TAKAMURA MASUMI (JP)
HAYASHI MASAKI (JP)
TAKAMURA MASUMI (JP)
JP2002363205A | 2002-12-18 | |||
JP2004018556A | 2004-01-22 |
複数個のビニル基を有する架橋性単量体15~99質量%及び原子移動ラジカル重合開始基を有する単量体1~85質量%を含有する単量体混合物を調製し、 前記単量体混合物を、水性媒体に分散された有機系単分散シード粒子に吸収させ、その後、 該単量体混合物を重合開始剤により重合させて、原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子よりなるコア層を製造し、 得られたコア層に単量体をグラフト重合してシェル層を形成することを特徴とするコア-シェル微粒子の製造方法。 |
複数個のビニル基を有する架橋性単量体15~99質量%及び原子移動ラジカル重合開始基を有する単量体1~85質量%を含有する単量体混合物を調製し、 前記単量体混合物を、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子に吸収させ、その後、 該単量体混合物を重合開始剤により重合させて、原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子を製造することを特徴とする原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法。 |
前記原子移動ラジカル重合開始基を有する単量体が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法。 但し、Xは原子移動ラジカル重合開始基である。 |
原子移動ラジカル重合開始基Xが、下記の一般式(2)~(4)のいずれかで表される官能基であることを特徴とする請求項3に記載の原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法。 但し、式中R 1 は炭素数1~4のアルキレン基又はなくてもよい。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~8のアリール基、炭素数6~8のアルキルアリール基であり、Yはハロゲン原子を表す。 |
前記原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子は、動的光散乱法により測定される平均粒子径が50~900nmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法。 |
前記有機系単分散シード粒子の平均粒子径は10~800nmであり、前記有機系単分散シード粒子のCV値は20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコア-シェル微粒子の製造方法。 |
前記グラフト重合は、非ビニル型の原子移動ラジカル重合開始剤の存在下に行われることを特徴とする請求項1に記載のコア-シェル微粒子の製造方法。 |
前記グラフト重合は、遷移金属錯体触媒の存在下に行われることを特徴とする請求項1に記載のコア-シェル微粒子の製造方法。 |
前記シード粒子の平均粒子径は10~800nmであり、前記シード粒子のCV値は、20%以下であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法。 |
前記シード粒子は、非架橋粒子、又は架橋性単量体を2質量%以下配合して重合された微架橋粒子であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の原子移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法。 |
前記シェル層は、前記コア層の外面の原子移動ラジカル重合開始サイトから放射状に延びたグラフト鎖によって形成されている請求項1に記載のコア-シェル微粒子の製造方法。 |
前記原子移動ラジカル重合開始基は、ハロゲン含有基である請求項1に記載のコア-シェル微粒子の製造方法。 |
前記原子移動ラジカル重合開始基は、ハロゲン含有基である請求項2に記載の単分散架橋微粒子の製造方法。 |
本発明は、原子移動ラジカル重合開始基 含む単分散架橋微粒子により形成されたコ 層と、そのコア層に単量体をグラフト重合 て形成されたシェル層とを有するコア-シェ ル型構造を有するコア-シェル微粒子の製造 法、及び、そのコア-シェル微粒子の製造に 用される中間体の製造方法に関する。
様々な重合体微粒子が開発され、多くの 野で使用されている。重合体微粒子が小さ ほど重合体微粒子は凝集しやすくなるため 扱いやすいミクロンサイズ以上の重合体微 子が多く利用されてきた。しかし、近年の ノテクノロジーの進歩に伴い、小さい重合 微粒子の新たな用途が開発されている。例 ば、は可視光の波長領域であるサブミクロ サイズの微粒子については、散乱や干渉な の光学特性を生かした新しい用途の開発が すめられている。サブミクロン微粒子が三 元的に最密充填されたコロイド結晶の用途 開発されている。そのようなコロイド結晶 形成するためには、粒度分布の狭い単分散 粒子が要求されている。
一方、重合体微粒子の中でも、2種以上の 重合体が複合化されたコア-シェル微粒子は 機能性複合微粒子として注目されている。 ア-シェル微粒子とは、コア層(コア微粒子) シェル層とを有する構造を有し、シェル層 、十分な密度の重合体鎖からなり、シェル を形成する各重合体鎖の片末端がコア層の 面に固定化されている。コア-シェル微粒子 製造方法の中でも特に、リビングラジカル 合の一種である原子移動ラジカル重合(ATRP:A tom Transfer Radical Polymerization)は、重合体微粒 子表面に高密度なグラフト鎖を形成できるた め、近年注目されている。高密度なグラフト 鎖は、その立体反発により、コア-シェル微 子の凝集抑制も寄与する。
特許文献1には、ATRP開始基を有する単量体
ジビニルベンゼンを、有機溶媒(アセトニト
ル溶媒)中で沈殿重合して、ATRP開始基を含
微粒子を製造し、引き続き、製造された微
子に対してグラフト重合を行ってコア-シェ
微粒子を製造する方法が開示されている。
特許文献1の製造方法では、高架橋密度を 有し、ATRP開始基を含む単分散な微粒子が得 れる。しかし、その微粒子の平均粒子径は2~ 5μmである(例えば実施例1~4参照)。特許文献1 製造方法では、単分散なサブミクロンサイ の微粒子を得ることができない。
単分散でサブミクロンサイズの微粒子を る手法として、ソープフリー乳化重合法が 効である。しかし、ソープフリー乳化重合 では架橋度の低い微粒子しか効率良く得る とができない。架橋性単量体を10質量%以上 む場合には、ソープフリー乳化重合法では 凝集物が多く生成してしまい、微粒子の生 性が悪くなる。また、架橋度の低い微粒子 コア微粒子とし、グラフト重合によってコ 微粒子の表面にシェル層を形成しようとす 場合、シェル層を形成する単量体によりコ 微粒子が膨潤してしまい、コア微粒子の内 でも重合が起こる。従って、コア-シェル微 粒子の粒子径が目的とする粒子径よりも大き くなる結果を招く。このように、シェル層の 一部がコア微粒子内部にも浸入することから 、コア微粒子の機能とシェル層の両方の本来 の機能を同時にまたは相乗的に発揮できない 。そのため、従来のコア-シェル微粒子は、 十分な機能性の複合微粒子であった。
