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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING FLUORINE-CONTAINING POLYMER USING FLUORINE-CONTAINING CARBOXYLIC ACID COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/132959
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for efficiently producing a fluorine-containing polymer by an aqueous emulsion polymerization using a fluorine-containing carboxylic acid compound. Specifically disclosed is a method for producing a fluorine-containing polymer, wherein a fluorine-containing monomer is emulsion-polymerized in an aqueous medium containing a fluorine-containing carboxylic acid compound using a polymerization catalyst. This a method for producing a fluorine-containing polymer is characterized in that the pH of the aqueous medium during the polymerization is not more than 4.

Inventors:
MATSUOKA YASUHIKO (JP)
WATANABE KUNIO (JP)
KAMIYA HIROKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056699
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
MATSUOKA YASUHIKO (JP)
WATANABE KUNIO (JP)
KAMIYA HIROKI (JP)
International Classes:
C08F16/12; C08F2/26
Domestic Patent References:
WO2008032613A12008-03-20
WO2008001895A12008-01-03
Foreign References:
JP2002088103A2002-03-27
JP2008063567A2008-03-21
JP2007211233A2007-08-23
JP2006274237A2006-10-12
JP2005350580A2005-12-22
JP2004285264A2004-10-14
JP2002317003A2002-10-31
JPH11255995A1999-09-21
JPH1053682A1998-02-24
JPH0867795A1996-03-12
JP2002317003A2002-10-31
JP2006274237A2006-10-12
US4036802A1977-07-19
JP2007105807A2007-04-26
Other References:
See also references of EP 2138515A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square 17, Kanda-konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 含フッ素カルボン酸化合物を含有する水性媒体中で重合触媒を用いて含フッ素モノマーを乳化重合するにあたり、重合中の水性媒体のpHが4以下であることを特徴とする含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記含フッ素カルボン酸化合物の1分子中の炭素原子の数が6以下であり、かつエーテル性の酸素原子の数が3以下である請求項1に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記含フッ素カルボン酸化合物が、パーフルオロカルボン酸化合物である請求項2に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記含フッ素カルボン酸化合物が、C 5 F 11 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)である請求項2に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記C 5 F 11 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)が、C 5 F 11 COOHである請求項4に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記含フッ素カルボン酸化合物が、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)である請求項2に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)が、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOHである請求項6に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記重合中の水性媒体のpHが1以上である請求項1~7のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記含フッ素モノマーが、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、ポリフルオロアルキルエチレン、パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)、パーフルオロ(4-アルコキシ-1,3-ジオキソール)およびCF 2 =CFO(CF 2 ) n CF=CF 2 (式中、nは1または2である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1~8のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 前記含フッ素モノマーが、テトラフルオロエチレンである請求項1~8のいずれかに記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
Description:
含フッ素カルボン酸化合物を用 た含フッ素ポリマーの製造方法

 本発明は、含フッ素カルボン酸化合物を 有する水性媒体中で重合触媒を用いて含フ 素モノマーを水性乳化重合して得られる含 ッ素ポリマーの製造方法に関するものであ 。

 非溶融成形性含フッ素ポリマーであるポリ トラフルオロエチレン(以下、PTFEという。) 溶融成形性含フッ素ポリマー、フルオロエ ストマー等の含フッ素ポリマーの製造に用 られる含フッ素モノマーの水性乳化重合で 、水性媒体中で乳化剤として連鎖移動によ て重合反応を妨げることのないように含フ 素乳化剤のパーフルオロオクタン酸アンモ ウムが一般的に用いられている。
 この水性乳化重合により得られる水性乳化 は、凝集、乾燥することにより粉末等の固 形状に加工されたのち、各種成形物の原料 供される。

 含フッ素モノマーの水性乳化重合に一般的 用いられるパーフルオロオクタン酸アンモ ウムは、環境および衛生面で蓄積性等の影 を及ぼすことが懸念されており、その代替 質として多くの含フッ素化合物が提案され いる(特許文献1および2参照)。
 しかし、これらの文献は重合体の単位時間 たりの収量の向上を図ることを目的とした のではなかった。

