリダイ ゼーション溶液をBACアレイ上に滴下して行い 、また、滴下後、アレイ上にカバーグラス等 をかけて、湿潤条件下でハイブリダイゼーシ ョンを行う。尚、接触・ハイブリダイゼーシ ョンは、アレイでのハイブリダイゼーション 用の市販装置を用いて行ってもよい。
 ハイブリダイゼーション反応が完了した後 得られたBACアレイを洗浄し、特異的な標本 酸(DNA)と標識被験ゲノムDNA断片および標識 照ゲノムDNA断片との結合を残し、非特異的 ハイブリダイゼーション、あるいは吸着し いる標識被験ゲノムDNA断片および標識対照 ノムDNA断片を標本核酸(DNA)から除く。BACアレ イの洗浄は、例えば46℃に加温した50%ホルム ミド/2xSSC, pH7に15分、0.1%SDS/2xSSC, pH7に30分 漬し、続いて室温の0.1%NP40/0.1Mりん酸緩衝液,  pH7に15分、2xSSC, pH7に5分浸漬することによ 行い、洗浄後は得られたBACアレイをエタノ ルで濯いで乾燥させるとよい。

 (d)蛍光強度の測定
 BACアレイ上に定着(固定化)されている各標 核酸(DNA)にハイブリダイズした被験ゲノムDNA 断片由来の蛍光強度(シグナル)と対照ゲノムD NA断片由来の蛍光強度(シグナル)の測定を行 。蛍光強度は、例えばレーザースキャナー CCDカメラ等の画像解析装置により各標本核 (DNA)の蛍光画像(イメージ)を取得し、取得し 蛍光画像(イメージ)を画像解析ソフト等を 用して求める。

 (e)増幅または欠失の検出
 被験ゲノムDNA中の増幅または欠失(即ち、被 験ゲノムDNAのコピー数異常)の検出は、例え 画像解析ソフト等を使用して得られた蛍光 度から被験ゲノムDNA断片由来の標識物質と 照ゲノムDNA断片由来の標識物質との蛍光強 比を求め、これを解析して行う。
 即ち、標本核酸(DNA)断片(BAC クローンDNA断 )に相当するゲノム領域において、被験ゲノ DNA断片を抽出したもとの細胞(例えば異常細 胞等)でコピー数増加(増幅)が生じていれば被 験ゲノムDNA断片が対照ゲノムDNA断片に比べ相 対的に多くハイブリダイズし、一方、被験ゲ ノムDNA断片を抽出したもとの細胞(例えば異 細胞等)でコピー数減少(欠失)が生じていれ 、対照ゲノムDNA断片が被験ゲノムDNA断片に べ相対的に多くハイブリダイズすることに る。従って、BACアレイ上の各標本核酸(DNA断 )毎に、被験ゲノムDNA断片由来の蛍光強度( グナル)と対照ゲノムDNA断片由来の蛍光強度( シグナル)を比較することにより(即ち、これ の蛍光強度比を算出し、これを解析するこ により)、各標本核酸(DNA断片)に相当するゲ ム領域において、被験ゲノムDNA断片を抽出 たもとの細胞(例えば異常細胞等)でコピー 増加が生じているか、減少しているか、正 レベルであるのかを判定することができる

 (7)本発明のキット
 本発明のキットは、上記した如き本発明の 法を実施するために使用されるものである
このようなキットとしては、(i)少なくとも、 被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムDNA断片を 標識するために用いられる、本発明の標識物 質(1)で標識されたヌクレオチド残基と本発明 に係る標識物質(2)で標識されたヌクレオチド 残基、好ましくは上記した如き一般式(3)で示 される標識ヌクレオチド残基と一般式(4)で示 される標識ヌクレオチド残基、より好ましく は一般式(3')で示される標識ヌクレオチド残 と一般式(4')で示される標識ヌクレオチド残 を含んでなるものであり、(ii)好ましくは、 更に、前述した如きプライマー、酵素類、試 薬類等から選ばれる少なくとも1種を含んで るものである。
 このようなキットとしては、例えば以下の うな構成要件を含むものが挙げられる。
 尚、構成要件の好ましい態様と具体例は前 した通りである。

