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Title:
METHOD FOR PRODUCING BISPHENOL COMPOUND AND CATION-EXCHANGE RESIN CATALYST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/120666
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a bisphenol compound, which enables to produce a bisphenol compound with high conversion rate and high selectivity. Also disclosed is a cation-exchange resin catalyst having high activity. Specifically, a phenol compound is reacted with a carbonyl compound in the presence of a cation-exchange resin catalyst having a constitutional unit represented by the general formula (1) below and a compound having a mercapto group or a protected mercapto group, or alternatively in the presence of a cation-exchange resin catalyst having a constitutional unit obtained by modifying a constitutional unit represented by the general formula (1) below with a compound having a mercapto group or a protected mercapto group. (In the formula (1), R1, R2 and R3 independently represent a hydrogen atom, an optionally substituted alkyl group, an optionally substituted aryl group or a halogen atom; X represents an electron-withdrawing group substituting only one aromatic ring bonded to the main chain of the cation-exchange resin; and n represents an integer of 1-4.)

Inventors:
TSUTSUMINAI SUSUMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055884
Publication Date:
October 09, 2008
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
TSUTSUMINAI SUSUMU (JP)
International Classes:
C07C37/20; B01J31/10; C07C39/16; C07B61/00
Foreign References:
JP2002060360A2002-02-26
JPS488675A
JPH05111641A1993-05-07
JP2003160526A2003-06-03
JPH07116525A1995-05-09
Attorney, Agent or Firm:
SANADA, Tamotsu (10-31 Kichijoji-honcho 1-chome, Musashino-sh, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)で表される構成単位を有する陽イオン交換樹脂触媒及びメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物、又は、下記一般式(1)で表される構成単位がメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性された構成単位を有する陽イオン交換樹脂触媒、の存在下、フェノール化合物とカルボニル化合物とを反応させることを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
〔式(1)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは陽イオン交換樹脂の主鎖に結合している一つの芳香環のみに置換している電子求引性基を表し、nは1乃至4の整数である。〕
 前記陽イオン交換樹脂触媒が、更に下記一般式(2)で表される構成単位、又は、下記一般式(2)で表される構成単位がメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物で変性された構成単位、を有する請求項1に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
〔式(2)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又はハロゲン原子を表す。〕
 前記一般式(1)におけるXの電子求引性基がハロゲン原子であり、その量が前記陽イオン交換樹脂触媒中の芳香環1モルに対し0.1~2.0モルである請求項1又は2に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
 前記陽イオン交換樹脂触媒が、前記一般式(1)で表される構成単位にメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物がイオン結合された構成単位を有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載のビスフェノール化合物の製造方法。
 ビスフェノール化合物がビスフェノールAである請求項1乃至4のいずれかに記載のビスフェノール化合物の製造方法。
 下記一般式(1)で表される構成単位にメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物がイオン結合された構成単位を有することを特徴とする陽イオン交換樹脂触媒。
〔式(1)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは陽イオン交換樹脂の主鎖に結合している一つの芳香環のみに置換している電子求引性基を表し、nは1乃至4の整数である。〕
 更に下記一般式(2)で表される構成単位、又は、下記一般式(2)で表される構成単位にメルカプト基或いは保護されたメルカプト基を含有する化合物がイオン結合された構成単位、を有する請求項6に記載の陽イオン交換樹脂触媒。
〔式(2)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又はハロゲン原子を表す。〕
 前記一般式(1)で表される構成単位が、下記一般式(3)又は/及び(4)で表される構成単位である請求項6又は7に記載の陽イオン交換樹脂触媒。
〔式(3)及び(4)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは陽イオン交換樹脂の主鎖に結合している一つの芳香環のみに置換している電子求引性基を表す。〕
Description:
ビスフェノール化合物の製造方 、及び陽イオン交換樹脂触媒

 本発明は、ビスフェノール化合物の製造 法、及び陽イオン交換樹脂触媒に関する。 しくは、高転化率、且つ高選択率でビスフ ノール化合物を製造することができるビス ェノール化合物の製造方法、及び高活性を する陽イオン交換樹脂触媒に関する。

 ビスフェノール化合物は、一般に、フェノ ル化合物とカルボニル化合物との縮合反応 より製造され、その際の触媒として、陽イ ン交換樹脂触媒が汎用されている。又、転 率や選択率等の向上を目的とし、助触媒と て、メルカプト基或いは保護されたメルカ ト基を含有する化合物が有効であることが られている。メルカプト基或いは保護され メルカプト基を含有する化合物を助触媒と て用いる方法としては、以下の2つの方法が 代表的方法として知られている。
 1)フェノール化合物とカルボニル化合物に 触媒をあらかじめ混合し、これらの混合液 反応原料として陽イオン交換樹脂を用いて 応させる方法。
 2)助触媒として、さらにアミノ基も含有し いるメルカプトアミン化合物を使用し、該 触媒で陽イオン交換樹脂を変性した陽イオ 交換樹脂変性触媒を用いて反応を行なう方 。
 これらの中で、2)の方法(例えば特許文献1、 特許文献2等参照。)は、メルカプト基含有化 物が反応生成物中に混入しないこと、触媒 製が容易であること等から、1)の方法より 優れることが知られている。近年、更なる 化率や選択率の向上を目的として、2)の方法 に使用する新たな助触媒が各種提案されてい る(例えば特許文献3、特許文献4参照)。

 しかしながら、ビスフェノール化合物の 造において、陽イオン交換樹脂触媒、及び 前述の種々の方法によるメルカプト基或い 保護されたメルカプト基を含有する化合物 併用する触媒系によっても、転化率、及び 択率が依然として市場の要求を十分に満足 せるには到っていないのが現状である。

 一方、ハロゲン原子を導入した陽イオン交 樹脂は、耐熱性等を向上させた陽イオン交 樹脂として知られている(例えば、特許文献 5、特許文献6等参照。)。更に、その陽イオン 交換樹脂を、ヒドロキノンを脱水二量化及び /又は三量化して4,4’-ジヒドロキシジフェニ エーテル、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ )ベンゼン等を製造する際の触媒に用いるこ も知られている(例えば、特許文献7等参照。 )。