特開2002-317003号公報

特開2006-274237号公報

 本発明は、含フッ素カルボン酸化合物を 有する水性媒体中で重合触媒を用いて含フ 素モノマーを水性乳化重合することにより フッ素ポリマーを製造するにあたり、その 産効率を向上させる方法を提供することを 的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するために 意検討を重ねた結果、含フッ素カルボン酸 合物を用いて含フッ素モノマーを水性乳化 合するにあたり、重合中の水性媒体の条件 調整することにより、上記課題を解決でき ことを見出し、この知見に基づいて、本発 を完成するに至った。
すなわち、本発明は、含フッ素カルボン酸化 合物を含有する水性媒体中で重合触媒を用い て含フッ素モノマーを乳化重合するにあたり 、重合中の水性媒体のpHが4以下であることを 特徴とする含フッ素ポリマーの製造方法を提 供する。

 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、含フッ素カルボン酸化合 の1分子中の炭素原子の数が6以下およびエ テル性の酸素原子の数が3以下である含フッ ポリマーの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの製 造方法において、含フッ素カルボン酸化合物 がパーフルオロカルボン酸化合物である含フ ッ素ポリマーの製造方法を提供する。

 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、含フッ素カルボン酸化合 が、C 5 F 11 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)である含フッ素ポリマーの製造方 を提供する。

 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、C 5 F 11 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)が、C 5 F 11 COOHである含フッ素ポリマーの製造方法を提 する。

 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、含フッ素カルボン酸化合 が、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)である含フッ素ポリマーの製造方 を提供する。

 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)が、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOHである含フッ素ポリマーの製造方法を提 する。
 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、前記重合中の水性媒体のp Hが1以上であるの含フッ素ポリマーの製造方 を提供する。
 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、テトラフルオロエチレン( TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロ プロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニ ルエーテル)(PFAVE)、クロロトリフルオロエチ ン(CTFE)、ポリフルオロアルキルエチレン、 ーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール) パーフルオロ(4-アルコキシ-1,3-ジオキソール )およびCF 2 =CFO(CF 2 ) n CF=CF 2 (式中、nは1または2である。)からなる群より ばれる少なくとも1種である含フッ素モノマ ーの含フッ素ポリマーの製造方法を提供する 。
 また、本発明は、上記含フッ素ポリマーの 造方法において、含フッ素モノマーがテト フルオロエチレンである含フッ素ポリマー 製造方法を提供する。

 本発明の含フッ素ポリマーの製造方法は 時間あたりの含フッ素ポリマーの生成量が く、かつ分子量も大きいものが得られるた 、生産効率の面で特に優れている。

 本発明において、含フッ素モノマーは、テ ラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデ (VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パー ルオロ(アルキルビニルエーテル)(PFAVE)、ク ロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリフルオ アルキルエチレン、パーフルオロ(2,2-ジメ ル-1,3-ジオキソール)、パーフルオロ(4-アル キシ-1,3-ジオキソール)およびCF 2 =CFO(CF 2 ) n CF=CF 2 (式中、nは1または2である。)からなる群より ばれる少なくとも1種が好ましい。
 本発明において、前記含フッ素モノマーに えて、さらにエチレン、プロピレン、ブテ 等のオレフィンを共重合することも好まし 。

 本発明の含フッ素ポリマーには、上記含フ 素モノマーを重合して得られる、PTFE、溶融 成形性含フッ素ポリマー等が含まれる。
 PTFEには、変性PTFEが含まれる。変性PTFEとし は、TFEと、HFP、PFAVE、CTFE、(パーフルオロア ルキル)エチレン、VdF、パーフルオロ(アルケ ルビニルエーテル)等から選ばれる1種以上 含フッ素コモノマーとの共重合体である溶 成形性を持たない変性PTFEが挙げられる。変 PTFEにおけるコモノマーに基づく構成単位の 含有量は、好ましくは0.5質量%以下であり、 り好ましくは0.4質量%以下である。

 溶融成形性含フッ素ポリマーとしては、T FEとHFPとの共重合体(FEP)、TFEとパーフルオロ( ロピルビニルエーテル)(PPVE)を代表とするPFA VE類との共重合体(PFA)、TFEとエチレンとの共 合体(ETFE)、エチレンとCTFEとの共重合体(ECTFE) 、VdFの単独重合体(PVdF)等が挙げられる。

