Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING FLUORINE-CONTAINING POLYMER AND FLUORINE-CONTAINING ION EXCHANGE MEMBRANE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/133902
Kind Code:
A1
Abstract:
A fluorine-containing polymer having a high molecular weight, excellent heat resistance, excellent solvent resistance, excellent chemical resistance and the like is efficiently produced by using a polymerization medium having low ozone depletion potential, low global warming potential, and low chain transfer constant. Specifically disclosed is a method for producing a fluorine-containing polymer, wherein a fluorine-containing monomer having a carboxylic acid functional group and a fluorine-containing olefin are polymerized using a hydrofluorocarbon as a medium.  The method is characterized in that the hydrofluorocarbon serving as the polymerization medium contains 4-10 carbon atoms, while having a ratio of hydrogen atoms to fluorine atoms (H/F ratio) of 0.05-20 (on a mole basis).

Inventors:
TOMITA TOSHINORI (JP)
NOMURA JUMPEI (JP)
SAITO JUNJI (JP)
MATSUOKA YASUHIKO (JP)
UMEMURA KAZUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058397
Publication Date:
November 05, 2009
Filing Date:
April 28, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
TOMITA TOSHINORI (JP)
NOMURA JUMPEI (JP)
SAITO JUNJI (JP)
MATSUOKA YASUHIKO (JP)
UMEMURA KAZUO (JP)
International Classes:
C08F2/14; C08F214/18
Domestic Patent References:
WO2007145181A12007-12-21
WO2008093570A12008-08-07
Foreign References:
JPH06199958A1994-07-19
JP2005029704A2005-02-03
JP2008177167A2008-07-31
JPS5228586A1977-03-03
JPH0124171B21989-05-10
JP2005029704A2005-02-03
Other References:
See also references of EP 2272877A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
Download PDF:
Claims:
 分子中に1個以上のフッ素原子を有しカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、分子中に1個以上のフッ素原子を有する含フッ素オレフィンとを、ハイドロフルオロカーボンを媒体として重合させる含フッ素重合体の製造方法において、
 前記ハイドロフルオロカーボンは、炭素原子数が4~10であり、かつ水素原子数/フッ素原子数の割合(モル基準)が0.05~20であることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
 前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーは、下記式(1)で表わされるパーフルオロビニルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素重合体の製造方法。
(式中、XおよびX’は、それぞれ独立してフッ素原子(F)またはトリフルオロメチル基(CF 3 )であり、Aはカルボン酸型官能基である。pは0または1、qは0~12の整数、rは0~3の整数、sは0または1、tは0~12の整数、uは0~3の整数である。ただし、1≦p+sであり、かつ1≦r+uである。)
 前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の含フッ素重合体の製造方法。
 前記ハイドロフルオロカーボンは、式:C n+m F 2n+1 H 2m+1 (ただし、nは2~8の整数であり、mは0~3の整数である。)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
 前記ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロヘキサン、および1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
 前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを、前記ハイドロフルオロカーボン中に逐次添加して反応させる連続的な反応工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
 含フッ素重合体のイオン交換容量が0.8~1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜を含むことを特徴とする含フッ素イオン交換膜。
 前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜のアニオン拡散係数が1×10 -9 ~1×10 -7 cm 2 /秒であることを特徴とする請求項8に記載の含フッ素イオン交換膜。
Description:
含フッ素重合体の製造方法およ 含フッ素イオン交換膜

 本発明は、含フッ素重合体の製造方法に り、さらに詳しくは、環境破壊をもたらす おそれの少ない重合媒体を用いて、耐熱性 耐溶剤性、耐薬品性等に優れ、イオン交換 に好適する含フッ素重合体を効率よく製造 る製造方法に関する。また、本発明は、上 製造方法によって得られたカルボン酸型官 基を有する含フッ素重合体からなるイオン 換膜を少なくとも1層含み、高電流効率を発 現する含フッ素イオン交換膜に関する。

 従来から、食塩電解に使用されるイオン交 膜としては、カルボン酸型官能基またはス ホン酸型官能基を有する含フッ素重合体か なる膜が知られている。このような含フッ 重合体は、カルボン酸型官能基を有するパ フルオロビニルエーテルのような含フッ素 ノマーと、テトラフルオロエチレン(CF 2 =CF 2 )のような含フッ素オレフィンとを共重合さ ることにより得られる。

 共重合方法としては、乳化重合法、懸濁重 法、溶液重合法等がある。乳化重合は、水 媒体中で、重合開始剤とパーフルオロカル ン酸型の乳化剤(例えば、C 7 F 15 CO 2 NH 4 やC 8 F 17 CO 2 NH 4 )の存在下で行われるが、近年このようなパ フルオロカルボン酸型の乳化剤については 環境への影響が懸念されている。

 また、溶液重合においては、重合媒体とし 、パーフルオロメチルシクロヘキサンのよ なパーフルオロカーボンや、1,1,2-トリクロ -1,2,2-トリフルオロエタン(CCl 2 F-CClF 2 )等が使用できることが知られている(例えば 特許文献1、および特許文献2参照。)。しか 、このような溶剤は大気中のオゾンを破壊 るおそれが大きいことから、その使用が制 されている。

 一方、オゾン破壊係数や地球温暖化係数 小さいハイドロフルオロエーテルを媒体と 、カルボン酸基やスルホン酸基に変換可能 官能基を有するビニルエーテルとテトラフ オロエチレンとを共重合させて、含フッ素 合体を製造する方法が提案されている(例え ば、特許文献3参照。)。しかし、イオン交換 等として有用な含フッ素重合体をさらに効 よく製造する方法が求められている。

特開昭52-28586号公報

特公平1-24171号公報

特開2005-29704号公報

 本発明は、オゾン破壊係数や地球温暖化係 が小さく、連鎖移動定数の小さい重合媒体 使用し、高分子量で耐熱性、耐溶剤性、耐 品性等に優れた含フッ素重合体を効率よく 造する製造方法を提供することを目的とす 。
 また、本発明者らは、単量体を溶解性の低 媒体中に分散させて重合を行う場合、ある は開始剤を溶解性の低い媒体中に分散させ 重合を行う場合、重合時の媒体中の単量体 度や開始剤濃度が不均一になり、重合が進 するに従って組成の異なった重合体が生成 、得られた重合体の組成の分布すなわちイ ン交換容量の分布(以下、イオン交換容量分 布という。)が大きくなることを見出した。 に、乳化重合では、単量体液滴が存在し、 の液滴から開始剤の存在する重合場へ溶解 拡散により単量体が供給されるため、反応 の単量体濃度を一定に制御することが難し 、イオン交換容量分布は大きくなる。
 さらに、本発明は、前記のような製造方法 よって得られた、高い電流効率を発現する オン交換膜を提供することを目的とする。