 (a)標識モノヌクレオチドを用いるランダム ライマー法用のキットの場合:
 i)本発明の標識物質(1)で標識されたモノヌ レオチドと本発明に係る標識物質(2)で標識 れたモノヌクレオチド、ii)ランダムプライ ー法用のプライマー(ランダムな塩基配列を つプライマー)、iii) dATP、dGTP、dCTPおよびdTT P(又はdUTP)から選ばれる上記した如き標識モ ヌクレオチド以外の少なくとも3種、好まし はdATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iv) DNA  Polymerase(例えばKlenow Fragment、phi 29 DNA Polymer ase、Bca BEST DNA Polymerase等)、好ましくはKlenow  Fragment、v)要すれば反応緩衝液、反応停止液 等。
 (b)標識モノヌクレオチドを用いるプライマ 法用のキットの場合:
 i)本発明の標識物質(1)で標識されたモノヌ レオチドと本発明に係る標識物質(2)で標識 れたモノヌクレオチド、ii)プライマー法用 プライマー(特定の塩基配列を持つプライマ )、iii) dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP(又はdUTP)か 選ばれる上記した如き標識モノヌクレオチ 以外の少なくとも3種、好ましくはdATP、dGTP dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iv) DNA Polymerase(例え Klenow Fragment、phi 29 DNA Polymerase、Bca BEST D NA Polymerase等)、好ましくはKlenow Fragment、v)要 すれば反応緩衝液、反応停止液等。
 (c)標識モノヌクレオチドを用いるニックト ンスレーション法用のキットの場合:
 i)本発明の標識物質(1)で標識されたモノヌ レオチドと本発明に係る標識物質(2)で標識 れたモノヌクレオチド、ii) dATP、dGTP、dCTPお よびdTTP(又はdUTP)から選ばれる上記した如き 識モノヌクレオチド以外の少なくとも3種、 ましくはdATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、i ii) DNase IおよびDNA Polymerase I、iv)要すれば 応緩衝液、反応停止液等。
 (d)標識モノヌクレオチドを用いる末端付加 応法(ターミナルデオキシトランスフェラー ゼを用いた方法)の場合:
 i)本発明の標識物質(1)で標識されたモノヌ レオチドと本発明に係る標識物質(2)で標識 れたモノヌクレオチド、ii)ターミナルデオ シトランスフェラーゼ、iii)要すればdATP、dGT P、dCTPおよびdTTP(又はdUTP)から選ばれる上記し た如き標識モノヌクレオチド以外の少なくと も3種、好ましくはdATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及 びdUTP、iv)更に要すれば反応緩衝液等。
 (e)標識モノヌクレオチドを用いるPCR法の場 :
 i)本発明の標識物質(1)で標識されたモノヌ レオチドと本発明に係る標識物質(2)で標識 れたモノヌクレオチド、ii) PCR法用のプライ マー(特定の塩基配列を持つプライマー)、iii)  dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP(又はdUTP)から選ばれ る上記した如き標識モノヌクレオチド以外の 少なくとも3種、好ましくはdATP、dGTP、dCTP、dT TP又は/及びdUTP、iv)耐熱性DNA Polymerase、v)要す れば反応緩衝液等。
 (f)標識モノヌクレオチドを用いるDOP-PCR法の 場合:
 i)本発明の標識物質(1)で標識されたモノヌ レオチドと本発明に係る標識物質(2)で標識 れたモノヌクレオチド、ii)DOP-PCR法用のプラ マー(ランダムな塩基配列を持つプライマー )、iii) dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP(又はdUTP)から ばれる上記した如き標識モノヌクレオチド 外の少なくとも3種、好ましくはdATP、dGTP、d CTP、dTTP又は/及びdUTP、iv) 耐熱性DNA Polymerase v)要すれば反応緩衝液等。

 (g)標識オリゴヌクレオチドをプライマーと て用いるランダムプライマー法の場合:
 i)本発明に係る標識物質(1)が結合した標識 クレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド( ンダムな塩基配列を持つランダムプライマ 法用のプライマー)および本発明に係る標識 物質(2)が結合した標識ヌクレオチド残基を含 むオリゴヌクレオチド(ランダムな塩基配列 持つランダムプライマー法用のプライマー) ii) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iii) DN A Polymerase(例えばKlenow Fragment、phi 29 DNA Poly merase、Bca BEST DNA Polymerase等)、好ましくはKle now Fragment、iv)要すれば反応緩衝液、反応停 液等。
 (h)標識オリゴヌクレオチドをプライマーと て用いるプライマー法の場合:
 i)本発明に係る標識物質(1)が結合した標識 クレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド( 定な塩基配列を持つプライマー法用のプラ マー)および本発明に係る標識物質(2)が結合 した標識ヌクレオチド残基を含むオリゴヌク レオチド(特定な塩基配列を持つプライマー 用のプライマー)、ii) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又 /及びdUTP、iii) DNA Polymerase(例えばKlenow Fragm ent、phi 29 DNA Polymerase、Bca BEST DNA Polymerase )、好ましくはKlenow Fragment、iv)要すれば反 緩衝液、反応停止液等。
 (i)標識オリゴヌクレオチドをプライマーと て用いるPCR法の場合:
 i)本発明に係る標識物質(1)が結合した標識 クレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド( 定な塩基配列を持つPCR法用のプライマー)お よび本発明に係る標識物質(2)が結合した標識 ヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド (特定な塩基配列を持つPCR法用のプライマー) ii) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/及びdUTP、iii)耐 性DNA Polymerase、iv)要すれば反応緩衝液等。
 (j)標識オリゴヌクレオチドをプライマーと て用いるDOP-PCR法の場合:
 i)本発明に係る標識物質(1)が結合した標識 クレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド( ンダムな塩基配列を持つDOP-PCR法用のプライ マー)および本発明に係る標識物質(2)が結合 た標識ヌクレオチド残基を含むオリゴヌク オチド(ランダムな塩基配列を持つDOP-PCR法用 のプライマー)、ii) dATP、dGTP、dCTP、dTTP又は/ びdUTP、iii) 耐熱性DNA Polymerase、iv)要すれば 反応緩衝液等。

 (k)ライゲーション法用のキットの場合:
 i)本発明に係る標識物質(1)が結合した標識 クレオチド残基を含むオリゴ又はポリヌク オチドおよび本発明に係る標識物質(2)が結 した標識ヌクレオチド残基を含むオリゴ又 ポリヌクレオチド、ii)リガーゼ、iii) ATP、iv )要すれば反応緩衝液、反応停止液等。