 本発明では、含フッ素カルボン酸化合物を 有する水性媒体中で重合触媒を用いて含フ 素モノマーを乳化重合するにあたり、重合 の水性媒体のpHが4以下であること特徴とし おり、水性媒体のpHは好ましくは3.5以下、 に好ましくは3.0以下である。
 また、水性媒体や重合後の水性乳化液の取 扱い及び装置の耐食性の観点から、水性媒 のpHの下限は、1以上が好ましく、1.5以上が に好ましい。ここで、重合中とは、重合開 時から重合終了時までの間をいう。重合開 時のpHとは、重合触媒および含フッ素モノ ーを導入する前の水性媒体のpHをいうものと する。重合開始時の水性媒体のpHは4以下であ ることが重要であり、好ましくは3.5以下、特 に好ましくは3.0以下である。重合終了時の水 性媒体のpHは、2.7以下にすることが好ましく 2.5以下にすることがより好ましい。

 重合に用いる含フッ素カルボン酸化合物は その鎖長が長いと水性媒体中での溶解度が 下するため、その化合物の1分子中の炭素原 子の数が6以下およびエーテル性酸素原子の が3以下であることが好ましい。また、含フ 素カルボン酸化合物はパーフルオロカルボ 酸化合物であることが好ましく、その鎖長 短いと、水性媒体中の界面活性能が低下す ため、好ましい例としてはC 5 F 11 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)およびCF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOX(Xは水素原子またはアルカリ金属またはNH 4 である。)が挙げられる。中でも、金属成分 残留を防ぐ点で、C 5 F 11 COOH(以下、PFHxAという。)、C 5 F 11 COONH 4 (以下、APFHxという。)、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COOH(以下、PFDOAという。)、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 COONH 4 (以下、APFDOという。)が特に好ましい。なお PFHxAおよびAPFHxにおけるパーフルオロアルキ 基鎖は、直鎖成分が90%以上が好ましく、95% 上がより好ましい。この範囲にあると、重 時の乳化安定性に優れる。
 なお、直鎖成分の算出方法としては、例え 、含フッ素カルボン酸化合物に、BF 3 -CH 3 OHを加え、メチルエステル化した後、ジクロ ペンタフルオロプロパンで抽出した成分を スクロマトグラフィーで分析することによ 定量することができる。

 前記含フッ素カルボン酸化合物がアルカリ 属またはNH 4 の対イオンを有する場合、塩酸、硫酸、硝酸 等の鉱酸もしくはシュウ酸、マロン酸、コハ ク酸等の有機酸を水性媒体に添加することに より、水性媒体のpHを4以下に調整することが できる。

 また前記含フッ素カルボン酸化合物を有 酸のまま使用することにより水性媒体のpH 4以下に調整することができ、その場合鉱酸 他の有機酸による調整が不要であるため、 に好適である。含フッ素カルボン酸のアル リ金属またはアンモニウム塩は、含フッ素 ルボン酸を合成したのちに、目的とする水 化アルカリ金属もしくはアンモニアで中和 て製造される。そのため、含フッ素カルボ 酸は、同含フッ素カルボン酸のアルカリ金 またはアンモニウム塩に比べ、製造面でも 程を省略することができ、容易に製造する とができるので優位である。

 PTFEを製造するための乳化重合を行うに際し て、含フッ素カルボン酸化合物は、最終PTFE 量に対して好ましくは100~100000ppmの範囲で用 られ、PTFEの場合は最終PTFE収量に対し、よ 好ましくは1500~20000ppmの範囲であり、最も好 しくは2000~20000ppmの範囲である。
 溶融成形性含フッ素ポリマーを製造するた の乳化重合を行うに際して、含フッ素カル ン酸化合物の水性媒体中の含有量は、水性 体に対して好ましくは0.01~10質量%であり、 り好ましくは0.1~5質量%であり、最も好まし は0.2~3質量%である。