 本発明の含フッ素重合体の製造方法は、 子中に1個以上のフッ素原子を有し、カルボ ン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、 分子中に1個以上のフッ素原子を有する含フ 素オレフィンとを、ハイドロフルオロカー ンを媒体として重合させる含フッ素重合体 製造方法において、前記ハイドロフルオロ ーボンは、炭素原子数が4~10であり、かつ水 原子数/フッ素原子数の割合(モル基準)が0.05 ~20であることを特徴とする。

 本発明によれば、規制対象となるおそれ ある乳化剤を使用することなく、オゾン破 係数や地球温暖化係数が小さく重合速度の きい重合媒体を使用し、イオン交換膜とし 有用なカルボン酸型官能基を有する含フッ 重合体を、安定的に効率よく製造すること できる。また、本発明によれば、このよう 製造方法によって得られた含フッ素重合体 含む、高い電流効率を発現する食塩電解用 オン交換膜が得られる。

含フッ素重合体のイオン交換容量とア オン拡散係数の関係を示すグラフである。

 本発明の実施形態に係る含フッ素重合体の 造方法は、カルボン酸型官能基を有する含 ッ素モノマーと含フッ素オレフィンとを、 合媒体としてハイドロフルオロカーボンを 用し、この媒体中で重合させることを特徴 する。
 すなわち、本発明は以下の[1]~[9]の要旨を有 する。
[1]分子中に1個以上のフッ素原子を有しカル ン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと 分子中に1個以上のフッ素原子を有する含フ 素オレフィンとを、ハイドロフルオロカー ンを媒体として重合させる含フッ素重合体 製造方法において、
 前記ハイドロフルオロカーボンは、炭素原 数が4~10であり、かつ水素原子数/フッ素原 数の割合(モル基準)が0.05~20であることを特 とする含フッ素重合体の製造方法。
[2]前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素 モノマーは、下記式(1)で表わされるパーフル オロビニルエーテルであることを特徴とする 前記[1]に記載の含フッ素重合体の製造方法。

(式中、XおよびX’は、それぞれ独立してフッ 素原子(F)またはトリフルオロメチル基(CF 3 )であり、Aはカルボン酸型官能基である。pは 0または1、qは0~12の整数、rは0~3の整数、sは0 たは1、tは0~12の整数、uは0~3の整数である。 だし、1≦p+sであり、かつ1≦r+uである。)
[3]前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオ ロエチレンであることを特徴とする前記[1]ま たは[2]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[4]前記ハイドロフルオロカーボンは、式:C n+m F 2n+1 H 2m+1 (ただし、nは2~8の整数であり、mは0~3の整数で ある。)で表わされる化合物であることを特 とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の含 ッ素重合体の製造方法。
[5]前記ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,2 ,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン、1,1, 1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロヘキサン、および1,1, 1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン らなる群から選択される少なくとも1種であ 前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の含フッ素 合体の製造方法。
[6]前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素 モノマーを、前記ハイドロフルオロカーボン 中に逐次添加して反応させる連続的な反応工 程を有することを特徴とする前記[1]乃至[5]の いずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法 。
[7]含フッ素重合体のイオン交換容量が0.8~1.3 リ当量/グラム乾燥樹脂であることを特徴と る前記[1]乃至[6]のいずれかに記載の含フッ 重合体の製造方法。
[8]前記[1]乃至[7]のいずれかに記載の製造方法 によって得られたカルボン酸型官能基を有す る含フッ素重合体からなる膜を含むことを特 徴とする含フッ素イオン交換膜。
[9]前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素 重合体からなる膜のアニオン拡散係数が1×10 -9 ~1×10 -7 cm 2 /秒であることを特徴とする前記[8]に記載の フッ素イオン交換膜。
 以下、本発明の製造方法おける各単量体成 、重合媒体、重合方法、得られる含フッ素 合体、および該含フッ素重合体からなるイ ン交換膜を含む含フッ素イオン交換膜など ついて、詳細に説明する。

[カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノ ー]
 本発明において、カルボン酸型官能基を有 る含フッ素モノマーとしては、分子中に1個 以上のフッ素原子を有するとともにエチレン 性の二重結合を有し、かつカルボン酸型の官 能基を有する化合物であれば特に限定されず 、従来から公知のものを用いることができる 。

 好適なものとしては、下記一般式(1)で表 されるパーフルオロビニルエーテルを挙げ ことができる。

 式(1)中、XおよびX’はそれぞれ独立にフッ 原子(F)またはトリフルオロメチル基(CF 3 )である。すなわち、XおよびX’はFまたはCF 3 であり、1分子中にXとX’の両方が存在する場 合、それぞれは同一であっても異なっていて もよい。
 Aはカルボン酸型官能基である。カルボン酸 型官能基は、カルボン酸基(-COOH)そのもの、 たは加水分解または中和によりカルボン酸 に変換し得る官能基をいう。具体的には、-C OOH、-CN、-COF、-COOR 1 、-COOM、-COONR 2 R 3 で表される官能基が挙げられる。ここで、R 1 は炭素原子数1~10のアルキル基を示し、R 2 およびR 3 は、それぞれ独立に、水素原子、あるいは炭 素原子数1~10のアルキル基を示す。R 2 とR 3 は、同一であっても異なっていてもよい。M アルカリ金属または第4級アンモニウム塩基 示す。

 また、式(1)中、pは0または1、qは0~12の整 、rは0~3の整数、sは0または1、tは0~12の整数 uは0~3の整数である。ただし、pとs、rとuが同 時に0になることはない。すなわち1≦p+sかつ1 ≦r+uが成り立つ。

 これらのパーフルオロビニルエーテルの具 例としては、以下の式:
CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -CF 2 CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -O-CF 2 CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -O-CF 2 CF 2 -CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -O-CF 2 CF 2 -CF 2 CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 -CF 2 CF 2 -O-CF 2 CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 -COOCH 3
CF 2 =CF-O-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 -CF 2 CF 2 -COOCH 3 、CF 2 =CF-O-CF 2 CF 2 -O-CF 2 CF 2 -O-CF 2 -COOCH 3 で表される化合物が挙げられる。製造が容易 であることから、これらの中でもp=1、q=0、r=1 、s=0~1、t=1~3、u=0~1である化合物が特に好まし い。

