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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING CHLOROHYDRIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/025245
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for commercially producing a chlorohydrin safely and efficiently by using a low-cost simple reaction apparatus. Specifically disclosed is a method for producing a chlorohydrin, wherein a hydrocarbon having 2-4 carbon atoms and two or more hydroxy groups is reacted with hydrogen chloride in a liquid phase, thereby substituting the hydroxy groups of hydrocarbon with chlorine atoms. This method for producing a chlorohydrin is characterized in that hydrogen chloride is dispersed in the liquid phase as fine bubbles having an average diameter of not more than 1000 μm.

Inventors:
YOSHIDA MASAO (JP)
YOKOYAMA YUTAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064645
Publication Date:
February 26, 2009
Filing Date:
August 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KASHIMA CHEMICAL COMPANY LTD (JP)
YOSHIDA MASAO (JP)
YOKOYAMA YUTAKA (JP)
International Classes:
C07C29/62; C07C31/36
Domestic Patent References:
WO2006020234A12006-02-23
Foreign References:
JP2007504101A2007-03-01
JPH10235175A1998-09-08
JP2002179601A2002-06-26
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 水酸基を2つ以上有する炭素数2~4の炭化水素と塩化水素とを液相で反応させて前記炭化水素の水酸基を塩素に置換するクロロヒドリンの製造方法であって、前記液相中に前記塩化水素を平均直径1000μm以下の微細気泡として分散させるクロロヒドリンの製造方法。
 前記液相が、塩化水素の飽和溶液である請求項1記載のクロロヒドリンの製造方法。
 前記水酸基を2つ以上有する炭素数2~4の炭化水素が、グリセリン又はモノクロロプロパンジオールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロロヒドリンの製造方法。
 前記クロロヒドリンが1,3-ジクロロ-2-プロパノールであることを特徴とする請求項3に記載のクロロヒドリンの製造方法。
 前記反応を、触媒存在下で行うことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のクロロヒドリンの製造方法。
 前記塩化水素を、微細孔を介して液相中に導入することにより分散させることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のクロロヒドリンの製造方法。
 前記塩化水素を、前記水酸基を2つ以上有する炭素数2~4の炭化水素に加圧下で溶解させて反応容器に供給し、反応容器中で析出させることにより、前記液相中に分散させることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のクロロヒドリンの製造方法。
 前記微細気泡に含まれる塩化水素の量が、液相に溶解している塩化水素の0.01~10倍であることを特徴とする請求項1~7に記載のクロロヒドリンの製造方法。
 反応後の溶液から塩化水素を回収して再利用する工程を有することを特徴とする請求項1~8に記載のクロロヒドリンの製造方法。
Description:
クロロヒドリンの製造方法

 本発明は、工業用中間体として有用なク ロヒドリンの製造方法に関する。

 分子内に塩素原子と水酸基を有する炭化 素であるクロロヒドリンは、ポリエーテル リオール、グリコールエーテル、エポキシ 合物、又はその他の有用物質を製造するた の中間体であり、工業的に重要な化合物で る。クロロヒドリンを製造する方法として 塩素と水を反応させて次亜塩素酸を生成し 生成した次亜塩素酸と二重結合含有炭化水 とを反応させる方法が従来から知られてい 。しかしながら、この方法では大量のハロ ン含有化合物が副生成物として生じるため より環境負荷の少ない製造方法が望まれて た。

 近年、クロロヒドリンの製造法として、 作物など再生可能な資源から得られるグリ リンなどの多価アルコールと塩化水素との 応が提案されている。しかし、この製造法 は反応率、選択率、反応速度など必ずしも 足できるものではなく、工業的な応用へ向 て前記の課題解決への試みがなされている 例えば、(A)特許文献1においては、多価アル コールと塩化水素との反応で生成する水を除 去しながら反応を行うことにより、平衡を生 成系に移動させ反応速度、反応率などの向上 を目指している。(B)特許文献2においては、 中の塩化水素の分圧を上げることにより、 成する不純物の減少と共に反応速度の改善 なされている。(C)さらには、特許文献2及び 許文献3においては特殊な触媒を使用する方 法が開示されている。