 PTFE製造時の乳化重合では、TFEまたはTFEと共 重合可能な他のモノマーとの重合反応時に、 水性媒体、乳化剤、安定化助剤及び重合触媒 等を用いる。
 安定化助剤としては、パラフィンワックス フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコー オイル等が好ましい。安定化助剤は、1種単 独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよ 。安定化助剤としては、パラフィンワック がより好ましい。パラフィンワックスとし は、室温で液体でも、半固体でも、固体で ってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素 が好ましい。パラフィンワックスの融点は、 通常40~65℃が好ましく、50~65℃がより好まし 。安定化助剤の使用量は、使用する水性媒 の質量基準で0.1~12質量%が好ましく、0.1~8質 %がより好ましい。

 PTFE製造時に用いられる重合触媒としては、 水溶性ラジカル重合触媒や水溶性酸化還元系 触媒等が好ましく採用される。水溶性ラジカ ル重合触媒としては、過硫酸アンモニウム、 過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸パ ーオキシド、ビスグルタル酸パーオキシド、 tert-ブチルヒドロパーオキシド等の水溶性有 過酸化物が好ましい。
 水溶性酸化還元系触媒としては、臭素酸化 物、塩素酸化合物、過硫酸化合物、過マン ン酸化合物、過酸化水素等の酸化剤と、亜 酸化合物、亜硫酸水素化合物、チオ硫酸化 物、有機酸等の還元剤との組み合わせが使 できる。また油溶性重合触媒も同様に使用 きる。重合触媒としては、ジコハク酸パー キシドがより好ましい。重合触媒は、1種単 独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよ 。
 重合触媒の使用量は、通常、最終PTFE収量に 対して0.0001~0.20質量%が好ましく、0.01~0.15質量 %がより好ましい。

 また、PTFE製造時の乳化重合には、分子量を 制御することや乳化液の安定性を高める為に メタノール、エタノール等のアルコール類等 の連鎖移動剤を使用することもできる。
 連鎖移動剤としては、メタノールがより好 しい。
 連鎖移動剤の使用量は、通常、最終PTFE収量 に対して0~1×10 -4 質量%が好ましく、0~5×10 -5 質量%が好ましい。

 溶融成形性含フッ素ポリマーの製造時の乳 重合で使用される重合触媒としては、通常 ラジカル重合触媒を用いることができ、特 水溶性重合触媒が好ましい。水溶性重合触 の具体例としては、過硫酸アンモニウム塩 どの過硫酸類、過酸化水素およびこれらと 硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム どの還元剤との組み合わせからなるレドッ ス重合触媒、さらにこれらに少量の鉄、第 鉄塩(例えば、硫酸第一鉄塩などである。) 硫酸銀などを共存させた系の無機系重合触 、またはジコハク酸過酸化物、アゾビスイ ブチルアミジン二塩酸塩などの有機系重合 媒等を例示することができる。
 重合触媒は、乳化重合の最初から添加して よいし、乳化重合の途中から添加してもよ 。

 重合触媒の添加量は、重合に用いるモノマ の全質量に対して、0.0001~3質量%が好ましく 0.001~1質量%が特に好ましい。
 レドックス重合触媒を用いる場合の、レド クス反応する金属イオンとしては複数のイ ン価をもつ各種の金属を用いることができ 。具体例としては、鉄、銅、マンガン、ク ムなどの遷移金属が好ましく、特に鉄、マ ガンが好ましい。

 さらに、レドックス反応する金属を水性媒 中に安定に存在させるために、金属キレー 剤を用いることが好ましい。金属キレート としては、エチレンジアミン四酢酸類が好 しく、水溶性の観点からエチレンジアミン 酢酸二ナトリウム2水和物がより好ましい。
 レドックス重合触媒を用いる場合のレドッ ス反応試薬としては、還元性化合物を用い ことが好ましい。還元性化合物としては、 種硫酸性硫黄含有化合物を用いることがで 、特にロンガリット(化学式:CH 2 (OH)SO 2 Na・2H 2 O)が好ましい。

 溶融成形性含フッ素ポリマーの製造時の乳 重合では、分子量を制御する連鎖移動剤を 用できる。連鎖移動剤としては、メタノー 、エタノール、プロパノール等のアルコー 類、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプ パン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン等のク ロロフルオロハイドロカーボン、メタン、エ タン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ ン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン等 が挙げられる。
 連鎖移動剤の添加量は、重合に用いるモノ ーの全質量に対して、0.001~10質量%が好まし 、0.01~10質量%がより好ましい。