特開平8-187436号公報

特開平11-246458号公報

国際公開第06/003803号パンフレット

米国特許第6884894号明細書

特開昭58-80307号公報

特開平7-116525号公報

特開2003-160526公報

 本発明は、フェノール化合物とカルボニ 化合物との縮合反応によりビスフェノール 合物を製造するにおける前述の従来技術の 状に鑑みてなされたもので、従って、本発 は、フェノール化合物とカルボニル化合物 の縮合反応によりビスフェノール化合物を 造するにおいて、高転化率、且つ高選択率 ビスフェノール化合物を製造することがで るビスフェノール化合物の製造方法、及び 高活性を有する陽イオン交換樹脂触媒を提 することを目的とする。

 本発明は、下記一般式(1)で表される構成 位を有する陽イオン交換樹脂触媒及びメル プト基或いは保護されたメルカプト基を含 する化合物、又は、下記一般式(1)で表され 構成単位がメルカプト基或いは保護された ルカプト基を含有する化合物で変性された 成単位を有する陽イオン交換樹脂触媒、の 在下、フェノール化合物とカルボニル化合 とを反応させるビスフェノール化合物の製 方法、並びに、下記一般式(1)で表される構 単位にメルカプト基或いは保護されたメル プト基を含有する化合物がイオン結合され 構成単位を有する陽イオン交換樹脂触媒、 要旨とする。

〔式(1)中、R 、R 、及びR は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよいアルキル基、置換基を有していて もよいアリール基、又はハロゲン原子を表し 、Xは陽イオン交換樹脂の主鎖に結合してい 一つの芳香環のみに置換している電子求引 基を表し、nは1乃至4の整数である。〕

 本発明によれば、フェノール化合物とカ ボニル化合物との縮合反応によりビスフェ ール化合物を製造するにおいて、高転化率 且つ高選択率でビスフェノール化合物を製 することができるビスフェノール化合物の 造方法、及び、高活性を有する陽イオン交 樹脂触媒を提供することができる。

 本発明のビスフェノール化合物の製造方 は、下記一般式(1)で表される構成単位を有 る陽イオン交換樹脂触媒、及び、メルカプ 基或いは保護されたメルカプト基を含有す 化合物、又は、下記一般式(1)で表される構 単位がメルカプト基或いは保護されたメル プト基を含有する化合物で変性された構成 位を有する陽イオン交換樹脂触媒、の存在 、フェノール化合物とカルボニル化合物と 反応させることを特徴とする。

〔式(1)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよいアルキル基、置換基を有していて もよいアリール基、又はハロゲン原子を表し 、Xは陽イオン交換樹脂の主鎖に結合してい 一つの芳香環のみに置換している電子求引 基を表し、nは1乃至4の整数である。〕

 式(1)において、R 1 、R 2 、及びR 3 のアルキル基としては、例えば、メチル基、 エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状 、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチ 基等の分岐鎖状、シクロプロピル基、シク ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキ ル基等の環状のものが、又、アリール基と ては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基 2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリ ル基等が、又、ハロゲン原子としては、弗素 原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等がそ れぞれ挙げられる。又、これらのアルキル基 、アリール基の置換基としては、例えば、前 記R 1 、R 2 、及びR 3 で例示されたようなアルキル基やハロゲン原 子等が挙げられる。これらの中で、R 1 、R 2 、及びR 3 としては水素原子が特に好ましい。

 又、式(1)において、Xは陽イオン交換樹脂 の主鎖に結合している一つの芳香環のみに置 換している電子求引性基である。ここでいう 「電子求引性基」とは、ハメットの置換基定 数σが正の値を取りうる基のことであり、ハ ットの置換基定数σは、例えば、「大学院 義 有機化学(1)分子構造と反応・有機金属化 学 第4版」(東京化学同人 2003年刊)の174頁等 定義されている値のことである。この電子 引性基として、具体的には、例えば、シア 基、アルコキシカルボニル基、アリールオ シカルボニル基、カルバモイル基、スルフ モイル基、アルキルスルホニル基、アリー スルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、 ーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミ 基、ホスホリル基、カルボキシ基若しくは の塩、スルホ基若しくはその塩、飽和若し は不飽和ヘテロ環基、アルケニル基、アル ニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、 ルホニルオキシ基、又は、これら電子求引 基で置換されたアリール基等が挙げられ、 れらの基は置換基を有していてもよい。こ らの中で、弗素原子、塩素原子、臭素原子 沃素原子等のハロゲン原子が陽イオン交換 脂の製造の容易さから特に好ましい。又、 (1)において、nは1乃至4の整数であり、陽イ ン交換樹脂の製造の容易さから、好ましく 1又は2である。

 又、本発明において、前記一般式(1)で表 れる構成単位を有する陽イオン交換樹脂触 は、更に下記一般式(2)で表される構成単位 有していてもよい。

〔式(2)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよいアルキル基、置換基を有していて もよいアリール基、又はハロゲン原子を表す 。〕

 式(2)において、R 1 、R 2 、及びR 3 のアルキル基、アリール基、及びハロゲン原 子としては、前記一般式(1)におけると同様の ものが挙げられ、これらの中で、R 1 、R 2 、及びR 3 としては、陽イオン交換樹脂の製造の容易さ から水素原子が特に好ましい。

 更に、本発明においては、前記一般式(1) 表される構成単位が、下記一般式(3)又は/及 び(4)で表される構成であるのが特に好ましい 。

〔式(3)及び(4)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよいアルキル基、置換基を有していて もよいアリール基、又はハロゲン原子を表し 、Xは陽イオン交換樹脂の主鎖に結合してい 一つの芳香環のみに置換している電子求引 基を表す。〕