 しかしながら、上記の方法においてはそ ぞれ以下のような問題点がある。

 (A)の場合、反応系中で発生する水を除去 るために、反応容器に直結する蒸留塔など 装置を設置する必要がある。または、反応 数段階で実施してその中間に水を除去する 置を設置する方法もあるが、ともにプロセ の設備コスト及び運転コストがかかり工業 なプラントでの使用には好ましくない。

 (B)の場合は、(A)のように水を除去する必 はないが、十分な収率を得るためには少な とも圧力を0.65MPa(絶対圧)以上にしないと工 的に満足できる結果を得ることはできない また、原料である塩化水素の供給設備及び 応容器ともに耐圧仕様の装置を使用する必 があり、設備コストがかかると共に安全面 らも好ましくない。

 (C)の場合は、使用する触媒が高価である め生産コストが大きくなる。触媒を回収し 再利用することも考えられるが、別途触媒 収工程が必要になりプロセスの設備コスト びエネルギーコストの面から好ましくない

国際公開第2005/021476号パンフレット

国際公開第2006/020234号パンフレット

国際公開第2005/054167号パンフレット

 本発明は、上記問題点に鑑みて、安価か 簡便な反応装置を用いて安全かつ効率よく ロロヒドリンを工業的に製造する方法を提 することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 検討を行った結果、塩化水素を平均直径1000 μm以下の微細気泡として液相中に分散させる ことにより、高反応率及び高選択率でクロロ ヒドリンを短時間に製造できることを見出し 、発明を完成するに至った。

 即ち、本発明の以下の(1)から(9)を提供する
(1)水酸基を2つ以上有する炭素数2~4の炭化水 と塩化水素とを液相で反応させて前記炭化 素の水酸基を塩素に置換するクロロヒドリ の製造方法であって、前記液相中に前記塩 水素を平均直径1000μm以下の微細気泡として 散させるクロロヒドリンの製造方法。
(2)前記液相が、塩化水素の飽和溶液である(1) 記載のクロロヒドリンの製造方法。
(3)前記水酸基を2つ以上有する炭素数2~4の炭 水素が、グリセリン又はモノクロロプロパ ジオールであることを特徴とする(1)又は(2) 記載のクロロヒドリンの製造方法。
(4)前記クロロヒドリンが1,3-ジクロロ-2-プロ ノールであることを特徴とする(3)に記載の ロロヒドリンの製造方法。
(5)前記反応を、触媒存在下で行うことを特徴 とする(1)~(4)のいずれかに記載のクロロヒド ンの製造方法。
(6)前記塩化水素を、微細孔を介して液相中に 導入することにより分散させることを特徴と する(1)~(5)のいずれかに記載のクロロヒドリ の製造方法。
(7)前記塩化水素を、前記水酸基を2つ以上有 る炭素数2~4の炭化水素に加圧下で溶解させ 反応容器に供給し、反応容器中で析出させ ことにより、前記液相中に分散させること 特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載のクロロ ドリンの製造方法。
(8)前記微細気泡に含まれる塩化水素の量が、 液相に溶解している塩化水素の0.01~10倍であ ことを特徴とする(1)~(7)に記載のクロロヒド ンの製造方法。
(9)反応後の溶液から塩化水素を回収して再利 用する工程を有することを特徴とする(1)~(8) 記載のクロロヒドリンの製造方法。

 本発明は、安価かつ簡便な反応装置を用 て安全かつ効率よくクロロヒドリンを工業 に製造する方法を提供する。特に、本発明 は反応容器内の圧力を低くできるため、大 で重層な耐圧装置を使用する必要がなく、 備コストの観点から好ましい。