[含フッ素オレフィン]
 本発明において含フッ素オレフィンとして 、分子中に1個以上のフッ素原子を有する炭 素原子数が2~3のフルオロオレフィンが使用さ れる。好ましいフルオロオレフィンの具体例 としては、テトラフルオロエチレン(TFE)(CF 2 =CF 2 )、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)(CF 2 =CFCl)、フッ化ビニリデン(VDF)(CF 2 =CH 2 )、フッ素ビニル(VF)(CH 2 =CHF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)(CF 2 =CFCF 3 )等が挙げられるが、特にTFEの使用が好まし 。これらの含フッ素オレフィンは1種単独で いてもよく、2種以上を組み合わせて用いて もよい。

[その他の単量体]
 本発明においては、前記したカルボン酸型 能基を有する含フッ素モノマーと含フッ素 レフィンに加えて、さらに他の単量体を共 合させることができる。共重合可能な単量 としては、例えば、式:CF 2 =CF 2 -R f や式:CF 2 =CF-OR f (これらの式中、R f は炭素原子数1~10のパーフルオロアルキル基 示す。)で表されるビニルモノマー、あるい 式:CF 2 =CFO(CF 2 ) v CF=CF 2 (式中、vは1~3の整数である。)で表されるジビ ニルモノマー等が挙げられる。これらの単量 体を共重合させることにより、膜の可撓性や 機械的強度を向上させることができる。これ らの単量体成分の含有割合は、イオン交換性 能の維持の観点から30質量%以下とすることが 望ましく、20質量%以下がより望ましい。

[重合媒体]
 本発明においては、重合媒体として、炭素 子数が4~10であり、モル基準での水素原子数 /フッ素原子数の割合(以下、H/Fと示す。)が0.0 5~20であるハイドロフルオロカーボンが使用 れる。ハイドロフルオロカーボンの分子構 は、直鎖状または分岐状のいずれであって よい。ハイドロフルオロカーボンの炭素原 数が4未満であるか、あるいは10を超えた場 には、沸点が所望の温度範囲(0~200℃、より ましくは10~100℃)を外れてしまい好ましくな 。特に、炭素原子数が4~8であるものが好ま い。

 すなわち、ハイドロフルオロカーボンの 素原子数が4未満である場合には、沸点が0 未満となるため保管や輸送に困難が伴い、 方炭素原子数が10を超える場合には、沸点が 200℃を超えるため、重合後の懸濁液からの溶 媒の分離回収が困難となる。

 また、本発明におけるハイドロフルオロ ーボンは、H/F比が0.05~20のものである。H/F比 が0.06~1であるものがより好ましい。H/F比が0.0 5より小さいハイドロフルオロカーボンでは 後述する重合開始剤の溶解性が不十分とな 。一方、ハイドロフルオロカーボンのH/F比 20を超えると、重合反応の連鎖移動定数が大 きくなり、所望の分子量の含フッ素重合体が 得られない。

 このようなハイドロフルオロカーボンの具 例としては、以下の式:
CF 3 CF 2 CH 2 CH 3
CF 3 CH 2 CF 2 CH 3
CHF 2 CF 2 CF 2 CHF 2
CH 3 CF 2 CHFCF 3
CF 3 CF 2 CHFCF 3
CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 H、
(CF 3 ) 2 CFCH 2 CH 3
CH 3 CHFCF 2 CF 2 CH 2 CH 3
CH 3 CF 2 CF 2 CF 2 CHF 2
CF 3 CHFCHFCF 2 CF 3
CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CH 3
CF 3 CF 2 CH 2 CH 2 CF 2 CF 3
CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H、
(CF 3 ) 2 CFCHFCHFCF 3
CH 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H、
CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H、
CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CH 3
CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CHF 2
で表される化合物等が挙げられる。

 炭素原子数が少なすぎると沸点が低くなり ぎ、反対に炭素原子数が多すぎると沸点が くなりすぎること、および水素原子数が多 と高分子量の共重合体を得ることが困難に ることから、前記化合物の中でも、式:C n+m F 2n+1 H 2m+1 (ただし、nは2~8の整数であり、mは0~3の整数で ある。)で表わされるハイドロフルオロカー ンの使用が特に好ましい。特に好ましいハ ドロフルオロカーボンとしては、式:CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H(H/F比=0.076)で表される1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ト デカフルオロヘキサン、式:CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CH 3 (H/F比=0.56)で表される1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフル ロヘキサン、および式:CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CH 3 (H/F比=0.38)で表される1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリ デカフルオロオクタン等が挙げられる。
 重合媒体は、1種のみを単独で用いてもよく 、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 本発明の製造方法における重合媒体を使用 ることにより、同じイオン交換容量の含フ 素重合体でも、イオン交換膜としたときに い電流効率を発現する含フッ素重合体が得 れる。

[重合方法]
 本発明においては、重合媒体であるハイド フルオロカーボンの使用量がカルボン酸型 能基を有する含フッ素モノマーの質量に対 て0.01~20倍、好ましくは0.05~10倍になるよう 制御して、前記含フッ素モノマーと含フッ オレフィンとの共重合反応を実施すること 好ましい。重合媒体であるハイドロフルオ カーボンの使用量が少なすぎる場合には、 合反応が円滑に進行しない。また、ハイド フルオロカーボンの使用量が多すぎる場合 は、反応装置の大型化や、重合体の分離回 などの作業操作面での不利が生じる。

 カルボン酸型官能基を有する含フッ素モ マーと含フッ素オレフィンとの使用割合は 得られる重合体が所望の共重合割合となる うに選定される。カルボン酸型官能基を有 る含フッ素モノマーの共重合割合が、15~95 量%となるように選定することが好ましく、2 0~80質量%がより好ましく、20~60質量%が最も好 しくい。

 本発明においては、各単量体を一括で仕込 でもよいが、逐次的にあるいは連続的に添 して反応させることもできる。反応系内の 量体の濃度を一定にして、生成する共重合 の組成を均一化させるという観点からは、T FE、およびカルボン酸型官能基を有する含フ 素モノマーを、重合媒体であるハイドロフ オロカーボンを含む重合系中に逐次的に添 して連続的に反応させるように構成するこ が好ましい。
 逐次添加の方法は特に限定されず、重合初 と重合後期で添加割合を変化させてもよい 、得られる重合体の組成を均一にするとい 観点からは、重合によって消費されたTFEお びカルボン酸型官能基を有する含フッ素モ マーを補って、重合系中の各モノマーの濃 を一定にするように添加することが好まし 。具体的には、重合系の圧力を一定とする うにTFEを逐次導入し、TFEの導入量に比例し カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノ ーを逐次添加することが好ましい。
 溶液重合のような均一な重合場での重合で っても、反応により単量体が消費されて単 体濃度が低下するため、イオン交換容量は 応に従って低下し、重合体の組成の分布が 生する。しかし、各単量体を逐次的にある は連続的に添加して単量体の濃度を一定に 御しながら反応させることにより、得られ 重合体中の組成分布すなわちイオン交換容 の分布を小さくすることができる。
 本発明者らは、重合で得られた含フッ素重 体中のイオン交換容量分布が小さいほど、 いイオン交換容量でも初期電流効率が発現 、かつヨウ素などの不純物に対する電流効 等の性能低下が小さくなることを見出した
 カルボン酸型官能基を有する含フッ素重合 中のイオン交換容量分布が小さいほど、不 物による電流効率の低下を抑えることがで る理由ははっきりとはわかってはいないが 本発明者らは以下のとおりと考えている。
 イオン交換容量分布が小さいと含フッ素重 体の含水率の分布も小さいために、イオン 換容量を高くしても最適含水率範囲から高 に外れる成分が少なくなり初期電流効率が くなる。そして、イオン交換容量を高くで ることにより、不純物が沈着して含水率が がっても最適含水率範囲から低めに外れる 分が少ないため、電流効率の低下が抑えら る。