 式(3)及び(4)において、R 1 、R 2 、及びR 3 のアルキル基、アリール基、及びハロゲン原 子、並びに、Xの電子求引性基としては、前 一般式(1)におけると同様のものが挙げられ 。これらの中で、R 1 、R 2 、及びR 3 としては水素原子が、又、Xの電子求引性基 してはハロゲン原子が、陽イオン交換樹脂 製造の容易さからそれぞれ特に好ましい。

 本発明において、前記一般式(1)で表され 構成単位、又は、更に前記一般式(2)で表さ る構成単位、を有する陽イオン交換樹脂を 造するには、代表的には、(A)モノビニル芳 族化合物とポリビニル化合物とを、重合開 剤の存在下、水性媒体中で懸濁共重合し、 れに電子求引性基を導入し、次いで、スル ン化剤を用いてスルホン化する方法、(B)予 電子求引性基を有するモノビニル芳香族化 物とポリビニル化合物とを、重合開始剤の 在下、水性媒体中で懸濁共重合し、次いで スルホン化剤を用いてスルホン化する方法 が挙げられる。

 前記製造方法(A)において、モノビニル芳 族化合物としては、例えばスチレン、スチ ンのベンゼン環にアルキル基等が置換した 合物、スチレンのベンゼン環に他の芳香環 縮合した化合物、スチレンのα位及び/又は 位にアルキル基やハロゲン原子等が置換し 化合物等、具体的には、エチルビニルベン ン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、α -メチルスチレン、α-フルオロスチレン、β- ルオロスチレン、α,β,β-トリフルオロスチ ン等が挙げられる。これらは1種が用いられ も、2種以上が用いられてもよい。これらの 中で、入手及び製造の容易さからスチレンが 最も好ましい。

 又、ポリビニル化合物は架橋剤として機 するもので、ここでは不飽和二重結合を2個 以上有する化合物、具体的には、ジビニルベ ンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニル ベンゼン、ジビニルトルエン等のアルキルジ ビニルベンゼン、ビスビニルフェニルエタン 、ビスビニルフェニルブタン、ビス(4-ビニル フェニル)スルホン等のポリビニル芳香族化 物、及び、エチレングリコールジ(メタ)アク リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア リレート等の(ポリ)エチレングリコール(ポ )(メタ)アクリレート等の(ポリ)(メタ)アクリ レート化合物が例として挙げられる。これら の中で、ジビニルベンゼンが最も好ましい。

 前記モノビニル芳香族化合物と前記ポリ ニル化合物との共重合に際しては、必要に じて、更に他のビニル化合物等を加えて共 合させてもよい。このようなビニル化合物( 以下「第3のビニル化合物」と言う場合があ 。)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、( タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ ル、(メタ)アクリル酸プロピル等の(メタ)ア クリル酸エステル、ブタジエン、イソプレン 等の不飽和炭化水素、(メタ)アクリロニトリ 等が挙げられる〔尚、ここで、「(メタ)ア リル」とは、「アクリル」又は/及び「メタ リル」を意味する。〕。

 前記モノビニル芳香族化合物、前記ポリ ニル化合物、及び、必要に応じて用いられ 第3のビニル化合物(以下、これらを合わせ 「原料モノマー」と言う場合がある。)との 重合方法は、公知の方法に準じて、全原料 ノマーの混合物を、例えば、原料モノマー 量に対して通常0.1~5重量%程度のラジカル重 開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸 ラウロイル、t-ブチルヒドロペルオキシド アゾビスイソブチロニトリル等、の存在下 常圧乃至加圧下で、通常40℃以上、また通常 150℃以下、好ましくは100℃以下の温度で、水 性媒体中で懸濁共重合することにより行われ 、架橋共重合体球状粒子として得られる。40 未満の温度では、重合反応が遅い場合があ 。また150℃を超える温度では水性媒体の蒸 圧により内圧が高くなるので、高い圧力に えることができる装置が必要となり、経済 に不利となる場合がある。

 尚、その際のモノビニル芳香族化合物の 用比率は、得られる樹脂の強度等、所望の 性に応じて選択することが可能であり、原 モノマー全量に対して、20重量%以上とする が好ましく、又、99.9重量%以下とするのが ましい。一方、ポリビニル化合物の使用比 は、原料モノマー全量に対して、0.1重量%以 とするのが好ましく、0.5重量%以上とするの が更に好ましく、又、55重量%以下とするのが 好ましく、10重量%以下とするのが更に好まし い。ポリビニル化合物が0.1重量%未満の場合 イオン交換樹脂の強度を保つことが困難と る場合がある。また55重量%を超える場合は ポリビニル化合物を混合する量に見合った 果が得られず、混合によるメリットが減少 る傾向がある。第3のビニル化合物を使用す 場合の使用比率は、原料モノマー全量に対 て、40重量%以下とするのが好ましく、20重 %以下とするのが更に好ましい。

 得られた共重合体への電子求引性基の導 方法は、特に限定されるものではないが、 えば、モノビニル芳香族化合物とポリビニ 化合物との共重合体を、塩化第二鉄等の触 の存在下、臭化スルフリル、分子状臭素等 より臭素化することによりなされる。尚、 の際の電子求引性基の導入量は、製造の容 さから、共重合体中の芳香環1モルに対し0.1 モル以上とするのが好ましく、0.3モル以上が 更に好ましい。また2.0モル以下とするのが好 ましく、1.0モル以下とするのが更に好ましい 。導入量が0.1モル未満の場合は、本発明の効 果が得られ難い場合がある。導入量が2.0モル を超える場合は、後に記載するスルホン化反 応が阻害され、スルホン酸基の導入が困難に なる場合がある。

 更に、電子求引性基の導入された共重合 のスルホン化方法は、特に限定されるもの はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、 シレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン テトラクロロメタン、ジクロロエタン、ト クロロエチレン、プロピレンジクロライド の有機溶剤の存在下或いは非存在下、通常0 ~150℃程度の温度で、例えば硫酸、クロロス ホン酸、発煙硫酸等のスルホン化剤と反応 せることによりなされる。この際の反応温 は、スルホン化剤及び使用する有機溶剤に じて適宜選択される。これにより得られる イオン交換樹脂としての交換容量は、水含 状態で0.5~4.0meq/mlであるのが好ましく、又、 燥状態で2.0~7.0meq/gであるのが、好ましい。