図1は、本発明の一態様を示すプロセス 概略図である。 図2は、本発明の別の態様を示すプロセ ス概略図である。

符号の説明

A.塩化水素吸収塔
B.反応塔
C.塩化水素回収塔
D.蒸留塔
P.加圧設備(吸収液ポンプ)
1.本ポリオール供給ライン
2.塩化水素供給ライン
2A.塩化水素吸収塔への塩化水素供給ライン
2B.反応塔への塩化水素供給ライン
3.塩化水素吸収溶液抜き出しライン
4.触媒供給ライン
5.反応塔供給ライン
6.反応液循環ライン
7.塩化水素回収塔供給ライン
8.塩化水素循環ライン
9.蒸留塔供給ライン
10.クロロヒドリン回収ライン
11.残渣抜き出しライン

 本発明で使用する水酸基を2つ以上有する 炭素数2~4の炭化水素とは、炭素数2~4の炭化水 素の水素原子の2つ以上が水酸基に置換され 化合物である。前記炭化水素は、直鎖状又 分岐鎖状のいずれでもよく、二重結合が含 れていてもよい。

 前記水酸基を2つ以上有する炭素数2~4の炭 化水素は、水素の一部が塩素に置換されてい てもよい。以下、前記水酸基を2つ以上有す 炭素数2~4の炭化水素を、本ポリオールとい 。

 本ポリオールとして、例えば、1、2-エタ ジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロ ンジオール、1,2,3-プロパントリオール(以下 グリセリンともいう)、1,2-ブタンジオール 1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、又 は、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、2-クロロ -1,3-プロパンジオールなどのモノクロロジプ パノールや、これらの混合物が挙げられる これらの中で、3-クロロ-1,2-プロパンジオー ル、2-クロロ-1,3-プロパンジオール、1,2,3-プ パントリオール、1,2-プロパンジオール、1,3- プロパンジオールが特に好適である。具体的 にはバイオジーゼル燃料の副生成物として得 られるグリセリンなどが好適に例示される。

 本ポリオールとして、例えば、グリセリ を用いて、本発明を実施した場合、水酸基 1つが塩素に置き換わった3-クロロ-1,2-プロ ンジオールまたは2-クロロ-1,3-プロパンジオ ル(以下モノクロロヒドリンともいう)を経 、水酸基の2つが塩素に置き換わった1,3-ジク ロロ-2-プロパノールまたは2,3-ジクロロ-1-プ パノール(以下ジクロロヒドリンともいう)が 得られる。本発明の製造方法では、1工程で リセリンからジクロロヒドリンまで得るこ ができる。グリセリンからモノクロロヒド ンを得る第1工程、および、モノクロロヒド ンからジクロロヒドリンを得る第2工程から なる2段プロセスでグリセリンからジクロロ ドリンを製造する場合には、第1および/また は第2工程に本発明の製造方法を採用するこ ができる。

 本ポリオールは、少なくとも2つの水酸基 を有し、その一部または全部がエステル基で あってもよい。また、すべての水酸基がエス テル基であっても、後述の塩化水素との反応 の際に加水分解して水酸基となる場合は、本 発明に適用できる。なお、前記エステル基と は、水酸基とカルボン酸のカルボキシル基と のエステル基である。前記エステル基は、後 述する触媒として、カルボン酸を用いる場合 に形成されることがある。

 なお、反応生成物において水酸基の一部 たは全部がエステル基になっている場合は 通常の方法で加水分解を行って目的のクロ ヒドリンにすることができる。

 本発明で使用する塩化水素は、水の含有 が少ないほど反応が進行しやすいので、水 含有量はできるだけ少ないほうが好ましい 水の含有量は、通常50質量%以下、好ましく 10質量%以下である。