そこで本発明は、コア層の膨潤を実質的 防止し、サブミクロンサイズの大きさを有 、コア層とシェル層の両機能を十分に発揮 ることができるコア-シェル微粒子の製造方 法を提供することにある。また、ATRP開始基 含み、かつ粒子径の揃った高架橋密度の微 子を簡便な方法により得ることができるATRP 始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法を 供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に ける第1のアスペクトのコア-シェル微粒子 製造方法は、水性媒体に分散させた有機系 分散シード粒子に複数個のビニル基を有す 架橋性単量体15~99質量%及び原子移動ラジカ 重合開始基を有する単量体1~85質量%を含有す る単量体混合物を吸収させ、該単量体混合物 を重合開始剤により重合させて原子移動ラジ カル重合開始基を含む単分散架橋微粒子より なるコア層を製造し、得られたコア層に単量 体をグラフト重合してシェル層を形成するこ とを特徴とする。
第2のアスペクトの原子移動ラジカル重合 開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法は 、水性媒体に分散させた有機系単分散シード 粒子に複数個のビニル基を有する架橋性単量 体15~99質量%及び原子移動ラジカル重合開始基 を有する単量体1~85質量%を含有する単量体混 物を吸収させ、該単量体混合物を重合開始 により重合させて原子移動ラジカル重合開 基を含む単分散架橋微粒子を製造すること 特徴とする。
第3のアスペクトの原子移動ラジカル重合 開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法は 、第2のアスペクトにおいて、前記原子移動 ジカル重合開始基を有する単量体が、下記 般式(1)で表される化合物であることを特徴 する。
但し、Xは原子移動ラジカル重合開始基であ
る。
第4のアスペクトの原子移動ラジカル重合開
始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法は、
第2又は第3のアスペクトにおいて、原子移動
ジカル重合開始基Xが、下記の一般式(2)~(4)
いずれかで表される官能基であることを特
とする。
但し、式中R 1 は炭素数1~4のアルキレン基又はなくてもよい 。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~8 のアルキル基、炭素数6~8のアリール基、炭素 数6~8のアルキルアリール基であり、Yはハロ ン原子を表す。
第5のアスペクトの原子移動ラジカル重合 開始基を含む単分散架橋微粒子の製造方法は 、第2又は第3のアスペクトにおいて、前記原 移動ラジカル重合開始基を含む単分散架橋 粒子は、動的光散乱法により測定される平 粒子径が50~900nmであり、かつ平均粒子径に する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20% 以下であることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、次のような効
を発揮することができる。
第1のアスペクトのコア-シェル微粒子の製
方法においては、原子移動ラジカル重合開
基を含む単分散架橋微粒子よりなるコア層
単量体をグラフト重合してシェル層を形成
ることにより行われる。この場合、単量体
して架橋性単量体15~99質量%及び原子移動ラ
カル重合開始基を含む単量体1~85質量%を含有
する単量体混合物が使用され、架橋性単量体
の含有量が15質量%以上という十分な量であり
、単分散架橋微粒子の架橋密度が高くなるた
め、架橋微粒子中への単量体の浸入が抑えら
れる。従って、有機系単分散シード粒子を予
めサブミクロンサイズの大きさに設定してお
くことにより、そのサイズを維持することが
できる。その結果、シェル層の形成に際して
コア層が膨潤することなく、サブミクロンサ
イズの大きさに形成されると共に、コア層と
シェル層の本来の機能を同時にまたは相乗的
に発揮できて、機能性複合微粒子としての機
能を十分に発揮することができる。
第2のアスペクトの単分散架橋微粒子の製 造方法では、有機系単分散シード粒子に架橋 性単量体15~99質量%及び原子移動ラジカル重合 開始基含有単量体1~85質量%を含有する単量体 合物を吸収させ、該単量体混合物を重合開 剤により重合させて行われる。この場合、 ブミクロンサイズで粒子径の揃った有機系 分散シード粒子を予め調製すると共に、架 性単量体を増量して重合を行うことにより 単分散架橋微粒子の粒子径、その分布及び 橋密度を容易に設定することができる。従 て、原子移動ラジカル重合開始基を含み、 つ粒子径の揃った高架橋密度を有するサブ クロンサイズの微粒子を簡便な方法により ることができる。
第3のアスペクトの単分散架橋微粒子の製 造方法では、原子移動ラジカル重合開始基を 含む単量体が、前記一般式(1)で表される単量 体であることから、第2のアスペクトの効果 加え、その性質により原子移動ラジカル重 開始基を微粒子に効率よく導入することが きる。
第4のアスペクトの単分散架橋微粒子の製 造方法では、原子移動ラジカル重合開始基を 含む単量体が、前記一般式(2)~(4)で表される 量体であることから、第2及び第3のアスペク トの効果に加え、シェル層の形成を一層効率 良く行うことができる。
第5のアスペクトの単分散架橋微粒子の製 造方法では、原子移動ラジカル重合開始基を 含む単分散架橋微粒子は、動的光散乱法によ り測定される平均粒子径が50~900nmであり、か 平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分 を表すCV値が20%以下である。このため、第2 ら第4のいずれかのアスペクトに係る効果に 加え、架橋微粒子はサブミクロンサイズに形 成され、狭い粒度分布を有する単分散架橋微 粒子である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説
する。
実施形態におけるコア-シェル微粒子の製造
方法では、中間体であるATRP開始基を含む単
散架橋微粒子(以下、単に架橋微粒子ともい
)に単量体をグラフト重合して、コア-シェ
微粒子を製造する。すなわち、架橋微粒子
ATRP開始基に基づいて単量体がグラフト重合
開始し、コア層となる架橋微粒子に前記単
体がグラフト化され、成長して、成長した
合体鎖によって形成されるシェル層がコア
の外周部に形成される。ここで、原子移動
ジカル重合(ATRP)は、リビングラジカル重合
一種であり、本質的に連鎖移動及び連鎖停
がなく増える鎖成長重合であり、重合体鎖
構造を調整しやすく、重合体の分子量分布
狭く(単分散)することができる。
図1に示すように、架橋微粒子11からコア- シェル型構造を有するコア-シェル微粒子10が 製造される。架橋微粒子11の外周面には複数 のATRP開始基12が高い密度で露出している。 ア-シェル微粒子10は、架橋微粒子11からな コアと、架橋微粒子11に単量体をグラフト重 合して形成されたシェル層13とを有する。架 微粒子11に単量体混合物を配合して重合さ ることにより、前記単量体混合物は、前記 橋微粒子11の外周面、特にATRP開始基12の場所 (ATRP開始サイトともいう)にグラフトされ、径 方向に成長してシェル層13を形成する。この ラフト共重合体では、コア層が幹成分に相 し、シェル層13が枝成分に相当する。