 又、前記製造方法(B)においては、前記製 方法(A)における前記モノビニル芳香族化合 に代えて、電子求引性基を有するモノビニ 芳香族化合物を用いる以外は、前述した製 方法(A)と同様にして、そのモノビニル芳香 化合物とポリビニル化合物とを、重合開始 の存在下、水性媒体中で懸濁共重合し、次 で、スルホン化剤を用いてスルホン化する 法が採られる。この際、必要に応じて、第3 のビニル化合物を用いることもできる。

 ここで、電子求引性基を有するモノビニ 芳香族化合物の具体例としては、4-ブロモ チレン、4-クロロスチレン、4-ヨードスチレ 、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン等の ハロゲン置換スチレンや、4-ニトロスチレン 4-安息香酸スチレン等が挙げられ、中でも ハロゲン置換スチレンが好ましい。

 又、本発明のビスフェノール化合物の製 方法は、前記一般式(1)で表される構成単位 有する前記陽イオン交換樹脂触媒と共に、 ルカプト基含有化合物或いはそのメルカプ 基が保護された誘導体を用いるものである

 尚、本発明のビスフェノール化合物の製 方法において、メルカプト基或いは保護さ たメルカプト基を含有する化合物の使用形 としては、(I)前記一般式(1)で表される構成 位を有する前記陽イオン交換樹脂触媒と共 、メルカプト基或いは保護されたメルカプ 基を含有する化合物を単に存在させてビス ェノール化合物を製造する方法、(II)前記一 般式(1)で表される構成単位を有する前記陽イ オン交換樹脂触媒をメルカプト基或いは保護 されたメルカプト基を含有する化合物で変性 した後に、ビスフェノール化合物を製造する 方法が挙げられる。更に、(II)の変性方法と ては、(II-a)メルカプト基或いは保護された ルカプト基を含有する化合物を、陽イオン 換樹脂触媒のスルホン酸基又は芳香環に共 結合させる方法、及び、(II-b)メルカプト基 いは保護されたメルカプト基を含有し、且 陽イオン交換樹脂触媒のスルホン酸基とイ ン結合し得るような官能基を含有する化合 を陽イオン交換樹脂触媒のスルホン酸基に オン結合させる方法、等が挙げられ、それ のいずれの方法も採り得るが、(II-b)のメル プト基或いは保護されたメルカプト基を含 し、且つ陽イオン交換樹脂触媒のスルホン 基とイオン結合し得るような官能基を含有 る化合物を陽イオン交換樹脂触媒のスルホ 酸基にイオン結合させる方法が、製造の容 さ及び結合させる割合の調整の容易さから 好ましい。

 ここで、前記(I)の使用形態におけるメル プト基或いは保護されたメルカプト基を含 する化合物としては、分子内にメルカプト 或いはメルカプト基が保護された置換基を していれば他の構造に特に制限はなく、そ メルカプト基の具体例としては、メルカプ メチル基、2-メルカプトエチル基、3-メルカ プト-n-プロピル基等のメルカプトアルキル基 類、4-メルカプトシクロヘキシル基、4-メル プトメチルシクロヘキシル基等のメルカプ シクロアルキル基類、4-メルカプトフェニル 基、4-メルカプトメチルフェニル基等のメル プト芳香族基類等が挙げられ、それらのメ カプト基或いは保護されたメルカプト基を 有する化合物としては、例えば、メタンチ ール、エタンチオール、1-プロパンチオー 、シクロヘキサンチオール、シクロヘキサ メタンチオール、ベンゼンチオール、ベン ルメルカプタン等、及び、それらのメルカ ト基が保護された、例えば、それら化合物 t-ブチルスルフィド、チオアセテート、チオ アセタール、ジスルフィド等の誘導体が挙げ られる。尚、これらの化合物は、他にハロゲ ン原子、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキ シ基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置 換基を有していてもよい。又、これらのメル カプト基或いは保護されたメルカプト基を含 有する化合物を反応系に存在させるには、原 料としてのフェノール化合物とカルボニル化 合物の混合物へ混合するのが好ましく、その 混合量としては、0.01重量%以上、5重量%以下 範囲が好ましく、これにより、少ない助触 量で助触媒効果を最大限に発現させること できる。

 又、前記(II)の使用形態におけるメルカプ ト基或いは保護されたメルカプト基を含有す る化合物としても、特に限定されるものでは なく、陽イオン交換樹脂触媒のスルホン酸基 又は芳香環と共有結合するか、又はスルホン 酸基とイオン結合を形成する化合物であれば よい。このような化合物としては、例えば2- ルカプトエチルアミン、3-メルカプトプロ ルアミン、N,N-ジメチル-3-メルカプトプロピ アミン等のメルカプトアルキルアミン類、3 -メルカプトメチルピリジン、3-メルカプトエ チルピリジン、4-メルカプトエチルピリジン のメルカプトアルキルピリジン類、チアゾ ジン、2,2-ジメチルチアゾリジン、2-メチル- 2-フェニルチアゾリジン、3-メチルチアゾリ ン等のチアゾリジン類等、及び、これらの ルカプト基が保護された誘導体が挙げられ 。