 次に、本反応について説明する。本反応 、本ポリオールと塩化水素とを液相で反応 せて目的物であるクロロヒドリンを製造す 工程である。

 本反応で得られるクロロヒドリンとは、 子内に少なくとも一つずつの水酸基及び塩 原子を含有する炭素数2~4の炭化水素である 具体的には、1-クロロ-2-エタノール、1-クロ ロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール 3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロ ンジオール、2-クロロ-1,3-プロパンジオール 、2,3-ジクロロ-1-プロパノール、1,3-ジクロロ- 2-プロパノール、1-クロロ-2-ブタノール、2-ク ロロ-1-ブタノール、1-クロロ-3-ブタノール、3 -クロロ-1-ブタノール、4-クロロ-1-ブタノール などが好適に挙げられ、特に1,3-ジクロロ-2- ロパノールが好ましい。なお、前記クロロ ドリンの水酸基がエステル基であってもよ 。前記エステル基とは、水酸基とカルボン のカルボキシル基とのエステル基である。

 本反応は、触媒下又は無触媒下のいずれ もよいが、反応時間の短縮の観点から触媒 添加が好適である。触媒としては、公知の のを使用することができ、具体的には、蟻 、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸などの ルボン酸化合物や、ポリアクリル酸、アク ル酸-エチレンコポリマーなどのカルボン酸 含有ポリマーや、これらの混合物が挙げられ る。これらの中で、蟻酸、酢酸、プロピオン 酸などが好適である。これらは、経済的な観 点から有利である。純度は工業用のもので十 分であるが、塩化水素と同様の理由で水の含 有量はできるだけ少ないほうが好ましい。

 触媒の添加量は、本ポリオール100質量部 対して、0.1~20質量部、好ましくは1~10質量部 である。0.1質量部より少ないときは、反応時 間が長くかかる。20質量部より多いときは、 生成物の収率が高くなる。触媒の添加方法 、特に限定されないが、反応当初から全量 添加しても、また反応途中で分割して添加 ていくことも可能である。

 反応温度は、通常30~180℃、好ましくは50~150 、特に好ましくは80~120℃である。30℃より い場合、反応速度が遅く工業的な観点から ましくない。
 180℃より高い場合、生成物であるクロロヒ リンの熱分解により収率が低下する。

 圧力は、高くなるほど反応速度が高くな ので、通常0.05MPa(絶対圧)以上、好ましくは0 .1MPa(絶対圧)以上、さらに好ましくは0.15MPa(絶 対圧)以上が採用される。圧力の上限は装置 の観点で決定され、通常1.0MPa(絶対圧)以下、 好ましくは0.6MPa(絶対圧)以下が採用される。1 .0MPa(絶対圧)より大きい場合、重層な耐圧設 が必要となってくる。

 液相中に微細気泡として含まれる塩化水 の量は、通常、液相に溶解している塩化水 の0.01~10倍、好ましくは0.03~1倍である。0.01 より少ない場合、反応容器中で塩化水素の 泡がほとんど存在せず、反応速度が遅い。10 倍より多い場合は、回収すべき塩化水素の量 が増え、不経済である。液相に溶解している 塩化水素の量は、公知の方法により求めるこ とができる。

 反応時間は、塩化水素の供給量や液相組 などによって適宜最適な条件が決定される 、バッチプロセスの場合、通常1~10時間、好 ましくは2~5時間である。

 本反応では塩化水素の微細気泡を液相中 分散させる方法は、特に限定されず、<1&g t;塩化水素を微細孔を介して導入する方法、& lt;2>過飽和析出させる方法、<3>気泡を 壊する方法、<4>乱流攪拌を用いる方法 どが挙げられる。これらは単独でも、二種 上を組み合わせて用いることができる。こ うち、濃度の高い塩化水素を制御された大 さの微細気泡として供給できるという点で <1>微細孔を介して導入する方法および& lt;2>過飽和析出させる方法が好適である。 下にそれぞれの方法を詳しく説明する。