更に、上記以外の酵素や試薬類を加えて、本 発明のキットとすることもできる。このよう な試薬類としては、例えば以下の如きa)~k)か 選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、こ れらに限定されない。
 a)DNA断片を標識するための酵素類用の反応 衝液(例えばマグネシウム塩等の塩類、メル プトエタノールまたはジチオスレイトール を含有するグッド緩衝液等)、
 b)DNA断片を標識するための酵素類の反応を 止するための反応停止液(例えばキレート剤 の反応停止剤を含有する例えば水やグッド 衝液等)、
 c)標識モノヌクレオチドや標識ゲノムDNA断 (被験ゲノムDNA断片、対照ゲノムDNA断片)を精 製するための試薬類、
 d)標本核酸及び標本核酸を定着(固定化)させ るための基板、または標本核酸が定着(固定 )された基板、
 e)ハイブリダイゼーション用の緩衝液〔例 ば50%ホルムアミド、2×SSC、4%SDS及び10%デキス トラン硫酸を含む緩衝液(pH7)等〕、
 f)ハイブリダイゼーション時の非特異吸着 止用の試薬(例えばサケ精巣由来DNA、t-RNA、Co t-1DNA等)、
 g)ハイブリダゼーション後の洗浄液(例えば5 0%ホルムアミド含有2×SSC、0.1%SDS含有2×SSC、0.1 %NP-40含有0.1Mりん酸緩衝液、2×SSC、エタノー 、イソプロパノール等)、
 h)被験ゲノムDNA断片又は/及び対照ゲノムDNA 片を抽出するための抽出用試薬(例えば粉砕 用緩衝液、DNA精製のためのRNase、蛋白除去用 プロテアーゼ、フェノール、クロロホルム SDS、β-メルカプトエタノール、精製用のカ ム等)、
 i)被験ゲノムDNA断片又は/及び対照ゲノムDNA 片を断片化するための断片化試薬(例えば制 限酵素等)、
 j)例えば抽出、標識、断片化、精製等を行 た後に、得られた被験ゲノムDNA断片又は/及 対照ゲノムDNA断片を確認するための電気泳 用試薬(アガロース又はポリアクリルアミド ゲル、ローディング緩衝液、臭化エチジウム 染色用試薬等)、
 k)アルコール沈澱用試薬(例えばエタノール 液、イソプロパノール溶液、高分子キャリ ー、酢酸ナトリウム溶液等)等。

また、前述した如き本発明の方法での使用 のための説明書等を含ませておいても良い。 当該「説明書」とは、本発明の方法における 特徴・原理・操作手順等が文章又は図表等に より実質的に記載されている当該キットの取 り扱い説明書、添付文書、或いはパンフレッ ト(リーフレット)等を意味する。

 以下に合成例、実施例等を挙げて、本発 を更に具体的に説明するが、本発明はこれ により何等限定されるものではない。

合成例.1 標識モノヌクレオチド(蛍光標識2'- オキシシチジン-5'-トリホスフェート誘導体 )の合成
 本発明に係る標識物質(1)で標識されたモノ クレオチド(2'-デオキシシチジン-5'-トリホ フェート)および本発明に係る標識物質(2)で 識されたモノヌクレオチド(2'-デオキシシチ ジン-5'-トリホスフェート)をそれぞれ前記し 合成経路に従って、以下のように合成した

 (1)部分リンカーAの合成
 (i)トリフルオロアセチル(Tfa)化(第1工程)
21gのPropagylamine〔前述の合成経路中の(1)の化 物〕(東京化成(株)製)に、氷冷下でトリフル ロ酢酸メチル(MeOTfa)(54g)を滴下した後、室温 で2時間攪拌した。反応終了後、減圧蒸留(20mm Hg、74℃)で精製を行い、56gの化合物〔前述の 成経路中の(2)の化合物〕を得た(収率;98.1%)

 (ii)トリ(n-ブチル)すず(Bu 3 Sn)化(第2工程)
 15gの化合物(2)〔前述の合成経路中の(2)の化 物〕をベンゼン(300mL)に溶解し、水素化トリ (n-ブチル)すず(Bu 3 SnH)(35mL),アゾイソブチロニトリル(AIBN)(2.1g)を 加した後、還流下で1.5時間攪拌した。反応 了後、反応液を減圧濃縮した。残渣をシリ ゲルカラム(溶離液;AcOEt:Hexane=1:20)で精製し 11.4gの化合物(3)(部分リンカーA)〔前述の合成 経路中の(3)の化合物〕を得た(収率;25.8%)。

 (2)部分リンカーBの合成
 (i)トリフルオロアセチル(Tfa)化(第3工程)
10gの6-Aminohexanoic acid〔前述の合成経路中の(4) の化合物〕(和光純薬工業(株)製)をCHCl 3 に懸濁し、トリフルオロ酢酸メチル(MeOTfa)(25g ),トリエチルアミン(Et 3 N)(25mL)を添加した後、室温で2日間攪拌した。 反応終了後、溶媒を留去し、水より結晶化を 行うことで、8.4gの化合物〔前述の合成経路 の(5)の化合物〕を得た(収率;48.6%)。

 (ii)活性エステル化(第4工程)
 2.3gの化合物(5)〔前述の合成経路中の(5)の化 合物〕をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(50mL)に 溶解し、N-ヒドロキシこはく酸イミド(HO-Su)(1. 4g),WSC(2.3g)を添加した後、室温で終夜攪拌し 。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、酢酸 チルで分液洗浄した。有機層を減圧濃縮す ことで、3.6gの化合物(6)(部分リンカーB)〔前 の合成経路中の(6)の化合物〕を得た(収率; 量的)。

 (3)リンカーの導入
 (i)部分リンカーAの導入(第5工程)
 1.0gの5-ヨード-2'-デオキシシチジン〔前述の 合成経路中の(7)の化合物〕(和光純薬工業(株) 製)をアセトニトリル(30mL)に懸濁し、Arガス置 換下でN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミ ド(TMS-Acetamide)(3mL)を添加した後、還流下で2時 間攪拌した。反応液を室温に冷却した後、ビ ス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)[Pd Cl 2 (CH 3 CN) 2 ](40mg),及び2gの部分リンカーA〔前述の合成経 中の(3)の化合物〕を添加し、更に50~60℃で20 時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃 縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶離液;CHCl 3 :MeOH=9:1)で精製を行い、ジエチルエーテルよ 結晶化することで、720mgの2'-デオキシシチジ ン誘導体〔前述の合成経路中の(8)の化合物〕 を得た(収率;67.3%)。