 尚、メルカプト基或いは保護されたメル プト基を含有する化合物をスルホン酸基に 合させる割合は、陽イオン交換樹脂触媒の スルホン酸基の3%以上とするのが好ましく 5%以上とするのがより好ましい。また70%以下 とするのが好ましく、30%以下とするのが更に 好ましい。これにより、酸量の低下による活 性低下を引き起こすことなく、助触媒の効果 を最大限に発現させることができる。スルホ ン酸基に結合している割合が3%未満の場合は 応性の向上効果がほとんど見られない場合 あり、また所望の触媒寿命を得ることがで ないことがある。また結合している割合が7 0%を超える場合は、結合量の増加に見合った 応性の向上効果がほとんど見られない傾向 あり、結合によるメリットが減少する場合 ある。又、これらのメルカプト基或いは保 されたメルカプト基を含有する化合物を陽 オン交換樹脂のスルホン酸基に結合させる 法は、従来公知の方法、例えば、前記特許 献2等に示されているように、例えば水、ア ルコール、ケトン、エーテル、フェノール等 の適当な溶媒に前記メルカプトアミン類等を 溶解し、予め同じ溶媒中に分散させた陽イオ ン交換樹脂と混合し、攪拌する方法、等によ りなされる。又、その際、前記一般式(1)で表 される構成単位のスルホン酸基にメルカプト 基或いは保護されたメルカプト基を含有する 化合物が結合する外、前記一般式(2)で表され る構成単位のスルホン酸基にもメルカプト基 或いは保護されたメルカプト基を含有する化 合物が結合することとなる。

 本発明のビスフェノール化合物の製造方 としては、陽イオン交換樹脂触媒が、前記 般式(1)で表される構成単位に前記メルカプ 基或いは保護されたメルカプト基を含有す 化合物がイオン結合した構成単位を有する のであるのが特に好ましく、又、前記一般 (2)で表される構成単位も前記メルカプト基 いは保護されたメルカプト基を含有する化 物がイオン結合した構成単位であってもよ 。

 本発明のビスフェノール化合物の製造方 において、フェノール化合物とカルボニル 合物との縮合反応は、フェノール性水酸基 強いオルト又はパラ配向性、特にパラ配向 、を利用するものと解されるところより、 用するフェノール化合物はオルト又はパラ に置換基のないものであるべきであり、又 縮合反応生成物であるビスフェノール化合 の用途から4,4″-ビスフェノール化合物が一 般的に好ましいところから、パラ位に置換基 のないフェノール化合物が好ましい。その場 合の置換基は、フェノール性水酸基のオルト 及びパラ配向性を阻害せず、又、カルボニル 化合物の縮合位置に対して立体障害を及ぼさ ない限り、任意のものでありうるが、典型的 な置換基は低級炭化水素基、例えば、炭素数 1~4のアルキル基、及び弗素原子、塩素原子、 臭素原子等のハロゲン原子である。

 そして、そのフェノール化合物としては 具体的には、例えば、無置換のフェノール o-クレゾール、m-クレゾール、2,5-キシレノ ル、2,6-キシレノール、2,3,6-トリメチルフェ ール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、o-クロ フェノール、m-クロロフェノール、2,5-ジク ロフェノール、2,6-ジクロロフェノール等が 挙げられる。これらの中でフェノールが特に 好ましい。

 又、カルボニル化合物の具体例としては アセトン、メチルエチルケトン、ジエチル トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ サノン、アセトフェノン等の炭素数3~10程度 のケトン類、及び、ホルムアルデヒド、アセ トアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチ ルアルデヒド等のアルデヒド類が挙げられる 。これらの中で、ホルムアルデヒド及びアセ トンが好ましく、アセトンが特に好ましい。 フェノール化合物としてフェノールを使用し 、カルボニル化合物としてアセトンを使用し た場合、ポリカーボネート樹脂等の原料とし て有用なビスフェノールAを得ることができ ので、特に好ましい。

 本発明で、前記フェノール化合物と前記カ ボニル化合物とを反応させる前に、フェノ ル化合物を用いて、40~110℃の温度で、陽イ ン交換樹脂の前処理を行なうのが好ましい 回分式の場合は、用いる陽イオン交換樹脂 媒にその体積の5~200倍のフェノール化合物 処理するのが好ましい。固定床流通方式の 合は、液時空間速度(LHSV)0.1~50hr -1 でフェノール化合物を通液することが好まし い。この前処理により、陽イオン交換樹脂が 水を含んでいる場合であっても、陽イオン交 換樹脂触媒は水からフェノール化合物へ溶媒 交換され、誘導期間なしで反応に使用できる ようになる。

 本発明における前記フェノール化合物と前 カルボニル化合物との反応方式は、特に限 されるものではなく、前記陽イオン交換樹 触媒を充填した反応器にフェノール化合物 カルボニル化合物との原料混合物を連続的 供給して反応を行う固定床流通方式、流動 方式、及び連続撹拌方式のいずれでもよく 又、回分方式であってもよい。固定床流通 式、流動床方式、及び連続撹拌方式で反応 行う場合には、原料混合物の供給は、フェ ール化合物湿潤状態の陽イオン交換樹脂触 基準で通常LHSV0.05hr -1 以上、好ましくは0.2hr -1 以上である。また通常20hr -1 以下、好ましくは10hr -1 以下で行う。反応温度は通常40℃以上、好ま くは60℃以上、また通常120℃以下、好まし は100℃以下とする。反応温度が40℃未満では 反応速度が遅い傾向があり、一方、120℃超過 では変性陽イオン交換樹脂触媒の性能低下が 著しい場合があり、副生物や着色物質も増加 する傾向がある。

 尚、その際のフェノール化合物とカルボ ル化合物のモル比は、カルボニル化合物1モ ルに対してフェノール化合物が通常2モル以 、好ましくは4モル以上であり、通常40モル 下、好ましくは30モル以下とする。フェノー ル化合物の使用量が前記範囲未満であると、 副生物が増加する傾向があり、一方、前記範 囲超過としてもその効果に殆ど変化はなく、 むしろ回収再使用するフェノール化合物の量 が増大するため経済的でなくなる傾向がある 。反応混合物から目的物質であるビスフェノ ール化合物の分離精製は、例えば、本発明の 製造方法において製造するのに特に好ましい とするビスフェノールAの場合には、以下の うな例を挙げることができる。