 <1>塩化水素を微細孔を介して導入す 方法とは、塩化水素を微細孔から反応液相 に微細気泡として供給する方法である。具 的には、ノズルの先端部に網体、細孔板、 は多孔物体などの微細孔を有する部材を取 付けて、該ノズルを通って塩化水素が微細 泡として系中に供給される。微細孔の直径 大きさは、0.05~100μm、好ましくは0.05~50μm、 らに好ましくは0.05~1μmである。0.05μmより小 さい場合、塩化水素の導入に大きな圧力がか かる。100μmより大きい場合、得られる気泡が 大きくなる。ノズルの数は、一つでも複数で あっても構わないが、気泡が合体しないよう な位置関係に配置するのが好ましい。ノズル 先端の断面形状は、特に限定されず、円形状 、楕円形状などが挙げられる。微細孔を有す る部材の材料は、塩化水素によって腐食され ない材料であればよく、特にガラスが好適で ある。

 <2>の過飽和析出させる方法とは、塩 水素を本ポリオールに加圧下で溶解させて 応容器に供給し、温度圧力変化により過剰 解していた塩化水素を微細気泡として発生 せる方法である。

 <3>の気泡を圧壊する方法とは、超音 など公知の方法を用いて反応液相中の塩化 素の気泡を開裂・細分化して微小な気泡と る方法である。

 <4>乱流攪拌を用いる方法とは、塩化 素の気泡が放出された液相に攪拌器を用い 噴流、旋回等の運動を与えて液/液間の剪断 力によって気泡を粉砕・微細化する、或いは 器壁・突起等との衝突によって気泡を粉砕・ 微細化する方法である。

 塩化水素の微細気泡の平均直径は、通常1000 μm以下、好ましくは500μm以下である。平均直 径が1000μmを超えると、反応速度が低下する
 微細気泡の最大直径が2000μm以下、好ましく は1000μm以下であることが望ましい。また、 径500μm以下の微細気泡の個数が全微細気泡 の50%以上であることが好ましい。なお、気 が扁平球形である場合は、その長径を前記 径とする。

 微細気泡の直径は、反応容器の一部に設 た透明窓(反応容器全体が透明な場合は、任 意の場所)より、写真撮影し、その写真画像 画像解析することにより求めることができ 。あるいは、反応容器内の液体をサンプリ グし透明な容器に封じ込め、サンプリング ら1分以内に顕微鏡観察することによっても めることができる。なお、前記透明窓は、 応容器の任意の場所に設けることができる 微細気泡の平均直径とは、写真画像内の各 細気泡の直径を計測し、それらの値を平均 た値である。前記平均値を得るために計測 れる微細気泡の数はできるだけ多いことが ましい。再現性の点で、無作為に選ばれた 細気泡の個数として通常10個以上、好まし は20個以上、より好ましくは50個以上とする とが望ましい。典型的な例として、少なく も2枚以上の写真撮影をし、各写真画像内の 1000個以上の微細気泡の直径を計測し、その 均値を求める。なお、平均直径は、画像を 販されている画像処理ソフトウエアによっ 統計処理して算出することができる。また 微細気泡の計測下限値は、写真の解像度な 装置上の問題で、通常50μmである。

 反応容器は、特に限定されず、公知の反 容器を使用することができる。また、反応 式は、特に限定されず、回分式又は連続式 いずれでもよい。工業的利用の観点から、 続式が好ましい。なお、反応容器は反応に 要な滞留時間を確保できればよく、重層な 圧性が付与された高価な装置を用いる必要 ない。

 本発明の製造方法において、塩化水素を 均直径1000μm以下の微細気泡として分散させ ることにより極めて短時間で、クロロヒドリ ンを高反応率及び高選択性で製造できる。こ の効果の理由の詳細は不明であるが、微細気 泡の単位容積あたりの表面積が極めて大きい ことが理由の一つとして考えられる。つまり 、気相から液相への塩化水素の溶解は、両相 の界面を経て行われるので、塩化水素の気泡 の表面積を大きくすることにより液相への塩 化水素の溶解が大きく促進されたと推測され る。よって、高い圧力でなくとも反応速度を 増大させることが可能となり、安価でかつ簡 便な反応装置により実施することが可能とな る。なお、背景技術(特許文献1,2及び3)の条件 下では、反応系中に微細気泡はほとんど発生 しないと推測され、本発明の効果は得られな い。