 また、本発明においては、重合反応の圧 を0.05MPaG(ゲージ圧、以下同じ。)以上とする ことが好ましく、0.1MPaG以上がより好ましい 圧力が低すぎる場合には、重合反応の速度 実用上満足し得る速さに維持することが難 く、高分子量の重合体を得ることが難しい また、重合圧力は2.0MPaG以下とすることが好 しい。

 本発明の重合反応において、他の条件や 作は特に限定されることなく、広い範囲の 応条件を採用することができる。例えば、 合反応の温度は、単量体の種類や反応モル 等により最適値が選定され得るが、余りに 温度や低温度での反応は、工業的に実施に 不利となるので、20~90℃、より好ましくは30 ~80℃の反応温度を選定することが望ましい。

 本発明においては、例えば電離性放射線 照射によって重合を開始することも可能で るが、前記した好適な反応温度(20~90℃)にお いて高い活性を示すアゾ化合物やパーオキシ 化合物等の重合開始剤を使用する方が、工業 的実施には有利である。

 本発明で好適に使用される重合開始剤と ては、ジコハク酸パーオキサイド、ベンゾ ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ ド、ビス(ペンタフルオロプロピオニル)パ オキサイド等のジアシルパーオキサイド類;2 ,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸類、4, 4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、ジメチ ル2,2’-アゾビスイソブチレート、アゾビス ソブチロニトリル等のアゾ化合物;t-ブチル ーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキ シピバレート等のパーオキシエステル類;ジ ソプロピルパーオキシジカーボネート、ビ (2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネー 等のパーオキシジカーボネート類;ジイソプ ロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の ハイドロパーオキサイド類;などが挙げられ 。

 このような重合開始剤の添加量は、全単 体100質量部に対して0.0001~3質量部とするこ が好ましく、より好ましくは0.0001~2質量部と する。重合開始剤の添加量を下げることによ って、生成する重合体の分子量を高めること ができる。重合開始剤の他に、通常の溶液重 合において用いられる分子量調節剤等を添加 することもできる。

[後処理]
 重合反応の終了後、得られた含フッ素重合 は、該含フッ素重合体を溶解しない媒体(以 下、凝集媒体という。)とともに混合するこ により凝集させて分離することができる。 集媒体としては、ペンタン、ヘキサン、シ ロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族飽 炭化水素系溶媒;メタノールのようなアルコ ル系溶媒;テトラクロロメタン、ジクロロメ タン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ フルオロエタン(CH 3 CCl 2 F)のような含ハロゲン系溶剤;などから適宜選 択することができる。

 反応後の液と凝集媒体との混合は、反応 の液に撹拌下に凝集媒体を加えてもよいし あるいは凝集媒体に撹拌下に反応後の液を 加してもよい。凝集媒体あるいは反応後の の添加・混合とともに、重合体が粒子状と って凝集し析出する。この凝集粒子はろ過 どの操作によって単離され、乾燥後回収さ る。

 また、重合反応により得られたカルボン 基を有する含フッ素重合体は、水によって 易に加水分解され、場合によっては溶融加 を施すうえで不具合が生じるおそれがある め、アルコール処理により再エステル化を すことができる。このとき、硫酸等の酸性 媒を用いることも可能である。またアルコ ル処理に代えて、オルト蟻酸トリメチルや ルト酢酸トリメチルで処理することで再エ テル化することも可能である。

[含フッ素重合体]
 本発明により得られる含フッ素重合体をイ ン交換膜として使用する場合、イオン交換 のイオン交換容量は、0.5~2.0ミリ当量/グラ 乾燥樹脂という広い範囲から選択される。 らに、より好ましい含フッ素重合体のイオ 交換容量の範囲は0.8~1.3ミリ当量/グラム乾燥 樹脂である。得られる含フッ素重合体のイオ ン交換容量を大きくしても、含フッ素重合体 の分子量を高くすることができるので、含フ ッ素重合体の機械的性質や耐久性が低下する ことがない。得られる含フッ素重合体の組成 に応じてイオン交換容量が異なるが、イオン 交換膜としての機械的性質や電気化学的性能 の観点から、0.6ミリ当量/グラム乾燥樹脂以 のイオン交換容量を有することが好ましく 特に0.7ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上のイオ 交換容量を有することが好ましい。さらに 様の観点から、イオン交換膜として使用す 含フッ素重合体のイオン交換容量の範囲と ては、0.8ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上がさ らに好ましく、0.9ミリ当量/グラム乾燥樹脂 上が最も好ましい。
 イオン交換容量がこの値より大きいと含水 が適切な高さとなり、イオン交換基が充分 電離してアニオンを充分に排除することが き、電流効率が高くなる。
 また、電流効率や製造される苛性品質の観 から、イオン交換膜として使用する含フッ 重合体のイオン交換容量の範囲としては、1 .3ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下が好ましく、 1.2ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下がより好ま い。
 イオン交換容量がこの値より小さいと含水 が適切な低さとなり、膜中のイオン交換基 度が適切な高さとなるため、アニオンを充 に排除することができ、電流効率が高くな 。

 本発明で得られる含フッ素重合体の分子量 、イオン交換膜としての機械的性能および 膜性と関連するので極めて重要である。含 ッ素重合体の分子量は、イオン交換膜の高 械強度および良好な製膜性の観点から、「T Q」値で150℃以上とすることが好ましい。よ 好ましい「TQ」値は170~340℃であり、特に「TQ 」値で170~300℃とすることが望ましい。なお 「TQ」値とは、重合体の分子量に関係する値 であって、容量流速100mm 3 /秒を示す温度で示したものである。上記容 流速は、例えば、重合体を3MPaの加圧下に一 温度のオリフィス(径1mm、長さ1mm)から溶融 出させ、流出する重合体量をmm 3 /秒の単位で示したものである。「TQ」値は重 合体の分子量の指標となり、「TQ」値が高い ど高分子量であることを示す。
 含フッ素重合体の分子量は、重合反応中の 中に存在する連鎖移動性成分の量が多けれ 低分子量に、少なければ高分子量になる。 記のとおり、本発明の含フッ素共重合体は 高機械的性能や良好な製膜性の観点から、 定量以上の分子量を有することが好ましい 本発明の製造方法における重合媒体を用い ば、重合媒体自体の連鎖移動性が低く、充 に高い分子量を有する含フッ素重合体を得 ことができる。