 (ii)脱トリフルオロアセチル(Tfa)化(第6工程)
 500mgの2'-デオキシシチジン誘導体〔前述の 成経路中の(8)の化合物〕をEtOH(10mL)に溶解し 25%-アンモニア水(25mL)を添加した後、室温で 4時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧 縮した。残渣をODSカラムクロマト(溶離液;5%- MeOH)で精製することで、190mgの2'-デオキシシ ジン誘導体〔前述の合成経路中の(9)の化合 〕を得た(収率;50.9%)。

 (iii)部分リンカーBの導入(第7工程)
 190mgの2'-デオキシシチジン誘導体〔前述の 成経路中の(9)の化合物〕をN,N-ジメチルホル アミド(DMF)(4mL)に溶解し、330mgの部分リンカ B〔前述の合成経路中の(6)の化合物〕を添加 した後、室温で終夜攪拌した。反応終了後、 反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラ ム(溶離液;CHCl 3 :MeOH:AcOH=80:20:5)で精製を行った。更に、ODSカ ムクロマト(溶離液;20%-MeOH)で精製することで 、169mgの2'-デオキシシチジン誘導体〔前述の 成経路中の(10)の化合物〕を得た(収率;51.2%)

 (4)モノヌクレオシドのトリりん酸化
 (i)トリりん酸化試薬0.5M トリス(トリ-n-ブチ ルアンモニウム)ピロホスフェート[tris(TBAPP)] 調製
 Dowex50W×8(H + Form)(100cm 3 )カラムにピロりん酸ナトリウム・10水和物水 溶液(6.7g/100mL)をチャージし、溶出液(ピロり 酸溶液)を10.6mLのトリブチルアミンを含むEtOH (50mL)溶液に直接滴下した。10分間攪拌した後 減圧濃縮し、残渣にEtOH(30mL×2回),トルエン(3 0mL×3回),N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(20mL×2) 順次添加し、減圧濃縮を繰り返した。DMFで3 0mLにメスアップした後、MS4Aを添加し、終夜 水することで、0.5M-tris(TBAPP)溶液を得た。

 (ii)トリりん酸化(第8工程)
 147mg(0.3mmol)の2'-デオキシシチジン誘導体〔 述の合成経路中の(10)の化合物〕をりん酸ト エチル[(EtO) 3 PO](1.4mL)に溶解し、オキシ塩化りん(27μL+24μL) 添加した後、低温室で4時間攪拌した。これ に上記で得た0.5M-tris(TBAPP)(4mL)を投入し、低温 室で2時間攪拌した後、反応液に7%-トリエチ アミン(Et 3 N)水溶液(7mL)を添加し、更に終夜攪拌した。 応後、反応液をジエチルエーテルで洗浄し DEAE-TOYOPEARLカラム(溶離液;水→0.2M-TEABグラジ ント)で精製した。次いで、濃縮残渣を25%- ンモニア水(30mL)に溶解し、低温室で終夜攪 した。反応終了後、アンモニアを減圧留去 、残渣を凍結乾燥することで、130mgの2'-dCTP- ミノリンカー誘導体〔前述の合成経路中の( 11)の化合物〕を得た(HPLC純度;95.8%,含量;77.3%)

 (5)モノヌクレオチドの標識(第9工程)
 2.8mgの2'-dCTP-アミノリンカー誘導体〔前述の 合成経路中の(11)の化合物〕をイオン交換水(1 50μL)に溶解し、Dy547-NHS-ester(Dyomics社製)〔前述 の合成経路中の(12a)の化合物〕のDMF溶液(1mg/10 0μL)を5回添加した後、室温で終夜攪拌した。 反応終了後、反応液を減圧濃縮し、ワコーシ ル50C 18 カラム(溶離液;5%-MeOH),次いでDEAE-TOYOPEARL 650M ラム(溶離液;0.2M-TEAB)で精製を行った。濃縮 渣を凍結乾燥することで2.5mgの蛍光標識2'-dCT P誘導体〔前述の合成経路中の(13a)の化合物(Dy 547-dCTP):本発明に係る標識物質(2)で標識され モノヌクレオチド〕を得た。
 また、Dy547-NHS-esterの代わりにDy647-NHS-ester(Dyo mics社製)〔前述の合成経路中の(12b)の化合物 を用いる以外は上記と同様に行って、2.5mgの 蛍光標識2'-dCTP誘導体〔前述の合成経路中の(1 3b)の化合物(Dy647-dCTP):本発明に係る標識物質(1 )で標識されたモノヌクレオチド〕を得た。

合成例.2 標識モノヌクレオチド(蛍光標識2'- オキシウリジン-5'-トリホスフェート誘導体 )の合成
 本発明に係る標識物質(1)で標識されたモノ クレオチド(2'-デオキシウリジン-5'-トリホ フェート)および本発明に係る標識物質(2)で 識されたモノヌクレオチド(2'-デオキシウリ ジン-5'-トリホスフェート)をそれぞれ前記し 合成経路に従って、以下のように合成した

 (1)リンカーの導入
 (i)部分リンカーAの導入(第5工程)
 3.0gの5-ヨード-2'-デオキシウリジン〔前述の 合成経路中の(14)の化合物〕(和光純薬工業(株 )製)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(25mL)に懸 し、Arガス置換下でトリ-2-フリルホスフィ (TFP)(80mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン) パラジウム(0)[Pd 2 (dba) 3 ](160mg)、及び4.5gの部分リンカーA〔前述の合 経路中の(3)の化合物〕を添加し、室温で20時 間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮 し、エタノールより結晶化することで、2.4g 2'-デオキシウリジン誘導体〔前述の合成経 中の(15)の化合物〕を得た(収率;80.5%)。

 (ii)脱トリフルオロアセチル(Tfa)化(第6工程)
 1.6gの2'-デオキシウリジン誘導体〔前述の合 成経路中の(15)の化合物〕をMeOH(20mL)に溶解し 25%-アンモニア水(25mL)を添加した後、室温で 4時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧 縮し、エタノールで結晶化することで、1.0g 2'-デオキシウリジン誘導体〔前述の合成経 中の(16)の化合物〕を得た(収率;82.6%)。