 本発明の製造方法で得られるクロロヒド ンへの反応率及び選択率は、原料組成、反 条件などにより異なるが、典型的な場合、 の反応率は90%以上、好ましくは95%以上、よ 好ましくは99%以上である。また、選択率は8 0モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好 しくは90モル%以上である。なお、反応率及 選択率は、ガスクロマトグラフィー分析に り得られる各成分のピーク面積から計算し 。

 前記<2>の過飽和析出させる方法以外 場合においても、前述の反応工程の前には 本ポリオールへ塩化水素を吸収させる工程( 以後、吸収工程という)を設けるのが好まし 。特に、本工程により、塩化水素が飽和溶 度まで溶解した飽和溶液を得ることがより ましい。

 吸収工程における温度は、通常0~150℃で り、好ましくは20~100℃である。0℃より低い 合は、液相の粘度が上昇し塩化水素の溶解 率が低下してしまう。150℃より高い場合は 溶解する塩化水素の量が減って、同様に反 効率が低下してしまう。

 吸収工程は、溶媒下又は無溶媒下どちら も構わないが、プロセスの簡略化の観点か 無溶媒下が好ましい。なお、溶媒を使用す 場合は、例えば、エチレンジクロライドな を使用できる。溶媒の使用量は、反応スケ ルや反応装置により適宜選択される。

 吸収工程での装置は、特に限定されず、 ンチュリー、エゼクター、ミキサー、ポン 、吸収塔など公知のものが使用される。例 ば、吸収塔として、充填塔、スプレー塔、 泡塔、ぬれ壁塔などが挙げられる。また、 収工程と反応工程を同一の反応容器で実施 ても構わない。吸収工程は、回分式でも、 続式でも可能であるが、連続式が工業的に 利である。

 吸収工程の圧力・温度条件下における塩 水素の飽和溶解度が、反応工程の圧力・温 条件下における塩化水素の飽和溶解度より 高くなるように諸条件を選択することが望 しい。本条件を具備することにより、本工 において溶解していた塩化水素が、反応工 で微細気泡としてあらわれやすくなる。

 本発明では、必要に応じて、吸収工程後 得られた液相を加圧・加熱する工程を含ん いてもよい。加圧圧力は、通常0.1~1.0MPa(絶 圧)、好ましくは0.2~0.6MPa(絶対圧)である。反 工程の圧力よりも高いことが望ましい。加 方法は、ポンプなど公知の方法を用いるこ ができる。加熱温度は、通常30~150℃、好ま くは80~120℃である。なお、前記加熱条件下 も塩化水素の飽和状態を保てる圧力に加圧 ることが望ましい。

 本発明では、必要に応じて、反応工程で られた反応液の一部を取り出し、吸収工程 循環させる工程を含んでいてもよい。循環 れる反応液の量は、実施スケールや反応装 などにより適宜選択されるが、通常、反応 程で得られた反応液100質量部に対して、1~90 質量部、好ましくは10~50質量部である。循環 れる反応液の温度は、通常0~150℃、好まし は20~120℃である。循環される反応液の吸収 程への供給速度は、実施スケールや反応装 などにより適宜選択される。反応液を循環 せることにより、反応工程での塩化水素の 用率を増大させることができる。

 本発明では、必要に応じて、反応工程で られた反応液から未反応の塩化水素を回収 、吸収工程で再利用する工程を含んでいて よい。反応液から塩化水素を回収する方法 、特に限定されず、蒸留、抽出など公知の 法を用いることができる。例えば、反応液 加熱などにより溶解している未反応の塩化 素を回収することができる。塩化水素の回 ・再利用ができれば、廃棄コストが抑えら るとともに環境負荷低減に繋がる。