 本発明における乳化重合条件は、使用する ノマーの種類、共重合比率、重合触媒の分 温度などによって適宜選択される。
 乳化重合温度は10~95℃が好ましく、40~80℃が より好ましい。重合圧力は0.5~4.0MPaが好まし 、0.6~3.5MPaがより好ましい。重合時間は60~520 間が好ましく、90~360分間がより好ましい。

 本発明によると、乳化重合により得られるP TFE水性乳化液中のPTFEの一次粒子の平均粒子 を、0.18~0.50μmの範囲にすることができ、特 0.19~0.40μmの範囲にすることができる。なお 本発明によると、乳化重合により得られるPT FE水性乳化液中のPTFEの一次粒子の平均粒子径 を、特に小さい範囲に限定することができ、 具体的には、0.18~0.23μmの範囲にすることがで きる。
 乳化重合法により得られる含フッ素ポリマ の水性乳化液中の含フッ素ポリマー濃度は1 0~45質量%が好ましい。含フッ素ポリマーの濃 があまりに低いと、含フッ素ポリマーを凝 させることが困難であり、あまりに高いと 凝集されなかった含フッ素ポリマーが残り 凝集した液が白濁する。含フッ素ポリマー 度は、15~45質量%がより好ましく、20~40質量% さらに好ましい。

 PTFE水性乳化液からのPTFEファインパウダ の取得は公知の方法により行うことができ 。すなわち、PTFEの水性乳化液の濃度を10~20 量%になるように水で希釈した後、激しく撹 して凝集させる。場合によってはpHを調節 てもよく、電解質や水溶性の有機溶剤など 凝集助剤を加えて行ってもよい。凝集したPT FEは水から分離した後、乾燥を行うことで、P TFEに残留する水分を容易に除去できる。

 溶融成形性含フッ素ポリマーの水性乳化液 、凝集剤を添加して、含フッ素ポリマーを 集させることができる。また、含フッ素ポ マー水性乳化液を凍結させて凝集させるこ もできる。
 凝集剤としては、パーフルオロオクタン酸 ンモニウム等の乳化剤を用いた含フッ素ポ マーの水性乳化液の凝集に通常使用されて るものが、いずれも使用できる。例えば、 化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ア ミニウム、硝酸アルミニウムなどの水溶性 、硝酸、塩酸、硫酸などの酸類、アルコー 、アセトンなどの水溶性有機液体類などが げられる。凝集剤の添加量は、含フッ素ポ マー水性乳化液の100質量部に対して、0.001~2 0質量部が好ましく、0.01~10質量部が特に好ま い。凝集に用いる水性乳化液中の含フッ素 リマーの濃度は、1~50質量%が好ましく、5~40 量%がより好ましい。

 凝集された含フッ素ポリマーは、ロ別さ 、洗浄水で洗浄することが好ましい。洗浄 としては、イオン交換水、純水、超純水な が挙げられる。洗浄水の量は、含フッ素ポ マーの質量の1~10倍量が好ましい。

 PTFEファインパウダーの乾燥は、通常凝集で 得られた湿潤粉末をあまり流動させない状態 、好ましくは静置して、真空、高周波、熱風 などで行うことができる。乾燥は、10~230℃で 行うことが好ましく、特に100~230℃で行うこ が好ましい。
 本発明の含フッ素乳化剤を使用して製造さ たPTFEにおいては、200℃以下の温度において も残存する含フッ素乳化剤量が少ないPTFEを ることができる。
 更にPTFE中に残存する含フッ素カルボン酸化 合物を低減させるために、水性媒体で洗浄を 行った後に、乾燥を行ってもよい。
 溶融成形性含フッ素ポリマーの乾燥につい も、PTFEと同様に、10~230℃で行うことが好ま しく、特に100~230℃で行うことが好ましい。
 乾燥により排出されるガスを含フッ素カル ン酸化合物が分離する様な濃度のアルカリ 液に捕集することにより回収することがで る。また、廃液中の含フッ素カルボン酸化 物も公知の方法で回収し、再利用できる。