架橋微粒子の製造方法を具体的に説明す 。まず、有機系単分散シード粒子を水性媒 に分散して粒子分散液を調製する。その粒 分散液に、複数個のビニル基を有する架橋 単量体15~99質量%及びATRP開始基を含む単量体 1~85質量%を含有する単量体混合物を吸収(含浸 )させ、該単量体混合物を重合開始剤により 合させる方法である。この場合、単量体混 物として、上記の架橋性単量体及びATRP開始 を含む単量体のほかに、必要に応じてその の単量体を配合することができる。
まず、有機系単分散シード粒子(以下、単 にシード粒子ともいう)について説明する。 のシード粒子は、コア-シェル微粒子のコア を形成するための基体としての機能を有す 。シード粒子としては、粒度分布幅の狭い 機系重合体粒子が用いられる。シード粒子 平均粒子径は、得ようとする架橋微粒子の 均粒子径に応じて適宜選択されるが、動的 散乱法により測定される平均粒子径が通常1 0~800nmであり、好ましくは30~700nmである。シー ド粒子の粒度分布はCV値〔(粒子径標準偏差/ 均粒子径)x100〕で表され、そのCV値は20%以下 あることが好ましく、15%以下であることが り好ましい。CV値を20%以下に設定すること 、シード粒子の粒度分布を狭くシャープに ることができる。ここで、単分散粒子とは 粒度分布が狭い粒子を意味し、具体的には 記数値範囲で示される小さいCV値を有する粒 子を意味する。
シード粒子を形成するための単量体とし は、スチレン、ブタジエン、(メタ)アクリ 酸エステル等が挙げられる。シード粒子を 成する重合体としては、スチレン系重合体 スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-( タ)アクリル酸エステル共重合体等のスチレ 系共重合体、メタクリル酸メチル重合体等 (メタ)アクリル酸エステル重合体及び共重 体等が挙げられる。前記重合体は、単量体 十分に吸収する重合体が好ましく、適宜選 することができる。また、係る重合体は非 橋粒子、又はジビニルベンゼン等のビニル を複数個含有する架橋性単量体を10質量%以 、さらに好ましくは2質量%以下配合して重合 された微架橋粒子であることが好ましい。架 橋性単量体が10質量%より多い場合、単量体混 合物を吸収しにくい。
シード粒子を製造するための重合方法と ては、ソープフリー乳化重合法、分散重合 、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合 法が適用可能であり、特に限定されない。 れらの中でも粒子表面が清浄(クリーン)で ること、さらに粒度分布が狭い単分散性を すことから、ソープフリー乳化重合法を採 することが好ましい。ソープフリー乳化重 法によりシード粒子を製造するために用い れる分散媒は、油溶性である単量体やシー 粒子が分散媒に溶解しないようにするため 水性媒体が用いられる。水性媒体としては 通常、水が用いられるが、水と少量の低級 ルコールを配合した混合液を使用してもよ 。シード粒子の粒子径は、重合温度、単量 の濃度、重合開始剤量、反応性乳化剤量等 変えることにより調整することができる。 えば、反応性乳化剤としてp-スチレンスルホ ン酸ナトリウムを用い、その含有量を増加さ せることによってシード粒子の粒子径を小さ くすることができる。
次に、ATRP開始基を含む単分散架橋微粒子 (以下、単に架橋微粒子ともいう)の製造方法 ついて説明する。この架橋微粒子の製造方 では、水性媒体に分散させたシード粒子に 数個のビニル基を有する架橋性単量体及びA TRP開始基を含む単量体を含有する単量体混合 物を吸収させ、該単量体混合物を重合開始剤 により重合させて実施される。この場合、単 量体混合物として、上記の架橋性単量体及び ATRP開始基を含む単量体のほかに、必要に応 てその他の単量体を配合することができる
前記単量体混合物には、複数個のビニル を有する架橋性単量体が15~99質量%、好まし は50~97%、より好ましくは70~95質量%含まれる この架橋性単量体の含有量が15質量%より少 い場合、架橋微粒子の架橋密度が低くなり 機械的強度が不足する。さらに、コア-シェ ル微粒子の製造において、シェル層を形成す る単量体によりコア層が膨潤してしまい、コ ア層内部でも重合が行われることから、粒子 径が目標とする粒子径よりも過大になってし まう。しかも、シェル層を形成する単量体が コア層内部にも浸入することから、コア-シ ル微粒子が機能性複合微粒子としてその働 を発揮することができなくなる。その一方 架橋性単量体の含有量が99質量%より多い場 、相対的にATRP開始基を含む単量体の含有量 少なくなり、グラフト化効率が悪化し、所 とするシェル層が形成されなくなる。
複数個のビニル基を有する架橋性単量体 しては、ビニル基を2~6個含む多官能性単量 が好ましい。例えばジビニルベンゼン、ジ ニルナフタレン、エチレングリコールジ(メ タ)アクリレート、テトラエチレングリコー ジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオー ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ パントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジ ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー ト等の多官能性単量体が挙げられる。これら の架橋性単量体は単独又は2種以上が適宜組 せて使用される。
また、前記単量体混合物には、ATRP開始基 を含む単量体が1~85質量%、好ましくは3~50質量 %、より好ましくは5~30質量%含まれる。係る単 量体の含有量が1質量%より少ない場合、コア- シェル微粒子の製造において、グラフト化密 度が小さくなり過ぎ、機能性複合微粒子とし ての効果を発揮することができなくなる。一 方、単量体の含有量が85質量%を超える場合、 相対的に架橋性単量体の含有量が減少して架 橋微粒子の架橋密度が低下する。
ATRP開始基を含む単量体としては、公知の 化合物を使用することができるが、下記一般 式(1)で表される化合物が好ましい。
但し、Xは原子移動ラジカル重合開始基であ
る。
さらには、Xが、下記の一般式(2)~(4)のいず
かで表されることが好ましい。
但し、式中R 1 は炭素数1~4のアルキレン基又はなくてもよい 。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~8 のアルキル基、炭素数6~8のアリール基、炭素 数6~8のアルキルアリール基であり、Yはハロ ン原子を表す。
ATRP開始基を含む単量体は、常法に従って 容易に得ることができる。ATRP開始基を含む 量体として具体的には、2-ブロモイソ酪酸4- ニルフェニルエステル、1-(1-ブロモエチル)- 4-ビニルベンゼン、4-ビニルベンゼンスルホ 酸クロライド等が挙げられる。これらのATRP 始基を含む単量体は単独で、又は2種以上を 適宜選択して用いることもできる。