[イオン交換膜]
 本発明で得られた含フッ素重合体を製膜す ことにより、イオン交換膜を得ることがで る。イオン交換膜の製造方法は、得られる フッ素重合体を製膜する工程、および得ら る含フッ素重合体のカルボン酸型官能基を 水分解によりカルボン酸に転換する工程を する。上記製膜の工程と、カルボン酸基へ 転換の工程は、どちらを先に行ってもよい 、通常は製膜後に加水分解を行う方が好ま い。
 本発明のイオン交換膜は、アニオン拡散係 が小さいという利点を有する。アニオン拡 係数とは、異なる濃度のアニオンを膜の両 に配置させた時のアニオンの拡散における 例定数であり、拡散係数が大きいほど単位 積あたり、および単位時間あたりのアニオ 拡散量が多くなることを意味する値である
 イオン交換膜の電流効率は水酸化物イオン 移動量が大きいと低くなるが、電解時の水 化物イオンの移動量と電場のない状態での 酸化物イオンの拡散量には相関があり、ア オン拡散係数が大きいと電解時の水酸化物 オンの移動量が大きくなり、電流効率が低 なるという関係にある。そのため、同じイ ン交換容量では、アニオン拡散係数が小さ 重合体の方が、より電流効率が高い重合体 あると考えられる。
 イオン交換容量は含フッ素重合体全体のイ ン交換容量の平均値を表わすが、電流効率 イオン交換容量だけでなくイオン交換容量 布の影響も受けると考えられ、同じイオン 換容量でもイオン交換容量分布によっては 流効率が異なると考えられる。また、前記 とおりイオン交換容量分布は、不純物によ 電流効率等の性能低下にも影響していると えられる。
 アニオン拡散係数を小さくすることにより 高い電流効率を実現でき、かつ不純物によ 電流効率等の性能低下を抑制することがで る。アニオン拡散係数は、1×10 -7 cm 2 /秒以下であることが好ましく、5×10 -8 cm 2 /秒以下であることがより好ましい。アニオ 拡散係数がこの値より小さいとイオン交換 の電流効率が充分に高くなる。また、アニ ン拡散係数は1×10 -9 cm 2 /秒以上であることが好ましく、5×10 -9 cm 2 /秒以上であることがより好ましい。この値 り大きいと電解電圧が充分に低くなる。
 イオン交換容量とアニオン拡散係数とは、 1に示すような相関関係が認められるが、本 発明の製造方法により得られた含フッ素重合 体からなるイオン交換膜は、同じ電流効率で もアニオン拡散係数が低くなっており、高い 電流効率を発現し得ることがわかる。

 また、本発明の製造方法によって得られ 含フッ素重合体からなる膜は、単体の膜で オン交換膜として用いてもよく、異なるイ ン交換容量を有する膜あるいはスルホン酸 等の異なる官能基を有する膜や補強布など ともに積層してイオン交換膜として用いる とも可能である。さらに、クロス、繊維、 織布等による補強を加えることもできる。 体の膜としてまたは積層して得られた本発 の含フッ素重合体からなるイオン交換膜は 拡散透析、オゾン発生電解、電解還元、燃 電池の隔膜、高分子触媒などとして使用す ことができるが、特に、塩化ナトリウム等 水酸化アルカリの電解に好適に使用するこ ができる。

 以下、本発明の具体的実施例について記 するが、本発明は、以下の実施例に限定し 解釈されるものではない。

 以下の実施例においては、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5, 6,6-トリデカフルオロヘキサンをC6Hと、1,1,1,2, 2,3,3,4,4-ノナフルオロヘキサンをC4エタンと、 1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタ をC6エタンと記載する。
<含フッ素重合体のTQ値、イオン交換容量の 評価>
 以下の実施例および比較例において、「TQ 値は、容量流速「Q」値が100mm 3 /秒を示す温度である。容量流速値は、島津 ローテスターCFD-100D(島津製作所社製)を使用 、含フッ素重合体を3MPaGの加圧下で一定温 のオリフィス(径1mm、長さ1mm)から溶融・流出 させたときの流出量を、mm 3 /秒の単位で示したものである。