 上記反応に引き続いて行なわれる各工程 特に制限はなく、例えば公知の方法を採用 ることができる。以下に代表的な工程を一 として説明する。上記反応に引き続いて、 沸点成分分離工程において、反応で得られ 反応混合物をビスフェノールAとフェノール とを含む成分と、反応で副生する水、未反応 アセトン等を含む低沸点成分とに分離する。 低沸点成分分離工程は、減圧下に蒸留によっ て低沸点成分を分離するのが好ましく、低沸 点成分にはフェノール等が含まれていてもよ い。ビスフェノールAとフェノールとを含む 分は、さらに蒸留等によってフェノールを 去し、ビスフェノールAの濃度を所望の濃度 調整することができる。

 続いて、晶析工程においてビスフェノー Aとフェノールとの付加物の結晶を含有する スラリーを得る。晶析工程に供するビスフェ ノールAとフェノールとを含む成分のビスフ ノールAの濃度は、得られるスラリーの取り いの容易さ等から、10~30%が好ましい。また 析方法としては、ビスフェノールAとフェノ ールとを含む成分を直接冷却させる方法、水 等のほかの溶媒を混合し、当該溶媒を蒸発さ せることによって冷却を行なう方法、さらに フェノールを除去して濃縮を行なう方法及び これらを組み合わせる方法等が挙げられ、所 望の純度の付加物を得るために1回もしくは2 以上晶析させてもよい。当該晶析工程で得 れたスラリーは、回収工程において減圧濾 、加圧濾過、遠心濾過等により付加物の結 と母液とに固液分離され、ビスフェノールA とフェノールとの付加物の結晶が回収される 。

 当該回収工程で得られた付加物の結晶を、 く脱フェノール工程において溶融し、フラ シュ蒸留、薄膜蒸留、スチームストリッピ グ等の手段によってフェノールを除去する とにより、高純度の溶融ビスフェノールAを 得る。除去されたフェノールは所望により精 製され、反応や上記回収工程で得られた付加 物の結晶の洗浄等に供することができる。
 得られた高純度の溶融ビスフェノールAは、 造粒工程において固化されるが、ノズルから 噴射させ、冷却ガスと接触させることにより 小球状のビスフェノールAプリルを得る方法 簡便で好ましい。

 系内の不純物の蓄積を防止する目的で、回 工程で分離された母液の少なくとも一部を 純物処理工程において処理することができ 。例えば、アルカリ又は酸を混合して加熱 理した後に蒸留して軽質分と重質分とに分 し、軽質分を酸触媒等により再結合反応処 して反応に使用するのが経済性の点でも好 しい。ここで重質分を系外にパージするこ により不純物の蓄積を防止し、製品の純度 向上させることができる。また、母液の少 くとも一部を酸触媒によって異性化した後 晶析を行なうことによってビスフェノールA の回収率の向上を図ることもできる。
 低沸点成分分離工程で得られた低沸点成分 、アセトン循環工程によって未反応アセト を分離回収し、回収されたアセトンを反応 程に循環させることができる。

 以下に実施例により本発明を更に具体的 説明するが、本発明はその要旨を逸脱しな 限り、以下の実施例によって限定されるも ではない。

 実施例1
 <陽イオン交換樹脂の製造> 
 窒素ガス導入管、冷却管を備えた500mlの4ッ フラスコに脱塩水150ml、6%ポリビニルアルコ ール水溶液2mlを加え、窒素を導入した。一方 、4-ブロモスチレン25.1g、ジビニルベンゼン( 有率95%)0.73g、及び過酸化ベンゾイル(含有率 75%)0. 20gを溶解したモノマー溶液を調製した モノマー溶液を上記フラスコに入れ、200rpm 室温で30分撹拌し懸濁液を形成した。次い 加熱して80℃で8時間反応させた。生成した 橋共重合体球状粒子を十分に水洗して分散 (ポリビニルアルコール)を除去した後、105℃ で5時間真空乾燥し、24.3gの架橋共重合体球状 粒子を得た。
 次いで、窒素ガス導入管、冷却管、等圧滴 ロートを備えた200mlの4ッ口フラスコに、前 で得られた架橋共重合体球状粒子5.02g、ジ ロロエタン20gを加え、窒素を導入した。別 調製したクロロスルホン酸7.52g/ジクロロエ ン10g溶液を上記等圧滴下ロートに入れ、攪 下、30分かけて室温で滴下した。更に、室温 で5時間反応させた後、過剰量の脱塩水を加 、余剰のクロロスルホン酸を加水分解した 得られた陽イオン交換樹脂をカラムに充填 、陽イオン交換樹脂に対して10容量倍の脱塩 水、陽イオン交換樹脂に対して10容量倍のア トンの順に通液し、更に、脱塩水で洗浄液 中性になるまで洗浄し、陽イオン交換樹脂1 6.4gを得た。得られた陽イオン交換樹脂は、 潤状態での交換容量が1.23mmol/gであった。

 <陽イオン交換樹脂の変性>
 窒素ガス導入管を備えた200mlの四つ口フラ コ中に、前記で得られた陽イオン交換樹脂5. 04g、及び60℃の脱塩水30mlを入れ、イオン交換 樹脂を洗浄した。洗浄液はデカンテーション により廃棄し、再度60℃の脱塩水30mlを導入し た。この洗浄操作を3回繰り返した。次いで 洗浄液を廃棄した後、脱塩水20gを加え、フ スコ内を窒素で置換した。そこへ、4-メルカ プトエチルピリジン118μlを攪拌下に一括投入 し、更に、2時間、室温下で攪拌して変性処 を行った。処理終了後、得られたメルカプ 化合物変性陽イオン交換樹脂をカラムに充 し、陽イオン交換樹脂に対して20容量倍の脱 塩水を通液し洗浄した。得られたメルカプト 化合物変性陽イオン交換樹脂中のメルカプト 基量、及び残存スルホン酸基量を滴定法によ り測定し、結果を表1に示した。