 反応液から目的物であるクロロヒドリン 回収する方法は、特に限定されず、蒸留、 媒抽出など公知の方法を用いることができ 。特に、蒸留操作が好ましい。蒸留塔の種 は、特に限定されないが、例えば、充填塔 棚段塔などが挙げられる。また、蒸留は、 ッチ式、連続式のいずれでもよいが、工業 には連続式が好ましい。

 得られたクロロヒドリンは、必要に応じ 、蒸留、晶析、抽出などの一般的な方法に り、さらに精製して高純度とすることがで る。

 本発明の製造プロセスを、図面を参照し がら説明する。図1は、本発明の一態様を示 すプロセス概略図である。なお、本発明はこ れに限定されるものではない。

 出発物である本ポリオールをライン1から 、塩化水素をライン2Aから塩化水素吸収塔Aに 連続的に供給する。塩化水素を含む本ポリオ ールを塩化水素吸収塔の塔底液としてライン 3より抜き出す。ライン4より触媒を供給して ポリオールと混合させ、吸収液ポンプで反 塔Bへライン5より供給する。反応塔Bにはラ ン2Bから塩化水素が供給される。この際、 ズルを選択して塩化水素の微細気泡を発生 せ反応を行う。反応終了後、反応液の一部 ライン6より塩化水素吸収塔へ循環される。 た、反応液はライン7で塩化水素回収塔Cに 給され、過剰な塩化水素は塔頂のライン8か 抜き出され塩化水素吸収塔で再利用される 過剰な塩化水素が除かれた反応液は、ライ 9より蒸留塔Dへ供給される。目的物である ロロヒドリンはライン10より留出させる。一 方、蒸留残渣はライン11より抜き出される。

 図2は、本発明の別の態様を示すプロセス概 念図である。図2においては、図1の塩化水素 収塔がなく塩化水素がポンプPの直前で本ポ リオールと混合され圧縮される。この状態で は高圧であるため、塩化水素は本ポリオール に常圧での飽和濃度以上に溶解する。
 ライン5から低圧の反応容器Bに導入された ポリオールは、塩化水素が過飽和であるの 反応容器B中で微細な気泡として析出する。

 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳 く説明するが、本発明はこれらの実施例に り制約されるものでない。また、以下では 量の単位であるリットルを「L」で示す。

 例1~6については、次に示す装置で実施し 。攪拌器、温度計、圧力計、液相への塩化 素吹き込みノズル、圧力調節弁、液相サン リングノズルを備えた1Lのガラス製オート レーブを用いた。オートクレーブ外面には ーターが取り付けられている。反応温度は 温度制御器のヒーター電流により制御した 反応圧力は、手動で圧力調節弁により制御 た。塩化水素吹き込みノズルと液化塩化水 ボンベ(純度99.7%以上)をつなぎ、中間に塩化 素用ローターメーター及びニードル弁を取 付け、ニードル弁を調節することにより塩 水素の供給量を制御した。塩化水素吹き込 ノズルの先端には多孔質ガラス部材を装着 た。また、反応途中に液相サンプリングノ ルより適宜反応液を採取した。

 例1
 グリセリン(純度99.9%)300g及び酢酸6gをオート クレーブに仕込み、密閉し、攪拌器を稼動さ せた。塩化水素を4NL/分で1時間導入し、塩化 素の飽和溶液を得た。塩化水素の導入を一 停止し、反応容器内の圧力を0.15MPa(絶対圧) 調節し、30分間で反応容器内の温度を100℃ で上げた。温度が100℃まで達したら、再び 化水素を4NL/分で導入した。なお、この時点 反応開始時として、所定時間ごとに液相サ プリングノズルより反応液を採取して、ガ クロマトグラフィーによりグリセリンの反 率、及び目的物である1,3-ジクロロ-2-プロパ ノール及び2,3-ジクロロ-1-プロパノールへの 択率を分析した。また、オートクレーブの から写真撮影し、画像解析を行い反応容器 導入される塩化水素の気泡を測定したとこ 、気泡の直径は50~1000μmで、平均直径は700μm あった。反応率、選択率をそれぞれ表1、表 2に示す。