 (iii)部分リンカーBの導入(第7工程)
 700mgの2'-デオキシウリジン誘導体〔前述の 成経路中の(16)の化合物〕をN,N-ジメチルホル ムアミド(DMF)(10mL)に溶解し、1gの部分リンカ B〔前述の合成経路中の(6)の化合物〕を添加 た後、室温で終夜攪拌した。反応終了後、 応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラ (溶離液;CHCl 3 :MeOH:AcOH=80:20:5)で精製することで、870mgの2'-デ オキシシチジン誘導体〔前述の合成経路中の (17)の化合物〕を得た(収率;71.3%)。

 (2)モノヌクレオシドのトリりん酸化
(i)トリりん酸化(第8工程)
 147mg(0.3mmol)の2'-デオキシウリジン誘導体〔 述の合成経路中の(17)の化合物〕をりん酸ト エチル[(EtO) 3 PO](1.4mL)に溶解し、オキシ塩化りん(27μL+24μL) 添加した後、低温室で4時間攪拌した。これ に上記で得た0.5M トリス(トリ-n-ブチルアン ニウム)ピロホスフェート[tris(TBAPP)](4mL)を投 し、低温室で2時間攪拌した後、反応液に7%- トリエチルアミン水溶液(7mL)を添加し、更に 夜攪拌した。反応後、反応液をジエチルエ テルで洗浄し、DEAE-TOYOPEARLカラム(溶離液;水 →0.2M-TEABグラジェント)で精製した。次いで 濃縮残渣を25%-アンモニア水(30mL)に溶解し、 温室で終夜攪拌した。反応終了後、アンモ アを減圧留去し、残渣を凍結乾燥すること 、130mgの2'-dUTP-アミノリンカー誘導体〔前述 の合成経路中の(18)の化合物〕を得た(HPLC純度 ;96.3%,含量;42.0%)。

 (3)モノヌクレオチドの標識(第9工程)
 1.4mgの2'-dUTP-アミノリンカー誘導体〔前述の 合成経路中の(18)の化合物〕をイオン交換水(1 50μL)に溶解し、Dy547-NHS-ester(Dyomics社製)〔前述 の合成経路中の(12a)の化合物〕のDMF溶液(1mg/10 0μL)を5回添加した後、室温で終夜攪拌した。 反応終了後、反応液を減圧濃縮し、ワコーシ ル50C 18 カラム(溶離液;5%-MeOH),次いでDEAE-TOYOPEARL 650M ラム(溶離液;0.2M-TEAB)で精製を行った。濃縮 渣を凍結乾燥することで2.2mgの蛍光標識2'-dUT P誘導体〔前述の合成経路中の(19a)の化合物(Dy 547-dUTP):本発明に係る標識物質(2)で標識され モノヌクレオチド〕を得た。
 また、Dy547-NHS-esterの代わりにDy647-NHS-ester(Dyo mics社製)〔前述の合成経路中の(12b)の化合物 を用いる以外は上記と同様に行って、1.8mgの 蛍光標識2'-dUTP誘導体〔前述の合成経路中の(1 9b)の化合物(Dy647-dUTP):本発明に係る標識物質(1 )で標識されたモノヌクレオチド〕を得た。

 実施例.1 BACアレイを用いたCGH解析
 被験ゲノムDNA断片として正常女性ゲノムDNA 使用し、対照ゲノムDNA断片として正常男性 ノムDNAを使用して、BACアレイによるCGH解析 行った。

 (1)標識被験ゲノムDNA断片および標識対照ゲ ムDNA断片の調製
 (i)標識ヌクレオチドの取込み
 正常Male DNA(Promega社製)(対照ゲノムDNA断片) 正常Female DNA(Promega社製)(被験ゲノムDNA断片) 500ngをPCR用チューブにそれぞれ分取し、1500 g/ml Random Octamer solution(ニッポンEGT社製)10μL 、250mM MOPS(pH7.0)(25mM MgCl2, 50mM 2-mercaptoethanol 有) 10μlを添加し、滅菌水を加えて全量を39 μLに調整した。これらの混合液を、100℃で10 間加熱後、氷上で5分間冷却し、ランダムプ ライマーをMale DNAおよびFemale DNAにそれぞれ ニールさせた。続いて室温に5分間放置した 後、dNTP溶液〔和光純薬工業(株)製、dNTPset(2mM dATP、2mM dGTP、2mM dTTPおよび1mM dCTP含有〕)を 5μL添加した。
 さらに、Male DNA(対照ゲノムDNA断片)のチュ ブには1mM Dy547-dCTP〔合成例.1で得られた前述 の合成経路中の(13a)の化合物〕を、Female DNA( 験ゲノムDNA断片)のチューブには1mM Dy647-dCTP 〔合成例.1で得られた前述の合成経路中の(13b )の化合物〕を各3μL添加した。遠心分離機に るスピンダウン後、これらの混合液にKlenowF lagment(Fermentas社製)を3μL(30unit)添加し、マイク ロピペッターでピペッティングにより泡を作 らないように混合した。
 37℃で16時間反応後、各チューブに0.5M EDTA 液を5μL添加し、反応を停止させた。