単量体混合物の含有量は、シード粒子100 量部に対して50~2000質量部であることが好ま しい。この含有量が50質量部より少ない場合 架橋成分が少なくなるため架橋微粒子の機 的強度が不足すると共に、ATRP開始基の含有 量も少なくなってしまう。その一方、この含 有量が2000質量部より多い場合、架橋微粒子 粒度分布が広くなり、また凝集物の生成量 多くなる。
前記その他の単量体は、架橋微粒子の機 的物性などの物性を実質的に損なわずに、 能性を付与すべく単量体混合物に配合する とができる。その他の単量体としては、例 ばスチレン、p-メチルスチレン、α-メチル チレン、2-ビニルナフタレン、p-メトキシス レン、エチルビニルベンゼン等のスチレン 単量体;(メタ)アクリル酸エステル系単量体 しては、メチル(メタ)アクリレート、エチ (メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ ト、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、 シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒド キシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル (メタ)アクリレート、エトキシジエチレング コール(メタ)アクリレート、メトキシトリ チレングリコール(メタ)アクリレート、メト キシプロピレングリコール(メタ)アクリレー 等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;(メ タ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和カル ン酸単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコ 酸等の不飽和ジカルボン酸単量体;無水マレ イン酸、無水イタコン酸等の酸無水物単量体 ;フマル酸ジメチル、フマル酸ジシクロヘキ ル等のフマル酸エステル系単量体;(メタ)ア リル酸2-イソシアネートエチル、m-イソプロ ニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート 等のイソシアネート基含有単量体;N,N-ジメチ アミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチ アミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素 有アルキル(メタ)アクリレート;アクリルア ド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-イ ソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有 単量体、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジ 等の芳香族含窒素単量体;ブタジエン、イソ レン、クロロプレン等の共役ジエン単量体; 酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体;ビ ルピロリドン、ビニルカルバゾール、アク ロニトリル等が挙げられる。さらにその他 単量体として、水溶性単量体、イオン性単 体、官能基を有する単量体等の機能性単量 を必要に応じ用いることも可能である。こ らの中でも、スチレン系単量体又は(メタ)ア クリル酸エステル系単量体を使用することが 好ましい。また、目的に応じて単独又は2種 上の単量体を組み合わせて使用することが きる。
その他の単量体の含有量は、前記架橋性 量体及びATRP開始基を含む単量体の合計量100 質量部当たり好ましくは500質量部以下、より 好ましくは5~300質量部、特に好ましくは10~200 量部である。この場合、架橋性単量体、ATRP 開始基を含む単量体及びその他の単量体の合 計量中に、架橋性単量体の含有量が15質量%以 上、ATRP開始基を含む単量体の含有量が1質量% 以上であることが好ましい。その他の単量体 の含有量が500質量部を超える場合には、相対 的に架橋性単量体又はATRP開始基を含む単量 の含有量が少なくなり、架橋微粒子の架橋 度が低下したり、リビングラジカル重合の 始が遅れる。
架橋微粒子を得るための単量体混合物の 合は、前記シード粒子に単量体混合物を吸 させ、重合開始剤の存在下で行われる。こ 重合は、通常、水性媒体にシード粒子、単 体混合物及び重合開始剤を配合して実施さ る。まず、シード粒子の懸濁液に単量体混 物を添加して吸収させる。或いは、単量体 合物を予め水性媒体に分散させ、そこへシ ド粒子の懸濁液を添加する手順で吸収させ もよい。添加方式は、一括添加、分割添加 び連続添加のいずれの添加方式でもよく、 に制限されない。
単量体混合物を重合する際に使用する重合
始剤としては、公知のラジカル重合開始剤
すなわち公知の油溶性重合開始剤又は公知
水溶性重合開始剤を使用することができる
油溶性重合開始剤としては、例えばベンゾ
ルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド
t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート
、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート
、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサ
等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチ
ニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレ
ニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。水
性重合開始剤としては、例えば過硫酸カリ
ム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、4,4
-アゾビス-4-シアノ吉草酸、2,2’
-アゾビス-2-アミノジノプロパン塩酸塩等が
げられる。
油溶性重合開始剤を使用する場合には、 溶性重合開始剤を単量体混合物に溶解させ 水溶性重合性開始剤を使用する場合には水 性重合性開始剤を水性媒体に溶解させて使 することができる。これら重合開始剤の含 量は、単量体混合物の種類、重合温度等に り適宜設定されるが、単量体混合物100質量 に対して、通常0.01~10質量部、好ましくは0.1 ~5質量部である。
さらに、必要に応じて乳化剤又は分散安 剤を配合することができる。乳化剤として 、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム のアルキルベンゼンスルホン酸塩、テトラ シル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、 ウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ポリエ レングリコールノニルフェニルエーテル等 ポリエチレングリコールアルキルエーテル が挙げられる。これらの乳化剤は単独で使 してもよいし、2種類以上を併用してもよい 。分散安定剤としては、ポリビニルピロリド ン、ポリビニルアルコール、部分鹸化された ポリビニルアルコール、メチルセルロース、 ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体及 びこれらの中和物並びにポリメタクリル酸、 ポリメタクリル酸共重合体及びこれらの中和 物等が挙げられる。これらの分散安定剤は単 独で使用してもよいし、2種類以上を併用し もよい。