 例2
 塩化水素の供給量をそれぞれ6NL/分とした以 外は例1と同様の条件で各操作を実施した。 化水素の気泡の直径は、50~1000μmで、平均直 は400μmであった。反応率、選択率をそれぞ 表1、表2に示す。

 例3
 塩化水素の供給量をそれぞれ6NL/分とし、反 応圧力を0.2MPa(絶対圧)とした以外は例1と同様 の条件で各操作を実施した。塩化水素の気泡 の直径は、50~1000μmで、平均直径は400μmであ た。反応率、選択率をそれぞれ表1、表2に示 す。

 例4
 塩化水素の飽和溶液を得る操作を終了した 点で攪拌器を停止し、攪拌器を再起動する となく反応を実施した以外は例3と同様の条 件で各操作を実施した。塩化水素の気泡の直 径は、50~1000μmで、平均直径は500μmであった 反応率、選択率をそれぞれ表1、表2に示す。

 例5
 塩化水素吹き込みノズルに多孔質ガラス部 を装着せずに例2と同様の条件で各操作を実 施した。塩化水素の気泡の直径は、500~8000μm 、平均直径は4000μmであった。反応率、選択 率をそれぞれ表1、表2に示す。

 例6
 塩化水素吹き込みノズルに多孔質ガラス部 を装着せずに例3と同様の条件で各操作を実 施した。塩化水素の気泡の直径は、500~5000μm 、平均直径は3000μmであった。反応率、選択 率をそれぞれ表1、表2に示す。

 表1及び表2で、例1~4が示すように非常に 時間で、かつ高選択率に目的物であるクロ ヒドリンを得ることができた。塩化水素の 細気泡の平均直径が大きい例5及び6において も、反応は進行するも長時間を要し、また選 択率も低い。

 例7
 5Lのガラス製オートクレーブにグリセリン( 度99.9%)2,000g及び酢酸40gを仕込み、密閉し、 拌器及びポンプを稼動させた。5Lのオート レーブはジャケットにて冷却し、内容液温 を30℃にコントロールした。ポンプを稼動さ せ、塩化水素をポンプ吸入より20NL/分の流速 1時間導入した。5Lオートクレーブ内の圧力 圧力調節弁にて0.6MPa(絶対圧)に調整した。 化水素を溶解させたグリセリンを、予め塩 水素で0.6MPa(絶対圧)に加圧してある1Lのオー クレーブ(透明で内部が目視できる)に、圧 を0.6MPa(絶対圧)に保ちながら、ポンプで約700 mL送液した。送液が完了後、圧力を0.6MPa(絶対 圧)に保ちながら、1Lオートクレーブの内容液 の温度を1時間で100℃まで上げた。温度が100 に達したら、圧力を気層部に設けた圧力調 弁を用い、2時間で0.3MPa(絶対圧)まで下げた このとき発生した微細気泡を1Lオートクレー ブの外から写真撮影し、画像解析を行い測定 したところ、気泡の直径は50μm以下であった さらに、温度100℃、圧力0.3MPaの状態で2時間 反応させた後にガスクロマトグラフィーによ りグリセリンの反応率及び目的物である1,3- クロロ-2-プロパノールまたは2,3-ジクロロ-1- ロパノールの選択率を測定したところ、反 率は99.9%、選択率は93.1%であった。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年8月17日出願の日本特許出願 2007-212845に基づくものであり、その内容はこ に参照として取り込まれる。

 本発明により、安価かつ簡便な反応装置 用いて安全かつ効率よくクロロヒドリンを 業的に製造することができる。特に、本発 では圧力の低い塩化水素を使用できるため 大型で重層な耐圧装置を使用する必要がな 、建設コストの観点から好ましい。