 (ii)スピンカラムを用いた標識ゲノムDNA断片 の精製
 PCR Purification Kit (Qiagen社製)を用いて、上 (i)の反応液中に存在する未反応の標識ヌク オチド(Dy547-dCTPおよびDy647-dCTP)の除去を行っ 。反応停止後の各チューブにBinding Buffer(Qia gen社製のPCR Purification Kitに含まれているBuffe r)を275μL加え、ピペッティングにより混合し 。
 混合液全量をスピンカラム(Qiagen社製のPCR P urification Kitに含まれているカラム))にアプラ イし、6,000r.p.m.(3,500×g)で2分遠心分離処理し 。
 フロースルーを捨て、スピンカラムWash Buff er(Qiagen社製のPCR Purification Kitに含まれてい Buffer)750μLを添加し、6000r.p.m.(3,500×g)で2分遠 分離処理した。フロースルーを捨て12,000r.p. m.(14,000×g)で3分遠心分離処理した。
 新しい1.5mLのマイクロチューブをスピンカ ムにセットし、カラムの中心にElution Buffer(Q iagen社製のPCR Purification Kitに含まれているBuf fer)を50μL添加後、遮光下、5分室温に放置し 12,000r.p.m.(14,000×g)で3分遠心分離処理した。 ラムの中心にElution Buffer(Qiagen社製のPCR Purif ication Kitに含まれているBuffer)を30μL添加後、 遮光下、5分室温に放置し、12,000r.p.m.(14,000×g) で3分遠心分離処理し、精製したDy-547標識Male DNA(標識対照ゲノムDNA断片)80μlとDy-647標識Fema le DNA(標識被験ゲノムDNA断片)80μlをそれぞれ た。

 (2)BACアレイを用いたハイブリダイゼーショ
 BACアレイとして、市販のBACアレイ キット MAC Array Karyo 4000、Macrogen社製〕を用いて、 下のように行った。
 このBACアレイはヒトゲノムBACライブラリ由 のクローン4000個がスライドガラス上に2回 ポット(定着・固定化)されたもので、各クロ ーンは、両端エンドシークエンスが決定され 、また、FISH法によって染色体上の位置が確 されている。

 (i)ハイブリダイゼーション用サンプルDNAの 整
 上記(1)で得られたDy-547標識Male DNAおよびDy-6 47標識Female DNA 各80μlを混合し、さらにMAC Ar ray Karyo 4000(Macrogen社製)に含まれるSolution B(C ot-1 DNA含有)100μl、3M 酢酸ナトリウム25μlお び冷100%エタノール700μlを添加して混合した これらの混合液を-20℃で60分置いた後、12,00 0r.p.m.(14,000×g)で4℃、20分、遠心分離処理した 。ペレットを捨てないように、上清を捨て、 冷70%エタノールを1ml添加混合後、再度12,000r.p .m.(14,000×g)で4℃、5分遠心分離処理した。ペ ットを捨てないように、上清を捨て、遮光 10分間乾燥させた。得られたペレットにMAC A raay Karyo 4000に含まれるSolution C(ハイブリダ ゼーション溶液) 140μlおよびSolution D(yeast  tRNA含有) 4μlを加え、ペレットを溶解させた
 得られた溶解液を70℃で10分間加熱し、二本 鎖DNAの変性(一本鎖化)を行い、37℃で60分間プ レアニーリングさせてCot-1 DNAによる繰り返 配列のブロッキング反応を行い、ハイブリ イゼーション用サンプルDNA(標識サンプルDNA) 溶液とした。

 (ii)プレハイブリダイゼーション
 MAC Array Karyo 4000に含まれるSolution C(ハイ リダイゼーション溶液) 30μlとSolution E(サケ 精子DNA含有) 10μlを混合し、70℃で10分間加熱 後、氷中で5分間冷却し、プレハイブリダイ ーション溶液とした。
 MAC Array Karyo 4000のBACアレイ(スライド)上に プレハイブリダイゼーション溶液40μlをアプ イし、溶液がアレイ全体に行き渡るように スポットしているアレイがすべて隠れる大 さのカバーガラスをかぶせた。湿箱中で室 30分間インキュベートした。
 インキュベート終了後、カバーガラスを外 、滅菌脱イオン水でアレイを2回洗浄し、100 %イソプロパノールで1回洗浄し、スライド用 心機により2,000 r.p.m.(780×g)2分間遠心分離処 理した。

 (iii)ハイブリダイゼーション
 プレハイブリダイゼーションが終了したBAC レイ(スライド)を自動スライド処理装置HybSt ation(GenomicSolution社製)にセットし、(i)で得ら たハイブリダイゼーション用サンプルDNA(標 サンプルDNA)溶液120μlをアプライした。ハイ ブリダイゼーション温度を37℃にセットし、 定時間ごとにハイブリダイゼーション用サ プルDNA(標識サンプルDNA)溶液を攪拌しつつ 44時間ハイブリダイゼーションを行った。ハ イブリダイゼーション後の洗浄も自動スライ ド処理装置により、洗浄液1(50%)ホルムアミド /2×SSC,pH7にて46℃5分間3回、洗浄液2(0.1% SDS/2× SSC,pH7)にて46℃、10分間3回、洗浄液3(0.1% NP-40/ 0.1Mりん酸緩衝液, pH7)にて、46℃、10分間3回 洗浄液4(2×SSC, pH7)にて46℃、2分間3回の洗浄 作を行った。その後、BACアレイ(スライド) 装置からはずし、70%、85%、100%の各エタノー を満たした洗浄瓶中に各1分間浸漬後、スラ イド用遠心機により2,000 r.p.m.(780×g)2分遠心 離処理して乾燥させた。

 (3)測定(スキャンニング)・解析
 ハイブリダイゼーションおよび洗浄後のBAC レイをマイクロアレイ用のスキャナーGenePix  4000A(Axon Instrumants社製)にてスキャンし、BAC レイ上のMale DNA(対照ゲノムDNA断片)由来の 光およびFemale DNA(被験ゲノムDNA断片)由来の 光による蛍光画像(イメージ)を取得した。 られた蛍光画像(イメージ)データを、アレイ CGH解析用ソフトウェアMacViewer(Macrogen社製)に り解析し、アレイスポットごとにDy-547およ Dy-647の蛍光シグナルを測定し、データをノ マライズした後、Log 2 (Dy-647/Dy-547)値をBACクローンごとに算出した。

 (4)結果
 各BACクローンごとのLog 2 (Dy-647/Dy-547)値から、常染色体(1~22番染色体)お よびX染色体におけるLog 2 (Dy-647/Dy-547)の平均値とS.D.をそれぞれ算出し 。
 算出結果を以下に示す。
・常染色体(Chr.1-22): 0.0209(平均)± 0.0420(S.D.)
・X染色体(Chr.X)    : 0.671 (平均)± 0.110 (S. D.)