 また、イオン交換容量の測定は、以下の方 で行った。すなわち、重合によって得られ 含フッ素重合体0.7gをポリカーボネート製の 容器に入れ、これに0.1NのNaOH水溶液5mLを加え 。これを60℃で18時間静置することにより、 含フッ素重合体のカルボン酸型官能基を完全 にNa型に転換した後、この溶液を0.1Nの塩酸水 溶液で逆滴定し、溶液中のNaOHの量を求める とにより、含フッ素重合体のイオン交換容 を算出した。
<含フッ素重合体からなる膜のアニオン拡 係数の評価>
 アニオン交換拡散係数の測定は、以下の方 で行った。すなわち、重合によって得られ 含フッ素重合体を、平板プレスを用いてTQ り10℃高い温度でプレスし、厚み100~200μmの ィルムを得た。以下、このフィルムをプレ フィルムという。このプレスフィルムをDMSO/ KOH/H 2 O=30/15/65(質量%)の組成の液に95℃で1時間浸漬 、加水分解した。30分水洗した後、さらに12 量%のNaOH水溶液に90℃で16時間浸漬し、カル ン酸ナトリウム塩型官能基を有する含フッ 重合体の膜を得た。
 該膜の膜厚(xcm)を測定した後、該膜を開口 積S=0.785cm 2 、液容量30cm 3 を持つPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製セ ルに挟み込み、膜を介したセルの片側に3.39mo l/LのNaOHを、別の片側に2.89mol/LのNaOHと0.5mol/L NaClとの混合液を満たし、膜の両側のOHイオ 濃度差、Clイオン濃度差をいずれも濃度差δC =0.0005mol/cm 3 とした。次に、水の蒸発を防ぐためにセルに ふたをして液温を90℃まで上昇させた。温度 90℃に達した後1時間経過後に、液を抜き出 、膜のそれぞれの側について、昇温、保持 と同一組成の溶液を予め90℃に温めておい 溶液に入れ替え、再び90℃で4時間(t=14400秒) 持した。4時間経過後、セルから3.39mol/LのNaOH を仕込んだ側の溶液をサンプリングし、該サ ンプリング液の重量(wg)を測定し、さらに該 ンプリング液中のNaCl濃度(Cmol/g)をチオシア 酸水銀法(比色法)で測定した。
 得られた含フッ素重合体から作製された膜 アニオン拡散係数D(cm 2 /秒)は、Fickの第一法則に従って、下記の式に より計算した。
  D=Cwx/δCSt
<イオン交換膜の作製と評価>
 TFEとCF 2 =CFOCF 2 CF(CF 3 )OCF 2 CF 2 SO 2 Fで表されるスルホン酸型官能基を有するパ フルオロビニルエーテル化合物の共重合体 らなるイオン交換容量1.10ミリ当量/グラム乾 燥樹脂、TQ235℃の含フッ素重合体S(以下、重 体Sと記載する。)を合成した。
 実施例または比較例で得られたカルボン酸 官能基を有する含フッ素重合体(以下、重合 体Cと記載する。)と重合体Sとを共押し出し法 により成形し、重合体Cからなる層の厚さが18 μm、重合体Sからなる層の厚さが65μmの2層構 のフィルムAを得た。また、重合体Sを溶融押 し出し法により成形し、厚さ30μmのフィルムB を得た。
 一方、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フ ルムを急速延伸した後、100デニールの太さ スリットして得たモノフィラメントのPTFE糸 と、5デニールのポリエチレンテレフタレー (PET)繊維を6本引きそろえて撚ったマルチフ ラメントのPET糸とを、PTFE糸1本に対し、PET糸 2本の交互配列で平織りし、糸密度30本/cmの補 強織布を得た。この織布を、ロールプレス機 を用い、織布厚さが約80μmとなるように扁平 した。
 これら得られた織布とフィルムを、フィル B、織布、フィルムA(重合体Cの層が離型用PET フィルム側になるように)、離型用PETフィル (厚さ100μm)の順に重ね、ロールを用いて積層 した。そして離型用PETフィルムを剥がし、補 強された積層膜を得た。
 次に、平均粒子径1μmの酸化ジルコニウムを 29.0重量%、メチルセルロース1.3重量%、シクロ ヘキサノール4.6重量%、シクロヘキサン1.5重 %、および水63.6重量%からなるペーストを積 膜のフィルムBの側にロールプレスにより転 を行い、ガス開放性被覆層を付着させた。 のときの酸化ジルコニウムの付着量は20g/m 2 とした。
 次に、ジメチルスルホキシド30重量%、およ 水酸化カリウム15重量%の水溶液に95℃、10分 間浸漬し、CO 2 CH 3 基およびSO 2 F基を加水分解して、イオン交換基に転換し 。
 さらに、重合体Sの酸型ポリマーを2.5重量% 有するエタノール溶液に、平均粒子径1μmの 化ジルコニウムを13重量%分散させた分散液 調合し、この分散液を上記積層膜のフィル A側へ噴霧し、ガス開放性被覆層を付着させ た。このときの酸化ジルコニウムの付着量は 3g/m 2 とした。
 このようにして得た含フッ素陽イオン交換 を、電解槽内でフィルムAが陰極に面するよ うに配置して、塩化ナトリウム水溶液の電解 を行った。有効通電面積25cm 2 の電解槽を用い陰極室の供給水入り口を陰極 室下部、生成する水酸化ナトリウム水溶液出 口を陰極室上部に配し、陽極室の塩化ナトリ ウム水溶液入口を陽極室下部、反応により希 釈された塩化ナトリウム水溶液出口を陽極室 上部に配した。陽極としてはチタンのパンチ ドメタル(短径4mm、長径8mm)に酸化ルテニウム 酸化イリジウムと酸化チタンの固溶体を被 したものを用い、陰極としてはSUS304製パン ドメタル(短径5mm、長径10mm)にルテニウム入 ラネーニッケルを電着したものを用いた。
 また、塩化ナトリウム水溶液の電解におい は、陽極と膜とが接触するように陰極側を 圧状態にし、290g/Lの塩化ナトリウム水溶液 よび水をそれぞれ陽極室および陰極室に供 しながら、陽極室から排出される塩化ナト ウム濃度を190g/L、陰極室から排出される水 化ナトリウム濃度を32重量%に保ちつつ、温 80℃、電流密度6kA/m 2 の条件で1週間電解を行い、1週間後の電流効 を測定した。その後、供給塩化ナトリウム 溶液を、ヨウ素イオン20ppmおよびバリウム オン1ppmを含有する290g/Lの塩化ナトリウム水 液に切り替えて電解を行い、切り替え10日 の電流効率を測定した。

<重合反応と得られた含フッ素重合体の評 >
 実施例1
 内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、 の中に、重合開始剤であるジメチル-2,2’-ア ゾビスイソブチレート37.2mgを重合媒体である C6H(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H;H/F比=0.076)59.2gに溶解して得られた溶液と、 :CF 2 =CFOCFCF(CF 3 )OCF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物70.4gを吸引・ 入した。

 次いでこの反応容器に、テトラフルオロ チレン(TFE)を容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧 )になるまで導入し、容器内の温度が60℃とな るよう加温した。容器内温度が60℃で安定し 後、さらにTFEを圧力が1.20MPaGになるまで導 し、反応を開始させた。反応中は、圧力が1. 20MPaGに保持されるように、TFEを連続的に導入 した。反応開始からのTFE導入量が18gとなった 時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終 了させた。こうして得られたスラリーにメタ ノールを加えて重合体を凝集・分離し、次い で洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体 を得た。

 得られた含フッ素重合体のイオン交換容 は0.86ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値 は247℃であった。

 実施例2
 内容積1リットル(L)のステンレス鋼製反応容 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、そ 中に、重合媒体であるC6H(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H;H/F比=0.076)315gと、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物174gをそれぞ 吸引・注入した。

 次いで、TFEを容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ )になるまで導入し、容器内の温度が70℃と るよう加温した。容器内温度が70℃で安定し た後、圧力が1.22MPaGになるまでTFEを導入し、 らに重合開始剤であるアゾビスイソブチロ トリルの0.38質量%媒体(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H)溶液63gを容器内に圧入・添加し、反応を開 させた。

 反応中は圧力が1.22MPaGに保持されるように TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量9g に対して、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるパーフルオロビニルエーテル化合 物10gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加し た。反応開始からのTFE導入量が76gとなった時 点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了 させた。こうして得られたスラリーにメタノ ールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで 洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を 得た。

 得られた含フッ素重合体のイオン交換容量 0.94ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は 252℃であった。またプレスフィルムのアニオ ン拡散係数は8.98×10 -9 cm 2 /秒であった。