 <ビスフェノール化合物の製造>
 窒素ガス導入管、冷却管を備えた50mLガラス 製フラスコに、前記で得られたメルカプト化 合物変性陽イオン交換樹脂を湿潤状態で0.50g 取し、70℃のフェノールを用いて、洗浄液 含水率が0.1重量%以下になるまで洗浄した。 いで、上記フラスコに70℃のフェノール6.43g を採取し、窒素を導入した。攪拌下、アセト ン0.39gを加えて反応を開始した。反応開始後6 0分の時点で反応液を採取し、ガスクロマト ラフィーにより以下の条件で分析し、結果 表1に示した。

 <分析法>
 ガスクロマトグラフィー:SHIMADZU製「GC-14A」
 カラム:Hewlett Packard製「Ultra Performance Capill ary Column Ultra2(Cross-linked 5%Phenylmethyl Silicone)2 5m×0. 32mm×0. 52μm」
 検出器:FID
 キャリアーガス:He

 4,4’-ビスフェノールA収率(%)=〔(生成した4,4 ’-ビスフェノールAのモル数)/(供給したアセ ンのモル数)〕×100
 TOF(hr -1 )=〔生成した2,4’-ビスフェノールAのモル数 び4,4’-ビスフェノールAのモル数〕/〔(陽イ ン交換樹脂触媒中の全スルホン酸基のモル )×反応時間〕

 実施例2
 陽イオン交換樹脂の製造における4-ブロモ チレンに代えて、4-クロロスチレンを用いた 外は、実施例1と同様の方法で、陽イオン交 樹脂、引き続いて、メルカプト化合物変性 イオン交換樹脂を製造し、得られたメルカ ト化合物変性陽イオン交換樹脂中のメルカ ト基量、及び残存スルホン酸基量を測定し 又、このメルカプト化合物変性陽イオン交 樹脂触媒を用いて実施例1と同一の条件で、 ェノールとアセトンを反応させ、実施例1に おけると同様の方法で分析し、結果を表1に した。

 実施例3
 陽イオン交換樹脂の製造における4-ブロモ チレンに代えて、4-フルオロスチレンを用い た外は、実施例1と同様の方法で、陽イオン 換樹脂、引き続いて、メルカプト化合物変 陽イオン交換樹脂を製造し、得られたメル プト化合物変性陽イオン交換樹脂中のメル プト基量、及び残存スルホン酸基量を測定 、又、このメルカプト化合物変性陽イオン 換樹脂触媒を用いて実施例1と同一の条件で フェノールとアセトンを反応させ、実施例1 におけると同様の方法で分析し、結果を表1 示した。

 実施例4
 陽イオン交換樹脂の製造における4-ブロモ チレンに代えて、3-クロロスチレンを用いた 外は、実施例1と同様の方法で、陽イオン交 樹脂、引き続いて、メルカプト化合物変性 イオン交換樹脂を製造し、得られたメルカ ト化合物変性陽イオン交換樹脂中のメルカ ト基量、及び残存スルホン酸基量を測定し 又、このメルカプト化合物変性陽イオン交 樹脂触媒を用いて実施例1と同一の条件で、 ェノールとアセトンを反応させ、実施例1に おけると同様の方法で分析し、結果を表1に した。

 実施例5
 陽イオン交換樹脂の製造における4-ブロモ チレンに代えて、2-クロロスチレンを用いた 外は、実施例1と同様の方法で、陽イオン交 樹脂、引き続いて、メルカプト化合物変性 イオン交換樹脂を製造し、得られたメルカ ト化合物変性陽イオン交換樹脂中のメルカ ト基量、及び残存スルホン酸基量を測定し 又、このメルカプト化合物変性陽イオン交 樹脂触媒を用いて実施例1と同一の条件で、 ェノールとアセトンを反応させ、実施例1に おけると同様の方法で分析し、結果を表1に した。

 実施例6
 <陽イオン交換樹脂の製造>
 窒素ガス導入管、冷却管を備えた500mlの4ッ フラスコに脱塩水50ml、6%ポリビニルアルコ ル水溶液1mlを加え、窒素を導入した。一方 4-クロロスチレン5.10g、スチレン3.84g、ジビ ルベンゼン(含有率95%)0.40g、及び過酸化ベン ゾイル(含有率75%)0. 08gを溶解したモノマー溶 液を調製した。モノマー溶液を上記フラスコ に入れ、200rpm、室温で30分撹拌し懸濁液を形 した。次いで加熱して80℃で8時間反応させ 。生成した架橋共重合体球状粒子を十分に 洗して分散剤を除去した後、105℃で5時間真 空乾燥し、6.46gの架橋共重合体球状粒子を得 。
 次いで、窒素ガス導入管、冷却管、等圧滴 ロートを備えた200mlの4ッ口フラスコに、前 で得られた架橋共重合体球状粒子3.07g、ジ ロロエタン10gを加え、窒素を導入した。別 調製したクロロスルホン酸6.28g/ジクロロエ ン10g溶液を上記等圧滴下ロートに入れ、攪 下、30分かけて室温で滴下した。更に、室温 で5時間反応させた後、過剰量の脱塩水を加 、余剰のクロロスルホン酸を加水分解した 得られた陽イオン交換樹脂をカラムに充填 、陽イオン交換樹脂に対して10容量倍の脱塩 水、陽イオン交換樹脂に対して10容量倍のア トンの順に通液し、更に、脱塩水で洗浄液 中性になるまで洗浄し、陽イオン交換樹脂1 3.6gを得た。得られた陽イオン交換樹脂は、 潤状態での交換容量が1.49mmol/gであった。

 引き続いて、前記で得られた陽イオン交 樹脂を用いた外は、実施例1と同様にして、 4-メルカプトエチルピリジンを反応させてメ カプト化合物変性陽イオン交換樹脂を製造 、得られたメルカプト化合物変性陽イオン 換樹脂中のメルカプト基量、及び残存スル ン酸基量を測定し、又、このメルカプト化 物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施 1と同一の条件で、フェノールとアセトンを 反応させ、実施例1におけると同様の方法で 析し、結果を表1に示した。