 また、各BACクローンごとのLog 2 (Dy-647/Dy-547)値を染色体番号順にプロットした 結果を図1に示す。
 図1において、縦軸は正常男性と比較した増 減のレベルを蛍光強度比(Log 2 比)で示し、正(+)の値はコピー数が増加して ることを、負(-)の値はコピー数が減少して ることを表す。また、横軸は染色体番号を す。

 比較例.1 従来の蛍光標識物質を用いたBACア レイCGH解析
 本発明と比較するために、従来の蛍光標識 質を用いてBACアレイによるCGH解析を行った

 (1)標識被験ゲノムDNA断片および標識対照ゲ ムDNA断片の調製
 以下の蛍光標識ヌクレオチド(蛍光標識2'-dCT P誘導体)を用いた以外は、実施例.1の(1)と同 にして標識被験ゲノムDNA断片および標識対 ゲノムDNA断片の調製を行った。
 (a)CyDye標識ヌクレオチド
 ・対照ゲノムDNA断片(Male DNA):Cy3標識dCTP(Perki nElmer社製、Cy3-dCTP)
 ・被験ゲノムDNA断片(Female DNA):Cy5標識dCTP(Per kinElmer社製、Cy5-dCTP)
 (b)HiLyteDye標識ヌクレオチド
 ・対照ゲノムDNA断片(Male DNA):HiLyte Fluor 555 識dCTP
 ・被験ゲノムDNA断片(Female DNA):HiLyte Fluor 64 7標識dCTP
 尚、これらHiLyteDye標識ヌクレオチドは、合 例.1で得られた2'-dCTP-アミノリンカー誘導体 〔前述の合成経路中の(11)の化合物〕と、市 の蛍光標識物質HiLyte Fluor 555(Anaspec社製、HiL yte 555-SE)およびHiLyte Fluor 647(Anaspec社製、HiLy te 647-SE)を用いて、合成例.1の(5)に従って調 した。

 (2)BACアレイを用いたハイブリダイゼーショ
 上記(1)で得られた、以下の標識被験ゲノムD NA断片および標識対照ゲノムDNA断片を用いた 外は、実施例.1の(2)と同様にしてBACアレイ のハイブリダイゼーションを行った。
 (a)CyDye標識被験ゲノムDNA断片および対照ゲ ムDNA断片
 ・標識対照ゲノムDNA断片(Male DNA):Cy3標識Male  DNA
 ・標識被験ゲノムDNA断片(Female DNA):Cy5標識Fe male DNA
 (b)HiLyteDye標識被験ゲノムDNA断片および対照 ノムDNA断片
 ・標識対照ゲノムDNA断片(Male DNA):HiLyte Fluor  555標識Male DNA
 ・標識被験ゲノムDNA断片(Female DNA):HiLyte Flu or 647標識Female DNA

 (3)測定(スキャンニング)・解析
 実施例.1の(3)と同様にして測定・解析を行 た。
 尚、解析は、アレイスポットごとにCy3およ Cy5の蛍光シグナル、並びにHiLyte Fluor 555お びHiLyte Fluor 647をそれぞれ測定し、データ ノーマライズした後、Log 2 (Cy5/Cy3)値およびLog 2 (HiLyte Fluor 647/ HiLyte Fluor 555)値をそれぞれB ACクローンごとに算出した。

 (4)結果
 各BACクローンごとのLog 2 (Cy5/Cy3)値から、常染色体(1~22番染色体)および X染色体におけるLog 2 (Cy5/Cy3)の平均値とS.D.を、また、Log 2 (HiLyte Fluor 647/ HiLyte Fluor 555)値から、常染 体(1~22番染色体)およびX染色体におけるLog 2 (HiLyte Fluor 647/ HiLyte Fluor 555)の平均値とS.D. をそれぞれ算出した。
 算出結果を以下にそれぞれ示す。
 (a)CyDye標識被験ゲノムDNA断片および対照ゲ ムDNA断片を用いた場合
・常染色体(Chr.1-22): 0.0107(平均)± 0.0756(S.D.)
・X染色体(Chr.X)    : 0.619 (平均)± 0.120 (S. D.)
 (b)HiLyteDye標識被験ゲノムDNA断片および対照 ノムDNA断片を用いた場合
・常染色体(Chr.1-22): 0.00279(平均)± 0.0787(S.D.)
・X染色体(Chr.X)    : 0.641  (平均)± 0.112(S. D.)

 また、CyDye標識被験ゲノムDNA断片および対 ゲノムDNA断片を用いた場合に得られた各BAC ローンごとのLog 2 (Dy-647/Dy-547)値を染色体番号順にプロットした 結果を図2に、HiLyteDye標識被験ゲノムDNA断片 よび対照ゲノムDNA断片を用いた場合に得ら た各BACクローンごとのLog 2 (Dy-647/Dy-547)値を染色体番号順にプロット解析 結果を図3にそれぞれ示す。
 尚、図2及び図3において、縦軸は正常男性 比較した増減のレベルを蛍光強度比(Log 2 比)で示し、正(+)の値はコピー数が増加して ることを、負(-)の値はコピー数が減少して ることを表す。また、横軸は染色体番号を す。