単量体混合物の重合条件は、単量体の種 等に応じて適宜選択できるが、一般的には 拌下に、重合温度30~90℃で、重合時間3~48時 の条件で行うことが好ましい。重合後の微 子は遠心分離又は塩析後に濾過し、水層を 去し、水及び有機溶剤で洗浄し、乾燥して 精製及び単離を行うことができる。
このようにして得られる架橋微粒子は、 的光散乱法により良溶媒中で測定される平 粒子径が好ましくは50~900nm、さらに好まし は80~800nmである。平均粒子径をこのような範 囲に設定することで、架橋微粒子をサブミク ロン(0.1μmオーダー)サイズに設定することが きる。平均粒子径が50nm未満の場合には、架 橋微粒子の製造が困難になる。一方、平均粒 子径が900nmを超える場合には、架橋微粒子が クロン(1μmオーダー)サイズになり、光の散 や干渉などの光学特性を十分に発揮するこ ができなくなる。
また、この架橋微粒子のCV値は、好まし は20%以下、さらに好ましくは15%以下である CV値の下限は、究極的に粒子径が揃った単分 散な場合に0となる。架橋微粒子のCV値を20%以 下に設定することで、架橋微粒子の粒度分布 を狭くすることができ、コア-シェル微粒子 特性を向上させることができる。CV値が20%を 超える場合には、架橋微粒子の粒度分布が広 くなり、コア-シェル微粒子の特性発現が弱 なったり、不安定になる。さらに、架橋微 子は、高密度な架橋構造が形成されている め、非常に良好な耐溶剤性を示す。従って 架橋微粒子は、スチレン、メタクリル酸メ ル等の単量体、及びトルエン、テトラヒド フラン、アセトン、ジクロロメタン等の有 溶剤に対して、溶解又は変形をしない。し も、架橋微粒子は有機溶剤に対する膨潤も わずかである。このため、コア層の機能と ェル層の両方の本来の機能を同時にまたは 乗的に発揮することができる。
次に、コア-シェル微粒子の製造方法につ いて説明する。その方法は、前記架橋微粒子 の外周面に存在するATRP開始基により、単量 をグラフト重合するものである。このグラ ト重合によってコア層の外周にシェル層が 成された、コア-シェル構造を有するグラフ 共重合体粒子すなわちコア-シェル微粒子が 得られる。ATRPによるグラフト重合を採用し いるため、単量体の種類についての制限が なく、優れた単分散性すなわち分子量分布 囲の狭いコア-シェル微粒子を得ることがで る。
コア-シェル微粒子の製造に用いられる単 量体としては、前述した架橋微粒子を製造す る際に用いられるその他の単量体の中から、 コア-シェル微粒子に要求される物性に応じ 適宜選択することができる。但し、コア-シ ル微粒子を機能性複合微粒子として機能さ るためには、コア層とシェル層とで異なる 量体を選択することが好ましい。この単量 の含有量は、所望するシェル層の分子量に り適宜設定されるが、通常は架橋微粒子100 量部に対して好ましくは10~10000質量部、よ 好ましくは100~2000質量部である。
また、グラフト重合の際には、グラフト重
を促進させるために触媒として遷移金属錯
を添加して行われる。遷移金属錯体は、下
の一般式で表すことができる。
MZ(D)
式中、Mは遷移金属であり、Zはハロゲン原
、(D)はリガンドを表す。
Mは遷移金属であれば特に限定されないが 、銅原子が好ましい。Zは、フッ素原子、塩 原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲ 原子であり、好ましくは臭素原子である。 ガンドは、遷移金属と配位結合が可能であ ば特に制限はないが、次のような多座配位 が好ましい。例えば2、2’-ビピリジル、2,2 -ビ-4-ヘプチルピリジル、2-(N-ペンチルイミ メチル)ピリジン、スパルテイン、トリス(2- メチルアミノエチル)アミン、1,1,4,7,7-ペン メチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘ キサメチルトリエチレンテトラミン等である 。リガンドは単独で使用しても良いし、2種 以上を併用しても良い。
遷移金属は、ATRP開始基に対して、モル比 で0.01~10になるように添加される。さらに好 しいモル比は0.1~2である。モル比が0.01未満 場合、グラフト重合の重合速度が遅くなる その一方、モル比が10を超える場合、触媒に よる着色が顕著になり、生成物の精製が困難 になる。
コア層の外周面から均一にグラフト鎖が びるように重合を行うため、またコア層を 成する架橋微粒子の凝集を抑制するために 必要に応じて非ビニル型のATRP開始剤を添加 してもよい。この場合、ATRP開始基を含む架 微粒子を過剰量に配合する必要がなく、グ フト重合を均質に行うことができる。その うなATRP開始剤としては、1-ブロモ-フェニル タン、2-ブロモイソ酪酸フェニル、p-トルエ ンスルホン酸クロライド等が挙げられる。
重合方法としては、塊状重合法、懸濁重合
、溶液重合法、乳化重合法等公知の方法が
用され、単量体の種類、重合温度、所望さ
る分子量等によって適宜選択される。例え
溶液重合法を採用した場合、シェル層を形
する単量体及びその重合体を溶解する溶剤
選択される。そのような溶剤としては、例
ばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
溶剤、メチルエチルケトン、イソブチルケ
ン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル等のエス
ル系溶剤、メタノール、ブチルアルコール
のアルコール系溶剤、エチレングリコール
エチレングリコールモノメチルエーテル、
チレングリコールモノメチルエーテルアセ
ート等のエチレングリコール系溶剤、ジエ
レングリコール、ジエチレングリコールジ
チルエーテル等のジエチレングリコール系
剤、プロピレングリコール、プロピレング
コールメチルエーテルアセテート等のプロ
レングリコール系溶剤、N,N-ジメチルホルム
アミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキ
シド等の窒素、硫黄含
有有機化合物類等が挙げられる。これらの溶
剤は単独で、又は混合物として用いられる。
コア-シェル微粒子を製造するための重合 における重合温度は20~120℃が好ましく、40~90 がさらに好ましい。重合温度が20℃未満の 合には、重合速度が遅くなり、その結果と て重合時間が長くなる。その一方、重合温 が120℃よりも高い場合には、重合速度の制 が困難になるうえ、架橋微粒子の外周面か の重合が均一でなくなり、その結果グラフ 化密度が低くなる。重合後に遠心分離を行 ことによって微粒子が取り出され、必要に じてそれを有機溶剤で洗浄し、乾燥するこ によってコア-シェル微粒子が製造される。 のような製造方法で得られたコア-シェル微 粒子は球状又はそれに近い形状をなし、その 粒子径がサブミクロンサイズであり、その大 きさが均一である。