 実施例7
 4-クロロスチレン:スチレン:ジビニルベンゼ ンの割合を、75モル%:21モル%:4モル%となるよ に原料モノマーの混合比を変えた外は、実 例1と同様の方法で、陽イオン交換樹脂、引 続いて、メルカプト化合物変性陽イオン交 樹脂を製造し、得られたメルカプト化合物 性陽イオン交換樹脂中のメルカプト基量、 び残存スルホン酸基量を測定し、又、この ルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒 用いて実施例1と同一の条件で、フェノール とアセトンを反応させ、実施例1におけると 様の方法で分析し、結果を表1に示した。

 実施例8
 窒素ガス導入管を備えた200mlの四ッ口フラ コ中に、実施例2で得られた陽イオン交換樹 (湿潤状態の交換容量0.98mmol/g)5.19g、及び60℃ の脱塩水30mlを入れ、イオン交換樹脂を洗浄 た。洗浄液はデカンテーションにより廃棄 、再度60℃の脱塩水30mlを導入した。この洗 操作を3回繰り返した。次いで、洗浄液を廃 した後、脱塩水20gを加え、フラスコ内を窒 で置換した。そこへ、2-メルカプトエチル ミン塩酸塩0.09g/脱塩水10ml溶液を攪拌下、20 かけて室温で滴下した。更に、2時間、室温 で攪拌して変性反応を行った。反応終了後 得られたメルカプト化合物変性陽イオン交 樹脂をカラムに充填し、陽イオン交換樹脂 対して20容量倍の脱塩水を通液し洗浄した 実施例1と同様にして、得られたメルカプト 合物変性陽イオン交換樹脂中のメルカプト 量、及び残存スルホン酸基量を滴定法によ 測定し、又、このメルカプト化合物変性陽 オン交換樹脂触媒を用いて実施例1と同一の 条件で、フェノールとアセトンを反応させ、 実施例1におけると同様の方法で分析し、結 を表1に示した。

 実施例9
 陽イオン交換樹脂として、前記一般式(1)に いてR 1 、R 2 、及びR 3 がいずれも水素原子であり、Xが臭素原子で る構造を有する三菱化学社製「ダイヤイオ RCP145H」を用いた外は、実施例1と同様の方法 で、メルカプト化合物変性陽イオン交換樹脂 を製造し、得られたメルカプト化合物変性陽 イオン交換樹脂中のメルカプト基量、及び残 存スルホン酸基量を測定し、又、このメルカ プト化合物変性陽イオン交換樹脂触媒を用い て実施例1と同一の条件で、フェノールとア トンを反応させ、実施例1におけると同様の 法で分析し、結果を表1に示した。

 比較例1
 <陽イオン交換樹脂の製造> 
 窒素ガス導入管、冷却管を備えた500mlの4ッ フラスコに脱塩水150ml、6%ポリビニルアルコ ール水溶液2mlを加え、窒素を導入した。一方 、スチレン25.12g、ジビニルベンゼン(含有率95 %)1.29g、及び過酸化ベンゾイル(含有率75%)0. 17 gを溶解したモノマー溶液を調製した。モノ ー溶液を上記フラスコに入れ、200rpm、室温 30分撹拌し懸濁液を形成した。次いで加熱し て80℃で8時間反応させた。生成した架橋共重 合体球状粒子を十分に水洗して分散剤を除去 した後、105℃で5時間真空乾燥し、24.35gの架 共重合体球状粒子を得た。
 次いで、窒素ガス導入管、冷却管、等圧滴 ロートを備えた200mlの4ッ口フラスコに、前 で得られた架橋共重合体球状粒子4.67g、ジ ロロエタン20gを加え、窒素を導入した。別 調製したクロロスルホン酸11.53g/ジクロロエ ン10g溶液を上記等圧滴下ロートに入れ、攪 下、30分かけて室温で滴下した。更に、室 で5時間反応させた後、過剰量の脱塩水を加 、余剰のクロロスルホン酸を加水分解した 得られた陽イオン交換樹脂をカラムに充填 、陽イオン交換樹脂に対して10容量倍の脱 水、陽イオン交換樹脂に対して10容量倍のア セトンの順に通液し、更に、脱塩水で洗浄液 が中性になるまで洗浄し、陽イオン交換樹脂 18.37gを得た。得られた陽イオン交換樹脂は、 湿潤状態での交換容量が1.94mmol/gであった。

 引き続いて、前記で得られた陽イオン交 樹脂を用いた外は、実施例1と同様にして、 4-メルカプトエチルピリジンを反応させてメ カプト化合物変性陽イオン交換樹脂を製造 、得られたメルカプト化合物変性陽イオン 換樹脂中のメルカプト基量、及び残存スル ン酸基量を測定し、又、このメルカプト化 物変性陽イオン交換樹脂触媒を用いて実施 1と同一の条件で、フェノールとアセトンを 反応させ、実施例1におけると同様の方法で 析し、結果を表1に示した。

 比較例2~10
 実施例1~7、及び比較例1で製造した陽イオン 交換樹脂(未変性)、及び、実施例9で用いた「 ダイヤイオンRCP145H」(未変性)を触媒として用 い、実施例1と同一の条件で、フェノールと セトンを反応させ、実施例1におけると同様 方法で分析し、結果を表1に示した。

 表中、4,4’-ビスフェノールA収率(%)、及びTO F(hr -1 )は、下式より算出した。
 4,4’-ビスフェノールA収率(%)=〔(生成した4,4 ’-ビスフェノールAのモル数)/(供給したアセ ンのモル数)〕×100
 TOF(hr -1 )=〔生成した2,4’-ビスフェノールAのモル数 び4,4’-ビスフェノールAのモル数〕/〔(陽イ ン交換樹脂触媒中の全スルホン酸基のモル )×反応時間〕

 以上、本発明を特定の態様を用いて詳細に 明したが、本発明の意図と範囲を離れるこ なく様々な変更が可能であることは、当業 に明らかである。
 なお、本出願は2007年3月30日付けで出願され た日本語特許出願(特願2007-092697)に基づいて り、その全体が引用により援用される。