 実施例3
 内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、 の中に、重合開始剤であるアゾビスイソブ ロニトリル45.2mgを重合媒体であるC6H(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H;H/F比=0.076)69.3gに溶解して得られた溶液と、 :CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物53.7gを吸引・ 入した。

 次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)に るまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃と るよう加温した。容器内温度が70℃で安定し た後、圧力が0.97MPaGになるまでTFEをさらに導 し、反応を開始させた。また、TFEの導入量2 gに対して、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるパーフルオロビニルエーテル化合 物4gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加し 。反応開始からのTFE導入量が7gとなった時 で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了 せた。こうして得られたスラリーにメタノ ルを加えて重合体を凝集・分離し、次いで 浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を た。

 得られた含フッ素重合体のイオン交換容 は0.97ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値 は208℃であった。

 実施例4
 内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、 の中に、重合開始剤であるアゾビスイソブ ロニトリル61mgを重合媒体であるC6H(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H;H/F比=0.076)103.8gに溶解して得られた溶液と、 式:CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3で表されるカルボン酸型 能基を有するパーフルオロビニルエーテル 合物38.6gを吸引・注入した。

 次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧) なるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃ なるよう加温した。容器内温度が70℃で安定 した後、圧力が1.05MPaGになるまでTFEをさらに 入し、反応を開始させた。反応開始からのT FE導入量が14gとなった時点で未反応のTFEを系 に放出し、重合を終了させた。こうして得 れたスラリーにメタノールを加えて重合体 凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、 フッ素重合体の粉体を得た。

 得られた含フッ素重合体のイオン交換容 は0.93ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値 は244℃であった。

 実施例5
 内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、 の中に、重合開始剤であるアゾビスイソブ ロニトリル61mgを重合媒体であるC4エタン(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CH 3 ;H/F比=0.56)88.0gに溶解して得られた溶液と、式 :CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物38.6gを吸引・ 入した。

 次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧) なるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃ なるよう加温した。容器内温度が70℃で安定 した後、圧力が1.05MPaGになるまでTFEをさらに 入し、反応を開始させた。反応開始からのT FE導入量が8gとなった時点で未反応のTFEを系 に放出し、重合を終了させた。こうして得 れたスラリーにメタノールを加えて重合体 凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、 フッ素重合体の粉体を得た。

 得られた含フッ素重合体のイオン交換容 は0.92ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値 は201℃であった。

 実施例6
 内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、 の中に、重合開始剤であるアゾビスイソブ ロニトリル61mgを重合媒体であるC6エタン(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CH 3 ;H/F比=0.38)96.6gに溶解して得られた溶液と、式 :CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物38.6gを吸引・ 入した。

 次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧) なるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃ なるよう加温した。容器内温度が70℃で安定 した後、圧力が1.05MPaGになるまでTFEをさらに 入し、反応を開始させた。反応開始からのT FE導入量が9gとなった時点で未反応のTFEを系 に放出し、重合を終了させた。こうして得 れたスラリーにメタノールを加えて重合体 凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、 フッ素重合体の粉体を得た。

 得られた含フッ素重合体のイオン交換容 は0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値 は191℃であった。

 実施例7
 重合圧力を1.18MPaGに変えたこと以外は実施 2と同様の操作を行なった。得られた含フッ 重合体のイオン交換容量は0.99ミリ当量/グ ム乾燥樹脂であり、TQ値は242℃であった。ま たプレスフィルムのアニオン拡散係数は1.47× 10 -8 cm 2 /秒であった。

 実施例8
 重合圧力を1.12MPaGに変えたこと以外は実施 2と同様の操作を行なった。得られた含フッ 重合体のイオン交換容量は1.04ミリ当量/グ ム乾燥樹脂であり、TQ値は230℃であった。ま たプレスフィルムのアニオン拡散係数は2.83× 10 -8 cm 2 /秒であった。

 実施例9
 内容積1リットル(L)のステンレス鋼製反応容 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、そ 中に、重合媒体であるC6H(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H;H/F比=0.076)315gと、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物177gをそれぞ 吸引・注入した。
 次いで、TFEを容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ )になるまで導入し、容器内の温度が70℃と るよう加温した。容器内温度が70℃で安定し た後、圧力が1.18MPaGになるまでTFEを導入し、 らに重合開始剤であるアゾビスイソブチロ トリルの0.38質量%媒体(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H)溶液63gを容器内に圧入・添加し、反応を開 させた。
 反応中は圧力が1.18MPaGに保持されるように TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量9g に対して、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるパーフルオロビニルエーテル化合 物3.7gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加 た。反応開始からのTFE導入量が18gとなった 点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終 させた。得られたスラリーにメタノールを えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、 燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
 また、上記と同様の重合において、TFE導入 が54gおよび90gとなった時点で重合を終了さ 、上記と同様の反応後の処理により含フッ 重合体の粉体をそれぞれ得た。それぞれの られた含フッ素重合体のイオン交換容量を 定したところ、TFE導入量が18g、54g、および9 0gの場合に得た含フッ素重合体のいずれのイ ン交換容量も0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂 あり、TFE導入量によるイオン交換容量の変 はみられなかった。

 実施例10
 内容積20リットル(L)のステンレス鋼製反応 器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、そ の中に、重合媒体であるC6H(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H;H/F比=0.076)8607gと、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物4586gをそれぞ 吸引・注入した。
 次いで、TFEを容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ )になるまで導入し、容器内の温度が70℃と るよう加温した。容器内温度が70℃で安定し た後、圧力が1.09MPaGになるまでTFEを導入し、 らに重合開始剤であるアゾビスイソブチロ トリルの0.38質量%媒体(CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H)溶液1169gを容器内に圧入・添加し、反応を 始させた。
 反応中は圧力が1.09MPaGに保持されるように TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量17 9gに対して、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるパーフルオロビニルエーテル化合 物80gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加し た。反応開始からのTFE導入量が1635gとなった 点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終 させた。こうして得られたスラリーにメタ ールを加えて重合体を凝集・分離し、次い 洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体 得た。得られた含フッ素重合体のイオン交 容量は1.02ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり TQは232℃であった。
 また、得られた含フッ素重合体を用いてイ ン交換膜を上記した方法で作製して評価を ったところ、電解開始1週間後の電流効率は 96.4%であった。その後、前記したヨウ素イオ およびバリウムイオンを添加した塩化ナト ウム水溶液に切り替えて、10日間電解を行 た後の電流効率は95.8%であった。