上記のようにして製造されるコア-シェル 微粒子は、動的光散乱法により良溶媒中で測 定される平均粒子径が好ましくは100~950nmであ る。平均粒子径がこのような範囲であること により、コア-シェル微粒子はサブミクロン(0 .1μmオーダー)サイズを維持することができる 。平均粒子径が100nm未満の場合には、前述の うに架橋微粒子の製造条件が厳しくなり、 ア-シェル微粒子が得られ難い。その一方、 平均粒子径が950nmを超える場合には、コア-シ ェル微粒子がミクロン(1μmオーダー)サイズに なると共に、単分散な微粒子にはならず、所 望とする光学特性を発揮することができなく なる。
また、コア-シェル微粒子のCV値は、好ま くは20%以下、さらに好ましくは15%以下であ 。CV値の下限は、究極的に粒子径が揃った 分散な場合には0となる。このCV値を20%以下 することにより、コア-シェル微粒子の粒度 布を狭く、シャープにすることができ、コ -シェル微粒子の特性を向上させることがで きる。CV値が20%を超える場合、コア-シェル微 粒子の粒度分布が広がり、その特性が低下す る。
以上の実施形態によって発揮される作用及
効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のコア-シェル微粒子の製造
法では、最初にシード粒子が、水性媒体中
単量体を重合することにより得られ、サブ
クロンサイズの大きさで、単分散に形成さ
る。続いて、そのシード粒子に単量体混合
を吸収させ、その単量体混合物を重合開始
により重合させることによって架橋微粒子
製造される。このとき、架橋性単量体の含
量が単量体混合物中に15質量%以上含まれ、
橋微粒子の架橋密度が高くなるため、グラ
ト重合において架橋微粒子中への単量体の
入が抑えられ、架橋微粒子はサブミクロン
イズを維持することができる。
最後にコア-シェル微粒子は、架橋微粒子 に単量体を配合してグラフト重合を行うこと により製造される。このとき、架橋微粒子の 外周面にはATRP開始基が存在し、そのATRP開始 に基づいてグラフト重合が開始され、グラ ト重合が速やかに進行し、架橋微粒子の外 にシェル層が形成される。この場合、架橋 粒子は架橋密度が高く、緻密に形成されて るため、単量体が浸入され難く、その大き を保持したまま、外周に単量体のグラフト 合によるシェル層が形成される。
従って、シード粒子を予めサブミクロン イズの大きさに設定しておくことにより、 のサイズを維持しながら架橋微粒子が形成 れる。その結果、シェル層の形成に際して ア-シェル微粒子がサブミクロンサイズの大 きさに形成されると共に、架橋微粒子が膨潤 することなくコア層とシェル層の両方の本来 の機能を同時にまたは相乗的に発揮でき、機 能性複合微粒子としての機能を十分に発揮す ることができる。よって、コア-シェル微粒 を光学用途などに好適に使用することがで る。
・ また、架橋微粒子の製造方法では、 ード粒子に架橋性単量体15~99質量%及びATRP開 基を含む単量体1~85質量%を含有する単量体 合物を吸収させ、該単量体混合物を重合開 剤により重合させて行われる。この場合、 ブミクロンサイズで粒子径の揃ったシード 子を予め調製すると共に、架橋性単量体を 量して重合を行うことにより、架橋微粒子 粒子径、その分布及び架橋密度を容易に設 することができる。従って、ATRP開始基を含 、かつ粒子径の揃った高架橋密度を有する ブミクロンサイズの架橋微粒子を簡便な方 により得ることができる。
・ 架橋微粒子の製造方法において、ATRP 始基を含む単量体が、前記一般式(1)で表さ る単量体であることにより、その性質に基 いてATRP開始基を微粒子に効率よく導入する ことができる。
・ さらに、架橋微粒子の製造方法にお て、ATRP開始基を含む単量体が、前記一般式( 2)~(4)で表される単量体であることにより、シ ェル層の形成を一層効率良く行うことができ る。
・ 加えて、架橋微粒子の製造方法にお て、ATRP開始基を含む架橋微粒子は、動的光 乱法により測定される平均粒子径が50~900nm あり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準 差の百分率を表すCV値が20%以下である。従っ て、実施形態の架橋微粒子はサブミクロンサ イズであり、狭い粒度分布を有する(単分散 橋微粒子)もの。
[実施例]
以下、前記実施形態の実施例を説明する。
施例の説明は本発明の範囲を限定を意図し
いない。
まず、平均粒子径、CV値、重合転化率及び
率の測定を説明する。
(1)平均粒子径(nm)及びCV値(%)
微粒子を水又はテトラヒドロフラン(THF)に
散させ、光散乱光度計ELS-8000(大塚電子(株)製
)にて、動的光散乱法により測定した。
(2)重合転化率(%)
ガスクロマトグラフィー又は液体クロマト
ラフィーにて、重合後に残存する単量体を
量して算出した。
(3)収率(%)
次式に基づいて収率を算出した。
収率(%)=〔回収された重合体量(g)/使用した
量体量(g)〕×100
(実施例1)
<有機系単分散シード粒子(A1)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を
着した容量500mLの四つ口フラスコに、スチ
ン(St)10.8g、55質量%ジビニルベンゼン(DVB55と
記する。純度55質量%、エチルビニルベンゼ
42質量%含有)0.108g、p-スチレンスルホン酸ナ
リウム(NaSSと略記する)0.0216g、及びイオン交
水350gを入れ、窒素気流下で攪拌混合し、75
まで加温して、反応液を用意した。次いで
過硫酸カリウム(KPSと略記する)0.0108gを上記
応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行い
室温まで冷却した。このようにして、有機
単分散シード粒子(A1)の水分散液を得た。得
られたシード粒子の平均粒子径は210nm及びCV
は9%であった。
<ATRP開始基を含む単分散架橋微粒子(B1)の製
造>
上記の有機系単分散シード粒子(A1)の水分散
液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム(DBS)0.325gを加え、室温、窒素気流下で攪拌
合した。これに、DVB55の9.74gに2-ブロモイソ
酸4-ビニルフェニルエステル(下記の化学式(
5)に示す化合物D1)1.08g及び2,2’-アゾビスイソ
チロニトリル(AIBN)0.108gを溶解させた単量体
合物を徐々に加え、室温で1時間攪拌混合し
た。これにより、単量体混合物は有機系単分
散シード粒子に吸収された。
続いて、得られた液体を75℃まで加温し 75℃で14時間重合反応を行い、室温まで冷却 た。全ての重合性単量体において、重合転 率は95%以上であった。ナイロンメッシュで 集物を濾別して、微粒子分散液を得た。微 子分散液を塩析し、濾別し、水及びメタノ ルで洗浄し、減圧乾燥して、ATRP開始基を含 む単分散架橋微粒子(B1)を得た。この単分散 橋微粒子(B1)の収率は、架橋微粒子の製造に 用した全ての単量体に対して90%、平均粒子 は260nm及びCV値は11%であった。
(実施例2)
<有機系単分散シード粒子(A2)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を
着した容量500mLの四つ口フラスコに、Stを25.