 本発明によると、PTFEの標準比重を2.14~2.20の 範囲にすることができ、高分子量のPTFEを得 ことができる。なお、乳化重合条件を変え ことにより、標準比重が2.20を超えて2.25まで の範囲にすることもできる。
 また、本発明のPTFEファインパウダーの平均 粒子径は、350~650μmが好ましく、400~600μmがよ 好ましい。また、見かけ密度は0.35~0.65g/mLで あることが好ましく、0.40~0.60g/mLであること より好ましい。

 また、着色、強度および導電性等を付与 るための充填剤、例えば酸化チタン、カー ン、ガラス繊維、カーボン繊維、グラファ ト等を凝集の工程で添加することもできる

 また本発明により製造された含フッ素ポ マーの水性乳化液は、そのままもしくは必 に応じて濃縮、乳化液の安定性および加工 の作業性向上のための調合等の加工操作を てコーティング材料などディスパージョン( 水性分散液)製品として使用される。水性乳 液中の含フッ素ポリマーの濃縮は、公知の 法が利用できる。例えば、曇点を有するノ オン性界面活性剤を添加したのち水性乳化 を加温することにより濃縮する熱濃縮法、 気泳動による電気濃縮法、またウルトラフ ルター等の膜材料による濃縮が挙げられる

 水性乳化液の安定性向上のためには、公 のアニオン性界面活性剤もしくはノニオン 界面活性剤が使用される。前者の例として 、ドデシル硫酸ナトリウムやドデシル硫酸 ンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、 デカン酸アンモニウム等のアルカン酸塩、 オクチルスルホコハク酸ナトリウム等のス ホコハク酸塩などが挙げられる。後者の例 しては、ポリオキシエチレンノニルフェニ エーテル等のアルキルフェノールエトキシ ート、ポリオキシエチレントリデシルエー ル等のアルキルエーテルアルコキシレート( アルコキシレートの炭素数はC2から4もしくは 8である。)が挙げられる。

 ディスパージョン製品に加工する上で、 性乳化液中の含フッ素カルボン酸化合物を 去する方法としては、アニオン交換樹脂に 着させる方法、合成吸着剤に吸着させる方 、活性炭に吸着させる方法、層状複水酸化 に内包させる方法、もしくは前述の濃縮操 を複数回行うまたは予め希釈した水性乳化 を濃縮する等の手段により濃縮時の廃水側 含フッ素カルボン酸化合物の分配比を高め などの公知の手段を用いることができる。

 水性乳化液にはディスパージョン製品に調 する上で、各種レベリング剤、防腐剤、フ ラー、有機溶剤、アンモニア水、その他公 の成分の1種以上を溶解または添加して加え ても良い。
 また、ポリエチレンオキシドやポリウレタ 系の粘度調整剤を溶解させることにより、 ィスパージョン製品の機械的安定性を向上 せることができる。

 次に、実施例及び比較例により本発明をよ 詳細に説明するが、本発明はこれらに限定 れない。含フッ素ポリマーの特性の測定方 は下記のとおりである。
(A)乳化重合PTFEの平均一次粒子径(単位:μm):  国特許4036802に基づき、水性乳化液の546nmの 長の光に対する吸光度より算出した。

(B)標準比重(以下、SSGともいう。):ASTM D1457- 91a、D4895-91aに準拠して測定した。12.0gのPTFEを 計量して内径28.6mmの円筒金型で34.5MPaで2分間 持する。これを290℃のオーブンへ入れて120 /hrで昇温する。380℃で30分間保持した後、60 ℃/hrで降温して294℃で24分間保持する。23℃ デシケーター中で12時間保持した後、23℃で 成形物と水との比重値を測定し、これを標 比重とする。

(実施例1)
 邪魔板、撹拌機を備えた、1.3Lのステンレス 鋼製オートクレーブに、含フッ素カルボン酸 としてPFDOAの0.281g、パラフィンワックス(融点 52℃)の8.0g、脱イオン水の630mLを仕込んだ。こ の水性媒体のpHは2.69であった。オートクレー ブを窒素置換した後、-0.093MPa以下に減圧して 、TFEで1.1MPaに加圧し、撹拌しながら70℃に昇 した。次いでTFEで1.6MPaまで昇圧し、脱イオ 水に溶解したジコハク酸パーオキシド(濃度 80質量%、残りは水分である。)0.063gを注入し 。