 比較例1
 内容積1Lのステンレス製オートクレーブを 空に脱気した後、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物174g、およびAE -3000(旭硝子社製品名、CF 3 CH 2 OCF 2 CHF 2 )306gを吸引注入し、TFEを0.1MPaGまで導入後、内 温が70℃となるよう加温した。内温が70℃で 定した後、さらにTFEを1.17MPaGとなるまで導入 し、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)の0.85 量%AE-3000溶液28gをオートクレーブに圧入添加 し、反応を開始させた。反応中は圧力が1.22MP aGを保持するようにテトラフルオロエチレン 連続的に導入した。またテトラフルオロエ レンの導入量9gに対して、式:CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 COOCH 3 で表されるカルボン酸型官能基を有するパー フルオロビニルエーテル化合物10gをTFEの導入 量に比例して逐次添加し、反応開始後からの TFE導入量が73gとなった時点で未反応のTFEを系 外に放出し、重合を終了させた。
 得られたスラリーの重量に対して半分の重 のAE-3000を添加し、攪拌分散させた後、追加 したAE-3000の5倍量のメタノールに投入するこ でポリマーを凝集した。凝集後のポリマー ろ別後、さらにメタノールによる洗浄を行 た。その後、80℃にて16時間、真空下で乾燥 して含フッ素重合体の粉体を得た。得られた 含フッ素重合体のイオン交換容量は0.95ミリ 量/グラム乾燥樹脂であり、TQは245℃であっ 。またプレスフィルムのアニオン拡散係数 1.72×10 -8 cm 2 /秒であった。

 比較例2
 重合圧力を1.12MPaGに変えたこと以外は比較 1と同様の操作を行なった。得られた含フッ 重合体のイオン交換容量は0.98ミリ当量/グ ム乾燥樹脂であり、TQ値は241℃であった。ま たプレスフィルムのアニオン拡散係数は2.80× 10 -8 cm 2 /秒であった。

 比較例3
 C 8 F 17 COONH 4 の8.6g、リン酸2水素ナトリウム塩5.0g、および リン酸水素2ナトリウム塩8.6gを内容積2.5Lのス テンレス製オートクレーブに入れ、真空に脱 気した後、イオン交換水1695g、CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 CO 2 CH 3 258g、n-ヘキサン0.28g、および硫酸銅12水和塩 0.12質量%水溶液5.2gを吸引注入した。次いで これにTFEを圧力が0.01MPaになるまで導入し、 ートクレーブの内温が50℃になるように加 した。内温が50℃に到達した後、さらにTFEを 1.24MPaとなるまで導入し、過硫酸アンモニウ の3.8質量%水溶液50gを、圧入管を通してオー クレーブ内に添加して重合を開始させた。 応中は系外よりTFEを連続的に導入し、圧力 1.24MPaに保持した。反応開始からのTFE導入量 が49gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出 し重合を終了させた。
 得られた含フッ素重合体のラテックスにC6H 600gを加えて30分間撹拌し、静置分離した後 C6Hからなる層を分離、除去することにより ラテックス中に残存する未反応のCF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF 2 CO 2 CH 3 を除去した。ラテックスに10質量%の硫酸水溶 液を添加し、含フッ素重合体を凝集させ、さ らにメタノールで洗浄し、その後乾燥を行い 、含フッ素重合体の粉体を得た。
 また、上記と同様の重合において、TFE導入 が182gおよび273gとなった時点で重合を終了 せ、上記と同様の反応後の処理により含フ 素重合体の粉体をそれぞれ得た。それぞれ 得られた含フッ素重合体のイオン交換容量 測定したところ、TFE導入量が49g、182g、およ 273gの場合に得た含フッ素重合体のイオン交 換容量は、それぞれ0.98ミリ当量/グラム乾燥 脂、0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂、および0. 93ミリ当量/グラム乾燥樹脂、であり、TFE導入 量が増えるにしたがってイオン交換容量は低 下していた。

 比較例4
 比較例3と同様の重合を行い、反応開始から のTFE導入量が215gとなった時点で未反応のTFE 系外に放出し重合を終了させた。こうして られたスラリーにメタノールを加えて重合 を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い 含フッ素重合体の粉体を得た。
 得られた含フッ素重合体のイオン交換容量 測定したところ、0.95ミリ当量/グラム乾燥 脂であり、TQは250℃であった。
 また、得られた含フッ素重合体を用いてイ ン交換膜を作製して評価を行ったところ、 解開始1週間後の電流効率は96.6%であった。 の後、前記したヨウ素イオンおよびバリウ イオンを添加した塩化ナトリウム水溶液に り替えて10日間電解を行った後の電流効率 89.4%まで低下していた。

 比較例5
 TFE圧力を1.16MPaとした以外は、比較例4と同 の重合を行い、イオン交換容量が1.02ミリ当 /グラム乾燥樹脂であり、TQが242℃の含フッ 重合体の粉体を得た。
 また、得られた含フッ素重合体を用いてイ ン交換膜を作製して評価を行ったところ、 解開始1週間後に、前記したヨウ素イオンお よびバリウムイオンを添加した塩化ナトリウ ム水溶液に切り替えて電解を10日行った後の 流効率は94.5%と低い値であった。

 以上の実施例および比較例について、重合 件および含フッ素重合体とイオン交換膜の 価結果を表1に示した。
 なお、表1中、「-」は未測定であることを 味する。

 実施例2、7、8および比較例4、5について、 オン交換容量とアニオン拡散係数の関係を 1に示した。
 実施例2、7、8および比較例1、2のイオン交 容量とアニオン拡散係数の比較から、実施 2、7、8で得られた含フッ素重合体は、比較 1、2で得られた含フッ素重合体よりも、同イ オン交換容量におけるアニオン拡散係数が低 いことが確認できる。
 また、ヨウ素イオンを添加したときの電流 率の低下は、実施例10では小さいが、比較 4では著しいことから、実施例10のイオン交 膜の方が不純物による電流効率の低下が抑 されていることがわかる。
 また、実施例9のパーフルオロビニルエーテ ル化合物の連続添加では、重合途中でも生成 している重合体のイオン交換容量は一定であ るのに対して、比較例3のようにパーフルオ ビニルエーテル化合物の一括添加において 、重合が進行するにつれて生成している重 体のイオン交換容量が小さくなっており、 ーフルオロビニルエーテル化合物の単量体 逐次添加した方が、得られた重合体のイオ 交換容量の分布が小さいことがわかる。

 本発明の含フッ素重合体の製造方法は、オ ン破壊係数および地球温暖化係数が極めて さい重合媒体を使用し、種々の特性に優れ 特にイオン交換膜の材料として有用な含フ 素重合体を得ることができ、産業上有用な フッ素重合体の製造方法である。

 なお、2008年4月28日に出願された日本特許出 願2008-117372号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。




 
Previous Patent: WO/2009/133875

Next Patent: LIGHT-EMITTING UNIT