0g、DVB55を0.125g及びイオン交換水を332g入れ、
素気流下で攪拌混合し、65℃まで加温して
反応液を用意した。次いで、上記反応液にKP
Sを0.175g添加し、65℃で15時間重合反応を行い
室温まで冷却した。このようにして、有機
単分散シード粒子(A2)の水分散液を得た。得
られたシード粒子(A2)の平均粒子径は403nm及び
CV値は10%であった。
<ATRP開始基含有単分散架橋微粒子(B2)の製造
>
上記の有機系単分散シード粒子(A2)の水分散
液に、DBSを0.750g加え、室温、窒素気流下で攪
拌混合した。これに、23.75gのDVB55に1-(1-ブロ
エチル)-4-ビニルベンゼン(下記の化学式(6)に
示す化合物D2)1.25g及びAIBN0.250gを溶解させた単
量体混合物を徐々に加え、室温で2時間攪拌
合した。これにより、単量体混合物は有機
単分散シード粒子(A2)に吸収された。続いて
得られた液体を75℃まで加温し、75℃で15時
重合反応を行い、室温まで冷却した。全て
重合性単量体において、重合転化率は95%以
であった。ナイロンメッシュで凝集物を濾
して、微粒子分散液を得た。微粒子分散液
塩析し、濾別し、水及びメタノールで洗浄
、減圧乾燥して、ATRP開始基を含む単分散架
橋微粒子(B2)を得た。単分散架橋微粒子(B2)の
率は架橋微粒子の製造に使用した全ての単
体に対して87%、平均粒子径は403nm及びCV値は
10%であった。
(実施例3)
<有機系単分散シード粒子(A3)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を
着した容量500mLの四つ口フラスコに、Stを10.
8g、DVB55を0.108g、NaSSを0.108g及びイオン交換水
350g入れ、窒素気流下で攪拌混合し、75℃ま
加温して反応液を調製した。次いで、上記
応液にKPSを0.108g添加し、75℃で7時間重合反
を行い、室温まで冷却して、有機系単分散
ード粒子(A3)の水分散液を得た。得られたシ
ード粒子(A3)の平均粒子径は128nm及びCV値は8%
あった。
<ATRP開始基含有単分散架橋微粒子(B3)の製造
>
上記の有機系単分散シード粒子(A3)の水分散
液に、DBSを0.325g加え、室温、窒素気流下で攪
拌混合した。これに、ジビニルベンゼン(DVB
純度99%)7.69gに化合物D2を3.14g及びAIBNを0.108g溶
解させた単量体混合物を徐々に加え、室温で
1時間攪拌混合した。これにより、単量体混
物は有機系単分散シード粒子に吸収された
そのシード粒子を75℃まで加温し、75℃で14
間重合反応を行い、室温まで冷却した。全
の重合性単量体において、重合転化率は95%
上であった。ナイロンメッシュで凝集物を
別して、微粒子分散液を得た。微粒子分散
を塩析し、濾別し、水及びメタノールで洗
し、減圧乾燥して、ATRP開始基を含む単分散
橋微粒子(B3)を得た。この単分散架橋微粒子
(B3)の収率は架橋微粒子の製造に使用した全
の単量体に対して92%、平均粒子径は168nm及び
CV値は8%であった。
(実施例4)
<有機系単分散シード粒子(A4)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を
着した容量500mLの四つ口フラスコに、Stを25.
0g、DVB55を0.0250g及びイオン交換水を332g入れ、
窒素気流下で攪拌混合し、65℃まで加温した
次いで、過硫酸カリウム0.175gを上記反応液
添加し、65℃で15時間重合反応を行い、室温
まで冷却して、有機系単分散シード粒子(A2)
水分散液を得た。得られたシード粒子(A2)の
均粒子径は610nm及びCV値は10%であった。
<ATRP開始基含有単分散架橋微粒子(B4)の製造
>
上記の有機系単分散シード粒子(A2)の水分散
液に、DBSを0.750g加え、室温、窒素気流下で攪
拌混合した。それに、DVBの17.75gに化合物D1を7
.25g、Stを25.0g及びAIBNを0.250g溶解させた単量体
混合物を徐々に加え、室温で2時間攪拌混合
た。これにより、単量体混合物は有機系単
散シード粒子(A2)に吸収された。75℃まで加
し、75℃で15時間重合反応を行い、室温まで
却した。全ての重合性単量体について、重
転化率は95%以上であった。その後、ナイロ
メッシュで凝集物を濾別して、微粒子分散
を得た。微粒子分散液を塩析し、濾別し、
及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥して、A
TRP開始基を含む単分散架橋微粒子(B4)を得た
この単分散架橋微粒子(B4)の収率は架橋微粒
の製造に使用した全ての単量体に対して89%
平均粒子径は805nm及びCV値は11%であった。
(比較例1)
<ATRP開始基を含む単分散架橋微粒子(B5)の製
造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を
着した容量500mLの四つ口フラスコに、DVB55を
16.15g、化合物D1を0.850g、AIBNを0.340g及びアセト
ニトリルを350g入れ、窒素気流下で攪拌混合
、75℃まで加温し、75℃で15時間重合反応を
い、室温まで冷却した。全ての重合性単量
について、重合転化率は95%以上であった。
イロンメッシュで凝集物を濾別して、微粒
分散液を得た。得られた微粒子を濾別し、
タノールで洗浄し、減圧乾燥して、ATRP開始
を含む単分散架橋微粒子(B5)を得た。この単
分散架橋微粒子(B5)の収率は、架橋微粒子の
造に使用した全ての単量体に対して75%、平
粒子径は3300nm及びCV値は12%であった。
以上の実施例1~4及び比較例1の結果を表1 まとめて示した。表1における含有量は、シ ド粒子の製造ではスチレンを100質量部、架 微粒子の製造では架橋性単量体及びATRP開始 基を含む単量体の合計量を100質量部とし、そ れを基準として他の成分の量を表した。
表1に示した実施例1~4の結果より、粒子が サブミクロンサイズ(168~805nm)でCV値が8~11%とい う粒子径の揃ったATRP開始基を含む単分散架 微粒子B1~B4が得られることが明らかとなった 。一方、シード粒子を用いることなく沈殿重 合により製造した比較例1では、得られた微 子の平均粒子径はマイクロメートル(μm)サイ ズ(3.3μm)であった。
(実施例5)
<コア-シェル微粒子(C1)の製造>
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)4.76g、t-ブチル
アクリレート(t-
BA)9.53g、2-ブロモイソ酪酸フェニル(下記の化
式(7)に示す化合物E1)0.0452g、1,1,4,7,10,10-ヘキ
メチルトリエチレンテトラミン(HMTA)0.0599gを
混合し、溶解させた。これに、実施例1で得
れた微粒子(B1)1.00gと臭化銅0.0373gを加え、窒
雰囲気下においてホモジナイザーで30分混
して分散させた。得られた分散液を内容量20
mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換した
えで封管し、密閉アンプル中で、90℃で15時
間重合を行った。その結果、重合転化率は59.