 本発明の方法(実施例.1)と従来の蛍光標識物 質を用いた方法(比較例.1)の評価を、常染色 でのLog 2 比のS.D.とX染色体でのLog 2 比に基づいて行った。
 即ち、常染色体である1番~22番染色体では、 男性、女性各二本ずつ染色体をもっているた め、理論上、常染色体でのLog 2 比は0となるが、実際には各クローン(染色体) 間で誤差が生じる。この誤差はS.D.により表 れ、常染色体でのLog 2 比のS.D.が小さいほどバラツキ(誤差)が少なく 、増減の評価であるカットオフ値を下げるこ とができるので、高精度な測定が可能である と判断することができる。
 一方、X染色体は、女性で二本、男性で一本 であるため、理論上蛍光量(蛍光強度)が2倍と なり、X染色体でのLog 2 比は1となる。このX染色体でのLog 2 比は染色体の増加の指標となり、X染色体で Log 2 比が1に近いほど増減がはっきりわかるため 増減の変化量が少なくても検出が可能であ 、言い換えれば、高感度な検出が可能であ と判断することができる。
 そこで、実施例.1で得られた本発明の方法 おける常染色体でのLog 2 比のS.D.とX染色体でのLog 2 比、および比較例.1で得られた従来の蛍光標 物質を用いた方法における常染色体でのLog 2 比のS.D.とX染色体でのLog 2 比とを、下表に示す。

 上表から明らかなように、本発明の方法に ける常染色体でのLog 2 比のS.D.は0.0420であり、Cy3およびCy5を用いた 合(0.0756)とHiLyte Fluor 555およびHiLyte Fluor 647 を用いた場合(0.0787)に比較して非常に低くい とが判る。このことから、本発明の方法は 従来法に比べてバラツキが少なく、より高 度な測定が可能であることが判る。
 また、本発明の方法におけるX染色体でのLog 2 比は0.671であり、Cy3およびCy5を用いた場合(0.6 19)とHiLyte Fluor 555およびHiLyte Fluor 647を用い た場合(0.641)よりも1に近いことが判る。この とから、本発明の方法は、従来法に比べて り高感度な検出が可能であることが判る。

 実施例.2 BACアレイを用いたCGH法による肝癌 細胞ゲノム異常の解析
 被験ゲノムDNA断片として肝癌細胞由来ゲノ DNAを使用し、対照ゲノムDNA断片として正常 性ゲノムDNAを使用して、BACアレイによるCGH 析を行った。
 (1)標識被験ゲノムDNA断片および標識対照ゲ ムDNA断片の調製
 以下の被験ゲノムDNA断片および対照ゲノムD NA断片を用いた以外は、実施例.1の(1)と同様 して標識被験ゲノムDNA断片および標識対照 ノムDNA断片の調製を行った。
・被験ゲノムDNA断片:肝癌細胞株Hep3Bを継代培 養した細胞に由来するゲノムDNA(肝細胞由来 ノムDNA)
・対照ゲノムDNA断片:正常ヒトMale DNA(Promega社 製)

 (2)BACアレイを用いたハイブリダイゼーショ
 上記(1)で得られた、以下の標識被験ゲノムD NA断片および標識対照ゲノムDNA断片を用いた 外は、実施例.1の(2)と同様にしてBACアレイ のハイブリダイゼーションを行った。
 ・標識対照ゲノムDNA断片(Male DNA):Dy-547標識M ale DNA
 ・標識被験ゲノムDNA断片(肝細胞由来ゲノム DNA):Dy-647標識肝癌DNA

 (3)測定(スキャンニング)・解析
 実施例.1の(3)と同様にして測定・解析を行 た。

 (4)結果
 各BACクローンごとのLog 2 (Dy-647/Dy-547)値を染色体番号順にプロットした 結果を図4に示す。
 図4において、縦軸は正常男性と比較した増 減のレベルを蛍光強度比(Log 2 比)で示し、正(+)の値はコピー数が増加して ることを、負(-)の値はコピー数が減少して ることを表す。また、横軸は染色体番号を す。

 図4から明らかなように、本願発明の方法 によって得られたCGH解析パターンは従来の方 法で得られたCGH解析パターンと同様であり、 本願発明の方法により肝細胞癌のCGH解析が問 題なく実施し得ることが判る。

 本発明の方法によれば、従来のCGH法、特 CGHマイクロアレイ法と比較して、より精度 く且つ高感度に、CGH解析を実施すること、 ち、ゲノムDNAのコピー数異常を検出するこ ができる。

実施例.1で得られた、本発明に係る標識物質( 2)(Dy-647)で標識された標識被験ゲノムDNA断片(F emale DNA)および本発明に係る標識物質(1)(Dy-547 )で標識された標識対照ゲノムDNA断片(Male DNA) を用いた場合に得られた各BACクローンごとの Log 2 (Dy-647/Dy-547)値を染色体番号順にプロットした 結果を示す図である。 比較例.1の(a)で得られた、Cy5で標識された標 被験ゲノムDNA断片(Female DNA)およびCy3で標識 された標識対照ゲノムDNA断片(Male DNA)を用い 場合に得られた各BACクローンごとのLog 2 (Cy5/Cy3)値を染色体番号順にプロットした結果 を示す図である。 比較例.1の(b)で得られた、HiLyte Fluor 647で標 された標識被験ゲノムDNA断片(Female DNA)およ びHiLyte Fluor 555で標識された標識対照ゲノム DNA断片(Male DNA)を用いた場合に得られた各BAC ローンごとのLog 2 (HiLyte Fluor 647/ HiLyte Fluor 555値を染色体番 順にプロットした結果を示す図である。 実施例.2で得られた、本発明に係る標識物質( 2)(Dy-647)で標識された標識被験ゲノムDNA断片( 癌細胞株Hep3B由来ゲノムDNA)および本発明に る標識物質(1)(Dy-547)で標識された標識対照 ノムDNA断片(Male DNA)を用いた場合に得られた 各BACクローンごとのLog 2 (Dy-647/Dy-547)値を染色体番号順にプロットした 結果を示す図である。