 オートクレーブの内圧が0.02MPa降下したこと を確認した後、内圧を1.6MPaに保つようにTFEを 添加しながら重合を進行させた。途中TFEの供 給量が70gとなった時点で、PFDOAの0.522gを脱イ ン水に溶解させた後オートクレーブに添加 た。TFEの添加量が250.5gになったところで反 を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気 出した。重合時間は156分間であった。得ら たPTFEの水性乳化液を冷却し、上澄みのパラ フィンワックスを除去した。固形分濃度が28. 2質量%の水性乳化液が761mL得られた。また、PT FE微粒子の平均一次粒径は0.21μmであった。反 応器中の凝固物は痕跡程度であった。
 この水性乳化液を純水で濃度10質量%に希釈 20℃に調整して撹拌して凝集させた後、得 れたPTFEファインパウダーはオーブンを用い 温度120℃で14時間乾燥した。得られたPTFEのS SGは2.163であった。

(比較例1)
 使用した含フッ素カルボン酸化合物をAPFDO 変更して重合開始前の添加量を0.295g、また 合途中の添加量を0.547gに変更した以外は、 施例1に従って実施した。なお重合開始時の 性媒体のpHは6.69であった。実施例1同様にTFE の添加量が250.5gに達するのに要した時間は198 分間であった。固形分濃度が28.0質量%の水性 化液が758mL得られた。また、PTFE微粒子の平 一次粒径は0.24μmであった。反応器中の凝固 物は痕跡程度であった。
 この水性乳化液を実施例1同様に撹拌して凝 集させた後、PTFEファインパウダーを温度120 で14時間乾燥した。得られたPTFEのSSGは2.173で あった。

(実施例2)
 使用した含フッ素カルボン酸化合物をPFHxA( ーフルオロアルキル基鎖は、直鎖成分が98.1 %である。)に変更して重合開始前の添加量を0 .510g、また重合途中の添加量を0.947gに変更し 以外は、実施例1に従って実施した。なお重 合開始時の水性媒体のpHは2.41であった。実施 例1同様にTFEの添加量が250.5gに達するのに要 た時間は212分間であった。固形分濃度が27.7 量%の水性乳化液が756mL得られた。また、PTFE 微粒子の平均一次粒径は0.23μmであった。反 器中の凝固物は痕跡程度であった。
 この水性乳化液を実施例1同様に撹拌して凝 集させた後、PTFEファインパウダーを温度120 で14時間乾燥した。得られたPTFEのSSGは2.167で あった。

(比較例2)
 使用した含フッ素カルボン酸化合物をAPFHx 変更して重合開始前の添加量を0.538g、また 合途中の添加量を0.998gに変更した以外は、 施例1に従って実施した。なお重合開始時の 性媒体のpHは6.31であった。実施例1同様にTFE の添加量が250.5gに達するのに要した時間は259 分間であった。固形分濃度が27.8質量%の水性 化液が753mL得られた。また、PTFE微粒子の平 一次粒径は0.25μmであった。反応器中の凝固 物は痕跡程度であった。
 この水性乳化液を実施例1同様に撹拌して凝 集させた後、PTFEファインパウダーを温度120 で14時間乾燥した。得られたPTFEのSSGは2.171で あった。

 本発明の製造方法により得られる含フッ素 リマーは、ファインパウダーやペレットと れた後にチューブ状、シート状、フィルム 、繊維状、ブロック状等の様々な形状の成 物の原料に供される。また、乳化液として 々調合されて得られるディスパージョン製 は、コーティング材料として供される。ま 、他部材の結着剤や特性向上のための添加 として供される。成形物の用途としては各 チューブ、電線被覆、シール材料、多孔膜 フィルター、家庭用もしくは産業用コーテ ング材料等の種々の用途が挙げられる。
 
 なお、2007年4月13日に出願された日本特許出 願2007-105807号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。