2%であった。内容物にTHFを15mL加え、遠心分離
器により微粒子を分離した。得られた微粒子
をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥してコア-シ
ル微粒子(C1)を得た。得られたコア-シェル
粒子(C1)の平均粒子径は344nm及びCV値は13%であ
った。
(実施例6)<コア-シェル微粒子(C2)の製造&g
t;
DMFを4.66g、メトキシトリエチレングリコー
アクリレート(MTGA)を9.33g、1-ブロモ-フェニル
エタン(下記の化学式(8)に示す化合物E2)を0.034
4g、HMTAを0.0599g混合して溶解させた。これに
実施例2で得られた微粒子(B2)1.00gと臭化銅0.03
73gを加え、窒素雰囲気下においてホモジナイ
ザーで30分混合して分散させた。得られた分
液を内容量20mLのガラスアンプルに注入し、
窒素置換したうえで封管し、密閉アンプル中
で、70℃で15時間重合を行った。その結果、
合転化率は61.5%であった。内容物にTHF(15mL)を
加え、遠心分離器により微粒子を分離した。
得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧
燥してコア-シェル微粒子(C2)を得た。得られ
たコア-シェル微粒子(C2)の平均粒子径は585nm
びCV値は14%であった。
(実施例7)
<コア-シェル微粒子(C3)の製造>
シクロヘキサノンを4.62g、シクロヘキシル
クリレートを9.24g、化合物E2を0.0481g、HMTAを0.
0599g混合して溶解させた。これに、実施例3で
得られた微粒子(B3)1.00gと臭化銅0.0373gを加え
窒素雰囲気下においてホモジナイザーで30分
混合して分散させた。得られた分散液を内容
量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換
たうえで封管し、密閉アンプル中で、70℃で
15時間重合を行った。その結果、重合転化率
68.4%であった。内容物にTHFを15mL加え、遠心
離器により微粒子を分離した。得られた微
子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥してコア
-シェル微粒子(C3)を得た。得られたコア-シェ
ル微粒子(C3)の平均粒子径は274nm及びCV値は12%
あった。
(実施例8)
<コア-シェル微粒子(C4)の製造>
DMFを4.81g、t-BAを8.57g、グリシジルメタクリ
ート(GMA)を1.06g、化合物E1を0.0452g、HMTAを0.0428
g加えて溶解させた。これに、実施例4で得ら
た微粒子(B4)1.00gと臭化銅0.0267gを加え、窒素
雰囲気下においてホモジナイザーで30分混合
て分散させた。得られた分散液を内容量20mL
のガラスアンプルに注入し、窒素置換したう
えで封管し、密閉アンプル中で、70℃で15時
重合を行った。その結果、重合転化率はt-BA
46.0%、GMAが80.4%であった。内容物にTHFを15mL
え、遠心分離器により微粒子を分離した。
られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾
して、コア-シェル微粒子(C4)を得た。得ら
たコア-シェル微粒子(C4)の平均粒子径は880nm
びCV値は13%であった。
(比較例2)
<コア-シェル微粒子(C5)の製造>
DMFを4.76g、t-BAを9.53g、化合物E1を0.0452g、HMTA
0.0599g混合して溶解させた。これに、比較例
1で得られた微粒子(B5)1.00gと臭化銅0.0373gを加
、窒素雰囲気下においてホモジナイザーで3
0分混合して分散させた。得られた分散液を
容量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置
したうえで封管し、密閉アンプル中で、90
で15時間重合を行った。その結果、重合転化
率は57.3%であった。内容物にTHFを15mL加え、遠
心分離器により微粒子を分離した。得られた
微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥して
ア-シェル微粒子(C5)を得た。得られたコア-
ェル微粒子(C5)の平均粒子径は3370nm及びCV値
14%であった。
実施例5~8に示した結果から、粒度分布の い単分散なサブミクロンサイズのコア-シェ ル微粒子が得られることが明らかとなった。 一方、比較例2では、コア微粒子がマイクロ ートルオーダーであり、サブミクロンサイ の微粒子は得られなかった。
なお、本実施形態は、次のように変更して
施することも可能である。
・ ATRP開始基を含む単量体を複数種類選択
て使用し、グラフト重合の開始能を調整す
こともできる。
・ 架橋性単量体として、ビニル基を2個 する2官能性単量体及びビニル基を3個以上 する多官能性単量体を複数種類組合せて使 し、架橋微粒子の架橋密度を調整すること できる。
・ コア-シェル微粒子の製造において、 合開始剤を配合し、重合速度を速くするこ もできる。
Next Patent: VEHICLE DOOR